JP2005256226A - サイジング被覆炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

サイジング被覆炭素繊維およびその製造方法 Download PDF

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義文 中山
Masanobu Kobayashi
正信 小林
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Abstract

【課題】接着性と擦過性を共に十分に兼ね備えて発揮することができるようにされた新規なサイジング被覆炭素繊維およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】サイジング剤により被覆された炭素繊維であって、サイジングの最外層部の表面自由エネルギーの極性成分の値Eo(mJ/m2)が下記(a)式を満足し、かつサイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比R値が、下記(b)式を満足することを特徴とするサイジング被覆炭素繊維。
9≦Eo≦50 ………(a)
0<R≦0.8 ………(b)
Ei:サイジング内層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
Eo:サイジング最外層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
R:サイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比(R=Ei/Eo)
【選択図】なし

Description

本発明は、サイジング被覆炭素繊維とその製造方法に関するものであり、特に、マトリックスとの接着性に優れ、かつ耐擦過性に優れたサイジング被覆炭素繊維およびその製造方法に関する。
炭素繊維は、各種のマトリックス材料とからなる複合材料として利用されているが、炭素繊維の特性を複合材料に生かすには、マトリックスとの接着性の良否が重要である。
炭素繊維とマトリックスとの接着性を高める手法としては、従来から炭素繊維に表面処理を施す方法と、サイジング剤付与による方法が知られている。
炭素繊維の表面処理方法としては、一般に、電解酸化、薬液酸化、気相酸化というような方法があり、基本的には、炭素繊維表面に酸素含有官能基を導入し、マトリックスとの濡れ性を向上させているものである。
また、サイジング剤付与による方法においては、炭素繊維表面に付与するサイジング剤として、脂肪族タイプの複数のエポキシ基を有する化合物が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
しかし、複数のエポキシ基を有する化合物からなるサイジング剤は潤滑性に乏しく、かかる化合物でサイズされた炭素繊維束を用いると、プリプレグ作製時においては、固定ローラと擦過させる方法で束に拡がりを与えた際に、固定ローラとの高摩擦により単繊維切れが発生し(耐擦過性の問題)操業性に影響を与える場合があった。
このような観点から、エポキシ基の少ない、摩擦係数の低いサイジング剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合した炭素繊維用サイジング剤なども提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
しかしながら、このサイジング剤により処理された炭素繊維は、良好な耐擦過性は得られるものの、接着性が十分とは言えないものであった。
また、接着性向上成分である脂肪族タイプの複数のエポキシ基を有する化合物と、耐擦過性向上成分であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合したサイジング剤も提案されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし、特許文献6に記載された混合タイプのサイジング剤においても、接着性および耐擦過性の両特性のそれぞれが共に十分に期待どおりのものとは言えないのが実状であった。
特公昭63−14114号公報(特許請求の範囲) 特開平7−279040号公報(特許請求の範囲) 特開平8−113876号公報(特許請求の範囲) 特開平6−173170号公報(特許請求の範囲) 特開平9−250087号公報(特許請求の範囲) 特開平2−307979号公報(特許請求の範囲)
本発明は、かかる従来技術における問題点に鑑み、接着性と耐擦過性の両特性を、共に十分に兼ね備えて発揮することができるように構成された新規なサイジング被覆炭素繊維とその製造方法を提供することを目的とするものである。
具体的にさらに詳しくは、本発明は、サイジング剤自体は従来から知られているものも使用することが可能でありながらも、複数のサイジング剤同士の組合せ、さらに該複数のサイジング剤の組合せに着眼し、これらをうまく組合せた特別なサイジング手法を用いることによって、上述した接着性と耐擦過性を共に十分に兼ね備え発揮できるようにされてなる新規なサイジング被覆炭素繊維と、新規なサイジング被覆炭素繊維の製造方法(新規なサイジング手法)を提供することを目的とする。
本発明者らは、サイジング剤の複数をうまく組合せて使用することにより、上述した目的を達成することができることを見い出した。すなわち、本発明において、個々のサイジング剤自体は、従来から知られているサイジング剤を使用してもかまわない。要は、上述の全体の組合せがサイジング手法として重要なものであって、かつ新規なものである。
上述した目的を達成する本発明のサイジング被覆炭素繊維は、以下の(1)の構成からなるものである。
(1)サイジング剤により被覆された炭素繊維であって、サイジングの最外層部の表面自由エネルギーの極性成分の値Eo(mJ/m2 )が下記(a)式を満足し、かつサイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比R値が、下記(b)式を満足することを特徴とするサイジング被覆炭素繊維。
9≦Eo≦50 ………(a)
0<R≦0.8 ………(b)
Ei:サイジング内層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
Eo:サイジング最外層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
R:サイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比(R=Ei/Eo)
また、かかる本発明のサイジング被覆炭素繊維において、好ましくは、以下の(2)項から(5)項までの具体的態様を有するものである。
(2)前記サイジング内層の表面自由エネルギーの極性成分の値Eiが、0mJ/m2以上9mJ/m2 未満であることを特徴とする上記(1)記載のサイジング被覆炭素繊維。(3)前記サイジング剤が、少なくとも、次のA成分化合物とB成分化合物を含有するものであることを特徴とする上記(1)または(2)記載のサイジング被覆炭素繊維。
A成分:表面自由エネルギーの極性成分値が、9mJ/m2以上50mJ/m2以下である化合物。
B成分:表面自由エネルギーの極性成分値が、0mJ/m2以上9mJ/m2未満である化合物。
(4)前記サイジング剤のA成分が脂肪族系ポリエポキシ化合物であることを特徴とする上記(3)記載のサイジング被覆炭素繊維。
(5)前記サイジング剤のA成分が脂肪族系ポリエポキシ化合物であり、B成分が芳香族系ポリエポキシ化合物であることを特徴とする上記(3)または(4)記載のサイジング被覆炭素繊維。
また、上述した目的を達成する本発明のサイジング被覆炭素繊維の製造方法は、以下の(6)の構成からなるものである。
(6)炭素繊維に、表面自由エネルギーの極性成分値が0mJ/m2以上9mJ/m2未満であるB成分化合物を付与した後、表面自由エネルギーの極性成分値が9mJ/m2以上50mJ/m2以下であるA成分化合物をサイジング剤として付与することを特徴とするサイジング被覆炭素繊維の製造方法。
また、かかる本発明のサイジング被覆炭素繊維の製造方法において、好ましくは、以下の(7)の構成を有するものである。
(7)前記A成分化合物が脂肪族系ポリエポキシ化合物であり、B成分が芳香族系ポリエポキシ化合物であることを特徴とする請求項6に記載のサイジング被覆炭素繊維の製造方法。
請求項1記載の本発明のサイジング被覆炭素繊維によれば、例えば、個々のサイジング剤自体は従来から知られているものも使用することが可能でありながらも、接着性と耐擦過性を共に十分に兼ね備え発揮できる新規なサイジング被覆炭素繊維が提供されるものである。
かかる請求項1記載のサイジング被覆炭素繊維においては、サイジング層の最外層部の表面自由エネルギーの極性成分の値と、内層の表面自由エネルギーの極性成分の値の相対関係、さらに前者値の絶対値の関係に基づいて、最外層から内層にかけて、サイジング剤の成分分布が生じているものである。すなわち、内層付近では、表面自由エネルギーの極性成分値Ei を呈することのできるサイジング剤成分がより多く偏って存在し、一方、最外層付近では、表面自由エネルギーの極性成分値Eo(9mJ/m2≦Eo ≦50mJ/m2)を呈することのできるサイジング剤成分がより多く偏って存在しているのである。
この結果、例えば、内層には摩擦係数の低い、すなわち表面自由エネルギーの極性成分の低いサイジング剤成分を配置し、最外層には接着性の高い、すなわち表面自由エネルギーの極性成分の高いサイジング剤成分をより多く偏在させることにより、内層の耐擦過性と最外層の接着性という、本来の個々のサイジング剤が有する特質を十二分に発現させることができるのである。
請求項2〜5のいずれかに記載の本発明のサイジング被覆炭素繊維によれば、請求項1記載の本発明による上述の効果を有するとともに、更に該効果をよりいっそう明確に発揮できる新規なサイジング被覆炭素繊維を実現することができるものである。
請求項6記載の本発明のサイジング被覆炭素繊維の製造方法によれば、例えば個々のサイジング剤自体は従来から知られているものも使用することが可能でありながらも、接着性と耐擦過性を共に十分に兼ね備え発揮できる新規なサイジング被覆炭素繊維を製造することのできるサイジング被覆炭素繊維の製造方法が提供されるものである。
請求項7記載の本発明のサイジング被覆炭素繊維の製造方法によれば、請求項6記載の本発明のサイジング被覆炭素繊維の製造方法による上述の効果を有するとともに、更に該効果をよりいっそう明確に発揮できる該製造方法を実現することができるものである。
以下、更に詳しく本発明のサイジング被覆炭素繊維とその製造方法の実施をするための最良の形態について説明をする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、炭素繊維表面に被覆されたサイジング剤の最外層の表面自由エネルギーの極性成分Eo の値、および最外層と内層の表面自由エネルギーの極性成分比R値が、下記の二つの式(a)、(b)を同時に満足するように構成した制御されたサイジング処理を行うことにより、前述した本発明の課題を、一挙に解決することができるという知見を得た。
9≦Eo≦50 ………(a)
0<R≦0.8 ………(b)
ここで、
Ei:サイジング内層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
Eo:サイジング最外層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
R:サイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比(R=
Ei/Eo)
である。
本発明のサイジング剤を被覆した炭素繊維は、サイジングの内層の表面自由エネルギーの極性成分をEi(mJ/m2)、サイジングの最外層の表面自由エネルギーの極性成分をEo(mJ/m2)とした場合、9≦Eo≦50の範囲内(式(a))にあることが重要であり、また、同時に、Ei/Eoで定義される極性比R値が0<R≦0.8の範囲内(式(b))にあることが重要である。
本発明者らの知見によれば、かかる範囲のものは、炭素繊維/マトリックスの界面接着性に優れるとともに、サイジング被覆炭素繊維の耐擦過性にも優れており、複合材料用炭素繊維に好適なのである。
このようになる理由は、必ずしも明確ではない点もあるが、本発明者らの検討では、サイジング剤内層に最外層よりも極性成分を低くした成分、すなわち摩擦係数の低い成分を配置することで炭素繊維/サイジング剤間の滑りが良好となり、つまり、摩擦が軽減しその結果、金属ローラから受ける摩擦力が小さくなることにより毛羽の発生が抑制される。さらに、サイジングの外層に表面自由エネルギーの極性成分が高い、すなわち水酸基やカルボキシル基といった反応性に富む成分を配置することで、これらはコンポジット成形時に炭素繊維表面、マトリックス樹脂それぞれと強固な結合を形成し、炭素繊維/マトリックス界面の接着性に優れた複合材料が得られると考えられる。その結果、耐擦過性に優れ、かつ高い接着性を維持できるものと考えられるものである。
Eoが50mJ/m2を超える場合、マトリックスとの結合が強くなり過ぎて、結果的にコンポジットの機械的強度が低下する場合があり、9mJ/m2未満だと、接着性が不十分となる場合がある。
また、極性比R値が0.8を超える場合、すなわち、サイジング内層よりも最外層の表面自由エネルギーの極性成分が低い場合もしくは両者が同等の場合、複合材料の炭素繊維/マトリクス界面において接着性が不足する場合があるので好ましくない。
Rの値のより好ましい範囲は、0.2≦R≦0.7であり、さらに好ましくは0.3≦R≦0.6である。
本発明のサイジング剤を被覆した炭素繊維は、サイジングの内層の表面自由エネルギーの極性成分Eiが0mJ/m2以上9mJ/m2未満であるのが好ましい。Eiが9mJ/m2以上の場合、炭素繊維表面とサイジング剤の摩擦が増大し、その結果、金属ローラとの摩擦力が増大し耐擦過性が低下する場合がある。
本発明に用いられる炭素繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ピッチなどの繊維を炭素化した繊維、あるいはそれらをさらに高温で熱処理した黒鉛化繊維が主として用いられる。中でも、高強度な炭素繊維が得られやすいアクリロニトリル繊維を用いるのが好ましい。
炭素繊維は、そのストランド強度が4GPa以上7GPa以下、好ましくは4.5GPa以上6.5GPa以下、ストランド弾性率が200GPa以上500GPa以下であることが、特に構造材に好適である。
なお、該ストランド強度は、束状の炭素繊維あるいは黒鉛化繊維に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、JIS R7601(1986)に基づいて行う引張試験により求めることができる。
(樹脂組成)
・脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート) 100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン 3重量部
・アセトン 4重量部
また、ストランド弾性率は、上記ストランド強度測定方法と同様の方法で引張試験を行い、荷重−伸び曲線の傾きから求めることができる。
ここで、本発明において、サイジングの最外層の表面自由エネルギーの極性成分の値、サイジングの内層の表面自由エネルギーの極性成分の値は、それぞれ、次の手法にてウィルヘルミ法により得ることができるものである。
(イ)サイジングの最外層の表面自由エネルギーの極性成分:
サイジングの最外層の表面自由エネルギーの極性成分は、サイジング被覆炭素繊維の単繊維を、水、エチレングリコール、燐酸トリクレゾールの各液体にウィルヘルミ法によって測定される各接触角をもとに、オーエンスの近似式を用いて算出した表面自由エネルギーの極性成分である。
(ロ)サイジングの内層の表面自由エネルギーの極性成分:
サイジングの内層の表面自由エネルギーの極性成分は、サイジング被覆炭素繊維をアセトン溶媒で1〜10分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗い流し、炭素繊維に付着している残存サイジング剤を0.1±0.05重量%の範囲に制御した後、水、エチレングリコール、燐酸トリクレゾールの各液体において、ウィルヘルミ法によって測定される各接触角をもとに、オーエンスの近似式を用いて算出した表面自由エネルギーの極性成分である。
ここで、上記(イ)、(ロ)の残存サイジング剤の付着量の測定方法は、サイジング被覆炭素繊維を約2±0.5g採取し、窒素雰囲気中450℃にて加熱処理を15分間行ったときの該加熱処理前後の重量変化量を加熱処理前の重量で除した値の重量%である。
本発明において用いられるサイジング剤は、少なくとも次のA成分とB成分を含有するものを用いるのがよいものである。
すなわち、A成分は、表面自由エネルギーの極性成分が9mJ/m2以上50mJ/m2以下のものであればよく、特に制限はされないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
これらの中でも、炭素繊維とマトリックス樹脂との橋渡しを有効に行い、高い接着性を得るためには、エポキシ樹脂が好ましく、さらには、中でも、脂肪族系ポリエポキシ化合物が好ましく用いられる。
脂肪族系ポリエポキシ化合物とは、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」(登録商標)EX−512、EX−521)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−321)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−211)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−313、EX−314)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−941、EX−920、EX−931)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−810、EX−811)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−611、EX−612、EX・614、EX−614B、EX−622)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−411)などを挙げることができる。
また、A成分化合物としてポリアミド、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂も使用でき、水溶性ポリアミド樹脂としては、例えば東レ(株)製AQナイロンなどを挙げることができる。
本発明に用いられるサイジング剤におけるB成分としては、表面自由エネルギーの極性成分が、0mJ/m2以上9mJ/m2未満のものであればよく、特に制限はされないが、炭素繊維/サイジング剤の摩擦を軽減できるもの、例えば、アルキルエステル系の平滑剤、芳香族系ポリエポキシ化合物が好ましく用いられる。
これらの中でも、マトリックス樹脂との相溶性の観点から芳香族系ポリエポキシ化合物が好ましく、中でもさらには、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製の「エピコート」(登録商標)1001、「エピコート」1002、「エピコート」1004、「エピコート」1007や、バンティコ社製の「アラルダイト」(登録商標)などを用いることができる。これらのビスフェノールA型エポキシ樹脂を単独で用いてもよく、複数種を混合してもよい。さらに、炭素繊維/サイジング剤間の摩擦を軽減するため、平滑剤の添加が好ましい。
また、B成分化合物としてポリエチレン、ポリプロポレンなどの熱可塑性樹脂も使用でき、ポリエチレンエマルジョンとしては、例えば三洋化成工業(株)製
「パーマリン」FW−53Nなどを挙げることができる。
両成分は、別々に炭素繊維に付与することが好ましい。
ここで、本発明において、サイジング剤の成分A、および成分Bの表面自由エネルギーの極性成分の値は、それぞれ、次の手法にてウィルヘルミ法により得ることができるものである。
(イ)サイジング成分Aの表面自由エネルギーの極性成分:
サイジング成分Aの表面自由エネルギーの極性成分は、成分Aのみからなるサイジング液中に炭素繊維束を浸漬して引き上げた後、120〜150℃で1〜10分間の乾燥後、水、エチレングリコール、燐酸トリクレゾールの各液体において、ウィルヘルミ法によって測定される各接触角をもとに、オーエンスの近似式を用いて算出した表面自由エネルギーの極性成分である。
(ロ)サイジング成分Bの表面自由エネルギーの極性成分:
上記(イ)と同様にして測定されるものである。
また、サイジング剤が成分Aと成分Bの混合物である場合には、混合サイジング剤を適当な溶媒に溶かし、液体クロマトグラフ法にて両成分を分取した後、それぞれの成分を上記(イ)、(ロ)に従い、炭素繊維束に付与し、表面自由エネルギーの極性成分を測定することもできる。
本発明のA成分およびB成分を含めたサイジング付着量としては、0.15重量%以上5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以上3重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以上2.5重量%以下である。0.15重量%未満だと、耐擦過が低下し、サイジング被覆炭素繊維の取扱い性が低下し、5重量%より大きいと、サイジング被覆炭素繊維の形態が硬くなり、マトリックスの含浸性が低下する場合がある。
次に、本発明のサイジング被覆炭素繊維の製造方法について説明する。
本発明の炭素繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ピッチなどの繊維を炭素化した繊維、あるいは、それらをさらに高温で熱処理した黒鉛化繊維が主として用いられる。好ましくは高強度な炭素繊維が得られやすいアクリロニトリル繊維を用いるのがよい。
炭素繊維は予め酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、電解酸化、薬液酸化、気相酸化が挙げられ、操業性の観点から好ましくは電解酸化が用いられる。
該電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸などの酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の水酸化物、アンモニア、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類の水溶液、さらにこれらのカリウム塩、バリウム塩あるいは他の金属塩、およびアンモニウム塩、またヒドラジン等の有機化合物が挙げられる。
次に、上述の方法で酸化処理された炭素繊維は、表面自由エネルギーの極性成分値が0mJ/m2以上9mJ/m2未満であるB成分化合物を付与した後、表面自由エネルギーの極性成分値が9mJ/m2以上50mJ/m2以下であるA成分化合物をサイジング剤として付与される。B成分化合物としては、表面自由エネルギーの極性成分が上述の範囲内であれば特に制限はされないが、芳香族系ポリエポキシ化合物が好ましく用いられる。また、A成分化合物としては、表面自由エネルギーの極性成分が上述の範囲内であれば特に制限はされないが、脂肪族系ポリエポキシ化合物が好ましく用いられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂には、室温で固状のものも液状のものも用いることができるが、室温で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂が前述の脂肪族ポリエポキシ化合物との相溶性が低くなるという点で好ましく用いられる。
室温で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば分子量700〜4000のものを用いることができる。具体例を挙げると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート」1001、「エピコート」1002、「エピコート」1004、「エピコート」1007、チバガイギー(株)製「アラルダイト」6071、「アラルダイト」6084、「アラルダイト」6097などを挙げることができる。
一方、液状とは、エポキシ樹脂自体が液状のものであってもよく、エポキシ樹脂を希釈剤で低粘度化したものであってもよい。中でも分子量が300〜500のビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート」815、「エピコート」828、「エピコート」834、バンティコ社製「アラルダイト」250、「アラルダイト」GY260、「アラルダイト」GY280などをあげることができる。これらのビスフェノールA型エポキシ樹脂は、該樹脂が単独で用いられてもよく、複数種を混合して用いられていてもよい。さらに、摩擦係数を軽減するため、平滑剤の添加が好ましい。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(複数種混合する場合には、その混合物も含む、以下同じ)を水エマルジョン化するには、界面活性剤を使用することができる。このような界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系界面活性剤が挙げられるが、水エマルジョン溶液とした際の溶液安定性の面から、ノニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーなどを挙げることができる。この界面活性剤の配合比は、重量比でビスフェノールA型エポキシ樹脂/界面活性剤=90/10〜70/30が好ましい。
また、B成分化合物としてポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂も使用でき、ポリエチレンエマルジョンとしては、例えば、三洋化成工業(株)製「パーマリン」FW−53Nなどをあげることができる。
脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」(登録商標)EX−512、EX−521)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−321)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−211)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−313、EX−314)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−941、EX−920、EX−931)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−810、EX−811)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の「デナコール」EX−411)などを挙げることができる。
また、水溶化のため相溶化剤として液状のアルキレンオキシド付加物、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、末端アルキル化ポリエチレングリコール、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物などを添加することができる。
また、A成分化合物としてポリアミド、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂も使用でき、水溶性ポリアミド樹脂としては、例えば、東レ(株)製AQナイロンなどをあげることができる。
すなわち、サイジングの最外層部の表面自由エネルギーの極性成分の値Eo (mJ/m2)が前記(a)式を満足し、かつ、サイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比R値が、前記(b)式を満足する、本発明にかかるサイジング被覆炭素繊維は、前述した表面自由エネルギー極性成分特性を満たすA成分化合物とB成分化合物の2種をサイジング剤に用いて、サイジング処理をすることにより得ることができるものである。
本発明のサイジング剤付与方法としては、特に限定されないが、ローラーサイジング法、ローラー浸漬法、スプレー法、その他公知の方法を用いることができる。中でも、ローラー浸漬法は、一束あたりの単繊維数が多い炭素繊維束においてサイジング液を均一に付与しうるため好ましい。また、B成分化合物が炭素繊維表面に付着させるため、B成分化合物、A成分化合物の順に別々に複数段に分けて付与する。
以下、一実施態様例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、特にこれに制限されるというものではない。
本発明の説明で用いられた各物性値の測定手法は、以下のとおりである。
<サイジング最外層の表面自由エネルギー極性成分>
サイジングの最外層の表面自由エネルギーの極性成分は、前述した定義のとおり、サイジング被覆炭素繊維の単繊維を、水、エチレングリコール、燐酸トリクレゾールの各液体においてウィルヘルミ法によって測定される各接触角をもとに、オーエンスの近似式を用いて算出したものである。
本発明における接触角は、次のようにして測定した。
DataPhysics社製DCAT11を用いて、まず炭素繊維束から1本の単繊維を取り出し、長さ12±2mmに8本にカットした後、専用ホルダーFH12(表面が粘着物質でコーティングされた平板)に単繊維間が2〜3mmで平行に貼り付ける。その後、単繊維の先端を切り揃えてホルダーをDCAT11にセットする。測定は、各液体の入ったセルを8本の単繊維の下端に0.2mm/sの速度で近づけ、単繊維の先端から5mmまで浸漬させる。その後、0.2mm/sの速度で単繊維を引き上げる。この操作を4回以上繰り返す。液中に浸漬している時の単繊維の受ける力Fを電子天秤で測定する。この値を用いて次式で接触角θを算出する。
COSθ=(8本の単繊維が受ける力F(mN))/((8(単繊維の数)×単繊維の円周(m)×液体の表面張力(mJ/m2))
なお、測定は、3箇所の炭素繊維束の異なる場所から抜き出した単繊維について実施した。すなわち、一つの炭素繊維束に対して合計24本の単繊維についての接触角の平均値を求めた。
また、サイジング最外層の表面自由エネルギーの極性成分は、次式で示されるオーエンスの近似式(各液体固有の表面張力の極性成分と非極性成分、さらに接触角θにより構成させる式)に各液体の表面張力の成分、接触角を代入しX、Yにプロットした後、最小自乗法により直線近似したときの傾きaの自乗により求められる。
Y=a・X+b
Figure 2005256226
Figure 2005256226
サイジング最外層の表面自由エネルギーの極性成分=a2
サイジング最外層の表面自由エネルギーの非極性成分=b2
トータルの表面自由エネルギー=a2 +b2
各液体の表面張力の極性成分および非極性成分は、次のとおりである。
・精製水
表面張力72.8mJ/m2、極性成分51.0mJ/m2、非極性成分21.8mJ/m2
・エチレングリコール
表面張力48.0mJ/m2、極性成分19.0mJ/m2、非極性成分29.0mJ/m2
・燐酸トリクレゾール
表面張力40.9mJ/m2、極性成分1.7mJ/m2、非極性成分39.2mJ/m2
<サイジング内層の表面自由エネルギー極性成分>
サイジングの内層の表面自由エネルギーの極性成分は、上述した定義のとおり、サイジング被覆炭素繊維をアセトン溶媒で1〜10分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗い流し、炭素繊維に付着している残存サイジング剤を0.1±0.05重量%の範囲に制御した後、水、エチレングリコール、燐酸トリクレゾールの各液体において、ウィルヘルミ法によって測定される各接触角をもとに、オーエンスの近似式を用いて算出したものである。
ここで、残存サイジング剤の付着量の測定方法は、サイジング被覆炭素繊維を約2±0.5g採取し、窒素雰囲気中450℃にて加熱処理を15分間行ったときの該加熱処理前後の重量変化量を加熱処理前の重量で除した値の重量%である。
本発明における接触角は、次のようにして測定した。
DataPhysics社製DCAT11を用いて、まず炭素繊維束から1本の単繊維を取り出し、長さ12±2mmに8本にカットした後、専用ホルダーFH12(表面が粘着物質でコーティングされた平板)に単繊維間が2〜3mmで平行に貼り付ける。その後、単繊維の先端を切り揃えてホルダーをDCAT11にセットする。測定は、各液体の入ったセルを8本の単繊維の下端に0.2mm/sの速度で近づけ、単繊維の先端から5mmまで浸漬させる。その後、0.2mm/sの速度で単繊維を引き上げる。この操作を4回以上繰り返す。液中に浸漬している時の単繊維の受ける力Fを電子天秤で測定する。この値を用いて次式で接触角θを算出する。
COSθ=(8本の単繊維が受ける力F(mN))/((8(単繊維の数)×単繊維の円周(m)×液体の表面張力(mJ/m2))
なお、測定は、3箇所の炭素繊維束の異なる場所から抜き出した単繊維について実施した。すなわち、一つの炭素繊維束に対して合計24本の単繊維についての接触角の平均値を求めた。
また、サイジング内層の表面自由エネルギーの極性成分は、次式で示されるオーエンスの近似式(各液体固有の表面張力の極性成分と非極性成分、さらに接触角θにより構成させる式)に各液体の表面張力の成分、接触角を代入しX、Yにプロットした後、最小自乗法により直線近似したときの傾きaの自乗により求められる。
Y=a・X+b
Figure 2005256226
Figure 2005256226
サイジング内層の表面自由エネルギーの極性成分=a2
サイジング内層の表面自由エネルギーの非極性成分=b2
トータルの表面自由エネルギー=a2 +b2
各液体の表面張力の極性成分および非極性成分は、次のとおりである。
・精製水
表面張力72.8mJ/m2、極性成分51.0mJ/m2、非極性成分21.8mJ/m2
・エチレングリコール
表面張力48.0mJ/m2、極性成分19.0mJ/m2、非極性成分29.0mJ/m2
・燐酸トリクレゾール
表面張力40.9mJ/m2、極性成分1.7mJ/m2、非極性成分39.2mJ/m2
<層間剪断強度(ILSS)>
炭素繊維のマトリックス樹脂に対する接着性の尺度として、以下の方法により層間剪断強度(ILSS)を測定した。
金枠に巻き取った炭素繊維束を、炭素繊維の体積含有率(Vf)が60%になるように、凸凹噛み合わせの溝幅6mmの凹側金型に入れ、樹脂を流し込んだ後、加熱しながら真空脱泡した。脱泡後、厚さ2.5mmのスぺーサーを挟んで凸凹金型を噛み合わせて、プレス機にセットし、加圧しながら加熱して樹脂を硬化させ、幅6mm、厚さ2.5mmの平板を作製し、かかる平板を長さ18mmに切断し試験片とした。
樹脂組成は、以下のとおりである。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Ep828、ジャパンエポキシレジン(株)製) 100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製) 3重量部
成型条件は、以下のとおりである。
・脱泡:真空(10mmHg以下)下、70℃×4時間
・成型:プレス圧(4.9MPa)、170℃×1時間
・アフターキュアー:170℃×2時間
上記した試験片を用い、加圧くさび(上部圧子)の曲率半径を5mmとし、支点(下部圧子)の曲率半径を2mmとし、支持スパンを試験片の厚みの5.6倍とした以外は、JIS K−7078に準拠してショートビーム法による層間剪断強度を測定した。剪断強度は次式により求めた。試験数はn=6とし、その平均値を層間剪断強度とした。試験機には、インストロン(登録商標)試験機4208を用いた。
剪断強度(MPa)=3×荷重(kN)/(4×厚み(mm)×幅(mm))×1000
<擦過毛羽量>
炭素繊維束の耐擦過性の指標として、以下の方法により擦過毛羽量を測定した。炭素繊維束を擦過せしめる装置としては、前記拡幅率測定装置と同じ装置を用い、入り口側の炭素繊維束に1.1dtex当たり0.09gの張力を与え、3m/分の速度で、この装置を通過させた。側面から炭素繊維束に対し直角にレーザー光線を照射する毛羽発生装置により、毛羽数を数えた。擦過毛羽数は1m当たりの数とし、10mを3回測定した平均値を擦過毛羽数とした。
実施例1
サイジング剤としては、成分Aとしてソルビトールポリグリシジルエーテル(「デナコール」EX−611、表面自由エネルギーの極性成分値:14mJ/m2)、成分BとしてビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート」1004、表面自由エネルギーの極性成分値:2mJ/m2)を用いた。
成分Bの水エマルジョン液に炭素繊維を浸漬させ150℃、1分で乾燥させた後、成分Aの水溶液に被処理炭素繊維を浸漬させ150℃、1分で乾燥させることで束状のサイジング被覆炭素繊維を得た。サイジング付着量は、成分A、B共に0.5重量%になるように調整した。
ここで、被処理炭素繊維は、ストランド強度が4.9GPa、ストランド弾性率が240GPaの束状のポリアクリロニトリル系炭素繊維(単繊維直径6.9μm、単繊維数12000本/束)を使用して、硫酸存在下で炭素繊維1g当たり3Aの電流が流れるように電解処理を施したものを使用した。得られた炭素繊維の摩擦係数は0.4で擦過毛羽数は1個/mであった。
実施例2
サイジング剤として、成分Aとしてソルビトールポリグリシジルエーテル(「デナコール」EX−611、表面自由エネルギーの極性成分値:14mJ/m2)、成分Bとしてポリエチレンエマルジョン(パーマリンFW−53N、三洋化成工業(株)製、表面自由エネルギーの極性成分値:3mJ/m2)を用いた以外は実施例1と同様にして束状のサイジング被覆炭素繊維を製造した。サイジング付着量は、成分A、B共に0.5重量%になるように調整した。
実施例3
サイジング剤として、成分Aとしてポリアミド(AQナイロンP−70、東レ(株)製、表面自由エネルギーの極性成分値:13mJ/m2)、成分Bとしてポリエチレンエマルジョン(パーマリンFW−53N、三洋化成工業(株)製、表面自由エネルギーの極性成分値:3mJ/m2)を用いた以外は実施例1と同様にして束状のサイジング被覆炭素繊維を製造した。サイジング付着量は、成分Aは0.5重量%、成分Bは1重量%になるように調整した。
比較例1
サイジング剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート」1004、表面自由エネルギーの極性成分値:2mJ/m2)を用いた。「エピコート」1004を含む溶液に被処理炭素繊維を浸漬させ150℃、1分で乾燥させることで束状のサイジング被覆炭素繊維を製造した。サイジング付着量は、1重量%になるように調整した。
ここで、炭素繊維は、実施例1と同様にストランド強度が4.9GPa、ストランド弾性率が240GPaの束状のポリアクリロニトリル系炭素繊維(単繊維直径6.9μm、単繊維数12000本/束)を使用して、硫酸存在下で炭素繊維1g当たり3Aの電流が流れるように電解処理を施したものを使用した。得られた炭素繊維の摩擦係数は0.4で擦過毛羽数は3個/mであった。
比較例2
サイジング剤としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル(「デナコール」EX−611、表面自由エネルギーの極性成分値:14mJ/m2)を用いた以外は比較例1と同様にして束状のサイジング被覆炭素繊維を製造した。サイジング付着量は、1重量%になるように調整した。得られた炭素繊維の摩擦係数は0.5で擦過毛羽数は25個/mであった。
比較例3
サイジング剤としては、成分Aとしてソルビトールポリグリシジルエーテル(「デナコール」EX−611、表面自由エネルギーの極性成分値:14mJ/m2)、成分BとしてビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート」1004、表面自由エネルギーの極性成分値:2mJ/m2)を用いた。成分Aと成分Bを混合した溶液に炭素繊維を浸漬させ150℃、1分で乾燥させることで束状のサイジング被覆炭素繊維を製造した。サイジング付着量は、1重量%になるように調整した。なお、被処理炭素繊維は、実施例1と同様のものを使用した。
かかる実施例と比較例の各サンプルについて、耐擦過性として炭素繊維束の1m当たりの擦過毛羽個数、接着性として層間剪断強度(ILSS)を測定した。結果を表1にまとめて示した。表1から分かるように、本発明にかかるサイジング被覆炭素繊維は、耐擦過性に優れ、かつ高い層間剪断強度(ILSS)を示しており、耐擦過性と接着性のいずれもが、比較例品よりも優れていることがわかる。
Figure 2005256226

Claims (7)

  1. サイジング剤により被覆された炭素繊維であって、サイジングの最外層部の表面自由エネルギーの極性成分の値Eo(mJ/m2)が下記(a)式を満足し、かつサイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比R値が、下記(b)式を満足するサイジング被覆炭素繊維。
    9≦Eo≦50 ………(a)
    0<R≦0.8 ………(b)
    Ei:サイジング内層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
    Eo:サイジング最外層部の表面自由エネルギーの極性成分値(mJ/m2
    R:サイジングの最外層部と内層の表面自由エネルギーの極性成分比(R=Ei/Eo)
  2. サイジング内層の表面自由エネルギーの極性成分の値Eiが、0mJ/m2以上9mJ/m2 未満である請求項1に記載のサイジング被覆炭素繊維。
  3. サイジング剤が、少なくとも、次のA成分化合物とB成分化合物を含有するものである請求項1または2記載のサイジング被覆炭素繊維。
    A成分:表面自由エネルギーの極性成分値が、9mJ/m2以上50mJ/m2以下である化合物。
    B成分:表面自由エネルギーの極性成分値が、0mJ/m2以上9mJ/m2未満である化合物。
  4. サイジング剤のA成分が脂肪族系ポリエポキシ化合物である請求項3に記載のサイジング被覆炭素繊維。
  5. サイジング剤のA成分が脂肪族系ポリエポキシ化合物であり、B成分が芳香族系ポリエポキシ化合物である請求項3または4記載のサイジング被覆炭素繊維。
  6. 炭素繊維に、表面自由エネルギーの極性成分値が0mJ/m2以上9mJ/m2未満であるB成分化合物を付与した後、表面自由エネルギーの極性成分値が9mJ/m2以上50mJ/m2以下であるA成分化合物をサイジング剤として付与するサイジング被覆炭素繊維の製造方法。
  7. A成分化合物が脂肪族系ポリエポキシ化合物であり、B成分が芳香族系ポリエポキシ化合物である請求項6に記載のサイジング被覆炭素繊維の製造方法。
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