JP2010229298A - 活性エネルギー線硬化型平版印刷インキおよびその印刷物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化性、地汚れ耐性等の印刷適性が優れた印刷を可能とし、印刷皮膜強度の優れた印刷物を提供し得る活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの提供。
【解決手段】樹脂酸とα,β−不飽和カルボン酸とを付加反応せしめ、次いで多価アルコール化合物、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物との反応により得られる樹脂、活性エネルギー線硬化性化合物および顔料を含有する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂酸とα,β−不飽和カルボン酸とを付加反応せしめ、次いで多価アルコール化合物、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物との反応により得られる樹脂、活性エネルギー線硬化性化合物および顔料を含有する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
【選択図】なし
Description
本発明は、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキおよびその印刷物に関し、優れた印刷適性と印刷皮膜強度を両立する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキおよびその印刷物に関する
活性エネルギー線硬化型インキはアクリルエステル化合物のような活性エネルギー線硬化性を有する不飽和化合物を構成成分として含有しており、活性エネルギー線照射とともに瞬時に硬化し、上記不飽和化合物の3次元架橋による強靭な皮膜を形成する。瞬時に硬化することから、印刷直後に後加工を行うことが出来るため、生産性向上および意匠の保護のため強い皮膜が要求される包装用パッケージ印刷や商業分野におけるフォーム印刷等において活性エネルギー線硬化型インキが好適に使用されている。また、印刷品質や印刷速度、価格の点で有利である平版印刷が用いられることが多い。
一般に活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、バインダー樹脂、アクリルエステル化合物のような活性エネルギー線硬化性化合物、顔料、ラジカル重合開始剤、各種添加剤からなる。
活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは乳化適性、地汚れ耐性、硬化性といった印刷適性が要求される。また同時に耐摩擦性、耐溶剤性、耐熱性といった印刷皮膜強度が要求される。活性エネルギー線硬化型バインダー樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等が検討されてきた。例えば、特許文献1には飽和ポリエステルをイソシアネート基含有ウレタンアクリレートで変性した樹脂が開示されている。しかしながら、これらの樹脂は直線性の高い構造のため十分なインキ粘弾性が得られ難く、ミスチング性、地汚れ耐性等の印刷適正を損ない易い。特許文献2には、ロジン誘導体多価カルボン酸を必須成分として含む水酸基過剰のポリエステル化合物とアクリル酸もしくはメタクリル酸を反応せしめた樹脂が開示されているが、ロジン誘導体多価カルボン酸の特定が十分ではなく、共役二重結合の残存量が多いときには硬化阻害を引き起こし易く、硬化性、印刷皮膜強度が不十分になるという問題が生じやすい。
本発明の目的は、印刷適性と印刷皮膜強度を両立する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキおよびその印刷物を提供することである。
α,β−不飽和カルボン酸と樹脂酸を付加反応させ、次いで多価アルコール化合物を反応させ、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応させた樹脂を含有することにより、優れた印刷適性と印刷皮膜強度を両立し得る活性エネルギー線硬化型平版印刷インキが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、(a)樹脂、(b)活性エネルギー線硬化性化合物および(c)顔料を含有する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキにおいて、
(a)樹脂が、樹脂酸と樹脂酸に対して50〜100モル%のα,β−不飽和カルボ
ン酸または該無水物とを付加反応させ、
次いで、多価アルコールを反応させ、
さらに、カルボン酸基または水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽 和化合物を反応させて合成したものであり、
(a)樹脂が、インキ全量の10〜40重量%含有され、
(b)活性エネルギー線硬化性化合物が、インキ全量の30〜75重量%含有され、
および
(c)顔料が、インキ全量の5〜40重量%
含有されてなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関するものである。
(a)樹脂が、樹脂酸と樹脂酸に対して50〜100モル%のα,β−不飽和カルボ
ン酸または該無水物とを付加反応させ、
次いで、多価アルコールを反応させ、
さらに、カルボン酸基または水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽 和化合物を反応させて合成したものであり、
(a)樹脂が、インキ全量の10〜40重量%含有され、
(b)活性エネルギー線硬化性化合物が、インキ全量の30〜75重量%含有され、
および
(c)顔料が、インキ全量の5〜40重量%
含有されてなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関するものである。
さらに、本発明は、樹脂酸が、共役二重結合を有するものであることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関するものである。
また、本発明は、α,β−不飽和カルボン酸または該無水物が、それぞれマレイン酸または該無水物であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関するものである。
また、本発明は、α,β−不飽和カルボン酸または該無水物が、それぞれマレイン酸または該無水物であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関するものである。
さらに、本発明は、上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷し、活性エネルギー線により硬化してなることを特徴とする印刷物に関するものである。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキにより、硬化性、地汚れ耐性等の印刷適性が優れた印刷が可能となり、印刷皮膜強度の優れた印刷物を提供することが出来た。
本発明において、α,β−不飽和カルボン酸と樹脂酸とを付加反応させ、次いで多価アルコール化合物を反応させ、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応させた樹脂について以下に説明する。
本発明の樹脂酸とは、天然樹脂中に含有される遊離またはエステルとして存在する有機酸であれば特に限定されるものではない。例として、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、ポドカルプ酸、アガテンジカルボン酸、ダンマロール酸、安息香酸、ケイ皮酸、p−オキシケイ皮酸等が挙げられる。これらの樹脂酸を含有する天然樹脂の形態で使用することが取り扱い上好ましく、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、コーパル、ダンマル等が挙げられる。さらに、一部を不均化、二量化、水添して使用することもできるが、(b)α,β−不飽和カルボン酸化合物との反応性を考慮すると、アビエチン酸のような共役二重結合含有化合物を50重量%以上含有していることが望ましい。
さらにα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、桂皮酸、2,4−ヘキサジエノン酸等およびこれらの酸無水物が例示される。(a)樹脂酸との反応性を鑑みると、好ましくはマレイン酸またはその無水物である。
本発明における多価アルコール化合物としては分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であれば特に限定されるものでなく、例えば2価アルコールとして、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等が、分岐状アルキレン2価アルコールである2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が、環状アルキレン2価アルコールである1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS、水添カテコール、水添レゾルシン、水添ハイドロキノン等、さらにポリエチレングリコール(n=2〜20)、ポリプロピレングリコール(n=2〜20)、ポリテトラメチレングリコール(n=2〜20)等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を例示することができる。
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等の直鎖状、分岐状および環状多価アルコールが例示されるカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物としては、特に限定されるものではなく、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基とα,β−不飽和結合を分子内にそれぞれ一つ以上有する化合物であれば良いが、反応制御上、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を分子内に一つ有する化合物が好ましい。
カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基としては、カルボン酸基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、およびこれらの誘導体が挙げられるが、得られる(a)樹脂の(b)活性エネルギー線硬化性化合物への溶解性を考慮すると、カルボン酸基、水酸基およびイソシアネート基が好ましい。カルボン酸基を有するα,β−不飽和化合物の例としては、上記例示のα,β-不飽和カルボン酸と同一の化合物を使用することができる。水酸基を有するα,β−不飽和化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=1〜20)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=1〜20)、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等の化合物が挙げられる。イソシアネート基を有するα,β−不飽和化合物の例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の化合物が挙げられる。
本発明の樹脂は、先ず、樹脂酸とα,β−不飽和カルボン酸とを付加反応させ、次いで多価アルコール化合物と反応させる。反応は、樹脂酸中の共役二重結合とα,β−不飽和カルボン酸中の二重結合とのディールスアルダー付加反応、および樹脂酸またはα,β−不飽和カルボン酸中のカルボン酸と多価アルコール化合物中の水酸基とのエステル化反応の2種が起こり得るものである。樹脂酸とα,β−不飽和カルボン酸との付加反応生成物は多価カルボン酸化合物となるため、多価アルコール化合物とのエステル化反応により高分子化が可能となる。さらに、活性エネルギー線照射時に硬化阻害成分となる樹脂酸中の共役二重結合が付加反応により消滅し、樹脂酸由来による多環構造導入により、乳化特性、高速印刷性、硬化性等の印刷適性と皮膜強度を両立することが可能となるものである。上記付加反応とエステル化反応は、同時に行なっても良いし、どちらかを先に行なっても何ら問題はない。さらに、樹脂酸またはα,β−不飽和カルボン酸に由来する未反応カルボン酸および多価アルコール化合物に由来する未反応水酸基に、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応させることにより本発明の樹脂が得られる。カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応させることにより、活性エネルギー線硬化性のα,β−不飽和二重結合が樹脂中に導入され、硬化性ならびに硬化皮膜強度が向上するものである。
ディールスアルダー付加反応は、温度120℃〜250℃の範囲で好適に行なわれる。樹脂酸の50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%が付加反応に供されていることが好ましい。さらに好ましくは、樹脂酸中に含有される共役二重結合の80〜100モル%が反応に供されていることが好ましい。50モル%未満では、共役二重結合による硬化阻害が起こりやすく、また最終的に得られる樹脂の分子量が大きくなり難く好ましくない。
また、多価アルコール化合物とのエステル化反応は、常法に従って行うことができる。通常150℃から300℃の範囲で行われるが、使用する化合物の沸点および反応性を考慮して決定することができる。また、これらの反応においては、必要に応じて触媒を用いることが可能である。触媒としてはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸等が例示できる。さらに、テトラブチルジルコネート、テトライソブチルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の金属塩触媒等も使用可能である。これら触媒は、全樹脂中0.01〜5重量%の範囲で通常使用される。触媒使用による樹脂の着色を抑制するために、次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィン等を併用することもできる。
上記エステル化反応の際に、必要に応じて一価アルコール化合物および上記α,β−不飽和カルボン酸以外のカルボン酸含有化合物を共に反応させることも可能である。一価アルコール化合物としては、直鎖状アルキル1価アルコールである1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール等を例示することができる。また分岐状アルキル1価アルコールである2−プロピル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、イソノニルアルコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、2,4−ジメチル−1−ヘプタノール、2−ヘプチルウンデカノール等を例示することができる。また環状アルキル1価アルコールであるシクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロペンタンメチロール、ジシクロヘキシルメタノール、トリシクロデカンモノメチロール、ノルボネオール、水添加ロジンアルコール(商品名:アビトール、ハーキュレス(株)社製)等を例示することができる。
α,β−不飽和カルボン酸以外のカルボン酸含有化合物の例としては、一塩基酸として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸、イソクロトン酸、リンデル酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ウンデシレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、ゴンドレン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸等の不飽和脂肪酸、安息香酸、メチル安息香酸、ターシャリーブチル安息香酸、ナフトエ酸、オルトベンゾイル安息香酸等の芳香族一塩基酸が例示される。多塩基酸としては、脂肪族多塩基酸としてシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライ酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸、3−メチルハイミック酸、4−メチルハイミック酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等、およびこれらの無水物が例示される。さらに、天然油脂の脂肪酸、例えば、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、(脱水)ヒマシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、米ヌカ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、菜種油脂肪酸等、および該脂肪酸のダイマー酸、例えば、桐油ダイマー脂肪酸、アマニ油ダイマー脂肪酸等を用いることもできる。
上記樹脂酸、α,β−不飽和カルボン酸および多価アルコール化合物、および必要に応じて一価アルコール化合物およびカルボン酸化合物との反応後、未反応のカルボン酸基もしくは水酸基に、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応させることにより本発明の樹脂が得られる。カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基の種類により、反応条件は適宜選択することができる。官能基が水酸基もしくはカルボン酸基の時には、エステル化反応が起こり得るため、上記記載エステル化条件と同様の方法で行なわれる。また、官能基がイソシアネート基の時には、ウレタン化反応が起こり得り、公知の金属系触媒またはアミン系触媒を使用することが望ましい。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルへキソエート)、2-エチルヘキソエート鉛、チタン酸2-エチルヘキシル、2−エチルヘキソエート鉄、2−エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチル錫等が挙げられ、アミン系触媒としてはテトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。ウレタン化反応は、50〜150℃で行なうのが好ましい。また、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β-不飽和化合物の反応は重合禁止剤の存在下で行なわれることが好ましく、重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、t−ブチルカテコール、4−メトキシ−1−ナフトール、フェノチアジン等が挙げられる。さらに必要に応じて、有機溶剤もしくは活性エネルギー線硬化性化合物の共存下で行なうことができ、活性エネルギー線硬化性化合物の共存下で反応させた際には、樹脂ワニスとして使用することができる。
反応に供される樹脂酸は、全反応化合物中10〜40重量%の範囲が好ましい。10重量%より少ないと、樹脂酸の多環構造に由来する、乳化特性、皮膜強度等の物性が発現し難く好ましくない。また、40重量%を超えると、活性エネルギー線硬化性化合物への溶解性が劣り易く好ましくない。さらに、樹脂酸、α,β−不飽和カルボン酸および多価アルコール化合物、および必要に応じて一価アルコール化合物およびカルボン酸化合物との反応においては、水酸基の総モル数1に対して、カルボン酸基の総モル数が0.5〜2の範囲が反応制御上好ましい。次に反応させるカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物の官能基がカルボン酸基および水酸基のどちらに反応するかに応じて、上記モル比は選択することが好ましい。すなわち、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物の官能基がカルボン酸基と反応する水酸基であるときには上記モル比は1〜2が好ましく、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物の官能基が水酸基と反応するカルボン酸基あるいはイソシアネート基であるときには上記モル比は0.5〜1が好ましい。また、カルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物は、反応により導入されるα,β−不飽和基1個当たりの樹脂の分子量が1000〜20000の範囲になるように反応させることが好ましい。α,β−不飽和基1個当たりの樹脂の分子量が1000より小さいと硬化後の架橋密度が高くなり易く、硬化収縮が起こり易くなり好ましくない。一方、20000を越えるとα,β−不飽和基を導入した効果が得られ難く好ましくない。
上記反応により得られる樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定ポリスチレン換算重量平均分子量3000〜150000、酸価60以下、融点60℃以上が好ましい。上記範囲以外では、印刷インキにした際の乳化適性、転移性、硬化性等が不十分になり易く好ましくない。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、上記α,β−不飽和カルボン酸と樹脂酸とを付加反応させ、次いで多価アルコール化合物を反応させ、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応させた(a)樹脂を10〜40重量%、(b)活性エネルギー線硬化性化合物を30〜75重量%、および(c)顔料を5〜40重量%含有するものである。
本発明における活性エネルギー線硬化性化合物とは、特に限定されるものではなく、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化する化合物であればよく、分子内に不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。活性エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、スチレン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチルピロリドン、アクリロイルモルホリン等の単官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=2〜20)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=2〜20)、アルカン(炭素数4〜12)グリコールジ(メタ)アクリレート、アルカン(炭素数4〜12)グリコールエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジ(メタ)アクリレート、アルカン(炭素数4〜12)グリコールプロピレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジ(メタ)アクリレート等の2官能ビニル化合物、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリ(メタ)アクリレート等の3官能ビニル化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)テトラ(メタ)アクリレート等の4官能ビニル化合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能ビニル化合物およびそれらの混合物が挙げられる。(b)活性エネルギー線硬化性化合物は、要求される硬化被膜物性に応じて適宜選択することが可能であり、必要に応じて、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の活性エネルギー線硬化性オリゴマーを併用することも可能である。
次に、顔料としては、無機顔料および有機顔料を示すことができる。無機顔料としては黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉等が、有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料および複素環式顔料等の公知公用の各種顔料が使用可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、紫外線を使用する場合には光開始剤を添加することが必要である。光重合開始剤としては、光により分子内で結合が開裂して活性種を生成するものと、分子間で水素引き抜き反応を起こして活性種を生成するものの2種類に大別できる。
前者の例として、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン}、4−(2−アクリロイル−オキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系、ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等がある。
後者の例としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等がある。これらの光重合開始剤を一種、または必要に応じて二種以上を併用して良い。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに紫外線を照射して硬化させる場合、光重合開始剤の添加だけでも硬化するが、硬化性をより向上させるために、光増感剤を併用することもできる。かかる光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類がある。
光重合開始剤の配合量は、該印刷インキ中、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。0.01重量%未満では硬化反応が十分に行なわれ難く、20重量部を越えると熱重合反応が起こり易くインキとしての安定性が損なわれ易くなり好ましくない。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、重合禁止剤、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤等の各種添加剤を目的に応じて常法により添加し、使用することもできる。
活性エネルギー線を照射する雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス置換雰囲気が好ましいが、大気中で照射しても硬化性に問題がなければ差し支えない。活性エネルギー線を照射する前に赤外線ヒーター等により活性エネルギー線硬化型組成物層を加温したり、活性エネルギー線を照射後赤外線ヒーター等により活性エネルギー線硬化性平版印刷インキ硬化層を加温することは硬化を速く終了させるために有効である。
本発明の活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波等をいうが、ラジカル性活性種を発生させ得るならばいかなるエネルギー種でも良く、可視光線、赤外線、レーザー光線でもよい。紫外線を発生するものとしては例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、ヘリウム・カドミニウムレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザーなどがある。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、常温から100℃の間で、印刷インキ成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等の練肉、混合、調整機を用いて製造される。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、通常湿し水を使用する平版印刷に適用されるが、湿し水を使用しない水無し印刷にも好適に用いられる。本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用される。さらにオーバーコートワニスとして使用されることもある。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、通常湿し水を使用する平版印刷に適用されるが、湿し水を使用しない水無し印刷にも好適に用いられる。本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用される。さらにオーバーコートワニスとして使用されることもある。
本発明で使用される活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの組成の一例としては、
(a)樹脂 10〜40重量%
(b)活性エネルギー線硬化性化合物 30〜75重量%
(c)顔料(有機顔料・無機顔料) 5〜40重量%
その他(a)樹脂を除く非反応性樹脂 0〜30重量%
光開始剤、光増感剤 0〜15重量%
添加剤 1〜10重量%
が挙げられる。
(a)樹脂 10〜40重量%
(b)活性エネルギー線硬化性化合物 30〜75重量%
(c)顔料(有機顔料・無機顔料) 5〜40重量%
その他(a)樹脂を除く非反応性樹脂 0〜30重量%
光開始剤、光増感剤 0〜15重量%
添加剤 1〜10重量%
が挙げられる。
なお、基材としては、上質紙等の非塗工紙、微塗工紙、アート紙、コート紙、軽量コート紙、キャストコート紙等の塗工紙、白板紙、ボールコート等の板紙、合成紙、アルミ蒸着紙、およびポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシートが挙げられる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本発明中の「部」は重量部を表し、「%」は、重量%を示す。
以下に示す処方により活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ組成物を作成した。
以下に示す処方により活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ組成物を作成した。
〔実施例1〕
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに、中国ロジンX(荒川化学工業社製)131部、無水マレイン酸34部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、170℃で1時間反応させた。その後、安息香酸96部、無水フタル酸77部、トリメチロールプロパン112部、p−トルエンスルホン酸2.5部、キシレン15部を添加し、240℃で10時間脱水縮合した。
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに、中国ロジンX(荒川化学工業社製)131部、無水マレイン酸34部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、170℃で1時間反応させた。その後、安息香酸96部、無水フタル酸77部、トリメチロールプロパン112部、p−トルエンスルホン酸2.5部、キシレン15部を添加し、240℃で10時間脱水縮合した。
さらに、2−ヒドロキプロピルアクリレート50部、4−メトキシフェノール0.5部を添加して、220℃6時間反応させ、酸価21、GPC測定ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)1.9万の樹脂(R1)を得た。
次いで、同様のフラスコに樹脂(R1)30部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート69.9部、ハイドロキノン0.1部を混合し、120℃で加熱溶融しワニス(V1)を得た。
さらに、リオノールブルーFG7330(東洋インキ製造社製藍顔料)20部、ワニス(V1)を60部、トリメチロールプロパンテトラアクリレート14.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、イルガキュア907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)2.5部、ハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し、インキのタックが9〜10になるようにトリメチロールプロパンテトラアクリレートで調整し、平版印刷インキ(C1)を得た。インキのタックは東洋精機社製インコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
〔実施例2〕
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価16、Mw2.3万の樹脂(R2)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V2)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C2)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価16、Mw2.3万の樹脂(R2)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V2)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C2)を得た。
〔実施例3〕
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価15、Mw2.2万の樹脂(R3)を得た。次いで、実施例1と同様の装置に、樹脂(R3)25.2部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート69.9部、ジブチル錫ジラウレート0.1部、ハイドロキノン0.1部を仕込み100℃に昇温、溶解させた中に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート4.8部を10分間で滴下し、さらに100℃で3時間反応させ、ワニス(V3)を得た。さらに、実施例1と同様の操作にて、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C3)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価15、Mw2.2万の樹脂(R3)を得た。次いで、実施例1と同様の装置に、樹脂(R3)25.2部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート69.9部、ジブチル錫ジラウレート0.1部、ハイドロキノン0.1部を仕込み100℃に昇温、溶解させた中に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート4.8部を10分間で滴下し、さらに100℃で3時間反応させ、ワニス(V3)を得た。さらに、実施例1と同様の操作にて、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C3)を得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価20、Mw1.8万の樹脂(R4)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V4)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C4)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価20、Mw1.8万の樹脂(R4)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V4)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C4)を得た。
〔比較例2〕
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価16、Mw2.1万の樹脂(R5)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V5)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C5)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価16、Mw2.1万の樹脂(R5)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V5)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C5)を得た。
〔比較例3〕
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価23、Mw2.2万の樹脂(R6)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V6)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C6)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価23、Mw2.2万の樹脂(R6)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V6)、表3に示す配合組成にて平版印刷インキ(C6)を得た。
実施例及び比較例で得られた平版印刷インキについて、下記の方法で硬化皮膜物性と印刷適正を評価した。
[硬化皮膜物性評価]
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた平版印刷インキを、RIテスター(明製作所製簡易展色装置)を用いて、マリコート紙(北越製紙社製コートボール紙)へ1g/m2の塗布量で印刷し、120W/cmの空冷メタルハライドランプ(東芝社製)1灯を用いて80m/minで紫外線を照射した。紫外線照射後の印刷物の硬化性、耐MEK性、耐摩擦性、耐ブロッキング性を評価した。評価結果を表4に示す。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた平版印刷インキを、RIテスター(明製作所製簡易展色装置)を用いて、マリコート紙(北越製紙社製コートボール紙)へ1g/m2の塗布量で印刷し、120W/cmの空冷メタルハライドランプ(東芝社製)1灯を用いて80m/minで紫外線を照射した。紫外線照射後の印刷物の硬化性、耐MEK性、耐摩擦性、耐ブロッキング性を評価した。評価結果を表4に示す。
硬化性は、印刷面を綿布で擦った時の状態を目視にて4段階で評価した。◎は変化なし、○は一部にキズがみられたが剥離は見られなかった、△は一部(50%未満)に剥離が見られた、×は一部(50%以上)または全部に剥離が見られたことをそれぞれ表す。
耐MEK性は、印刷面をMEKを浸した綿棒で30回擦った時の状態を目視にて4段階で評価した。◎は変化なし、○は一部表面部分に溶解がみられたが剥離は見られなかった、△は一部(50%未満)に剥離が見られた、×は一部(50%以上)または全部に剥離が見られたことをそれぞれ表す。
塗膜の耐摩擦性は、JIS−K5701−1に準じ、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製)を用いて、上質紙を摩擦用紙とし、500g加重で500回往復後の、摩擦面の変化を目視にて4段階で評価した。◎は変化なし、○は一部にキズがみられたが剥離は見られなかった、△は一部(50%未満)に剥離が見られた、×は一部(50%以上)または全部に剥離が見られたことをそれぞれ表す。
耐ブロッキング性は、JIS−K5701−1に準じ、印刷面を向かい合わせて重ねた試験片を、1kg/cm2に加圧し、温度60℃湿度80%RHで24時間放置後、手で引き離した時の抵抗と印刷面の状態を目視にて4段階評価した。◎は引き離す時の抵抗がなく印刷面の変化もない、○は引き離す時の抵抗があるが印刷面の変化はない、または引き離す時の抵抗はないが印刷面の一部(10%未満)に剥離が見られた、△は印刷面の一部(50%未満)に剥離が見られた、×は印刷面の一部(50%以上)または全部に剥離が見られたことをそれぞれ表す。
[印刷適正評価]
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた平版印刷インキを、リスロン226(コモリコーポレーション社製枚葉印刷機)を用いて、三菱特両アート紙斤量90Kg/連(三菱製紙社製)に10,000枚/時で各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態および地汚れを目視にて比較した。湿し水はアストロマークIIIクリア(東洋インキ製造社製)1.5%、イソプロピルアルコール3%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表4に示す。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた平版印刷インキを、リスロン226(コモリコーポレーション社製枚葉印刷機)を用いて、三菱特両アート紙斤量90Kg/連(三菱製紙社製)に10,000枚/時で各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態および地汚れを目視にて比較した。湿し水はアストロマークIIIクリア(東洋インキ製造社製)1.5%、イソプロピルアルコール3%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表4に示す。
表4に示すように、樹脂酸に対して50〜100モル%のα,β−不飽和カルボン酸と樹脂酸とを付加反応させ、次いで多価アルコール化合物を反応させ、さらにカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応せしめた樹脂を10〜40重量%含有する実施例1〜3の平版印刷インキは、紫外線照射による硬化性に優れ、その硬化皮膜は耐MEK性、耐摩擦性、耐ブロッキング性も良好であり、印刷試験におけるベタ着肉状態、地汚れも問題がなかった。特に樹脂酸に対して70〜100モル%のα,β−不飽和カルボン酸と樹脂酸を付加反応させた実施例1〜2の平版印刷インキは全ての特性で優れるものであった。これに対し、樹脂酸に対して50モル%未満のα,β−不飽和カルボン酸で樹脂酸を付加反応させた比較例1、当該樹脂中に樹脂酸を10重量%未満含有する比較例2、およびカルボン酸基もしくは水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽和化合物を反応により硬化性不飽和基が導入されていない比較例3の平版印刷インキは硬化性、耐MEK性、耐摩擦性、耐ブロッキング性、地汚れのいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。
本発明に係わる、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを用いることにより、硬化性、地汚れ耐性等の印刷適正に優れた印刷が可能となり、さらに、耐摩擦性等の皮膜強度が優れた印刷物を得ることが可能となる。包装用パッケージ印刷用途等、広範な印刷用途に利用することが可能である。
Claims (4)
- (a)樹脂、(b)活性エネルギー線硬化性化合物および(c)顔料を含有する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキにおいて、
(a)樹脂が、樹脂酸と樹脂酸に対して50〜100モル%のα,β−不飽和カルボ
ン酸または該無水物とを付加反応させ、
次いで、多価アルコールを反応させ、
さらに、カルボン酸基または水酸基と反応する官能基を有するα,β−不飽 和化合物を反応させて合成したものであり、
(a)樹脂が、インキ全量の10〜40重量%含有され、
(b)活性エネルギー線硬化性化合物が、インキ全量の30〜75重量%含有され、
および
(c)顔料が、インキ全量の5〜40重量%
含有されてなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。 - 樹脂酸が、共役二重結合を有するものであることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
- α,β−不飽和カルボン酸または該無水物が、それぞれマレイン酸または該無水物であ
ることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。 - 請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷し、活性エネルギー線により硬化してなることを特徴とする印刷物。
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