JP6421268B1 - ロジン変性樹脂とその製造方法、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、及び印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロジン酸類(A)およびα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の付加反応物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応物であるロジン変性樹脂であって、
重量平均分子量が10,000以下であるロジン変性樹脂。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1は、ロジン類と、α,β−不飽和カルボン酸との付加反応によって得られる、多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂を開示している。しかし、開示された樹脂は、流動性や光沢性が不十分である傾向がある。
また、特許文献2は、ロジン類と、α,β−不飽和カルボン酸との付加反応によって得られる、多価カルボン酸と、水素添加ビスフェノールを含むポリエステル樹脂を開示している。しかし、開示された樹脂は柔軟な構造をもつ2官能アルコールのみを、アルコールとして含むため、印刷適性が不十分である傾向がある。
このように、活性エネルギー線硬化型バインダー樹脂について、種々の検討が行われているが、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに要求される印刷特性及び印刷被膜特性において十分に満足できるものはなく、さらなる改善が望まれている。
前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
重量平均分子量が3000〜9,900である、ロジン変性樹脂に関する。
ロジン酸類(A)に、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を付加させる反応を行う工程1と、
前記工程1で得た反応混合物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとのエステル化反応を行う工程2と
を含み、
前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
重量平均分子量が3000〜9,900である、ロジン変性樹脂の製造方法に関する。
<ロジン酸類(A)>
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いるロジン酸類(A)とは、環式ジテルペン骨格を有する一塩基酸を指す。ロジン酸、不均化ロジン酸、水添ロジン酸、または前記化合物のアルカリ金属塩等を表し、具体的には、共役二重結合を有するアビエチン酸、およびその共役化合物である、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸や、共役二重結合を有さないピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、及びデヒドロアビエチン酸等が挙げられる。またこれらのロジン酸類(A)を含有する天然樹脂として、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等が挙げられる。
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いるα,β−不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物(B)としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等およびこれらの酸無水物が例示される。ロジン酸類(A)との反応性を鑑みると、好ましくはマレイン酸またはその酸無水物である。
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いる1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ビシクロヘキシルジカルボン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。
1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)は、ロジン酸類(A)、ロジン酸類(A)とα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物、及び、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸のそれぞれにおけるカルボン酸との反応によってエステル結合を形成する。
本発明のロジン変性樹脂は、(1)ロジン酸類(A)と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)との反応、並びに(2)上記(1)の反応で得た反応混合物、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応を経て製造される。
上記(1)の反応は、ロジン酸類(A)中の共役二重結合(ジエン)と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)における二重結合(ジエノフィル)とのディールスアルダー付加反応である。また、上記(2)の反応は、(1)の反応で得た反応混合物、及び、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸におけるカルボキシル基と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールにおける水酸基との間のエステル化反応である。
例えば、ロジン酸類(A)、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールの混合物を用いて、2段階で反応を実施することができる。この場合、最初に、共役系ロジン酸(A)と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とのディールスアルダー付加反応が起こるように反応温度を調整すればよい。より具体的には、最初に、反応温度をディールスアルダー付加反応が進行する温度に制御し、一定時間にわたって維持した後に、エステル化反応が進行する温度まで加熱し反応を実施すればよい。
別法として、ロジン酸類(A)、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を配合し、ディールスアルダー付加反応させた後、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールを配合し、エステル化反応を実施してもよい。
ロジン酸類(A)に、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を付加させる反応を行う工程1と、
前記工程1で得た反応混合物、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとのエステル化反応を行う工程2と
を含み、
ロジン変性樹脂の重量平均分子量が10,000以下であることを特徴とする。
本発明のロジン変性樹脂を使用して、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスを構成することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスを構成するために使用可能な活性エネルギー線硬化型化合物の具体例として、
2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリロイルモルホリン等の単官能活性エネルギー線硬化型化合物、
エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=2〜20)、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=2〜20)、アルカン(炭素数4〜12)グリコールジアクリレート、アルカン(炭素数4〜12)グリコールエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、アルカン(炭素数4〜12)グリコールプロピレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、水添ビスフェノールAジアクリレート、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート等の2官能活性エネルギー線硬化型化合物、
グリセリントリアクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート等の3官能活性エネルギー線硬化型化合物、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート等の4官能活性エネルギー線硬化型化合物、及び
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサアクリレート等の多官能活性エネルギー線硬化型化合物
が挙げられる。活性エネルギー線硬化型化合物として、例示した化合物を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
例えば、ロジン変性樹脂と、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレートと、ハイドロキノンとを、100℃の温度条件下で、加熱溶融して得たワニスを好適に使用することができる。
本発明のロジン変性樹脂を使用して、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを構成することができる。
無機顔料の具体例として、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、及びアルミニウム粉等が挙げられる。
有機顔料の具体例として、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、及びピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、
β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、及びピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、
銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素又は臭素化)銅フタロシアニンブルー、及びスルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、
キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料及び複素環式顔料等が挙げられる。公知公用の各種顔料が使用可能である。
光重合開始剤は、1種を単独で使用しても、必要に応じて2種以上を組合せて使用しても良い。
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、及び4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類が挙げられる。
紫外線を発生するものとしては、例えば、LED、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、ヘリウム・カドミニウムレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、及びアルゴンレーザーなどが挙げられる。
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、東ソー(株)製のゲルパーミネイションクロマトグラフィ(HLC−8320)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。また、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)を3本用いた。測定は、流速0.6mL/分、注入量10μL、及びカラム温度40℃の条件下で行った。
酸価は、中和滴定法によって測定した。具体的には、先ず、ロジン変性樹脂1gをキシレン:エタノール=2:1の質量比で混合した溶媒20mLに溶解させた。次いで、先に調製したロジン変性樹脂の溶液に、指示薬として3質量%のフェノールフタレイン溶液を3mL加えた後に、0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液で中和滴定を行った。酸価の単位は、mgKOH/gである。
原料として使用するロジン酸類をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、全ロジン酸ピーク面積100%に対する、各ピーク面積比(%)を求めた。より具体的には、ロジン酸類中に含まれ、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とディールスアルダー付加反応を起こす共役系ロジン酸と、前記共役系ロジン酸以外との含有比を、それぞれ該当するピーク面積の比から求めた。
ディールスアルダー付加反応の反応液をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、原料として使用した、ロジン酸類(A)、及びα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の検出ピークの減少によって反応の進行を確認した。検出ピークの減少に変化が見られない時点で反応を終了した。
以下に示す実施例及び比較例の処方に従い、ロジン変性樹脂、ワニス、及び活性エネルギー線硬化型平版インキ組成物をそれぞれ調製した。なお、以下に示す処方で使用したガムロジンは、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とディールスアルダー付加反応を起こす共役系ロジン酸の含有量が80質量%であり、前記共役系ロジン酸以外の含有量が20質量%であった。
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン20部と無水マレイン酸5.2部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸37部と、1,2−シクロヘキサンジオール37.8部と、触媒として、p−トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で10時間にわたって脱水縮合反応を行い、樹脂(R1)を得た。樹脂(R1)の酸価は23であり、GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は9,900であった。
次に、上記と同様のフラスコに、上記樹脂(R1)を58部、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレート41.9部、及びハイドロキノン0.1部を入れて混合し、これらを100℃で加熱溶融することでワニス(V1)を得た。
さらに、ワニス(V1)41部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製の藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート22部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート11.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン2.5部、及びハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し混合物を得た。次いで、インキのタックが9〜10になるように、上記混合物トリメチロールプロパントリアクリレートを加えて調整し、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C1)を得た。インキのタックは、東洋精機社製のインコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価28、Mw6,800の樹脂(R2)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V2)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C2)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価45、Mw3,200の樹脂(R3)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V3)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C3)を得た。
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン25部、無水マレイン酸6.5部、4,4’−ビシクロヘキシルジカルボン酸35部、1,2−シクロヘキサンジオール33.5部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.1部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱した。次いで、得られた反応混合物について、230℃で13時間にわたって脱水縮合反応を行い、樹脂(R4)を得た。樹脂(R4)の酸価は31であり、GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は6,500であった。
次に、上記と同様のフラスコに、樹脂(R4)を60部、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレート39.9部、及びハイドロキノン0.1部を入れて混合し、これらを100℃で加熱溶融することでワニス(V4)を得た。
さらに、ワニス(V4)41部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製の藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート22部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート11.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン2.5部、及びハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し混合物を得た。次いで、インキのタックが9〜10になるように、上記混合物にトリメチロールプロパントリアクリレートを加えて調整し、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C4)を得た。インキのタックは、東洋精機社製のインコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価26、Mw7,100の樹脂(R5)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V5)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C5)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価35、Mw5,900の樹脂(R6)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V6)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C6)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価33、Mw6,900の樹脂(R7)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V7)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C7)を得た。
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン25部、4,4’−ビシクロヘキシルジカルボン酸43部、1,4−シクロヘキサンジメタノール32部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.1部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、230℃で10時間にわたって脱水縮合反応を行い、樹脂(RA)を得た。樹脂(RA)の酸価は39であり、GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4,500であった。
次に、上記と同様のフラスコに、樹脂(RA)を62部、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレート37.9部、及びハイドロキノン0.1部を入れて混合し、これらを100℃で加熱溶融することでワニス(VA)を得た。
さらに、ワニス(VA)42部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製の藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート21部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート11.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン2.5部、及びハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し混合物を得た。次いで、インキのタックが9〜10になるように、上記混合物にトリメチロールプロパントリアクリレートを加えて調整し、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(CA)を得た。インキのタックは、東洋精機社製のインコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価20、Mw13,000の樹脂(RB)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(VB)、表3に示す配合組成にて活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(CB)を得た。
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価33、Mw5,200の樹脂(RC)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(VC)、表3に示す配合組成にて活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(CC)を得た。
実施例及び比較例で調製した活性エネルギー線硬化型平版印刷インキについて、下記の方法に従い、印刷被膜適性と印刷適性を評価した。
硬化性は、印刷物の印刷面を綿布で擦った時の状態を目視にて観察し、以下の基準に従い4段階で評価した。使用可能なレベルは、「3」以上である。
4:印刷面の変化なし。
3:印刷面の一部にキズが見られるが、剥離は見られない。
2:印刷面の一部(50%未満)に剥離が見られる。
1:印刷面の一部(50%以上)、又は全部に剥離が見られる。
プルーフバウ展色機を用いて、三菱製紙社製のパールコートにインキを同一濃度に展色し、試験サンプルを作製した。次いで、光沢計グロスメーターモデルGM−26((株)村上色彩技術研究所製)を用いて、試験サンプルの60°光沢値を測定した。得られた光沢値から光沢性を以下の基準に従い、4段階で評価した。光沢値の数値が高い程、光沢が良いことを表す。使用可能なレベルは「2」以上であるが、「3」以上がより好ましい。
4:光沢値が60以上である。
3:光沢値が50以上〜60未満である。
2:光沢値が40以上〜50未満である。
1:光沢値が40未満である。
上記のようにして得たPETフィルム及びPEフィルムへの各印刷物に対し、セロハンテープ剥離試験を行い、密着性を評価した。試験後の印刷物の表面を目視で観察し、密着性を以下の基準に従い、4段階で評価した。使用可能なレベルは「3」以上である。
4:印刷面の変化なし。
3:印刷面の一部(25%未満)に剥離が見られる。
2:印刷面の一部(25%以上、50%未満)に剥離が見られる。
1:印刷面の一部(50%以上)又は全部に剥離が見られる。
<印刷適性の評価>
実施例1〜7、比較例A〜Cで得られた活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを用いて、インキごとに2万枚の印刷試験を行った。印刷試験は、リスロン226(コモリコーポレーション社製の枚葉印刷機)を用いて、三菱特両アート紙斤量90Kg/連(三菱製紙社製)に対して、10,000枚/時の速度で印刷する条件下で実施した。
また、印刷試験では、湿し水として、アストロマークIIIクリア(東洋インキ社製)1.5%と、イソプロピルアルコール3%とを含む水道水を使用した。正常に印刷できる条件範囲の境界付近における印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。なお「水巾の下限」とは、正常な印刷が可能である、湿し水の最低供給量を意味し、「水ダイヤル」とは、上記湿し水の供給量を調整するために、上記印刷機に備えられたダイヤルを意味する。
上記印刷試験で得られた各印刷物について、ベタ着肉状態、及び地汚れを比較したが、実施例1〜7、及び比較例A〜Cのインキを用いた各印刷物の間で顕著な差は見られなかった。
印刷時に印刷機の安全カバーの内側に白紙を張り付け、10000通し後に白紙を取り出し、インキの飛散の程度を、以下の基準に従い、4段階で評価した。使用可能なレベルは「3」以上である。
4:白紙の一部分に微量のインキミストが飛散している。
3:白紙全面に薄くインキミストが飛散している。
2:白紙全面にやや厚くインキミストが飛散している。
1:白紙全面にベッタリとインキミストが飛散している。
より詳細には、実施例1〜7、比較例B〜Cのインキに見られるように、バインダー樹脂として使用されたロジン変性樹脂が、ロジン酸類(A)と、α,β−不飽和カルボン酸無水物(B)とをディールスアルダー付加反応させたものである場合には、硬化性などの印刷被膜の特性において良好な結果が得られた。
一方、比較例Aインキでは、特に硬化性が著しく低下する結果となった。これは、上記比較例Aのインキでは、バインダー樹脂として使用されたロジン変性樹脂は、α,β−不飽和カルボン酸無水物(B)を配合しておらず、ロジン酸中に含まれる共役二重結合が残留することで、硬化阻害が生じると考えられる。
また、比較例Bでは、ミスチング性が低下する結果となった。これは、比較例Bのインキでは、バインダー樹脂として使用されたロジン変性樹脂は、水酸基/カルボキシル基の比率が0.86であり、ロジン変性樹脂の重量平均分子量(Mw)が大きく、印刷機インキロール間で生じたフィラメントが伸張しやすく、ミスト化しやすいことに起因すると考えられる。
さらに、比較例Cでは、PEフィルムへの密着性が低下する結果となった。これは、アルコールとして使用されたネオペンチルグリコールと水素化ビスフェノールAが、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールではなく、ロジン変性樹脂が柔軟性を発現しにくいことに起因すると考えられる。
ここで、実施例5インキでは、2塩基酸(C)の配合量とジオール(D)の配合量の合計が50質量%以下であるために、PEフィルムに対する密着性が他の実施例と比較すると、やや低下する結果であった。また、実施例6インキでは、(C)と(D)の配合量の合計が80質量%を超えており、ロジン酸類(A)の含有量が少なくなるために、ロジン酸類の多環構造に由来する顔料分散性の発現が弱く、その結果、光沢性がやや低下した。
実施例1〜7、比較例A〜Cの中でも、ミスチング性については、特に、ロジン変性樹脂の分子量が小さい実施例2〜7および比較例Cで良好な結果が得られた。これは、バインダーとして使用したロジン変性樹脂の分子量が小さくなることで、印刷機インキロール間で生じたフィラメントが伸張しにくく、ミスト発生が抑制できるためと考えられる。
Claims (5)
- ロジン酸類(A)およびα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の付加反応物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応物であるロジン変性樹脂であって、
前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
重量平均分子量が3000〜9,900であるロジン変性樹脂。 - 請求項1に記載のロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス。
- 請求項1に記載のロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物と、顔料とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
- 請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷してなる印刷物。
- ロジン変性樹脂の製造方法であって、
ロジン酸類(A)に、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を付加させる反応を行う工程1と、
前記工程1で得た反応混合物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとのエステル化反応を行う工程2と
を含み、
前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
重量平均分子量が3000〜9,900である、ロジン変性樹脂の製造方法。
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