JP7163844B2 - 活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、および印刷物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、および印刷物 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、および印刷物に関する。
平版印刷インキは5~100Pa・sの比較的粘度の高いインキである。平版印刷機の機構は、インキが印刷機のインキ壺から複数のローラーを経由して版面の画線部に供給され、湿し水を使用する平版印刷では非画線部に湿し水が供給されることで、湿し水無し平版印刷では非画線部がシリコン層でできておりインキを反発することで、画像が形成される。
特に、湿し水を使用した平版印刷においてはインキと湿し水との乳化バランスが重要であり、適度な乳化特性を有する、高速印刷適性を持ったインキが求められている。インキは乳化量が高過ぎると非画線部にもインキが着肉し易くなり汚れが発生し、乳化量が少ないと絵柄の少ない印刷時には、インキ表面に湿し水が吐き出される為、ロール間のインキ転移や用紙へのインキ転移性が悪くなり、安定して印刷する事が難しくなる。
さらに近年では、印刷時の省人、省力化、自動化、高速化の要求が高まってきており、特に印刷スピードは益々高速化してきている。そして、様々な印刷条件下に於いてトラブルレスで長時間安定して高品位な印刷物が得られるインキが望まれており、インキメーカーでは種々の改良を実施してきている。
一方、活性エネルギー線硬化型インキはアクリルエステル化合物のような活性エネルギー線硬化性を有する不飽和化合物を構成成分として含有しており、活性エネルギー線照射とともに瞬時に硬化し、上記不飽和化合物の3次元架橋による強靭な皮膜を形成する。瞬時に硬化することから、印刷直後に後加工を行うことが出来るため、生産性向上および意匠の保護のため強い皮膜が要求される包装用パッケージ印刷や商業分野におけるフォーム印刷等において、活性エネルギー線硬化型インキが好適に使用されている。
一般に活性エネルギー線硬化型インキは、バインダー樹脂、アクリルエステル化合物のような活性エネルギー線硬化型化合物、顔料、ラジカル重合開始剤、各種添加剤からなる。
さらに、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキにおいては省エネルギー化や印刷速度の高速度化の要求から、高い硬化性が求められている。硬化性を高めるためには、光感度の高いラジカル重合開始剤を使用する方法、ラジカル重合開始剤の配合量を増やす方法、官能基数の多い活性エネルギー線硬化型化合物を使用する方法、バインダー樹脂に活性エネルギー線硬化性官能基を付与する方法などが有効であり、特に光感度の高いラジカル重合開始剤を使用する方法やラジカル重合開始剤の配合量を増やす方法が効果的である。しかし一方で、ラジカル重合開始剤は人体への影響が懸念されるため、使用可能な種類や量が制限されつつあり、ラジカル重合開始剤により高い硬化性を発現させることが困難となっている。
バインダー樹脂に活性エネルギー線硬化性官能基を付与することも硬化性を高めるために有効であるが、バインダー樹脂はインキの印刷適性を付与する役割を担うために、印刷適性を維持したままバインダー樹脂に活性エネルギー線硬化性官能基を付与することは困難である。
このような理由から、硬化性を高めるためには官能基数の多い活性エネルギー線硬化型化合物を使用することが有効であるが、一般に、多官能な活性エネルギー線硬化型化合物は分子量が大きいために粘度が高い。さらに、バインダー樹脂との相溶性が良くないことが多く、バインダー樹脂と活性エネルギー線硬化型化合物の混合物の粘度が著しく増加するため、インキに使用した際に印刷適性が悪化するといった課題が生じてしまう。
硬化性を向上させるための多官能な活性エネルギー線硬化型化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートやジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が使用されるが、これらも上述したような粘度の著しい増加が起こりやすいため、使用する際はバインダー樹脂の選定が重要となる。
活性エネルギー線硬化型平版印刷インキには、硬化性の他にも、乳化適性、地汚れ耐性、といった印刷適性が要求される。印刷適性を発現させるためにはバインダー樹脂を用いることが有効であり、印刷適性と硬化性を両立させるために、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂等が検討されてきた。例えば、特許文献1には飽和ポリエステルをイソシアネート基含有ウレタンアクリレートで変性した樹脂が開示されている。しかしながら、これらの樹脂は直線性の高い構造のため十分なインキ粘弾性が得られ難く、ミスチング性、地汚れ耐性などの印刷適性を損ない易い。特許文献2には、ロジン誘導体多価カルボン酸を必須成分として含む水酸基過剰のポリエステル化合物とアクリル酸もしくはメタクリル酸を反応せしめた樹脂が開示されているが、ロジン誘導体多価カルボン酸の特定が十分ではなく、共役二重結合の残存量が多いときには硬化阻害を引き起こし易く、硬化性、印刷皮膜強度が不十分になるという問題が生じ易い。特許文献3には樹脂酸とα、β-不飽和カルボン酸を付加反応させて得られる多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂が開示されているが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性の点から、インキ中に配合できる量に制限があるため、流動性や光沢の劣化が課題であった。
特開2001-348516号公報 特開平2-51516号公報 特開2010-070742号公報
本発明の目的は、印刷適性と印刷皮膜強度を両立する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキおよびその印刷物を提供することである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキのバインダー樹脂として、特定のアルキレングリコールを構成成分として含み、特定のn-ヘキサントレランス値を持つロジン変性ポリエステル樹脂を使用することにより、多官能な活性エネルギー線硬化型化合物との相溶性が改善し、インキの流動性と硬化性の両立が可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも樹脂酸(A)と、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)と、ポリアルキレングリコール系化合物(C)との反応物である活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂であって、
ポリアルキレングリコール系化合物(C)の平均分子量が135以上であり、
n-ヘキサントレランス値が2.00以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂に関する。
また、本発明は、重量平均分子量が5,000~200,000であることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂に関する。
また、本発明は、酸価が5~90mgKOH/gであることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂に関する。
また、本発明は、上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関する。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型化合物として、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含むことを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関する。
また、本発明は、上記の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷し、活性エネルギー線により硬化してなる印刷物に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性が良化し、インキの粘度上昇を抑制することが可能となった。結果、本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を使用することで、印刷適性と硬化性を両立する活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを提供することができた。
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂は、少なくとも樹脂酸(A)と、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)と、平均分子量が135以上のポリアルキレングリコール系化合物(C)から構成される。
<樹脂酸(A)>
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るために用いる樹脂酸(A)としては、天然樹脂中に含有される遊離またはエステルとして存在する有機酸であれば特に限定されるものではない。例として、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d-ピマル酸、イソ-d-ピマル酸、ポドカルプ酸、アガテンジカルボン酸、ダンマロール酸、ケイ皮酸、p-オキシケイ皮酸等が挙げられ、単独または複数種類組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂酸(A)を含有する天然樹脂の形態で使用することが取扱い上好ましく、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、コーパル、ダンマル等が挙げられる。さらに、一部を不均化、二量化、水素添加して使用することもできるが、α、β-不飽和カルボン酸との反応性を考慮すると、アビエチン酸のような共役二重結合含有化合物を50質量%以上含有していることが望ましい。
<α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)>
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るために用いるα、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)としては、例として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、桂皮酸、2,4-ヘキサジエノン酸等およびこれらの酸無水物が挙げられ、単独または複数種類組み合わせて使用してもよい。樹脂酸(A)との反応性を鑑みると、好ましくはマレイン酸またはその酸無水物である。
<ポリアルキレングリコール系化合物(C)>
本発明におけるロジン変性ポリエステル樹脂を得るために用いるポリアルキレングリコール系化合物(C)とは、分子内に[-O-(Cm2mO)n-]で表される構造(mおよびnは、それぞれ独立に2以上の整数を表す。)と1つ以上の水酸基とを持つ化合物であり、平均分子量が135以上であることが特徴である。
また、ポリアルキレングリコール系化合物(C)の平均分子量は、150以上であることが好ましく、180以上であることがより好ましい。
さらに、ポリアルキレングリコール系化合物(C)の平均分子量は、20000以下であることが好ましく、12000以下であることがより好ましく、5000以下であることが特に好ましい。
平均分子量が135以上であることで樹脂内に取り込まれる顔料吸着性の高い樹脂酸(A)間の分子内距離が適度に離れ、ロジン変性ポリエステル樹脂としての顔料への濡れ性が向上することで流動性や印刷適性が良化する。さらに、ポリアルキレングリコール系化合物(C)を樹脂中に組み込むことにより、ロジン変性ポリエステル樹脂の極性を制御することが可能となり、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性が良化する。
ここで、ポリアルキレングリコール系化合物(C)の平均分子量は、水酸基価より以下の計算式に従って計算した値である。

平均分子量=(56.1×平均官能基数×1000)/水酸基価

なお、水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K1557に準拠した方法にて測定し得られた値を用いる。
ここで、ポリアルキレングリコール系化合物(C)におけるポリとは、アルキレングリコール単位が2つ以上結合していることを意味し、例えばアルキレングリコール単位が2つ結合しているジアルキレングリコール、同じく3つ結合しているトリアルキレングリコール、同じく4つ結合しているテトラアルキレングリコールは、いずれもポリアルキレングリコール系化合物であり、平均分子量が135以上であれば、結合数に特に制限はない。
また、これらのアルキレングリコール系化合物(C)は単独または複数組み合わせて用いることもでき、さらには、誘導体やアルキレングリコール同士のランダム重合体、ブロック重合体も使用することができる。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物(C)をさらに具体的に例示すると、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリブチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリブチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリブチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノシクロヘキシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノシクロヘキシルエーテル、ポリブチレングリコールモノシクロヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノオクチルエーテル、ポリブチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノデシルエーテル、ポリブチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノドデシルエーテル、ポリブチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノノナデシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノノナデシルエーテル、ポリブチレングリコールモノノナデシルエーテルなどのポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、
ポリエチレングリコールモノベンジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノベンジルエーテル、ポリブチレングリコールモノベンジルエーテルなどのポリアルキレングリコールモノベンジルエーテル類、
ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリブチレングリコールグリセリルエーテル、ポリエチレングリコールソルビット、ポリプロピレングリコールソルビット、ポリブチレングリコールソルビットなどのポリアルキレングリコールポリエーテル類が挙げられる。
本発明に用いるポリアルキレングリコール系化合物(C)の配合量には特に制限はないが、印刷適性の観点からロジン変性ポリエステル樹脂を構成する成分全量中、ポリアルキレングリコール系化合物(C)が0.5~50質量%であることが好ましい。0.5質量%以上であることでジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性が良化し、50質量%以下であることで適切な乳化適性を発現させることができる。また、ポリアルキレングリコール系化合物(C)の配合量は、ロジン変性ポリエステル樹脂を構成する成分全量中1~30質量%であることがより好ましく、1.5~25質量%であることが特に好ましい。
さらに、本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るために後述するような他の成分を併用してもよい。これらの成分は合成時の反応コントロールや樹脂物性の調整のために用いることができる。
<ポリオール(D)>
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るために、ポリオール(D)を併用することが好ましい。本発明のポリオール(D)とは、分子内に2つ以上の水酸基を持ち、かつ、前述のポリアルキレングリコール系化合物(C)に含まれない化合物を指す。
ポリオール(D)を例示すると、特に限定されないが、2価アルコールとしては、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール等が、
分岐状アルキレン2価アルコールである2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等が、
環状アルキレン2価アルコールである1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールS、水素添加カテコール、水素添加レゾルシン、水素添加ハイドロキノン等が挙げられる。
また、平均分子量135未満のポリアルキレングリコールである、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールもポリオール(D)に該当する。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ-ルプロパン、ジペンタエリスリト-ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等の直鎖状、分岐状および環状多価アルコール等が挙げられる。これらのポリオール(D)は単独または複数種類組み合わせて使用することができる。
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るためのポリオール(D)の配合量に特に制限はないが、ロジン変性ポリエステル樹脂を構成する成分全量中、0~50質量%であることが好ましい。
<一塩基酸(E)>
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るために、一塩基酸(E)を併用することも好ましい。本発明の一塩基酸(E)としては、上述した樹脂酸(A)以外のものであれば特に制限はない。
一塩基酸(E)としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸、イソクロトン酸、リンデル酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ウンデシレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、ゴンドレン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸等の不飽和脂肪酸、安息香酸、メチル安息香酸、ターシャリーブチル安息香酸、ナフトエ酸、オルトベンゾイル安息香酸等の芳香族一塩基酸等が挙げられ、単独または複数種類組み合わせて用いることができる。
一塩基酸(E)は、流動性の観点から、安息香酸、メチル安息香酸、ターシャリーブチル安息香酸、ナフトエ酸、オルトベンゾイル安息香酸等の芳香族一塩基酸を用いることが好ましい。
<その他の多塩基酸またはその酸無水物(F)>
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得るために、その他の多塩基酸またはその酸無水物(F)を併用してもよい。その他の多塩基酸またはその酸無水物(F)としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライ酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3-メチルヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸、3-メチルハイミック酸、4-メチルハイミック酸等、またはその無水物が例示される。さらに、天然油脂の脂肪酸、例えば、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、(脱水)ヒマシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、米ヌカ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、菜種油脂肪酸等のダイマー酸を用いることもできる。これらは単独または複数種類組み合わせて用いることができる。
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂のn-ヘキサントレランス値は、2.00以下であることが好ましい。n-ヘキサントレランス値とは樹脂極性を比較する指標であり、n-ヘキサントレランス値が大きいと樹脂はより疎水性であり、小さいとより親水性であることを示す。n-ヘキサントレランス値が2.00以下であるとジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性が良好である。本発明のロジン変性ポリステル樹脂のn-ヘキサントレランス値は、0.50~2.00であることが好ましく、より好ましくは0.70~1.90である。n-ヘキサントレランス値が0.5以上であると、過乳化が十分に抑えられ、印刷適性が特に良好となる。
n-ヘキサントレランス値の測定方法について説明する。まず、三角フラスコにスターラーチップを入れ、その中に樹脂3g程度およびテトラヒドロフランを樹脂質量の2倍量(樹脂3.00gであればテトラヒドロフラン6.00g)を加える。次に、スターラーで撹拌させ樹脂をテトラヒドロフランに溶解させて樹脂溶液を得る。その後、得られた樹脂溶液を撹拌しながら、樹脂溶液が濁るまでn-ヘキサンを滴下する。滴下したn-ヘキサン質量から以下の式に従い、n-ヘキサントレランス値を計算する。

n-ヘキサントレランス値 = 滴下したn-ヘキサン質量(g) ÷ 樹脂質量(g)

たとえば、樹脂3.00gに対し、n-ヘキサン滴下量が3.60gであれば、n-ヘキサントレランス値は1.20となる。なお、溶解させるテトラヒドロフラン質量が樹脂質量に対し2倍量ではないとn-ヘキサントレランス値は大きく変化してしまうため、溶解させるテトラヒドロフラン質量の許容される誤差は±1%以内とする。この範囲であればテトラヒドロフラン質量が変動してもn-ヘキサントレランス値には影響はない。
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得る方法に特に限定はなく、一般的な合成方法にて得られることができる。 本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を得る方法として、例えば、まず樹脂酸(A)と、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)とを反応させ、次いでポリアルキレングリコール系化合物(C)とを反応させることで得ることができる。なお、樹脂酸(A)と、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)の反応は、樹脂酸中の共役二重結合とα、β-不飽和カルボン酸中の二重結合とのディールスアルダー付加反応であり、次ぐポリアルキレングリコール系化合物(C)との反応は、カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応である。先に述べたポリオール(D)、一塩基酸(E)、その他の多塩基酸またはその酸無水物(F)もエステル化反応によってロジン変性ポリエステル樹脂に組み込むことができる。
ディールスアルダー付加反応とエステル化反応はどちらを先に行っても構わないし、同時に反応を進行させても構わない。また、各構成成分を投入する順番も適宜自由に選択して構わない。
樹脂酸(A)とα、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)との付加反応生成物は多価カルボン酸化合物となるため、ポリアルキレングリコール系化合物(C)とのエステル化反応により高分子化が可能となる。さらに、活性エネルギー線照射時に硬化阻害成分となる樹脂酸中の共役二重結合が付加反応により消滅し、樹脂酸由来による多環構造導入により、乳化特性、高速印刷性、硬化性等の印刷適性と皮膜強度を両立することが可能となるものである。
ディールスアルダー反応の条件は、特に限定されず常法に従って行うことができる。反応温度は80℃から200℃の範囲が好ましいが、使用する化合物の沸点および反応性を考慮して決定することができる。重合禁止剤の存在下で行なっても良く、例として、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、t-ブチルカテコール、4-メトキシ-1-ナフトール、フェノチアジン等が挙げられる。
エステル化反応の条件は、特に限定されず常法に従って行うことができる。反応温度は180℃から300℃の範囲が好ましいが、使用する化合物の沸点および反応性を考慮して決定することができる。また、必要に応じて触媒を用いることが可能である。触媒としてはベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸等が例示できる。さらに、テトラブチルジルコネート、テトライソブチルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の金属塩触媒等も使用可能である。これら触媒は、全樹脂組成成分に対して、0.01~5質量%の範囲で通常使用される。触媒使用による樹脂の着色を抑制するために、次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィン等を併用することもできる。
上記(A)~(C)、および必要に応じ(D)~(F)は、同時に配合することもできるし、段階的に配合することもできる。例えば、樹脂酸(A)、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)、ポリアルキレングリコール系化合物(C)、必要に応じてポリオール(D)、一塩基酸(E)、その他の多塩基酸またはその無水物(F)を同時に配合し、反応させることもできるし、樹脂酸(A)とα、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)を配合し、反応させ、次いで、ポリアルキレングリコール系化合物(C)、必要に応じてポリオール(D)、一塩基酸(E)、その他の多塩基酸またはその酸無水物(F)を配合して反応させてもよい。同時に配合する場合は、はじめに樹脂酸(A)と、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)とのディールスアルダー付加反応が起こるように反応温度を調整すればよい。
α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)の配合量は、樹脂酸(A)全量に対して、15質量%を超えることが好ましく、16~200質量%用いることがより好ましい。上記範囲内であると、硬化性および流動性に優れる。
さらに、一塩基酸(E)は、ロジン変性ポリエステル樹脂を構成する成分全量中、1~50質量%用いることが好ましい。1質量%以上であると合成中のゲル化のリスクが下がり、50質量%以下であると樹脂の重量平均分子量の制御が容易である。
上記製造方法より得られるロジン変性ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量5,000~200,000であることが好ましく、より好ましくは5,000~100,000であり、7,000~50,000であることがさらに好ましい。樹脂の酸価は5~90mgKOH/gであることが好ましく、10~70mgKOH/gであることがさらに好ましい。また、樹脂の融点は40℃以上が好ましい。上記範囲内であると、印刷インキにした際の乳化適性、転移性、硬化性に優れる。
<活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ>
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を使用して、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを構成することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、本発明のロジン変性ポリエステル樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含む。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、着色インキとする場合には顔料を含むが、顔料を使用しない場合には、クリアインキまたはオーバーコートワニスとして用いることができる。このため、顔料を使用することを限定するものではない。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を10~40質量%、活性エネルギー線硬化型化合物を30~75質量%、および顔料を0~40質量%含有するものであることが好ましい。ここで、本発明のロジン変性ポリエステル樹脂、および活性エネルギー線硬化型化合物は、予めワニスの形態に調製して使用してもよい。
本発明における活性エネルギー線硬化型化合物とは、分子内にアクリル基を有する化合物である。
具体的には、2-エチルヘキシルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリロイルモルホリン等の単官能活性エネルギー線硬化型化合物、
エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=2~20)、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=2~20)、アルキレン(炭素数4~12)グリコールジアクリレート、アルキレン(炭素数4~12)グリコールエチレンオキサイド付加物(2~20モル)ジアクリレート、アルキレン(炭素数4~12)グリコールプロピレンオキサイド付加物(2~20モル)ジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2~20モル)ジアクリレート、水素添加ビスフェノールAジアクリレート、水素添加ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2~20モル)ジアクリレート等の2官能活性エネルギー線硬化型化合物、
グリセリントリアクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物(3~30モル)トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物(3~30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3~30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(3~30モル)トリアクリレート等の3官能活性エネルギー線硬化型化合物、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(4~40モル)テトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(4~40モル)テトラアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(4~40モル)テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(4~40モル)テトラアクリレート等の4官能活性エネルギー線硬化型化合物、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(5~50モル)ペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(5~50モル)ペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(6~60モル)ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(6~60モル)ヘキサアクリレート等の多官能活性エネルギー線硬化型化合物、
およびそれらの混合物が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型化合物としては、要求される硬化皮膜物性に応じて適宜選択することが可能であり、上記の例示した化合物に加え、必要に応じて、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマーを併用することも可能である。
活性エネルギー線硬化型化合物としては、硬化性の観点から、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ全量中にジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが合計5~50質量%含有されることが好ましく、10~45質量%含有されることがより好ましく、15~40質量%含有されることがさらに好ましい。
本発明のロジン変性ポリエステル樹脂、および活性エネルギー線硬化型化合物を、予めワニスの形態に調製して使用する場合には、本発明のロジン変性ポリエステル樹脂を20~70質量%と、活性エネルギー線硬化型化合物を30~80質量%とを含有するように調整することが好ましい。また、ワニスは、上記成分に加えて、さらに後述する光重合禁止剤等の添加剤を含んでもよい。ワニスは、例えば、常温から160℃の間の温度条件下で、上記成分を混合することで製造することができる。
次に、使用することのできる顔料としては、無機顔料および有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉等が挙げられ、
有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料および複素環式顔料等の公知公用の各種顔料が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、紫外線を使用する場合には光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、光により分子内で結合が開裂して活性種を生成するものと、分子間で水素引き抜き反応を起こして活性種を生成するものの2種類に大別できる。なお、活性エネルギー線として電子線等を使用する場合には、光重合開始剤は不要である。
光により分子内で結合が開裂して活性種を生成するものとしては、例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジエトキシアセトフェノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン}、4-[(2-アクリロイル)オキシエトキシ]フェニル-2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等がある。
分子間で水素引き抜き反応を起こして活性種を生成するものとしては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等がある。
これらの光重合開始剤を一種、または必要に応じて二種以上を併用して良い。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに紫外線を照射して硬化させる場合、光重合開始剤の添加だけでも硬化するが、硬化性をより向上させるために、光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2-ジメチルアミノ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のアミン類がある。
活性エネルギー線として紫外線を使用する場合に、光重合開始剤の配合量は、該印刷インキ中、0.01~15質量%、好ましくは0.05~10質量%である。0.01質量%未満では硬化反応が十分に行なわれ難く、15質量%を越えると熱重合反応が起こり易くインキとしての安定性が損なわれ易くなり好ましくない。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、重合禁止剤を添加することができる。
光重合禁止剤の具体例としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、およびシクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。特に限定するものではないが、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノンからなる群から選択される1種以上の化合物を使用することが好ましい。
光重合禁止剤を添加する場合、硬化性を阻害しない観点から、その配合量は、インキの全質量を基準として、3質量%以下にすることが好ましく、0.01~1質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤等の各種添加剤を添加することもできる。
活性エネルギー線を照射する雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス置換雰囲気が好ましいが、大気中で照射しても硬化性に問題がなければ差し支えない。活性エネルギー線を照射する前に赤外線ヒーター等により活性エネルギー線硬化型組成物層を加温したり、活性エネルギー線を照射後赤外線ヒーター等により活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ硬化層を加温することは硬化を速く終了させるために有効である。
本発明の活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線、マイクロ波、高周波等をいうが、ラジカル性活性種を発生させ得るならばいかなるエネルギー種でも良く、可視光線、赤外線、レーザー光線でもよい。具体的には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、ヘリウム・カドミウムレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザー、LED(発光ダイオード)などがある。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、常温から100℃の間で、上記の印刷インキ成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等の練肉、混合、調整機を用いて製造される。インキを製造するためにロジン変性ポリエステル樹脂を添加するには、ロジン変性ポリエステル樹脂そのものの形態で添加してもよいし、ワニスの形態で添加してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、通常湿し水を使用する平版オフセット印刷に適用されるが、湿し水を使用しない水無し平版印刷にも好適に用いられる。本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用される。さらにオーバーコートワニスとして使用されることもある。
本発明で使用される活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの組成の一例としては、
樹脂 10~40質量%
活性エネルギー線硬化型化合物 30~75質量%
顔料(有機顔料・無機顔料) 0~40質量%
光重合開始剤 0~15質量%
その他の成分 1~15質量%
が挙げられる。
なお、基材としては、上質紙等の非塗工紙、微塗工紙、アート紙、コート紙、軽量コート紙、キャストコート紙等の塗工紙、白板紙、ボールコート等の板紙、合成紙、アルミ蒸着紙、およびポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシートが挙げられる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本発明中の「部」は質量部を表し、「%」は、質量%を示す。
本発明において、重量平均分子量は、東ソー製ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(HLC-8320)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM-M(東ソー製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
本発明において、酸価は中和滴定法によって測定した。測定方法としては、ロジン変性ポリエステル樹脂1gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させた。その後、指示薬として3質量%のフェノールフタレイン溶液を3ml加え、0.1mol/lのエタノール性水酸化カリウム溶液で中和滴定した。単位はmgKOH/gである。
本発明において、n-ヘキサントレランス値は下記の方法によって測定した。具体的には、100ml三角フラスコにスターラーチップを入れ、さらに得られたロジン変性ポリステル樹脂3.00g、テトラヒドロフラン6.00gを入れ、スターラーでよく撹拌しロジン変性ポリエステル樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ樹脂溶液を得た。その後、撹拌を続けながら樹脂溶液が濁る(樹脂が析出する)までn-ヘキサンを1滴ずつ加えていき、加えたn-ヘキサン質量から以下の式に従ってn-ヘキサントレランス値を算出した。

n-ヘキサントレランス値 = 滴下したn-ヘキサン質量(g) ÷ 樹脂質量(g)
本発明において、樹脂の融点は融点測定装置M-565(BUCHI社製)を用いて測定した。キャピラリーに細かく粉砕した樹脂10mgを密に詰め、25℃から150℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、閾値60%を超えたときの温度を融点とした。
本発明において、ディールスアルダー付加反応の進行は、ガスクロマトグラフ質量分析により、α,β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)の検出ピークの減少により確認した。
以下に示す処方により、ロジン変性ポリエステル樹脂および活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ組成物を作製した。
<実施例用樹脂合成例> 樹脂A1の合成
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに、ガムロジン25部、無水マレイン酸10部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間加熱した。
その後、安息香酸14.5部、PEG#1000(日油社製、ポリエチレングリコール、平均分子量1000)0.5部、グリセリン25部、ペンタエリスリトール25部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.03部を添加し、230℃で14時間脱水縮合し、酸価5mgKOH/g、GPC測定ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)200,000、樹脂融点90℃の樹脂A1を得た。樹脂A1のn-ヘキサントレランス値は2.00であった。結果を表1に示す。
<実施例用ワニス作製例> ワニスA1の作製
攪拌機、還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに得られた樹脂A1を40部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート30部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート29.8部、t-ブチルヒドロキノン0.2部を混合し、100℃で加熱溶融しワニスA1を得た。
<ワニス流動性の評価>
得られたワニスA1を室温まで冷やし、粘度・粘弾性測定装置HAAKE RheoStress 6000(Thermo Fisher社製)でコーンプレートセンサーを用い、フローカーブモードによる測定方法に従って粘度を測定した。ずり速度100/sの時の粘度から、以下の基準でワニス流動性を評価した。
〇:粘度600Pa・s未満
△:粘度600Pa・s以上、900Pa・s未満
×:粘度900Pa・s以上(もしくは測定不可能)
使用可能なレベルは〇である。
結果を表2に示す。
<実施例用インキ作製例> インキA1の作製
得られたワニスA1を63部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート13.9部、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン1.5部、2-メチル-2-モノホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン1.5部、t-ブチルヒドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し、インキのタックが9~10になるようにトリメチロールプロパントリアクリレートで調整し、平版印刷インキA1を得た。
インキのタックは東洋精機社製インコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
<実施例用樹脂合成例> 樹脂A2~A13の合成
樹脂A1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で樹脂A2~A13を得た。酸価、Mw、融点、n-ヘキサントレランス値の結果を表1に示す。
<実施例用ワニス作製例> ワニスA2~A16の作製
ワニスA1と同様の操作にて、表2に示す配合組成でワニスA2~A16を得た。ワニス流動性の結果を表2に示す。
<実施例用インキ作製例> インキA2~A16の作製
インキA1と同様の操作にて、表3に示す配合組成でインキA2~A16を得た。
<比較例用樹脂合成例> 樹脂B1の合成
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに、ガムロジン25部、無水マレイン酸7部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間加熱した。
その後、安息香酸40部、ペンタエリスリトール23部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部を添加し、230℃で14時間脱水縮合し、酸価29mgKOH/g、GPC測定ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)23,000、樹脂融点90℃の樹脂B1を得た。樹脂B1のn-ヘキサントレランス値は2.20であった。結果を表1に示す。
<比較例用ワニス作製例> ワニスB1の作製
攪拌機、還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに得られた樹脂B1を40部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート10部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート49.9部、t-ブチルヒドロキノン0.1部を混合し、100℃で加熱溶融しワニスB1を得た。また、ワニス流動性の評価をワニスA1と同様にして行った。結果を表2に示す。
<比較例用インキ作製例> インキB1の作製
得られたワニスB1を63部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート13.9部、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン1.5部、2-メチル-2-モノホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン1.5部、t-ブチルヒドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し、インキのタックが9~10になるようにトリメチロールプロパントリアクリレートで調整し、平版印刷インキB1を得た。
インキのタックは東洋精機社製インコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
<比較例用樹脂合成例> 樹脂B2~B6の合成
樹脂B1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で樹脂B2~B6を得た。酸価、Mw、融点、n-ヘキサントレランス値の結果を表1に示す。
<比較例用ワニス作製例> ワニスB2~B6の作製
ワニスB1と同様の操作にて、表2に示す配合組成でワニスB2~B6を得た。ワニス流動性の結果を表2に示す。
<比較例用インキ作製例> インキB2~B6の作製
インキB1と同様の操作にて、表3に示す配合組成でインキB2~B6を得た。
Figure 0007163844000001
Figure 0007163844000002
Figure 0007163844000003
Figure 0007163844000004
Figure 0007163844000005
ワニス流動性はワニスB1、ワニスB2およびワニスB6以外は良好であった。これは、樹脂B1、樹脂B2および樹脂B6のn-ヘキサントレランス値が不適切なため、樹脂とジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性が悪いためであると考えられる。
実施例および比較例で得られた平版印刷インキについて、下記の方法で硬化皮膜物性と印刷適性を評価した。
<防汚れ性評価>
平版印刷インキA1~A16およびB1~B6を、リスロン226(コモリコーポレーション社製枚葉印刷機)を用いて、三菱特菱アート紙斤量90Kg/連(三菱製紙社製)に10,000枚/時で各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態および地汚れを目視にて確認した。刷り出し時、印刷物の地汚れが発生しなくなるまでの損紙枚数から、防汚れ性を評価した。評価基準を以下に示す。
◎:損紙枚数500枚未満
〇:損紙枚数1000枚以上、1500枚未満
△:損紙枚数1500枚以上、2000枚未満
×:損紙枚数2000枚以上
使用可能なレベルは〇以上である。
なお、湿し水はアストロマークIIIクリア(東洋インキ社製)1.5%、イソプロピルアルコール3%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表4に示す。
<硬化皮膜物性評価>
平版印刷インキA1~A16およびB1~B6を、RIテスター(明製作所製簡易展色装置)を用いて、マリコート紙(北越製紙社製コートボール紙)へ1g/m2の塗布量で印刷し、120W/cmの空冷メタルハライドランプ(東芝社製)1灯を用いて60m/minで紫外線を照射した。
紫外線照射後の印刷物の硬化性、耐MEK性、耐摩擦性、流動性を評価した。各評価結果を表4に示す。
硬化性は、印刷面を綿布で擦った時の状態を目視にて4段階で評価した。評価基準を以下に示す。◎:変化なし
○:一部にキズがみられたが剥離は見られなかった
△:一部(50%未満)に剥離が見られた
×:一部(50%以上)または全部に剥離が見られた
使用可能なレベルは〇以上である。
耐MEK性は、印刷面をMEKを浸した綿棒で30回擦った時の状態を目視にて4段階で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:変化なし
○:一部表面部分に溶解がみられたが剥離は見られなかった
△:一部(50%未満)に剥離が見られた
×:一部(50%以上)または全部に剥離が見られた
使用可能なレベルは〇以上である。
塗膜の耐摩擦性は、JIS-K5701-1に準じ、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製)を用いて、上質紙を摩擦用紙とし、500g加重で500回往復後の、摩擦面の変化を目視にて4段階で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:変化なし
○:一部にキズがみられたが剥離は見られなかった
△:一部(50%未満)に剥離が見られた
×:一部(50%以上)または全部に剥離が見られた
使用可能なレベルは〇以上である。
<流動性の評価>
平版印刷インキA1~A16およびB1~B6を60°に傾けた傾斜板の上にインキを垂らし10分間で流れた長さを測定し、4段階で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:30mm以上
〇:20mm以上、30mm以下
△:10mm以上、20mm以下
×:10mm以下
使用可能なレベルは〇以上である。
Figure 0007163844000006
防汚れ性は実施例1~3、7~10、12~16において特に良好な結果となった。これは、適切な配合量の原料から得られ、適切なn-ヘキサントレランス値を持つロジン変性ポリエステル樹脂を使用したことで、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキが印刷に適した極性を持ったためと考えられる。
表4に示すように、比較例3、4以外の硬化性は良好であった。しかし、比較例3は、樹脂組成中にα、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)が配合されておらず、樹脂酸(A)とのディールスアルダー反応骨格が形成されていないことから、共役二重結合の残存量が多く、硬化阻害を引き起こし、硬化不良が生じたと考えられる。比較例4は、樹脂組成中に樹脂酸(A)が配合されておらず、樹脂の剛直性に劣り、硬化不良が生じたと考えられる。
耐MEK性、耐摩擦性は樹脂の分子量が大きく、インキ中のジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート配合量が多い実施例1~6、9~14が特に良好であった。これは、分子量が大きくなることやジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート配合量が多くなることで皮膜強度が増すためと考えられる。
流動性は比較例1、2および5、6以外は良好であった。比較例1、2および6は樹脂のn-ヘキサントレランス値が不適切なため、樹脂とジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの相溶性が悪く、ワニスおよびインキでの流動性が悪化したと考えられる。また比較例5では、樹脂のn-ヘキサントレランス値は適正であったため、ワニスの流動性は良好であったにもかかわらず、樹脂と顔料との濡れ性が悪いために、インキの流動性が悪化したと考えられる。

Claims (6)

  1. 少なくとも樹脂酸(A)と、α、β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)と、ポリアルキレングリコール系化合物(C)との反応物である活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂であって、
    ポリアルキレングリコール系化合物(C)の平均分子量が135以上であり、
    n-ヘキサントレランス値が2.00以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂。
  2. 重量平均分子量が5,000~200,000であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂。
  3. 酸価が5~90mgKOH/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂。
  4. 請求項1~3いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ロジン変性ポリエステル樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
  5. 活性エネルギー線硬化型化合物が、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含むことを特徴とする請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
  6. 請求項4または5に記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷し、活性エネルギー線により硬化してなる印刷物。
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