JP2006182012A - 印画物及び印画物の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の印画物1は、基材2上に受容層3を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して、該受容層3に昇華性染料による熱転写画像5を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像5の少なくとも一部分の上に、保護層4を熱転写して設け、その後に該保護層4の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成したものである。
【選択図】 図1
Description
(基材)
印画物の基材2は、受容層を保持するという役割を有するとともに、画像形成時に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが、望ましい。このような基材の材料は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートが使用でき、特に限定されない。
本発明の印画物に使用される受容層3は、一般に熱可塑性樹脂を主体として構成される。受容層を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアクリルエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィン樹脂と他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、中でも特に好ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物である。その中でも、例えば、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂等の如く熱時接着性の良好な樹脂が好ましい。
(基材)
本発明の保護層熱転写シートに用いられている基材11としては、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材をそのまま用いることができるとともに、シートの表面に易接着処理がしてあるものや、その他のものも使用することができ、特に制限はされない。
基材上には、その上に形成する保護層の転写性を適当にする離型層12を設けることができる。離型層を形成する樹脂としては、従来公知の離型性に優れた樹脂がいずれも使用でき、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂および熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂などが挙げられる。これらの離型性樹脂は単独でも混合物としても使用できる。
保護層4、13を形成するための樹脂としては、従来公知の各種耐久性および透明性に優れた樹脂はいずれも使用可能である。例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80〜120℃のものが好ましく用いられる。また、上記の熱可塑性樹脂は単独で、あるいは混合して使用することができる。ガラス転移温度が80℃未満の熱可塑性樹脂であると、エンボス版による型押し処理の際に、エンボス版に保護層が融着しやすく、また印画物の高温保存時に熱転写画像の滲みが発生しやすくなる。
本発明では、前記保護層が十分な接着性を有する場合には、接着層の形成は不要であるが、保護層の表面に接着層14を形成し、保護層の転写と、転写後の保護層の印画物に対する密着性を向上させることが好ましい。この接着層は、従来公知の感熱接着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度が50〜100℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂などの如く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。
保護層熱転写シートは、基材の裏面、すなわち、保護層の設けてある面と反対面に、サーマルヘッドの熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けることが好ましい。その耐熱滑性層の厚さは、固形分で0.1〜2μm程度である。
本発明の印画物の形成方法は、基材上に受容層を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して、該受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層を熱転写して設け、その後に該保護層の少なくとも一部分に、エンボス版、印画物のうち少なくとも一つを加熱する条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成する印画物の作成方法である。また、前記のエンボス版の凹凸形状の表面に、離型処理が施されていることが望ましい。さらに、前記のエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有することが好ましい。
印画物の表面に、マット形状を形成させるために使用されるエンボス版は、その表面のの凹凸形状に関しては、限定されるものではなく、凹凸を印画物の保護層上に写し取れるものであれば良い。例えば、図4に示すように、印画物1を図示してはいないが、印画物を挟み込んだ状態の対の搬送ロールにより、矢印の方向に搬送させ、表面が凹凸形状を有するロール状のエンボス版20と、それに対向した圧着ロール21との間に印画物1が通過し、エンボス版20と、圧着ロール21はそれぞれ図示した回転方向に回転しながら、長尺状の印画物1に圧力をかけて、印画物の保護層の表面に凹凸を有したマット形状を連続的に、形成させることができる。この場合に、エンボス版20の表面が加熱された条件にしたり、また印画物の保護層面が加熱された状態にするために、エンボス版の型押し処理前の印画物に赤外線等を照射して加熱したり、またこれらの条件を併用したりすることができる。
(測定条件)
測定機名:三次元表面粗さ形状測定機 サーフコム1400−3DF(株式会社東京精密社製)
パラメータ算出規格:JIS−B0601;‘82、B0031;‘82規格に準ずる
測定種別:粗さ測定
(解析条件)
カットオフ種別:位相補償
カットオフ波長:0.8μm
短波長カットオフフィルタ:なし
測定速度:0.600mm/s
傾斜補正データ:全体範囲
傾斜補正:平面補正
測定範囲:2mm×4mm
測定ピッチ:20μm
測定点数:101×201点
ピークカウントレベル:上限値→ 0.5μm、下限値→ −0.5μm
(凹凸数計算方法)
上記の解析によって得られるピーク数をPとする。測定範囲が2mm×4mmであるので、1mm×1mm幅のピーク数をAとすると、
A=(P/4)2・・・・(1)
によって算出できる。
(20μm以上の突起があった場合)
また上記測定によって得られる最大山高さと最大谷深さの絶対値が20μmを超える場合は、ピークカウントの上限値と下限値を20μmとして再解析し、得られた値を同様に式(1)に代入して計算する。得られた値を先のピークカウントの上限値と下限値が0.5μmとした場合の計算値から引く事によって、好ましい凹凸数を求める事ができる。
印画物の表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmの凹凸であり、かつ0.5〜10μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものが好ましく、そのRa値が小さすぎると、つまり凹凸の深さが浅いとマット柄が再現しにくく、見た目に美しくない。また、Ra値が大きすぎると、つまり、その凹凸の深さが深すぎると、熱転写画像の上にある保護層としての機能が不十分になる。また、凹凸数が上記の範囲より少ないと、模様感が無くなってしまい、美しくない。一方で、凹凸数が多すぎると、全体的に印画物表面の凸部分が少なくなり、外観上、美しくない。本発明では、エンボス版による型押し処理により得られる印画物は、その表面の入射角45°で測定した光沢度が30〜70%であることが望ましい。上記の光沢度は、JIS Z 8741に基づく入射角45°における鏡面光沢度を測定したものである。その光沢度が70%を越えると、光沢感が高すぎ、マット感が少なく、一方で光沢度が30%未満であると、マット感が強すぎて、熱転写画像が鮮明に見えなくなってしまう。
本発明を実験例により更に詳細に説明する。尚、文中、部または%とあるのは特に断りのない限り質量基準とする。
(使用する熱転写受像シートと熱転写シート)
キャノン(株)製昇華転写プリンタ(コンパクトフォトプリンター)CP−200専用受像紙とインクリボン(熱転写シート)を使用した。但し、インクリボンのオーバーコート部には、表1に示した保護層のTg(ガラス転移温度)の規定された樹脂から成る保護層を乾燥時の厚さで、4μmで塗工したフィルムを貼り込んで変更した。
キャノン(株)製昇華転写プリンタCP−200を使用して、上記の熱転写受像シートと熱転写シートを用いて、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のベタ印画による黒ベタ画像を有する印画物を形成した。
表1に示すエンボス版の表面の凹凸形状のRa値と、1mm2当たりの凹凸数が規定されたエンボス版(各Ra値と凹凸数は平均値である)を使用し、上記の各印画物の表面(保護層面)とを重ね合わせ、印画物表面に凹凸形状を形成するように、ヒートローラー式ラミネーター(FUJI LAMIPACKER LPD23−5PRO)で、表1に示すラミネート温度(エンボス版の表面温度)にて、型押し処理を行なった。
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状を有する各印画物の光沢度を以下の条件で測定した。日本電色工業(株)製、光沢計VG2000にて、入射角45°で光沢度を測定した。
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物の黒ベタ部分の反射濃度で、最高値を測定した。測定器は、Gretag−Macbeth社製反射濃度計Macbeth RD−914で、Bkフィルターを使用して測定した。但し、エンボス版の型押し処理前と処理後の双方の反射濃度を測定した。また、その得られた反射濃度において、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100(%)により、反射濃度の比率を算出した。
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物の凹凸部のRa値を測定し、平均値を表1に示した。凹凸部のRa値は、前記に説明した通り、JIS B0601の規格に準じて測定した算術平均粗さRaである。尚、上記のエンボス版の表面の凹凸形状における1mm2当たりの0.5〜20μmの凹凸の個数は、JIS B0601の規格に準じて3次元表面粗さ計で測定したデータから下記条件にて算出し、その凹凸の個数と同数が、印画物の凹凸の個数である。その結果を表1に示した。詳細な測定条件、解析条件、凹凸数の計算方法等を以下に示す。
(測定条件)
測定機名:三次元表面粗さ形状測定機 サーフコム1400−3DF(株式会社東京精密社製)
パラメータ算出規格:JIS−B0601;‘82、B0031;‘82規格に準ずる
測定種別:粗さ測定
(解析条件)
カットオフ種別:位相補償
カットオフ波長:0.8μm
短波長カットオフフィルタ:なし
測定速度:0.600mm/s
傾斜補正データ:全体範囲
傾斜補正:平面補正
測定範囲:2mm×4mm
測定ピッチ:20μm
測定点数:101×201点
ピークカウントレベル:上限値→ 0.5μm、下限値→ −0.5μm
(凹凸数計算方法)
上記の解析によって得られるピーク数をPとする。測定範囲が2mm×4mmであるので、1mm×1mm幅のピーク数をAとすると、
A=(P/4)2・・・・(1)
によって算出できる。
(20μm以上の突起があった場合)
また上記測定によって得られる最大山高さと最大谷深さの絶対値が20μmを超える場合は、ピークカウントの上限値と下限値を20μmとして再解析し、得られた値を同様に式(1)に代入して計算する。得られた値を先のピークカウントの上限値と下限値が0.5μmとした場合の計算値から引く事によって、好ましい凹凸数を求める事ができる。
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物の表面外観を目視にて調べ、以下の判断基準で評価した。
◎;外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄を有し、美しいものである。
△;外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄とは認められるものではない。
×;外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄とは全く認められるものではない。
2 基材
3 受容層
4 保護層
5 熱転写画像
6 接着層
10 保護層熱転写シート
11 基材
12 離型層
13 保護層
14 接着層
20 エンボス版
21 圧着ロール
30 無端ベルト
31、32、37、38 ロール
33、34、35、36 搬送ロール
Claims (8)
- 基材上に受容層を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して印画物を形成する方法において、該受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層を熱転写して設け、その後に該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成することを特徴とする印画物の作成方法。
- 前記のエンボス版の凹凸形状の表面に、離型処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載する印画物の形成方法。
- 前記のエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものであることを特徴とする請求項1に記載する印画物の形成方法。
- 前記のエンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域における反射濃度の比率が、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100で、80〜120%であり、濃度変化が認められないことを特徴とする請求項1に記載する印画物の形成方法。
- 基材上に受容層を設け、該受容層には、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートから、加熱により熱転写した昇華性染料による熱転写画像が形成され、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層が熱転写により設けられた印画物において、該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成されたことを特徴とする印画物。
- 前記の保護層が透明性を有し、かつガラス転移温度が80〜120℃の熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項5に記載する印画物。
-
前記の印画物表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmであり、かつ0.5〜10μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものであることを特徴とする請求項5に記載する印画物。 - 前記の印画物表面の入射角45°で測定した光沢度が30〜70%であることを特徴とする請求項5に記載する印画物。
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