JP2006182012A - 印画物及び印画物の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 深い凹凸を有したマット柄等の様々な表面形状を有した所望のマット柄を実現させることが可能である昇華転写の印画物とその印画物の作成方法を提供する。
【解決手段】 本発明の印画物1は、基材2上に受容層3を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して、該受容層3に昇華性染料による熱転写画像5を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像5の少なくとも一部分の上に、保護層4を熱転写して設け、その後に該保護層4の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成したものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、深い凹凸を有したマット柄等の様々な表面形状を有した所望のマット柄を実現させることが可能である昇華転写の印画物とその印画物の作成方法に関する。
従来、画像を形成する種々プリント方法として、感熱により色材層中の染料が昇華拡散して染料が受像シートに移行する感熱昇華転写、加熱によって色材層が溶融軟化して、色材層自身が受像シートに転写する感熱溶融転写、インクジェット、電子写真が広く用いられている。この中で、感熱昇華転写は、記録材として用いる昇華転写染料をバインダー樹脂に溶融あるいは分散させた染料層をポリエステルフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートと、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に受容層を形成した受像シートを重ね合わせ、昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によって3色又は4色の多数の加熱量が調整された色ドットを受像シートに転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。
このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、且つフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。現在、簡単な印刷方法として熱転写記録方法が広く使用されている。熱転写記録方法は、各種画像を簡便に形成できるため、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷物、例えばIDカードの作成や、営業写真、或いはパーソナルコンピュータのプリンタやビデオプリンタ等において、利用されている。
上記の感熱昇華転写方式は、熱転写シートに印加するエネルギー量によって、ドット単位で染料の移行量を制御出来るため、階調性画像の形成に優れているが、形成された画像は通常の印刷インキによるものとは異なり、色材が顔料でなく、比較的低分子量の染料であり、且つビヒクルが存在しないため、耐光性、耐候性、耐摩耗性等の耐久性に劣ると言う欠点がある。これに対して、昇華染料の熱転写によって得られた画像上に、熱転写性樹脂層を有する保護層熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて熱転写性樹脂層を転写させ、画像上に保護層を形成する方法が知られている。
また、このような表面に保護層を有した印画物において、表面が高光沢性を有するものでなく、表面に微細な凹凸を有するマット状の印画物を得たいという要求がある。それに対して、大きく分けて以下の3通りの方法がある。(1)メディアの仕様として、表面凹凸を有した保護層を作成する方法がある。例えば、特許文献1に記載しているように、基材上に離型層、保護層を積層した保護層熱転写シートにおいて、離型層にフィラー(粒子)を含有させ、離型層の表面が粗面化されているもので、画像上に、保護層を熱転写させて(離型層は基材側に残存する形態で)保護層表面を凹凸にさせることが挙げられる。また基材上に、剥離層、保護層を積層した保護層熱転写シートで、剥離層に発泡性粒子を含有させ、画像上に、剥離層と保護層が転写されるものがある。さらに、基材上に保護層を設けた保護層熱転写シートにおいて、保護層自体を基材上に設ける際に、表面に凹凸を有した印刷の版胴を使用して、この凹凸形状を有した保護層を基材上に印刷して設け、画像上に、その保護層を熱転写させて保護層の凹凸化を行なう。上記の表面凹凸を有した保護層を作成する方法では、様々な表面形状を有した所望のマット柄を得る方法としては、技術的に困難である。特に、5μm以上の深さを有した凹凸を設けることは非常に困難である。
また、表面のマット状の印画物を得る方法として、(2)保護層熱転写シートを使用して、画像上に保護層を熱転写する際の熱エネルギーに強弱をつけて、保護層の表面光沢を変化させる方法がある。この方法は、例えば特許文献2にあるように、基材上に、熱転写性の保護層、接着層を順次積層した保護層転写シートにおいて、保護層が熱可塑性樹脂と無機層状化合物からなり、受像体上の画像の上に、前記保護層転写シートを用いて保護層を熱転写して形成する方法において、熱転写時の加熱量を可変制御して、保護層の表面光沢量を可変することが記載されている。上記の(2)の表面凹凸を有した保護層を作成する方法では、深い凹凸を有した所望のマット柄を得ることができない。
また、表面のマット状の印画物を得る方法として、(3)印画物を形成した後に、表面に凹凸を有したローラーや板等を押し付けて、印画物表面をマット化させる方法が想定される。しかし、この方法でも、様々な表面形状を有した所望のマット柄を実現させることができていないのが、現状である。
特開2004−122756号公報 特開2004−106260号公報
したがって、上記のような課題を解決するために、本発明は、深い凹凸を有したマット柄等の様々な表面形状を有した所望のマット柄を実現させることが可能である昇華転写の印画物とその印画物の作成方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基材上に受容層を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して印画物を形成する方法において、該受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層を熱転写して設け、その後に該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成することを特徴とする印画物の作成方法である。
請求項2に記載の発明は、前記のエンボス版の凹凸形状の表面に、離型処理が施されていることを特徴とする。請求項3に記載の発明は、前記のエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものであることを特徴とする。請求項4に記載の発明は、前記のエンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域における反射濃度の比率が、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100で、80〜120%であり、濃度変化が認められないことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、基材上に受容層を設け、該受容層には、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートから、加熱により熱転写した昇華性染料による熱転写画像が形成され、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層が熱転写により設けられた印画物において、該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成されたことを特徴とする印画物である。請求項6に記載の発明は、前記の保護層が透明性を有し、かつガラス転移温度が80〜120℃の熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記の印画物表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmであり、かつ0.5〜10μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものであることを特徴とする。請求項8に記載の発明は、前記の印画物表面の入射角45°で測定した光沢度が30〜70%であることを特徴とする。
本発明の印画物は、基材上に受容層を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して、該受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層を熱転写して設け、その後に該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成して作成する方法により、得られるものである。これにより、簡便に表面にマット形状を有する印画物が作成できる。
また、使用するエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものにして、型押し処理を行なうことで、印画物表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものとなり、深い凹凸を有したマット柄等の様々な表面形状を有した所望のマット柄を実現させることができた。また、前記の保護層が透明性を有し、かつガラス転移温度が80〜120℃の熱可塑性樹脂から成るものとすることで、エンボス版による型押し処理において、エンボス版の表面凹凸の形状に近似した、表面にマット形状を有する優れた品質の印画物が得られる。また、エンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域における反射濃度の比率が、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100で、80〜120%とすることができ、これにより印画物の濃度変化が認められない優れた品質のものが得られる。
図1は、本発明の印画物1の一つの実施形態を示す概略図であり、基材2上に、受容層3、保護層4が積層された構成で、受容層3には、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートから、加熱により熱転写した昇華性染料による熱転写画像5が形成され、該熱転写画像5を覆うように、受容層3の全面に保護層4が熱転写により設けられたものである。また、その印画物1において、保護層4の表面の全面に、マット形状が形成されている。また、図2は、本発明の印画物1の他の実施形態を示す概略図であり、基材2上に、受容層3、接着層6、保護層4が積層された構成で、受容層3には、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートから、加熱により熱転写した昇華性染料による熱転写画像5が形成され、該熱転写画像5を覆うように、受容層3の一部分に、接着層6、保護層4が熱転写により設けられたものである。また、その印画物1において、保護層4の表面の全面に、マット形状が形成されている。図示したものに限らず、熱転写画像の形成位置や、保護層の形成位置、凹凸形状の形成位置を適宜変更することができる。
以下、本発明の印画物を構成する各層について、詳述する。
(基材)
印画物の基材2は、受容層を保持するという役割を有するとともに、画像形成時に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが、望ましい。このような基材の材料は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートが使用でき、特に限定されない。
上記のプラスチックフィルムまたはシートやこれらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色フィルム、あるいは基材シート内部にミクロボイドを有するシート、他にコンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等を用いることができる。また、上記の基材の任意の組合わせによる積層体も使用できる。代表的な例として、セルロース繊維紙と合成紙、セルロース繊維紙とプラスチックフィルムとの積層体があげられる。また、上記の基材の表面及び又は裏面に易接着処理した基材も使用できる。これらの基材の厚みは、通常3〜300μm程度であり、本発明においては、機械的適性等を考慮し、75〜175μmの基材を用いるのが好ましい。また、基材とその上に設ける層との密着性が乏しい場合には、その表面に易接着処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(受容層)
本発明の印画物に使用される受容層3は、一般に熱可塑性樹脂を主体として構成される。受容層を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアクリルエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィン樹脂と他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、中でも特に好ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物である。その中でも、例えば、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂等の如く熱時接着性の良好な樹脂が好ましい。
画像形成時において、受容層との融着若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、昇華転写記録では受容層に離型剤を混合することができる。混合して使用する好ましい離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、中でもシリコーンオイルが望ましい。そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、ビニル変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は受容層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、昇華型熱転写シートと熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を受容層に添加することによって、転写後の受容層の表面に離型剤がブリードアウトして離型層が形成される。また、これらの離型剤は受容層に添加せず、受容層上に別途塗工してもよい。受容層は、基材の上に上記の如き樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散した分散体を適当な塗布方法で塗布及び乾燥することによって形成される。上記受容層の形成に際しては、受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める目的で、白色顔料や蛍光増白剤等を添加することができる。以上のように形成される受容層は任意の厚さでよいが、一般的には乾燥状態で1〜50μmの厚さである。
図3に、本発明の印画物を形成する上で使用される保護層熱転写シートの一つの実施形態である概略図を示す。基材11上に、離型層12、保護層13、接着層14を順次積層した構成の保護層熱転写シート10である。この保護層熱転写シートの場合は、必要な箇所に、適当な面積で、加熱して、保護層と接着層の2層が印画物の受容層の熱転写画像の上に、転写される。保護層熱転写シートは、この図示したものに限らず、基材上に保護層のみを設けたり、接着層を除いたり、適宜変更することができる。
以下に本発明で使用する保護層熱転写シートを構成する各層の説明を行う。
(基材)
本発明の保護層熱転写シートに用いられている基材11としては、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材をそのまま用いることができるとともに、シートの表面に易接着処理がしてあるものや、その他のものも使用することができ、特に制限はされない。
好ましい基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ボリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマーなどのプラスチックフィルム、セロファンなどがあり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムなども使用できる。これらの基材の厚さは、その強度および耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更するが、通常は2.5〜10μm程度が好ましい。
(離型層)
基材上には、その上に形成する保護層の転写性を適当にする離型層12を設けることができる。離型層を形成する樹脂としては、従来公知の離型性に優れた樹脂がいずれも使用でき、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂および熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂などが挙げられる。これらの離型性樹脂は単独でも混合物としても使用できる。
離型層は、上記の如き離型性樹脂材料に各種のフィラーを添加することができる。使用するフィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク等の公知の無機フィラー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ワックスなどからなるプラスチックピグメントが挙げられる。離型層を形成するには、上記の如き樹脂と、必要に応じてフィラー、架橋剤または触媒を加え、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールなどの汎用溶剤に、溶解、あるいは分散させた塗布液を調製し、該塗布液を基材上に、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコートなどの方法で厚み(乾燥基準)0.5〜5μm程度になるように塗布および乾燥して形成する。
(保護層)
保護層4、13を形成するための樹脂としては、従来公知の各種耐久性および透明性に優れた樹脂はいずれも使用可能である。例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80〜120℃のものが好ましく用いられる。また、上記の熱可塑性樹脂は単独で、あるいは混合して使用することができる。ガラス転移温度が80℃未満の熱可塑性樹脂であると、エンボス版による型押し処理の際に、エンボス版に保護層が融着しやすく、また印画物の高温保存時に熱転写画像の滲みが発生しやすくなる。
また、ガラス転移温度が120℃を越える熱可塑性樹脂を使用すると、エンボス版による型押し処理後の印画物で、カールが発生しやすくなる。その処理温度を上げる必要が出るためである。また、エンボス版による型押し処理の際に、エンボス版自体、印画物のうち、少なくとも一つを加熱する条件において、加熱温度を高くする必要があり、印画物の基材が多層の貼り合わせである場合、ブリスター現象、すなわち基材表面の一部分に火ぶくれ状の変形が発生しやすい。以上の如き樹脂から保護層を形成するには、上記の如き樹脂を、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールなどの汎用溶剤に、溶解あるいは分散して、また必要に応じて、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、無機あるいは有機のフィラー成分、界面活性剤、離型剤等を添加し、塗布液を調製し、該塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコートなどの方法で厚み(乾燥基準)0.5〜10μm、さらに望ましくは1.0〜5.0μmになるように塗布および乾燥して形成する。尚、保護層は単層であることに限らず、多層で構成してもよい。単層あるいは多層の合わせた保護層の厚さが、上記の範囲が好ましく、薄すぎる場合は保護層としての性能が充分に発揮できなくなる。また、その厚さが厚すぎる場合は、保護層の熱転写時に、尾引き等の転写不良が生じやすい。
(接着層)
本発明では、前記保護層が十分な接着性を有する場合には、接着層の形成は不要であるが、保護層の表面に接着層14を形成し、保護層の転写と、転写後の保護層の印画物に対する密着性を向上させることが好ましい。この接着層は、従来公知の感熱接着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度が50〜100℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂などの如く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。
(耐熱滑性層)
保護層熱転写シートは、基材の裏面、すなわち、保護層の設けてある面と反対面に、サーマルヘッドの熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けることが好ましい。その耐熱滑性層の厚さは、固形分で0.1〜2μm程度である。
また、本発明において、受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成する際に、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを使用する。この基材は保護層熱転写シートで使用する基材と同様のものが使用できる。また、染料層は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色相を有する昇華性染料をバインダー樹脂で結合させ、加熱すると、昇華性染料が上記に説明した受容層に移行して定着する。本発明の印画物では、昇華性染料による熱転写画像が形成されていることが必須条件であるが、それに熱溶融性インキ層を熱転写させることも併用してもよい。熱溶融性インキ層は、有色の顔料や染料の着色剤と、ワックスや、樹脂のバインダーから構成でき、加熱すると、溶融して、インキ層毎、受容層に転写して、固着する。本発明では、上記の保護層熱転写シートと、染料層を有する熱転写シートを別々に用意して、使用したり、あるいは同一基材上に、染料層と保護層を、面順次に設け、同一のサーマルヘッドでそれぞれを熱転写して使用することもできる。
(印画物の形成方法)
本発明の印画物の形成方法は、基材上に受容層を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して、該受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層を熱転写して設け、その後に該保護層の少なくとも一部分に、エンボス版、印画物のうち少なくとも一つを加熱する条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成する印画物の作成方法である。また、前記のエンボス版の凹凸形状の表面に、離型処理が施されていることが望ましい。さらに、前記のエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有することが好ましい。
(エンボス版)
印画物の表面に、マット形状を形成させるために使用されるエンボス版は、その表面のの凹凸形状に関しては、限定されるものではなく、凹凸を印画物の保護層上に写し取れるものであれば良い。例えば、図4に示すように、印画物1を図示してはいないが、印画物を挟み込んだ状態の対の搬送ロールにより、矢印の方向に搬送させ、表面が凹凸形状を有するロール状のエンボス版20と、それに対向した圧着ロール21との間に印画物1が通過し、エンボス版20と、圧着ロール21はそれぞれ図示した回転方向に回転しながら、長尺状の印画物1に圧力をかけて、印画物の保護層の表面に凹凸を有したマット形状を連続的に、形成させることができる。この場合に、エンボス版20の表面が加熱された条件にしたり、また印画物の保護層面が加熱された状態にするために、エンボス版の型押し処理前の印画物に赤外線等を照射して加熱したり、またこれらの条件を併用したりすることができる。
また、エンボス版の型押し処理として、図5に示すように、印画物1を一対の搬送ロール33、34により搬送させ、無端ベルト30の内側に、ロール31とロール37、ロール38が配置されて、無端ベルトが張設され、そしてAに示す矢印の方向に移動して、循環する。無端ベルト30の表面(ロール31、37、38と接しない側で)には凹凸形状が施されており、ロール31が加熱されているので上述した無端ベルト循環の際にはベルトの凹凸部も加熱された状態になっている。印画物1は、ロール31とロール32の間で、印画物の保護層面と、そのベルトの凹凸部が接して、加圧される。ロール31とロール32は、それぞれ図示した方向に回転することで、無端ベルト30がスムーズにAの方向で、循環移動する。これにより、長尺状の印画物の表面に、マット形状を連続的に形成し、印画物1は、搬送ロール35、36の回転で、Bに示す方向に搬送されていく。
エンボス版による型押し処理として、図示した例に限らず、平板状のエンボス版を使用して、そのエンボス版と平台の間に、印画物を置き、エンボス版あるいは印画物のいずれか加熱しておき、あるいは両方を加熱しておき、エンボス版を平台に押し付けて、加圧して、次に、その加圧した印画物の部分の隣接した部分に同様に加圧する。いわゆる、ホットスタンプ方式である。この加工作業を同様に繰り返して行なうことで、印画物の表面に、マット形状を形成することもできる。但し、長尺状の印画物の表面に、連続的にマット形状を形成できる上記のロール状のエンボス版を使用した方式や、無端ベルトのエンボス版を使用した方式が好ましく、採用される。
上記のようなエンボス版による型押し処理において、エンボス版がロール状、無端ベルト、平板状のいずれであっても、凹凸形状の表面の材質は、印画物との離型性が確保できれば特に限定されない。例えば、熱硬化性樹脂やUV(紫外線)硬化性樹脂、金属等の印画物表面の保護層の熱可塑性樹脂に対しての離型性が確保できるものが望ましい。また、このエンボス版の表面の凹凸形状を加工する方法としては、所望の型を設ける方法であれば良く、通常の製版と同様の方法であるサンドブラスト法、彫刻法、エッチング法、電気的穿孔法、メッキ法等が採用できる。またこれらの方法を組み合わせて行なうこともできる。エンボス版の表面に形成された凹凸形状の集まりは、必ずしも、規則的な繰返し配列の模様(パターン)ではなく、同じかまたは異なるサイズを有する凹凸のランダム(無秩序な)配列のものが好ましい。本発明の実施において好適なパターンとしては、四側面を有する四角錐、四側面を有する四角錐の先端部を切断して残った形状、三側面を有する三角錐、円錐、また部分球や、放物線形状を先端部に有した外形が丸みを有したもの等が挙げられる。
また、エンボス版の凹凸形状の表面に、離型剤として、フッ素樹脂やシリコ−ン樹脂或いは長鎖アルキル系樹脂化合物等を塗工して、必要に応じて熱硬化、電離性放射線照射による硬化により離型剤層を形成した離型処理を施すことができる。また、エンボス版の凹凸部が金属である場合、電気メッキ、拡散メッキ、蒸着メッキ、無電解メッキ、溶射等の金属被膜処理;CVD、PVD、イオンプレーティング、スパッタリング、真空蒸着などによるセラミックコーティング等の非金属被膜処理、又はそれらの複合被膜処理等を施して、離型処理を行なうことも好ましい。具体的には、硬質クロム等の電解メッキ及び無電解メッキ;窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)等のセラミックコーティング処理等が挙げられる。
印画物の保護層面と、エンボス版の凹凸面との離型性が不十分であると、印画物表面の透明性を有する保護層に曇りが発生して、印画物の外観を損ねたり、エンボス版による型押し処理において、連続加工の場合、ジャミングが発生したりして、問題が生じる。したがって、上記に説明したようなエンボス版の凹凸部の離型処理を施すことが好ましい。
本発明では、使用するエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmの凹凸であり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものが好ましい。このエンボス版により型押し処理を施すことで、印画物表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmであり、かつ0.5〜10μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するようにすることができ、適切な凹凸を有したマット柄等の様々な表面形状を有した所望のマット柄を実現させることができる。本発明におけるエンボス版の凹凸形状及び印画物表面の凹凸形状における三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値については、両者ともJIS B0601(−1994)の規格に準じて、測定することにより得られるものである。すなわち、図7に示すように、粗さ曲線からその中心線(m)の方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜取り部分の中心線(m)をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、下記の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものであり、算術平均粗さRaである。
Figure 2006182012
三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmである凹凸形状のエンボス版を使用して、印画物に型押しを行い、印画物の表面には1mm2の単位面積当たりで、エンボス版の凹凸の個数と同じである10〜200個の凹凸を有し、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が、エンボス版のRa値よりは少な目である0.5〜10μmのRa値の印画物が得られる。エンボス版の凹凸は、図6でmで示す単位が1つであり、この凹凸数やそれらの間隔、ならびに個々の凹凸の性質、例えば、凹凸の深さ、反射エッジの角度、および形状は、0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有する条件下で、所望に変化させることができる。
本発明におけるエンボス版の凹凸形状における0.5〜20μmの凹凸の個数については、全て以下に説明する方法で算出したものを意味している。また、本発明における印画物表面の凹凸形状における0.5〜10μmの凹凸の個数は、その印画物に型押し処理で使用したエンボス版の0.5〜20μmの凹凸の個数と同数である。
(測定条件)
測定機名:三次元表面粗さ形状測定機 サーフコム1400−3DF(株式会社東京精密社製)
パラメータ算出規格:JIS−B0601;‘82、B0031;‘82規格に準ずる
測定種別:粗さ測定
(解析条件)
カットオフ種別:位相補償
カットオフ波長:0.8μm
短波長カットオフフィルタ:なし
測定速度:0.600mm/s
傾斜補正データ:全体範囲
傾斜補正:平面補正
測定範囲:2mm×4mm
測定ピッチ:20μm
測定点数:101×201点
ピークカウントレベル:上限値→ 0.5μm、下限値→ −0.5μm
(凹凸数計算方法)
上記の解析によって得られるピーク数をPとする。測定範囲が2mm×4mmであるので、1mm×1mm幅のピーク数をAとすると、
A=(P/4)2・・・・(1)
によって算出できる。
(20μm以上の突起があった場合)
また上記測定によって得られる最大山高さと最大谷深さの絶対値が20μmを超える場合は、ピークカウントの上限値と下限値を20μmとして再解析し、得られた値を同様に式(1)に代入して計算する。得られた値を先のピークカウントの上限値と下限値が0.5μmとした場合の計算値から引く事によって、好ましい凹凸数を求める事ができる。
印画物の表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmの凹凸であり、かつ0.5〜10μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものが好ましく、そのRa値が小さすぎると、つまり凹凸の深さが浅いとマット柄が再現しにくく、見た目に美しくない。また、Ra値が大きすぎると、つまり、その凹凸の深さが深すぎると、熱転写画像の上にある保護層としての機能が不十分になる。また、凹凸数が上記の範囲より少ないと、模様感が無くなってしまい、美しくない。一方で、凹凸数が多すぎると、全体的に印画物表面の凸部分が少なくなり、外観上、美しくない。本発明では、エンボス版による型押し処理により得られる印画物は、その表面の入射角45°で測定した光沢度が30〜70%であることが望ましい。上記の光沢度は、JIS Z 8741に基づく入射角45°における鏡面光沢度を測定したものである。その光沢度が70%を越えると、光沢感が高すぎ、マット感が少なく、一方で光沢度が30%未満であると、マット感が強すぎて、熱転写画像が鮮明に見えなくなってしまう。
また、本発明のエンボス版による型押し処理により得られる印画物は、エンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域における反射濃度の比率が、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100で、80〜120%であることが望ましい。つまりエンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域で、その反射濃度の変化が±20%の範囲内に収まることで、目視にて外観上、濃度変化が認められないものである。
(実験例)
本発明を実験例により更に詳細に説明する。尚、文中、部または%とあるのは特に断りのない限り質量基準とする。
(使用する熱転写受像シートと熱転写シート)
キャノン(株)製昇華転写プリンタ(コンパクトフォトプリンター)CP−200専用受像紙とインクリボン(熱転写シート)を使用した。但し、インクリボンのオーバーコート部には、表1に示した保護層のTg(ガラス転移温度)の規定された樹脂から成る保護層を乾燥時の厚さで、4μmで塗工したフィルムを貼り込んで変更した。
(印画条件)
キャノン(株)製昇華転写プリンタCP−200を使用して、上記の熱転写受像シートと熱転写シートを用いて、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のベタ印画による黒ベタ画像を有する印画物を形成した。
(エンボス版により型押し処理)
表1に示すエンボス版の表面の凹凸形状のRa値と、1mm2当たりの凹凸数が規定されたエンボス版(各Ra値と凹凸数は平均値である)を使用し、上記の各印画物の表面(保護層面)とを重ね合わせ、印画物表面に凹凸形状を形成するように、ヒートローラー式ラミネーター(FUJI LAMIPACKER LPD23−5PRO)で、表1に示すラミネート温度(エンボス版の表面温度)にて、型押し処理を行なった。
(光沢度測定方法)
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状を有する各印画物の光沢度を以下の条件で測定した。日本電色工業(株)製、光沢計VG2000にて、入射角45°で光沢度を測定した。
(反射濃度測定方法)
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物の黒ベタ部分の反射濃度で、最高値を測定した。測定器は、Gretag−Macbeth社製反射濃度計Macbeth RD−914で、Bkフィルターを使用して測定した。但し、エンボス版の型押し処理前と処理後の双方の反射濃度を測定した。また、その得られた反射濃度において、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100(%)により、反射濃度の比率を算出した。
(印画物の凹凸形状の測定方法)
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物の凹凸部のRa値を測定し、平均値を表1に示した。凹凸部のRa値は、前記に説明した通り、JIS B0601の規格に準じて測定した算術平均粗さRaである。尚、上記のエンボス版の表面の凹凸形状における1mm2当たりの0.5〜20μmの凹凸の個数は、JIS B0601の規格に準じて3次元表面粗さ計で測定したデータから下記条件にて算出し、その凹凸の個数と同数が、印画物の凹凸の個数である。その結果を表1に示した。詳細な測定条件、解析条件、凹凸数の計算方法等を以下に示す。
(測定条件)
測定機名:三次元表面粗さ形状測定機 サーフコム1400−3DF(株式会社東京精密社製)
パラメータ算出規格:JIS−B0601;‘82、B0031;‘82規格に準ずる
測定種別:粗さ測定
(解析条件)
カットオフ種別:位相補償
カットオフ波長:0.8μm
短波長カットオフフィルタ:なし
測定速度:0.600mm/s
傾斜補正データ:全体範囲
傾斜補正:平面補正
測定範囲:2mm×4mm
測定ピッチ:20μm
測定点数:101×201点
ピークカウントレベル:上限値→ 0.5μm、下限値→ −0.5μm
(凹凸数計算方法)
上記の解析によって得られるピーク数をPとする。測定範囲が2mm×4mmであるので、1mm×1mm幅のピーク数をAとすると、
A=(P/4)2・・・・(1)
によって算出できる。
(20μm以上の突起があった場合)
また上記測定によって得られる最大山高さと最大谷深さの絶対値が20μmを超える場合は、ピークカウントの上限値と下限値を20μmとして再解析し、得られた値を同様に式(1)に代入して計算する。得られた値を先のピークカウントの上限値と下限値が0.5μmとした場合の計算値から引く事によって、好ましい凹凸数を求める事ができる。
(外観)
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物の表面外観を目視にて調べ、以下の判断基準で評価した。
◎;外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄を有し、美しいものである。
△;外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄とは認められるものではない。
×;外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄とは全く認められるものではない。
上記の熱転写画像とエンボス版による型押し処理による凹凸形状の形成された各印画物について、上記の各測定、評価の結果を表1に示す。
Figure 2006182012
*1;エンボス形状、非光沢性には問題ないが、印画物の基本性能(高温保存時の滲み等)で問題が発生した。
上記のように、実験例1〜8の印画物では、印画物表面の入射角45°で測定した光沢度が全て30〜70%の範囲内であり、実験例5の印画物表面の凹凸数が比較的多いためか、エンボス版による型押し処理後の最高濃度が少し低くなっているが、問題はない。また、実験例1〜8の印画物では、外観上、エンボスの状態、非光沢性について、所望のマット柄を有し、美しいものである。それに対し、実験例9では、表面にエンボス版による型押し処理を全く行なっていないもので、マット柄が全く認めらないものであった。実験例10の印画物は、印画物表面の凹凸形状で、Ra値が0.5μm未満で浅すぎるもので、外観上満足できるものではない。また、実験例11、16、17の印画物は、印画物表面の凹凸形状で、Ra値が10μmより大きく、表面が粗すぎるものである。また、印画物の高温保存時の滲みなど問題がある。
実験例12、16の印画物は、印画物表面の凹凸形状で、1mm2当たり10個未満の凹凸数であり、マット柄の模様感が無く、美しくない。実験例13、17の印画物は、印画物表面の凹凸形状で、1mm2当たり200個を越える凹凸数であり、全体的に印画物表面の凸部分が少なく、外観上、美しくない。実験例14の印画物は、外観上、問題はないが、保護層を構成する樹脂のガラス転移温度が50℃であり、低いTgであり、印画物の基本性能(高温保存時の滲み等)で問題が発生する。実験例15の印画物は、印画物表面の凹凸形状で、Ra値が0.5μm未満で浅すぎるもので、外観上満足できるものではない。
また、エンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域における反射濃度の比率で、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100を調べると、実験例1〜8における印画物は、全て、その反射濃度の比率が、80〜120%であり、目視にて外観上、濃度変化が認められないものであった。それに対し、実験例13、17における印画物は、上記の反射濃度の比率が、80%より小さいものであり、エンボス版の型押し処理前後において、目視にて外観上、濃度変化が生じていた。
本発明の印画物の一つの実施形態を示す概略図である。 本発明の印画物の他の実施形態を示す概略図である。 本発明の印画物を形成する上で使用される保護層熱転写シートの一つの実施形態を示す概略図である。 本発明の印画物を形成する上で使用されるエンボス版の一つの実施形態を示す概略図である。 本発明の印画物を形成する上で使用されるエンボス版の他の実施形態を示す概略図である。 エンボス版の表面の凹凸の数を説明する概略図である。 三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値について説明する概略図である。
符号の説明
1 印画物
2 基材
3 受容層
4 保護層
5 熱転写画像
6 接着層
10 保護層熱転写シート
11 基材
12 離型層
13 保護層
14 接着層
20 エンボス版
21 圧着ロール
30 無端ベルト
31、32、37、38 ロール
33、34、35、36 搬送ロール

Claims (8)

  1. 基材上に受容層を設けた熱転写受像シートと、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートを重ねて加熱して印画物を形成する方法において、該受容層に昇華性染料による熱転写画像を形成し、その後に基材上に熱転写性保護層を設けた熱転写シートを用いて、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層を熱転写して設け、その後に該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成することを特徴とする印画物の作成方法。
  2. 前記のエンボス版の凹凸形状の表面に、離型処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載する印画物の形成方法。
  3. 前記のエンボス版の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜20μmであり、かつ0.5〜20μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものであることを特徴とする請求項1に記載する印画物の形成方法。
  4. 前記のエンボス版の型押し処理の前後において、印画物の熱転写画像の反射濃度1.5以上の領域における反射濃度の比率が、[処理後の反射濃度値/処理前の反射濃度値]×100で、80〜120%であり、濃度変化が認められないことを特徴とする請求項1に記載する印画物の形成方法。
  5. 基材上に受容層を設け、該受容層には、基材上に昇華性染料を含有する染料層を有した熱転写シートから、加熱により熱転写した昇華性染料による熱転写画像が形成され、該熱転写画像の少なくとも一部分の上に、保護層が熱転写により設けられた印画物において、該保護層の少なくとも一部分に、加熱条件下で、表面が凹凸形状を有するエンボス版を型押しすることにより、表面にマット形状を形成されたことを特徴とする印画物。
  6. 前記の保護層が透明性を有し、かつガラス転移温度が80〜120℃の熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項5に記載する印画物。

  7. 前記の印画物表面の凹凸形状が、三次元表面粗さ形状測定機で測定したRa値が0.5〜10μmであり、かつ0.5〜10μmの凹凸の個数が1mm2当たり10〜200個を有するものであることを特徴とする請求項5に記載する印画物。
  8. 前記の印画物表面の入射角45°で測定した光沢度が30〜70%であることを特徴とする請求項5に記載する印画物。
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