JP2004090282A - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明フィルム層を均一に形成し、保護性能を向上させる。
【解決手段】インクカーリッジ装着部と、インク層及び透明フィルム層とを印画紙に熱転写するサーマルヘッドと、表面に凹凸パターンが形成された凹凸ローラとを有し、熱転写された透明フィルム層の表面に、凹凸ローラを押圧して、表面に形成された凹凸パターンを転写することによって、熱転写された透明フィルム層が全体で均一となり、保護性能及び視覚的効果が向上される。
【選択図】 図1
【解決手段】インクカーリッジ装着部と、インク層及び透明フィルム層とを印画紙に熱転写するサーマルヘッドと、表面に凹凸パターンが形成された凹凸ローラとを有し、熱転写された透明フィルム層の表面に、凹凸ローラを押圧して、表面に形成された凹凸パターンを転写することによって、熱転写された透明フィルム層が全体で均一となり、保護性能及び視覚的効果が向上される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク層を保護する透明フィルム上に凹凸パターンを形成する印刷装置及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ等で作製した画像を印画紙上に形成する方法の一つとして、熱転写方式がある。この熱転写方式では、印画紙に熱転写して形成されたインク画像を保護するための透明フィルムをインク画像上に熱転写することによって、画像が形成される。
【0003】
透明フィルムを熱転写する方法としては、加熱可能なローラでインク画像が形成されている面に透明フィルムを押圧する方法や、常温で粘着剤を用いてインク画像が形成されている面に透明フィルムを接着する方法等がある。また、他の熱転写方法としては、基材シート上に透明フィルム層を形成したインクリボンを用意して、このインクリボンの透明フィルム層をインク画像が形成されている面に熱転写する方法がある。例えば、サーマルヘッドを用いた熱転写方式の印刷装置の場合、サーマルヘッドでインクリボンのインク層を印画紙に熱転写してインク画像形成した後に連続して、透明フィルム層をインク画像が形成された面に熱転写してラミネートするため、加熱可能なローラや粘着剤等を用いずに透明フィルムを形成することができる。
【0004】
また、透明フィルム層の熱転写は、インク画像上に透明フィルム層を熱転写してインク画像を保護するだけではなく、例えば証明写真で用いられる銀塩写真と同じように、画像の品質を向上させることが求められている。このことについては、熱転写方式のみならずインクジェット方式等の他の方式においても同様である。
【0005】
銀塩写真の方法は、光学系を用いた非接触によって、様々な表面性をもった印画紙にインク画像を形成することができる。印画紙としては、例えば、表面が整然としたパターンからなる絹目状の凹凸パターンや、高級印画紙に見られるランダムなパターンが形成されたものが用いられる。銀塩写真は、表面にこのような凹凸パターンをもった印画紙に画像を形成することによって、絹目やつや消し等の視覚的効果が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昇華型熱転写方式では、サーマルヘッドでインクリボンを押圧して、インクリボンのインク層が形成されている面と印画紙とを直接、接触させて、インク層を選択的に熱転写してインク画像を形成する。続いて、昇華型熱転写方式では、インク画像が形成された面の全面に、表面に凹凸パターンを有する透明フィルム層を熱転写する。凹凸パターンを有する透明フィルム層の形成方法、透明フィルムを熱転写する際に、凹凸パターンの凹部分と、凸部分とでサーマルヘッドの熱転写エネルギーの量を変えることで、凹凸を形成すると共に、インク画像が形成された面の全面に透明フィルム層を熱転写する。
【0007】
したがって、昇華型熱転写方式では、凹凸パターンの凹部分と、凸部分との熱転写エネルギーの量が異なることから、凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層に差が生じてしまう。このため、昇華型熱転写方式では、インク画像の保護が図られなくなり、インク画像の保存性能が低下してしまう。また、昇華型熱転写方式では、透明フィルム層を熱転写する際に、印画紙に用いられる基材の材質やインク画面の表面性による影響を受けやすいため、凹凸パターンの形成が不十分となる。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱転写されたインク層上に熱転写される透明フィルムの保護性能を維持した状態で、視覚的効果を向上させる印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る印刷装置は、基材シート上の少なくとも一方の面にインク層と透明フィルム層とが順次形成されてなるインクリボンを有するインクカートリッジが装着されるインクカートリッジ装着部と、インクリボンのインク層を印刷媒体に熱転写し、その後、熱転写されたインク層上に透明フィルム層を熱転写するサーマルヘッドと、透明フィルム層を熱転写した後に、表面に形成された所定形状の凹凸パターンを熱転写された透明フィルム層の表面に押圧して、透明フィルム層の表面に所定形状の凹凸パターンを形成する凹凸ローラとを備える。
【0010】
この印刷装置によれば、インク層が熱転写された印画紙の全面に一度、均一に透明フィルム層が熱転写され、この熱転写された透明フィルム層の表面に、凹凸ローラの表面に形成されている所定形状の凹凸パターンを押圧することによって、透明フィルム層の表面に凹凸パターンを形成するため、凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層が均一となる。
【0011】
また、本発明に係る印刷方法は、基材シート上の少なくとも一方の面にインク層と透明フィルム層とが形成されてなるインクリボンを用い、サーマルヘッドでインクリボンのインク層を印刷媒体に熱転写した後に、熱転写されたインク層が形成された面の全面に透明フィルム層をサーマルヘッドで熱転写する熱転写工程と、透明フィルム層を熱転写した後に、表面に所定形状の凹凸パターンが形成された凹凸ローラを熱転写された透明フィルム層の表面に押圧して、透明フィルム層の表面に所定形状の凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを有する。
【0012】
この印刷方法によれば、インク層が熱転写された印画紙の全面に一度、均一に透明フィルム層を熱転写して、この熱転写された透明フィルム層の表面に、凹凸ローラの表面に形成されている所定形状の凹凸パターンを押圧することによって、透明フィルム層の表面に凹凸パターンを形成するため、凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層を均一に形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示す印刷装置1は、インクカートリッジ2が装着されるインクカートリッジ装着部3と、熱転写するサーマルヘッド4と、凹凸パターンを形成する凹凸ローラ5とを備える。
【0014】
インクカートリッジ2は、図2に示すインクリボン6と、インクリボン6が巻回されている供給側スプール7と、インクリボン6が巻き取られる巻取側リボンスプール8と、これらを収納するケース9とを有する。
【0015】
インクリボン6は、図3に示すように、プラスチックフィルムからなる基材シート10上に、イエロー(Y)のインク層11、マゼンダ(M)のインク層12、シアン(C)のインク層13、及び透明フィルム層14が、画像印刷領域に応じて順次、繰り返し塗布されている。また、インクリボン6には、イエロー(Y)のインク層11、マゼンダ(M)のインク層12、シアン(C)のインク層13、及び透明フィルム層14の繰り返し単位の先頭にあたるイエロー(Y)のインク層11の前に、位置検出用のセンサーマーク15aが形成されるとともに、各層の位置を検出するために各インク層11、12、13の前後にも位置検出用のセンサーマーク15b、15c、15dが形成されている。このインクリボン6は、供給側リボンスプール7に巻回されたインクリボン6の一端を引き出して巻取側リボンスプール8に係止されている。
【0016】
供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8には、図2に示すように、前端に環状に形成された回転支持部16a、16bが形成されており、この回転支持部16a、16bの内周面に連結凹部17a、17bが形成されている。供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8は、連結凹部17a、17bに、図示しない駆動モータ等の走行機構の駆動軸18a、18bが係合されることによって、走行機構により図2中の矢印A方向に回転駆動される。
【0017】
ケース9は、略円筒状の供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8を収納するための二つのリボンスプール収納部19a、19bが左右に離間し、互いに平行となすように設けられ、この二つのリボンスプール収納部19a、19bは連結部20によって連結されている。連結部20には、供給側リボンスプール7から巻取側リボンスプール8へと走行するインクリボン6のインク層11、12、13及び透明フィルム層14が形成されている面を外方に臨ませる印刷開口部21を有する。
【0018】
インクカートリッジ装着部3には、インクカートリッジ2が位置決めされた状態で装着される。インクカートリッジ2は、印刷装置1のインクカートリッジ装着部3に装着されると、駆動モータ等の走行機構に接続された駆動軸18a、18bが供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8の各連結凹部17a、17bに嵌合される。走行機構は、供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8の各連結凹部17a、17bと嵌合可能な形状の形成された駆動軸18a、18bを有する例えば駆動モータ等である。走行機構は、巻取側リボンスプール8の連合凹部17bに嵌合されている駆動軸18bを図1中の矢印B方向に駆動させることによって、図1中の矢印C方向にインクリボン6を走行させて、インクリボンを巻取側リボンスプール8に巻回する。
【0019】
サーマルヘッド4は、図1中の矢印D方向に回転可能なドラム22に弾接され、接離可能な状態で設けられている。サーマルヘッド4とドラム22との間には、サーマルヘッド4側をインクリボン6が走行し、ドラム22側を印画紙23が走行している。インクリボン6は、巻取側リボンスプール8に係合された走行機構の駆動軸18a、18bが、インクリボン6を走行させる方向である図1中の矢印B方向に回転することにより、サーマルヘッド4とドラム22との間を走行する。印画紙23は、ドラム22をインクリボン6が走行している方向にある図1中の矢印D方向に回転することにより、インクリボン6の走行方向と同方向に、サーマルヘッド4とドラム22との間を走行する。
【0020】
サーマルヘッド4は、走行しているインクリボン6をドラム22側へ押圧して、インクカートリッジ2の印刷開口部21からインクリボン6を走行している印画紙23に押圧した状態で、例えば選択的にイエロー(Y)のインク層11を印画紙23に熱転写し、インク画像24を形成する。続いて、サーマルヘッド4は、インク画像24が形成されている印画紙23の全面に、インクリボン6の透明フィルム層14を均一に熱転写する。
【0021】
凹凸ローラ5は、図1に示すように、サーマルヘッド4によって熱転写されたインク画像24上に透明フィルム層14が熱転写された印画紙23が排出される前に配置され、回転ローラ26に弾接されている。凹凸ローラ5は、図示しない回転駆動に接続される回転軸25を中心に、表面に絹目状の凹凸パターンやランダムな凹凸パターンが形成されている。
【0022】
凹凸ローラ5は、回転ローラ26との間に走行している印画紙23の熱転写された透明フィルム層14に対して、所定の圧力で表面に形成された凹凸パターンを押圧しながら、回転駆動機構により回転軸25を回転させることで、順次、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを転写する。
【0023】
したがって、凹凸ローラ5によれば、印画紙23に均一に熱転写された透明フィルム層14の表面を所定の圧力で押圧することによって、凹凸パターンが転写されるため、凹部分と凸部分との透明フィルム層14の差が生じず、インク画像24の十分な保護が図られる。また、凹凸ローラ5によれば、熱転写された透明フィルム層14の表面に、均一な凹凸パターンが形成されることによって、インク画像24の保護を維持した状態で、画像に絹目やつや消し等の効果が持たせることができ、画像品質の向上が図られる。
【0024】
なお、凹凸ローラ5は、表面に形成された所定形状の凹凸パターン、例えば、一定間隔で規則正しく凹凸が形成されている絹目や不規則に凹凸が形成されているランダム等の凹凸パターン毎に、印刷装置1に着脱可能とさせることが好ましい。これにより、凹凸ローラ5は、種々の凹凸パターンが選択され、交換可能とされることで、ユーザのニーズに応じて凹凸パターンを転写することが可能となる。
【0025】
以上の構成を有する印刷装置1は、サーマルヘッド4でインク画像24が形成された印画紙23の全面に一度、均一に透明フィルム層14を熱転写した後であって、印画紙23を排紙する前に設けられた凹凸ローラ5を熱転写された透明フィルム層14に、所定の圧力で押圧することによって、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成する。これにより、印刷装置1では、一度、均一に透明フィルム層14が形成されているため、凹凸パターンの凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層14に差が生じず、凹部分と凸部分との透明フィルム層14が均一に形成される。
【0026】
また、印刷装置1によれば、既に、均一に熱転写された透明フィルム層14上に凹凸ローラ5を押圧するため、印画紙23の基材の材質やインク画像24の表面性に関わらず、透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを十分に形成することができる。
【0027】
したがって、この印刷装置1よれば、熱転写された透明フィルム層14の凹凸パターンの凹部分と凸部分とで、熱転写された透明フィルムが均一なことから、インク画像25の保護が十分に図れると共に、画像に絹目やつや消し等の視覚的効果を持たせ、印刷物の品質の向上が図られる。
【0028】
また、上述した印刷装置1を用いて、透明フィルム層14に凹凸パターンを形成する印刷方法としては、サーマルヘッド4でインクリボン6のインク層11、12、13と透明フィルム層14とを熱転写する熱転写工程と、凹凸ローラ5で熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを有する。
【0029】
熱転写工程では、図1に示すように、インクカートリッジ2をインクリボンカートリッジ装着部3に位置決めした状態で装着して、供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8の各連結凹部17a、17bを走行機構の駆動軸18a、18bに接続する。インクリボン6は、巻取側リボンスプール8の連結凹部17bに接続されている駆動軸18bを駆動して、図1中の矢印B方向に、サーマルヘッド4とドラム22との間を走行させる。印画紙23は、ドラム22側から給紙され、サーマルヘッド4とドラム22との間のドラム22側を走行させる。
【0030】
熱転写工程では、サーマルヘッド4とドラム22との間に、インクリボン6と印画紙23とを走行させて、サーマルヘッド4が走行しているインクリボン6をドラム22側へ押圧して、インクカートリッジ2の印刷開口部21を介して、インクリボン6を印画紙23に圧接する。熱転写工程では、インクリボン6を印画紙23に圧接することにより、図4に示すように、図4中の矢印E方向に走行しているインクリボン6の例えば、イエロー(Y)のインク層11を選択的に加熱して、図4中の矢印F方向に走行する印画紙23に熱転写する。次に、熱転写工程では、図5に示すように、熱転写されたインク画像24が形成された面の全面に、サーマルヘッド4で均一に透明フィルム層14を熱転写する。
【0031】
次に、凹凸パターン形成工程では、熱転写工程で一度、均一に熱転写された透明フィルム層14が形成されている印画紙23が排紙される前に設けられ、回転駆動に接続された回転軸25を中心に、表面に絹目状の凹凸パターンやランダムな凹凸パターンが形成された凹凸ローラ5で、図6に示すように、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成する。凹凸パターン形成工程では、透明フィルム層14が熱転写されている面を凹凸ローラ5側にして、凹凸ローラ5と回転ローラ26との間を走行させ、走行している印画紙23の透明フィルム層14に対して凹凸ローラ5を所定の圧力で押圧する。これにより、凹凸パターン形成工程では、熱転写された透明フィルム層14の表面に、凹凸ローラ5の表面に形成されている凹凸パターンが転写されるため、凹凸パターンを有する透明フィルム層14が形成される。
【0032】
したがって、凹凸パターン形成工程では、一度、均一に熱転写された透明フィルム層14の表面に、凹凸ローラ5を押圧して、表面に形成された凹凸パターンを転写して、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成することによって、凹部分と凸部分との熱転写された透明フィルム層14が均一なる。これにより、凹凸パターン形成工程では、インク画像25の十分な保護が図られると共に、画像に絹目やつや消し等の視覚的効果を持たせるようにすることができる。
【0033】
なお、凹凸パターン形成工程では、回転ローラ5の表面に形成された所定形状の凹凸パターン、例えば、一定間隔で規則正しく凹凸が形成されている絹目や不規則に凹凸が形成されているランダム等の凹凸パターン毎に、回転ローラ5を印刷装置1に着脱可能とさせることが好ましい。これにより、凹凸パターン形成工程では、種々の凹凸パターンが選択され、回転ローラ3の交換可能とされることで、ユーザのニーズに応じて凹凸パターンを転写することができる。
【0034】
以上の構成を有する印刷方法によれば、サーマルヘッド4で、インク画像24が熱転写された印画紙23の全面に一度、均一に透明フィルム層14を熱転写し、その後、凹凸ローラ5を熱転写された透明フィルム層14に所定の圧力で押圧することで凹凸パターンを形成する。これにより、この印刷方法では、凹凸パターンの凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層14に差がなく、凹凸パターンが形成され、凹部分と凸部分との透明フィルム層14が均一となる。
【0035】
また、印刷方法によれば、既に、均一に熱転写された透明フィルム層14上に凹凸ローラ5を押圧するため、印画紙23の基材の材質やインク画像24の表面性に関わらず、透明フィルム層14の表面に凹凸パターンが十分に形成される。
【0036】
したがって、この印刷方法よれば、凹凸パターンを有し、熱転写された透明フィルム層が凹部分と凸部分とで均一なことから、インク画像25の保護が十分に図れると共に、画像に絹目やつや消し等の視覚的効果を持たせ、印刷物の品質の向上が図られる。
【0037】
【実施例】
以下、上述した印刷方法を用いて印刷を行った実施例について、具体的に説明する。
【0038】
先ず、本実施例で使用した印刷装置について説明する。サーマルヘッドによりインク層及び透明フィルム層を熱転写する印刷装置としては、ソニー株式会社製の昇華型プリンターDIGTAL PHOTO PRONTER DPP−SV55を使用する。インクリボン及び印画紙には、DPP−SV55純正メディアであるSVM−25LSを使用する。また、印刷装置には、熱転写された透明フィルム層に形成する凹凸パターンのデータを作製し、この凹凸パターンのデータを印刷装置に転送するパーソナルコンピュータがインターフェイスで接続されている。このコンピュータで、Adobe製のソフトウェアAdobe Photoshopを使用して評価用画像データを作製した。
【0039】
作製した評価用画像データを用いて、評価用画像を作製した。評価用画像は、上述した印刷装置の印画紙を排紙する排紙口前に、表面に凹凸パターンが形成された凹凸ローラを配設した状態で、サーマルヘッドで印画紙にインク層及び透明フィルム層の熱転写を行う。続いて、評価用画像は、熱転写された透明フィルム層に凹凸ローラを所定の圧力で押圧して凹凸パターンを形成し、作製した。
【0040】
この評価用画像と比較するための比較用画像は、次のようにして作製した。比較用画像は、昇華型プリンターDIGTAL PHOTO PRONTER DPP−SV55を使用し、DPP−SV55用プリンタ−ドライバから凹凸パターンの種類を選択し、透明フィルム層をインク画像が形成された面の全面に熱転写すると共に、凹凸パターンを形成する通常の印画方法を用いて作製した。これらの評価用画像及び比較用画像に対して、視覚的効果及び耐転写性の評価を行った。この評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
なお、実施例1乃至実施例3は、評価用画像の評価である。比較例1乃至比較例3は、比較用画像の評価である。
【0043】
表1において、実施例1乃至実施例3、及び比較例1乃至比較例3の耐転写性を次のようにして評価した。先ず、評価用画像が印画された印画紙、比較用画像が印画されている印画紙及び可塑剤シート(塩化ビニル樹脂シート:MITSUBISHI アルトロン)を各々、縦5cm、横5cmに裁断する。次に、裁断した評価用画像が印画された印画紙及び比較用画像が印画された印画紙の各々の画像面と、可塑剤シートとを重ね合わせ、1kgの荷重をかける。この状態で、50℃環境下において、48時間は保存した後、評価用画像及び比較用画像の画像の可塑剤シートへの転写量を測定した。転写量は、試験前後の可塑剤シートの透過濃度を測定し、その透過濃度差で示す。
【0044】
表1に示す結果から、実施例1乃至実施例3では、従来の印刷方法で行った比較例1乃至比較例3と同様の視覚的効果が得られ、視覚的効果が維持されていることが分かる。また、実施例1乃至実施例3では、透過濃度差が比較例1乃至比較例3と比べて、低いことが分かる。比較例1乃至比較例3では、熱転写エネルギーの量を凹部分と凸部分とで変えることによって、凹凸パターンを形成してながら透明フィルム層を熱転写するため、凹部分と凸部分とで転写された透明フィルムの差が生じ、インク画像の保護性能が低下してしまうため、転写量が大きくなる。
【0045】
一方、実施例1乃至実施例3では、印画紙のインク画像が形成されている面に、一度、均一に透明フィルム層を熱転写した後に、熱転写された透明フィルムの表面に所定の圧力で押圧して、凹凸パターンが形成される。これにより、実施例1乃至実施例3では、凹凸パターンの凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層が均一となり、高い保護性能が得られるため、転写量が小さくなる。
【0046】
したがって、実施例1乃至実施例3では、一度、均一に透明フィルム層を熱転写した後に、熱転写された透明フィルムの表面に所定の圧力で押圧して、凹凸パターンが形成されることによって、回転ローラの凹凸パターンに種類に関わらず、視覚的効果を維持した状態で、インク画像に対する保護性能の向上が図られる。
【0047】
【発明の効果】
以上、本発明に係る印刷装置及び印刷方法によれば、印画紙に透明フィルム層を熱転写した後に、凹凸ローラを熱転写された透明フィルム層の表面を押圧して、凹凸パターンを形成することによって、熱転写された透明フィルム層全体が均一となり、インク画像の保護性能が維持された状態で、高い視覚的効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された印刷装置の模式図である。
【図2】インクカートリッジの斜視図である。
【図3】インクリボンの平面図である。
【図4】印画紙上にインク層を転写する際の断面図である。
【図5】印画紙に熱転写されたインク層上に透明フィルム層を熱転写する際の断面図である。
【図6】透明フィルム層上に凹凸ローラを押圧した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 印刷装置、2 インクカートリッジ、3 インクカートリッジ装着部、サーマルヘッド、5 凹凸ローラ、6 インクリボン、7 供給側リボンスプール、8 巻取側リボンスプール、18a 駆動軸、18b 駆動軸、22 ドラム、23 印画紙、25 回転軸、26 回転ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク層を保護する透明フィルム上に凹凸パターンを形成する印刷装置及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ等で作製した画像を印画紙上に形成する方法の一つとして、熱転写方式がある。この熱転写方式では、印画紙に熱転写して形成されたインク画像を保護するための透明フィルムをインク画像上に熱転写することによって、画像が形成される。
【0003】
透明フィルムを熱転写する方法としては、加熱可能なローラでインク画像が形成されている面に透明フィルムを押圧する方法や、常温で粘着剤を用いてインク画像が形成されている面に透明フィルムを接着する方法等がある。また、他の熱転写方法としては、基材シート上に透明フィルム層を形成したインクリボンを用意して、このインクリボンの透明フィルム層をインク画像が形成されている面に熱転写する方法がある。例えば、サーマルヘッドを用いた熱転写方式の印刷装置の場合、サーマルヘッドでインクリボンのインク層を印画紙に熱転写してインク画像形成した後に連続して、透明フィルム層をインク画像が形成された面に熱転写してラミネートするため、加熱可能なローラや粘着剤等を用いずに透明フィルムを形成することができる。
【0004】
また、透明フィルム層の熱転写は、インク画像上に透明フィルム層を熱転写してインク画像を保護するだけではなく、例えば証明写真で用いられる銀塩写真と同じように、画像の品質を向上させることが求められている。このことについては、熱転写方式のみならずインクジェット方式等の他の方式においても同様である。
【0005】
銀塩写真の方法は、光学系を用いた非接触によって、様々な表面性をもった印画紙にインク画像を形成することができる。印画紙としては、例えば、表面が整然としたパターンからなる絹目状の凹凸パターンや、高級印画紙に見られるランダムなパターンが形成されたものが用いられる。銀塩写真は、表面にこのような凹凸パターンをもった印画紙に画像を形成することによって、絹目やつや消し等の視覚的効果が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昇華型熱転写方式では、サーマルヘッドでインクリボンを押圧して、インクリボンのインク層が形成されている面と印画紙とを直接、接触させて、インク層を選択的に熱転写してインク画像を形成する。続いて、昇華型熱転写方式では、インク画像が形成された面の全面に、表面に凹凸パターンを有する透明フィルム層を熱転写する。凹凸パターンを有する透明フィルム層の形成方法、透明フィルムを熱転写する際に、凹凸パターンの凹部分と、凸部分とでサーマルヘッドの熱転写エネルギーの量を変えることで、凹凸を形成すると共に、インク画像が形成された面の全面に透明フィルム層を熱転写する。
【0007】
したがって、昇華型熱転写方式では、凹凸パターンの凹部分と、凸部分との熱転写エネルギーの量が異なることから、凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層に差が生じてしまう。このため、昇華型熱転写方式では、インク画像の保護が図られなくなり、インク画像の保存性能が低下してしまう。また、昇華型熱転写方式では、透明フィルム層を熱転写する際に、印画紙に用いられる基材の材質やインク画面の表面性による影響を受けやすいため、凹凸パターンの形成が不十分となる。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱転写されたインク層上に熱転写される透明フィルムの保護性能を維持した状態で、視覚的効果を向上させる印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る印刷装置は、基材シート上の少なくとも一方の面にインク層と透明フィルム層とが順次形成されてなるインクリボンを有するインクカートリッジが装着されるインクカートリッジ装着部と、インクリボンのインク層を印刷媒体に熱転写し、その後、熱転写されたインク層上に透明フィルム層を熱転写するサーマルヘッドと、透明フィルム層を熱転写した後に、表面に形成された所定形状の凹凸パターンを熱転写された透明フィルム層の表面に押圧して、透明フィルム層の表面に所定形状の凹凸パターンを形成する凹凸ローラとを備える。
【0010】
この印刷装置によれば、インク層が熱転写された印画紙の全面に一度、均一に透明フィルム層が熱転写され、この熱転写された透明フィルム層の表面に、凹凸ローラの表面に形成されている所定形状の凹凸パターンを押圧することによって、透明フィルム層の表面に凹凸パターンを形成するため、凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層が均一となる。
【0011】
また、本発明に係る印刷方法は、基材シート上の少なくとも一方の面にインク層と透明フィルム層とが形成されてなるインクリボンを用い、サーマルヘッドでインクリボンのインク層を印刷媒体に熱転写した後に、熱転写されたインク層が形成された面の全面に透明フィルム層をサーマルヘッドで熱転写する熱転写工程と、透明フィルム層を熱転写した後に、表面に所定形状の凹凸パターンが形成された凹凸ローラを熱転写された透明フィルム層の表面に押圧して、透明フィルム層の表面に所定形状の凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを有する。
【0012】
この印刷方法によれば、インク層が熱転写された印画紙の全面に一度、均一に透明フィルム層を熱転写して、この熱転写された透明フィルム層の表面に、凹凸ローラの表面に形成されている所定形状の凹凸パターンを押圧することによって、透明フィルム層の表面に凹凸パターンを形成するため、凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層を均一に形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示す印刷装置1は、インクカートリッジ2が装着されるインクカートリッジ装着部3と、熱転写するサーマルヘッド4と、凹凸パターンを形成する凹凸ローラ5とを備える。
【0014】
インクカートリッジ2は、図2に示すインクリボン6と、インクリボン6が巻回されている供給側スプール7と、インクリボン6が巻き取られる巻取側リボンスプール8と、これらを収納するケース9とを有する。
【0015】
インクリボン6は、図3に示すように、プラスチックフィルムからなる基材シート10上に、イエロー(Y)のインク層11、マゼンダ(M)のインク層12、シアン(C)のインク層13、及び透明フィルム層14が、画像印刷領域に応じて順次、繰り返し塗布されている。また、インクリボン6には、イエロー(Y)のインク層11、マゼンダ(M)のインク層12、シアン(C)のインク層13、及び透明フィルム層14の繰り返し単位の先頭にあたるイエロー(Y)のインク層11の前に、位置検出用のセンサーマーク15aが形成されるとともに、各層の位置を検出するために各インク層11、12、13の前後にも位置検出用のセンサーマーク15b、15c、15dが形成されている。このインクリボン6は、供給側リボンスプール7に巻回されたインクリボン6の一端を引き出して巻取側リボンスプール8に係止されている。
【0016】
供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8には、図2に示すように、前端に環状に形成された回転支持部16a、16bが形成されており、この回転支持部16a、16bの内周面に連結凹部17a、17bが形成されている。供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8は、連結凹部17a、17bに、図示しない駆動モータ等の走行機構の駆動軸18a、18bが係合されることによって、走行機構により図2中の矢印A方向に回転駆動される。
【0017】
ケース9は、略円筒状の供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8を収納するための二つのリボンスプール収納部19a、19bが左右に離間し、互いに平行となすように設けられ、この二つのリボンスプール収納部19a、19bは連結部20によって連結されている。連結部20には、供給側リボンスプール7から巻取側リボンスプール8へと走行するインクリボン6のインク層11、12、13及び透明フィルム層14が形成されている面を外方に臨ませる印刷開口部21を有する。
【0018】
インクカートリッジ装着部3には、インクカートリッジ2が位置決めされた状態で装着される。インクカートリッジ2は、印刷装置1のインクカートリッジ装着部3に装着されると、駆動モータ等の走行機構に接続された駆動軸18a、18bが供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8の各連結凹部17a、17bに嵌合される。走行機構は、供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8の各連結凹部17a、17bと嵌合可能な形状の形成された駆動軸18a、18bを有する例えば駆動モータ等である。走行機構は、巻取側リボンスプール8の連合凹部17bに嵌合されている駆動軸18bを図1中の矢印B方向に駆動させることによって、図1中の矢印C方向にインクリボン6を走行させて、インクリボンを巻取側リボンスプール8に巻回する。
【0019】
サーマルヘッド4は、図1中の矢印D方向に回転可能なドラム22に弾接され、接離可能な状態で設けられている。サーマルヘッド4とドラム22との間には、サーマルヘッド4側をインクリボン6が走行し、ドラム22側を印画紙23が走行している。インクリボン6は、巻取側リボンスプール8に係合された走行機構の駆動軸18a、18bが、インクリボン6を走行させる方向である図1中の矢印B方向に回転することにより、サーマルヘッド4とドラム22との間を走行する。印画紙23は、ドラム22をインクリボン6が走行している方向にある図1中の矢印D方向に回転することにより、インクリボン6の走行方向と同方向に、サーマルヘッド4とドラム22との間を走行する。
【0020】
サーマルヘッド4は、走行しているインクリボン6をドラム22側へ押圧して、インクカートリッジ2の印刷開口部21からインクリボン6を走行している印画紙23に押圧した状態で、例えば選択的にイエロー(Y)のインク層11を印画紙23に熱転写し、インク画像24を形成する。続いて、サーマルヘッド4は、インク画像24が形成されている印画紙23の全面に、インクリボン6の透明フィルム層14を均一に熱転写する。
【0021】
凹凸ローラ5は、図1に示すように、サーマルヘッド4によって熱転写されたインク画像24上に透明フィルム層14が熱転写された印画紙23が排出される前に配置され、回転ローラ26に弾接されている。凹凸ローラ5は、図示しない回転駆動に接続される回転軸25を中心に、表面に絹目状の凹凸パターンやランダムな凹凸パターンが形成されている。
【0022】
凹凸ローラ5は、回転ローラ26との間に走行している印画紙23の熱転写された透明フィルム層14に対して、所定の圧力で表面に形成された凹凸パターンを押圧しながら、回転駆動機構により回転軸25を回転させることで、順次、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを転写する。
【0023】
したがって、凹凸ローラ5によれば、印画紙23に均一に熱転写された透明フィルム層14の表面を所定の圧力で押圧することによって、凹凸パターンが転写されるため、凹部分と凸部分との透明フィルム層14の差が生じず、インク画像24の十分な保護が図られる。また、凹凸ローラ5によれば、熱転写された透明フィルム層14の表面に、均一な凹凸パターンが形成されることによって、インク画像24の保護を維持した状態で、画像に絹目やつや消し等の効果が持たせることができ、画像品質の向上が図られる。
【0024】
なお、凹凸ローラ5は、表面に形成された所定形状の凹凸パターン、例えば、一定間隔で規則正しく凹凸が形成されている絹目や不規則に凹凸が形成されているランダム等の凹凸パターン毎に、印刷装置1に着脱可能とさせることが好ましい。これにより、凹凸ローラ5は、種々の凹凸パターンが選択され、交換可能とされることで、ユーザのニーズに応じて凹凸パターンを転写することが可能となる。
【0025】
以上の構成を有する印刷装置1は、サーマルヘッド4でインク画像24が形成された印画紙23の全面に一度、均一に透明フィルム層14を熱転写した後であって、印画紙23を排紙する前に設けられた凹凸ローラ5を熱転写された透明フィルム層14に、所定の圧力で押圧することによって、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成する。これにより、印刷装置1では、一度、均一に透明フィルム層14が形成されているため、凹凸パターンの凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層14に差が生じず、凹部分と凸部分との透明フィルム層14が均一に形成される。
【0026】
また、印刷装置1によれば、既に、均一に熱転写された透明フィルム層14上に凹凸ローラ5を押圧するため、印画紙23の基材の材質やインク画像24の表面性に関わらず、透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを十分に形成することができる。
【0027】
したがって、この印刷装置1よれば、熱転写された透明フィルム層14の凹凸パターンの凹部分と凸部分とで、熱転写された透明フィルムが均一なことから、インク画像25の保護が十分に図れると共に、画像に絹目やつや消し等の視覚的効果を持たせ、印刷物の品質の向上が図られる。
【0028】
また、上述した印刷装置1を用いて、透明フィルム層14に凹凸パターンを形成する印刷方法としては、サーマルヘッド4でインクリボン6のインク層11、12、13と透明フィルム層14とを熱転写する熱転写工程と、凹凸ローラ5で熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを有する。
【0029】
熱転写工程では、図1に示すように、インクカートリッジ2をインクリボンカートリッジ装着部3に位置決めした状態で装着して、供給側リボンスプール7及び巻取側リボンスプール8の各連結凹部17a、17bを走行機構の駆動軸18a、18bに接続する。インクリボン6は、巻取側リボンスプール8の連結凹部17bに接続されている駆動軸18bを駆動して、図1中の矢印B方向に、サーマルヘッド4とドラム22との間を走行させる。印画紙23は、ドラム22側から給紙され、サーマルヘッド4とドラム22との間のドラム22側を走行させる。
【0030】
熱転写工程では、サーマルヘッド4とドラム22との間に、インクリボン6と印画紙23とを走行させて、サーマルヘッド4が走行しているインクリボン6をドラム22側へ押圧して、インクカートリッジ2の印刷開口部21を介して、インクリボン6を印画紙23に圧接する。熱転写工程では、インクリボン6を印画紙23に圧接することにより、図4に示すように、図4中の矢印E方向に走行しているインクリボン6の例えば、イエロー(Y)のインク層11を選択的に加熱して、図4中の矢印F方向に走行する印画紙23に熱転写する。次に、熱転写工程では、図5に示すように、熱転写されたインク画像24が形成された面の全面に、サーマルヘッド4で均一に透明フィルム層14を熱転写する。
【0031】
次に、凹凸パターン形成工程では、熱転写工程で一度、均一に熱転写された透明フィルム層14が形成されている印画紙23が排紙される前に設けられ、回転駆動に接続された回転軸25を中心に、表面に絹目状の凹凸パターンやランダムな凹凸パターンが形成された凹凸ローラ5で、図6に示すように、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成する。凹凸パターン形成工程では、透明フィルム層14が熱転写されている面を凹凸ローラ5側にして、凹凸ローラ5と回転ローラ26との間を走行させ、走行している印画紙23の透明フィルム層14に対して凹凸ローラ5を所定の圧力で押圧する。これにより、凹凸パターン形成工程では、熱転写された透明フィルム層14の表面に、凹凸ローラ5の表面に形成されている凹凸パターンが転写されるため、凹凸パターンを有する透明フィルム層14が形成される。
【0032】
したがって、凹凸パターン形成工程では、一度、均一に熱転写された透明フィルム層14の表面に、凹凸ローラ5を押圧して、表面に形成された凹凸パターンを転写して、熱転写された透明フィルム層14の表面に凹凸パターンを形成することによって、凹部分と凸部分との熱転写された透明フィルム層14が均一なる。これにより、凹凸パターン形成工程では、インク画像25の十分な保護が図られると共に、画像に絹目やつや消し等の視覚的効果を持たせるようにすることができる。
【0033】
なお、凹凸パターン形成工程では、回転ローラ5の表面に形成された所定形状の凹凸パターン、例えば、一定間隔で規則正しく凹凸が形成されている絹目や不規則に凹凸が形成されているランダム等の凹凸パターン毎に、回転ローラ5を印刷装置1に着脱可能とさせることが好ましい。これにより、凹凸パターン形成工程では、種々の凹凸パターンが選択され、回転ローラ3の交換可能とされることで、ユーザのニーズに応じて凹凸パターンを転写することができる。
【0034】
以上の構成を有する印刷方法によれば、サーマルヘッド4で、インク画像24が熱転写された印画紙23の全面に一度、均一に透明フィルム層14を熱転写し、その後、凹凸ローラ5を熱転写された透明フィルム層14に所定の圧力で押圧することで凹凸パターンを形成する。これにより、この印刷方法では、凹凸パターンの凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層14に差がなく、凹凸パターンが形成され、凹部分と凸部分との透明フィルム層14が均一となる。
【0035】
また、印刷方法によれば、既に、均一に熱転写された透明フィルム層14上に凹凸ローラ5を押圧するため、印画紙23の基材の材質やインク画像24の表面性に関わらず、透明フィルム層14の表面に凹凸パターンが十分に形成される。
【0036】
したがって、この印刷方法よれば、凹凸パターンを有し、熱転写された透明フィルム層が凹部分と凸部分とで均一なことから、インク画像25の保護が十分に図れると共に、画像に絹目やつや消し等の視覚的効果を持たせ、印刷物の品質の向上が図られる。
【0037】
【実施例】
以下、上述した印刷方法を用いて印刷を行った実施例について、具体的に説明する。
【0038】
先ず、本実施例で使用した印刷装置について説明する。サーマルヘッドによりインク層及び透明フィルム層を熱転写する印刷装置としては、ソニー株式会社製の昇華型プリンターDIGTAL PHOTO PRONTER DPP−SV55を使用する。インクリボン及び印画紙には、DPP−SV55純正メディアであるSVM−25LSを使用する。また、印刷装置には、熱転写された透明フィルム層に形成する凹凸パターンのデータを作製し、この凹凸パターンのデータを印刷装置に転送するパーソナルコンピュータがインターフェイスで接続されている。このコンピュータで、Adobe製のソフトウェアAdobe Photoshopを使用して評価用画像データを作製した。
【0039】
作製した評価用画像データを用いて、評価用画像を作製した。評価用画像は、上述した印刷装置の印画紙を排紙する排紙口前に、表面に凹凸パターンが形成された凹凸ローラを配設した状態で、サーマルヘッドで印画紙にインク層及び透明フィルム層の熱転写を行う。続いて、評価用画像は、熱転写された透明フィルム層に凹凸ローラを所定の圧力で押圧して凹凸パターンを形成し、作製した。
【0040】
この評価用画像と比較するための比較用画像は、次のようにして作製した。比較用画像は、昇華型プリンターDIGTAL PHOTO PRONTER DPP−SV55を使用し、DPP−SV55用プリンタ−ドライバから凹凸パターンの種類を選択し、透明フィルム層をインク画像が形成された面の全面に熱転写すると共に、凹凸パターンを形成する通常の印画方法を用いて作製した。これらの評価用画像及び比較用画像に対して、視覚的効果及び耐転写性の評価を行った。この評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
なお、実施例1乃至実施例3は、評価用画像の評価である。比較例1乃至比較例3は、比較用画像の評価である。
【0043】
表1において、実施例1乃至実施例3、及び比較例1乃至比較例3の耐転写性を次のようにして評価した。先ず、評価用画像が印画された印画紙、比較用画像が印画されている印画紙及び可塑剤シート(塩化ビニル樹脂シート:MITSUBISHI アルトロン)を各々、縦5cm、横5cmに裁断する。次に、裁断した評価用画像が印画された印画紙及び比較用画像が印画された印画紙の各々の画像面と、可塑剤シートとを重ね合わせ、1kgの荷重をかける。この状態で、50℃環境下において、48時間は保存した後、評価用画像及び比較用画像の画像の可塑剤シートへの転写量を測定した。転写量は、試験前後の可塑剤シートの透過濃度を測定し、その透過濃度差で示す。
【0044】
表1に示す結果から、実施例1乃至実施例3では、従来の印刷方法で行った比較例1乃至比較例3と同様の視覚的効果が得られ、視覚的効果が維持されていることが分かる。また、実施例1乃至実施例3では、透過濃度差が比較例1乃至比較例3と比べて、低いことが分かる。比較例1乃至比較例3では、熱転写エネルギーの量を凹部分と凸部分とで変えることによって、凹凸パターンを形成してながら透明フィルム層を熱転写するため、凹部分と凸部分とで転写された透明フィルムの差が生じ、インク画像の保護性能が低下してしまうため、転写量が大きくなる。
【0045】
一方、実施例1乃至実施例3では、印画紙のインク画像が形成されている面に、一度、均一に透明フィルム層を熱転写した後に、熱転写された透明フィルムの表面に所定の圧力で押圧して、凹凸パターンが形成される。これにより、実施例1乃至実施例3では、凹凸パターンの凹部分と凸部分とで熱転写された透明フィルム層が均一となり、高い保護性能が得られるため、転写量が小さくなる。
【0046】
したがって、実施例1乃至実施例3では、一度、均一に透明フィルム層を熱転写した後に、熱転写された透明フィルムの表面に所定の圧力で押圧して、凹凸パターンが形成されることによって、回転ローラの凹凸パターンに種類に関わらず、視覚的効果を維持した状態で、インク画像に対する保護性能の向上が図られる。
【0047】
【発明の効果】
以上、本発明に係る印刷装置及び印刷方法によれば、印画紙に透明フィルム層を熱転写した後に、凹凸ローラを熱転写された透明フィルム層の表面を押圧して、凹凸パターンを形成することによって、熱転写された透明フィルム層全体が均一となり、インク画像の保護性能が維持された状態で、高い視覚的効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された印刷装置の模式図である。
【図2】インクカートリッジの斜視図である。
【図3】インクリボンの平面図である。
【図4】印画紙上にインク層を転写する際の断面図である。
【図5】印画紙に熱転写されたインク層上に透明フィルム層を熱転写する際の断面図である。
【図6】透明フィルム層上に凹凸ローラを押圧した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 印刷装置、2 インクカートリッジ、3 インクカートリッジ装着部、サーマルヘッド、5 凹凸ローラ、6 インクリボン、7 供給側リボンスプール、8 巻取側リボンスプール、18a 駆動軸、18b 駆動軸、22 ドラム、23 印画紙、25 回転軸、26 回転ローラ
Claims (10)
- 基材シート上の少なくとも一方の面にインク層と透明フィルム層とが順次形成されてなるインクリボンを有するインクカートリッジが装着されるインクカートリッジ装着部と、
上記インクリボンの上記インク層を印刷媒体に熱転写し、その後、熱転写された上記インク層上に上記透明フィルム層を熱転写するサーマルヘッドと、
上記透明フィルム層を熱転写した後に、表面に形成された所定形状の凹凸パターンを熱転写された上記透明フィルム層の表面に押圧して、上記透明フィルム層の表面に所定形状の凹凸パターンを形成する凹凸ローラとを備える印刷装置。 - 上記凹凸ローラは、表面に形成された所定形状の凹凸パターン毎に脱着可能とされる請求項1記載の印刷装置。
- 上記凹凸ローラは、表面に形成された所定形状の凹凸パターンが絹目状に形成されている請求項1記載の印刷装置。
- 上記凹凸ローラは、表面に形成された所定形状の凹凸パターンがランダムに形成されている請求項1記載の印刷装置。
- 上記凹凸ローラは、回転ローラと弾接されている請求項1記載の印刷装置。
- 基材シート上の少なくとも一方の面にインク層と透明フィルム層とが形成されてなるインクリボンを用い、サーマルヘッドで上記インクリボンの上記インク層を印刷媒体に熱転写した後に、熱転写された上記インク層が形成された面の全面に上記透明フィルム層を上記サーマルヘッドで熱転写する熱転写工程と、
上記透明フィルム層を熱転写した後に、表面に所定形状の凹凸パターンが形成された凹凸ローラを熱転写された上記透明フィルム層の表面に押圧して、上記透明フィルム層の表面に所定形状の凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを有する印刷方法。 - 上記凹凸ローラは、表面に形成された所定形状の凹凸パターン毎に着脱可能である請求項5記載の印刷方法。
- 上記凹凸ローラは、表面に形成された所定形状の凹凸パターンが絹目状に形成されている請求項5記載の印刷方法。
- 上記凹凸ローラは、表面に形成された所定形状の凹凸パターンがランダムに形成されている請求項5記載の印刷方法。
- 上記凹凸ローラは、回転ローラと弾接されている請求項5記載の印刷方法。
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