WO2017104837A1

WO2017104837A1 - 魚釣用スピニングリール

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Publication number: WO2017104837A1
Application number: PCT/JP2016/087656
Authority: WO
Inventors: 清水　栄仁; 松田　和之; 堤　わたる; 真嗣藤岡; 博典堀江
Original assignee: グローブライド株式会社
Priority date: 2015-12-18
Filing date: 2016-12-16
Publication date: 2017-06-22
Also published as: CN112674049A; EP3391743B1; KR20180093929A; EP3391743A4; CN108471734A; US20180368377A1; EP3391743A1; US10856535B2; CN108471734B

Abstract

本発明の課題は、リール本体の小型化を図りつつ、スプール往復動装置の機能低下を回避できる魚釣用スピニングリールを提供することであり、本発明は、リール本体（１）と、リール本体（１）に回転自在に支持されるロータ（２）と、を備え、リール本体（１）は、側部開口部（１３）が形成され、内部にスプール往復動装置（７０）が収容支持されるボディ（１０）と、側部開口部（１３）を塞ぐ蓋部材（３０）と、ボディ（１０）の後部に取り付けられるカバー部材（４０）とを備え、ボディ（１０）と蓋部材（３０）とでハンドル軸（５）を回転自在に支持する魚釣用スピニングリール（１００）であって、ボディ（１０）の後部には、スプール往復動装置（７０）を構成する構成部材の少なくとも一部を受け入れて後方に配置するための後部開口部（１５）が形成され、カバー部材（４０）は、後部開口部（１５）及び構成部材を覆うことを特徴とする。

Description

魚釣用スピニングリール

　本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。

　魚釣用スピニングリールのリール本体は、ハンドル軸を回転自在に支持するボディを備える。また、ボディは、ドライブギャ及びスプール往復動装置等の駆動部を収容するための筐体としての役割を有している。このため、ボディは、側方に向って開口する有底箱状を呈し、ボディの側方の開口（以下、側部開口部という）から、ハンドル軸と一体回転するドライブギャ等の巻取駆動機構やスプール往復動装置等をボディ内に組み付けて蓋部材で閉塞する構成となっている。

　また、ボディ内において、スプールに釣糸を平行に巻回するためのスプール往復動装置は、公知のようにハンドル軸上の歯車に噛合し、ハンドル軸の回転をスプール軸の前後動に変換するための偏芯突起を有する連動歯車が、ボディの中央部から離間した下部側（竿取付部と反対側）の底部に配置されている（特許文献１参照）。

特開２００４－１２１０４８号公報

　近年、魚釣り操作性や携帯性向上のために、リール本体の小型化が魚釣用スピニングリールの重要な要素の１つとなっている。
　しかしながら、リール本体を小型化すると、ボディ内の空間が狭小となる。よって、スプール往復動装置を構成する部品、例えば、連動歯車や摺動子等を収容するための空間も狭小となり、連動歯車の小径化を招く。この結果、スプール往復動装置の摺動子のストロークが短縮してしまい、所定の糸巻容量が確保できなくなってしまう等、スプール往復動装置の機能が低下する。

　本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、リール本体の小型化を図りつつ、スプール往復動装置の機能低下を回避できる魚釣用スピニングリールを提供することを課題とする。

　前記課題を解決するため、本発明に係る魚釣用スピングリールは、リール本体と、前記リール本体に回転自在に支持されるロータと、を備え、前記リール本体は、側部開口部が形成され、内部にスプール往復動装置が収容支持されるボディと、前記側部開口部を塞ぐ蓋部材と、前記ボディの後部に取り付けられるカバー部材と、を備え、前記ボディと前記蓋部材とでハンドル軸を回転自在に支持する魚釣用スピニングリールであって、前記ボディの後部には、前記スプール往復動装置を構成する構成部材の少なくとも一部を受け入れて後方に配置するための後部開口部が形成され、前記カバー部材は、前記後部開口部及び前記構成部材を覆うことを特徴とする。

　前記発明によれば、後部開口部から構成部材の少なくとも一部を受け入れてボディの後方に配置することができる。このため、リール本体内の空間の大きさに制限されることがなく、所望の大きさの構成部材を用いることができる。
　また、カバー部材が構成部材及び後部開口部を覆うため、海水や塵埃が構成部材に付着したり、リール本体内に入り込んだりするおそれがない。

　また、前記発明において、前記ボディは、前記側部開口部と前記後部開口部との間に延在し、前記側部開口部と前記後部開口部とのそれぞれの開口の端縁を成す架橋部を有し、前記側部開口部と前記蓋部材とは、円形に形成されていることが好ましい。

　前記構成によれば、架橋部によりボディの強度が向上する。
　また、架橋部を形成することで、側部開口部を周方向に連続させること、言い換えると側部開口部を円形に形成することができる。
　さらに、蓋部材及び側部開口部が円形になっていることから、蓋部材から側部開口部に作用する荷重（例えばハンドル操作の際に発生する荷重）は、側部開口部の全周に均一に分散する。よって、ボディ（側部開口部）の一部に荷重（応力）が集中し難く、ボディの耐久性が優れる。

　また、前記発明において、前記側部開口部には、雌ねじ部が設けられ、前記蓋部材には、雄ねじ部が設けられ、前記蓋部材が前記側部開口部に着脱可能に螺合固定していることが好ましい。

　前記構成によれば、蓋部材が側部開口部に対して周方向に均一な締結力をもって固定される。また、蓋部材をボディに固定するための複数のねじ等を不要とすることができ、部品点数の削減を図れると共に組み込み、分解性が向上する。また、ネジの折損も防止できる。

　また、前記発明において、前記蓋部材には、前記側部開口部の内周面に当接し、前記側部開口部との同芯度を得るための当接部が形成されていることが好ましい。

　前記構成によれば、蓋部材と側部開口部との高精度な同芯度が得られるため、ハンドル軸の一端側を支持する蓋部材の中心と、ハンドル軸の他端側を支持するボディの中心とが一致する。よって、ハンドル軸の回転がスムーズとなり、ハンドルの操作性が向上する。

　また、前記発明において、前記蓋部材の外周縁部の少なくとも一部は、前記ロータの最後端面よりも前方に位置していることが好ましい。

　前記構成によれば、ボディの側部開口部及び蓋部材が大型化しても、蓋部材の外周縁部の一部がロータの最後端面（例えば円筒部やアーム部の後端面）よりも前側に入り込み、リール本体が前後方向（軸方向）に短縮するように構成されている。よって、リール本体の大型化が抑制される。

　また、前記発明において、前記リール本体は、前記ボディの前側に設けられたボディ前部を備え、前記ボディ前部は、前記ロータの後部開口部を塞ぐフランジを有し、前記フランジには、前記側部開口部に対応して凹状に形成された凹状部が形成されていることが好ましい。

　前記構成によれば、蓋部材の外周縁部の一部がロータの最後端面よりも前側に入り込んだとしても、蓋部材がフランジに干渉することない。よって、リール本体を前後方向（軸方向）に短縮することができる。

　また、前記発明において、前記リール本体に前後に摺動自在に支持され、後部が前記ボディ内に位置するスプール軸を備え、前記スプール往復動装置は、前記ハンドル軸の回転により前記スプール軸とともに前後動する摺動子と、前記摺動子を前後方向に摺動案内するガイド軸と、を有し、前記側部開口部及び前記蓋部材は、円形状に形成され、前記スプール軸の後部及び前記ガイド軸のそれぞれを、前記ハンドル軸を境に上側と下側に振り分け配置し、前記摺動子の前記ハンドル軸の対向部に、前記ハンドル軸の少なくとも一部を受け入れる凹部が形成されていることが好ましい。

　前記発明によれば、円形状の側部開口部が形成されたボディ内部空間の中央部にハンドル軸が設けられると、そのハンドル軸を境として上下の内部スペースが形成される。
　このため、その上下の内部スペースに、スプール往復動装置の摺動子の摺動案内用のガイド軸と摺動子に連結されてスプールを前後動するスプール軸とのそれぞれを、バランス良く振り分け収容配置することが可能となり、リール本体の小型化を図りつつ、スプールの十分な前後ストロークの確保ができる。
　また、円形状の側部開口部と相似形の外径を有するドライブギャを収容できるので、リール本体の小型化を図りつつ、ドライブギャの可及的な大径化が可能となり、高速度ギャ比や強度の維持が可能となる。

　また、前記発明において、前記リール本体と別体に形成され、前記スプール往復動装置を構成するギャを支持するギャ支持部材を備え、前記ギャ支持部材は、前記リール本体の内側部または外側部に設けられた取付部に対して取付可能であることが好ましい。

　前記構成によれば、ギャ支持部材をリール本体の内側部または外側部の取付部に取り付けることで、スプール往復動装置を構成するギャを支持することができる。言い換えると、ギャ支持部材がリール本体に一体に形成されていないので、仕様の異なるギャ支持部材に変更することで、ギャの支持位置を変更することができる。よって、低コストで仕様変更可能な魚釣用スピニングリールを提供できる。

　また、前記発明において、前記ギャは、前記後部開口部を通じて前記リール本体に組み付けられるものであることが好ましい。

　前記構成によれば、後部開口部を通じてギャを容易に組み付けることができる。

　また、前記発明において、前記ギャ支持部材は、前記ギャとともに前記後部開口部を通じて前記リール本体に挿入され、前記リール本体の内側部に設けられた前記取付部に対して取り付けられるものであることが好ましい。

　前記構成によれば、ギャとギャ支持部材とを後部開口部を通じて一緒に組み付けることができる。

　また、前記発明において、前記スプール往復動装置は、前記ハンドル軸に設けられた歯車に噛合して回転する連動歯車と、スプール軸の後端部に取り付けられ、前記連動歯車の回転中心から偏芯して設けられた偏芯突部に係合する摺動子と、を備え、前記ギャは、前記連動歯車であることが好ましい。

　前記構成によれば、ギャ支持部材の仕様を変更することによって、異なる仕様の連動歯車を支持することができる。したがって、低コストで仕様変更が容易な魚釣用スピニングリールが得られる。

　また、前記発明において、前記側部開口部および前記蓋部材は円形であり、前記側部開口部の内周部に設けられた雌ねじ部と、前記蓋部材の外周部に設けられ、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、前記側部開口部の開口周縁部に設けられた嵌合受部と、前記蓋部材の外周縁部に設けられ、前記嵌合受部に対してインロー嵌合する嵌合部と、を備えたことが好ましい。

　前記構成によれば、側部開口部に対して蓋部材自体を螺合によって締結固定することができるので、蓋部材の組み付けが行い易い。
　また、蓋部材の外周縁部に設けられた嵌合部は、側部開口部の開口周縁部に設けられた嵌合受部に対してインロー嵌合するので、双方の当接面が外部に露出することがない。したがって、仮に双方の当接面に隙間が形成されたとしても、インロー嵌合によって隙間が露出することが防止され、糸絡み、糸噛みの発生を防止できる。また、海水や水、あるいはこれらに混じった砂、異物等が侵入するのを遮ることができる。つまり、インロー嵌合によって釣糸や海水、異物等の侵入防止が実現される。また、螺合により、側部開口部に対して蓋部材が周方向に均一な締結力をもって固定されるので、蓋部材の取付強度を確保することができる。したがって、リール本体や蓋部材の耐久性の向上、さらにはハンドル軸の支持強度の向上が期待できる。

　また、前記発明において、前記リール本体に設けられた開口部に装着される装着部材と、前記開口部と前記装着部材との間に挟着される環状のシール部材と、を備え、前記開口部の周縁部および前記装着部材の少なくとも一方の周縁部には、前記シール部材に食い込む突部が設けられていることが好ましい。

　前記構成によれば、シール部材を介して開口部に装着部材を装着すると、開口部の周縁部および装着部材の周縁部の少なくとも一方の周縁部に設けられた突部がシール部材に当接してこれに食い込む状態となる。これにより、シール部材の位置ずれや変形が好適に防止されるため、開口部と装着部材との間の適切な位置にシール部材が保持され、シール部材を用いた海水や塵埃等の侵入防止機能を適切な状態に設定することができる。

　また、前記発明において、前記開口部、前記装着部材、および前記シール部材の少なくとも一つには、前記開口部および前記装着部材に対する前記シール部材の相対移動を規制する規制部が設けられていることが好ましい。

　前記構成によれば、規制部によって開口部および装着部材にシール部材が好適に保持されるので、シール部材を用いた海水や塵埃等の侵入防止機能をより適切な状態に設定することができる。

　また、前記発明において、前記開口部は、前記後部開口部であり、前記装着部材は、前記カバー部材であることが好ましい。

　前記構成によれば、後部開口部とカバー部材とのシール性が保持され、後部開口部における海水や塵埃等の侵入防止機能をより適切な状態に設定することができる。

　また、前記発明において、前記開口部は、前記側部開口部であり、前記装着部材は、前記蓋部材であることが好ましい。

　前記構成によれば、リール本体の側部開口部とカバー部材との間のシール部材の位置ずれや変形が好適に防止される。したがって、リール本体の側部開口部とカバー部材とのシール性が保持される。

　また、前記発明において、前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記蓋部材が前記ボディに締結固定され、前記スプール往復動装置は、スプール軸の後部に連結する摺動子と、前記摺動子が係合し、前記ハンドル軸の回転運動により回転して前記摺動子を前後へ往復運動させる駆動部材と、を備え、前記駆動部材の回転中心は、前記ハンドル軸の回転中心よりも前記ボディの竿取付部側に配置されていることが好ましい。

　前記構成によれば、蓋部材自体が側部開口部に螺合するため、蓋部材と側部開口部とが結合する部分の形状は、ハンドル軸方向から視て円形となる。つまり、ハンドル操作時の荷重が側部開口部の全周に均一に作用するため、側部開口部が変形し難い。よって、側部開口部に螺合する蓋部材が緩む、ということが抑制され、蓋部材の取付強度が向上し、ひいては、蓋部材が螺合一体化されるボディの強度が一段と向上する。
　また、前記発明によれば、ねじ及びボディの雌ねじが不要となる。この結果、ボディが肉薄となり、ボディが小型化する。
　また、前記発明によれば、従来デッドスペースになっていたハンドル軸の上方に駆動部材が配置されるため、デッドスペースが狭小となる。よって、ボディをさらに小型化することができる。

　また、前記発明において、前記カバー部材と別部材で構成されて前記ボディに取り付けられ、前記スプール往復動装置を構成する棒状部材の後部を支持する後部支持部材を備えることが好ましい。

　前記構成によれば、棒状部材の後部を支持する後部支持部材と、ボディの後部を覆う保護カバーと、を別部材で構成してあるので、それぞれに求められる機能に特化した形状や材質を選択することができる。よって、デザインの自由度向上を図ることができるとともに、スプール往復動装置の性能安定化を図ることができる。

　また、前記発明において、前記後部支持部材は金属製であり、前記カバー部材は合成樹脂製であることが好ましい。

　前記構成によれば、後部支持部材を高精度かつ剛性を有するため、スプール往復動装置の性能安定化を図ることができる。また、カバー部材の色調の自由度や形状のデザインの自由度向上を図ることができる。

　また、前記発明において、前記ボディと前記蓋部材とには、前記側部開口部を周回し、互いに螺合し合うねじ部が形成され、前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記ボディに前記蓋部材が締結固定され、前記側部開口部と前記蓋部材とのうち少なくとも一方には、インサート成形された環状の金属部材が設けられており、前記金属部材に前記ねじ部が形成されていることが好ましい。
　また、前記発明において、前記蓋部材は、金属製であり、前記側部開口部と前記蓋部材とには、前記側部開口部を周回し、互いに螺合し合うねじ部が形成され、前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記ボディに前記蓋部材が締結されていることが好ましい。

　前記構成によれば、蓋部材が側部開口部に螺合するため、蓋部材と側部開口部とが結合する部分の形状がハンドル軸方向から視て円形となる。よって、ハンドル操作時の荷重が側部開口部の全周に均一に分散し、蓋部材の取付強度が向上する。
　また、側部開口部と蓋部材との少なくとも一方のねじ部が金属で形成されるため（なお、請求項２１においては蓋部材のねじ部が金属で形成されるため）、ねじ部にヒケが発生するおそれがない。つまり、ねじ部同士の噛み合い精度が高いことから、蓋部材の取付強度の向上を図ることができる。
　さらに、ねじ部以外が樹脂で形成されているため（請求項２１においてはボディが樹脂で形成されているため）、リール本体の軽量化を図れる。
　つまり、樹脂製のボディに蓋部材を螺合一体化してリール本体を構成するにあたり、結合する部分が円形の金属製の螺合部で形成することにより、変形を抑え、高精度でかつ、軽量で安価なリール本体（ハウジング構造）の実現が可能となる。

　また、前記発明において、前記ハンドル軸と前記スプール往復動装置との間には、前記ハンドル軸の回転を前記スプール往復動装置に減速して伝達する減速歯車機構が介設されていることが好ましい。

　前記構成によれば、減速歯車機構により、ハンドル１回転あたりの前後方向の移動量が小さくなる。

　また、前記発明において、前記スプール往復動装置は、スプール軸の後部に取り付けられる摺動子を備えており、前記摺動子は、前記ボディの前後方向に延在するガイド軸に支持されており、前記ガイド軸は、前記ハンドル軸を挟んで上下一対に設けられていることが好ましい。

　前記構成によれば、摺動子の摺動がスムーズに行われ、スプール往復動装置の性能安定化を図ることができる。

　本発明によれば、リール本体の小型化を達成しつつ、スプール往復動装置の機能低下を回避することができる。

第１実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を示す左側面図である。リール本体を示す左側面図である。蓋部材を取り外したリール本体の左側面図である。リール本体の内部構造を示す横断面図である。（ａ）はボディの側面図であり、（ｂ）はカバー部材を取り外した状態のリール本体の背面図である。（ａ）は摺動子がストロークの最後端位置にある場合におけるリール本体の縦断面図であり、（ｂ）は摺動子がストロークの最前端位置にある場合におけるリール本体の縦断面図である。保護カバーが取り付けられた状態のリール本体の背面図である。（ａ）は蓋部材の一部を示した拡大側面図であり、（ｂ）は蓋部材の横断面図であり、（ｃ）は図４の破線で囲まれる範囲ＶＩＩＩＣを拡大した拡大図である。（ａ）はギャ支持部材が取り付けられた状態のリール本体の右側面図であり、（ｂ）はギャ支持部材の右側面図であり、（ｃ）は（ｂ）のＩＶ－ＩＶ線矢視断面図である。（ａ）は保護カバー正面図であり、（ｂ）は保護カバーの左側面図であり、（ｃ）は保護カバーの背面図である。（ａ）は図１０（ａ）のＸＩＡ－ＸＩＡ線矢視断面図であり、（ｂ）は図１０（ａ）のＸＩＢ－ＸＩＢ線矢視断面図であり、（ｃ）は図１０（ａ）のＸＩＣ－ＸＩＣ線矢視断面図であり、（ｄ）は図１０（ｂ）のＸＩＤ－ＸＩＤ線矢視断面図である。図６（ａ）の破線で囲まれる範囲ＸＩＩを拡大した拡大図である。（ａ）はシール部材の正面図であり、（ｂ）はシール部材の背面図であり、（ｃ）はシール部材の左側面図である。（ａ）はシール部材を前方右側方から見た斜視図であり、（ｂ）はシール部材を後方右側方から見た斜視図であり、（ｃ）は図１３（ａ）のＸＩＶＣ－ＸＩＶＣ線矢視断面図であり、（ｄ）は図１３のＸＩＶＤ－ＸＩＶＤ線矢視断面図である。（ａ）はカバー装着部に対するシール部材と保護カバーとの組み付け状態を示す横断面図であり、（ｂ）は図１５の破線で囲まれる範囲ＸＶＢを拡大した拡大図である。ギャ支持部材の変形例であって、（ａ）は蓋部材を取り外したリール本体の左側面図であり、（ｂ）はギャ支持部材の左側面図である。（ａ）～（ｃ）はカバー装着部に対するシール部材と保護カバーとの組み付け状態の変形例を示す断面図である。（ａ）は第２実施形態のボディの側部開口部と蓋部材の断面図であり、（ｂ）は図１８（ａ）の破線で囲まれる範囲を拡大した拡大断面図である。（ａ）は第２実施形態の第１変形例のボディの側部開口部と蓋部材との断面図であり、（ｂ）は図１９（ａ）の破線で囲まれる範囲を拡大した拡大断面図である。（ａ）は第２実施形態の第２変形例のボディの側部開口部と蓋部材との断面図であり、（ｂ）は図２０（ａ）の破線で囲まれる範囲を拡大した拡大断面図である。（ａ）は第２実施形態の第３変形例のボディの側部開口部と蓋部材との断面図であり、（ｂ）は図２１（ａ）の破線で囲まれる範囲を拡大した拡大断面図である。第２実施形態の第４変形例のリール本体の後断面図である。第３実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を示す側面図である。リール本体を示す側面図である。蓋部材および保護カバーを取り外したリール本体の側面図である。（ａ）は側部開口部内の構造を示す側面図、（ｂ）は保護カバーを取り外したボディの背面図である。ボディ内部における部材の配置構造を示す後断面図である。（ａ）は蓋部材の横断面図、（ｂ）はボディの側部開口部と蓋部材の周縁部との締結状態を示す拡大断面図である。（ａ）は摺動子がストロークの最後端位置にある場合を示すリール本体の側断面図、（ｂ）は摺動子がストロークの最前端位置にある場合を示すリール本体の側断面図である。第３実施形態の変形例に係る魚釣用スピニングリールの主要構成を示す側断面図である。第３実施形態の変形例において、ボディ内部における部材の配置構造を示す後断面図である。第４実施形態の魚釣用スピニングリールの全体構成を示す側面図である。リール本体を示す側面図である。蓋部材を取り外したリール本体の側面図である。リール本体の内部構造を示す後断面図である。（ａ）はボディの側面図であり、（ｂ）はカバー部材を取り外した状態のリール本体の背面図である。（ａ）は摺動子がストロークの最後端位置にある場合におけるリール本体の側断面図であり、（ｂ）は摺動子がストロークの最前端位置にある場合におけるリール本体の側断面図である。（ａ）は蓋部材の横断面図であり、（ｂ）は図３８（ａ）の破線で囲まれる範囲を拡大した拡大断面図である。第４実施形態の変形例のリール本体の側断面図である。変形例のリール本体の内部構造を示す後断面図である。第５実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を示す側面図である。リール本体を示す側面図である。蓋部材および保護カバーを取り外したリール本体の側面図である。（ａ）は側部開口部内の構造を示す側面図、（ｂ）は保護カバーを取り外したボディの背面図である。ボディ内部における部材の配置構造を示す後断面図である。（ａ）は蓋部材の横断面図、（ｂ）はボディの側部開口部と蓋部材の周縁部との締結状態を示す拡大断面図である。後部支持部材を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は左側面図、（ｃ）は背面図、（ｄ）は左側面図に対応する平面図、（ｅ）は左側面図に対応する底面図、（ｆ）は右側面図、（ｇ）は後方上方から見た斜視図、（ｈ）は前方上方から見た斜視図である。（ａ）は摺動子がストロークの最後端位置にある場合を示すリール本体の側断面図、（ｂ）は摺動子がストロークの最前端位置にある場合を示すリール本体の側断面図である。第５実施形態の変形例に係る魚釣用スピニングリールの主要構成を示す側断面図である。ボディ内部における部材の配置構造を示す後断面図である。蓋部材および保護カバーを取り外したリール本体の背面図である。第５実施形態の変形例に適用される後部支持部材を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は底面図、（ｄ）は右側面図、（ｅ）は左側面図、（ｆ）は背面図、（ｇ）は前方上方から見た斜視図、（ｈ）は後方上方から見た斜視図である。

（第１実施形態）
　以下、魚釣用スピニングリールの実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「前後」「上下」を言うときは、図１に示した方向を基準とし、「左右」を言うときは、図４に示す方向を基準とする。

　図１、図２に示すように、魚釣用スピニングリール１００は、前方に突出する駆動軸筒７（図２参照）及びスプール軸８（図２参照）を有するリール本体１と、駆動軸筒７に装着されてリール本体１の前側に配置されるロータ２と、スプール軸８に装着されてロータ２の前側に配置されるスプール３と、を備える。

　ロータ２は、駆動軸筒７の前端に固定されるとともに後開口部２ｈが形成された円筒部２ａ（図２参照）と、円筒部２ａの後端部から外側に延び、さらに前側に延びる一対のアーム部２ｂ、２ｃ（図１でアーム部２ｂのみ図示、図２参照）と、一対のアーム部２ｂ、２ｃの間を周方向に延び、一対のアーム部２ｂ、２ｃのそれぞれを連結する一対の補強部材２ｄ、２ｅ（図１参照）と、を備える。

　図２に示すように、一対のアーム部２ｂ、２ｃの後端面２ｆ、２ｇは、円筒部２ａの後端縁よりも後方に位置し、ロータ２の各部位において最も後方に位置する最後方面を成している。なお、図２の補助線Ｌ１は、後端面２ｆ、２ｇ同士を結んだ線である。

　図１に示すように、スプール３は、前から順に、前フランジ部３ａ、糸巻胴部３ｂ、スカート部３ｃを備える。
　そして、魚釣用スピニングリール１００が釣竿に装着された場合、例えば、釣竿と前フランジ部３ａとの距離Ｌ２がサミング（釣竿を把持する手の人指し指で放出糸に抵抗付与）を行うことができる距離となるように、スプール軸８がリール本体１に設定されている。

　図２に示すように、リール本体１は、左側に向って開口する側部開口部１３が形成されたボディ１０と、ボディ１０の上部から上方に延びて釣竿に装着される竿取付部１１ａ（図１参照）を先端に有する脚部１１と、ボディ１０の前側に設けられた筒状のボディ前部１２と、側部開口部１３を塞ぐ蓋部材３０と、ボディ１０の後部に取り付けられた保護カバー（カバー部材）４０と、を備える。以下において、ボディ１０の内部の空間をボディ１０内又は収容空間Ｓ１と称する場合がある。

　ボディ前部１２は、筒状を呈し、内部に駆動軸筒７が配置されている。
　ボディ前部１２は、駆動軸筒７の前部を回転自在に支持している。
　図３に示すように、駆動軸筒７の後端は、ボディ１０内に位置している。そして、駆動軸筒７の後端には、ピニオンギャ７ａが形成されている。

　また、ボディ前部１２は、ロータ２の円筒部２ａ内に位置している。
　図２、図３に示すように、ボディ前部１２には、機能部材の収容保護や美観向上のために有底円筒状のカバー１２ａが装着され、ボディ前部１２の外周側がカバー１２ａに覆われている。
　ボディ前部１２の後端には、後方から視て円形を成し（図５（ｂ）、図７を参照）、カバー１２ａの後開口部を塞ぐフランジ１６が形成されている。

　図３に示すように、スプール軸８は、駆動軸筒７内を貫通し、前端が駆動軸筒７よりも前方に突出している。また、スプール軸８の後部８ａは、駆動軸筒７の後端よりも後方に突出し、ボディ１０内に位置している。

　ボディ１０内には、左右方向に延在するハンドル軸５と、ハンドル軸５に固定されるドライブギャ６及び歯車（軸筒）６ａと、スプール往復動装置７０と、が組み付けられている。

　図４に示すように、ハンドル軸５は、軸受５ｃ、５ｄを介して、ボディ１０と蓋部材３０とに回転自在に支持されている。
　ハンドル軸５の左端部は、蓋部材３０を貫通するとともに、ハンドル５ａに設けられた連結軸５ｂと螺合し、ハンドル軸５とハンドル５ａとが一体になっている。
　ハンドル軸５において左右方向の中央部よりも左寄りの位置に、ピニオンギャ７ａに噛合するドライブギャ６が固定されている。
　以上から、ハンドル５ａの巻き取り操作が行われると、巻き取り操作による駆動力がハンドル軸５、ドライブギャ６、ピニオンギャ７ａを介して駆動軸筒７に伝達し、ロータ２が回転する。
　なお、ハンドル軸５において左右方向の中央部よりも右寄りの位置に、歯車６ａが固定されている。

　図３に示すように、スプール往復動装置７０は、ボディ１０内で前後方向に延びるガイド軸７１と、右側面に案内溝７３が形成されてガイド軸７１に沿って移動する摺動子７２と、案内溝７３に係合する偏芯突部７５が形成された連動歯車（構成部材）７４と、を備える。
　図４に示すように、摺動子７２には、スプール軸８の後端８ａから後方に突出する突出部８ｂが連結し、摺動子７２とスプール軸８が一体になっている。
　なお、摺動子７２と突出部８ｂとは図示しないボルトにより抜け止めされている。
　図３に示すように、連動歯車７４は、ハンドル軸５から後方下側の位置に設けられ、ボディ１０の底部に位置し、歯車６ａの後側と噛合している。
　以上から、ハンドル５ａの巻き取り操作が行われると、巻き取り操作による駆動力が歯車６ａを介して連動歯車７４に伝達し、連動歯車７４が回転する。また、連動歯車７４の偏芯突部７５が摺動子７２の案内溝７３の前面又は後面を押圧し、摺動子７２とスプール軸８（スプール３）が前後方向に往復運動する。

　つぎに、ボディ１０及び保護カバー４０の詳細、スプール往復動装置７０の詳細、蓋部材３０の詳細を説明する。

　図５（ａ）に示すように、ボディ１０は、底部に周壁を有する有底箱状（筒状）を呈し左側に向って開口している。ボディ１０は、円板状の右壁部２２と、右壁部２２の周端縁から左側に延びる筒状の筒部２１と、を備える。
　なお、筒部２１の左端部が側部開口部１３を構成している。

　右壁部２２の内面（左側面）には、右側中央孔２３と、リブ２４と、挿入孔１９ａとが形成されている。
　右側中央孔２３は、ハンドル軸５の右端部が貫通する孔であり、右壁部２２の中央部に設けられている。

　リブ２４は、右側中央孔２３よりも前側に位置し、上下方向に延在する突起である。このリブ２４により右壁部２２の強度が向上している。
　リブ２４の上部には、ガイド軸７１の前端７１ａを支持するガイド軸支持孔２４ａが形成されている。また、ガイド軸支持孔２４ａは、ハンドル軸５の中心軸Ｏ１よりも上側に位置している。このため、ガイド軸７１は、ハンドル軸５の上側（脚部１１側）に配置されている。
　一方で、リブ２４の下部には、スプール軸８の後部８ａを後方に貫通させるための貫通孔２４ｂが形成されている。また、貫通孔２４ｂは、ハンドル軸５のＯ１よりも下側に位置している。このため、スプール軸８の後部８ａは、ハンドル軸５の下側（脚部１１の反対側）に配置されている。
　また、貫通孔２４ｂには、駆動軸筒７の後端を支持するカラー８ｃが嵌め込まれている（図４参照）。

　挿入孔１９ａは、右側中央孔２３よりも後方に形成されている。そして、この挿入孔１９ａ内には、右壁部２２の外側（右側）に設けられたギャ支持部材２６のボス部２６ｃが貫通している。これにより、ボディ１０内の後部に、連動歯車７４を回転自在に支持するボス部２６ｃが配置される。
　なお、ギャ支持部材２６については後述する。

　図５（ａ）に示すように、筒部２１は、ハンドル軸５の中心軸０１を中心とする略円筒形状に形成されている。
　より詳細に説明すると、筒部２１の内周面２１ａは、ハンドル軸５の中心軸０１を中心とする円形状に形成され、かつ、ドライブギャ６の大きさに対応している。
　筒部２１の外周面２１ｂは、ハンドル軸５の中心軸０１を中心とする略円形状に形成されている。
　このため、筒部２１の厚み（径方向の肉厚）が周方向において略均一になっている。つまり、筒部２１は、従来の筒部（側面視矩形筒状の筒部）よりも小型化しており、筒部２１の内周面２１ａとドライブギャ６との間には、不要な空間が生じないようになっている。

　また、図５（ｂ）に示すように、筒部２１の後部には、筒部２１の後部を貫通する後部開口部１５が形成されている。
　後部開口部１５は、ボディ１０内に組み付けられた部品の一部を受け入れてボディ１０外に、言い換えると、ボディ１０から後方に突出するように配置するための開口部である。

　また、図５（ｂ）に示すように、後部開口部１５は、筒部２１において左右方向の中央部のみを貫通している。このため、後部開口部１５の開口（孔）と側部開口部１３の開口（孔）とが連続していない。
　言い換えると、側部開口部１３と後部開口部１５との間には、側部開口部１３と後部開口部１５とのそれぞれの開口の端縁を構成する円弧状の架橋部１４が延在している。
　このため、後部開口部１５の開口（孔）と側部開口部１３の開口（孔）とが連続する場合よりも、筒部２１の強度が向上している。この結果、ボディ１０の耐久性が向上する。

　また、図５（ｂ）に示すように、筒部２１の後端面であって後部開口部１５の周囲には、カバー装着部１８が形成されている。
　カバー装着部１８の上側には、上側雌ねじ穴２１ｃが形成されている。
　カバー装着部１８の下側には、下側雌ねじ穴２１ｄが形成されている。

　保護カバー（カバー部材）４０は、側面視で略三日月状に形成されている（図２参照）。図６、図７に示すように、保護カバー４０は、上側雌ねじ穴２１ｃと下側雌ねじ穴２１ｄに螺合するねじＢに締め付けられ、ボディ１０（筒部２１）の後部開口部１５を覆うように固定されている。
　また、保護カバー４０は、図７に示すように、後面視でスプール軸８（図３参照）を通る中心線Ｏ２を基準として、中心線Ｏ２の左側よりも右側が幅広な形状に形成されている。

　図６（ａ）に示すように、保護カバー４０の前面は、後方に窪んでいる。言い換えると、保護カバー４０は、前方に向って開口する有底筒状を呈し、保護カバー４０の前面側に収容空間Ｓ２が形成されている。よって、後部開口部１５を介してボディ１０内から後方に突出する部品の一部を保護カバー４０内に収容することができる。
　以下において、保護カバー４０の内部の空間を保護カバー４０内又は収容空間Ｓ２と称する場合がある。

　そのほか、保護カバー４０の内面の上側には、ガイド軸７１の後端７１ｂが係合する被係合部４３ｃが形成されている。
　保護カバー４０とボディ１０との間には、シール部材５０が設けられ、保護カバー４０とボディ１０との合わせ面から内部に水が浸入しないようになっている（図４、図６参照）。そのほか、保護カバー４０の詳細については後述する。

　また、ボディ１０と保護カバー４０とにより形成される空間内（収容空間Ｓ１と収容空間Ｓ２）に、スプール往復動装置７０の各構成が以下のように配置されている。

　図６に示すように、連動歯車７４は、後部開口部１５を貫通するように外部後方からボディ１０に組み付けられ、後部開口部１５から後方に突出する連動歯車７４の一部（後部領域）が保護カバー４０内に収容されている。
　ガイド軸７１は後部開口部１５を貫通し、ガイド軸７１の後端７１ｂが保護カバー４０の被係合部４３ｃに係合している。
　そして、図６（ａ）に示すように、摺動子７２が偏芯突部７５の押圧によって最後端位置に移動した場合、摺動子７２の一部（後部領域）が保護カバー４０内に収容される。
　つまり、摺動子７２の前後ストロークは、ボディ１０の収容空間Ｓ１に限定されず、後方に拡大している。
　このため、ボディ１０の筒部２１が円筒状に形成されてボディ１０の下部側の収容空間が小さくなったとしても、所望の大きさの連動歯車７４を使用することができ、スプール往復動装置７０の機能低下を回避できる。
　また、保護カバー４０が連動歯車７４及び後部開口部１５を覆うため、海水や塵埃が連動歯車７４に付着したり、ボディ１０内に浸入したりするおそれがない。

　図６に示すように、ボディ１０内の空間において、ガイド軸７１がハンドル軸５の上側（脚部１１側）に配置され、スプール軸８の後部８ａがハンドル軸５の下側（脚部１１の反対側）に配置されている。このため、リール本体１が高さ方向に短縮している。
　言い換えると、ボディ１０の内部空間においてハンドル軸５を境とした上下の内部スペースに、ガイド軸７１とスプール軸８とのそれぞれをバランス良く振り分けて配置している。このため、ボディ１０が小型化している。
　また、摺動子７２は、ハンドル軸５の後方に配置されている。摺動子７２の前面（ハンドル軸５に対向する対向面）には、後方に向って凹む凹部７２ａが形成されている。
　よって、図６（ｂ）に示すように、摺動子７２が前方に移動した場合に凹部７２ａ内にハンドル軸５を受け入れることから、摺動子７２の移動範囲が前方に拡大する。このため、摺動子７２の十分な前後ストロークが確保され、ひいては、スプール３の十分な前後ストロークを確保される。
　以上から、ボディ１０の小型化に伴い、スプール往復動装置７０の前後ストロークが短縮して所定の糸巻き量が確保できない（スプール往復動装置７０の機能低下）、という不利益を回避できる。

　次に、側部開口部１３について説明する。
　図５（ａ）に示すように、筒部２１の左端部（側部開口部１３）は、ボディ１０内に各部品を組み込むための孔である。
　側部開口部１３の内周面１３ａは、筒部２１の内周面２１ａと略同一径の円形状に形成されている。このため、ボディ１０を大型化することなく比較的大きな相似形のドライブギャ６を筒部２１内に容易に組み付けることができる。
　言い換えると、ボディ１０の小型化に伴いドライブギャ６の小径化を招き巻取りギャ比が低くなる（巻取駆動装置の機能低下）、という不利益を回避できる。
　つまり、ボディ１０の小型化を図りつつ、ドライブギャ６の可及的な大径化が可能となり、高速度ギャ比や強度の維持が可能となる。

　また、側部開口部１３の前側端縁１３ｃは、フランジ１６の凹状部１６ｂ内に入り込んでいる。
　ここで、フランジ１６は、平坦状の平坦部１６ａと、平坦部１６ａよりも前方に凹む凹状部１６ｂと、を備える。
　凹状部１６ｂは、ボディ１０よりも左側に設けられている（図５（ｂ）のドットで塗られた範囲を参照）。
　また、凹状部１６ｂは、ハンドル軸５の中心軸Ｏ１を中心として円弧状に形成され、前側端縁１３ｃに対応している。

　以上から、通常であれば、側部開口部１３がフランジ１６と重ならないようにするため、ボディ１０の中心（ハンドル軸５の中心軸Ｏ１）を後方に位置するように設計するところ、本実施形態によれば、フランジ１６に凹状部１６ｂが形成されるため、ボディ１０の中心を後方に移動させる必要がない。
　このため、ボディ１０とボディ前部１２とを含む前後方向の長さは、凹状部１６ｂの凹み量の分だけ短縮できるとともに、凹状部１６ｂに入り込むように側部開口部１３を大型化することができる。
　この結果、図２に示すように、側部開口部１３を塞ぐ蓋部材３０の前側の外周縁部３０ａは、フランジ１６の凹状部１６ｂ内に入り込み、ロータ２の最後端面（後端面２ｆ、２ｇ及び補助線Ｌ１参照）よりも前方に位置するようになる。
　以上から、ボディ１０に対し、側部開口部１３及び蓋部材３０を大型化しても、ボディ１０とボディ前部１２とを含む前後方向の長さが短縮されるため、リール本体１の大型化が防止される。

　そのほか、図４に示すように、凹状部１６ｂの外側には、カバー１２ａの後端が位置し、カバー１２ａが凹状部１６ｂを囲っている。よって、左側から視た場合、凹状部１６ｂが視認され難い。

　なお、本実施形態において、フランジ１６の一部に凹状部１６ｂが形成された例を挙げて説明したが、平坦状のフランジ１６を、ボディ前部１２の後端ではなく、例えば、後端よりも前方に配置し、蓋部材３０（側部開口部１３）との干渉を回避するようにしてもよい。
　また、本実施形態では、アーム部２ｂ、２ｃの後端面２ｆ、２ｇが最後端面を構成するロータ２を用いて説明したが、本発明は、円筒部２ａの後端面や、補強部材２ｄ、２ｅの後端面が最後端面を構成するロータ２を用いてもよい。このような例であっても、リール本体１の前後方向の短縮化を図ることができる。

　引き続き、側部開口部１３について説明すると、内周面１３ａの奥側（右側）には、図８（ｃ）に示すように、雌ねじ１３ｂが形成されている。
　側部開口部１３の開口周縁部には、断面凹状の嵌合受部１７が周方向に亘って形成されている。嵌合受部１７は、底面部１７ａと、この底面部１７ａから断面アール状に立ち上がる立上り部１７ｂと、を備える。

　つぎに、蓋部材３０の詳細について説明する。
　図２に示すように、蓋部材３０は、円形状を呈しており、側部開口部１３に取り付けられ、側部開口部１３を液密に閉塞するとともに、ハンドル軸５の右端側を支持する役割をなす。
　蓋部材３０は、図８（ｂ）に示すように、側部開口部１３を覆う環状の蓋部３１と、蓋部３１の中央部に形成された円筒部３２と、蓋部３１の外周縁部に設けられた円筒状の挿入部３３と、を備える。

　蓋部３１は、外周端から中心に向うにつれて左側に突出し、断面が山形状を呈している。蓋部３１の外側面（左側面）および内周面（右側面）には、肉抜き部３１ｂが形成され、蓋部材３０の軽量化が図られている。
　円筒部３２の両端部は、蓋部３１から左右に突出している。
　円筒部３２の右端部３２ａには、軸受５ｄ（図４参照）が嵌め込まれている。
　そして、軸受５ｄに回転自在に支持されるハンドル軸５の左端部が円筒部３２を貫通し、円筒部３２よりも左側に突出している。
　なお、図４に示すように、ハンドル軸５の右端側は、軸受５ｃを介してボディ１０に設けられたハンドル支持部１９ｂに支持されている。

　挿入部３３は、蓋部３１の外周端から右方に延びて側部開口部１３の内側に挿入される部位であり、円筒状を呈している。
　図８（ｃ）に示すように、挿入部３３の外周面には、先端側（右端側）から基部側（左端側）に向って順に、雄ねじ部３３ａと、収容凹部３３ｃと、当接面３３ｂと、小径部３８とが形成されている。

　雄ねじ部３３ａは、側部開口部１３の内周面１３ａの雌ねじ部１３ｂに螺合可能に形成されている。
　また、雄ねじ部３３ａが雌ねじ部１３ｂに螺合することで、蓋部材３０がリール本体１（ボディ１０）に締結固定され、蓋部材３０の蓋部３１により側部開口部１３が塞がれている。
　このような固定構造によれば、蓋部材３０をボディ１０に固定するための複数のねじ等を不要とすることができ、部品点数の削減を図れると共に組み込み、分解性が向上する。また、ネジの折損も防止できる。

　当接面（当接部）３３ｂは、側部開口部１３に蓋部材３０を螺合により装着する際、側部開口部１３の内周面１３ａに当接して、側部開口部１３に対する蓋部材３０の調芯を行うためのものである。
　これによれば、ハンドル軸５の右側を支持するボディ１０の右側中央孔２３と、ハンドル軸５の左側を支持する蓋部材３０の円筒部３２と、の中心が一致し、同芯度が得られる。よって、ハンドル軸５は、リール本体１に対して左右方向に延在するように支持され、ハンドル軸５の回転がスムーズとなり、ハンドル５ａの操作性が向上する。
　なお、当接面３３ｂは、側部開口部１３の内周面１３ａに対して周方向に間隔を空けて部分的に当接するように構成してもよい。このような構成によっても同芯度が得られる。　　　

　ここで、ハンドル５ａの巻き取り操作時において、ハンドル軸５を支持する蓋部材３０には、中心軸Ｏ１を中心として径方向外側に向う荷重が作用する。
　従来の構成によれば、複数のねじにより蓋部材がボディに固定され、蓋部材に作用した荷重がボディにおいてねじが締結された部位のみに作用し、荷重が集中していた。
　一方で、本実施形態によれば、雄ねじ部３３ａと当接面３３ｂとを介して、挿入部３３の全周が円形の側部開口部１３により支持されている。よって、蓋部材３０に作用した荷重は、側部開口部１３の全周に均一に分散する。
　この結果、ハンドル５ａの巻き取り操作時に蓋部材３０に大きな荷重が作用しても、蓋部材３０に作用した荷重が側部開口部１３の全周に分散するため、ボディ１０の耐久性がさらに向上する。

　収容凹部３３ｃは、雄ねじ部３３ａと当接面３３ｂとの間に形成された窪みであり、シール材としてＯリング３３ｄが外嵌されている。このため、挿入部３３と側部開口部１３
との間から水が内部に浸入しないようになっている。

　小径部３８は、当接面３３ｂよりも径方向内側に窪み、断面湾曲凹状に形成されている。小径部３８には、グリスやオイル等の潤滑剤が塗布されている。このため、潤滑剤によって、蓋部材３０のスムーズな取り付けが可能になるとともに、側部開口部１３の内周面１３ａとのシール性が高められている。

　蓋部材３０の外周縁部には、周方向外側に延在するフランジ状の嵌合部３７が形成されている。
　嵌合部３７は、側部開口部１３の嵌合受部１７の立上り部１７ｂとの間に僅かな隙間（図では隙間を有しているが接触嵌合も可能）を有した状態で底面部１７ａに当接し、嵌合受部１７に対してインロー嵌合する。
　このようなインロー嵌合によって、嵌合部３７の側方への突出量が抑えられる。また、インロー嵌合によって、双方の当接面（内周面１３ａと当接面３３ｂ）が外部に露出することがない。したがって、仮に双方の当接面（内周面１３ａと当接面３３ｂ）に隙間が形成されたとしても、インロー嵌合によって隙間が露出することが防止される。
　この結果、海水や水、あるいはこれらに混じった砂、異物等が侵入することを防止できる。さらに、リール操作時等に解かれた釣り糸が隙間に浸入することが防止されるため、糸絡みも防止できる。
　なお、嵌合受部１７や嵌合部３７に対し、グリスやオイル等の潤滑剤を塗布し、シール性を高めてもよい。

　なお、図８（ｃ）に示すように、蓋部材３０の外周縁部の外面３０ｇと、側部開口部１３の外周縁部の外面１３ｇとは、嵌合部３７（嵌合受部１７）を挟んで略連続する傾斜面とされている。これによって、解れた釣糸がより引っ掛かり難い構成となっている。

　つぎに、図４、図９を用いて、ギャ支持部材２６周辺の構造について説明する。

　図４に示すように、ボディ１０の右側部には、右側へ突出する円筒状のハンドル支持部１９ｂが設けられている。また、そのハンドル支持部１９ｂの周りには、凹設されてなる取付部１９が形成されている。
　図９（ａ）に示すように、取付部１９は、側面視でカム形状を呈している。また、その取付部１９には、同じくカム形状に形成されたギャ支持部材２６が取り付けられている。

　図９（ｂ）（ｃ）に示すように、ギャ支持部材２６は、板状を呈している。ギャ支持部材２６は、ボディ１０のハンドル支持部１９ｂを囲む環状の内周部２６ａと、内周部２６ａよりも肉厚に形成された環状の外周部２６ｂと、により構成されている。

　図４に示すように、内周部２６ａの右側面には、固定部材２７の環状部２７ａが当接している。このため、ハンドル支持部１９ｂからギャ支持部材２６が抜けないようになっている。
　なお、固定部材２７は、ボディ１０のハンドル支持部１９ｂに螺合することで、ボディ１０に取り付けられている。また、固定部材２７の先端部２７ｂには、螺合によりハンドルキャップ９が取り付けられている。

　外周部２６ｂの左側面には、左側方へ突出するボス部２６ｃが形成されている。
　ボス部２６ｃは、取付部１９に形成された挿入孔１９ａを通じて収容空間Ｓ１に突出している。
　なお、挿入孔１９ａの周縁部には、防塵防水用としてＯリング１９ｃ（図９（ａ）に破線で図示）が配置されている。

　そして、ボス部２６ｃは、軸受２８を介して連動歯車７４を支持している。つまり、ボス部２６ｃは、連動歯車７４の支軸として機能している。このため、連動歯車７４は、ボディ１０に対して直接支持されることなく、ボディ１０に取り付けられるギャ支持部材２６によって支持されるように構成されている。
　以上、ボディ１０の右側部の内面には、連動歯車７４を支持するためのボス部が形成されていないため、ギャ支持部材２６を取り付ける前においてボディ１０の右壁部２２（図５（ａ）参照）の左面（内面）が略平らな状態となる。よって、スプール軸８やスプール往復動装置７０の各部材を、後部開口部１５から収容空間Ｓ１内にスムーズに挿入することができ、組み付けが容易となる。

　また、上記する構造によれば、ギャ支持部材２６を取付部１９に取り付けることによって、連動歯車７４を支持する位置（ボス部２６ｃの位置）が決まり、ハンドル軸５と連動歯車７４の軸との軸間距離が決定する。
　これにより、軸間距離が異なる距離となるようにギャ支持部材２６の仕様を変更することによって、異なる径（異なる仕様）の連動歯車７４を支持することができ、ストローク量を変更することが可能となる。この結果、魚釣用スピニングリール１００の仕様変更を低コストで容易に行うことができる。
　一方で、リール本体１の共有化が可能となるので、リール本体１を製造する際の金型をリールの仕様毎に数種類用意する必要がなくなり、仕様変更に伴うコストの低減を図ることができる。また、リールの大きさの枠を超えた部品の共通化も可能となる。したがって、リール価格上昇の抑制を図ることも可能である。
　なお、異なる仕様のギャ支持部材２６を取付可能とするために、取付部１９の挿入孔１９ａの形状を、例えば、大径の円形状に形成したり、長穴形状に形成したりしてもよい。

　そのほか、上記構造において、軸受２８は、内輪の右端がボス部２６ｃの段部に当て付けられた状態で、ねじ穴２６ｄに螺合するねじ２６ｅ（図４、図６（ｂ）参照）により抜け止めされている。
　連動歯車７４の段部は、軸受２８の外輪の右端に当て付けられて、左側に移動しないようになっている。

　図９（ｂ）（ｃ）に示すように、ギャ支持部材２６のボス部２６ｃの近傍には、突部２６ｆが設けられている。
　突部２６ｆは、取付部１９に向けて突出しており、取付部１９に形成された位置決め穴１９ｄ（図９（ａ）参照）に挿入され、ギャ支持部材２６が取付部１９の面方向に移動しないようになっている。

　なお、ボディ１０に対するスプール軸８、スプール往復動装置７０及びギャ支持部材２６の組み付け手順については、以下の通りである。
　はじめに、後部開口部１５を通じてスプール往復動装置７０のガイド軸７１をボディ１０内（収容空間Ｓ１）に挿入し、ガイド軸７１の前端７１ａをガイド軸支持孔２４ａに差し込む。この状態でガイド軸７１の後端７１ｂは、後部開口部１５を通じて、ボディ１０の後部から後方に突出する。

　続いて、スプール軸８の後端の突出部８ｂ（図４参照）に、図示しないねじを用いて摺動子７２を連結する。そして、摺動子７２に連動歯車７４を近づけ、連動歯車７４の偏芯突部７５を摺動子７２の案内溝７３に係合させた状態にし、スプール軸８とともに摺動子７２および連動歯車７４を、後部開口部１５を通じてボディ１０内（収容空間Ｓ１）に挿入する。なお、連動歯車７４には予め軸受２３ｂを装着しておく。

　その後、スプール軸８の先端部を駆動軸筒７内に挿入する。挿入する過程で、摺動子７２が後部開口部１５に近づいたら、ボディ１０の後部から突出しているガイド軸７１の後端７１ｂに摺動子７２の図示しないガイド孔を合わせ、ガイド軸７１に摺動子７２を係合する。これにより摺動子７２および連動歯車７４はガイド軸７１に沿って挿入される。

　その後、ボディ１０の右側方からボディ１０の取付部２０にギャ支持部材２６を取り付け、挿入孔１９ａを通じてボス部２６ｃをボディ１０内（収容空間Ｓ１）内に突出させ、連動歯車７４の軸受２３ｂに挿通する。

　その後、軸受２３ｂのねじ穴２３ａにねじ２６ｅを螺合し、ボス部２６ｃに連動歯車７４を抜け止め保持する。
　以上により、後部開口部１５を通じてスプール軸８およびスプール往復動装置７０を収容空間Ｓ１に組み付けることができる。なお、上記組み付け順は一例を示すものであり、適宜状況に応じて変更可能である。

　つぎに、保護カバー４０と、シール部材５０との詳細について説明する。

　上記したように、保護カバー４０は、前方に向って開口する有底筒状を呈している。
　よって、図２，図１０（ｃ）に示すように、保護カバー４０は、ボディ１０の後部下部に配置される基部４１と、基部４１の後端から後方斜め上方へ延在する板状の後傾部４２と、後傾部４２の上端から後方斜め前方へ延在する前傾部４３と、基部４１と後傾部４２と前傾部４３とに亘って形成された板状の左側部４４及び右側部４５（図２では左側部４４のみ図示）と、を備える。
　なお、基部４１、後傾部４２および前傾部４３の（外面）は、略平に形成されている。

　また、図１１（ｃ）（ｄ）に示すように、保護カバー４０の環状の前縁部には、前方へ向けて突出する突部としての突起部４６が形成されている。
　突起部４６は、断面略三角形状の先細り形状とされており、対向するシール部材５０の対向面に当接してシール部材５０に対してめり込むようになっている。
　突起部４６は、図１０（ａ）に示すように、前傾部４３の上端部４３ｄの前縁部、左右両側部４４，４５の前縁部、および基部４１の前縁部に亘っており、環状に形成されている。
　なお、突起部４６は、環状に形成されたものに限られることはなく、部分的な切れ目を有していてもよい。

　図１０（ａ）に示すように、基部４１の内側（上面）には、上側に突出する基部ボス部４１ａが形成されている。また、基部ボス部４１ａには、ねじ孔４０ｂが形成されている。保護カバー４０の基部ボス部４１ａは、カバー装着部１８の下部ボス部１０ｄ（図６（ｂ）参照）に当接している。
　ねじ孔４０ｂの口縁部には、ねじＢの頭部が当接し、基部４１がカバー装着部１８に固定されている。
　また、ねじ孔４０ａの口縁部は、ねじＢの頭部が基部４１の外面から突出しないように形成されている。
　基部４１の前端部４１ｃは、カバー装着部１８の下部後壁１８ａに対応する形状に形成され、下部後壁１８ａに対してシール部材５０を挟んで後方から当て付けられる。

　図６（ｂ）に示すように、後傾部４２は、ボディ１０の後部開口部１５から突出するスプール往復動装置７０の構成部品（連動歯車７４や摺動子７２）と離間し、接触しないようになっている。
　図１１（ｂ）に示すように、また、右側部４５には、補強用リブ４５ａが形成されている。

　図６（ｂ）に示すように、前傾部４３は、ボディ１０の後部上部を覆っている。
　図１２に示すように、前傾部４３の上端部４３ｄは、カバー装着部１８の上部後壁１８ｂに対応する形状とされており、上部後壁１８ｂに対してシール部材５０を挟んで後方から当て付けられる。
　図１０（ａ）に示すように、前傾部４３の内側（前面）には、上から順に、上部凹部４３ａ、ねじ孔４０ａ、被係合部４３ｃが形成されている。
　図１２に示すように、上部凹部４３ａは、カバー装着部１８の上部突起部１８ｃに対応して係止可能に凹設されている。上部凹部４３ａは、保護カバー４０の上部の位置決め部として機能する。
　なお、上部凹部４３ａの上端縁部には、シール部材５０の上部の第六規制部５９ａが係止される。
　ねじ孔４０ａは、前傾部４３の内側（前面）に突出形成された前傾部ボス部４３ｅに形成されている。
　被係合部４３ｃは、前述したように、ガイド軸７１の後端７１ｂを支持するための部位である（図６参照）。

　なお、保護カバー４０をカバー装着部１８に取り付ける際、最初に、カバー装着部１８の上部突起部１８ｃに前傾部４３の上部凹部４３ａを引っ掛け、次に、上部凹部４３ａを中心として保護カバー４０を下方へ回動させる。これによれば、カバー装着部１８に対する保護カバー４０の位置合わせが容易となる。

　シール部材５０は、カバー装着部１８と保護カバー４０との間に挟着され、カバー装着部１８（ボディ１０）と保護カバー４０との間を液密にシールする部材である。

　図１３（ａ）（ｂ）に示すように、シール部材５０は、後部開口部１５の縁リブ１５ａ（図５（ｂ）参照）に対応して環状に形成されている。つまり、シール部材５０は、下縁部５１と、上縁部５２と、下縁部５１と上縁部５２とを繋ぐ左縁部５４および右縁部５５と、を備える。
　下縁部５１の後面は、保護カバー４０の基部４１の前縁部が当接している。
　上縁部５２の後面は、保護カバー４０の前傾部４３の前縁部が当接している。
　左縁部５４の後面は、保護カバー４０の左側部４４の前縁部が当接している。
　右縁部５５の後面は、保護カバー４０の右側部４５の前縁部が当接している。
　そして、下縁部５１、上縁部５２、左縁部５４、および右縁部５５には、保護カバー４０の各前縁部の突起部４６がめり込んだ状態になっている。

　下縁部５１の上縁側には、カバー装着部１８の下部ボス部１０ｄ（図５（ｂ）参照）を挿通するための切れ込み部５３が形成されている。
　左縁部５４の内側面５４ｃは、縁リブ１５ａ（図５（ｂ）参照）の左リブの外縁に当接し、係止されている。
　右縁部５５の内側面５５ｃは、縁リブ１５ａ（図５（ｂ）参照）の右リブの外縁に当接し、係止されている。

　図１３（ａ）（ｂ）に示すように、シール部材５０の上部には、前後方向に貫通し、カバー装着部１８の上部ボス部１０ｃ（図５（ｂ）参照）により挿通される挿通部５６が形成されている。
　挿通部５６は、上縁部５２と、左縁部５４の上側を構成する上部幅広部５４ｂと、右縁部５５の上側を構成する上部幅広部５５ｂと、上部幅広部５４ｂの下部と上部幅広部５５ｂの下部とを連結する連結部５７と、で囲われている。
　なお、連結部５７には、ガイド軸７１の後端７１ｂが挿通される凹状の切欠部５７ｄが形成されている。

　図１４（ａ）に示すように、連結部５７の前面は、左縁部５４の前面および右縁部５５の前面よりも後方に位置している。
　これにより連結部５７の左側と右側には、段差状の第一規制部５７ａおよび第二規制部５７ｂが形成されている。

　第一規制部５７ａは、後部開口部１５の縁リブ１５ａ（図５（ｂ）参照）の左上の角部の外縁に当接し、係止されている。なお、第一規制部５７ａは、左縁部５４の内側面５４ｃに連続している。

　第二規制部５７ｂは、前面視で略Ｌ字形状に形成されている。第二規制部５７ｂは、後部開口部１５の縁リブ１５ａの右上の角部に形成された肩部１５ｂ（図５（ｂ）参照）の外縁に当接し、係止されている。なお、第二規制部５７ｂは、右縁部５５の内側面５５ｃに連続している。

　第二規制部５７ｂの内側には、前面視略Ｌ字形状の第三規制部５７ｃが形成されている。第三規制部５７ｃは、肩部１５ｂ（図５（ｂ）参照）の内縁に当接し係止され、後部開口部１５内に配置される。また、第二規制部５７ｂと第三規制部５７ｃとにより、縁リブ１５ａの肩部１５ｂを挟持している。

　図１４（ａ）に示すように、左縁部５４の下側を構成する下部幅広部５４ａには、上方に突出する左突部５４ｄが形成されている。また、左突部５４ｄの前面は、左縁部５４の前面よりも後方に窪んでいる。このため、左突部５４ｄと左縁部５４との間には、前面視で略Ｌ字形状に形成された段差状の第四規制部５８ａが形成されている。
　第四規制部５８ａは、後部開口部１５の縁リブ１５ａ（図５（ｂ）参照）の左下の角部の外縁に当接し、係止されている。

　図１４（ａ）に示すように、右縁部５５の下側を構成する下部幅広部５５ａには、上方に突出する右突部５５ｄが形成されている。また、右突部５５ｄの前面は、右縁部５５の前面よりも後方に窪んでいる。このため、右突部５５ｄと右縁部５５との間には、前面視で略Ｌ字形状に形成された段差状の第五規制部５８ｂが形成されている。
　第五規制部５８ｂは、後部開口部１５の縁リブ１５ａ（図５（ｂ）参照）の右下の角部の外縁に当接し、係止されている。

　そして、第一規制部５７ａ，第二規制部５７ｂ、第三規制部５７ｃ、第四規制部５８ａおよび第五規制部５８ｂは、カバー装着部１８に対するシール部材５０の位置ずれを規制する規制部として機能する。

　図１３（ｂ），図１４（ｂ）に示すように、シール部材５０の上側の後面には、後方へ向けて突出する第六規制部５９ａおよび第七規制部５９ｂが形成されている。

　第六規制部５９ａは、挿通部５６の上縁に沿って左右方向に延在している。
　第六規制部５９ａは、保護カバー４０の上部凹部４３ａ（図１１（ａ）（ｂ），図１２参照）の上縁部に係止されている。
　第七規制部５９ｂは、上部幅広部５４ｂの後面と上部幅広部５５ｂの後面とに形成され、一対になっている。
　第七規制部５９ｂは、保護カバー４０の一対の係止穴４０ｆ（図１０（ａ）参照）に挿入され、係止されている。

　図１４（ｂ）に示すように、左縁部５４の後面には、後方へ向けて突出する第八規制部５９ｃが形成されている。第八規制部５９ｃは、左縁部５４の内側面５４ｃ、左突部５４ｄおよび下部幅広部５４ａに沿って上下方向に延在している。

　右縁部５５の後面には、後方へ向けて突出する第九規制部５９ｄが形成されている。第九規制部５９ｄは、右縁部５５の内側面５５ｃ、右突部５５ｄおよび下部幅広部５５ａに沿って上下方向に延在している。

　第八規制部５９ｃは、保護カバー４０の左側部４４に形成された段部４４ｅ（図１０（ａ），図１５（ａ）参照）に係止されている。
　第九規制部５９ｄは、保護カバー４０の右側部４５に形成された段部４５ｅ（図１０（ｂ），図１５（ａ）（ｂ）参照）に係止されている。

　図１４（ｂ）に示すように、下縁部５１の後面には、後方へ向けて突出する第十規制部５９ｅが形成されている。
　第十規制部５９ｅは、切れ込み部５３の下縁に沿って左右方向に延在している。第十規制部５９ｅは、保護カバー４０の基部４１の前端部４１ｃ（図６（ｂ）参照）の内縁部に係止されている。

　以上のような第六規制部５９ａ、第七規制部５９ｂ、第八規制部５９ｃ、第九規制部５９ｄおよび第十規制部５９ｅは、シール部材５０と保護カバー４０との相対的な位置ずれを規制する規制部として機能する。

　つぎに、シール部材５０の装着方法について説明する。
　本実施形態のシール部材５０は、保護カバー４０をカバー装着部１８に装着する際に、カバー装着部１８に対してシール部材５０を装着してから保護カバー４０を装着してもよいし、シール部材５０を保護カバー４０に装着してから、シール部材５０と保護カバー４０とを一緒にしてカバー装着部１８に装着してもよい。

　カバー装着部１８に対してシール部材５０が装着されると、カバー装着部１８の縁リブ１５ａの外縁に沿って、シール部材５０の第一規制部５７ａ、第二規制部５７ｂ、第四規制部５８ａおよび第五規制部５８ｂが係止される。また、縁リブ１５ａの肩部１５ｂの内縁に沿って第三規制部５７ｃが係止される。これによって、縁リブ１５ａの周り（後部開口部１５の周り）の所定位置にシール部材５０が位置決めされる。
　また、カバー装着部１８の上部ボス部１０ｃがシール部材５０の挿通部５６に挿通され、上部ボス部１０ｃの周りにシール部材５０の上部が位置決めされる。また、カバー装着部１８の下部ボス部１０ｄがシール部材５０の切れ込み部５３に挿通され、下部ボス部１０ｄの周りにシール部材５０の下部が位置決めされる。

　一方で、シール部材５０に対して保護カバー４０が装着されると、シール部材５０の上部後面の第六規制部５９ａが保護カバー４０の上部凹部４３ａの上端縁に係止されるとともに、第七規制部５９ｂが保護カバー４０の一対の係止穴４０ｆに係止され、シール部材５０の上部と保護カバー４０の上部（前傾部４３）とが位置決めされる。
　また、シール部材５０の第八規制部５９ｃが保護カバー４０の左縁部５４の内側面５４ｃに係止されるとともに、第九規制部５９ｄが保護カバー４０の右縁部５５の内側面５５ｃに係止され、シール部材５０の左縁部５４および右縁部５５と、保護カバー４０の左右両側部４４，４５とが位置決めされる。
　また、シール部材５０の第十規制部５９ｅが保護カバー４０の基部４１の前端部４１ｃの内側縁部に係止される。これにより、シール部材５０の下部と保護カバー４０の下部（基部４１）とが位置決めされる。

　そして、保護カバー４０のねじ孔４０ａ，４０ｂを通じてねじＢをカバー装着部１８の上部ボス部１０ｃおよび下部ボス部１０ｄに螺合して締め付けることによって、保護カバー４０がシール部材５０を介して、カバー装着部１８に液密に固定される。
　この場合、ねじＢの締め付けによって、保護カバー４０の前縁部の突起部４６が対向するシール部材５０の下縁部５１、上縁部５２、左縁部５４および右縁部５５に円環状にめり込み、シール部材５０と保護カバー４０との相対的な位置ずれが防止される（図１３（ｂ）参照）。

　以上、実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
　たとえば、ボディ１０に架橋部１４が形成されておらず、側部開口部１３と後部開口部１５とが連続していてもよい。
　また、ボディ１０と蓋部材３０との結合は、雌ねじ部１３ｂと雄ねじ部３３ａとの螺合でなくてもよく、ボルトによる固定であってもよい。
　また、筒部２１の形状は、円筒状でなく、矩形状であってもよい。
　上記のような変形例であっても、連動歯車７４の後部をボディ１０外（保護カバー４０内）に配置することで連動歯車（構成部材）７４の小型化を回避することができる。

　さらにまた、前記実施形態では、スプール軸８の後部８ａに連結固定した摺動子７２を、ハンドル軸５に連動回転する連動歯車７４（構成部材）の偏芯突部７５に係合させ、ハンドル軸５の回転をスプール軸８の前後往復動に変換させるスプール往復動装置７０を用いた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
　例えば、ピニオンギャ７ａを有する駆動軸筒７に連動回転する公知の螺軸（構成部材）に摺動子７２を係合させてなるスプール往復動装置に実施してもよい。
　また、蓋部材３０の蓋部３１の形状は、側面視で円形であったが、例えば正方形など、側部開口部１３を閉塞可能であれば、特に限定されない。

　また、ギャ支持部材２６は、カム形状の外形を備えるものを示したが、これに限られることはなく、円形状、楕円形状、三角形状、四角形状、多角形状等、種々の形状を採用することができる。
　また、ギャ支持部材２６は、ハンドル軸５の周りに取り付けられるものに限られることはなく、ボディ１０の右側部に固定されるものであればよい。

　また、第１実施形態のギャ支持部材２６は、ボディ１０の外側に取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。
　たとえば、図１６に示すように、ボディ１０（リール本体１）の内側にギャ支持部材６１が取り付けられてもよい。
　なお、この第１変形例において、ボディ１０（リール本体１）の内側には、ギャ支持部材６１を取り付けるための取付部６０が形成されている。
　取付部６０は、ボディ１０の右側部の内面１０ｇからハンドル支持部１０ｅの周縁部に沿って突出する円形リブ６０ａと、ねじ穴６０ｂと、を備えている。

　ギャ支持部材６１は、図１６（ｂ）に示すように、環状部６２と、環状部６２から延在する腕部６３と、を備えている。
　図１６（ａ）に示すように、環状部６２は、取付部６０の円形リブ６０ａの周りに装着される。環状部６２は、ねじ穴６０ｂに対応するねじ孔６２ａが形成されている。そして、ねじ孔６２ａに挿入される取付ねじ６２ｂが取付部６０のねじ穴６０ｂに螺合し、ギャ支持部材６１が固定される。

　腕部６３の先端部には、収容空間Ｓ１内に向けて突出するボス部６４が形成されている。このボス部６４には、軸受６４ｂを介して連動歯車７４が支持される。
　この第１変形例においても、ギャ支持部材６１の仕様を変更することによって、ハンドル軸５（図１６では不図示）と連動歯車７４の軸との軸間距離を異なる距離を変更することができる。このため、外径の異なる連動歯車７４を支持することができ、スプール軸８（図９では不図示）のストローク長を容易に変更することができる。
　よって、第１実施形態と同様に、魚釣用スピニングリール１００の仕様変更を低コストで容易に行うことができる。また、連動歯車７４とギャ支持部材６１とを後部開口部１５を通じて一緒に組み付けることができるので、組付時間が短縮され生産性が向上する。

　また、シール部材５０の形状に関し、第１実施形態のものに限定されない。
　例えば、図１７（ａ）に示すように、シール部材５０の右縁部５５の断面をクランク状に形成して、後部開口部１５の縁リブ１５ａに係止される延在部５９ｄ１を設けてもよい。延在部５９ｄ１を設けることで、縁リブ１５ａの後面１５ａ１が延在部５９ｄ１で覆われ、シール性がさらに向上する。

　また、図１７（ｂ）に示すように、後部開口部１５に縁リブ１５ａを設けることなく、カバー装着部１８をフラットな面に形成してシンプルな構造としてもよい。この場合にも、保護カバー４０の前縁部の突起部４６がシール部材５０の後面に環状に食い込むので、保護カバー４０とシール部材５０との相対的な位置ずれが好適に規制される。

　また、図１７（ｃ）に示すように、保護カバー４０の右側部４５（左側部４４）に段部４５ｅ（左側部４４では段部４４ｅ）を設けることなく、略平らな面４５ｅ１に形成し、これを第九規制部５９ｄ（左側部４４では第八規制部５９ｃ）に直接係止してもよい。この場合にも、保護カバー４０とシール部材５０との相対的な位置ずれが好適に規制されるとともに、保護カバー４０の形状がシンプルなものとなる。

（第２実施形態）
　つぎに第２実施形態に係る魚釣用スピニングリールについて説明する。
　第１実施形態で説明したように、ボディ１０の筒部２１の左端部が側部開口部１３を構成している。つまり、第１実施形態では、側部開口部１３が樹脂により形成されている。
　図１８（ａ）に示すように、第２実施形態では、ボディ１１０の側部開口部１１３の内周側に、環状の金属部材１８０がインサート成形されている。
　このため、金属部材１８０の内周面１８２が、側部開口部１１３の内周面１１３ａを構成している。

　この金属部材１８０は、断面視Ｌ字状を呈している。言い換えると、金属部材１８０の外周面には、径方向外側に突出するフランジ１８１が形成され、ボディ１１０から金属部材１８０が脱落しないように強固に一体化されている。
　また、金属部材１８０の内周面１８２の内側の右側寄りに、側部開口部１１３を周回する雌ねじ部１９１が形成されている。

　なお、特に図示しないが、金属部材１８０は、側部開口部と後部開口部との間に延在する架橋部（図５（ａ）架橋部１４を参照）の内部を延在している。よって、樹脂のみで形成される場合よりも架橋部の強度が向上している。

　図１８（ａ）に示すように、第２実施形態の蓋部材１３０は、ボディ１１０の側部開口部１１３を閉塞する蓋部１３１と、蓋部１３１の内面（右面）から右方に突出し金属部材１８０（側部開口部１１３）の内側に挿入される円筒状の円筒部１３３と、を備える。

　蓋部１３１は、側面視で円形を呈しており、側部開口部１１３と同形状になっている。第１実施形態と同様に、蓋部１３１の中央部には、ハンドル軸（図４のハンドル軸５参照）が貫通する円筒部１３２が形成されている。

　図１８（ｂ）に示すように、蓋部１３１の外径は、円筒部１３３の外径よりも大径に形成されており、蓋部１３１の外周部１３１ａが円筒部１３３よりも径方向外側に突出している。
　また、外周部１３１ａの底面（右面）１３１ｂは、金属部材１８０の端面１８４に当接しており、蓋部材１３０と側部開口部１１３との間が封止されている。
　ここで、第２実施形態では、外周部１３１ａの底面１３１ｂが当接する部位が金属部材１８０の端面１８４により構成されている。
　つまり、外周部１３１ａの底面１３１ｂは、樹脂で構成される場合よりも平面度が高い端面１８４に当接している。よって、蓋部材１３０と側部開口部１１３（金属部材１８０）との間に隙間が形成され難く、防水性が極めて高い。

　円筒部１３３の外周面には、先端側（右端側）から基部側（左端側）に向って順に、雄ねじ１９２と、収容凹部１３６と、当接面１３７とが形成されている。

　雄ねじ１９２は、側面視で側部開口部１１３を周回するねじ部であり、金属部材１８０の雌ねじ部１９１に螺合している。これにより、蓋部材１３０がボディ１１０に締結固定している。これにより、リール本体１０１は、ハンドル軸を支持する蓋部材１３０がボディ１１０にねじ込まれて蓋部材１３０とボディ１１０とが一体化したモノコックボディを成している。

　また、雌ねじ部１９１を構成する部材が金属材料で形成されるため、樹脂で形成される場合よりもねじ溝、ねじ山等の精度が高く、かつ、摩耗等し難い。この結果、蓋部材１３０を側部開口部１１３に螺合させる際の作業が円滑となるとともに、雌ねじ部１９１と雄ねじ部１９２との緩みが発生し難く蓋部材１３０の取付強度が高い。
　また、樹脂製のボディ１１０の側部開口部１１３に金属部材１８０がインサート成形により一体化されるので、安価で軽量な樹脂製のボディ１１０の強度アップが図られ、剛性が飛躍的に向上する。
　さらに、ボディ１１０の側部開口部１１３は、金属部材１８０がインサートされているため、樹脂成形時の収縮（変形）が抑え、高精度とすることができる。

　当接面（当接部）１３７は、金属部材１８０（側部開口部１１３）に蓋部材１３０を螺合する際、金属部材１８０の内周面１８２に当接し、側部開口部１１３に対する蓋部材１３０の調芯作用を行うためのものである。
　これによれば、ハンドル軸の右側を支持するボディ１１０の右側中央孔（図５（ａ）の右側中央孔２３参照）と、ハンドル軸の左側を支持する蓋部材１３０のハンドル軸支持部１３４との中心が一致し、同芯度が得られる。
　また、内周面１８２を構成する部材が金属材料で形成されるため、樹脂で形成される場合よりも内周面１８２の真円の精度が高く、同芯度が極めて高い。
　この結果、ハンドル軸は、リール本体１０１に対して左右方向に延在するように支持され、ハンドル軸の回転がスムーズとなる。

　収容凹部１３６は、雄ねじ１９２と当接面１３７との間に形成された窪みであり、シール材としてＯリング１３８が外嵌されている。このため、円筒部１３３と金属部材１８０の内周面１８２との間から封止され、水の内部への浸入を確実に防止するようになっている。

　以上、第２実施形態によれば、蓋部材１３０の取付強度が高く、そして、蓋部材１３０の螺合一体化、更には、金属部材１８０の側部開口部１１３へのインサート成形により、樹脂製のボディ１１０が強度アップし、剛性が向上する。よって、噛合精度が向上してハンドル軸の回転性が安定し、スムーズで良好なハンドルの巻き取り操作を行うことができる。
　また、リール本体１０１において側部開口部１１３の一部（金属部材１８０）以外が樹脂により形成されため、安価かつ軽量とすることができる。

　つぎに、第２実施形態の第１変形例について説明する。
　第１変形例のリール本体１０１Ａは、図１９に示すように、ボディ１１０Ａの側部開口部１１３Ａの左側面から左側に突出するように金属部材１８０Ａを設け、金属部材１８０Ａの外周面に雄ねじ１９２Ａを形成してもよい。
　なお、この場合の蓋部材１３０Ａは、円筒部１３３Ａの内径を金属部材１８０Ａの外径よりも大径とし、円筒部１３３Ａの内周面に雌ねじ部１９１Ａを形成する必要がある。

　つぎに、金属部材をボディではなく蓋部材の方に設けた第２変形例、第３変形例を説明する。
　図２０に示すように、第２変形例の蓋部材１３０Ｂには、金属部材１８０Ｂが設けられている。また、金属部材１８０Ｂの全部が円筒部１３３Ｂを構成しており、金属部材１８０Ｂの外周面が露出している。そして、金属部材１８０Ｂの外周面に雄ねじ部１９２Ｂが形成されている。
　なお、この場合のリール本体１０１Ｂは、ボディ１１０Ｂの側部開口部１１３Ｂの内周面に、雌ねじ部１９１Ｂ（樹脂製のねじ部）が形成されている。

　図２１に示すように、第３変形例の蓋部材１３０Ｃには、金属部材１８０Ｃが設けられており、金属部材１８０Ｃが円筒部１３３Ｃの一部を構成している。また、金属部材１８０Ｃの内周面が露出しており、その内周面に雌ねじ部１９１Ｃが形成される。
　なお、リール本体１０１Ｃの方については、ボディ１１０Ｃの側部開口部１１３Ｃの外周面に雄ねじ部１９２Ｃが形成されている。

　そのほか、特に図示しないが、ボディと蓋部材との両方に金属部材を設けてもよい。これによれば、蓋部材の取付強度が更に高まり、ハンドル操作をより円滑にすることができる。更にまた、蓋部材の全体を金属材で形成して、樹脂製のボディの側部開口部にインサート成形された金属部材に螺合一体化しても良い。

　また、シール部材が設けられている部位は、例えば、金属部材１８０（側部開口部１１３）の端面１８４と蓋部材１３０の外周部１３１ａの底面１３１ｂ（図１８（ｂ）参照）との間などに介在させてもよい。

　また、図２２に示すように、樹脂製のボディ１１０Ｄと金属製の蓋部材１３０Ｄのそれぞれに、互いに螺合し合う一対のねじ部（雄ねじ部１９１Ｄ，雌ねじ部１９２Ｄ）を形成し、蓋部材１３０Ｄがボディ１１０Ｄに締結固定されるようにしてもよい。
　このような変形例であっても、ボディ１１０Ｄ全体を金属材料で形成する場合よりも軽量化する。また、蓋部材１３０Ｄの蓋部１３１Ｄが金属材料で形成されるため、ハンドル５ａ操作時の荷重により変形し難いため、蓋部材１３０Ｄに支持されるハンドル軸の支持精度が向上する。

（第３実施形態）
　つぎに、第３実施形態について説明する。
　図２３に示すように、魚釣用スピニングリール３００は、リール本体３０１と、リール本体３０１の前側に回転可能に設けられたロータ３０２と、ロータ３０２の回転運動と同期して前後方向移動可能に設けられたスプール３０３と、を備える。

　図２４に示すように、リール本体３０１は、側面視で外形が略円形状に形成されたボディ３１０と、ボディ３１０の左側部に形成された側部開口部３１３を塞ぐ蓋部材３３０と、を備えている。側部開口部３１３および蓋部材３３０は、側面視で円形に形成されている。
　ボディ３１０の上部には、図示しない釣竿に装着される脚部３１１（図２３参照）が一体形成されている。ボディ３１０の前部には、筒状のボディ前部３１２が設けられている。ボディ３１０の後部には、シール部材３５０を介して保護カバー３４０が装着されている。

　図２５に示すように、ボディ３１０には、側部開口部３１３を開口として有底略円筒状の壁（後記する筒部３２２の内周面３２２ａ）で囲まれる収容空間Ｓ１が形成されている。収容空間Ｓ１には、駆動軸筒３０７の後部、駆動軸筒３０７に挿通されるスプール軸３０８の後部、およびスプール往復動装置３７０が配置されている。
　駆動軸筒３０７およびスプール軸３０８は、ボディ前部３１２の前方へ延出している。
　スプール軸３０８は、ハンドル軸３０５の下側に配置されている。
　駆動軸筒３０７の後部には、ピニオンギャ３０７ａが形成されている。スプール軸３０８の後部は、ピニオンギャ３０７ａ（駆動軸筒３０７）の後端よりも後方に延出している。

　スプール往復動装置３７０は、オシレートギャ方式である。スプール往復動装置３７０は、前後方向に延びる上下一対のガイド軸３７１ａ，３７１ｂと、右側面に案内溝３７３が形成されてガイド軸３７１ａ，３７１ｂに沿って移動する摺動子３７２と、案内溝３７３に係合する偏芯突部３７５が形成された連動歯車３７４（構成部材）とを備える。
　スプール軸３０８の後端には、後方に突出して摺動子３７２に連結する連結部３０８ａが設けられ、スプール軸３０８と摺動子３７２とが一体になっている。

　図２７に示すように、ボディ３１０内には、左右方向に延在するハンドル軸３０５が設けられている。ハンドル軸３０５は、左右の軸受（図２７に左側の軸受３０５ｂのみ図示、右側の軸受３０５ｄについては図２５参照）を介して蓋部材３３０とボディ３１０とに回転可能に支持されている。
　ハンドル軸３０５の左端部には、連結軸３０５ｃを介してハンドル３０５ａ（図２３参照）が取り付けられている。
　ハンドル軸３０５の左側にはドライブギャ３０６が固定され、ハンドル軸３０５の右側には歯車３０６ａが固定されている。

　図２５に示すように、ドライブギャ３０６の前側がピニオンギャ３０７ａに噛合している。一方で、歯車３０６ａの後側が、減速歯車機構としての減速歯車３７７に噛合している。減速歯車３７７は、ハンドル軸３０５の後上方に配置され、連動歯車３７４に噛合している。つまり、減速歯車３７７は、歯車３０６ａと連動歯車３７４との間に介在している。

　図２７に示すように、減速歯車３７７は、ハンドル軸３０５と平行なボス部３２９周りに回転する。なお、ボス部３２９は、右壁部３２１に片持ち支持されている。
　減速歯車３７７は、歯車３０６ａに噛合する大径歯車３７７ａと、連動歯車３７４に噛合し大径歯車３７７ａよりも歯数の少ない小径歯車３７７ｂと、を有する段付き歯車である。
　大径歯車３７７ａは、歯車３０６ａよりも大径な平歯車である。一方で、小径歯車３７７ｂは、連動歯車７４よりも小径な平歯車であり、連動歯車３７４よりも歯数が少なくなっている。
　したがって、ハンドル３０５ａを回転操作すると、ハンドル軸３０５の回転が減速歯車３７７を介して減速されて連動歯車３７４に伝達される。これにより、スプール往復動装置３７０におけるハンドル３０５ａの１回転あたりの前後方向の移動量は、減速歯車３７７を備えていない場合によりも小さくなる。

　なお、ハンドル３０５ａの巻き取り操作による駆動力は、ハンドル軸３０５、ドライブギャ３０６、ピニオンギャ３０７ａを介して駆動軸筒３０７に伝達する。これにより、駆動軸筒３０７とともにロータ３０２が回転する。
　また、スプール往復動装置３７０により、スプール軸３０８が前後方向に移動し、ロータ３０２の図示しない釣糸案内部を介して、釣糸がスプール３０３（図２３参照）の巻回胴部３０３ａに均等に巻回される。

　次に、各部の構成について詳細に説明する。
　図２６（ａ）に示すように、ボディ３１０は、底部に周壁を有する有底箱状（筒状）を呈し、左側に向かって開口している。ボディ３１０は、円板状の右壁部３２１と、右壁部３２１の周端縁から左側に延びる筒状の筒部３２２とを備える。なお、筒部３２２の左端部が側部開口部３１３を構成している。

　右壁部３２１の内面（左側面）には、右側中央孔３２３と、支持リブ３２４と、挿入孔３２５と、挿入孔３２７と、が形成されている。
　右側中央孔３２３は、ハンドル軸３０５の右端部が貫通し、そのハンドル軸３０５の右側を支持する孔であり、右壁部３２１の中央部に設けられている。
　右側中央孔３２３には、ハンドル軸３０５を回転可能に支持するハンドル軸用軸受として、右側の軸受３０５ｄが取り付けられている（図２５参照）。右側中央孔３２３に対して右側の軸受３０５ｄは、ボディ３１０の右側方から取り付けられる。

　支持リブ３２４は、図２６（ａ）に示すように、右壁部３２１に一体的に突設されて、収容空間Ｓ１内に配置されている。
　支持リブ３２４は、右側中央孔３２３よりも前側に位置し、上下方向に延在している。支持リブ３２４の上端部３２４ｄ１，３２４ｄ２および下端部３２４ｅは、筒部３２２の内周面３２２ａにそれぞれ接続されている。
　つまり、支持リブ３２４は、筒部３２２に対しても一体的に設けられている。この支持リブ３２４により、右壁部３２１および筒部３２２の強度が向上している。
　支持リブ３２４には、筒状の上部支持部３２４ａ，下部支持部３２４ｂおよび下端支持部３２４ｃが形成されている。
　図２５に示すように、上部支持部３２４ａには、ガイド軸３７１ａの前端部を支持するガイド軸支持孔３２４ａ１が形成されている。

　下部支持部３２４ｂには、カラー３５１ａを介して後部軸受（ボールベアリング）３５１（図２５参照）を支持するための軸受支持孔３２４ｂ１が形成されている。
　このため、ピニオンギャ３０７ａの後部側（駆動軸筒３０７の後部）は、後部軸受３５１、支持リブ３２４を介してボディ３１０に支持されている。
　スプール軸３０８の後部は、カラー３５１ａを介して下部支持部３２４ｂの後方に貫通している。

　スプール軸３０８は、ピニオンギャ３０７ａの内周に対して微小隙間を有して非接触であるが、ボディ３１０内の下部支持部３２４ｂに支持されたカラー３５１ａとピニオンギャ３０７ａの前部側の内周に形成した図示しない支持部で、前後方向に摺動可能に支持されている。

　下端支持部３２４ｃには、ガイド軸３７１ｂ（図２５参照）の前端部を支持するガイド軸支持孔３２４ｃ１が形成されている。

　上部支持部３２４ａ，下部支持部３２４ｂおよび下端支持部３２４ｃは、側部開口部３１３内に位置している。そして、下部支持部３２４ｂは、図２５に示すように、ハンドル軸３０５の軸方向から見て右側の軸受３０５ｄの少なくとも一部に重なるように配置されている。
　このようにすることで、ボディ３１０内（側部開口部３１３内）の省スペース化を図ることができる。なお、後部軸受３５１がハンドル軸３０５の軸方向から見て右側の軸受３０５ｄの少なくとも一部に重なるように配置してもよい。

　図２６（ａ）に示すように、挿入孔３２５は、右側中央孔３２３よりも後下部に形成されている。挿入孔３２７は、右側中央孔３２３よりも後上部に形成されている。
　図２７に示すように、挿入孔３２５には、連動歯車３７４を回転自在に支持するボス部３２８が貫通している。これにより、ボディ３１０内の後部に連動歯車３７４が回転自在に配置される。また、挿入孔３２７には、減速歯車３７７を回転自在に支持するボス部３２９（図２７参照）が貫通している。これにより、ボディ３１０内の後部に減速歯車３７７が回転自在に配置される。

　筒部３２２は、図２６（ａ）に示すように、ハンドル軸３０５が支持される右側の軸受３０５ｄを嵌合する右側中央孔３２３の中心Ｏ１を基点とする略円筒形状を呈している。
　具体的に、筒部３２２の内周面３２２ａは、右側中央孔３２３の中心Ｏ１を中心とする円形状に形成され、かつ、ドライブギャ３０６の大きさに対応している。つまり、内周面３２２ａは、ハンドル軸３０５の外周面と同心円状の面である。

　筒部３２２の外周面３２２ｂは、右側中央孔３２３の中心Ｏ１を中心とする略円形状に形成され、かつ、筒部３２２の厚み（径方向の肉厚）が周方向において略均一になっている。このため、筒部３２２は、従来の筒部（側面視矩形筒状の筒部）よりも小型化しており、筒部３２２の内周面３２２ａとドライブギャ３０６との間には、不要な空間が生じないようになっている。

　図２５，図２６（ａ）に示すように、筒部３２２の左端部（側部開口部３１３）の内周面３１３ａは、筒部３２２の内周面３２２ａと略同一径に形成され、比較的大きなドライブギャ３０６でも筒部３２２内に容易に組み付けることができるようになっている。
　また、側部開口部３１３の内径（内周面３１３ａ）は、ドライブギャ３０６（二点鎖線で図示）の外径よりも大きく形成されている。換言すれば、ドライブギャ３０６は、側部開口部３１３の内径の大きさに可及的に近づけた大径に形成されている。

　図２８（ｂ）に示すように、側部開口部３１３の内周面３１３ａの奥側には、雌ねじ３１３ｂが形成されている。また、側部開口部３１３の開口周縁部には、断面凹状の嵌合受部３１７が周方向に亘って形成されている。嵌合受部３１７は、底面部３１７ａと、この底面部３１７ａから断面アール状に立ち上がる立上り部３１７ｂと、を備えている。

　図２６（ｂ）に示すように、筒部３２２の後部には、筒部３２２の外周面３２２ｂに形成された２つの保護カバー用雌ねじ穴３２２ｃ（図２９（ａ）参照）と、筒部３２２の後部を貫通する後部開口部３１５とが形成されている。

　図２６（ａ）（ｂ）に示すように、後部開口部３１５は、筒部３２２の後部を貫通し、収容空間Ｓ１と後部空間とを連通している。
　後部開口部３１５は、ボディ３１０内に組み付けられた部品の一部を受け入れてボディ３１０外に、言い換えると、ボディ３１０から後方に突出するように配置するための開口部である。
　後部開口部３１５は、筒部３２２において左右方向の中央部のみを貫通し、後部開口部３１５の開口（孔）と側部開口部３１３の開口（孔）とが連続しないようになっている。これにより、側部開口部３１３と後部開口部３１５との間には、側部開口部３１３と後部開口部３１５とのそれぞれの開口の端縁を構成する円弧状の架橋部３１４が延在している。したがって、後部開口部３１５の開口（孔）と側部開口部３１３の開口（孔）とが連続する場合に比べて、筒部３２２の強度が向上している。

　図２５に示すように、後部開口部３１５を通じてスプール往復動装置３７０の連動歯車３７４の一部、ストローク位置が最後端位置にあるときの摺動子３７２の一部、ガイド軸３７１ａの後端部３７１ａ１およびガイド軸３７１ｂの後端部３７１ｂ１が、ボディ３１０の後部から後方へ突出している。つまり、後部開口部３１５は、これらの部材が挿通配置される大きさおよび形状を備えている。なお、これらの部材が後部開口部３１５を通じてボディ３１０の後方に突出するので、その分、収容空間Ｓ１は、コンパクトな大きさに形成されている。

　図２６（ｂ）に示すように、後部開口部３１５の周りには、カバー装着部３１８が形成されている。カバー装着部３１８には、シール部材３５０（図２９（ａ）参照）を介して保護カバー３４０が装着される。保護カバー３４０は、保護カバー用雌ねじ穴３２２ｃに螺合するねじＢに締め付けられ、ボディ３１０（筒部３２２）の後部開口部３１５を覆うように固定されている。
　図２５に示すように、保護カバー３４０の内側には収容空間Ｓ２が形成される。収容空間Ｓ２には、後部開口部３１５を通じてボディ３１０の後部から突出した連動歯車３７４の一部および摺動子３７２の一部が収容される。
　つまり、連動歯車３７４の一部および摺動子３７２の一部は、シール部材３５０を介して装着される保護カバー３４０で覆われて液密に収容されている。

　ボディ３１０の後部から突出するガイド軸３７１ａの後端部３７１ａ１は、図２５，図２９（ａ）に示すように、保護カバー３４０の内側に設けられる支持部３４３ｃに支持されている。
　同様に、ボディ３１０の後部から突出するガイド軸３７１ｂの後端部３７１ｂ１は、保護カバー３４０の内側に設けられる支持部３４３ｄに支持されている。
　なお、後部開口部３１５は、スプール軸３０８およびスプール往復動装置３７０の各部材を組み付けるための組み付け孔としても機能する。

　架橋部１４は、図２４，２５に示すように、側部開口部３１３（蓋部材３３０）に沿うようにしてボディ３１０の上部から下部に亘る円弧状を呈している。架橋部３１４の外形状は、側部開口部３１３（蓋部材３３０）と同芯円状に形成されている。架橋部３１４は、図２５に示すように、側部開口部３１３の開口縁部の一部を構成している。
　なお、架橋部３１４は、側部開口部３１３と同芯円状に形成されたものを示したが、これに限られることはなく、側部開口部３１３の中心（ハンドル軸３０５の中心）に対して前側または後側に偏芯したものであってもよい。また、架橋部３１４は、側面視で外形状が直線状部分を含むものであってもよい。

　次に、スプール往復動装置３７０の主な構成の詳細について説明する。
　図２５に示すように、連動歯車３７４は、後部開口部３１５を貫通するように外部後方からボディ３１０に組み付けられる。組み付けられた状態で、連動歯車３７４の一部（後部領域）は、後部開口部３１５から後方に突出し、保護カバー３４０内に収容される。
　連動歯車３７４には、減速歯車３７７を介してハンドル軸３０５の歯車３０６ａから伝達された駆動力が入力される。
　連動歯車３７４は、ハンドル軸３０５の回転をスプール軸３０８の前後往復動に変換する変換駆動部材として偏芯突部３７５を介して摺動子３７２とともに協働する。

　ガイド軸３７１ａは、ハンドル軸３０５を境にしてスプール軸３０８が配置される側と反対側となる、ハンドル軸３０５の上側に配置されている。一方、ガイド軸３７１ｂは、スプール軸３０８側となる、ハンドル軸３０５の下側に配置されている。
　ガイド軸３７１ａ，３７１ｂは、スプール軸３０８と平行に配置されている。つまり、スプール軸３０８を挟んで上下の２箇所で摺動安定的に摺動子７２が支持されている。
　各ガイド軸３７１ａ，３７１ｂの後端部３７１ａ１，３７１ｂ１は、後部開口部３１５を貫通している。そして、ガイド軸３７１ａの後端部３７１ａ１は保護カバー３４０内の支持部３４３ｃに係合し、ガイド軸３７１ｂの後端部３７１ｂ１は保護カバー３４０内の支持部３４３ｄに係合している。
　このため、図２９（ａ）に示すように、摺動子３７２の一部は、後方へ移動した場合に保護カバー３４０内に入り込み、摺動子３７２の移動範囲が効果的に確保されている。

　また、摺動子３７２の前面（ハンドル軸３０５に対向する対向面）には、後方に向って凹む凹部３７２ａが形成されている。このため、図２９（ｂ）に示すように、摺動子３７２が前方に移動した場合に凹部３７２ａ内にハンドル軸３０５を受け入れ、摺動子３７２の移動範囲が前方に拡大する。以上から、ボディ３１０の大型化の防止を図りつつ、摺動子３７２の移動範囲（ストローク）を効果的に確保している。

　次に、蓋部材３３０について詳細に説明する。
　図２４に示すように、蓋部材３３０は、側部開口部３１３に取り付けられ、側部開口部３１３を液密に閉塞するとともに、ハンドル軸３０５の左端側を支持する役割をなす。
　蓋部材３３０は、図２８（ａ）に示すように、断面が山形状を呈しており、周壁部３３１と、周壁部３３１の中央部に一体的に設けられた円筒部３３２と、周壁部３３１の外周縁部に設けられた円筒状の挿入部３３３と、を備えている。蓋部材３３０の中心部にハンドル軸３０５が支持される（図２７参照）。

　周壁部３３１の外側面（左側面）および内周面（右側面）には、肉抜き部３３１ｂが形成されている。これにより蓋部材３３０の軽量化が図られている。円筒部３３２は、奥側となる右側部が段状に拡径しており、この拡径した部分３３０ａに軸受３０５ｂ（図２７参照）が収容されている。蓋部材３３０は、軸受３０５ｂを介してハンドル軸３０５の左端側を支持している。

　挿入部３３３は、側部開口部３１３に向けて延在し、側部開口部３１３に挿入される部位である。挿入部３３３の先端（右端）の外周部には、図２８（ｂ）に示すように、雄ねじ３３３ａが形成されている。雄ねじ３３３ａは、側部開口部３１３の雌ねじ３１３ｂに螺合可能である。これにより、側部開口部３１３に対して蓋部材３３０自体を螺合によって締結固定することができるので、蓋部材３３０の組み付けが行い易い。

　雄ねじ３３３ａよりも基端側となる挿入部３３３の外周部には、側部開口部３１３の内周面３１３ａ（当接部）に当接する円筒状の当接面（当接部）３３３ｂが形成されている。当接面３３３ｂは、側部開口部３１３に蓋部材３３０を螺合により取り付けた際に、側部開口部３１３の内周面３１３ａに対して周方向に当接して調芯作用をなす。これにより、側部開口部３１３と蓋部材３３０との同芯度が得られる。したがって、加工精度を高めなくても側部開口部３１３と蓋部材３３０との間に隙間が形成され難い。また、蓋部材３３０の中心とボディ３１０の中心とが一致するので、ハンドル軸３０５の傾倒が防止され、ハンドル３０５ａの回転操作性および噛合性能が安定向上する。
　なお、当接面３３３ｂは、側部開口部３１３の内周面３１３ａに対して周方向に間隔を空けて部分的に当接するように構成してもよい。

　挿入部３３３の外周面には、雄ねじ部３３３ａと当接面３３３ｂとの間に収容凹部３３３ｃが形成されている。収容凹部３３３ｃには、シール材としてＯリング３３３ｄが外嵌されている。

　蓋部材３３０の外周縁部には、周方向外側に延在するフランジ状の嵌合部３３７が形成されている。嵌合部３３７は、側部開口部３１３の嵌合受部３１７の立上り部３１７ｂとの間に僅かな隙間（図示では隙間を有しているが接触嵌合も可能）を有した状態で底面部３１７ａに当接し、嵌合受部３１７に対してインロー嵌合する。
　このようなインロー嵌合によって、嵌合部３３７は、側方への突出量が抑えられている。これにより、リール操作時等に釣糸が解れた場合にも、解れた釣糸が蓋部材３３０の外周縁部に引っ掛かり難くなっている。
　また、インロー嵌合によって防塵防水を図ることができる。これにより、例えば、海水や水、あるいはこれらに混じった砂、異物等が侵入するのを遮ることができる。つまり、インロー嵌合部によって釣糸や海水、異物等の侵入防止が実現される。

　なお、図２８（ｂ）に示すように、蓋部材３３０の外周縁部の外面３３０ｇと、側部開口部３１３の外周縁部の外面３１３ｇとは、嵌合部３３７（嵌合受部３１７）を挟んで略連続する傾斜面とされている。これによって、解れた釣糸がより引っ掛かり難い構成となっている。

　図２８（ｂ）に示すように、嵌合部３３７と当接面３３３ｂとの間には、断面湾曲凹状の小径部３３８が形成されている。小径部３３８には、グリスやオイル等の潤滑剤が塗布されている。潤滑剤によって、蓋部材３３０のスムーズな取り付けが可能になるとともに、側部開口部３１３の内周面３１３ａとのシール性が高められている。
　なお、同様に、嵌合受部３１７や嵌合部３３７に対してグリスやオイル等の潤滑剤を塗布してもよい。

　以上のように、ハンドル軸３０５の支持部を備えた蓋部材３３０自体をボディ３１０の側部開口部３１３に螺合して一体化するリール本体構成としたモノコックボディを採用している。

　ボディ３１０とボディ前部３１２との境界部には、図２４，２５に示すように、薄板状を呈するフランジ部３１６が設けられている。フランジ部３１６の左側部には、図２４に示すように、凹状部３１６ｂが形成されている。
　凹状部３１６ｂは、蓋部材３３０の前端部３３０ｅの形状に沿って前方へ向けて凹設れている。凹状部３１６ｂにより、蓋部材３３０の前端部３３０ｅは、フランジ部３１６の上部後面３１６ａよりも前方に入り込むように位置している。
　また、蓋部材３３０の前端部３３０ｅは、図２３に示すように、ロータ３０２との位置関係において、ロータ３０２の最後端部３０２ａよりも前方に位置している。さらに、蓋部材３３０の前端部３３０ｅは、図２４に示すように、ボディ前部３１２を覆う有底円筒状のカバー３１２ａとの位置関係において、カバー３１２ａの後端部３１２ｂよりも前方に位置している。このような位置関係に蓋部材３３０の前端部３３０ｅが位置することによって、ボディ３１０の前後方向のコンパクト化を図りつつ、蓋部材３３０の大径化が可能となっている。なお、凹状部３１６ｂは、蓋部材３３０を取り付ける際の逃げ部となる。

　ボディ前部３１２の内側には、ピニオンギャ３０７ａ（図２５参照）の前部側（駆動軸筒３０７の前部）を支持する図示しない前部軸受（ボールベアリング）が配置されている。なお、駆動軸筒３０７はスプール３０３（図２３参照）側に向けて延出しており、その先端部にロータ３０４が取り付けられている。

　以上の第３実施形態によれば、側部開口部３１３に対して蓋部材３３０自体が周方向に均一な締結力をもって螺合固定されるので、ボディ３１０と蓋部材３３０とが高精度に一体化される。また、蓋部材３３０の螺合による取り付けによってボディ３１０の側部開口部３１３が補強されボディ３１０自体の強度および剛性が向上する。
　このように、高精度、高剛性のリール本体１に減速歯車機構が組み込まれるので、ハンドル軸３０５の回転運動をスプール軸３０８の前後往復動に変換する変換効率ロスを可及的に抑えることが可能となって良好な動力伝達効率を確保することができる。したがって、動力伝達効率に優れ、巻き取り操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。

　なお、支持リブ３２４によりリール本体３０１の高強度化および高剛性化をさらに図ることができるので、モノコックボディの長所（高精度、高い動力伝達効率）をさらに引き出せる効果がある。

　また、当接面３３３ｂによって側部開口部３１３の中心と蓋部材３３０の中心とが一致するので、ハンドル軸３０５の傾倒が防止され、ハンドル３０５ａの回転操作性および噛合性能が安定向上する。これにより、動力伝達効率に優れ、巻き取り操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。

　また、後部開口部３１５により、リール本体３０１内の空間（収容空間Ｓ１）の大きさの制限を受けずに所望の大きさの構成部材を用いることができるとともに、保護カバー３４０により、後部開口部３１５を通じて後方に配置された構成部材を収容することができる。したがって、デザインの自由度、およびスプール往復動装置３７０の性能安定化を図ることができる。これにより、動力伝達効率に優れ、巻き取り操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。

　また、上下一対のガイド軸３７１ａ，３７１ｂによってスプール往復動装置３７０の性能安定化を図ることができるので、動力伝達効率に優れ、巻き取り操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。

　つぎに、図３０，図３１を参照して第３実施形態の変形例のスピニングリールについて説明する。
　本実施形態が前記第３実施形態と異なるところは、ウォームシャフト方式のスプール往復動装置４８０に減速歯車機構としての減速歯車４０９を設けた点にある。

　図３０，図３１に示すように、スプール往復動装置４８０は、螺軸４８１と、摺動子４８３と、上下２つのガイド軸４８２ａ，４８２ｂと、を備えている。
　螺軸４８１は、スプール軸４０８と平行に延出している。螺軸４８１の前端部には、オシレートギャ４８１ａが設けられている。
　オシレートギャ４８１ａは、減速歯車機構を構成する減速歯車４０９と噛合している。螺軸４８１の後端部４８１ｂは、保護カバー４４０に設けられた凹部４５５に係合している。

　減速歯車４０９は、ピニオンギャ４０７ａに噛合する大径歯車４０９ａと、オシレートギャ４８１ａに噛合し大径歯車４０９ａよりも歯数の少ない小径歯車４０９ｂと、を有する段付き歯車である。減速歯車４０９は、ピニオンギャ４０７ａと平行な支軸４０９ｃ周りに回転する。支軸４０９ｃは支持リブ４２４に片持ち支持されている。減速歯車４０９は、図３１に示すように、スプール軸４０８の右斜め上方に配置されている。一方、螺軸４８１は、減速歯車４０９の下方で、スプール軸４０８の右斜め下方に配置されている。

　大径歯車４０９ａは、ピニオンギャ４０７ａに噛合するはすば歯車である。小径歯車４０９ｂは、オシレートギャ４８１ａに噛合する平歯車である。大径歯車４０９ａは、ピニオンギャ４０７ａと略同径であり、小径歯車４０９ｂは、オシレートギャ４８１ａよりも小径であり歯数が少なくなっている。したがって、ハンドル（図２３参照）を回転操作することで、ピニオンギャ４０７ａの回転が減速歯車４０９を介して減速されてオシレートギャ４８１ａに伝達される。これにより、螺軸４８１が減速されて回転駆動される。

　図３０に示すように、螺軸４８１の周面には、軸方向に沿って螺旋状のカム溝４８１ｃが形成されている。
　図３１に示すように、このカム溝４８１ｃに、摺動子４８２に保持された係合ピン４８５の係合爪４８５ａが係合している。

　図３０に示すように、摺動子４８３は、２本のねじ４８３ａでスプール軸８の後端部に取り付けられ、上下２つのガイド軸４８２ａ，４８２ｂに沿って移動する。
　摺動子４８３の前面（ハンドル軸４０５に対向する対向面）には、後方に向って凹む凹部４８３ｂが形成されている。このため、摺動子４８３が前方に移動した場合に凹部４８３ｂ内にハンドル軸４０５を受け入れ、摺動子４８３の移動範囲が前方に拡大する。以上から、ボディ４１０の大型化の防止を図りつつ、摺動子４８３の移動範囲（ストローク）を効果的に確保している。

　上側のガイド軸４８２ａの後端部４８２ａ１は、保護カバー４４０に設けられた凹部４５６に係合している。下側のガイド軸４８２ｂの後端部４８２ｂ１は、保護カバー４４０に設けられた凹部４５７に係合している。

　保護カバー４４０は、上下のねじ穴４２２ｃに螺合するねじＢに締め付けられ、ボディ４１０の後部開口部４１５およびスプール往復動装置４８０の構成部材を覆うように固定される。

　以上の第３実施形態の変形例によれば、前記第３実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。すなわち、高精度、高剛性のリール本体４０１に減速歯車機構が組み込まれるので、ハンドル軸４０５の回転運動をスプール軸４０８の前後往復動に変換する変換効率ロスを可及的に抑えることが可能となって良好な動力伝達効率を確保することができる。したがって、動力伝達効率に優れ、巻き取り操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。

　また、上下一対のガイド軸４８２ａ，４８２ｂによってスプール往復動装置４８０の性能安定化を図ることができるので、動力伝達効率に優れ、巻き取り操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。

　以上、第３実施形態とその変形例について説明したが、本発明において、減速歯車機構に関し、複数の減速歯車を用いて構成してもよい。

　つぎに、第４実施形態の魚釣用スピニングリール５００について説明する。
　図３２に示すように、魚釣用スピニングリール５００は、ハンドル５０５ａを備えるリール本体５０１と、ハンドル５０５ａの巻き取り操作により回転するロータ５０２と、ハンドル５０５ａの巻き取り操作により前後方向に往復運動するスプール５０３と、を備える。

　図３３に示すように、リール本体５０１は、左側に向って開口する側部開口部５１３が形成されたボディ５１０と、ボディ５１０から上方に延びて釣竿（不図示）に装着される竿取付部５１１ａを先端に有する脚部５１１と、ボディ５１０の前側に設けられた筒状のボディ前部５１２と、側部開口部５１３を塞ぐ蓋部材５３０と、ボディ５１０の後部に取り付けられた保護カバー５４０と、を備える。

　ボディ前部５１２内には、前後方向に延びる駆動軸筒５０７とスプール軸５０８が組み付けられている。駆動軸筒５０７の前端及びスプール軸５０８の前端は、ボディ前部５１２よりも前方に突出している。そして、駆動軸筒５０７の前端にロータ５０２（図３３参照）が取り付けられ、スプール軸５０８の前端にスプール５０３（図３３参照）が取り付けられている。

　図３４に示すように、駆動軸筒５０７の後端及びスプール軸５０８の後端は、ボディ５１０内に位置している。また、スプール軸５０８は、駆動軸筒５０７の後端よりも後方に延出し、スプール軸５０８の後端部５０８ａがハンドル軸５０５の下方で前後方向に延在している。

　ボディ５１０内には、ハンドル５０５ａの巻き取り操作により駆動軸筒５０７とスプール軸５０８を駆動させるための構成として、ボディ５１０に回転自在なハンドル軸５０５と、ハンドル軸５０５に連結するドライブギャ５０６及び歯車５０６ａと、スプール往復動装置５７０と、が組み付けられている。図中の「Ｏ１」は、ハンドル軸５０５の回転中心を示す。また、図３４においては、ハンドル軸５０５が支持される右側中央孔５２３の中心を示す。

　図３５は、リール本体５０１を上下方向及び左右方向で切った断面を後方から視た断面図である。詳細には、図３５のリール本体５０１の左半分は、図３７（ｂ）のＸＸＸＶＡ－ＸＸＸＶＡ線で切った断面図であり、リール本体５０１の右半分は、図３７（ｂ）のＸＸＸＶＢ－ＸＸＸＶＢ線で切った断面図である。
　図３５に示すように、ハンドル軸５０５は、左右方向に延在してボディ５１０と蓋部材５３０を貫通する棒状部材である。
　ボディ５１０内において、ハンドル軸５０５は、ドライブギャ５０６及び歯車５０６ａと一体化しており、ハンドル軸５０５とともにドライブギャ５０６及び歯車５０６ａが回転する。なお、ドライブギャ５０６は蓋部材５３０側に位置し、歯車５０６ａはボディ５１０の後述する右壁部５２１側に位置している。ハンドル軸５０５の左端部は、ハンドル５０５ａに設けられた連結軸と螺合している。

　ドライブギャ５０６は、ハンドル軸５０５のフランジ５０５ｃにねじ５０６ｂにより締結されており、ハンドル軸５０５と一体に回転する。
　図３４に示すように、ドライブギャ５０６は、駆動軸筒５０７の後部に形成されたピニオンギャ５０７ａに噛合している。
　以上から、ハンドル５０５ａの巻き取り操作による駆動力は、ハンドル軸５０５及びドライブギャ５０６を介してピニオンギャ５０７ａ（駆動軸筒５０７）に伝達し、ロータ５０２が回転する。

　歯車５０６ａは、スプール往復動装置５７０の後述する連動歯車５７４に噛合し、ハンドル５０５ａの巻き取り操作による駆動力を連動歯車５７４に伝達するための部品である。

　スプール往復動装置５７０は、前後方向に延びるガイド軸５７１と、右側面に凹状の案内溝５７３が形成されてガイド軸５７１に沿って移動する摺動子５７２と、案内溝５７３に係合する偏芯突部５７５が形成された連動歯車（駆動部材、構成部材）５７４とを備える。
　摺動子５７２には、スプール軸５０８の後端部５０８ａから後方に突出する突出部５０８ｂが回り止めした状態で差し込まれてネジＮで抜け止め固定し、摺動子５７２とスプール軸５０８が一体になっている。
　以上から、ハンドル５０５ａの巻き取り操作の駆動力は、ハンドル軸５０５及び歯車５０６ａを介して連動歯車５７４に伝達し、連動歯車５７４が回転する。そして、連動歯車５７４の偏芯突部５７５が摺動子５７２の案内溝５７３の側面を押圧して回転運動が前後動に変換され、摺動子５７２とスプール軸５０８（スプール５０３）が前後方向に往復運動する。

　つぎにボディ５１０、保護カバー５４０、スプール往復動装置５７０、及び蓋部材５３０の詳細を説明する。

　図３６（ａ）に示すように、ボディ５１０は、左側に向って開口する有底箱状（筒状）を呈し、円板状の右壁部５２１と、右壁部５２１の周端縁から左側に突出する筒状の筒部５２２と、を備える。なお、筒部５２２の左端部が側部開口部５１３を構成している。

　右壁部５２１の内面（左側面）には、右側中央孔５２３と、リブ５２４と、挿入孔５２５とが形成されている。
　右側中央孔５２３は、ハンドル軸５０５を貫通させるための孔であり、右壁部５２１の中央部に設けられている。また、右側中央孔５２３はハンドル軸５０５よりも大径に形成され、右側中央孔５２３内にハンドル軸５０５を回転自在に支持するための軸受（不図示）が嵌め込まれている。

　リブ５２４は、右壁部５２１の内面から突出してボディ５１０の強度を向上させる補強部である。リブ５２４は、右側中央孔５２３の中心よりも前側で上下方向に延在している。また、リブ５２４の上端及び下端は、筒部５２２に連続している。
　以上から、ボディ５１０内の右側空間であり（図３５参照）、ハンドル軸５よりも前側の空間（図３６（ａ）参照）をリブ５２４が占有し、不要な空間（デッドスペース）が生じないようになっている。

　図３５に示すように、挿入孔５２５は、連動歯車５７４を支持するギャ支持部材のボス部５２６を、右壁部５２１の外側（右側）からボディ５１０内に貫通させるための孔である。
　図３６（ａ）に示すように、連動歯車５７４を支持するボス部５２６の挿入孔５２５の中心Ｏ２は、右側中央孔５２３の中心Ｏ１よりも後側上方に設けられている。

　筒部５２２は、ハンドル軸５０５を支持する右側中央孔５２３の中心Ｏ１を中心とする略円筒形状に形成されている。
　より詳細に説明すると、筒部５２２の内周面５２２ａは、右側中央孔５２３の中心Ｏ１を中心とする円形状に形成されている。筒部５２２の外周面５２２ｂは、右側中央孔５２３の中心Ｏ１を中心とする略円形状に形成されている。
　つまり、筒部５２２の厚み（径方向の肉厚）は、周方向において略均一になっている。このため、実施形態の筒部５２２は、従来の筒部（雌ねじが形成された筒部）よりも小型化している。

　筒部５２２の内周面５２２ａは、ドライブギャ５０６の大きさに対応している。
　このため、筒部５２２の内周面５２２ａとドライブギャ５０６との隙間には、言い換えると、ボディ５１０内の左側空間（図３５参照）には、不要な空間（デッドスペース）が生じないようになっている。
　なお、筒部５２２の左端部（側部開口部５１３）の内周面５１３ａは、筒部５２２の内周面５２２ａと略同一径に形成され、比較的大きなドライブギャ５０６でもボディ５１０（筒部５２２）内に組み付けることができるようになっている。

　図３６（ｂ）に示すように、筒部５２２の後部には、筒部５２２の外周面５２２ｂに形成された２つの保護カバー用雌ねじ穴５２２ｃと、筒部５２２の後部を貫通する後部開口部５１５とが形成されている。

　後部開口部５１５は、ボディ５１０内に組み付けられた部品の一部を受け入れてボディ５１０外に配置するための開口部である。
　後部開口部５１５は、筒部５２２において左右方向の中央部のみを貫通しており、左右方向の両端部が残っている。このため、後部開口部５１５の開口（孔）と側部開口部５１３の開口（孔）とが連続しないようになっている。
　言い換えると、側部開口部５１３と後部開口部５１５との間には、側部開口部５１３と後部開口部５１５とのそれぞれの開口の端縁を構成する円弧状の架橋部５１４が延在している。
　このため、本実施形態によれば、後部開口部５１５の開口（孔）と側部開口部５１３の開口（孔）とが連続する場合よりも、筒部５２２の強度が向上している。
　そのほか、図３６（ａ）に示すように、後部開口部５１５の上側内周面５１５ａは、ボディ５１０内から後方に向うにつれて、上方に位置するように傾斜している。

　図３７に示すように、保護カバー５４０は、保護カバー用雌ねじ穴５２２ｃに螺合するねじＢに締め付けられ、ボディ５１０（筒部５２２）の後部開口部５１５を覆うように固定されている。
　保護カバー５４０の前面は、後方に凹状に形成され、保護カバー５４０の前面側に収容空間が形成されている。よって、後部開口部５１５を介してボディ５１０内から後方に突出する部品の一部を保護カバー５４０内に収容することができる。
　また、保護カバー５４０とボディ５１０との間には、シール部材５５０が設けられ、保護カバー５４０とボディ５１０との合わせ面から内部に水が浸入しないようになっている。

　スプール往復動装置５７０において、連動歯車５７４の回転中心、つまり、連動歯車５７４が支持されるボス部５２６が装着される挿入孔５２５の中心Ｏ２は、ハンドル軸５０５の回転中心Ｏ１よりも後方に位置している。このため、連動歯車５７４の後部は、後部開口部５１５から後方に突出し、保護カバー５４０内に収容されている。

　連動歯車５７４の回転中心Ｏ２は、ハンドル軸５０５の回転中心Ｏ１よりも竿取付部５１１ａ側上側に位置している。このため、従来デットスペースだった空間、言い換えると、ボディ５１０内の右側であって（図３５参照）、ハンドル軸５０５よりも後側上方の空間を連動歯車５７４が占有し、不要な空間（デッドスペース）が生じないようになっている。

　また、連動歯車５７４が上側に位置することから、ボディ５１０と保護カバー５４０とから構成される収容空間の下側は、ドライブギャ５０６及び摺動子５７２に対応した形状となっている。言い換えると、ボディ５１０と保護カバー５４０とから構成される収容空間の下側は、連動歯車５７４を下側に設置した時のように外側に膨出していないため、リール本体５０１が小型化している。
　つまり、スプール往復動装置５７０を構成する駆動部材（連動歯車５７４）をボディ５１０内の上側に配置することで、摺動子５７２を、スプール軸５０８の後端部５０８ａが結合する部分から下方側に突出することなくフラット状に形成できるので、ボディ１０５内を効果的に小型化できる。
　さらに、連動歯車５７４が上側に位置し、魚釣用スピニングリール５００の重心が上側（釣竿側）に移動しているため、竿と魚釣用スピニングリール５００との一体感が得られ、魚釣用スピニングリール５００の操作性が向上される。

　スプール往復動装置５７０において、ガイド軸５７１の前端５７１ａは、リブ５２４の上部に形成されたガイド軸支持孔５２４ａに係合し、ガイド軸５７１の後端５７１ｂは、後部開口部５１５を貫通して保護カバー５４０内の被係合部５４１に係合している。
　そして、図３７（ａ）に示すように、ガイド軸５７１に沿って移動する摺動子５７２が後方へ移動すると、摺動子５７２の一部が保護カバー５４０内に入り込む。このため、摺動子５７２の移動範囲はボディ５１０内に限定されず、摺動子５７２の移動範囲が効果的に確保されている。

　摺動子５７２の前面（ハンドル軸５０５に対向する対向面）には、後方に向って凹む凹部５７２ａが形成されている。このため、図３７（ｂ）に示すように、摺動子５７２が前方に移動した場合に凹部５７２ａ内にハンドル軸５０５を受け入れ、摺動子５７２の移動範囲が前方に拡大する。

　図３５に示すように、蓋部材５３０は、ボディ５１０の側部開口部５１３を閉塞する蓋部５３１と、蓋部５３１の内面（右面）から右方に突出し側部開口部５１３の内側に挿入される円筒状の円筒部５３３と、を備える

　図３３に示すように、蓋部５３１は、側面視で円形を呈しており、側部開口部５１３と同形状になっている。また、蓋部５３１の中央部には、ハンドル５０５ａが貫通する円筒部５３２が形成されている。
　図３８（ａ）に示すように、蓋部５３１は、外周端から円筒部５３２に向うにつれて左側に突出し、断面が山形状を呈している。
　また、蓋部５３１の内面（右面）の中央部には、円筒状のハンドル軸支持部５３４が形成されている。また、ハンドル軸支持部５３４には、ハンドル軸５０５を回転自在に支持する軸受５０５ｄ（図３５参照）が嵌め込まれている。よって、ハンドル５０５ａの操作時、このハンドル軸支持部５３４に荷重が作用するようになっている。

　円筒部５３３の外周面には、先端側（左端側）から基部側（右端側）に向って順に、雄ねじ５３３ａと、収容凹部５３３ｃと、当接面５３３ｂとが形成されている。

　雄ねじ５３３ａは、側部開口部５１３の雌ねじ５１３ｂに螺合しており、蓋部材５３０がボディ５１０に締結固定している。つまり、リール本体５０１は、ハンドル軸５０５を支持する蓋部材５３０がボディ５１０にねじ込まれて蓋部材５３０とボディ５１０とが一体化したモノコックボディである。

　当接面（当接部）５３３ｂは、側部開口部５１３に蓋部材５３０を螺合する際、側部開口部５１３の内周面５１３ａに当接し、側部開口部５１３に対する蓋部材５３０の調芯作用を行うためのものである。
　これによれば、ハンドル軸５０５の右側を支持するボディ５１０の右側中央孔５２３（図３６（ａ）参照）と、ハンドル軸５０５の左側を支持する蓋部材５３０のハンドル軸支持部５３４との中心が一致し、同芯度が得られる。よって、ハンドル軸５０５は、リール本体５０１に対して左右方向に延在するように支持され、ハンドル軸５０５の回転がスムーズとなる。

　ここで、ハンドル５０５ａの巻き取り操作時、ハンドル軸５０５を支持するハンドル軸支持部５３４には、ハンドル軸５０５を中心として径方向外側に向う荷重が作用する。
　従来の構成によれば、複数のねじにより蓋部材がボディに固定され、蓋部材に作用した荷重がボディの雌ねじ部に集中して作用し、雌ねじ部が変形し易い構造であった。
　一方で、本実施形態によれば、雄ねじ５３３ａと当接面５３３ｂとを介して、円筒部５３３の全周が円形の側部開口部５１３により支持されている。よって、蓋部材５３０に作用した荷重は、側部開口部５１３の全周に均一に分散し、側部開口部５１３が変形し難い構造になっている。

　収容凹部５３３ｃは、雄ねじ５３３ａと当接面５３３ｂとの間に形成された窪みであり、シール材としてＯリング５３３ｄが外嵌されている。このため、円筒部５３３と側部開口部５１３との間から水が内部に浸入しないようになっている。

　以上、実施形態によれば、蓋部材５３０が螺合する側部開口部５１３が変形し難い。よって、側部開口部５１３に螺合する蓋部材５３０が緩む、ということが抑制され、蓋部材５３０の取付強度が向上し、ひいては、蓋部材５３０が螺合一体化されるボディ５１０の強度が一段と向上する。
　また、上記したように従来のボディの側部開口部には、ねじが螺合するための雌ねじが形成されているが、本実施形態の側部開口部５１３（筒部５２２）には、ねじが螺合するための雌ねじが形成されていない。このため、ボディ５１０（筒部５２２）が肉薄となり、ボディ５１０が小型化されている。
　さらに、ボディ５１０と保護カバー５４０とから構成される収容空間の上側に連動歯車（駆動部材）５７４が配置されることから、デッドスペースが狭小となる。よって、リール本体５０１が小型化している。

　また、実施形態によれば、後部開口部５１５から構成部材の少なくとも一部を受け入れてボディ５１０の後方に配置することができる。このため、ボディ５１０内の空間の大きさに制限されることがなく、所望の大きさの連動歯車５７４を用いることができる。

　また、第４実施形態のスプール往復動装置５７０は、歯車５０６ａと連動歯車５７４を用いたギャオシレート方式の例を挙げているが、螺軸（ウォームシャフト）を用いてもよい。以下、螺軸を用いたスプール往復動装置６８０を用いた変形例について、図３９、図４０を参照しながら説明する。

　第４実施形態の変形例であるスプール往復動装置６８０は、スプール軸６０８と平行に延在する螺軸（駆動部材）６８１と、螺軸６８１に係合する係合部材６８３（図４０参照）を回動自在に支持する摺動子６８２と、摺動子６８２を前後方向に案内するガイド軸６８４と、螺軸６８１とピニオンギャ６０７ａとの間に介在する減速歯車機構６８５と、を備える。

　螺軸６８１は、円柱状を呈し、その外周面に螺旋状溝６８１ａが形成された部材である。螺軸６８１は、前端６８１ｂがリブ６２４に支持され、後端６８１ｃが保護カバー６４０に設けられたカラー６９０に支持されている。図中の「Ｏ３」は螺軸６８１（駆動部材）の回転中心を示す。また、螺軸６８１の前端６８１ｂは、リブ６２４を貫通し、リブ６２４よりも前方に突出している。

　また、螺軸６８１は、ハンドル軸６０５よりも上方で前後方向に延在しており、螺軸６８１の回転中心Ｏ３は、ハンドル軸６０５の回転中心Ｏ１よりも上方に位置している。言い換えると、ボディ６１０内の右側であって、ハンドル軸６０５よりも上方の空間を螺軸６８１が占有し、不要な空間（デッドスペース）が生じないようになっている。
　このため、ボディ６１０と保護カバー６４０とから構成される収容空間の下側を、ドライブギャ（不図示）及び摺動子６８２に対応した形状とすることができ、リール本体６０１が小型化する。
　また、螺軸６８１が上側に位置し、魚釣用スピニングリール６００の重心が上側（釣竿側）に移動するため、魚釣用スピニングリール６００の操作性向上を図れる。

　摺動子６８２の下部には、スプール軸６０８の後端部６０８ａから後方に突出する突出部６０８ｂがねじＮにより締結されている
　係合部材６８３は、螺軸６８１の螺旋状溝６８１ａ内に入り込んで、螺旋状溝６８１ａの溝面に係合している。このため、螺軸６８１が回転すると、係合部材６８３は、前方又は後方に押圧され、摺動子６８２及びこれに連結するスプール軸６０８が前後方向に往復動するようになる。

　減速歯車機構６８５は、ボディ６１０内のリブ６２４とその前部との間に架設した軸６９１に支持されて回転自在な段付歯車６８６と、螺軸６８１の前端６８１ｂに回転不能に装着されたオシレートギャ６８７と、を備える。
　段付歯車６８６は、駆動軸筒６０７の後部に形成されたピニオンギャ６０７ａに噛合する大径歯車６８６ａと、オシレートギャ６８７に噛合する小径歯車６８６ｂとが一体に形成された歯車である。
　この減速歯車機構６８５によれば、ハンドル６０５ａの巻き取り操作に対してスプール軸６０８の前後動が相対的に遅くなり、スプール６０３に巻き回しされる釣糸同士の間隔が狭くなる。よって、スプール６０３に巻き回しされる釣糸の密度が高まり（間隔が狭くなり）、巻き回し量が増加する。

　以上の変形例によれば、ボディ６１０と保護カバー６４０とから構成される収容空間の上側に螺軸（駆動部材）６８１が配置されて収容空間の下側が狭小となり、リール本体６０１の小型化を図ることができる。

　つぎに第５実施形態について説明する。
　図４１に示すように、主として、魚釣用スピニングリール７００は、リール本体７０１と、リール本体７０１の前側に回転可能に設けられたロータ７０２と、ロータ７０２の回転運動と同期して前後方向移動可能に設けられたスプール７０３と、を備える。

　図４２に示すように、リール本体７０１は、側面視で外形が略円形状に形成されたボディ７１０と、ボディ７１０の左側部に形成された側部開口部７１３を塞ぐ蓋部材７３０と、を備えている。
　側部開口部７１３および蓋部材７３０は、側面視で円形に形成されている。
　ボディ７１０の上部には、図示しない釣竿に装着される脚部７１１（図４１参照）が一体形成されている。ボディ７１０の前部には、筒状のボディ前部７１２が設けられている。ボディ７１０の後部には、シール部材７４５を介して保護カバー７４０が装着されている。保護カバー７４０は、合成樹脂製である。
　なお、図４１，図４２では蓋部材７３０の側面形状を簡略化している。

　図４３に示すように、ボディ７１０には、側部開口部７１３を開口として有底略円筒状の壁（後記する筒部７２２の内周面７２２ａ）で囲まれる収容空間Ｓ１が形成されている。収容空間Ｓ１には、駆動軸筒７０７の後部、駆動軸筒７０７に挿通されるスプール軸７０８の後部、およびスプール軸７０８（スプール７０３、図４１参照）を前後往復動させるためのスプール往復動装置７７０が配置されている。駆動軸筒７０７およびスプール軸７０８は、ボディ前部７１２の前方へ延出している。
　スプール軸７０８は、ハンドル軸７０５の下側に配置されている。
　駆動軸筒７０７の後部には、ピニオンギャ７０７ａが形成されている。スプール軸７０８の後部は、ピニオンギャ７０７ａ（駆動軸筒７０７）の後端よりも後方に延出している。

　スプール往復動装置７７０は、オシレートギャ方式である。スプール往復動装置７７０は、前後方向に延びるガイド軸７７１と、右側面に案内溝７７３が形成されてガイド軸７７１に沿って移動する摺動子７７２と、案内溝７７３に係合する偏芯突部７７５が形成された連動歯車７７４と、を備える。
　スプール軸７０８の後端には、後方に突出して摺動子７７２に連結する連結部７０８ａが設けられ、スプール軸７０８と摺動子７７２とが一体になっている。
　ガイド軸７７１の後端部７７１ａは、後部支持部材７５０を介してボディ７１０の後部に支持されている。つまり、ガイド軸７７１の後端部７７１ａは、保護カバー７４０に支持されることなくボディ７１０に対して支持されている。後部支持部材７５０の詳細は後記する。

　図４５に示すように、ボディ７１０内には、左右方向に延在するハンドル軸７０５が設けられている。ハンドル軸７０５は、左右の軸受７０５ｄ（図４５に左側の軸受７０５ｄのみ図示。右側の軸受７０５ｄは図４３を参照）を介して蓋部材７３０とボディ７１０とに回転可能に支持されている。
　ハンドル軸７０５には、ドライブギャ７０６および歯車７０６ａ（図４３参照）が固定されている。ハンドル軸７０５の左端部には、連結軸７０５ｃを介してハンドル７０５ａ（図４１参照）が取り付けられている。

　ドライブギャ７０６は、ハンドル軸７０５の左側に固定されている。ドライブギャ７０６の前側は、ピニオンギャ７０７ａに噛合している。歯車７０６ａは、ハンドル軸７０５の右側に固定されている。歯車７０６ａの後側は、連動歯車７７４に噛合している（図４３参照）。
　このため、ハンドル７０５ａの巻き取り操作が行われると、巻き取り操作による駆動力がハンドル軸７０５、ドライブギャ７０６、ピニオンギャ７０７ａを介して駆動軸筒７に伝達し、駆動軸筒７０７とともにロータ７０２（図４１参照）が回転する。
　また、これとともにスプール７０３（図１参照）がスプール軸７０８やスプール往復動装置７７０を介して前後往復動される。これにより、釣糸は、ロータ７０２の図示しない釣糸案内部を介してスプール７０３の巻回胴部７０３ａ（図４１参照）に均等に巻回される。

　次に、各部の構成について詳細に説明する。図４４（ａ），図４５に示すように、ボディ７１０は、底部に周壁を有する有底箱状（筒状）を呈し、左側に向かって開口している。ボディ７１０は、円板状の右壁部７２１と、右壁部７２１の周端縁から左側に延びる筒状の筒部７２２とを備える。なお、筒部７２２の左端部が側部開口部７１３を構成している。

　右壁部７２１の内面（左側面）には、図４４（ａ）に示すように、右側中央孔７２３と、支持リブ７２４と、挿入孔７２５とが形成されている。
　右側中央孔７２３（支持部として機能する）は、ハンドル軸７０５の右端部が貫通する孔であり、右壁部７２１の中央部に設けられている。
　右側中央孔７２３には、ハンドル軸７０５を回転可能に支持するハンドル軸用軸受としての軸受７０５ｄ（図４３参照）が取り付けられている。右側中央孔７２３に対して右側の軸受７０５ｄは、ボディ７１０の右側方から取り付けられる。

　支持リブ７２４は、図４３，図４４（ａ）に示すように、右壁部７２１に一体的に突設されて、収容空間Ｓ１内に配置されている。支持リブ７２４は、右側中央孔７２３よりも前側に位置し、上下方向に延在している。
　支持リブ７２４の上端部７２４ｃ，７２４ｄおよび下端部７２４ｅは、筒部２１の内周面７２２ａにそれぞれ接続されている。
　これにより、支持リブ７２４は、筒部７２２に対しても一体的に設けられている。この支持リブ７２４により右壁部７２１および筒部７２２の強度が向上している。
　支持リブ７２４には、筒状の上部支持部７２４ａ，下部支持部７２４ｂが一体に設けられている。上部支持部７２４ａには、ガイド軸７７１（図４３参照）の前端部を支持するガイド軸支持孔７２４ａ１が形成されている。

　図４３に示すように、下部支持部７２４ｂには、カラー７２５ｃを介して後部軸受（ボールベアリング）７２５ｂが支持される。つまり、ピニオンギャ７０７ａの後部側（駆動軸筒７０７の後部）は、後部軸受７２５ｂ、支持リブ７２４を介してボディ７１０に支持されている。
　スプール軸７０８の後部は、カラー７２５ｃを介して下部支持部７２４ｂの後方に貫通している。

　スプール軸７０８は、ピニオンギャ７０７ａの内周に対して微小隙間を有して非接触であるが、ボディ７１０内の下部支持部７２４ｂに支持されたカラー７２５ｃとピニオンギャ７０７ａの前部側の内周に形成した図示しない支持部で、前後方向に摺動可能に支持されている。

　上部支持部７２４ａおよび下部支持部７２４ｂは、側部開口部７１３内に位置している。そして、下部支持部７２４ｂは、図４３に示すように、ハンドル軸７０５の軸方向から見て右側の軸受７０５ｄの少なくとも一部に重なるように配置されている。
　このようにすることで、ボディ７１０内（側部開口部７１３内）の省スペース化を図ることができる。なお、後部軸受７２５ｂがハンドル軸７０５の軸方向から見て右側の軸受７０５ｄの少なくとも一部に重なるように配置されるように構成してもよい。

　挿入孔７２５は、図４４（ａ）に示すように、右側中央孔７２３よりも後方下部に形成されている。そして、この挿入孔７２５には、連動歯車７７４を回転自在に支持するギャ支持部材７２７（図４５参照）のボス部が貫通している。これにより、ボディ７１０内の後部に連動歯車７７４が回転自在に配置される。

　筒部７２２は、図４４（ａ）に示すように、ハンドル軸７０５が支持される右側の軸受７０５ｄを嵌合する右側中央孔７２３の中心Ｏ１を基点とする略円筒形状を呈している。
　具体的に、筒部７２２の内周面７２２ａは、右側中央孔７２３の中心Ｏ１を中心とする円形状に形成され、かつ、ドライブギャ７０６の大きさに対応している。つまり、内周面７２２ａは、ハンドル軸７０５の外周面と同心円状の面である。

　筒部７２２の外周面７２２ｂは、右側中央孔７２３の中心Ｏ１を中心とする略円形状に形成され、かつ、筒部７２２の厚み（径方向の肉厚）が周方向において略均一になっている。このため、筒部７２２は、従来の筒部（側面視矩形筒状の筒部）よりも小型化しており、筒部７２２の内周面７２２ａとドライブギャ７０６との間には、不要な空間が生じないようになっている。

　筒部７２２の左端部（側部開口部７１３）の内周面７１３ａは、筒部７２２の内周面７２２ａと略同一径に形成され、比較的大きなドライブギャ７０６でも筒部７２２内に容易に組み付けることができるようになっている。
　このように、側部開口部７１３の内径（内周面７１３ａ）は、図４３，図４４（ａ），図４５に示すように、ドライブギャ７０６（二点鎖線で図示）の外径よりも大きく形成されている。換言すれば、ドライブギャ７０６は、側部開口部７１３の内径の大きさに可及的に近づけた大径に形成されている。なお、ハンドル軸７０５、ドライブギャ７０６および歯車７０６ａは、側部開口部７１３を通じて収容空間Ｓ１内に挿入され、ボディ７１０に組み付けられる。

　側部開口部７１３の内周面７１３ａの奥側には、図４６（ｂ）に示すように、雌ねじ７１３ｂが形成されている。側部開口部７１３の開口周縁部には、断面凹状の嵌合受部７１７が周方向に亘って形成されている。嵌合受部７１７は、底面部７１７ａと、この底面部７１７ａから断面アール状に立ち上がる立上り部７１７ｂと、を備えている。

　筒部７２２の後部には、図４４（ｂ）に示すように、後部支持部材取付部７２８と、後部開口部７１５と、が形成されている。
　後部開口部７１５の上下の縁部には、保護カバー７４０の装着用のねじＢが螺合されるねじ穴７２２ｃが形成されている。
　後部支持部材取付部７２８は、後部支持部材７５０（図４３参照）が取り付けられる部位である。後部支持部材取付部７２８は、取付座７２２ｄと、係合凹部７２２ｅと、を備えている。
　取付座７２２ｄの取付面は、筒部７２２の周方向に沿って後方下方へ向けて傾斜している。取付座７２２ｄの略中央部には、図４４（ｂ）に示すように、上側のねじ穴７２２ｃが形成されている。
　係合凹部７２２ｅは、取付座７２２ｄの上側に形成された穴である。係合凹部７２２ｅは、図４３に示すように、ねじ穴７２２ｃの軸心に沿って前方下方へ向けて凹設されている。

　後部開口部７１５は、図４３，図４４（ａ）（ｂ）に示すように、筒部７２２の後部を貫通しており、収容空間Ｓ１と外部空間とを連通している。
　後部開口部７１５は、ボディ７１０内に組み付けられた部品の一部を受け入れてボディ７１０外に、言い換えると、ボディ７１０から後方に突出するように配置するための開口部である。
　後部開口部７１５は、筒部７２２において左右方向の中央部のみを貫通し、後部開口部７１５の開口（孔）と側部開口部７１３の開口（孔）とが連続しないようになっている。これにより、側部開口部７１３と後部開口部１５との間には、側部開口部７１３と後部開口部７１５とのそれぞれの開口の端縁を構成する円弧状の架橋部７１４が延在している。したがって、後部開口部７１５の開口（孔）と側部開口部７１３の開口（孔）とが連続する場合に比べて、筒部７２２の強度が向上している。

　図４３に示すように、後部開口部７１５を通じてスプール往復動装置７７０の連動歯車７７４の一部、ストローク位置が最後端位置にあるときの摺動子７７２の一部、およびガイド軸７７１の後端部７７１ａが、ボディ７１０の後部から後方へ突出している。
　つまり、後部開口部７１５は、これらの部材が挿通配置される大きさおよび形状を備えている。なお、これらの部材が後部開口部７１５を通じてボディ７１０の後方に突出するので、その分、収容空間Ｓ１は、コンパクトな大きさに形成されている。

　後部開口部７１５の周りには、図４４（ｂ）に示すように、カバー装着部７１８が形成されている。カバー装着部７１８には、シール部材７４５（図４８（ａ）参照）を介して保護カバー７４０が装着される。保護カバー７４０は、上下のねじ穴７２２ｃに螺合するねじＢに締め付けられ、ボディ７１０（筒部７２２）の後部開口部７１５を覆うように固定されている。

　保護カバー７４０の前面は、後方に窪んでいる。言い換えると、保護カバー４０は、前方に向って開口する有底筒状を呈し、保護カバー４０の前面側に収容空間Ｓ２が形成されている。収容空間Ｓ２には、後部開口部７１５を通じてボディ７１０の後部から突出した連動歯車７７４の一部および摺動子７７２の一部が収容される。
　なお、後部開口部７１５は、スプール軸７０８およびスプール往復動装置７７０の各部材を組み付けるための組み付け孔としても機能する。

　図４３，図４８（ａ）に示すように、棒状部材であるガイド軸７７１の後端部７７１ａは、後部開口部７１５を通じてボディ７１０の後部から突出し、後部支持部材７５０に支持されている。
　後部支持部材７５０は、金属製である。
　後部支持部材７５０は、図４７各図に示すように、係合部７５１と、係合部７５１に連続する取付部７５２と、取付部７５２に連続する支持部７５３と、を備えている。

　係合部７５１は、直方体形状であり、後部支持部材取付部７２８の係合凹部７２２ｅに挿入されて係合する。取付部７５２は、板状を呈しており、後部支持部材取付部７２８の取付座７２２ｄに取り付けられる。取付部７５２には、取付座７２２ｄのねじ穴７２２ｃに対応する位置に挿通孔７５２ａが形成されている。取付部７５２のねじ穴７２２ｃの側方には、ねじ穴７２２ｃの周方向に沿う円弧状の縁部７５２ｂが膨出形成されている。ねじ穴７２２ｃには、保護カバー７４０を固定するＢが挿通される。取付部７５２は、ねじＢの締め付けによって保護カバー７４０とともにボディ７１０の後部（取付座７２２ｄ）に固定される。

　支持部７５３は、有底円筒状を呈しており、前面に開口する有底の支持空間部７５３ａを有している。支持空間部７５３ａには、図４３に示すように、ガイド軸７７１の後端部７７１ａが挿入されて係合している。これによって、ガイド軸７７１の後端部７７１ａは、保護カバー７４０を介することなく後部支持部材７５０を介して直接的にボディ７１０に固定されている。

　なお、支持部７５３の中心Ｏ１２は、図４７（ｃ）に示すように、後面視で取付部７５２の挿通孔７５２ａの中心を通る基準線Ｌ３（ボディ７１０の中心の基準線）よりも左側に若干偏倚している。つまり、図４５に示すように、歯車７０６ａおよび連動歯車７７４に干渉することなくドライブギャ７０６との間に形成されるスペースを利用して、摺動子７７２がガイド軸７７１に沿って移動するように構成されている。

　架橋部７１４は、図４２，４３に示すように、側部開口部７１３（蓋部材７３０）に沿うようにしてボディ７１０の上部から下部に亘る円弧状を呈している。架橋部７１４の外形状は、側部開口部７１３（蓋部材７３０）と同芯円状に形成されている。架橋部７１４は、図４３に示すように、側部開口部７１３の開口縁部の一部を構成している。
　なお、架橋部７１４は、側部開口部７１３と同芯円状に形成されたものを示したが、これに限られることはなく、側部開口部７１３の中心（ハンドル軸７０５の中心）に対して前側または後側に偏芯したものであってもよい。また、架橋部７１４は、側面視で外形状が直線状部分を含むものであってもよい。

　また、ボディ１０と保護カバー４０とにより形成される空間内（収容空間Ｓ１と収容空間Ｓ２）に、スプール往復動装置７７０の各構成が以下のように配置されている。
　図４３に示すように、連動歯車７７４は、後部開口部７１５を貫通するように外部後方からボディ７１０に組み付けられる。組み付けられた状態で、連動歯車７７４の一部（後部領域）は、後部開口部７１５から後方に突出し、保護カバー７４０内に収容される。
　連動歯車７７４は、ハンドル軸７０５の回転をスプール軸７０８の前後往復動に変換する変換駆動部材として偏芯突部７７５を介して摺動子７７２とともに協働する。

　ガイド軸７７１は、ハンドル軸７０５を境にしてスプール軸７０８が配置される側と反対側となる、ハンドル軸７０５の上側に配置されている。ガイド軸７７１の後端部７７１ａは、前記したように、後部開口部７１５を貫通しており、後部支持部材７５０を介してボディ７１０の後部（取付座７２２ｄ）に支持されている。
　このため、図４８（ａ）に示すように、摺動子７７２の一部は、後方へ移動した場合に保護カバー７４０内に入り込み、摺動子７７２の移動範囲が効果的に確保されている。

　また、摺動子７７２の前面（ハンドル軸７０５に対向する対向面）には、後方に向って凹む凹部７７２ａが形成されている。このため、図４８（ｂ）に示すように、摺動子７７２が前方に移動した場合に凹部７７２ａ内にハンドル軸７０５を受け入れ、摺動子７７２の移動範囲が前方に拡大する。以上から、ボディ７１０の大型化の防止を図りつつ、摺動子７７２の移動範囲（ストローク）を効果的に確保している。

　次に、蓋部材７３０について詳細に説明する。
　蓋部材７３０は、図４２に示すように、側部開口部７１３に取り付けられ、側部開口部７１３を液密に閉塞するとともに、ハンドル軸７０５の左端側を支持する役割をなす。
　蓋部材７３０は、図４６（ａ）に示すように、断面が山形状を呈しており、周壁部７３１と、周壁部７３１の中央部に一体的に設けられた円筒部７３２と、周壁部７３１の外周縁部に設けられた円筒状の挿入部７３３と、を備えている。蓋部材７３０の中心部にハンドル軸７０５が支持される（図４５参照）。

　周壁部７３１の外側面（左側面）および内周面（右側面）には、肉抜き部７３１ｂが形成されている（図４６（ａ）参照）。これにより蓋部材７３０の軽量化が図られている。円筒部７３２は、奥側となる右側部が段状に拡径しており、この拡径した部分７３０ａに軸受７０５ｄ（図４５参照）が収容されている。蓋部材４３０は、軸受７０５ｄを介してハンドル軸７０５の左端側を支持している。

　挿入部７３３は、側部開口部７１３に向けて延在し、側部開口部７１３に挿入される部位である。挿入部７３３の先端（右端）の外周部には、図４６（ｂ）に示すように、雄ねじ７３３ａが形成されている。雄ねじ７３３ａは、側部開口部７１３の雌ねじ７１３ｂに螺合可能である。これにより、側部開口部７１３に対して蓋部材７３０自体を螺合によって締結固定することができるので、蓋部材７３０の組み付けが行い易い。

　雄ねじ７３３ａよりも基端側となる挿入部７３３の外周部には、側部開口部７１３の内周面７１３ａ（当接部）に当接する円筒状の当接面（当接部）７３３ｂが形成されている。当接面７３３ｂは、側部開口部７１３に蓋部材７３０を螺合により取り付けた際に、側部開口部７１３の内周面７１３ａに対して周方向に当接して調芯作用をなす。これにより、側部開口部７１３と蓋部材７３０との同芯度が得られる。したがって、加工精度を高めなくても側部開口部７１３と蓋部材７３０との間に隙間が形成され難い。また、蓋部材７３０の中心とボディ７１０の中心とが一致するので、ハンドル軸７０５の傾倒が防止され、ハンドル７０５ａの回転操作性および噛合性能が安定向上する。
　なお、当接面７３３ｂは、側部開口部７１３の内周面７１３ａに対して周方向に間隔を空けて部分的に当接するように構成してもよい。

　挿入部７３３の外周面には、雄ねじ部７３３ａと当接面７３３ｂとの間に収容凹部７３３ｃが形成されている。収容凹部７３３ｃには、シール材としてＯリング７３３ｄが外嵌されている。

　蓋部材７３０の外周縁部には、周方向外側に延在するフランジ状の嵌合部７３７が形成されている。嵌合部７３７は、側部開口部７１３の嵌合受部７１７の立上り部７１７ｂとの間に僅かな隙間（図示では隙間を有しているが接触嵌合も可能）を有した状態で底面部７１７ａに当接し、嵌合受部７１７に対してインロー嵌合する。このようなインロー嵌合によって、嵌合部７３７は、側方への突出量が抑えられている。これにより、リール操作時等に釣糸が解れた場合にも、解れた釣糸が蓋部材３０の外周縁部に引っ掛かり難くなっている。
　また、インロー嵌合によって防塵防水を図ることができる。これにより、例えば、海水や水、あるいはこれらに混じった砂、異物等が侵入するのを遮ることができる。つまり、インロー嵌合部によって釣糸や海水、異物等の侵入防止が実現される。

　なお、図４６（ｂ）に示すように、蓋部材７３０の外周縁部の外面７３０ｇと、側部開口部７１３の外周縁部の外面７１３ｇとは、嵌合部７３７（嵌合受部７１７）を挟んで略連続する傾斜面とされている。これによって、解れた釣糸がより引っ掛かり難い構成となっている。

　図４６（ｂ）に示すように、嵌合部７３７と当接面７３３ｂとの間には、断面湾曲凹状の小径部７３８が形成されている。小径部７３８には、グリスやオイル等の潤滑剤が塗布されている。潤滑剤によって、蓋部材７３０のスムーズな取り付けが可能になるとともに、側部開口部７１３の内周面７１３ａとのシール性が高められている。
　なお、同様に、嵌合受部７１７や嵌合部７３７に対してグリスやオイル等の潤滑剤を塗布してもよい。

　以上のように、本実施形態では、ハンドル軸７０５の支持部を備えた蓋部材７３０自体をボディ７１０の側部開口部７１３に螺合して一体化するリール本体構成としたモノコックボディを採用している。

　ボディ７１０とボディ前部７１２との境界部には、図４２，４３に示すように、薄板状を呈するフランジ部７１６が設けられている。フランジ部７１６の左側部には、図４２に示すように、凹状部７１６ｂが形成されている。凹状部７１６ｂは、蓋部材７３０の前端部７３０ｅの形状に沿って前方へ向けて凹設されている。凹状部７１６ｂにより、蓋部材７３０の前端部７３０ｅは、フランジ部７１６の上部後面７１６ａよりも前方に入り込むように位置している。また、蓋部材７３０の前端部７３０ｅは、図４１に示すように、ロータ７０２との位置関係において、ロータ７０２の最後端部７０２ａよりも前方に位置している。さらに、蓋部材７３０の前端部７３０ｅは、図４２に示すように、ボディ前部７１２を覆う有底円筒状のカバー７１２ａとの位置関係において、カバー７１２ａの後端部７１２ｂよりも前方に位置している。このような位置関係に蓋部材７３０の前端部７３０ｅが位置することによって、ボディ７１０の前後方向のコンパクト化を図りつつ、蓋部材７３０の大径化が可能となっている。なお、凹状部７１６ｂは、蓋部材７３０を取り付ける際の逃げ部となる。

　ボディ前部７１２の内側には、図４２，図４３に示すように、ピニオンギャ７０７ａ（図４３参照）の前部側（駆動軸筒７０７の前部）を支持する前部軸受（ボールベアリング）７２５ａが配置されている。
　なお、駆動軸筒７０７はスプール７０３（図４１参照）側に向けて延出しており、その先端部にロータ７０４が取り付けられている。

　以上の実施形態によれば、スプール往復動装置７７０の構成部材のガイド軸７７１を支持する後部支持部材７５０と、ボディ７１０の後部を覆う保護カバー７４０と、を別部材で構成してある。よって、それぞれに求められる機能に特化した形状や材質を選択することができるので、デザインの自由度を図ることができるとともに、スプール往復動装置７７０の性能安定化を図ることができる。

　また、後部開口部７１５により所望の大きさの構成部材を用いることができ、かつ、保護カバー７４０により当該構成部材を収容することができるので、デザインの自由度を図ることができるとともに、スプール往復動装置７７０の性能安定化を図ることができる。

　また、側部開口部７１３に対して蓋部材７３０自体が周方向に均一な締結力をもって螺合固定されるので、蓋部材７３０の取付強度を十分に確保することができる。これにより、リール本体７０１の強度を高めることができる。リール本体７０１の強度を高めることができるので、スプール往復動装置７７０の性能安定化を図ることができる。また、ハンドル軸７０５の支持精度も向上維持される。
　さらに、蓋部材７３０の螺合による取り付けによってボディ７１０の側部開口部７１３が補強されボディ７１０自体の強度も向上する。これにより、ハンドル軸７０５に支持されるドライブギャ７０６として大径のドライブギャ７０６を採用することも可能となる。また、蓋部材７３０をボディ７１０に固定するための複数のねじ等を不要とすることができ、部品点数の削減を図れるとともに組み込み、分解性が向上する。また、ねじの折損も防止できる。

　また、後部支持部材７５０が金属製であり、保護カバー７４０が合成樹脂製であるので、デザインの自由度を図ることができるとともに、スプール往復動装置７７０の性能安定化を図ることができる。

　図４９～図５２を参照して、第５実施形態の変形例の魚釣用スピニングリールについて説明する。
　前記第５実施形態と異なるところは、スプール往復動装置８８０の螺軸８８１の後端部８８１ｂと、上下２つのガイド軸８８２ａ，８８２ｂの後端部８８２ａ１，８８２ｂ１と、を後部支持部材８５０で支持した点にある。なお、図５２（ｂ）～（ｆ）では、有底の凹部８５５～８５７を破線で示した。

　図４９に示すように、スプール往復動装置８８０は、ウォームシャフト方式であり、螺軸８８１と、摺動子８８３と、上下２つのガイド軸８８２ａ，８８２ｂと、を備えている。螺軸８８１は、スプール軸８０８と平行に延出している。
　螺軸８８１の前端部には、オシレートギャ８８１ａが設けられている。
　オシレートギャ８８１ａは、減速歯車機構を構成する減速歯車８０９と噛合している。螺軸８８１の後端部８８１ｂは、後部支持部材８５０を介してボディ８１０の後部に支持されている。

　減速歯車８０９は、ピニオンギャ８０７ａに噛合する大径歯車８０９ａと、大径歯車８０９ａよりも歯数の少なく、かつ、オシレートギャ８８１ａに噛合する小径歯車８０９ｂと、を有する段付き歯車である。
　減速歯車８０９は、ピニオンギャ８０７ａと平行な支軸８０９ｃ周りに回転する。支軸８０９ｃは支持リブ８２４に片持ち支持されている。
　減速歯車８０９は、図５０に示すように、スプール軸８０８の右斜め上方に配置されている。一方、螺軸８８１は、減速歯車８０９の下方で、スプール軸８０８の右斜め下方に配置されている。

　大径歯車８０９ａは、ピニオンギャ８０７ａに噛合するはすば歯車である。小径歯車８０９ｂは、オシレートギャ８８１ａに噛合する平歯車である。大径歯車８０９ａは、ピニオンギャ８０７ａと略同径であり、小径歯車８０９ｂは、オシレートギャ８８１ａよりも小径であり歯数が少なくなっている。したがって、ハンドル（図４１参照）を回転操作することで、ピニオンギャ８０７ａの回転が減速歯車８０９を介して減速されてオシレートギャ８８１ａに伝達される。これにより、螺軸８８１が減速されて回転駆動される。

　螺軸８８１の周面には、図４９に示すように、軸方向に沿って螺旋状のカム溝８８１ｃが形成されており、このカム溝８８１ｃに、摺動子８８２に保持された係合ピン８８５の係合爪８８５ａ（図５０参照）が係合している。螺軸８８１の後端部８８１ｂは、後部支持部材８５０の螺軸係合穴８５５に挿入されて係合している。

　摺動子８８３は、２本のねじ８８３ａでスプール軸８０８の後端部に取り付けられ、上下２つのガイド軸８８２ａ，８８２ｂに沿って移動する。摺動子８８３の前面（ハンドル軸８０５に対向する対向面）には、後方に向って凹む凹部８８３ｂが形成されている。このため、摺動子８８３が前方に移動した場合に凹部８８３ｂ内にハンドル軸８０５を受け入れ、摺動子８８３の移動範囲が前方に拡大する。以上から、ボディ８１０の大型化の防止を図りつつ、摺動子８８３の移動範囲（ストローク）を効果的に確保している。

　上側のガイド軸８８２ａの後端部８８２ａ１および下側のガイド軸８８２ｂの後端部８８２ｂ１は、いずれも後部支持部材８５０に支持されている。
　上側のガイド軸８８２ａの後端部８８２ａ１は、後部支持部材８５０の上側係合穴８５６に挿入されて係合している。下側のガイド軸８８２ｂの後端部８８２ｂ１は、後部支持部材８５０の下側係合穴８５７に挿入されて係合している。

　後部支持部材８５０は、金属製である。
　後部支持部材８５０は、図５１に示すように、ボディ８１０の後部開口部８１５を部分的に覆うように取り付けられる。
　本変形例では、ボディ８１０の後部が鉛直形状にデザインされており、後部開口部８１５は、略鉛直となる面に開口している。
　後部開口部８１５は、減速歯車８０９および螺軸８８１のレイアウトに対応し、後面視で右側下部が右側に膨出している。
　後部開口部８１５の周縁部には、リブ８１５ｒが形成されている。
　よって、後部開口部８１５は、リブ８１５ｒで囲まれている。

　図５２各図に示すように、後部支持部材８５０は、後部開口部８１５の形状に倣って、右側下部が右側に延出している。
　図５２（ａ）に示すように、後部支持部材８５０の前面８５０ａには、螺軸係合穴８５５、上側係合穴８５６、および下側係合穴８５７が形成されている。
　これらの螺軸係合穴８５５、上側係合穴８５６、および下側係合穴８５７は、有底円筒状であり、螺軸８８１、ガイド軸８８２ａ，８８２ｂに対応して形成されている。

　後部支持部材８５０の上部および下部には、ねじ孔８１５ａ１，８１５ｂ１が形成されている。後部支持部材８５０は、固定ねじ８１５ｃ，８１５ｃ（図５１参照）をねじ孔８１５ａ１，８１５ｂ１に挿通するための孔である。
　そして、固定ねじ８１５ｃ，８１５ｃが後部開口部８１５のボス部８１５ａ，８１５ｂに形成されたねじ穴に螺合し、後部支持部材８５０がボディ８１０の後部に固定される。

　保護カバー８４０は、上下のねじ穴８２２ｃに螺合するねじＢに締め付けられ、ボディ８１０の後部開口部８１５および後部支持部材８５０を覆うように固定される。

　以上の変形例によれば、スプール往復動装置８８０の構成部材の螺軸８８１，ガイド軸８８２ａ，８８２ｂを支持する後部支持部材８５０と、ボディ８１０の後部を覆う保護カバー８４０と、を別部材で構成してあるので、それぞれに求められる機能に特化した形状や材質を選択することができる。後部支持部材８５０および保護カバー８４０のそれぞれに求められる機能に特化した形状や材質を選択することができるので、デザインの自由度を図ることができるとともに、スプール往復動装置８８０の性能安定化を図ることができる。

　また、スプール往復動装置８８０の構成部材である螺軸８８１やガイド軸８８２ａ，８８２ｂの平行度が精度よく維持できので、スプール往復動装置８８０の性能安定化を図ることができる。

　なお、後部支持部材７５０，８５０は金属製としたが、これに限られることはなく、合成樹脂製としてもよい。また、保護カバー７４０，８４０は、合成樹脂製としたが、これに限られることはなく、金属製としてもよい。

　第５実施形態の後部支持部材７５０、変形例の後部支持部材８５０は、保護カバー７４０，８４０内でガイド軸７７１，８７１の後端部７７１ａ，８７１ａを支持する構造、つまり、後部開口部７１５，８１５の外側で支持する構造を示したが、後部開口部７１５，８１５の内側や、収容空間Ｓ１内で支持するように構成してもよい。

　１００，３００，５００，７００　　魚釣用スピニングリール
　１，１０１，１０１Ａ～１０１Ｃ，３０１，４０１，６００，７０１　　リール本体
　６，３０６，５０６，７０６　　ドライブギャ
　６ａ，３０６ａ，５０６ａ，７０６ａ　　歯車
　７，３０７，５０７，６０７，７０７　　駆動軸筒
　８，３０８，４０８，５０８，６０８，７０８，８０８　　スプール軸
　１０，１１０，１１０Ａ～１１０Ｄ，３１０，４１０，５１０，６１０，７１０，８１０　　ボディ
　１３，１１３，１１３Ａ～１１３Ｃ，３１３，５１３，７１３　　側部開口部
　１４，３１４，５１４，７１４　　架橋部
　１５，３１５，４１５，５１５，７１５，８１５　　後部開口部
　２１，３２２，５２２，７２２　　筒部
　２２，３２１，５２１，７２１　　右壁部
　２４，３２４，４２４，５２４，６２４　　リブ（支持リブ）
　２６，６１，７２７　　ギャ支持部材
　３０，１３０，１３０Ａ～１３０Ｄ，３３０，４３０，５３０，７３０　　蓋部材
　４０，３４０，４４０，５４０，６４０，７４０，８４０　　保護カバー（カバー部材）
　５０，３５０，５５０，７４５　　シール部材
　７０，３７０，４８０，５７０，６８０，７７０，８８０　　スプール往復動装置
　１８０，１８０Ａ～１８０Ｃ　　金属部材
　７５０，８５０　後部支持部材
　Ｓ１　　収容空間
　Ｓ２　　収容空間

Claims

　リール本体と、前記リール本体に回転自在に支持されるロータと、を備え、
　前記リール本体は、
　側部開口部が形成され、内部にスプール往復動装置が収容支持されるボディと、
　前記側部開口部を塞ぐ蓋部材と、
　前記ボディの後部に取り付けられるカバー部材と、
　を備え、前記ボディと前記蓋部材とでハンドル軸を回転自在に支持する魚釣用スピニングリールであって、
　前記ボディの後部には、前記スプール往復動装置を構成する構成部材の少なくとも一部を受け入れて後方に配置するための後部開口部が形成され、
　前記カバー部材は、前記後部開口部及び前記構成部材を覆うこと
　を特徴とする魚釣用スピニングリール。
　前記ボディは、前記側部開口部と前記後部開口部との間に延在し、前記側部開口部と前記後部開口部とのそれぞれの開口の端縁を成す架橋部を有し、
　前記側部開口部と前記蓋部材とは、円形に形成されていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記側部開口部には、雌ねじ部が設けられ、
　前記蓋部材には、雄ねじ部が設けられ、
　前記蓋部材が前記側部開口部に着脱可能に螺合固定していることを特徴とする請求項２に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記蓋部材には、前記側部開口部の内周面に当接し、前記側部開口部との同芯度を得る
ための当接部が形成されていることを特徴とする請求項２に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記蓋部材の外周縁部の少なくとも一部は、前記ロータの最後端面よりも前方に位置していることを特徴とする請求項２に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記リール本体は、前記ボディの前側に設けられたボディ前部を備え、
　前記ボディ前部は、前記ロータの後部開口部を塞ぐフランジを有し、
　前記フランジには、前記側部開口部に対応して凹状に形成された凹状部が形成されていることを特徴とする請求項５に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記リール本体に前後に摺動自在に支持され、後部が前記ボディ内に位置するスプール軸を備え、
　前記スプール往復動装置は、前記ハンドル軸の回転により前記スプール軸とともに前後動する摺動子と、前記摺動子を前後方向に摺動案内するガイド軸と、を有し、
　前記側部開口部及び前記蓋部材は、円形状に形成され、
　前記スプール軸の後部及び前記ガイド軸のそれぞれを、前記ハンドル軸を境に上側と下側に振り分け配置し、
　前記摺動子の前記ハンドル軸の対向部に、前記ハンドル軸の少なくとも一部を受け入れる凹部が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記リール本体と別体に形成され、前記スプール往復動装置を構成するギャを支持するギャ支持部材を備え、
　前記ギャ支持部材は、前記リール本体の内側部または外側部に設けられた取付部に対して取付可能であることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記ギャは、前記後部開口部を通じて前記リール本体に組み付けられるものであることを特徴とする請求項８に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記ギャ支持部材は、前記ギャとともに前記後部開口部を通じて前記リール本体に挿入され、前記リール本体の内側部に設けられた前記取付部に対して取り付けられるものであることを特徴とする請求項８に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記スプール往復動装置は、
　前記ハンドル軸に設けられた歯車に噛合して回転する連動歯車と、
　スプール軸の後端部に取り付けられ、前記連動歯車の回転中心から偏芯して設けられた偏芯突部に係合する摺動子と、
　を備え、
　前記ギャは、前記連動歯車であることを特徴とする請求項８に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記側部開口部および前記蓋部材は円形であり、
　前記側部開口部の内周部に設けられた雌ねじ部と、
　前記蓋部材の外周部に設けられ、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、
　前記側部開口部の開口周縁部に設けられた嵌合受部と、
　前記蓋部材の外周縁部に設けられ、前記嵌合受部に対してインロー嵌合する嵌合部と、
を備えたことを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記リール本体に設けられた開口部に装着される装着部材と、
　前記開口部と前記装着部材との間に挟着される環状のシール部材と、
　を備え、
　前記開口部の周縁部および前記装着部材の少なくとも一方の周縁部には、前記シール部材に食い込む突部が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記開口部、前記装着部材、および前記シール部材の少なくとも一つには、前記開口部および前記装着部材に対する前記シール部材の相対移動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項１３に記載の魚釣用スピニグリール。
　前記開口部は、前記後部開口部であり、
　前記装着部材は、前記カバー部材であることを特徴とする請求項１３に記載の魚釣用スピニグリール。
　前記開口部は、前記側部開口部であり、
　前記装着部材は、前記蓋部材であることを特徴とする請求項１３に記載の魚釣用スピニグリール。
　前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記蓋部材が前記ボディに締結固定され、
　前記スプール往復動装置は、
　スプール軸の後部に連結する摺動子と、
　前記摺動子が係合し、前記ハンドル軸の回転運動により回転して前記摺動子を前後へ往復運動させる駆動部材と、
　を備え、
　前記駆動部材の回転中心は、前記ハンドル軸の回転中心よりも前記ボディの竿取付部側に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記カバー部材と別部材で構成されて前記ボディに取り付けられ、前記スプール往復動装置を構成する棒状部材の後部を支持する後部支持部材を備えたことを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記後部支持部材は金属製であり、前記カバー部材は合成樹脂製であることを特徴とする請求項１８に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記ボディと前記蓋部材とには、前記側部開口部を周回し、互いに螺合し合うねじ部が形成され、
　前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記ボディに前記蓋部材が締結固定され、
　前記側部開口部と前記蓋部材とのうち少なくとも一方には、インサート成形された環状の金属部材が設けられており、
　前記金属部材に前記ねじ部が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記蓋部材は、金属製であり、
　前記側部開口部と前記蓋部材とには、前記側部開口部を周回し、互いに螺合し合うねじ部が形成され、
　前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記ボディに前記蓋部材が締結されていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記ハンドル軸と前記スプール往復動装置との間には、前記ハンドル軸の回転を前記スプール往復動装置に減速して伝達する減速歯車機構が介設されていることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニングリール。
　前記スプール往復動装置は、スプール軸の後部に取り付けられる摺動子を備えており、
　前記摺動子は、前記ボディの前後方向に延在するガイド軸に支持されており、
　前記ガイド軸は、前記ハンドル軸を挟んで上下一対に設けられていることを特徴とする請求項２２に記載の魚釣用スピニングリール。