JP2010063434A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Abstract
【課題】リール本体の軽量、小型化を図りつつ、実用時においてスプールの後方から落ちた釣糸がロータ凹部内のリール本体前部に侵入して巻きついてしまう不具合を解消可能な魚釣用スピニングリールを提供すること。
【解決手段】魚釣用スピニングリール10は、ハンドル32を支えるハンドル装着部の前方に突出する前部80を有するリール本体12と、このリール本体の前部に回転自在に支えられるロータ60とを備え、駆動軸22を支持する支持部80aを突出した状態に有する前記リール本体の前部が後方に向けて開口する前記ロータの凹部に対して配置されて使用される。前記リール本体は、前記ロータの凹部の開口を開放した状態に維持するフランジレスであり、前記ロータの凹部に対し前記リール本体の前部が配置された状態のときに前記ロータの凹部に釣糸が侵入するのを防止する釣糸侵入防止突部95をリール本体の外側に設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】魚釣用スピニングリール10は、ハンドル32を支えるハンドル装着部の前方に突出する前部80を有するリール本体12と、このリール本体の前部に回転自在に支えられるロータ60とを備え、駆動軸22を支持する支持部80aを突出した状態に有する前記リール本体の前部が後方に向けて開口する前記ロータの凹部に対して配置されて使用される。前記リール本体は、前記ロータの凹部の開口を開放した状態に維持するフランジレスであり、前記ロータの凹部に対し前記リール本体の前部が配置された状態のときに前記ロータの凹部に釣糸が侵入するのを防止する釣糸侵入防止突部95をリール本体の外側に設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リール本体に設けたハンドルの回転操作で釣糸案内部を有するロータを回転駆動し、スプールに釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールに関する。
魚釣用スピニングリールは、リールボディとボディカバーとを有するリール本体のうちリールボディとボディカバーの双方に形成したフランジ部によりロータの凹部の後方開口端を閉じる閉塞構造を採用している(例えば特許文献1参照)。
実開平6−24471号公報
しかしながら、例えば特許文献1の魚釣用スピニングリールでは、フランジ部の付加構造により重量が増してしまうとともに、フランジ部の形状や寸法の影響でハンドルの回転を駆動機構に伝達するハンドル軸およびこのハンドル軸を支える軸受部の配置位置が制限され、リール本体の軸方向長さの短縮化に限界がある。
そこで、リール本体の例えばフランジ部を無くすと魚釣用スピニングリールを軽量、小型化することが可能であると考えられるが、このリールでは、釣糸放出操作時又は釣糸巻取操作時にスプールからロータの後方に落ち込んだ釣糸に気付かずにベールを戻して、ハンドル操作でロータを巻き取り回転してしまう可能性がある。その場合、ロータ後方から落ちた釣糸はリール本体のロータ後部近傍に位置する外側部に巻きついてしまい、ロータ回転やボディ前方先細形状の影響によりさらにロータ凹部内のボディ前部外側に絡み付いて容易に解けなくなったり、釣糸に傷やダメージを与えて糸切れが生じる可能性がある。
そこで、リール本体の例えばフランジ部を無くすと魚釣用スピニングリールを軽量、小型化することが可能であると考えられるが、このリールでは、釣糸放出操作時又は釣糸巻取操作時にスプールからロータの後方に落ち込んだ釣糸に気付かずにベールを戻して、ハンドル操作でロータを巻き取り回転してしまう可能性がある。その場合、ロータ後方から落ちた釣糸はリール本体のロータ後部近傍に位置する外側部に巻きついてしまい、ロータ回転やボディ前方先細形状の影響によりさらにロータ凹部内のボディ前部外側に絡み付いて容易に解けなくなったり、釣糸に傷やダメージを与えて糸切れが生じる可能性がある。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、リール本体の軽量、小型化を図りつつ、実用時においてスプールの後方から落ちた釣糸がロータの凹部内のリール本体の前部に侵入して巻きついてしまう不具合を回避可能な魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明に係る魚釣用スピニングリールにおいては、ハンドルを支えるハンドル装着部の前方に突出する前部を有するリール本体と、このリール本体の前部に回転自在に支えられるロータとを備え、駆動軸を支持する支持部を突出した状態に有する前記リール本体の前部が後方に向けて開口する前記ロータの凹部に対して配置されて使用され、前記リール本体は、前記ロータの前記凹部の前記開口を開放した状態に維持するフランジレスであり、前記ロータの凹部に対し前記リール本体の前部が配置された状態のときに前記ロータの前記凹部に釣糸が侵入するのを防止する釣糸侵入防止突部を前記リール本体の外側に設けたことを特徴とする。
また、前記釣糸侵入防止突部は、前記リール本体の前部のうち前記支持部よりも後ろ側に設けられていることが好ましい。
また、前記釣糸侵入防止突部は、前記リール本体に配設されるネジで固定されていることが好ましい。
また、前記釣糸侵入防止突部は、前記リール本体の前部のうち前記支持部よりも後ろ側に設けられていることが好ましい。
また、前記釣糸侵入防止突部は、前記リール本体に配設されるネジで固定されていることが好ましい。
この発明によれば、リール本体の前部をフランジレス構造に形成することによって、魚釣用スピニングリールの軽量・小型化が可能となるとともに、釣糸侵入防止突部をリール本体の外側に設けたことにより、ロータの後側から凹部に釣糸が侵入するのを防止できる。このため、実用時に釣糸がリール本体の前部等に巻き付いてしまうのを防止できる。
また、釣糸侵入防止突部がリール本体の前部のうち支持部よりも後ろ側に設けられていることによって、ロータの後側から凹部内に釣糸が侵入するのを効果的に防止できる。
また、釣糸侵入防止突部がリール本体に配設されるネジで固定されていることによって、簡単な構成で釣糸侵入防止突部をリール本体に設けることができるので、後から取り付けることもでき、着脱や交換等も容易である。
また、釣糸侵入防止突部がリール本体の前部のうち支持部よりも後ろ側に設けられていることによって、ロータの後側から凹部内に釣糸が侵入するのを効果的に防止できる。
また、釣糸侵入防止突部がリール本体に配設されるネジで固定されていることによって、簡単な構成で釣糸侵入防止突部をリール本体に設けることができるので、後から取り付けることもでき、着脱や交換等も容易である。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1から図7は、本発明の好ましい実施形態による魚釣用スピニングリール10を概略的に示す。
図1から図7は、本発明の好ましい実施形態による魚釣用スピニングリール10を概略的に示す。
図1および図2に示すように、魚釣用スピニングリール10は、剛性構造のリールボディ12aの側部開口14aを蓋体12bで閉塞したリール本体12を備え、この蓋体12bの固定ネジ16を取外すことで、リールボディ12aの内部空間Sを外部に露出させることができる。また、リールボディ12aの後端側には、切欠き14bを形成し、この切欠き14bを後部キャップ18で閉じてあり、この後部キャップ18の固定ネジ20を取外すことにより、後端側でも内部空間Sを開閉することができる。このリール本体12は、リールボディ12aから上方に延出するリール脚部12cの端部に形成された竿取付部12dを介して図示しない釣竿に取り付けられる。
リール本体12内には、通常のスピニングリールと同様に、後述するロータを駆動するための中空駆動軸22を回転駆動する駆動機構24およびこの中空駆動軸22内に挿通されたスプール軸26をこの軸方向に沿って一定のストロークで前後方向に往復動する公知のオシレーティング機構28が収容されており、このオシレーティング機構28の摺動子28aが止めネジ30でスプール軸26の後端部に固定されている。これらの駆動機構24およびオシレーティング機構28は、一端にハンドル32が連結されるハンドル軸34により、互いに同期して作動される。
本実施形態のハンドル軸34は中空構造を有し、それぞれリールボディ12aと蓋体12bとに設けられた軸受36a,36bを介してリール本体12で回転自在に支持されている。このハンドル軸34には、後述する駆動歯車34aが一体に形成される。このハンドル軸34の両端部には、雌ネジを形成してあり、一方の端部に、ハンドル32に基端部を枢着ピン38で枢着されたネジ部材40の先端部が螺合することで装着される。したがって、ハンドル軸34は軸受36a,36bと共にハンドル装着部を形成する。
このハンドル32を装着するためのネジ部材40は、スタンド部材42に挿通されており、ハンドル32を介してハンドル軸34内に締付けられると、スタンド部材42の内周側突条42aがハンドル軸34の端面に当接し、ネジ部材40の締付け力で、ハンドル32およびスタンド部材42をハンドル軸34に強固に固定する。スタンド部材42は、ハンドル32をリール本体12から離隔させ、後述するロータ60との干渉を防止しつつ自由に回転可能とする。また、この内周側突条42aの外周側に配置した外周側突条42bは、リール本体12から突出する環状突起13aを僅かな間隙を介して囲み、リール本体12の内部空間S内に異物が侵入するのを防止する。
このネジ部材40を緩め、スタンド部材42とハンドル32との間に間隙を形成すると、枢着ピン38を中心としてハンドル32を回転し、持運びあるいは保管に便利な折り畳み状態とすることができる。この折り畳み状態からハンドル32を介してネジ部材40をハンドル軸34内に締め込むとことで簡単に、釣糸巻取り状態に復帰させることができる。
また、ハンドル軸34の反対側には、蓋体12bに形成した環状突起13bを囲む軸受キャップ44を取り付けてあり、異物の侵入が防止されている。この軸受キャップ44を取り外して、ハンドル32およびスタンド部材42を取付けることにより、ハンドル32をリール本体12の一側から他側に自由に付け換えることができる。いずれの場合も、釣糸巻回方向にネジ部材40を締め付けることにより、ハンドル32とハンドル軸34とが一体化され、釣糸巻取り状態とすることができる。
リール本体12の内部空間S内では、ハンドル軸34と一体に形成された駆動歯車34aと共に駆動機構24を形成するピニオン22aが、ハンドル軸34と直交する方向に延設された駆動軸22の外周部に形成されており、このピニオン22aは駆動歯車34aと常時噛合した状態に配置されている。このピニオン22aを形成した中空駆動軸22は、ハンドル軸34の軸受36a,36bを配置したハンドル装着部から前方に突出する前部内で前方に延び、ハンドル軸34に近接した後端側を軸受46aを介してリール本体12で支えられ、前方部位を、リール本体12の前部内に配置した軸受46bを介して支えられ、前端側がこの前部から突出し、リール本体12に対して自由に回転することができる。この中空駆動軸22は、軸方向に貫通する内孔内に、先端部にスプール50を装着するスプール軸26を前後方向に摺動自在に案内する。
このスプール軸26は、中空駆動軸22の先端側から突出する先端部に断面非円形部26aと、ネジ部26bとを順に形成してあり、この断面非円形部26aにストッパ48aを介して装着されたスプール50が、袋ナット状に形成した締付けネジ48bにより、スプール軸26の先端部に取外し可能に装着される。
本実施形態では、ストッパ48aは断面非円形部26aに対応した挿通孔を有する板状に形成してあり、この断面非円形部26aの後端部に回り止めされた状態で係止され、後方すなわちリール本体12側への移動が阻止されている。そして、スプール50は、円筒状あるいはテーパ状の周面を有する胴部52の前後に、径方向外方に突出するフランジ部52a,52bを形成し、この胴部52の前端側を閉じる前壁部54の中央部から、後方の開口側に向けて、短軸部56が突出する。
この短軸部56には、断面非円形部26aに対応する断面形状を有する挿通孔が軸方向に貫通しており、この断面非円形部26a上で回り止めされた状態でスプール軸26に装着され、締め付けネジ48bをネジ部26bに締付けることにより、ストッパ48aに締付けられ、固定される。
また、短軸部56が配置される前壁部54には、短軸部56を囲んで、多数の軸方向貫通孔55を等間隔に形成してある(図3)。これらの貫通孔55は、スプール50を軽量化すると共に、魚釣り操作時の空気抵抗を小さくする構造に形成してあり、外方に開口する後端側には、釣糸が内部に入り込むのを防止するスカートあるいは内側フランジ部58が形成される。なお、胴部52に、周方向に沿って多数の凹溝を形成してもよく、この場合には、スプール50に巻き取った釣糸が移動して緩むのを防止することができる。
このスプール50をスプール軸26に取付ける締付けネジ48bは、釣糸が引っ掛かるのを防止するために、前壁部54からの突出量をできる限り小さくし、また、その周部は可能な限り滑らかな外面で形成することが好ましい。
図1、図2および図4に示すように、スプール50に釣糸を巻回するロータ60は、後方に向けて凹部62を開口させた周壁部64を有し、前壁部66に設けた筒状の駆動部68を介して中空駆動軸22に連結される。この駆動部68を囲む周壁部64には、後方開口端すなわちハンドル軸34側の径方向に対向した部位で、一対の腕部70,70が径方向外方に突設されている。これらの腕部70,70は、ロータ60の後方開口端から前方に向けてスプール軸26の軸方向に沿って先細状に延び、周壁部64との間に、スプール50の胴部52を受け入れる間隙を形成する。
これらの腕部70,70の先端部に取付けられたベール72は、図1に示す釣糸巻取位置と図示しない釣糸放出位置との間を自在に反転することができる。このベール72の一方の端部は、釣糸案内部72aを装着した支持脚73を介して腕部70に取り付けられ、図2に一部を概略的に示す振り分けバネ機構74により、釣糸巻取位置と釣糸放出位置との一方に保持され、ハンドル32を釣糸巻回方向に反転後、ベール72を手動操作で釣糸巻取位置へ復帰させたり、図示しない反転復帰機構により、図1に示す釣糸巻取位置へ自動復帰される。
このロータ60の前壁部66には、駆動部68の周部に沿って軸方向貫通孔65が等間隔に形成してあり(図3)、この前壁部66の外周部には、例えば、スプール50の後方から内側に落ち込んだ釣糸のスプール軸26への巻き込みを防止する薄肉構造の筒状のガードリング76が前方に突出する状態で螺合、接着等の手段で取り付け固定されている。また、駆動部68を囲む周壁部64は、前端側を前壁部66で閉じた円筒状部として形成してあり、軸方向の中間部位の屈曲部64aを挟んで、前方よりも後方側でより大きな角度で径方向外方に向けて拡径する。この周壁部64の後方開口端に隣接する部位には、この周壁部64を径方向に貫通する開口部63が形成されており、この開口部63は、周壁部64の後方開口端から屈曲部64aを超えて前壁部66側の位置まで、開口幅を狭めつつ軸方向に沿って延びる。
なお、ガードリング76は、ロータ60およびスプール50のそれぞれの前壁部66,54に形成した貫通孔65,55を介する空気の流れを阻害しあるいは閉塞しないものであれば適宜の形状に形成することが可能であり、その周部に開口を設けても良い。また、ロータ60に一体化することも可能である。
図4に最も良く示すように、本実施形態のロータ60は、4つの径方向開口部63が、周壁部64の後方開口端に隣接した部位で径方向に対向させて形成してあり、各腕部70にも周壁部64の径方向開口部63に対応した径方向開口部71が形成してある。この腕部70の径方向開口部71は、周壁部64の径方向開口部63と径方向に整合した位置に配置されており、後方に向けて開口する。したがって、腕部70に形成した径方向開口部71は、周壁部64の対応する径方向開口部63と連続した開口部を形成する。これにより、いずれの径方向開口部63,71も、内部に配置したリール本体12の前部80を外部に大きく露出し、この径方向開口部63,71を介して、外部から例えば蓋体12bの固定ネジ16を締付けあるいは取外すことができる。
一方、周壁部64の腕部70,70間に形成された2つの径方向開口部63の内の一方は、弧状の連結片67をその後端部に設けてあり、この周壁部64と一体形成される部位によって、ベール72および釣糸案内部72a等のアンバランス部材に対するバランス化を図り、ロータ60を滑らかに回転させることができる。リール本体12から突出する軸受キャップ44及びハンドル軸34に連結するスタンド部材42を、リール本体12の前部80にフランジ部が形成されていない(フランジレスボディを採用している)ので、従来のような形状的な制約が少なくなり、ロータ60の後端部の極近接する位置まで、ロータ60の凹部62内にリール本体12の前部80を挿入することが可能となり、魚釣用スピニングリール10の軸方向寸法を可及的に短くすることができる。
このように形成されるロータ60の凹部62内に挿入されるリール本体12の前部80は、リール脚部12cから前方に向けて、上下方向の寸法が次第に減少する。なお、本明細書中で、リール本体12の前部80は、特に限定した場合を除き、ハンドル装着部すなわちハンドル軸34を支える軸受36a,36bを配した部位よりもロータ60側の前部に配置されるリールボディ12aおよび蓋体12bの部分を指す。したがって、これらの軸受36a,36bと上下方向にほぼ整合した位置に配置されるリール脚部12c、ハンドル軸34、スタンド部材42および軸受キャップ44は、この前部80に含まれない。
図2に示すように、このリール本体12の前部80内では、中空駆動軸22のピニオン22aよりも前方部位が、断面非円形の外面形状を有してロータ60の駆動部68を回り止め嵌合する作動部22bとして形成してあり、この作動部22bの後端部に、前側軸受46bであるボール軸受が装着される。
更に、図5および図6に示すように、この筒状の前部80内では、軸受46bの前方にスペーサ82を介して一方向クラッチ84を装着し、押え板86とリテーナ88との間に介挿したシール部材90をリールボディ12aの先端面に固定する止めネジ92により、前方に抜出るのを防止している。これらの軸受46bおよび一方向クラッチ84は、リールボディ12aの内面側に形成された段部で、外周側後端部を係止し、後方への移動を阻止される。したがって、前部80の先端部すなわち軸受46bおよび一方向クラッチ84を収容する部位は、前部80内で、中空駆動軸22を軸方向移動を阻止しつつ回転自在に支える支持部80aを形成する。
なお、この前部80に配置された一方向クラッチ84は、リール本体の後端部に配置した操作レバーL(図1参照)を切換操作することにより、釣糸繰り出し方向への中空駆動軸22、つまりロータ60の逆回転を阻止する逆転防止位置と、正回転および逆回転を許容する規制解除位置とに自由に切換えることができる。
図5および図6に示すように、シール部材90は、環状のリテーナ88で押圧される環状の基部90aの内周側から前方かつ半径方向内方に向けて傾斜した状態に延びるリップ部90bを有する環状の板状に形成されている。このリップ部90bは、先端すなわち内周側に向けて肉厚が次第に減少し、内周縁部は丸められている。これにより、リップ部90bがどの位置にあっても、相手方のロータ60の駆動部68の外周面に損傷を与えることなくわずかに内周が拡開変形して弾性的にシール係合する。これにより、前部80の内部が密封される。
図5に示すように、このシール部材90が駆動部68の周囲すなわち外周面に摺接係合する駆動部68の外径68aは、外部の圧力で内方に湾曲してシール効果が低下するのを防止するため、駆動部68の前方側外径68bより段部68cを介して小径に形成されている。また、このシール部材90は駆動部68の外周面との間に好適なシール効果を形成するものであれば適宜材料の弾性材で形成することができるが、ゴム製の材料で形成することが好ましい。いずれの場合も、シール部材90は、径方向開口部63よりも前壁部66側に配置し、スプール50が前方に移動した場合であっても、径方向開口部63を介して外部に露出させないことが好ましい。
図1および図2に示すように、リール本体12の前部80のうち、リールボディ12aおよび蓋体12bの外周には、ベール72が釣糸放出位置のときに釣糸がロータ60の凹部62に侵入することを防止するため、複数の釣糸侵入防止突部95が配設されている。これら釣糸侵入防止突部95は適当な間隔をおいて環状(周状)に配置されていることが好ましい。各釣糸侵入防止突部95はロータ60の凹部62の後方開口端との隙間に配設される。そして、ロータ60の後側の開口端部内周に近接するリール本体12の上下方向、つまり、リール本体12のうちリール脚部12cの基部側およびリール脚部12cと反対側の底部に釣糸侵入防止突起95を設けることにより、スプール50の後方から解れた釣糸を係止し易くなり、ロータ60の後ろ側から凹部62内への釣糸侵入を効果的に防止できる。
各釣糸侵入防止突部95は、特に限定はされないが、金属材や合成樹脂材等で形成されてリールボディ12aや蓋体12bの外周に固定されていることが好ましい。なお、第4の実施の形態(図10参照)や第5の実施の形態(図11参照)で一部の釣糸侵入防止突部95について後述するが、釣糸侵入防止突部95がリール本体12の前部80のうち、リールボディ12aや蓋体12bの外周に一体的に形成されていることも好ましい。
この実施の形態では、各釣糸侵入防止突部95は配置された位置によって大きさが異なるように形成されている。ここでは、リール脚部12cに近接する上側の釣糸侵入防止突部95の方がリール脚部12cに離隔する下側の釣糸侵入防止突部95よりも小さく形成されている。また、リール本体12の蓋体12bに配設された釣糸侵入防止突部95の方が、リールボディ12aに配設された釣糸侵入防止突部95よりも小さく形成されている。
また、各釣糸侵入防止突部95は、図1および図2に示すように、縦断面がそれぞれ略台形状に形成されている。そして、各釣糸侵入防止突部95の前側は仮に釣糸がロータ60の後ろ側から凹部62に入ってしまったときにも各釣糸侵入防止突部95の後側に釣糸を引っ掛かりなく案内し易い(釣糸を取り出し易い)ように後側に向かって傾斜している。一方、各釣糸侵入防止突部95の後側は釣糸がロータ60の後ろ側から凹部62に入り難いように立設(例えば切り立った壁状に形成)された状態にある。
図7は、リール本体12からスプール50およびロータ60を分離した状態を示す。
魚釣用スピニングリール10を組立てる場合は、図7(C)に示すリール本体12の前部80に設けた支持部80aを、図7(B)に示すロータ60の後方に開口する凹部62内に挿入する。そして、支持部80aから突出する中空駆動軸22の作動部22bに、ロータ60の凹部62内に突出する駆動部68を装着し、この駆動部68の外周にシール部材90のリップ部90bをシール係合させ、締付けナット94(図2参照)を作動部22bの先端に形成したネジ部(図示せず)に螺合する。この締付けナット94を締め込むことにより、駆動部68の後端面でスペーサ82の先端面を押圧させ、ロータ60と中空駆動軸22とを一体的に結合する。ロータ60を中空駆動軸22の作動部22bに固定した後、ガードリング76を前壁部66の外周部に螺合等により装着する。
魚釣用スピニングリール10を組立てる場合は、図7(C)に示すリール本体12の前部80に設けた支持部80aを、図7(B)に示すロータ60の後方に開口する凹部62内に挿入する。そして、支持部80aから突出する中空駆動軸22の作動部22bに、ロータ60の凹部62内に突出する駆動部68を装着し、この駆動部68の外周にシール部材90のリップ部90bをシール係合させ、締付けナット94(図2参照)を作動部22bの先端に形成したネジ部(図示せず)に螺合する。この締付けナット94を締め込むことにより、駆動部68の後端面でスペーサ82の先端面を押圧させ、ロータ60と中空駆動軸22とを一体的に結合する。ロータ60を中空駆動軸22の作動部22bに固定した後、ガードリング76を前壁部66の外周部に螺合等により装着する。
この後、ストッパ48aをスプール軸26の断面非円形部に装着し、図7(A)に示すスプール50を、後端側開口部から、ロータ60のガードリング76および周壁部64を受入れつつ、周壁部64と腕部70との間の間隙内に胴部52を挿入し、短軸部56をストッパ48aに当接させ、ネジ部26bに締付けネジ48bを締付け、このスプール50をスプール軸26に固定することで、魚釣用スピニングリール10の組立てが完了する。
この魚釣用スピニングリール10によると、ロータ60の後方に開口する凹部62内に配置された駆動部68が、リール本体12内の駆動機構24で駆動される中空駆動軸22に一体的に連結され、この駆動部68の周囲と、中空駆動軸22を回転自在に支える支持部を収容した前部80の支持部80aとの間に配置されたシール部材90が、リール本体12の前部80内を密封することにより、異物の侵入する隙間がなくなり、リール本体12の前部80の防水および防塵が確実に図られる。これにより、このロータ60の凹部62の後方開口端を閉塞するための従来のフランジ部をリール本体12に設ける必要がなく、リール本体12の前部80をフランジレス構造に形成し、魚釣用スピニングリール10の軽量・小型化が可能となる。
リール本体12の前部80のフランジレス構造に加えて更に、ロータ60の周壁部64が後方開口端側で拡径していることにより、リール本体12の前部80をハンドル軸34に近接する位置まで凹部62内に配置した場合であっても、リール本体12の側部に突設する例えば蓋体12bに取付けられる軸受キャップ44の外周部がロータ60と干渉することがなく、したがって、軸方向寸法を短く形成することができる。また、ロータ60の周壁部64および腕部70に径方向開口部63,71が形成され、更に、前壁部66には貫通孔65が形成されていることにより、ロータ60が軽量化され、小さな力でも効率よく回転することができる。また、スプール50の前壁部54に形成した貫通孔55も軽量化を促進する。
更に、ロータ60の凹部62内に浸入した海水、砂、塵埃等の異物は、外部から例えばシャワー等で洗浄し、径方向開口部63,71および貫通孔55,65を介して容易に洗い流すことができると共に、通気性も良くなり、内部に水分、異物等の滞留もなくなり、腐食の誘発や機能部材の作動不良を防止できる。
また、リール本体12の前部80のうち、リールボディ12aおよび蓋体12bの外側(支持部80aよりも後ろ側)に釣糸侵入防止突部95を設けることにより、ベール72を例えば図示しない釣糸放出位置にした釣糸放出操作時にスプール50からロータ60の後方に落ち込んだ釣糸に気付かずにベール72を釣糸巻取位置に戻しても、釣糸侵入防止突部95によって釣糸がロータ60の後ろ側から凹部62に入ることが防止されている。すなわち、釣糸侵入防止突部95の後側は切り立った壁のように形成されているので、釣糸がロータ60の後ろ側から凹部62に入り込むのを防止できる。したがって、ハンドル32の操作によりロータ60を巻取り回転させても、釣糸がロータ60の後方外側部などに巻き付いてしまうことを防止できる。
なお、仮に釣糸がロータ60の後ろ側から凹部62に入り込んでも、釣糸侵入防止突部95の前側が後側に傾斜した状態に形成されているので、釣糸を容易に取り出すことができる。
なお、仮に釣糸がロータ60の後ろ側から凹部62に入り込んでも、釣糸侵入防止突部95の前側が後側に傾斜した状態に形成されているので、釣糸を容易に取り出すことができる。
更に、リール本体12の前部80が上述のようにフランジレス構造に形成されると共に、ロータ60の前壁部66に貫通孔65が形成され、スプール50の前壁部にも貫通孔50が形成されることにより、例えば釣竿と共に勢いよく振り下ろしながら釣糸放出操作を行う際、リール本体12の後部側から前方側に向く空気抵抗を受ける場合であっても、ロータ60の後方開口端から凹部62内に侵入した空気がこれらの貫通孔65,55を介して外部に流出することができ、空気抵抗が小さくかつ軽量・小型化が可能となり、特に、ルアーの飛距離を競う投げ専用リールとして極めて優れた釣糸放出操作性を発揮することができる。
なお、この実施の形態では、リールボディ12aおよび蓋部12bの両方に釣糸侵入防止突部95を配設する場合について説明したが、リールボディ12aおよび蓋部12bのいずれか一方にのみ釣糸侵入防止突部95が配設されていることも好適である。
次に、第2の実施の形態について図8を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材又は同一の作用を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。以下、第3から第5の実施の形態でも同様である。
この実施の形態は、図8に示すように、リールボディ12aのうちリール脚部12cに近接する上側およびリール脚部12cと離れた下側に釣糸侵入防止突部95を設け、かつ、蓋体12bに釣糸侵入防止突部95を適当な間隔ごとに設けた例である。第1の実施の形態とは、蓋体12bに設けた釣糸侵入防止突部95の数が異なるだけである。このように、第1の実施の形態で説明した場合よりも狭い間隔で釣糸侵入防止突部95が設けられているので、より確実にロータ60の凹部62に釣糸が侵入するのを防止できる。
次に、第3の実施の形態について図9を用いて説明する。この実施の形態は第1および第2の実施の形態の変形例である。
この実施の形態は、図9に示すように、蓋体12bをリールボディ12aに装着する際に用いられる固定ネジ16で釣糸侵入防止突部95をリール本体12の蓋体12bの外側に固定した例である。ここでは、リール本体12の前部80には、2つの固定ネジ16が配設されているので、それぞれに対して釣糸侵入防止突部95が配設されている。そして、一方の釣糸侵入防止突部95はリール脚部12cに近接するリール本体12の上側に突出するように配設され、他方の釣糸侵入防止突部95はリール脚部12cに離隔するリール本体12の下側に突出するように配設されている。
この実施の形態は、図9に示すように、蓋体12bをリールボディ12aに装着する際に用いられる固定ネジ16で釣糸侵入防止突部95をリール本体12の蓋体12bの外側に固定した例である。ここでは、リール本体12の前部80には、2つの固定ネジ16が配設されているので、それぞれに対して釣糸侵入防止突部95が配設されている。そして、一方の釣糸侵入防止突部95はリール脚部12cに近接するリール本体12の上側に突出するように配設され、他方の釣糸侵入防止突部95はリール脚部12cに離隔するリール本体12の下側に突出するように配設されている。
リール本体12の上側の釣糸侵入防止突部95は、例えば、リール本体12の上側に突出する突出部96aと、蓋体12bの外周面に密着する2つの押え部96bと、固定ネジ16が貫通するネジ穴(図示せず)を有する。突出部96aはリール本体12の上側の一部を覆うように、釣糸侵入防止突部95が配設された蓋体12bと反対側の蓋体12bに向けて延出されていることが好ましい。リール本体12の下側の釣糸侵入防止突部95は、リール本体12の下側に突出するように配設されている。
なお、この実施の形態においても、上側の釣糸侵入防止突部95の突出部96aや下側の釣糸侵入防止突部95の前側は仮に釣糸がロータ60の凹部62に入ってしまったときにも各釣糸侵入防止突部95の後側に釣糸を引っ掛かりなく案内し易い(釣糸を取り出し易い)ように傾斜し、後側は釣糸がロータ60の凹部62に入らないように立設された状態にあることが好ましい。
この実施の形態による釣糸侵入防止突部95によれば、魚釣用スピニングリール10の固定ネジ16を介して釣糸侵入防止突部95を取り付けることができるので、後付けや着脱、交換等も容易に行うことができる。すなわち、好みに合わせて適宜の形状を有する釣糸侵入防止突部95を選択して用いることができる。
また、図示しないが、第1の実施の形態や第2の実施の形態のように釣糸侵入防止突部95が蓋体12bに配設されていることも好ましい。
次に、第4の実施の形態について図10を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例である。
この実施の形態は、図10に示すように、リールボディ12aの下部に一体的に釣糸侵入防止突部95を設けた例である。そして、リールボディ12aの下部には、釣糸侵入防止突部95を形成するための凹部97が形成されている。この凹部97による段差を形成することによって、釣糸侵入防止突部95が形成されている。すなわち、この実施の形態は、リールボディ12aに一体的に釣糸侵入防止突部95が形成された例である。
この実施の形態は、図10に示すように、リールボディ12aの下部に一体的に釣糸侵入防止突部95を設けた例である。そして、リールボディ12aの下部には、釣糸侵入防止突部95を形成するための凹部97が形成されている。この凹部97による段差を形成することによって、釣糸侵入防止突部95が形成されている。すなわち、この実施の形態は、リールボディ12aに一体的に釣糸侵入防止突部95が形成された例である。
そして、リールボディ12aの凹部97は釣糸がロータ60の凹部62に入ることを防止するように切り立った状態に形成されている。一方、リールボディ12aの凹部97によって形成された釣糸侵入防止突部95は釣糸がロータ60の凹部62に入ったときに後側に容易に案内できるように前側が後側に向かって傾斜していることが好ましい。
この実施の形態による釣糸侵入防止突部95によれば、リールボディ12aに一体的に凹部97が形成されるので、釣糸侵入防止突部95が外れる等を生じることなく、ロータ60の後ろ側から凹部62への釣糸の侵入をより確実に防止できる。
次に、第5の実施の形態について図11を用いて説明する。この実施の形態は第4の実施の形態の変形例である。
図11に示すように、この実施の形態に係る釣糸侵入防止突部95は、固定ネジ16により蓋体12bに固定された板状体98aと、この板状体98aに配設された複数の突起98bとを備えている。複数の突起98bは、前側が後側に向かって傾斜している。
図11に示すように、この実施の形態に係る釣糸侵入防止突部95は、固定ネジ16により蓋体12bに固定された板状体98aと、この板状体98aに配設された複数の突起98bとを備えている。複数の突起98bは、前側が後側に向かって傾斜している。
このような釣糸侵入防止突部95によれば、固定ネジ16を用いて確実に板状体98aを固定でき、突起98b同士の間隔や大きさも簡単に設定できるので、ロータ60の後ろ側から凹部62への釣糸の侵入をより確実に防止できる。また、板状体98aは固定ネジ16によって容易に着脱することができるので、板状体98aや突起98bに装飾効果を容易に加えることができる。
なお、図示しないが、リール脚部12cに近接する上側やリール脚部12cに離隔する下側にも釣糸侵入防止突部95が形成されていることも好ましい。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
10…魚釣用スピニングリール、12…リール本体、12a…リールボディ、12b…蓋体、12c…リール脚部、12d…竿取付部、16…固定ネジ、18…後部キャップ、20…固定ネジ、22…駆動軸、22a…ピニオン、24…駆動機構、26b…ネジ部、28…オシレーティング機構、28a…摺動子、30…止めネジ、32…ハンドル、34a…駆動歯車、44…軸受キャップ、48b…締付けネジ、50…スプール、52…胴部、52a…フランジ部、60…ロータ、63…開口部、64…周壁部、64a…屈曲部、70…腕部、71…径方向開口部、72…ベール、76…ガードリング、95…釣糸侵入防止突部。
Claims (3)
- ハンドルを支えるハンドル装着部の前方に突出する前部を有するリール本体と、このリール本体の前部に回転自在に支えられるロータとを備え、駆動軸を支持する支持部を突出した状態に有する前記リール本体の前部が後方に向けて開口する前記ロータの凹部に対して配置されて使用される魚釣用スピニングリールにおいて、
前記リール本体は、前記ロータの前記凹部の前記開口を開放した状態に維持するフランジレスであり、前記ロータの凹部に対し前記リール本体の前部が配置された状態のときに前記ロータの後方から前記凹部に釣糸が侵入するのを防止する釣糸侵入防止突部を前記リール本体の外側に設けたことを特徴とする魚釣用スピニングリール。 - 前記釣糸侵入防止突部は、前記リール本体の前部のうち前記支持部よりも後ろ側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
- 前記釣糸侵入防止突部は、前記リール本体に配設されるネジで固定されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
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2008
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