JPH10427A - 金属管内面処理方法 - Google Patents

金属管内面処理方法

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JPH10427A
JPH10427A JP17555696A JP17555696A JPH10427A JP H10427 A JPH10427 A JP H10427A JP 17555696 A JP17555696 A JP 17555696A JP 17555696 A JP17555696 A JP 17555696A JP H10427 A JPH10427 A JP H10427A
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JP
Japan
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stainless steel
pipe
steel pipe
roller
metal tube
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Pending
Application number
JP17555696A
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English (en)
Inventor
Toshio Matsumoto
壽夫 松本
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MATSUMOTO GIKEN KK
Original Assignee
MATSUMOTO GIKEN KK
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Publication date
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Publication of JPH10427A publication Critical patent/JPH10427A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】この発明は、廉価で高性能のステンレス鋼鋼管
の内面処理方法を新たに開発することである。又、ステ
ンレス鋼鋼管素材の特長を活かす高価な電解研磨を、低
廉化する加工方法を開発する。 【解決手段】ステンレス鋼鋼管原管の内面を円形にボー
リング切削し、好ましくは該切削面を粗面化し、この切
削面にフッ素樹脂系皮膜12をコーティングし、このフ
ッ素樹系脂皮膜の表面の凸部11をローラー13等で展
延して平滑にする。又、電解研磨仕上げの前工程として
ローラー・バニシング加工を行うことによって、電解研
磨のコストを従来の2/3以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は医薬品、食品、半導
体、染色、化学プラント、など種々の製造プラントの配
管に利用される、耐食性、耐薬品性、非粘着性、に優れ
たフッ素樹脂皮膜を表面層に複合したステンレス鋼鋼管
の内面処理方法、及び廉価で極めて効率良い、電解研
磨、化学研磨、又は酸洗仕上げができるステンレス鋼鋼
管の内面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不錆鋼、即ちステンレス鋼の代表例とし
て、例えば18Cr−8Ni(即ちSUS304)につ
いて説明すれば、SUS304を1010℃以上の温度
に加熱してから急冷する固溶化熱処理によって、非磁性
の完全なオーステナイト組織となり、優れた耐食性と最
大の展性が得られる。通常は、該固溶化熱処理のあと矯
正し酸洗いをしている。
【0003】従来、最も基本的なステンレス鋼鋼管の原
管としては、大別して2種類があり、その1つは丸い棒
材を窄孔して管状にしたステンレス鋼継ぎ目無し鋼管
と、他の1つは裁断された帯状の板を円筒状に曲げてか
ら、その継ぎ目をアルゴンガスの雰囲気下でアーク溶接
又は電気抵抗溶接して製造したステンレス鋼溶接鋼管が
ある。
【0004】ステンレス鋼継ぎ目無し鋼管の原管は、図
1に示すように、ステンレス鋼鋼管内面の波状の凸凹が
軸方向に連続している、即ち軸方向に多くの縦シワが付
いている。通常は内径が多角形、極端な場合はおよそ6
角形にみられる様な形状をなしている。一方、ステンレ
ス鋼溶接鋼管の原管は、図5に示すように、溶接部がス
テンレス鋼鋼管内面に溶接ビードの突起が軸方向に連続
して縦スジとなっている。
【0005】ステンレス鋼継ぎ目無し鋼管及び溶接鋼管
の原管の内面は、いずれも上記したように円形ではない
ので、このままでは機械的な研磨が出来ない大きな欠点
がある。即ち、研磨をしても凸の部分だけが削れて、凹
の部分がそのまま残ってしまう。
【0006】このため内径が円でない原管を機械的に研
磨するには、上記ステンレス鋼継ぎ目無し鋼管及び溶接
鋼管の原管は、いずれも通常、冷間引き抜き加工でダイ
ス、プラグを通して管の内外面を真円に塑性変形させて
いる。そしてこの加工による加工硬化によって、固溶化
熱処理によってオーステナイトとしておいても、これが
マルテンサイトとなり、生じたマルテンサイト組織をオ
ーステナイト組織にもどすために、再度、前記1010
℃以上に加熱後急冷をする固溶化熱処理を、費用を掛け
てしなければならない大きな欠点がある。
【0007】また、上記ステンレス鋼鋼管の原管を冷間
引き抜き加工するということは、太く厚い原管を、細く
薄くすることで、所定の寸法に仕上げることであるか
ら、その歩留まりが甚だ悪いために更にコストが掛かる
欠点がある。
【0008】また、上記ステンレス鋼鋼管の原管内面の
表面は、通常固溶化熱処理をした後、酸洗いをするため
に、キズはもとよりステンレス鋼原管表面に集中して存
在する不純物等の偏析が、この酸洗いで溶解されること
で多数の深いピンホールを生成させているが、これらを
除去することができず、そのまま残留させる大きな欠点
がある従って、従来のステンレス鋼鋼管の原管は最も廉
価ではあるが、このままでは内面を研磨するなどの精密
仕上げができないために、食品、医薬品、半導体、染色
など種々の製造プラントの配管に使用できない大きな欠
点があった。
【0009】一方、従来の他の重要なステンレス鋼鋼管
内面処理方法として電解研磨がある。この電解研磨の基
本は、被加工物の微小凸部を微小凹部よりもより多く溶
解させることによって、その表面を平滑化するためのも
のであって、主たる機能が表面の光沢化である。このた
め通常この電解研磨をする場合には、被加工物の表面を
予め機械研磨によって平滑化しておく必要がある。具体
的には、ステンレス鋼鋼管内面の凸凹でRmax15μ
mとかRmax25μmとかの大きな凸凹は、凸部は5
μm程低くなるが全体としての凸凹はそのままの形で残
される。
【0010】従って、ステンレス鋼鋼管を冷間引き抜き
加工して、固溶化熱処理、酸洗をしたときの表面粗さが
Rmax3〜7μmのものが、この電解研磨によってR
max0.3〜0.6μmにまで平滑化するには、大電
流を必要とする電解研磨において、研磨に掛かる時間と
経費は甚大で、極めてコストが掛かる大きな欠点ガあっ
た。
【0011】従って、電解研磨の前処理としての平滑度
は、機械研磨即ち砥粒による研磨においては、少なくと
も最終仕上げが#400番の研磨布で表面粗さがRma
x2.0〜3.0μmのステンレス鋼鋼管が望ましかっ
た。
【0012】それでもステンレス鋼鋼管内面の該電解研
磨のコストは、研磨布による高価な機械研磨(#80→
#150→#320→#400番の4工程を要する)の
コストの更に2倍以上のコストを要するので、機械研磨
と合計でその費用は機械研磨の3〜4倍も掛かる大きな
欠点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、大量生産され、またコストが掛かる固溶
化熱処理が既に済まされている、最も耐食性、耐薬品性
に優れた金属組織を持つ、ステンレス鋼継ぎ目無し鋼
管、及びステンレス鋼溶接鋼管の廉価な原管を、そのま
ま使用することである。そしてこの優れた金属組織を活
かしながら、ステンレス鋼鋼管内面の縦スジや縦シワな
どを除去して円形とし、これにフッ素樹脂皮膜をコーテ
ィングし、これをローラーによって展延し、平滑化する
ことが、その主たる目的である。更に、従来電解研磨を
してからローラー・バニシングをする場合があったが、
これは電解研磨によって折角生成した不動態化皮膜が、
ローラーで揉まれることによって無数の亀裂を生じ、更
にローラーで擦られて上記不動態化皮膜の一部が剥がさ
れることがあり、耐蝕性を損なうばかりでなく、ローラ
ーの摩滅消耗が著しくなる欠点があった。
【0014】また上記従来の機械研磨(4工程を要す
る)に対して、ローラー・バニシング加工を利用するこ
とによって、1工程で処理ができ、しかもその優れた平
滑化さによって電解研磨のコストを2/3以下に低減さ
せることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は基本的には、
ステンレス鋼鋼管の内面の縦シワや縦スジを切削して円
形にし、これを粗面化してから該粗面凸凹にフッ素樹脂
を複合させ、このフッ素樹脂皮膜をローラーで圧延する
ことによって、該表面のフッ素樹脂皮膜を圧縮して緻密
組織化し平滑化することによって達成される。
【0016】更に詳しくは、廉いがビードの縦スジが有
るために使えないステンレス鋼溶接鋼管、金属組織が均
一で耐圧性、耐食性等極めて安心であるが、内径が6角
形のためにそのまま使えないステンレス鋼継ぎ目無し鋼
管の、管内面を円形に切削することにより、この上にコ
ーティングしたフッ素樹脂皮膜をローラーで展延し、且
つ緻密化することである。
【0017】この発明に使用されるフッ素樹脂として
は、特に限定されず、各種の公知のフッ素樹脂が包含さ
れ、実施例に限定されず溶融流動性を有するフッ素樹脂
をはじめ、フッ素樹脂系塗料、粉体、ディスパージョ
ン、エナメル、その他の塗料が全て適用される。また、
フッ素樹脂にガラス繊維、炭素繊維、炭素、アルミナ、
炭化珪素、炭化チタン、硫化モリブデン等を添加するこ
とも出来、また、顔料、その他のものを必要に応じて配
合することが出来る。これ等を配合することにより、フ
ッ素樹脂の高度な耐熱性、耐食性、撥水性、非粘着性等
の特性を活かしながら、硬度が低い、接着性が無い、な
どの短所を補うという効果がある。
【0018】金属管としてもステンレス鋼鋼管に限定さ
れず、鋼管、銅管、アルミニウム管、その他の金属管が
適用出来る。更に金属管の内面の化学的な粗面化処理と
して、電解エッチングをしてもよい。電解エッチング液
としては、塩化ナトリウム水溶液、塩化アンモニウム水
溶液等が例示出来る。電気量としては、10〜30クロ
ーン/cm2が適当であり、これによって表面粗さがR
max3〜10μm以上大きくなって、フッ素樹脂皮膜
の接着強度がより大きくなる。ステンレス鋼に於いて
は、この電解エッチングによって表面に不動態化皮膜を
生成して耐食性を向上させる。
【0019】
【実施例】以下実施例によってこの発明の詳細を説明す
るが、この発明がこれ等の実施例に限定されるものでは
ないことはいうまでもない。実施例で使用されるカウン
ター・ボーリング・ヘッドもこれに限定せず、金属管の
内径を切削して拡げるものであれば特に限定されない。
即ちドリルのように、円周を2以上に等分に分割して刃
を備えたカッターでも良い。研削に使用する砥粒も実施
例に限定せず、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ
素)、炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、その他目的に
応じて適用出来る。実施例の金属管はJISG3459
に限定されている配管用ステンレス鋼鋼管のSUS30
4に相当する種類で、呼び径32A、呼び厚さスケジュ
ール40S、即ち、外径×肉厚×長さ(42.7×3.
6×4000)mmのステンレス鋼継ぎ目無し鋼管とス
テンレス鋼溶接鋼管を用いた。この実施例では同一構成
要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
【実施例1】実施例について図面を参照して説明する。
図1−aはステンレス鋼継ぎ目無し鋼管1の斜視図であ
る。この内径は、35.5mmであるが、0.2〜0.
5mmの大きな縦シワ2が何本も軸方向に連続してい
る。これを図2のカウンター・ボーリング・ヘッド3の
切削刃(バイト)4で片肉で0.5mm、直径で1mm
を切削すると、図1−bに示すように、内径5が36.
5mmで縦シワ2が無い円形のステンレス鋼継ぎ目無し
鋼管1’が得られる。このときの切削条件は、切削速度
120m/min、送り速度1mm/revである。こ
れでRmax20〜35μmの凸凹(バイト目)が出来
る。ヘッド3にはバイト4が正確且つ円滑に切削が出来
るように切削の反力を受ける超硬合金ガイド6がある。
バイト4はネジ7によって微調整される。バイト4の切
削によって生成された凸凹の形状は、塗装の下地として
甚だ好ましくないばかりでなく、超硬合金ガイド6によ
ってその凸部の頂部を僅か押し潰されることでバニシン
グ効果を生じ、これが塗装下地に必要な粗面凸凹の形成
を更に阻害しているので、別途ホーニング加工をする。
樹脂ガイド8は、カウンター・ボーリング・ヘッドのボ
ーリングが安定しておこなわれるように設けられてい
る。
【0021】このステンレス鋼継ぎ目無し鋼管1’は、
切削による大きな加工硬化がなく、原管を固溶化熱処理
したままの高度な、耐食性、耐薬品性能を保持してい
る。この切削されたステンレス鋼継ぎ目無し鋼管1’の
内面5の中に、図3に示すホーニング・ヘッド9を挿入
し、回転数1200rpm、送り速度800mm/mi
nで研削する。ホーニング・ヘッド9には、#120番
のダイヤ砥粒を電着した研削部材10が装着されてい
る。ステンレス鋼鋼管1’の内面は切削、研削して、該
内面5にRmax10〜20μmの粗面凸凹11を形成
させた。
【0022】この内面5を脱脂、水洗乾燥して清浄化し
たのち、、ダイキン工業株式会社製の「ポリフロンTF
EタフコートエナメルTC−7100」(以下TC71
00と略す)を、焼成後の厚みが25μmになるように
塗布し、90℃で30分予備乾燥してから電気炉で28
0℃で30分間焼成した。この結果、ステンレス鋼継ぎ
目無し鋼管1’の内面に厚さ25μmのフッ素樹脂皮膜
をコーティング層12が生成した。
【0023】このステンレス鋼継ぎ目無し鋼管1’の内
面5の、粗面凸凹11上にコーティングされたフッ素樹
脂皮膜12は、Rmax2〜6μmの凸凹があり、又該
コーティングフッ素樹脂皮膜12には、通常多数のピン
ホールが存在する。
【0024】この実施例では、上記フッ素樹脂皮膜12
の凸凹を、図4のローラー13で圧延する。しかるとき
該フッ素樹脂皮膜12は凸部を押し潰されてRmax
0.3〜0.8μmに平滑化14されると共に、多数の
ピンホールも押し潰されて数を減少させている。
【0025】
【実施例2】実施例2は図5に示す実施例1と同じJI
S規格、同寸法の配管用ステンレス鋼溶接鋼管15であ
って、溶接で生成したビード16が軸方向に大きな縦ス
ジになっている。この内面を実施例1と同じように内径
の寸法が36.5mmになるように設定したカウンター
・ボーリング・ヘッド3で円形に切削して、ビード16
を除去する。
【0026】この内面を実施例1と同じように、図6に
示す#80番のアルミナ砥粒を接着した研磨布軸付きホ
イル17を、1500rpm回転させ、送り速度1m/
minで研削し、粗面凸凹を形成させて、清浄化処理し
たのち、焼成して厚さ25μmになるように「ポリフロ
ンTFEタフコートエナメルTC7800(ダイキン工
業株式会社製)」を、ステンレス鋼溶接鋼管15の内面
に塗布し、100℃で40分間予備乾燥してから、電気
炉で380℃で13分間焼成した。この結果ステンレス
鋼溶接鋼管15の内面に、厚さ25μmのフッ素樹脂皮
膜をコーティング層として生成させた。
【0027】このステンレス鋼鋼管15の内面の粗面上
にコーティングされたフッ素樹脂皮膜13は、通常Rm
ax3〜6μmの凸凹と多数のピンホールが存在する。
次に図4のようにローラー13でこれを圧延すると、該
フッ素樹脂皮膜12はRmax0.2〜0.7μmに平
滑化されると共に多数のピンホールが押し潰されてその
数を減少させている。
【0028】
【実施例3】この実施例は実施例1と同じステンレス鋼
継ぎ目無し鋼管1を加工した例である。この実施例はカ
ウンター・ボーリング・ヘッド3の樹脂ガイド8を、樹
脂の代わりに樹脂ガイド8と同一の形状に作成した代金
8の表面に#120番のダイヤ砥粒を電着、固定して、
研削部材としたものである。これによって、別途研削部
材を設けたホーニング・ヘッド9が無くても、1度に切
削と研削の両方ができフッ素樹脂皮膜の塗装の下地がで
きる。
【0029】カウンター・ボーリング・ヘッド3を、実
施例1の条件、即ち、切削速度120m/min、送り
速度1mm/revで切削すると、ステンレス鋼鋼管
1’の内面5は、Rmax10〜20μmの粗面凸凹が
一度に形成されている。これを苛性ソーダーで脱脂、水
洗、清浄化してから、デュポン株式会社の「テフロンF
EPワンコートエナメル420−105」を、焼成して
35μmになるように塗布し、70℃で20分間予備乾
燥してから電気炉で345℃15分間焼成した。これに
よってステンレス鋼鋼管1’の内面に厚さ35μmのフ
ッ素樹脂皮膜12を生成させた。このフッ素樹脂皮膜1
2は、Rmax3〜7μmの凸凹がある。これを図4の
ローラー13で圧延すると、前記フッ素樹脂皮膜12は
その凸部が押し潰されて、Rmax0.4〜0.8μm
に緻密化平滑化される。
【0030】
【実施例4】この実施例は実施例3のフッ素樹脂皮膜処
理をしたステンレス鋼管を、50〜70℃に加熱しなが
ら、図4のローラーで圧延するものである。尚、加熱手
段としては例えばオーブン中で加熱する手段を例示出来
る。この加熱によってフッ素樹脂皮膜12は更に効率良
く、且つ円滑に圧延され、Rmax0.3〜0.5μm
に緻密化平滑化されている。
【0031】
【実施例5】この実施例は、JISG3447ステンレ
ス鋼サニタリー管に規定されるSUS304TBS(外
径×肉厚×長さ 38.1×1.2×4000mm)を
加工する例である。この管は1010℃で固溶化熱処理
されているが、その内面がフッ素樹脂皮膜コーティング
処理をするのに適した粗面凸凹が無いことがある。例え
ば不活性ガスの下でする光輝焼鈍である。又、固溶化熱
処理をした後で酸洗をしても、奇麗に仕上がって粗面凸
凹が少ない場合、或はステンレス鋼鋼管内面の粗面凸凹
の状態が均一でないような場合、その他必要に応じてス
テンレス鋼鋼管内面を粗面凸凹化処理加工する。
【0032】この実施例のステンレス鋼サニタリー管
は、通常ダイスを通して冷間引抜き加工をしているの
で、管の内面は実質上円形に仕上がっており、前記カウ
ンター・ボーリング加工をしないで粗面化加工をする。
この粗面化加工には、図7に示す#120番アルミナ砥
粒を接着したテープ状の研磨布18を、ゴム製で繭状の
研削体19に軸方向に固定して、その両端部20、21
をワイヤー22で引っ張って、軸方向に往復させて磨
く、所謂「縦磨き」をして、その表面をRmax12〜
20μmとした。
【0033】これを脱脂水洗洗浄し乾燥してから、デュ
ポン株式会社の「テフロンFEPワンコートエナメル9
54−103」をコーティングする。「954−10
3」を厚さ30μmになるように塗布し、70〜100
℃で15分間乾燥後、260〜270℃で20分間焼成
した。このときのエンピツ硬度は、2〜3Hで、表面粗
さはRmax4〜9μmであった。これを図4のローラ
ー13で軽く展延して、Rmax0.5〜1μmとし
た。
【0034】
【実施例6】この実施例の金属管は、リン脱酸銅管でJ
IS3300−C1220T−0の規格を満足するもの
であって、寸法は38.1×2.0×4000(mm)
で、冷間引き抜き加工をしたものである。これを実施例
5と同じ図7に示す#100番アルミナ砥粒を接着した
テープ状の研磨布18を、繭状の研削体19に固定して
「縦磨き」を行い、その表面をRmax12〜20μm
に粗面化してから、「TC−7400」の被膜が焼成し
て33μmの厚さになるように塗布し、90℃で30分
間予備乾燥し、電気炉で180℃で30分間焼成した。
このときのフッ素樹脂皮膜12の表面粗さは、Rmax
3〜6μmであった。これを図4のローラー13で該フ
ッ素樹脂皮膜を展延すると、Rmax0.4〜0.8μ
mに平滑化されている。
【0035】
【実施例7】この実施例は実施例1と同じステンレス鋼
鋼管を加工した例である。この実施例ではフッ素樹脂皮
膜のコーティング処理はしない。ステンレス鋼鋼管内面
は、カウンター・ボーリングよりも切削量が少ないため
に、切削面の凸凹が小さく精密に仕上がるリーマー・ヘ
ッドで加工し、#240番の研削部材8で研削をした後
の内面は、Rmax2〜6μmであったが、これを更に
ローラー・バニシング加工すると、切削加工のときに生
じている粗面凸凹の凸部の、特に頂部がローラー・バニ
シング加工によって一部が剥がされて、微細な粉塵状の
金属粉となって分離する。
【0036】この殆どは切削水に洗浄されて流され分離
するが、一部はローラーによってステンレス鋼鋼管内面
に貼り付けられて残留することがある。このときの表面
粗さはRmax0.2〜0.5μmになっている。これ
を脱脂水洗洗浄して電解研磨をする。電解研磨液の一例
は、リン酸40〜45%、硫酸34〜37%、クロム酸
3〜4%、温度60〜80℃、電流密度40〜100A
/dm3である。
【0037】上記の条件で処理をしたところ、その表面
はRmax0.1〜0.2μmに電解研磨されていた。
電解研磨によって前記ステンレス鋼鋼管内面に残留して
しいた金属粉は、溶解除去されると同時にその表面を平
滑化、光輝化される。更に、ローラー・バニシング加工
によって、ステンレス鋼鋼管内面の最表層に生じている
加工硬化層の一部がマルテンサイト化しているのを溶解
除去できると同時に、不動態化皮膜とすることができ
る。このものはこのまま、ステンレス鋼鋼管の電解研磨
仕上げ製品とする。
【0038】
【実施例8】この実施例は実施例1と同じように、寸法
(42.7×3.6×4000mm)に冷間引き抜き加
工してから、固溶化熱処理をしたステンレス鋼鋼管を使
用した例である。この実施例ではフッ素樹脂皮膜のコー
ティング処理はしない。固溶化熱処理をしてから、フッ
酸4〜7%、硝酸10〜20%、温度60〜80℃で酸
洗い、水洗した後の内面の表面粗さは、Rmax3〜6
μmであったが、これを更にローラー・バニシング加工
すると、固溶化熱処理及び酸洗いによって生じている不
動態化皮膜の粗面凸凹が、ローラー・バニシングによっ
てRmax0.3〜0.8μmに平滑化される。
【0039】これを脱脂水洗洗浄してから電解研磨をす
る。電解研磨液の一例は、リン酸40〜45%、硫酸3
4〜37%、クロム酸3〜4%、温度60〜80℃、電
流密度40〜100A/dm3である。上記の条件で処
理をしたところ、その表面はRmax0.1〜0.4μ
mに電解研磨されていた。更にローラー・バニシング加
工によって、ステンレス鋼鋼管内面の最表層に生じてい
る加工硬化層の一部がマルテンサイト化しているのを、
溶解除去できると同時に、一層安定な不動態化皮膜とす
ることができる。このものはこのまま、ステンレス鋼鋼
管の電解研磨仕上げ作品とする。
【0040】上記ではローラー・バニシング加工をした
後、電解研磨をする例について説明したが、よりコスト
が低い通常の酸洗いをしても良い。酸洗いの条件の一例
はフッ酸5%、硝酸15%、温度60℃である。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
以下に列挙するような種々の効果が得られる。 1.ステンレス鋼鋼管で最も廉価で性能が安定している
原管が使用できる。 2.原管の多角形の内面が引き抜き加工よりも精度良く
円形に切削される。 3.切削によって原管内面の不純物、キズ、ピンホー
ル、等が殆ど除去される。 4.切削によって生成した円形の精度が良く、ローラー
圧延が円滑に行われるから、良好且つ平滑な、フッ素樹
脂皮膜のコーティングが得られる。 5.切削後の研削によってバイト目(切削刃による凸
凹)は平均化され且つ均一な粗面凸凹が形成され、好適
なフッ素樹脂皮膜が得られる。 6.砥粒を接着した#400番研磨布(ペーパー)で研
磨するよりも清潔で生産性が良い。 7.カウンター・ボーリング・ヘッドのバイト4以外の
部材、例えば樹脂ガイド8に研削部材を設けることによ
って、1工程で、通常の2加工ができる。 8.金属管の内面を直接ローラー・バニシング加工した
ものは、既にRmax0.2〜0.5μmにまで平滑化
されているので、これを電解研磨をすると短時間で処理
ができ、コストが2/3以下と大幅に低下す。 9.フッ素樹脂皮膜処理をしたステンレス鋼管を50〜
150℃に加熱しながらローラー圧延することによっ
て、フッ素樹脂皮膜が安定し、剥離の虞れが少なく且
つ、より緻密化平滑化される。
【0042】本発明は上で述べたように、表面を構成す
るフッ素樹脂皮膜は、その大きな粗面凸凹が展延されて
緻密な組織となり、ピンホール数を激減して耐食性を向
上させ同時に優れた平滑面となり、バクテリア等の滞留
がない。
【0043】展延されたフッ素樹脂皮膜の表面層には、
機械加工によって必然的に生じるような何らのキズも無
く、しかも電解研磨よりも優れた平滑さで仕上がってい
るので、高価な純フッ素樹脂と同等又はそれに近い非粘
着性が得られ、従って水切れが良く管の内部を掃除する
回数が大幅に減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1−aはステンレス鋼シームレス鋼管原管の
斜視図である。bはカウンター・ボーリングしたステン
レス鋼シームレス鋼鋼管の斜視図である。
【図2】図2はカウンター・ボーリング・ヘッドの斜視
図である。
【図3】図3はホーニング・ヘッドとダイヤ研削部材に
斜視図である。
【図4】図4は焼成したフッ素樹脂皮膜をローラーで圧
延する前後を示す説明図である。
【図5】図5はステンレス鋼溶接鋼管原管のビードを示
す斜視図である。
【図6】図6は研磨布軸付きホイールの斜視図である。
【図7】図7は繭状の研削体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1.ステンレス鋼継ぎ目無し鋼管 1’内面を円形に切削したステンレス鋼継ぎ目無し鋼管 2.縦シワ 3.カウンター・ボーリング・ヘッド 4.バイト 5.ステンレス鋼管内面 6.超硬合金ガイド 7.ネジ 8.樹脂ガイド 9.ホーニング・ヘッド 10.研削部材 11.粗面凸凹 12.フッ素樹脂皮膜 13.ローラー 14.平滑化されたフッ素樹脂皮膜 15.ステンレス鋼溶接鋼管 16.ビード 17.研磨布軸付きホイル 18.テープ状の研磨布 19.繭状の研削体 20.研削体の端部 21.研削体の端部 22.ワイヤー 23.巻取ローラー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1−a】
【図1−b】
【図2】
【図6】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 302 B05D 7/24 302L C23F 3/04 C23F 3/04 C23G 1/08 C23G 1/08 C25F 3/02 C25F 3/02 B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属管の内面を、カウンター・ボーリング
    ・ヘッドで円形に切削し、これをダイヤ、CBNなどを
    固着した研削部材、或はアルミナ、炭化珪素、その他の
    砥粒を接着した研磨布によって研削粗面化して成る塗装
    の下地に、フッ素樹脂系塗料を塗布、焼成して、コーテ
    ィング皮膜を生成させ、これをローラーによって展延
    し、平滑化せしめることを特徴とする金属管内面処理方
    法。
  2. 【請求項2】前記金属管内面を円形に切削したのち、研
    削粗面化し又はしないで、これを化学研削、又は電解エ
    ッチングによって粗面化して成る塗装の下地に、フッ素
    樹脂系塗料を塗布、焼成して、コーティング皮膜を生成
    させ、これをローラーによって展延し、平滑化せしめる
    ことを特徴とする請求項1に記載の金属管内面処理方
    法。
  3. 【請求項3】塗布焼成してコーティング皮膜を生成さ
    せ、これを50〜200℃に加熱しながらローラーによ
    って展延し、平滑化せしめることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の金属管の内面処理方法。
  4. 【請求項4】前記金属管の内面を円形に切削するカウン
    ター・ボーリング・ヘッドのガイドに、ダイヤ又はCB
    N等の砥粒を固着せしめて研削部材となし、切削と同時
    に研削させるようになしたことを特徴とする請求項1に
    記載の金属管の内面処理方法。
  5. 【請求項5】前記金属管がステンレス鋼鋼管である請求
    項1に記載の金属管の内面処理方法。
  6. 【請求項6】前記ガイドに研削部材を設けたことを特徴
    とするカウンター・ボーリング・ヘッド。
  7. 【請求項7】固溶化熱処理したステンレス鋼鋼管を、カ
    ウンター・ボーリング等で管の内面を円形に切削してか
    ら、ローラー・バニシングで平滑化し、しかる後、これ
    を電解研磨、化学研磨、又は酸洗によって仕上げること
    を特徴とする金属管の内面処理方法。
  8. 【請求項8】冷間引き抜き等の塑性加工によって内径を
    円形に仕上げられたステンレス鋼鋼管を固溶化熱処理し
    た後、ローラー・バニシングによってその内面の凸凹を
    展延押し潰して平滑化し、然るのち電解研磨、化学研
    磨、又は酸洗によって仕上げることを特徴とする金属管
    の内面処理方法。
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