JPH0985888A - 表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。 - Google Patents

表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。

Info

Publication number
JPH0985888A
JPH0985888A JP26924095A JP26924095A JPH0985888A JP H0985888 A JPH0985888 A JP H0985888A JP 26924095 A JP26924095 A JP 26924095A JP 26924095 A JP26924095 A JP 26924095A JP H0985888 A JPH0985888 A JP H0985888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluororesin
stainless steel
film
steel pipe
surface layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26924095A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Matsumoto
壽夫 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MATSUMOTO KOKAN KK
Original Assignee
MATSUMOTO KOKAN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MATSUMOTO KOKAN KK filed Critical MATSUMOTO KOKAN KK
Priority to JP26924095A priority Critical patent/JPH0985888A/ja
Publication of JPH0985888A publication Critical patent/JPH0985888A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来ステンレス鋼の固溶化熱処理→酸洗、によ
って生じる不動態(優れた耐蝕性をもたらす酸化物保護
皮膜)化した粗面凸凹を除去して平滑化しなければなら
ず大きな労力とコストが必要であった。この発明はこの
貴重な不動態化皮膜をそのまま利用し、廉価で高性能の
ステンレス鋼鋼管の表面処理を新たに開発することであ
る。 【解決手段】ステンレス鋼の固溶化熱処理及び酸洗いに
よって生じた不動態化した粗面凸凹にフッ素樹脂を複合
させるか、更に好ましくは上記ステンレス鋼鋼管に複合
したフッ素樹脂皮膜の表面の凸部をローラー等で圧延し
平滑にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬品、食品、半導体、
染色、など種々の製造プラントの配管に利用される、耐
蝕性、耐薬品性、耐摩耗性に優れたフッ素樹脂を表面層
に複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不錆鋼、即ちステンレス鋼の代表例とし
て、例えば18Cr−8Ni(即ちSUS304)につ
いて説明すれば、SUS304を1000℃以上の温度
に加熱してから急冷する固溶化熱処理によって、非磁性
の完全なオーステナイト組織となり、優れた耐蝕性と最
大の延性が得られる。
【0003】このステンレス鋼の耐蝕性は表面に0.0
5〜0.10μmの厚さで酸化物保護皮膜を形成する不
動態化に基づいている。
【0004】ステンレス鋼鋼管そのものの表面に、最大
級の耐蝕性を発揮させるには、ステンレス鋼鋼管の内面
を精密に冷間引き抜き加工後、固溶化熱処理を施し、酸
洗い後、電解研磨又は化学研磨を施し、その表面を平滑
化すると同時に該表面に不動態化皮膜を構成させてい
る。
【0005】この電解研磨された不動態化皮膜で覆われ
た凸凹の表面粗さは、通常粗面の最大高さ(Rmax)
0.3〜0.7μmである。
【0006】電解研磨又は化学研磨に於いては、ステン
レス鋼表面の粗面凸凹の微小凸部を微小凹部に比してよ
り多くを溶解除去することによって、ステンレス鋼表面
を平滑化光輝化する方法であり、表面不純物などを溶解
除去すると同時に該表面を不動態化皮膜で覆うことがで
きる。
【0007】このことは逆に比較的大きな表面粗さ、キ
ズはもとよりステンレス鋼素材表面に集中して存在する
不純物等の偏析を溶解除去することで多数の深いピンホ
ール、孔蝕を生成させるが、これを除去することが出来
ず、そのまま残留させる大きな欠点がある。
【0008】従って、平滑な表面を得るためには、電解
研磨されるステンレス鋼表面が予め前記深いピンホール
等を機械研削加工によって除去され、高精度の研磨がな
されていることが必要になるので、コストは当然極めて
高額なものとなる大きな欠点があった。
【0009】更に大きな欠点はステンレス鋼素材に集中
して存在する前記不純物の偏析が溶解して生じた腐蝕孔
は、200μmもの深く大きなピンホールを生成せしめ
ることがあり、これらを完全に研削除去することは多量
の研削を必要とするため困難で高価につくばかりでな
く、除去し得たかどうかをステンレス鋼鋼管の管内面の
全面にわたって検出することは極めて困難な作業であ
る。
【0010】即ち、従来電解研磨を施したステンレス鋼
鋼管のキズ等の検査は、管の一方の管端から検査用のラ
イトを照射し、もう一方の管端から管の中を肉眼で覗い
て検査をしている状態であるから、光輝状の表面を成し
ているステンレス鋼鋼管の中のキズやピンホールを10
0%チェックすることは不可能である。
【0011】またこのようにして選別された不良品は再
生が出来ずしたがって歩留まりが悪くなり当然高価にな
る欠点が有った。
【0012】然して、上記表面処理はステンレス鋼鋼管
そのものに実施し得る最高の耐蝕性を保有させたもので
あるから、高価過ぎるので、これを低廉にするために又
はより低い品質でもよい用途に供されるものがある。
【0013】即ち、ステンレス鋼鋼管に於いて食品工業
などに一般に用いられるもので、ステンレス鋼サニタリ
ー管として、JIS G 3447に規定される400
番の表面仕上げ(Rmax2〜3μm)されたものがあ
る。
【0014】JIS G 3447に規定されているス
テンレス鋼サニタリー管の表面仕上げについて説明する
と、『表面仕上げ管は、原則として内外面400番研磨
の仕上げとする』と規定されている。このステンレス鋼
サニタリー管の素材となる管は、熱処理、酸洗され、通
常表面にRmax8〜30μmもの粗面凸凹が生成され
ている。
【0015】ステンレス鋼鋼管の内面を、アルミナ砥粒
を固着したサンドペーパーを用いて粗研磨してから、4
00番のパフ仕上げをする迄の工程は、通常、ステンレ
ス鋼鋼管表面の粗面凸凹をする80番のサンドペーパー
で粗磨きしてから150番→240番→400番の仕上
げ迄3〜4工程が必要とされている。
【0016】このステンレス鋼鋼管の内面研磨のコスト
は、3Kの職場と称される程の環境で、粉塵公害を生じ
ると共に、研磨材ペーパーの不均一な消耗で表面の品質
が揃わず、その管理が困難であり且つ、前記ピンホール
を除去することが極めて困難なばかりでなく甚だコスト
が掛かる大きな欠点があった。
【0017】従来上記と全く異なったステンレス鋼鋼管
の内面を表面処理する他の一手段として、フッ素樹脂皮
膜のコーティング又はライニングがある。このフッ素樹
脂の性能を最大限に発揮させるためにはフッ素樹脂皮膜
にピンホールが無いことが極めて重要である。このため
フッ素樹脂のライニングをするときは、予めピンホール
の無いフッ素樹脂チューブ、又はシートを管内に挿入し
たり張り付けたりするか、或はフッ素樹脂プライマー、
液体又はエナメルを幾層にも重ね塗りをして所定の膜厚
とすることによってピンホールの無いフッ素樹脂皮膜の
表面処理としていた。
【0018】即ち、従来のステンレス鋼鋼管内面の表面
状態を表面粗さの最大高さ(Rmax)で表示すると、
ステンレス鋼鋼管の表面に以下の処理を施したものとな
る。
【0019】 1.フッ素樹脂チューブ皮膜としたもの Rmax 0.1〜 μm 2.フッ素樹脂塗布焼付皮膜としたもの Rmax 5 〜 20μm 3.機械加工で平滑化し電解研磨したもの Rmax 0.3〜0.7μm 4.機械研磨で400番仕上げしたもの Rmax 2 〜3 μm 5.機械研磨で180番仕上げしたもの Rmax 5 〜8 μm 6.不動態化皮膜のままのもの Rmax 8 〜 20μm 7.不動態化皮膜に偏析穴のあるもの Rmax20 〜200μm
【0020】機械研磨におけるサンドペーパーによる研
磨作業は、3K即ち汚い、きつい、危険の典型とも言わ
れるもので、サンドペーパーの砥粒、パフの粉等が、大
量の粉塵、ごみなどになって作業室内に飛散し、作業者
の全身に付着呼吸器に侵入して健康を害するばかりでな
く、製品から前記サンドペーパーの砥粒を完全に払拭し
ないときには、これが研磨途中の、又研磨を終えたステ
ンレス鋼鋼管の内面に付着して、柔らかいステンレス鋼
鋼管の仕上げ面に傷を付け、製品を台無しにする大きな
欠点があった。
【0021】更に、この機械研磨の最大の欠点は粗面凸
凹を除去することによって、折角ステンレス鋼鋼管の表
面に生成されている不動態化皮膜を除去してしまうこと
である。
【0022】又、電解研磨に於いては上記機械研磨の数
倍のコストが掛かる大きな欠点がある。
【0023】更に又、全く異なったステンレス鋼鋼管内
面の表面処理であるフッ素樹脂の塗装皮膜は、フッ素樹
脂ディスバージョン、エナメルの焼付け厚さに制限があ
り、しかも完全にピンホールの無い組織が得られないの
で、2〜4回の重ね塗りが必要とされる大きな欠点があ
った。
【0024】よって従来のステンレス鋼鋼管のフッ素樹
脂皮膜処理は極めて高価で、耐薬品性など特に厳しい用
途目的に限ってのみ実施されていた。従って従来低廉な
コストで優れた平滑性と耐蝕性を備えたステンレス鋼鋼
管は無かった。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、耐蝕性に効果がある不動態化皮膜を機械研
磨で除去するようなもったいないことはしないで、該不
動態化皮膜を最大に利用する事である。この不動態化皮
膜の耐蝕性を活かしながら、表面の粗面凸凹を良好に平
滑化することが、その主たる目的である。
【0026】
【課題を解決するための手段】この発明は基本的には、
ステンレス鋼鋼管表面の不動態化皮膜の粗面凸凹にフッ
素樹脂を複合させることによって達成される。又、上記
フッ素樹脂と複合させたステンレス鋼鋼管表面の凸凹部
を、ローラーで圧延することによって、該表面のフッ素
樹脂皮膜を圧縮して緻密組織化し平滑化すると共に、不
動態化皮膜とフッ素樹脂とを強力に結合せしめることに
よって達成される。
【0027】この発明は従来の如く、ステンレス鋼鋼管
の表面処理が、フッ素樹脂皮膜単独のものか、或はステ
ンレス鋼単独のものを対象としてその中で優れたものを
追求してなされたものではなく、ステンレス鋼鋼管の表
面層に、不動態化皮膜とフッ素樹脂皮膜の両者を複合さ
せることによって、両者の長所を活かした優れた平滑面
と優れた耐蝕性を有する、表面にフッ素樹脂を複合した
ステンレス鋼鋼管を廉価に提供するものである。
【0028】更に詳しくは、上記不動態化皮膜は、その
表面に粗面を有し、且つ上記で説明した通りピンホール
を有しているが、これをそのまま残存させ、一方フッ素
樹脂コーティングそのものにも既に述べた通りピンホー
ルが存在するが、このピンホールを有するに至るかもし
れないフッ素樹脂コーティングを、あえて適用すること
により、これ等両者のピンホールを著しく減少せしめよ
うとするのが、この発明の基本的な技術思想である。即
ち、ピンホールを有する皮膜であっても、これを二重に
重ねることにより、いずれかのピンホールがふさがれ
て、ピンホールの数が著しく減少することを目的の一つ
としているのである。
【0029】この発明に使用されるフッ素樹脂は実施例
に限定されず溶融流動性を有するフッ素樹脂及びフッ素
系樹脂、粉体、ペースト、ディスバージョン、エナメル
が全て適用される。又、フッ素樹脂にガラス繊維、炭素
繊維、C,Al23,SiC,TiC,MoS,顔料、
その他のものを必要に応じて配合することが出来る。
【0030】
【実施例】以下実施例によってこの発明の詳細を説明す
るが、この発明がこれ等の実施例に限定されるものでは
ないことは言うまでもない。またこの実施例では、同一
構成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】実施例のステンレス鋼鋼管は電気抵抗溶接
によって製造された18Ni−8Cr即ちSUS304
で冷間引き抜き加工によって作られた寸法が外径×肉厚
×長さ(38.1×1.2×4.000)のステンレス
鋼鋼管を、1010℃以上に加熱した後急冷して固溶化
熱処理を施し、この熱処理によって生じた黒皮(酸化皮
膜)は酸洗によって除去されたものである。
【0032】
【実施例1】ステンレス鋼鋼管1は図1に示すように表
面の不動態化皮膜2がRmax15μmの粗面凸凹を構
成している。酸洗、中和、水洗によって清浄化した管の
中に、ダイキン工業株式会社製の「ポリフロンTFEタ
フコートエナメルTC−7400」(以下TC−740
0と略す)を注入し、管1の内面を充分浸漬した後、T
C−7400イの余剰分をゴム球3でしごき取る。その
後これを90℃で約30分間予備乾燥してから電気炉で
180℃30分焼成し、続いて水冷した。 このとき図
2(b)のようにTC−7400ロはその体積を1/3
に減少させている。このときの表面粗さはRmax10
μm、鉛筆硬度(三菱ユニ)3Hであった。
【0033】図2(b)に示すステンレス鋼鋼管1の内
面を図2(c)に示すように金属ローラー4で内径を
0.2〜0.5mm拡大圧延すると、表面の凸凹の凸5
の部分が押しつぶされて挫屈倒状し、TC−7400ロ
のように中に埋没すると共に、同時にTC−7400ロ
は圧縮されて緻密な組織となって表面が平滑化され、そ
の表面粗さは、Rmax0.5μm、鉛筆硬度(三菱ユ
ニ)4Hとなった。 金属ローラー4は400rpmで
4000mmの管を5分で処理すると軸方向に0.3〜
1.4mmのピッチで螺旋状の波が構成されていた。
【0034】このときのステンレス鋼鋼管内面の表面層
は、図3のようにフッ素樹脂皮膜の下に不動態化皮膜の
凸部5とフッ素樹脂皮膜ロとが混合した複合組織となっ
ている。
【0035】
【実施例2】実施例2は、実施例1のゴム球3に超音波
振動ホーン(図示せず)又はこれに接続するシャフト6
でゴム球3を20kc/sで縦振動させながら移動し、
TC−7400イを粗面凸凹の中に確実に擦り込むもの
である。尚図2(a)以下の処理は実施例1と同じであ
る。
【0036】
【実施例3】実施例3は図4に示す。図4(a)のTC
−7100イは、ステンレス鋼鋼管1の表面積(約0.
45m2)を、約30μmの膜厚で被覆できる量(約2
20g)をステンレス鋼鋼管1の中にエアースプレー
(図示せず)で塗布し、90℃で30分予備乾燥してか
ら電気炉で280℃30分焼成し、続いて水冷した。こ
の結果TC−7100ロとして図示4(b)に示す通り
体積が1/5となって、ステンレス鋼鋼管1の表面に膜
厚約25μmで被覆されていた。
【0037】
【実施例4】実施例4は、実施例3で得られたステンレ
ス鋼鋼管内面の厚さ25μmのフッ素樹脂皮膜即ち表面
粗さRmax10、鉛筆硬度3HのTC−7100ロを
実施例1のようにローラー4で圧延した。TC−710
0ロは図4(c)に示すように、フッ素樹脂皮膜の表面
層が圧縮されて厚さ15μmRmax0.2、鉛筆硬度
4Hに緻密化され平滑化されると共に不動態化皮膜の粗
面凸凹2の中に練り込まれて、より強力な結合となっ
た。
【0038】
【実施例5】実施例5はステンレス鋼鋼管の中に、ダイ
キン工業株式会社製「ポリフロンTFEタフコートエナ
メルTCW−8100」(以下TCW−8100と略
す)を約50μmの厚さにエアスプレーで塗布し、90
℃で20分予備乾燥させてから真空電気炉で330℃で
20分焼成し、続いて水冷した。
【0039】TCW−8100ロはステンレス鋼鋼管の
内面に体積を1/4に減少して膜厚約5〜15μm,R
max8μm鉛筆硬度3Hで被覆されていた。
【0040】これを18kc/sで縦振動の超音波振動
を生じ、且つ管の中を0.2〜0.5mm拡大するよう
になした芯金4を引っ張ることによって圧延すると、図
5のようにフッ素樹脂皮膜ロの方が不動態化皮膜の凸部
5よりも大きな表面積を占める表面層となり表面粗さR
max0.4μm、鉛筆硬度4Hが得られた。
【0041】芯金4は必要に応じて図6に示すような任
意の形状と条数を設けることが出来る。
【0042】上記に於いてフッ素樹脂皮膜を複合したス
テンレス鋼鋼管をローラー等で圧延したときには、再度
焼成することが好ましい。又不動態化皮膜と複合するも
のとしては、フッ素樹脂皮膜に限定されず、シリコン樹
脂皮膜その他の樹脂を適用することが出来る。
【0043】フッ素樹脂の練り込み擦り込み及び圧延に
効果がある超音波振動は、軸方向の縦振動だけでなく、
捻じり振動などの振動でも良い。又振動の変位振幅も実
施例に限定しない。またゴム球も限定せず金属、セラミ
ック、プラスチックその他が使用できる。更にゴム球の
移動もシャフトに限定せずワイヤー、空気圧、その他が
利用出来る。又、超音波振動の振動源もゴム球の中であ
っても良い。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
以下に列挙するような種々の効果が得られる。
【0045】(1)従来ステンレス鋼鋼管及びステンレ
ス製品に於いて、熱処理、酸洗のために必然的に生じて
いるステンレス鋼表面の不動態化皮膜の粗面凸凹を除去
する必要が無い。
【0046】(2)従来前記粗面凸凹が深く粗いこと、
これに比例して該粗面凸凹を除去するためのコストが掛
かっていたが、この発明では逆に粗いほうがフッ素樹脂
の複合により投錨効果を高めて強力な結合が得られる。
【0047】(3)従ってステンレス鋼鋼管表面の不純
物や偏析などの溶解から生じる深いピンホール、擦り傷
などがあってもこれ等を容易且つ完全に被覆できる。
【0048】(4)ステンレス鋼鋼管表面の不動態化皮
膜の少なくとも一部が突出する程度にフッ素樹脂を含浸
又は擦り込み練り込んでいる場合、高価なフッ素樹脂の
使用量は些少で良く、従って高性能な表面処理が廉価で
提供できる。
【0049】(5)前記複合されたステンレス鋼鋼管の
表面層は、ローラー等で圧延されることによって、表面
を構成するフッ素樹脂皮膜はその大きな粗面凸凹が圧縮
されて緻密な組織となり、硬度が高くピンホール数を激
減して耐蝕性を向上させ同時に優れた平滑面となる。
【0050】(6)圧延されることによって粗面凸凹が
挫屈し平滑化されると共に、フッ素樹脂皮膜と不動態化
皮膜とを更に強力に結合させることができる。
【0051】(7)このローラー等の圧延によって、ス
テンレス鋼鋼管表面の粗面凸凹に硬化を生じるために表
面層が更に硬化し耐摩耗性が強化される。
【0052】(8)この複合した表面層には機械加工に
よって生じるような何らのキズも無く、しかも電気研磨
よりも優れた平滑さで仕上がっているので、フッ素樹脂
皮膜と同等又はそれに近い非粘着性が得られ、従って水
切れがよく、管の内部を掃除する回数を大幅に減少でき
る。
【0053】(9)圧延された表面層に設けた任意のピ
ッチの波状の平滑で緻密な凸凹によって凸部と凹部の摩
耗に差が生じ、このためフッ素樹脂皮膜が管の表面層の
少なくとも凹部に均一に残るため、フッ素樹脂皮膜の効
果特性が長く保持される。
【0054】(10)固溶化熱処理によって生じるステン
レス鋼鋼管のオーステナイト結晶粒の粒界腐蝕が起こり
難くなって用途が拡大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の説明図で、ステンレス鋼
鋼管の表面層の断面を拡大して示した図である。
【図2】実施例1の工程を模擬的に示すもので、各々以
下の通りである。 (a)余剰のフッ素樹脂エナメルイをゴム球でしごき取
っている様子を示す説明図である。 (b)フッ素樹脂皮膜ロを焼成した説明図である。 (c)実施例1の工程に続いてローラーで圧延する前後
を示す説明図である。
【図3】実施例1の表面図である。
【図4】実施例3の説明図で、その各々は以下の通りで
ある。(a)はフッ素樹脂イを塗装した状態。(b)は
フッ素樹脂ロを焼成した状態。(c)はフッ素樹脂ロを
圧延した状態を示す縦断面図。
【図5】実施例5の表面図である。
【図6】実施例5の芯金4の断面図。
【符号の説明】
1.ステンレス鋼鋼管の表面層 2.不動態化皮膜の粗面凸凹 3.ゴム球 4.金属ローラー又は芯金 5.不動態化皮膜の粗面凸凹の凸部 6.シャフト イ.フッ素樹脂エナメル ロ.焼成したフッ素樹脂エナメル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固溶化熱処理されたステンレス鋼表面の酸
    洗いにより生じる粗面凸凹の不動態化皮膜上に、フッ素
    樹脂皮膜を形成したことを特徴とする表面にフッ素樹脂
    を複合したステンレス鋼鋼管。
  2. 【請求項2】前記不動態化皮膜の少なくとも一部がピン
    ホール等の欠陥を有し、且つ少なくとも皮膜の一部にピ
    ンホールを有するフッ素樹脂皮膜とを複合せしめた表面
    層を構成する請求項1に記載の表面層にフッ素樹脂を複
    合したステンレス鋼鋼管。
  3. 【請求項3】前記複合したフッ素樹脂皮膜がローラー等
    で平滑化された請求項1又は2に記載の表面層にフッ素
    樹脂を複合したステンレス鋼鋼管。
  4. 【請求項4】前記ローラーで圧延されたフッ素樹脂皮膜
    が該ローラーの圧延のピッチの通りの螺旋状の凸凹を形
    成したロール波を平滑化されたフッ素樹脂皮膜上に形成
    せしめた請求項3に記載の表面層にフッ素樹脂を複合し
    たステンレス鋼鋼管。
  5. 【請求項5】前記複合したフッ素樹脂皮膜が芯金によっ
    て圧延され平滑化されると共に、軸方向に適当な波を設
    けた請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表面層にフ
    ッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管。
  6. 【請求項6】前記複合したフッ素樹脂を複合したステン
    レス鋼鋼管を170〜400℃の真空炉で焼成する、請
    求項1〜3のいずれかに記載の表面層にフッ素樹脂を複
    合したステンレス鋼鋼管の製造方法。
  7. 【請求項7】前記複合したフッ素樹脂皮膜をローラー等
    で圧縮平滑化した後再度焼成する請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載の表面にフッ素樹脂を複合したステンレ
    ス鋼鋼管の製造方法。
  8. 【請求項8】前記表面層にフッ素樹脂を複合させてか
    ら、この表面を超音波振動をする工具で該フッ素樹脂皮
    膜を圧延する請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹
    脂を複合したステンレス鋼鋼管の製造方法。
JP26924095A 1995-09-22 1995-09-22 表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。 Pending JPH0985888A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26924095A JPH0985888A (ja) 1995-09-22 1995-09-22 表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26924095A JPH0985888A (ja) 1995-09-22 1995-09-22 表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0985888A true JPH0985888A (ja) 1997-03-31

Family

ID=17469613

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26924095A Pending JPH0985888A (ja) 1995-09-22 1995-09-22 表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0985888A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008132442A (ja) * 2006-11-29 2008-06-12 Toyobo Co Ltd 皮膜つきノズルを有する逆浸透膜モジュール
JP2009011888A (ja) * 2007-07-02 2009-01-22 Toyobo Co Ltd 皮膜つきノズルを有する逆浸透膜モジュール
JP2010042480A (ja) * 2008-08-14 2010-02-25 Daido Steel Co Ltd 圧延棒材の表面研磨方法
JP2010262705A (ja) * 2009-05-08 2010-11-18 Nhk Spring Co Ltd ディスク装置用サスペンションのベースプレートと、ベースプレートの製造方法
JP5860991B1 (ja) * 2015-07-21 2016-02-16 新家工業株式会社 ステンレス鋼含有部材の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008132442A (ja) * 2006-11-29 2008-06-12 Toyobo Co Ltd 皮膜つきノズルを有する逆浸透膜モジュール
JP2009011888A (ja) * 2007-07-02 2009-01-22 Toyobo Co Ltd 皮膜つきノズルを有する逆浸透膜モジュール
JP2010042480A (ja) * 2008-08-14 2010-02-25 Daido Steel Co Ltd 圧延棒材の表面研磨方法
JP2010262705A (ja) * 2009-05-08 2010-11-18 Nhk Spring Co Ltd ディスク装置用サスペンションのベースプレートと、ベースプレートの製造方法
US8537498B2 (en) 2009-05-08 2013-09-17 Nhk Spring Co., Ltd. Baseplate for disk drive suspension and method for manufacturing baseplate
JP5860991B1 (ja) * 2015-07-21 2016-02-16 新家工業株式会社 ステンレス鋼含有部材の製造方法
CN105908250A (zh) * 2015-07-21 2016-08-31 新家工业株式会社 含不锈钢构件的制造方法
US10030316B2 (en) 2015-07-21 2018-07-24 Araya Industrial Co., Ltd. Production method for stainless steel containing member

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008535672A (ja) 高密度カーバイドの超仕上げ
US20210252663A1 (en) Abrasive processing of inner surface of seamlessly drawn tubes including medical device tubes
CN106567057B (zh) 一种采用氟化物-磷酸盐转化作为钛合金化学镀镍前处理的方法
CN111139465A (zh) 一种激光制造复合钢管的制造方法
JPH0985888A (ja) 表面層にフッ素樹脂を複合したステンレス鋼鋼管とその製造方法。
JP5526455B2 (ja) 芯体
Maller Passivation of stainless steel
JP2007063654A (ja) 低摩擦性、耐摩耗性を向上させた金属板およびその製造方法
JPS60181282A (ja) アルミニウム合金の表面処理法
JP5772945B2 (ja) 芯体、芯体の再生方法及び樹脂無端ベルトの製造方法
Davis Surface engineering of stainless steels
CN211449917U (zh) 一种强防腐的不锈钢管
JPH0819961A (ja) バニシング方法
US3805459A (en) Method of reducing notch sensitivity in tubular products
CN104342697B (zh) 免抛光的薄膜型磷化方法及其应用
Tuthill Stainless steel: surface cleanliness
JPH10427A (ja) 金属管内面処理方法
JP3370015B2 (ja) 金属加工品の仕上げ処理方法
JP7133427B2 (ja) ステンレス鋼管の製造方法
RU2526342C1 (ru) Способ нанесения покрытия
JP2003039309A (ja) ステンレス鋼研磨用固形研磨剤
JPH07132457A (ja) バニシング方法
Lee et al. Effects of Surface Treatment on Repair Methods for Trumpet Piston Valves
JP2005023338A (ja) 鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法
JP6938342B2 (ja) ステンレス鋼板の製造方法