JPH09300534A - 防水シート積層体およびそれを用いた防水工法 - Google Patents

防水シート積層体およびそれを用いた防水工法

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JPH09300534A
JPH09300534A JP11764696A JP11764696A JPH09300534A JP H09300534 A JPH09300534 A JP H09300534A JP 11764696 A JP11764696 A JP 11764696A JP 11764696 A JP11764696 A JP 11764696A JP H09300534 A JPH09300534 A JP H09300534A
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JP
Japan
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waterproof sheet
adhesive
sheet laminate
waterproof
carboxyl group
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JP11764696A
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English (en)
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Nozomi Sasaki
望 佐々木
Katsuya Yamaguchi
勝也 山口
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水シートおよび下地の双方に有機溶剤系接
着剤を塗布する必要がなく、有機溶剤系接着剤の使用量
を低減させることができ、しかも基材に強固に接着させ
ることができ、とくに耐水性にすぐれた防水シート積層
体およびそれを用いた防水工法を提供すること。 【解決手段】 樹脂シートの片面に、カルボキシル基含
有ポリクロロプレンラテックスを含有した下塗剤を塗布
し、乾燥させて形成された下塗層を有する防水シート積
層体、およびセメント質の下地に接着剤を塗布し、前記
防水シート積層体の下塗層面と該接着剤の付着面とを貼
り合わせることを特徴とする防水シート積層体を用いた
防水工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防水シート積層体
およびそれを用いた防水工法に関する。さらに詳しく
は、セメント質の下地などに防水工事を施す際に好適に
使用しうる防水シート積層体およびそれを用いた防水工
法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート建造物などのセメント質の
下地の防水工法には、アスファルト防水工法、モルタル
防水工法、シート防水工法、塗膜防水工法などがある
が、これらのなかではシート防水工法は、その施工が簡
便であることから、近年いちじるしく普及している工法
である。
【0003】前記シート防水工法においては、防水シー
トをセメント質の下地に接合させる際には、接着剤や金
具などが用いられているが、防水性能にすぐれる点から
接着剤が多用されている。
【0004】従来、前記接着剤として、主に溶剤系ポリ
クロロプレン接着剤が用いられており、通常、該溶剤系
ポリクロロプレン接着剤は、施工現場で防水シートとセ
メント質の下地との双方に直接塗布することにより、使
用に供されている。
【0005】しかしながら、前記溶剤系ポリクロロプレ
ン接着剤には、有機溶剤が用いられているため、施工時
に有機溶剤が揮散し、人体に対する安全衛生面、環境保
護面で好ましくない。したがって、防水シートを下地に
付着させる際には、できるかぎり有機溶剤の使用量を低
減させることが望ましい。
【0006】そこで、シート防水工法において、施工現
場で溶剤系接着剤を大量に用いることを避けるための手
段として、たとえば防水シートにあらかじめ接着剤を塗
布、乾燥させておき、施工現場では、下地のみに接着剤
を塗布する方法が提案されている(特開平7−9784
0号公報)。
【0007】しかしながら、前記方法を採用したばあい
には、防水シートに接着剤を塗布する際に工場の屋内で
大量の有機溶剤が揮散するため、火災や作業員の中毒を
防止することが重要となる。したがって、溶剤回収や防
爆などの付帯設備にコストがかかるようになるという欠
点がある。
【0008】さらに、有機溶剤を用いない接着剤とし
て、ゴムラテックスに水硬性無機質粉体および粘着賦与
樹脂が配合された水系の防水シート用接着剤が提案され
ている(特開昭57−200468号公報)。
【0009】しかしながら、前記水系の防水シート用接
着剤を用いたばあいには、防水シートと下地とを強固に
接着させることができず、剥離が発生しやすいという接
着力の面で欠点がある。
【0010】また、特開平7−166659号公報に
は、防水シート用の水系接着剤として、安全性の高いア
クリル系エマルジョンやゴム系ラテックスを主成分とす
る水分散型接着剤を用いることが開示されている。
【0011】通常、防水シートは、屋外で長時間にわた
って用いられるものであることから、防水シートに形成
される接着剤層に対しても、これに応じた、たとえば耐
熱性、耐水性、耐候性、耐菌性、耐クリープ性などの総
合的な性能が要求される。しかしながら、前記水分散型
接着剤は、かかる総合的な性能が充分でなく、とくに形
成された接着剤層の下地に対する耐水接着力が小さいと
いう欠点がある。
【0012】ところで、防水シート用の水系接着剤に通
常用いられるラテックスのなかでは、前記水分散型接着
剤に用いられているポリクロロプレンラテックスが、え
られる水系接着剤が防水シートおよび下地用の接着剤と
の接着性にすぐれるという点で、好ましい。前記ポリク
ロロプレンラテックスには、ゲル分の有無、結晶性、加
硫性などの違いにより、種々のグレードがあるが、これ
らのなかでも皮膜強度および接着強度にすぐれているの
は、一般に、高いpHを有するラテックスである。
【0013】しかしながら、前記高いpHを有するラテ
ックスを乾燥させてえられた皮膜中には、きわめて水和
しやすい1価の金属イオンが多量に存在しており、この
ことが、かかるラテックスを含有する水分散型接着剤か
ら形成された接着剤層の下地に対する耐水接着力を低下
させる原因となっている。
【0014】また、水系接着剤中のポリクロロプレンへ
の架橋構造の導入は、形成された接着剤層の下地に対す
る耐水接着力を向上させる効果的な手段である。しかし
ながら、ポリクロロプレンに対する代表的な架橋剤であ
る亜鉛華は、とくに前記高いpHを示すポリクロロプレ
ンラテックス中に取込まれにくいことから、架橋構造が
充分に形成されず、かかる亜鉛華を用いたことによる耐
水接着力の向上効果が充分に発現されない。
【0015】このように、従来、防水シート用の接着剤
として、溶剤系ポリクロロプレン接着剤のかわりに、水
分散型接着剤などの水系接着剤を用いることが提案され
ているものの、通常防水シートに要求されるすぐれた性
能、とくに下地に対するすぐれた耐水接着力を示す接着
剤層を形成しうる接着剤が見出されていないのが現状で
ある。
【0016】したがって、このようにすぐれた耐水接着
力を示す接着剤層が設けられ、すぐれた耐水性を呈する
防水シート積層体およびそれを用いた防水工法の開発が
待ち望まれている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、従来の有機溶剤系接着
剤を用いたばあいのように、防水シートおよび下地の双
方に有機溶剤系接着剤を塗布する必要がなく、有機溶剤
の使用量を低減させることができ、また従来の防水シー
トを防水シート用の水系接着剤を用いて接着させたばあ
いよりも下地に強固に接着させることができ、しかもと
くに耐水性にすぐれた防水シート積層体およびそれを用
いた防水工法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂シート
の片面に、カルボキシル基含有ポリクロロプレンラテッ
クスを含有した下塗剤を塗布し、乾燥させて形成された
下塗層を有する防水シート積層体、およびセメント質
の下地に接着剤を塗布し、前記防水シート積層体の下塗
層面と該接着剤の付着面とを貼り合わせることを特徴と
する防水シート積層体を用いた防水工法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の防水シート積層体は、前
記したように、樹脂シートの片面に、カルボキシル基含
有ポリクロロプレンラテックスを含有した下塗剤を塗布
し、乾燥させて形成された下塗層を有する積層体であ
る。
【0020】本発明の防水シート積層体には、特定の組
成からなる下塗層が設けられているので、樹脂シートを
直接、たとえばセメント質下地などの下地に防水シート
用の水系接着剤を用いて接着させたときのように、樹脂
シートが下地から容易に剥離するという問題が解決され
る。さらに、前記下塗層は、樹脂シートとの接着性にす
ぐれるのみならず、下地に対する耐水接着力がきわめて
大きいものであるので、本発明の防水シート積層体は、
耐水性にすぐれ、屋内ばかりでなく、屋外においても幅
広く好適に使用しうるものである。
【0021】本発明に用いられる樹脂シートとしては、
たとえばエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、
ブチルゴム、これらの混合物などからなる未加硫シート
や加硫シート、ポリクロロプレンシート、クロロスルホ
ン化ポリエチレンシート、エチレン−酢酸ビニル樹脂シ
ート、塩化ビニル樹脂シートをはじめ、これらのシート
に他のシートを積層加工したシート、前記シートを構成
する樹脂成分からなる基布にアスファルトを含浸させた
アスファルト含浸シートなどがあげられる。これらのな
かでは、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーを
主成分としたシート、ブチルゴムを主成分としたシー
ト、それらのなかでもとくにエチレン−プロピレン−ジ
エンターポリマーを主成分としたシートは、耐久性、引
張強度などの機械的強度にすぐれているので好ましい。
なお、ここで主成分とは、樹脂およびゴム成分中におけ
るその成分の含有量が50重量%以上であるものをい
う。
【0022】前記樹脂シートの厚さは、とくに限定がな
く、目的、用途などに応じて適宜選定すればよい。な
お、前記樹脂シートの厚さがあまりにも大きいばあいに
は、取扱いが不便となるおそれがあるので、防水シート
としての用途を考慮すると、3mm以下、好ましくは2
mm以下であることが望ましい。また、前記樹脂シート
の厚さがあまりにも小さいばあいには、取扱い時や使用
時などに破損するおそれがあるので、0.5mm以上、
好ましくは1mm以上であることが望ましい。
【0023】本発明に用いられる下塗剤は、カルボキシ
ル基含有ポリクロロプレンラテックスを含有したもので
ある。
【0024】本発明に用いられる下塗剤には、前記した
ように、カルボキシル基含有ポリクロロプレンラテック
スが含有されているので、本発明の防水シート積層体
は、下地に対する接着強度が高く、約−30〜90℃の
使用温度範囲で下地との熱膨張率の差を容認させる粘弾
性を有するが、流動性を有さず、また施工性(貼りなお
し、貼付の微調整など)に要求される下地との初期タッ
クが必要以上に大きくないなどという、いくつものすぐ
れた性質を有する。
【0025】また、前記カルボキシル基含有ポリクロロ
プレンラテックスは、酸性ないし中性のpHを有し、耐
水接着力の低下の原因となる1価の金属イオンをほとん
ど含有していない。このことから、かかるカルボキシル
基含有ポリクロロプレンラテックスから形成された皮膜
は、一般のポリクロロプレンラテックスから形成された
皮膜と比べて耐水性にすぐれ、含水時の強度低下が少な
い。したがって、かかるカルボキシル基含有ポリクロロ
プレンラテックスを含有した下塗剤から形成された下塗
層は、とくに下地に対する耐水接着力がきわめて大き
い。
【0026】さらに、前記カルボキシル基含有ポリクロ
ロプレンラテックスは、たとえば後述する亜鉛華などに
よって架橋反応を起こし、またそのカルボキシル基も、
架橋反応に寄与する。すなわち、かかるカルボキシル基
は、たとえばコンクリート、モルタル、セメントなどの
セメント質の下地中に大量に存在するカルシウムイオ
ン、マグネシウムイオンなどの2価の金属イオンと金属
架橋構造を形成しうる。さらに、かかるカルボキシル基
は、後述するように、たとえばポリアミン化合物などと
も架橋構造を形成しうる。したがって、前記カルボキシ
ル基含有ポリクロロプレンラテックスを含有した下塗剤
から形成された下塗層は、とくに下地に対する耐水接着
力がきわめて大きい。
【0027】なお、前記カルボキシル基含有ポリクロロ
プレンラテックスが有するカルボキシル基の量にはとく
に限定がない。
【0028】前記カルボキシル基含有ポリクロロプレン
ラテックスの代表例としては、たとえばネオプレンラテ
ックス115(商品名、昭和電工・デュポン(株)
製)、デンカクロロプレンラテックスLC501(商品
名、昭和電工・デュポン(株)製)、TX−5230
(商品名、東ソー(株)製)、TX−5240(商品
名、東ソー(株)製)、TX−5250(商品名、東ソ
ー(株)製)などがあげられ、これらは単独でまたは2
種以上を混合して用いることができる。
【0029】下塗剤中のカルボキシル基含有ポリクロロ
プレンラテックスの含有量は、かかる下塗剤から形成さ
れた下塗層におけるカルボキシル基含有ポリクロロプレ
ンラテックスの固形分の含有率を考慮して適宜調整すれ
ばよい。すなわち、形成された下塗層の接着力が劣るよ
うになるおそれをなくすためには、かかる固形分の含有
率が35重量%以上、好ましくは40重量%以上となる
ように調整することが望ましく、また分散安定性を考慮
すると、かかる固形分の含有率が70重量%以下、好ま
しくは60重量%以下となるように調整することが望ま
しい。
【0030】本発明において、下塗剤は、前記カルボキ
シル基含有ポリクロロプレンラテックスを含有したもの
であるが、このほかにも、粘着性付与剤を含有している
ことが好ましい。該粘着性付与剤を含有した下塗剤を樹
脂シート上に塗布し、乾燥させることによって形成され
た下塗層は、該樹脂シートと強固に接着するのみなら
ず、下地とも強固に接着し、しかもより大きな耐水接着
力を呈する。
【0031】前記粘着性付与剤の代表例としては、たと
えばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの
ロジン;水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジンな
どのロジン誘導体;テルペン系樹脂などの芳香族系石油
樹脂;テルペン−フェノール系樹脂、クマロン樹脂、脂
肪族系炭化水素樹脂などがあげられる。これらのなかで
は、とりわけロジン、ロジン誘導体および芳香族系石油
樹脂は、カルボキシル基含有ポリクロロプレンラテック
スとの親和性にすぐれているので、本発明において好適
に使用しうるものである。このように、ロジン、ロジン
誘導体および芳香族系石油樹脂がカルボキシル基含有ポ
リクロロプレンラテックスとの親和性にすぐれている理
由は、定かではないが、おそらくロジン、ロジン誘導体
および芳香族系石油樹脂は、いずれもカルボキシル基含
有ポリクロロプレンラテックス中に均一に分散しやすい
特性を有することに起因しているものと考えられる。
【0032】また、前記粘着性付与剤としては、形成さ
れた下塗層がさらに大きな耐水接着力を呈するという点
から、その軟化点が110℃以上、好ましくは125℃
以上であるものがとくに望ましい。
【0033】前記粘着性付与剤をカルボキシル基含有ポ
リクロロプレンラテックスに配合する際の該粘着性付与
剤の形態にはとくに限定がない。その形態としては、た
とえばエマルジョンなどのディスパージョンなどがあげ
られる。
【0034】下塗剤中の粘着性付与剤の含有量は、かか
る粘着性付与剤の種類などによって異なり、一概には決
定することができない。かかる粘着性付与剤を用いたこ
とによるラテックス同士の凝集の促進効果が小さくな
り、形成された下塗層の接着性が低下しないようにする
ためには、かかる粘着性付与剤の含有量は、カルボキシ
ル基含有ポリクロロプレンラテックスの固形分100部
(重量部、以下同様)に対して5部以上、好ましくは1
0部以上であることが望ましく、また下塗剤を塗布し、
乾燥させて形成された下塗層の接着性、耐水性などの物
性に悪影響を与えないようにするためには、カルボキシ
ル基含有ポリクロロプレンラテックスの固形分100部
に対して100部以下、好ましくは70部以下であるこ
とが望ましい。
【0035】また、本発明においては、カルボキシル基
含有ポリクロロプレンラテックスに架橋構造を形成さ
せ、下塗剤から形成された下塗層の下地に対する耐水接
着力をさらに増大させ、防水シート積層体の耐水性をよ
り向上させるために、下塗剤がカルボキシル基含有ポリ
クロロプレンラテックスの架橋剤として作用する亜鉛華
を含有していることが好ましい。
【0036】下塗剤中の亜鉛華の含有量は、かかる亜鉛
華を用いたことによる耐水性の向上効果が充分に発現さ
れるようにするためには、カルボキシル基含有ポリクロ
ロプレンラテックスの固形分100部に対して0.5部
以上、好ましくは1部以上であることが望ましく、また
下塗剤の乾燥過程で過剰の亜鉛華が分離、析出し、これ
に伴って下塗層の皮膜物性や接着性が低下することを防
ぐためには、カルボキシル基含有ポリクロロプレンラテ
ックスの固形分100部に対して10部以下、好ましく
は5部以下であることが望ましい。
【0037】また、本発明においては、カルボキシル基
含有ポリクロロプレンラテックス中のカルボキシル基を
架橋反応に供せしめ、かかるカルボキシル基含有ポリク
ロロプレンラテックスに架橋構造を形成させ、下塗剤か
ら形成された下塗層の下地に対する耐水接着力をさらに
増大させ、防水シート積層体の耐水性をより向上させる
ために、下塗剤がポリアミン化合物を含有していること
が好ましい。
【0038】前記ポリアミン化合物としては、たとえば
ヒドラジン、エチレンジアミンなどの1分子中にアミノ
基を2個以上含有する化合物およびその誘導体などがあ
げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用い
ることができる。
【0039】下塗剤中のポリアミン化合物の含有量は、
かかるポリアミン化合物を用いたことによる耐水性の向
上効果が充分に発現されるようにするためには、カルボ
キシル基含有ポリクロロプレンラテックスの固形分10
0部に対して0.1部以上、好ましくは0.5部以上で
あることが望ましく、またラテックス液中のゴム粒子の
分散性の不安定化を防ぐためには、カルボキシル基含有
ポリクロロプレンラテックスの固形分100部に対して
10部以下、好ましくは5部以下であることが望まし
い。
【0040】さらに、本発明に用いられる下塗剤には、
所望のコーティング特性や接着に関する特性などを付与
するために、一般にラテックスに用いられている配合剤
を含有させることができる。
【0041】前記配合剤の代表例としては、たとえばポ
リビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、
変性シリコーン油、シリコーン−グリコール共重合体な
どの変性シリコーン、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウムなどのアンモニウム塩などの感熱化剤;イオウなど
の加硫剤;加硫促進剤;老化防止剤;軟化剤;カーボン
ブラックなどの着色剤;充填剤;分散剤;乳化剤;安定
化剤;増粘剤;イソシアネート化合物などの架橋剤など
があげられるが、本発明はかかる例示のみに限定される
ものではない。
【0042】なお、これらの配合剤のなかで水に溶解し
ないものについては、たとえばボールミル、ホモジナイ
ザーなどを用いて粉砕し、水分散体としたり、界面活性
剤を用いて分散させたのちに用いることができる。
【0043】下塗剤中の配合剤の含有量は、かかる配合
剤の種類によって異なり、一概には決定することができ
ない。かかる配合剤の含有量は、本発明の目的が阻害さ
れない範囲内で適宜調整することが好ましい。
【0044】前記下塗剤を樹脂シートに塗布する方法と
しては、一般に行なわれている、たとえばカーテンフロ
ーコーター法、バーコーター法、ロールコーター法など
があげられるが、本発明はかかる例示のみに限定される
ものではない。
【0045】前記下塗剤を樹脂シートに塗布したのち、
乾燥させることにより、下塗層が形成される。このばあ
い、形成される下塗層の厚さがあまりにも小さいばあい
には、接着性が劣るようになる傾向があり、またあまり
にも大きいばあいには、接着性が劣るとともに、均一な
下塗層を形成させることが困難となる傾向がある。した
がって、前記下塗層の厚さが通常、10〜50μm、好
ましくは20〜30μm程度となるように下塗剤の塗布
量を調整することが望ましい。なお、ここで乾燥させる
とは、形成された下塗層から水分をおよそ93%以上除
去することをいう。
【0046】樹脂シートの片面に塗布された下塗剤を乾
燥させる際には、その加熱温度は、通常、カルボキシル
基含有ポリクロロプレンラテックス粒子がゲル化する温
度であればよいが、あまりにも加熱温度が高いばあいに
は、下塗剤が熱によって変性し、接着力が劣るようにな
る傾向があるので、通常50〜200℃程度であること
が好ましい。
【0047】かくしてえられる本発明の防水シート積層
体は、たとえばセメント質の下地などの下地に強固に接
着させることができ、しかも下塗層が耐熱性および耐水
性にすぐれたものであり、とくに耐水性にきわめてすぐ
れたものであるので、屋内外の建造物などに好適に使用
しうるものである。
【0048】本発明の防水工法は、セメント質の下地に
接着剤を塗布し、前記防水シート積層体の下塗層面と該
接着剤の付着面とを貼り合わせることを特徴とする。
【0049】本発明の防水シート積層体を用いた防水工
法に用いられるセメント質の下地の代表例としては、た
とえばセメント、モルタル、コンクリートをはじめ、ス
レートなどの種々の素材からなる下地などをあげること
ができる。前記セメント質の下地が適用されたものの代
表例としては、たとえば建造物などがあげられる。
【0050】本発明の防水工法において、前記防水シー
ト積層体とセメント質の下地との貼り合わせは、通常、
施工現場にて行なうことができる。
【0051】前記防水シート積層体とセメント質の下地
との貼り合わせは、かかるセメント質の下地に接着剤を
塗布し、該接着剤の付着面と防水シート積層体の下塗層
面とを貼り合わせて行なわれるが、防水シート積層体と
セメント質の下地との接着がより強力になされるように
するためには、前記接着剤に含まれた有機溶剤を揮散除
去させ、該接着剤にタックが生じているあいだに防水シ
ート積層体の下塗層面を貼着することが好ましい。
【0052】前記接着剤としては、たとえばB−75、
バンプライ80-N(以上、バンドー工材(株)製、商品
名)などのクロロプレンゴム接着剤などを好適に用いる
ことができる。かかる接着剤の塗布量は、下地の種類に
よって異なり、一概には決定することができないが、通
常300〜500g/m2程度であることが好ましい。
【0053】このように、本発明の防水シート積層体を
用いた防水工法では、下地にのみ接着剤を用いるだけで
よく、防水シート積層体には接着剤を用いなくてもよい
から、実質的に接着剤の使用による有機溶剤量を半減さ
せることができる。したがって、現場施工時における乾
燥速度が従来とほぼ同じでありながら、人体に対する影
響、環境上の問題を大幅に改善させることができる。
【0054】
【実施例】つぎに、本発明の防水シート積層体およびそ
れを用いた防水工法を実施例に基づいてさらに詳細に説
明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0055】実施例1 樹脂シートとして、エチレン−プロピレン−ジエンター
ポリマーからなる加硫ゴム防水シート(バンドー化学
(株)製、バンドーシート、幅40mm×長さ200m
m×厚さ1.2mm)を用いた。
【0056】カルボキシル基含有ポリクロロプレンラテ
ックス(東ソー(株)製、TX−5230)の固形分1
00部に対して、粘着性付与剤として安定化ロジンエス
テルディスパージョン(荒川化学工業(株)製、スーパ
ーエステル E730−55、固形分量:50重量%、
軟化点:125℃)30部を混合して下塗剤を調製し
た。
【0057】前記加硫ゴム防水シートの片面に、えられ
た下塗剤をロールコーターを用いて乾燥後の下塗層の厚
さが20μmとなるように調整して塗布し、80℃に加
熱して乾燥させて防水シート積層体をえた。
【0058】つぎに、スレート板(幅40mm×長さ2
00mm×厚さ1.2mm)の片面にクロロプレンゴム
接着剤(バンドー工材(株)製、バンプライ80-N、樹
脂固形分量:25重量%、主有機溶剤:トルエン)を坪
量300g/m2の割合で塗布し、約30分間そのまま
放置したのち、該接着剤の付着面と、前記防水シート積
層体の下塗層面とを重ね合わせ、押さえローラーで押さ
えたのち、幅が25mmとなるように切断して試験片を
えた。
【0059】えられた試験片を用い、(イ)常態接着
力、(ロ)初期接着力、(ハ)耐水接着力および(ニ)
耐熱接着力を以下の方法にしたがって調べた。その結果
を表1に示す。
【0060】(イ)常態接着力 えられた試験片を1週間養生させたのち、防水シート積
層体の剥離角度180°、剥離速度200mm/分、測
定温度25℃の条件下で剥離した際の力(N/25mm
幅)をオートグラフを用いて測定した。
【0061】(ロ)初期接着力 えられた試験片を1時間養生させたのち、前記(イ)と
同様にして測定した。
【0062】(ハ)耐水接着力 えられた試験片を80℃の水酸化カルシウム飽和水溶液
中に2週間浸漬したのち、湿潤状態で前記(イ)と同様
にして測定した。
【0063】(ニ)耐熱接着力 えられた試験片を80℃のオーブン中に2週間放置した
のち、室温まで冷却し、ついで前記(イ)と同様にして
測定した。
【0064】実施例2および3 実施例1において、カルボキシル基含有ポリクロロプレ
ンラテックスの固形分100部に対して、さらに亜鉛華
5部(実施例2)またはヒドラジン誘導体3部(実施例
3)を混合して下塗剤を調製したほかは、実施例1と同
様にして防水シート積層体を作製し、さらに試験片を作
製した。
【0065】えられた試験片を用い、実施例1と同様に
して(イ)〜(ニ)の接着力を調べた。その結果を表1
に示す。
【0066】比較例1 実施例1において、カルボキシル基含有ポリクロロプレ
ンラテックスのかわりにポリクロロプレンラテックス
(昭和電工・デュポン(株)製、ネオプレンラテックス
400、固形分量:58重量%)を用いたほかは、実施
例1と同様にして防水シート積層体を作製し、さらに試
験片を作製した。
【0067】えられた試験片を用い、実施例1と同様に
して(イ)〜(ニ)の接着力を調べた。その結果を表1
に示す。
【0068】比較例2 実施例2において、カルボキシル基含有ポリクロロプレ
ンラテックスのかわりにポリクロロプレンラテックス
(昭和電工・デュポン(株)製、ネオプレンラテックス
400、固形分量:58重量%)を用いたほかは、実施
例2と同様にして防水シート積層体を作製し、さらに試
験片を作製した。
【0069】えられた試験片を用い、実施例1と同様に
して(イ)〜(ニ)の接着力を調べた。その結果を表1
に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1に示された結果から、カルボキシル基
含有ポリクロロプレンラテックスを用いてえられた実施
例1〜3の試験片は、かかるカルボキシル基含有ポリク
ロロプレンラテックスが用いられていない比較例1およ
び2の試験片と比較して、いずれの接着力も大きく、と
くに常態接着力、耐水接着力および耐熱接着力が大き
く、なかでも耐水接着力がきわめて大きいことがわか
る。
【0072】また、実施例1の結果と、実施例2および
3の結果とを比較して、カルボキシル基含有ポリクロロ
プレンラテックスの架橋剤として作用する亜鉛華または
ヒドラジンを用いてえられた実施例2および3の試験片
は、これらが用いられていない実施例1の試験片より
も、さらに大きな常態接着力、耐水接着力および耐熱接
着力を呈することがわかる。
【0073】実施例4〜6 実施例1において、粘着性付与剤として、スーパーエス
テル E730−55のかわりに芳香族系石油樹脂エマ
ルジョン(日本石油化学(株)製、ネオポリマー120
エマルジョン、固形分量:50重量%、軟化点:120
℃)(実施例4)、安定化ロジンエステルディスパージ
ョン(荒川化学工業(株)製、スーパーエステル E7
20、固形分量:50重量%、軟化点:100℃)(実
施例5)または芳香族系石油樹脂エマルジョン(日本石
油化学(株)製、ネオポリマー100エマルジョン、固
形分量:50重量%、軟化点:100℃)(実施例6)
を用いたほかは、実施例1と同様にして防水シート積層
体を作製し、さらに試験片を作製した。
【0074】えられた試験片を用い、実施例1と同様に
して(イ)〜(ニ)の接着力を調べた。その結果を表2
に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2に示された結果から、実施例4と、実
施例5および6とを比較して、粘着性付与剤として軟化
点が120℃のものを用いてえられた実施例2の試験片
は、軟化点が100℃の粘着性付与剤を用いてえられた
試験片よりも、より大きな常態接着力、耐水接着力およ
び耐熱接着力を呈することがわかる。
【0077】
【発明の効果】本発明の防水シート積層体を下地に接着
させる際には、該防水シート積層体と下地との双方に有
機溶剤系接着剤を用いなくても、下地側にのみ該有機溶
剤系接着剤を用いるだけで、下地に強固に接着させるこ
とができる。したがって、本発明の防水シート積層体
は、従来よりも有機溶剤系接着剤の使用量を大幅に減少
させることができるという効果を奏する。
【0078】また、本発明の防水シート積層体は、有機
溶剤が用いられていないので、火災に対する安全性、人
体に対する安全性および環境衛生面にすぐれたものであ
る。
【0079】また、本発明の防水シート積層体は、従来
の防水シートと対比して、より強固に下地に接着させる
ことができ、しかもとくに耐水性にすぐれるという効果
を奏する。
【0080】さらに、前記防水シート積層体を用いた本
発明の防水工法によれば、かかる防水シート積層体とセ
メント質の下地とが強固に接着しており、しかも防水シ
ート積層体の下塗層の下地に対する耐水接着力がきわめ
て大きくなる。したがって、本発明の防水工法は、建築
物などの防水工事の際などに好適に適用しうるものであ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂シートの片面に、カルボキシル基含
    有ポリクロロプレンラテックスを含有した下塗剤を塗布
    し、乾燥させて形成された下塗層を有する防水シート積
    層体。
  2. 【請求項2】 下塗剤がロジン、ロジン誘導体および芳
    香族系石油樹脂から選ばれた少なくとも1種の粘着性付
    与剤を含有したものである請求項1記載の防水シート積
    層体。
  3. 【請求項3】 粘着性付与剤の軟化点が110℃以上で
    ある請求項2記載の防水シート積層体。
  4. 【請求項4】 下塗剤が亜鉛華を含有したものである請
    求項1記載の防水シート積層体。
  5. 【請求項5】 下塗剤がポリアミン化合物を含有したも
    のである請求項1記載の防水シート積層体。
  6. 【請求項6】 樹脂シートがエチレン−プロピレン−ジ
    エンターポリマーを主成分としたものである請求項1記
    載の防水シート積層体。
  7. 【請求項7】 セメント質の下地に接着剤を塗布し、請
    求項1記載の防水シート積層体の下塗層面と該接着剤の
    付着面とを貼り合わせることを特徴とする防水シート積
    層体を用いた防水工法。
JP11764696A 1996-05-13 1996-05-13 防水シート積層体およびそれを用いた防水工法 Pending JPH09300534A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200695A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Dyflex Corp 防水シートとその製造方法および防水施工方法
JP2010202776A (ja) * 2009-03-04 2010-09-16 Aica Kogyo Co Ltd 水性樹脂組成物および化粧フィルム施工方法
CN104893432A (zh) * 2015-05-29 2015-09-09 苏州德翔装饰工程有限公司 一种地面装饰用防水涂料及其制备方法

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