JP7062244B2 - 装着型姿勢保持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、装着者が行なう力作業などを支援する装着型姿勢保持装置に関し、特に、中腰作業での中腰姿勢保持のアシストにより、腰痛を防ぐべく腰椎(腰関節)と背筋をアシスト支援するために有利な装着型姿勢保持装置に関する。
本件明細書中、用語「左右方向」、「前後方向」および「上下方向」、ならびに「正面」、「側面」、「平面」および「背面」は、支援される装着者が、上体、上半身ともいうことがある体幹とともに両下肢を揃えて直立した姿勢における方向をいう。
図面のハッチング、斜線は、断面でない部分にも、構成を明瞭に示すために描かれることがある。
中腰作業には、農業での雑草取り、大根やキャベツなど大型野菜、いちごなどの収穫作業、建設業での左官業や鉄筋作業、物流業での荷役作業、介護での口腔ケアやオムツ交換作業、医療での腹腔鏡手術作業などがある。
典型的な従来技術は、腕を支え肩関節と肘関節の角度を保持するパワーアシストスーツである(特許文献1)。人体に装着される上腕装着部には電動モータが固定され、人体に装着される前腕装着部には、モータの駆動軸がクラッチを介して接続される。ラチェット機構は、クラッチがonの接続状態で、モータの駆動軸によって回転されるラチェットに係止爪が噛み合って駆動軸の肘を伸ばす方向への回転動作をロックして固定し、直動モータから成る爪アクチュエータがロック解除信号によって係止爪の噛み合いを外して肘を伸ばす方向への回転動作を許可する構成を有する。パワーアシストスーツを人体から取り外す場合、クラッチがoffの遮断状態にされる。制御部は、音声検出部の検出結果に基づいて、モータ、爪アクチュエータを駆動し、クラッチをon/offする。
この従来技術では、制御部による音声検出によって、肩関節と肘関節、ならびに股関節と膝関節の角度を保持・解除の動作をするので、音声の指令から動作までに時間を要し、すぐに姿勢を維持したくても動作が遅れる。また、毎回、同じ動作のために、同じ言葉を発声する必要があり、ユーザである装着者にとって、面倒である。
この従来技術におけるラチェット機構は、1本の係止爪をラチェット歯に当てて、腕を支える重量に耐えて固定・解除する機構であるので、この構成を、腰関節角度を固定して中腰姿勢を保持するために、より大きな重量に耐えて固定・解除するように適用するとすれば、ラチェット機構の強度を大きくし、係止爪を太くする必要があり、構成が大きく重くなる。強度を向上するために、多数の係止爪をラチェット歯に当てて固定・解除しようとすれば、構成が複雑になり、大きくなる。
特開2011-251057
本発明の目的は、構成を簡略化し、軽量で、コンパクトで、電力を用いないで、または低消費電力で、中腰姿勢保持のアシストのために、下向きの力モーメントを支えることができる装着型姿勢保持装置を提供することである。
本発明は、
(a)装着者の体幹に装着されて保持される体幹保持具と、
(b)装着者の大腿に装着されて保持される大腿保持具と、
(c)股関節付近で、左右方向の軸線まわりの回転軸線を有し、体幹保持具と大腿保持具とを接続、遮断するクラッチと、
(d)装着者の中腰姿勢でクラッチを接続状態にするクラッチ制御手段とを含み、
(e)クラッチは、
クラッチの前記軸線方向に配置される一対のクラッチ部材であって、それらの少なくとも一方が、相互の近接方向に変位して接続状態になり、相互の離反方向に変位して遮断状態になるクラッチ部材と、
クラッチ部材を相互の近接方向に変位する変位駆動手段と、
クラッチ部材に相互の離反方向にばね力を与えるばねとを有し、
クラッチ部材の変位駆動手段による接続状態で、装着者によって予め定める値以上のトルクが作用したとき、一対のクラッチ部材が前記軸線まわりのずれを生じることを特徴とする装着型姿勢保持装置である。
本発明によれば、装着型姿勢保持装置は、主に、中腰作業での中腰姿勢保持のアシストにより、腰痛を防ぐべく腰椎(腰関節)と背筋をアシストすることができる。左右の股関節や腰関節付近に取り付けた減速機付き電動モータなどの駆動源を用いることなく、電磁クラッチまたは機械式クラッチを用いることにより、安価で、軽量で、コンパクトで、低消費電力あるいは電力を用いないで、腰の曲げ伸ばし運動を制動することにより、上向きの力モーメントを発生することはできないが、下向きの力モーメントを支えることができるので、中腰姿勢保持のアシストができる。
本発明によれば、クラッチの一対のクラッチ部材は、たとえば、摩擦板であり、または噛み合い歯付きロータとアーマチュアであり、装着者によって予め定める値以上のトルクが作用したとき、たとえば、電磁コイルの電磁力に抗して、または操作されるハンドルに作用する力に抗して、一対のクラッチ部材間のばねによる離反方向に作用するばね力とともに、一対のクラッチ部材が前記軸線まわりのずれを生じる。したがって、装着者の安全が確保される。
本発明は、
クラッチは、
一方のクラッチ部材を、他方のクラッチ部材の近接方向に、ばね力に抗して、電磁力によって変位する電磁コイルを有し、
クラッチ制御手段は、
電池と、
装着者の中腰姿勢を検出し、中腰姿勢になっている期間だけ、電池から電磁コイルに励磁電力を与える中腰姿勢検出制御手段とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、クラッチ制御手段の中腰姿勢検出制御手段は、装着者が、たとえば、体幹と大腿との角度の継続時間によって、中腰姿勢に入ったことを検出し、その角速度、または体幹の回転角速度、体幹の上向きの加速度などによって、中腰姿勢を脱したことを検出し、中腰姿勢になっている期間だけ、電池から電磁コイルに励磁電力を与えるので、中腰姿勢の保持の自動的なアシストが可能になるとともに、電池からの電力の無駄な消費が抑えられる。
本発明は、
中腰姿勢検出制御手段は、
装着者の中腰姿勢になったことを検出する中腰姿勢検出手段と、
装着者の中腰姿勢から起き上がったことを検出する起き上がり検出手段と、
中腰姿勢検出手段と起き上がり検出手段との出力に応答し、中腰姿勢になった後、起き上がるまでの中腰姿勢になっている期間だけ、電池から電磁コイルに励磁電力を与えるスイッチ手段とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、中腰姿勢検出制御手段の中腰姿勢検出手段は、前述のとおり、装着者が、たとえば、体幹と大腿との角度の継続時間によって、中腰姿勢に入ったことを検出し、起き上がり検出手段は、体幹と大腿との角度の角速度、または体幹の回転角速度、体幹の上向きの加速度などによって、中腰姿勢を脱したことを検出し、スイッチ手段は、中腰姿勢になっている期間だけ、電池から電磁コイルに励磁電力を与えるので、電池からの電力の無駄な消費が抑えられる。
本発明は、
体幹保持具と大腿保持具とのいずれか一方と、クラッチとの間に設けられ、クラッチの接続状態でそのクラッチの回転軸線と共通な直線まわりにトルクを発生する駆動源をさらに含むことを特徴とする。
本発明によれば、中腰作業での中腰姿勢保持および持ち上げを、駆動源による上向きの力モーメントを作用してアシストすることにより、腰痛を防ぐべく腰椎(腰関節)と背筋をアシストすることができる。
本発明は、
(f)体幹保持具は、
(f1)装着者の体幹上部に装着されて保持される体幹上部保持具20と、
(f2)装着者の体幹下部に装着されて保持される体幹下部保持具30であって、
(f2-1)体幹下部の左右両側方から背後にわたって体幹下部の後半周を覆う外囲部と、体幹下部の背後で外囲部から立ち上がる背板とを有する、全体が剛性の面状フレーム31と、
(f2-2)面状フレームに連結され、体幹下部の左右両側方から腹部にわたって体幹下部の前半周を覆うベルト36とを有する体幹下部保持具30とを含み、
(g)クラッチ60における前記回転軸線まわりに相互に角変位自在の一対のクラッチ部材のうち、一方のクラッチ部材が面状フレーム31に取り付けられ、
(h)大腿保持具40と他方のクラッチ部材とに取り付けられる大腿フレーム80であって、
(h1)股関節付近から大腿に沿って左右両側方で、下方に延びてそれぞれ配置される一対の上フレーム片であって、各上フレーム片の上端部と、他方のクラッチ部材とが、左右方向の軸線まわりの相対的な回転を阻止されて取付けられる上フレーム片81と、
(h2)大腿保持具40から大腿に沿って左右両側方で、上方に延びてそれぞれ配置される一対の下フレーム片82とを有する大腿フレーム80と、
(i)各上フレーム片81の下端部と、各下フレーム片82とを、前後方向の軸線まわりに角変位自在にそれぞれ連結する第1受動回転軸83と、
(j)各下フレーム片82の下端部と、大腿保持具40とを、左右方向の軸線まわりに角変位自在にそれぞれ連結する第2受動回転軸45とを含むことを特徴とする。

本発明によれば、体幹下部保持具30を、外囲部と背板とを有する全体が剛性の面状フレーム31と、ベルト36とによって、構成し、体幹11と大腿保持具40との中腰姿勢保持と、上向きモーメントのアシストとを、確実に迅速に行なうことができるようになる。
第1受動回転軸83によれば、(a)面状フレーム31の左右側面剛体フレームである脇部フレーム31と、腰後部剛体フレームである背部フレーム33のみによって、体幹11の下部の側部から背後に装着としたので、軽量化でき、装着者のねじりにも対応でき、装着者のねじりの動作を拘束せず、(b)左右の股関節中心の左右両サイドに取り付けたクラッチ60の下端部に固定される上フレーム片81を、前後方向軸まわりに回転する受動回転軸83を介して、大腿部剛体フレームである下フレーム片82に取り付ける構成が実現されるので、装着者11の上半身の左右への傾きに対応でき、装着者11のこの上半身の左右への傾き動作を拘束せず、(c)装着者の左右方向への開脚動作に対応でき、したがって、装着者11のこの左右方向への開脚動作を拘束しない。
第2受動回転軸45は、大腿保持具40と大腿フレーム80との角変位を円滑に行なうことを確実にする。
本発明は、特に、図2~図7に示されるように、
面状フレーム31の外囲部は、
前記一方のクラッチ部材が固定され、上方に立ち上がる左右一対の脇部フレーム32と、
脇部フレーム32から体幹下部の後方に弯曲して延び、体幹下部の後方で左右の端部が背板34にそれぞれ固定される左右一対の背部フレーム33とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、面状フレーム31を高い剛性で実現することが容易である。脇部フレーム32は、体幹11の左右で立ち上がるので、装着者10の体幹11が左右に傾くことを抑制し、これによって、中腰姿勢のアシストが確実になる。
本発明は、特に、図20~図25に示されるように、
面状フレーム31の外囲部は、
前記一方のクラッチ部材が固定され、上方から斜め後方に立ち上がって体幹下部の後方に弯曲して延び、体幹下部の後方で左右の端部が背板34にそれぞれ固定される左右一対の外囲片を含むことを特徴とする。
本発明によれば、面状フレーム31を高い剛性で実現することが容易である。外囲片は、上方から斜め後方に立ち上がるので、装着者10の自由な中腰姿勢を可能にし、体幹11のの左右の傾きが許容され、これによって、快適な中腰姿勢のアシストができる。
本発明の実施の一形態である装着型姿勢保持装置1を装着者10に装着した状態を示す正面図である。 装着型姿勢保持装置1の装着状態を示す側面図である。 装着型姿勢保持装置1の図2における一部を拡大して示す側面図である。 面状フレーム31の正面図である。 面状フレーム31の左側面図である。 面状フレーム31の一部の平面図である。 面状フレーム31の分解斜視図である。 装着者10が中腰作業動作のために、前かがみの姿勢ある状態を説明するためのスケルトン図である。 クラッチ60とその付近を示す断面図である。 クラッチ60の電磁コイル63に関連する電気回路図である。 図1~図9の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の他の形態における電気回路図である。 装着者10が中腰作業動作のために、前かがみの姿勢から中腰姿勢に入る状態を説明するためのスケルトン図である。 装着者10が中腰作業動作を行なっている中腰姿勢から、起き上がる状態を説明するためのスケルトン図である。 図11の処理回路113の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の他の形態におけるクラッチ120とその付近を示す断面図である。 図16に示される実施の形態における噛み合い歯付きロータ125と噛み合い歯付きアーマチュア128との噛み合い歯が離間してクラッチ120が遮断した状態を示す一部の周方向展開図である。 本発明の実施の他の形態におけるクラッチ140とその付近を示す断面図である。 本発明の実施の他の形態におけるクラッチ160とその付近を示す断面図である。 本発明の実施の他の形態である装着型姿勢保持装置1aを装着者10に装着した状態を示す側面図である。 装着型姿勢保持装置1aの一部を拡大して示す側面図である。 面状フレーム31aの正面図である。 面状フレーム31aの左側面図である。 面状フレーム31aの一部の平面図である。 面状フレーム31aの分解斜視図である。 本発明の実施の他の形態におけるクラッチ60および減速機88付き電動モータ87を組み合わせた構成とその付近を示す断面図である。
図1は本発明の実施の一形態である装着型姿勢保持装置1を装着者10に装着した状態を示す正面図であり、図2は装着型姿勢保持装置1の装着状態を示す側面図であり、図3は装着型姿勢保持装置1の図2における一部を拡大して示す側面図である。図1などには、本発明の実施の他の形態の一部の構成も併せて示すことがある。これらの図面を参照して、装着型姿勢保持装置1は、装着者10に装着されて保持される保持装置2と、保持装置2に設けられ装着者10の体幹11と左右の各大腿12との間に中腰姿勢保持をアシストするクラッチ60とを有する。図1~図3は、装着者10が、体幹11とともに左右の大腿12を含む両下肢を揃えて直立した姿勢を示す。左右とは、前述のとおり、装着者10における方向を言い、したがって、図1における右、左である。装着型姿勢保持装置1は、それを装着した装着者10の正中矢状面13に関して左右にほぼ面対称に構成され、本件明細書、図面中、左右の構成要素の参照符は、左右を個別的に示すために数字に添え字L、Rをそれぞれ付し、総括的に、または連結した構成を示すために、および左または右を記載して数字だけで示す。
保持装置2は、装着者10の胸郭、鎖骨、肩甲骨付近の体幹上部14に装着されて保持される体幹上部保持具20と、腹、腰の骨盤、股関節付近の体幹下部15に装着されて保持される腰カフと呼ぶことができる体幹下部保持具30と、大腿12に装着されて保持される大腿保持具40とを含む。
図4は面状フレーム31の正面図であり、図5は面状フレーム31の左側面図であり、図6は面状フレーム31の一部の平面図であり、図7は面状フレーム31の分解斜視図である。図4、図6は、左右対称に構成される面状フレーム31のほぼ左半分を示す。体幹下部保持具30は、クラッチ60の位置で、体幹下部15の下腹ベルト36を有する。下腹ベルト36は、臍部下方で、連結具37によって左右に分離、連結して着脱自在である。
装着者の体幹下部に装着されて保持される体幹下部保持具30は、基本的に、全体が剛性の面状フレーム31とベルト36とを有する。面状フレーム31は、体幹下部の左右両側方から背後にわたって(体幹下部の背後では、臀部および仙骨部よりも上方の腰部および脊柱部下部を含む)体幹下部の後半周を覆う外囲部35と、体幹下部の背後で外囲部35から立ち上がる背板34とを有する。ベルト36は、面状フレーム31に連結され、体幹下部の左右両側方から腹部にわたって体幹下部の前半周を覆う。
体幹下部保持具30の面状フレーム31は、前述のとおり、剛性であり、腰側部・背部フレームとも呼ぶことができ、腰側部に配置される脇部フレーム32と、脇部フレーム32に連なって腰背部に配置される背部フレーム33とが、背後で背板34によって連結されて構成される。脇部フレーム32は、その一部が体幹下部15を少なくとも部分的に覆う曲面状に形成された部材でもよいが、後述の図20~図25に示される実施の形態では、体幹11の側部で上下に細長い長尺の部材である外囲片32aによって実現されてもよい。
面状フレーム31の高さを、その上部が脇下直ぐの位置でなく、腰部から脇下直ぐの間の位置まで短くして低くし、背板34の高さも、腰部から脇下直ぐの間の位置まで短くして、装着し易くする。背板34の上部は、肩ベルト21に連結される。したがって、体幹下部保持具30が、外囲部35と背板34とを有する面状フレーム31とベルト36とによって構成されるので、体幹11と大腿保持具40との中腰姿勢保持と、上向きモーメントのアシストとを、確実に迅速に行なうことができるようになる。
脇部フレーム32の下部は、後述の図9に示されるように、クラッチ60のクラッチ本体61に固定され、大腿フレーム80の上フレーム片81は、クラッチ60の回転体62の回転軸66に固定される。脇部フレーム32の下部はまた、下腹ベルト36の両端部に取り付けられる。
面状フレーム31と下腹ベルト36とは、クラッチ60の接続状態で、回転軸66の軸線75まわりの体幹下部保持具30を介する体幹上部保持具20と大腿保持具40との角度を確実に保つために副次的な働きをし、クラッチ60が変位するのを防ぎ、回転軸66の軸線75が左右方向に傾いたり、前後方向に傾いたりするのを防ぐ。面状フレーム31と下腹ベルト36とはまた、回転軸66の軸線75を、装着者10の左右の股関節中心を通る一直線にできるだけ一致させて、ずれないようにする働きをする。こうすることによって、体幹上部保持具20と体幹下部保持具30と大腿保持具40との各位置が上下に変位することを防ぐことができる。装着者は、腰を椎間関節によって曲げずに、体幹11を直立した姿勢で、歩行、持ち上げ、持ち下げ、中腰の各動作を行なう。
大腿フレーム80は、上フレーム片81と下フレーム片82とが、前後方向の軸線まわりに角変位自在な第1受動回転軸83によって、連結され、上下に延びて構成される。上下のフレーム片81、82は、剛性である。
左右の各大腿保持具40は、大腿12を全周にわたって囲む大腿カフと呼ぶことができるベルト本体41と、ベルト本体41の外周部に大腿12の外側である腓側から前へ、周方向の一部にわたって延びて固定片42によってベルト本体41に固定される保持片43とを有する。下アーム片82の下端部と、保持片43の外側部とは、左右方向の軸線まわりに角変位自在な第2受動回転軸45によって、連結される。
体幹上部保持具20は、装着者10の鎖骨、肩甲骨付近に逆U字状に配置される左右一対の肩ベルト21と、胸郭を囲んで腋窩から斜め下方に背に延びる胸カフと呼ぶことができる胸ベルト22とを有する。肩ベルト21と胸ベルト22とは、背板34の上部に連結される。
体幹上部保持具20は、図1では肩ベルト21と胸ベルト22で構成されているが、実施の他の形態では、装着し易いようにするため、ベストや所謂チョッキの形状をしていてもよい。
前述の保持装置2は、腰関節保持以外の動作を束縛しないための機構を有していることが重要である。対象とする腰関節の抗重力方向に保持するように下向きの力モーメントを支える姿勢保持装置であるクラッチ60を配置して、対象とする腰関節の角度保持方向以外の回転方向については、装着者10の動作を妨げないようにするために、第1受動回転軸83は、駆動機器を取り付けていない回転軸であり、空回りする回転軸である。この第1受動回転軸83を、対象とする関節の外側周囲に配置している構成によって、次の特有の利点a~cがある。
a、面状フレーム31の左右側面剛体フレームである脇部フレーム31と、腰後部剛体フレームである背部フレーム33のみによって、体幹11の下部の側部から背後に装着としたので、軽量化でき、装着者のねじりにも対応でき、装着者のねじりの動作を拘束しない。
b、左右の股関節中心の左右両サイドに取り付けたクラッチ60の下端部に固定される上フレーム片81を、前後方向軸まわりに回転する受動回転軸83を介して、大腿部剛体フレームである下フレーム片82に取り付ける構成が実現されるので、装着者11の上半身の左右への傾きに対応できる。したがって、装着者11のこの上半身の左右への傾き動作を拘束しない。
c、前記bと同じ構成が実現されるので、装着者の左右方向への開脚動作に対応できる。したがって、装着者11のこの左右方向への開脚動作を拘束しない。
図8は、装着者10が中腰作業動作のために、前かがみの姿勢ある状態で持ち上げ動作を説明するための中腰姿勢を保持する状態を示すスケルトン図である。装着者10が物体を手で掴んで持ち上げようとするとき、中腰状態では、体幹11が直立し、大腿12が鉛直から前方に角変位している。中腰状態では、体幹11が直立し、大腿12が鉛直から前方に角変位している。装着者10の力によるトルクが大腿12L、12Rの大腿保持具40L、40Rに伝わる。持ち下げ作業などでも同じである。
装着者11との接触部である胸部と大腿部カフである大腿保持具40へのクラッチ60の連結は重要な構成であるので、一部重複する部分も含めて述べる。股関節中心の左右両サイドにクラッチ60を1台ずつ合計2台配置している。このため、クラッチ60の回転中心75と股関節が一致するので、起き上がり時や立ち上がり時や足を前後方向に振り上げたとき、クラッチ60の一端部から下方へ伸びた剛体の大腿部フレームである上下のフレーム片81,82が大腿12と同角度で回転する。またクラッチ60の下部に前後方向軸周りに回転する受動回転軸83を介して剛体の大腿部フレームである上下のフレーム片81,82の一端部を取り付けてあり、大腿部フレームである上下のフレーム片81,82の他端部には左右方向軸まわりに回転する受動回転軸83を介して大腿部カフである大腿保持具40が取り付けられ、この大腿部カフである大腿保持具40で装着者10の下体に姿勢保持力を伝えている。
このため、上体である体幹11を左右に傾けたときや左右に開脚したときに、大腿部カフである大腿保持具40の位置が元の位置からずれず、装着者10の動きを束縛しなくて身体から離れもしないので、クラッチ60と大腿部カフである大腿保持具40との間の長さ調整機構が不要となり、軽量化と低コスト化できる。
またクラッチ60のもう一つの端部から上方へ伸びた剛体の腰下方フレームである面状フレーム31が腰部まであり、図3に拡大して示されるように、腰部の上に背板34胸部カフである体幹上部保持具20の胸ベルト22と肩ベルト21とは、背板34の上部に連結され、この胸部カフである胸ベルト22は装着者10の上体に姿勢保持力を伝えている。このため、上体を左右に傾けたときや上体をねじったりしたときに、胸部カフである胸ベルト22の位置が元の位置からずれず装着者の動きを束縛しなくて身体から離れもしないので、従来の腰後部剛体フレームや後方側面剛体フレームや背中の腰中央部に取り付けていた2つの受動回転軸が不要となり、軽量化と低コスト化ができる。
また股関節中心の左右両サイドにクラッチ60を配置しているので、中腰作業などでの腰関節の保持については、クラッチ60の回転中心は腰関節中心からずれるが、作用点(着力点)である装着者10の胸部と大腿12から充分に離れているので、クラッチ60の接続状態における力を充分に伝えることができる。
図9は、クラッチ60とその付近を示す断面図である。クラッチ60は、ステータとしてのクラッチ本体61と、アーマチュアとしての回転体62とを有する。クラッチ本体61は、電磁コイル63が配置されるフイールド64と、一方のクラッチ部材である摩擦板65とを有し、フイールド64は、脇フレーム32に固定される。回転体62は、回転軸66と、回転軸66に周方向および軸線方向の相対的な変位が阻止されて固定される支持部材67と、摩擦板65に近接方向(図9の右方)に変位して摩擦接触によってクラッチの接続状態となり離反方向(図9の左方)に変位してクラッチ60の遮断状態となる他方のクラッチ部材である摩擦板68と、摩擦板68を摩擦板65から離反方向にばね力を与える板ばね69とを有する。支持部材67は、回転軸66が挿通し軸受71を介してフイールド64を支持する筒部72と、筒部72に連なるフランジ部73とを有する。フランジ部73には、摩擦板68が、板ばね69を介して周方向の相対的な変位が阻止されて取り付けられる。電磁コイル63が励磁されて生じる電磁力によって、摩擦板68は板ばね69のばね力に抗して摩擦板65に近接変位して摩擦接触しクラッチ60の接続状態となる。電磁コイル63が励磁されずに消磁されると、摩擦板68は板ばね69のばね力によって摩擦板65に離反変位して空隙Δd1(たとえば、0.3mm)をあけてクラッチの遮断状態となる。
クラッチ本体61のフイールド64は、脇フレーム32に固定される。回転体62の回転軸66は、大腿フレーム80の上フレーム片81に固定される。筒部72と上フレーム片81とは、回転軸66とともに、平行キー74によって相互の回転が阻止され、したがって、摩擦板68と上フレーム片81、したがって、大腿フレーム80とは、回転軸66の軸線まわりにずれを生じることはない。
電磁コイル63が励磁されることによって、摩擦板65と摩擦板68とが摩擦接触して本件装着型姿勢保持装置1が作動している状態におけるクラッチ60の最大許容トルクは、その姿勢保持状態が装着者の意図と違ったとき、装着者がクラッチ60を自分の力で動かすことができる予め定める値未満の値に設定される。したがって、摩擦板65、68の摩擦接触状態で、装着者によって前記予め定める値以上のトルクが作用したとき、摩擦板65、68が回転軸66の軸線まわりのずれを生じることが可能である。これによって、基本的に安全な装着型姿勢保持装置1が実現される。
装着者が中腰姿勢を保持するのに必要な力は、装着者の上半身の体重を保持するのに必要な力である。したがって、摩擦板方式のクラッチ60の必要な最大許容トルクに対応する摩擦力は、少なくとも装着者の上半身の体重W1を保持するのに必要な力と同等であればよい。一般の装着者は、上半身の体重W1に加えるに、20kg~30kg以上の物体を持ち上げる背筋力W2を有している。したがって、前記予め定める値は、一般の装着者が摩擦板65、68に作用している摩擦力W3以上の力を出せるように、すなわち、たとえば、(W1≦W3<W1+W2)となるように、選んで設定することによって、装着者の意図と違った場合には、摩擦接触している摩擦板65、68が角変位してずれて、装着型姿勢保持装置を動かすことができ、安全が確保される。
図10は、クラッチ60の電磁コイル63に関連する電気回路図である。装着者10の左右の股関節の付近に設置されたクラッチ60には、可撓性ケーブル102を介して押しボタンスイッチ101が繋がれる。押しボタンスイッチ101は、押し易く持ち易い細長い卵形状で手のひらの中にすっぽり入るサイズ(たとえば、外形が縦2~3cm、横2~3cm、全長4~7cmなど)であり、クラッチ60の付近に、装着者の手元付近にあり、腰から、たとえば、0.1~0.5mの長さを有する可撓性ケーブル102によってぶら下げた状態になるように設けられる。可撓性ケーブル102の一端部は、押しボタンスイッチ101に接続され、他端部は、たとえば、クラッチ60のクラッチ本体61に、または体幹下部保持具30に固定されてもよい。押しボタンスイッチ101は、左右いずれか一方に設けられてもよいが、左右にに設けられてもよい。こうして、押しボタンスイッチ101をいずれか少なくとも一方の手で握ったまま、たとえ、両手で荷物を持った状態でも、押しボタンスイッチ101の押しボタンを簡単に押すことができる。
クラッチ60の電磁コイル60には、押しボタンスイッチ101、可撓性ケーブル102、ヒューズ103を介して、電池104から励磁電力が供給され、バリスタ105によって逆起電力が抑制される。ヒューズ103、電池104などは、背板34に固定された制御ボックス39(図2)に収納され、可撓性ケーブル102に電線によって接続される。
押しボタンスイッチ101は、押しボタンの各回の押圧操作のたびに、on/offのスイッチグ態様が交互に変化する自己保持機能を有する。自己保持機能は、押しボタンスイッチ101の機械的構成によって、または電気的構成によって、実現されてもよい。
図11は、図1~図9の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。ステップa1からa2に移り、装着者によって手元付近に腰からぶら下げた押しボタンスイッチ101が操作されてスイッチング態様がonになると、そのonのスイッチング態様が自己保持され、ステップa3で中腰姿勢保持のアシスト動作が行なわれる。中腰姿勢保持のアシスト動作では、ステップa31で、電磁コイル63に電流が流れて電磁力が発生する。これによって、ステップa32で、クラッチ60は、その摩擦板65、68が近接して摩擦接触し結合し、接続状態になる。後述の実施の他の形態では、噛み合い歯付きロータと噛み合い歯付きアーマチュアとの噛み合い歯が噛み合って結合し、接続状態になる。こうして、ステップa33では、装着者10の上半身の脇フレーム32と下半身の大腿フレーム81とが結合されて、角変位が阻止され、腰の曲げ伸ばし運動が制動され、中腰姿勢が保持されて中腰姿勢保持のアシストができる。
装着者によって押しボタンスイッチ101が操作されてスイッチング態様がoffになると、onの自己保持がリセットされ、そのoffのスイッチング態様が自己保持され、ステップa4で中腰姿勢保持のアシスト動作が解除される。中腰姿勢保持のアシスト動作では、ステップa41で、電磁コイル63に電流が流れず電磁力が発生しない。ばね69によって、ステップa42で、クラッチ60は、その摩擦板65、68が離反して切り離されて遮断状態になる。こうして、ステップa43では、装着者10の上半身の脇フレーム32と下半身の大腿フレーム81とが切り離されて、角変位が可能になり、腰の曲げ伸ばし運動が自由になり、中腰姿勢保持のアシストが切れる。すなわち、手元スイッチ101を押すと、電池104」からの電流が止まり電磁力はなくなり、クラッチ60のばね69の力で上半身の体幹11に取り付けられたフレーム20、30と下半身の大腿12に取り付けられたフレーム40とが切り離されて、クラッチ60の軸線75まわりの腰の曲げ伸ばし運動が自由になり、中腰姿勢保持のアシストが切れる。電磁コイル63に印加する電圧は、電池104の電圧であり、たとえば、DC20~50Vで一定である。電磁コイル63に電圧を印加すると、電流が流れて中腰姿勢保持に必要な電磁力が発生される。
本発明の実施の他の形態では、装着者の操作によって、電池104からの電圧、したがって、励磁電力の値を変化調整して電磁コイル63に与える励磁電力調整回路が、電池104と電磁コイル63との間に設けられてもよい。これによって、発生させる電磁力の強さを変えて、クラッチ60の最大許容トルク、したがって、装着者によって作用されるトルクが摩擦板65、68の摩擦接触状態で摩擦板65、68が回転軸66の軸線まわりのずれを生じさせる前記予め定める値を選んで設定することができる。たとえば、男性の装着者が使用する場合は電圧を高くして電磁力を強くし、女性の装着者が使用する場合は電圧を低くして電磁力を弱くして、電池104の消費電力を最小必要限度に抑えるようにすることができる。摩擦板方式のクラッチ60では、作用している摩擦力以上の力を出せることによって、また図15、図16に示される歯のかみ合わせ方式のクラッチ120では、歯飛びする力以上を出せることによって、装着型姿勢保持装置を動かすことができる装置であるので、基本的に安全である。
図12は、本発明の実施のさらに他の形態における電気回路図である。この実施の形態は、前述の実施の形態に類似し、対応する部分には同じ参照符を付す。注目すべきは、前述の押しボタンスイッチ101に代えて、制御接点111が用いられ、装着者10の中腰姿勢になった後、起き上がるまでの中腰姿勢になっている期間だけ、制御接点111がonにされて、電池104から電磁コイル63に励磁電力を与える。図1および図8に示される角度検出器112は、左右の各クラッチ60に備えられ、その回転軸66の角度θをそれぞれ検出する。この検出される角度θは、脇部フレーム32と上フレーム片81との間の角度に対応し、たとえば、補角である。角度検出器112の出力は、マイクロコンピュータによって実現される処理回路113に与えられる。処理回路113は、左右の各角度検出器112のいずれもが中腰姿勢になっている継続時間を計時するタイマ114を備える。また各角度検出器112による検出角度θを演算して起き上がり上向き角速度ω1を求める。加速度・角速度検出器115は、制御ボックス39に固定され、装着者の10の体幹11の上向きの加速度αを検出し、また体幹11の回転角速度ω2も検出する。その出力は処理回路113に与えられる。
図13は、装着者10が中腰作業動作のために、前かがみの姿勢から中腰姿勢に入る状態を説明するためのスケルトン図である。左右の各角度検出器112は、角度θをそれぞれ検出する。角度θについて、中腰作業動作のための中腰姿勢に入ることを判別する閾値θ1は、たとえば、30~40度の範囲で予め定められる。
体幹の回転角速度は、体幹11の重心の水平軸周りの回転角の速度であり、体幹11(上半身)の図13における角度θの時間微分値である速度ωである。たとえば、前述の角度器112および後述の図26に関連して説明する左右の電動モータ87に内蔵された同様な角度器計測する角速度は、体幹11と左の大腿12Lの角度θ1の速度ω1と、体幹11と右の大腿12Rの角度θ2の速度ω2とになる。左右の大腿12L、12Rを動かさない場合は、ωとω1、ω2は同じであるが、それ以外は異なる。
図14は、装着者10が中腰作業動作を行なっている中腰姿勢から、起き上がる状態を説明するためのスケルトン図である。加速度・角速度の検出器115は、体幹11の上向きの加速度αを検出し、起き上がる状態を判別する閾値α1は、たとえば、0.85~1.15Gの範囲で予め定められる。処理回路113は、各角度検出器112による検出角度θをそれぞれ演算して起き上がり上向き角速度ω1をそれぞれ求める。または加速度・角速度の検出器115にて、体幹11の回転角速度ω2も検出する。角速度ωについて、ω1とω2のいずれか大きい方をωとして、起き上がる状態を判別する閾値ω3は、たとえば、300度/秒の値に予め定められる。
図15は、図12の処理回路113の動作を説明するためのフローチャートである。ステップb1からステップb2に移り、左右の各角度検出器112によってそれぞれ計測、検出された股関節の角度が与えられる。ステップb3では、左右の各角度検出器112による検出角度のいずれもが、閾値θ1以上であるかを判別し、そうであれば、ステップb4で閾値θ1以上である継続時間Tを、タイマ114によって計測する。継続時間Tの閾値T1は、たとえば、3~5秒の範囲で予め定められる。継続時間Tが、閾値T1以上過ぎると(T1≦T)、装着者が中腰姿勢に入ったと判断し、中腰姿勢が検出され、その後、ステップb6で中腰姿勢保持をアシストする動作を行なう。
ステップb6では、ステップb61で制御接点111をonに導通し、これによって、電磁コイル63に電流が流れて電磁力が発生される。この電磁力によって、摩擦板65、68が板ばね69のばね力に抗して近接変位し、クラッチの接続状態になる。そのため、上半身の体幹11の体幹上部保持具20、体幹下部保持具30と、下半身の大腿12の大腿保持具40との角変位が阻止されて結合される。こうして、中腰姿勢保持をアシストする動作が行なわれる。
ステップb7では、加速度・角速度検出器115によって、体幹11の上向きの加速度αを計測、検出する。ステップb8では、体幹11の加速度αが、閾値α1以上(α1≦α)であるかを判別し、そうであれば、ステップb9で、体幹11の左右の大腿との角度θに基づいて角速度ω1をそれぞれ演算して計測する。また体幹11の回転角速度ω2も計測する。ステップb10では、左右の角速度ω1かω2のいずれか大きいωが、閾値ω3以上(ω3≦ω)であるかを判別し、そうであれば、装着者11の中腰姿勢が終了して、起き上がったことが検出、判断される。
こうして、中腰姿勢検出のステップb2~b5と、起き上がり検出のステップb7~b10との動作によって、中腰姿勢になった後、起き上がるまでの中腰姿勢になっている期間だけ、ステップb6では、電池104から電磁コイル63に励磁電力が与えられる。
次のステップb11では、中腰姿勢保持をアシストする動作が解除される。ステップb111では、制御接点111をoffに遮断し、これによって、電磁コイル63に電流を流さず、電磁力を発生しない。この電磁力がなくなることによって、ステップb112では、摩擦板65、68が板ばね69のばね力によって離反変位し、クラッチ60の遮断状態になる。そのため、上半身の体幹11の体幹上部保持具20、体幹下部保持具30と、下半身の大腿12の大腿保持具40との角変位が切り離される。こうして、中腰姿勢保持をアシストする動作が解除される。
図16は、本発明の実施の他の形態におけるクラッチ120とその付近を示す断面図である。このクラッチ120は、前述の実施の形態のクラッチ60における電磁力による摩擦板の摩擦接触に代えて、電磁力による噛み合い歯の噛み合いを行なう。クラッチ120は、フイールドとしてのクラッチ本体121と、アーマチュアとしての回転体122とを有する。クラッチ本体121は、電磁コイル123が配置されるフイールド124と、一方のクラッチ部材である噛み合い歯付きロータ125とを有し、フイールド124は、脇部フレーム32に固定される。回転体122は、回転軸126と、回転軸126に周方向および軸線方向の相対的な変位が阻止されて固定される支持部材127と、他方のクラッチ部材である噛み合い歯付きアーマチュア128と、噛み合い歯付きアーマチュア128を噛み合い歯付きロータ125から離反方向(図16の左方)にばね力を与えるコイルばね129とを有する。噛み合い歯付きアーマチュア128は、回転軸126の軸線75まわりに支持部材127、したがって、回転軸126とは、相互の角変位が阻止される。噛み合い歯付きアーマチュア128は、噛み合い歯付きロータ125に近接方向(図16の右方)に変位して噛み合い歯付きロータ125の噛み合い歯によってクラッチ120の接続状態となり、離反方向(図16の左方)に変位してクラッチ120の遮断状態となる。
噛み合い歯付きロータ125は、回転軸126が挿通し、軸受131を介してフイールド124を支持する筒部132と、筒部132に連なるフランジ部133とを有する。フランジ部133には、その外周部に噛み合い歯が図16の軸線方向左方に臨んで形成されて、噛み合い歯付きロータ125が形成される。
図17は、噛み合い歯付きロータ125と噛み合い歯付きアーマチュア128との噛み合い歯が離間してクラッチ120が遮断した状態を示す一部の周方向展開図である。電磁コイル123が励磁されて生じる電磁力によって、噛み合い歯付きアーマチュア128はばね129のばね力に抗して噛み合い歯付きロータ125に近接変位して噛み合い歯が相互に噛み合い、クラッチ120の接続状態となる。電磁コイル123が励磁されずに消磁されると、噛み合い歯付きアーマチュア128はばね129のばね力によって噛み合い歯付きロータ125から離反変位して空隙Δd2(たとえば、0.4mm)をあけてクラッチの遮断状態となる。
クラッチ本体121のフイールド124は、脇フレーム32に固定される。回転体122の回転軸126は、大腿フレーム80の上フレーム片81に固定される。筒部132と上フレーム片81とは、回転軸126とともに、平行キー134によって相互の回転が阻止され、したがって、噛み合い歯付きアーマチュア128と上フレーム片81、したがって、大腿フレーム80とは、回転軸126の軸線75まわりにずれを生じることはない。
図17の周方向展開図において、噛み合い歯付きロータ125と噛み合い歯付きアーマチュア128との各噛み合い歯は、回転軸126の軸線75を含む仮想一平面に関して対称に構成される。したがって、装着者10による過大なトルクが作用したとき、いずれの回転方向においても、軸線75の方向に離反変位する分力が発生して、ロータ125とアーマチュア128とは、それらのいわば歯飛びが生じて、ずれることができる。
電磁コイル123が励磁されることによって、噛み合い歯付きロータ125と噛み合い歯付きアーマチュア128との噛み合い歯が噛み合って、本件装着型姿勢保持装置1が作動している状態におけるクラッチ120の最大許容トルクは、その姿勢保持状態が装着者10の意図と違ったとき、装着者10が接続状態にあるクラッチ120によって連結している脇部フレーム32と上フレーム片81との角度を自分の力でずらして動かすことができる予め定める値未満の値に設定される。この予め定める値は、ロータ125とアーマチュア128との噛み合い歯の形状およびばね129のばね定数などに依存して、定められる。したがって、噛み合い歯付きロータ125と噛み合い歯付きアーマチュア128との噛み合い状態で、装着者によって前記予め定める値以上のトルクが作用したとき、噛み合い歯付きアーマチュア128がばね129のばね力に抗して図15の左方の離反方向へ変位して噛み合い歯付きロータ125と噛み合い歯付きアーマチュアとの噛み合い歯のいわば歯飛びが生じて、前述のクラッチ60と同じく、回転軸126の軸線75まわりのずれを生じることが可能である。これによって、基本的に安全な装着型姿勢保持装置1が実現される。したがって、一般の典型的な装着者10は、噛み合い歯の噛み合わせが、歯飛びする力以上を出せることによって、装着者10の意図と違った場合には、装着型姿勢保持装置を動かすことができる装置であるので、基本的に安全である。
図16および図17の実施の形態におけるその他の構成は、前述の図1~図15の実施の形態と同じである。
図18は、本発明の実施の他の形態におけるクラッチ140とその付近を示す断面図である。このクラッチ140は、前述の実施の形態のクラッチ60、120に代えて、用いることができ、複数の摩擦板145、148の摩擦接触を、電磁力の代りに、装着者10のハンドル操作で行なう。クラッチ140は、一方のクラッチ部材である複数の摩擦板145付きのクラッチ本体141と、回転軸146を備え他方のクラッチ部材である複数の摩擦板148付きの回転体142とを有する。クラッチ本体141は、摩擦板145が固定され軸線75の方向に変位可能な環状のロータ144と、ロータ144を挿通して脇部フレーム32に固定されるインナスリーブ152と、インナスリーブ152が挿通され軸線75の方向に変位可能なアウタスリーブ153とを有する。インナスリーブ152には、回転軸146の軸線75に垂直なピン155によって揺動可能なレバー156と、レバー156にその一端部156aがロータ144とアウタスリーブ153を離間させる方向のばね力を与える板ばね149とが設けられる。摩擦板145には、コイルばね159によって、摩擦板148との離反方向にばね力が与えられる。インナスリーブ152は、面状フレーム31、したがって体幹11に連なる脇部フレーム32に固定される。
ハンドル157は、回転軸146の軸線75に垂直なピン158によって揺動操作され、このピン158は、インナスリーブ152に設けられる。ハンドル157の揺動によって、図18の実線のとおりクラッチ140の遮断のための位置と、仮想線のとおりの接続のための位置とに切り換えることができ、これによって、アウタスリーブ153が軸線75の方向に変位する。
回転体142は、回転軸146に周方向および軸線方向の相対的な変位が阻止されて固定されるアーマチュアである支持部材147と、支持部材147に固定され摩擦板145と摩擦接触することができる摩擦板148と、インナスリーブ152との間に介在される軸受151とを有する。支持部材147と上フレーム片81とは、平行キー154によって、回転軸146との相互の回転が阻止され、したがって、回転軸146と、大腿12に連なる上フレーム片81とが固定される。
多板の摩擦板145、148とコイルばね159の構造をさらに述べる。支持部材147に取付けられた3枚の外側の摩擦板148と、ロータ144に取付けられた3枚の内側摩擦板145とが接触したり外れたりする構造になっている。コイルばね159が摩擦板145、148よりも半径方向内側に取り付けられており、上記のアーマチュアである支持部材147とロータ144との各摩擦板148、145を引き離す方向に力が作用する。
ハンドル157が図18の実線のとおり右のクラッチ遮断位置にあるとき、レバー156の一端部156aは、ばね149のばね力によって、ロータ144とアウタスリーブ153との間にあり、摩擦板145、148には摩擦接触のための力が作用せず、クラッチ遮断している。このように、ハンドル157を図18の右方向に動かすと、コイルばね159によってアーマチュア147が切り離され、摩擦板145,148が外れ、また板ばね149によってレバー156が戻る。
ハンドル157が図18の仮想線のとおり左のクラッチ接続位置に切り換えられると、アウタスリーブ153は、レバー156の一端部156aをばね149のばね力に抗して押し下げて角変位し、摩擦板145、148は、アウタスリーブ153によるロータ144と、レバー156の他端部156bとの間で押圧され、摩擦接触され、クラッチ接続される。このように、ハンドルを図18の左方向に動かすと、アウタスリーブ153を左方向にシフトし、レバー156が押し込まれて、ロータ144が左方向にシフトして摩擦板145,148が接触する構造である。その他の構成と作用とは、前述の実施の形態に類似する。
図19は、本発明の実施の他の形態におけるクラッチ160とその付近を示す断面図である。このクラッチ160は、前述の実施の形態のクラッチ60、120、140に代えて、用いることができ、噛み合い歯の噛み合いを、電磁力の代りに、装着者10のハンドル操作で行なう。クラッチ160は、一方のクラッチ部材である噛み合い歯付きロータ165を備えるクラッチ本体161と、他方のクラッチ部材である噛み合い歯付きアーマチュア168を備える回転体162とを有する。
クラッチ本体161は、軸線75の方向に変位可能な噛み合い歯付きロータ165と、脇部フレーム32に固定されるインナスリーブ172と、インナスリーブ172が挿通され軸線方向に変位可能なアウタスリーブ163とを有する。インナスリーブ172には、回転軸166の軸線75に垂直なピン178によって揺動可能なハンドル177が設けられ、ハンドル177の揺動によってアウタスリーブ163が軸線75の方向に変位可能である。コイルばね179は、一方の噛み合い歯付きロータ165を他方の噛み合い歯付きロータ162から離反させて噛み合いが解除される方向にばね力を与える。
ハンドル177の揺動によって、図18のとおりクラッチ160の遮断のための右位置と、接続のための左位置とに切り換えることができ、これによって、アウタスリーブ163が軸線75の方向に変位する。
回転体162は、回転軸166に周方向および軸線方向の相対的な変位が阻止されて固定される支持部材167と、支持部材167に固定され噛み合い歯付きロータ165に噛み合うことができる噛み合い歯付きアーマチュア168と、インナスリーブ172との間に介在される軸受171とを有する。支持部材167と上フレーム片81とは、平行キー174によって、回転軸166との相互の回転が阻止される。
ハンドル177を図18のとおり、右方向に動かすと、コイルばね179によってロータ165がアーマチュア168から切り離され、噛み合い歯が外れ、クラッチ遮断位置になる。
ハンドル177を図19の左方向に動かすと、アウタスリーブ163を左方向にシフトし、ローラ169が押し込まれて、噛み合い歯付きロータ165が左方向にシフトして噛み合い歯付きロータ168との噛み合い歯が噛み合い、クラッチ接続位置になる。
噛み合い歯に軸線75まわりの力がかかると、軸線75の右方向である噛み合わせが外れる方向に力がかかるが、この力はインナスリーブ172が受け止める。こうして、ロータ165とアーマチュア168とは、軸線75まわりにずれて、安全が確保される。ローラ169はインナスリーブ172のテーパ部分に嵌め込まれているので、ローラ169にかかる力の分力は外周方向に働く。この力はアウタスリーブ163の内周で受け止めるので、ハンドル177には伝わらず、クラッチ160が外れることはない。その他の構成と作用とは、前述の実施の形態に類似する。
図20は本発明の実施の他の形態である装着型姿勢保持装置1aを装着者10に装着した状態を示す側面図であり、図21は装着型姿勢保持装置1aの図20における一部を拡大して示す側面図である。この実施の形態は、前述の実施の形態に類似するが、注目すべきは、前述の面状フレーム31に代えて、面状フレーム31aが実施される。この実施の形態において、前述の実施の形態と対応する部分には、同一の数字の参照符に添え字aを付して示す。
図22は面状フレーム31aの正面図であり、図23は面状フレーム31aの左側面図であり、図24は面状フレーム31aの一部の平面図であり、図25は面状フレーム31aの分解斜視図である。図22、図24は、左右対称に構成される面状フレーム31aのほぼ左半分を示す。面状フレーム31の外囲部35aは、一方のクラッチ部材65が固定され、上方から斜め後方に立ち上がって体幹下部の後方に弯曲して延び、体幹下部の後方で左右の端部が背板34にそれぞれ固定される左右一対の外囲片32aを含む。体幹下部保持具30aは、基本的に、全体が剛性の面状フレーム31aとベルト36とを有する。面状フレーム31aは、体幹下部の左右両側方から背後にわたって(体幹下部の背後では、臀部および仙骨部よりも上方の腰部および脊柱部下部を含む)体幹下部の後半周を覆う外囲部35aと、体幹下部の背後で外囲部35aから立ち上がる背板34とを有する。ベルト36は、面状フレーム31aに連結され、体幹下部の左右両側方から腹部にわたって体幹下部の前半周を覆う。
体幹下部保持具30の面状フレーム31aは、前述のとおり、剛性であり、腰側部・背部フレームとも呼ぶことができる。面状フレーム31aの高さを、その上部が脇下直ぐの位置でなく、腰部から脇下直ぐの間の位置まで短くして低くし、背板34の高さも、腰部から脇下直ぐの間の位置まで短くして、装着し易くする。体幹下部保持具30aは、外囲部35aと背板34とを有する面状フレーム31aとベルト36とによって構成されるので、体幹11と大腿保持具40との中腰姿勢保持と、上向きモーメントのアシストとを、確実に迅速に行なうことができるようになる。
この実施の形態によれば、面状フレーム31aを高い剛性で実現することが容易である。外囲片32aは、上方から斜め後方に立ち上がるので、装着者10の自由な中腰姿勢を可能にし、体幹11の左右の傾きが許容され、これによって、快適な中腰姿勢のアシストができる。
図26は、本発明の実施の他の形態におけるクラッチ60および減速機88付き電動モータ87を組み合わせた駆動源89とその付近を示す断面図である。この実施の形態は、前述の実施の形態に類似し、対応する部分には、同じ参照符を付す。注目すべきは、体幹下部保持具30と大腿保持具40とのいずれか一方と、クラッチ60との間に、駆動源89が設けられ、クラッチ60の接続状態でそのクラッチ60の回転軸線と共通な直線まわりにトルクを発生する。この実施の形態によれば、中腰作業での中腰姿勢保持および持ち上げを、駆動源による上向きの力モーメントを作用してアシストすることにより、腰痛を防ぐべく腰椎(腰関節)と背筋をアシストすることができる。
モータ87のハウジングである本体部90は、クラッチ本体61を介してブラケット91によってフイールド64に固定され、体幹下部保持具30の脇部フレーム32に固定される。モータ87の出力軸は、クラッチ回転体62および大腿フレーム80に固定され、電磁コイル63が励磁ないとき、摩擦板65に摩擦板68が吸着されず、モータ87の回転トルクが体幹下部保持具30の脇部フレーム32と大腿保持具40の上下のフレーム片81、82との間の相対的な角変位力として作用する。
クラッチ60のon/off動作について、クラッチ60をoffしてから、すぐにモータ87は回転動作を開始する。またモータ87が停止してから、すぐにクラッチ60をonする。
本発明の実施の他の形態では、図26のクラッチ60に代えて、前述の図18のクラッチ140を使用してもよい。手動ハンドル157の操作によって、クラッチ140をoffしてから、そのoff操作を検出するスイッチによって、すぐにモータ87は回転動作を開始する。またモータ87が停止してから、すぐに手動ハンドル157でon操作をする。図16、図19のクラッチ120、160などが用いられてもよい。
摩擦板65,68のずれと、前述のクラッチ120,160の歯とびと、モータ87の駆動とは、安全性の観点から重要である。モータ87が装着者10の意図と逆方向に動作した場合には、モータ87が装着者10側から、すなわちモータ87の出力軸側から、逆回転できる(減速比が1/100~1/50程度でバックドライアブルである)ように構成される。またモータ87が装着者10の意図と逆方向に動作した場合には、摩擦板65、68が電磁力により吸着されていても、装着者10の力により摩擦板65、68がずれて、逆回転することにより動かすことができるように構成される。モータ87が装着者10の意図と逆方向に動作した場合、噛み合い歯125、128が電磁力により吸着されていても、装着者10の力により噛み合い歯125、128がずれて、歯とびし、逆回転することにより動かすことができるように構成される。
前述の実施の各形態の有利な点を、特許文献1と比べて、述べる。特許文献1は、音声検出による構成と、モータとラチェット機構とクラッチとを設けている。本件は、特許文献1の音声検出とモータとラチェット機構を省略している。その代りに、自己保持型のスイッチ操作(図9)や、モーションセンサで検出した股関節角度・体幹加速度・体幹の回転角速度を用いた自動操作(図11)にて、図8、図15のように電池を用いて電流を流して電磁コイルにて発生する電磁力(または図17、図18のように手動の機械式のハンドル操作力)で、1または複数の摩擦板を接触させたり(図8、図17)、多数の噛み合い歯を噛み合わせたりして(図5、図18)結合し、更に、ばね力で切り離すクラッチ構造(図8、図15、図17、図18)にしている。本件では、特許文献1の繰り返し発声を行なう場合には煩わしい音声検出ではなく、簡単な機械式ハンドル操作やスイッチ操作や上記モーションセンサにて検出した自動操作にて、特許文献1のラチェット機構の1つや2つの係止爪の噛み合わせではなく、本件では、多数の噛み合い歯の全てを噛み合わせることにより、力を分散させ、また、1または複数の摩擦板の結合による場合も同様に力を分散させることによって、強い力に対応できコンパクトに構成できる。
安全面から、通常以上に強い力がかかった場合に、特許文献1ではラチェット機構の1つや2つの係止爪の離脱が困難であり、危険である。これに対して、本件の多数の噛み合い歯の噛み合わせでは、歯飛びして角変位してずれるように構成され、また摩擦接触する摩擦板が角変位してずれるように構成されるので、安全である。特許文献1のラチェット機構における1つや2つの係止爪では、たとえ、係止爪が外れて歯飛びしても、係止爪の数が少ないので、ラチェット歯および係止爪が破損、摩耗によって、すぐに使えなくなるおそれがある。本件の多数の噛み合い歯の噛み合わせの構成では、何回か歯飛びさせるまで使えるので、長寿命である利点がある。更に、本件の摩擦板による結合方式では、歯飛びのようなことは起らず、何回でも使え、長寿命である利点がある。
特許文献1のクラッチについて、ラチェット機構の係止爪のような歯の切り離しは、ばね部材によって係止状態になっている係止爪を引き起こすような切り離し構造である。これに対して、本件の実施の形態(図15、図18)では、噛み合った多数の噛み合い歯が付いた歯車を、その軸線方向に引き離す構造であるので、構造が簡単、コンパクトであり、また結合した摩擦板を軸方向に引き離す構造も同様に簡単、コンパクトな構造になる。
発明の装着型姿勢保持装置は、主に、中腰作業での中腰姿勢保持のアシストにより、腰痛を防ぐべく腰椎(腰関節)と背筋をアシストするための装置である。中腰姿勢保持のアシストは、腰椎と背筋をバイパスするように装着者の外側にフレームを取り付けて、装着者の動きを阻害することなく、腰椎と背筋にかかる力を軽減する。左右の股関節や腰関節付近に取り付けた減速機付き電動モータを用いることなく、電磁コイルを備える電磁クラッチまたはハンドル操作による機械式クラッチを用いることにより、安価で、軽量で、コンパクトで、低消費電力あるいは電力を用いないで、腰の曲げ伸ばし運動を制動することにより、上向きの力モーメントを発生することはできないが、下向きの力モーメントを支えることができるので、中腰姿勢保持のアシストができる。
本発明は、装着者の中腰姿勢保持のアシストだけでなく、2つの部材、たとえば、体幹保持具と大腿保持具などとの角変位の角度をクラッチの接続によって保持して支援し、またはクラッチの遮断によって自由な角変位を可能にする用途に関連して、装着者以外の、たとえば、工業製品などの用途に広範囲に実施できる。
1 装着型姿勢保持装置
2 保持装置
10 装着者
11 体幹
12 大腿
20 体幹上部保持具
30 体幹下部保持具
31 面状フレーム
32 脇部フレーム
32a 外囲片
33 背部フレーム
34 背板
35 外囲部
36 ベルト
39 制御ボックス
40 大腿保持具
45 第2受動回転軸
53 面状フレーム
60、120、140、160 クラッチ
61クラッチ本体
62 回転体
63、123 電磁コイル
65、68、145、148 摩擦板
66、126、146、166 回転軸
69 板ばね
75 軸線
80 大腿フレーム
81 上フレーム片
82 下フレーム片
83 第1受動回転軸
87 電動モータ
89 駆動源
101 押しボタンスイッチ
102 可撓性ケーブル
104 電池
111 制御接点
112 角度検出器
113 処理回路
114 タイマ
115 加速度・角速度検出器
125、165 噛み合い歯付きロータ
128、168 噛み合い歯付きアーマチュア
129、159、179 コイルばね
157、177 ハンドル

Claims (7)

  1. (a)装着者の体幹に装着されて保持される体幹保持具と、
    (b)装着者の大腿に装着されて保持される大腿保持具と、
    (c)股関節付近で、左右方向の軸線まわりの回転軸線を有し、体幹保持具と大腿保持具とを接続、遮断するクラッチと、
    (d)装着者の中腰姿勢でクラッチを接続状態にするクラッチ制御手段とを含み、
    (e)クラッチは、
    クラッチの前記軸線方向に配置される一対のクラッチ部材であって、それらの少なくとも一方が、相互の近接方向に変位して接続状態になり、相互の離反方向に変位して遮断状態になるクラッチ部材と、
    クラッチ部材を相互の近接方向に変位する変位駆動手段と、
    クラッチ部材に相互の離反方向にばね力を与えるばねとを有し、
    クラッチ部材の変位駆動手段による接続状態で、装着者によって予め定める値以上のトルクが作用したとき、一対のクラッチ部材が前記軸線まわりのずれを生じることを特徴とする装着型姿勢保持装置。
  2. クラッチの変位駆動手段は、
    一方のクラッチ部材を、他方のクラッチ部材の近接方向に、ばね力に抗して、電磁力によって変位する電磁コイルを有し、
    クラッチ制御手段は、
    電池と、
    装着者の中腰姿勢を検出し、中腰姿勢になっている期間だけ、電池から電磁コイルに励磁電力を与える中腰姿勢検出制御手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の装着型姿勢保持装置。
  3. 中腰姿勢検出制御手段は、
    装着者の中腰姿勢になったことを検出する中腰姿勢検出手段と、
    装着者の中腰姿勢から起き上がったことを検出する起き上がり検出手段と、
    中腰姿勢検出手段と起き上がり検出手段との出力に応答し、中腰姿勢になった後、起き上がるまでの中腰姿勢になっている期間だけ、電池から電磁コイルに励磁電力を与えるスイッチ手段とを含むことを特徴とする請求項2記載の装着型姿勢保持装置。
  4. 体幹保持具と大腿保持具とのいずれか一方と、クラッチとの間に設けられ、クラッチの接続状態でそのクラッチの回転軸線と共通な直線まわりに、体幹が起き上がるトルクを発生する駆動源をさらに含むことを特徴とする請求項1~3のうちの1つに記載の装着型姿勢保持装置。
  5. (f)体幹保持具は、
    (f1)装着者の体幹上部に装着されて保持される体幹上部保持具20と、
    (f2)装着者の体幹下部に装着されて保持される体幹下部保持具30であって、
    (f2-1)体幹下部の左右両側方から背後にわたって体幹下部の後半周を覆う外囲部と、体幹下部の背後で外囲部から立ち上がる背板とを有する、全体が剛性の面状フレーム31と、
    (f2-2)面状フレームに連結され、体幹下部の左右両側方から腹部にわたって体幹下部の前半周を覆うベルト36とを有する体幹下部保持具30とを含み、
    (g)クラッチ60における前記回転軸線まわりに相互に角変位自在の一対のクラッチ部材のうち、一方のクラッチ部材が面状フレーム31に取り付けられ、
    (h)大腿保持具40と他方のクラッチ部材とに取り付けられる大腿フレーム80であって、
    (h1)股関節付近から大腿に沿って左右両側方で、下方に延びてそれぞれ配置される一対の上フレーム片であって、各上フレーム片の上端部と、他方のクラッチ部材とが、左右方向の軸線まわりの相対的な回転を阻止されて取付けられる上フレーム片81と、
    (h2)大腿保持具40から大腿に沿って左右両側方で、上方に延びてそれぞれ配置される一対の下フレーム片82とを有する大腿フレーム80と、
    (i)各上フレーム片81の下端部と、各下フレーム片82とを、前後方向の軸線まわりに角変位自在にそれぞれ連結する第1受動回転軸83と、
    (j)各下フレーム片82の下端部と、大腿保持具40とを、左右方向の軸線まわりに角変位自在にそれぞれ連結する第2受動回転軸45とを含むことを特徴とする請求項1~のうちの1つに記載の装着型姿勢保持装置。
  6. 面状フレーム31の外囲部は、
    前記一方のクラッチ部材が固定され、上方に立ち上がる左右一対の脇部フレーム32と、
    脇部フレーム32から体幹下部の後方に弯曲して延び、体幹下部の後方で左右の端部が背板34にそれぞれ固定される左右一対の背部フレーム33とを含むことを特徴とする請求項に記載の装着型姿勢保持装置。
  7. 面状フレーム31の外囲部は、
    前記一方のクラッチ部材が固定され、上方から斜め後方に立ち上がって体幹下部の後方に弯曲して延び、体幹下部の後方で左右の端部が背板34にそれぞれ固定される左右一対の外囲片32aを含むことを特徴とする請求項に記載の装着型姿勢保持装置。
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