JP7383270B1 - 装着型支援ロボット装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】物体をワイヤ925で吊り上げるワイヤアシスト力を、肩ベルト921に負担させず、装着者10の荷重による疲労感を軽減する。【解決手段】腕8に連結されるワイヤ925は、ワイヤ駆動機構902の巻胴910によって巻取られる。肩ベルト921で背負う剛性の支持具909は、荷重を腰5の骨盤の上部に伝える横部材918と、ワイヤ駆動機構902が設けられる背後部材917とを有する。ワイヤ925の案内部材926は、肩ベルト921に肩7の頂部よりも前方の胸9の位置で設けられる。ワイヤ925が挿通するスリーブ927は、伸縮せず可撓性を有し、肩7の上方を前後に逆U字状に延びる。スリーブ927の各端部927a、927bは、案内部材926と、ワイヤ駆動機構902の筐体928とに固定される。【選択図】 図1

Description

本発明は、装着者が行なう力作業などを支援するパワーアシストスーツ、パワーアシストロボット装置などとも呼ばれる装着型支援ロボット装置に関する。
本件明細書中、用語「左右方向」、「前後方向」および「上下方向」は、支援される装着者が、上体ともいうことがある体幹とともに両下肢を揃えて直立した、後述の図2~図4に示される姿勢における方向をいう。「正面」、「側面」、「平面」および「背面」は、支援される装着者が直立した姿勢における状態で示す。参照符について、数字の添え字「L」、「R」は装着者の左、右をそれぞれ示し、総括的に示すとき、または煩雑を避けるために、省略するときがある。図面のハッチングは、断面を示すだけでなく、その部分を他と区別するために施すときがある。
ワイヤによって物体を吊り上げてワイヤアシストして装着者を支援する装着型支援ロボット装置の或る従来技術は、特許文献1に開示される。ワイヤの一端部は、装着者の手に連結される。装着者は、ハーネスと称する肩ベルトで胴体部材を背負う。ワイヤは、肩ベルトに装着者の肩よりも後方(すなわち、背中側)で固定された支持部材に、スライド自在に支持される。支持部材を経たワイヤの他端部は、胴体部材の背中部に取り付けられるアクチュエータの巻軸に連結され、支持部材からのワイヤが巻取られる。支持部材には、ワイヤが貫通する可撓性管状部材の固定端が固定され、管状部材は装着者の前方に延び、その自由端が装着者の前側に位置する。この管状部材は、ワイヤが支持部材の出口で急激な角度で屈曲することを低減し、ワイヤの切断を抑制しようとする。
この従来技術では、ワイヤアシストする全ての荷重が、装着者の肩ベルトから肩に作用する。そのため、装着者は疲れやすくなり、長時間にわたる作業、歩行の継続が困難である。また、ワイヤの切断を抑制する前記管状部材が必要である。
特開2020-55685
本発明の目的は、装着者に荷重の負担による疲労感を軽減して長時間にわたる作業、歩行などの継続を可能にするともに、構成を簡略にできる装着型支援ロボット装置を提供することである。
本発明は、
(a) 体幹装着具905であって、
(a1) 剛性の支持具909であって、
装着者10の側方で前後に横に延びて、腰5の上部に配置される横部材918と、
装着者10の後方で横部材918の後端部から上方に延びる背後部材917とを有する支持具909と、
(a2) 支持具909に取り付けられ、装着者10の肩7を覆う肩ベルト921とを有する体幹装着具905と、
(b) 装着者10の腕8に装着される腕保持具924と、
(c) 腕保持具924に連結される一端部925aを有し、可撓性を有し、伸縮しないワイヤ925と、
(d) 肩ベルト921に、装着者10の肩7の頂部よりも前方の胸9の位置で設けられ、ワイヤ925を長手方向に移動自在に案内する案内部材926と、
(e) ワイヤ925が長手方向に移動自在に挿通されるスリーブ927であって、
装着者10の肩7の上方を前後にわたって延び、
スリーブ927の一端部927aは案内部材926に固定され、
スリーブ927の他端部927bは支持具909に固定され、
伸縮しないスリーブ927と、
(f) ワイヤ駆動機構902であって、
支持具909に設けられ、
スリーブ927の他端部927bから外方に延びるワイヤ925の他端部925bに連結され、ワイヤ925を駆動して腕保持具924と案内部材926との間のワイヤ925の長さを変化させて装着者10をワイヤアシストするワイヤ駆動機構902とを含み、
(g) スリーブ927内で張力が作用しているワイヤ925は、スリーブ927の一端部927aに固定されている案内部材926に、装着者10の胸9から離反する上方の力を発生させることを特徴とする装着型支援ロボット装置である。
本発明によれば、装着型支援ロボット装置901の体幹装着具905を装着者10が装着した状態では、剛性の支持具909の横部材918が腰5の上部に配置されるので、腰5によって下向きの荷重を受けることができる。背後部材917は装着者10の後方で横部材918の後端部から上方に延び、この支持具909に取り付けられる肩ベルト921は装着者10の肩7を覆うので、装着者10は背後部材917を背負うことができる。横部材918が配置される腰5の上部は、骨盤における寛骨の上部であってもよい。横部材918は装着者10の腰5に位置し、横部材918の後端部は装着者10の背後に屈曲して連なり、背後部材917は、横部材918の後端部から装着者10の背後で上方に延びて立ち上がる。
腕8に装着される腕保持具924には、可撓性のある伸縮しないワイヤ925の一端部925aが連結される。支持具909には、たとえば、その背後部材917には、ワイヤ駆動機構902が設けられる。ワイヤ駆動機構902には、ワイヤ925の他端部925bが連結され、ワイヤ925がその長手方向に駆動される。
本発明の腕保持具924が装着される腕8は、典型的には手首付近でもよいが、手、手首、前腕、上腕、または上肢などを含む。腕保持具924は、装着者10の前方で物体に着脱できるフックなどの係止具などを含む概念である。
肩ベルト921には、肩7の頂部(たとえば、鎖骨または肩甲骨の直上)よりも前方の胸9の位置に、案内部材926が設けられる。この案内部材926は、ワイヤ925を、その長手方向に移動自在に案内する。
ワイヤ925が長手方向に移動自在に挿通されるスリーブ927は、装着者10の肩7の上方を前後にわたって、したがって逆U字状に弯曲して延びる。スリーブ927の一端部927aは案内部材926に固定される。スリーブ927の他端部927bは、支持具909に固定される。スリーブ927は、伸縮せず、すなわち、長手方向に張力または圧縮力が作用しても長さは変わらない特性を有する。スリーブ927は、可撓性であってもよいが、剛性であってもよい。
動作中、装着者10が、たとえば、手で物体をつかんで持ち上げようとするとき、ワイヤ駆動機構902はワイヤ925に装着者10をワイヤアシストするための張力を発生して、持ち上げ支援する。ワイヤ駆動機構902は、支持具909に設けられ、スリーブ927内からのワイヤ925の他端部925bを引張り駆動する。
ワイヤ925はスリーブ927を挿通し、スリーブ927は、案内部材926と支持具909との間にわたって、肩7の上方を逆U字状に弯曲し、ワイヤ925とスリーブ927はいずれも伸縮しない。そのため、スリーブ927内で張力が作用しているワイヤ925は、スリーブ927の一端部927a、したがって、その一端部927aに固定されている案内部材926に、装着者10の胸9から離反する上方の力を発生させる。したがって、案内部材926が設けられる肩ベルト921を持ち上げてワイヤアシストする力が発生する。この作用によって、装着者10の肩7に作用する荷重が軽減され、または零にされてワイヤアシストされる。
スリーブ927の他端部927bは、支持具909に、したがって、支持具909と一体的に取り付けられる構成要素に固定される。支持具909と一体的に取り付けられる構成要素は、たとえば、後述の実施の一形態では、支持具909の背後部材917に取り付けられるワイヤ駆動機構902の筐体928であり、あるいはまた、たとえば、背後部材917または横部材918などでもよい。
物体を持ち上げるとき、支持具909に設けられるワイヤ駆動機構902がワイヤ925を駆動して、弯曲したスリーブ927内のワイヤ925に張力を発生させる。ワイヤ925に張力が作用することによって、スリーブ927の他端部927bが固定される支持具909には下向きの力が働く。この下向きの力は、剛性の支持具909の横部材918から装着者10の腰5に働く。こうして、ワイヤアシストされて物体を持ち上げるとき、その荷重は腰5で受けられ、肩7に作用する荷重を軽減できる。
支持具909の横部材918は、本件装着型支援ロボット装置901による物体の荷重を受けて、装着者10の腰5に、したがって、腰5から大腿12を含む下肢に伝える作用を果たす。横部材918は、その荷重を装着者の肩7を含む体幹11の上部で受けさせない。このため、ワイヤ925による典型的には持ち上げ、さらには持ち下げ、中腰などの作業の支援のためのワイヤアシスト力が支持具909を通して、確実に遅れずに装着者10に伝わる。
本発明では、持ち上げアシスト力、持ち下げアシスト力、中腰姿勢保持アシスト力が、支持具909の横部材918による骨盤上部、したがって、大腿12を含む下肢に関連して作用するものであって、肩ベルト921を通して体幹11である上体を引張り上げて作用するものではない。したがって、装着者10は、体幹11が背側に凹に弯曲してえびぞりにならず、たとえば、支持具909に取り付けられる肩ベルト921が脇下から上体を引き起こすようにワイヤアシストできる。これによって、ワイヤアシスト力がスムーズに体幹11である上体に伝わるので、疲れにくい。
案内部材926は、装着者10の肩7の頂部よりも前方の胸9の位置で設けられる。ワイヤ925が張力を有して挿通するスリーブ927は、その一端部927aが案内部材926に固定され、逆U字状に弯曲し、その他端部927bが支持具909に、したがって、肩7の頂部よりも後方で、固定される。ワイヤ925は、案内部材926の位置でスリーブ927を抜け出て腕8の腕保持具924に、装着者10の前下方に延びる。したがって、ワイヤ925は、案内部材926の抜け出る位置で急激な角度で屈曲することがないので、ワイヤが損傷せず、切断が抑制される。本発明では、前述の特許文献1におけるワイヤの切断を抑制しようとする管状部材が不要であり、構成を簡略にできる。
案内部材926は、スリーブ927の一端部927aとは別部材とせずに、スリーブ927の一端部927aによって構成されてもよい。
本発明に従えば、横部材918、腕保持具924、ワイヤ925などは、装着者10の左右のうち一方だけに設けられてもよく、したがって、本発明は、案内部材926、スリーブ927、ワイヤ駆動機構902が、左右のうち一方のワイヤ925のためだけに設けられる構成を含む。
本発明は、
(a) 体幹装着具905であって、
(a1) 剛性の支持具909であって、
装着者10の側方で前後に横に延びて、腰5の上部に配置される横部材918と、
装着者10の後方で横部材918の後端部から上方に延びる背後部材917とを有する支持具909と、
(a2) 支持具909に取り付けられ、装着者10の肩7を覆う肩ベルト921とを有する体幹装着具905と、
(b) 装着者10の腕8に装着される腕保持具924と、
(c) 腕保持具924に連結される一端部925aを有し、可撓性を有し、伸縮しないワイヤ925と、
(d) 肩ベルト921に、装着者10の肩7の頂部よりも前方の胸9の位置で設けられ、ワイヤ925を長手方向に移動自在に案内する案内部材926と、
(e) ワイヤ925が長手方向に移動自在に挿通されるスリーブ927であって、
装着者10の肩7の上方を前後にわたって延び、
スリーブ927の一端部927aは案内部材926に固定され、
スリーブ927の他端部927bは支持具909に固定され、
伸縮しないスリーブ927と、
(f) ワイヤ駆動機構902であって、
支持具909に設けられ、
スリーブ927の他端部927bから外方に延びるワイヤ925の他端部925bに連結され、ワイヤ925を駆動して腕保持具924と案内部材926との間のワイヤ925の長さを変化させて装着者10をワイヤアシストするワイヤ駆動機構902とを含み、
(g) スリーブ927内で張力が作用しているワイヤ925は、スリーブ927の一端部927aに固定されている案内部材926に、装着者10の胸9から離反する上方の力を発生させ、
(h) スリーブ927は可撓性を有し、
(i) 案内部材926の肩ベルト921に設けられる位置を、肩ベルト921に沿って調整可能に設定する位置調整具934を含み、
この位置調整具934は、
(i1) 肩ベルト921の表面に沿って肩ベルト921の長手方向に延び、両端部が肩ベルト921に固定される案内帯935と、
(i2) ホルダ940であって、
(i2-1) 肩ベルト921と案内帯935との間に配置され、肩ベルト921の幅方向に延びる移動片941と、
(i2ー2) 移動片941に固定され、案内部材926が取り付けられる保持片942とを有するホルダ940と、
(i3) 長さ調整ベルト943であって、
その一端部943aは、保持片942に案内部材926よりも肩7の頂部7a寄りで取り付けられ、
その他端部943bは、支持具909に取り付けられ、
その長さを調整可能に設定できる長さ調整ベルト943とを有することを特徴とする装着型支援ロボット装置である。
本発明によれば、位置調整具934によって、案内部材926の肩ベルト921における長手方向の位置を調整できる。したがって、複数の各装着者10の人体の大および小に応じて、案内部材926を、肩ベルト921の下方および上方にそれぞれ移動でき、また、スリーブ927は可撓性であるので、その人体の大小に拘らず、案内部材926を、装着者10の肩7の頂部よりも前方の胸9の位置に設定できる。そのため、装着者10による物体の持ち上げ作業時などにおいて、張力が作用しているワイヤ925が挿通するスリーブ927は、案内部材926、したがって、肩ベルト921に、装着者10の上方の力を作用することができ、これによって、肩7が受ける荷重を軽減できる。案内部材926の位置調整によって、人体の大小が異なる装着者10の各人の肩7が受ける荷重を軽減して最小にできる最適な位置を見付けることができる。
本発明によれば、図9に拡大して示されるように、位置調整具934において、ホルダ940の移動片941は、肩ベルト921と案内帯935との間で肩ベルト921の幅方向に延びて配置され、したがって、肩ベルト921の長手方向に沿って移動可能である。移動片941には、案内部材926が取り付けられる保持片942が固定され、こうしてホルダ940が構成される。図8をも併せて参照して、長さを調整可能に設定できる長さ調整ベルト943の一端部943aは、保持片942に案内部材926よりも肩7の頂部7a寄りで取り付けられる。長さ調整ベルト943の他端部943bは、支持具909に、したがって、支持具909と一体的に取り付けられる構成要素に取り付けられる。長さ調整ベルト943の長さを調整することによって、ホルダ940、したがって、案内部材926の位置調整を肩ベルト921に沿って設定できる。
本発明は、
支持具909の横部材918は、装着者10の左右両側方に設けられ、
各横部材918の前端部に、腹4を外囲する腹ベルト34が設けられることを特徴とする。
本発明によれば、装着者10の左右両側方の各横部材918の前端部に腹ベルト34が設けられる。したがって、各横部材918と背後部材917と腹ベルト34とを含んで装着者10の腰5の上部付近のまわりを一周して上下にずれないように囲むことができ、したがって、各横部材918を、装着者10の左右の両側方の腰5の上部に配置することが確実となる。そのため、スリーブ927の他端部927bによる下向きの力を、左右両横部材918によって腰5で受けることが確実になり、その結果、肩7に作用する荷重の負担を軽減することが確実になる。
本発明は、
スリーブ927と長さ調整ベルト943とを、それらの長手方向に相互に変位自在に連結する連結片944を有することを特徴とする。
本発明によれば、連結片944によって、スリーブ927と長さ調整ベルト943とを、それらの長手方向に相互に変位自在に連結するので、装着者10による物体の持ち上げ作業時などにおいて、張力が作用しているワイヤ925が挿通するスリーブ927は、案内部材926および肩ベルト921だけでなく、長さ調整ベルト943にも、装着者10の上方の力を作用することができる。したがって、肩7が受ける荷重をさらに軽減できる。
本発明は、
ワイヤ駆動機構902は、
(m) 左右の腕8に対応する各ワイヤ925の他端部925bにそれぞれ連結され、各ワイヤ925が巻回される巻胴910と、
(n) 背後部材917に取り付けられ、巻胴910を駆動するワイヤ駆動源911と、
(p) ワイヤ駆動源911の出力軸65と巻胴910との間に介在されるクラッチ120であって、クラッチ120は、
(p1) クラッチ120の軸線75の方向に配置される一対のクラッチ部材125、128であって、それらの少なくとも一方が、相互の近接方向に変位して接続状態になり、相互の離反方向に変位して遮断状態になるクラッチ部材125、128と、
(p2) クラッチ部材125、128に遮断状態にする相互の離反方向にばね力を与えるばね129と、
(p3) クラッチ部材125、128を相互の近接方向に、ばね力に抗して、電磁力によって変位して接続状態にする電磁コイル123とを有し、
(p4) クラッチ部材125、128の電磁コイル123による接続状態で、ワイヤ925の張力によって巻胴910に予め定める値Tq1以上のトルクが作用したとき、一対のクラッチ部材125、128が前記軸線75まわりのずれを生じるクラッチ120とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、図10、図11を参照して、支持具909に設けられるワイヤ駆動機構902のワイヤ駆動源911は、背後部材917に取り付けられ、電磁コイル123の電磁力によって接続状態にあるクラッチ120を介して巻胴910を駆動し、左右の腕8に対応する各ワイヤ925を巻回してワイヤ925に張力を与える。中腰作業での中腰姿勢保持および持ち上げを、体幹11にワイヤ駆動源911による上向きの力モーメントを作用してワイヤアシストすることによって、腰痛を防ぐべく腰椎(腰関節)と背筋をアシストすることができる。こうして、持ち上げのワイヤアシスト時、すなわち、ワイヤ925の巻取り時、ワイヤ駆動源911の動力によって接続状態のクラッチ120で巻胴910を駆動し、ワイヤ925を引張り、持ち上げのワイヤアシストを開始する。
クラッチ120の一対のクラッチ部材125、128は、たとえば、摩擦板であり、または噛み合い歯付きロータであるクラッチ部材128とアーマチュアであるクラッチ部材125(図12)であり、持ち上げアシスト時、装着者10がワイヤ925を予め定める張力値Ts1(たとえば、5kg)以上で引張り、それによって巻胴910に予め定めるトルク値Tq1(たとえば、1.8N・m)以上のトルクが作用したとき、電磁コイル123の電磁力に抗して、一対のクラッチ部材125、128間のばね129による離反方向に作用するばね力とともに、一対のクラッチ部材125、128が前記軸線75まわりのずれを生じて、いわば、滑りを生じる。したがって、装着者の安全が確保される。
また、ワイヤ駆動源911が回転駆動したままで、接続状態のクラッチ120が前述のように滑るので、ワイヤ925に前記予め定める張力値(たとえば、5kg)の張力の発生を維持して持ち上げアシストを継続できる。ワイヤ駆動源911は、前記予め定めるトルク値Tq1を超えるトルクで出力軸65を駆動し、クラッチ120を介して巻胴910を回転して、ワイヤ925を巻取る。
ワイヤ925を前記予め定める張力値以上の張力で引張ると、クラッチ120が滑るので、装着者10には左右合わせて前記予め定める張力値の2倍(たとえば、10(=5×2)kg)の持ち上げのワイヤアシストになる。
巻胴910は、左右の腕8に対応する各ワイヤ925を共通に巻取るために、単一個だけ設けられてもよい。
特に、後述の図10に示される実施の形態のとおり、左右の腕8に対応する各ワイヤ925毎に、巻胴910とクラッチ120との組合せをそれぞれ設けることもできる。これによって、持ち上げのワイヤアシスト時、各ワイヤ925の引張り長さが異なる状態であっても、ワイヤ駆動源911が回転駆動したままで、各クラッチ120が個別的に滑り動作を行ない、各ワイヤ925を予め定める巻取り状態にそれぞれ巻取ることができる。
ワイヤ駆動源911は、巻胴910とクラッチ120との各組合せ毎に設けてもよいが、図10のように、単一のワイヤ駆動源911の動力を、歯車912、913L、913Rから成る歯車列などの動力伝達手段914で各組合せに共通に与えるようにしてもよい。
本発明は、
ワイヤ駆動機構902は、
(q) 巻胴910の軸線と共通の一直線上にある軸線75を有し、巻胴910を挿通し、クラッチ120の出力によって回転駆動される回転軸126と、
(r) 捩り(ねじり)ばね構造体915であって、捩りばね916を有し、この捩りばね916は、巻胴910と回転軸126との前記共通の一直線上にある軸線75を有し、捩りばね916の一端部916aは巻胴910に取り付けられ、捩りばねの他端部916bは支持具909に取り付けられ、装着者10のワイヤアシストのために巻胴910によるワイヤ925の巻取り方向への回転軸126の回転動力を巻胴910に伝達するとともに、捩りばね916によって巻胴910にワイヤ925の弛み(ゆるみ)を除去するための巻取り方向の弾発的なトルクを付与する捩りばね構造体915とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、接続状態のクラッチ120によって回転軸126が回転駆動され、したがって、図11のように、巻胴910はワイヤ925の巻取り方向へ回転され、装着者10が物体を持ち上げるワイヤアシストが達成される。
捩りばね構造体915は、捩りばね916によって、巻胴910にワイヤ925の弛みを除去するための巻取り方向の弾発的なトルクを付与している。したがって、クラッチ120が接続状態で持ち上げのワイヤアシストからクラッチ120が遮断状態に切換ったとき、巻胴910は、捩りばね916によって付与されているワイヤ925の巻取り方向の弾発的なトルクによって、ワイヤ925の弛みを除去する。
クラッチ120が遮断状態で、装着者10が腕保持具924を腕8から外したときも、捩りばね916によって、巻胴910はワイヤ925を巻取り、本件装着型支援ロボット装置901は装着者10に装着される前の、たとえば、保管時の準備状態に戻る。したがって、本件装着型支援ロボット装置901を使用しないとき、ワイヤ925が長く延びて巻胴910から巻き出されたままになる不都合が避けられ、支障は生じない。捩りばね916によって巻胴910に付与される巻取り方向の弾発的なトルクTq2(Tq2<Tq1)は、ワイヤ925に、たとえば、500g~1kgの張力Ts2(Ts2<Ts1)を発生させる。
装着者10が物体を持ち上げて作業をする際、装着者10が腕8を伸ばしてワイヤ925が巻胴910から巻出された最大長さL1から物体を持ち上げてワイヤアシストされた最小長さL2までの作業長さL3(=L1―L2)分を巻取る巻胴910の総回転数N1以上にわたって、捩りばね構造体915の捩りばね916はワイヤ925の弛みを除去するための巻取り方向の弾発的なトルクを付与する。
捩りばね916は、ぜんまいばね、渦巻きばね、または捩りコイルばねなどによって実現される。
本発明は、
ワイヤ駆動機構902は、
巻胴910が各ワイヤ925毎に設けられ、
各巻胴910毎にクラッチ120がそれぞれ連結され、
単一のワイヤ駆動源911の出力軸の動力を各クラッチ120にそれぞれ伝達する動力伝達手段914が設けられて構成されることを特徴とする。
本発明によれば、図10のように、単一のワイヤ駆動源911の出力軸65の動力が、たとえば、歯車912、913L、913Rによって実現される動力伝達手段914を介して、左右の各腕8毎のワイヤ925のためのクラッチ120を経て各巻胴910にそれぞれ与えられる。したがって、左右の各ワイヤ925の引張る長さが異なる状態でも、単一のワイヤ駆動源911を回転させておくことで、そのワイヤ駆動源911で最後まで、すなわち、各ワイヤ925毎に希望する巻上げ状態になるまで巻取ることができる。
本発明は、
(j) 装着者10の左右の各大腿12に装着されて保持される大腿保持具40と、
(k) 体幹11の下部11aから大腿12にわたって左右両側方で、上下に延びてそれぞれ配置される一対の下アーム80であって、各下アーム80の下端部は、大腿保持具40にそれぞれ連結される下アーム80と、
(L) 大腿駆動機構903であって、
装着者10の左右両側方の各横部材918にそれぞれ取り付けられ、左右方向の軸線まわりに駆動トルクを発生して各下アーム80の上端部を駆動する一対の大腿駆動源60を有し、
各大腿駆動源60の駆動トルクによって、横部材918と左右の各大腿12との間に体幹11が起き上がる支援力モーメントをそれぞれ与える大腿駆動機構903とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、図1、図6のように、支持具909の横部材918は、本件装着型支援ロボット装置901の荷重を受けて、装着者10の腰5に、したがって、腰5から大腿12を含む下肢に伝える作用を果たす。前述のとおり、横部材918は、その荷重を装着者の肩7を含む体幹11の上部で受けさせない。このため、持ち上げ、持ち下げ、中腰などの作業、歩行の支援のためのアシスト力が支持具909を通して、確実に遅れずに装着者10に伝わる。
本発明では、持ち上げアシスト力、持ち下げアシスト力、中腰姿勢保持アシスト力が、支持具909の横部材918による骨盤上部、したがって、大腿12を含む下肢に関連して作用する。したがって、支持具909に取り付けられる肩ベルト921が脇下から上体を引き起こすようにアシストできる。これによって、アシスト力がスムーズに体幹11である上体に伝わるので、疲れにくい。
一対の大腿駆動源60が、装着者10の体幹11下部の左右両側方にそれぞれ配置されて、左右方向の軸線61(図2、図4)まわりに駆動トルクを発生する。各大腿駆動源60は、体幹11と左右の各大腿12との間に、左右方向の軸線まわりの支援力モーメントを与える。
大腿駆動源60の駆動トルクは、たとえば本発明の実施の一形態では、装着者の骨盤の左右の股関節における寛骨臼に嵌まり込んでいる大腿骨の骨頭の臼状関節としての中心を通る左右方向の一直線上にある軸線61まわりに角変位する。大腿駆動源60の駆動軸が前記一直線上に軸線61を有する構成は、正確に前記一直線上である構成だけでなく、本発明の考え方に従って支援力モーメントを装着者10に円滑に与えることができる構成を含む。
大腿駆動源60は、たとえば、モータとその出力の減速機とによって実現されてもよい。
本発明は、
大腿駆動機構903は、装着者10による持ち上げ作業での持ち上げ力のアシスト、持ち下げ作業時の持ち下げブレーキアシスト、中腰姿勢を保持するために上体の質量を支えるアシストのうちの少なくとも1つを行なうことを特徴とする。
本発明によれば、ワイヤ925、スリーブ927およびワイヤ駆動機構902などによるだけでなく、荷重を、大腿駆動機構903によって大腿12を含む下肢に伝えて装着者10の活動を支援できる。本発明による支援力モーメントは、左右両脚に与えられるモーメントは、たとえば、持ち上げ支援のための持ち上げ力モーメント、持ち下げブレーキ支援のための持ち下げブレーキ力モーメント、中腰支援のための中腰支援力モーメントなどがある。
本発明は、
装着者10の前記左右方向の軸線まわりの体幹11と左右の各大腿12との相対的な角度をそれぞれ検出する一対の角度センサ67と、
装着者10の体幹11に装着され、体幹11の加速度、角速度または角度を検出する検出手段103と、
角度センサ67および検出手段103からの出力に応答し、検出された体幹11と左右の各大腿12との相対的な角度、および検出された体幹11の加速度、角速度または角度が、物体の持ち上げ支援または持ち下げブレーキ支援の開始に対応する値であるとき、左右の大腿駆動源60によって、体幹11と各大腿12との相対的な角度が増大して持ち上げる方向に、持ち上げ力モーメントを与え、または持ち下げる方向に作用しているモーメントを制限するように、持ち下げブレーキ力モーメントを与える大腿駆動源60を制御する制御装置953とを含むことを特徴とする。
左右一対の各角度センサ67(図13)は、エンコーダとも呼ぶことができ、体幹11と左右の各大腿12との間の相対的な角度を、たとえば、大腿駆動源60の出力軸の角度に対応してそれぞれ検出する。
本発明によれば、後述の物体センサ191を使用せず、一対の角度センサ67、および装着者10の体幹11の加速度、角速度または角度を検出する検出手段103を設け、これによって、装着者10の体幹11のたとえば上下方向の加速度α1を検出し、体幹11のたとえば左右方向の軸線61(図2、図4)まわりの角速度ω3を検出し、または体幹11のたとえば左右方向の軸線61まわりの角度を検出する。加速度α1、角速度ω3または角度の値の範囲によって、持ち上げ時のたとえば上下方向の動きの開始または持ち下げ時のたとえば上下方向の動きの開始を判断することができ、またさらに、それらの終了を判断することができる。
本発明は、
装着者10の手16に装着され、手16に物体が作用することを検出する物体センサ191をさらに含み、
制御装置953は、左右の角度センサ67と物体センサ191とからの出力に応答し、物体が検出されているとき、左右の大腿駆動源60によって、体幹11と各大腿12との相対的な角度が増大して持ち上げる方向に、持ち上げ力モーメントを与えることを特徴とする。
本発明によれば、図1、図6、図7のように、装着者10が両手16でまたは片手16で物体を持ち上げるために、手16に作用する物体が物体センサ191によって検出されるとき、制御装置953(図13)は、は、左右の各大腿駆動源60によって、体幹11と各大腿12との相対的な角度が増大して持ち上げる方向に、持ち上げ力モーメントを与える。したがって、装着者10は、物体を持ち上げる作業を容易に行なえる。
さらに、左右の各角度センサ67からの出力に応答し、角速度をそれぞれ演算する角速度演算手段と、装着者の手に装着され、手に物体が作用することを検出する物体センサ191とをさらに含み、制御装置953は、左右の角度センサ67と角速度演算手段と物体センサ191とからの出力に応答し、角速度が持ち下げる方向にあり、かつ物体が検出されているとき、左右の大腿駆動源60によって、体幹11と各大腿12との相対的な角度が減少して持ち下げる方向に作用しているモーメントを制限するように、持ち下げブレーキ力モーメントを与える。こうして、装着者10が両手16でまたは片手16で物体を持ち下げるために、体幹11を前方に傾けて前かがみの姿勢になると、左右の角度センサ67によってそれぞれ検出される体幹11と左右の各大腿12との相対的な角度が減少し、かつ角速度演算手段によって演算される左右の角速度が持ち下げる方向にあり、すなわち相対的な角度が減少してゆき、かつ手16に作用する物体が物体センサ191によって検出されるとき、駆動制御手段は、左右の各大腿駆動源60によって、体幹11と各大腿12との相対的な角度が減少して持ち下げる方向に作用しているモーメントを制限するように、すなわち、持ち上げる方向に、その作用しているモーメント未満である持ち下げブレーキ力モーメントを与える。したがって、装着者10は、物体を持ち下げる作業を容易に行なえる。
物体センサ191は、装着者10の少なくとも左右いずれか一方の手16に設けられる。物体センサ191は、たとえば、装着者10が両手16でまたは片手16で物体を持ち上げるとき、物体によって手に作用する下向きの力を検出する力センサであり、たとえばON/OFFスイッチまたは力に対応した抵抗などの電気的特性が変化する歪ゲージなどで実現されてもよい。物体センサはまた、物体の接触または近接を、たとえば静電容量の変化によって、検出する構成を有してもよい。
制御装置953は、左右の各大腿駆動源60によって、予め定める持ち上げ力モーメントまたは予め定める持ち下げブレーキ力モーメントを出力するように構成してもよい。
物体センサ191が、装着者10によって持ち上げまたは持ち下げる物体の質量を表わす電気信号を出力する構成によって実現され、制御装置953は、物体センサ191の出力に応答し、左右の各大腿駆動源60によって、物体センサ191が検出する物体の質量が大きいほど、持ち上げ力モーメントまたは持ち下げブレーキ力モーメントを大きく設定して出力するように構成してもよい。これによって、装着者10は、物体を持ち上げまたは持ち下げる作業を、物体の質量の大小に拘らず、容易に行なうことができる。さらに、たとえば装着者10は、予め定める一定の質量の持ち上げる方向の負担だけですむように構成することができる。物体センサ191によって持ち上げる物体の質量を検出して、物体の質量が大きいほど、持ち上げ支援力モーメントを大きく調整するように、構成する。これによって、装着者10は、物体の質量の大小に拘らず、予め定める一定の質量の持ち上げる方向の負担だけですむ。
以下に、図面を参照して説明する本発明の多くの実施の形態のうち、或る実施の形態の一部を他の実施の形態に追加し、または取り換えて実現した構成もまた、本発明の精神に含まれる。
本発明の実施の一形態である装着型支援ロボット装置901を装着者10に装着した状態を簡略化して示す右側面図である。 装着型支援ロボット装置901を装着者10に装着した状態を示す正面図である。 装着型支援ロボット装置901の装着状態を示す右側面図である。 装着型支援ロボット装置901の装着状態を示す背面図である。 装着型支援ロボット装置901の背後から見た一部の拡大図である。 支持具909を斜め前方から見た分解斜視図である。 支持具909を斜め後方から見た分解斜視図である。 肩ベルト921、案内部材926、スリーブ927、位置調整具934、ホルダ940などを拡大して示す断面図である。 案内部材926、位置調整具934などを拡大して示す斜視図である。 ワイヤ駆動機構902の構成を模式的に示す水平断面図である。 歯車913Lによって駆動される一方の巻胴910Lとクラッチ120Lとの組合せの具体的な構成を示す断面図である。 捩りばね916を示し、図12(1)は捩りばね916を図11の上方から見た平面図であり、図12(2)は捩りばね916の側面図である。 装着型支援ロボット装置901の電気的構成を示す電気回路図である。 大腿駆動源60の駆動軸によって出力される駆動トルクTrqを説明するための図である。 処理回路119による姿勢情報入力シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。 処理回路119によるアシスト制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
図1は、本発明の実施の一形態である装着型支援ロボット装置901を装着者10に装着した状態を簡略化して示す側面図である。図1を参照して、先ず、本発明の理解を容易にするために、装着型支援ロボット装置901の基本的な構成と動作を説明する。
装着型支援ロボット装置901の体幹装着具905は、剛性の支持具909と、装着者10の肩7を覆う肩ベルト921とを有する。支持具909は横部材918と背後部材917とを有する。横部材918は、装着者10の側方で前後に横に延びて、腰5の上部に配置される。横部材918が配置される腰5の上部は、骨盤における寛骨の上部であってもよい。背後部材917は、平板状に形成され、装着者10の後方で横部材918の後端部から上方に延びる。肩ベルト921は、支持具909に取り付けられる。たとえば、肩ベルト921の一端部は背後部材917に、また、他端部は腹ベルト34に、あるいは背後部材917の下部または横部材918などに取り付けられる。
横部材918は、装着者10の左右両側方に設けられ、各横部材918の前端部(図1の右方の端部)に、腹4を外囲する腹ベルト34が設けられる。したがって、各横部材918と背後部材917と腹ベルト34とを含んで装着者10の腰5の上部付近のまわりを上下にずれないように囲むことができる。そのため、各横部材918を、装着者10の左右の両側方の腰5の上部に配置することが確実となり、スリーブ927の他端部927bによる下向きの力を、左右両横部材918によって腰5で受けることが確実になり、その結果、肩7に作用する荷重の負担を軽減することが確実になる。腹ベルト34は、装着者10の腹4を外囲した状態を連結具35(図2)によって解除でき、装着者10に着脱可能であり、その長さを調整可能に構成される。
装着者10の腕8には、腕保持具924が着脱可能に装着される。ワイヤ925の一端部925aは、腕保持具924に連結される。ワイヤ925は、可撓性を有し、伸縮せず、たとえば、金属または合成樹脂製である。ワイヤ925は、図2、図3のように、腕保持具924と案内部材926との間で、伸縮する蛇腹状のカバーによって覆われてもよい。このカバーは、図2、図3以外では、図示が省略される。
肩ベルト921には、案内部材926が、装着者10の肩7の頂部よりも前方(図1の右方)の胸9の位置で設けられる。案内部材926は、たとえば、短円筒状に形成され、ワイヤ925を長手方向に移動自在に案内する。
ワイヤ925が長手方向に移動自在に挿通されるスリーブ927は、装着者10の肩7の上方を前後にわたって延びる。スリーブ927の一端部927aは案内部材926に固定される。スリーブ927の他端部927bは支持具909に固定される。スリーブ927は、伸縮せず、すなわち、長手方向に張力または圧縮力が作用しても長さは変わらない特性を有する。スリーブ927は、たとえば、密なコイル状に巻回されて構成される金属製または筒状の合成樹脂製であってもよい。スリーブ927は、可撓性でなく、剛性でもよい。
ワイヤ駆動機構902は、支持具909に設けられる。回転駆動される巻胴910は、スリーブ927の他端部927bから外方(図1の下方)に延びるワイヤ925の他端部925bに連結され、ワイヤ925を駆動して腕保持具924と案内部材926との間のワイヤ925の長さを変化させて装着者10をワイヤアシストする。
肩ベルト921には、肩7の頂部(たとえば、鎖骨または肩甲骨の直上)よりも前方(図1の右方)の胸9の位置に、案内部材926が設けられる。この案内部材926は、ワイヤ925を、その長手方向に移動自在に案内する。
ワイヤ駆動機構902は、装着者10が手16」で物体をつかんで持ち上げようとするとき、ワイヤ925に装着者10を持ち上げて支援するための張力を発生して、たとえば、手16でつかんだ物体を吊り上げてワイヤアシストする。ワイヤ駆動機構902は、支持具909に設けられ、スリーブ927内からのワイヤ925の他端部925bを引張り駆動する。
ワイヤ925はスリーブ927を挿通し、スリーブ927は、案内部材926と支持具909との間にわたって、肩7の上方を逆U字状に弯曲し、ワイヤ925とスリーブ927はいずれも伸縮しない。そのため、スリーブ927内で張力が作用しているワイヤ925は、スリーブ927の一端部927a、したがって、その一端部927aに固定されている案内部材926に、装着者10の胸9から離反する上方の力を発生させる。したがって、案内部材926が設けられる肩ベルト921を持ち上げてワイヤアシストする力が発生する。この作用によって、装着者10の肩7に作用する荷重が軽減され、または零にされてワイヤアシストされる。
スリーブ927の他端部927bは、支持具909に、したがって、実施の一形態では、支持具909の背後部材917に取り付けられるワイヤ駆動機構902の筐体928に固定される。
物体を持ち上げるとき、支持具909に設けられるワイヤ駆動機構902がワイヤ925を引張り駆動して、弯曲したスリーブ927内のワイヤ925に張力を発生させる。ワイヤ925に張力が作用することによって、スリーブ927の他端部927bが固定される支持具909には下向きの力が働く。この下向きの力は、剛性の支持具909の横部材918から装着者10の腰5に働く。こうして、ワイヤアシストされて物体を持ち上げるとき、その荷重は腰5で受けられ、肩7に作用する荷重を軽減できる。支持具909の横部材918は、本件装着型支援ロボット装置901による物体の荷重を受けて、装着者10の腰5に、したがって、腰5から大腿12を含む下肢に伝える作用を果たす。
持ち上げアシスト力、持ち下げアシスト力、中腰姿勢保持アシスト力は、支持具909の横部材918による骨盤上部、したがって、大腿12を含む下肢に関連して作用するものであって、肩ベルト921を通して体幹11である上体を引張り上げて作用するものではない。したがって、装着者10は、体幹11が背側に凹に弯曲してえびぞりにならず、たとえば、支持具909に取り付けられる肩ベルト921が脇下から上体を引き起こすようにワイヤアシストできる。これによって、ワイヤアシスト力がスムーズに体幹11である上体に伝わるので、疲れにくい。
案内部材926は、装着者10の肩7の頂部よりも前方の胸9の位置で設けられる。ワイヤ925が張力を有して挿通するスリーブ927は、その一端部927aが案内部材926に固定され、逆U字状に弯曲し、その他端部927bが支持具909に、したがって、肩7の頂部よりも後方で、固定される。ワイヤ925は、腕8の腕保持具924から上方に延び、案内部材926からスリーブ927の一端部927aに入り、スリーブ927内を経て他端部927bから抜け出て、ワイヤ駆動機構902の巻胴910に巻取られる。ワイヤ925は、案内部材926から腕8までにわたって装着者10の前下方に延びる。したがって、ワイヤ925は、案内部材926の腕8に向けて抜け出る位置で急激な角度で屈曲することがないので、ワイヤ925が損傷せず、切断が抑制されることになり、前述の特許文献1におけるよう問題が解決される。
この実施の形態では、スリーブ927は可撓性を有し、案内部材926の肩ベルト921に設けられる位置を、肩ベルト921に沿って調整可能に設定する位置調整具934を含む。案内部材926には、スリーブ927の一端部927aによって装着者10の前下方の力が働く。位置調整具934は、案内部材926の肩ベルト921における長手方向の位置を調整して設定し、案内部材926の不所望な前下方への変位を防ぐ。したがって、複数の各装着者10の人体の大および小に応じて、案内部材926を、肩ベルト921の下方および上方にそれぞれ移動でき、また、スリーブ927は可撓性であるので、その人体の大小に拘らず、案内部材926を、装着者10の肩7の頂部7aよりも前方の胸9の位置に設定できる。そのため、装着者10による物体の持ち上げ作業時などにおいて、張力が作用しているワイヤ925が挿通するスリーブ927は、案内部材926、したがって、肩ベルト921に、装着者10の上方の力を作用することができ、これによって、肩7が受ける荷重を軽減できる。案内部材926の位置調整によって、人体の大小が異なる装着者10の各人の肩7が受ける荷重を軽減して最小にできる最適な位置を見付けることができる。
図2は装着型支援ロボット装置901を装着者10に装着した状態を示す正面図であり、図3は装着型支援ロボット装置901の装着状態を示す右側面図であり、図4は装着型支援ロボット装置901の装着状態を示す背面図であり、図5は装着型支援ロボット装置901の背後から見た一部の拡大図である。図2~図5は、装着者10が、体幹11とともに左右の大腿12を含む両下肢を揃えて直立した姿勢を示す。左右とは、前述のとおり、装着者10における方向を言い、したがって、正面を示す図2における右、左である。装着型支援ロボット装置901は、それを装着した装着者10の正中矢状面13に関して左右にほぼ面対称に構成され、本件明細書、図面中、左右の構成要素の参照符は、左右を個別的に示すために数字に添え字L、Rをそれぞれ付し、総括的に構成を示すために、および冗長を避けるために、数字だけで示すことがある。
これらの図面を参照して、装着型支援ロボット装置901は、左右一対の剛性のL形の支持具909(後述の図6、図7などを参照)と、装着者10の腰5で荷重を受ける外囲保持体930と、上体保持具ということができる左右の肩ベルト921と、装着者10の左右の各大腿12に装着されて保持される大腿保持具40と、体幹下部から大腿12にわたって左右両側方で、上下に延びてそれぞれ配置される一対の下アーム80と、装着者10の体幹下部の左右両側方に配置される一対の大腿駆動源60によって各下アーム80の上端部を駆動して左右の各大腿12に支援力モーメントをそれぞれ与える大腿駆動機構903とを含む。
各肩ベルト921L、921Rには、その長手方向に帯体936(図5)がそれぞれ取り付けられる。帯体936は、連結体948によって横に連結される。これによって、装着者10の作業中、肩ベルト921L、921Rが左右に離間することが防がれる。
図6は支持具909を斜め前方から見た分解斜視図であり、図7は支持具909を斜め後方から見た分解斜視図である。体幹装着具905の支持具909は、横に延びる横部材918と、装着者10の背側で横部材918の後端部から上方に延びる背後部材917とを有する。外囲保持体930(図1)は、縫製品または扁平な可撓性シート状体から成り、袋状であり、またはリュックサック状であり、支持具909を外囲して内包する。支持具909と外囲保持体930とは、相対的な変位が阻止されて相互に固定されて構成される。上体保持具を構成する左右の肩ベルト921の一端部は、支持具909の上部にそれぞれ取り付けられ、肩ベルト921の他端部は、この実施の形態では腹ベルト34に取り付けられる。肩ベルト921は、その長さを調整可能に構成されてもよい。肩ベルト921間を連結する解除自在の胸ベルトが備えられてもよい。
大腿保持具40は、装着者10の左右の各大腿12に装着されて保持される。一対の下アーム80は、体幹11の下部から大腿12にわたって左右両側方で、上下に延びてそれぞれ配置される。各下アーム80の下端部は、大腿保持具40に左右方向の受動回転軸96によってそれぞれ連結される。
大腿駆動機構903は、装着者10の体幹11に装着される支持具909の横部材918にそれぞれ取り付けられる。大腿駆動機構903の左右一対の一対の大腿駆動源60は、左右方向の軸線61(図2、図4)まわりに駆動トルクを発生して各下アーム80の上端部を駆動する。各大腿駆動源60の駆動トルクによって、横部材918と左右の各大腿12との間に支援力モーメントがそれぞれ与えられる。
ヒップベルト946は、図3、図4、図7を参照して、装着者10の殿部6の下部を弧状に弯曲して覆い、その両端部が、外囲保持体930の左右の各側部に取り付けられ、実施の他の形態では、支持具909の左右の各横部材918に、取り付けられる。これによって、ヒップベルト946は、装着者10が物体を持ち上げるとき、支持具909が体幹11の上方に変位してずり上がることを防ぎ、横部材918が腰5、すなわち骨盤の寛骨の上部から離間して頭寄りに上方に変位することを防ぎ、または変位を抑える。ヒップベルト946は、殿部の背側の膨らみの下部、すなわち大殿筋の下部に位置する。ヒップベルト946は、たとえば、可撓性の材料から成ってもよい。
肩ベルト921の長さは、装着者10が装着型支援ロボット装置901を装着して直立した姿勢では、装着者10の肩7の上部から肩ベルト921の下面までの間に、片手の指1~3本、たとえば、2本を上下に重ねた高さを有する隙間が存在するように定められてもよい。肩ベルト921の長さを調整可能な長さ調整具が備えられる構成では、前記隙間が得られるように、設定される。したがって、肩7に装着型支援ロボット装置901の支持具909などを含む、いわゆるパワーアシストスーツ本体の重さが作用せず、これらの荷重は腰5で支えられる。そのため、装着者10に荷重の負担による疲労感を軽減して長時間にわたる作業、歩行などの継続を可能にすることが確実になる。
背後部材917には、軸流ファン949が設けられ、外気を装着者10の背後に噴射し、または背後部材917から装着者10側に取り入れる。2次電池である駆動電源954は、電力消費機器、たとえば、軸流ファン949ならびに筐体928に収容されるワイヤ駆動機構902および制御装置953(図13)などに、さらにクラッチ120、大腿駆動源60などに、電力を供給する。
図8は、肩ベルト921、案内部材926、スリーブ927、位置調整具934、ホルダ940などを拡大して示す断面図である。図9は、案内部材926、位置調整具934などを拡大して示す斜視図である。これらの図面を参照して、図1の本発明の基本的構成の説明といくらか重複して説明する。位置調整具934は、案内部材926の肩ベルト921に設けられる位置を、肩ベルト921に沿って調整可能に設定し、ワイヤアシスト動作中に不所望に前下方にずれることを防ぐ。したがって、案内部材926を、装着者10の肩7の頂部よりも前方の胸9の位置に設定できる。そのため、張力が作用しているワイヤ925が挿通する可撓性スリーブ927は、案内部材926、したがって、肩ベルト921に、装着者10の上方の力を作用することができる。これによって、肩7が受ける荷重を軽減できる。案内部材926の位置調整によって、肩7が受ける荷重を軽減して最小にできる最適な位置を見付けることができる。
位置調整具934は、案内帯935とホルダ940と長さ調整ベルト943とを有する。案内帯935は、肩ベルト921の上方に臨む外表面に沿って肩ベルト921の長手方向に延び、その両端部935a、935bが肩ベルト921にそれぞれ縫い付けられるなどして固定される。案内帯935は、細長く形成され、たとえば、可撓性を有し、布または合成樹脂などから成ってもよい。
ホルダ940は、移動片941と一対の保持片942とを含む。移動片941は、肩ベルト921と案内帯935との間に配置され、肩ベルト921の幅方向に延びるピン状である。各保持片942は、案内帯935の幅方向の両側にそれぞれ配置され、移動片941の両端部に固定される。保持片942の下方側の端部には、連結ピン945が固定される。連結ピン945には、短円筒状の案内部材926の上端部に一体的に形成されるブラケット947が、角変位自在にピン結合される。保持片942の上方側の端部には、もう1つの連結ピン950が固定される。連結ピン945、950は、案内帯935上方で、したがって、肩ベルト921の反対側に配置される。
中央の移動片941は、案内帯935の下で肩ベルト921との間に配置される。保持片942はV字状に形成され、その保持片942の長手方向両端側では連結ピン945、950が案内帯935の上方で肩ベルト921から図8、図9の上方に離反して固定される。これによって、案内帯935は、移動片941と連結ピン945、950との間に配置され、移動片941が肩ベルト921と案内帯935との間で、肩ベルト921の長手方向に沿う案内帯935の両端部935a、935b間で円滑に移動できる。
長さ調整ベルト943は、その長さを調整可能に設定できる。長さ調整ベルト943の一端部943aは、保持片942に案内部材926よりも肩7の頂部7a寄りで、連結ピン950に取り付けられる。長さ調整ベルト943の他端部943bは、支持具909の背後部材917の上部に取り付けられる。長さ調整ベルト943の長さを調整することによって、ホルダ940、したがって、案内部材926の肩ベルト921に沿う位置の調整を設定できる。
長さ調整ベルト943は、前記一端部943aを有するベルト片951と、前記他端部943bを有するもう1つのベルト片952と、これらのベルト片951、952を連結してベルト片951の長さを変化して調整する長さ調整具955とを有する。長さ調整具955は、カバー体956と、そのカバー体956に長手方向に間隔をあけて固定される支持ピン958、959とを有する。一方のベルト片951は、支持ピン958に巻き掛けられて部分ベルト片951a、951bとして図8に示され、一方の部分ベルト片951aは前述の長さ調整ベルト943の一端部943aを構成し、他方の部分ベルト片951bは肩ベルト921上で肩7から前に垂れて装着者10が手で掴んで引張り操作して、連結ピン950と支持ピン958との間の部分ベルト片951aを短く調整することが容易である。カバー体956には、他方の部分ベルト片951bに摩擦接触して不所望な移動を阻止する突起957が形成される。他方のベルト片952は前述の長さ調整ベルト943の他端部943bを構成するとともに、支持ピン959に連結される。
連結片944(図8)は、スリーブ927と長さ調整ベルト943のベルト片952とを、それらの長手方向に相互に変位自在に連結する。この連結片944によって、装着者10による物体の持ち上げ作業時などにおいて、張力が作用しているワイヤ925が挿通するスリーブ927は、案内部材926および肩ベルト921だけでなく、長さ調整ベルト943にも、装着者10の上方の力を作用することができる。したがって、肩7が受ける荷重をさらに軽減できる。
実施の他の形態では、案内部材926は、スリーブ927の一端部927aによって実現されてもよい。この構成では、その一端部927aは連結ピン945によって保持片942にピン結合される。
スリーブ927と長さ調整ベルト943との左右の各組合せは、装着者10の背後で、連結部材で相互に連結し、または連結部材を使わずに図4、図5のように交差して配置してもよい。これによって、左右の各長さ調整ベルト943が装着者10の左右外方に大きくずれて移動することを防ぎ、円滑な持ち上げ作業ができる。
図10はワイヤ駆動機構902の構成を模式的に示す水平断面図である。筐体928内で、一対の平行な平板状の支持部材961、962は、ステー963によって間隔をあけて保持され、もう1つのステー964によって筐体928に取り付けられる。ワイヤ駆動機構902は、左右の腕8に対応する各ワイヤ925毎に、巻胴910とクラッチ120との組合せをそれぞれ有する。単一のワイヤ駆動源911は、モータ64と減速機66とを有し、その出力軸65の動力は、中央の歯車912とそれに噛合する左右の歯車913L、913Rから成る歯車列などの動力伝達手段914を経て各組合せに共通に与えられ、各巻胴910が駆動される。このように、単一のワイヤ駆動源911の出力軸65の動力が、動力伝達手段914を介して、左右の各腕8毎のワイヤ925のためのクラッチ120を経て各巻胴910にそれぞれ与えられるので、左右の各ワイヤ925の引張る長さが異なる状態でも、単一のワイヤ駆動源911の駆動を続けることによって、そのワイヤ駆動源911で各ワイヤ925毎に希望する巻上げ状態になるまで巻取ることができる。
図11は歯車913Lによって駆動される一方の巻胴910Lとクラッチ120Lとの組合せの具体的な構成を示す断面図である。他方の巻胴910Rについても同じように構成される。各巻胴910には、左右の腕8に対応する各ワイヤ925の他端部925bがそれぞれ連結され、各ワイヤ925が巻回される。巻胴910は、捩りばね構造体915を介して回転軸126に連結される。クラッチ120は、ワイヤ駆動源911の出力軸65と巻胴910との間に介在される。回転軸126は、巻胴910の軸線と共通の一直線上にある軸線75を有し、巻胴910を挿通し、クラッチ120のクラッチ部材128からの出力によって回転駆動される。出力軸65の軸線および回転軸126の軸線75は、装着者10の前後方向に延び、支持部材961、962と垂直であり、ワイヤ駆動機構902の全体を偏平であって小形に構成できる。
一対のクラッチ部材125、128は、クラッチ120の軸線75の方向に配置され、これらのクラッチ部材125、128は、本発明の実施の一形態では、摩擦板である。一方のクラッチ部材128が、フイールド124に設けられる電磁コイル123の励磁の電磁力によって、コイルばね129のばね力に抗して相互の近接方向(図11の下方)に変位して他方のクラッチ部材125と摩擦接触して接続状態になる。電磁コイル123は、クラッチ部材125、128を相互の近接方向に、ばね力に抗して、電磁力によって変位して接続状態にする。電磁コイル123が励磁されずに消磁されると、クラッチ部材128はコイルばね129のばね力によって、クラッチ部材125との相互の離反方向(図11の上方)に変位して空隙Δd1(たとえば、0.3mm)をあけて遮断状態になる。
クラッチ部材125、128の接続状態で持ち上げアシスト時、装着者10がワイヤ925を予め定める張力値Ts1(たとえば、5kg)以上で引張り、それによって巻胴910に予め定めるトルク値Tq1(たとえば、1.8N・m)以上のトルクが作用している状態において、電磁コイル123の電磁力に抗して、一対のクラッチ部材125、128間のばね129による離反方向に作用するばね力とともに、摩擦接触している一対のクラッチ部材125、128が前記軸線75まわりのずれを生じて、いわば、滑りを生じる。したがって、装着者の安全が確保される。こうして、クラッチ部材125、128の電磁コイル123による接続状態において、ワイヤ925の張力によって巻胴910に予め定める値Tq1以上のトルクが作用したとき、一対のクラッチ部材125、128が前記軸線75まわりのずれを生じて滑り、巻胴910からワイヤ925が巻戻され、またはその滑りの状態が保たれる。
ワイヤ駆動源911が回転駆動したままで、接続状態のクラッチ120が前述のように滑るので、ワイヤ925に予め定める張力値の張力の発生を維持して持ち上げアシストを継続できる。ワイヤ駆動源911は、前記予め定めるトルク値Tq1を超えるトルクで出力軸65を駆動し、クラッチ120を介して巻胴910を回転して、ワイヤ925を巻取る。
ワイヤ925を前記予め定める張力値以上の張力で引張ると、クラッチ120が滑るので、装着者10には左右合わせて前記予め定める張力値Ts1の2倍の持ち上げのワイヤアシストになる。
このように、左右の腕8に対応する各ワイヤ925毎に、巻胴910とクラッチ120との組合せをそれぞれ設けることによって、持ち上げのワイヤアシスト時、各ワイヤ925の引張り長さが異なる状態であっても、ワイヤ駆動源911が回転駆動したままで、各クラッチ120が個別的に滑り動作を行ない、各ワイヤ925を予め定める巻取り状態にそれぞれ巻取ることができる。
クラッチ部材128には、回転軸126が挿通し、クラッチ部材128と回転軸126とは平行キーによって一体的に回転する。回転軸126は、軸受131を介してフイールド124に回転自在に設けられる。フイールド124は支持部材961に固定される。回転軸126は、図11のように軸受131のみによる軸線方向の片側支持でもよいが、両端支持でもよい。
一対のクラッチ部材125、128は、相互に対向する摩擦面がほぼ平板状であるので、クラッチ120の接続、遮断を円滑に行なうことができる、という効果がある。
クラッチ120の電磁コイル123を制御するために可撓性ケーブルを介して押しボタンスイッチが繋がれ、装着者10の手元付近にある。可撓性ケーブルは、押しボタンスイッチに接続され、手で握ったまま、たとえ、両手で荷物を持った状態でも、押しボタンスイッチの押しボタンを簡単に押すことができる。電磁コイル123には、押しボタンスイッチ、可撓性ケーブルを介して、電源制御部114(後述の図13)から励磁電力が供給される。押しボタンスイッチは、押しボタンの各回の押圧操作のたびに、on/offのスイッチグ態様が交互に変化する自己保持機能を有する。
本発明の実施の他の形態では、クラッチ120の一方のクラッチ部材125は、噛み合い歯付きロータであり、他方のクラッチ部材128は、噛み合い歯付きアーマチュアであってもよい。クラッチ部材125、128の多数の各噛み合い歯は、回転軸126の軸線75を含む仮想一平面に関して対称に構成される。噛み合い歯が外れることによって、回転軸126の軸線75まわりのずれを生じることが可能である。
ワイヤ駆動機構902の捩りばね構造体915は、捩りばね916を有する。この捩りばね916は、巻胴910と回転軸126との前記共通の一直線上にある軸線75を有する。
図12は捩りばね916を示し、図12(1)は捩りばね916を図11の上方から見た平面図であり、図12(2)は捩りばね916の側面図である。捩りばね916は、たとえば、この実施の形態ではばね用ステンレス鋼製板状のぜんまいばねである。捩りばね916の一端部916aは、回転軸126、したがって、巻胴910に取り付けられる。捩りばね916の他端部916bは、捩りばね構造体915を格納する円筒形ケーシング(図示せず)に取り付けられ、このケーシングは、支持部材962、ステー964から筐体928、したがって、支持具909に取り付けられる。捩りばね916は、比較的長く、そのばね力はそれほど強くないので、ケーシングの内周面にぴったり張り付くことはなく、途中で弛むので、他の部品である巻胴910と接触するのを避けるために、ケーシングに収納している。
捩りばね916は、装着者10のワイヤアシストのために巻胴910によるワイヤ925の巻取り方向966(図12(1)の時計方向)への回転軸126の回転動力を巻胴910に伝達するとともに、捩りばね916によって巻胴910にワイヤ925の弛みを除去するための巻取り方向966の弾発的なトルクを付与する。捩りばね916をリリースする(伸ばす)方向は、ワイヤ925を巻取る時計まわりの方向966である。捩りばね916を捩る(ばねを巻取る)方向は、ワイヤ925を伸ばす方向であり、方向966とは反対の反時計まわりである。
設計の一例を述べる。物体を持ち上げアシストするために、回転軸126がワイヤ925を巻取る回数は、5~6回転程度である。そのため、ワイヤ925の巻取り長さは、巻胴910の径48mmφのとき754~904mm(=48×π×5~6)である。捩りばね916の巻取り長さは、軸径25mmφのとき393~471mm(=25×π×5~6)である。捩りばね916の全長2600mmに比べて、巻取り長さが短く、それほどきつく巻取らないので、ばね力に比例する力は小さくほとんど変らない前述の力500gf~1kgfの張力Ts2で引張る。
捩りばね構造体915は、巻胴910にワイヤ925の弛みを除去するための巻取り方向の弾発的なトルクを付与している。したがって、クラッチ120が接続状態で持ち上げのワイヤアシストからクラッチ120が遮断状態に切換ったとき、巻胴910は、捩りばね916によって付与されているワイヤ925の巻取り方向の弾発的なトルクによって、ワイヤ925の弛みを除去する。
クラッチ120が遮断状態で、装着者10が腕保持具924を腕8から外したときも、捩りばね916によって、巻胴910はワイヤ925を巻取り、本件装着型支援ロボット装置901は装着者10に装着される前の、たとえば、保管時の準備状態に戻る。したがって、本件装着型支援ロボット装置901を使用せず、保管しているとき、ワイヤ925が長く延びて巻胴910から巻き出されたままになる不都合が避けられる。捩りばね916によって巻胴910に付与される巻取り方向の弾発的なトルクTq2(Tq2<Tq1)は、ワイヤ925に、たとえば、前述の500g~1kgの張力Ts2(Ts2<Ts1)を発生させる。
装着者10が物体を持ち上げて作業をする際、装着者10が腕8を伸ばしてワイヤ925が巻胴910から巻出された最大長さL1から物体を持ち上げてワイヤアシストされた最小長さL2までの作業長さL3(=L1―L2)分を巻取る巻胴910の総回転数N1以上にわたって、捩りばね構造体915の捩りばね916はワイヤ925の弛みを除去するための巻取り方向の弾発的なトルクを付与する。
本発明の実施の他の形態では、各ワイヤ925L、925R毎に設けられる巻胴910L、910Rの巻取りのための回転方向を相互に逆となるように、動力伝達手段914を構成してもよい。たとえば、図10の動力伝達手段914における中央の歯車912とそれに噛合する左右の歯車913L、913Rから成る歯車列において、たとえば、中央の歯車912と一方の歯車913Lとの間に1個の歯車を追加して介在し、これによって、一方の歯車913Lと他方の歯車913Rとを相互に逆回転方向に駆動する。これに応じて、捩りばね構造体915Lの構成も捩りばね力の方向が前述と逆に変更される。各歯車913L、913Rによって回転駆動される巻胴910L、910Rが、相互に逆回転方向にワイヤ925L、925Rをそれぞれ巻取る。したがって、巻胴910L、910Rがワイヤ925L、925Rをそれぞれ巻取っている動作中、巻胴910L、910Rがそれらの回転軸126L、126Rにそれぞれ作用する装着者10の左右方向の力の向きが相互に逆であって、相殺する。したがって、回転軸126L、126Rが設けられる支持部材961、962、筐体928、支持具909に装着者10の左方向または右方向の力が発生しない。したがって、ワイヤ925L、925Rをワイヤ925L、925Rに巻取って物体を持ち上げるワイヤアシスト動作中、体幹装着具905が装着者10の身体から左方向または右方向に移動してずれることはない。
再び図1~図7を参照して、大腿駆動機構903は、装着者10による持ち上げ作業での持ち上げ力のアシスト、持ち下げ作業時の持ち下げブレーキアシスト、中腰姿勢を保持するために上体の質量を支えるアシストのうちの少なくとも1つを行なう。さらに、大腿駆動機構903は歩行のアシストも行なうことができる。
大腿駆動源60は、電動モータと減速機とを備え、大腿12に支援力モーメントを与える。これによって、バックドライアブルな電動モータ駆動方式を実現できる。そのため、装着者10側から大腿駆動源60を動かすことができ、駆動電源954がなくなっても装着者10はアシストスーツである装着型支援ロボット装置901を自分の力で動かすことができ、安全である。
図13は、装着型支援ロボット装置901の電気的構成を示す電気回路図である。装着型支援ロボット装置901を動かすための制御装置953は、筐体928内に設けられ、駆動電源954の電力は電源制御部114によって制御されて、モータを含む大腿駆動源60に与えられ、電力駆動される、電源制御部114は、マイクロコンピュータによって実現される。そのモータに内蔵された角度センサ67と、装着者10の腰5などに取り付けた加速度・角速度センサである検出手段103と、手袋190の内側または外側に取り付けたタッチスイッチセンサである物体センサ191との各出力を用いて、前述した持ち上げ力のアシスト、持ち下げ力のブレーキアシスト、中腰作業での中腰姿勢の保持のアシスト、および歩行のアシストのための制御演算を行なう。こうして、角度センサ67は体幹11と左右の各大腿12との間の相対的な角度をそれぞれ検出する。
制御装置953では、いわゆるマイコンボードである配線基板が筐体928に固定され、この配線基板には、マイクロコンピュータによって実現される駆動制御のための処理回路119と、処理回路119に接続される検出手段103と、無線通信部111などとが搭載されて固定される。検出手段103は、装着者10の体幹11の腰の3次元の加速度、すなわち上下方向の加速度α1および前後方向の加速度α2、さらに左右方向の加速度α3をそれぞれ検出する。検出手段103は、加速度を検出するために、ばねで支持された可動体の移動距離を静電容量、ピエゾ効果などの電気信号の変化によって検出する構成を有してもよく、ジャイロも含む。検出手段103は、センサ素子の一方の電極である可動部と他方の電極である固定部との間の静電容量の変化を検出するセンサであってもよく、センサ素子の質量を有する可動部と固定部とをつなぐばね部に取り付けたピエゾ抵抗素子によって、ばね部の歪みの変化を検出するセンサなどであってもよい。検出手段103はまた、装着者10の体幹11における腰5の上下方向の軸線まわりの角速度ω1、前後方向の軸線まわりの角速度ω2、左右方向の軸線まわりの角速度ω3を検出する。
装着者10の手16に装着される手袋190(図6、図7を参照)の外面には、物体センサ191が設けられる。物体センサ191は、たとえば持ち上げ、持ち下げなどする対象である物体に接触したことを検出し、タッチスイッチと呼ばれる構成であってもよく、たとえば物体が接触することによる静電容量の変化を検出し、押された圧力による磁力片のばね力に抗する変位を検出し、または或る程度の荷重とストロークで接点がON/OFFして検出動作する構成などであってもよい。本発明の実施の他の形態では、物体センサ191は、たとえば歪センサなどのように、装着者10が持ち上げ、持ち下げなどする物体の質量を表わす電気信号を出力する構成によって実現されてもよい。
無線通信部111は、無線による通信によって、手袋190の物体センサ191の検出出力を、電池187によって駆動される無線通信部186と通信可能に構成され、これらの手袋190の物体センサ191と処理回路119との情報の中継を行なっている。無線通信部186は、物体センサ191の状態、すなわち、物体センサ191によって検出された検出結果を、無線通信部111を介して処理回路119に送る。処理回路119は、有線による通信によって、各大腿駆動源60のためのモータドライバユニット115と通信するように構成される。
左右の各モータドライバユニット115は、有線による通信によって、処理回路119と通信し、処理回路119からアシストに必要な出力トルク指令などの指令を受けるとともに、大腿駆動源60の角度センサ67からのその駆動軸の回転角度を表す位置情報などの情報を処理回路119へ送っている。検出手段103の出力は、処理回路119に与えられる。
処理回路119は、無線通信部111から与えられる物体センサ191、検出手段103などの情報と、各モータドライバユニット115の角度センサ67から与えられる大腿駆動源60の位置情報とに基づいて、アシストに必要な駆動トルクを計算し、各モータドライバユニット115へ出力トルク指令を送る。
図14は、大腿駆動源60の駆動軸によって出力される駆動トルクを説明するための図である。角度センサ67は、角度θを検出する。角度センサ67は、体幹11と左右の各大腿12との相対的な角度を検出する。角度センサ67は、大腿駆動源60の内部に設けられ、大腿駆動源60の電動モータの出力軸に対応する駆動軸の軸線61まわりの角度を検出する。角度センサ67は、相対角度の計測用である。装着者10が装着型支援ロボット装置901を装着して直立し、体幹11と下肢である大腿12を鉛直にした直立状態で、電源を入れることによって、角度センサ67の原点位置、すなわち角度θが零に決められる。この直立した位置で角度θを零に設定し、それから大腿12を鉛直にしたままで、体幹11が前方に傾いた前かがみの姿勢になると、駆動軸の軸線61まわりの鉛直の直上方向から前かがみの角度θを検出する。また体幹11を鉛直にしたままで、歩行時に遊脚の大腿12を振り上げると、駆動軸の軸線61まわりの鉛直の直下方向に対する角度θを検出する。大腿駆動源60の駆動トルクTrq、したがって支援力モーメントは、各支援動作に共通な予め定める値であってもよく、各支援動作毎に予め定める値であってもよい。
図15は、処理回路119による姿勢情報入力シーケンス処理の処理手順を示すフローチャートである。姿勢情報入力シーケンス処理は、装着者10の姿勢に関するデータを取得する処理である。処理回路119はステップC11に移り、検出手段103からの出力を受信して、読込む。
ステップC12では、処理回路119は、モータエンコーダである各角度センサ67の検出角度θ、および検出手段103の出力を読込む。処理回路119は、パワーアシスト用電動モータである大腿駆動源60に含まれる角度センサ67から、大腿駆動源60の出力軸に対応する駆動軸の回転角度、つまり股関節角度を、各モータドライバユニット115を介して読込む。ステップC13では、処理回路119は、股関節角速度、つまり大腿駆動源60の駆動軸の回転角度の角速度ωを計算して、姿勢情報入力シーケンス処理を終了する。
図16は、処理回路119によるアシスト制御処理の処理手順を示すフローチャートである。処理回路119は、図16に示される大腿駆動のアシスト制御のステップの実行のために、ステップD13、D15に移る。図16のとおり、処理回路119は、持ち上げ・持ち下げ・中腰の各動作を判断して、持ち上げ・持ち下げ・中腰の各アシスト制御のいずれかを実行する。ステップD13、D14は、上体動作の持ち上げ、持ち下げに対する処理である。ステップD15、D16は、中腰動作に対する処理である。上体動作に対する処理および中腰動作に対する処理は、並列に処理される。
ステップD13では、処理回路119は、上体判断を行なう。処理回路119は、角度センサ67の検出角度θおよび検出手段103の出力に応答して、上体動作を行なっているか否かを判断する。上体動作は、持ち上げ、持ち下げのために、上体を曲げ、次に上体を起こす動作である。ステップD14では、処理回路119は、上体制御を行なう。処理回路119は、上体動作を行なっているとき、上体動作をアシストする持ち上げアシスト制御、持ち下げアシスト制御のためのアシストトルクを計算する。処理回路119は、たとえば、両脚に必要な角度θに比例したアシストトルクを算出する。
ステップD15では、処理回路119は、中腰判断を行なう。処理回路119は、角度センサ67の検出角度θおよび検出手段103の出力に応答して、中腰アシスト動作を行なっているか否かを判断する。中腰アシスト動作は、中腰姿勢での動作である。ステップD16では、処理回路119は、中腰アシスト制御を行なう。処理回路119は、中腰アシスト動作を行なっているとき、中腰動作をアシストするためのアシストトルクを計算する。処理回路119は、両脚に必要な、たとえば、両脚に必要な角度θに比例したアシストトルクを算出する。ステップD13~D16は、算出演算動作をするステップである。
ステップD17では、処理回路119は、上体アシスト制御および中腰アシスト制御に関して、ステップD13、D15の各判断に従って重複することなく各アシスト制御出力を調整し、予め設定された優先順位に従って判定を行い、駆動ステップD18で、処理回路119は、前記優先順位に従って、算出したアシストトルクを出力するように、各モータドライバユニット115を制御して、大腿駆動源60のパワーアシスト用電動モータを駆動させて、アシスト制御シーケンス処理を終了する。
本実施形態の処理回路119では、上体アシスト制御である持ち上げアシスト制御、持ち下げアシスト制御の優先度が最も高く、中腰アシスト制御の優先度がそれに続くように予め設定されている。この優先順位は、特に農作業をアシストするために定められたものであり、上体アシスト制御および中腰アシスト制御の優先順位は、必要に応じて、適宜設定変更することができる。
このように、本実施形態では、上体アシスト制御および中腰アシスト制御に関して優先順位を予め設定しておくことによって、処理回路119において装着者10の動作を推定して、上体アシスト制御および中腰アシスト制御が混ざらないように明確に切り分ける。
装着型支援ロボット装置は、物、人体などの物体の移動、取扱いなどのために使用される。たとえば農業の作業支援のために用いられ、農業用以外に工場用や物流用や建設用として、介護用として、身体機能を回復するために歩行リハビリテーション支援用として、使用することができる。さらに、降雪地帯では、雪かき作業に使用できる。災害時の緊急救助作業、およびがれきなどの災害ごみの搬出作業などにも使用できる。
902 ワイヤ駆動機構
903 大腿駆動機構
905 体幹装着具
909 支持具
910 巻胴
911 ワイヤ駆動源
914 動力伝達手段
915 捩りばね構造体
916 捩りばね
917 背後部材
918 横部材
921 肩ベルト
924 腕保持具
925 ワイヤ
926 案内部材
927 スリーブ
934 位置調整具
935 案内帯
940 ホルダ
941 移動片
942 保持片
943 長さ調整ベルト
944 連結片
953 制御装置
4 腹
5 腰
7 肩
8 腕
9 胸
10 装着者
11 体幹
12 大腿
16 手
34 腹ベルト
40 大腿保持具
60 大腿駆動源
67 角度センサ
80 下アーム
103 検出手段
120 クラッチ
123 電磁コイル
126 回転軸
125、128 クラッチ部材
129 ばね
191 物体センサ

Claims (12)

  1. (a) 体幹装着具であって、
    (a1) 剛性の支持具であって、
    装着者の側方で前後に横に延びて、腰の上部に配置される横部材と、
    装着者の後方で横部材の後端部から上方に延びる背後部材とを有する支持具と、
    (a2) 支持具に取り付けられ、装着者の肩を覆う肩ベルトとを有する体幹装着具と、
    (b) 装着者の腕に装着される腕保持具と、
    (c) 腕保持具に連結される一端部を有し、可撓性を有し、伸縮しないワイヤと、
    (d) 肩ベルトに、装着者の肩の頂部よりも前方の胸の位置で設けられ、ワイヤを長手方向に移動自在に案内する案内部材と、
    (e) ワイヤが長手方向に移動自在に挿通されるスリーブであって、
    装着者の肩の上方を前後にわたって延び、
    スリーブの一端部は案内部材に固定され、
    スリーブの他端部は支持具に固定され、
    伸縮しないスリーブと、
    (f) ワイヤ駆動機構であって、
    支持具に設けられ、
    スリーブの他端部から外方に延びるワイヤの他端部に連結され、ワイヤを駆動して腕保持具と案内部材との間のワイヤの長さを変化させて装着者をワイヤアシストするワイヤ駆動機構とを含み、
    (g) スリーブ内で張力が作用しているワイヤは、スリーブの一端部に固定されている案内部材に、装着者の胸から離反する上方の力を発生させることを特徴とする装着型支援ロボット装置。
  2. スリーブは可撓性を有し、
    案内部材の肩ベルトに設けられる位置を、肩ベルトに沿って調整可能に設定する位置調整具を含むことを特徴とする請求項1に記載の装着型支援ロボット装置。
  3. (a) 体幹装着具であって、
    (a1) 剛性の支持具であって、
    装着者の側方で前後に横に延びて、腰の上部に配置される横部材と、
    装着者の後方で横部材の後端部から上方に延びる背後部材とを有する支持具と、
    (a2) 支持具に取り付けられ、装着者の肩を覆う肩ベルトとを有する体幹装着具と、
    (b) 装着者の腕に装着される腕保持具と、
    (c) 腕保持具に連結される一端部を有し、可撓性を有し、伸縮しないワイヤと、
    (d) 肩ベルトに、装着者の肩の頂部よりも前方の胸の位置で設けられ、ワイヤを長手方向に移動自在に案内する案内部材と、
    (e) ワイヤが長手方向に移動自在に挿通されるスリーブであって、
    装着者の肩の上方を前後にわたって延び、
    スリーブの一端部は案内部材に固定され、
    スリーブの他端部は支持具に固定され、
    伸縮しないスリーブと、
    (f) ワイヤ駆動機構であって、
    支持具に設けられ、
    スリーブの他端部から外方に延びるワイヤの他端部に連結され、ワイヤを駆動して腕保持具と案内部材との間のワイヤの長さを変化させて装着者をワイヤアシストするワイヤ駆動機構とを含み、
    (g) スリーブ内で張力が作用しているワイヤは、スリーブの一端部に固定されている案内部材に、装着者の胸から離反する上方の力を発生させ、
    (h) スリーブは可撓性を有し、
    (i) 案内部材の肩ベルトに設けられる位置を、肩ベルトに沿って調整可能に設定する位置調整具を含み、
    この位置調整具は、
    (i1) 肩ベルトの表面に沿って肩ベルトの長手方向に延び、両端部が肩ベルトに固定される案内帯と、
    (i2) ホルダであって、
    (i2-1) 肩ベルトと案内帯との間に配置され、肩ベルトの幅方向に延びる移動片と、
    (i2ー2) 移動片に固定され、案内部材が取り付けられる保持片とを有するホルダと、
    (i3) 長さ調整ベルトであって、
    その一端部は、保持片に案内部材よりも肩の頂部寄りで取り付けられ、
    その他端部は、支持具に取り付けられ、
    その長さを調整可能に設定できる長さ調整ベルトとを有することを特徴とする装着型支援ロボット装置。
  4. 支持具の横部材は、装着者の左右両側方に設けられ、
    各横部材の前端部に、腹を外囲する腹ベルトが設けられることを特徴とする請求項1または3に記載の装着型支援ロボット装置。
  5. スリーブと長さ調整ベルトとを、それらの長手方向に相互に変位自在に連結する連結片を有することを特徴とする請求項3に記載の装着型支援ロボット装置。
  6. ワイヤ駆動機構は、
    (m) 左右の腕に対応する各ワイヤの他端部にそれぞれ連結され、各ワイヤが巻回される巻胴と、
    (n) 背後部材に取り付けられ、巻胴を駆動するワイヤ駆動源と、
    (p) ワイヤ駆動源の出力軸と巻胴との間に介在されるクラッチであって、クラッチは、
    (p1) クラッチの軸線の方向に配置される一対のクラッチ部材であって、それらの少なくとも一方が、相互の近接方向に変位して接続状態になり、相互の離反方向に変位して遮断状態になるクラッチ部材と、
    (p2) クラッチ部材に遮断状態にする相互の離反方向にばね力を与えるばねと、
    (p3) クラッチ部材を相互の近接方向に、ばね力に抗して、電磁力によって変位して接続状態にする電磁コイルとを有し、
    (p4) クラッチ部材の電磁コイルによる接続状態で、ワイヤの張力によって巻胴に予め定める値Tq1以上のトルクが作用したとき、一対のクラッチ部材が前記軸線まわりのずれを生じるクラッチとを含むことを特徴とする請求項4に記載の装着型支援ロボット装置。
  7. ワイヤ駆動機構は、
    (q) 巻胴の軸線と共通の一直線上にある軸線を有し、巻胴を挿通し、クラッチの出力によって回転駆動される回転軸と、
    (r) 捩りばね構造体であって、捩りばねを有し、この捩りばねは、巻胴と回転軸との前記共通の一直線上にある軸線を有し、捩りばねの一端部は巻胴に取り付けられ、捩りばねの他端部は支持具に取り付けられ、装着者のワイヤアシストのために巻胴によるワイヤの巻取り方向への回転軸の回転動力を巻胴に伝達するとともに、捩りばねによって巻胴にワイヤの弛みを除去するための巻取り方向の弾発的なトルクを付与する捩りばね構造体とを含むことを特徴とする請求項6に記載の装着型支援ロボット装置。
  8. ワイヤ駆動機構は、
    巻胴が各ワイヤ毎に設けられ、
    各巻胴毎にクラッチがそれぞれ連結され、
    単一のワイヤ駆動源の出力軸の動力を各クラッチにそれぞれ伝達する動力伝達手段が設けられて構成されることを特徴とする請求項6に記載の装着型支援ロボット装置。
  9. (j) 装着者の左右の各大腿に装着されて保持される大腿保持具と、
    (k) 体幹の下部から大腿にわたって左右両側方で、上下に延びてそれぞれ配置される一対の下アームであって、各下アームの下端部は、大腿保持具にそれぞれ連結される下アームと、
    (L) 大腿駆動機構であって、
    装着者の左右両側方の各横部材にそれぞれ取り付けられ、左右方向の軸線まわりに駆動トルクを発生して各下アームの上端部を駆動する一対の大腿駆動源を有し、
    各大腿駆動源の駆動トルクによって、横部材と左右の各大腿との間に体幹が起き上がる支援力モーメントをそれぞれ与える大腿駆動機構とを含むことを特徴とする請求項4に記載の装着型支援ロボット装置。
  10. 大腿駆動機構は、装着者による持ち上げ作業での持ち上げ力のアシスト、持ち下げ作業時の持ち下げブレーキアシスト、中腰姿勢を保持するために上体の質量を支えるアシストのうちの少なくとも1つを行なうことを特徴とする請求項9に記載の装着型支援ロボット装置。
  11. 装着者の前記左右方向の軸線まわりの体幹と左右の各大腿との相対的な角度をそれぞれ検出する一対の角度センサと、
    装着者の体幹に装着され、体幹の加速度、角速度または角度を検出する検出手段と、
    角度センサおよび検出手段からの出力に応答し、検出された体幹と左右の各大腿との相対的な角度、および検出された体幹の加速度、角速度または角度が、物体の持ち上げ支援または持ち下げブレーキ支援の開始に対応する値であるとき、左右の大腿駆動源によって、体幹と各大腿との相対的な角度が増大して持ち上げる方向に、持ち上げ力モーメントを与え、または持ち下げる方向に作用しているモーメントを制限するように、持ち下げブレーキ力モーメントを与える大腿駆動源を制御する制御装置とを含むことを特徴とする請求項10に記載の装着型支援ロボット装置。
  12. 装着者の手に装着され、手に物体が作用することを検出する物体センサをさらに含み、
    制御装置は、左右の角度センサと物体センサとからの出力に応答し、物体が検出されているとき、左右の大腿駆動源によって、体幹と各大腿との相対的な角度が増大して持ち上げる方向に、持ち上げ力モーメントを与えることを特徴とする請求項11に記載の装着型支援ロボット装置。
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