(詳細な説明)
特定の実施態様が論じられているが、本明細書は単に例示的なものであって、限定的なものではない。本開示の多くのバリエーションは、本明細書を概観することにより、当業者に明らかとなるであろう。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中で言及される特許及び刊行物は全て、引用により組み込まれる。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「該(the)」は、文脈によりそうでないことが明確に定められない限り、複数形の指示対象を含む。
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容誤差を意味し、これは、一つには、該値がどのようにして測定又は決定されるかによって決まる。ある実施態様において、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。ある実施態様において、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、所与の値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
本明細書で使用される場合、「患者」又は「対象」という用語は、治療、観察、及び/もしくは実験の対象となるであろう又は該対象となっている、動物、典型的には、ヒト(例えば、任意の年齢層の男女、例えば、小児患者(例えば、乳児、幼児、青少年)もしくは成人患者(例えば、若年成人、中年成人、もしくは高年成人)又は他の哺乳動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);他の哺乳動物、例えば、齧歯類(マウス、ラット)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ;及び/或いは鳥類を指す。この用語が化合物又は薬物の投与と併せて使用される場合、患者は、該化合物又は薬物の治療、観察、及び/又は投与の対象となっている。
「治療効果」は、その用語が本明細書で使用される場合、本明細書に記載の治療的利益及び/又は予防的利益を包含する。予防効果には、疾患もしくは疾病態の出現の遅延もしくは消失、疾患もしくは疾病の症状の発症の遅延もしくは消失、疾患もしくは疾病の進行の減速、停止、もしくは逆転、又はこれらの任意の組合せが含まれる。
「有効量」という用語は、下に示すような、疾患治療を含むが、これに限定されない、意図される適用を達成するのに十分である本明細書に記載の化合物又は医薬組成物の量を指す。有効量は、意図される用途(インビトロもしくはインビボ)、又は治療されている対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与様式などによって異なることができ、これは、当業者によって容易に決定されることができる。この用語は、標的細胞における特定の応答を誘導する用量にも適用される。具体的な用量は、例えば、選択された特定の化合物、従うべき投与レジメン、それが他の薬剤と組み合わせて投与されるかどうかということ、投与のタイミング、それが投与される組織、及びそれが運搬される物理的送達系によって異なる。
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、「緩和する」、及び「改善する」という用語は、本明細書で互換的に使用される。これらの用語は、限定されないが、治療的利益及び/又は予防的利益を含む、有益な又は所望の結果を得るための手法を指す。治療的利益とは、治療されている基礎疾患の根絶又は改善を意味する。また、治療的利益は、患者が基礎疾患にまだ罹患している可能性があるとしても、患者において改善が見られるように、基礎疾患と関連する生理的症状の1つ又は複数を根絶又は改善することによって得られる。予防的利益のために、医薬組成物を、特定の疾患を発症するリスクのある患者、又は疾患の生理的症状の1つ又は複数を訴える患者に、この疾患の診断を下すことができなかった場合でも、投与することができる。一実施態様において、これらの用語は、対象が罹患している疾病を部分的に又は完全に阻害又は軽減することも指す。一実施態様において、これらの用語は、患者が疾病に罹患しているか、又は疾患と診断されている間に行われる行為であって、疾病の重症度を低下させ、又は疾病の進行を遅延もしくは減速させる、行為を指す。治療が疾病の完全な治癒をもたらす必要はなく;疾病の部分的な阻害又は軽減がこの用語に包含される。治療は、予防(prevention)又は予防(prophylaxis)を包含することが意図される。
本明細書で使用される「治療有効量」は、単独で又は組み合わせて投与したとき、疾病の治療における治療的利益を提供し、又は疾病と関連する1以上の症状を遅延もしくは最小化するのに十分である、化合物、例えば、PI3Kモジュレーターの最小量又は最小濃度を指す。「治療有効量」という用語は、治療全体を改善するか、疾病の症状もしくは原因を軽減もしくは回避するか、又は別の治療剤の治療効力を増強する量を包含することができる。治療量が疾病の完全な治癒をもたらす必要はなく;疾病の部分的な阻害又は軽減がこの用語に包含される。治療有効量は、予防有効量を包含することもできる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、及び「予防」という用語は、対象が、疾病、又は疾病の再発に苦しみ始める前に行われる行為を指す。予防が疾病の完全な予防をもたらす必要はなく;疾病又は疾病の症状の部分的な予防もしくは軽減、又は該疾病を発症するリスクの軽減がこの用語に包含される。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、化合物、例えば、PI3Kモジュレーターの「予防有効量」は、単独で又は組み合わせて投与したとき、疾病を発症するリスク、又は疾病と関連する1以上の症状を予防もしくは軽減し、又はその再発を予防する。「予防有効量」という用語は、予防全体を改善するか、又は別の予防剤の予防効力を増強する量を包含することができる。予防量が疾病の完全な予防をもたらす必要はなく;疾病の部分的な予防又は軽減がこの用語に包含される。
本明細書で使用される場合、疾病又は疾病と関連する症状を「減少させること」、「改善すること」、「軽減すること」、「治療すること」(など)は、疾病の症状の重症度及び/又は頻度を低下させること、並びに(例えば、症状の突発の重症度及び/又は頻度を低下させることによって)疾病及び/又は疾病の症状を予防することを含む。いくつかの実施態様において、症状は、対照レベルと比べて、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適当な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、治療される試料もしくは対象における治療前レベルであることができ、又はそれは、対照集団内のレベル(例えば、疾病を有しない対象におけるレベルもしくは疾病を有しない対象に由来する試料中のレベル)であることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適当なパラメトリック又は非パラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
本明細書で使用される場合、「薬剤」又は「生体活性剤」又は「第二の活性剤」は、生物学的、薬学的、もしくは化学的な化合物、又は他の部分を指す。非限定的な例としては、単純なもしくは複雑な有機もしくは無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、又は化学療法化合物、及びこれらの代謝産物が挙げられる。様々な化合物、例えば、小分子及びオリゴマー(例えば、オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチド)、並びに様々なコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができる。さらに、様々な天然供給源、例えば、植物又は動物抽出物などは、スクリーニング用の化合物を提供することができる。当業者は、本開示の薬剤の構造的性質に関して制限がないことを容易に認識することができる。
本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を惹起又は増強する、例えば、標的タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を増大させる能力を有する化合物又は薬剤を指す。したがって、「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的役割との関連において定義される。本明細書中のいくつかのアゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)が、標的ポリペプチドがそのメンバーとなっているシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的活性を惹起又は増強する化合物及び/又は薬剤も、この定義に特に含まれる。
「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は互換的に使用され、それらは、例えば、標的タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を阻害することによって、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を阻害する能力を有する化合物又は薬剤を指す。したがって、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的役割との関連において定義される。本明細書中のいくつかのアンタゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)が、標的タンパク質又はポリペプチドのシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的活性を阻害する化合物も、この定義に特に含まれる。アンタゴニストによって阻害される生物学的活性の非限定的な例としては、腫瘍の発生、成長、もしくは伝播、又は自己免疫疾患において現れるような望ましくない免疫応答と関連するものが挙げられる。
「抗癌剤」、「抗腫瘍剤」、又は「化学療法剤」は、腫瘍状態の治療において有用な任意の薬剤を指す。抗癌剤の1つのクラスは化学療法剤を含む。「化学療法」は、1以上の化学療法薬及び/又は他の薬剤を、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、もしくは口腔内投与、又は吸入を含む様々な方法によるか、或いは坐剤の形態で、癌患者に投与することを意味する。
「細胞増殖」という用語は、細胞数が***の結果として変化する現象を指す。この用語は、細胞形態が増殖性シグナルに従って変化する(例えば、大きさが増加する)細胞成長も包含する。
本明細書で使用される「共投与」、「と組み合わせて投与される」という用語、及びそれらの文法的同等表現は、2以上の薬剤を、両方の薬剤及び/又はそれらの代謝産物が対象内で同時に存在するように対象に投与することを包含する。共投与は、別々の組成物中での同時投与、別々の組成物中での異なる時間での投与、又は両方の薬剤が存在する1つの組成物中での投与を含む。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)モジュレーター」又は「PI3Kモジュレーター」は、PI3Kの阻害剤を含む、PI3Kのモジュレーターを指す。PI3Kは、ホスファチジルイノシトール又はホスホイノシチド上の3'-OH基をリン酸化する細胞内脂質キナーゼの独特のかつ保存されたファミリーのメンバーである。PI3Kファミリーは、異なる基質特異性、発現パターン、調節様式を有するキナーゼを含む(例えば、Katsoらの文献、2001, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17, 615 -675; Foster, F.M.らの文献、2003, J Cell Sci 116, 3037-3040を参照されたい)。クラスI PI3K(例えば、p110α、p110β、p110γ、及びp110δ)は、通常、チロシンキナーゼ又はGタンパク質共役受容体により活性化されて、PIP3を生じ、これが、下流メディエーター、例えば、Akt/PDK1経路の下流メディエーター、mTOR、Tecファミリーキナーゼ、及びRhoファミリーGTPアーゼを関与させる。クラスII PI3K(例えば、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ)及びクラスIII PI3K(例えば、Vps34)は、PI(3)P及びPI(3,4)P2の合成を介して、細胞内輸送において重要な役割を果たす。具体的な例示的PI3Kモジュレーター及び阻害剤は、本明細書に開示されている。
クラスI PI3Kは、p110触媒サブユニット及び調節アダプターサブユニットを含む。例えば、Cantrell, D.A.の文献(2001) Journal of Cell Science 114: 1439-1445を参照されたい。p110サブユニットの4つのアイソフォーム(PI3K-α(アルファ)、PI3K-β(ベータ)、PI3K-γ(ガンマ)、及びPI3K-δ(デルタ)アイソフォームを含む)は、様々な生物学的機能に関係があるとされている。クラスI PI3Kαは、例えば、インスリンシグナル伝達に関与しており、固形腫瘍で突然変異していることが分かっている。クラスI PI3K-βは、例えば、血小板活性化及びインスリンシグナル伝達に関与している。クラスI PI3K-γは、肥満細胞活性化、自然免疫機能、及び免疫細胞輸送(ケモカイン)において役割を果たしている。クラスI PI3K-δは、例えば、B細胞及びT細胞の活性化及び機能並びに肥満細胞におけるFc受容体シグナル伝達に関与している。本明細書に提供されるいくつかの実施態様において、PI3Kモジュレーターは、クラスI PI3Kモジュレーター(例えば、阻害剤)である。いくつかのそのような実施態様において、PI3Kモジュレーターは、PI3K-α(アルファ)、PI3K-β(ベータ)、PI3K-γ(ガンマ)、もしくはPI3K-δ(デルタ)アイソフォーム、又はこれらの組合せの活性を阻害し又は低下させる。
PI3Kシグナル伝達の下流メディエーターとしては、Akt及びラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)が挙げられる。Aktは、PIP3に結合して、Aktキナーゼ活性化をもたらすプレクストリン相同性(PH)ドメインを保有する。Aktは、多くの基質をリン酸化し、多様な細胞応答のためのPI3Kの中心的な下流エフェクターである。Aktの1つの機能は、TSC2のリン酸化及び他の機構を介してmTORの活性を強化することである。mTORは、PI3Kファミリーの脂質キナーゼに関連するセリン-トレオニンキナーゼである。
「シグナル伝達」は、刺激性又は抑制性シグナルが細胞内へ及び細胞内で伝達されて、細胞内応答を誘発する過程である。シグナル伝達経路の「モジュレーター」は、同じ特定のシグナル伝達経路に位置付けられる1以上の細胞タンパク質の活性を調節する化合物を指す。モジュレーターは、シグナル伝達分子の活性を強化するか(アゴニスト)又は抑制する(アンタゴニスト)ことができる。
別途規定されない限り、生体活性剤に適用される「選択的阻害」又は「選択的に阻害する」又は「に対して選択的」という用語は、標的との直接的又は相互作用的相互作用を介して、オフターゲットシグナル伝達活性と比較して、標的シグナル伝達活性を選択的に低下させる薬剤の能力を指す。例えば、PI3Kの別のアイソフォームと比べてPI3Kのあるアイソフォームを選択的に阻害する化合物は、第二のアイソフォームに対する化合物の活性と比べて、第一のアイソフォームに対する少なくとも2倍(例えば、少なくとも約3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、又は1000倍)の活性を有する。
「インビボ」という用語は、対象の体内で起こる事象を指す。
「インビトロ」という用語は、対象の体外で起こる事象を指す。例えば、インビトロアッセイは、対象の外側で行われる任意のアッセイを包含する。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞を利用する細胞ベースのアッセイを包含する。インビトロアッセイは、無傷細胞を利用しない無細胞アッセイも包含する。
「放射線療法」は、患者を、施術者に公知のルーチンの方法及び組成物を用いて、放射線放出体、例えば、限定されないが、α-粒子放出放射性核種(例えば、アクチニウム及びトリウム放射性核種)、低線エネルギー転移(LET)放射線放出体(例えば、β放出体)、転換電子放出体(例えば、ストロンチウム-89及びサマリウム-153-EDTMP)、又は限定されないが、x線、γ線、及び中性子を含む高エネルギー放射線に暴露させることを意味する。
「医薬として許容し得る担体」又は「医薬として許容し得る賦形剤」としては、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤などが挙げられる。医薬活性物質へのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と適合しない場合を除き、本明細書に開示される治療組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分を医薬組成物中に組み込むこともできる。
本明細書で使用される場合、開示された化合物の「医薬として許容し得る形態」は、開示された化合物の医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体を含むが、これらに限定されない。一実施態様において、「医薬として許容し得る形態」は、開示された化合物の医薬として許容し得る塩、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、医薬として許容し得る塩である。本明細書で使用される場合、「医薬として許容し得る塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずに対象の組織と接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合っている塩を指す。医薬として許容し得る塩は当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、医薬として許容し得る塩を、J. Pharmaceutical Sciences(1977)66: 1-19で詳細に記載している。本明細書に提供される化合物の医薬として許容し得る塩としては、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導される塩が挙げられる。医薬として許容し得る、無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸とともに、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸とともに、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬として許容し得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。いくつかの実施態様において、塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
適切な塩基から誘導される医薬として許容し得る塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。さらなる医薬として許容し得る塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される非毒性アンモニウム陽イオン、四級アンモニウム陽イオン、及びアミン陽イオンが挙げられる。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、一級、二級、及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選択される。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、溶媒和物(例えば、水和物)である。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的な分子間力によって結合されている化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示された化合物又はその医薬として許容し得る塩でできたものであることができる。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。医薬として許容し得る溶媒和物及び水和物は、例えば、1〜約100個、もしくは1〜約10個、又は1〜約2、約3、もしくは約4個の溶媒分子又は水分子を含み得る錯体である。本明細書で使用される「化合物」という用語は、化合物及び化合物の溶媒和物、並びにこれらの混合物を包含することが理解されるであろう。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、プロドラッグである。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態を生じるようにインビボで変換される化合物を指す。プロドラッグは、対象に投与されるときには不活性であり得るが、例えば、加水分解(例えば、血液中での加水分解)によって、インビボで活性化合物に変換される。場合によっては、プロドラッグは、親化合物と比べて改善された物理的特性及び/又は送達特性を有する。プロドラッグは、通常、親化合物と関連する薬学的及び/又は薬物動態的に基づく特性を増強するように設計される。プロドラッグ化合物は、哺乳動物生物において、溶解性、組織適合性、又は遅延放出という利点を提供することが多い(例えば、Bundgard, H.の文献、プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(1985)、7 9、21 24頁(Elsevier, Amsterdam)を参照されたい。プロドラッグの考察は、その両方が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Higuchi, T.らの文献、「新規送達系としてのプロドラッグ(Pro drugs as Novel Delivery Systems)」、A.C.S. Symposium Series、第14巻、及び薬物設計におけるバイオリバーシブル担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されている。プロドラッグの例示的な利点としては、その物理的特性、例えば、親化合物と比べて、生理的pHでの非経口投与のために水溶性が増強されていること、又はそれが、消化管からの吸収を増強すること、又はそれが、長期保存のために薬物安定性を増強することができることを挙げることができるが、これらに限定されない。
「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときに、活性化合物をインビボで放出する、任意の共有結合した担体を含むことも意図される。本明細書に記載される、活性化合物のプロドラッグは、修飾が、ルーチンの操作又はインビボのいずれかで切断されて、親活性化合物になるように、活性化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプト基が任意の基に結合している化合物を含み、この任意の基は、活性化合物のプロドラッグが対象に投与されたとき、切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、又は遊離メルカプト基を形成する。プロドラッグの例としては、アルコールの酢酸エステル、ギ酸エステル、及び安息香酸エステル誘導体、又は活性化合物中のアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミド、及びベンズアミド誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは、通常、周知の方法、例えば、Burgerの医薬品化学及び創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)、172〜178、949〜982(Manfred E. Wolff編、第5版、1995)、及びプロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(H. Bundgaard編、Elsevier, New York, 1985)に記載の方法を用いて調製することができる。
例えば、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸基の水素原子と、(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、γ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(例えば、β-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル、及びピペリジノ-、ピロリジノ-、又はモルホリノ(C2-C3)アルキルなどの基との置換によって形成される医薬として許容し得るエステルを含むことができる。
同様に、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子と、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル (C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル、及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシル(ここで、各々のα-アミノアシル基は、独立に、天然に存在するL-アミノ酸から選択される)、P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、及びグリコシル(ヘミアセタール形態の炭水化物のヒドロキシル基の除去によって得られるラジカル)などの基との置換によって形成されることができる。
開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がアミン官能基を取り込んでいる場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子と、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニル(ここで、R及びR'は、各々独立に、(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジル、天然α-アミノアシル、又は天然α-アミノアシル-天然α-アミノアシルである)、-C(OH)C(O)OY1(式中、Y1は、H、(C1-C6)アルキル、又はベンジルである)、-C(OY2)Y3(式中、Y2は(C1-C4)アルキルであり、かつY3は、(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル、又はモノ-N-もしくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキルである)、-C(Y4)Y5(式中、Y4は、H又はメチルであり、かつY5は、モノ-N-又はジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノである)、モルホリノ、ピペリジン-1-イル、或いはピロリジン-1-イルなどの基との置換によって形成されることができる。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は異性体である。「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間内で配置される様式のみが異なる異性体である。本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、任意の及び全ての幾何異性体及び立体異性体を含む。例えば、「異性体」は、E-及びZ-異性体とも呼ばれる、二重結合シス-及びトランス-幾何異性体;R-及びS-エナンチオマー;ジアステレオマー、(d)-異性体及び(l)-異性体、これらのラセミ混合物;並びにこれらの他の混合物を、本開示の範囲内に含まれるものとして含む。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、炭素-炭素二重結合周辺の置換基の配置又は炭素環式環周辺の置換基の配置から生じる様々な幾何異性体及びその混合物である。炭素-炭素二重結合周辺の置換基は、「Z」又は「E」配置にあると表され、ここで、「Z」及び「E」という用語は、IUPAC基準に準拠して使用される。別途規定されない限り、二重結合を描いた構造は、「E」異性体と「Z」異性体の両方を包含する。
或いは、炭素-炭素二重結合周辺の置換基は、「シス」又は「トランス」と呼ぶことができ、この場合、「シス」は、二重結合の同じ側にある置換基を表し、「トランス」は、二重結合の反対側にある置換基を表す。炭素環式環周辺の置換基の配置も、「シス」又は「トランス」と表すことができる。「シス」という用語は、環の平面の同じ側にある置換基を表し、「トランス」という用語は、環の平面の反対側にある置換基を表す。置換基が環の平面の同じ側と反対側の両方に配置されている化合物の混合物は、「シス/トランス」と表される。
「エナンチオマー」は、重ね合わせることができない互いの鏡像である一対の立体異性体である。任意の割合の一対のエナンチオマーの混合物は、「ラセミ」混合物として知られることもある。「(±)」という用語は、適当な場合、ラセミ混合物を表すために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン-インゴールド-プレログ(Cahn-Ingold-Prelog)R-S体系に準拠して規定することができる。化合物がエナンチオマーであるとき、各々のキラル炭素における立体化学は、R又はSのどちらかによって規定することができる。その絶対配置が不明である分割化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)によって(+)又は(-)と表すことができる。本明細書に記載の化合物のいくつかは、1以上の不斉中心を含み、そのため、各々の不斉原子における絶対立体化学に関して、(R)-又は(S)-と規定することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じることができる。本化学的実体、医薬組成物、及び方法は、ラセミ混合物、光学的に実質的に純粋な形態、及び中間体混合物を含む、全てのそのような可能性のある異性体を含むことが意図される。光学活性のある(R)-及び(S)-異性体は、例えば、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製することができるか、又は従来の技術を用いて分割することができる。
組成物の「エナンチオマー過剰」又は「%エナンチオマー過剰」は、以下に示す方程式を用いて計算することができる。以下に示す例において、組成物は、90%の一方のエナンチオマー、例えば、Sエナンチオマー、及び10%の他方のエナンチオマー、例えば、Rエナンチオマーを含む。
ee=(90-10)/100=80%
したがって、90%の一方のエナンチオマー及び10%の他方のエナンチオマーを含む組成物は、80%のエナンチオマー過剰を有すると言われる。本明細書に記載のいくつかの組成物は、少なくとも約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約75%、約90%、約95%、又は約99%のエナンチオマー過剰のS-エナンチオマーを含む。言い換えると、該組成物は、Rエナンチオマーと比べてエナンチオマー過剰のSエナンチオマーを含む。他の実施態様において、本明細書に記載のいくつかの組成物は、少なくとも約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約75%、約90%、約95%、又は約99%のエナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。言い換えると、該組成物は、Sエナンチオマーと比べてエナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。
例えば、異性体/エナンチオマーは、いくつかの実施態様において、対応するエナンチオマーを実質的に含まないように提供することができ、また、本明細書で互換的に使用されるように、「光学的に濃縮された」、「エナンチオマー的に濃縮された」、「エナンチオマー的に純粋な」、及び「非ラセミの」と呼ぶこともできる。これらの用語は、1つのエナンチオマーの量が、ラセミ組成物の対照混合物中のその1つのエナンチオマーの量を超える(例えば、重量で1:1を超える)組成物を指す。例えば、Sエナンチオマーのエナンチオマー的に濃縮された調製物は、調製物の総重量(例えば、S及びR異性体の総重量)に対して、約50重量%を超える、例えば、少なくとも約75重量%、さらに例えば、少なくとも約80重量%のSエナンチオマーを有する化合物の調製物を意味する。いくつかの実施態様において、濃縮は、約80重量%をはるかに超えて、「実質的にエナンチオマー的に濃縮された」、「実質的にエナンチオマー的に純粋な」、又は「実質的に非ラセミの」調製物を提供するものであることができ、これらは、調製物の総重量に対して、少なくとも約85重量%、例えば、少なくとも約90重量%、さらに例えば、少なくとも約95重量%の1つのエナンチオマーを有する組成物の調製物を指す。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、少なくとも約90重量%の1つのエナンチオマーから構成されている。他の実施態様において、該化合物は、少なくとも約95重量%、約98重量%、又は約99重量%の1つのエナンチオマーから構成されている。
いくつかの実施態様において、化合物は、(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、該混合物の個々の化合物が、主に(S)-又は(R)-異性体形状で存在する化合物の混合物である。例えば、いくつかの実施態様において、該化合物混合物は、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、又は約99%超の(S)-エナンチオマー過剰を有する。いくつかの実施態様において、該化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくは約99.5%、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。いくつかの実施態様において、該化合物混合物は、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、もしくは約99%〜約99.5%、又は約99.5%を上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。
他の実施態様において、該化合物混合物は、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、又は約99%超の(R)-エナンチオマー過剰を有する。いくつかの実施態様において、該化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくは約99.5%、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。いくつかの実施態様において、該化合物混合物は、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、もしくは約99%〜約99.5%、又は約99.5%を上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。
他の実施態様において、該化合物混合物は、その立体化学配向を除いて同一の化学的実体、すなわち、(S)-又は(R)-異性体を含有する。例えば、本明細書に開示される化合物が-CH(R)-単位を有し、Rが水素でない場合、該-CH(R)-は、同一の化学的実体(すなわち、(S)-又は(R)-立体異性体)の各々について(S)-又は(R)-立体化学配向を取る。いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物(すなわち、立体異性体の混合物)は、(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。別の実施態様において、同一の化学的実体の混合物(すなわち、立体異性体の混合物)は、主に(S)-異性体又は主に(R)-異性体を含有する。例えば、いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物(すなわち、立体異性体の混合物)中の(S)-異性体は、(S)-異性体と(R)-異性体の混合物の総重量に対して、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、もしくは約99.5重量%で、又はそれを上回って存在する。いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物(すなわち、立体異性体の混合物)中の(S)-異性体は、約10%〜約99.5%、約20%〜約99.5%、約30%〜約99.5%、約40%〜約99.5%、約50%〜約99.5%、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、もしくは約99%〜約99.5%、又は約99.5%を上回る(S)-エナンチオマー過剰で存在する。
他の実施態様において、同一の化学的実体の混合物(すなわち、立体異性体の混合物)中の(R)-異性体は、(S)-異性体と(R)-異性体の混合物の総重量に対して、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、もしくは約99.5重量%で、又はそれを上回って存在する。いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物(すなわち、立体異性体の混合物)中の(R)-異性体は、約10%〜約99.5%、約20%〜約99.5%、約30%〜約99.5%、約40%〜約99.5%、約50%〜約99.5%、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、もしくは約99%〜約99.5%、又は約99.5%を上回る(R)-エナンチオマー過剰で存在する。
エナンチオマーは、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、キラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離するか、又は不斉合成によって調製することができる。例えば、エナンチオマー、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)(Jacques編、Wiley Interscience, New York, 1981); Wilenらの文献、Tetrahedron 33:2725(1977);炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)(E.L. Eliel編、McGraw-Hill, NY, 1962);並びに分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions) p. 268(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, 1972年)を参照されたい。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は互変異性体である。本明細書で使用される場合、「互変異性体」という用語は、水素原子の少なくとも1回のホルマール移動及び価数の少なくとも1回の変化(例えば、単結合から二重結合へ、三重結合から二重結合へ、もしくは三重結合から単結合へ、又はその逆)から得られる2以上の相互変換可能な化合物を含むタイプの異性体である。「互変異性化」は、酸塩基化学反応の一部と考えられる、プロトトロピー型又はプロトンシフト型互変異性化を含む。「プロトトロピー型互変異性化」又は「プロトンシフト型互変異性化」は、結合次数の変化を伴うプロトンの移動を伴う。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHを含む、いくつかの因子によって決まる。互変異性化が可能な場合(例えば、溶液中で)、互変異性体の化学平衡に到達させることができる。互変異性化(すなわち、互変異性体対を提供する反応)は、酸もしくは塩基によって触媒させることができるか、又は外部薬剤の作用もしくは存在なしで起こることができる。例示的な互変異性化としては、ケト-エノール;アミド-イミド;ラクタム-ラクチム;エナミン-イミン;及びエナミン-(異なる)エナミン互変異性化が挙げられるが、これらに限定されない。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオン互変異性体と4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の具体例は、ピリジン-4-オール互変異性体とピリジン-4(1H)-オン互変異性体の相互変換である。
別途明記されない限り、本明細書に図示される構造は、1以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意図される。例えば、本構造を有する化合物は、水素がジュウテリウムもしくはトリチウムによって置換もしくは濃縮されていること、又は炭素が13C-もしくは14Cによって置換もしくは濃縮されていることを除き、本開示の範囲内にある。
本開示はまた、1以上の原子が、天然に通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されていることを除いて、本明細書に記載されているものと同一である同位体標識化合物を包含する。開示された化合物に取り込ませることができる同位体の例としては、それぞれ、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体が挙げられる。ある同位体標識された開示された化合物(例えば、3H及び/又は14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識同位体(すなわち、3H)及び炭素-14同位体(すなわち、14C)は、調製の簡便性及び検出可能性を可能にすることができる。さらに、より重い同位体、例えば、ジュウテリウム(すなわち、2H)との置換は、より大きな代謝安定性から得られる特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の延長又は投薬必要量の低下)を与えることができる。同位体標識された開示された化合物は、通常、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いることによって調製することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ又は複数において非天然の割合の原子同位体を含有することもできる化合物である。本明細書に開示される化合物の同位体バリエーションは全て、放射性であるか否かを問わず、本開示の範囲内に包含される。
範囲が、分子量などの物理的性質、又は化学式などの化学的性質に対して本明細書で使用される場合、範囲及びその中の具体的な実施態様の全ての組合せ及びサブ組合せが含まれることが意図される。数字又は数値範囲に言及する場合の「約」という用語は、言及される数字又は数値範囲が、実験的ばらつきの範囲内(又は統計的実験誤差の範囲内)の近似値であり、したがって、該数字又は数値範囲が、例えば、記述された数字又は数値範囲の1%から15%の間で変動し得ることを意味する。値の範囲が記載されているとき、その範囲内の各々の値及びサブ範囲を包含することが意図される。例えば、「C1-6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5、及びC5-6アルキルを包含することが意図される。
具体的な官能基及び化学用語の定義は、以下でより詳細に記載されている。化学元素は、元素周期表、CASバージョン、化学及び物理学のハンドブック(Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics)、第75版、内表紙に従って同定され、具体的な官能基は、通常、その中に記載されている通りに定義される。さらに、有機化学の一般的原理、並びに具体的な官能部分及び反応性は、有機化学(Organic Chemistry)、Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith及びMarchの文献、マーチの最先端有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)、第5版、John Wiley & Sons社, New York, 2001; Larockの文献、包括的有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、VCH Publishers社, New York, 1989;並びにCarruthersの文献、有機合成のいくつかの現代的方法(Some Modern Methods of Organic Synthesis)、第3版、Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
本明細書で使用される略語は、化学及び生物学の分野におけるその慣習的な意味を有する。以下の略語及び用語は、全体を通して、示された意味を有する: PI3K=ホスホイノシチド3-キナーゼ;PI=ホスファチジルイノシトール;PDK=ホスホイノシチド依存性キナーゼ;DNA-PK=デオキシリボース核酸依存性タンパク質キナーゼ;PTEN=第10番染色体上で欠失しているホスファターゼ及びテンシンホモログ;PIKK=ホスホイノシチドキナーゼ様キナーゼ;AIDS=後天性免疫不全症候群;HIV=ヒト免疫不全ウイルス;MeI=ヨウ化メチル;POCl3=オキシ塩化リン;KCNS=イソチオシアン酸カリウム;TLC=薄層クロマトグラフィー;MeOH=メタノール;並びにCHCl3=クロロホルム。
「アルキル」は、炭素及び水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカル(例えば、C1-C10アルキル)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「1〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「1〜10個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味するが、この定義は、数値範囲が示されない「アルキル」という用語の存在も対象とする。いくつかの実施態様において、それは、C1-C4アルキル基である。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル イソブチル、三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられるが、これらに少しも限定されない。アルキルは、分子の残部に単結合で結合しており、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどがある。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アルキル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルキルアリール」は、アリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)アリールラジカルを指す。
「アルキルヘテロアリール」は、ヘタリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)ヘテロアリールラジカルを指す。
「アルキルヘテロシクロアルキル」は、アルキル及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクロアルキル及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)ヘテロシクイル(heterocycyl)ラジカルを指す。
「アルケン」部分は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる基を指し、「アルキン」部分は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合からなる基を指す。アルキル部分は、飽和であれ不飽和であれ、分岐状、直鎖、又は環式であることができる。
「アルケニル」は、炭素及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜10個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカル基(すなわち、C2-C10アルケニル)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「2〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「2〜10個の炭素原子」は、アルケニル基が2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味する。ある実施態様において、アルケニルは、2〜8個の炭素原子を含む。他の実施態様において、アルケニルは、2〜5個の炭素原子を含む(例えば、C2-C5アルケニル)。アルケニルは、分子の残部に単結合で結合しており、例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロパ-1-エニル(すなわち、アリル)、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどがある。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アルケニル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルケニル-シクロアルキル」は、アルケニル及びシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アルケニル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルケニル)シクロアルキルラジカルを指す。
「アルキニル」は、炭素及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの三重結合を含み、2〜10個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカル基(すなわち、C2-C10アルキニル)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「2〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「2〜10個の炭素原子」は、アルキニル基が、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味する。ある実施態様において、アルキニルは、2〜8個の炭素原子を含む。他の実施態様において、アルキニルは、2〜5個の炭素原子を有する(例えば、C2-C5アルキニル)。アルキニルは、分子の残部に単結合で結合しており、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどがある。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アルキニル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルキニル-シクロアルキル」は、アルキニル及びシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アルキニル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキニル)シクロアルキルラジカルを指す。
「カルボキシアルデヒド」は、-(C=O)Hラジカルを指す。
「カルボキシル」は、-(C=O)OHラジカルを指す。
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
「シクロアルキル」は、炭素及び水素のみを含み、飽和又は部分不飽和であり得る、単環式又は多環式ラジカルを指す。シクロアルキル基には、3〜10個の環原子を有する基(すなわち、C2-C10シクロアルキル)が含まれる。それが本明細書に見られるときはいつでも、「3〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「3〜10個の炭素原子」は、シクロアルキル基が、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味する。いくつかの実施態様において、それは、C3-C8シクロアルキルラジカルである。いくつかの実施態様において、それは、C3-C5シクロアルキルラジカルである。シクロアルキル基の実例としては、以下の部分:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロセプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で別途具体的に記述されない限り、シクロアルキル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「シクロアルキル-アルケニル」は、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(シクロアルキル)アルケニルラジカルを指す。
「シクロアルキル-ヘテロシクロアルキル」は、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(シクロアルキル)ヘテロシクイル(heterocycyl)ラジカルを指す。
「シクロアルキル-ヘテロアリール」は、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(シクロアルキル)ヘテロアリールラジカルを指す。
「アルコキシ」という用語は、酸素を介して親構造に結合した、直鎖状、分岐状、環状の形状、及びこれらの組合せの1〜8個の炭素原子を含む基-O-アルキルを指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。「低級アルコキシ」は、1〜6個の炭素を含むアルコキシ基を指す。いくつかの実施態様において、C1-C4アルキルは、1〜4個の炭素原子の直鎖アルキルと分岐鎖アルキルの両方を包含するアルキル基である。
「置換アルコキシ」という用語は、アルキル成分が置換されているアルコキシ(すなわち、-O-(置換アルキル))を指す。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アルコキシ基のアルキル部分は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、 トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル炭素を介して結合した式(アルコキシ)(C=O)-の基を指し、式中、アルコキシ基は、表示された数の炭素原子を含む。したがって、C1-C6アルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニルリンカーに結合した1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。「低級アルコキシカルボニル」は、アルコキシ基が低級アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基を指す。いくつかの実施態様において、C1-C4アルコキシは、1〜4個の炭素原子の直鎖アルコキシ基と分岐鎖アルコキシ基の両方を包含するアルコキシ基である。
「置換アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル官能基を介して親構造に結合している基(置換アルキル)-O-C(O)-を指す。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アルコキシカルボニル基のアルキル部分は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アシル」は、カルボニル官能基を介して親分子構造に結合している、基(アルキル)-C(O)-、(アリール)-C(O)-、(ヘテロアリール)-C(O)-、(ヘテロアルキル)-C(O)-、及び(ヘテロシクロアルキル)-C(O)-を指す。いくつかの実施態様において、それは、C1-C10アシルラジカルであり、これは、アシルオキシ基のアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキル部分の鎖又は環原子にアシルのカルボニル炭素を加えた総数、すなわち、3つの他の環又は鎖原子にカルボニルを加えたものを指す。Rラジカルがヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アシルオキシ基の「R」は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アシルオキシ」は、R(C=O)O-ラジカルを指し、ここで、「R」は、本明細書に記載の通りである、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、又はヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、それは、C1-C4アシルオキシラジカルであり、これは、アシルオキシ基のアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキル部分の鎖又は環原子にアシルのカルボニル炭素を加えた総数、すなわち、3つの他の環又は鎖原子にカルボニルを加えたものを指す。Rラジカルがヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アシルオキシ基の「R」は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アミノ」又は「アミン」は、本明細書で別途具体的に記述されない限り、-N(Ra)2ラジカル基を指し、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。-N(Ra)2基が水素以外の2つのRaを有する場合、それらは、窒素原子と結合して、4、5、6、又は7員環を形成することができる。例えば、-N(Ra)2は、限定されないが、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アミノ基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「置換アミノ」という用語はまた、各々上記の通りである基-NHRd及びNRdRdのN-オキシドを指す。N-オキシドは、対応するアミノ基を、例えば、過酸化水素又はm-クロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製することができる。当業者は、N-酸化を行うための反応条件を熟知している。
「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」は、式-C(O)N(R)2又は-NRC(O)Rを有する化学的部分を指し、ここで、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(鎖炭素を介して結合している)、及び複素脂環式(鎖炭素を介して結合している)からなる群から選択され、これらの部分の各々は、それ自体、任意に置換されることができる。いくつかの実施態様において、それは、C1-C4アミド(amido)又はアミド(amide)ラジカルであり、これは、ラジカル中の炭素の総数にアミド(amide)カルボニルを含む。アミド(amide)の-N(R)2のR2は、それが結合している窒素と任意に一緒になって、4、5、6、又は7員環を形成することができる。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アミド(amido)基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルについて本明細書に記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって独立に任意に置換されている。「アミド(amide)」は、式(I)の化合物に結合し、それによりプロドラッグを形成する、アミノ酸又はペプチド分子であることができる。本明細書に記載の化合物上の任意のアミン、ヒドロキシ、又はカルボキシル側鎖をアミド化することができる。そのようなアミド(amide)を生成させるための手順及び具体的な基は当業者に公知であり、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Greene及びWutsの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、第3版、John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999などの参照情報源において容易に見出すことができる。
「芳香族」又は「アリール」は、炭素環式である共役パイ電子系を有する少なくとも1つの環(例えば、フェニル、フルオレニル、及びナフチル)を有する6個から最大14個の環原子を有する芳香族ラジカル(例えば、C6-C10芳香族又はC6-C10アリール)を指す。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルと命名される。自由原子価を有する炭素原子から水素原子を1つ取り除くことにより、名前が「-イル」で終わる一価の多環式炭化水素ラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名前に「-イデン」を付加することによって命名され、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと呼ばれる。それが本明細書に見られるときはいつでも、「6〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「6〜10個の環原子」は、アリール基が、6個の環原子、7個の環原子など、10個まで(10個を含む)の環原子からなり得ることを意味する。この用語は、単環式又は縮合環多環式(すなわち、隣接する環原子対を共有する環)基を含む。本明細書で別途具体的に記述されない限り、アリール部分は、1以上の置換基によって任意に置換され、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、アリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている1以上の置換基によって任意に置換されている(アリール)アルキル-ラジカルを指す。
「エステル」は、式-COORの化学ラジカルを指し、式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(鎖炭素を介して結合している)、及び複素脂環式(鎖炭素を介して結合している)からなる群から選択される。本明細書に記載の化合物上のアミン、ヒドロキシ、又はカルボキシル側鎖はいずれもエステル化されることができる。そのようなエステルを生成させるための手順及び具体的な基は当業者に公知であり、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Greene及びWutsの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、第3版、John Wiley & Sons、New York、N.Y., 1999などの参照情報源において容易に見出すことができる。本明細書で別途具体的に記述されない限り、エステル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「フルオロアルキル」は、上で定義されているような1以上のフルオロラジカルによって置換されている、上で定義されているようなアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルを指す。フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「ハロ」、「ハロゲン化物」、又はその代わりに「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、及び「ハロアルコキシ」という用語は、1以上のハロ基又はその組合せで置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシ構造を含む。例えば、「フルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれ、ハロがフッ素であるハロアルキル及びハロアルコキシ基を含む。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」は、任意に置換されたアルキル、アルケニル、及びアルキニルラジカルを含み、これらは、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、又はこれらの組合せから選択される1以上の骨格鎖原子を有する。鎖の全長を表す数値範囲、例えば、C1-C4ヘテロアルキルが与えられることがあり、この例では、鎖の全長は4原子の長さである。例えば、-CH2OCH2CH3ラジカルは「C4」ヘテロアルキルと呼ばれ、これは、原子鎖長の記述中にヘテロ原子中心を含む。分子の残部への接続は、ヘテロアルキル鎖中のヘテロ原子又は炭素のいずれかを介するものであることができる。ヘテロアルキル基は、1以上の置換基で任意に置換されることができ、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「ヘテロアルキルアリール」は、ヘテロアルキル及びアリールが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びアリールの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)アリールラジカルを指す。
「ヘテロアルキルヘテロアリール」は、ヘテロアルキル及びヘテロアリールが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びヘテロアリールの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)ヘテロアリールラジカルを指す。
「ヘテロアルキルヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアルキル及びヘテロアリールが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)ヘテロシクロアルキルラジカルを指す。
「ヘテロアルキルシクロアルキル」は、ヘテロアルキル及びシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)シクロアルキルラジカルを指す。
「ヘテロアリール」、又はその代わりに、「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1以上の環ヘテロ原子を含み、単環式、二環式、三環式、又は四環式環系であることができる5〜18員芳香族ラジカル(例えば、C5-C13ヘテロアリール)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「5〜18」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「5〜18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、5個の環原子、6個の環原子など、18個まで(18個を含む)の環原子からなり得ることを意味する。自由原子価を有する原子から水素原子を1つ取り除くことにより、名前が「-イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名前に「-イデン」を付加することによって命名され、例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。N含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。多環式ヘテロアリール基は、縮合又は非縮合であることができる。ヘテロアリールラジカル中のヘテロ原子(複数可)は、任意に酸化される。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化される。ヘテロアリールは、環(複数可)の任意の原子を介して分子の残部に結合している。ヘテロアリールの例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル(pridinyl)、及びチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で別途具体的に記述されない限り、ヘテルアリール(heteraryl)部分は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
置換ヘテロアリールは、1以上のオキシド(-O-)置換基、例えば、ピリジニル N-オキシドで置換された環系も含む。
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書に記載のアルキレン部分に接続された、本明細書に記載のアリール部分を有する部分を指し、ここで、分子の残部への接続は、アルキレン基を介するものである。
「ヘテロシクロアルキル」は、2〜12個の炭素原子並びに窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜6個のヘテロ原子を含む安定な3〜18員非芳香環ラジカルを指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「3〜18」などの数値範囲は、所与の範囲内の各々の整数を指し;例えば、「3〜18個の環原子」は、ヘテロシクロアルキル基が、3個の環原子、4個の環原子など、18個まで(18個を含む)の環原子からなり得ることを意味する。いくつかの実施態様において、それは、C5-C10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、それは、C4-C10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、それは、C3-C10ヘテロシクロアルキルである。本明細書で別途具体的に記述されない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、縮合又は架橋環系を含み得る、単環式、二環式、三環式、又は四環式環系である。ヘテロシクロアルキルラジカル中のヘテロ原子は、任意に酸化されることができる。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化される。ヘテロシクロアルキルラジカルは、部分的に又は完全に飽和している。ヘテロシクロアルキルは、環(複数可)の任意の原子を介して分子の残部に結合されることができる。そのようなヘテロシクロアルキルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で別途具体的に記述されない限り、ヘテロシクロアルキル部分は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tORa(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは、1又は2である)、又はPO3(Ra)2であり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「ヘテロシクロアルキル」は、通常3〜7個の環原子を有する1つの非芳香環が、酸素、硫黄、及び窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子、並びに前述のヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む組合せに加えて、少なくとも2つの炭素原子を含み;かつ通常3〜7個の環原子を有する他の環が、酸素、硫黄、及び窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を任意に含み、かつ芳香族ではない、二環式環系も含む。
「部分」は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学的部分は、多くの場合、分子内に包埋されているか、又は分子に付加されている認められている化学的実体である。
「ニトロ」は、-NO2ラジカルを指す。
「オキサ」は、-O-ラジカルを指す。
「オキソ」は、=Oラジカルを指す。
「脱離基又は脱離原子」は、反応条件下で、出発材料から脱離し、それにより、特定の部位での反応を促進する任意の基又は原子である。そのような基の好適な例は、別途規定されない限り、ハロゲン原子、メシルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシ、及びトシルオキシ基である。
「保護基」は、有機合成においてそれと従来関連付けられている意味、すなわち、化学反応を、別の保護されていない反応部位上で選択的に実施することができるように、及び選択的反応が終了した後、その基を容易に除去することができるように、多官能性化合物中の1以上の反応部位を選択的にブロックする基という意味を有する。種々の保護基は、例えば、T.H. Greene及びP. G. M. Wutsの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、第3版、John Wiley & Sons, New York(1999)に開示されている。例えば、ヒドロキシ保護形態は、化合物中に存在するヒドロキシ基の少なくとも1つがヒドロキシ保護基で保護されているものである。同様に、アミン及び他の反応基も同じように保護されることができる。
「溶媒和物」は、医薬として許容し得る溶媒の1以上の分子と物理的に関連している化合物(例えば、式Iから選択される化合物又はその医薬として許容し得る塩)を指す。「式Iの化合物」は、式Iの化合物及び該化合物の溶媒和物並びにそれらの混合物を包含することが理解されるであろう。
「置換された」は、言及された基が、アシル、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、炭水化物、カルボネート、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、エステル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、オキソ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、ホスフェート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、ウレア、並びにモノ及びジ置換アミノ基を含むアミノ、並びにこれらの保護誘導体から個別にかつ独立に選択される1以上のさらなる基で置換されることができることを意味する。ジ置換アミノ基は、アミノ基の窒素と一緒に環を形成するもの、例えば、モルホリノなどを包含する。置換基自体が置換されることができ、例えば、シクロアキル(cycloakyl)置換基は、1以上の環炭素において置換されたハロゲン化物などを有することができる。上記の置換基の保護誘導体を形成することができる保護基は当業者に公知であり、Greene及びWutsの文献、上記などの参考文献において見出すことができる。
「スルファニル」は、基: -S-(任意に置換されたアルキル)、-S-(任意に置換されたアリール)、-S-(任意に置換されたヘテロアリール)、及び-S-(任意に置換されたヘテロシクロアルキル)を指す。
「スルフィニル」は、基: -S(O)-H、-S(O)-(任意に置換されたアルキル)、-S(O)-(任意に置換されたアミノ)、-S(O)-(任意に置換されたアリール)、-S(O)-(任意に置換されたヘテロアリール)、及び-S(O)-(任意に置換されたヘテロシクロアルキル)を指す。
「スルホニル」は、基: -S(O2)-H、-S(O2)-(任意に置換されたアルキル)、-S(O2)-(任意に置換されたアミノ)、-S(O2)-(任意に置換されたアリール)、-S(O2)-(任意に置換されたヘテロアリール)、及び-S(O2)-(任意に置換されたヘテロシクロアルキル)を指す。
「スルホンアミジル」又は「スルホンアミド」は、-S(=O)2-NRRラジカルを指し、ここで、各々のRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(鎖炭素を介して結合している)、及び複素脂環式(鎖炭素を介して結合している)からなる群から独立に選択される。-S(=O)2-NRRラジカルの-NRR中のR基は、それが結合している窒素と一緒になって、4、5、6、又は7員環を形成することができる。いくつかの実施態様において、それは、C1-C10スルホンアミドであり、ここで、スルホンアミド中の各々のRは、合計1個の炭素、2個の炭素、3個の炭素、又は4個の炭素を含む。スルホンアミド基は、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている。
「スルホキシル」は、-S(=O)2OHラジカルを指す。
「スルホネート」は、-S(=O)2-ORラジカルを指し、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(鎖炭素を介して結合している)、及び複素脂環式(鎖炭素を介して結合している)からなる群から選択される。スルホネート基は、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載されている置換基のうちの1つ又は複数によってR上で任意に置換されている。
置換基が、左から右に記述されたその従来の化学式によって特定される場合、それらは、その構造を右から左に記述することによって得られる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と同等である。
本明細書に記載されている通りに使用することができる化合物は、化合物の結晶形態及び非晶質形態も含み、これには、例えば、該化合物の多形、偽多形、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形(無水物を含む)、立体配座多形、及び非晶質形態、並びにこれらの混合物が含まれる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「多形」は、結晶物質、例えば、結晶形態を記述するために本明細書で使用することができる。ある実施態様において、本明細書で使用される「多形」は、特定の結晶形態又は非晶質形態に言及しない限り、化合物又はその塩の全ての結晶形態及び非晶質形態を含むことも意図され、これには、例えば、結晶形態、多形、偽多形、溶媒和物、水和物、共結晶、非溶媒和多形(無水物を含む)、立体配座多形、互変異性形態、不規則結晶形態、及び非晶質形態、並びにこれらの混合物が含まれる。本開示の化合物は、これらの化合物の結晶形態及び非晶質形態を含み、これには、例えば、該化合物又はその塩の結晶形態、多形、偽多形、溶媒和物、水和物、共結晶、非溶媒和多形(無水物を含む)、立体配座多形、互変異性形態、不規則結晶形態、及び非晶質形態、並びにこれらの混合物が含まれる。
化学的実体には、式I、I-1、IV、IV-A、V、V-A、V-A2、V-B、VI、又はVI-Aの化合物、及びその全ての医薬として許容し得る形態が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の化合物の医薬として許容し得る形態には、医薬として許容し得る塩、キレート、非共有結合錯体、プロドラッグ、及びこれらの混合物が含まれる。ある実施態様において、本明細書に記載の化合物は、医薬として許容し得る塩の形態にある。したがって、「化学的実体(chemical entity)」及び「化学的実体(chemical entities)」という用語は、医薬として許容し得る塩、キレート、非共有結合錯体、プロドラッグ、及び混合物も包含する。
さらに、式Iの化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、該酸塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に、医薬として許容し得る付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、該遊離塩基を好適な有機溶媒に溶解させ、該溶液を酸で処理することにより生成させることができる。当業者は、無毒な医薬として許容し得る付加塩を調製するために使用することができる様々な合成法を認識しているであろう。
(化合物)
以下に提供される化合物は、本明細書に開示される医薬組成物、方法、及びキットで使用することができる例示的なPI3Kモジュレーターである。
いくつかの態様において、該PI3Kモジュレーターは、式Iの化合物、又はその医薬として許容し得るその塩である:
(式中、
W
dは、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Bは、アルキル、アミノ、ヘテロアルキル、又は式IIの部分であり;
式中、W
cは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり、かつ
qは、0、1、2、3、又は4の整数であり;
Xは、存在しないか、又は-(CH(R
9))
z-であり、zは、1、2、3、又は4の整数であり;
Yは、非存在、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-N(R
9)-、-C(=O)-(CHR
9)
z-、-C(=O)-、-N(R
9)-C(=O)-、もしくは-N(R
9)-C(=O)NH-、-N(R
9)C(R
9)
2-、又は-C(=O)-(CHR
9)
z-であり;
R
1は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、ホスフェート、ウレア、又はカルボネートであり;
R
2は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、ホスフェート、ウレア、又はカルボネートであり;
R
3は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アリール、又はヘテロアリールであり;
R
5、R
6、R
7、及びR
8は、独立に、水素、C
1-C
4アルキル、C
2-C
5アルケニル、C
2-C
5アルキニル、C
3-C
5シクロアルキル、C
1-C
4ヘテロアルキル、C
1-C
4アルコキシ、C
1-C
4アミド、アミノ、アシル、C
1-C
4アシルオキシ、C
1-C
4スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロであり;かつ
各々の場合のR
9は、独立に、水素、C
1-C
10アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はC
2-C
10ヘテロアルキルである)。
いくつかの実施態様において、Bは、限定されないが、-(CH2)2-NRaRaを含む、非置換又は置換アルキルであり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルであるか、又はNRaRaは組み合わさって、限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルを含む、環状部分を形成する。いくつかの実施態様において、Bは、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、Bは、非置換又は置換ヘテロアルキルである。
いくつかの実施態様において、Bは、式IIの部分であり、ここで、W
cは、非置換又は置換アリール、置換フェニル、限定されないが、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-5-イル、又はピラジン-2-イルを含む、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換単環式ヘテロアリール、非置換又は置換二環式ヘテロアリール、2つのヘテロ原子を環原子として含むヘテロアリール、窒素環原子を含む非置換又は置換ヘテロアリール、2つの窒素環原子を含むヘテロアリール、窒素及び硫黄を環原子として含むヘテロアリール、限定されないが、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、及びピペリジニルを含む、非置換又は置換ヘテロシクロアルキル、限定されないが、シクロペンチル及びシクロヘキシルを含む、非置換又は置換シクロアルキルからなる群から選択されるメンバーである。
いくつかの実施態様において、Bは、以下の部分のうちの1つである:
。
いくつかの実施態様において、Bは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数により置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
いくつかの実施態様において、R1は、水素、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換シクロアルキル、又は非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施態様において、R1は、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換アリールアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアリール、又は非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施態様において、R1は、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アミド、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R1は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R1はハロであり、これには、-Cl、-F、-I、及び-Brが含まれる。いくつかの実施態様において、R1は、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、非置換又は置換ホスフェート、非置換又は置換ウレア、及びカルボネートからなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、R1がアルキルであるとき、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルである。
いくつかの実施態様において、R1が、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、又はヒドロキシであるとき、R1は、ホスフェート、又は非置換ウレア、又は置換ウレア、又は炭酸、又はカルボネートにより置換されている。
いくつかの実施態様において、R1が、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、R1は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数により置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換ヘテロアルキル、非置換又は置換アルケニル、非置換又は置換アルキニル、非置換又は置換シクロアルキル、及び非置換又は置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換アリールアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアリール、又は非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アミド、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R2はハロであり、これには、-I、-F、-Cl、又は-Brが含まれる。いくつかの実施態様において、R2は、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、炭酸、及びカルボネートからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換ホスフェートである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換ウレアである。いくつかの実施態様において、R2がアルキルであるとき、R2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルである。
いくつかの実施態様において、R2が、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、又はヒドロキシであるとき、それは、ホスフェートにより置換されているか、ウレアにより置換されているか、又はカルボネートにより置換されている。
いくつかの実施態様において、R2が、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、それは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数により置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
いくつかの実施態様において、qは、0の整数である。いくつかの実施態様において、qは、1の整数である。いくつかの実施態様において、qは、2の整数である。いくつかの実施態様において、qは、3の整数である。いくつかの実施態様において、qは、4の整数である。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R3は、水素、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換アルケニル、及び非置換又は置換アルキニルからなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施態様において、R3は、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロアリール、非置換もしくは置換シクロアルキル、又は非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R3は、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アミド、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R3は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R3はハロであり、これは、-I、-F、-Cl、又は-Brである。
いくつかの実施態様において、R3は、シアノ、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、R3がアルキルであるとき、R3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルである。いくつかの実施態様において、R3は、-CF3である。
いくつかの実施態様において、R3が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、それは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数で置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R5は、水素、非置換又は置換アルキル(限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルキルを含む)である。いくつかの実施態様において、R5は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルケニルを含む、非置換又は置換アルケニルである。いくつかの実施態様において、R5は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルキニルを含む、非置換又は置換アルキニルである。いくつかの実施態様において、R5は、限定されないが、非置換又は置換C3-C5シクロアルキルを含む、非置換又は置換シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R5は、非置換又は置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R5は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4ヘテロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロアルキルである。いくつかの実施態様において、R5は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルコキシを含む、非置換又は置換アルコキシである。いくつかの実施態様において、R5は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アミドを含む、非置換又は置換アミドである。いくつかの実施態様において、R5は、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R5は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C1-C4アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換スルホンアミド、又は非置換もしくは置換C1-C4スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R5はハロであり、これは、-I、-F、-Cl、又は-Brである。いくつかの実施態様において、R5は、シアノ、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選択される。いくつかの他の実施態様において、R5は、-CH3、-CH2CH3、n-プロピル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、又は-CF3である。
いくつかの実施態様において、R5が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、R5は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数で任意に置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R6は、水素、非置換又は置換アルキル(限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルキルを含む)である。いくつかの実施態様において、R6は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルケニルを含む、非置換又は置換アルケニルである。いくつかの実施態様において、R6は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルキニルを含む、非置換又は置換アルキニルである。いくつかの実施態様において、R6は、限定されないが、非置換又は置換C3-C5シクロアルキルを含む、非置換又は置換シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R6は、非置換又は置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R6は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4ヘテロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロアルキルである。いくつかの実施態様において、R6は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルコキシを含む、非置換又は置換アルコキシである。いくつかの実施態様において、R6は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アミドを含む、非置換又は置換アミドである。いくつかの実施態様において、R6は、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R6は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C1-C4アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換スルホンアミド、又は非置換もしくは置換C1-C4スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R6はハロであり、これは、-I、-F、-Cl、又は-Brである。いくつかの実施態様において、R6は、シアノ、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選択される。いくつかの他の実施態様において、R6は、-CH3、-CH2CH3、n-プロピル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、又は-CF3である。
いくつかの実施態様において、R6が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、R6は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数で任意に置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R7は、水素、非置換又は置換アルキル(限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルキルを含む)である。いくつかの実施態様において、R7は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルケニルを含む、非置換又は置換アルケニルである。いくつかの実施態様において、R7は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルキニルを含む、非置換又は置換アルキニルである。いくつかの実施態様において、R7は、限定されないが、非置換又は置換C3-C5シクロアルキルを含む、非置換又は置換シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R7は、非置換又は置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R7は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4ヘテロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロアルキルである。いくつかの実施態様において、R7は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルコキシを含む、非置換又は置換アルコキシである。いくつかの実施態様において、R7は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アミドを含む、非置換又は置換アミドである。いくつかの実施態様において、R7は、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R7は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C1-C4アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換スルホンアミド、又は非置換もしくは置換C1-C4スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R7はハロであり、これは、-I、-F、-Cl、又は-Brである。いくつかの実施態様において、R7は、シアノ、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選択される。いくつかの他の実施態様において、R7は、-CH3、-CH2CH3、n-プロピル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、又は-CF3である。
いくつかの実施態様において、R7が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、R7は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数で任意に置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R8は、水素、非置換又は置換アルキル(限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルキルを含む)である。いくつかの実施態様において、R8は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルケニルを含む、非置換又は置換アルケニルである。いくつかの実施態様において、R8は、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルキニルを含む、非置換又は置換アルキニルである。いくつかの実施態様において、R8は、限定されないが、非置換又は置換C3-C5シクロアルキルを含む、非置換又は置換シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R8は、非置換又は置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R8は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4ヘテロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロアルキルである。いくつかの実施態様において、R8は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルコキシを含む、非置換又は置換アルコキシである。いくつかの実施態様において、R8は、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アミドを含む、非置換又は置換アミドである。いくつかの実施態様において、R8は、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R8は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C1-C4アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換スルホンアミド、又は非置換もしくは置換C1-C4スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R8はハロであり、これは、-I、-F、-Cl、又は-Brである。いくつかの実施態様において、R8は、シアノ、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選択される。いくつかの他の実施態様において、R8は、-CH3、-CH2CH3、n-プロピル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、又は-CF3である。
いくつかの実施態様において、R8が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、R8は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数で任意に置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり、該化合物は、式I-1の構造を有する:
。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Xは存在しない。いくつかの実施態様において、Xは-(CH(R9))zであり、zは、1、2、3、又は4の整数である。
いくつかの実施態様において、R9は、限定されないが、非置換又は置換C1-C10アルキルを含む、非置換又は置換アルキルである。いくつかの実施態様において、R9は、限定されないが、非置換又は置換C3-C7シクロアルキルを含む、非置換又は置換シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R9は、エチル、メチル、又は水素である。いくつかの実施態様において、R9は、限定されないが、非置換又は置換C2-C10ヘテロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R9は、限定されないが、非置換又は置換C2-C10ヘテロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロアルキルである。
また本明細書に提供されるのは、式Iの化合物であり、式中、R9は水素であり、かつXは、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、又は-CH(CH2CH3)-である。他の実施態様において、Xは、-(CH(R9))zであり、R9は水素ではなく、かつzは1の整数である。Xが-CH(R9)-であり、かつR9が水素ではないとき、該化合物は、炭素Xに関して、(S)-立体化学配置又は(R)-立体化学配置のいずれかを取ることができる。いくつかの実施態様において、該化合物は、炭素Xに関して、(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、式Iの化合物の混合物であり、ここで、該混合物の個々の化合物は、主に、(S)-又は(R)-異性体配置で存在する。例えば、該化合物混合物は、X炭素において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー純度を有する。他の実施態様において、該化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー純度を有する。
他の実施態様において、該化合物混合物は、X炭素において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度を有する。いくつかの他の実施態様において、該化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度を有する。
他の実施態様において、該化合物混合物は、その立体化学配向以外は同一の化学的実体、すなわち、(S)-又は(R)-異性体を含有する。例えば、式Iの化合物において、Xが-CH(R9)-であり、かつR9が水素ではないとき、該-CH(R9)-は、同一の化学的実体の各々について(S)-又は(R)-立体化学配向にある。いくつかの実施態様において、式Iの同一の化学的実体の混合物は、Xにより表される炭素において(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。別の実施態様において、(その立体化学配向以外は)同一の化学的実体の混合物は、主に(S)-異性体又は主に(R)-異性体を含有する。例えば、同一の化学的実体の混合物中の(S)-異性体は、(R)-異性体に対して、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%で、又はそれを超えて存在する。いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物中の(S)-異性体は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー純度で存在する。
別の実施態様において、(その立体化学的配向以外は)同一の化学的実体の混合物中の(R)-異性体は、(S)-異性体に対して、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%で、又はそれを超えて存在する。いくつかの実施態様において、(その立体化学的配向以外は)同一の化学的実体の混合物中の(R)-異性体は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度で存在する。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Xは-CH(R9)-であり、R9は、メチル又はエチルであり、かつ該化合物は、(S)-異性体である。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Yは存在しない。いくつかの実施態様において、Yは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-N(R9)(C=O)-、-N(R9)(C=O)NH-、-N(R9)C(R9)2-(例えば、-N(R9)CH2-、特に、-N(CH3)CH2-、N(CH(CH3)2)CH2-、もしくはN(CH2CH3)CH2-)、-N(R9)-、-N(CH3)-、-N(CH2CH3)-、又は-N(CH(CH3)2)-である。いくつかの実施態様において、Yは-C(=O)-(CHR9)z-であり、かつzは、1、2、3、又は4の整数である。
いくつかの実施態様において、X及びYのうちの少なくとも1つは存在する。式Iの化合物のいくつかの実施態様において、-XY-は、-CH2-、-CH2-N(CH3)、-CH2-N(CH2CH3)、-CH(CH3)-NH-,(S)-CH(CH3)-NH-、又は(R)-CH(CH3)-NH-である。他の実施態様において、X-Yは、-N(CH3)-CH2-、N(CH2CH3)CH2-、-N(CH(CH3)2)CH2-、又は-NHCH2-である。本明細書に提供されるのは、その他の式Iの化合物であり、式中、X-Yが存在し、Xが-(CH(R9))zN(R9)-であり、zが、1、2、3、又は4の整数であり、かつ-N(R9)-が-NH-ではないとき、-XY-は、プリニルに接続されていない。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される式(限定されないが、I、I-1、IV、IV-A、V、V-A、V-A2、V-B、VI、及びVI-Aを含む)中のWdは、非置換又は置換ヘテロシクロアルキル、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーである。
様々な実施態様において、Wdは、非置換もしくは置換単環式ヘテロアリール(限定されないが、ピリミジニル、ピロリル、ピラジニル、トリアジニル、もしくはピリダジニルを含む)又は非置換もしくは置換二環式ヘテロアリールである。
いくつかの実施態様において、W
dは、以下の式の単環式ヘテロアリールである:
(式中、R
a'は、水素、ハロ、ホスフェート、ウレア、カルボネート、非置換もしくは置換アミノ、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、又は非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルであり;かつR
12は、H、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換シアノ、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換アルケニル、ハロ、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロアリール、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換アミノ、カルボン酸、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、非置換もしくは置換アシル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである)。
また本明細書に含まれるのは、限定されないが、以下の式のうちの1つを含む、単環式ヘテロアリールW
dを有する化合物である:
。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される式(限定されないが、I、I-1、IV、IV-A、V、V-A、V-A2、V-B、VI、及びVI-Aを含む)中のWdは、少なくとも1つのヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリール、例えば、少なくとも1つの窒素環原子を有する二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Wdは、少なくとも2つのヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリール、例えば、少なくとも2つの窒素環原子を有する二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Wdは、XYに接続されている環中に2つのヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Wdは、XYが接続されている環中に2つの窒素環原子を有する二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Wdは、4つのヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリール、例えば、4つの窒素環原子を有する二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Wdは、非置換もしくは置換4-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル、非置換もしくは置換7-アミノ-2-メチル-2H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-イル、非置換もしくは置換6-メチレニル-9H-プリン-6-イル、又は非置換もしくは置換6-アミノ-9H-プリン-9-イルである。
いくつかの実施態様において、W
dは、以下のうちの1つである:
(式中、R
a'は、水素、ハロ、ホスフェート、ウレア、カルボネート、非置換もしくは置換アミノ、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、又は非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルであり;
R
11は、水素、非置換もしくは置換アルキル、ハロ(これには、-I、-F、-Cl、もしくは-Brが含まれる)、非置換もしくは置換アミノ、非置換もしくは置換アミド、ヒドロキシ、又は 非置換もしくは置換アルコキシ、ホスフェート、非置換もしくは置換ウレア、又はカルボネートであり;かつ
R
12は、H、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換シアノ、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換アルケニル、ハロ、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロアリール、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換アミノ、カルボン酸、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アミド、非置換もしくは置換アシル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである)。
式Iの化合物のWdのいくつかの実施態様において、Ra'が、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであるとき、それは、ホスフェート、ウレア、又はカルボネートにより置換されている。
式Iの化合物のWdのいくつかの実施態様において、R11が、アルキル、アミノ、アミド、ヒドロキシ、又はアルコキシであるとき、それは、ホスフェート、ウレア、又はカルボネートにより置換されている。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、-X-Y-W
dは、以下の部分のうちの1つである:
。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、R12は、水素、シアノ、ハロ、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換アルキニル、及び非置換又は置換アルケニルからなる群のメンバーである。いくつかの実施態様において、R12は、非置換又は置換アリールである。いくつかの実施態様において、R12は、限定されないが、5員環を有するヘテロアリール、6員環を有するヘテロアリール、少なくとも1つの窒素環原子を有するヘテロアリール、2つの窒素環原子を有するヘテロアリール、単環式ヘテロアリール、及び二環式ヘテロアリールを含む、非置換又は置換ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、R12は、限定されないが、1つの窒素環原子を有するヘテロシクロアルキル、1つの酸素環原子を有するヘテロシクロアルキルを含む、非置換又は置換ヘテロシクロアルキルであり、R12は、1つの硫黄環原子を有するヘテロシクロアルキル、5員ヘテロシクロアルキル、6員ヘテロシクロアルキル、飽和ヘテロシクロアルキル、不飽和ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル環に接続された不飽和部分を有するヘテロシクロアルキル、オキソにより置換されたヘテロシクロアルキル、及び2つのオキソにより置換されたヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R12は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1つのオキソにより置換されたシクロアルキル、シクロアルキル環に接続された不飽和部分を有するシクロアルキルを含む、非置換又は置換シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R12は、非置換もしくは置換アミド、カルボン酸、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アシル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。
いくつかの実施態様において、R12が、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであるとき、それは、ホスフェートで置換されている。いくつかの実施態様において、R12が、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであるとき、それは、ウレアで置換されている。いくつかの実施態様において、R12が、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであるとき、それは、カルボネートで置換されている。
いくつかの実施態様において、R12が、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミド、アシルオキシ、アシル、又はスルホンアミドであるとき、それは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロのうちの1つ又は複数で置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アロキシカルボニル(aloxycarbonyl)、又はスルホンアミドの各々は、それ自体置換されることができる。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、W
dのR
12は、以下の部分のうちの1つである:
。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、W
dは、式IIIのピラゾロピリミジンである:
(式中、R
11は、H、アルキル、ハロ、アミノ、アミド、ヒドロキシ、又はアルコキシであり、かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである)。いくつかの実施態様において、R
11はアミノであり、かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R
11はアミノであり、かつR
12は、アルキル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R
11はアミノであり、かつR
12は単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、R
11はアミノであり、かつR
12は二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、R
11はアミノであり、かつR
12は、シアノ、アミノ、カルボン酸、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はアミドである。
いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、式IVの構造を有する化合物である:
。
式IVの化合物のいくつかの実施態様において、R11は、H、アルキル、ハロ、アミノ、アミド、ヒドロキシ、又はアルコキシであり、かつR12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである。別の実施態様において、R11はアミノであり、かつR12は、アルキル、アルケニル、ヘテロアリール、アリール、又はヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、R11はアミノであり、かつR12は、シアノ、アミノ、カルボン酸、アルコキシカルボニル、又はアミドである。
いくつかの実施態様において、式IVの化合物は、式IV-Aの化合物である:
。
また本明細書に提供されるのは、式V、V-A1、V-A2、V-B、VI、VI-A、VII-A1、VII-A2、VIII-A1、VIII-A2、IX-A1、IX-A2、X-A1、X-A2、XI-A1、XI-A2、XII-A、XII-A1、XII-A2、XIII-A、XIII-A1、XIII-A2、XIV-A、XIV-A1、XIV-A2、XV-A、XV-A1、XV-A2、XVI-A、XVI-A1、XVI-A2、XVII-A、XVII-A1、XVII-A2、XVIII-A、XVIII-A1、又はXVIII-A2のいずれかの構造を有する式Iの化合物である:
。
式Iの化合物についての開示された要素及びその置換基のいずれかを任意の組合せで使用することができる。
一態様において、式Iの化合物について、R
3は、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり;かつBは、式IIの部分である:
(式中、W
cは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり; R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、又はニトロであり; qは、0、1、2、3、又は4の整数であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは、非存在又は(CH
2)
zであり; zは1であり; Yは、非存在又は-N(R
9)-であり; R
9は、水素、C
1-C
10アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、又はC
2-C
10ヘテロアルキルであり; X及びYのうちの少なくとも1つは存在し;かつW
dは、ピラゾロピリミジン又はプリンである)。いくつかの実施態様において、X及びYが存在し、かつW
dがプリンであるとき、-N(R
9)-は-NH-である。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、又はニトロであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは、非存在又は(CH
2)
zであり; zは1であり; Yは、非存在又は-N(R
9)-であり; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり; X及びYのうちの少なくとも1つは存在し; W
dは:
であり; R
11はアミノであり;かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、X及びYが存在し、かつW
dがプリンであるとき、-N(R
9)-は-NH-である。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、又はニトロであり; qは、0、1、又は2であり; Xは(CH
2)
zであり; zは1であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Yは存在せず、かつW
dは:
であり; R
11はアミノであり;かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである。
別の態様において、R
3は、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、又はニトロであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは(CH
2)
zであり; zは1であり; Xは(CH
2)
zであり; zは1であり; Yは-N(R
9)-であり; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり;かつW
dは、
である。いくつかの実施態様において、Yは-NH-である。
別の態様において、式Iの化合物について、R3は、アリール、ヘテロアリール、H、CH3、CF3、Cl、又はFであり; Bは、アルキル又は式IIの部分である。
式中、Wcは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり、かつqは、0、1、2、3、又は4の整数であり; R1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH3、イソプロピル、-CF3、-OCH3、ニトロ、又はホスフェートであり; R2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、又はホスフェートであり; qは、0、1、又は2であり; R5、R6、R7、及びR8はHであり; Xは、非存在又は(CH(R9))zであり; zは、1、2、3、又は4の整数であり; Yは、非存在、-N(R9)-、又は-N(R9)CH(R9)-であり; R9は、水素、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロアルキルであり; X及びYのうちの少なくとも1つは存在し;かつWdは、ピラゾロピリミジン又はプリンである。いくつかの実施態様において、Xが存在し、Yが-N(R9)-であり、かつWdがプリンであるとき、Yは-NH-である。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、アリール、ヘテロアリール、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アルキル、又はアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、もしくはシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、又はホスフェートであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは、非存在又は(CH(R
9))
zであり; zは、1、2、3、又は4の整数であり; Yは、非存在、-N(R
9)-、又は-N(R
9)CH(R
9)-であり; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり; X及びYのうちの少なくとも1つは存在し; W
dは:
であり; R
11はアミノであり;かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シアノ、アミノ、カルボン酸、アロキシカルボニル(aloxycarbonyl)、又はアミドである。いくつかの実施態様において、Xが存在し、Yが-N(R
9)-であり、かつW
dがプリンであるとき、Yは-NH-である。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アルキル、又はアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、もしくはシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、又はホスフェートであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは(CH(R
9))
zであり; zは1の整数であり; Yは存在せず; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり; W
dは:
であり; R
11はアミノであり;かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シアノ、アミノ、カルボン酸、アルコキシカルボニル、又はアミドである。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、アリール、ヘテロアリール、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、又はホスフェートであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは、非存在又は(CH(R
9))
zであり; zは1の整数であり; Yは、非存在、-N(R
9)-、又は-N(R
9)CH(R
9)-であり; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり; X及びYのうちの少なくとも1つは存在し、かつW
dは:
である。いくつかの実施態様において、Xが存在し、Yが-N(R
9)-であり、かつW
dがプリンであるとき、Yは-NH-である。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、アリール、ヘテロアリール、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、又はホスフェートであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは存在せず; Yは-N(R
9)CH(R
9)-であり; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり;かつW
dは:
である。
別の態様において、式Iの化合物について、R
3は、アリール、ヘテロアリール、H、CH
3、CF
3、Cl、又はFであり; Bは、アルキル、又はアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、もしくはシクロアルキルである式IIの部分であり、R
1は、H、-F、-Cl、-CN、-CH
3、イソプロピル、-CF
3、-OCH
3、ニトロ、又はホスフェートであり; R
2は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、又はホスフェートであり; qは、0、1、又は2であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8はHであり; Xは、非存在又は(CH(R
9))
zであり; zは、1、2、3、又は4の整数であり; Yは、非存在、-N(R
9)-、又は-N(R
9)CH(R
9)-であり; R
9は、水素、メチル、又はエチルであり; X及びYのうちの少なくとも1つは存在し; W
dは:
であり; R
a'は、水素、ハロ、又はアミノであり;かつR
12は、H、アルキル、アルキニル、アルケニル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シアノ、アミノ、カルボン酸、アロキシカルボニル(aloxycarbonyl)、又はアミドである。いくつかの実施態様において、Xが存在し、Yが-N(R
9)-であり、かつW
dがプリンであるとき、Yは-NH-である。
さらなる例示的な化合物は、式IV-Aのサブ構造を有する。
式IV-Aの構造を有する本開示のいくつかの実例化合物は、R
3が、表1に記載の任意のB部分及び表2に記載の任意のR
12と組み合わせた、-H、-Cl、-F、又は-CH
3であるものを含む。式IV-Aの化合物は、R
3、B、及びR
12の任意の組合せを含む。さらなる例示的な式IV-Aの化合物を表4に示す。
表1.式Iの化合物の実例となるB部分。
表2.式Iの化合物の実例となるR
12。
本開示の他の実例化合物は、式V-A、V-A1、又はV-A2の構造を有し、式中、Bは、R
3(これは、-H、-Cl、-F、又はCH
3である)及びR
9(これは、-H、-CH
3、又は-CH
2CH
3である)と組み合わせた、表1に記載の部分である。式V-A、V-A1、又はV-A2の化合物は、R
3、B、及びR
9の任意の組合せを含む。
本開示のまた他の実例化合物は、式V-Bの構造を有し、式中、Bは、R
3(これは、-H、-Cl、-F、又はCH
3である)及びR
9(これは、-H、-CH
3、又は-CH
2CH
3である)と組み合わせた、表1に記載の部分である。式V-Bの化合物は、R
3、B、及びR
9の任意の組合せを含む。
本開示のいくつかの他の実例化合物は、式VI-Aの構造を有し、式中、Bは、R
3(これは、-H、-Cl、-F、又はCH
3である)及びR
9(これは、-H、-CH
3、又は-CH
2CH
3である)と組み合わせた、表1に記載の部分である。式VI-Aの化合物は、R
3、B、及びR
9の任意の組合せを含む。
本明細書に記載されている通りに使用することができるさらなる実例化合物は、式VII-A1、VII-A2、VIII-A1、VIII-A2、IX-A1、IX-A2、X-A1、X-A2、XI-A1、XI-A2、XII-A、XII-A1、XII-A2、XIII-A、XIII-A1、XIII-A2、XIV-A、XIV-A1、又はXIV-A2のうちの1つの構造を有する(式中、Bは、表1に記載の部分であり、表2に記載の任意のR12、R3(これは、-H、-Cl、-F、又はCH3である)、R9(これは、-H、-CH3、又は-CH2CH3である)、及びRa'(これは、-H、-Cl、-F、又は-NH2である)と組み合わされる)。式VII-A1、VII-A2、VIII-A1、VIII-A2、IX-A1、IX-A2、X-A1、X-A2、XI-A1、XI-A2、XII-A、XII-A1、XII-A2、XIII-A、XIII-A1、XIII-A2、XIV-A、XIV-A1、又はXIV-A2の化合物は: Ra、R3、B、R9、及びR12の任意の組合せを含む。
さらなる例示的な化合物としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
。
いくつかの実施態様において、該PI3Kモジュレーターは、式I-1の化合物、又はその医薬として許容し得るその塩である:
(式中
Bは、式IIの部分であり:
式中、W
cは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり、かつ
qは、0、1、2、3、又は4の整数であり;
Xは、結合又は-(CH(R
9))
z-であり、zは1の整数であり;
Yは-N(R
9)-であり;
W
dは:
であり;
R
1は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、又はニトロであり;
R
2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミノ、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロであり;
R
3は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アルコキシカルボニルスルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロであり;かつ
各々の場合のR
9は、独立に、水素、アルキル、又はヘテロシクロアルキルである)。
いくつかの実施態様において、該化合物は、主に、(S)-立体化学配置にある。
いくつかの実施態様において、Xは-(CH(R9))z-であり、Yは-NH-である。
いくつかの実施態様において、R3は、-H、-CH3、-CH2CH3、-CF3、-Cl、又は-Fである。
いくつかの実施態様において、Bは、式IIの部分である:
(式中、W
cは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり;
qは、0又は1の整数であり;
R
1は、水素、アルキル、又はハロであり;
R
2は、アルキル又はハロであり;
R
3は、水素、アルキル、又はハロであり;任意に該化合物は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する:
(i)Xは-(CH(R
9))
z-(ここで、R
9はメチルであり、z=1である)であり;かつW
dは
であり;及び/又は
(ii)R
3は、メチルもしくはクロロである)。
いくつかの実施態様において、該化合物は、式V-A2の構造を有する:
(任意に、式中、
(i)Bは、式IIの部分であり:
W
cは、アリールもしくはシクロアルキルであり、及び/又は
(ii)R
3は、メチルもしくはクロロであり、さらに任意に、以下のうちの1つもしくは複数も適用される:(a)R
9は、メチルもしくはエチルであり、(b)Bは、置換もしくは非置換フェニルであり、(c)Bは、置換もしくは非置換シクロアルキルである)。Bが置換フェニルであるいくつかの実施態様において、Bは、フルオロで置換されている。いくつかの実施態様において、Bは、フェニル環のオルト又はパラ位において1つのフルオロで置換されているフェニルである。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている通りに使用される化合物は、以下から選択される。
いくつかの実施態様において、該化合物は、以下から選択される。
いくつかの実施態様において、該化合物は、以下から選択される。
いくつかの実施態様において、該PI3K阻害剤は、以下からなる群から選択される式を有する:
。
いくつかの実施態様において、該化合物は、約55%超、約80%超、約90%超、及び約95%超から選択されるエナンチオマー純度を有するS-エナンチオマーである。
いくつかのそのような実施態様において、該化合物は、以下から選択される:
。
いくつかの実施態様において、該PI3K阻害剤は、以下からなる群から選択される式を有する:
。
あるそのような実施態様において、該化合物は、以下のものである。
他のそのような実施態様において、該化合物は、以下のものである。
また他のそのような実施態様において、該化合物は、以下のものである。
いくつかの実施態様において、該化合物は、以下の構造:
を有し、これは、本明細書において、化合物292とも呼ばれる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物の多形が使用される。例示的な多形は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許公報第2012-0184568号(「'568号公報」)に開示されている。
一実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Aである。別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Bである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Cである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Dである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Eである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Fである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Gである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Hである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Iである。また別の実施態様において、該化合物は、'568号公報に記載の化合物292の形態Jである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、'568号出願に記載の化合物292の遊離塩基の結晶一水和物である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、'568号出願に記載の化合物292の遊離塩基の結晶一水和物である化合物292の医薬として許容し得る形態である。
本明細書に開示される化合物(PI3Kモジュレーター)はいずれも、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、キレート、非共有結合錯体、異性体、プロドラッグ、同位体標識された誘導体、又はこれらの混合物の形態にあることができる。
本明細書に記載の化学的実体は、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許公報US 2009/0312319号、国際特許公開WO 2011/008302A1号、及び米国特許公報第2012-0184568号に開示されている例示的な方法に従って、並びに/又は当技術分野で公知の方法に従って合成することができる。
(医薬組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、並びに不活性固体希釈剤及び充填剤、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒、透過促進剤、可溶化剤、並びに補助剤を含む、医薬として許容し得る賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、第二の活性剤、例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤)を含む。
(1.製剤)
医薬組成物は、以下のもの:経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性の液剤又は懸濁剤)、錠剤(例えば、口腔、舌下、及び全身吸収の対象となるもの)、カプセル剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤、並びに十二指腸経路;例えば、滅菌液剤もしくは懸濁剤又は徐放性製剤としての、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、又は注入を含む、非経口投与;例えば、皮膚に適用されるクリーム剤、軟膏剤、もしくは制御放出パッチもしくはスプレーとしての、局所適用;例えば、ペッサリー、クリーム剤、ステント、又はフォームとしての、膣内又は直腸内;舌下;眼内;肺内;カテーテル又はステントによる局所送達;髄腔内、又は鼻腔内に適したものを含む、固体又は液体形態での投与のために特別に製剤化することができる。
医薬組成物中で利用することができる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散剤の場合、必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
これらの組成物は、補助剤、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤、及び/又は抗酸化剤を含むこともできる。本明細書に記載の化合物に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などを含めることによって保証することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本明細書に記載の化合物及び/又は化学療法薬を、担体及び任意に、1以上の補助成分と関連させる工程を含む。一般に、製剤は、本明細書に開示される化合物を、液体担体、又は微粉化固体担体、又はその両方と均一かつ密接に関連させ、その後、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
そのような医薬組成物の調製は当技術分野で周知である。例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G編、臨床薬物データのハンドブック(Handbook of Clinical Drug Data)、第10版、McGraw-Hill, 2002; Pratt及びTaylor編、薬物作用の原理(Principles of Drug Action)、第3版、Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung編、基礎及び臨床薬理学(Basic and Clinical Pharmacology)、第12版、McGraw Hill, 2011; Goodman及びGilman編、治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)、第10版、McGraw Hill, 2001;レミントンの医薬科学(Remingtons Pharmaceutical Sciences)」、第20版、Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindaleの文献、特別薬局方(The Extra Pharmacopoeia)、第32版(The Pharmaceutical Press, London, 1999)を参照されたく;これらは全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。例えば、何らかの望ましくない生物学的効果をもたらすか、又はさもなければ医薬として許容し得る組成物の任意の他の成分(複数可)と有害な形で相互作用することによって、任意の従来の賦形剤媒体が本明細書に提供される化合物と適合しない場合を除き、賦形剤の使用は、本開示の範囲内にあることが企図される。
いくつかの実施態様において、開示された医薬組成物中に提供される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%、又は約0.0001%w/w、w/v、又はv/v以下である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19.75%、約19.50%、約19.25%、約19%、約18.75%、約18.50%、約18.25%、約18%、約17.75%、約17.50%、約17.25%、約17%、約16.75%、約16.50%、約16.25%、約16%、約15.75%、約15.50%、約15.25%、約15%、約14.75%、約14.50%、約14.25%、約14%、約13.75%、約13.50%、約13.25%、約13%、約12.75%、約12.50%、約12.25%、約12%、約11.75%、約11.50%、約11.25%、約11%、約10.75%、約10.50%、約10.25%、約10%、約9.75%、約9.50%、約9.25%、約9%、約8.75%、約8.50%、約8.25%、約8%、約7.75%、約7.50%、約7.25%、約7%、約6.75%、約6.50%、約6.25%、約6%、約5.75%、約5.50%、約5.25%、約5%、約4.75%、約4.50%、約4.25%、約4%、約3.75%、約3.50%、約3.25%、約3%、約2.75%、約2.50%、約2.25%、約2%、約1.75%、約1.50%、約1.25%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%、又は約0.0001%w/w、w/v、又はv/v超である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約0.0001%〜約50%、約0.001%〜約40%、約0.01%〜約30%、約0.02%〜約29%、約0.03%〜約28%、約0.04%〜約27%、約0.05%〜約26%、約0.06%〜約25%、約0.07%〜約24%、約0.08%〜約23%、約0.09%〜約22%、約0.1%〜約21%、約0.2%〜約20%、約0.3%〜約19%、約0.4%〜約18%、約0.5%〜約17%、約0.6%〜約16%、約0.7%〜約15%、約0.8%〜約14%、約0.9%〜約12%、又は約1%〜約10%w/w、w/v、又はv/vの範囲内にある。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約0.001%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.02%〜約4.5%、約0.03%〜約4%、約0.04%〜約3.5%、約0.05%〜約3%、約0.06%〜約2.5%、約0.07%〜約2%、約0.08%〜約1.5%、約0.09%〜約1%、又は約0.1%〜約0.9%w/w、w/v、又はv/vの範囲内にある。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約10g、約9.5g、約9.0g、約8.5g、約8.0g、約7.5g、約7.0g、約6.5g、約6.0g、約5.5g、約5.0g、約4.5g、約4.0g、約3.5g、約3.0g、約2.5g、約2.0g、約1.5g、約1.0g、約0.95g、約0.9g、約0.85g、約0.8g、約0.75g、約0.7g、約0.65g、約0.6g、約0.55g、約0.5g、約0.45g、約0.4g、約0.35g、約0.3g、約0.25g、約0.2g、約0.15g、約0.1g、約0.09g、約0.08g、約0.07g、約0.06g、約0.05g、約0.04g、約0.03g、約0.02g、約0.01g、約0.009g、約0.008g、約0.007g、約0.006g、約0.005g、約0.004g、約0.003g、約0.002g、約0.001g、約0.0009g、約0.0008g、約0.0007g、約0.0006g、約0.0005g、約0.0004g、約0.0003g、約0.0002g、又は約0.0001g以下である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約0.0001g、約0.0002g、約0.0003g、約0.0004g、約0.0005g、約0.0006g、約0.0007g、約0.0008g、約0.0009g、約0.001g、約0.0015g、約0.002g、約0.0025g、約0.003g、約0.0035g、約0.004g、約0.0045g、約0.005g、約0.0055g、約0.006g、約0.0065g、約0.007g、約0.0075g、約0.008g、約0.0085g、約0.009g、約0.0095g、約0.01g、約0.015g、約0.02g、約0.025g、約0.03g、約0.035g、約0.04g、約0.045g、約0.05g、約0.055g、約0.06g、約0.065g、約0.07g、約0.075g、約0.08g、約0.085g、約0.09g、約0.095g、約0.1g、約0.15g、約0.2g、約0.25g、約0.3g、約0.35g、約0.4g、約0.45g、約0.5g、約0.55g、約0.6g、約0.65g、約0.7g、約0.75g、約0.8g、約0.85g、約0.9g、約0.95g、約1g、約1.5g、約2g、約2.5、約3g、約3.5、約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、又は約10gを上回る。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約0.0001〜約10g、約0.0005〜約5g、約0.001〜約1g、約0.002〜約0.5g、0.005〜約0.5g、約0.01〜約0.1g、約0.01〜約0.05g、又は約0.05〜約0.1gの範囲内にある。
(1A.経口投与用の組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、経口消費に好適な液体医薬組成物である。経口投与に好適な医薬組成物は、各々所定量の活性成分を粉末として、或いは顆粒、溶液、又は水性もしくは非水性液体中の懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン中に含む、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の剤形、又は液体、又はエアロゾルスプレーとして提供することができる。そのような剤形は、調剤法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1以上の成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密に混合し、その後、必要であれば、生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、任意に1以上の補助成分とともに圧縮又は成形することによって調製することができる。圧縮錠は、任意に、限定されないが、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、及び/又は界面活性剤もしくは分散剤などの賦形剤と混合した、粉末又は顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を、好適な機械の中で圧縮することによって調製することができる。成形錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。
本開示は、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包含するが、それは、水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、有効期間又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として、製薬技術において水(例えば、約5%)を添加することができる。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。例えば、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形を無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵することができる。したがって、無水医薬組成物は、それを好適な製剤キットに含めることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装することができる。好適な包装の例としては、密閉されたホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
活性成分は、従来の医薬配合技術に従って、医薬担体と密に混合させて組み合わせることができる。担体は、投与のために望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態を取ることができる。経口剤形用の医薬組成物を調製する際に、経口液体調製物(例えば、懸濁液、溶液、及びエリキシル剤)もしくはエアロゾルの場合、通常の医薬用媒体のいずれか、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存料、着色剤などを担体として利用することができ;又は経口固体調製物の場合、いくつかの実施態様において、ラクトースを使用しないで、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤などの担体を使用することができる。例えば、好適な担体としては、固体経口調製物の場合、粉末、カプセル、及び錠剤が挙げられる。いくつかの実施態様において、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。
医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、並びにこれら混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される医薬組成物及び剤形中で使用するための好適な増量剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
崩壊剤を、本明細書に提供される医薬組成物中で用いて、水性環境に暴露されたときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤が多過ぎると、ボトル中で崩壊し得る錠剤が生成されることがある。少な過ぎると、崩壊が生じるのに十分ではないことがあり、したがって、剤形からの活性成分(複数可)の放出の速度及び程度が変化することがある。したがって、活性成分(複数可)の放出を悪く変化させるほど少な過ぎることも多過ぎることもない十分な量の崩壊剤を用いて、本明細書に開示される化合物の剤形を形成させることができる。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプ及び投与の様式に基づいて異なることができ、当業者により容易に認識されることができる。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、又は約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を医薬組成物中で使用することができる。医薬組成物及び剤形を形成させるために使用し得る崩壊剤としては、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethylaureate)、寒天、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、又はこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で、任意に添加することができる。
水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合、その中の活性成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、及びこれらの様々な組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味剤又は着香剤、着色物質又は色素、並びに例えば、乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせることができる。
錠剤は、コーティングしないか、又は既知の技術によってコーティングし、消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それにより、長期にわたって持続的な作用を提供することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を利用することができる。経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは活性成分が、水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる界面活性剤としては、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、親水性界面活性剤の混合物を利用することができるか、親油性界面活性剤の混合物を利用することができるか、又は少なくとも1つの親水性界面活性剤と少なくとも1つの親油性界面活性剤の混合物を利用することができる。
好適な親水性界面活性剤は、通常、少なくとも約10のHLB値を有し、一方、好適な親油性界面活性剤は、通常、約10以下のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性及び疎水性を特徴付けるために使用される実験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性又は疎水性で、かつ油への溶解性がより高く、一方、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性で、かつ水溶液への溶解性がより高い。親水性界面活性剤は、通常、約10よりも大きいHLB値を有する化合物、及びHLB基準が通常適用されない陰イオン性、陽イオン性、又は双性イオン性化合物であると考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬用、及び化粧品用のエマルジョンの製剤化を可能にするために一般に使用されるおおよその目安に過ぎない。
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性のいずれかであることができる。好適なイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
上述のグループの中で、イオン性界面活性剤としては、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質、及びこれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられる。
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレエート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリルスルフェート、テラセシルスルフェート、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンのイオン化形態、並びにこれらの塩及び混合物であることができる。
親水性非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体及び類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;並びにこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオールと、トリグリセリド、植物油、及び水素化植物油のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、又はサッカリドであることができる。
他の親水性非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、ラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸PEG-32、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、ジステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ジラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、ジオレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG-6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG-8グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、トリオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルコハク酸PEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween 40、Tween 60、ショ糖モノステアレート、ショ糖モノラウレート、ショ糖モノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノール系列、PEG15-100オクチルフェノール系列、及びポロキサマーが挙げられる。
好適な親油性界面活性剤としては、単なる例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。このグループの中で、親油性界面活性剤の非限定的な例は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含むか、又はポリオールと、植物油、水素化植物油、及びトリグリセリドのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
一実施態様において、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物の良好な可溶化及び/もしくは溶解を保証するために、並びに該化合物の沈殿を最小限に抑えるために、可溶化剤を含むことができる。これは、非経口使用のための医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物にとってとりわけ重要であり得る。親水性薬物及び/もしくは他の成分、例えば、界面活性剤の溶解性を増大させるか、又は医薬組成物を安定なもしくは均一な溶液もしくは分散液として維持するために、可溶化剤を添加することもできる。
好適な可溶化剤の例としては、以下のもの:アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、及びこれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEG;アミド及び他の窒素含有化合物、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ブチル酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;並びに当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200〜100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
含めることができる可溶化剤の量は、特には制限されない。所与の可溶化剤の量は、生体許容量に制限することができ、この量は、当業者により容易に決定されることができる。場合によっては、例えば、薬物の濃度を最大化するために、生体許容量をはるかに超える量の可溶化剤を含め、過剰の可溶化剤を、医薬組成物を対象に提供する前に、蒸留又は蒸発などの従来の技術を用いて除去することが有利であり得る。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物と他の賦形剤の組み合わせた重量に基づいて、約10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、又は最大約200重量%の重量比であることができる。望ましい場合、約5%、2%、1%、又はさらにそれ未満などの、非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、約1重量%〜約100重量%、より典型的には、約5重量%〜約25重量%の量で存在することができる。
医薬組成物は、1以上の医薬として許容し得る添加剤及び/賦形剤をさらに含むことができる。そのような添加剤及び賦形剤としては、限定されないが、剥離剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤(viscomodulator)、張性調節剤(tonicifier)、香味剤、着色剤、オイル、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、増量剤、可塑剤、滑沢剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
例示的な防腐剤としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌性防腐剤、抗真菌性防腐剤、アルコール性防腐剤、酸性防腐剤、及び他の防腐剤を挙げることができる。例示的な抗酸化剤としては、αトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及びエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的な抗菌性防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗真菌防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコール性防腐剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及びフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な酸性防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィト酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエンド(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon、及びEuxylが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、防腐剤は抗酸化剤である。他の実施態様において、防腐剤はキレート剤である。
例示的な油としては、アーモンド油、アプリコットカーネル油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子油、ボラージ油、ケード油、カモミール油、キャノーラ油、カラウェー油、カルナバ油、ヒマシ油、桂皮油、ココアバター油、ココナッツ油、タラの肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、亜麻仁油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、リツェアクベバ油、マカデミアナッツ油、マロー油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、ピーチカーネル油、ピーナッツ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、菜種油、米ぬか油、ローズマリー油、ベニバナ油、サンダルウッド油、サスクアナ(sasquana)油、セイバリー油、サジー油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチバー油、クルミ油、及び小麦胚芽油が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びこれらの組合せも挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、加工を促進するために、安定性を増強するために、又はその他の理由で、酸又は塩基を医薬組成物中に組み込むことができる。医薬として許容し得る塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。また好適なのは、医薬として許容し得る酸、例えば、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquino sulfonic)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基である。多塩基酸の塩、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウムを使用することもできる。塩基が塩である場合、陽イオンは、任意の好都合でかつ医薬として許容し得る陽イオン、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などであることができる。例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムを挙げることができるが、これらに限定されない。
好適な酸は、医薬として許容し得る有機酸又は無機酸である。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。好適な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquino sulfonic)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
(1B.非経口投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び非経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)非経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
開示された医薬組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態としては、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油を含む、水性もしくは油性懸濁液、又はエマルジョン、並びにエリキシル、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水溶液、及び同様の医薬用ビヒクルが挙げられる。
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合、所要の粒径の維持のためのコーティング剤、例えば、レシチンの使用によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。
滅菌注射用溶液は、所要量の本明細書に開示される化合物を、適当な溶媒中に、必要に応じて、上に列挙された他の様々な成分とともに組み入れ、その後、濾過滅菌することによって調製される。通常、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基礎分散媒と上に列挙されたもの由来の適当な他の成分とを含む滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、特定の調製方法は、活性成分と任意の追加成分との粉末を事前に滅菌濾過したその溶液から生じさせる真空乾燥技術及び凍結乾燥技術である。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過することによるか、又は使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み入れることによって、滅菌することができる。注射用組成物は、約0.1〜約5%w/wの本明細書に開示される化合物を含むことができる。
(1C.局所投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び局所投与に好適な医薬賦形剤を含む、局所(例えば、経皮)投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)局所投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、局所投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
本明細書に提供される医薬組成物は、局所(local)又は局所(topical)投与に好適な固体、半固体、又は液体形態の調製物、例えば、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、フォーム、粉末、スラリー、軟膏、溶液、油、ペースト、坐剤、スプレー、エマルジョン、食塩水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)系溶液に製剤化することができる。一般に、高密度の担体は、ある部位を活性成分に長時間暴露させることができる。対照的に、溶液製剤は、活性成分を選択部位により即時的に暴露させることができる。
医薬組成物は、皮膚角質層の透過性障壁を横断する治療分子の透過の増大又は送達の補助を可能にする化合物である、好適な固体又はゲル相の担体又は賦形剤を含むこともできる。局所製剤分野の当業者に公知のこれらの透過促進分子が多数存在する。そのような担体及び賦形剤の例としては、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル及びラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、並びにポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
開示された方法で使用するための別の例示的な製剤は、経皮送達装置(「パッチ」)を利用する。そのような経皮パッチを用いて、別の薬剤とともに又は別の薬剤なしで、制御された量の本明細書に提供される化合物の連続的又は不連続的な注入を提供することができる。
医薬品送達のための経皮パッチの構築及び使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号、及び第5,001,139号を参照されたい。そのようなパッチは、医薬品の連続的送達、拍動性送達、又は応需型送達のために構築することができる。
本明細書に記載の医薬として許容し得る皮内組成物の送達で使用するための好適な装置としては、短い針の装置、例えば、米国特許第4,886,499号;第5,190,521号;第5,328,483号;第5,527,288号;第4,270,537号;第5,015,235号;第5,141,496号;及び第5,417,662号に記載の装置が挙げられる。皮内組成物は、皮膚への針の有効な貫通長を制限する装置、例えば、PCT公開WO 99/34850号に記載の装置及びその機能的同等物によって投与することができる。液体ジェット注射器を介して、及び/又は角質層を貫通して、真皮に到達するジェットを生成させる針を介して真皮に液体ワクチンを送達するジェット注射装置が好適である。ジェット注射装置は、例えば、米国特許第5,480,381号;第5,599,302号;第5,334,144号;第5,993,412号;第5,649,912号;第5,569,189号;第5,704,911号;第5,383,851号;第5,893,397号;第5,466,220号;第5,339,163号;第5,312,335号;第5,503,627号;第5,064,413号;第5,520,639号;第4,596,556号;第4,790,824号;第4,941,880号;第4,940,460号;並びにPCT公開WO 97/37705号及びWO 97/13537号に記載されている。粉末形態のワクチンを皮膚の外層から真皮へと加速するために圧縮ガスを使用する弾道粉末/粒子送達装置が好適である。その代わりに又はそれに加えて、従来の注射器を皮内投与の古典的なマントー法で使用することができる。
局所投与可能な製剤は、例えば、該製剤の総重量に対して、約1%〜約10%(w/w)の本明細書に提供される化合物を含むことができるが、該製剤中の本明細書に提供される化合物の濃度は、溶媒中の該化合物の溶解度限界と同じ程度の高さであることができる。いくつかの実施態様において、局所投与可能な製剤は、例えば、約1%〜約9%(w/w)の本明細書に提供される化合物、例えば、約1%〜約8%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約7%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約6%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約5%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約4%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約3%(w/w)、及びさらに例えば、約1%〜約2%(w/w)の本明細書に提供される化合物を含むことができる。局所投与用の製剤は、本明細書に記載のさらなる医薬として許容し得る賦形剤のうちの1つ又は複数をさらに含むことができる。
(1D.吸入投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び局所投与に好適な医薬賦形剤を含む、吸入投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)吸入投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、吸入投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含有する。
吸入又は吹送用の医薬組成物は、医薬として許容し得る水性もしくは有機溶媒、又はこれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末を含む。液体又は固体の医薬組成物は、本明細書に記載の好適な医薬として許容し得る賦形剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、局所又は全身効果のために、経口又は経鼻呼吸経路によって投与される。医薬として許容し得る溶媒中の医薬組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧することができる。噴霧された溶液を噴霧装置から直接吸入することができるか、又は噴霧装置をフェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器に取り付けることができる。溶液、懸濁液、又は粉末医薬組成物は、製剤を適切な方法で送達する装置から、例えば、経口的又は経鼻的に投与することができる。
(1E.眼内投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本開示は、眼科的障害を治療するための医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、有効量の本明細書に開示される化合物、及び眼内投与に好適な医薬賦形剤を含むことができる。眼内投与に好適な医薬組成物は、個別の剤形、例えば、各々所定量の活性成分を含む点眼薬もしくはスプレー剤 液剤、又は水性もしくは非水性液中の懸濁剤、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。他の投薬形態としては、眼球内注射、硝子体内注射、局所、又は薬物溶出装置、マイクロカプセル、インプラント、もしくはマイクロ流体装置の使用によるものが挙げられる。いくつかの例においては、本明細書に開示される化合物は、界面膜によって囲まれた油性コアを有するコロイド粒子を含む油水エマルジョンなどの化合物の眼球内透過を増大させる担体又は賦形剤とともに投与される。局所、結膜下、眼球周囲、眼球後方、眼球鞘下、前房内、硝子体内、眼球内、網膜下、強膜近傍、及び脈絡膜上投与を含む、眼への全ての局所経路を使用することができると考えられる。全身又は非経口投与は実施可能であり、これには、静脈内、皮下、及び経口送達が含まれるが、これらに限定されない。例示的な投与方法は、溶液もしくは懸濁液の硝子体内もしくは眼球鞘下注射、又は生体浸食性もしくは非生体浸食性装置の硝子体内もしくは眼球鞘下配置、又は溶液もしくは懸濁液の局所眼内投与によるもの、又はゲルもしくはクリーム製剤の後強膜近傍投与である。
点眼薬は、活性成分を、滅菌水溶液、例えば、生理食塩水、緩衝溶液などに溶解させることによるか、又は使用前に粉末組成物を組み合わせて溶解させることによって調製することができる。当技術分野で公知であるような、他のビヒクルを選択することができ、これには:平衡塩溶液、食塩水溶液、水溶性ポリエーテル、例えば、ポリエチエングリコール(polyethyene glycol)、ポリビニル、例えば、ポリビニルアルコール及びポビドン、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、石油誘導体、例えば、鉱油及び白色ワセリン、動物性脂肪、例えば、ラノリン、アクリル酸のポリマー、例えば、カルボキシポリメチレンゲル、植物性脂肪、例えば、ピーナッツ油、及び多糖、例えば、デキストラン、及びグリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、点眼薬中に通常使用される添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、サッカリド、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなど;例えば、ヒアルロン酸又はその塩、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなど;例えば、ムコ多糖、例えば、コンドロイチン硫酸など;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は当業者に公知の他の薬剤)が挙げられる。
いくつかの例において、コロイド粒子は、少なくとも1つのカチオン剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、又はステアリン酸ポリオキシルを含む。いくつかの例において、カチオン剤は、アルキルアミン、第三級アルキルアミン、第四級アンモニウム化合物、カチオン性脂質、アミノアルコール、ビグアニジン塩、カチオン性化合物、又はこれらの混合物である。いくつかの例において、カチオン剤は、ビグアニジン塩、例えば、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニジン、フェンホルミン、アルキルビグアニジン、又はこれらの混合物である。いくつかの例において、第四級アンモニウム化合物は、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化ラウラルコニウム、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベヘンアルコニウム、ハロゲン化セタルコニウム、ハロゲン化セテチルジモニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンゾドデシニウム、ハロゲン化クロラリルメテナミン、ハロゲン化ミリスチルアルコニウム、ハロゲン化ステアラルコニウム、又は2以上のこれらの混合物である。いくつかの例において、カチオン剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウラルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゼテニウム(benzethenium chloride)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、又は2以上のこれらの混合物である。いくつかの例において、油相は、鉱油及び軽質鉱油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ココナッツ油;水素化綿実油、水素化パーム油、水素化ヒマシ油、又は水素化大豆油を含む水素化油;ポルオキシル(poluoxyl)-40水素化ヒマシ油、ポリオキシル-60水素化ヒマシ油、又はポリオキシル-100水素化ヒマシ油を含むポリオキシエチレン水素化ヒマシ油誘導体である。
(1F.制御放出投与のための製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び制御放出投与に好適な医薬賦形剤を含む、制御放出投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)制御放出投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、制御放出投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
活性剤、例えば、本明細書に提供される化合物は、制御放出手段によるか、又は当業者に周知である送達装置によって投与することができる。例としては、その各々が、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;第6,699,500号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いて、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はこれらの組合せを用いて、1以上の活性剤の低速放出又は制御放出を提供し、様々な割合の所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載されているものを含む、当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本明細書に提供される活性剤と併せた使用のために容易に選択することができる。したがって、提供される医薬組成物は、限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤などの、経口投与に好適な単一単位剤形を包含する。
制御放出医薬製品は全て、その非制御対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという共通の目的を有する。いくつかの実施態様において、医学的処置における制御放出調製物の使用は、疾患、障害、又は状態を最小限の時間で治癒させるか又は制御するために最小限の薬物物質が利用されることを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物の活性の延長、投薬頻度の低下、及び対象の投薬遵守の向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤を用いて、作用の開始時間又は他の特徴、例えば、薬物の血液レベルに影響を及ぼすことができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
いくつかの実施態様において、制御放出製剤は、所望の治療効果を適切に生じる量の本明細書に開示される化合物を最初に放出し、かつ長期間にわたってこのレベルの治療又は予防効果を維持するために他の量の該化合物を徐々にかつ連続的に放出するように設計される。体内での該化合物のこの一定レベルを維持するために、化合物は、代謝され、体から排出されつつある薬物の量を補う速度で剤形から放出されるべきである。活性剤の制御放出は、限定されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件もしくは化合物を含む、様々な条件によって刺激することができる。
ある実施態様において、医薬組成物は、静脈内注入、埋め込み可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与様式を用いて投与することができる。一実施態様において、ポンプを使用することができる(Seftonの文献、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201(1987); Buchwaldらの文献、Surgery 88:507(1980); Saudekらの文献、N. Engl. J. Med. 321:574(1989)を参照されたい)。別の実施態様において、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施態様において、制御放出系は、当業者によって決定される適切な部位で対象内に配置することができ、例えば、そのため、全身用量のごく一部しか必要としない(例えば、Goodsonの文献、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)、115-138(第2巻, 1984)を参照されたい)。他の制御放出系は、Langerによる総説(Science 249: 1527-1533(1990))で論じられている。1以上の活性剤は、固体内部マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリビニルアセテート中に分散させることができ、この内部マトリックスは、体液に不溶性である外側の高分子膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルと、塩化ビニリデンと、エチレンと、プロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーによって囲まれている。その結果、1以上の活性剤は、放出速度を制御する段階で、外側高分子膜を通って拡散する。そのような非経口組成物中の活性剤の割合は、その具体的な性質、及び対象の必要性に大きく左右される。
(2.投薬量)
本明細書に記載の化合物は、治療有効量の本明細書に記載の1以上の化合物、及び/又は1以上の医薬として許容し得る賦形剤と一緒に製剤化される、1以上の追加の治療剤、例えば、化学療法剤を含む医薬として許容し得る組成物の形態で送達することができる。いくつかの例において、本明細書に記載の化合物及び追加の治療剤は、別々の医薬組成物中で投与され、(例えば、異なる物理的及び/又は化学的特性のために)異なる経路で投与することができる(例えば、一方の治療薬は経口投与されるが、もう一方の治療薬は静脈内投与される)。他の例において、本明細書に記載の化合物及び追加の治療剤は、別々ではあるが、同じ経路(例えば、両方とも経口又は両方とも静脈内)で投与することができる。また他の例において、本明細書に記載の化合物及び追加の治療剤は、同じ医薬組成物中で投与することができる。
選択される投薬量レベルは、種々の因子によって決まり、これには、例えば、利用される特定の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の***又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、治療の持続時間、利用される特定の化合物と併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康、及び過去の病歴、並びに医療分野で周知の同様の因子が含まれる。
一般に、本明細書に記載の化合物及び/又は化学療法薬の好適な1日用量は、いくつかの実施態様において、治療効果をもたらすのに有効な最低用量であることができる、該化合物の量である。そのような有効用量は、通常、本明細書に記載の因子によって決まる。通常、患者に対する本明細書に記載の化合物の用量は、示された効果を求めて使用されるとき、約1mg〜約1000mg、1日当たり約0.01mg〜約500mg、1日当たり約0.1mg〜約500mg、1日当たり約1mg〜約500mg、1日当たり約5mg〜約500mg、1日当たり約0.01mg〜約200mg、1日当たり約0.1mg〜約200mg、1日当たり約1mg〜約200mg、1日当たり約5mg〜約200mg、1日当たり約0.01mg〜約100mg、1日当たり約0.1mg〜約100mg、1日当たり約1mg〜約100mg、1日当たり約5mg〜約100mg、1日当たり約0.01mg〜約50mg、1日当たり約0.1mg〜約50mg、1日当たり約1mg〜約50mg、1日当たり約5mg〜約50mg、約5mg〜約40mg、約5mg〜約30mg、約5mg〜約25mg、又は1日当たり約5mg〜約20mgの範囲であることができる。例示的な投薬量は、1日当たり約0.1〜100mgである。本明細書に記載の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって毒性があるものになることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化させることができる。いくつかの例において、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルで十分であることがあるが、他の例において、さらにより大きい用量を、任意の有害な副作用を生じることなく、例えば、1日を通して投与するために、そのようなより大きい用量をいくつかの小さい用量に分割することによって利用することができる。
いくつかの実施態様において、化合物は、毎日、1日おき、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、又は2週間に1回投与することができる。投与スケジュールは、「休薬期間」を含むことができ、例えば、薬物は、2週間服用、1週間非服用、もしくは3週間服用、1週間非服用、もしくは4週間服用、1週間非服用などで、又は連続的に休薬期間なしで投与することができる。化合物は、経口、静脈内、腹腔内、局所、経皮、筋肉内、皮下、鼻腔内、舌下に、又は任意の他の経路によって投与することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、複数用量で投与される。投与は、1日に約1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は7回以上であることができる。投与は、約1カ月に1回、約2週間に1回、約1週間に1回、又は約1日おきに1回であることができる。別の実施態様において、本明細書に開示される化合物及び別の薬剤は、1日に約1回〜1日に約6回、一緒に投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物及び薬剤の投与は、約7日未満の間、継続される。また別の実施態様において、投与は、約6日、約10日、約14日、約28日、約2カ月、約6カ月、又は約1年よりも長い間、継続される。いくつかの例において、連続投与は、必要な限り実現され、維持される。
本明細書に開示される医薬組成物の投与は、必要な限り継続させることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約14日、約21日、又は約28日よりも長い間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、約28日、約21日、約14日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、又は約1日未満の間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約14日、約21日、又は約28日間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、例えば、慢性作用の治療のために、慢性的に継続して投与される。
本明細書に記載の化合物は、他の治療(例えば、追加の化学療法薬、放射線療法、又は外科手術)と組み合わせて投与することができるので、各々の薬剤又は療法の用量は、単剤療法の対応する用量よりも少なくすることができる。単剤療法の用量は、例えば、1日当たり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲であることができる。
本明細書に提供される化合物が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有する場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるPI3Kモジュレーター(例えば、化合物292、又はその医薬として許容し得る形態)を含む医薬組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤)であり、ここで、該PI3Kモジュレーターは、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約75mg、約80mg、又は約100mgの量である。例示的な実施態様において、本明細書に提供されるPI3Kモジュレーター(例えば、化合物292、又はその医薬として許容し得る形態)を含む医薬組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤)は、1日に1回投与される。例示的な実施態様において、本明細書に提供されるPI3Kモジュレーター(例えば、化合物292、又はその医薬として許容し得る形態)を含む医薬組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤)は、1日に2回投与される。例示的な実施態様において、本明細書に提供されるPI3Kモジュレーター(例えば、化合物292、又はその医薬として許容し得る形態)を含む医薬組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤)は、28日サイクルで投与される。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、経口送達用に調製されている、本明細書に提供されるPI3Kモジュレーター(例えば、化合物292、又はその医薬として許容し得る形態)を含む医薬組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤)である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるPI3Kモジュレーター(例えば、化合物292、又はその医薬として許容し得る形態)、及び医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含む医薬組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤)である。例示的な実施態様において、該組成物中の医薬として許容し得る賦形剤又は担体は、微結晶性セルロース(例えば、ケイ化微結晶性セルロース)、クロスポビドン、及び/又はステアリン酸マグネシウムのうちの1つ又は複数である。
(治療及び予防方法)
特定の理論に限定されるものではないが、PI3Kは、細胞の増殖、分化、生存、及び移動を媒介するシグナル伝達の調節因子である。PI3K-δ及びPI3K-γは、造血細胞で発現し、血液悪性腫瘍において役割を果たしている。例えば、PI3K-δ及びPI3K-γは、腫瘍微小環境の確立及び維持において役割を有している。PI3K-δ及びPI3K-γは、ヘム区画で高度に発現されており、血液癌を治療する際に有用であり得る。PI3K-δ及びPI3K-γアイソフォームを含むクラスI PI3Kもまた、癌と関連している(例えば、Vogt, PKらの文献(2010) Curr Top Microbiol Immunol. 347:79-104; Fresno Vara, JAらの文献(2004) Cancer Treat Rev. 30(2):193-204; Zhao, L及びVogt, PK.の文献(2008) Oncogene 27(41):5486-96に概説されている)。PI3K、例えば、PI3K-δ及び/又はPI3K-γの阻害剤は、抗癌活性を有することが知られている(例えば、Courtney, KDらの文献(2010) J Clin Oncol. 28(6):1075-1083); Markman, Bらの文献(2010) Ann Oncol. 21(4):683-91; Kong, D及びYamori, Tの文献(2009) Curr Med Chem. 16(22):2839-54; Jimeno, Aらの文献(2009) J Clin Oncol. 27:156s(suppl; abstr 3542); Flinn, IWらの文献(2009) J Clin Oncol. 27:156s(suppl; abstr 3543); Shapiro, Gらの文献(2009) J Clin Oncol. 27:146s(suppl; abstr 3500); Wagner, AJらの文献(2009) J Clin Oncol. 27:146s(suppl; abstr 3501); Vogt, PKらの文献(2006) Virology 344(1):131-8; Ward, Sらの文献(2003) Chem Biol. 10(3):207-13; WO 2011/041399号; US 2010/0029693号; US 2010/0305096号; US 2010/0305084号;各々引用により本明細書中に組み込まれる)。PI3K-δ及びPI3K-γは、前立腺、***、及び膠芽腫を含む一部の固形腫瘍で発現している(Chen J.S.らの文献(2008) Mol Cancer Ther. 7(4):841-50; Ikeda H.らの文献(2010) Blood 116(9):1460-8)。特定の理論に限定されるものではないが、PI3Kの阻害は、腫瘍の炎症及び進行に対する効果を有し得る。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kの1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する、特定のタイプの癌又は疾患、例えば、特定のタイプの血液悪性腫瘍を治療又は予防する方法である。該PI3Kアイソフォームには、PI3K-α、PI3K-β、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数が含まれる。一実施態様において、該特定のタイプの癌又は疾患、例えば、特定のタイプの血液悪性腫瘍は、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はPI3K-δとPI3K-γの両方の高い発現レベルを有する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kの1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する、特定のサブタイプの癌又は疾患、例えば、特定のサブタイプの血液悪性腫瘍を治療又は予防する方法である。該PI3Kアイソフォームには、PI3K-α、PI3K-β、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数が含まれる。一実施態様において、該特定のサブタイプの癌又は疾患、例えば、特定のサブタイプの血液悪性腫瘍は、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はPI3K-δとPI3K-γの両方の高い発現レベルを有する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍を有する特定の患者又は患者群を治療又は予防する方法であり、ここで、該特定の患者又は患者群は、PI3Kの1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する。該PI3Kアイソフォームには、PI3K-α、PI3K-β、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数が含まれる。一実施態様において、該特定の患者又は患者群は、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はPI3K-δとPI3K-γの両方の高い発現レベルを有する。
一実施態様において、本明細書に提供される方法は、PI3Kモジュレーター(例えば、1以上のPI3Kアイソフォームの活性を選択的に低下させる化合物)を、単独で又は1以上の他の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて、対象、例えば、哺乳動物対象、例えば、ヒトに投与することを含む。一実施態様において、該PI3Kモジュレーターは、PI3Kの他のアイソフォーム(複数可)と比べて、PI3Kの1以上のアイソフォームに選択的である(例えば、PI3K-δ選択的、PI3K-γ選択的、又はPI3K-δ及びPI3K-γ選択的である)。
例示的なPI3K-α選択的阻害剤としては、GDC-0032(2-[4-[2-(2-イソプロピル-5-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンズオキサゼピン-9-イル]ピラゾール-1-イル]-2-メチルプロパンアミド)、MLN-1117/INK1117((2R)-1-フェノキシ-2-ブタニル水素(S)-メチルホスホネート;又はメチル(オキソ){[(2R)-1-フェノキシ-2-ブタニル]オキシ}ホスホニウム)、及びBYL-719((2S)-N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]-1,2-ピロリジンジカルボキサミド)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なPI3K-α/m-TOR阻害剤としては、GSK2126458(2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なPI3K-β選択的阻害剤としては、TGX-221((±)-7-メチル-2-(モルホリン-4-イル)-9-(1-フェニルアミノエチル)-ピリド[1,2-a]-ピリミジン-4-オン)、GSK2636771(2-メチル-1-(2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-モルホリノ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-カルボン酸ジヒドロクロリド)、及びKIN-193((R)-2-((1-(7-メチル-2-モルホリノ-4-オキソ-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-9-イル)エチル)アミノ)安息香酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なPI3K-δ選択的阻害剤としては、TGR-1202/RP5264、GS-9820((S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン1-オン)、GS-1101(5-フルオロ-3-フェニル-2-([S)]-1-[9H-プリン-6-イルアミノ]-プロピル)-3H-キナゾリン-4-オン)、AMG-319、GSK-2269557、SAR245409(N-(4-(N-(3-((3,5-ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド)、及びBAY80-6946(2-アミノ-N-(7-メトキシ-8-(3-モルホリノプロポキシ)-2,3-ジヒドロイミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なPI3K-γ選択的阻害剤としては、AS 252424(5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メタ-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン)、及びCZ 24832(5-(2-アミノ-8-フルオロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)-N-tert-ブチルピリジン-3-スルホンアミド)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な汎PI3K阻害剤としては、ブパルリシブ(5-[2,6-ジ(4-モルホリニル)-4-ピリミジニル]-4-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンアミン)、SAR245409(N-(4-(N-(3-((3,5-ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド)、及びGDC-0941(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-4-(4-モルホリニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な汎PI3K/mTOR阻害剤としては、GDC-0980((S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン1-オン(別名、RG7422))、SF1126((8S,14S,17S)-14-(カルボキシメチル)-8-(3-グアニジノプロピル)-17-(ヒドロキシメチル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-1-(4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-クロメン-2-イル)モルホリノ-4-イウム)-2-オキサ-7,10,13,16-テトラアザオクタデカン-18-オエート)、PF-05212384(N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N'-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]ウレア)、LY3023414、BEZ235(2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル}プロパンニトリル)、XL-765(N-(3-(N-(3-(3,5-ジメトキシフェニルアミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド)、及びGSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なβ回避型(beta-sparing)(PI3K-α/δ/γ)阻害剤としては、PX886([(3aR,6E,9S,9aR,10R,11aS)-6-[[ビス(プロパ-2-エニル)アミノ]メチリデン]-5-ヒドロキシ-9-(メトキシメチル)-9a,11a-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-2,3,3a,9,10,11-ヘキサヒドロインデノ[4,5-h]イソクロメン-10-イル]アセテート(別名、ソノリシブ))が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の理論に限定されるものではないが、一実施態様において、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、特定のPI3Kアイソフォームの高発現は、該PI3Kアイソフォーム又は該PI3Kアイソフォームに関する受容体もしくは標的のDNAコピー数の増加、該PI3Kアイソフォーム又は該PI3Kアイソフォームに関する受容体もしくは標的のRNAの高発現、該PI3Kアイソフォーム又は該PI3Kアイソフォームに関する受容体もしくは標的のタンパク質の高発現、該PI3Kアイソフォーム又は該PI3Kアイソフォームに関する受容体もしくは標的の増幅、該PI3Kアイソフォームに関する受容体又は標的の欠失、該PI3Kアイソフォームに関する受容体又は標的の下方調節、該PI3Kアイソフォーム又は該PI3Kアイソフォームに関する受容体もしくは標的の突然変異、及び/或いは該PI3Kアイソフォーム又は該PI3Kアイソフォームに関する受容体もしくは標的の経路活性化であることができる。特定の理論に限定されるものではないが、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の治療に対する応答を予測する、経路活性化のバイオマーカー(例えば、pAKT、pS6、pPRAS40、又はPI3Kδ及び/もしくはPI3Kγの下流の他のタンパク質もしくは転写調節される遺伝子に関するバイオマーカー)並びにその使用方法である。
ある実施態様において、癌もしくは疾患、又は患者もしくは患者群における1つ又は複数の特定のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、例えば、本明細書に提供される方法又は当技術分野で公知の方法を用いて、特定のPI3Kアイソフォームタンパク質、もしくは特定のPI3KアイソフォームのRNAの発現レベル、又は特定のPI3KアイソフォームのDNAコピー数の増加を検出することにより決定することができる。他の実施態様において、癌もしくは疾患、又は患者もしくは患者群における1つ又は複数の特定のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、本明細書に提供されるバイオマーカー(例えば、特に、シグナル伝達経路バイオマーカー、タンパク質突然変異バイオマーカー、タンパク質発現バイオマーカー、遺伝子突然変異バイオマーカー、遺伝子発現バイオマーカー、サイトカインバイオマーカー、ケモカインバイオマーカー、マトリックスメタロプロテイナーゼバイオマーカー、又は特定の癌細胞のバイオマーカー)を測定することにより決定することができる。また別の実施態様において、癌もしくは疾患、又は患者もしくは患者群における1つ又は複数の特定のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、当技術分野で公知の情報に基づくか、或いは癌もしくは疾患に関する先行研究、又は患者もしくは患者群に関する先行試験に基づいて決定することができる。
ある実施態様において、他のPI3Kアイソフォーム(複数可)と比べた1以上のPI3Kアイソフォームに対するPI3Kモジュレーター(例えば、本明細書に提供される化合物)の選択性は、例えば、本明細書に提供される方法又は当技術分野で公知の方法を用いて、PI3Kアイソフォーム(例えば、PI3K-α、PI3K-β、PI3K-δ、及び/又はPI3K-γ)に対するPI3Kモジュレーターの活性を測定することにより決定することができる。
PI3K-γは、p101及びp84(p87PIKAP)アダプタータンパク質と関連し、かつ標準的にはGPCRを介してシグナルを伝達するクラス1B PI3Kである。チロシンキナーゼ受容体及びRASを介する非標準的な活性化が起こることもある。活性化されたPI3K-γは、AKT及びBTKを含む下流エフェクタータンパク質のドッキング部位としての役割を果たすPIP3の産生を引き起こし、これらの酵素をそれらが活性化され得る細胞膜に運ぶ。PI3K-γの足場としての役割が提唱されており、また、この役割はRAS/MEK/ERK経路の活性化に寄与し得る。RAS経路との相互作用は、細胞内又は動物内のキナーゼ不活性(kinase dead)PI3K-γに起因する活性を説明するものである。PI3K-γは、種々の免疫細胞及び経路の機能に不可欠である。好中球又は単球細胞遊走を引き出すケモカインの産生は、(IL8、fMLP、及びC5aを含む)炎症刺激物質によって、PI3K-γにより媒介される(HIRSCHらの文献、「炎症におけるGタンパク質共役ホスホイノシチド3-キナーゼの中心的役割(Central Role for G Protein-Coupled Phosphoinositide 3-Kinase γ in Inflammation)」、Science 287:1049-1053(2000); SASAKIらの文献、「胸腺細胞発生、T細胞活性化、及び好中球遊走におけるPI3Kγの機能(Function of PI3Kγ in Thymocyte Development, T Cell Activation, and Neutrophil Migration)」、Science 287:1040-1046(2000); LIらの文献、「化学誘引物質媒介性シグナル伝達におけるPLC-β2及び-β3並びにPI3Kγの役割(Roles of PLC-β2 and -β3 and PI3Kγ in Chemoattractant-Mediated Signal Transduction)」、Science 287:1046-1049(2000))。PI3K-γ依存性好中球遊走の必要性は、PI3K-γノックアウトマウスのK/BXN血清移入関節炎モデルでの関節炎発症の欠如により立証されている(Randisらの文献、Eur. J. Immunol., 2008, 38(5), 1215-24)。同様に、該マウスは、オボアルブミン誘発喘息モデルで細胞炎症及び気道過敏性を発症しない(Takedaらの文献、J. Allergy Clin. Immunol., 2009; 123, 805-12)。PI3K-γ欠損マウスは、Tヘルパー細胞機能にも欠陥を有する。活性化に応答したT細胞サイトカインの産生及び増殖が低下し、Tヘルパー依存性ウイルス除去に欠陥がある(Sasakiらの文献、Science, 2000, 287, 1040-46)。EAEを含むT細胞依存性炎症性疾患モデルもPI3K-γ欠損マウスでは発症せず、T細胞活性化異常と細胞遊走異常の両方がこのモデルでの効力に寄与し得る(Comerfoldの文献、PLOS One, 2012, 7, e45095)。イミキモド乾癬モデルを用いて、炎症応答におけるPI3K-γの重要性も立証されている。PI3K-γ欠損マウスをこのモデルで用いると、皮膚におけるγδ T細胞の蓄積、並びに樹状細胞の成熟及び遊走が遮断される(ROLLERらの文献、「ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)δ又はPI3Kγの遮断は、IL-17を減少させ、イミキモド誘発性乾癬様皮膚炎を改善する(Blockade of Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)δ or PI3Kγ Reduces IL-17 and Ameliorates Imiquimod-Induced Psoriasis-like Dermatitis)」、J. Immunol. 189:4612-4620(2012))。細胞輸送におけるPI3K-γの役割も、腫瘍炎症が癌の成長及び転移に重要である腫瘍モデルで立証することができる。ルイス肺癌モデルでは、腫瘍における単球の活性化、遊走、及び分化に欠陥がある。この欠陥は、PI3K-γ欠損マウスにおいて(Schmidらの文献、Cancer Cell, 2011, 19, 715-27)又はPI3K-γを標的とする阻害剤で処置したときに、腫瘍の成長及び長期生存の低下をもたらす。膵癌では、PI3K-γが不適切に発現されることがあり、この固形腫瘍癌又はPI3K-γが機能的な役割を果たしている他の癌では、PI3K-γの阻害が有益であり得る。PI3K-γの阻害は、血液悪性腫瘍の治療に有望である。PTENのT細胞指向性ノックアウトを利用するT-ALLモデルでは、両遺伝子の遺伝子欠失によって示されるように、PI3K-δとPI3K-γはどちらも疾患の適切な発症に不可欠である(Subramaniamらの文献、Cancer Cell 21, 459-472, 2012)。さらに、このT-ALLモデルでは、小分子阻害剤による両キナーゼの処理により、これらのマウスの長期生存がもたらされる。CLLでは、ケモカインネットワークが、ナース様細胞、間質細胞、及びTヘルパー細胞を含む偽小胞状微小環境を支持する。正常なケモカインシグナル伝達及びT細胞生態におけるPI3K-γの役割により、CLLでこの標的を阻害する価値が示唆される(BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7:26-33(2012))。したがって、PI3K-γ阻害剤は、細胞輸送及びT細胞又は骨髄細胞機能が重要である免疫系の疾患にとって治療的に興味深いものである。腫瘍学では、腫瘍炎症に依存的である固形腫瘍、又は高レベルのPI3K-γ発現を有する腫瘍を標的とすることができる。血液癌については、T-ALLにおける及び潜在的にはCLLにおけるPI3K-γ及びPI3K-δアイソフォームの特別な役割により、これらの疾患におけるこれらのPI3Kの標的化から恩恵を受けることができることが示唆される。
その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、Schmidらの文献(2011) Cancer Cell 19, 715-727において、腫瘍への骨髄細胞輸送の促進におけるPI3K-γ経路の役割、並びに乳癌、膵癌、及び肺癌での腫瘍炎症及び成長の抑制におけるp110γの遮断の役割が報告されている。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、膵癌をPI3K阻害剤で治療又予防する方法である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、乳癌をPI3K阻害剤で治療又予防する方法である。さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、肺癌をPI3K阻害剤で治療又予防する方法である。一実施態様において、該PI3K阻害剤は、1以上の他のPI3Kアイソフォームと比べて選択的又は非選択的なPI3K-γ阻害剤である。一実施態様において、該PI3K阻害剤は、PI3K-γ選択的阻害剤である。
PI3K-δ及びPI3K-γアイソフォームは、白血球で優先的に発現され、そこでは、該アイソフォームは、免疫細胞の発生及び機能における明白でかつ重複しない役割を有する。例えば、PURI及びGOLDの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼデルタの選択的阻害剤:自己免疫性炎症性疾患及びB細胞悪性腫瘍を治療する可能性があるB細胞機能のモジュレーター(Selective inhibitors of phosphoinositide 3-kinase delta:modulators of B-cell function with potential for treating autoimmune inflammatory disease and B-cell malignancies)」、Front. Immunol. 3:256(2012); BUITENHUISらの文献、「造血の調節におけるPI3k-PKBシグナル伝達モジュールの役割(The role of the PI3k-PKB signaling module in regulation of hematopoiesis)」、Cell Cycle 8(4):560-566(2009); HOELLENRIEGEL及びBURGERの文献、「ホスホイノシチド3'-キナーゼデルタ:慢性リンパ球性白血病におけるBCRシグナル伝達の停止(Phosphoinositide 3'-kinase delta: turning off BCR signaling in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Oncotarget 2(10):737-738(2011); HIRSCHらの文献、「炎症におけるGタンパク質共役ホスホイノシチド3-キナーゼγの中心的役割(Central Role for G Protein-Coupled Phosphoinositide 3-Kinase γ in Inflammation)」、Science 287:1049-1053(2000); LIらの文献、「化学誘引物質媒介性シグナル伝達におけるPLC-β2及び-β3並びにPI3Kγの役割(Roles of PLC-β2 and -β3 and PI3Kγ in Chemoattractant-Mediated Signal Transduction)」、Science 287:1046-1049(2000); SASAKIらの文献、「胸腺細胞発生、T細胞活性化、及び好中球遊走におけるPI3Kγの機能(Function of PI3Kγ in Thymocyte Development, T Cell Activation, and Neutrophil Migration)」、Science 287:1040-1046(2000); CUSHINGらの文献、「自己免疫疾患及び炎症性疾患の標的としてのPI3Kδ及びPI3Kγ(PI3Kδ and PI3Kγ as Targets for Autoimmune and Inflammatory Diseases)」、J. Med. Chem. 55:8559-8581(2012); MAXWELLらの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼδシグナル伝達の減衰は自己免疫疾患を抑制する(Attenuation of phosphoinositide 3-kinase δ signaling restrains autoimmune disease)」、J. Autoimmun. 38:381-391(2012); HAYLOCK-JACOBSらの文献、「PI3Kδは、エフェクターT細胞アポトーシスを阻害し、かつTh17分化を促進することによって、実験的自己免疫性脳脊髄炎の発病を推進する(PI3Kδ drives the pathogenesis of experimental autoimmune encephalomyelitis by inhibiting effector T cell apoptosis and promoting Th17 differentiation)」、J. Autoimmun. 36:278-287(2011); SOONDらの文献、「PI3K p110δは、マウス及びヒトでの一次及び二次免疫応答におけるT細胞サイトカイン産生を調節する(PI3K p110δ regulates T-cell cytokine production during primary and secondary immune responses in mice and humans)」、Blood 115(11):2203-2213(2010); ROLLERらの文献、「ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)δ又はPI3Kγの遮断は、IL-17を減少させ、イミキモド誘発性乾癬様皮膚炎を改善する(Blockade of Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)δ or PI3Kγ Reduces IL-17 and Ameliorates Imiquimod-Induced Psoriasis-like Dermatitis)」、J. Immunol. 189:4612-4620(2012); CAMPSらの文献、「PI3Kγの遮断は、関節リウマチのマウスモデルにおいて関節の炎症及び損傷を抑制する(Blockade of PI3Kγ suppresses joint inflammation and damage in mouse models of rheumatoid arthritis)」、Nat. Med. 11(9):936-943(2005)を参照されたい。白血球シグナル伝達における重要な酵素として、PI3K-δ及びPI3K-γは、分化、活性化、及び遊走を含む、正常なB細胞、T細胞、及び骨髄細胞機能を促進する。例えば、HOELLENRIEGEL及びBURGERの文献、「ホスホイノシチド3'-キナーゼデルタ:慢性リンパ球性白血病におけるBCRシグナル伝達の停止(Phosphoinositide 3'-kinase delta: turning off BCR signaling in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Oncotarget 2(10):737-738(2011); CUSHINGらの文献、「自己免疫疾患及び炎症性疾患の標的としてのPI3Kδ及びPI3Kγ(PI3Kδ and PI3Kγ as Targets for Autoimmune and Inflammatory Diseases)」、J. Med. Chem. 55:8559-8581(2012)を参照されたい。PI3K-δ又はPI3K-γ活性は、自己免疫疾患及び炎症性疾患の前臨床モデルにとって重要である。例えば、HIRSCHらの文献、「炎症におけるGタンパク質共役ホスホイノシチド3-キナーゼγの中心的役割(Central Role for G Protein-Coupled Phosphoinositide 3-Kinase γ in Inflammation)」、Science 287:1049-1053(2000); LIらの文献、「化学誘引物質媒介性シグナル伝達におけるPLC-β2及び-β3並びにPI3Kγの役割(Roles of PLC-β2 and -β3 and PI3Kγ in Chemoattractant-Mediated Signal Transduction)」、Science 287:1046-1049(2000); SASAKIらの文献、「胸腺細胞発生、T細胞活性化、及び好中球遊走におけるPI3Kγの機能(Function of PI3Kγ in Thymocyte Development, T Cell Activation, and Neutrophil Migration)」、Science 287:1040-1046(2000); CUSHINGらの文献、「自己免疫疾患及び炎症性疾患の標的としてのPI3Kδ及びPI3Kγ(PI3Kδ and PI3Kγ as Targets for Autoimmune and Inflammatory Diseases)」、J. Med. Chem. 55:8559-8581(2012); MAXWELLらの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼδシグナル伝達の減衰は自己免疫疾患を抑制する(Attenuation of phosphoinositide 3-kinase δ signaling restrains autoimmune disease)」、J. Autoimmun. 38:381-391(2012); HAYLOCK-JACOBSらの文献、「PI3Kδは、エフェクターT細胞アポトーシスを阻害し、かつTh17分化を促進することによって、実験的自己免疫性脳脊髄炎の発病を推進する(PI3Kδ drives the pathogenesis of experimental autoimmune encephalomyelitis by inhibiting effector T cell apoptosis and promoting Th17 differentiation)」、J. Autoimmun. 36:278-287(2011); SOONDらの文献、「PI3K p110δは、マウス及びヒトでの一次及び二次免疫応答におけるT細胞サイトカイン産生を調節する(PI3K p110δ regulates T-cell cytokine production during primary and secondary immune responses in mice and humans)」、Blood 115(11):2203-2213(2010); ROLLERらの文献、「ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)δ又はPI3Kγの遮断は、IL-17を減少させ、イミキモド誘発性乾癬様皮膚炎を改善する(Blockade of Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)δ or PI3Kγ Reduces IL-17 and Ameliorates Imiquimod-Induced Psoriasis-like Dermatitis)」、J. Immunol. 189:4612-4620(2012); CAMPSらの文献、「PI3Kγの遮断は、関節リウマチのマウスモデルにおいて関節の炎症及び損傷を抑制する(Blockade of PI3Kγ suppresses joint inflammation and damage in mouse models of rheumatoid arthritis)」、Nat. Med. 11(9):936-943(2005)を参照されたい。免疫機能におけるPI3K-δ及びPI3K-γの重要な役割を考慮すると、PI3K-δ及び/又はγの阻害剤は、免疫関連の炎症性疾患又は腫瘍性疾患における治療的可能性を有する。
PI3K-δ及びPI3K-γは、B細胞及びT細胞悪性腫瘍の成長及び生存の中核をなすものであり、これらのアイソフォームの阻害は、これらの疾患を効果的に制限することができる。例えば、SUBRAMANIAMらの文献、「T-ALLの治療における非古典的腫瘍遺伝子の標的化(Targeting Nonclassical Oncogenes for Therapy in T-ALL)」、Cancer Cell 21:459-472(2012); LANNUTTIらの文献、「B細胞悪性腫瘍の治療のためのp110δ選択的ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤であるCAL-101は、PI3Kシグナル伝達及び細胞生存能力を阻害する(CAL-101 a p110δ selective phosphatidylinositol-3-kinase inhibitor for the treatment of B-cell malignancies, inhibits PI3K signaling and cellular viability)」、Blood 117(2):591-594(2011)を参照されたい。PI3K-δ及びPI3K-γは、細胞内BCRシグナル伝達及び腫瘍細胞とその微小環境の相互作用を媒介することによって、特定のB細胞悪性腫瘍の成長及び生存を支持する。例えば、PURI及びGOLDの文献、「ホスホイノシチド3-キナーゼデルタの選択的阻害剤:自己免疫性炎症性疾患及びB細胞悪性腫瘍を治療する可能性があるB細胞機能のモジュレーター(Selective inhibitors of phosphoinositide 3-kinase delta:modulators of B-cell function with potential for treating autoimmune inflammatory disease and B-cell malignancies)」、Front. Immunol. 3:256(2012); HOELLENRIEGELらの文献、「ホスホイノシチド3'-キナーゼデルタ阻害剤CAL-101は、慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達及びケモカインネットワークを阻害する(The phosphoinositide 3'-kinase delta inhibitor, CAL-101, inhibits B-cell receptor signaling and chemokine networks in chronic lymphocytic leuckemia)」、Blood 118(13):3603-3612(2011); BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7:26-33(2012)を参照されたい。BCRシグナル伝達の増大はB細胞悪性腫瘍の中心的な病理学的機構であり、PI3K活性化は、BCR経路活性化の直接的な結果である。例えば、BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7:26-33(2012); HERISHANUらの文献、「リンパ節微小環境は、慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達、NF-κB活性化、及び腫瘍増殖を促進する(The lymph node microenvironment promotes B-cell receptor signaling, NF-κB activation, and tumor proliferation in chronic lymphocytic leukemia)」、Blood 117(2):563-574(2011); DAVISらの文献、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における慢性活性型B細胞受容体シグナル伝達(Chronic active B-cell-receptor signaling in diffuse large B-cell lymphoma)」、Nature 463:88-92(2010); PIGHIらの文献、「マントル細胞リンパ腫細胞のホスホ-プロテオーム解析は、B細胞受容体シグナル伝達の生存促進的な役割を示唆する(Phospho-proteomic analysis of mantle cell lymphoma cells suggests a pro-survival role of B-cell receptor signaling)」、Cell Oncol.(Dordr) 34(2):141-153(2011); RIZZATTIらの文献、「マントル細胞リンパ腫細胞の遺伝子発現プロファイリングは、PI3K-AKT、WNT、及びTGFβシグナル伝達経路由来の遺伝子の異常発現を明らかにする(Gene expression profiling of mantle cell lymphoma cells reveals aberrant expression of genes from the PI3K-AKT, WNT and TGFβ signaling pathways)」、Brit. J. Haematol. 130:516-526(2005); MARTINEZらの文献、「マントル細胞リンパ腫の分子シグナチャーは、細胞生存に有利に働く複数のシグナルを明らかにする(The Molecular Signature of Mantle Cell Lymphoma Reveals Multiple Signals Favoring Cell Survival)」、Cancer Res. 63:8226-8232(2003)を参照されたい。腫瘍微小環境における悪性B細胞と支持細胞(例えば、間質細胞、ナース様細胞)の相互作用は、腫瘍細胞の生存、増殖、ホーミング、及び組織保持にとって重要である。例えば、BURGERの文献、「慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達経路の阻害(Inhibiting B-Cell Receptor Signaling Pathways in Chronic Lymphocytic Leukemia)」、Curr. Mematol. Malig. Rep. 7:26-33(2012); HERISHANUらの文献、「リンパ節微小環境は、慢性リンパ球性白血病におけるB細胞受容体シグナル伝達、NF-κB活性化、及び腫瘍増殖を促進する(The lymph node microenvironment promotes B-cell receptor signaling, NF-κB activation, and tumor proliferation in chronic lymphocytic leukemia)」、Blood 117(2):563-574(2011); KURTOVAらの文献、「多様な骨髄間質細胞は、CLL細胞を自然発生的及び薬物誘発性アポトーシスから保護する:間質細胞接着媒介性の薬物抵抗性を評価するための信頼性がありかつ再現性がある系の開発(Diverse marrow stromal cells protect CLL cells from spontaneous and drig-induced apoptosis: development of a reliable and reproducible system to assess stromal cell adhesion-mediated drug resistance)」、Blood 114(20): 4441-4450(2009); BURGERらの文献、「ナース様細胞共培養物における及びBCR刺激後の慢性リンパ球性白血病B細胞によるT細胞ケモカインCCL3及びCCL4の高レベル発現(High-level expression of the T-cell chemokines CCL3 and CCL4 by chronic lymphocytic leukemia B cells in nurselike cell cocultures and after BCR stimulation)」、Blood 113(13) 3050-3058(2009); QUIROGAらの文献、「B細胞抗原受容体シグナル伝達は、慢性リンパ球性白血病細胞の遊走及び生存を増強する:新規の脾臓チロシンキナーゼ阻害剤R406による特異的標的化(B-cell antigen receptor signaling enhances chronic lymphocytic leukemia cell migration and survival: specific targeting with a novel spleen tyrosine kinase inhibitor, R406)」、Blood 114(5):1029-1037(2009)を参照されたい。特定の悪性B細胞での阻害剤によるPI3K-δ、γの阻害は、BCR媒介性の細胞内生存シグナル伝達、及びその成長にとって重要であるその微小環境との重要な相互作用を遮断することができる。
PI3K-δ及びPI3K-γは、特定のT細胞悪性腫瘍の生存及び増殖においても直接的な役割を果たしている。例えば、SUBRAMANIAMらの文献、「T-ALLの治療における非古典的腫瘍遺伝子の標的化(Targeting Nonclassical Oncogenes for Therapy in T-ALL)」、Cancer Cell 21:459-472(2012)を参照されたい。異常なPI3K-δ及びPI3K-γ活性は、特定のT細胞悪性腫瘍の発生及び成長に必要なシグナルを提供する。BTKは、B細胞で発現されるが、それは、T細胞では発現されず、そのため、BTKは、T細胞悪性腫瘍の治療のための実行可能な標的ではない。例えば、NISITANIらの文献、「抗原受容体により刺激された脾臓B細胞におけるブルートンのチロシンキナーゼ発現の転写後調節(Posttranscriptional regulation of Bruton’s tyrosine kinase expression in antigen receptor-stimulated splenic B cells)」、PNAS 97(6):2737-2742(2000); DE WEERSらの文献、「ブルートンのチロシンキナーゼ遺伝子は、免疫グロブリン遺伝子再編成前の初期前駆B細胞段階から成熟B細胞段階まで、B細胞分化の間ずっと発現される(The Bruton’s tyrosine kinase gene is expressed throughout B cell differentiation, from early precursor B cell stages preceding immunoglobulin gene rearrangement up to mature B cell stages)」、Eur. J. Immunol. 23:3109-3114(1993); SMITHらの文献、「ブルートンの無ガンマグロブリン血症チロシンキナーゼ遺伝子BTKの発現は、T胸腺細胞及び形質細胞において選択的に下方調節される(Expression of Bruton’s Agammaglobulinemia Tyrosine Kinase Gene, BTK, Is Selectively Down-Regulated in T Lymphocytes and Plasma Cells)」、J. Immunol. 152:557-565(1994)を参照されたい。PI3K-δ及び/又はγ阻害剤は、T細胞悪性腫瘍において独特の治療的可能性を有し得る。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療する方法であって、PI3Kδ/γ選択的阻害剤を投与することを含む、方法である。特定の理論によって限定されるものではないが、δ/γアイソフォーム(複数可)の選択的阻害は、非選択的PI3K阻害剤の投与と関連する有害作用が最小化又は軽減される治療レジメンを提供することができる。特定の理論によって限定されるものではないが、該有害作用は、PI3Kの他のアイソフォーム(例えば、α又はβ)の阻害を回避することにより軽減することができると考えられる。
一実施態様において、該有害作用は、高血糖症である。別の実施態様において、該有害作用は、発疹である。別の実施態様において、該有害作用は、PI3Kのβアイソフォームの阻害に起因し得る男性の生殖能力の障害である(例えば、Ciraoloらの文献、Molecular Biology of the Cell, 21: 704-711(2010)を参照されたい)。別の実施態様において、該有害作用は、PI3K-βの阻害に起因し得る精巣の毒性である(例えば、Wislerらの文献、Amgen SOT, Abstract ID # 2334(2012)を参照されたい)。別の実施態様において、該有害作用は、胚性致死である(例えば、Biらの文献、J Biol Chem, 274: 10963-10968(1999)を参照されたい)。別の実施態様において、該有害作用は血小板凝集の障害である(例えば、Kulkarniらの文献、Science, 287: 1049-1053(2000)を参照されたい)。別の実施態様において、該有害作用は、好中球の機能障害である(同上)。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kの1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する、特定の癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍を治療又は予防する方法であって:(1)該癌又は疾患における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルを決定すること;(2)治療される癌又は疾患におけるPI3Kアイソフォームの発現レベルに基づいて、治療剤(例えば、1以上のPI3Kアイソフォームに対する特定の選択性プロファイルを有するPI3Kモジュレーター)を選択すること;及び(3)該治療剤を、該癌又は疾患を有する患者に、単独で又は1以上の他の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は疾患における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、PI3Kアイソフォームタンパク質、RNAの発現レベル;及び/もしくはDNAコピー数を決定することによるか、又は本明細書に提供される1以上のバイオマーカー(例えば、特に、シグナル伝達経路バイオマーカー、タンパク質突然変異バイオマーカー、タンパク質発現バイオマーカー、遺伝子突然変異バイオマーカー、遺伝子発現バイオマーカー、サイトカインバイオマーカー、ケモカインバイオマーカー、マトリックスメタロプロテイナーゼバイオマーカー、もしくは特定の癌細胞のバイオマーカー)を測定することにより決定することができる。他の実施態様において、該癌又は疾患における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、当技術分野で公知の情報又は該癌もしくは疾患に関する先行研究で得られた情報に基づいて決定することができる。
特定の癌又は障害、例えば、血液悪性腫瘍は、患者集団の間でPI3Kアイソフォーム発現の不均一性を示し得る。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍を有する特定の患者又は患者群を治療又は予防する方法であって:(1)該癌又は疾患を有する患者又は患者群における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルを決定すること;(2)治療される患者におけるPI3Kアイソフォームの発現レベルに基づいて治療剤(例えば、1以上のPI3Kアイソフォームに対する特定の選択性プロファイルを有するPI3Kモジュレーター)を選択すること;及び(3)該治療剤を、該患者に、単独で又は1以上の他の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者又は患者群における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、PI3Kアイソフォームタンパク質、RNAの発現レベル、及び/もしくは該患者もしくは患者群におけるDNAコピー数を決定することによるか;又は該患者もしくは患者群における本明細書に提供される1以上のバイオマーカー(例えば、特に、シグナル伝達経路バイオマーカー、タンパク質突然変異バイオマーカー、タンパク質発現バイオマーカー、遺伝子突然変異バイオマーカー、遺伝子発現バイオマーカー、サイトカインバイオマーカー、ケモカインバイオマーカー、マトリックスメタロプロテイナーゼバイオマーカー、もしくは特定の癌細胞のバイオマーカー)を測定することにより決定することができる。他の実施態様において、該患者又は患者群における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルは、当技術分野で公知の情報又は患者もしくは患者群に関する先行試験で得られた情報に基づいて決定することができる。
一実施態様において、本明細書に提供される方法は、PI3Kモジュレーターを、単独で又は1以上の他の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて、対象、例えば、哺乳動物対象、例えば、ヒトに投与することを含み;ここで、該PI3Kモジュレーターは、PI3Kの他のアイソフォームと比べて、1以上のPI3Kアイソフォームに選択的(例えば、PI3K-δに選択的、PI3K-γに選択的、又はPI3K-δとPI3K-γの両方に選択的)であり;かつ治療されている対象は、特定のPI3Kアイソフォーム(複数可)の高い発現レベル(例えば、PI3K-δの高発現、PI3K-γの高発現、又はPI3K-δとPI3K-γの高発現)を有する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を有する対象が、PI3Kの他のアイソフォームと比べてPI3Kの1以上のアイソフォームの活性を選択的に低下させるPI3Kモジュレーターによる治療に応答する可能性が高いか又は低いかを決定する方法であって、(1)該PI3Kモジュレーターを該対象に投与すること;及び(2)該PI3Kモジュレーターによる1回目の治療から約7、14、21、28、35、42、49、56、63、もしくは70日後、又は約1、2、3、4、もしくは5カ月後の治療に対する該対象の応答を決定することを含む、方法である。
特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供されるように、特定のPI3Kアイソフォームの高い発現を有する、特定の癌もしくは血液悪性腫瘍、又は特定のサブタイプの癌もしくは血液悪性腫瘍、又は癌もしくは血液悪性腫瘍を有する特定の患者を、その特定のPI3Kアイソフォームを選択的に阻害するPI3K阻害剤で治療することは、より低い用量の治療剤の使用及び/又はオフターゲット効果(例えば、他のPI3Kアイソフォームに対する効果)の軽減を可能にし、それにより、有害作用の可能性を最小化する。特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される方法は、副作用の軽減及び/又は効力の改善を提供することができる。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kの1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍を治療又は予防する方法であって、PI3K阻害剤の投与と関連する有害作用が軽減される、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍、又は特定のタイプもしくはサブタイプの癌もしくは疾患、例えば、特定のタイプもしくはサブタイプの血液悪性腫瘍をPI3K-γ選択的阻害剤で治療又は予防する方法であって、PI3Kの他のアイソフォーム(複数可)(例えば、PI3K-α又はPI3K-β)の阻害剤の投与と関連する有害作用が軽減される、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍、又は特定のタイプもしくはサブタイプの癌もしくは疾患、例えば、特定のタイプもしくはサブタイプの血液悪性腫瘍を、PI3K-γ非選択的又は低選択的阻害剤(例えば、PI3K汎阻害剤(例えば、PI3K-α、β、γ、δ))による治療と比較してより低い(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、又は約80%)用量のPI3K-γ選択的阻害剤で治療又は予防する方法である。そのような有害作用としては、吐き気、下痢、便秘、疲労、発熱、悪寒、嘔吐、食欲減退、発疹、ASLの上昇、ALTの上昇、血中尿素の増加、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、血中アルカリホスファターゼの増加、好中球減少症、血小板減少症、貧血、高血糖症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症(hypertrigliceridemia)、高リン血症、低マグネシウム血症、疼痛、背部痛、筋肉痛、咳、及び呼吸困難を挙げることができるが、これらに限定されない。1以上の有害作用の「軽減」という用語は、PI3K阻害剤の投与と通常関連する、本明細書に提供される又は当技術分野で公知の1以上の有害作用の発生及び/又は重症度が、別のPI3K阻害剤(例えば、非選択的又は低選択的阻害剤)による治療と比較して、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%減少することを意味する。
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、癌、又は本明細書に提供される特定のタイプもしくは特定のサブタイプの癌を治療又は予防する方法である。PI3K(例えば、PI3K-δ及び/又はPI3K-γ)のモジュレーター、例えば、本明細書に提供される化合物で治療又は予防することができる癌の例としては、例えば、白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(例えば、Salmena, Lらの文献(2008) Cell 133:403-414; Chapuis, Nらの文献(2010) Clin Cancer Res. 16(22):5424-35; Khwaja, A(2010) Curr Top Microbiol Immunol. 347:169-88);リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、Salmena, Lらの文献(2008) Cell 133:403-414);肺癌、例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌(例えば、Herrera, VAらの文献(2011) Anticancer Res. 31(3):849-54);黒色腫(例えば、Haluska, Fらの文献(2007) Semin Oncol. 34(6):546-54);前立腺癌(例えば、Sarker, Dらの文献(2009) Clin Cancer Res. 15(15):4799-805); 膠芽腫(例えば、Chen, JSらの文献(2008) Mol Cancer Ther. 7:841-850);子宮内膜癌(例えば、Bansal, Nらの文献(2009) Cancer Control. 16(1):8-13);膵癌(例えば、Furukawa, Tの文献(2008) J Gastroenterol. 43(12):905-11);腎細胞癌(例えば、Porta, C and Figlin, RAの文献(2009) J Urol. 182(6):2569-77);結腸直腸癌(例えば、Saif, MW及びChu, Eの文献(2010) Cancer J. 16(3):196-201);乳癌(例えば、Torbett, NEらの文献(2008) Biochem J. 415:97-100);甲状腺癌(例えば、Brzezianska, E及びPastuszak-Lewandoska, Dの文献(2011) Front Biosci. 16:422-39);並びに卵巣癌(例えば、Mazzoletti, M及びBroggini, Mの文献(2010) Curr Med Chem. 17(36):4433-47)が挙げられる。いくつかの実施態様において、該方法は、癌、例えば、急性骨髄性白血病、胸腺癌、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮細胞癌、皮膚癌、眼癌、網膜芽腫、眼球内黒色腫、口腔及び口腔咽頭癌、膀胱癌、胃(gastric)癌、胃(stomach)癌、膵癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、頭部癌、頸部癌、腎臓(renal)癌、腎臓(kidney)癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科癌、甲状腺癌、CNS癌、PNS癌、AIDS関連癌(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、又は他のウイルス誘発性癌の治療に関する。いくつかの実施態様において、該方法は、非癌性過剰増殖性障害、例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺の良性過形成(例えば、良性前立腺肥大(BPH))の治療に関する。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物で、本明細書に提供される方法に従って治療することができる患者としては、例えば、乳癌、例えば、腺管癌、小葉癌、髄様癌、膠様癌、管状癌、及び炎症性乳癌;卵巣内の腺癌及び卵巣から腹腔内に移動した腺癌などの上皮性卵巣腫瘍を含む卵巣癌;子宮癌;子宮頸癌、例えば、扁平上皮細胞癌を含む子宮頸上皮内の腺癌;前立腺癌、例えば、以下から選択される前立腺癌:腺癌、もしくは骨に移動した腺癌;膵癌、例えば、膵管組織内の類上皮癌(epitheliod carcinoma)及び膵管内の腺癌;膀胱癌、例えば、膀胱内の移行細胞癌、尿路上皮癌(移行細胞癌)、膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞内の腫瘍、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び小細胞癌;白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、骨髄増殖性障害、NK細胞白血病(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び骨髄異形成症候群(MDS);骨癌;肺癌、例えば、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び大細胞未分化癌に分類される非小細胞肺癌(NSCLC)、並びに小細胞肺癌;皮膚癌、例えば、基底細胞癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、及び扁平上皮細胞癌に発達することがある皮膚状態である光線角化症;眼網膜芽腫;皮膚もしくは眼球内(眼)黒色腫;原発性肝癌;腎臓癌;甲状腺癌、例えば、乳頭甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌、及び未分化甲状腺癌;リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、NK細胞リンパ腫(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、及びバーキットリンパ腫;カポジ肉腫;B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及び肝細胞癌を含むウイルス誘発性癌;ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)及び成人T細胞白血病/リンパ腫;並びにヒトパピローマウイルス(HPV)及び子宮頸癌;中枢神経系癌(CNS)、例えば、神経膠腫(星状細胞腫、未分化星状細胞腫、もしくは多形性膠芽腫)、乏突起膠腫、上衣腫、髄膜腫、リンパ腫、シュワン細胞腫、及び髄芽腫を含む原発性脳腫瘍;末梢神経系(PNS)癌、例えば、神経線維腫及びシュワン細胞腫を含む聴神経腫及び悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、悪性線維性細胞腫(malignant fibrocytoma)、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫、並びに悪性ミュラー管混合腫瘍;口腔及び口腔咽頭癌、例えば、下咽頭癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、及び口腔咽頭癌;胃癌、例えば、リンパ腫、胃間質腫瘍、及びカルチノイド腫瘍;精巣癌、例えば、精上皮腫及び非精巣上皮腫を含む胚細胞腫瘍(GCT)、並びにライディッヒ細胞腫及びセルトリ細胞腫を含む性腺間質腫瘍;胸腺癌(thymus cancer)、例えば、胸腺腫、胸腺癌(thymic carcinomas)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫カルチノイドもしくはカルチノイド腫瘍;直腸癌;並びに結腸癌を有すると診断された患者が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、限定されないが、特に、骨髄障害、リンパ障害、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、肥満細胞障害、及び骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)を含む、血液悪性腫瘍(又は本明細書に提供される特定のタイプもしくは特定のサブタイプの血液悪性腫瘍)を治療又は予防する方法である。一実施態様において、該血液悪性腫瘍としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、T細胞ALL(T-ALL)、B細胞ALL(B-ALL)、急性T細胞白血病、急性B細胞白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、芽球期CML、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CLL/SLL、芽球期CLL、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、T細胞NHL、無痛性NHL(iNHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、侵攻性B細胞NHL、B細胞リンパ腫(BCL)、リヒター症候群(RS)、T細胞リンパ腫(TCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、形質転換菌状息肉腫、セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、アミロイド症、MPD、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(MF)、真性赤血球増加症(PV)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、MDS、高リスクMDS、及び低リスクMDSが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLL/SLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は芽球期CLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はSLLである。
さらなる実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLであり、本明細書に提供される化合物は、CLL細胞のアポトーシスを促進する。特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)による処理は、CLL細胞を感作することが分かった。場合により、特定の理論によって限定されるものではないが、抗IgM架橋又は間質細胞により誘導される保護効果は、本明細書に提供される化合物により緩和することができる。したがって、本明細書に提供されるのは、CLL細胞のアポトーシスを促進する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。また本明細書に提供されるのは、抗IgM架橋により誘導されるCLL細胞に対する保護効果を緩和する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、間質細胞により誘導されるCLL細胞に対する保護効果を緩和する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、リンパ節内でのCLL細胞の増殖を阻害する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLL患者における応答の速やかな開始をもたらす方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。
例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB細胞NHL(例えば、侵攻性B細胞NHL)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はRSである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はAMLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMMである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT-ALLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB-ALLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はTCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は白血病である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はリンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT細胞リンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMDS(例えば、低悪性度MDS)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はMPDである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は肥満細胞障害である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はホジキンリンパ腫(HL)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は非ホジキンリンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はPTCLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCL(例えば、菌状息肉腫又はセザリー症候群)である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はWMである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCMLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はFLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は形質転換菌状息肉腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はセザリー症候群である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は急性T細胞白血病である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は急性B細胞白血病である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はバーキットリンパ腫である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は骨髄増殖性新生物である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は脾臓辺縁帯である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は節性辺縁帯である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は節外性辺縁帯である。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB細胞リンパ腫である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、B細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。また本明細書に提供されるのは、B細胞リンパ腫と関連する症状の1つ又は複数を治療又は軽減する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該B細胞リンパ腫は、iNHLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、濾胞性リンパ腫である。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、ワルデンストレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)である。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、辺縁帯リンパ腫(MZL)である。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、MCLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、HLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、aNHLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、DLBCLである。別の実施態様において、該B細胞リンパ腫は、リヒターリンパ腫である。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT細胞リンパ腫である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫を治療又は管理する方法 であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。また本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫と関連する症状の1つ又は複数を治療又は軽減する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。別の実施態様において、該T細胞リンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はセザリー症候群である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、セザリー症候群を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。また本明細書に提供されるのは、セザリー症候群と関連する症状の1つ又は複数を治療又は軽減する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。セザリー症候群と関連する症状としては、腫瘍性CD4+リンパ球による表皮向性、ポートリエ微小腫瘍、紅皮症、リンパ節腫脹症、末梢血中の異型T細胞、及び肝脾腫大症が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該化合物は、化合物292である。一実施態様において、セザリー症候群を治療又は管理するための治療有効量は、1日に2回投与される、約25mg〜75mgである。他の実施態様において、該治療有効量は、その各々が1日に2回投与される、約50mg〜約75mg、約30mg〜約65mg、約45mg〜約60mg、約30mg〜約50mg、又は約55mg〜約65mgである。一実施態様において、該有効量は、1日に2回投与される、約60mgである。
一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は再発性である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性である。ある実施態様において、治療又は予防されている癌は、本明細書に記載の特定のサブタイプの癌である。ある実施態様において、治療又は予防されている血液悪性腫瘍は、本明細書に記載の特定のサブタイプの血液悪性腫瘍である。本明細書に提供される癌又は血液悪性腫瘍のタイプ又はサブタイプの特定の分類は、当技術分野で公知である。特定の理論によって限定されるものではないが、再発し、又は不応性になる癌の多くは癌を治療するために投与される特定の前治療に対する耐性を発じると考えられる。したがって、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物は、特定の前治療により利用される機構とは異なる癌を治療するための代替機構を提供することによって、第二次治療を提供することができる。したがって、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法であり、ここで、該癌又は血液悪性腫瘍は、前治療後に再発するか、又は前治療に不応性である。
例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性iNHLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性CLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は不応性SLLである。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、リツキシマブ療法に不応性である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、化学療法に不応性である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、放射免疫療法(RIT)に不応性である。例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍は、iNHL、FL、脾臓辺縁帯、節性辺縁帯、節外性辺縁帯、又はSLLであり、該癌又は血液悪性腫瘍は、リツキシマブ療法、化学療法、及び/又はRITに不応性である。
別の例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はリンパ腫であり、該癌は、限定されないが、イブルチニブなどのBTK阻害剤による治療後に再発するか、又は該治療に不応性である。別の例示的な実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLであり、該癌は、限定されないが、イブルチニブ及びAVL-292などのBTK阻害剤による治療後に再発するか、又は該治療に不応性である。
特定の理論によって限定されるものではないが、BTK阻害剤治療に対する耐性を生じる患者は、多くの場合、BTKの残基481におけるシステインからセリンへの突然変異(C481S)又はBTKの残基481におけるシステインからフェニルアラニンへの突然変異(C481F)を有することが分かった。したがって、また本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、BTKの残基481にシステインからセリン又はシステインからフェニルアラニンへの突然変異を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法であり、ここで、該癌又は血液悪性腫瘍は、前治療後に再発するか、又は前治療に不応性である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって:(1) BTKの残基481にシステインからセリン又はシステインからフェニルアラニンへの突然変異を有する患者を特定すること;及び(2)該患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は、CLL患者である。別の実施態様において、該患者は、イブルチニブ耐性CLL患者である。
特定の理論によって限定されるものではないが、BTK阻害剤治療に対する耐性を生じる患者は、PLCγ2遺伝子の残基665におけるチロシンからトリプトファンへの突然変異(R665W)を有することもあることが分かった。したがって、また本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、PLCγ2遺伝子の残基665にチロシンからトリプトファンへの突然変異を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法であり、ここで、該癌又は血液悪性腫瘍は、前治療後に再発するか、又は前治療に不応性である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって:(1) PLCγ2遺伝子の残基665にチロシンからトリプトファンへの突然変異を有する患者を特定すること;及び(2)該患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は、CLL患者である。別の実施態様において、該患者は、イブルチニブ耐性CLL患者である。
別の実施態様において、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって:治療有効量の本明細書に提供される化合物、又は医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)及び治療有効量のBTK阻害剤を投与することを含む方法が開示されている。例示的なBTK阻害剤としては、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)、GDC-0834([R-N-(3-(6-(4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニルアミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド])、CGI-560(4-(tert-ブチル)-N-(3-(8-(フェニルアミノ)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)フェニル)ベンズアミド)、CGI-1746(4-tert-ブチル-N-[2-メチル-3-[4-メチル-6-[4-(モルホリン-4-カルボニル)アニリノ]-5-オキソピラジン-2-イル]フェニル]ベンズアミド)、HM-71224、AVL-292(CC-292)(N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド)、ONO-4059、CNX-774(4-(4-((4-((3-アクリルアミドフェニル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド)、及びLFM-A13(2-シアノ-N-(2,5-ジブロモフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ブテンアミド)、並びにその全体が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Akinleyeらの文献、Journal of Hematology & Oncology, 2013, 6:59に開示されているBTK阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該化合物は化合物292であり、該BTK阻害剤は、イブルチニブ及びAVL-292から選択される。いくつかの実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。一実施態様において、該リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一実施態様において、該白血病は、B細胞慢性リンパ球性白血病である。
ある実施態様において、特定の理論によって限定されるものではないが、特定の癌のあるサブタイプは、他のものよりも本明細書に提供される化合物による治療の影響を受けやすいことが分かった。例えば、感受性が、DLBCLのABCサブタイプとGCBサブタイプの両方に存在することが分かった一方で、BCR依存性シグナル伝達を有する細胞は、それを有しないものよりも本明細書に提供される化合物に対する感受性が高いことが分かった。特定の理論によって限定されるものではないが、他のシグナル伝達経路への依存、抗アポトーシス特性(例えば、Bcl-2、HRK)、及び/又は突然変異状況(例えば、IgH-BCL2、CD79b、MYD-88)などのさらなる因子は、様々なサブタイプによって示される示差感受性に寄与することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、特定のサブタイプの癌を、本明細書に提供される化合物によって治療する方法であり、ここで、該サブタイプは、BCR依存性シグナル伝達を有する細胞を含む。一実施態様において、該サブタイプは、Ri-1、WSU-DLCL2、Toledo、OCI-LY8、SU-DHL-4、又はSU-DHL-6である。別の実施態様において、該サブタイプは、Ri-1、SU-DHL-4、又はSU-DHL-6である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kキナーゼ活性を有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物と接触させることにより、該キナーゼ活性を調節する(例えば、選択的に調節する)方法である。調節は、キナーゼ活性の阻害(例えば、低下)又は活性化(例えば、増強)であることができる。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、キナーゼを溶液中で有効量の本明細書に提供される化合物と接触させることにより、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、関心対象のキナーゼを発現する細胞、組織、器官を、本明細書に提供される化合物と接触させることにより、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象に、有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態を投与することにより、対象におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、該キナーゼ活性は、本明細書に提供される化合物と接触させたとき、そのような接触を伴わないキナーゼ活性と比較して、約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を超えて阻害される(例えば、低下する)。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象を、該対象におけるPI3キナーゼの活性を阻害し又は低下させるのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることにより、該対象(哺乳動物、例えば、ヒトを含む)におけるPI3キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、該キナーゼは、脂質キナーゼ又はタンパク質キナーゼである。いくつかの実施態様において、該キナーゼは、PI3キナーゼα、PI3キナーゼβ、PI3キナーゼγ、PI3キナーゼδなどの様々なアイソフォームを含むPI3キナーゼ; DNA-PK; mTOR; Abl、VEGFR、エフリン受容体B4(EphB4); TEK受容体チロシンキナーゼ(TIE2); FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT-3);血小板由来成長因子受容体(PDGFR); RET; ATM; ATR; hSmg-1; Hck; Src;上皮成長因子受容体(EGFR); KIT;インスリン受容体(IR);及びIGFRから選択される。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、生体試料中の癌又は障害、例えば、血液悪性腫瘍と関連する症状を軽減する方法であって、該生体試料を、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)と、該症状を軽減するのに十分な量で接触させることを含む、方法である。一実施態様において、該方法は、インビボにおいて、例えば、哺乳動物対象、例えば、動物モデルにおいて、又は治療プロトコルの一部として実施される。一実施態様において、該化合物は、単剤として又は別の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて使用される。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「接触させること」は、本明細書に提供される化合物が体内の罹患した生体試料に到達するような、直接的(例えば、本明細書に提供される化合物の生体試料への、例えば、インビトロでの直接適用によるもの)又は間接的(例えば、本明細書に提供される化合物を対象に(例えば、任意の公知の投与経路により、例えば、経口的に)投与することによるもの)であることができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、「生体試料」には、例えば、本明細書に提供される化合物、例えば、PI3Kモジュレーターと接触し、それにより、癌もしくは血液悪性腫瘍、又は関連症状の軽減又は阻害が生じる、細胞又は細胞集団(例えば、PBMC、もしくは形質細胞様樹状細胞)、組織、又は流体(例えば、全血もしくは血清)が含まれる。いくつかの実施態様において、生体試料は、癌もしくは血液悪性腫瘍を有する対象、又は癌もしくは血液悪性腫瘍を発症するリスクのある対象に存在するか、或いは癌もしくは血液悪性腫瘍を有する対象、又は癌もしくは血液悪性腫瘍を発症するリスクのある対象から得られる。いくつかの実施態様において、生体試料を、本明細書に提供される化合物と体外で接触させ、その後、対象の体内(例えば、該生体試料が得られた対象の体内又は異なる対象の体内)に導入することができる。いくつかの実施態様において、生体試料には、PI3Kの1以上のアイソフォームを発現する細胞が含まれる。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における癌又は血液悪性腫瘍を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。一実施態様において、該化合物は、単剤として投与される。別の実施態様において、該化合物は、別の薬剤又は治療モダリティーと組み合わせて投与される。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、血液悪性腫瘍又は血液悪性腫瘍と関連する症状は、本明細書に開示される又は当技術分野で公知の血液悪性腫瘍の全てのタイプの兆候を包含する。本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、癌又は癌と関連する症状は、本明細書に開示される又は当技術分野で公知の癌の全てのタイプの兆候を包含する。症状は、本明細書に開示及び/もしくは例示される並びに/又は当技術分野で公知のアッセイ及び尺度を用いて評価することができる。
いくつかの実施態様において、症状は、対照レベルと比べて、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適当な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、治療される試料もしくは対象における治療前のレベルであることができ、又はそれは、対照集団におけるレベル(例えば、癌も血液悪性腫瘍も有しない対象におけるレベルもしくは癌も血液悪性腫瘍も有しない対象由来の試料におけるレベル)であることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適当なパラメトリック又は非パラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
いくつかの実施態様において、該対象は、哺乳動物である。いくつかの実施態様において、該対象は、ヒトである。
ある実施態様において、該対象は、癌もしくは血液悪性腫瘍の動物モデル、癌もしくは血液悪性腫瘍を有するヒト、又は癌もしくは血液悪性腫瘍を発症するリスクを有する対象(例えば、ヒト)である。いくつかの実施態様において、該対象は、癌もしくは血液悪性腫瘍の家族歴を有するヒト、癌もしくは血液悪性腫瘍と関連する遺伝子を保有するヒト、癌もしくは血液悪性腫瘍と関連するバイオマーカー(例えば、本明細書に提供されるバイオマーカー)が陽性であるヒト、又はこれらの組合せである。いくつかの実施態様において、該対象は、癌又は血液悪性腫瘍と診断されている。いくつかの実施態様において、該対象は、癌又は血液悪性腫瘍と関連する1以上の兆候又は症状を有する。いくつかの実施態様において、該対象は、癌又は血液悪性腫瘍を発症するリスクがある(例えば、該対象は、個々に又は他の遺伝子もしくは環境因子との組合せで、癌又は血液悪性腫瘍の発症と関連している遺伝子を保有する)。
いくつかの実施態様において、該対象は、1以上のPI3Kアイソフォーム(例えば、より低いレベルのPI3Kアイソフォーム(複数可)を有する別の対象と比較して、特定の治療もしくは治療剤に応答する可能性の増大、又は特定の治療もしくは治療剤のより良好な効力を示すものとなり得る、PI3K-δ及び/又はPI3K-γ)のレベルの上昇を示す。PI3Kアイソフォームのレベルは、当技術分野で公知の方法を用いて評価することができる。
いくつかの実施態様において、該対象は、特定の治療もしくは治療剤に応答する可能性の増大、又は特定の治療もしくは治療剤のより良好な効力を示すものとなり得る、本明細書に提供される1以上のバイオマーカーを示す。
いくつかの実施態様において、該対象は、癌又は血液悪性腫瘍と関連する遺伝子に突然変異(例えば、SNP)を有する。一実施態様において、該遺伝子は、CXCR4、IGH7、KRAS、NRAS、A20、CARD11、CD79B、TP53、CARD11、MYD88、GNA13、MEF2B、TNFRSF14、MLL2、BTG1、EZH2、NOTCH1、JAK1、JAK2、PTEN、FBW7、PHF6、IDH1、IDH2、TET2、FLT3、KIT、NPM1、CEBPA、DNMT3A、BAALC、RUNX1、ASXL1、IRF8、POU2F2、WIF1、ARID1A、MEF2B、TNFAIP3、PIK3R1、MTOR、PIK3CA、PI3Kδ、及び/もしくはPI3Kγ、又はこれらの組合せから選択される。一実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はWMであり、該対象はPTEN欠損を有する。
いくつかの実施態様において、該対象は、過剰なPI3K活性又はPI3Kシグナル伝達経路の1以上の成分(例えば、Akt(PKB)、mTOR、Tecキナーゼ(例えば、Btk、Itk、Tec)、ホスホリパーゼC、PDK1、PKC、NFκB、Rac GEF(例えば、Vav-1)、もしくはRac)の異常な活性(例えば、過剰なもしくは低下した活性)を示す。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、MYD88(L265P)、CXCR4、ARID1A、MUC16、TRAF2、TRRAP、及びMYBBP1A突然変異から選択される1以上の突然変異を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は、MYD88(L265P)及び/又はCXCR4のN末端ドメインの突然変異を有する。一実施態様において、該血液悪性腫瘍は、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)である。一実施態様において、該血液悪性腫瘍はDLBCLである。一実施態様において、該血液悪性腫瘍はCLLである。一実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、WMを治療又は管理する方法であって、CXCR4突然変異を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該CXCR4突然変異は、CXCR4のN末端ドメインで生じる。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、CXCR4突然変異を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、CXCR4突然変異は、CXCR4のN末端ドメインで生じる。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、CXCR4突然変異を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、CXCR4突然変異は、CXCR4のN末端ドメインで生じる。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、CD38陽性癌細胞を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、CD69陽性癌細胞を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、CD38/CD69二重陽性癌細胞を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、Ki67陽性癌細胞を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、pAKT陽性癌細胞を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、Ki67/pAKT二重陽性癌細胞を有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、以下で本明細書に記載される1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様において、該対象は、過去に、癌又は血液悪性腫瘍の治療を受けたことがある。いくつかの実施態様において、該対象は、過去に、癌又は血液悪性腫瘍の治療を受けたことがあるが、標準療法に非応答性である。したがって、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における癌又は血液悪性腫瘍を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法であり、ここで、該対象は、過去に、癌又は血液悪性腫瘍に対する療法を投与されたことがある。
一実施態様において、該対象は、過去、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、癌又は血液悪性腫瘍に対する療法を投与されたことがある。一実施態様において、該対象は、過去、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される少なくとも1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、又は4カ月前に、癌又は血液悪性腫瘍に対する療法を投与されたことがある。
一実施態様において、該対象は、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される前に、癌又は血液悪性腫瘍に対する安定用量の療法を投与されたことがある。一実施態様において、該対象は、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される前に、少なくとも24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間、癌又は血液悪性腫瘍に対する安定用量の療法を投与されたことがある。一実施態様において、該対象は、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される前に、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間、癌又は血液悪性腫瘍に対する安定用量の療法を投与されたことがある。
一実施態様において、該対象は、過去、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、癌又は血液悪性腫瘍に対する療法を投与されたことがあり、かつ該対象は、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)が投与される前に、少なくとも24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間、癌又は血液悪性腫瘍に対する安定用量の同じ療法を投与されたことがある。
一実施態様において、過去に投与された療法の安定用量は、週当たり約0.005〜約1,000mg、週当たり約0.01〜約500mg、週当たり約0.1〜約250mg、週当たり約1〜約100mg、週当たり約2〜約75mg、週当たり約3〜約50mg、週当たり約5〜約50mg、週当たり約7.5〜約25mg、週当たり約10〜約25mg、週当たり約12.5〜約25mg、週当たり約15〜約25mg、又は週当たり約15〜約20mgである。週当たりの全用量を一度に投与することができるか、又は分割用量で投与することができる。
いくつかの実施態様において、該対象は、過去に、癌又は血液悪性腫瘍の治療を受けたことがない。
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)の治療又は予防有効量は、1日当たり約0.005〜約1,000mg、1日当たり約0.01〜約500mg、1日当たり約0.01〜約250mg、1日当たり約0.01〜約100mg、1日当たり約0.1〜約100mg、1日当たり約0.5〜約100mg、1日当たり約1〜約100mg、1日当たり約0.01〜約50mg、1日当たり約0.1〜約50mg、1日当たり約0.5〜約50mg、1日当たり約1〜約50mg、1日当たり約2〜約25mg、又は1日当たり約5〜約10mgである。
ある実施態様において、該治療又は予防有効量は、1日当たり約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、又は約150mgである。
一実施態様において、本明細書に記載の疾病に対する、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形の推奨される1日用量の範囲は、好ましくは、1日1回の単一投与としてか、又は1日を通した分割用量で投与される、1日当たり約0.5mg〜約100mg、又は1日当たり約0.5mg〜約50mgの範囲に収まる。いくつかの実施態様において、投薬量は、1日当たり約1mg〜約50mgの範囲である。他の実施態様において、投薬量は、1日当たり約0.5〜約25mgの範囲である。1日当たりの具体的な用量としては、1日当たり0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、又は100mgが挙げられる。
具体的な実施態様において、推奨される出発投薬量は、1日当たり0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、又は100mgであることができる。別の実施態様において、推奨される出発投薬量は、0.5、1、2、3、4、又は5mgであることができる。用量は、15、20、25、30、35、40、45、50、75、又は100mg/日まで上昇させることができる。
ある実施態様において、該治療又は予防有効量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日、又は約0.01〜約1mg/kg/日である。
投与される用量は、mg/kg/日以外の単位で表すこともできる。例えば、非経口投与用の用量は、mg/m2/日と表すことができる。当業者であれば、対象の身長もしくは体重のどちらか、又はその両方を所与として、用量をmg/kg/日からmg/m2/日に変換する方法を容易に理解するであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトの場合の1mg/kg/日の用量は、38mg/m2/日とほぼ等しい。
一実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約100μM、約0.005〜約10μM、約0.01〜約10μM、約0.01〜約5μM、約0.005〜約1μM、約0.005〜約0.5μM、約0.005〜約0.5μM、約0.01〜約0.2μM、又は約0.01〜約0.1μMの範囲の、該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。一実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約100μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約10μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約10μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約5μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約1μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約0.5μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約0.2μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。さらに別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約0.1μMの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。
本明細書において以下で詳細に説明されるように、化合物292の25mg又は75mg BID投与の後、該化合物は速やかに吸収され、最大血漿濃度は、通常、投与の約1時間後に観察されることが分かった。AUCは、75mg BIDに至るまで、用量に比例して増加するが、排出半減期(25mg BIDと75mg BIDの両方について約4〜5時間)は、用量と無関係であることも分かった。25mg BID後の平均投与前定常状態血漿濃度は、約390ng/mlであり、これにより、PI3K-δの完全な抑制(IC90=361ng/ml)がPI3K-γの阻害(IC50=429ng/ml)とともに投与間隔全体を通して示された。
別の実施態様において、投与される化合物の量は、該化合物の定常状態での血漿濃度を、PI3Kの特定のアイソフォームについてのIC50よりも高いレベルで生じるのに十分である。別の実施態様において、投与される化合物の量は、該化合物の定常状態での血漿濃度を、PI3Kの特定のアイソフォームについてのIC90よりも高いレベルで生じるのに十分である。一実施態様において、該PI3KアイソフォームはPI3K-δであり、これについてのIC90は、約361mg/mlである。別の実施態様において、該PI3KアイソフォームはPI3K-γであり、これについてのIC50は、約429ng/mlである。
一実施態様において、該化合物は化合物292であり、該PI3KアイソフォームはPI3K-δである。別の実施態様において、該化合物は化合物292であり、該PI3KアイソフォームはPI3K-γである。該化合物が化合物292である別の実施態様において、投与される化合物292の量は、約300ng/ml〜約500ng/ml、約350ng/ml〜約450ng/ml、又は約380ng/ml〜約420ng/mlの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。該化合物が化合物292である別の実施態様において、投与される化合物292の量は、約390ng/mlの該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。本明細書で使用される場合、「定常状態での血漿濃度」という用語は、化合物の一定期間の投与後に達する濃度である。ひとたび定常状態に達すれば、該化合物の血漿濃度の時間依存性曲線上には、微小なピーク及びトラフしか存在しない。
一実施態様において、投与される量は、約0.005〜約100μM、約0.005〜約10μM、約0.01〜約10μM、約0.01〜約5μM、約0.005〜約1μM、約0.005〜約0.5μM、約0.01〜約0.2μM、又は約0.01〜約0.1μMの範囲の、該化合物の最大血漿濃度(ピーク濃度)を生じるのに十分である。一実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約100μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約10μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約10μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約5μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約1μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約0.5μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約0.2μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。さらに別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約0.1μMの該化合物の最大血漿濃度を生じるのに十分である。
一実施態様において、投与される量は、複数用量で投与されたとき、約0.005〜約100μM、約0.005〜約10μM、約0.01〜約10μM、約0.01〜約5μM、約0.005〜約1μM、約0.005〜約0.5μM、約0.01〜約0.2μM、又は約0.01〜約0.1μMの範囲の、該化合物の最小血漿濃度(トラフ濃度)を生じるのに十分である。一実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約100μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約10μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約10μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約5μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約1μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.005〜約0.5μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。また別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約0.2μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。さらに別の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.01〜約0.1μMの該化合物の最小血漿濃度を生じるのに十分である。
一実施態様において、投与される量は、約50〜約10,000ng*hr/mL、約100〜約50,000ng*hr/mL、約100〜25,000ng*hr/mL、又は約10,000〜25,000ng*hr/mLの範囲の、該化合物の曲線下面積(AUC)を生じるのに十分である。
特定の理論によって限定されるものではないが、癌又は血液悪性腫瘍を有する患者への本明細書に提供される化合物の投与は、患者における応答の速やかな開始をもたらすことが分かった。したがって、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を有する患者における応答の速やかな開始を達成する方法であって、該患者に、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、応答の開始は、本明細書に提供される化合物の1回目の投与の日から約4カ月、3カ月、2カ月、又は1カ月以内に達成される。一実施態様において、該化合物は、化合物292、又はその医薬として許容し得る誘導体である。化合物が、化合物292、又はその医薬として許容し得る誘導体である一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT細胞リンパ腫であり、該応答の開始は、該化合物の1回目の投与から約2カ月以内に達成される。化合物が、化合物292、又はその医薬として許容し得る誘導体である別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はT細胞リンパ腫であり、該応答の開始は、該化合物の1回目の投与から約1.9カ月以内に達成される。化合物が、化合物292、又はその医薬として許容し得る誘導体である一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB細胞リンパ腫であり、該応答の開始は、該化合物の1回目の投与から約2カ月以内に達成される。化合物が、化合物292、又はその医薬として許容し得る誘導体である別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はB細胞リンパ腫であり、該応答の開始は、該化合物の1回目の投与から約1.8カ月以内に達成される。
本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内への注射又は注入、皮下注射、もしくはインプラント)、吸入、鼻腔、膣、直腸、舌下、又は局所(topical)(例えば、経皮もしくは局所(local))の投与経路によって投与することができる。一実施態様において、該化合物は、経口投与される。別の実施態様において、該化合物は、非経口投与される。また別の実施態様において、該化合物は、静脈内投与される。
本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、1日1回(QD)投与するか、又は1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)などの複数の1日用量に分割することができる。さらに、投与は、連続的(すなわち、連続日の間毎日、又は毎日)、間欠的、例えば、周期的(すなわち、数日、数週間、数カ月の薬物を与えない休止を含む)であることができる。本明細書で使用される場合、「毎日(daily)」という用語は、治療的化合物、例えば、式Iの化合物が、例えば、一定期間、各々の日に1回、又は2回以上、投与されることを意味することが意図される。「連続的な」という用語は、治療的化合物、例えば、式Iの化合物が、少なくとも10日間〜52週間途切れることなく毎日投与されることを意味することが意図される。本明細書で使用される「間欠的な」又は「間欠的に」という用語は、規則的な間隔又は不規則な間隔のいずれかで停止及び開始することを意味することが意図される。例えば、式Iの化合物の間欠的な投与は、1週間当たり1〜6日間の投与、周期的な投与(例えば、連続する2〜8週間の毎日の投与、その後、最大1週間の投与のない休止期間)、又は1日おきの投与である。本明細書で使用される「周期的(cycling)」という用語は、治療的化合物、例えば、式Iの化合物が、毎日又は連続的に、しかし、休止期間(例えば、投与後、7、14、21、又は28日間)を伴って投与されることを意味することが意図される。
いくつかの実施態様において、投与の頻度は、約1日に1回の投与から約1カ月に1回の投与の範囲である。ある実施態様において、投与は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日おきに1回、1週間に2回、毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回である。一実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日に1回投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日に2回投与される。また別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日に3回投与される。さらに別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日に4回投与される。
一実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約0.1、0.2、0.25、0.5、1、2、2.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、又は75mg BIDで投与される。一実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約0.5mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約1mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約5mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約8mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約15mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約25mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約35mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約50mg BIDで投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、約75mg BIDで投与される。
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、1日当たり1回、1日〜6カ月、1週間〜3カ月、1週間〜4週間、1週間〜3週間、又は1週間〜2週間投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり1回、1週間、2週間、3週間、又は4週間投与される。一実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり1回、1週間投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり1回、2週間投与される。また別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり1回、3週間投与される。さらに別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり1回、4週間投与される。さらに別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり1回、4週間よりも長い間投与される。
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、1日当たり2回、1日〜6カ月、1週間〜3カ月、1週間〜4週間、1週間〜3週間、又は1週間〜2週間投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり2回、1週間、2週間、3週間、又は4週間投与される。一実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり2回、1週間投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり2回、2週間投与される。また別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり2回、3週間投与される。さらに別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり2回、4週間投与される。さらに別の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1日当たり2回、4週間よりも長い間投与される。
本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、例えば、単一ボーラス注射、又は経口錠剤もしくは丸剤などの単一用量として;或いは例えば、長時間の連続注入又は長時間の分割ボーラス用量など、長い時間をかけて送達することができる。該化合物は、必要な場合、例えば、患者が安定した疾患もしくは後退を経験するまで、又は患者が疾患進行もしくは許容できない毒性を経験するまで反復して投与することができる。
(組合せ療法)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、1以上の他の療法と組み合わせて投与される。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、他の経路、又は同じ経路の他の構成要素、又は重複してさえいる標的酵素の組を調節することが知られている薬剤を、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)と組み合わせて使用する組合せ療法のための方法である。一態様において、そのような療法は、相乗的又は相加的治療効果を提供するために、対象化合物と、化学療法剤、治療用抗体、及び/又は放射線治療との組合せを含むが、これらに限定されない。
「と組み合わせて」とは、他の療法とPI3Kモジュレーターを同時に投与し、及び/又は一緒に送達するために製剤化しなければならないことを意味することを意図するものではないが、これらの送達方法は本開示の範囲内にある。本明細書に提供される化合物は、1以上の他の療法(例えば、1以上の他の追加の薬剤)と同時に、その前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、もしくは16週間前に)、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、もしくは16週間後に)投与することができる。一般に、各々の治療剤は、その特定の薬剤について決定された用量及び/又は日程で投与される。他の治療剤は、本明細書に提供される化合物とともに、単一の組成物中で又は別々に異なる組成物中で投与することができる。三剤併用療法(triple therapy)も本明細書で企図される。
一般に、組み合わせて使用される追加の治療剤は、それらが個別に使用されるレベルを超えないレベルで使用されると考えられる。いくつかの実施態様において、組み合わせて使用されるレベルは、個別に使用されるレベルよりも低い。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、癌又は血液悪性腫瘍に対する第一次治療である、すなわち、それは、癌もしくは血液悪性腫瘍又はそれらの1以上の症状を治療することを意図した別の薬物又は療法を過去に投与されたことがない対象で使用される。
他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、癌又は血液悪性腫瘍に対する第二次治療である、すなわち、それは、癌もしくは血液悪性腫瘍又はそれらの1以上の症状を治療することを意図した別の薬物又は療法を過去に投与されたことがある対象で使用される。
他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、癌又は血液悪性腫瘍に対する第三又は第四次治療である、すなわち、それは、癌もしくは血液悪性腫瘍又はそれらの1以上の症状を治療することを意図した2つ又は3つの他の薬物又は療法を過去に投与されたことがある対象で使用される。
2つの薬剤を投与する実施態様において、該薬剤を任意の順序で投与することができる。例えば、2つの薬剤を、同時に(すなわち、本質的に同時に、もしくは同じ治療において)又は連続的に(すなわち、一方のすぐ後に他方を、もしくはその代わりに、該2つの投与の間に間隔を置いて)投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、連続的に(すなわち、第一の治療薬の後に)投与される。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における異常な細胞成長を阻害するための組合せ療法であって、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を、ある量の抗癌剤(例えば、化学療法剤)と組み合わせて投与することを含む、方法である。多くの化学療法薬が当技術分野で現在知られており、本明細書に提供される化合物と組み合わせて使用されることができる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、有糸***阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物応答修飾物質、抗ホルモン薬、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン薬から選択される。非限定的な例としては、化学療法剤、細胞毒性剤、及び非ペプチド小分子、例えば、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(商標)(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、及びAdriamycin(登録商標)(ドキソルビシン)、並びに多くの化学療法剤がある。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamines); BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ(PCI-32765)、AVL-292、ダサチニブ、LFM-AI3、ONO-WG-307、及びGDC-0834; HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、アブレキノスタット、エンチノスタット、SB939、レスミノスタット、ギビノスタット、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、及びケベトリン; EZH2阻害剤、例えば、限定されないが、EPZ-6438(N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-4-メチル-4'-(モルホリノメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド)、GSK-126((S)-1-(sec-ブチル)-N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-3-メチル-6-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-インドール-4-カルボキサミド)、GSK-343(1-イソプロピル-N-((6-メチル-2-オキソ-4-プロピル-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-1H-インダゾール-4-カルボキサミド)、El1、3-デアザネプラノシンA(DNNep、5R-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3-(ヒドロキシメチル)-3-シクロペンテン-1S,2R-ジオール)、EZH2を標的とする小干渉RNA(siRNA)二重鎖(S. M. Elbashirらの文献、Nature 411:494-498(2001))、イソリキリチゲニン、並びに例えば、その全てが引用により本明細書中に組み込まれる、米国公開第2009/0012031号、同第2009/0203010号、同第2010/0222420号、同第2011/0251216号、同第2011/0286990号、同第2012/0014962号、同第2012/0071418号、同第2013/0040906号、及び同第2013/0195843号に提供されているもの; JAK/STAT阻害剤、例えば、レスタウルチニブ、トファシチニブ、ルクソリチニブ、パクリチニブ、CYT387、バリシチニブ、GLPG0636、TG101348、INCB16562、CP-690550、及びAZD1480; PKC-β阻害剤、例えば、エンザスタウリン; SYK阻害剤、例えば、限定されないが、GS-9973、R788(ホスタマチニブ)、PRT 062607、R406、(S)-2-(2-((3,5-ジメチルフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-(1-ヒドロキシプロパン2-イル)-4-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、R112、GSK143、BAY61-3606、PP2、PRT 060318、R348、並びに例えば、その全てが引用により本明細書中に組み込まれる、米国公開第2003/0113828号、同第2003/0158195号、同第2003/0229090号、同第2005/0075306号、同第2005/0232969号、同第2005/0267059号、同第2006/0205731号、同第2006/0247262号、同第2007/0219152号、同第2007/0219195号、同第2008/0114024号、同第2009/0171089号、同第2009/0306214号、同第2010/0048567号、同第2010/0152159号、同第2010/0152182号、同第2010/0316649号、同第2011/0053897号、同第2011/0112098号、同第2011/0245205号、同第2011/0275655号、同第2012/0027834号、同第2012/0093913号、同第2012/0101275号、同第2012/0130073号、同第2012/0142671号、同第2012/0184526号、同第2012/0220582号、同第2012/0277192号、同第2012/0309735号、同第2013/0040984号、同第2013/0090309号、同第2013/0116260号、及び同第2013/0165431号に提供されているもの; SYK/JAK二重阻害剤、例えば、PRT2070;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、クロロナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プララトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクライン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン; PSK.R(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン; 2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン; ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(例えば、TAXOL(商標))及びドセタキセル(例えば、TAXOTERE(商標))及びABRAXANE(登録商標)(パクリタキセルタンパク質結合粒子);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、同位体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)が挙げられる。同じく好適な化学療法用の細胞調整剤として挙げられるのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケトキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む、抗エストロゲン薬;並びに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;クロラムブシル;ゲムシタビン; 6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。望ましい場合、本明細書に提供される化合物又は医薬組成物は、一般に処方される抗癌薬、例えば、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラディン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナファイド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍原性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシイミン、CBV(化学療法)、カリクリン、クリゾチニブ、細胞周期非特異的抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモライド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドマイド、ルカントン、ラルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーポー、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126、及びゾスキダルと組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、限定されないが、IPI-926(米国特許第7,812,164号参照)を含む、ヘッジホッグ阻害剤から選択される。他の好適なヘッジホッグ阻害剤としては、例えば、その開示全体が、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,230,004号、米国特許出願公開第2008/0293754号、米国特許出願公開第2008/0287420号、及び米国特許出願公開第2008/0293755号に記載及び開示されているものが挙げられる。他の好適なヘッジホッグ阻害剤の例としては、各々引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開US 2002/0006931号、US 2007/0021493号、及びUS 2007/0060546号、並びに国際出願公開WO 2001/19800号、WO 2001/26644号、WO 2001/27135号、WO 2001/49279号、WO 2001/74344号、WO 2003/011219号、WO 2003/088970号、WO 2004/020599号、WO 2005/013800号、WO 2005/033288号、WO 2005/032343号、WO 2005/042700号、WO 2006/028958号、WO 2006/050351号、WO 2006/078283号、WO 2007/054623号、WO 2007/059157号、WO 2007/120827号、WO 2007/131201号、WO 2008/070357号、WO 2008/110611号、WO 2008/112913号、及びWO 2008/131354号に記載されているものが挙げられる。ヘッジホッグ阻害剤のさらなる例としては、例えば、Von Hoff Dらの文献、N. Engl. J. Med. 2009; 361(12): 1164-72; Robarge K.Dらの文献、Bioorg Med Chem Lett. 2009; 19(19):5576-81; Yauch, R. L.らの文献(2009) Science 326: 572-574; Sciencexpress: 1-3(10.1126/science.1179386); Rudin, C.らの文献(2009) New England J of Medicine 361-366(10.1056/nejma0902903)に記載されているGDC-0449(別名、RG3616又はビスモデギブ);例えば、Siu Lらの文献、J. Clin. Oncol. 2010; 28: 15s(補遺;要旨2501);及び米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT006701891号に記載されているBMS-833923(別名、XL139);例えば、Pan S.らの文献、ACS Med. Chem. Lett, 2010; 1(3): 130-134に記載されているLDE-225;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT01106508号に記載されているLEQ-506;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT00953758号に記載されているPF-04449913;米国特許出願公開第2010/0286114号に開示されているヘッジホッグ経路アンタゴニスト;例えば、米国特許出願公開第2010/0093625号に記載されているSMOi2-17;例えば、Rominger C.M.らの文献、J. Pharmacol. Exp. Ther. 2009; 329(3):995-1005に記載されているSANT-1及びSANT-2;Lucas B.S.らの文献、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010; 20(12):3618-22に記載されている1-ピペラジニル-4-アリールフタラジン又はその類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
他のホルモン療法及び化学療法剤としては、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、及び酢酸メゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン及びロイプロリド)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、光線力学療法(例えば、ベルトポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、及びデメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、及びメルファラン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、タキソイド又はタキサン(例えば、パクリタキセル又はパクリタキセル同等品、例えば、ナノ粒子アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Taxoprexin)、ポリグルタメート結合型パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP) ANG1005(パクリタキセル3分子に結合したアンジオペップ-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル)、及びグルコースコンジュゲート型パクリタキセル、例えば、2'-パクリタキセルメチル 2-グルコピラノシルスクシネート;ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、イリノテカン、クリスナトール、マイトマイシンC)、代謝拮抗薬、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキセート、ジクロロメトトレキセート、トリメトレキセート、エダトレキセート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、及びEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシウレア及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(ara C、シトシンアラビノシド)、及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB 1089、CB 1093、及びKH 1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作用性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ ATPアーゼ阻害剤(例えば、タプシガルジン)、サリドマイド、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標))、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、及び/又はXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダホロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)、及びOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンプトテシン、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモライド、カルミノマイシン、アミノプテリン、並びにヘキサメチルメラミンが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な生体治療剤としては、インターフェロン、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血成長因子、モノクローナル血清療法、免疫賦活剤、及び/又は免疫調節剤(例えば、IL-1、2、4、6、もしくは12)、免疫細胞成長因子(例えば、GM-CSF)、並びに抗体(例えば、Herceptin(トラスツズマブ)、T-DM1、AVASTIN(ベバシズマブ)、ERBITUX(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Rituxan(リツキシマブ)、Bexxar(トシツモマブ)、又はPerjeta(ペルツズマブ))が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、該生体治療剤は、抗CD37抗体、例えば、限定されないが、IMGN529、K7153A、及びTRU-016である。別の実施態様において、該生体治療剤は、抗CD20抗体、例えば、限定されないが、131I トシツモマブ、90Y イブリツモマブ、111I イブリツモマブ、オビヌツズマブ、及びオファツムマブである。別の実施態様において、該生体治療剤は、抗CD52抗体、例えば、限定されないが、アレムツズマブである。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、HSP90阻害剤から選択される。HSP90阻害剤は、ゲルダナマイシン誘導体、例えば、ベンゾキノン又はハイグロキノン(hygroquinone)アンサマイシンHSP90阻害剤(例えば、IPI-493及び/又はIPI-504)であることができる。HSP90阻害剤の非限定的な例としては、IPI-493、IPI-504、17-AAG(別名、タネスピマイシンもしくはCNF-1010)、BIIB-021(CNF-2024)、BIIB-028、AUY-922(別名、VER-49009)、SNX-5422、STA-9090、AT-13387、XL-888、MPC-3100、CU-0305、17-DMAG、CNF-1010、マクベシン(例えば、マクベシンI、マクベシンII)、CCT-018159、CCT-129397、PU-H71、又はPF-04928473(SNX-2112)が挙げられる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、PI3K阻害剤(例えば、本明細書に提供されるPI3K阻害剤及び本明細書に提供されないPI3K阻害剤を含む)から選択される。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタ及びガンマアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのガンマアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのアルファアイソフォームの阻害剤である。他の実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kの1以上のアルファ、ベータ、デルタ、及びガンマアイソフォームの阻害剤である。組み合わせて使用することができる例示的なPI3K阻害剤は、例えば、各々引用により本明細書中に組み込まれる、WO 09/088990号、WO 09/088086号、WO 2011/008302号、WO 2010/036380号、WO 2010/006086号、WO 09/114870号、WO 05/113556号;US 2009/0312310号、及びUS 2011/0046165号に記載されている。医薬組成物と組み合わせて使用することができるさらなるPI3K阻害剤としては、AMG-319、GSK 2126458、GDC-0980、GDC-0941、Sanofi XL147、XL499、XL756、XL147、PF-4691502、BKM 120、CAL-101(GS-1101)、CAL 263、SF1126、PX-886、及び二重PI3K阻害剤(例えば、Novartis BEZ235)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、PI3K阻害剤は、イソキノリノンである。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、polo様キナーゼ1(PLK1)阻害剤、例えば、限定されないが、ボラセルチブ(BI6727; N-((1S,4S)-4-(4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-(((R)-7-エチル-8-イソプロピル-5-メチル-6-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-2-イル)アミノ)-3-メトキシベンズアミド)、BI2536((R)-4-[(8-シクロペンチル-7-エチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-5-メチル-6-オキソ-2-プテリジニル)アミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-4-ピペリジニル)ベンズアミド)、ZK-チアゾリドン((2-イミダゾール-1-イル-1-オキシダニル-1-ホスホノ-エチル)ホスホン酸)、TAK-960(4-((9-シクロペンチル-7,7-ジフルオロ-5-メチル-6-オキソ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-b][1,4]ジアゼピン-2-イル)アミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)ベンズアミド)、MLN0905(2-((5-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-2-メチルピリジン-3-イル)アミノ)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ベンゾ[b]ピリミド[4,5-d]アゼピン-6(7H)-チオン)、GSK461364((R)-5-(6-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3-(1-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)チオフェン-2-カルボキサミド)、リゴセルチブ(ON-01910;ナトリウム(E)-2-((2-メトキシ-5-(((2,4,6-トリメトキシスチリル)スルホニル)メチル)フェニル)アミノ)アセテート)、及びHMN-214((E)-4-(2-(N-((4-メトキシフェニル)スルホニル)アセトアミド)スチリル)ピリジン 1-オキシド)から選択される。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、IRAK阻害剤から選択される。IRAKタンパク質キナーゼファミリーの阻害剤は、IRAKタンパク質キナーゼの機能を阻害する化合物、より好ましくは、IRAK-4及び/又はIRAK-1の機能を阻害する化合物を指す。例示的なIRAK阻害剤としては、IRAK4阻害剤、例えば、ND-2110及びND-2158;その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、WO2003/030902号、WO2004/041285号、WO2008/030579号、及びBuckleyらの文献(IRAK-4阻害剤。パート1:アミドのシリーズ。Bioorganic & medicinal chemistry letters 2008, 18(11):3211-3214; IRAK-4阻害剤。パートII:構造に基づくイミダゾ[1,2-a]ピリジン結合の評価。Bioorganic & medicinal chemistry letters 2008, 18(11):3291-3295; IRAK-4阻害剤。パートIII:イミダゾ[1,2-a]ピリジンのシリーズ。Bioorganic & medicinal chemistry letters 2008, 18(11):3656-3660)に開示されているもの; RO6245、RO0884、N-アシル 2-アミノベンズイミダゾール 1-(2-(4-モルホリニル)エチル)-2-(3-ニトロベンゾイルアミノ)ベンゾイミダゾール、及び/又はN-(2-モルホリニルエチル)-2-(3-ニトロベンゾイルアミド)-ベンゾイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、放射線療法と組み合わせて、対象における異常な細胞成長の阻害又は過剰増殖性障害の治療に使用する方法である。放射線療法を施すための技術は当技術分野で公知であり、これらの技術を本明細書に記載の組合せ療法に使用することができる。この組合せ療法での本明細書に提供される化合物の投与は、本明細書に記載されている通りに決定することができる。
放射線療法は、限定されないが、体外照射療法、体内照射療法、組織内照射療法、定位的放射線治療、全身放射線療法、放射線療法、及び恒久的又は一時的な組織内近接照射療法を含む、いくつかの方法のうちの1つ、又は方法の組合せによって施すことができる。本明細書で使用される「近接照射療法」という用語は、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位又はその近くで体内に挿入された、空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、及びLuの放射性同位体)への暴露を含むことが意図される。本明細書に提供される細胞調整剤としての使用のための好適な放射線源は、固体と液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、放射性核種、例えば、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125、又は光子、ベータ粒子、ガンマ放射線、もしくは他の治療用放射線を放出する他の放射性核種であることができる。放射性物質は、放射性核種(複数可)の任意の溶液、例えば、I-125又はI-131の溶液から作製される流体であることもできるし、又は放射性流体は、Au-198、Y-90などの固体放射性核種の小粒子を含む好適な流体のスラリーを用いて生成させることができる。さらに、放射性核種(複数可)は、ゲル又は放射性マイクロスフェアに包埋することができる。
任意の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、異常細胞を、そのような細胞を死滅させる、及び/又はその成長を阻害する目的での放射線による治療に対してより敏感にすることができる。したがって、本明細書に提供されるのは、対象における異常細胞を、放射線による治療に対して敏感にする方法であって、該対象に、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を投与することを含む、方法であり、この量は、異常細胞を放射線による治療に対して敏感にするのに有効である。この方法で使用される化合物の量は、本明細書に記載のそのような化合物の有効量を確認するための手段によって決定することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、ホルモン療法と組み合わせて、対象における異常な細胞成長の阻害又は過剰増殖性障害の治療に使用する方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、外科手術と組み合わせて、対象における異常な細胞成長の阻害又は過剰増殖性障害の治療に使用する方法である。
一実施態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤、解糖阻害剤、又はオートファジー阻害剤から選択される、ある量の1以上の物質と組み合わせて使用することができる。
他の治療剤、例えば、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤、及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤を、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態、又は本明細書に記載の医薬組成物とともに使用することができる。そのような治療剤としては、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ、及びベバシズマブが挙げられる。有用なCOX-II阻害剤の例としては、CELEBREX(商標)(アレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブ、及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO 96/33172号(1996年10月24日公開)、WO 96/27583号(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号(1999年10月29日出願)、WO 98/07697号(1998年2月26日公開)、WO 98/03516号(1998年1月29日公開)、WO 98/34918号(1998年8月13日公開)、WO 98/34915号(1998年8月13日公開)、WO 98/33768号(1998年8月6日公開)、WO 98/30566号(1998年7月16日公開)、欧州特許公開第606,046号(1994年7月13日公開)、欧州特許公開第931,788号(1999年7月28日公開)、WO 90/05719号(1990年5月31日公開)、WO 99/52910号(1999年10月21日公開)、WO 99/52889号(1999年10月21日公開)、WO 99/29667号(1999年6月17日公開)、PCT国際出願PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1号(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148,464号(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863,949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)、及び欧州特許公開第780,386号(1997年6月25日公開)に記載されており、これらは全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、MMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性がほとんど又は全くないものである。他の実施態様としては、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、MAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、及びMMP-13)と比べてMMP-2及び/もしくはAMP-9を選択的に阻害するものが挙げられる。MMP阻害剤のいくつかの非限定的な例は、AG-3340、RO 32-3555、及びRS 13-0830である。
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、タイプ2A又はタイプ1のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制性藻類毒素、cAMPの類似体、及びcAMPレベルを上昇させる薬物、例えば、アデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド、並びにビンブラスチンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、限定されないが、ATG5(これは、オートファジーに関係があるとされる)を含むタンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAを使用することもできる。
組合せ療法に有用な他の例示的な治療剤としては、上記の薬剤、放射線療法、ホルモンアンタゴニスト、ホルモン及びその放出因子、甲状腺及び抗甲状腺薬、エストロゲン及びプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質刺激ホルモン;副腎皮質ステロイド及びその合成類似体;副腎皮質ホルモンの合成及び作用の阻害剤、インスリン、経口血糖降下剤、及び内分泌膵臓の薬理、石灰化及び骨代謝回転に影響を及ぼす薬剤:カルシウム、リン酸塩、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニン、ビタミン、例えば、水溶性ビタミン、ビタミンB群、アスコルビン酸、脂溶性ビタミン、ビタミンA、K、及びE、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ムスカリン受容体アゴニスト及びアンタゴニスト;抗コリンエステラーゼ剤;神経筋接合部及び/又は自律神経節で作用する薬剤;カテコールアミン、交感神経興奮様薬、及びアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はアンタゴニスト;並びに5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT、セロトニン)受容体アゴニスト及びアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
治療剤としては、疼痛及び炎症用の薬剤、例えば、ヒスタミン及びヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニン及びブラジキニンアンタゴニスト、5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、膜リン脂質の選択的加水分解産物の生体内変換によって生成される脂質物質、エイコサノイド、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛解熱剤、プロスタグランジン及びトロンボキサンの合成を阻害する薬剤、誘導型シクロオキシゲナーゼの選択的阻害剤、誘導型シクロオキシゲナーゼ2の選択的阻害剤、オータコイド、傍分泌ホルモン、ソマトスタチン、ガストリン、体液性及び細胞性免疫応答に関与する相互作用を媒介するサイトカイン、脂質由来オータコイド、エイコサノイド、β-アドレナリン作動性アゴニスト、イプラトロピウム、グルココルチコイド、メチルキサンチン、ナトリウムチャネル遮断薬、オピオイド受容体アゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、膜安定化剤、及びロイコトリエン阻害剤を挙げることもできる。
本明細書に提供される化合物と組み合わせることができる治療用抗体の例としては、抗受容体チロシンキナーゼ抗体(セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ)、抗CD20抗体(リツキシマブ、トシツモマブ)、並びに他の抗体、例えば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、及びゲムツズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、免疫調節に使用される治療剤、例えば、免疫調節物質、免疫抑制剤、寛容原、及び免疫賦活剤が、本明細書における方法によって企図される。さらに、血液及び造血器官に作用する治療剤、造血剤、成長因子、ミネラル、及びビタミン、抗凝固剤、血栓溶解剤、並びに抗血小板薬もまた、本明細書における方法によって企図される。
例示的な実施態様において、腎臓癌を治療するために、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物をソラフェニブ及び/又はアバスチンと組み合わせることができる。子宮内膜障害を治療するために、本明細書に提供される化合物をドキソルビシン、タキソテール(タキソール)、及び/又はシスプラチン(カルボプラチン)と組み合わせることができる。卵巣癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、トポテカン、及び/又はタモキシフェンと組み合わせることができる。乳癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、パクリタキセルもしくはドセタキセル、ゲムシタビン、カペシタビン、タモキシフェン、レトロゾール、エルロチニブ、ラパチニブ、PD0325901、ベバシズマブ、トラスツズマブ、OSI-906、及び/又はOSI-930と組み合わせることができる。肺癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ペメトレキセド、エルロチニブ、PD0325901、及び/又はベバシズマブと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害は、血液癌、例えば、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫; NHL)、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、及び白血病(例えば、CLL)であり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)は:HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、及びACY-1215; mTOR阻害剤、例えば、エベロリムス;抗葉酸剤、例えば、プララトレキセート;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベンダムスチン;任意にオキサリプラチンとさらに組み合わせたゲムシタビン;リツキシマブとシクロホスファミドの組合せ; PI3K阻害剤、例えば、GS-1101、XL 499、GDC-0941、及びAMG-319;血管新生阻害剤、例えば、ポマリドミド、又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ、AVL-292、ダサチニブ、LFM-AI3、ONO-WG-307、及びGDC-0834と組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はDLBCLであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるHDAC阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該HDAC阻害剤はACY-1215である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はDLBCLであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるBTK阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はDLBCLであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるIRAK阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該IRAK4阻害剤は、ND-2110又はND-2158である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はWMであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるBTK阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はWMであり、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、本明細書に提供されるIRAK4阻害剤と組み合わせて使用される。1つの特定の実施態様において、該IRAK4阻害剤は、ND-2110又はND-2158である。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理される障害はT-ALLであり、対象/患者はPTEN欠損を有し、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ドキソルビシン及び/又はビンクリスチンと組み合わせて使用される。
本明細書に提供される化合物と組み合わせることができるさらなる治療剤は、両方とも引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Goodman及びGilmanの文献、「治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、 第10版、Hardman、Limbird、及びGilman編;又は医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)に見出すことができる。
一実施態様において、本明細書に記載の化合物は、治療されている状態に応じて、本明細書に提供される薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態は、上記の他の薬剤と共投与される。組合せ療法で使用する場合、本明細書に記載の化合物又はその医薬として許容し得る形態は、第二の薬剤と同時に又は別々に投与することができる。この併用投与は、2つの薬剤の同一剤形での同時投与、別々の剤形での同時投与、及び個別投与を含むことができる。すなわち、本明細書に記載の化合物、及び上記の薬剤のいずれかを、同一剤形中に一緒に製剤化して、同時に投与することができる。或いは、本明細書に提供される化合物、及び上記の薬剤のいずれかを同時に投与することができ、この場合、両方の該薬剤は別々の製剤中に存在する。別の代替法では、本明細書に提供される化合物を投与し、その後すぐに、上記の薬剤のいずれかを投与することができ、又はその逆も同様にすることができる。個別投与プロトコルにおいて、本明細書に提供される化合物、及び上記の薬剤のいずれかを、数分間空けて、又は数時間空けて、又は数日間空けて投与することができる。
本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態の投与は、該化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって達成することができる。有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態は、同様の有用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって、単一用量又は複数用量のいずれかで投与することができ、該投与様式には、直腸、口腔、鼻腔内、及び経皮経路、動脈内注射によるもの、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、もしくは吸入剤としてのもの、或いは例えば、ステントなどの含浸もしくは被覆されたデバイス、又は動脈に挿入される円筒形ポリマーを介するものが含まれる。
本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有する場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び第二の薬剤は、別々の組成物、例えば、医薬組成物中で投与される。いくつかの実施態様において、該PI3Kモジュレーター及び該薬剤は別々に投与されるが、同じ経路(例えば、両方とも経口又は両方とも静脈内)を経由する。他の実施態様において、該PI3Kモジュレーター及び該薬剤は、同じ組成物、例えば、医薬組成物中で投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、HDAC阻害剤、例えば、ベリノスタット、ボリノスタット、パノビノスタット、ACY-1215、又はロミデプシンなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、mTOR阻害剤、例えば、エベロリムス(RAD 001)などと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ又はカルフィルゾミブなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、PKC-β阻害剤、例えば、エンザスタウリン(LY317615)などと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、JAK/STAT阻害剤、例えば、INCB16562又はAZD1480などと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗葉酸剤、例えば、プララトレキセートなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、チピファルニブなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ベンダムスチン及び1つの追加の活性剤と組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、リツキシマブ及び1つの追加の活性剤と組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、ベンダムスチン及びリツキシマブと組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブと組み合わせて使用される。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗体又は生物剤、例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、又はブレンツキシマブベドチン(SGN-035)などと組み合わせて使用される。一実施態様において、該第二の薬剤はリツキシマブである。一実施態様において、該第二の薬剤はリツキシマブであり、該組合せ療法は、iNHL、FL、脾臓辺縁帯、節性辺縁帯、節外性辺縁帯、及び/又はSLLを治療、予防、及び/又は管理するためのものである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、抗体-薬物コンジュゲート、例えば、イノツズマブオゾガマイシン又はブレンツキシマブベドチンなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、細胞毒性剤、例えば、ベンダムスチン、ゲムシタビン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシンもしくはダウノマイシン、ドキソルビシン)、アクチノマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、クロファラビン、ネララビン、クラドリビン、アスパラギナーゼ、メトトレキセート、又はプララトレキセートなどと組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、例えば、フルダラビン、イブルチニブ、ホスタマチニブ、レナリドマイド、サリドマイド、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、又はR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシンもしくはヒドロキシダウノマイシン、ビンクリスチンもしくはオンコビン、プレドニゾン)などの、1以上の他の抗癌剤又は化学療法剤と組み合わせて使用される。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)は、サイトカインに対する抗体(例えば、IL-15抗体、IL-21抗体、IL-4抗体、IL-7抗体、IL-2抗体、IL-9抗体)と組み合わせて使用される。いくつかの実施態様において、該第二の薬剤は、JAK1阻害剤、JAK3阻害剤、汎JAK阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、又はPI3Kδ阻害剤である。いくつかの実施態様において、該第二の薬剤は、ケモカインに対する抗体である。
特定の理論に限定されるものではないが、本明細書に記載の標的組合せ療法は、軽減された副作用及び/又は増強された効力を有する。例えば、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)、並びに第二の活性剤(例えば、IL-15抗体、IL-21抗体、IL-4抗体、IL-7抗体、IL-2抗体、IL-9抗体、JAK1阻害剤、JAK3阻害剤、汎JAK阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、及び/又はPI3Kδ阻害剤)で治療するための組合せ療法である。
さらに、特定の理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)は、BTK経路にもMEK経路にも影響を及ぼさないことが分かった。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、BTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該BTK阻害剤はイブルチニブである。一実施態様において、該BTK阻害剤はAVL-292である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、MEK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該MEK阻害剤は、タメチニブ(tametinib)/GSK1120212(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、セルメチノブ(selumetinob)(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、ピマセルチブ/AS703026/MSC1935369((S)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-3-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド)、XL-518/GDC-0973(1-({3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル}カルボニル)-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-3-オール)、レファメチニブ/BAY869766/RDEA119(N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド)、PD-0325901(N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド)、TAK733((R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン)、MEK162/ARRY438162(5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド)、RO5126766(3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)-4-ピリジル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン)、WX-554、RO4987655/CH4987655(3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-((3-オキソ-1,2-オキサジナン-2-イル)メチル)ベンズアミド)、又はAZD8330(2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、EZH2阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該EZH2阻害剤は、EPZ-6438、GSK-126、GSK-343、El1、又は3-デアザネプラノシンA(DNNep)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、bcl-2阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該BCL2阻害剤は、ABT-199(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロヘクス-1-エン-1-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[[3-ニトロ-4-[[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル]アミノ]フェニル]スルホニル]-2-[(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)オキシ]ベンズアミド)、ABT-737(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)、ABT-263((R)-4-(4-((4'-クロロ-4,4-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-((4-((4-モルホリノ-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3((トリフルオロメチル)スルホニル)フェニル)スルホニル)ベンズアミド)、GX15-070(メシル酸オバトクラックス、(2Z)-2-[(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)メチリデン]-4-メトキシピロール-2-イリデン]インドール;メタンスルホン酸)))、又はG3139(オブリメルセン)である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はDLBCLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はiNHLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCLLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。別の実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はCTCLである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は高齢患者である。別の実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、iNHLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、レナリドマイドと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、iNHLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は高齢患者である。別の実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、CLLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、レナリドマイドと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、CLLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該患者は高齢患者である。別の実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、R-GDP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)と組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。別の実施態様において、該治療は、R-CHOPによる治療の後に行われる。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、DLBCLを治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、イブルチニブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、DLBCLは、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、T細胞リンパ腫(PTCL又はCTCL)を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ロミデプシンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、T細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、リツキシマブと組み合わせ、さらにベンダムスチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、マントル細胞リンパ腫を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、イブルチニブと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、マントル細胞リンパ腫は、再発性又は不応性である。
さらに、特定の理論によって限定されるものではないが、癌細胞は、ドキソルビシン及び本明細書に提供される化合物に対する示差感受性プロファイルを示すことが分かった。したがって、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、ドキソルビシンと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はALLである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって、患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)、又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を、AraCと組み合わせて投与することを含む、方法である。一実施態様において、該癌又は血液悪性腫瘍はAMLである。
具体的な実施態様において、化合物292又はその医薬として許容し得る形態は、本明細書に提供される1以上の第二の薬剤又は第二の療法と組み合わせて使用される。
(バイオマーカー及びスクリーニング法)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される方法で使用するための、又は本明細書に提供される癌もしくは疾患(例えば、血液悪性腫瘍)の治療もしくは予防で使用するためのバイオマーカー(例えば、診断バイオマーカー、予測バイオマーカー、又は予後予測バイオマーカー)である。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーとしては:標的バイオマーカー、シグナル伝達経路バイオマーカー、タンパク質突然変異バイオマーカー、タンパク質発現バイオマーカー、遺伝子突然変異バイオマーカー、DNAコピー数バイオマーカー、遺伝子発現バイオマーカー、サイトカインバイオマーカー、ケモカインバイオマーカー、マトリックスメタロプロテイナーゼバイオマーカー、又は特定の癌細胞のバイオマーカーが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該バイオマーカーを用いて、特定のタイプの癌もしくは疾患、又は特定の患者もしくは患者群の予後、及び/或いは特定のタイプの癌もしくは疾患、又は特定の患者もしくは患者群の治療剤に対する感受性を評価することができる。
一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、例えば、1以上の特定のPI3Kアイソフォームのタンパク質及び/又はRNA発現を決定するためのバイオマーカー;例えば、PI3K-α発現、PI3K-β発現、PI3K-δ発現、もしくはPI3K-γ発現のバイオマーカー、又はこれらの組合せなどの、標的バイオマーカーである。他の実施態様において、該標的バイオマーカーは、1以上の特定のPI3KアイソフォームのDNA変化(例えば、突然変異、コピー数変化、又はエピジェネティック修飾)である。一実施態様において、該バイオマーカーは、特定のタンパク質標的のIHCを含む。一実施態様において、該バイオマーカーは、特定のタンパク質標的のRNA(例えば、mRNA)(例えば、mRNAのISH)を含む。一実施態様において、該バイオマーカーは、特定のタンパク質標的のDNAを含み、これには、体細胞突然変異などの遺伝子変化、増幅又は欠失などのコピー数変化、及び染色体転座、並びにメチル化及びヒストン修飾などのエピジェネティック変化が含まれる。一実施態様において、該バイオマーカーは、特定のタンパク質標的の発現を調節するmiRNAを含む。
一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、例えば、PTEN経路バイオマーカーなどのシグナル伝達経路バイオマーカー、並びに/又はpAKT、pS6、及び/もしくはpPRAS40などのシグナル伝達経路活性化のバイオマーカー(例えば、IHCバイオマーカー、DNA変化バイオマーカー、DNA欠失バイオマーカー、又はDNA突然変異バイオマーカー)である。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、例えば、CXCR4、IGH7、KRAS、NRAS、A20、CARD11、CD79B、TP53、CARD11、MYD88、GNA13、MEF2B、TNFRSF14、MLL2、BTG1、EZH2、NOTCH1、JAK1、JAK2、PTEN、FBW7、PHF6、IDH1、IDH2、TET2、FLT3、KIT、NPM1、CEBPA、DNMT3A、BAALC、RUNX1、ASXL1、IRF8、POU2F2、WIF1、ARID1A、MEF2B、TNFAIP3、PIK3R1、MTOR、PIK3CA、PI3Kδ、及び/又はPI3Kγなどの、1以上の標的の突然変異を評価するための突然変異バイオマーカー、例えば、タンパク質突然変異バイオマーカー又は遺伝子突然変異バイオマーカーである。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、1以上の標的の発現、又は経路の上方調節もしくは下方調節を評価するための、タンパク質発現バイオマーカー、遺伝子発現バイオマーカーなどの、発現バイオマーカー、例えば、RASもしくはPI3K経路活性化を評価するための、例えば、pERK IHCバイオマーカーもしくはpERK発現バイオマーカーなどである。
一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、限定されないが、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12(p40)、IL-15、IL-16、IL-21、TNFα、及びTGFαを含む、サイトカインバイオマーカーである。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、限定されないが、CCL1、CXCL10、CXCL12、CXCL13、CCL2、及びCCL3を含む、ケモカインバイオマーカーである。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、血清サイトカインバイオマーカーである。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、血清ケモカインバイオマーカーである。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、1以上のサイトカイン、サイトカイン受容体、ケモカイン、及び/又はケモカイン受容体の遺伝子発現パターンに関する。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、GM-CSF、もしくはTNF-α、又はこれらの組合せである。別の実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、マトリックスメタロプロテイナーゼである。一実施態様において、該マトリックスメタロプロテイナーゼはMMP-9である。別の実施態様において、該マトリックスメタロプロテイナーゼはMMP-12である。
一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーを用いて、効力を特定し、診断し、予測し、長期の臨床転帰を予測し、予後を予測し、及び/又は本明細書に記載の治療のための患者を選択することができる。一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、例えば、Rai段階、β2-ミクログロブリン、トリソミー12、del13q、17p、PTEN、及び11q突然変異もしくは欠失を含む多様な細胞遺伝学的性質(cytogenetics)、ZAP-70の状態、CD38の状態、CD49dの状態、及び/又はIgHV遺伝子突然変異などの様々な予後予測因子を有する患者のサブセットに使用することができる。一実施態様において、該バイオマーカーは、11q欠失である。別の実施態様において、該バイオマーカーは、PTEN欠失及び/又はPTEN発現の減少である。別の実施態様において、該バイオマーカーは、17p欠失である。いくつかの実施態様において、治療に対する対象の感受性を決定する方法であって、該対象由来の試料中のバイオマーカーの存在を検出することを含む、方法が開示されている。いくつかの実施態様において、Rai段階、β2-ミクログロブリン、トリソミー12、del13q、17p、PTEN、及び11q突然変異もしくは欠失を含む多様な細胞遺伝学的性質、ZAP-70の状態、CD38の状態、CD49dの状態、及び/又はIgHV遺伝子突然変異のうちの1つ又は複数の存在は、対象が、PI3K阻害剤による治療に対する増大した感受性を有することを示す。いくつかの実施態様において、11q欠失の存在は、対象が、PI3K阻害剤による治療に対する増大した感受性を有することを示す。いくつかの実施態様において、17p欠失の存在は、対象が、PI3K阻害剤による治療に対する増大した感受性を有することを示す。いくつかの実施態様において、PTEN欠失及び/又はPTEN発現の減少の存在は、対象が、PI3K阻害剤による治療に対する増大した感受性を有することを示す。いくつかの実施態様において、pS6の存在は、対象が、PI3K阻害剤による治療に対する低下した感受性を有することを示す。いくつかの実施態様において、該方法は、PI3K阻害剤を、治療に対する感受性が増大していると特定された対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該PI3K阻害剤は、化合物292である。いくつかの実施態様において、該方法は、情報を用いて、治療に対する応答の可能性が増大した対象と、治療に対する応答の可能性が低下した対象とを階層化することをさらに含む。
一実施態様において、対象が癌の治療法に治療的に応答する可能性を予測する方法であって、PI3K阻害剤(例えば、化合物292)を投与することを含む、方法が開示されており、該方法は:(a)該対象の生体癌試料中のバイオマーカーの発現レベルを測定すること;(b)該バイオマーカーの所定のレベルと比べた該癌試料中の該バイオマーカーの存在又はレベルを決定すること、(c)該患者がバイオマーカーを有する場合、該対象を該癌の治療法に治療的に応答する可能性が増大している又は低下していると分類すること、及び(d)PI3K阻害剤を、応答する可能性が増大していると分類された該患者に投与することを含む。例えば、Rai段階、β2-ミクログロブリン、トリソミー12、del13q、17p、PTEN、及び11q突然変異もしくは欠失を含む多様な細胞遺伝学的性質、ZAP-70の状態、CD38の状態、CD49dの状態、及び/又はIgHV遺伝子突然変異のうちの1つ又は複数の検出は、応答の可能性が増大していると分類されることができる。例えば、pS6のうちの1つ又は複数の検出は、応答の可能性が低下していると分類されることができる。一実施態様において、11q欠失の検出は、応答の可能性が増大していると分類されることができる。別の実施態様において、17p欠失の検出は、応答の可能性が増大していると分類されることができる。別の実施態様において、PTEN欠失及び/又はPTEN発現の減少の検出は、応答の可能性が増大していると分類されることができる。
いくつかの実施態様において、治療が、応答の可能性が増大している患者(例えば、検出に基づいて特定された患者)で開始されると、該治療の実際の効力を、第二の組のバイオマーカー、例えば、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、及びこれらの組合せの調節を評価することによりモニタリングすることもできる。
1つの具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、11q欠失を有する癌患者における本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)治療化合物を該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、方法である。一実施態様において、該癌は血液癌である。一実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。別の実施態様において、該癌はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌はNHLである。別の実施態様において、該癌はiNHLである。別の実施態様において、該癌はCTCLである。別の実施態様において、該癌はCLLである。別の実施態様において、該癌はSLLである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、17p欠失を有する癌患者における本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)治療化合物を該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、方法である。一実施態様において、該癌は血液癌である。一実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。別の実施態様において、該癌はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌はNHLである。別の実施態様において、該癌はiNHLである。別の実施態様において、該癌はCTCLである。別の実施態様において、該癌はCLLである。別の実施態様において、該癌はSLLである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、PTEN欠失及び/又はPTEN発現の減少を有する癌患者における本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)治療化合物を該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、方法である。一実施態様において、該癌は血液癌である。一実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。別の実施態様において、該癌はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌はNHLである。別の実施態様において、該癌はiNHLである。別の実施態様において、該癌はCTCLである。別の実施態様において、該癌はCLLである。別の実施態様において、該癌はSLLである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、13q欠失を有する癌患者における本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)治療化合物を該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、方法である。一実施態様において、該癌は血液癌である。一実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。別の実施態様において、該癌はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌はNHLである。別の実施態様において、該癌はiNHLである。別の実施態様において、該癌はCTCLである。別の実施態様において、該癌はCLLである。別の実施態様において、該癌はSLLである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、トリソミー12欠失を有する癌患者における本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)治療化合物を該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、方法である。一実施態様において、該癌は血液癌である。一実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。別の実施態様において、該癌はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌はNHLである。別の実施態様において、該癌はiNHLである。別の実施態様において、該癌はCTCLである。別の実施態様において、該癌はCLLである。別の実施態様において、該癌はSLLである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、IgHV遺伝子突然変異を有する癌患者における本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)治療化合物を該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、方法である。一実施態様において、該癌は血液癌である。一実施態様において、該癌は、リンパ腫又は白血病である。別の実施態様において、該癌はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌はNHLである。別の実施態様において、該癌はiNHLである。別の実施態様において、該癌はCTCLである。別の実施態様において、該癌はCLLである。別の実施態様において、該癌はSLLである。
一実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、癌細胞のバイオマーカー(例えば、特定の癌細胞株、特定の癌細胞型、特定の細胞周期プロファイル)である。
例示的な実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、例えば、PI3Kδ及び/もしくはPI3Kγ経路活性化の予測バイオマーカーとしての、又は本明細書に記載の治療に対する応答の予測バイオマーカーとしての、患者又は患者群の遺伝子発現プロファイリングに関する。例示的な実施態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーは、例えば、PI3Kδ及び/又はPI3Kγの発現又は活性化の予測バイオマーカーとしての、遺伝子発現分類子(例えば、ABCの示差発現又は活性化、GCB、酸化的リン酸化(Ox Phos)、B細胞受容体/増殖(BCR)、又はDLBCLの宿主応答(HR)サブタイプ)に関する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される療法の有効性を確認するためのバイオマーカーとしてのmRNA又はタンパク質の使用に関する方法である。一実施態様において、mRNA又はタンパク質レベルを用いて、特定の薬剤が特定の癌又は血液悪性腫瘍の治療に奏功する可能性が高いかどうかを決定することができる。
本明細書で使用される場合、別途規定されない限り、生物学的マーカー又はバイオマーカーは、その検出により、例えば、癌又は血液悪性腫瘍の存在などの特定の生物学的状態が示される物質である。いくつかの実施態様において、バイオマーカーを個別に決定することができるか、又はいくつかのバイオマーカーを同時に測定することができるかのどちらかである。
いくつかの実施態様において、バイオマーカーは、疾患のリスクもしくは進行と、又は所与の治療に対する疾患の感受性と相関し得るmRNA発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施態様において、該バイオマーカーは、核酸、例えば、mRNA、miRNA、又はcDNAである。
さらなる実施態様において、バイオマーカーは、疾患のリスク、治療に対する感受性、又は進行と相関し得るポリペプチド又はタンパク質発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施態様において、該バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質、又はそれらの断片であることができる。特定のタンパク質の相対的レベルは、当技術分野で公知の方法により決定することができる。例えば、抗体ベースの方法、例えば、免疫ブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、又は他の方法を使用することができる。
一実施態様において、本明細書に提供される方法は、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)による治療のために、癌又は血液悪性腫瘍を有する患者をスクリーニング又は特定する方法を包含する。一実施態様において、該方法は、対象から生体試料を取得すること、及び該生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで、該バイオマーカーの(例えば、対照群のレベルよりも高い又は低い)異常なベースラインレベルは、該対象が、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)で治療することができる癌又は血液悪性腫瘍を有する可能性がより高いことを示す。一実施態様において、該方法は、任意に、該生体試料からmRNAを単離又は精製し、該mRNA転写物を(例えば、RT-PCRにより)増幅させることを含む。一実施態様において、バイオマーカーのレベルは、mRNA又はタンパク質のレベルである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を有する患者における本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)による治療に対する感受性を予測する方法である。該方法は、該患者から生体試料を取得すること、及び該生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで、該バイオマーカーの(例えば、対照群におけるレベルよりも高い又は低い)異常なベースラインレベルは、該患者が、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)による治療に感受性がある可能性がより高いことを示す。一実施態様において、該方法は、任意に、該生体試料からmRNAを単離又は精製し、該mRNA転写物を(例えば、RT-PCRにより)増幅させることを含む。一実施態様において、バイオマーカーのレベルは、mRNA又はタンパク質のレベルである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者における癌又は血液悪性腫瘍を治療又は管理する方法であって:(i)該患者から生体試料を取得し、該生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること;及び(ii)少なくとも1つのバイオマーカーの(例えば、対照群におけるレベルよりも高い又は低い)異常なベースラインレベルを有する患者に、治療有効量の本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、工程(i)は、任意に、該生体試料からmRNAを単離又は精製し、該mRNA転写物を(例えば、RT-PCRにより)増幅させることを含む。一実施態様において、バイオマーカーのレベルは、mRNA又はタンパク質のレベルである。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌又は血液悪性腫瘍を有する患者における本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)による治療に対する応答をモニタリングする方法である。一実施態様において、該方法は、該患者から生体試料を取得すること、該生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)を該患者に投与すること、その後、該患者から第二の生体試料を取得すること、該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定すること、及び該バイオマーカーの2つのレベルを比較することを含み、ここで、治療後の該バイオマーカーのレベルの変化(例えば、増加又は減少)は、効果的な腫瘍応答の可能性を示す。一実施態様において、治療後のバイオマーカーのレベルの減少は、効果的な腫瘍応答の可能性を示す。別の実施態様において、治療後のバイオマーカーのレベルの増加は、効果的な腫瘍応答の可能性を示す。バイオマーカーのレベルは、例えば、mRNA又はタンパク質のレベルであることができる。治療された試料における発現は、例えば、約1.5倍、2.0倍、3倍、5倍、又はそれを上回って増加することができる。
また別の実施態様において、患者による薬物治療プロトコルの遵守をモニタリングする方法が提供される。一実施態様において、該方法は、該患者から生体試料を取得すること、該試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定すること、及び該レベルが対照未治療試料中のレベルと比較して患者試料中で増加していか又は減少しているかを決定することを含み、ここで、レベルの増加又は減少は、患者による薬物治療プロトコルの遵守を示す。一実施態様において、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが増加している。モニタリングされるバイオマーカーレベルは、例えば、mRNAレベル又はタンパク質レベルであることができる。治療された試料における発現は、例えば、約1.5倍、2.0倍、3倍、5倍、又はそれを上回って増加することができる。
特定のタイプの癌又は血液悪性腫瘍に特徴的な遺伝子発現シグナチャーを評価することもできる。該遺伝子発現シグナチャーは、癌又は血液悪性腫瘍に関与する1以上の遺伝子のレベル(例えば、発現)の解析を含むことができる。
特定のタイプの癌又は血液悪性腫瘍に特徴的な遺伝子メチル化シグナチャーを評価することもできる。該遺伝子メチル化シグナチャーは、癌又は血液悪性腫瘍に関与する1以上の遺伝子のレベル(例えば、発現)の解析を含むことができる。
本明細書に提供されるバイオマーカーの任意の組合せを用いて、対象を評価することができる。
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-δの発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-γの発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-βの発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-αの発現レベルである。
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-δのmRNAの発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-γのmRNAの発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-βのmRNAの発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-αのmRNAの発現レベルである。いくつかの実施態様において、PI3KアイソフォームのmRNAの発現レベルは、対象由来の全血試料から決定される。一実施態様において、PI3KアイソフォームのmRNAの発現レベルは、当技術分野で公知の技術(例えば、RNA発現)により決定される。
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-δタンパク質の発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-γタンパク質の発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-βタンパク質の発現レベルである。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-αタンパク質の発現レベルである。
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-δの高レベルの発現、DNA増幅の増大、及び/又は遺伝子突然変異の検出である。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-γの高レベルの発現、DNA増幅の増大、及び/又は遺伝子突然変異の検出である。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-βの高レベルの発現、DNA増幅の増大、及び/又は遺伝子突然変異の検出である。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、PI3K-αの高レベルの発現、DNA増幅の増大、及び/又は遺伝子突然変異の検出である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、特定の細胞型における正常レベルのPI3Kアイソフォームの発現の検出である。一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、正常な免疫細胞における正常レベルのPI3K-γ及び/又はPI3K-δの発現の検出である。
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、癌又は血液悪性腫瘍に対する感受性が以前に関連付けられている生殖系列SNPである。
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用されるバイオマーカーは、薬物代謝又は輸送(例えば、CYP3Aファミリー及び/又は本明細書に提供される化合物の代謝と関連付けられている他の薬物代謝酵素)の経路に以前に関連付けられている生殖系列SNPである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー));及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが、該バイオマーカーの参照レベルと比較して変化している(例えば、高い又は低い)場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象が癌の治療法に治療的に応答する可能性を予測する方法であって、PI3K阻害剤(例えば、化合物292)を投与することを含む、方法であり、該方法は:(a)該PI3K阻害剤を投与すること、(b)該PI3K阻害剤の投与から8日後の該対象の生体癌試料中のバイオマーカーの発現レベルを測定すること;(c)該バイオマーカーの所定のレベルと比べた該癌試料中の該バイオマーカーのレベルを決定すること、(d)該患者が該PI3K阻害剤の投与後に低下したレベルの該バイオマーカーを有する場合、該対象を該癌の治療法に治療的に応答する可能性が増大していると分類すること、及び(e)PI3K阻害剤を、応答する可能性が増大していると分類された該患者に投与することを含む。例えば、治療後のCXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、MMP-9、CCL17、CCL22、及びCCL1のうちの1つ又は複数の減少の検出は、CLLを有する対象における治療に対する応答の可能性が増大していると分類されることができる。例えば、治療後のCXCL13、MMP-9、TNF、CCL22、CCL1、CCL17、及びMMP-12のうちの1つ又は複数の減少の検出は、iNHLを有する対象における治療に対する応答の可能性が増大していると分類されることができる。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー));(b)対照試料中の該バイオマーカーのレベルを決定すること;及び(c)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較して変化している(例えば、高い又は低い)場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー);及び(c)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが、該バイオマーカーの参照レベルと比較して変化している(例えば、高い又は低い)場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー);(c)対照試料中の該バイオマーカーのレベルを決定すること;及び(d)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較して変化している(例えば、高い又は低い)場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー));及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照レベルの違い(例えば、より高い又はより低い)が、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー));(b)対照試料中の該バイオマーカーのレベルを決定すること;及び(c)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該対照試料中のバイオマーカーのレベルの違い(例えば、より高い又はより低い)が、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー);及び(c)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照レベルの違い(例えば、より高い又はより低い)が、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー);(c)対照試料中の該バイオマーカーのレベルを決定すること;及び(d)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該対照試料中のバイオマーカーのレベルの違い(例えば、より高い又はより低い)が、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)で治療された対象における、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療の効力をモニタリングする方法であって:(a)該対象から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー);(c)該治療化合物を該対象に投与すること;(d)その後、該対象から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該対象の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対象の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して変化している(例えば、高い又は低い)場合、該対象が該治療に応答する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象による、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の治療の遵守をモニタリングする方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー);及び(c)該バイオマーカーのレベルを該対象由来の対照試料中の該バイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較した該生体試料中のバイオマーカーのレベルの変化(例えば、高い又は低い)が、該対象による治療の遵守を示す、方法である。
一実施態様において、本明細書に提供される方法について、ある期間にわたる本明細書に提供されるバイオマーカーのレベルの変化は、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の目標とされる効果、例えば、限定されないが、対象が治療に応答する可能性、治療に対する対象の応答性、治療の効力、及び対象による治療の遵守を示すものである。一実施態様において、該バイオマーカーのレベルの変化は、該バイオマーカーのレベルの減少である。一実施態様において、該バイオマーカーのレベルの変化は、該バイオマーカーの血清濃度の減少である。一実施態様において、該バイオマーカーのレベルの変化は、サイトカイン/ケモカインバイオマーカーの血清濃度の減少である。一実施態様において、該サイトカイン/ケモカインバイオマーカーは、CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、もしくはTNF-α、又はこれらの組合せである。一実施態様において、該バイオマーカーのレベルの変化は、マトリックスメタロプロテイナーゼの血清濃度の減少である。一実施態様において、該マトリックスメタロプロテイナーゼはMMP-9である。
一実施態様において、該ある期間は、開始時点(例えば、対象への本明細書に提供される化合物の投与)後180日、90日、50日、40日、35日、30日、28日、24日、20日、16日、14日、12日、8日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、6時間、3時間、又は1時間である。一実施態様において、該ある期間は、対象への本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の投与後28日である。別の実施態様において、該ある期間は、対象への本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の投与後14日である。また別の実施態様において、該ある期間は、対象への本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の投与後8日である。
一実施態様において、本明細書に提供される方法について、対象への本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の投与後28日にわたる、CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、TNF-α、もしくはMMP-9、又はこれらの組合せの血清濃度の減少は、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の目標とされる効果、例えば、限定されないが、対象が治療に応答する可能性、治療に対する対象の応答性、治療の効力、及び対象による治療の遵守を示すものである。別の実施態様において、本明細書に提供される方法について、対象への本明細書に提供される化合物(例えば、化合物292)の投与後8日にわたる、CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、TNF-α、もしくはMMP-9、又はこれらの組合せの血清濃度の減少は、癌又は疾患、例えば、血液悪性腫瘍の目標とされる効果、例えば、限定されないが、対象が治療に応答する可能性、治療に対する対象の応答性、治療の効力、及び対象による治療の遵守を示すものである。
一実施態様において、該癌又は疾患は、白血病又はリンパ腫である。別の実施態様において、該癌又は疾患は、B細胞リンパ腫又はT細胞リンパ腫である。別の実施態様において、該癌又は疾患は、B細胞悪性腫瘍であり、これには、前駆B細胞新生物(例えば、前駆B-リンパ芽球性白血病/リンパ腫、及び前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病)、並びに成熟(末梢)B細胞新生物(例えば、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(SLL/CLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫(有毛リンパ球を含む/含まない)、有毛細胞白血病、形質細胞骨髄腫/形質細胞腫、MALT型の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(単球様B細胞を含む/含まない)(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、又はバーキットリンパ腫/バーキット細胞白血病(BL))が含まれるが、これらに限定されない。別の実施態様において、該癌又は疾患は、T細胞/NK細胞新生物であり、これには、前駆T細胞新生物(例えば、前駆T-リンパ芽球性リンパ腫/白血病、及び前駆T細胞急性リンパ芽球性白血病)、並びに成熟(末梢)T細胞新生物(例えば、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞大型顆粒リンパ球性白血病、NK細胞リンパ腫/白血病(NKL)、成人T細胞リンパ腫/白血病(HTLV-1陽性)、節外性NK/T細胞リンパ腫鼻腔型、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾ガンマ-デルタT細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫T/ヌル細胞原発性皮膚型、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、又は未分化大細胞リンパ腫T/ヌル細胞原発性全身型))が含まれるが、これらに限定されない。別の実施態様において、該癌又は疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、これには、B細胞NHL(例えば、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、又はマントル細胞リンパ腫)、及びT細胞NHL(例えば、菌状息肉腫、未分化大細胞リンパ腫、又は前駆Tリンパ芽球性リンパ腫)が含まれるが、これらに限定されない。NHLは、侵攻性(高速成長)型及び無痛性(低速成長)(iNHL)型に分類することもできる。
一実施態様において、該癌又は疾患は、iNHL、MCL、又はFLである。別の実施態様において、該癌又は疾患はT細胞リンパ腫である。また別の実施態様において、該癌又は疾患は、CLL又はSLLである。
一実施態様において、該癌又は疾患は、CLL又はSLLであり、該バイオマーカーは、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、MMP-9、又はこれらの組合せである。一実施態様において、該癌又は疾患は、CLL又はSLLであり、該バイオマーカーは、CLLの他の公知のバイオマーカー、例えば、pAKT及びKi-67とさらに組み合わせた、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、MMP-9、又はこれらの組合せである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるCLL又はSLLの治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物によるCLL又はSLLの治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照又は対照レベルの違いが、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)で治療された対象におけるCLL又はSLLの治療の効力をモニタリングする方法であって:(a)該対象から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、MMP-9、又はこれらの組合せである);(c)該治療化合物を該対象に投与すること;(d)その後、該対象から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該対象の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対象の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象による、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるCLL又はSLLの治療の遵守をモニタリングする方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(c)該バイオマーカーのレベルを該対象由来の対照試料中の該バイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較した該生体試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、該対象による該治療の遵守を示す、方法である。
別の実施態様において、該癌又は疾患はリンパ腫であり、該バイオマーカーは、CXCL13、CCL17、MMP-9、又はこれらの組合せである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるリンパ腫の治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CXCL13、CCL17、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物によるリンパ腫の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CXCL13、CCL17、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照又は対照レベルの違いが、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)で治療された対象におけるリンパ腫の治療の効力をモニタリングする方法であって:(a)該対象から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CXCL13、CCL17、MMP-9、又はこれらの組合せである);(c)該治療化合物を該対象に投与すること;(d)その後、該対象から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該対象の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対象の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象による、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるリンパ腫の治療の遵守をモニタリングする方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CXCL13、CCL17、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(c)該バイオマーカーのレベルを該対象由来の対照試料中の該バイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較した該生体試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、該対象による該治療の遵守を示す、方法である。
別の実施態様において、該癌又は疾患はiNHLであり、該バイオマーカーは、CCL1、CCL17、CCL22、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、TNFα、IL-16、又はこれらの組合せである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるiNHLの治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、CCL17、CCL22、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、TNFα、IL-16、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物によるiNHLの治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、CCL17、CCL22、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、TNFα、IL-16、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照又は対照レベルの違いが、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)で治療された対象におけるiNHLの治療の効力をモニタリングする方法であって:(a)該対象から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、CCL17、CCL22、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、TNFα、IL-16、又はこれらの組合せである);(c)該治療化合物を該対象に投与すること;(d)その後、該対象から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該対象の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対象の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象による、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるiNHLの治療の遵守をモニタリングする方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL1、CCL17、CCL22、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、TNFα、IL-16、又はこれらの組合せである);及び(c)該バイオマーカーのレベルを該対象由来の対照試料中の該バイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較した該生体試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、該対象による該治療の遵守を示す、方法である。
一実施態様において、該癌又は疾患はMCLであり、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、又はこれらの組合せである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるMCLの治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物によるMCLの治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照又は対照レベルの違いが、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)で治療された対象におけるMCLの治療の効力をモニタリングする方法であって:(a)該対象から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、又はこれらの組合せである);(c)該治療化合物を該対象に投与すること;(d)その後、該対象から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該対象の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対象の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象による、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるMCLの治療の遵守をモニタリングする方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、又はこれらの組合せである);及び(c)該バイオマーカーのレベルを該対象由来の対照試料中の該バイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較した該生体試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、該対象による該治療の遵守を示す、方法である。
別の実施態様において、該癌又は疾患は、T細胞リンパ腫(例えば、CTCL)であり、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、GM-CSF、IL-12(p40)、TNFα、TGFα、ERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)、PRAS40、pS6、又はこれらの組合せである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるT細胞リンパ腫の治療に応答する可能性が高い対象を特定する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、GM-CSF、IL-12(p40)、TNFα、TGFα、ERK、PRAS40、pS6、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する可能性が高い、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物によるT細胞リンパ腫の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(a)該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、GM-CSF、IL-12(p40)、TNFα、TGFα、ERK、PRAS40、pS6、又はこれらの組合せである);及び(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを該バイオマーカーの参照又は対照レベルと比較することを含み;ここで、該対象由来の生体試料中のバイオマーカーのレベルと該バイオマーカーの参照又は対照レベルの違いが、該治療に対する該対象の応答性と相関する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)で治療された対象におけるT細胞リンパ腫の治療の効力をモニタリングする方法であって:(a)該対象から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、GM-CSF、IL-12(p40)、TNFα、TGFα、ERK、PRAS40、pS6、又はこれらの組合せである);(c)該治療化合物を該対象に投与すること;(d)その後、該対象から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該対象の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該対象の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該対象が該治療に応答する、方法である。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象による、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)によるT細胞リンパ腫の治療の遵守をモニタリングする方法であって:(a)該対象から生体試料を取得すること;(b)該生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、GM-CSF、IL-12(p40)、TNFα、TGFα、ERK、PRAS40、pS6、又はこれらの組合せである);及び(c)該バイオマーカーのレベルを該対象由来の対照試料中の該バイオマーカーのレベルと比較することを含み;ここで、該対照試料中のバイオマーカーのレベルと比較した該生体試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、該対象による該治療の遵守を示す、方法である。
一実施態様において、ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化は、該ある期間の開始時と該ある期間の終了時の該バイオマーカーのレベルを比較することにより決定される。一実施態様において、ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化は、該ある期間(両端を含む)内の複数の時点での該バイオマーカーのレベルを比較することにより決定される。別の実施態様において、ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化は、該ある期間内の該バイオマーカーのレベルの1以上の変化を含む。また別の実施態様において、ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化は、該バイオマーカーのレベルを参照標準レベル(複数可)と比較することにより決定される。
一実施態様において、本明細書に提供される方法は、治療(例えば、化合物292治療)の用量を、ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化に基づいて調整する工程をさらに含む。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、試料中のバイオマーカーのレベルを、該バイオマーカーのポリヌクレオチドとハイブリダイズさせることによって決定するためのプローブであり、ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー)。ある実施態様において、該バイオマーカーのレベルを用いて、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による治療のための対象を選択するか;該治療に対する対象の応答性を予測もしくはモニタリングするか;又は対象による該治療の遵守をモニタリングする。ある実施態様において、該プローブは、該バイオマーカーのポリヌクレオチドのスプライス接合点とハイブリダイズするプローブである。具体的な実施態様において、該プローブは、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)を検出又は定量するのに特異的である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、試料中のバイオマーカーのレベルを、該バイオマーカーのmRNAとハイブリダイズさせることによって決定するためのプローブであり、ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー)。ある実施態様において、該バイオマーカーのレベルを用いて、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による治療のための対象を選択するか;該治療に対する対象の応答性を予測もしくはモニタリングするか;又は対象による該治療の遵守をモニタリングする。ある実施態様において、該プローブは、該バイオマーカーのmRNAのスプライス接合点とハイブリダイズするプローブである。具体的な実施態様において、該プローブは、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)を検出又は定量するのに特異的である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、試料中のバイオマーカーのレベルを決定するための抗体であり、ここで、該バイオマーカーは、本明細書に記載されている(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー)。ある実施態様において、該バイオマーカーのレベルを用いて、治療化合物(例えば、本明細書に提供される化合物)による治療のための対象を選択するか;該治療に対する対象の応答性を予測もしくはモニタリングするか;又は対象による該治療の遵守をモニタリングする。ある実施態様において、該抗体は、該バイオマーカー(例えば、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)のバイオマーカー)のスプライス接合点に結合する抗体である。具体的な実施態様において、該抗体は、PI3Kのアイソフォーム(例えば、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-α、もしくはPI3K-β、又はこれらの組合せ)を検出又は定量するのに特異的である。
一実施態様において、該バイオマーカーのmRNAのレベルは、当技術分野で公知の方法により検出又は定量することができる。例示的な検出又は定量方法としては、ノーザンブロット、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、及びPCRベースの方法が挙げられるが、これらに限定されない。該バイオマーカーがmRNA分子であるとき、mRNA配列又はその断片を用いて、少なくとも部分的に相補的であるプローブを調製することができる。その後、該プローブを用いて、限定されないが、PCRベースの方法、ノーザンブロッティング、又はディップスティックアッセイを含む、当技術分野で公知の方法を用いて、試料中のmRNA配列を検出することができる。
ある実施態様において、該検出又は定量方法は、ノーザンブロット、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、又はPCRベースの方法である。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、ノーザンブロットである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、リボヌクレアーゼ保護アッセイである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、PCRベースの方法である。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、qRT-PCRである。
一実施態様において、任意の好適なアッセイプラットフォームを用いて、試料中のmRNAの存在を決定することができる。例えば、アッセイは、ディップスティック、メンブレン、チップ、ディスク、検査ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート、又は光ファイバーの形態であることができる。アッセイ系は、mRNAに対応する核酸を付着させる固体支持体を有することができる。該固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレート、又はスライドを含むことができる。アッセイの構成要素を準備し、mRNAを検出するためのキットとして一緒に包装することができる。
望ましい場合、mRNAを標識して、標識mRNAの集団を作製することができる。一般に、試料は、当技術分野で公知である方法を用いて(例えば、RNAリガーゼもしくは末端トランスフェラーゼを用いて、又はRNA骨格を標識することによって)標識することができる。例えば、Ausubelらの文献、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)、第3版、Wiley & Sons 1995、及びSambrookらの文献、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第3版、2001 Cold Spring Harbor, N.Y.を参照されたい。ある実施態様において、試料は、蛍光標識で標識される。例示的な蛍光色素としては、キサンテン色素、フルオレセイン色素、ローダミン色素、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(JOE又はJ)、N,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA又はT)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX又はR)、5-カルボキシローダミン 6G(R6G5又はG5)、6-カルボキシローダミン6G(R6G6又はG6)、ローダミン110、シアニン色素(例えば、Cy3、Cy5、及びCy7色素)、Alexa色素(例えば、Alexa-fluor-555)、クマリン、ジエチルアミノクマリン、ウンベリフェロン;ベンズイミド色素(例えば、Hoechst 33258)、フェナントリジン色素(例えば、Texas red)、エチジウム色素、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素、BODIPY色素、キノリン色素、ピレン、フルオレセインクロロトリアジニル、R110、エオシン、JOE、R6G、テトラメチルローダミン、リサミン、ROX、並びにナフトフルオレセインが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、核酸は、固体支持体上の特定のアドレス可能な位置に存在することができ;各々は、バイオマーカーのmRNA配列の少なくとも一部に対応する。
ある実施態様において、mRNAアッセイは、1)1以上のバイオマーカーの表面結合プローブを取得する工程;2)mRNAの集団を、該表面結合プローブに、特異的結合を生じるのに十分な条件下でハイブリダイズさせる工程;3)該ハイブリダイゼーション工程での未結合核酸を除去する工程;及び4)ハイブリダイズしたmRNAを検出する工程を含む。
ハイブリダイゼーションは、好適なハイブリダイゼーション条件下で行うことができ、該条件は、望ましい場合、ストリンジェンシーが異なり得る。相補的結合メンバーの間で、すなわち、表面結合プローブと試料中の相補的mRNAとの間で、固体表面上にプローブ/標的複合体を生じさせるには、通常の条件で十分である。
ある実施態様において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が使用される。標準的なハイブリダイゼーション技術(例えば、プローブに対する試料中の標的mRNAの特異的結合を生じるのに十分な条件下のもの)は、その各々の開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Kallioniemiらの文献、Science 258:818-821(1992)及びWO 93/18186号に記載されている。一般的技術のいくつかの手引書が入手可能であり、例えば、Tijssenの文献、核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション(Hybridization with Nucleic Acid Probes)、第I部及び第II部(Elsevier, Amsterdam 1993)がある。インサイチュハイブリダイゼーションに好適な技術の説明については、Gallらの文献、Meth. Enzymol., 21:470-480(1981);及びAngererらの文献、遺伝子工学:原理及び方法(Genetic Engineering: Principles and Methods)(Setlow及びHollaender編)、第7巻, 43〜65頁(Plenum Press、New York 1985)を参照されたい。温度、塩濃度、ポリヌクレオチド濃度、ハイブリダイゼーション時間、及び洗浄条件のストリンジェンシーを含む適切な条件の選択は、試料の供給源、捕捉剤の実体、予想される相補性の程度などを含む実験設計によって決まる。
mRNAハイブリダイゼーション手順の後、表面に結合したポリヌクレオチドを洗浄して、未結合の核酸を除去する。洗浄は、任意の好都合な洗浄プロトコルを用いて行うことができる。ある実施態様において、洗浄条件は、ストリンジェントである。その後、プローブに対する標的mRNAのハイブリダイゼーションを、標準的な技術を用いて検出する。
ある実施態様において、バイオマーカーのmRNAレベルを、PCRベースの方法を用いて決定する。PCRアッセイの例は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,927,024号に見出すことができる。RT-PCR法の例は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,122,799号に見出すことができる。蛍光インサイチュPCR法の例は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,186,507号に見出すことができる。
ある実施態様において、リアルタイム逆転写-PCR(qRT-PCR)をmRNAの検出と定量の両方に使用する(Bustinらの文献、Clin. Sci., 2005, 109, 365-379)。qRT-PCRによって得られる定量的結果は、通常、定性的データよりも情報量が多い。qRT-PCRベースの方法の例は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,101,663号に見出すことができる。
通常の逆転写酵素-PCR及びアガロースゲルによる解析とは対照的に、リアルタイムPCRは、定量的な結果を与える。リアルタイムPCRのさらなる利点は、使用の相対的な簡便性及び利便性である。リアルタイムPCR用の機器、例えば、Applied Biosystems 7500は、市販されている。リアルタイムPCR用の試薬、例えば、TaqMan Sequence Detection chemistryも市販されている。
特定のアンプリコン蓄積と関連する蛍光シグナルが閾値(CTと呼ばれる)を超えるサイクル数を決定するために、データを、例えば、比較CT相対定量計算法を用いる7500 Real-Time PCR System Sequence Detectionソフトウェアv1.3を用いて解析することができる。この方法を用いると、出力は、発現レベルの変化倍率として表される。いくつかの実施態様において、閾値レベルは、ソフトウェアによって自動的に決定されるように選択することができる。いくつかの実施態様において、閾値は、ベースラインを超えるが、増幅曲線の指数関数的増殖領域内にあるように十分に低く設定される。
本明細書に提供されるタンパク質バイオマーカーのレベルは、当技術分野で公知の任意の方法により検出又は定量することができる。ある実施態様において、抗体ベースの方法が使用される。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、免疫ブロッティング(ウェスタンブロット)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫組織化学、フローサイトメトリー、サイトメトリックビーズアレイ、又は質量分析である。
ある実施態様において、該検出又は定量方法は、免疫ブロッティング(ウェスタンブロット)である。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、直接ELISAである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、間接ELISAである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、サンドイッチELISAである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、免疫組織化学である。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、フローサイトメトリーである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、サイトメトリックビーズアレイである。ある実施態様において、該検出又は定量方法は、質量分析である。
特定の理論によって限定されるものではないが、約10×103個/μlを超えるベースライン絶対リンパ球数(ALC)を有する患者は、10×103個/μl未満のALCを有する患者よりも長期にわたってベースライン後ALCの傾向を示すことが分かった。例えば、この傾向は、より高いベースラインALCを有する患者が、25mg BIDでの化合物292の投与後、CLLにおける臨床活性の速やかな発現を示し、したがって、該治療に応答する可能性がより高いことを示した。
したがって、別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療化合物による癌の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(1)血液試料を該患者から取得すること;及び(2)該治療化合物の投与前の試料中の絶対リンパ球数(ALC)を決定することを含む、方法であり、ここで、該ALCが約10×103個/μlよりも大きい場合、該患者は応答する可能性が高い。一実施態様において、該癌は、CLL又はSLLである。別の実施態様において、該化合物は、化合物292である。他の実施態様において、また本明細書に提供されるのは、癌を治療する方法であって、本明細書に提供される化合物を、上記の方法に基づいて決定される有望なレスポンダーとして特定された患者に投与することを含む、方法である。
特定の理論によって限定されるものではないが、CD40L、IL-2、及びIL-10からなるサイトカインカクテルが微小環境の増殖性シグナルを模倣し、CLL細胞におけるPI3Kシグナル伝達及び増殖を誘導することができることが分かった。したがって、そのようなカクテルは、癌の挙動を研究し、抗癌化合物をスクリーニングする際の有益なインビトロツールを提供することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、インビトロで癌細胞におけるPI3Kシグナル伝達を誘導する方法であって、該癌細胞を、CD40L、IL-2、及びIL-10からなるサイトカインカクテルと接触させることを含む、方法である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インビトロで癌細胞の増殖を誘導する方法であって、該癌細胞を、CD40L、IL-2、及びIL-10からなるサイトカインカクテルと接触させることを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、試験化合物の抗癌活性を決定する方法であって:(a)癌細胞を、CD40L、IL-2、及びIL-10からなるサイトカインカクテルと接触させること;(b)PI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖の程度を決定すること;(c)該サイトカインカクテルで処理した癌細胞を該試験化合物と接触させること;並びに(d)該PI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖を決定することを含み、ここで、工程(b)で決定されるPI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖と比較した工程(d)で決定されるPI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖の低下が該試験化合物の抗癌活性を示す、方法である。
(キット)
また本明細書に提供されるのは、有効な癌又は血液悪性腫瘍治療の可能性を予測するのに、或いは本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)による治療の有効性をモニタリングするのに有用なキットである。
一実施態様において、該キットは、固体支持体、及び生体試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのタンパク質発現を検出する手段を含む。そのようなキットは、例えば、ディップスティック、メンブレン、チップ、ディスク、検査ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート、又は光ファイバーを利用することができる。該キットの固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレート、又はスライドであることができる。該生体試料は、例えば、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生体液、血液試料、尿試料、又は皮膚試料であることができる。該生体試料は、例えば、リンパ節生検、骨髄生検、又は末梢血腫瘍細胞の試料であることができる。
一実施態様において、該キットは、固体支持体、該支持体と接触している少なくとも1つの核酸(この場合、該核酸は、バイオマーカーのmRNAの少なくとも20、50、100、200、350、又はそれより多くの塩基に相補的である)、及び生体試料中のmRNAの発現を検出する手段を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、バイオマーカーの発現を定量的リアルタイムPCR(QRT-PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリー、又は免疫蛍光によって検出する手段を利用する。他の実施態様において、該バイオマーカーの発現は、ELISAベースの方法又は当技術分野で公知の他の類似の方法によって測定される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1以上のバイオマーカーのmRNAレベルを検出するためのキットである。ある実施態様において、該キットは、該1以上のバイオマーカーのmRNAに特異的に結合する1以上のプローブを含む。ある実施態様において、該キットは、洗浄溶液をさらに含む。ある実施態様において、該キットは、ハイブリダイゼーションアッセイを行うための試薬、mRNAの単離又は精製手段、検出手段、並びに陽性対照及び陰性対照をさらに含む。ある実施態様において、該キットは、該キットの使用説明書をさらに含む。該キットは、家庭内使用、臨床使用、又は研究使用に合わせて作ることができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1以上のバイオマーカーのタンパク質レベルを検出するためのキットである。ある実施態様において、該キットは、タンパク質バイオマーカーを認識する抗体でコーティングされたディップスティック、洗浄溶液、アッセイを行うための試薬、タンパク質の単離又は精製手段、検出手段、並びに陽性対照及び陰性対照を含む。ある実施態様において、該キットは、該キットの使用説明書をさらに含む。該キットは、家庭内使用、臨床使用、又は研究使用に合わせて作ることができる。
そのようなキットは、例えば、ディップスティック、メンブレン、チップ、ディスク、検査ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート、又は光ファイバーを利用することができる。該キットの固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレート、又はスライドであることができる。該生体試料は、例えば、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生体液、血液試料、尿試料、又は皮膚試料であることができる。
投与キットも本明細書に提供される。該キットは、好適なパッケージング中の本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)、或いはそれらの組成物、及び資料を含む。該資料は、以下の情報:使用上の指示、臨床研究の考察、副作用の記載、科学文献の参照、添付文書材料、臨床試験の結果、及び/又はこれらの概要などのいずれかを含むことができる。該資料は、該組成物の活性及び/もしくは利点を表示もしくは規定し、並びに/又は投与量、投与、副作用、薬物相互作用、もしくは医療提供者にとって有用な他の情報を記載することができる。そのような情報は、様々な研究、例えば、インビボモデル含む実験動物を用いた研究及び/又はヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づくものであり得る。該キットは、別の療法(例えば、別の薬剤)及び/又は資料、例えば、他の療法(例えば、他の薬剤)に関する情報を提供するのに役立つ上記の資料をさらに含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、化合物292)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)及び薬剤は、該キット内の別々の容器中の別々の組成物として提供される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物及び薬剤は、該キットの1つの容器中の単一の組成物として提供される。好適な包装及び追加の用品(例えば、液体調製物のための計量カップ、空気への暴露を最小限に抑えるためのホイルラッピングなど)は、当技術分野で公知であり、該キットに含めることができる。本明細書に記載のキットは、医師、看護師、薬剤師、薬局などを含む医療提供者に提供し、販売し、及び/又は宣伝することができる。キットは、いくつかの実施態様において、消費者に直接販売することもできる。
(実施例)
(実施例1:選択されたPI3KモジュレーターのIC50値)
選択された化合物のIC
50値を決定した。これを表3に示す。これらのデータは、これらの化合物がPI3K-δ及び/又はPI3K-γ阻害剤としての役割を果たすことができることを示している。
表3.選択された化合物のインビトロIC
50データ。
表4.表3に記載されたIC50結果に対する化合物の構造。
(実施例2: p110α/p85α、p110β/p85α、p110δ/p85α、及びp110γの発現及び阻害アッセイ)
クラスI PI3Kは、購入するか(p110α/p85α、p110β/p85α、p110δ/p85αはUpstateから、及びp110γはSigmaから)、又は以前に記載されている通りに(Knightらの文献、2004)、発現させることができる。IC50値は、脂質キナーゼ活性についての標準的なTLCアッセイ(下記)又はハイスループット膜捕捉アッセイのどちらかを用いて測定する。キナーゼ反応は、キナーゼ、本明細書に提供される化合物(2%DMSO最終濃度)、バッファー(25mM HEPES、pH 7.4、10mM MgCl2)、及び新たに超音波処理したホスファチジルイノシトール(100μg/ml)を含む反応混合物を調製することにより実施する。10μCiのγ-32P-ATPを含むATPを10又は100μMの最終濃度になるまで添加することにより反応を開始させ、室温で5分間進行させておく。TLC分析のために、その後、105μLの1N HCl、次に、160μlのCHCl3:MeOH(1:1)を添加することにより反応を終了させる。二相混合物をボルテックス処理し、短時間遠心分離し、有機相を、CHCl3でプレコーディングされたゲルローディングピペットチップを用いて、新しいチューブに移す。この抽出物をTLCプレートにスポッティングし、65:35のn-プロパノール:1M酢酸溶液で3〜4時間展開する。その後、TLCプレートを乾燥させ、ホスホイメージャースクリーン(Storm, Amersham)に感光させ、定量する。各々の化合物について、試験した最高濃度(通常、200μM)からの2倍希釈に相当する10〜12の化合物濃度でキナーゼ活性を測定する。顕著な活性を示す化合物について、IC50決定を2〜4回繰り返し、報告される値はこれらの独立した測定の平均値とする。
PI3K活性をアッセイするための他の市販のキット又はシステムが利用可能である。市販のキット又はシステムを用いて、限定されないが、PI 3-キナーゼα、β、δ、及びγを含むPI3Kのモジュレーター、例えば、阻害剤及び/又はアゴニストについてスクリーニングすることができる。例示的なシステムは、Upstate製のPI 3-キナーゼ(ヒト)HTRF(商標)アッセイである。アッセイは、製造者によって提案される手順に従って実施することができる。簡潔に述べると、アッセイは、PI3Kの活性によって形成されるPIP3産物を間接的に測定する時間分解FRETアッセイである。キナーゼ反応は、マイクロタイタープレート(例えば、384ウェルマイクロタイタープレート)中で実施する。総反応容量は、1ウェル当たり約20uLである。第1段階では、各ウェルに、20%ジメチルスルホキシド中の試験化合物を2uL入れて、2%DMSO最終濃度を得る。次に、0.25〜0.3ug/mLキナーゼ及び10uM PIP2の最終濃度になるように、1ウェル当たり約14.5uLのキナーゼ/PIP2混合物(1×反応バッファーに希釈したもの)を添加する。プレートを密閉し、室温で15分間インキュベートする。反応を開始させるために、10uM ATPの最終濃度になるように、1ウェル当たり3.5uLのATP(1×反応バッファーに希釈したもの)を添加する。プレートを密閉し、室温で1時間インキュベートする。1ウェル当たり5uLの停止溶液を添加することにより反応を停止させ、その後、1ウェル当たり5uLの検出混合物を添加する。プレートを密閉し、室温で1時間インキュベートし、その後、適当なプレートリーダーで読み取る。GraphPad Prism(登録商標) 5を用いて、データを解析し、IC50を得る。
(実施例3:化合物292は、PI3K-δ、PI3K-γ、PI3K-β、及びPI3K-αを阻害する)
化合物292のPI3K阻害活性を本明細書に記載のいくつかのアッセイで試験した。結果を下の表5に示す。この表から、化合物292がPI3K-δ及びPI3K-γの強力な阻害剤であることが示される。これらのアッセイにおいて、化合物292は、他のPI3Kと比較したときより低い用量で(例えば、PI3K-γ、PI3K-β、又はPI3K-αと比較したとき少なくとも10倍低い用量で)、PI3K-δ活性を阻害する。
表5:化合物292の生化学的活性及び細胞活性データ
(実施例4:化合物292の機能的細胞活性)
化合物292の機能的細胞活性を評価した。結果を下の表6に示す。化合物292は、マウスB細胞増殖及びヒトB細胞増殖をサブナノモルの濃度で抑制し、EC50は0.5nMであった。化合物292は、ヒトT細胞増殖をナノモル濃度で抑制し、EC50は9.5nMであった。
インビトロでのPI3K-δ、γアイソフォーム活性を決定するために、化合物292をPI3K-δ及びPI3K-γ選択的な細胞ベースのアッセイで評価した。PI3K-δアイソフォームを阻害する能力を評価するために、AKTリン酸化(T308)を、化合物292の存在下又は非存在下にて抗IgM抗体で刺激したヒトバーキットリンパ腫細胞株のRAJI細胞で、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した。化合物292は、2.0nMのIC
50値でAKTリン酸化を強力に阻害した。PI3K-γアイソフォームを阻害する能力を評価するために、マウスマクロファージ様細胞株のRAW 264.7をC5aで刺激し、AKTリン酸化(T308)のレベルをELISAにより測定した。化合物292は、C5a活性化RAW 264.7細胞で、44.0nMのIC
50値でPI3K-γを阻害した。化合物292は、アイソフォーム選択的な細胞ベースのアッセイにおいて、PI3K-δとPI3K-γの両方の強力な阻害剤である。
表6:化合物292の機能的細胞活性
試験した1つの例示的なアッセイにおいて、化合物292は、78nMのIC50でヒト全血におけるPI3K-δ特異的好塩基球活性化を強力に阻害した。
(実施例5:化合物292の安全性薬理学試験)
(インビトロhERGアッセイ)
急速活性化型の遅延整流性心臓カリウム電流であるIKrの代わりとして、hERGチャネル電流に対する化合物292のインビトロ効果を調べた。化合物292は、ビヒクル対照の0.9%と比較して、hERG電流を、10μMで11.9%、30μMで33.2%、100μMで71.1%、及び300μMで92.8%阻害した。hERGカリウム電流に対する化合物292の阻害効果についてのIC50値は、49.8μM(ヒル係数=1.3)であった。
化合物292は、ラット、サル、及びヒトを含む、試験した全ての種の血漿の成分にインビトロで強く結合した。ラット、サル、及びヒト血漿中で、化合物292は、100μM(41700ng/mL)で、それぞれ、85.8、76.8、及び85.9%タンパク質に結合した。hERGアッセイは無タンパク質溶液中で実施された。それゆえ、遊離画分に基づくと、未結合の化合物292についての49.8μM(20800ng/mL)のIC50値は、それぞれ、ラット、サル、及びヒトにおける351μM(146200ng/mL)、215μM(89500ng/mL)、及び353μM(147200ng/mL)の全血漿濃度と同じである。これらの高い濃度から、ヒトにおけるQT延長の可能性が極めて低いことが示唆される。
(スプラーグ-ドーリーラットにおける神経機能試験)
この試験は、雄ラットへの単回経口投与後の中枢神経系に対する化合物292の潜在的効果を評価するために実施された。この試験では、機能観察バッテリー(FOB)検査及び運動活動評価を、投与前、並びに化合物292投与の2、6、及び24時間後に行った。
雄ラットに単一経口用量として350mg/kgまで投与された化合物292により、投与後24時間まで定性的又は定量的FOBパラメーターの変化は生じなかった。自発運動の有意な減少は、試験した動物で350mg/kg投与の2時間後に観察された。しかしながら、自発運動又は覚醒に対する同時効果がFOB領域で同時期に見られないことを考慮すると、化合物292の決定的な効果は、これらの評価間隔では確認できなかった。中枢神経系に対する効果は、50mg/kg以下の用量レベルでは観察されなかった。
(スプラーグ-ドーリーラットにおける呼吸試験)
この試験は、雄ラットへの単回経口投与後の呼吸器系に対する化合物292の潜在的効果を評価するために実施された。この試験では、動物を「ヘッドアウト式」プレチスモグラフに入れ、投与前の約30分間、投与後1〜3時間連続して、及び投与から6及び24時間後に30分間隔で、呼吸パラメーター(1回換気量、呼吸数、及び誘導毎分換気量(derived minute volume))を測定した。
350mg/kgまでの用量レベルでの化合物292の単回経口投与により、呼吸数、1回換気量、及び毎分換気量を含む呼吸パラメーターに対する化合物292関連効果は生じなかった。
(装置を付けたカニクイザルにおける心血管試験)
この試験は、テレメトリーによるカニクイザルへの単回経口投与後の血行動態及び心電図パラメーターに対する化合物292の潜在的効果を評価するために実施された。この試験の実施中、ラジオテレメトリートランスミッターが埋め込まれた、実験で使用された経験のある4匹の雄ザルを利用した。
雄のカニクイザルへの5、30、及び150mg/kgの単回経口投与後、血行動態又は心電図パラメーター(動脈圧(収縮期圧、拡張期圧、平均圧、及びパルス圧)、心拍数、並びに定量的心電図間隔(PR、QRS、QT、及びQTc))に対する化合物292関連効果は観察されなかった。さらに、150mg/kgまでの化合物292の投与と関連する波形異常も不整脈も見られなかった。
(実施例6:動物における化合物292の薬物動態)
化合物292の吸収及び薬物動態をマウス、ラット、イヌ、及びサルにおける絶対的バイオアベイラビリティー試験で調べた。これらのバイオアベイラビリティー試験の結果を表7にまとめる。このデータは、化合物292が、ラット、サル、イヌ、及びマウスで、それぞれ、57%、40%、40%、及び7%の経口バイオアベイラビリティー値を有する懸濁液製剤として投与したとき、大部分の非臨床試験種で容易に吸収されたことを示している。化合物292の半減期は、サルで5時間、イヌで2時間、ラット及びマウスで2時間未満であった。化合物292は、大量の分布を達成し、サル及びラットにおいて低〜中等度のクリアランスを示した。血漿タンパク質への化合物292の結合は、濃度及び種依存的であった。ラット及びサル血漿中の遊離の化合物292のパーセントは、試験した全ての濃度でヒト血漿中よりも一貫して高かった。血液対組織比が大部分の組織について1よりも大きいことに基づくと、ラット組織中への化合物292の分布は、迅速かつ広範であった。放射性標識された化合物292の組織からの排出も速やかであり、24時間で定量可能な放射能レベルが大部分の組織で見られなかった。
表7:静脈内及び経口投与後のBALB/cマウス、スプラーグ-ドーリーラット、ビーグル犬、及びカニクイザルにおける化合物292薬物動態パラメーター
---=不適用
NC=未計算
a.報告されている値はC
0である
b. AUC
0-24
c. IV製剤(マウス、ラット、サル)=5%NMP、10%Solutol(登録商標) HS 15、30%PEG400、3%デキストロースを含む55%水
d. PO製剤(マウス、ラット、サル)=超純水中の0.5%(w/v)低粘度CMC及び0.05%(v/v) TWEEN(登録商標) 80
e. IV製剤(イヌ)=10%(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン中の5%0.1N HCl、5% PEG400、又はPBS中の2.5%1N HCl、20%PEG400
f. PO製剤(イヌ)=5%NMP、60%PEG400、及び35%水溶液(ADME-11-008)、又は5%NMP及び95%水懸濁液(ADME-11-009)
g. F
oralは、0.5mg/kgのIV用量を基準として用いて計算した
h. F
oralは、1mg/kgのIV用量を基準として用いて計算した
i. F
oralは、AUC
0-lastを用いて計算した
膜透過性及び化合物292とヒトP-糖タンパク質との相互作用を、Caco-2細胞単層を用いてインビトロで評価した。化合物292は、適度な細胞膜透過性を有し、P-gp基質であり、他のP-gp基質の能動輸送を阻害する可能性があることが明らかになった。
(実施例7:動物における化合物292の毒性試験)
サルにおける単回経口投与後の最大耐量(MTD)及び化合物292の7日反復経口投与後の潜在的毒性を決定するために、単一用量毒性試験を実施した。サルへの化合物292の単回経口投与後のMTDは500mg/kgであることが明らかになった。
ラット及びカニクイザルに経口強制飼養で化合物292の投与を毎日受けさせる4週及び13週反復投与非臨床安全性試験を実施した。13週のラット試験における無毒性量(no observed adverse effect level)(NOAEL)は、25mg/kg/日(150mg/m2/日)であり、13週のサル試験におけるNOAELは、5mg/kg/日(60mg/m2/日)であった。91日目に、NOAELでの雌雄組合せの平均AUC0-24hr値は、ラットで14150ng*h/mL、サルで4015ng*h/mLであった。健常対象における臨床試験からのPKデータを基にすると、5mg BIDの化合物292の反復経口投与後のヒトにおける暴露(経口投与14日後、平均AUC0-24hr=2582ng*h/mL)は、ラット又はサルNOAELのいずれかでの暴露よりも少ない。
化合物292と関連する遺伝毒性はインビトロ遺伝毒性試験で見られず、化合物292は、インビボラット小核アッセイで直接的な有害作用を及ぼさなかった。化合物292の生殖毒性をラット及びウサギにおける胚/胎生期発生毒性試験で評価した。ラット及びウサギにおける化合物292の母親及び胎仔NOAELは、それぞれ、35mg/kg/日(210mg/m2/日)及び75mg/kg/日(900mg/m2/日)であった。投与の最終日に、NOAELでの平均AUC0-24hr値は、妊娠したラット及びウサギについて、それぞれ、62200ng*h/mL及び66200ng*h/mLであった。
(実施例8:ヒトにおける臨床試験)
化合物292を用いて、健常成人対象における無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。全部で106人(106)の対象を登録した。これには、単回漸増用量(SAD)部分の対象36人(積極的治療24人;プラセボ12人)、複数回漸増用量(MAD)部分の対象48人(積極的治療36人;プラセボ12人)、食事効果(FE)効果部分の対象6人(摂食部分と絶食部分が連続した化合物292投与からなる)、及びDDI部分の対象16人(ケトコナゾール有りの化合物292投与期間とケトコナゾールなしの化合物292投与期間からなる)が含まれた。化合物292への全対象暴露を表8にまとめる。
表8:臨床的安全性試験における化合物292の対象暴露
SD=単一用量; Q12h=12時間毎に1回; Q24h=24時間毎に1回; SAD=単一上昇用量; MAD=複数上昇用量; FE=食事効果; DDI=薬物-薬物相互作用。
*は、1日目及び14日目のQD投与を含む。
化合物292は、評価した用量で忍容性が良好であった。死亡も重篤な有害事象(SAE)も見られなかった。化合物292の1〜30mgの単一用量範囲又は毎日2〜10mgの複数用量範囲にわたって用量に関連するAEの増加があるようには見えなかった。試験のどの部分においても、臨床的に重要な安全性検査所見異常又は心電図(ECG)異常は観察されなかった。
薬物動態評価により、化合物292が、単一及び複数用量経口投与後に速やかに吸収され、最大血漿濃度が、通常、投与の1時間後に観察されることが示された。評価された用量範囲にわたって、化合物292暴露は、用量に比例して増加した。平均排出半減期は、反復投与後6.5〜11.7時間の範囲であり、投与された用量レベルに依存しなかった。化合物292の蓄積は、Q12h経口投与から14日後、2倍未満であった。単一用量部分の化合物292のPKパラメーターのまとめを下の表9に示す。複数用量部分の化合物292のPKパラメーターを下の表10に示す。
表9:単一用量投与後の化合物292のPKパラメーターのまとめ(平均、%CV)
*中央値(範囲); h=時間
表10:複数用量投与後の化合物292のPKパラメーターのまとめ(平均、%CV)
h=時間、CV=相関係数、Racc=蓄積比、
*中央値(範囲)
食事効果部分のデータから、食事が化合物292への全身暴露をそれほど変化させないことが示されている。高脂肪食の存在下で投与したとき、化合物292濃度は約10%減少し、Tmax中央値は、1時間(絶食)から3時間(摂食)に遅延した。全体的な暴露は、AUC(0-last)及びAUC(0-inf)によって評価したとき、高脂肪食の存在下で約9%増加した。
DDI部分のデータから、200mg q12hのケトコナゾールの同時投与が化合物292への暴露を増加させることが示された。平均で、Cmax、AUC0-last、及びAUC0-infは、単独で投与された化合物292と比較して、ケトコナゾールの存在下で、それぞれ、約66%、285%、及び295%増加した。
単回及び複数回の化合物292投与後、好塩基球活性化の用量依存的低下が全ての用量レベルで観察され、最大低下は投与から1時間後に見られた;プラセボによる処置の後に、顕著な変化は観察されなかった。単一用量投与後のPK/PDのまとめを図1〜3に示す。これらの図は、PD応答が速やかであったこと、及び最大応答が5mgの投与で達成されたことを示している。好塩基球活性化の低下と化合物292の血漿濃度の関係は明白であり、その効果はより高い化合物292の血漿濃度で飽和した。
連続ECGを、全ての試験群において、投与後の複数の時点で実施した。どの評価においても、500msecを超えるQTcFを有する対象はおらず、ベースラインからのQTcFの最大変化は37msecであった。
全体的に、化合物292は、最大30mgの単一用量(試験した最大用量)及び14日間の最大10mgの全日用量(試験した最大用量; 5mg BID又は10mg QD)で、健常対象において忍容性が良好であった。健常対象において、化合物292のPKプロファイルは、速やかな吸収(0.5〜1時間以内にピーク血漿濃度に達する)、適度に速やかな排出(半減期は、単回投与後3.5〜9.5時間及び反復投与後6.5〜11.7時間)、及び用量比例的な全身暴露の増加(Cmax及びAUC)を特徴とする。最小の蓄積は、複数用量投与後に観察された(蓄積比は、BID投与の場合、1.65〜1.83、及びQD投与の場合、1.54)。単一経口用量投与後、クリアランスは、6.7L/h〜11.1L/hの範囲であり、分布体積は、38.8L〜147Lの範囲であった。変化していない化合物292の尿中への***は、投与された用量の2%未満であり、親薬物の最小限の腎排出を示した。活性化CCR3+好塩基球の表面でのCD63発現は、全ての単一及び複数用量レベルで用量依存的な様式で低下し、最大低下は、化合物292の最大血漿濃度の時点に対応する投与1時間後に見られた。好塩基球活性化の阻害は、化合物292濃度-時間プロファイルを反映するものであり、血漿濃度が下落するにつれてCD63発現はベースラインレベルに戻った。5mg BIDの投与は、12時間の投与間隔全体にわたってPI3K-δ阻害を維持した(EC50=48ng/mL)。高脂肪高カロリー食の同時投与は、Cmaxを約10%減少させ、Tmax中央値を1時間から3時間にシフトさせ、全体的な暴露(AUC)を約8〜9%増加させた。これらのデータは、化合物292を食事と関係なく投与することができることを示唆している。
このように、化合物292は、単回及び複数回投与後に速やかに吸収された。平均全身暴露(Cmax及びAUC)は用量比例的に増加し、線形PKを示した。化合物292投与から14日後の見掛けの平均最終排出半減期(t1/2)は、6.5〜11.7時間の範囲であった。蓄積比(14日/1日AUCの平均比)は、QD投与の場合は1.54、BID用量範囲を上回る場合は1.65〜1.83であった。高脂肪高カロリー食の投与後、AUC0-infは9%増加し、Cmaxは10%減少し、Tmax中央値は、1時間から3時間にシフトした。これらの変化の大きさに基づいて、化合物292を食事と関係なく投与することができる。さらに、速やかな応答が観察され、エクスビボの抗FcεR1活性化アッセイにおけるCCR3+好塩基球上でのCD63+発現の低下として評価された(図1〜3)。最大応答は、単一及び複数用量投与から1時間後、最大血漿濃度の時点で観察された。血漿薬物濃度が下落するにつれて、CD63+発現はベースラインに戻った。さらに、化合物292は、試験した全ての用量:最大30mgの単一用量、及び14日間、毎日、最大10mgの複数用量で忍容性が良好であった。複数用量の化合物292が2週間投与された対象(n=36)(PLB n=12)において、最も一般的な有害事象(AE)は、採血及びプロトコル関連処置に関するものであった。2人以上の対象で起こる最も一般的な非処置型(non-procedural)AEは、頭痛(8%対25%PLB)、筋肉痛(6%対8%PLB)、及び鼻咽頭炎(6%対0%PLB)であった。AEの用量関連傾向は観察されなかった。ECGの安全性検査試験において臨床的に重要な所見は観察されなかった。化合物292に関連するIgEの増加は観察されなかった。
(実施例9:進行性血液悪性腫瘍における臨床試験)
T細胞リンパ腫/白血病を含む進行性血液悪性腫瘍を有する患者における経口投与された化合物292の安全性、薬物動態(PK)、及び活性を評価するために、第1相用量漸増試験を設計した。患者の連続コホートを、用量レベルを次第に高くして、選択された血液悪性腫瘍を有する患者の拡大コホートとともに登録した。化合物292を、28日サイクルで連続的に1日2回(BID)経口投与した。腫瘍応答を疾患特異的な標準的基準に基づいて評価した。
この試験には、20人(又はそれよりも多く)の患者;慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の患者5人、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)の患者4人、侵攻性B細胞NHLの患者3人[びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、n=2;及びリヒター症候群、n=1を含む]、多発性骨髄腫(MM)の患者3人、ホジキンリンパ腫(HL)の患者2人、T細胞リンパ腫の患者2人[未分化大細胞リンパ腫(ALCL) n=2]、及びマントル細胞リンパ腫(MCL)の患者1人が登録されていた。これらの患者のうち、11人が男性、9人が女性であり、年齢中央値[範囲]は63歳[30〜81歳]、36%は最も近い前全身治療から6カ月未満であった。前治療の数の中央値[範囲]は、3回[1〜8回]であった。
投与された化合物292用量には、8mg BID(n=1)、15mg BID(n=6)、25mg BID(n=7)、35mg BID(n=3)、及び50mg BID(n=3)が含まれる。治療サイクルの数の中央値[範囲]は、2回[1〜8回]であり、12人(60%)の患者が治療を継続している。有害事象(AE)は、13人(65%)の患者で発生し、これには、グレード>3のAEを有する7人(35%)の患者が含まれた。治療関連のAEは、11人の患者(55%)で発生し、グレード>3は、5人の患者(25%)で発生した。グレード4の好中球減少症は、今日までに観察された唯一の用量制限毒性である(15mg用量コホート)。新しいグレード>3の血液検査所見異常には、好中球減少症[n=6(30%)]及び血小板減少症[n=1(5%)]が含まれていた。グレード3のALT/AST上昇は、1人(5%)のMM患者で発生し、化合物292の投与の開始から6週間後に始まった。
PKは、試験した用量範囲にわたる血漿Cmax及びAUCの用量比例的増加を示した。さらに、最初の3つのコホート(8 25mg BID)のPK及び初期薬力学(PD)データから、25mg BID用量以上でPI3K-γ経路の阻害の増大を伴うPI3K-δ経路の持続的な抑制が予測された。
評価可能な患者(n=11)において、応答は、8、15、及び25mg BID用量レベルで観察され、これには、CLL/SLLの2/3(CRが0人/PRが2人/SDが1)、iNHLの1/2(CRが1人/PRが0人/SDが1人)、及びMCLの1/1(PRが1人)が含まれた。投与された最初の患者を含め、2回のサイクルの後に少なくともSDを有する患者全員(n=6)が治療を維持した。
PK及びPDマーカーを、1回目の投与(例えば、8mg BID)の後及び定常状態で評価した。全血中のPD活性(PI3K阻害)を、エクスビボ刺激後の好塩基球の表面でのCD63発現の低下を測定する好塩基球活性化アッセイを用いて評価した。
これらのデータは、速やかな薬物吸収及び用量比例的PKを示した。健常対象で見られたように、好塩基球活性化の最大阻害は、投与から1時間後に観察された。第2サイクルの開始時の用量投与前(すなわち、BID投与から28日後)、CD63発現は、治療開始時と比べて、45%以上低下していた。平均定常状態トラフ濃度は、≧15mg BIDの投与後、PI3K-δ阻害に十分なレベルを超えて維持された。臨床応答が観察された。
このように、(健常対象及び進行性血液悪性腫瘍における)両試験において、化合物292の薬物吸収は速やかであり、暴露は用量に比例した。活性化好塩基球の表面でのCD63発現は、化合物292の存在下、健常対象と腫瘍対象の両方で低下した。これは、PI3K-δ阻害と一致する観察である。暴露-応答関係は明白であり、化合物292に対する濃度依存的な薬理学的応答が示唆された。腫瘍試験のPK/PDデータは、PI3K-δ活性の阻害を示し、用量がより高くなるとPI3K-γ活性が漸増的に抑制されることを示唆した。
CLL(例えば、CLL/SLL)、iNHL、及びMCLを有する患者で観察されたPK/PD及び活性に基づいて、化合物292の安全性及び予備的活性をさらに評価するための拡大コホートは、患者を25mg BIDで投与されるこれらの選択された血液疾患に登録するものとした。PI3K-γアイソフォームの抑制を増大させることによって有効性プロファイルが改善され得るT細胞悪性腫瘍及びDLBCLを有する患者に重点を置いて、用量漸増を継続した。
疾患特異的活性をさらに明確にするために、さらなる拡大コホートをT細胞リンパ腫、DLBCL、骨髄増殖性新生物、急性白血病、T細胞/侵攻性NHL、及びCLL/iNHL/MCLで展開することができる。
このように、経口用の強力なPI3K-δ、γ阻害剤又はモジュレーターである化合物292は、8mg BID〜50mg BIDの範囲の用量で忍容性が良好であり、iNHL、MCL、及びCLLを有する患者で臨床活性を示している。25mg BIDの用量はPI3K-δを効果的に阻害し、CLL/iNHL/MCLにおける拡大の論理的根拠を提供している。
(実施例10:血液悪性腫瘍の臨床試験:追加データ)
PI3K-δ及びPI3K-γは、白血球シグナル伝達、並びに分化、活性化、増殖、及び遊走を含む、B細胞、T細胞、及び骨髄細胞機能に関与している。PI3K-δ及びPI3K-γは、特定のB細胞及びT細胞悪性腫瘍の成長及び生存を支持する。本明細書に例示されるように、化合物292は、PI3K-δ及びPI3K-γアイソフォームの強力な経口阻害剤である(例えば、表11)。
表11:化合物292のインビトロ活性のまとめ
*PI3K-α及びPI3K-β(遍在性発現)は示されていない。
健常対象における第I相試験において、単一及び複数用量の化合物292は忍容性が良好であり、5mg BIDに至るまでの用量比例的な薬物動態と6.5〜11.7時間のt1/2とを有し、薬力学的応答(抗FcεR1)は血漿濃度を反映し、最大効果は、最大血漿濃度の時点で観察された(例えば、図1〜3)。
(試験設計:)
化合物292の1つの臨床試験は、用量レベルを次第に高くして、用量レベル当たり1〜6人の血液悪性腫瘍を有する成人患者を登録する第I相非盲検試験である。投与は、経口、1日2回(BID)、28日サイクルで行われた。主な目的は、化合物292の安全性及びMTDを決定することであった。エンドポイントには、安全性、有効性、薬物動態(PK)、及び薬力学(PD)が含まれた。選択された血液悪性腫瘍の拡大コホートは、PI3K-δ及びPI3K-γ阻害についてのPK/PD/臨床活性に基づき、≦MTDで許容される。重要な組み入れ基準には:(1)確立された治療の間に進行するか、該治療に不応性であるか、該治療に不耐性であるか、もしくは該治療に不適格であるか、又は確立された治療のない疾患を有する;(2)十分な肝腎機能(≦グレード1);(3)ベースラインANC≧750細胞/μL、血小板≧75K/μL、及びヘモグロビン>8.0g/dLの十分な造血機能(漸増相のみ);(4)PI3K阻害剤による前治療を受けていない(漸増相)又は化合物292の1回目の投与から4週間以内(拡大相)が含まれた。用量漸増試験には、以下の用量: 8mg BID、15mg BID、25mg BID、35mg BID、50mg BID、60mg BID、75mg BID、及び100mg BID(登録中)が含まれた。≦MTDでのコホート拡大は、血液悪性腫瘍、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、急性リンパ球性白血病、骨髄増殖性新生物、CLL/SLL、iNHL、及びMCLで行われる(例えば、25mg BID拡大は、CLL/SLL、iNHL、及びMCLで行われた)。MTDを決定するために使用される第1サイクルでの用量制限毒性(DLT)には、(1)死亡;(2)7日よりも長く持続するグレード4以上の血液毒性、又はグレード3の発熱性好中球減少症、グレード2以上の出血を伴うグレード3の血小板減少症、又は輸血を必要とする任意の持続期間のグレード4の血小板減少症;(3)医学的処置にもかかわらず、24時間以上持続するグレード3の下痢もしくは吐き気、又は任意の持続期間の任意の他のグレード3の非血液毒性が含まれる。
患者の人口統計及び内訳を表12及び13にまとめる。75mg BIDへの用量漸増後、MTDにはまだ到達しておらず、用量漸増は継続中であった。治療関連AEによる中止は3例あった:(1)グレード3の肺炎(15mg BID);(2)グレード4のALT上昇(25mg BID);(3)データカットオフ時点でAEグレード及び病因が報告されなかったもの(25mg BID)。
表12:患者の人口統計
*iNHL(無痛性非ホジキンリンパ腫)、MCL(マントル細胞リンパ腫)、CLL/SLL(慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫)、MM(多発性骨髄腫)、HL(ホジキンリンパ腫)
表13:患者の内訳
薬物動態及び薬理学データを図4及び5にまとめる。化合物292は、50mg BIDに至るまで線形PKプロファイルで速やかに吸収された(排出t1/2は、6〜10時間であった)。このデータは、PI3K-δの完全阻害を15mg BID以上の用量で達成することができ;かつ25mg BID以上の用量でPI3K-γが漸増的に抑制されることを示した(図4)。さらに、CLL/SLL細胞での化合物292によるAKTリン酸化の迅速かつ持続的な阻害が1用量(25mg)後のフローサイトメトリーにより観察された(図5)。これらのPK/PD結果は、選択された血液悪性腫瘍における化合物292の忍容性及び活性を評価するための25mg BIDでの拡大コホートを支持した。
B細胞及びT細胞悪性腫瘍における化合物292の臨床有効性データを表14にまとめ、化合物292による治療時の腫瘍サイズの最大変化を図6に示す。腫瘍体積の低下は、評価された全ての症状及び全ての用量レベルで観察された。CTスキャンによる測定可能な疾患及び≧1の治療時CT評価を有する患者を図6に示す。これには、応答評価を受けていない患者(n=2)も含まれる。1回目のCT評価の前にPDを有する試験対象外(off study)患者(n=2)又はCTによって評価されていない疾患(n=4)は、図に示されていない。
表14: B細胞及びT細胞血液悪性腫瘍における臨床応答
a.応答:完全応答(CR)、部分応答(PR)、疾患安定(SD)、疾患進行(PD)。
b.少なくとも1回の応答評価又は疾患進行(PD)。
c.4例のリンパ節応答。
化合物292の臨床活性の速やかな発現がCLL/SLLで観察された(図7)。T細胞リンパ腫における化合物292の臨床活性は、2サイクルの化合物292治療後の1回目の応答評価で観察された(図8):完全応答(CR) 1人、部分応答(PR) 1人、疾患安定(SD) 1人、疾患進行(PD) 1人(及び不明な状態1人)。4人の患者は試験を受け続けた。さらに、2サイクルの化合物292(60mg BID)の後のPET/CTによって示されるように、腸症関連T細胞リンパ腫を有する72歳の患者は、肺転移の完全な消散を示した(白い矢印)(図9)。
さらに、下の表15に示すように、T細胞リンパ腫を有する対象の中で、化合物292は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)と皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の両方の治療において効力を有することが分かった。
表15: TCLにおける臨床応答
規定用量(全てのBID)での化合物292の投与後のCTスキャンにより評価された測定可能な疾患のパーセント変化を図10に示す。この図に示すように、患者の33%(PTCL 2人及びCTCL 1人)は、少なくとも50%の腫瘍応答を示した。
様々なB細胞リンパ腫患者で観察された臨床応答を下の表16にまとめる。
表16: BCLにおける臨床応答
上に見られるように、応答(CRを含む)は、無痛性リンパ腫、マントルリンパ腫、及びホジキンリンパ腫で観察された。応答は、約2カ月以内の1回目の評価によって、18人中16人(89%)のレスポンダーで早期に起こった。MCL、HL、及びNHL患者についてCTスキャンにより評価された測定可能な疾患のパーセント変化を図11に、iNHL(濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、及びMZLを含む)についての該パーセント変化を図12に示す。
化合物292の臨床的安全性データを表17及び18にまとめる。用量関連傾向は、関連するグレード3 AEでもグレード4 AEでも観察されなかった。DLTには、グレード4の好中球減少症(15mg BID)及びグレード3の蜂巣炎(創傷感染、75mg BID)が含まれた。
表17:化合物292の安全性。
*死因:全て疾患進行が原因である。
表18:化合物292の安全性。
図13は、対象別の試験月数及び診断を示す。試験を受けている時間(中央値2.2カ月)の初期分析は、全患者の67%が試験を受け続けることを示した。2サイクルの化合物292治療の後にPD(疾患進行)を有しない患者の90%(n=26)が試験を受け続けた。
まとめると、化合物292は、PI3K-δ及びPI3K-γの強力な経口阻害剤であり、進行した血液悪性腫瘍を有する患者において忍容性が良好であり、かつ臨床的に活性がある。75mg BIDに至るまでの用量を調べた;単剤の化合物292用量漸増を調べた。PKプロファイルは、化合物292についてPI3K-δの完全阻害を≧15mg BIDで達成することができ、かつ≧25mg BIDの用量でPI3K-γが漸増的に抑制されることを示した。選択された悪性腫瘍における拡大コホートは、MTD以下で実施される。SAEは、進行した血液悪性腫瘍の癌患者で見られる併存疾患と一致した。最も一般的な関連グレード3又はグレード4 AEは、血球減少症及びALT/AST上昇であった。全体的に、これらのAEは用量関連性ではなく、用量中断及び用量低下により管理された。これらの結果は、臨床活性が全ての用量で観察されることを示した。応答は、iNHL、CLL/SLL、及びMCLにおいて、≦50mg BIDで観察された。応答は、T細胞リンパ腫及びホジキンリンパ腫において、≧50mg BIDで観察された。これは、B細胞及びT細胞悪性腫瘍が、PI3K-δ及びPI3K-γ阻害に感受性であることを示している。
(実施例11:血液悪性腫瘍における臨床試験:血清サイトカイン/ケモカイン産生)
24時間の化合物292による希釈全血(1:1)の前処理によって、100μg/mLのLPSで刺激されるサイトカイン(例えば、TNF-α及びIL-10)産生の阻害がもたらされることが観察されていた(図14)。サイトカイン/ケモカイン産生に対する化合物292の効果をさらに調べるために、血清試料を、血液悪性腫瘍に関する化合物292の臨床試験に参加しているヒト対象から回収した。ヒトサイトカイン/ケモカインのパネルの血清濃度を、下記の通りに、Milliplex 96ウェル免疫アッセイによって決定した。
(試料の回収及び保存:)
血液を少なくとも30分間凝固させた後、1000×gで10分間遠心分離した。血清を取り除き、すぐにアッセイするか、又は分注して、-20℃以下で保存するかのいずれかにした。凍結試料を使用する場合、試料を完全に解凍し、ボルテックス処理によって十分に混合し、アッセイで使用する前に遠心分離して、微粒子を除去することが推奨される。
(血清マトリックスの調製:)
1.0mLの脱イオン水を、凍結乾燥した血清マトリックス(MILLIPLEX(登録商標) Mapのカタログ番号MX HSM)を含むボトルに添加し、完全な再構成のために、少なくとも10分間十分に混合させた。
(アッセイ手順:)
200μLの洗浄バッファーをプレートの各ウェルに添加した。プレートを密閉し、プレートシェーカー上で、室温(20〜25℃)で10分間混合した。洗浄バッファーをデカントで捨て、プレートを逆さまにし、それを吸収性のタオルに数回激しく叩き付けることによって、残存量を全てのウェルから除去した。25μLの各々の標準又は対照を適当なウェルに添加した。アッセイバッファーを0pg/mLの標準(バックグラウンド)に使用した。25μLのアッセイバッファーを試料ウェルに添加した。25μLの適当なマトリックス溶液を、バックグラウンド、標準、及び対照ウェルに添加した。25μLの血清試料を適当なウェルに添加した。試験されるサイトカイン/ケモカイン用の25μLの混合した又は予め混合したビーズを各ウェルに添加した。プレートをプレートシーラーで密閉し、ホイルで包み、4℃で終夜又は室温(20〜25℃)で2時間、プレートシェーカー上で撹拌しながらインキュベートした。終夜インキュベーション(16〜18時間)は、一部の検体のアッセイ感度を向上させ得る。ウェルの中身を穏やかに除去し、プレートを2回洗浄した。25μLの検出抗体を各ウェルに添加した。その後、プレートを密閉し、ホイルで蓋をし、プレートシェーカー上で撹拌しながら、室温(20〜25℃)で1時間インキュベートした。25μLのストレプトアビジン-フィコエリスリンを、25μLの検出抗体を含む各ウェルに添加した。その後、プレートを密閉し、ホイルで蓋をし、プレートシェーカー上で撹拌しながら、室温(20〜25℃)で30分間インキュベートした。ウェルの中身を穏やかに除去し、プレートを2回洗浄した。150μLのSheath Fluid(又はMAGPIX(登録商標)を使用する場合、Drive Fluid)を全てのウェルに添加した。ビーズをプレートシェーカー上で5分間再懸濁させた。
(データ解析:)
プレートを、xPONENTソフトウェアを用いて、Luminex 200(商標)、HTS、FLEXMAP 3D(商標)、又はMAGPIX(登録商標)で処理した。蛍光強度(MFI)中央値データを保存し、試料中のサイトカイン/ケモカイン濃度を計算するための5パラメータロジスティック曲線又はスプライン曲線フィッティング法を用いて解析した。
(結果:)
調べた血清検体には、以下が含まれた:(1)ヒトサイトカイン/ケモカイン(EGF、CCL11、FGF-2、Flt-3リガンド、CX3CL1、G-CSF、GM-CSF、CXCL1、CXCL10、IFNα2、IFNγ、IL-α、IL-β、IL-1ra、IL-2、sIL-2Rα、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p40)、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IL-1ra、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、CCL2、CCL7、CCL22、CCL3、CCL4、PDGF-AA、PDGF-AB/BB、CCL5、sCD40L、sIL-2Rα、TGFα、TNFα、TNFβ、VEGF、CCL21、CXCL13、CCL27、CXCL5、CCL24、CCL26、CCL1、IL-16、IL-20、IL-21、IL-23、IL-28、IL-33、LIF、CCL8、CCL13、CCL15、SCF、CXCL12、CCL17、TPO、TRAIL、及びTSLP);並びに(2)マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-9、MMP-10、MMP-12、MMP-13、TIMP-1、及びTIMP-2)。検体の血清濃度の変化を、処理前の血清試料と処理後の血清試料を比較することにより決定した。
1つの例示的な試験において、血清試料を、血液悪性腫瘍を有する患者から、第1サイクル1日目(C1D1)、第1サイクル8日目(C1D8又は8日目)、第2サイクル1日目(C2D1又は28日目)、及び第3サイクル1日目(C3D1)に回収した。CXCL13(図15)、CCL4(図16)、CCL17(図17)、CCL22(図18)、及びTNF-α(図19)は全て、CLL/SLL及びiNHL/MCL/FL患者での化合物292治療による血清濃度の減少を示した。一部の非CLL/iNHL症状では、化合物292治療で血清MMP9濃度が減少する傾向が観察された(図20)。これらのデータから、患者のベースラインと比較したときの28日目におけるCXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、TNF-α、及び/又はMMP9の血清濃度の低下が、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、及び白血病の化合物292治療の有効性を示すことが示される。CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、TNF-α、及び/又はMMP9の血清濃度の増加は、第2サイクルの間に化合物292による治療から離脱した特定の患者のC3D1で観察され、これは、CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、TNF-α、及び/又はMMP9の血清濃度が化合物292の薬力学的効果を実際に示すものであることをさらに示した。任意の特定の理論によって限定されるものではないが、血液悪性腫瘍を有する患者におけるこれらのケモカインの考えられる作用機序を図21に示す。
(実施例12:血液障害におけるPI3KアイソフォームmRNA発現)
血液悪性腫瘍(例えば、血液悪性腫瘍の細胞株、細胞型、又は組織試料)におけるPI3Kアイソフォーム(PI3K-α、β、δ、及び/又はγ)のmRNA発現を解析した。
(RNA単離及び定量的リアルタイムPCR:)
RNAqueous(登録商標)-4PCRキット(Ambion)、又はRneasy FFPEキット(Qiagen)を使用するFFPE材料を用いて、RNAを細胞ペレットから単離した。50ngのRNAを、ワンステップマスターミックス(Life technologies#4392938)中の各25μLの反応液に添加し、7300RTサイクラー(Applied Biosystems)に40サイクルかけた。アイソフォーム発現を評価するためのプライマー及びプローブセット:ヒトPIK3CA(Hs00907957_m1)、ヒトPIK3CB(Hs00927728_m1)、ヒトPIK3CD(Hs00192399_m1)、ヒトPIK3CG(Hs00277090_m1)、及びヒトGAPDH(4310884E)は全て、Applied Biosystemsから購入した。試験した遺伝子は全て、GAPDHに対して標準化した。式2-ΔΔCT(式中、CTは閾値サイクルを表す)を適用して、遺伝子発現の変化倍率を計算した。
(ホルマリン固定したパラフィン包埋組織でのPIK3CG及びPIK3CDのインサイチュRNA検出:)
PIK3CG及びPIK3CD用のRNAscope(商標) FFPEアッセイキットを開発し、Advanced Cell Diagnostics社(ACD)から購入した。各々のキットは、〜1Kb領域を標的とし、RNA分子は、各々〜50ヌクレオチド(nt)長の20種のプローブ対によって標的とされる。転写物及び領域のPIK3CG及びPIK3CDプローブカバレージを表19に記載する。試験した全ての組織を10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中で24時間固定し、プロセシングし、パラフィン包埋し、荷電したスライド上に5uM切片として切削した。染色する前に、全てのスライドを60℃のオーブンに入れ、1時間乾燥させた。切片をキシレン中で脱パラフィン処理し(2×5分)、一連の段階的エタノール(100%、95%)に各々3分間通して再水和させた。スライドを5分間風乾させた。以前に記載されている通り、前処理工程1〜2及び増幅工程1〜6用にACDによって推奨されている標準的なキットプロトコルに従った(Fay Wangらの文献、「RNAscope:ホルマリン固定したパラフィン包埋組織用の新規のインサイチュRNA合成プラットフォーム(RNAscope: A Novel in Situ RNA Analysis Platform for Formalin-Fixed, Paraffin-Embedded Tissues.)」、Journal of Molecular Diagnositcs, 2012, 14(1): 22-29)。試験した試料の種類に基づいて、前処理#3用に、以下の最適希釈:リンパ系組織1:5、リンパ腫組織1:10、及び細胞ペレット1:15を決定した。染色を可視化するために、スライドをDAB-色素原基質で発色させ、ヘマトキシリンIで対比染色した。同時に、良好な組織品質を保証するために、スライドを内在性ハウスキーピング遺伝子PPIBで染色した。
表19:転写物及び領域のPIK3CG及びPIK3CDプローブカバレージ
(血液障害におけるPI3KアイソフォームmRNA発現)
1つの試験において、B-ALL、MCL、CLL、B細胞リンパ腫、CTCL、AML、DLBCL、バーキットリンパ腫、T-ALL、CML(芽球期)、ホジキンリンパ腫、CML、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、及びALCLの細胞株におけるmRNA発現を解析した。CLLは、比較的高いδ発現及び比較的低いγ発現を有することが明らかになった。DLBCL及びB-ALLは、高いγ発現を有していた。骨髄腫は、低いδ発現及び幅広いγ発現を有していた。AML及びCMLは、比較的高いβ発現を有していた。
別の試験において、小児B-ALL、成人B-ALL、CML、バーキットリンパ腫、幼児B-ALL、CLL、MDS、AML、及びT-ALLにおけるヒト白血病、並びに非白血病/健常骨髄におけるmRNA発現を解析した。(細胞株とは対照的に)白血病型間でのδ発現にはあまりばらつきがないことが明らかになった。CLL及びT-ALLは、比較的低いγ発現を有していた。B-ALLは、比較的高いγ発現を有していた。AML及びCMLは、比較的高いβ発現を有していた。MDSは、比較的高いβ発現を有していた。
また別の試験において、DLBCL、FL、及びCTCLにおけるmRNA発現を解析した。これには、メモリーB細胞、ナイーブB細胞、GC中心細胞、GC胚中心細胞、リンパ芽球様細胞株、濾胞性リンパ腫(FL)、及びDLBCLにおけるmRNA発現の解析が含まれた。DLBCL及びFLは、より高い限度の範囲にまで及ぶ幅広いγ発現を有することが明らかになった。CTCLは、おそらくは腫瘍含量などの因子が原因で、比較的低いγ発現を有していた。
(実施例13:化合物292の定常状態血漿濃度)
28日サイクル、25mg又は75mg BIDでの化合物292の投与の後、化合物292の定常状態濃度を、上の実施例8に記載の手順と実質的に同様の手順を用いて、第2サイクル1日目(C2D1)に決定した。図22に示すように、化合物292は速やかに吸収され、最大血漿濃度は、通常、25mgレジメンと75mgレジメンの両方で投与の約1時間後に観察されることが分かった。AUCは、75mg BIDに至るまで用量に比例して増加するが、排出半減期は用量と無関係であることも分かった。25mg BID後の平均投与前定常状態血漿濃度は、390ng/mlであると決定され、PI3K-δの完全な抑制(IC90=361ng/ml)がPI3K-γの阻害(IC50=429ng/ml)とともに投与間隔全体を通して示された。
(実施例14: CLL患者における血清バイオマーカーレベルの減少)
CLLを有する患者への28日サイクル、25mg BIDでの化合物292の投与の後、血清中の様々なサイトカイン/ケモカインのレベルを、上の実施例11に記載の手順と実質的に同様の手順に基づくMilliplexプラットフォームを用いて決定した。図23に示すように、第1サイクル8日目(C1D8)と第2サイクル1日目(C2D1)の両方において、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、及びIL-12(p40)のレベルは、第1サイクル1日目(C1D1)の投与前レベルと比較して大幅に低下していた。これらのサイトカイン/ケモカインは、提示されたリンパ球の輸送及び機能において極めて重要であることが知られている。さらに、CCL1及びIL-10が、28日サイクル、25mg又は75mg BIDでの化合物292の投与の後に同様の低下を示すことも分かった。
CLL患者への様々な用量の化合物292から得られた検体をまとめてプールし(8mg BIDでn=1、15mg BIDでn=2、25mg BIDでn=15、及び75mg BIDでn=13)、ベースライン(投与前レベル)と比較したC1D8及び/又はC2D1での血清レベルの一貫した変化(低下又は増加)について評価したとき、72の検体のうちの10が、ベースラインと比較して化合物292治療後に減少したが、有意に増加したものは1つもなかった。化合物292治療後に減少した検体としては、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、及びCXCL10が挙げられる(図24)。これらの検体の血清レベル中央値は、C1D8までに減少し、ベースラインの16%〜59%の範囲であった。興味深いことに、化合物292治療で減少する検体の多くは、悪性B細胞と微小環境とのコミュニケーションに関与している。CCL3、CCL4、CCL17、及びCCL22は、悪性B細胞によって発現され、悪性B細胞と相互作用するT細胞を動員する際に役割を果たすことができる。CXCL13は、間質細胞によって分泌され、悪性B細胞をリンパ節に動員する。さらに、IL-10は、多くの正常免疫細胞型によって及び腫瘍性B細胞によって産生される。IL-10は、B細胞リンパ腫細胞株の自己分泌成長因子であることが知られている。
これらの結果から、化合物292の投与がこれらのサイトカイン/ケモカインのレベルの低下を引き起こすことが示され、CLL患者における本明細書に提供される化合物のバイオマーカーとしてのこれらのサイトカイン/ケモカインの使用が支持される。
(実施例15:ベースライン絶対リンパ球数の関数としてのリンパ球増加応答)
投与前ベースライン絶対リンパ球数(ALC)を、CLLを有する患者のプールで決定した。初期のベースラインALCに応じて、患者を2つのカテゴリー:(1)10×103個/μl以上のベースラインALCを有するカテゴリー;及び(2)10×103個/μl未満のベースラインALCを有するカテゴリーにグループ分けした。化合物292の投与の開始時に(28日サイクル、25mg BID)、血液試料を図25に示すサイクルで患者から採取し、これら2つのグループの各々のALC中央値を他のグループと別々に決定した。図25に示すように、より高いベースラインALCを有する患者は、より低いベースラインALCを有する患者とは異なるベースライン後ALCの傾向を長期にわたって示した。このデータは、より高いベースラインALCを有する患者が、化合物292の投与後のはるかにより速やかな開始と、それに続く、ALC中央値の安定な減少を有する可能性が高いことを示唆しており、より高いベースラインALCを有する患者が、より低いベースラインALCを有する患者よりも本明細書に提供される化合物による治療に応答する可能性が高いことを示している。図26に示すように、より高いベースラインALCを有する患者によって示されるプロファイルと同様の速やかなリンパ球増加(すなわち、速やかな開始)は、腫瘍測定の速やかな低下と良好に対応している。
(実施例16:リンパ腫患者における血清バイオマーカーレベルの減少)
リンパ腫を有する患者への28日サイクル、25mg BIDでの化合物292の投与の後、血清中のCXCL13、CCL17、及びMMP-9のレベルを、上の実施例11に記載の手順と実質的に同様の手順に基づくMilliplexプラットフォームを用いて決定した。図27Aに示すように、第1サイクル8日目(C1D8)と第2サイクル1日目(C2D1)の両方において、CXCL13、CCL17、及びMMP-9のレベルは、第1サイクル1日目(C1D1)の投与前レベルと比較して大幅に低下していた。
さらに、図27Bに示すように、CXCX13、CCL17、CCL22、及びTNFαは、iNHL患者における28日サイクル、25mg BIDでの化合物292の投与後のレベルの有意な低下を示した。CCL1、CCL17、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、及びTNFαが、iNHL患者における28日サイクル、25mg又は75mg BIDでの化合物292の投与後に同様の低下を示すことも分かった。さらに、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、及びMMP-9は、MCL患者における28日サイクル、25mg又は75mg BIDでの化合物292の投与後に同様の低下を示し、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、CM-CSF、及びIL-12(p40)は、T細胞リンパ腫患者における28日サイクル、25mg又は75mg BIDでの化合物292の投与後に同様の低下を示した。さらに、T細胞リンパ腫患者においても、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-9、CCL17、CCL22、TNFα、及びTGFαが28日サイクル後に同様の傾向を示すことが示された(図28)。
iNHL患者への様々な用量の化合物292から得られた検体をまとめてプールし(15mg BIDでn=1、25mg BIDでn=12、50mg BIDでn=1、及び75mg BIDでn=5)、ベースライン(投与前レベル)と比較したC1D8及び/又はC2D1での血清レベルの一貫した変化(低下又は増加)について評価したとき、7つの検体の血清レベル中央値は、C1D8までに減少したが(ベースラインの32%〜70%の範囲)、有意に増加したものは全くなかった。iNHL対象で減少しているこの7つの検体は、CXCL13、MMP-9、TNFα、CCL22、CCL1、CCL17、及びMMP-12であった(図29)。
これらの結果は、化合物292の投与が上述のサイトカイン/ケモカインのレベルの低下を引き起こすことを示し、リンパ腫患者における本明細書に提供される化合物のバイオマーカーとしてのこれらの分子の使用を支持する。
(実施例17:セザリー症候群における化合物292の臨床活性)
セザリー症候群を有する患者への28日サイクル、60mg BIDでの化合物292の投与の後、セザリー症候群の治療における化合物292の臨床的有効性を評価するために、以下の基準:(1)末梢血中のセザリー細胞の数;(2)CT応答;及びmSWATスコアを調べた。セザリー細胞の数は、フローサイトメトリーを用いる以下の従来の手順により決定した。図30Aに示すように、セザリー細胞の数の大幅な低下が、投与サイクルの進行にわたって観察された。CT応答を直径積和(SPD)に関して評価した。図30Bに示すように、SPDの低下も、投与サイクルの進行にわたって観察された。最後に、mSWATスコアを、当技術分野で周知の従来の手順を用いて決定した(例えば、http://jco.ascopubs.org/cgi/doi/10.1200.JCO.2010.32.0630(2011)から入手可能な、Olsenらの文献、Journal of Clinical Oncologyを参照されたい)。図30Cに示すように、mSWATスコアの自然な低下が投与サイクルの進行にわたって観察された。これらの結果は、本明細書に提供される化合物がセザリー症候群の治療に有効であり得ることを明白に示唆している。
(実施例18: PI3Kアイソフォーム選択的化合物を用いてCLLを治療するためのバイオマーカー研究)
PI3Kδが、慢性リンパ球性白血病(CLL)を含むいくつかのB細胞悪性腫瘍で過剰発現している一方、PI3Kγは、固形腫瘍で高発現し、免疫細胞輸送のための役割を果たしている。CLL B細胞は、PI3K経路によって及び他の免疫細胞と相互作用して調節され、化合物292などの化合物は、CLL B細胞の生存の調節に影響を及ぼし得る。PI3K経路と関連する潜在的標的+ケモカイン分泌を化合物292などの化合物を用いて操作することにより、CLL-B細胞におけるアポトーシスを増強することができる。
(再発性の遺伝子病変及び不良な予後を有するCLLにおける化合物292の治療的応答(用量及び時間応答):)
CLLを有する患者由来の新たに得られたCLL白血病細胞を幅広い濃度の化合物292で処理し、化合物292に対するCLL細胞の感作をアネキシン/PIアッセイ及びMTSアッセイにより測定する。様々な期間で白血病細胞をインキュベートすることにより、化合物292がCLL初代細胞で細胞毒性を誘導する最適用量及び最適時間を導き出すことができる。アポトーシス、ミトコンドリア外膜透過性、MTSアッセイ、及びPARPタンパク質切断を、確立された方法を用いて解析及び定量する。例えば、Balakrishnanらの文献、2010、「CLL初代細胞におけるフォロデシン誘導性応答に対する骨髄間質微小環境の影響(Influence of bone marrow stromal microenvironment on forodesine-induced responses in CLL primary cells)」、Blood 116, 1083-91; Balakrishnanらの文献、2009、「AT-101はCLL B細胞におけるアポトーシスを誘導し、間質細胞媒介性Mcl-1誘導及び薬物耐性を克服する(AT-101 induces apoptosis in CLL B cells and overcomes stromal cell-mediated Mcl-1 induction and drug resistance)」、Blood 113, 149-53。化合物292に対する治療的応答とCLL患者の臨床的特徴との間の機能的関係を導き出すために、Rai段階、β2-ミクログロブリン、及びトリソミー12、del13q、17p、及び11q突然変異又は欠失を含む多様な細胞遺伝学的性質、ZAP-70の状態、CD38の状態、CD49dの状態、並びにIgHV遺伝子突然変異などの様々な予後予測因子を有する患者のサブセットを本研究に含める。個々のキナーゼ阻害剤の選択性及び感受性を比較するために、同じ試料コホートを他のPI3K阻害剤と同時に処理する。
(間質媒介性CLL細胞生存:)
PI3K及びその下流標的は、腫瘍微小環境に応答して活性化される。化合物、例えば、化合物292は、CLLにおける白血病-間質相互作用を撹乱することができる。CLL初代細胞を、PI3K阻害剤の存在下又は非存在下、間質細胞(骨髄間質細胞; NKTert細胞及びリンパ節微小環境;ナース様細胞)とともに又は該細胞なしで共培養し[Balakrishnanらの文献、2010、「CLL初代細胞におけるフォロデシン誘導性応答に対する骨髄間質微小環境の影響(Influence of bone marrow stromal microenvironment on forodesine-induced responses in CLL primary cells)」、Blood 116, 1083-91; Burgerらの文献、2000、「骨由来ナース様細胞は、間質細胞由来因子-1を介して慢性リンパ球性白血病B細胞を自発的アポトーシスから保護する(Blood-derived nurse-like cells protect chronic lymphocytic leukemia B cells from spontaneous apoptosis through stromal cell-derived factor-1)」、Blood 96, 2655-63.]、アポトーシス、ミトコンドリア外膜透過性、MTSアッセイ、及びPARPタンパク質切断を測定する[Balakrishnanらの文献、2010、上記; Balakrishnanらの文献、2009、上記]。微小環境の役割を評価するために、CLL-間質共培養モデル系を使用する[Balakrishnanらの文献、2010、上記]。このモデル系は、CLLを用いて樹立され、試験されている[Balakrishnanらの文献、2009、上記]。これらの結果を用いて、多様な微小環境によるCLL細胞に対する生存上の利点及びPI3K阻害剤によるこの保護の解消の基礎を研究する。
(CLL初代細胞における化合物292の活性に関与する分子メカニズム:)
PI3Kは、CLLにおける主な治療標的であるBCRシグナル伝達の下流にある。PI3Kの活性化は、Akt又はErkキナーゼなどの下流の標的と標的基質とに影響を及ぼすことができる。PI3K阻害剤処理の間に調節される分子事象を評価するために、ホスホ-PRAS及びS6などの下流メディエーターとともにSer473でのAktのリン酸化及びThr202/Tyr204でのErkのリン酸化を検出することができる抗体でプロービングすることによって、Akt及びErkなどの標的タンパク質の翻訳後修飾を評価する。さらに、PI3Kアイソフォーム(例えば、γ及びδ)の発現レベルを、試験した各々の試料からプロファイリングし、相対レベルを阻害剤に対する細胞応答と関連付ける。化合物292は、免疫系と関連して細胞を操作し、それにより、ケモカイン産生を操作することができる。CLL発症において役割を果たすことが示されている、CXCL12、CXCL13、CCL2、及びCCL3などのC-X及びC-Cケモカイン(Sivinaらの文献、2011、「慢性リンパ球性白血病におけるCCL3(MIP-1α)血漿レベル及び疾患進行のリスク(CCL3 (MIP-1alpha) plasma levels and the risk for disease progression in chronic lymphocytic leukemia)」、Blood 117, 1662-69)のレベルを測定する。これらの研究から得られる溶解物と馴化培地の両方を他の潜在的因子についても解析する。
(実施例19: DLBCL細胞株における成長阻害とPD応答の間の相関関係)
様々なDLBCL細胞株を、72時間のCTGアッセイを用いて、化合物292による処理に対する感受性について試験した。Ri-1細胞(ABDサブタイプ)及びDHL-4細胞並びにDHL-6細胞(両方ともGCBサブタイプ)は、他のDLBCL細胞株よりも感受性が高いことが分かったことが分かった(データは示さない)。これら3つの応答性細胞株及びU2932細胞株(化合物292に非応答性)をDMSO(対照)と0.001、0.01、0.1、及び1μM濃度の化合物292とで処理した。処理から1時間後、様々なタンパク質のレベルをウェスタンブロットにより評価した。この結果を図31に示す。図31に示すように、全ての応答性細胞株(SU-DHL-6、SU-DHL-4、及びRi-1)において、pAKT、pPRAS40、及びpS6のレベルは、化合物292による処理によって用量依存的に減少することが示されたが、pPRAS40及びpS6についての応答は、強くはなかった。重要なことに、DHA 4細胞がpBTKの良好なベースラインレベルを有する一方で、pBTKのレベルは、化合物292の投与によって調節されないことが示された。さらに、pERKは、応答性細胞株で若干調節されるが、調節の程度は、他の良好に調節されるタンパク質よりも大きさが若干小さいことが示された。これらの結果は、化合物292が、BTK経路を通じてもMEK経路を通じても作用することができず、したがって、BTK又はMEKの阻害剤を本明細書に提供される化合物と組み合わせて使用する治療の論理的根拠を提供することを示唆している。
(実施例20:化合物292とBTK阻害剤を組み合わせる相乗効果)
PI3K経路の活性化は、正常なB細胞受容体(BCR)シグナル伝達の重要な構成要素であり、DLBCLの発症に関係があるとされている。様々な分子プロファイルのDLBCL細胞株におけるPI3Kシグナル伝達の役割をさらに調べるために、10種を超えるDLBCL細胞株のパネルを化合物292で処理した。PI3K-δ及びPI3K-γは、DLBCL細胞株パネルにわたって様々なレベルで発現され、分子サブタイプとの相関の証拠がないことが分かった。細胞成長阻害アッセイにおいて、2つのGCBサブタイプ(SU-DHL-4、SU-DHL-6)及び1つのABCサブタイプ(Ri-1)を含む3つの細胞株は、ナノモル濃度(nM)範囲で化合物292処理に感受性があり、別の2つのGCB細胞株(OCI-LY-8及びWSU-DLCL-2)は適度に感受性があり、IC50は低マイクロモル濃度(μM)範囲にあった。いくつかの細胞株(OCI-LY3、Pfeiffer、Toledo、及びU2932)は、化合物292に感受性がなかった(IC50>50μM)。化合物292感受性とこのパネルにおけるCOO(細胞の起源)又はCC(コンセンサスクラスタリング)分子プロファイルとの間に相関の証拠はなかった。化合物292感受性は、ホスホ-AKTの低下によって測定されるPI3K経路阻害の証拠と実際に相関した。経路調節の動力学をより良く特徴付けるために、選択された細胞株における経時的な化合物292処理の後で、AKT、PRAS40、及びS6のリン酸化を調べた。30分経つまでにホスホ-AKT及びホスホ-PRAS40の速やかな調節があったのに対し、ホスホ-S6の調節は8時間後まで検出されなかった。抗体誘導性架橋によるBCR刺激によって、いくつかの細胞株はAKTリン酸化の増強を示し、これは、化合物292で阻害することができた。GCB細胞株OCI-LY-8は、BCR架橋なしで、化合物292に適度に感受性があり(低μM範囲)、BCR架橋ありで、化合物292に対する感受性の増強を示した(nM範囲)。これらの結果は、インタクトのBCR経路シグナル伝達が、COO又はCCサブタイプとは無関係に、DLBCL細胞株における化合物292感受性に寄与することを示唆している。
化合物292活性を、ブルトン型無ガンマグロブリン血症チロシンキナーゼ(BTK)の不可逆的阻害剤であるイブルチニブとの組合せでも調べた。興味深いことに、BCR架橋の状況では、OCI-LY-8細胞はホスホ-AKTの強い増加を示し、これは、化合物292によって完全に阻害されたが、イブルチニブによっては部分的にしか阻害されなかった。SU-DHL-4などの他の細胞株では、ホスホ-BTKの強い阻害は、イブルチニブ処理で観察されたが、化合物292では観察されなかった。これらの生化学的知見は、PI3K-δ、γ、及びBTK阻害の組合せの機構的原理を示している。さらに、顕著な組合せ効果は、SU-DHL-4細胞株及びBCR架橋ありのOCI-LY-8細胞株において、化合物292+イブルチニブを用いる細胞成長阻害アッセイで観察された。
別の例示的な研究において、様々なDLBCL細胞株を96ウェルプレートに3連でプレーティングし、プレーティングから4〜6時間後、試験化合物(化合物292とイブルチニブの組合せ)を添加した。薬物処理から72時間後、細胞をCell Titer Glo試薬(Promega)とともにインキュベートした。組合せ指数(CI)を決定するために、一定比率の薬物を使用し、CalcuSynを用いてCI値を計算した。結果を下の表20に記載する。
表20:化合物292とイブルチニブの組合せの相乗効果
*相加的: 0.5<CI<1.0;相乗的CI≦0.5。
(実施例21:化合物292に対するPTEN欠失細胞株の感受性)
145(145)のサブセットのPTEN欠失細胞株を化合物292で処理し、化合物292に対する感受性をこれらのサブセットについて決定した。試験した細胞株は、化合物292による処理に示差的に感受性があることが分かった。重要なことに、PTEN野生型細胞は化合物292に感受性がないことが分かり、PTEN突然変異が細胞を化合物292による処理に対してより感受性高くする際に役割を果たし得ることが示唆された。
(実施例22:様々なPI3K阻害剤及びドキソルビシンに対するT-ALL細胞の感受性)
PTEN欠損細胞株(Loucy、Molt-4 luc、CCRF-CEM、p12 Ichikawa、Karpas-45、及びCEM/C2)並びにPTEN野生型細胞株(Molt-13及びMolt-16)を含む、様々なヒト及びマウスALL細胞株を化合物292で処理し、成長の阻害を評価した。この処理は様々な程度の成長阻害をもたらし、PTEN欠損Loucy細胞株が最も大きい感受性を示し、IC50は245nMであった。試験した細胞株において、化合物292による成長阻害はPTEN欠損細胞株でしか見られず、一方、PTEN野生型細胞株は全て化合物292に抵抗性であった(データは示さない)。さらに、T-ALLのPTEN欠損トランスジェニックモデルから得られたマウス細胞株(すなわち、LPN049及びLPN236)は両方とも、MTTアッセイで測定したとき、化合物292による処理に感受性があることが分かった。
T-ALL細胞成長に対する様々なPI3Kアイソフォームの個々の寄与をさらに調べるために、Loucy ALL細胞を、ドキソルビシン及び図32に示すような様々なPI3K阻害剤で、図に示すような様々な濃度で処理した。図32に示すように、PI3Kδ又はγアイソフォームの阻害剤は、用量が増加するにつれてLoucy細胞のパーセント阻害の漸増を示した。しかしながら、PI3Kβの阻害剤は、他のアイソフォームの阻害剤よりもLoucy細胞を阻害するのに効果が低いことが示された。これらの結果から、化合物292(並びにPI3Kδ及び/又はγの他の阻害剤)に対する感受性は、PI3Kのδ及び/又はγアイソフォームの阻害によるものである可能性が高いが、βアイソフォームに関連する可能性が低いことが示唆される。
さらに、図32は、ドキソルビシンに対するLoucy細胞の感受性がPI3K阻害剤に対する感受性とは異なるパターンを示すことも示している。そのような示差感受性プロファイルは、ドキソルビシンを本明細書に提供される化合物と組み合わせる論理的根拠を支持することができる。
(実施例23:化合物292に対するCTCL細胞の感受性)
化合物292による処理に対するCTCL細胞株の感受性を以下の細胞株:セザリー症候群由来細胞HH;セザリー症候群由来細胞HuT78;及び菌状息肉腫由来細胞MJを用いて評価した。MJ細胞及びHuT78細胞をIMDM 20%FBS中で成長させ、HH細胞をRPMI 10%FBS中で成長させた。細胞毒性のために、細胞を化合物292とともに72時間インキュベートした。化合物292とともに又は化合物292なしで1又は2時間インキュベートした後、細胞を、以下の一般的手順に基づくウェスタンブロッティングによるタンパク質解析に供した。
細胞を新鮮な培地で洗浄し、1×SDS試料バッファーを添加し、その後、超音波処理することにより溶解させた。試料を95〜100℃で5分間加熱し、氷上で冷却した後、試料を微量遠心分離し、SDS-PAGEで泳動させた。得られた試料をニトロセルロース又はPVDFメンブレンに電気転写した。洗浄後、メンブレンを、ブロッキングバッファー中、室温で1時間インキュベートし、その後、TBS/Tで洗浄した。その後、メンブレン及び一次抗体を4℃で一晩インキュベートする。メンブレンをTBS/Tで再度洗浄し、適当なHRPコンジュゲート二次抗体とともにインキュベートした。ビオチン化一次抗体については、メンブレンをミルク中でHRP-ストレプトアビジンとともにインキュベートした。インキュベーションが終了したら、メンブレンをTBS/Tで洗浄し、LumiGLO(登録商標)を用いる検出に供した。
図33に示すように、pPRAS40のレベルは、試験した細胞で化合物292によって用量依存的に低下することが観察された。さらに、細胞毒性試験から、HH細胞が、MJ細胞又はHuT78細胞よりも化合物292による処理に対する感受性が高いことが明らかになった。実際、MJ細胞は、化合物292又はGS-1101による処理に抵抗性があり、HuT78細胞は、中間の感受性を示した。pERK1/2のレベルは、MJ細胞又はHuT78細胞と比較して、HH細胞で最も低いことが示されることが観察され、高レベルのERKが化合物292による処理に対する非感受性のマーカーであり得ることが示唆された。さらに、pS6は、抵抗性のMJ細胞で調節されないことが分かり、本明細書に提供される化合物によるpS6の調節が癌細胞を死滅させる効力において重要であり得ることが示された。この結果はまた、pS6の調節が本明細書に提供される化合物による治療の効力を予測するバイオマーカーでもあり得ることを示唆している。
(実施例24:化合物292はリンパ節におけるCLL細胞の増殖を阻害する)
リンパ節集簇巣の増殖効果を模倣するために、CLL細胞をCD40L/IL-2/IL-10で刺激して、増殖させ、化合物292の効果を測定した。通常、CLL細胞を播種し、培地中で増殖カクテル(sCD40L、rH-IL 10、及びrH-IL 2を含む)とともにインキュベートした。その後、pAKT、Ki-67、CD19、及びCD5に対する抗体を用いて、4色FACS解析を実施した。
図34に示すように、CD40L/IL-2/IL-10のサイトカインカクテルがpAKT/Ki 67陽性細胞集団のパーセント数を有意に増加させることが分かった。これは、該サイトカインカクテルが微小環境の増殖性シグナルを模倣し、CLL細胞におけるPI3Kシグナル伝達及び増殖を誘導することができることを示している。
pAKTとKi-67の発現はどちらも、初代CLL細胞において、低ナノモル濃度範囲の化合物292の濃度で顕著に阻害され(EC50<10nM; n=2)、節環境におけるCLL細胞に対する化合物292の強力な抗増殖効果を示した(図35及び36)。結果として、これらの結果は、化合物292がリンパ節におけるCLL細胞の増殖を阻害することができることを示している。さらに、リンパ節のCLL細胞に対するこの直接的な阻害効果は、癌患者における迅速かつ持続的な応答をもたらし得る。それゆえ、これらの結果は、化合物292がCLL患者における応答の速やかな開始をもたらすことができることも示している。B細胞の有向遊走における化学誘引物質SDF-1(CXCL13)の重要な役割を考慮すると、走化性アッセイは、化合物292によるCLL細胞の遊走の低下を示した(%対照低下−中央値23%;範囲2〜42%; n=8)。さらに、化合物292処理は、活性酸素種の産生を増強した(n=6)。
(実施例25: CLL患者における化合物292によるCD38/CD69陽性細胞の選択的低下)
高リスク疾患と関連するCLL細胞(CD38/CD69陽性CLL細胞)の数における化合物292の効果を、リン酸化特異的フローサイトメトリーを用いて評価した。簡潔に述べると、8(8)人のCLL患者を25mg BIDの化合物292で処置し、試料を、第1サイクル1日目、並びに第2サイクル1日目(第1サイクルから28日後)、第3サイクル1日目(第1サイクルから56日後)、及び第4サイクル1日目(第1サイクルから84日後)の処置から1、2、4、及び24時間後に回収した。CLL患者に存在する細胞の表面の表現型を特徴付けるために、特にCD38及びCD69に対する抗体をパネルに含め、試料をリン酸化特異的フローサイトメトリーに供した。
リン酸化特異的フローサイトメトリーの結果をプロットし、図37に示した。図37に示すように、化合物292による処理によって、CD38陽性循環CLL細胞、CD69陽性循環CLL細胞、CD38/CD69二重陽性循環CLL細胞が有意に減少することが分かった。この結果は、化合物292が、高リスク疾患と関連するCLL細胞を選択的に減少させることを示している。
(実施例26:イブルチニブと組み合わせた化合物292のDLBCL細胞に対する効果)
SU-DHL-4 GCB DLBCL 細胞株を、様々な量の化合物292もしくはイブルチニブのみで、又は11nMもしくは33nMのイブルチニブと組み合わせた化合物292(様々な量)で処理した。72時間後、CellTiter Glo(登録商標)を用いて細胞生存率を測定した。結果を図38に示す。この図に示すように、単剤療法と組合せ療法はどちらもDLBCL細胞の生存を用量依存的に阻害した。さらに、特に33nMのイブルチニブとの組合せは、単剤療法と比較して効力の増加を示した。
本開示の例示的な実施態様が本明細書に示され、記載されているが、そのような実施態様は、ほんの一例として提供されていることが当業者には明白であろう。今や、数多くのバリエーション、変更、及び置換が、本開示を逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に記載の実施態様の様々な代替物を本開示の主題の実施において利用することができることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであること、並びにこれらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造並びにそれらの等価物がそれにより包含されることが意図される。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
[構成1]
対象におけるホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する特定の癌又は血液悪性腫瘍を治療する方法であって、PI3Kの他のアイソフォームと比べてPI3Kの該1以上のアイソフォームの活性を選択的に低下させるPI3Kモジュレーターを投与することを含む、前記方法。
[構成2]
(1)前記癌又は血液悪性腫瘍における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルを決定する工程;(2)1以上のPI3Kアイソフォームに対する特定の選択性プロファイルを有するPI3Kモジュレーターを選択する工程;及び(3)該PI3Kモジュレーターを、該癌又は疾患を有する患者に、単独で又は1以上の他の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて投与する工程:を含む、構成1記載の方法。
[構成3]
PI3Kの1以上のアイソフォームの高い発現レベルを有する、癌又は血液悪性腫瘍を有する特定の患者又は患者群を治療する方法であって、PI3Kの他のアイソフォームと比べてPI3Kの該1以上のアイソフォームの活性を選択的に低下させるPI3Kモジュレーターを投与することを含む、前記方法。
[構成4]
(1)前記癌又は血液悪性腫瘍を有する患者又は患者群における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルを決定する工程;(2)1以上のPI3Kアイソフォームに対する特定の選択性プロファイルを有するPI3Kモジュレーターを選択する工程;及び(3)該PI3Kモジュレーターを、該患者に、単独で又は1以上の他の薬剤もしくは治療モダリティーと組み合わせて投与する工程:を含む、構成3記載の方法。
[構成5]
癌又は血液悪性腫瘍を有する対象が、PI3Kの他のアイソフォームと比べてPI3Kの1以上のアイソフォームの活性を選択的に低下させるPI3Kモジュレーターによる治療に応答する可能性が高いか又は低いかを決定する方法であって、(1)該PI3Kモジュレーターを該対象に投与すること;及び(2)該PI3Kモジュレーターによる1回目の治療から約2カ月後の治療に対する該対象の応答を決定することを含む、前記方法。
[構成6]
前記PI3Kモジュレーターが単独で投与される、構成1〜5のいずれか1記載の方法。
[構成7]
前記PI3Kモジュレーターが、1つ又は複数の第二の活性剤と組み合わせて投与される、構成1〜5のいずれか1記載の方法。
[構成8]
前記第二の活性剤が、HDAC阻害剤、mTOR阻害剤、プロテアソーム阻害剤、JAK/STAT阻害剤、抗葉酸剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、抗体、生物剤、抗体-薬物コンジュゲート、細胞毒性剤、抗癌剤である、構成7記載の方法。
[構成9]
前記第二の活性剤が、ベリノスタット、ボリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、エベロリムス(RAD 001)、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、INCB16562、AZD1480、プララトレキセート、チピファルニブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、ブレンツキシマブベドチン(SGN-035)、イノツズマブオゾガマイシン、ブレンツキシマブベドチン、ベンダムスチン、ゲムシタビン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アントラサイクリン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、クロファラビン、ネララビン、クラドリビン、アスパラギナーゼ、メトトレキセート、プララトレキセート、フルダラビン、イブルチニブ、ホスタマチニブ、レナリドマイド、サリドマイド、プレドニゾン、又はR-CHOPである、構成7記載の方法。
[構成10]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、骨髄障害、リンパ障害、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、肥満細胞障害、骨髄腫、急性リンパ芽球性白血病、T細胞急性リンパ芽球性白血病、B細胞急性リンパ芽球性白血病、急性T細胞白血病、急性白血病、急性B細胞白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病、芽球期慢性骨髄性白血病、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CLL/SLL、芽球期CLL、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、無痛性非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、侵攻性B細胞非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、リヒター症候群、T細胞リンパ腫、末梢T細胞悪性腫瘍、末梢T細胞リンパ腫、皮膚T細胞悪性腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫、形質転換菌状息肉腫、セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、アミロイド症、本態性血小板血症、骨髄線維症、真性赤血球増加症、慢性骨髄単球性白血病、高リスク骨髄異形成症候群、又は低リスク骨髄異形成症候群である、構成1〜9のいずれか1記載の方法。
[構成11]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、慢性リンパ球性白血病、無痛性非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性白血病、骨髄増殖性疾患、皮膚T細胞悪性腫瘍、又は末梢T細胞悪性腫瘍である、構成1〜10のいずれか1記載の方法。
[構成12]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、再発性又は不応性である、構成10又は11記載の方法。
[構成13]
ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化を決定する工程をさらに含む、構成1〜12のいずれか1記載の方法。
[構成14]
前記バイオマーカーのレベルの変化が、該バイオマーカーの血清濃度の減少である、構成13記載の方法。
[構成15]
前記バイオマーカーが、CXCL13、CCL4、CCL17、CCL22、TNF-α、もしくはMMP-9、又はこれらの組合せである、構成14記載の方法。
[構成16]
前記ある期間が、前記対象への前記PI3Kモジュレーターの投与後180日、90日、50日、40日、35日、30日、28日、24日、20日、16日、14日、12日、8日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、6時間、3時間、又は1時間である、構成13〜15のいずれか1記載の方法。
[構成17]
前記ある期間が、前記対象への前記PI3Kモジュレーターの投与後28日である、構成16記載の方法。
[構成18]
前記ある期間にわたるバイオマーカーのレベルの変化に基づいて前記PI3Kモジュレーターの用量を調整する工程をさらに含む、構成13〜17のいずれか1記載の方法。
[構成19]
バイオマーカーを用いて、前記癌又は血液悪性腫瘍における1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルを決定することをさらに含み、ここで、該バイオマーカーは、標的バイオマーカー、シグナル伝達経路バイオマーカー、タンパク質突然変異バイオマーカー、タンパク質発現バイオマーカー、遺伝子突然変異バイオマーカー、遺伝子発現バイオマーカー、血清サイトカインバイオマーカー、血清ケモカインバイオマーカー、又は特定の癌細胞のバイオマーカーから選択される、構成1〜12のいずれか1記載の方法。
[構成20]
前記バイオマーカーが、1以上のPI3Kアイソフォームのタンパク質、DNA、又はRNAの発現レベルを決定するための標的バイオマーカーである、構成19記載の方法。
[構成21]
バイオマーカーを用いて、患者において、癌又は血液悪性腫瘍の1以上の兆候又は症状又は生物学的付随現象について評価することをさらに含む、構成1〜12のいずれか1記載の方法。
[構成22]
前記患者を、前記PI3Kモジュレーターによる治療の前、前記PI3Kモジュレーターによる治療の間、又は前記PI3Kモジュレーターによる治療の後に評価する、構成21記載の方法。
[構成23]
バイオマーカーを用いて、患者において、癌又は血液悪性腫瘍の1以上の兆候又は症状又は生物学的付随現象のレベルの変化についてモニタリングする工程をさらに含む、構成1〜12のいずれか1記載の方法。
[構成24]
前記患者を、前記PI3Kモジュレーターによる治療の間又は前記PI3Kモジュレーターによる治療の後にモニタリングする、構成23記載の方法。
[構成25]
前記1以上の兆候又は症状又は生物学的付随現象が、1以上のPI3Kアイソフォームの発現レベルを含む、構成21〜24のいずれか1記載の方法。
[構成26]
前記1以上の兆候又は症状又は生物学的付随現象が、IGH7、KRAS、NRAS、A20、CARD11、CD79B、TP53、CARD11、MYD88、EZH2、JAK1/2、PTEN、及びPIK3CAのうちの1つ又は複数の突然変異を含む、構成21〜24のいずれか1記載の方法。
[構成27]
前記1以上の兆候又は症状又は生物学的付随現象が、PTEN発現の低下、PTENのDNA修飾、PTEN欠失、及び/又はPTEN突然変異を含む、構成21〜24のいずれか1記載の方法。
[構成28]
前記1以上の兆候又は症状又は生物学的付随現象が、RAS経路の活性化、及び/又はPI3K経路の活性化を含む、構成21〜24のいずれか1記載の方法。
[構成29]
前記PI3Kモジュレーターが、式I-1の化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形である、構成1〜28及び42〜92のいずれか1記載の方法:
(式中、
Bは、式IIの部分であり:
式中、W c は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり、かつ
qは、0、1、2、3、又は4の整数であり;
Xは、結合又は-(CH(R 9 )) z -であり、zは、1の整数であり;
Yは-N(R 9 )-であり;
W d は:
であり;
R 1 は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、又はニトロであり;
R 2 は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミノ、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロであり;
R 3 は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アルコキシカルボニルスルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、又はニトロであり;かつ
各々の場合のR 9 は、独立に、水素、アルキル、又はヘテロシクロアルキルである)。
[構成30]
Bが、式IIの部分である、構成29記載の方法:
(式中、W c は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はシクロアルキルであり;
qは、0又は1の整数であり;
R 1 は、水素、アルキル、又はハロであり;
R 2 は、アルキル又はハロであり;かつ
R 3 は、水素、アルキル、又はハロである)。
[構成31]
Xが-(CH(R 9 )) z -であり、Yが-NH-である、構成29記載の方法。
[構成32]
R 3 が、-H、-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、-Cl、又は-Fである、構成29記載の方法。
[構成33]
Xが-(CH(R 9 )) z -(ここで、R 9 はメチルであり、z=1である)であり;かつ
W d が、
である、構成30記載の方法。
[構成34]
前記化合物が、主に、(S)-立体化学配置にある、構成29記載の方法。
[構成35]
前記化合物が、式V-A2の構造を有する、構成29記載の方法:
。
[構成36]
前記PI3Kモジュレーターが、以下のものからなる群から選択される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形である、構成1〜28及び42〜92のいずれか1記載の方法:
。
[構成37]
前記化合物が、以下のもの、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形からなる群から選択される、構成36記載の方法:
。
[構成38]
前記化合物が、以下のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形からなる群から選択される、構成37記載の方法:
。
[構成39]
前記化合物が、以下の構造、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形を有する、構成38記載の方法:
。
[構成40]
前記対象が哺乳動物である、構成1〜39のいずれか1記載の方法。
[構成41]
前記対象がヒトである、構成40記載の方法。
[構成42]
前記第二の活性剤がBTK阻害剤である、構成7記載の方法。
[構成43]
前記BTK阻害剤が、イブルチニブ、GDC-0834、CGI-560、CGI-1746、HM-71224、AVL-292、ONO-4059、CNX-774、又はLFM-A13である、構成42記載の方法。
[構成44]
前記第二の活性剤がMEK阻害剤である、構成7記載の方法。
[構成45]
前記MEK阻害剤が、タメチニブ/GSK1120212、セルメチノブ、ピマセルチブ/AS703026/MSC1935369、XL-518/GDC-0973、ラファメチニブ/BAY869766/RDEA119、PD-0325901、TAK733、MEK162/ARRY438162、RO5126766、WX-554、RO4987655/CH4987655、又はAZD8330である、構成44記載の方法。
[構成46]
前記第二の活性剤がEZH2阻害剤である、構成7記載の方法。
[構成47]
前記EZH2阻害剤が、EPZ-6438、GSK-126、GSK-343、El1、又は3-デアザネプラノシンA(DNNep)である、構成46記載の方法。
[構成48]
前記第二の活性剤がbcl-2阻害剤である、構成7記載の方法。
[構成49]
前記bcl-2阻害剤が、ABT-199、ABT-737、ABT-263、GX15-070(メシル酸オバトクラックス)、又はG3139(オブリメルセン)である、構成48記載の方法。
[構成50]
前記第二の活性剤がPLK-1阻害剤である、構成7記載の方法。
[構成51]
前記PLK-1阻害剤が、ボラセルチブ(BI6727)、BI2536、ZK-チアゾリドン、TAK-960、MLN0905、GSK461364、リゴセルチブ(ON-01910)、又はHMN-214である、構成50記載の方法。
[構成52]
前記第二の活性剤がドキソルビシンである、構成7記載の方法。
[構成53]
前記第二の活性剤がAraCである、構成7記載の方法。
[構成54]
前記第二の活性剤が、抗CD37抗体、抗CD20抗体、又は抗CD52抗体である、構成7記載の方法。
[構成55]
前記抗CD37抗体、抗CD20抗体、又は抗CD52抗体が、IMGN529、K7153A、TRU-016、 131 I トシツモマブ、 90 Y イブリツモマブ、 111 I イブリツモマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、又はアレムツズマブである、構成54記載の方法。
[構成56]
前記第二の活性剤がPI3K阻害剤である、構成7記載の方法。
[構成57]
前記PI3K阻害剤が、AMG-319、GSK 2126458、GDC-0980、GDC-0941、Sanofi XL147、XL499、XL756、XL147、PF-4691502、BKM 120、CAL-101(GS-1101)、CAL 263、SF1126、PX-886、又はBEZ235である、構成56記載の方法。
[構成58]
前記癌又は血液悪性腫瘍がiNHLであり、前記第二の活性剤が、リツキシマブ、ベンダムスチン、もしくはレナリドマイド、又はこれらの組合せである、構成7記載の方法。
[構成59]
前記癌又は血液悪性腫瘍がCLLであり、前記第二の活性剤が、リツキシマブ、ベンダムスチン、もしくはレナリドマイド、又はこれらの組合せである、構成7記載の方法。
[構成60]
前記癌又は血液悪性腫瘍がDLBCLであり、前記第二の活性剤が、リツキシマブ、ベンダムスチン、R-GDP、もしくはイブルチニブ、又はこれらの組合せである、構成7記載の方法。
[構成61]
前記癌又は血液悪性腫瘍がDLBCLであり、前記第二の活性剤がACY-1215である、構成7記載の方法。
[構成62]
前記癌又は血液悪性腫瘍がT細胞リンパ腫であり、前記第二の活性剤が、リツキシマブ、ベンダムスチン、もしくはロミデプシン、又はこれらの組合せである、構成7記載の方法。
[構成63]
前記癌又は血液悪性腫瘍がマントル細胞リンパ腫であり、前記第二の活性剤が、リツキシマブ、ベンダムスチン、もしくはイブルチニブ、又はこれらの組合せである、構成7記載の方法。
[構成64]
前記癌又は血液悪性腫瘍がT-ALLであり、前記対象がPTEN欠損を有し、前記第二の活性剤が、ドキソルビシン及び/又はビンクリスチンである、構成7記載の方法。
[構成65]
前記癌又は血液悪性腫瘍がT-ALLであり、前記対象がPTEN欠損を有する、構成1〜12のいずれか1記載の方法。
[構成66]
前記癌又は血液悪性腫瘍がセザリー症候群である、構成10記載の方法。
[構成67]
前記癌又は血液悪性腫瘍がB細胞リンパ腫であり、ここで、該B細胞リンパ腫が、iNHL、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、MCL、HL、aNHL、DLBCL、又はリヒターリンパ腫である、構成10記載の方法。
[構成68]
前記癌又は血液悪性腫瘍がT細胞リンパ腫であり、ここで、該T細胞リンパ腫が、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)又は皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、構成10記載の方法。
[構成69]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、BCR依存性シグナル伝達を有するサブタイプである、構成10記載の方法。
[構成70]
前記サブタイプが、DLBCLのRi-1、DHL-4、又はDHL-6である、構成69記載の方法。
[構成71]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、BTK阻害剤による治療に対して再発性又は不応性である、構成12記載の方法。
[構成72]
前記BTK阻害剤が、イブルチニブ又はAVL-292である、構成71記載の方法。
[構成73]
前記対象が、BTKの残基481におけるシステインからセリンへの突然変異(C481S)、又はBTKの残基481におけるシステインからフェニルアラニンへの突然変異(C481F)を有する、構成71又は72記載の方法。
[構成74]
前記対象が、PLCγ2遺伝子の残基665におけるチロシンからトリプトファンへの突然変異(R665W)を有する、構成71又は72記載の方法。
[構成75]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、CLL又はSLLであり、前記バイオマーカーが、CCL1、IL-10、CXCL13、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、TNFα、IL-12(p40)、CXCL10、もしくはMMP-9、又はこれらの組合せである、構成14記載の方法。
[構成76]
前記癌又は血液悪性腫瘍がリンパ腫であり、前記バイオマーカーが、CXCL13、CCL17、もしくはMMP-9、又はこれらの組合せである、構成14記載の方法。
[構成77]
前記癌又は血液悪性腫瘍がiNHLであり、前記バイオマーカーが、CCL1、CCL17、CCL22、CXCL13、IL-12(p40)、MMP-12、MMP-9、TNFα、もしくはIL-16、又はこれらの組合せである、構成14記載の方法。
[構成78]
前記癌又は血液悪性腫瘍がMCLであり、前記バイオマーカーが、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、もしくはMMP-9、又はこれらの組合せである、構成14記載の方法。
[構成79]
前記癌又は血液悪性腫瘍がT細胞リンパ腫であり、前記バイオマーカーが、CCL17、CCL22、CXCL10、CXCL13、MMP-9、GM-CSF、IL-12(p40)、TNF-α、TGF-α、ERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)、PRAS40、もしくはpS6、又はこれらの組合せである、構成14記載の方法。
[構成80]
前記癌又は血液悪性腫瘍がCLLであり、前記患者が、CD38陽性、CD69陽性、CD38/CD69二重陽性、Ki67陽性、pAKT陽性、又はKi67/pAKT二重陽性癌細胞を有する、構成1記載の方法。
[構成81]
CLL細胞のアポトーシスを促進する方法であって、患者に治療有効量のPI3Kモジュレーターを投与することを含む、前記方法。
[構成82]
リンパ節におけるCLL細胞の増殖を阻害する方法であって、患者に治療有効量のPI3K阻害剤を投与することを含む、前記方法。
[構成83]
前記PI3Kモジュレーターが、約25mg〜約75mg BIDの用量で投与される、構成1記載の方法。
[構成84]
前記PI3Kモジュレーターが、約300ng/ml〜約500ng/ml、約350ng/ml〜約450ng/ml、又は約380ng/ml〜約420ng/mlの前記化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分な用量で投与される、構成1記載の方法。
[構成85]
前記PI3Kモジュレーターを投与することが、前記対象における応答の速やかな開始をもたらす、構成1記載の方法。
[構成86]
前記癌又は血液悪性腫瘍がT細胞リンパ腫であり、前記応答の開始が、前記PI3Kモジュレーターの1回目の投与から約1.9カ月以内に達成される、構成85記載の方法。
[構成87]
前記癌又は血液悪性腫瘍がB細胞リンパ腫であり、前記応答の開始が、前記PI3Kモジュレーターの1回目の投与から約1.8カ月以内に達成される、構成85記載の方法。
[構成88]
PI3Kモジュレーターによる癌又は血液悪性腫瘍の治療に対する対象の応答性を予測する方法であって:(1)該患者由来の血液試料を取得すること;及び(2)該PI3Kモジュレーターの投与前の試料中の絶対リンパ球数(ALC)を決定することを含み、ここで、該ALCが約10×10 3 個/μlよりも多い場合、該対象が応答する可能性が高い、前記方法。
[構成89]
前記癌又は血液悪性腫瘍が、CLL又はSLLである、構成88記載の方法。
[構成90]
対象がPI3Kモジュレーターによる癌の治療に治療的に応答する可能性を予測する方法であって、(a)該対象の生体癌試料中のバイオマーカーの発現レベルを測定すること;(b)該バイオマーカーの所定のレベルと比べた該癌試料中の該バイオマーカーの存在又はレベルを決定すること、(c)該患者がバイオマーカーを有する場合、該対象を該癌の治療法に治療的に応答する可能性が増大している又は低下していると分類すること、及び(d)PI3Kモジュレーターを、応答する可能性が増大していると分類された該患者に投与することを含む、前記方法。
[構成91]
Rai段階、β2-ミクログロブリン、トリソミー12、del13、17p、PTEN、及び11q上での突然変異もしくは欠失、ZAP-70の状態、CD38の状態、CD49dの状態、並びに/又はIgHV遺伝子突然変異のうちの1つ又は複数の増加又は減少の検出が、応答の可能性が増大していることに分類される、構成90記載の方法。
[構成92]
11q欠失、17p欠失、及びPTEN欠失、並びに/又はPTEN発現の減少のうちの1つ又は複数を有する癌患者におけるPI3Kモジュレーターの効力をモニタリングする方法であって:(a)該患者から第一の生体試料を取得すること;(b)該第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること(ここで、該バイオマーカーは、pAKT、c-MYC、NOTCH1、CXCL13、CCL3、CCL4、IL-10、TNFα、IL-12p40、IL-16、MMP-9、CCL17、CCL22、CCL1、CXCL10、MMP-12、又はこれらの組合せである);(c)該PI3Kモジュレーターを該患者に投与すること;(d)その後、該患者から第二の生体試料を取得すること;(e)該第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを決定すること;並びに(f)該第一及び第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含み;ここで、該患者の第二の生体試料中のバイオマーカーのレベルが該患者の第一の生体試料中のバイオマーカーのレベルと比較して減少している場合、該患者が該治療に応答する、前記方法。
[構成93]
インビトロでの癌細胞におけるPI3Kシグナル伝達を誘導し、又はインビトロでの癌細胞の増殖を誘導する方法であって、該癌細胞を、CD40L、IL-2、及びIL-10からなるサイトカインカクテルと接触させることを含む、前記方法。
[構成94]
試験化合物の抗癌活性を決定する方法であって:(a)癌細胞を、CD40L、IL-2、及びIL-10からなるサイトカインカクテルと接触させること;(b)PI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖の程度を決定すること;(c)該サイトカインカクテルで処理した癌細胞を該試験化合物と接触させること、並びに(d)該PI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖を決定することを含み、ここで、工程(b)で決定されるPI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖と比較した工程(d)で決定されるPI3Kシグナル伝達及び/又は細胞増殖の低下が該試験化合物の抗癌活性を示す、前記方法。