JP5958675B1 - 薬液収納用包装袋および薬液収納用容器 - Google Patents

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Abstract

本発明は、薬液への不純物の溶出を抑制可能な内袋を有する多重構造の薬液収納用包装袋を提供することを主目的とする。内層フィルムで構成された内袋、および外層フィルムで構成された外袋を有する袋本体と、注出部材とを有し、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、上記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置され、上記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムである第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置され、上記内層フィルムの上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含むフィルムである第2外層フィルムとを有する積層フィルムである薬液収納用包装袋。

Description

本発明は、薬液への不純物の溶出を抑制することが可能な内袋を有する多重構造の薬液収納用包装袋およびこれを用いた薬液収納用容器に関する。
工業薬品分野、医薬品分野、化粧品原料分野等において用いられる薬液を保管、輸送等するに際しては、キャニスター缶等の薬液収納用容器が用いられている。従来、薬液収納用容器には薬液が直接充填されていたことから、薬液収納用容器の内部に存在するパーティクル等の不純物の薬液への影響が懸念されていた。また、上記不純物除去のため、薬液収納用容器の内部の洗浄を高いレベルで行う必要があり、薬液収納用容器を再利用するに際してのコストが高くなるという問題があった。また、薬液の種類によっては、薬液収納用容器の内部自体が劣化してしまうという問題があった。また、これらの薬液収納用容器においては、薬液収納用容器の内部に窒素ガスを送り込んで圧力を加えることにより薬液が注出口から取り出されていたが、この場合、窒素ガスと薬液とが接触するため、窒素ガスの影響等により薬液の粘度が変化する場合や、薬液の組成が変化する場合があるといった問題があった。
これらの問題に対して、例えば、特許文献1〜5に示すように、薬液収納用容器においては、薬液収納用容器の本体の内部に、薬液収納用包装袋を配置して用いることが提案されている。薬液収納用包装袋を用いた場合は、洗浄等の手間や、薬液収納用容器の本体の内部等の劣化を抑制することができる。また、薬液収納用容器の内部から薬液を取り出す場合においては、本体に窒素ガス等を送り込み薬液収納用包装袋の外部から圧力を加えることによって薬液を取り出すことができる。よって、窒素ガスおよび薬液が接触することによる薬液の組成、粘度等の変化を防止することができる。
このような薬液収納用包装袋としては、例えば、特許文献4、5に示すように、薬液を収納する内袋と、内袋を覆う外袋とを有する二重構造のものが提案されている。二重構造を有する薬液収納用包装袋においては、内袋および外袋がそれぞれ樹脂フィルムで構成され、内袋を構成する樹脂フィルム(以下、内層フィルムと称して説明する場合がある。)と外袋を構成する樹脂フィルム(以下、外層フィルムと称して説明する場合がある。)とを重ね合わせた多層構造を、内層フィルム同士を対向させて熱溶着することにより構成された熱溶着部を有し、熱溶着部において内袋および外袋が一体化された構成を有する。
薬液収納用包装袋において二重構造を採用した場合は、耐衝撃性、ガスバリア性をより良好なものとすることができる。
また、上述した二重構造の薬液収納用包装袋においては、熱溶着部における内層フィルムと外層フィルムとの密着性を良好にするため、内層フィルムおよび外層フィルムには、それぞれポリオレフィン樹脂等の熱溶着性を有する樹脂のフィルムを有する積層フィルムが好適に用いられている。
また、上記薬液収納用包装袋においては、内袋の内部は薬液と直接接触することから、内袋を構成する内層フィルムとしては、例えば、薬液への不純物の混入、不純物の溶出を抑制する観点から、無添加のポリオレフィンを用いることが提案されている。
しかしながら、薬液収納用包装袋は、近年、種々の薬液について使用することへの要望が高まってきており、内袋としては薬液への不純物の溶出性がより低いものが望まれている。
特開平9−95565号公報 特表平5−505372号公報 特表2009−539706号公報 特許第4920678号公報 特許第5008908号公報
Hongxiang Teng, "Overview of the Development of the Fluoropolymer Industry", Appl. Sci. 2012, 2, 496-512; doi:10.3390/app2020496
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、薬液への不純物の溶出を抑制することが可能な内袋を有する多重構造の薬液収納用包装袋、およびこれを用いた薬液収納用容器を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され上記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、上記袋本体と接合された注出部材とを有する薬液収納用包装袋であって、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、上記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置された第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置された第2外層フィルムとを有する積層フィルムであり、上記第1外層フィルムは、上記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムであり、上記第2外層フィルムは、上記内層フィルムの上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含むフィルムであることを特徴とする薬液収納用包装袋を提供する。
本発明によれば、内層フィルムが含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、外層フィルムが熱溶着用フィルムを有することにより、薬液への不純物の溶出を抑制することが可能な内袋を有する多重構造の包装袋とすることができる。
上記発明においては、上記内層フィルムが、上記含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなり、上記第1外層フィルムにおける上記熱溶着用フィルムが、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムであってもよい。内層フィルムが、含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなることにより、薬液への不純物の溶出をより効果的に抑制することができる。
上記発明においては、上記袋本体が、上記内袋および上記外袋の間に配置され、中間フィルムで構成された中間袋をさらに有し、上記熱溶着部における上記多層構造が、上記内層フィルム、上記中間フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた構造を有し、上記中間フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有することが好ましい。本発明の薬液収納用包装袋の強度を高いものとすることができる。
また、上記発明においては、上記内層フィルムが、上記薬液側に配置され、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1内層フィルムと、上記外袋側に配置され、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第2内層フィルムとを有する積層フィルムであり、上記外層フィルムにおける上記熱溶着用フィルムが、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むフィルムであってもよい。内層フィルムが第2内層フィルムを有することにより、第2内層フィルムの厚さ、材料等を選択して内袋の強度を調整することができる。よって、第1内層フィルムの厚さを薄くした場合も内袋の強度を担保することが可能となり、比較的高価な含フッ素樹脂の使用量を少なくし、低コストな包装袋とすることができる。また、外層フィルムの材料を広い範囲で選択することができる。
上記発明においては、上記袋本体が、上記内袋および上記外袋の間に配置され、中間フィルムで構成された中間袋をさらに有し、上記熱溶着部における上記多層構造が、上記内層フィルム、上記中間フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた構造を有し、上記中間フィルムは、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むことが好ましい。本発明の包装袋の強度を高いものとすることができる。
本発明は、外側容器と、上記外側容器内に配置された薬液収納用包装袋とを有する薬液収納用容器であって、上記薬液収納用包装袋が、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され上記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、上記袋本体と接合された注出部材とを有し、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、上記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置された第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置された第2外層フィルムとを有する積層フィルムであり、上記第1外層フィルムは、上記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムであり、上記第2外層フィルムは、上記内層フィルムの上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含むフィルムであることを特徴とする薬液収納用容器を提供する。
本発明によれば、上述した薬液収納用包装袋を有することにより、薬液収納用包装袋における内袋に由来する薬液への不純物の溶出を抑制して薬液を収納可能な薬液収納用容器とすることができる。
本発明の薬液収納用包装袋は、薬液への不純物の溶出を抑制することが可能な内袋を有する多重構造を有することができるといった作用効果を奏する。
本発明の薬液収納用包装袋の一例を示す模式図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の薬液収納用包装袋の内部を説明する説明図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薬液収納用包装袋の内部を説明する説明図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す模式図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す模式図である。 本発明における注出部材の一例について説明する説明図である。 本発明における注出部材の他の例について説明する説明図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す模式図である。 本発明の薬液収納用包装袋の他の例を示す模式図である。 図13のA−A線断面図である。 本発明の薬液収納用包装袋の内部を説明する説明図である。 本発明の薬液収納用容器の一例を示す概略断面図である。 本発明の薬液収納用容器の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薬液収納用容器における薬液の注出方法について説明する説明図である。 参考例3においてジメチルカーボネート(DMC)を用いた場合のガスクロマトグラフ質量分析の結果である。 参考例3においてプロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート(PGMEA) を用いた場合のガスクロマトグラフ質量分析の結果である。
以下、本発明の薬液収納用包装袋、および薬液収納用容器について説明する。
本発明の薬液収納用包装袋(以下、単に包装袋と称して説明する場合がある。)は、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され上記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、上記袋本体と接合された注出部材とを有するものであって、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、上記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置された第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置された第2外層フィルムとを有する積層フィルムであり、上記第1外層フィルムは、上記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムであり、上記第2外層フィルムは、上記内層フィルムの上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含むフィルムであることを特徴とするものである。
本発明において、「溶着されている」とは、通常、対向する複数の樹脂フィルムが熱溶着されていることをいう。また、本発明において「熱溶着されている」とは、対向する複数の樹脂フィルム表面が、加熱により溶融されて貼り合わされている状態をいう。「熱溶着」とは、複数の熱可塑性な樹脂部材を融点を超えるまで加熱し圧力を加えることで上述の樹脂部材が分子レベルで結合することを意味する。また、「熱溶着温度」とは、熱溶着する際の樹脂の加熱温度をいう。
また、「含フッ素樹脂の融点と同等の温度」とは、含フッ素樹脂の融点に対して0.9倍〜1.1倍の範囲内の温度をいい、好ましくは、0.93倍〜1.07倍の範囲内の温度をいう。
本発明によれば、内層フィルムが含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、外層フィルムが熱溶着用フィルムを有することにより、薬液への不純物の溶出を抑制することが可能な内袋を有する多重構造の包装袋とすることができる。
具体的には、内層フィルムが、薬液側の最表面に、上述の含フッ素樹脂を含むフィルムを有することにより、薬液と直接接触する内袋の内部に、薬液への不純物の溶出性が低い含フッ素樹脂を含むフィルムを配置することができる。また、第1外層フィルムが上述した熱溶着用フィルムであることにより、内層フィルムおよび第1外層フィルムを熱溶着部で溶着させることができることから、熱溶着部において内袋および外袋が一体化された多重構造の包装袋とすることができる。さらに、第2外層フィルムが、上述した含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含むフィルムであることにより、本発明の包装袋の製造時において、多層構造の上記第2外層フィルム側から加熱をして上記内層フィルム同士、ならびに上記内層フィルムおよび上記第1外層フィルムを熱溶着させる場合も、上記第2外層フィルムに含まれる樹脂の融点以下の温度でこれらのフィルムを熱溶着させることができるため、上記第2外層フィルムの劣化を抑制することができる。
本発明の薬液収納用包装袋は、内層フィルムの構成および外層フィルムの構成に応じて3つの実施態様がある。以下、実施態様について説明する。
なお、本発明における熱溶着用フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルム、および、含フッ素樹脂の融点と同様またはそれ以下の温度で熱溶着可能なフィルムを含む概念である。
I.第一実施態様
第一実施態様の薬液収納用包装袋は、上記内層フィルムが、上記含フッ素樹脂を含むフィルムのみを有し、上記第1外層フィルムにおける上記熱溶着用フィルムが、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムであることを特徴とする。
すなわち、第一実施態様の薬液収納用包装袋は、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され上記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、上記袋本体と接合された注出部材とを有するものであって、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなり、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置され融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置され上記内層フィルムの上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有する樹脂を含む第2外層フィルムとを有する積層フィルムであることを特徴とするものである。
第一実施態様の包装袋について図を用いて説明する。
図1は第一実施態様の包装袋の一例を示す模式図であり、図2は図1のA−A線断面図であり、図3は図1に例示する包装袋の内部について説明する説明図である。
図1〜図3に示すように、包装袋1は、内層フィルム21aで構成され薬液を収納する内袋21、および外層フィルム22aで構成され内袋を覆う外袋22を有する袋本体2と、袋本体と接合された注出部材3とを有する。また、内袋21および外袋22は、内層フィルム21aおよび外層フィルム22aを重ね合わせた多層構造が、内層フィルム21a同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部23を有する。第一実施態様においては、内層フィルム21aは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなるものである。また、外層フィルム22aは、内袋側に配置され融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1外層フィルム221と、袋本体2の外部側に配置され、内層フィルム21aの含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有する樹脂を含む第2外層フィルム222とを有する積層フィルムである。
包装袋1は、熱溶着部23において、多層構造における内層フィルム21a同士、ならびに内層フィルム21aおよび第1外層フィルム221が熱溶着された熱溶着面23Xを有しており、内袋21および外袋22が一体化された構成を有する。また、包装袋1は、熱溶着部23以外の部分において、内層フィルム21aと外層フィルム22aとが空間を設けて配置された構成を有する。
図1〜図3に例示する包装袋においては、注出部材3の一部が熱溶着部23における内層フィルム21aの間に接合されている例について示している。
なお、図1においてBで示される部分は、包装袋の二重構造を示している。
第一実施態様によれば、上記内層フィルムが上述の含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなることにより、第一実施態様の包装袋において薬液と直接接触する内袋を、薬液への不純物の溶出性が低い含フッ素樹脂を含むフィルムのみで構成することが可能となる。また、上記外層フィルムにおける第1外層フィルムが上述の含フッ素樹脂を含むフィルムであることにより、上記内層フィルムおよび第1外層フィルムを熱溶着部で熱溶着させることができることから、熱溶着部において内袋および外袋が一体化された多重構造の包装袋とすることができる。
第一実施態様は、内層フィルムが含フッ素樹脂を含むフィルムのみを有することから、後述する第二実施態様の包装袋に比べて、薬液への不純物の溶出をより効果的に抑制することができる。
なお、従来から薬液への不純物の溶出性が低い樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等の含フッ素樹脂が知られている。しかしながら、これらの含フッ素樹脂は、いずれも熱溶着温度が高温である。そのため、これらの含フッ素樹脂を含むフィルムを、内層フィルムに適用して内袋の薬液側に配置した多重構造の包装袋を製造しようとすると、外層フィルムとしては、内層フィルムの熱溶着温度よりも高い融点を有する樹脂を含むものを用いる必要があることから、外層フィルムに用いることができる材料の種類が大きく制限されるという問題がある。
また、含フッ素樹脂は加熱により熱分解ガスが生じることが懸念され、特に高温になるほどフッ化水素等の有毒ガスが生じやすい傾向がある。そのため、上述したPTFE等の含フッ素樹脂を含むフィルムを内袋に用いた場合においては、高温で熱溶着することが必要であることから、フッ化水素等の有毒ガスを生じることも懸念される。また、加熱温度が高温であるほど、包装袋の成形時におけるヒートシーラー等の熱溶着用装置への負荷についても大きくなり、消費されるエネルギーについても多くなるという問題がある。
上述の含フッ素樹脂の融点は、PTFE 317℃〜337℃、PFA 302℃〜310℃、ETFE 254℃〜279℃、FEP 260℃〜282℃であり、いずれも250℃を超えている(非特許文献1)。そのため、樹脂の融点を超えるまで加熱する必要のある熱溶着では上述の融点以上に加熱する必要があるために熱溶着温度が高温になる。
これに対して、第一実施態様においては、上記内層フィルムは融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムのみであることにより、第一実施態様の包装袋の製造時において、毒性の高い熱分解ガスの発生を抑制することができ、熱溶着用装置への負荷を小さくすることができ、また、消費エネルギーを削減することができる。
以下、第一実施態様の包装袋の詳細について説明する。
1.袋本体
第一実施態様における袋本体は、内袋と外袋とを有する。また、第一実施態様における袋本体においては、内袋および外袋が熱溶着部を有する。
以下、内袋、外袋および熱溶着部の詳細について説明する。
(1)内袋
第一実施態様における内袋は、内層フィルムで構成されるものである。また、内袋は薬液を収納するものである。内袋の形態については、第一実施態様の包装袋の形態に応じて適宜決定される。
(a)内層フィルム
以下、内袋に用いられる内層フィルムについて説明する。
第一実施態様における内層フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなるものである。第一実施態様における内層フィルムは、内袋において、薬液への不純物の溶出を抑制する機能を有するものである。
内層フィルムに用いられる含フッ素樹脂を含むフィルム(以下、含フッ素樹脂フィルムと称して説明する場合がある。)について説明する。
ここで、「含フッ素樹脂」とは、フッ素を含むオレフィン(エチレン系炭化水素あるいは不飽和炭化水素)を重合して得られる合成樹脂である。含フッ素樹脂においては、上述のフッ素を含むオレフィンとは異なる化合物によって樹脂の一部がグラフト変性されていてもよい。この変性の変性量は0.01質量%〜1質量%程度が好ましい。
「フィルムが、含フッ素樹脂を含む」とは、内層フィルムの融点を含フッ素樹脂の融点と同等とすることができ、薬液への不純物の溶出を抑制することができる程度であれば特に限定されず、含フッ素樹脂の含有量は、薬液収納用包装袋の用途に応じて適宜選択される。フィルム中の含フッ素樹脂の含有量としては、例えば、70質量%以上、なかでも80質量%以上、特に90質量%以上であることが好ましい。薬液への不純物の溶出を抑制する効果が高いことから、含フッ素樹脂の含有量は高いほど好ましい。
なお、内層フィルムの融点は、後述する含フッ素樹脂の融点の測定方法と同様の方法により測定することができる。
含フッ素樹脂フィルムは、含フッ素樹脂のみを含有していてもよく、含フッ素樹脂ではない樹脂をさらに含有していてもよい。薬液への不純物の溶出を抑制する観点からは、含フッ素樹脂のみを含有することがより好ましい。
内層フィルムは、含フッ素樹脂フィルムのみからなるものであればよく、通常、単層の含フッ素樹脂フィルムが用いられる。なお、内層フィルムは、例えば、複数の含フッ素樹脂フィルムが積層された積層フィルムであってもよい。この場合、積層フィルムは含フッ素樹脂フィルム以外の樹脂フィルムを含まない。
(i)含フッ素樹脂
第一実施態様における含フッ素樹脂は、融点が230℃以下であれば特に限定されない。すなわち、第一実施態様における含フッ素樹脂の融点としては、230℃以下であれば特に限定されず、なかでも150℃〜230℃の範囲内、特に150℃〜220℃の範囲内であることが好ましい。含フッ素樹脂の融点が上記値を超える場合は、外層フィルムへの加熱による負荷が大きくなることから、包装袋自体を製造することが困難となる可能性や、外層フィルムに使用可能な樹脂の種類が大きく制限される可能性があるからである。また、第一実施態様の包装袋を製造する際にかかる製造装置への負荷が大きくなることや、含フッ素樹脂の熱分解ガスが生じやすくなることが懸念される。
含フッ素樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)の吸熱ピークとし、JIS K 6935に準拠した方法にて測定する。
内層フィルムに含まれる含フッ素樹脂としては、より具体的には、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(EFEP)、低融点ETFE(LM−ETFE)等を挙げることができる。また、市販製品の例として旭硝子株式会社製のFluon(登録商標)LM−ETFE、ダイキン工業株式会社製のネオフロン(登録商標)EFEP等を挙げることができる。なかでも、第一実施態様においては、LM−ETFE、EFEPを用いることが好ましい。LM−ETFEの融点は例えば225℃であり、EFEPの融点は例えば195℃である。よって、LM−ETFE、EFEPは融点が低く、熱溶着させやすいからである。含フッ素樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。
(ii)含フッ素樹脂ではない樹脂
第一実施態様においては、必要に応じて、含フッ素樹脂フィルムが、含フッ素樹脂ではない樹脂(他の樹脂)をさらに含有していてもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、エチレン・メタアクリル酸共重合樹脂(EMAA)、変性ポリオレフィン、低密度ポリエチレン(LDPE)などが挙げられる。
これらの含フッ素樹脂ではない樹脂の具体例の中で、含フッ素樹脂との接着性が高いことから好ましくはポリアミド、EVOH、変性ポリオレフィンが挙げられる。
ポリアミドとしては、ε-カプロラクタムの重合体であるナイロン6(PA6)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合体であるナイロン66(PA66)、ラウリルラクタムの重合体であるナイロン12(PA12)、ウンデカンラクタムの重合体であるナイロン11(PA11)、PA6とPA66の共重合体であるナイロン6/66(PA6/66)などが挙げられる。これらのポリアミドの具体例の中で、含フッ素樹脂と融点が近いことから好ましくはPA6が挙げられる。なお、PA6の融点は例えば225℃である。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などが挙げられる。
これらのポリエステルの具体例の中で、含フッ素樹脂と融点が近いことから、好ましくはPBTが挙げられる。PBTの融点は例えば232℃〜267℃の範囲内である。
市販製品としては、例えば、ポリアミドとしてデュポン社製のナイロン、EVOHとしてクラレ社製のエバール(登録商標)、変性ポリオレフィンとして、三井化学株式会社製のアドマー(登録商標)、三菱化学株式会社製のモディック(登録商標)、東ソー株式会社製のメルセンG(登録商標)、東洋紡株式会社製のハードレン(登録商標)等を挙げることができる。
含フッ素樹脂フィルム中の他の樹脂の含有量としては、内層フィルムの融点を含フッ素樹脂の融点と同等とすることができ、薬液への不純物の溶出を抑制することができれば特に限定されない。上述した含フッ素樹脂の含有量に応じて適宜調整される。
(b)その他
内層フィルムの厚さとしては、内袋に由来する不純物の薬液への溶出を抑制することが可能な程度の厚さであれば特に限定されず、第一実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
内層フィルムの厚さとしては、例えば、5μm〜120μmの範囲内、なかでも5μm〜110μmの範囲内、特に5μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。内層フィルムの厚さが薄すぎると、内袋が破れ易くなる可能性があるからである。また、熱溶着部において内層フィルム同士を十分に熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、内層フィルムを良好に形成することが困難となる可能性があるからである。また、内層フィルムの厚さが厚すぎると、第一実施態様の包装袋の製造時において多層構造の厚さ方向へ熱が伝わりにくくなることから、内層フィルム同士を十分に熱溶着させることが困難となる可能性や、熱溶着に要する時間が多くかかる可能性があるからである。また、内層フィルムの厚さが厚すぎると、包装袋のフレキシブル性が低下する可能性があるからであり、薬液収納用容器に用いた場合に外側容器に追従しにくくなる可能性があるからである。
内層フィルムの形成方法としては、一般的な樹脂フィルムの形成方法と同様とすることができ、例えば、溶融押出法を挙げることができる。内層フィルムを複数の樹脂を用いて形成する方法としては、複数の樹脂を溶融混練して均一化した後に溶融した樹脂を押出機のヘッドから押し出してフィルムを形成する溶融混練押出法が挙げられる。溶融押出法および溶融混練押出法としては、具体的には、ヘッドとしてTダイを用いるTダイ法あるいはヘッドとして円形のダイを用い内部に空気を入れることで膨張させるインフレーション法が挙げられる。
(2)外袋
第一実施態様における外袋は、外層フィルムで構成されるものである。また、外袋は内袋の外側に配置されるものである。
ここで、「外袋が内袋の外側に配置される」とは、外袋が内袋を覆うように配置されている場合だけでなく、外袋から内袋が部分的に露出している場合も含む概念である。外袋の形態については、第一実施態様の包装袋の形態に応じて適宜決定される。
以下、外袋に用いられる外層フィルムについて説明する。
(a)外層フィルム
第一実施態様における外層フィルムは、第1外層フィルムと第2外層フィルムとを有する積層フィルムである。より具体的には、第一実施態様における外層フィルムにおいては、第1外層フィルムの一方の表面上に第2外層フィルムが層状に積層して形成され1枚のフィルムを構成する。また、外層フィルムにおいては、第1外層フィルムの一方の表面上に、直接、第2外層フィルムが層状に積層して形成されていてもよく、第1外層フィルムの一方の表面上に他の層を介して第2外層フィルムが層状に形成されていてもよい。
(i)第1外層フィルム
第一実施態様における第1外層フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムである。第1外層フィルムは内袋側に配置される。
第一実施態様における第1外層フィルムは、外袋において、内袋における内層フィルムと熱溶着して袋本体を多重構造とする機能を有する。
第1外層フィルムに含まれる含フッ素樹脂としては、融点が230℃以下であれば特に限定されず、内層フィルムに含まれる含フッ素樹脂と同一であってもよく、異なってもよい。第一実施態様においては、なかでも第1外層フィルムに含まれる含フッ素樹脂が、内層フィルムに含まれる含フッ素樹脂と同一であることが好ましい。内層フィルムと第1外層フィルムとを良好に熱溶着させることができるからである。また、第1外層フィルムとして用いられる含フッ素樹脂フィルムとしては、第1内層フィルムに用いられる含フッ素樹脂フィルムと同一であってもよく、異なっていてもよい。
第1外層フィルムに含まれる含フッ素樹脂、および含フッ素樹脂フィルムの詳細については、上述した「(1)内袋」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第1外層フィルムの厚さとしては、内層フィルムと熱溶着させることができれば特に限定されず、第一実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
第1外層フィルムの厚さとしては、例えば、5μm〜100μmの範囲内、なかでも5μm〜80μmの範囲内、特に5μm〜60μmの範囲内であることが好ましい。第1外層フィルムの厚さが薄すぎると、内層フィルムと十分に熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、後述の第2外層フィルムと積層させて良好なフィルム状とすることが困難となる可能性があるからである。また、第1外層フィルムの厚さが厚すぎると、第一実施態様の包装袋の製造時において多層構造の厚さ方向へ熱が伝わりにくくなることから、内層フィルムおよび第1外層フィルムを熱溶着させることが困難となる可能性や、内層フィルム同士を熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、熱溶着に要する時間が多くかかる可能性があるからである。
(ii)第2外層フィルム
第一実施態様における第2外層フィルムは、上記袋本体の外部側に配置され、上記内層フィルムの含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有する樹脂を含むフィルムである。また、第2外層フィルムは上記袋本体の外部側に配置される。
第一実施態様における第2外層フィルムは、外袋において、所定の強度を付与する機能を有する。
第2外層フィルムに含まれる樹脂としては、上記内層フィルムの含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有するものであれば特に限定されない。「内層フィルムの含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度」とは、上述した「含フッ素樹脂の融点と同等の温度」であるか、またはそれを上回る温度をいう。
第2外層フィルムに含まれる樹脂の融点としては、具体的には、230℃以上であり、なかでも230℃〜500℃の範囲内であることが好ましく、特に230℃〜400℃の範囲内であることが好ましく、さらに230℃〜300℃の範囲内であることが好ましい。第2外層フィルムに含まれる樹脂の融点が上記値に満たない場合は、内層フィルム同士、および内層フィルムと第1外層フィルムとを熱溶着するに際して、第2外層フィルムへの加熱負荷が大きくなってしまうことから、第一実施態様の包装袋自体を製造することが困難となる可能性があるからである。また、第一実施態様の包装袋を製造する際の製造装置への負荷が大きくなることや、含フッ素樹脂の熱分解ガスが生じやすくなることが懸念されるからである。
第2外層フィルムに含まれる樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)にて吸熱ピークとし、JIS K 6935に準拠した方法にて測定した値とする。
第2外層フィルムに含まれる樹脂としては、より具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド等を挙げることができる。第2外層フィルムとしてナイロンやポリブチレンテレフタラートなどを含む場合は、耐衝撃性を良好なものとでき、ナイロンやポリエチレンテレフタラートなどを含む場合は、ガスバリア性を良好なものとできる。このように、第2外層フィルムの樹脂選択により、外袋に所望の特性を付与することができる。
また第一実施態様の包装袋が、例えば、リチウムイオン電池の電解液等を収納するために用いられる場合は、第2外層フィルムとしては、PETもしくはPBTであることが好ましい。第2外層フィルムを含水率のより低いものとすることができ、上記電解液等の劣化をより好適に抑制することができるからである。
第2外層フィルムの厚さとしては、第1外層フィルムと積層してフィルム状に形成することができ、外袋に所定の強度を付与することができれば特に限定されず、第一実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
第2外層フィルムの厚さとしては、例えば、10μm〜100μmの範囲内、なかでも10μm〜90μmの範囲内、特に15μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。第2外層フィルムの厚さが薄すぎると、外袋に十分な強度を付与することが困難となる可能性があるからである。また、第2外層フィルムの厚さが厚すぎると、第一実施態様の包装袋の製造時において熱溶着部における多層構造の厚さ方向へ熱が伝わりにくくなることから、内層フィルム同士、ならびに内層フィルムおよび第1外層フィルムを十分に熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。
(iii)外層フィルム用機能層
第一実施態様における外層フィルムは、上述した第1外層フィルムおよび第2外層フィルムを有していれば特に限定されず、例えば、図4に示すように、第1外層フィルム221および第2外層フィルム222の間に、外層フィルム用機能層223を有していてもよい。外層フィルム22aが外層フィルム用機能層223を有する積層フィルムであることにより、外袋に所定の機能を付与することができる。
外層フィルム用機能層の機能としては、例えば、紫外光等の特定波長を吸収する光吸収機能、ガス、水分等に対するバリア機能、耐衝撃機能、帯電防止機能等を挙げることができる。
外層フィルム用機能層に用いられる材料としては、樹脂材料であってもよく、無機材料であってもよい。樹脂材料としては、例えば、PET、PBT、Ny、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等を挙げることができる。また、無機材料としては、例えば、アルミニウム、アルミナ、酸化ケイ素(透明蒸着)等を挙げることができる。
外層フィルム用機能層の厚さとしては、所定の機能を外層フィルムに付与することができ、上記第1外層フィルムおよび第2外層フィルムの間に積層して形成することができれば特に限定されないが、10μm〜100μmの範囲内、なかでも10μm〜80μmの範囲内、特に10μm〜60μmの範囲内であることが好ましい。外層フィルム用機能層の厚さが厚すぎる場合は、外袋の成型性が低下する場合や、外袋のフレキシブル性が低下する可能性があるからである。また、外層フィルム用機能層の厚さが薄すぎる場合は、外層フィルム用機能層を形成して外層フィルムに所望の機能を付与することが困難となる可能性があるからである。
外層フィルム用機能層の形成方法としては、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムの間に所定の機能を有する外層フィルム用機能層を形成することが可能な方法であれば特に限定されない。
例えば、外層フィルム用機能層が樹脂を含む場合は、後述する外層フィルムの形成方法で説明する方法を用いることができる。また、例えば、外層フィルム用機能層が無機材料で構成される場合は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法等の蒸着法を用いることができる。
(iv)外層フィルム
第一実施態様における外層フィルムは、上述した第1外層フィルムと第2外層フィルムとを有する積層フィルムである。外層フィルムの厚さとしては、外袋に所定の強度を付与することができれば特に限定されず、第一実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。外層フィルムの厚さとしては、例えば、15μm〜150μmの範囲内、なかでも20μm〜130μmの範囲内、特に20μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
外層フィルムの厚さが薄すぎる場合は、第一実施態様の包装袋の外袋に薬液を充填した場合に、薬液の重量によって外袋が破れる可能性があるからである。また、外層フィルムの厚さが厚すぎる場合は、第一実施態様の包装袋を製造しにくくなる可能性があるからである。また、包装袋のフレキシブル性が低下し、薬液収納用容器に追従しにくくなる可能性があるからである。
外層フィルムの形成方法としては、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムを積層させて形成することができる方法であれば特に限定されず、一般的な積層フィルムの形成方法と同様とすることができる。外層フィルムの形成方法としては、例えば、インフレーション法による共押出法、Tダイ法による共押出法等の共押出法等の押出機のヘッドとして多層ダイを用い異なる樹脂を同時に供給する共押出積層成形法、樹脂を溶融してTダイヘッドからフィルム状に押し出したものを異なる樹脂からなるフィルム基材にラミネートする押出コートラミネート法、接着剤を用いて張り合わせるドライラミネート法等を挙げることができる。また、例えば、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムを別々に形成し、両者を対向させて熱プレス機により熱圧着させることによっても外層フィルムを形成することができる。第一実施態様においては、なかでもインフレーション法による共押出法であることが好ましい。外層フィルムをチューブ状に形成することができるため、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムをチューブ状に形成し、チューブの両端に熱溶着部を形成することで、熱溶着させる部分を少なくして包装袋とすることができる。
第1外層フィルムおよび第2外層フィルムに含まれる樹脂の組み合わせ(第1外層フィルムの樹脂/第2外層フィルムの樹脂)としては特に限定されないが、例えば、EFEP/PBT、EFEP/PA66、LM−ETFE/PBT、LM−ETFE/PA66であることが好ましい。これらの積層フィルムは、例えば、共押出積層成形法を用いて形成することができる。
(b)その他
第一実施態様における外袋は、内袋を覆うものであり、第一実施態様の包装袋の外部からの衝撃、摩擦等から内袋を保護するものである。外袋においては、内袋側に第1外層フィルムが配置され、袋本体の外部側に第2外層フィルムが配置される。
(3)中間袋
第一実施態様の包装袋は、図5〜図7に示すように、袋本体2が、内袋21および外袋22の間に配置され、中間フィルム24aで構成された中間袋24をさらに有することが好ましい。この場合、後述する熱溶着部23における多層構造は、内層フィルム21a、中間フィルム24aおよび外層フィルム22aを重ね合わせた構造を有する。また、中間フィルム24aは、230℃以下の温度で熱溶着可能な含フッ素樹脂を含むフィルムを有することを特徴とする。
また、中間袋24は、通常、内袋21を覆い、かつ、外袋22に覆われるように配置されるものである。
なお、図5は第一実施態様の薬液収納用包装袋の内部を説明する説明図である。また、図6および図7は第一実施態様の薬液収納用包装袋の他の例を示す概略断面図である。
第一実施態様においては、中間袋を有することにより、包装袋の強度をより高くすることができる。
中間フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有するものであり、より具体的には、内袋側および外袋側の表面に上述した含フッ素樹脂を含むフィルムを有する。
このような中間フィルム24aとしては、例えば、図6に示すように、上述の含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなるものであってもよく、また例えば、図7に示すように、含フッ素樹脂を含む第1中間フィルム241、中間フィルム用機能層242および含フッ素樹脂を含む第2中間フィルム243の3層に積層された積層フィルムであってもよい。
中間フィルムが、含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなる場合、含フッ素樹脂の種類、および中間フィルムの厚さについては、上述した内層フィルムの項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、中間フィルムが上述した3層の積層フィルムである場合、中間フィルム用機能層については、上述した外層フィルム用機能層の項で説明した内容と同様とすることができる。また、第1中間フィルムおよび第2中間フィルムについては、上述した第1外層フィルムの項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、第一実施態様における中間袋は、内袋と外袋との間に1つ配置されていてもよく、2つ以上配置されていてもよい。すなわち、第一実施態様の包装袋は、3重構造を有していてもよく、それ以上の多重構造を有していてもよい。
(4)熱溶着部
第一実施態様における内袋および外袋は、熱溶着部を有する。
第一実施態様における熱溶着部は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されているものであり、通常、多層構造が、内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で熱溶着されているものである。また、第一実施態様の包装袋において、熱溶着部は内袋と外袋とが一体化された部分である。
第一実施態様における熱溶着部においては、通常、2つの多層構造が、内層フィルム同士を対向させて配置されている。また、熱溶着部においては、通常、図2に示すように、内層フィルム21a同士、ならびに内層フィルム21aおよび第1外層フィルム221が熱溶着されており、熱溶着面23Xを有する。
熱溶着部の形成位置としては、内層フィルムおよび外層フィルムの形態に応じて適宜選択することができる。例えば、内層フィルムおよび外層フィルムがシート状である場合において、シート状の内層フィルムおよび外層フィルムをそれぞれ2枚ずつ準備し、内層フィルム同士が対向するように4枚重ね合わせて多層構造同士を重ね合わせた場合は、図8に示すように、包装袋1の周囲を囲むように4辺に熱溶着部23を形成することができる。また、シート状の内層フィルムおよび外層フィルムを1枚ずつ準備し、内層フィルムおよび外層フィルムを重ね合わせた状態で折り曲げて多層構造同士を重ね合わせた場合は、図9に示すように、3辺に熱溶着部23の形成することができる。
また、内層フィルムおよび外層フィルムがチューブ状である場合は、図1〜図3に示すように内層フィルム21aおよび外層フィルム22aを同心円状に配置し、チューブの端部である2辺に熱溶着部23を形成することができる。
なお、図8および図9は、第一実施態様の包装袋の他の例を示す模式図であり、説明していない符号については、上述した図1等において説明した符号と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。また、図8および図9においては、説明の容易のため、内袋については省略して示している。
また、熱溶着部において、袋本体の内縁角部に設けられる部分については、図1等に示すように弧状に形成されていてもよく、図示はしないが直線状に形成されていてもよい。熱溶着部における上記内縁角部は弧状に形成されている場合は、薬液が上記内縁角部に残存しにくいものとすることができる。
また、後述するように注出部材が熱溶着部の一部に接合される場合、図1に示すように、熱溶着部23としては、その注出部材3との接合部分における幅x1に対して、両端の幅x2が大きくなるようにテーパー状に形成されていてもよい。
熱溶着部の幅としては、内層フィルム同士、ならびに内層フィルムおよび第1外層フィルムを熱溶着させることができれば特に限定されず、包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
熱溶着部の幅としては、具体的には、5mm〜40mmの範囲内、なかでも5mm〜35mmの範囲内、特に5mm〜30mmの範囲内であることが好ましい。熱溶着部の幅が小さすぎる場合は、十分なシール強度を得ることが困難となる可能性があるからであり、熱溶着部の幅が大きすぎる場合は、袋内部の容積を確保するために袋全体をサイズアップする必要があることから、ハンドリング性が低下する可能性があるからである。熱溶着部の幅とは、熱溶着部における最小の幅をいう。
熱溶着部における内層フィルム同士、ならびに内層フィルムおよび第1外層フィルムの熱溶着面の接着強度としては、第一実施態様の包装袋の内部に薬液を収納して保持することが可能な程度であれば特に限定されず、第一実施態様の包装袋の用途に応じて適宜選択することができる。
熱溶着部における内層フィルム同士の熱溶着面の接着強度としては、例えば、15N/15mm以上、なかでも20N/15mm以上、特に30N/15mm以上であることが好ましい。接着強度が小さすぎる場合は、第一実施態様の包装袋の内部に収納する薬液の重さで破袋してしまう可能性があるからである。また、上記接着強度としては、例えば、80N/15mm以下であることが好ましい。第一実施態様の包装袋の製造における熱溶着時間、加熱温度を調整しやすいからである。
上記接着強度は、移動速度を300mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJISZ0238に準拠して実施するT形はく離接着強さ試験で測定することができる。
熱溶着部の形成方法としては、多層構造において内層フィルム同士ならびに内層フィルムおよび第1外層フィルムを溶着させることができれば特に限定されず、一般的な熱溶着フィルムの加工に用いられる熱溶着の方法と同様とすることができる。具体的な熱溶着の方法としては、例えば、15キロヘルツ〜50キロヘルツ程度の超音波振動を圧力とともにフィルム(部材)に加えることで、フィルムに生じる摩擦熱によりフィルムを加熱し接合する方法である超音波溶着法、100ヘルツ〜300ヘルツ程度の低い周波数を用い、振幅の大きい横振動をフィルムに伝えることでフィルムに生じる摩擦熱によりフィルムを加熱し接合する方法である振動溶着法、電磁誘導コイルを利用して物理的に離れている被誘導体に電流が流れる電磁誘導を用いフィルムに生じる誘導加熱によりフィルムを加熱し接合する方法である誘導溶着法、高周波エネルギーの電界作用を用い、フィルムそのものを内部から発熱させることで、フィルムを加熱し接合する方法である高周波溶着法、光を通す透過性樹脂と光を吸収する吸収性樹脂とを適度な圧力で重ね合わせレーザーを照射することで、吸収性樹脂が発熱する光加熱によりフィルムを加熱し接合する方法である半導体レーザー溶着法、ヒーターを使用して加熱した熱板をフィルムに直接押し当てることで、熱伝導の作用によりフィルムを加熱し接合する方法である熱板溶着法、フィルムにヒーター線を加圧して瞬間的に大電流を流して発熱させることでフィルムを加熱し接合する方法であるインパルス溶着法、対向するフィルムの間にコテと呼ばれる加熱板を挿入することでフィルムを加熱しローラーの加圧により接合する方法であるコテ式溶着法、一方のフィルムを固定し他方のフィルムを回転させ加圧することで、接触面で発生する摩擦熱によりフィルムを加熱し接合する方法であるスピン溶着法等が挙げられる。
上述した熱溶着の方法の中でも、フィルムの溶け量が多いために溶着の状態が安定していることや生産性が高いことから、熱板溶着法、インパルス溶着法、コテ式溶着法を用いることが好ましい。これらの好ましい熱溶着の方法の具体例を総称してヒートシールとも呼ぶ。
ヒートシールに用いられるヒートシール機については公知の方法とすることができる。
(5)袋本体
第一実施態様における袋本体は、上述した内袋および外袋を有するものである。
第一実施態様における袋本体の形態としては、第一実施態様の包装袋の用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されず、一般的な包装袋に用いられる形態と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
第一実施態様における袋本体は、通常、内袋と外袋との二重構造を有するものである。また、上述した中間袋を有する場合は、多重構造とすることができる。
2.注出部材
第一実施態様における注出部材は、上記袋本体と接合されたものである。
また、第一実施態様における注出部材は、包装袋において内袋の内部と包装袋の外部と通じさせる注出口を設けるために用いられるものである。
このような注出部材の形態としては、包装袋に用いられる注出部材として公知のものを用いることができる。
図10(a)は第一実施態様に用いられる注出部材の一例を示す模式図であり、図10(b)は図10(a)のA−A線断面図であり、図10(c)は図10(a)のB方向からみた概略平面図である。
図10(a)〜(c)に示すように、例えば注出部材3としては、包装袋の外部に配置される注出口係合部31と、注出部材3を袋本体に取り付ける注出口取付部32と、注出口係合部31および注出口取付部32を結合する中間柱部33とを有するものが挙げられる。また、注出部材3は注出口係合部31、中間柱部33および注出口取付部32を貫通する開口部34を有する。図10(a)〜(c)に示す注出部材3においては、例えば、注出口係合部31は、断面形状が略U字形状の底部を備えた筒状部311と、筒状部311の上端周辺から外側に張り出したフランジ部312とを有する。また、中間柱部33は筒状であり、その直径が注出口係合部31の筒状部311の直径よりも小さく形成されている。注出口取付部32は中間柱部33から連続して形成される筒状の取付用柱部321と、取付用柱部321の側面に配置された板状リブ322とを有する。また、注出口取付部32は、溝部323を有していてもよい。溝部を有することにより、熱溶着の際に内層フィルムの樹脂が溝部に入り込むことができ、袋本体と柱状部材とを良好に接合することができる。
注出部材が上述した形態を有するものである場合、注出部材は、通常、図1に示すように、袋本体2の熱溶着部23の一部に接合される。より具体的には、多層構造の対向する内層フィルムの間に注出口取付部を配置して、内層フィルムの一部と注出口取付部とを熱溶着させて接合される。
上述した注出部材の形態の詳細については、例えば、特許5008908号公報に記載されている内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
図11(a)は第一実施態様に用いられる注出部材の他の例を示す模式図であり、図11(b)は図11(a)のA−A線断面図であり、図11(c)は図11(a)のB方向からみた概略平面図である。
図11(a)〜(c)に示すように、例えば注出部材3としては、底部を有する筒状部351およびフランジ部352を有する注出口本体35と、筒状部351の底部と連続して設けられた底部装着リング36とを有するものが挙げられる。筒状部351の底部には開口部34を有する。
注出部材が上述した形態を有するものである場合、注出部材は、通常、図12に示すように、袋本体2の側面の一部に接合される。より具体的には、内袋および外袋の面の一部に穴を開けてその穴に注出口本体を挿入して、内層フィルムと底部装着リングとを溶着させて接合される。また、この場合に用いられる溶着方法としては、熱溶着法の他、超音波溶着法、溶剤溶着法等を挙げることができる。また、内層フィルムと底部装着リングとは、例えば接着剤を用いて接合させてもよい。
上述した注出部材の形態の詳細については、例えば、特許4920678号公報に記載されている内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
注出部材の材料としては、通常、樹脂が用いられる。
また、注出部材は、内層フィルムと熱溶着させて接合させることが好ましいことから、注出部材の材料としては、230℃以下で熱溶着可能な含フッ素樹脂を含むことが好ましい。また、注出部材の材料としては、内層フィルムに含まれる含フッ素樹脂と同じ含フッ素樹脂を含むことがより好ましい。両者を良好に熱溶着させることができ、包装袋と注出部材とを良好に接合させることができるからである。
また、第一実施態様において、注出部材の材料として上述の含フッ素樹脂を用いる場合は、少なくとも注出部材の表面が含フッ素樹脂を含むものであればよく、注出部材の全体が上述の含フッ素樹脂で構成されていてもよく、注出部材の表面のみが含フッ素樹脂を含み、他の部分が上述の含フッ素樹脂以外の樹脂で構成されていてもよい。この場合、含フッ素樹脂以外の樹脂としては、例えば、PE、PP、Ny、PET等を挙げることができる。
注出部材の形成方法としては、一般的な包装袋の注出部材の形成方法と同様とすることができ、具体的には、射出成形方法等を挙げることができる。
3.その他の構成
第一実施態様の包装袋は、上述した袋本体と、注出部材とを有するものであれば特に限定されず、必要に応じて他の構成を適宜選択して追加することができる。
例えば、注出部材を覆う蓋等を挙げることができる。
4.包装袋
第一実施態様の包装袋は、通常、薬液収納用容器における外側容器内に配置されて用いられる。薬液収納用容器については、後述する「B.薬液収納用容器」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。
第一実施態様の包装袋の製造方法としては、特に限定されず、一般的な包装袋の製造方法と同様とすることができる。
例えば、内層フィルムおよび外層フィルムをそれぞれ準備する。次に、内層フィルムおよび外層フィルムを重ね合わせ、多層構造を形成する。次に、多層構造を内層フィルム同士が対向するように重ね合わせ、外層フィルムの外側から多層構造の一部を加熱することにより、内層フィルム同士、ならびに内層フィルムおよび第1外層フィルムを熱溶着させて熱溶着部を形成する。
上述の製造方法においては、熱溶着部の形成前に、内層フィルムの内面側を洗浄することが好ましい。第一実施態様における内袋の薬液側に付着するパーティクル等を少なくすることができ、また、洗浄後の内層フィルムを乾燥させやすいからである。
第一実施態様の包装袋を用いることが可能な薬液としては、例えば、フォトレジスト、エッチング液、化学蒸着試薬、溶剤、ウェハ等の洗浄液、リチウムイオン電池等に用いられる電解液等を挙げることができるが、これらに限定されない。
II.第二実施態様
第二実施態様の薬液収納用包装袋は、上記内層フィルムが、上記薬液側に配置され、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1内層フィルムと、上記外袋側に配置され、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第2内層フィルムとを有する積層フィルムであり、上記外層フィルムにおける熱溶着用フィルムが、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むフィルムであることを特徴とする。
すなわち、第二実施態様の薬液収納用包装袋は、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され上記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、上記袋本体と接合された注出部材とを有するものであって、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、上記薬液側に配置され融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1内層フィルムと、上記外袋側に配置され上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第2内層フィルムとの積層フィルムであり、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置され上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置され上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有する樹脂を含む第2外層フィルムとの積層フィルムであることを特徴とするものである。
第二実施態様の包装袋について図を用いて説明する。
図13は第二実施態様の包装袋の一例を示す模式図であり、図14は図13のA−A線断面図であり、図15は図13に例示する包装袋の内部について説明する説明図である。
図13〜図15に示すように、第二実施態様においては、内層フィルム21aは、薬液側に配置され融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1内層フィルム211と、外袋22側に配置され含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第2内層フィルム212との積層フィルムである。また、外層フィルム22aは、内袋21側に配置され含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第1外層フィルム221と、袋本体2の外部側に配置され、含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有する樹脂を含む第2外層フィルム222との積層フィルムである。
包装袋1は、熱溶着部23において、多層構造における第1内層フィルム211同士、ならびに第2内層フィルム212および第1外層フィルム221が熱溶着された熱溶着面23Xを有しており、内袋21および外袋22が一体化された構成を有する。また、包装袋1は、熱溶着部23以外の部分において、内層フィルム21aと外層フィルム22aとが間隔を設けて配置された構成を有する。
なお、図13〜図15において説明していない符号については、上述した図1〜図3で説明した内容と同様とすることができる。
第二実施態様によれば、内層フィルムが上述した積層フィルムであることにより、薬液への不純物の溶出性の低い含フッ素樹脂を含む第1内層フィルムを内袋の薬液側に配置することが可能となる。また、内層フィルムが第2内層フィルムを有し、外層フィルムが第1外層フィルムを有することにより、第2内層フィルムおよび第1外層フィルムを熱溶着部で熱溶着させることができることから、熱溶着部において内袋および外袋が一体化された構成とすることができる。
また、第二実施態様によれば、内層フィルムが第2内層フィルムを有することにより、第2内層フィルムの厚さ、材料等を選択して内袋の強度を調整することができる。よって、第1内層フィルムの厚さを薄くした場合も内袋の強度を担保することが可能となり、比較的高価な含フッ素樹脂の使用量を少なくし、低コストな包装袋とすることができる。
「I.第一実施態様」の項で説明したように、PTFE等の含フッ素樹脂は、高い融点を有することから、外層フィルムの材料の制限、加工時の有毒ガスの発生の懸念、消費エネルギーが多い等の問題がある。これに対して、第二実施態様においては、第1内層フィルムが上述の含フッ素樹脂を含むことにより、外層フィルムに汎用性のある樹脂フィルムを用いることができる。また、第二実施態様の包装袋の製造時において、毒性の高い熱分解ガスの発生を抑制することができ、熱溶着用装置への負荷を小さくすることができ、また、消費エネルギーを削減することができる。
以下、第二実施態様の包装袋の詳細について説明する。
1.袋本体
第二実施態様における袋本体は、内袋と外袋とを有する。また、第二実施態様における袋本体においては、内袋および外袋が熱溶着部を有する。
(1)内袋
第二実施態様における内袋は、内層フィルムで構成されるものである。
(a)内層フィルム
第二実施態様における内層フィルムは、第1内層フィルムおよび第2内層フィルムの積層フィルムである。より具体的には、第二実施態様における内層フィルムにおいては、第1内層フィルムの一方の表面上に第2内層フィルムが層状に積層して形成され1枚のフィルムを構成する。また、内層フィルムにおいては、第1内層フィルムの一方の表面上に、直接、第2内層フィルムが層状に積層して形成されていてもよく、第1内層フィルムの一方の表面上に他の層を介して第2内層フィルムが層状に形成されていてもよい。
(i)第1内層フィルム
第二実施態様における第1内層フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムである。また、第1内層フィルムは上記薬液側に配置される。また、第二実施態様においては、通常、第1内層フィルム同士は対向して配置されて熱溶着される。
第二実施態様における第1内層フィルムは、内袋において、薬液への不純物の溶出を抑制する機能を有するものである。
第1内層フィルムに用いられる含フッ素樹脂フィルムについては、上述した「I.第一実施態様」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
第1内層フィルムの厚さとしては、内袋の薬液への不純物の溶出を抑制することが可能な程度の厚さであれば特に限定されず、第二実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
第1内層フィルムの厚さとしては、例えば、5μm〜100μmの範囲内、なかでも10μm〜80μmの範囲内、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。第1内層フィルムの厚さが薄すぎると、第2内層フィルムと積層させて良好なフィルム状とすることが困難となる可能性があるからである。また、第1内層フィルムを透過して第2内層フィルムに由来する不純物が薬液へ溶出する可能性があるからである。また、熱溶着部において第1内層フィルム同士を十分に熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、第1内層フィルムを良好に形成することが困難となる可能性があるからである。また、第1内層フィルムの厚さが厚すぎると、第1内層フィルム同士を十分に熱溶着させることが困難となる可能性や、熱溶着に要する時間が多くかかる可能性があるからである。また、含フッ素樹脂の使用量が多くなることから第二実施態様の包装袋のコストが高くなる場合があるからである。
(ii)第2内層フィルム
第二実施態様における第2内層フィルムは、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むフィルムである。また、第2内層フィルムは外袋側に配置される。また、第二実施態様においては、通常、第2内層フィルムは第1外層フィルムと対向して配置されて熱溶着される。
第二実施態様における第2内層フィルムは、内袋において、内袋に所定の強度を付与する機能を有し、また、外袋における第1外層フィルムと熱溶着して袋本体を二重構造とする機能を有する。また、中間袋を有する場合は、袋本体を多重構造とすることができる。
第2内層フィルムに含まれる樹脂としては、含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能なものであれば特に限定されず、第1内層フィルムに含まれる含フッ素樹脂の種類等に応じて適宜選択することができる。ここで、「含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度」とは、上述した「含フッ素樹脂の融点と同等の温度」であるか、またはそれを下回る温度をいう。
第2内層フィルムに含まれる樹脂の熱溶着温度としては、例えば、230℃以下であることが好ましく、なかでも80℃〜230℃の範囲内、特に80℃〜220℃の範囲内であることが好ましい。第2内層フィルムに含まれる樹脂の熱溶着温度が上記値を超える場合は、外層フィルムへの加熱による負荷が大きくなることから、包装袋自体を製造することが困難となる可能性や、外層フィルムに使用可能な樹脂が大きく制限される可能性があるからである。
第2内層フィルムに含まれる樹脂としては、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能なものであれば特に限定されない。このような樹脂としては、例えば、LDPEなどのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。また、変性ポリオレフィンを用いることができる。他にも、第2内層フィルムに含まれる樹脂としては、例えば、EVOH等を用いることができる。また、第二実施態様においては、なかでもポリエチレンを用いることが好ましく、超低溶出ポリエチレンを用いることがさらに好ましい。第2内層フィルムに由来する不純物が第1内層フィルムを透過して、薬液中に混入することを好適に抑制することができるからである。超低溶出ポリエチレンとしては、例えば、無添加のノバテック(登録商標)LD(日本ポリエチレン株式会社)等を挙げることができる。
第2内層フィルムの厚さとしては、第1内層フィルムと積層させて内層フィルムを構成することができ、内袋を形成することが可能な程度の厚さであれば特に限定されず、第二実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
第2内層フィルムの厚さとしては、例えば、10μm〜100μmの範囲内、なかでも15μm〜90μmの範囲内、特に20μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。第2内層フィルムの厚さが薄すぎると、第1内層フィルムと積層させて良好なフィルム状とすることが困難となる可能性があるからである。また、内袋に十分な強度を付与することが困難となる可能性があるからである。また、第2内層フィルムの厚さが厚すぎると、第2内層フィルムおよび第1外層フィルム、ならびに第1内層フィルム同士を熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、熱溶着に要する時間が多くかかる可能性があるからである。
(iii)内層フィルム用機能層
第二実施態様における内層フィルムは、必要に応じて、第1内層フィルムおよび第2内層フィルムの間に、内層フィルム用機能層が形成されていてもよい。内層フィルム用機能層については、上述した「I.第一実施態様」における外層フィルム用機能層の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(iv)内層フィルム
第二実施態様における内層フィルムは、上述した第1内層フィルムおよび第2内層フィルムの積層フィルムである。内層フィルムの厚さとしては、内袋に所定の強度を付与することができれば特に限定されず、第二実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。内層フィルムの厚さとしては、例えば、15μm〜120μmの範囲内、なかでも20μm〜110μmの範囲内、特に30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。内層フィルムの厚さが薄すぎる場合、または厚すぎる場合は、上述した「I.第一実施態様」の項で記載した問題が生じる可能性があるからである。
内層フィルムの形成方法としては、一般的な積層フィルムの形成方法と同様とすることができ、例えば、上述した外層フィルムの形成方法と同様の方法を用いることができる。
内層フィルムは、第1内層フィルムおよび第2内層フィルムの積層フィルムであってもよく、第1内層フィルム、内層フィルム用機能層および第2内層フィルムの積層フィルムであってもよいが、製造コストを低くすることができる観点からは、前者であることがより好ましい。
第1内層フィルムおよび第2内層フィルムに含まれる樹脂の組み合わせ(第1内層フィルムの樹脂/第2内層フィルムの樹脂)としては特に限定されないが、例えば、EFEP/EVOH、LM−ETFE/EVOHであることが好ましい。また、第1内層フィルム、内層フィルム用機能層および第2内層フィルムに含まれる樹脂の組み合わせ(第1内層フィルムの樹脂/内層フィルム用機能層の樹脂/第2内層フィルムの樹脂)としては、例えば、EFEP/PA6/変性ポリオレフィン、EFEP/変性ポリオレフィン/LDPE、EFEP/変性ポリオレフィン/LDPE/EVOH/LDPE、LM−ETFE/PA6/変性ポリオレフィン、LM−ETFE/変性ポリオレフィン/LDPE、LM−ETFE/変性ポリオレフィン/LDPE/EVOH/LDPE等を挙げることができる。これらの積層フィルムは、例えば、共押出積層成形法を用いて形成することができる。
(b)内袋
第二実施態様における内袋は、薬液を収納するものであり、内袋においては薬液側に第1内層フィルムが配置され、外袋側に第2内層フィルムが配置される。すなわち、内袋の内部に第1内層フィルムが配置され、内袋の外部に第2内層フィルムが配置される。
内袋の形態としては、第二実施態様の包装袋の形態に応じて適宜決定される。
(2)外袋
第二実施態様における外袋は、外層フィルムで構成されるものである。また、外袋は内袋の外側に配置されるものである。
(a)外層フィルム
第二実施態様における外層フィルムは、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムの積層フィルムである。より具体的には、第二実施態様における外層フィルムにおいては、第1外層フィルムの一方の表面上に第2外層フィルムが層状に積層して形成され1枚のフィルムを構成する。
(i)第1外層フィルム
第二実施態様における第1外層フィルムは、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むフィルムである。また、第1外層フィルムは内袋側に配置される。また、第二実施態様においては、通常、第1外層フィルムは第2内層フィルムと対向して配置されて熱溶着される。
第二実施態様における第1外層フィルムは、外袋において、内袋における第2内層フィルムと熱溶着して袋本体を二重構造とする機能を有する。
第1外層フィルムに含まれる樹脂としては、含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能なものであれば特に限定されず、第1内層フィルムに含まれる含フッ素樹脂の種類等に応じて適宜選択することができる。
第1外層フィルムに含まれる樹脂の具体的な熱溶着温度については、上述した「(1)内袋 (a)内層フィルム (ii)第2内層フィルム」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
第1外層フィルムに含まれる樹脂は、通常、第2内層フィルムに含まれる樹脂と熱溶着可能なものである。このような樹脂としては、第2内層フィルムに含まれる樹脂と同一の樹脂を用いてもよく、異なる樹脂を用いてもよい。なかでも、第二実施態様においては、第1外層フィルムに含まれる樹脂が第2内層フィルムに含まれる樹脂と同一の樹脂であることが好ましい。第1外層フィルムおよび第2内層フィルムを良好に熱溶着させることができるからである。また、第1外層フィルムとして用いられる樹脂フィルムとしては、第1内層フィルムに用いられる樹脂フィルムと同一であってもよく、異なっていてもよい。
第1外層フィルムに用いられる具体的な樹脂については、上述した「(1)内袋 (a)内層フィルム (ii)第2内層フィルム」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
第1外層フィルムの厚さとしては、第2内層フィルムと熱溶着させることができれば特に限定されず、第二実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
第1外層フィルムの厚さとしては、例えば、10μm〜100μmの範囲内、なかでも10μm〜90μmの範囲内、特に15μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。第1外層フィルムの厚さが薄すぎると、第2内層フィルムと十分に熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、第2外層フィルムと積層させて良好なフィルム状とすることが困難となる可能性があるからである。また、第1外層フィルムの厚さが厚すぎると、第二実施態様の包装袋の製造時において多層構造の厚さ方向へ熱が伝わりにくくなることから、第1外層フィルムおよび第2内層フィルムを熱溶着させることが困難となる可能性や、第1内層フィルム同士を熱溶着させることが困難となる可能性があるからである。また、熱溶着に要する時間が多くかかる可能性があるからである。
(ii)第2外層フィルム
第二実施態様における第2外層フィルムは、上記袋本体の外部側に配置され、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の温度の融点を有する樹脂を含むフィルムである。また、第2外層フィルムは上記袋本体の外部側に配置される。
第二実施態様における第2外層フィルムは、外袋において、所定の強度を付与する機能を有する。第2外層フィルムについては上述した「I.第一実施態様」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(iii)外層フィルム用機能層
第二実施態様における外層フィルムは、必要に応じて、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムの間に、外層フィルム用機能層が形成されていてもよい。外層フィルム用機能層については、上述した「I.第一実施態様」における外層フィルム用機能層の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(iv)外層フィルム
第二実施態様における外層フィルムは、上述した第1外層フィルムおよび第2外層フィルムの積層フィルムである。外層フィルムの厚さとしては、外袋に所定の強度を付与することができれば特に限定されず、第二実施態様の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。外層フィルムの厚さとしては、例えば、20μm〜120μmの範囲内、なかでも20μm〜100μmの範囲内、特に30μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。外層フィルムの厚さが薄すぎる場合、または厚すぎる場合は、上述した「I.第一実施態様」の項で記載した問題が生じる可能性があるからである。
外層フィルムの形成方法としては、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムを積層させて形成することができれば特に限定されない。具体的な外層フィルムの形成方法については、上述した「(1)内袋 (a)内層フィルム (iii)内層フィルム」の項で説明した内容と同様とすることができる。
(b)外袋
第二実施態様における外袋は、内袋の外側に配置されるものであり、第二実施態様の包装袋の外部からの衝撃、摩擦等から内袋を保護するものである。外袋においては、内袋側に第1外層フィルムが配置され、袋本体の外部側に第2外層フィルムが配置される。
外袋の形態としては、第二実施態様の包装袋の形態に応じて適宜決定される。第二実施態様においては、外袋が内袋を覆うように配置されていることが好ましい。内袋を好適に保護することができるからである。
(3)中間袋
第二実施態様の包装袋は、上記袋本体が、上記内袋および上記外袋の間に配置され、中間フィルムで構成された中間袋をさらに有し、上記熱溶着部における上記多層構造が、上記内層フィルム、上記中間フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた構造を有し、上記中間フィルムは、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むことが好ましい。第二実施態様においては、中間袋を有することにより、包装袋の強度をより高くすることができる。
中間フィルムに用いられる樹脂については、上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂であれば特に限定されず、上述した「(1)内袋 (a)内層フィルム (ii)第2内層フィルム」の項で説明した樹脂から選択して用いることができるため、ここでの説明は省略する。また、中間フィルムの厚さについては、上述した「(1)内袋 (a)内層フィルム (iii)内層フィルム」の項で説明した内層フィルムの厚さと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
中間フィルムは、例えば、中間フィルム用機能層を有していてもよい。中間フィルムは、内袋側の最内層に第2内層フィルムと熱溶着可能な樹脂が用いられ、外袋側の最表面側に第1外層フィルムと熱溶着可能な樹脂が用いられる。中間フィルム用機能層、中間フィルムの層構成、中間袋の数については、上述した「I.第一実施態様」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(3)熱溶着部および袋本体
熱溶着部および袋本体については、上述した「I.第一実施態様」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.注出部材およびその他の構成
第二実施態様における注出部材は、上記袋本体と接合されたものである。注出部材およびその他の構成については、上述した「I.第一実施態様」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.包装袋
第二実施態様の包装袋の製造方法としては、特に限定されず、一般的な包装袋の製造方法と同様とすることができる。具体的には、上述した「I.第一実施態様」で説明した包装袋の製造方法と同様とすることができる。第二実施態様においては、熱溶着部の形成前に、内層フィルムの第1内層フィルム側を洗浄することが好ましい。第二実施態様における内袋の薬液側に付着するパーティクル等を少なくすることができ、また、洗浄後の第1内層フィルムを乾燥させやすいからである。
III.第三実施態様
第三実施態様の薬液収納用包装袋は、上記内層フィルムが、上記薬液側に配置された第1内層フィルムと、上記外袋側に配置された第2内層フィルムと、上記第1内層フィルムおよび上記第2内層フィルムの間に配置された内層フィルム用機能層を有する積層フィルムであり、上記第1内層フィルムおよび上記第2内層フィルムが、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムであり、上記外層フィルムにおける上記熱溶着用フィルムが、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムであることを特徴とする。
第三実施態様によれば、第1内層フィルムが、含フッ素樹脂フィルムであることにより、薬液への不純物の溶出を抑制することができる。また、第2内層フィルムおよび第1外層フィルムが、所定の融点以下の含フッ素樹脂フィルムであることにより、内層フィルムおよび外層フィルムを低い温度で熱溶着させることができる。
第1内層フィルム、内層フィルム用機能層および第2内層フィルムの厚さについては、包装袋の用途に応じて適宜選択することができる。
第三実施態様に用いられる第1内層フィルム、内層フィルム用機能層および第2内層フィルムに用いられる樹脂の組み合わせ(第1内層フィルムの樹脂/内層フィルム用機能層の樹脂/第2内層フィルムの樹脂)としては、例えば、EFEP/ポリイミド(PI)/EFEP、LM−ETFE/PI/LM−ETFE等を挙げることができる。
内層フィルム用機能層については、上述した「II.第二実施態様」の項で説明した内容と同様とすることができる。また、上記以外の点については、上述した「I.第一実施態様」の包装袋と同様とすることができる。
B.薬液収納用容器
本発明の薬液収納用容器は、外側容器と、記外側容器内に配置された薬液収納用包装袋とを有する薬液収納用容器であって、薬液収納用包装袋が上述した「A.薬液収納用包装袋」の項で説明した薬液収納用包装袋であることを特徴とする。
すなわち、本発明の薬液収納用容器は、外側容器と、上記外側容器内に配置された薬液収納用包装袋とを有するものであって、上記薬液収納用包装袋が、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され上記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、上記袋本体と接合された注出部材とを有し、上記内袋および上記外袋は、上記内層フィルムおよび上記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、上記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、上記内層フィルムは、上記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、上記外層フィルムは、上記内袋側に配置された第1外層フィルムと、上記袋本体の外部側に配置された第2外層フィルムとを有する積層フィルムであり、上記第1外層フィルムは、上記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムであり、上記第2外層フィルムは、上記内層フィルムの上記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含むフィルムであることを特徴とするものである。
図16および図17は本発明の薬液収納用容器の一例および他の例を示す概略断面図である。図16および図17に示すように、薬液収納用容器4は、外側容器5と、上記外側容器5内に配置された薬液収納用包装袋1とを有するものである。図15においては、第一実施態様の薬液収納用包装袋を有する例を示しており、図16においては、第二実施態様の薬液収納用包装袋を有する例について示している。薬液収納用包装袋1については、図1〜図3、図13〜図15で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、図16および図17においては、外側容器5がキャニスター缶である例について示しており、容器本体51と、容器本体51に窒素ガス等を供給するガス供給部52と、容器本体51に薬液収納用包装袋1の注出部材3を固定する固定部53とを有する例について示している。
本発明によれば、上述した薬液収納用包装袋を有することにより、薬液収納用包装袋における内袋の薬液への溶出を抑制して薬液を収納可能な薬液収納用容器とすることができる。
以下、本発明の薬液収納用容器の詳細について説明する。
1.薬液収納用包装袋
本発明における薬液収納用包装袋は、外側容器内に配置されるものである。本発明における薬液収納用包装袋の詳細については、上述した「A.薬液収納用包装袋」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.外側容器
本発明における外側容器は、内側に上述した薬液収納用包装袋が配置されるものである。
外側容器は、通常、薬液収納用包装袋が配置され薬液を保持する容器本体と、薬液収納用包装袋における注出部材を固定する固定部とを有する。
また、外側容器としては、図16に示すように容器本体51の内部へ窒素ガス等を供給するガス供給部52を有していてもよい。
外側容器としては、一般的な薬液収納用容器に用いられるものと同様とすることができ、金属製、合成樹脂製、紙製等の外側容器を挙げることができる。より具体的には、外側容器としては、キャニスター缶、ポリボトル、段ボールの筐体等の挙げることができる。
3.薬液収納用容器
本発明の薬液収納用容器は、上述した外側容器と、薬液収納用包装袋とを有していれば特に限定されず、必要に応じて他の構成を適宜選択して追加することができる。
また、本発明の薬液収納用容器においては、薬液包装袋に充填された薬液を取り出す際に、薬液包装袋の外部から圧力を加えることにより取り出すことができる。
図18は本発明の薬液収納用容器における薬液の取り出し方法(注出方法)について説明する説明図である。
本発明の薬液収納用容器4における薬液Lの注出方法においては、ノズル61を用いてガス供給部52から窒素ガスGを容器本体51の内部に供給する。容器本体51の内部に供給された窒素ガスGにより、薬液収納用包装袋1にはその外部から圧力が加わることになる。この圧力により、薬液収納用包装袋1に充填された薬液Lは、ノズル62を通じて薬液収納用包装袋1の外部へと押し出され、薬液Lが取り出される。
なお、図18において説明していない符号については、図16等において説明した符号と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明の包装袋の詳細について説明する。
[実施例1]
<含フッ素樹脂フィルムの熱溶着性試験>
外層フィルムとして、第1外層フィルム、外層フィルム用機能層および第2外層フィルムが、それぞれLM−ETFE、PE、およびPBTで構成される積層フィルムを用いた。また、内層フィルムとして、LM−ETFEを用いた。上記外層フィルムおよび内層フィルムを重ね合わせた多重構造を、内層フィルム側を対向させて配置し、230℃で溶着時間10秒、溶着圧力0.1MPa、溶着回数2回の条件において熱溶着することで二重袋を形成することができた。また、引張試験機を用いて上述の条件で上記二重袋の熱溶着部の接着強度を測定したところ、25N/15mm以上の接着強度があることを確認した。
[実施例2]
外層フィルムとして第1外層フィルムおよび第2外層フィルムがそれぞれPEおよびPBTで構成される積層フィルムを用いた。また、内層フィルムとして第1内層フィルムおよび第2内層フィルムがそれぞれLM−ETFEおよびPEで構成される積層フィルムを用いた。上記外層フィルムおよび内層フィルムを重ね合わせた多重構造を、内層フィルム側を対向させて配置し、230℃で溶着時間10秒、溶着圧力0.1MPa、溶着回数2回の条件において熱溶着することで二重袋を形成することができた。また、引張試験機を用いて上述の条件で上記二重袋の熱溶着部の接着強度を測定したところ、25N/15mm以上の接着強度があることを確認した。
[比較例]
PTFE、PFA、FEP、ETFEでは他樹脂との積層フィルムを形成することができず、内層フィルムとして用いることが困難であった。
[参考例1]
<含フッ素樹脂フィルムの不純物の溶出試験>
PTFE(厚さ100μm)、PFA(厚さ50μm)、FEP(厚さ50μm)、ETFE(厚さ50μm)、LM−ETFE(厚さ25μm)の各種フッ素樹脂フィルムから25mm×100mmの大きさのフィルムを9枚切り取り、リチウムイオン電池用電解液の溶媒であるジメチルカーボネート(DMC)13mLに浸して60℃で1週間静置した。その後、フィルムから溶媒にフッ素樹脂フィルム由来の成分が溶出されたかどうかをガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製、製品名:GCMS−QP2010)を用いて確認した。条件については、後述する参考例3と同様である。
いずれのフッ素樹脂フィルムにおいてもガスクロマトグラフ質量分析計によって得られたクロマトグラムからフッ素樹脂由来の成分ピークは検出されないことを確認した。
[参考例2]
<含フッ素樹脂フィルムの熱溶着性試験>
各種フッ素樹脂フィルム(PTFE、PFA、FEP、ETFE、PCTFE、LM−ETFE)を各2枚、重ね合わせた状態で230℃にてヒートシールし熱溶着の有無を確認した。
溶着時間10秒、溶着圧力0.1MPa、溶着回数2回の条件においてPTFE、PFA、FEP、ETFEは熱溶着しなかったが、PCTFE、LM−ETFEは熱溶着した。
PCTFE、LM−ETFEのフィルムの接着強度を引張試験機にて上述の条件で測定したところ、25N/15mm以上を示した。
[参考例3]
<樹脂フィルムの不純物溶出試験>
下記サンプルについて、不純物の溶出試験を行なった。
サンプル1として、PTFEフィルム(厚さ100μm)、サンプル2としてLM−ETFEフィルム(厚さ50μm)を用いた。サンプル3として、LM−ETFEおよび超低溶出PEの2層積層フィルム(厚さ100μm)を超低溶出PE面同士で熱溶着した積層品を用いた。サンプル4として超低溶出PEフィルム(厚さ80μm)、サンプル5として通常PEフィルム(厚さ50μm)を用いた。なお、超低溶出PEフィルムとしては、無添加のノバテックLD(日本ポリエチレン株式会社)をインフレーション成膜したものを用い、通常PEフィルムとしては無添加のユメリット125FN(宇部丸善ポリエチレン株式会社)をインフレーション成膜したものを用いた。
上記サンプル1、2、4、5を、総体積600mmとなるように複数の短冊状にサンプリングし、ジメチルカーボネート(DMC)4mLに浸して60℃で1週間静置した。また、サンプル3を総体積400mmとなるように複数の短冊状にサンプリングし、ジメチルカーボネート(DMC)4mLに浸して60℃で1週間静置した。
また、同様に上記サンプル1、2、4、5を、総体積600mmとなるように複数の短冊状にサンプリングし、サンプル3を総体積400mmとなるように複数の短冊状にサンプリングし、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4mLに浸して60℃で1週間静置し、各サンプルからの溶出液を用意した。
その後、各溶液をガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製、製品名:GCMS−QP2010)を用いて分析した。ガスクロマトグラフの測定に際しては、溶出液1μLを気化室へ導入した。気化室の加熱条件は300℃とした。カラムはカラム長30m、内径0.25mm、固定相(ジメチルシロキサン95%フェニル5%相当)0.25μmのカラムを用いた。カラムオーブンの昇温条件は、50℃、5分保持後、320℃まで10℃/分で昇温、320℃8分保持で測定を行った。
結果を表1および図19、図20に示す。表1は溶出時間15.88min付近で検出されたアルカン(アルケン)のピーク強度を示す表である。図19、図20はガスクロマトグラフ質量分析の結果である。表1、図19、図20においては、サンプル3については、総体積600mmに換算した換算値で示しており、各サンプルの総体積が同一とした場合の値を示している。
Figure 0005958675
表1、図19、図20に示すように、DMCおよびPGMEAのいずれの溶媒についても、サンプル1、サンプル2では不純物のピークは確認されなかった。一方、サンプル3、4については、溶出時間15.88minにアルカン(アルケン)のピークが確認された。よって、不純物の溶出量のとしては、PTFE≒LM−ETFE<LM−ETFE/超低溶出PE<超低溶出PE<(通常PE)の関係となることが確認できた。
また、サンプル3については、若干の溶出が認められたが、サンプル4に比べて検出強度が低い。これは、サンプル3の表面側に位置するLM−ETFEが、サンプル3のバルクに位置するPEからの溶出を抑えているためと推察される。この結果から、積層フィルムにおいては、内部に位置する低溶出PEフィルムからの不純物の溶出を抑制することが確認できた。すなわち、内袋に上記積層フィルムを用いた場合は、超低溶出フィルムを内袋に用いた場合に比べて不純物の溶出を抑制することができることが確認できた。また、内袋にLM−ETFEフィルムのみを用いた場合、不純物の溶出をより効果的に抑制することができることが確認された。
1 … 薬液収納用包装袋(包装袋)
2 … 袋本体
21a … 内層フィルム
21 … 内袋
22a … 外層フィルム
22 … 外袋
221 … 第1外層フィルム
222 … 第2外層フィルム
23 … 熱溶着部
24a … 中間フィルム
24 … 中間袋
3 … 注出部材
4 … 薬液収納用容器
5 … 外側容器

Claims (6)

  1. 内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され前記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、
    前記袋本体と接合された注出部材とを有する薬液収納用包装袋であって、
    前記内袋および前記外袋は、前記内層フィルムおよび前記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、前記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、
    前記内層フィルムは、前記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、
    前記外層フィルムは、前記内袋側に配置された第1外層フィルムと、前記袋本体の外部側に配置された第2外層フィルムとを有する積層フィルムであり、
    前記第1外層フィルムは、前記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムであり、
    前記第2外層フィルムは、前記内層フィルムの前記含フッ素樹脂の融点を上回る融点を有する樹脂を含むフィルムであることを特徴とする薬液収納用包装袋。
  2. 前記内層フィルムが、前記含フッ素樹脂を含むフィルムのみからなり、
    前記第1外層フィルムにおける前記熱溶着用フィルムが、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の薬液収納用包装袋。
  3. 前記袋本体が、前記内袋および前記外袋の間に配置され、中間フィルムで構成された中間袋をさらに有し、
    前記熱溶着部における前記多層構造が、前記内層フィルム、前記中間フィルムおよび前記外層フィルムを重ね合わせた構造を有し、
    前記中間フィルムは、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有することを特徴とする請求項2に記載の薬液収納用包装袋。
  4. 前記内層フィルムが、前記薬液側に配置され、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含む第1内層フィルムと、前記外袋側に配置され、前記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含む第2内層フィルムとを有する積層フィルムであり、
    前記外層フィルムにおける前記熱溶着用フィルムが、前記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の薬液収納用包装袋。
  5. 前記袋本体が、前記内袋および前記外袋の間に配置され、中間フィルムで構成された中間袋をさらに有し、
    前記熱溶着部における前記多層構造が、前記内層フィルム、前記中間フィルムおよび前記外層フィルムを重ね合わせた構造を有し、
    前記中間フィルムは、前記含フッ素樹脂の融点と同等またはそれ以下の温度で熱溶着可能な樹脂を含むフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の薬液収納用包装袋。
  6. 外側容器と、
    前記外側容器内に配置された薬液収納用包装袋とを有する薬液収納用容器であって、
    前記薬液収納用包装袋が、内層フィルムで構成され薬液を収納する内袋、および外層フィルムで構成され前記内袋の外側に配置された外袋を有する袋本体と、前記袋本体と接合された注出部材とを有し、
    前記内袋および前記外袋は、前記内層フィルムおよび前記外層フィルムを重ね合わせた多層構造が、前記内層フィルム同士を対向させて重ね合わせた状態で溶着されている熱溶着部を有し、前記内層フィルムは、前記薬液側の最表面に、融点が230℃以下である含フッ素樹脂を含むフィルムを有し、
    前記外層フィルムは、前記内袋側に配置された第1外層フィルムと、前記袋本体の外部側に配置された第2外層フィルムとを有する積層フィルムであり、
    前記第1外層フィルムは、前記内層フィルムと熱溶着可能な熱溶着用フィルムであり、
    前記第2外層フィルムは、前記内層フィルムの前記含フッ素樹脂の融点を上回る融点を有する樹脂を含むフィルムであることを特徴とする薬液収納用容器。
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