以下、本発明の曲面印刷用転写フィルムについて詳細に説明する。
本発明の曲面印刷用転写フィルムは、所定の溶媒に膨潤する支持フィルムの一面に、オンデマンド方式の印刷方法により印刷された絵柄を構成する画像層を積層してなることを特徴とするものであり、特に絵柄を構成する画像層がオンデマンド方式の印刷方法により印刷したものであるところに大きな特徴を有するものである。
このように、オンデマンド方式の印刷方法により絵柄を構成する画像層を印刷することにより、印刷版を作製することなく絵柄を構成する画像層を支持フィルム上に印刷することができる。したがって、従来の印刷版が必要なグラビア印刷により印刷した曲面印刷用転写フィルムと比較して、曲面印刷用転写フィルムを低コストでかつ短時間に得ることができる。したがって、最終的に得られる曲面印刷体を低コスト・短時間で提供することができるため、試作品等にも利用でき、かつ近年の多品種・少ロットの傾向にも十分対応することができる。
本発明で用いられるオンデマンド方式の印刷方法とは、印刷版を用いずに行うことができる印刷方法を意味するものであり、具体的には、インクジェット方式を挙げることができる。
本発明に用いられる支持フィルムは、カールフィットの印刷工程において、溶媒上における転写時に、溶媒上で十分に膨潤し、かつ多色印刷適性を有し、さらに転写性、すなわち被曲面印刷体の表面に対し、十分にまつわりつく性質を有するものであることが好ましい。なお、本発明において「所定の溶媒に膨潤する」とは、所定の溶媒に溶解するか膨潤するかのいずれかの性質を有することを意味する。
このような支持フィルムの具体例としては、例えば、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、澱粉、蛋白、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン、あるいはセルロース、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ等を挙げることができ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
本発明においては、上記所定の溶媒、すなわちカールフィットにおいてこの転写フィルムを浮かべ、膨潤させる溶媒は、特に限定されるものではないが、コスト面および安全面から水であることが好ましい。
このように所定の溶媒が水であった場合、支持フィルムは水に膨潤するフィルムを用いることが好ましく、具体的には上記したフィルムの内、澱粉系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコールと澱粉との混合系からなるフィルム、あるいは上記材料を紙、不織布、各種多孔質フィルムなどの液体浸透性のあるベースにコーティングしたフィルムあるいはラミネートしたフィルム等を挙げることができる。
本発明においては、中でもポリビニルアルコール樹脂を主成分とするフィルムが最も好ましい。このポリビニルアルコール樹脂を主成分とするフィルムは、その重合度、けん化度、澱粉等の添加剤の配合等、諸条件を変化させることにより、オンデマンド方式の印刷を行う際に必要な機械的強度、取り扱い中の吸湿性、水に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、延展ないし拡散に要する時間、転写時の変形のしやすさ等を制御することができる。ポリビニルアルコール(PVA)樹脂を主成分とする好ましいフィルムの例は、PVA80重量%、高分子性水溶性樹脂15重量%、および澱粉5重量%からなり、平衡水分が3%程度のものである。
このような支持フィルムの厚みは、10〜100μmの範囲内が好ましく、より好ましくは20〜60μmの範囲内である。
本発明の曲面印刷用転写フィルムは、このような支持フィルムの一面に絵柄を構成する画像層が積層してなるものである。ここで、絵柄とは意匠性を有するものに限定されるものではなく、各種パターンやべた塗りも含むものである。
画像層に用いられるインクもしくはトナーは、オンデマンド方式の印刷に適用可能なインクもしくはトナーであれば特に限定されるものではないが、上記支持フィルムに仮接着し、乾燥被膜形成が容易であり、さらに転写体の表面に対して接着し、かつ後述する活性剤にて容易に膨潤する樹脂をビヒクルとして含むものが好ましい。
本発明とは異なるが、例えば、電子写真方式の場合は、湿式および乾式のトナーが用いられる。ここで、湿式トナーは、基本的には樹脂と着色剤からなるトナー粒子が分散媒中に分散されたものである。したがって、このような湿式トナーを用いた電子写真方式で支持フィルムに印刷を施した場合、画像層はこの樹脂と着色剤とからなるトナー粒子からなる。このようなトナー粒子に用いられる樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−イソプレン共重合樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリレート共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−メタクリレート共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合樹脂、アクリル酸−メチルメタクリレート共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、及び2−エチルヘキシルアクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルメタクリレート・ダイアセトンアクリルアミド共重合体などのアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、着色剤としては、通常、公知の有機顔料又は無機顔料が用いられる。また、共重合樹脂の分子が有色の原子団を有している場合には共重合樹脂自体又は有色原子団を着色剤として利用することができる。すなわち、着色剤が独立の成分であってもよいし、共重合樹脂が着色剤として機能するものであってもよい。
ブラック系の着色剤としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。
イエロー系着色剤としては、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタン黄、オーカーなどの無機系顔料を使用できる。イエロー系着色剤としては、次のような難溶性金属塩(アゾレーキ)も使用できる。すなわち、アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料である、ハンザイエローG(C. I. No. pigment Yellow 1)、ハンザイエロー10G(C. I. No. pigment Yellow 3)、ハンザイエローRN(C. I. No. pigment Yellow 65)、ハンザブリリアントイエロー5GX(C. I. No. pigment Yellow 74)、ハンザブリリアントイエロー10GX(C. I. No. pigment Yellow 98)、パーマネントイエローFGL(C. I. No. pigment Yellow 97)、シムラレーキファストイエロー6G(C. I. No. pigment Yellow 133)、リオノールイエローK−2R(C. I. No. pigment Yellow 169);アセト酢酸アリリド系ジスアゾ顔料である、ジスアゾイエローG(C. I. No. pigment Yellow 12)、ジスアゾイエローGR(C. I. No. pigment Yellow 13)、ジスアゾイエロー5G(C. I. No. pigment Yellow 14)、ジスアゾイエロー8G(C. I. No. pigment Yellow 17)、ジスアゾイエローR(C. I. No. pigment Yellow 55)、パーマネントイエローHR(C. I. No. pigment Yellow 83);縮合アゾ顔料である、クロモフタルイエロー3G(C. I. No. pigment Yellow 93)、クロモフタルイエロー6G(C. I. No. pigment Yellow 94)、クロモフタルイエローGR(C. I. No. pigment Yellow 95);ベンズイミダゾロン系モノアゾ顔料である、ホスタパームイエローH3G(C. I. No. pigment Yellow 154)、ホスタパームイエローH4G(C. I. No. pigment Yellow 151)、ホスタパームイエローH2G(C. I. No. pigment Yellow 120)、ホスタパームイエローH6G(C. I. No. pigment Yellow 175)、ホスタパームイエローHLR(C. I. No. pigment Yellow 156);イソインドリノン系顔料である、イルガジンイエロー3RLTN(C. I. No. pigment Yellow 110)、イルガジンイエロー2RLT、イルガジンイエロー2GLT(C. I. No. pigment Yellow 109)、ファストゲンスーパーイエローGROH(C. I. No. pigment Yellow 137)、ファストゲンスーパーイエローGRO(C. I. No. pigment Yellow 110)、サンドリンイエロー6GL(C. I. No. pigment Yellow 173)などを使用できる。
その他のイエロー系着色剤としては、次のようなものを例示できる。すなわち、スレン系顔料である、フラバントロン(C. I. No. pigment Yellow 24)、アントラミリミジン(C. I. No. pigment Yellow 108)、フタロイルアミド型アントラキノン(C. I. No. pigment Yellow 123)、ヘリオファストイエローE3R(C. I. No. pigment Yellow 99);金属錯体顔料である、アゾ系ニッケル錯体顔料(C. I. No. pigment Green 10)、ニトロソ系ニッケル錯体顔料(C. I. No. pigment Yellow 153)、アゾメチン系銅錯体顔料(C. I. No. pigment Yellow 117);キノフタロン顔料である、フタルイミドキノフタロン顔料(C. I. No. pigment Yellow 138)などを使用できる。
マゼンタ系着色剤としては、カドミウムレッド、ベンガラ、銀朱、鉛丹、アンチモン朱などの無機系顔料を使用できる。マゼンタ系着色剤としては、次のようなアゾレーキ系顔料も使用できる。すなわち、ブリリアントカーミン6B(C. I. No. pigment Red 57:1)、レーキレッド(C. I. No. pigment Red 53:1)、パーマネントレッドF5R(C. I. No. pigment Red 48)、リソールレッド(C. I. No. pigment Red 49)、ペルシアオレンジ(C. I. No. pigment Orange 17)、クロセイオレンジ(C. I. No. pigment Orange 18)、ヘリオオレンジTD(C. I. No. pigment Orange 19)、ピグメントスカーレット(C. I. No. pigment Red 60:1)、ブリリアントスカーレットG(C. I. No. pigment Red 64:1)、ヘリオレッドRMT(C. I. No. pigment Red 51)、ボルドー10B(C. I. No. pigment Red 63)、ヘリオボルドーBL(C. I. No. pigment Red 54)などを使用できる。
マゼンタ系着色剤としては、次のような不溶性アゾ系顔料(モノアゾ系、ジスアゾ系、及び縮合アゾ系)も使用できる。すなわち、モノアゾ系またはジスアゾ系の顔料である、パラレッド(C. I. No. pigment Red 1)、レーキレッド4R(C. I. No. pigment Red 3)、パーマネントオレンジ(C. I. No. pigment Orange 5)、パーマネントレッドFR2(C. I. No. pigment Red 2)、パーマネントレッドFRLL(C. I. No. pigment Red 9)、パーマネントレッドFGR(C. I. No. pigment Red 112)、ブリリアントカーミンBS(C. I. No. pigment Red 114)、パーマネントカーミンFB(C. I. No. pigment Red 5)、P.V.カーミンHR(C. I. No. pigment Red 150)、パーマネントカーミンFBB(C. I. No. pigment Red 146)、ノバパームレッドF3RK−F5RK(C. I. No. pigment Red 170)、ノバパームレッドHFG(C. I. No. pigment Orange 38)、ノバパームレッドHF4B(C. I. No. pigment Red 187)、ノバパームオレンジHL.HL−70(C. I. No. pigment Orange 36)、P.V.カーミンHF4C(C. I. No. pigment Red 185)、ホスタバームブラウンHFR(C. I. No. pigment Brown 25)、バルカンオレンジ(C. I. No. pigment Orange 16)、ピラゾロンオレンジ(C. I. No. pigment Orange 13)、ピラゾロンレッド(C. I. No. pigment Red 38);縮合アゾ系顔料である、クロモフタールオレンジ4R(C. I. No. pigment Orange 31)、クロモフタールスカーレットR(C. I. No. pigment Red 166)、クロモフタールレッドBR(C. I. No. pigment Red 144)などを使用できる。
マゼンタ系着色剤としては、次のような縮合多環系顔料も使用できる。すなわち、アントラキノン系顔料である、ピランスロンオレンジ(C. I. No. pigment Orange 40)、アントアントロンオレンジ(C. I. No. pigment Orange 168)、ジアントラキノニルレッド(C. I. No. pigment Red 177);チオインジゴ系顔料である、チオインジゴマゼンタ(C. I. No. pigment Violet 38)、チオインジゴバイオレット(C. I. No. pigment Violet 36)、チオインジゴレッド(C. I. No. pigment Red 88);ペリノン系顔料である、ペリノンオレンジ(C. I. No. pigment Orange 43);ペリレン系顔料である、ペリレンレッド(C. I. No. pigment Red 190)、ペリレンバーミリオン(C. I. No. pigment Red 123)、ペリレンマルーン(C. I. No. pigment Red 179)、ペリレンスカーレット(C. I. No. pigment Red 149)、ペリレンレッド(C. I. No. pigment Red 178);キナクリドン系顔料である、キナクリドンレッド(C. I. No. pigment Violet 19)、キナクリドンマゼンタ(C. I. No. pigment Red 122)、キナクリドンマルーン(C. I. No. pigment Red 206)、キナクリドンスカーレット(C. I. No. pigment Red 207);ピロコリン系顔料;赤色系フルオルビン系顔料を使用できる。
その他のマゼンタ系着色剤としては、染付けレーキ系顔料であるローダミン6Gレーキ(C. I. No. pigment Red 81)を使用できる。染付けレーキ系顔料は、水溶性染料と沈殿剤を反応させてレーキ化し、固着させるものである。
シアン系着色剤としては、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの無機系顔料を使用できる。シアン系着色剤としては、次のようなものも使用できる。すなわち、フタロシアニン系顔料である、ファーストゲンブル−BB(C. I. No. pigment Blue 15)、スミトン・シアニン・ブルーHB(C. I. No. pigment Blue 15)、シアニンブルー5020(C. I. No. pigment Blue 15:1)、モナストラルブルーFBR(C. I. No. pigment Blue 15:2)、パロマーブルーB−4810(C. I. No. pigment Blue 15:3)、モナストラルブルーFGX(C. I. No. pigment Blue 15:4)、リオノールブルーES(C. I. No. pigment Blue 15:6)、ヘリオゲンブルーL6700F(C. I. No. pigment Blue 15:6)、スミカプリント・シアニン・ブルーGN−O(C. I. No. pigment Blue 15)、ヘリオゲンブルーL7560(C. I. No. pigment Blue 16)、ファスト・スカイブルーA−612(C. I. No. pigment Blue 17)、シアニン・グリーンGB(C. I. No. pigment Green 7)、シアニングリーンS537−2Y(C. I. No. pigment Green 36)、スミトン・ファストバイオレットRL(C. I. No. pigment Violet 23);スレン系顔料である、インダントロンブルー(PB-60P、PB-22、PB-21、PB-64);塩基性染料レーキ顔料である、メチルバイオレット・リン・モリブデン酸レーキ(PV-3)などを使用できる。
その他、必要であれば光輝性顔料やマット顔料を用いることも可能である。
この光輝性顔料としては、例えば、(1)パール顔料と呼ばれるもの、より具体的には、貝殻の内側の部分や真珠の粉砕物、マイカの微粒子に酸化チタンや酸化鉄を焼き付けてなる鱗片状箔片(二酸化チタン被覆雲母)等;(2)金属粉、より具体的には、アルミニウム、真鍮、青銅、金、銀等の粉末、好ましくは、1〜120μmの微粒子又は鱗片状箔片となっているもの;(3)蒸着されたプラスチックフィルムの破片、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムに上記のような金属、通常はアルミニウム、を蒸着して粉砕した銀色粉、蒸着後に透明な黄色に塗装してから粉砕した金色粉;(4)屈折率の異なる2種以上の樹脂層、例えばポリエステル樹脂層とアクリル樹脂層、であって、それぞれ数μm以下の厚さのものが多数積層してなり、光の干渉による虹彩色を生じさせる複合フィルムを細かく切断して得た箔粉などを例示することができる。
またマット顔料としては、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、タルクなどの粘土鉱物、無水シリカ、無水アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの合成無彩色顔料が挙げられる。
このようなトナー粒子には、必要に応じて電荷制御剤、分散剤、定着剤等の添加剤が添加されていてもよい。
一方、乾式トナー材料としては、二成分トナーと一成分トナーのどちらでも好適に用いることができる。二成分トナー及ぴ非磁性一成分トナーは基本的にバインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤、添加剤から構成され、磁性一成分トナーは前記の材料の他に鉄、マグネタイトなどの磁性粉を含む。パインダー樹脂はトナーの帯電性、熱定着性を考慮して選択する必要がある。主なパインダー樹脂としては、ポリスチレン、水添スチレン樹脂、スチレン・イソプチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・塩素化パラフィン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリグルシジルメタクリレート、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体、エチルメタクリレート・アクリル酸共重合体などのアクリル樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体、スチレン・ジエチルアミノエチルメタクリレート共重合体、スチレン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン・グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン・メチルメタクリレート・n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン・メチルメタクリレート・ブチルアクリレート・N−エトキシメチルアクリルアミド共重合体、スチレン・n−ブチルメタクリレート・無水マレイン酸共重合体、スチレン・n−ブチルメタクリレート・アクリル酸共重合体などのスチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂:フマル酸/エーテル化ジフェノール系ポリエステルなどのポリエステル樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;シリコン系樹脂;ブチラール樹脂;低分子量ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低分子量ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂などの他、テルぺン樹脂、イミド樹脂、ケトン樹脂、エチルセルロース、ロジン、アルキッド樹脂などを用いることができる。
電荷調整剤は、正帯電用として、ニグロシン系染料などの電子供与性染料、アルコキシ化アミン、第4級アンモニウム塩、アルキルアミド、リン及びタングステンの単体及び化合物、モリブデン酸キレート顔料、フッ素系活性剤、疎水性シリカなどが用いられる。一方、負帯電用として、モノアゾ染料の金属錯塩等の電子受容性染料、電子受容性有機錯体、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、オイルブラツク、ナフテン酸金属塩などの金属石鹸が用いられる。
また、着色剤は湿式トナーと同様の材料を用いることができる。その他添加剤としては、クリーニング剤(脂肪酸金属塩、フッ素系界面活性剤、酸化珪素誘導体など)、流動化剤(コロイダルシリカ、シリコンワニス、金属石鹸、ノニオン界面活性剤など)、充填剤(炭酸カルシクム、粘土鉱物、雲母など)などが必要に応じてトナー中に添加される。
次に、画像層がインクジェット方式の印刷で形成された場合、画像層はインクジェット方式で用いられるインクで構成されることになる。このようなインクジェット方式で用いられるインクとしては、大きく水性、油性に分類されるが、支持フィルム又は後述する中間層の物性に応じてどちらかが選択される。本発明で用いられる水性インクにおいては、溶媒は水単独または水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である。その水は、イオン交換、蒸留等の精製工程を経た純水または超純水が望ましい。
そして、上記の水溶性有機溶剤は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の高沸点低揮発性の多価アルコール類が用いられ、あるいはそれらのモノエーテル化物、ジエーテル化物、エステル化物、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が用いられ、その他Nメチル2ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラヒドロフラン、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−Nブチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の含窒素有機溶剤等の水溶性有機溶剤を印字の流れ、にじみが生じない範囲で添加することができる。
また、主溶媒である水に対して、乾燥性、浸透性の向上を目的として、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール等の高揮発性の一価のアルコールを添加することができる。
一方、油性インクはへッドのつまり等を防ぐために高沸点の溶媒をベースとしたものが好ましく用いられる。高沸点溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコール、へキシレングリコ一ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の高沸点低揮発性の多価アルコール類、あるいはそれらのモノエ一テル化物、ジエーテル化物、エステル化物、例えぱエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等;ポリエチレングリコ一ル、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;グリセリン;エクソン社製アイソパーG、アイソパーHなどのパラフイン系炭化水素類:シェル石油社製シェルゾールなどの石油ナフサ系溶剤類;ナフテン系炭化水素類;芳香族系炭化水素類などを挙げることができる。
また、速乾性を重視する場合にはより揮発性の高い溶剤、例えぱ、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ一テル類などを上記の溶媒と混合して、或いは単独で用いることができる。
インクジェット方式のインクに用いられる着色剤は、公知の顔料、染料が広く用いられる。顔料としては湿式トナーの着色剤として記載したものが同様に使用できる。また染料としては、水溶性の直接染料、酸性染料、塩基性染料、食用染料、反応性染科および、水不溶性の油溶性染料、分散染料を溶媒に分散或いは溶解した形で用いることができる。
主に水性インクで用いられる水溶性の染料としては、例えばカラーインデックスで示す以下の染料が用いられる。
C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレツド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,29,45,92,249、C.I.アシッドブラツク1,2,7,24,26,94、C.I.フードイエロー3,4、C.I.フードレッド7,9,14、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,142,144,86、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62,102、C.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、C.I.ダイレクトプラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168、C.I.べーシックイエローl,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,65,67,70,73,77,87,91、C.I.ベ−シックレッド1,2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,14,109,112、C.I.ベ−シックブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、C.I.ベーシックブラック2,8。
水不溶性の染料としては、例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾ−ル系、メチン系、アゾメチン系、キサンチン系、オキサジン系、アゾおよびアゾ系誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体、スピロジピラン系、イソドリノスビロピラン系、フルオラン系の染料が好適に用いられる。例えぱカラーインデックスで示すC.I.ディスパースイエロー51、3、54、79、60、23、7、141、C.I.デイスパースブルー24、56、14、301、334、165、19、72、87、287、154、26、359、C.I.ディスパースレッド135、146、59、1、73、60、167、C.I.ディスパースバイオレット4、13、26、36、56、31、C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ソルベントブラック3、C.I.ソルベントグリーン3、C.I.ソルベントイエロー66、14、16、29、105、C.I.ソルベントブルー70、35、63、36、50、49、111、105、97、11、C.I.ソルレベントレッド135、81、18、25、19、23、24、143、146、182などである。
また、分散性、定着性向上のために溶媒に可溶・不溶の樹脂類を含有させることもできる。そのような樹脂としては、ポリビニルアルコール類:ポリビニルピロリドン;エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系樹脂;ポリアクリル酸、アクリル酸・アクリロニトリル共重合体等のアクリル樹脂;酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・脂肪酸ビニルエチレン共重合体等の酢酸ビニル共重合樹脂類;蛋白質類;天然ゴム類;グルコシド類;セルロ−ス誘導体;ポリアミド樹脂類;ロジン及びロジンエステル類;テルぺンフェノール樹脂類;アルキッド樹脂類;スチレン樹脂類;メラミン樹脂等が挙げられる。
その他、ポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル型、ポリエチレンオキサイド縮合型等のノニオン界面活性剤、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩等のアニオン界面活性剤、脂肪酸アミン塩、第4アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスフォニウム塩等のカチオン界面活性剤、ベタイン型等の両性界面活性剤などの界面活性剤;防腐剤;防黴剤;pH調整剤;消泡剤;紫外線吸収剤;粘度調整剤:表面張力調整剤などを必要に応じて添加しても良い。
通常のインクジェットインクは適性粘度が低いためバインダー樹脂を多く含有できない。そのため、画像状に形成されたインク層は本発明における転写工程の過程で保持されず消失してしまう場含が多い。この問題は、後述するように支持フイルム上にインク層固定のための中間層を設けることで解決できるが、中間層を設けずに固定化する方法としてインク中の着色剤粒子を樹脂で包むかたちで造粒させることが有効である。この方法によれば、インク粘度を大きく上昇させずに着色剤自身に定着能を持たせることができる。このための樹脂としては、少なくとも2種以上のモノマーA,Bの共重合体であって、各モノマー及びイング組成のsp値が、
の関係を満たすように選択される。例えば水性インクに用いる顔料粒子を造粒樹脂で被覆する方法は、以下の通りである。
1.顔料分散工程
造粒樹脂が可溶で、かつ水との相溶性がある有機溶媒中に造粒樹脂を溶解させ、さらに、顔料を添加する。この液をビーズミル、ボールミル、ハイスビードディスパーザー等で数時問処理し、顔料を粉砕する。
2.溶媒置換工程
上記の分散液を水と混合する。添加時の凝集を防ぐために超音波ホモジナイザー等による分散を行う。
3.有機溶媒除去工程
上記の分散液からロータリーエバポレーター等により顔料分散に用いた有機溶媒を除去する。有機溶媒の減少につれて造粒樹脂の疎水性モノマーに起因する部位は疎水性の着色剤表面に析出し、着色剤を被覆する。同時に造粒樹脂の親水性モノマーに起因する部位は水に膨潤し、被覆した着色剤粒子を分散安定化する。
4.後分散工程
超音波ホモジナイザー等で後分散し、粒径を均一化する。
この場合、造粒樹脂は一種類以上の親水性モノマーと一種類以上の疎水性モノマーとの共重合により得られ、全体として上記工程1.の有機溶媒に可溶で、水に不溶又は難溶であるものが好ましい。
用いられる親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、あるいはこれらの塩等が拳げられる。
また、ビニルアルコール、エチレングリコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミド、さらに、4級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を有するモノマーが挙げられる。
疎水性モノマーは特に限定されないが、上記工程1.の有機溶媒によく溶解するものが好ましい。溶解性の指標には溶解性パラメーター値(以下SP値)が用いられる。
一般に、SP値は物質同士の相溶性、非相溶性示すものとして知られているが、樹脂とその溶媒との関係を例にすると、SP値により樹脂のその溶媒に対する溶解性の程度を示すことができ、両者のSP値の差が小さけれぱ、樹脂のその溶媒に対する溶解性が大きく、その差が大きければ溶解性が小さく、不溶性となることを示すものである。
例えば、有機溶媒にテトラヒドロフランを用いる場合、好ましい疎水性モノマーは、疎水性モノマーのホモポリマーのSP値がテトラヒドロフランのSP値(9.1)に近いものである。そのようなホモポリマーとしては、例えぱ、ポリエチルメタクリレ−ト(9.l)、ポリプロピルメタクリレート(9.0)、ポリエチルアクリレート(9.2)、ポリメチルメタクリレート(9.3)、ポリプロピルアクリレート(9.0)、ポリスチレン(9.1)、ポリ酢酸ビニル(9.4)などが挙げられる。
また、溶媒吸収能の乏しい支持フィルムに良好な画像を形成するために、所謂ホットメルトインクやUV硬化性インクを用いることもできる。
ホットメルトインクは、常温では固体或いは高粘度液体であるが、記録時は加熱により溶融・低粘度化されるものである。そのための溶剤としては、パラフィンワックス、カルナパワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、パラフィンフックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等のワックス類が主に用いられ、その他ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの脂肪酸類;ヌテアリルアルコ−ル、ポリピニルエーテル等の高級アルコール類;ソルビタンモノステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル類;ポリオレフィン樹脂類;エポキシ樹脂類;ポリアミド樹脂類;ポリエステル樹脂類;ウレタン樹脂類等を挙げることができる。
一方、UV硬化性インクは、プレポリマー、モノマー、光開始剤及び着色剤を主成分とするものである。プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、シリコンアクリレート等のプレポリマーのいずれかを特に限定することなく用いることができる。
モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマー;n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマー;ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピペリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート等の多官能アクリルモノマーを用いることができる。上記プレポリマー及びモノマーは単独で用いても良いし、2種以上混含しても良い。
光重合開始剤は、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、1−フェニル−l,2−プロパジオン−2−オキシム、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置換ベンゾフェノン、ハロゲン置換アルキル−アリルケトン等の中から所望の硬化特性、記録特性が得られるものを選択して用いる。
その他必要に応じて脂肪族アミン、芳香族アミン等の光開始助剤;チ才キサンソン等の光鋭感剤等を添加しても良い。
また、本発明とは異なるが、画像層が熱転写方式で印刷された場合は、画像層は熱転写方式で用いられるインクで構成される。このような熱転写方式に用いられるインクの材料としては、熱溶融転写に用いられる材料と、感熱昇華転写に用いられる材料とに分けることができる。
まず、熱溶融転写に用いるインキリボンは、インキ層、ベースフィルム、耐熱(滑性)層から成る。インキ層は基本的には着色剤、ワックス・熟可塑性樹脂バインダー、柔軟剤、分散剤などの各種添加剤で構成されるが、その熱溶融特性はインキ成分の60〜80%を占めるバインダーによってほぼ決定される。用いられる熱可塑性樹脂バインダーとしては、ポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体等のエチレン共重合樹脂;塩化ビニル樹脂;メチルメタクリレ−ト・アクリル酸共童合体等の(メタ)アクリル樹脂;ポリアミド;ケトン樹脂;各種セルロース誘導体;ポリウレタン;ポリスチレン樹脂;ポリアセタール樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ロジン;アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、溶融温度を低下させる目的で、みつろう、鯨ろう等の動物性ワックス;カルナバワックス、キャンデリラワックス、木ろう等の植物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、低分子量ポリエチレン等の合成炭化水素類;炭素数21以上のn−パラフィンなどのワックス化合物を用いることもできる。着色剤は湿式トナーと同様の材料を用いることができる。
また、感熱昇華転写に用いるインキリボンは、熱拡散能の大きな染料をバインダーに混入したインキ薄膜をべースフィルムに塗布したもので、感熱溶融転写同様インキ層、ベースフィルム、耐熱(滑性)層から構成される。
染料としては、分散染料、油溶性染料、塩基性染料が好ましく用いられる。これらの染料は、約150〜550程度の分子量を有するものであり、昇華あるいは溶融温度、色相、耐光性、樹脂、現像剤中での溶解性などを考慮して選択される。例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメチン系、キサンチン系、オキサジン系、アゾおよびアゾ系誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体、スピロジピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系の染科が好適に用いられる。例えば、カラーインデックスで示すCI:ディスパーイエロー51、3、54、79、60、23、7、141;CIデイスパースブルー24、56、14、301、334、165、19、72、87、287、154、26、359;CI:ディスパースレッド135、146、59、1、73、60、167;CI:ディスパースバイオレット4、13、26、36、56、31;CI:ソルベントバイオレット13;CI:ソルベントブラック3;CI:ソルベントグリーン3;CI:ソルベントイエロー56、14、16、29、105;CI:ソルベントブルー70、35、63、36、50、49、111、105、97、11;CI:ソルベントレッド135、81、18、25、19、23、24、143、146、182などである。
その他には、例えぱ3、3−ジエチルオキサシアニンアイオダイド、アストラゾンピンクFG(バイエル社製 CI:48015)、2,2−カルボシアニン(CI:808)、アストラフイロキシンFF(CI:1.48070)、アストラゾンイエロー70LL(CI:ベーシックイエロー21)、アイゼンカロチンイエロー3GLH(保土谷化学製、C1:48055)、アイゼンカロチンレッド6BH(CI:48020)等のモノメチン系、ジメチン系またはトリメチン系等のメチン(シアニン)系塩基性染料、オーラミン(CI:655)等のごときジフェニルメタン系塩基性染料、マラカイトグリーン(Cl:42000)、ブリリアントグリーン(CI:42040)、マゼンタ(CI:42510)、メチルバイオレット(C1:42535)、クリスタルバイオレット(C1:42555)、メチルグリーン(CI:684)、ビクトリアルブルーB(CI:44045)等のトリフェニルレメタン系塩基性染料、ピロニンG(C1:739)、ロータミンB(Cl:45170)、ロータミン6G(C1:45160)等のキサンテン系塩基性染料、アクリジンイエローG(CI:785)、レオニンAL(CI:46075)、ベンゾフラビン(CI:791)、アフイン(C1:46045)等のアクリジン系塩基性染料、ニュートラルレッド(CI:50040)、アストラゾンブルーBGE/X125%(CI:51005)、メチレンブルー(CI:52015)等のキノンイミン系塩基性染料、その他第4級アミンをもったアントラキノン系塩基性染料等の塩基性染料類が挙げられる。これらの染科は、そのままの状態で、あるいはこれらの染料をアルカリ処理した形態で用いることができ、またこれらの染料の対イオン交換体あるいはロイコ体も用いることができる。常態では無色あるいは淡色であるロイコ染料等を使用する場合は、画像形成フィルム側に顕色剤を包含させておけばよい。
さらに、これらの分散染料は1成分のみで用いるのではなく、2種以上を混合した場合でも用いられる。特に混合、溶融された場合、両者がどの様な混合体を形成するかによっても熱的挙動は大きく異なり、これに伴って蒸気圧も組成比によって特有な変化をするので、融点温度に低下を起こす場合、活性化エネルギーも小さくてすみ昇華感度向上をなし得る。
バインダー樹脂は、塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーポネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、セルロース樹脂などから適当な耐熱性、染料移行性を有するものを選択する。
最後に、マグネットグラフィ方式に用いられる磁性トナーは、熱可塑性樹脂、磁性体、着色顔料からなり、熱可塑性樹脂、着色顔料は電子写真用乾式トナーと同様のものを用いることができる。その他酸化スズなどの導電性付与剤;ポリテトラフルレオロエチレンなどの滑剤;ワックス;磁気凝集防止剤などが必要に応じて添加される。
磁性体は主に、Fe304、γ−Fe2O3、各種フェライト、鉄粉などが用いられるが、同一組成でも粒子形状によって磁気特性が異なるため、プリンターの特性合わせた組成、形状の粒子を選択する。
次に、本発明の異なる側面である中間層が設けられた曲面印刷用転写フィルムについて説明する。これは、支持フィルムと画像層との間に中間層が設けられた点を特徴とする曲面印刷用転写フィルムである。
この中間層は、前記画像層を支持フィルム上に直接印刷した際、支持フィルム上に絵柄が定着・固定しない場合にこれを定着・固定するために設けられるものであり、また別の目的としては、支持フィルムに画像層が印刷される際に、インキもしくはトナーに含まれる溶媒により支持フィルムが膨潤等しないようにするために設けられものである。本発明の中間層は、さらに後述するように被曲面印刷体に曲面印刷用転写フィルムを接着させた後に支持フィルムを除去する際に用いられる溶剤に画像層の耐性がない場合等に画像層を保護するために設けられる場合もある。
このような中間層が設けられる曲面印刷用転写フィルムは、画像層が形成される印刷方式に限定されるものではないが、オンデマンド方式の印刷により画像層が形成される場合に特に有効である。これは、オンデマンド方式に用いられるインキもしくはトナーが、支持フィルム上での定着性等の上述した問題を生じる可能性が高いためである。
本発明において、中間層は1層に限定されるものではなく、2層以上設けられても良い。この場合、1層がインキの定着を目的とし、他の層が印刷による支持フィルムの膨潤を防止し、転写後の支持フィルムの洗浄・除去行程における画像フィルムの保護するために設けられる等、それぞれが異なる目的で設けられたものであってもよい。
このような中間層は、上述した点から、画像記録に用いるインキ、トナー或いは着色剤をその表面或いは内部に固定することができる性質か、所定の溶媒に溶解しない性質のいずれかを有する必要がある。更には、後述する活性剤に対する膨潤性や、被曲面印刷体に対する接着性等を有することが好ましい。
本発明で設けられる中間層は、樹脂を主成分とし、必要に応じて各種の添加剤が混入されるものである。中間層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂およびその金属塩;ポリN―イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミン等のアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルビロリドンおよびその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルポキシル化ポリエチレンオキサイド等のアルキレンオキシド単独重含体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及ぴその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白等の天然或いは半合成樹脂;テルベン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いても良い。
さらに、インキ、トナー或いは着色剤の吸収性、定着性を向上させるために、中間層に適当な空隙を設けることもできる。空隙を設けるためには中間層に填材を混入させる。用いられる填材としては、例えば、シリカ;アルミナ;カオリナイト;ベントナイト、有機ベントナイト等のスメクタイト類粘土鉱物及びその誘導体:タルク;炭酸カルレシウム;炭酸マグネシウム;硫酸カルシウム;硫酸バリウム;ゼオライト;酸化チタン;酸化セリウム;酸化マグネシウム;酸化ジルコニウム;珪酸ソーダ;珪酸カルシウム;珪酸カリウム;珪酸マグネシウム;珪酸アルミニウム;珪藻土;硫化亜鉛;水酸化亜鉛;炭酸亜鉛;酸化亜鉛;酸化錫;硫酸マグネシウム;水酸化アルミニウム;ゼ才ライト;ハイドロタルサイト;擬ベーマイト;リトボンなどの無機顔料、及び、炭素樹脂顔料;ポリスチレン樹脂;尿素樹脂;ベンゾクアナミン系プラスチックピグメント;メラミン樹脂;シリコン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂;フッ素系樹脂;ポリアクリル系樹脂;ポリアクリルアミド系樹脂;ポリプロピレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデンなどの有機顔料が挙げられる。
上記の材料のどれを選択してどのような中間層の構成とするかは、画像形成に用いるオンデマンド方式の種類に応じて偶別に設計する必要がある。
本発明ではないが、例えば感熱昇華転写方式を用いて印刷を行う場合の中間層は、加熱された際にインキリボンから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持するものを用いなけれぱならない。更に、これら中間層樹脂が画像形成時の熱でインキリボンに融着するのを防ぐために、リン酸エステル、界面活性剤、フッ素系化合物、フッ素系樹脂、シリコーン化含物、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等の各種離型剤を中間層中に内添することが好ましい。
一方、インクジェット方式に適する中間層は、高いインク吸収性を持たせるためにインクと高い親和性を有する樹脂、又はインクと親和性を有する樹脂と填材から構成される。填材は、中間層全体に対して10〜80%の範囲で含有させることができるが、適当なインク吸収性を有しかつ膨潤時に画像を保持させるためには15〜60%とすることがより好ましい。
このような中間層を支持フィルム上に形成する手段としては、特に限定されるものではないが、グラビアコート、オフセットグラビア、ロールコート、バーコート、スプレーコート、超音波コート等の手段を挙げることができ、上述した樹脂等の形成材料を適当な溶剤に溶解する等により形成される。このような中間層の厚みは、中間層に用いる材料の種類によって大きく異なるものであるが、好ましくは2〜30g/m2の範囲内である。
さらに、本発明の別の側面として、画像層上に接着層を設けた曲面印刷用転写フィルムを挙げることができる。カールフィットにより曲面印刷用転写フィルムを被曲面印刷体に転写する際に、画像層を構成するインキ等の種類によっては、被曲面印刷体との接着性が乏しい場合がある。このような場合に、画像層上に接着層を設けることにより、被曲面印刷体との接着性を良好に保つことができるにである。
インクジェット方式により画像層を形成した際に画像層にビヒクルであるバインダー樹脂が無い場合等、オンデマンド方式の印刷に用いられるインク等に接着性に問題があるものが多いことから、オンデマンド方式の印刷により画像層が形成される場合に特に有効である。なお、この接着層は上述した被曲面印刷体との接着性改良という性質のみではなく、例えば画像層のインクの定着性を向上させる等の性質を備えたものであってもよい。
このような接着層は、特定の溶媒に膨潤して被曲面印刷体への接着性を発現するような1種以上の樹脂材料で構成される。そのような樹脂としては、例えば、エチルセルロ−ス、ニトロセルロ−ス、酢酸セルロース等のセルロース誘導体;脂肪酸変性フタル酸アルキッド、マレイン酸アルキッドなどの純枠或いは変性アルキッド樹脂;ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート共重合体、ラウリルメタクリレート・N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体などの(メタ)アクリル樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体、ポリビニルトルエン、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;アミド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ゼラチン、カセイン、澱粉、大豆蛋白等の天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン、ロジンエステルなどを用いることができる。中間層と併用する場合は、中間層樹脂と同一の溶媒に膨潤可能なものを選択することが好ましい。
このような接着層を画像層上に形成する手段としては、特に限定されるものではないが、グラビアコート、オフセットグラビア、ロールコート、バーコート、スプレーコート、超音波コート等の手段を挙げることができる。また、接着層の形成に際しては、適当な溶剤に上記樹脂等を溶解させて形成してもよい。さらに、この接着層の厚みは、接着層の材料の種類により異なるものであるが、好ましくは2〜30g/m2の範囲内である。
次に、上述した曲面印刷用転写フィルムの製造方法について説明する。
本発明の曲面印刷用転写フィルムの製造方法は、所定の溶剤に膨潤する支持フィルムを用意する行程と、この支持フィルムの一面にオンデマンド方式の印刷方法(インクジェット方式)により絵柄を印刷する行程とを少なくとも有するものである。
この所定の溶剤に膨潤する支持フィルムについては上述した通りであるので、支持フィルムを用意する行程についての説明は省略する。
図1はインクジェット方式により支持フィルム上に画像層を形成する行程を説明するものである。まず、図1(a)に示すように、支持フィルム1を用意する。次いで図1(b)に示すようにこの支持フィルム1上にインクジェットプリンター2を用いてインクAで印刷を行う。図1(c)は印刷した後に乾燥させた状態を示すものであり、支持フィルム1上に絵柄を構成する画像層3が設けられ、これにより曲面印刷用転写フィルム4が形成されている。ここで、画像層3を構成するインクにバインダー樹脂が混合されていない等の画像層3と後述する被曲面印刷体との間に接着性が無いかもしくは不足している場合は、図1(d)に示すように画像層3の上に接着層5を設け、これを曲面印刷用転写フィルム4としてもよい。
このようにして形成された、曲面印刷用転写フィルム4は、後述する活性剤6が塗布されて(図1(e)、(f))、カールフィットによる転写行程へと送られる。
図2は、図1と同様にインクジェット方式により画像層を形成し曲面印刷用転写フィルムを製造する工程を示すものであるが、この例においては、画像層を定着・固定するための中間層が形成されている点で異なる。
図2(a)は、支持フィルム1上に中間層7が設けられた状態を示すものである。このように中間層7が設けられた支持フィルム1は、図2(b)に示すように中間層7側にインクジェットプリンター2によりインクAを用いて画像層が印刷される。印刷後乾燥された状態の曲面印刷用転写フィルム4を図2(c)および(d)に示す。図2(c)は、インクが中間層7のみに浸透している状態を示すものであり、図2(d)はインクが中間層7を越えて支持フィルム1にまで浸透している状態を示す。さらに、画像層3に被曲面印刷体との接着性が無いかもしくは弱い場合には、図2(e)に示すように接着層5を画像層3上に形成して曲面印刷用転写フィルム4としてもよい。
このようにして形成された曲面印刷用転写フィルム4も、図1の場合と同様に後述する活性剤6が塗布され(図2(f)、(g))、カールフィットによる転写行程へと送られる。
次に、本発明ではないが、参考として電子写真方式により画像層を印刷して曲面印刷用転写フィルムを製造する例について図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示すように支持フィルム1を用意する。次いで、図3(b)に示すようなトナータンク8、ディベロッパー9、感光体10および圧胴11から構成される電子写真プリンター12を用い、レーザー13により形成された感光体10上の静電潜像に応じて付着したトナーBを支持フィルム1に印刷する。こうして図3(c)に示すような支持フィルム1上に画像層3が形成された曲面印刷用転写フィルム4が形成される。この例においても、図3(d)に示すように、活性剤6が画像層3上に塗布され、カールフィットによる転写行程に送られる。
このように、本発明の曲面印刷用転写フィルムの製造方法は、少なくとも支持フィルムを用意する行程と、この支持フィルムの一面にオンデマンド方式の印刷方法により絵柄を構成する画像層を印刷する工程からなるものであるが、必要に応じて、上記支持フィルムと画像層との間に中間層を形成してもよく、また必要に応じて画像層の上に接着層を形成してもよい。
次に、上述した曲面印刷用転写フィルムを用いた曲面印刷体の製造方法について説明する。
本発明の曲面印刷体の製造方法において、図1(e)および(f)、図2(f)および(g)、に示すように、曲面印刷用転写フィルム4を調製した後、まずこの曲面印刷用転写フィルム4の画像層3側に活性剤6を塗布する。ここで、画像層3上に接着層5が形成されている場合は、接着層5上に活性剤6が塗布される。
このように活性剤を塗布するのは、活性剤を塗布して画像層等を膨潤させておかないと、その後溶媒上に曲面印刷用転写フィルムを浮かべて膨潤させた後、被曲面印刷体を上方から曲面印刷用転写フィルムに押し当てて転写する際に、曲面印刷用転写フィルムが被曲面印刷体表面に密着することができず、転写がうまくいかないためである。このような活性剤は、画像層、中間層および接着層の少なくとも一つを膨潤させうるものであればよく、また、画像層のインクを溶解させず、転写が行われるまで蒸発せず、さらに被曲面印刷体表面を浸食したり、被曲面印刷体が塗料により下塗りされているときにはこの塗料に接触する転写時にこの塗料を急激に溶解させないものであることが望ましい。なお、例えば画像層が完全に乾燥する前に曲面印刷用転写フィルムを溶媒上に浮かべて転写を行う場合等、この活性剤の塗布行程が必要無い場合もある。
このような活性剤の例としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等、あるいはこれらの混合液であるガソリン、石油、ベンジン、ミネラルスピリット、石油ナフサ等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、トリクロルエチレン、パークロルエチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ベンジルアルコール等の一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチレングリコール、モノ・メチルエーテル、エチレングリコール、モノ・エチルエーテル、ジエチレングリコール等のエーテル類、酢酸エステル類、酪酸エステル類等のエステル類、ニトロ炭化水素類、ニトリル類、アミン類、その他アセタール類、酸類、フラン類等が挙げられ、これらが単独あるいは混合溶剤として用いられる。
また、このような溶剤に、溶剤に対して親和性を有する樹脂を添加したものを活性剤として用いることができる。このような樹脂としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体、スチレンならびにその誘導体、酢酸ビニル等のビニルエステル単量体、アリルアルコールおよびアリルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸またはフマル酸等の不飽和カルボン酸類、上記の不飽和カルボン酸類のエステル誘導体、同ニトリル誘導体または同酸アミド誘導体、上記の不飽和カルボン酸類の酸アミド誘導体のN−メチロール誘導体および同N−アルキルメチロールエーテル誘導体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチル−アクリレート、2−ヒドロキシエチル−メタクリレート、2−ヒドロキシプロピル−アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−メタクリレート、エチレングリコールーモノアクリレート、エチレングリコールーモノメタクリレート、エチレングリコール−ジアクリレート、エチレングリコール−ジメタクリレート、無水マレイン酸、無水イタコン酸、メチルビニルケトン、ブタジエンエチレン、プロピレン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、多価アルコールのモノアリルエーテル等の単量体の単独重合体ないし共重合体類等の熱可塑性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、フタル酸ジアリル系樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂、またはそれらの変性樹脂もしくは初期縮合物、天然樹脂、ロジンおよびその誘導体、セルロース誘導体、天然または合成ゴム、石油樹脂等を挙げることができる。
これらの樹脂は、粘度調整が容易である、塗布方法を選ばない、インクの保持時間が長い、転写時間を長くとれる等の理由から、上記溶媒に添加して活性剤とすることが好ましく、添加量は5〜60重量%の範囲内であることが好ましい。
このような活性剤組成の例として好ましいものを以下に示すが、この活性剤の組成は膨潤させる材料に応じて設計されたものであり、本発明の活性剤がこれに限定されるものではない。
(活性剤組成例1)
・キシレン:5〜10重量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル:20〜30重量部
・ブチルカルビトールアセテート:30〜40重量部
・フタル酸エステル(DBP):20〜30部
・セルロースアセテートブチレート(CAB):0.9重量部
・酢酸エチル:1〜5重量部
(活性剤組成例2)
・アルキッド樹脂:15重量部
・ニトロセルロース:2重量部
・重炭酸バリウム:30重量部
・フタル酸エステル(DBP):35重量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル:14重量部
・ブチルセロソルブアセテート:52重量部
・マレイン酸:少量
このような活性剤の塗布手段としては、グラビアコート、オフセットグラビア、ロールコート、バーコート、スプレーコート、超音波コートなどが適用でき、活性剤の塗布量は、2〜30g/m2であり、好ましくは3〜15g/m2である。
次に、このように活性剤が塗布された曲面印刷用転写フィルムを溶媒上、好ましくは水上に浮かべる。この状態を図4(a)に示す。支持フィルム1上に絵柄を構成する画像層3が印刷された曲面印刷用転写フィルム4を溶媒上に浮かべる。上記支持フィルム1はこの溶媒に膨潤するものであることから、図4(a)に示すように支持フィルム1は膨潤して広がった状態となる。この際、支持フィルム1上の画像層3も活性剤が塗布されているためこの支持フィルム1の広がりに添って同様に広がる。これにより、曲面印刷用転写フィルムが広がった状態となる。
そして、このように曲面印刷用転写フィルム4が広がった状態で、図4(b)に示すように、溶媒14上の曲面印刷用転写フィルム4の上方から被曲面印刷体15を降下させ、その一部ないし全部を溶媒14中に沈降させ、溶媒14の圧力により被曲面印刷体15の表面に曲面印刷用転写フィルム4を延展・密着させる。
ここで、この被曲面印刷体としては、曲面印刷用転写フィルムの画像層もしくは接着層が接着しうる材料で形成されたものであれば、材料および形態共に特に限定されるものではない。この被曲面印刷体に用いることができる材料としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、AES樹脂(ABS樹脂の耐候性向上品)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィンオキシド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のホモポリマー、もしくはコポリマーあるいはこれらのものから選択される混合物からなる合成樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルマリン樹脂、尿素樹脂、繊維素系樹脂等の射出成形品、押し出し成形品、中空成形品、真空成形品等からなる各種合成樹脂成形品をはじめ、金属製品、セラミックス成形品等を挙げることができる。
また、形態面では、凹部または凸部を有するものや、平坦なもの、二次元もしくは三次元曲面を有するものや貫通孔を有するもの、格子状のものなどほとんどの形態のものを適用することができる。さらに、表面に木、石、織物などの質感を生じさせるための微少なエンボスが設けてあるもの等も適用することができる。
次いで、溶媒14中から被曲面印刷体15を取出し、支持フィルムを除去する。この支持フィルムを除去するには、図4(c)に示すように、前記溶媒14と同じ溶媒を用いて、膨潤した支持フィルムをシャワー洗浄することが最も効率的であることから好ましい。このようにシャワー洗浄を行うことにより、支持フィルムを完全に除去すると共に、転写の際に生じる汚れをも除去することができる。ここでの溶媒の温度、洗浄時間等は、用いる溶剤や支持フィルムにより大きく異なるものであるが、例えば支持フィルムとしてポリビニルアルコール(PVA)を用い、溶媒として水を用いた場合は、一般的には水温15〜60℃、1〜10分程度洗浄する事が好ましい。
そして、図4(d)に示すように支持フィルムを除去した被曲面成形体15をエアーブロー、乾燥炉等の手段により乾燥させる。乾燥後、被曲面印刷体に保護層を形成して、曲面印刷体とする。なお、例えば、中間層が形成され、これにより十分画像層が保護される場合等においては、この保護層を形成する行程は行わなくてもよい。
ここで保護層に用いられる材料は、熱可塑性樹脂であっても、硬化性樹脂であってもよい。具体的には、熱硬化性アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、分子中にエチレン性不飽和結合を有するプレポリマーあるいはオリゴマーまたは分子中エチレン性不飽和結合を有するモノマーあるいはこれらの混合物を主成分とする組成物からなる電離性放射線硬化性組成物等がを挙げることができる。
また、上述した電離性放射線硬化性組成物に使用される、分子中にエチレン性不飽和結合を有するプレポリマーあるいはオリゴマーとしては、例えば不飽和ポリエステル類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレートなどの各種アクリレート類、ポリエステルメタクリレート、エポキシメタクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレートなどの各種メタクリレート類などであり、分子中にエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどのメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド、アクリル酸2−(N、N−ジベンジルアミノ)エチル、メタクリル酸(N、N−ジメチルアミノ)メチル、アクリル酸2−(N、N−ジエチルアミノ)プロピルなどの不飽和酸の置換アミノアルコールエステル類、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能性化合物、および/または分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレートなどが挙げられる。
さらに、保護層に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば硝化綿、酢酸繊維素、酪酸繊維素、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
このように、本発明の曲面印刷体の製造方法は印刷版を作成せずに得ることができるので、迅速かつ低コストで曲面印刷体を得ることができる。したがって、例えば各種試作品の作成に用いることも可能であり、また近年の少ロット・多品種の傾向にも十分対応することができる製造方法である。この効果は、この製造方法で得られる曲面印刷体も同様に奏するものである。