JP4507870B2 - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細には車輌の停止時に特定車輪の制動力を低下させる制動力制御装置に係る。
自動車等の車輌の制動力制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、ホイールシリンダへの作動流体の供給を制御する増圧制御用電磁弁とホイールシリンダよりの作動流体の排出を制御する減圧制御用電磁弁とを各車輪毎に有し、後輪の減圧制御用電磁弁は常開型の電磁弁である電子制御式の制動力制御装置であって、車輌が停止すると後輪の制動力を低下させる制動力制御装置が既に知られている。
この先の提案にかかる制動力制御装置によれば、車輌が停止すると後輪の制動力が低下されるので、後輪の常開型の減圧制御用電磁弁に供給される電流を低下させ、これにより車輌が停止状態にある場合の後輪の減圧制御用電磁弁による電力消費量を低減し、後輪の減圧制御用電磁弁の昇温を低減することができる。
特開2003−137082号公報
一般に、車輌が停止すると後輪の制動力が低下される制動力制御装置に於いては、車輌全体の制動力、即ち前輪の制動力及び後輪の制動力の和が車輌を停止状態に維持し得る値になるよう後輪の制動力が低下される。
しかし前輪が路面の摩擦係数が低い路面上にある状況にて車輌が坂道にて停止する場合には、前輪により発生される制動力が低いので、後輪の制動力が低下されると車輌が坂道に沿って下降方向へ動き出すことがあり、上述の如き従来の制動力制御装置に於いては、かかる状況については考慮されておらず、この点で改善の余地がある。
上記問題は、後輪の減圧制御用電磁弁が常開型の電磁弁である制動力制御装置に固有の問題ではなく、車輌が停止すると後輪の制動力が低下される限り、あらゆる構成の制動圧制御式の制動力制御装置や電磁アクチュエータ式の制動力制御装置の場合にも発生する。上記問題と同様の問題は、車輌が停止すると前輪や対角輪(左右一方の前輪と左右反対側の後輪)の制動力が低下される制動力制御装置に於いて、制動力が低下される車輪が路面の摩擦係数が低い路面上にある状況にて車輌が坂道にて停止する場合にも発生する。
本発明は、車輌が停止すると特定の車輪の制動力を低下させる従来の制動力制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の意に反し車輌が動き出したとき又はその虞れがあるときには制動力の低下を抑制することにより、車輌の停止時に特定車輪の制動力を低下させる制動力制御装置が搭載された車輌が坂道にて停止する場合に乗員の意に反し車輌が動き出すことを効果的に防止することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち各車輪に制動力を付与する制動力付与手段と、乗員の制動操作量に応じて各車輪の目標制動力を決定する目標制動力決定手段と、車輌の停止状態を判定する手段と、前記目標制動力に基づいて前記制動力付与手段を制御する制御手段とを有し、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態にあると判定されているときには特定の車輪の目標制動力を低下させる車輌の制動力制御装置に於いて、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定され特定の車輪の目標制動力を低下させている状況に於いて、
(A)乗員の制動操作量が増大した
(B)何れかの車輪の回転を判定することができない
の何れかを判定したときには前記特定の車輪の目標制動力の低下量を低減することを特徴とする車輌の制動力制御装置によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定された後に於ける乗員の制動操作量の増大量が増大量判定基準値以上になったときに乗員の制動操作量が増大したと判定するよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の制動操作量が操作量判定基準値以上になったときに乗員の制動操作量が増大したと判定するよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記特定の車輪は後輪であり、前記目標制動力決定手段は後輪の車輪速度を正確に検出することができないときに後輪の回転を判定することができないと判定するよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定された時点より所定の期間内にのみ前記(A)及び(B)の成否を判定するよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の構成に於いて、前記制動力付与手段はホイールシリンダへの作動流体の供給を制御する増圧制御用電磁弁と前記ホイールシリンダよりの作動流体の排出を制御する減圧制御用電磁弁とを各車輪毎に有し、前記特定の車輪は後輪であり、後輪の減圧制御用電磁弁は常開型の電磁弁であるよう構成される(請求項6の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の構成に於いて、前記目標制動力決定手段は乗員の制動操作量に応じて前記特定の車輪の目標制動力の低下量を決定するよう構成される(請求項7の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2乃至7の構成に於いて、前記目標制動力決定手段は車輪速度が0になったときに車輌が停止状態になったと判定し、前記乗員の制動操作量の増大量は車輪速度が0になった時点に於ける乗員の制動操作量よりの増大量であるよう構成される(請求項8の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至8の構成に於いて、前記目標制動力決定手段は目標制動力の低下を中止することにより目標制動力の低下量を0に低減するよう構成される(請求項9の構成)。
一般に、車輌が停止状態にあると判定されているときには特定の車輪の目標制動力が低下される車輌に於いては、車輌が停止状態になった後に車輪の制動力が低下されることにより乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始めると、乗員は制動操作量を増大させるので、車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の制動操作量が増大したか否かの判定により、車輌が停止状態になった後に乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始めたか否かを判定することができる。
また何れかの車輪の回転を判定することができないときには、当該車輪の回転の判定によって車輌が停止しているか否かを判定することができず、車輌が移動している虞れがあるので、この場合にも特定の車輪の目標制動力の低下が抑制されることが好ましい。
上記請求項1の構成によれば、車輌が停止状態にあると判定されているときには特定の車輪の目標制動力が低下されるので、車輌が停止状態にあるときの特定の車輪の制動力を低下させ、特定の車輪に制動力を付与するために必要なエネルギーを低減することができると共に、車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の制動操作量が増大したとき又は何れかの車輪の回転を判定することができないときには特定の車輪の目標制動力の低下量が低減されるので、車輌が停止状態になった後に乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始めた場合や移動する虞れがある場合に特定の車輪の制動力を増大させて車輌を効果的に停止状態に維持することができる。
また上記請求項2の構成によれば、車輌が停止状態になったと判定された後に於ける乗員の制動操作量の増大量が増大量判定基準値以上になったときに乗員の制動操作量が増大したと判定されるので、車輌が停止状態になった後に乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始めたことに対処して乗員の制動操作量が増大された場合には、そのことを確実に判定し、これにより特定の車輪の目標制動力の低下量を確実に低減することができる。
また上記請求項3の構成によれば、車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の制動操作量が操作量判定基準値以上になったときに乗員の制動操作量が増大したと判定されるので、車輌が停止状態になった後に乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始めたことに対処して乗員の制動操作量が増大され大きい値になった場合には、そのことを確実に判定し、これにより上記請求項2の構成の場合と同様特定の車輪の目標制動力の低下量を確実に低減することができる。
また一般に、車輌が停止状態になったか否かの判定は少なくとも車輪速度に基づいて行われるが、特定の車輪が後輪である場合に於いて、前輪が路面の摩擦係数が低い路面上にある状況にて車輌が坂道にて停止し、後輪の制動力が低下されることにより車輌が坂道に沿って下降方向へ動き出しても、前輪はロック状態になって回転しないので、前輪の車輪速度によっては車輌が停止しているか否かを判定することができない。更に後輪の車輪速度を正確に検出することができないときには、何れの車輪速度によっても車輌が停止しているか否かを正確に判定することができない。
記請求項4の構成によれば、特定の車輪は後輪であり、後輪の車輪速度を正確に検出することができないときには後輪の回転を判定することができないと判定されるので、何れの車輪速度によっても車輌が停止しているか否かを正確に判定することができない状況に於いて、後輪の目標制動力の低下量を低減し、乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始める虞れを確実に低減することができる。
また一般に、車輌が停止状態になった後に車輪の制動力が低下されることにより乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動し始めるのは、車輌が停止状態になったと判定され特定の車輪の目標制動力が低下された時点よりある時間以内であり、その時間が経過しても乗員の制動操作量が増大されない場合には、車輌が停止状態を維持しているものと考えられる。
記請求項5の構成によれば、車輌が停止状態になったと判定された時点より所定の期間内にのみ(A)及び(B)の成否が判定されるので、車輌が停止状態になったと判定された後に(A)及び(B)の成否の判定が不必要に長く実行されることを確実に防止することができる。
また上記請求項6の構成によれば、制動力付与手段はホイールシリンダへの作動流体の供給を制御する増圧制御用電磁弁とホイールシリンダよりの作動流体の排出を制御する減圧制御用電磁弁とを各車輪毎に有し、特定の車輪は後輪であり、後輪の減圧制御用電磁弁は常開型の電磁弁であるので、車輌が停止状態にあるときに後輪の減圧制御用電磁弁により消費される電力を確実に低減することができると共に、車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の制動操作量が増大したときには後輪の減圧制御用電磁弁に対する制御電流の低減量を低減し、後輪の制動力の低下量を確実に低減することができる。
また上記請求項7の構成によれば、乗員の制動操作量に応じて特定の車輪の目標制動力の低下量が決定されるので、乗員の車輌停止維持の意思の強さに応じて特定の車輪の目標制動力の低下量を決定することができる。
また上記請求項8の構成によれば、車輪速度が0になったときに車輌が停止状態になったと判定され、乗員の制動操作量の増大量は車輪速度が0になった時点に於ける乗員の制動操作量よりの増大量であるので、車輌が停止状態になった後に於ける乗員の制動操作量の増大量に基づいて特定の車輪の目標制動力の低下量を低減するか否かを判定することができる。
また上記請求項9の構成によれば、目標制動力の低下を中止することにより目標制動力の低下量が0に低減されるので、特定の車輪の目標制動力が低下されることを防止し、これにより乗員の車輌停止維持の意思に反して車輌が移動する虞れを効果的に低減することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至9の構成に於いて、目標制動力決定手段は乗員の制動操作量に基づき車輌の目標減速度を演算し、車輌の目標減速度に基づき各車輪の目標制動力を決定するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至9又は上記好ましい態様1の構成に於いて、目標制動力決定手段は車輌が停止状態にあると判定されているときには特定の車輪の目標制動力を制限値以下に制限することにより特定の車輪の目標制動力を低下させるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、目標制動力決定手段は乗員の制動操作量が大きいほど制限値が大きくなるよう乗員の制動操作量に応じて制限値を可変設定するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至7の構成に於いて、目標制動力決定手段は車輪速度が0になったときに車輌が停止状態になったと判定し、乗員の制動操作量の増大量は車輪速度が0になった時点より予め設定された時間が経過した時点に於ける乗員の制動操作量よりの増大量であるよう構成される(好ましい態様4)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は本発明による車輌の制動力制御装置の一つの実施例の油圧回路を示す概略構成図及び制御系を示すブロック図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各弁のソレノイドの図示は省略されている。
図1に於いて、10は電気的に制御される油圧式のブレーキ装置を示しており、ブレーキ装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ左前輪用のブレーキ油圧供給導管18及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22FRが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24L及び24Rが設けられ、電磁開閉弁24L及び24Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダ22FL及び22FRとの連通を制御する遮断弁として機能する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24FLとの間のブレーキ油圧供給導管18には常閉型の電磁開閉弁(常閉弁)26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。リザーバ30、オイルポンプ36、アキュムレータ38等は後述の如くホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RR内の圧力を増圧するための高圧の圧力源として機能する。
尚図1には示されていないが、オイルポンプ36の吸入側の油圧供給導管32と吐出側の油圧供給導管32とを連通接続する導管が設けられ、該導管の途中にはアキュムレータ38内の圧力が基準値を越えた場合に開弁し吐出側の油圧供給導管32より吸入側の油圧供給導管32へオイルを戻すリリーフ弁が設けられている。
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Lとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管44により電磁開閉弁24Rとホイールシリンダ22FRとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管46により左後輪用のホイールシリンダ22RLに接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁60FL、60FRが設けられ、また油圧制御導管56、58の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁よりも低廉な常開型の電磁式のリニア弁60RL、60RRが設けられている。
リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧弁(保持弁)として機能し、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
尚各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24L及び24Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL及び60FRは閉弁状態に維持され、リニア弁60RL及び60RRは開弁状態に維持される(非制御モード)。またリニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RRの何れかが失陥し、対応するホイールシリンダ内の圧力を正常に制御できなくなった場合にも各電磁開閉弁等は非制御モードに設定され、これにより左右前輪のホイールシリンダ内の圧力は直接マスタシリンダ14により制御される。
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Lとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Rとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ68が設けられている。ブレーキペダル12には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁24L及び24Rとホイールシリンダ22FL及び22FRとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FL及び22FR内の圧力Pfl、Pfrとして検出する圧力センサ74FL及び74FRが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50RL及び50RRとホイールシリンダ22RL及び22RRとの間の油圧制御導管46及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22RL及び22RR内の圧力Prl、Prrとして検出する圧力センサ74RL及び74RRが設けられている。
電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RRは電子制御装置78により制御される。電子制御装置78はマイクロコンピュータ80と駆動回路82とよりなっている。尚マイクロコンピュータ80は図1には詳細に示されていないが例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
マイクロコンピュータ80には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力される。またマイクロコンピュータ80には、車輪速度センサ76FL〜76RRよりそれぞれ左右前輪及び左右後輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号も入力される。
マイクロコンピュータ80は、後述の如く図2に示されたフローチャートによる制動力制御ルーチンを記憶しており、ブレーキペダル12が踏み込まれると電磁開閉弁26を開弁すると共に、電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁し、その状態にて圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及びストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき車輌の目標減速度Gtを演算し、車輌の目標減速度Gtに基づき各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、各車輪の制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう各リニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRを制御する。
以上の説明より解る如く、マイクロコンピュータ80は運転者の制動操作量に基づき車輌の目標減速度Gtを演算し、目標減速度Gtに基づき各車輪の目標制動圧をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RR、電子制御装置78、圧力センサ66等の各センサと共働して高圧の圧力源の圧力を使用して電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁させた状態で各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標制動圧になるようリニア弁50FL〜50RR及びリニア弁60FL〜60RRを制御する制御手段を構成している。
図示の実施例に於いては、マイクロコンピュータ80は左右後輪のリニア弁60RL、60RRの作動状況に基づきリニア弁の過剰昇温等を防止するための目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限値Prmaxを演算し、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrを制限値Prmax以下に制限し、これにより左右後輪のリニア弁60RL、60RRに過剰の負荷が作用することを防止する。尚制限値Prmaxは運転者の制動操作量が高いほど大きくなるよう、運転者の制動操作量に応じて可変設定される。
またマイクロコンピュータ80は車輪速度Vwiに基づき車輌が停止状態になったか否かを判定し、所定の時間に亘り車輌が停止状態にあると判定されたときには、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrを制限値Prmaxよりも小さい制限値Prmaxs以下に制限し、これにより左右後輪のリニア弁60RL、60RRに対する駆動電流を低減し、リニア弁60RL、60RRの負荷を更に低下させる。尚制限値Prmaxsは運転者の制動操作量が高いほど大きくなるよう、運転者の制動操作量に応じて可変設定される。
またマイクロコンピュータ80は左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrを制限値Prmaxs以下に制限している状況に於いて、運転者による制動操作量が増大されたか否かの判別により車輌が移動したか否かを判定し、運転者による制動操作量が増大されたと判定したときには、制限値Prmaxsによる制限を解除して左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrを制限値Prmaxにて制限し、これにより左右後輪のリニア弁60RL、60RRに対する駆動電流の低減を中止し、左右後輪の制動力を通常制動時の値に増大させる。
次に図2に示されたフローチャートを参照して実施例に於ける制動力制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては圧力センサ66により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては運転者による制動要求があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ30へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ40へ進む。尚運転者による制動要求があるか否かの判別は、例えば圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaが開始基準値Pms(正の定数)以上であるか又はストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStが開始基準値Sts(正の定数)以上であるか否かの判別により行われてよい。
ステップ30に於いては電磁開閉弁26が閉弁されると共に、電磁開閉弁24L及び24Rが開弁され、これによりマスタシリンダ14とウェットストロークシミュレータ28との連通が遮断されると共に、マスタシリンダ14と各車輪のホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRとが連通接続される。
ステップ40に於いては電磁開閉弁26が開弁され又は開弁状態が維持されると共に、電磁開閉弁24L及び24Rが閉弁され又は閉弁状態が維持され、これによりマスタシリンダ14とウェットストロークシミュレータ28とが連通接続されると共に、マスタシリンダ14と各車輪のホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRとの連通が遮断される。
ステップ50に於いては車輌が停止状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進み、否定判別が行われたときにはステップ60へ進む。尚車輌が停止状態にあるか否かの判別は、全ての車輪の車輪速度Vwiが0である状況が所定の停止判定時間T1(正の定数)以上継続したか否かの判別により行われてよい。
ステップ60に於いてはマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaに基づき図3に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptが演算される。
ステップ70に於いてはストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStに基づき図4に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstが演算される。
ステップ80に於いては前回の最終目標減速度Gtfに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gptに対する重みα(0≦α≦1)が演算されると共に、下記の式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。尚図示の実施例に於いては、重みαは前回の最終目標減速度Gtfに基づき演算されるようになっているが、目標減速度Gpt又はGstに基づき演算されるよう修正されてもよい。
Gt=α・Gpt+(1−α)Gst ……(1)
ステップ90に於いては最終目標減速度Gtに対する各車輪の目標制動圧の係数(各車輪のブレーキ効き係数を考慮した正の係数)をKi(i=fl、fr、rl、rr)として、下記の式2に従って各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、演算された左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが制限値Prmax(正の定数)よりも大きいときには、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが制限値Prmaxに設定される。
Pti=Ki・Gt ……(2)
ステップ100に於いては車輌の移動判定中であるか否かの判別、即ち車輌が停止したと判定された時点より後述の所定の許可判定時間T2以内であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100に於いて上述のステップ60〜90の場合と同様の要領にて各車輪の目標制動圧Ptiが演算された後ステップ130へ進み、否定判別が行われたときにはステップ120へ進む。
ステップ120に於いては上述のステップ60〜90の場合と同様の要領にて各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、演算された左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが小さい制限値Prmaxsよりも大きいときには、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが制限値Prmaxsに設定され、しかる後ステップ130へ進む。
ステップ130に於いては車輌の移動判定の許可条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ180へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ140へ進む。
尚車輌の移動判定の許可条件が成立しているか否かの判別に於いては、車輌が停止していると判定されている状況に於いて、(1)全ての車輪の車輪速度Vwiが使用可能状態であり且つ(2)左右後輪の制動圧Prl、Prrが制限値Prmax以上であり且つ(3)車輌が停止したと判定された時点より所定の許可判定時間T2(正の定数)以内であるの三つの条件が成立しているときに車輌の移動判定の許可条件が成立していると判定されてよい。
ステップ140に於いては車輌の移動判定の許可終了条件が成立しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ160へ進み、否定判別が行われたときにはステップ150へ進む。
尚車輌の移動判定の許可終了条件が成立しているか否かの判別に於いては、(1)車輌が停止状態にない、又は(2)何れかの車輪の車輪速度Vwiが使用不可状態である(車輪速度センサ76FL〜76RRの何れかが異常である場合を含む)、又は(3)運転者が制動操作を解除した、又は(4)車輌が停止したと判定された時点より所定の許可判定時間T2以上の時間が経過した、の何れかの条件が成立しているときに車輌の移動判定の許可終了条件が成立していると判定されてよい。
ステップ150に於いては車輌が移動したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160に於いて各車輪の目標制動圧Ptiが0に設定された後ステップ180へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ170へ進む。
尚車輌が移動したか否かの判別に於いては、(1)マスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pma若しくは踏み込みストロークStに基づき判定される運転者の制動操作量が車輌の停止判定開始時の値より増大判定基準値以上増大した、又は(2)運転者の制動操作量が最大基準値以上になった、又は(3)何れかの車輪の車輪速度Vwiが使用不可状態である(車輪速度センサ76FL〜76RRの何れかが異常である場合を含む)又は何れかの車輪の車輪速度Vwiが正の値になった、又は(4)後輪の転動を判定することができない、の何れかの条件が成立しているときに車輌が移動したと判定されてよい。
また(a)左右後輪の車輪速度Vwrl及びVwrrが使用不可状態である、又は(b)左右後輪の車輪速度Vwrl及びVwrrにロードヒーターのノイズあり且つ(c)左右後輪の車輪速度Vwrl及びVwrrが使用不可状態でない且つ(d)左右後輪の何れか車輪速度Vwrl又はVwrrが正の値である、の条件が成立する場合に後輪の転動を判定することができないと判定されてよい。
また左右後輪の制動圧Prl、Prrが制限値Prmax以上であり且つ三輪以上の車輪速度Vwrl及びVwrrにロードヒーターのノイズがある場合に車輌の停止状態を判定することができないと判定されてよく、車輌の停止状態を判定することができないときには無条件に車輌が移動したと判定されてよい。
ステップ170に於いては左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが上記式2に従って通常制動時の値(小さい制限値Prmaxsによる制限を受けず制限値Prmaxによる制限を受ける値)に演算され、ステップ180に於いては各車輪の制動圧Piが目標制動圧Ptiになるよう各リニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRが制御される。
かくして図示の実施例によれば、運転者による制動要求がある状況にて車輌が所定の時間以上停止状態になると、ステップ20及び50に於いて肯定判別が行われ、車輌が移動していると判定されていないときにはステップ100に於いて否定判別が行われ、ステップ120に於いて左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが小さい制限値Prmaxsを越えないよう制限され、これにより必要に応じて左右後輪の制動力が低減されることにより、左右後輪のリニア弁60RL、60RRに対する駆動電流が低減される。
これに対し例えば前輪が路面の摩擦係数が低い路面上にある状況にて車輌が坂道にて停止した場合の如く、運転者の停止維持の意思に反し車輌が移動すると、ステップ150に於いて肯定判別が行われることにより、ステップ170に於いて左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが上記式2に従って通常制動時の値(制限値Prmaxによる制限を受ける値)に演算され、これにより左右後輪の制動力の低減が解除される。
従って運転者の停止維持の意思通りに車輌が停止状態を維持しているときには、左右後輪のリニア弁60RL、60RRに対する駆動電流が低減されるので、左右後輪のリニア弁60RL、60RRによる消費電力を低減し、その発熱量を低減することができ、運転者の停止維持の意思に反し車輌が移動すると、左右後輪の制動力の低減を解除し、左右後輪に通常制動時の制動力を付与して車輌が移動する虞れを効果的に低減することができる。
図6は例えば車輌が水平路又は路面の摩擦係数が高い坂道にて停車する場合に於ける図示の実施例の作動を示すタイムチャートである。図6に示されている如く、時点t1に於いて車輌が停止し、時点t2に於いて車輌が停止状態にあると判定されたとすると、時点t2より所定の許可判定時間T2が経過する時点t4まで車輌の移動判定の許可条件が成立し、時点t2より時点t4まで左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrが小さい制限値Prmaxsにて制限され、時点t4に於いて車輌の移動判定の許可終了条件が成立すると、制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限が解除される。
これに対し、図7は例えば前輪が路面の摩擦係数が低い路面上にある状況にて車輌が坂道にて停止する場合に於ける図示の実施例の作動を示すタイムチャートである。図7に示されている如く、車輌の移動判定の許可終了条件が成立する前に時点t3に於いて車輌が移動したと判定されると、時点t3に於いて小さい制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限が解除される。
特に図示の実施例によれば、運転者の停止維持の意思に反し車輌が移動すると、小さい制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限が解除されるので、運転者の停止維持の意思に反し車輌が移動すると、例えば小さい制限値Prmaxsが大きくされることにより左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの低下量が低減される場合に比して、車輌が移動する虞れを効果的に低減することができる。
また図示の実施例によれば、(1)マスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pma若しくは踏み込みストロークStに基づき判定される運転者の制動操作量が車輌の停止判定開始時の値より増大判定基準値以上増大した、又は(2)運転者の制動操作量が最大基準値以上になった、又は(3)何れかの車輪の車輪速度Vwiが使用不可状態である(車輪速度センサ76FL〜76RRの何れかが異常である場合を含む)又は何れかの車輪の車輪速度Vwiが正の値になった、又は(4)後輪の転動を判定することができない、の何れかの条件が成立しているときに車輌が移動したと判定されるので、車輌が停止後に移動を開始したとき又はその虞れがあるときにはそのことを確実に判定することができる。
また図示の実施例によれば、後輪の転動を判定することができないときにも車輌が移動したと判定されるので、前輪がロックし、後輪の転動を判定することができない状況に於いても確実に小さい制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限を解除し、これによりかかる状況に於いても車輌が移動することを確実に抑制することができる。
また図示の実施例によれば、車輌が移動したか否かの判別(ステップ150)は車輌が停止状態になったと判定された時点より所定の許可判定時間T2内にのみ行われるので、車輌が確実に停止している状況に於いて、車輌が移動したか否かの判別が不必要に継続されることを確実に防止することができる。
また図示の実施例によれば、車輌が停止状態にあるときに於ける左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrに対する小さい制限値Prmaxsは運転者の制動操作量が高いほど大きくなるよう運転者の制動操作量に応じて可変設定されるので、制限値Prmaxsが運転者の制動操作量に拘らず一定の値である場合に比して、車輌を停止状態に維持しようとする運転者の意思に応じて制限値Prmaxsを可変設定することができ、これにより車輌を停止状態に維持しつつ左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrに適正な制限を加えることができる。
また図示の実施例によれば、ステップ130に於いて車輌の移動判定の許可条件が成立しているか否かの判別が行われ、ステップ140に於いて車輌の移動判定の許可終了条件が成立しているか否かの判別が行われ、車輌の移動判定の許可条件が成立し且つ車輌の移動判定の許可終了条件が成立していないときにステップ150に於いて車輌が移動したか否かの判別が行われるので、車輌の移動判定の許可条件が成立しているか否かの判別及び車輌の移動判定の許可終了条件が成立しているか否かの判別が行われない場合に比して、車輌が移動したか否かの判別を適正に行うことができ、これにより小さい制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限が解除されるべきではない状況に於いて小さい制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限が解除される虞れを効果的に低減することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の実施例に於いては、小さい制限値Prmaxsは運転者の制動操作量が高いほど大きくなるよう、運転者の制動操作量に応じて可変設定されるようになっているが、小さい制限値Prmaxsは制限値Prmaxよりも小さい限り一定の値に設定されてもよい。
また上述の実施例に於いては、運転者の停止維持の意思に反し車輌が移動すると、小さい制限値Prmaxsによる左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの制限が解除されることにより、左右後輪の制動力の低下が中止されるようになっているが、例えば小さい制限値Prmaxsが大きくされることにより左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrの低下量が低減され、これにより左右後輪の制動力の低下量が低減されるよう修正されてもよい。
また上述の実施例に於いては、各車輪の目標制動圧Ptiは運転者の制動操作量を示す値としてのマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2の平均値Pma及びブレーキペダルの踏み込み量Stに基づいて運転者の要求減速度Gtが演算され、各車輪の目標制動圧Ptiは運転者の要求減速度Gtに基づいて演算されるようになっているが、制動力の制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
また上述の実施例に於いては、マスタシリンダ圧力は二つの圧力センサ66及び68により検出されるようになっているが、マスタシリンダ圧力は一つの圧力センサにより検出されるよう修正されてもよく、また運転者の制動操作量はマスタシリンダ圧力に基づいて判定されてもよい。
また上述の実施例に於いては、車輌が停止状態になると特定の車輪としての左右後輪の制動力が低下されるようになっているが、本発明の制動力制御装置は特定の車輪が左右前輪又は対角二輪である車輌に適用されてもよい。
また上述の実施例に於いては、ホイールシリンダに対する作動流体の給配が制御されることにより各車輪の制動力が制御されるようになっているが、本発明の制動力制御装置は各車輪の制動力が電磁アクチュエータにより制御される車輌に適用されてもよい。
本発明による車輌の制動力制御装置の一つの実施例の油圧回路を示す概略構成図及び制御系を示すブロック図である。 実施例に於ける制動力制御ルーチンを示すゼネラルフローチャートである。 マスタシリンダ圧力の平均値Pmaと目標減速度Gptとの間の関係を示すグラフである。 ブレーキペダルの踏み込みストロークStと目標減速度Gstとの間の関係を示すグラフである。 前回の最終目標減速度Gtfと目標減速度Gptに対する重みαとの間の関係を示すグラフである。 例えば車輌が水平路又は路面の摩擦係数が高い坂道にて停車する場合に於ける図示の実施例の作動を示すタイムチャートである。 例えば前輪が路面の摩擦係数が低い路面上にある状況にて車輌が坂道にて停止する場合に於ける図示の実施例の作動を示すタイムチャートである。
符号の説明
10 ブレーキ装置
12 ブレーキペダル
14 マスタシリンダ
22FL〜22RR ホイールシリンダ
24F、24R、26 電磁開閉弁
50FL〜50RR リニア弁
60FL〜60RR リニア弁
66、68 圧力センサ
70 ストロークセンサ
72、74FL〜74RR 圧力センサ
76FL〜76RR 車輪速度センサ
78 電子制御装置

Claims (9)

  1. 各車輪に制動力を付与する制動力付与手段と、乗員の制動操作量に応じて各車輪の目標制動力を決定する目標制動力決定手段と、車輌の停止状態を判定する手段と、前記目標制動力に基づいて前記制動力付与手段を制御する制御手段とを有し、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態にあると判定されているときには特定の車輪の目標制動力を低下させる車輌の制動力制御装置に於いて、前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定され特定の車輪の目標制動力を低下させている状況に於いて、
    (A)乗員の制動操作量が増大した
    (B)何れかの車輪の回転を判定することができない
    の何れかを判定したときには前記特定の車輪の目標制動力の低下量を低減することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  2. 前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定された後に於ける乗員の制動操作量の増大量が増大量判定基準値以上になったときに乗員の制動操作量が増大したと判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  3. 前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定された後に乗員の制動操作量が操作量判定基準値以上になったときに乗員の制動操作量が増大したと判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  4. 前記特定の車輪は後輪であり、前記目標制動力決定手段は後輪の車輪速度を正確に検出することができないときに後輪の回転を判定することができないと判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  5. 前記目標制動力決定手段は車輌が停止状態になったと判定された時点より所定の期間内にのみ前記(A)及び(B)の成否を判定することを特徴とする請求項1乃至4に記載の車輌の制動力制御装置。
  6. 前記制動力付与手段はホイールシリンダへの作動流体の供給を制御する増圧制御用電磁弁と前記ホイールシリンダよりの作動流体の排出を制御する減圧制御用電磁弁とを各車輪毎に有し、前記特定の車輪の減圧制御用電磁弁は常開型の電磁弁であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の車輌の制動力制御装置。
  7. 前記目標制動力決定手段は乗員の制動操作量に応じて前記特定の車輪の目標制動力の低下量を決定することを特徴とする請求項1乃至6に記載の車輌の制動力制御装置。
  8. 前記目標制動力決定手段は車輪速度が0になったときに車輌が停止状態になったと判定し、前記乗員の制動操作量の増大量は車輪速度が0になった時点に於ける乗員の制動操作量よりの増大量であることを特徴とする請求項2乃至7に記載の車輌の制動力制御装置。
  9. 前記目標制動力決定手段は目標制動力の低下を中止することにより目標制動力の低下量を0に低減することを特徴とする請求項1乃至8に記載の車輌の制動力制御装置。
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