JP4241419B2 - 車輌の制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輌の制動制御装置に係り、更に詳細には制動操作部材に対する運転者の制動操作量に基づき制動力を制御する制動制御装置に係る。
自動車等の車輌の制動制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、制動力制御手段により制動操作部材に対する運転者の制動操作量に基づき目標制動制御量を演算すると共に、目標制動制御量に基づき各車輪に設けられた制動力発生手段を制御する制動制御モードと、制動操作部材に対する運転者の操作力を制動力発生手段へ伝達させることにより制動力を発生する運転者制動モードとを有する車輌の制動制御装置であって、制動制御モードによる制動力の制御を継続できない異常状態を予測する異常状態予測手段と、異常状態が予測されたときには制動制御モードより運転者制動モードへ切り替えるモード切り替え手段を有し、制動力制御手段は制動制御モードより運転者制動モードへ切り替えられる前に運転者の制動操作量に対する制動力発生手段により発生される制動力の比を運転者制動モード時の比に近づけることを特徴とする車輌の制動制御装置が従来より知られている。
かかる制動制御装置によれば、制動制御モードによる制動力の制御を継続できない異常状態が予測されたときには、モード切り替え手段により制動制御モードより運転者制動モードへ切り替えられるが、制動制御モードより運転者制動モードへ切り替えられる前に制動力制御手段により運転者の制動操作量に対する制動力発生手段により発生される制動力の比が運転者制動モード時の比に近づけられるので、制動制御モードより運転者制動モードへ切り替えられる際に運転者の制動操作量に対する制動力発生手段により発生される制動力の比が急激に低下することを確実に防止することができる。
特開2002−178900号公報
一般に、異常状態が予測されたときには制動制御モードより運転者制動モードへ切り替えられる制動制御装置に於いては、異常状態が解除されると、制動制御モードによる制動制御が再開される必要がある。
しかし車輌が走行し運転者により制動操作が行われている状況にて作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられると、運転者の制動操作量に対する制動力発生手段により発生される制動力の比が急激に高くなるため、各車輪の制動力が急激に高くなってしまい、制動制御モードの切り替えを円滑に異和感なく行うことができない。上述の如き従来の制動制御装置に於いては、この問題が考慮されておらず、この点で改善の余地がある。
本発明は、増力比が第一の比である第一のモードと増力比が第一の比よりも大きい第二の比である第二のモードとに切り替えられる制動装置を備えた車輌の制動制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、制動装置の作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにすることにより、第一のモードより第二のモードへの切り替えを円滑に異和感なく行うことである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち運転者の制動操作量に対する車輪の制動力の比を増力比として、前記増力比が第一の比である第一のモードと、前記増力比が前記第一の比よりも大きい第二の比である第二のモードとに切り替わる制動装置と、前記制動装置の作動モードを前記第一のモード及び前記第二のモードの何れに設定すべきかを判定するモード判定手段と、前記作動モードを前記モード判定手段により判定された作動モードに設定し運転者の制動操作量に基づき各車輪の制動力を制御する制御手段とを備えた車輌の制動制御装置にして、前記制御手段は前記モード判定手段により前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替えるべきと判定されたときには、前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替え設定すると共に、該切り替え設定の時点より時間が経過するにつれて前記増力比前記第一の比より前記第二の比へ漸次変化するよう前記第二のモードにて各車輪の制動力を制御することを特徴とする車輌の制動制御装置によって達成される。
また上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項7の構成、即ち第一のモードと、運転者の制動操作量が同一の場合に於ける車輪の制動力が前記第一のモードの値よりも大きい第二のモードとに切り替わる制動装置と、前記制動装置の作動モードを前記第一のモード及び前記第二のモードの何れに設定すべきかを判定するモード判定手段と、前記作動モードを前記モード判定手段により判定された作動モードに設定し運転者の制動操作量に基づき各車輪の制動力を制御する制御手段とを備えた車輌に於ける制動制御装置であって、前記モード判定手段により前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替えるべきと判定された後に、前記作動モードが前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替えられた時点より時間が経過するにつれて車輪の制動力が漸次増大するよう前記第二のモードにて各車輪の制動力を制御することを特徴とする車輌の制動制御装置によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記制動装置は各車輪に設けられた制動力発生手段を有し、前記制御手段は前記第一のモードに於いては制動操作部材に対する運転者の操作力を前記制動力発生手段へ伝達することにより前記第一の比にて制動力を発生するよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記制御手段は前記第二のモードに於いては前記増力比が前記第二の比になるよう制動操作部材に対する運転者の操作力若しくは操作駆動量に基づいて各車輪の目標制動力を演算し、各車輪の制動力を前記目標制動力に制御するよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れか一つの構成に於いて、前記増力比が前記第一の比より前記第二の比になるまでの時間は車速が高いほど長いよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前記増力比が前記第一の比より前記第二の比になるまでの時間は前輪よりも後輪が長いよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作量が基準値以下である状況にて前記モード判定手段により前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへの切り替えるべきと判定されたときには、前記増力比すぐに前記第一の比より前記第二の比へ変化するよう前記第二のモードにて各車輪の制動力を制御するよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項1の構成によれば、制動装置の作動モードがモード判定手段により第一のモードより第二のモードへ切り替えるべきと判定されたときには、作動モードが切り替え設定されると共に、該切り替え設定の時点より時間が経過するにつれて増力比が第一の比より第二の比へ漸次変化するよう第二のモードにて各車輪の制動力が制御されるので、作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにすることができ、これにより第一のモードより第二のモードへの切り替えを円滑に異和感なく行うことができる。
また上記請求項2の構成によれば、各車輪に制動力発生手段が設けられ、第一のモードに於いては制動操作部材に対する運転者の操作力が制動力発生手段へ伝達されることにより第一の比にて制動力が発生されるので、制動装置の作動モードが第二のモードであるときには各車輪の制動力を制動操作部材に対する運転者の操作力よりも確実に高くすることができる。
また上記請求項3の構成によれば、第二のモードに於いては増力比が第二の比になるよう制動操作部材に対する運転者の操作力若しくは操作駆動量に基づいて各車輪の目標制動力が演算され、各車輪の制動力が目標制動力に制御されるので、制動装置の作動モードが第二のモードであるときには各車輪の制動力を制動操作部材に対する運転者の操作力よりも高く且つ制動操作部材に対する運転者の制動操作量に対応する制動力に確実に制御することができる。
また上記請求項4の構成によれば、増力比が第一の比より第二の比になるまでの時間は車速が高いほど長いので、車速が高いほど制動装置の作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにし、これにより低車速域に於いて制動装置の作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられる際の制動力不足を防止しつつ、高車速域に於いて制動装置の作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられる際の制動力の急増及びこれに起因する車輌の走行安定性の悪化を効果的に防止することができる。
また上記請求項5の構成によれば、増力比が第一の比より第二の比になるまでの時間は前輪よりも後輪が長いので、制動装置の作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられる際の後輪の制動力の増大率を前輪の制動力の増大率よりも小さくし、これにより後輪の制動力が前輪に比して過大になること及びこれに起因する車輌の安定性の低下を効果的に防止することができる。
また上記請求項6の構成によれば、車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作量が基準値以下である状況にてモード判定手段により作動モードを第一のモードより第二のモードへの切り替えるべきと判定されたときには、増力比がすぐに第一の比より第二の比へ変化されるので、車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作量が基準値以下である状況に於いて第一の比より第二の比への増力比の変化が不必要に遅くされることを確実に防止することができる。
また上記請求項7の構成によれば、モード判定手段により作動モードを第一のモードより第二のモードへ切り替えるべきと判定された後に、作動モードが第一のモードより第二のモードへ切り替えられた時点より時間が経過するにつれて車輪の制動力が漸次増大するよう第二のモードにて各車輪の制動力が制御されるので、上記請求項1の構成の場合と同様、第一のモードより第二のモードへの切り替えの際の制動力の増大変化を穏やかにすることができ、これにより第一のモードより第二のモードへの切り替えを円滑に異和感なく行うことができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の何れか一つの構成に於いて、モード判定手段は第二のモードにて正常な制動力制御を行うことができない状況になると作動モードを第一のモードに切り替え設定すべきと判定し、作動モードが第一のモードにあるときに第二のモードにて正常な制動力制御を行うことができる状況になると作動モードを第一のモードより第二のモードへ切り替え設定すべきと判定するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、モード判定手段は制動装置を駆動する電源の電圧が正常ではなくなると作動モードを第一のモードに切り替え設定すべきと判定し、作動モードが第一のモードにあるときに制動装置を駆動する電源の電圧が正常になると作動モードを第一のモードより第二のモードへ切り替え設定すべきと判定するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、電源はメイン電源とサブ電源とよりなり、制動装置はメイン電源の電圧が正常であるときにはメイン電源により駆動されると共に、メイン電源の電圧が正常ではないときにはサブ電源により駆動され、モード判定手段はメイン電源の電圧が正常ではなくなると作動モードを第一のモードに切り替え設定すべきと判定し、作動モードが第一のモードにあるときにメイン電源の電圧が正常になると作動モードを第一のモードより第二のモードへ切り替え設定すべきと判定するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、電源は対応する車輪について制動装置を駆動する複数個の電源ユニットよりなり、モード判定手段は何れかの電源ユニットの電圧が正常ではなくなると作動モードを第一のモードに切り替え設定すべきと判定し、作動モードが第一のモードにあるときに全ての電源ユニットの電圧が正常になると作動モードを第一のモードより第二のモードへ切り替え設定すべきと判定するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、制動装置は各車輪の制動圧を制御することにより制動力を制御し、制動操作部材はマスタシリンダを含み、制動装置は作動モードが第一のモードにあるときには各車輪の制動圧をマスタシリンダ内の圧力にし、作動モードが第二のモードにあるときには高圧源よりの圧力を使用して各車輪の制動圧をマスタシリンダ内の圧力よりも高い圧力に制御するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、制御手段は制動操作部材に対する運転者の操作力若しくは操作駆動量に基づいて各車輪の目標制動圧を演算し、各車輪の制動圧が目標制動圧になるよう制御するよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、制御手段は制動装置の作動モードがモード判定手段により第一のモードより第二のモードへ切り替え設定すべきと判定されたときには、目標制動圧を低減補正し、切り替え設定の時点より時間が経過するにつれて目標制動圧の低減補正量を漸次低下させることにより増力比を第一の比より第二の比へ漸次変化させるよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様7の構成に於いて、制御手段は増力比が第二の比になると目標制動圧の低減補正を終了するよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様7の構成に於いて、制御手段は増力比が第一の比であるときの目標制動圧と増力比が第二の比であるときの目標制動圧との重み和になるよう目標制動圧を低減補正し、切り替え設定の時点より時間が経過するにつれて増力比が第二の比であるときの目標制動圧に対する重みを漸次増大させるよう構成される(好ましい態様9)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は前輪系統と後輪系統とよりなる制動装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の制動制御装置の実施例1の油圧回路を示す概略構成図、図2は実施例1の電子制御装置を示すブロック線図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各電磁開閉弁のソレノイドは省略されている。
図1に於いて、10は電気的に制御される油圧式の制動装置を示しており、制動装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれブレーキ油圧供給導管18及び20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22FLが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24A及び24Bが設けられ、電磁開閉弁24A及び24Bはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダとの連通を制御する遮断装置として機能する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24Bとの間のブレーキ油圧供給導管20には常閉型の電磁開閉弁26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Bとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管44により電磁開閉弁24Aとホイールシリンダ22FRとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管46により左後輪用のホイールシリンダ22RLに接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54、56、58の途中にはそれぞれ電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RRが設けられている。
電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧制御弁として機能し、電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧制御弁として機能し、従ってこれらの電磁開閉弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御することにより対応するするホイールシリンダ内圧力を増減する調圧装置を構成している。
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Aとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Bとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する圧力センサ68が設けられている。
ブレーキペダル12には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁24A及び24Bとホイールシリンダ22FR及び22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FR及び22FL内の圧力Pfr、Pflとして検出する圧力センサ74FR及び74FLが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50RL及び50RRとホイールシリンダ22RL及び22RRとの間の油圧制御導管46及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22RL及び22RR内の圧力Prl、Prrとして検出する圧力センサ74RL及び74RRが設けられている。
電磁開閉弁24A及び24B、電磁開閉弁26、電動機34、電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR、電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RR、電磁開閉弁64F及び64Rは後に詳細に説明する如く電子制御装置76により制御される。電子制御装置76はマイクロコンピュータ78と駆動回路80と電源82とよりなっている。
特に図示の実施例に於いては、電源82はメイン電源84とサブ電源86とリレー回路88とを有し、図2には詳細に示されていないがメイン電源84及びサブ電源86はそれぞれバッテリ、オルタネータ等を含み、メイン電源84はサブ電源86よりも大きい充電容量を有している。リレー回路88はメイン電源84の電圧Vemが基準値Vemh(正の定数)以上であるときにはメイン電源84より電磁開閉弁24A等へ駆動電流を供給し(通常モード)、メイン電源84の電圧Vemが基準値Vemh未満であるときにはサブ電源86より電磁開閉弁24A等へ駆動電流を供給する(バックアップモード)。
また各電磁開閉弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24A及び24Bは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR、電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RRは閉弁状態に維持され、これによりブレーキ装置10は左右前輪のホイールシリンダ22FL及び22FR内の圧力がマスタシリンダ14内の圧力により制御される運転者制動モード(第一のモード)に設定される。
尚図2には詳細に示されていないが、マイクロコンピュータ78は例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
マイクロコンピュータ78の入出力ポート装置には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、リレー回路88より電源82による駆動電流の供給が通常モード及びバックアップモードの何れであるかを示す信号がそれぞれ入力されるようになっている。
マイクロコンピュータ78のROMは後述の如く図3乃至図6に示された制御フローを記憶しており、電源82による駆動電流の供給が通常モードであるときには、CPUは上述の圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及びストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき車輌の最終目標減速度Gtを演算し、最終目標減速度Gtに基づき各輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、各輪のホイールシリンダ圧力が目標制動圧Ptiになるよう制御する(制動制御モード、即ち第二のモード)。
尚目標制動圧Ptiはマスタシリンダ14内の圧力よりも高く、従って作動モードが制動制御モードであるときのマスタシリンダ14内の圧力に対するホイールシリンダ圧力の比は、作動モードが運転者制動モードであるときのマスタシリンダ14内の圧力に対するホイールシリンダ圧力の比(1である)よりも大きい。また運転者の制動操作量が基準値以上であるときには、左右後輪の目標制動圧Ptrl、Ptrrは左右前輪の目標制動圧Ptfl、Ptfrよりも低く演算される。
特に図示の実施例1に於いては、左右前輪のホイールシリンダ22FL及び22FR、電磁開閉弁50FL及び50FR、電磁開閉弁60FL及び60FR、電磁開閉弁24B等は左右前輪の制動力を制御する第一系統としての前輪系統を構成しており、左右前輪の少なくとも一方の制動力を制動制御モードにて正常に制御することができないか又はその虞れがあるか否かに応じて、左右前輪の作動モードが同時に運転者制動モードと制動制御モードとの間に切り替えられる。尚前輪系統の作動モードが運転者制動モードであるときには、左右後輪のホイールシリンダ22RL、22RR内の圧力は左右前輪のホイールシリンダ22FL、22FR内の圧力と同一の圧力に制御され、左右後輪のホイールシリンダ22RL、22RR内の圧力を左右前輪のホイールシリンダ22FL、22FR内の圧力と同一の圧力に制御することができないときには、電磁開閉弁50RL及び50RRは閉弁状態に維持され、電磁開閉弁60RL及び60RRは開弁状態に維持される。
同様に、左右後輪のホイールシリンダ22RL及び22RR、電磁開閉弁50RL及び50RR、電磁開閉弁60RL及び60RR、電磁開閉弁24A等は左右後輪の制動力を制御する第二系統としての後輪系統を構成しており、左右後輪の少なくとも一方の制動力を制動制御モードにて正常に制御することができないか又はその虞れがあるか否かに応じて、左右後輪の作動モードが同時に運転者制動モードと制動制御モードとの間に切り替えられる。尚後輪系統の作動モードが運転者制動モードであるときにも、前輪系統が正常であれば、前輪系統の作動モードは制動制御モードに維持される。
特に図示の実施例1に於いては、電子制御装置76は制動装置10の作動モードが運転者制動モードにある状況に於いて、電源82による駆動電流の供給がバックアップモードより通常モードへ復帰したときには、制動装置10の作動モードを運転者制動モードより制動制御モードへ切り替え設定すると共に、各輪の目標制動圧Ptiを低減補正し、目標制動圧Ptiの低減補正量を漸次低下させることにより、制動装置10の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替え設定される際の制動圧の急増を防止し、これにより運転者制動モードより制動制御モードへの切り替えを円滑に異和感なく行う。
次に図3及び図4に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於ける制動力制御について説明する。尚図3及び図4に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチがオンに切り換えられることにより制動制御モードにて開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。また図3に於いて、フラグFtは増圧比を漸次増大させる過程にあるか否かに関するものであり、1は増圧比を漸次増大させる過程にあることを意味する。
まずステップ10に於いては圧力センサ66により検出された第一のマスタシリンダ圧力Pm1を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いてはフラグFtが1であるか否かの判別、即ち増圧比を漸次増大させる過程にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ30に進み、肯定判別が行われたときにはステップ40に於いて制動装置10が運転者制動モードより制動制御モードへ切り換え設定された時点よりの経過時間Tcが図3に示されたフローチャートのサイクルタイムに対応する所定の時間ΔTcインクリメントされる。
ステップ30に於いては制動装置10の作動モードが制動制御モードであるか否かの判別、即ち各車輪の制動圧が1よりも大きい増圧比にてマスタシリンダ圧力Pmよりも高い圧力に制御される状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ150へ進み、否定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
ステップ50に於いては例えば電源82がバックアップ状態より通常状態に復帰したか否かの判別により、制動装置10の作動モードを運転者制動モードより制動制御モードへ移行させる必要があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ60に於いて制動装置10の作動モードが制動制御モードに切り替え設定されると共に、フラグFtが1にセットされる。
ステップ70に於いては図4に示されたルーチンに従って車輌の最終目標減速度Gtが演算される共に、最終目標減速度Gtに基づき各車輪の目標制動圧(目標ホイールシリンダ圧力)Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
ステップ90に於いては制動装置10の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り換えられた時点よりの経過時間Tcに基づき、図5に示されたグラフに対応するマップより後述のステップ140に於ける目標制動圧Ptiの補正演算に供される重みRtが演算される。
ステップ100に於いては車輌が停止状態にあるか又は運転者により制動操作が行われていない状況であるか否かの判別が行われ、否定判別、即ち車輌が走行状態にあるか又は運転者により制動操作が行われている旨の判別が行われたときにはそのままステップ120へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ110に於いて重みRtが1にセットされた後ステップ120へ進む。尚車輌が停止状態にあるか否かの判別は例えば図には示されていない車速センサにより検出される車速Vが基準値以下であるか否かの判別により行われてよく、また運転者により制動操作が行われていない状況であるか否かの判別は例えばマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及び踏み込みストロークStがそれぞれ基準値以下であるか否かの判別により行われてよい。
ステップ120に於いてはRtが1であるか否かの判別、即ちそれ以上のRtの漸増処理が不要であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いてフラグFt及び経過時間Tcがそれぞれ0にリセットされ、否定判別が行われたときにはステップ140に於いて第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値をPmaとし、補正前の各車輪の目標制動圧PtiをPtfiとして、下記の式1に従って各車輪の目標制動圧Ptiが低減補正される。
Pti=(1−Rt)Pma+RtPtfi ……(1)
ステップ150に於いては例えば電源82がバックアップ状態にあるか否かの判別、即ちメイン電源84の電圧Vemが基準値Vemc未満であり電磁開閉弁50FL等への駆動電流の供給がサブ電源86よりリレー回路88を経て行われているか否かの判別により、制動装置10の作動モードを制動制御モードより運転者制動モードへ移行させる必要があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160に於いて上述のステップ70の場合と同一の要領にて各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、肯定判別が行われたときにはステップ170に於いて例えば前述の特許文献1の場合と同様の要領にて制動装置10の作動モードが運転者制動モードへ移行するよう処理される。
ステップ180に於いては各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制動装置10の各弁が制御されることにより各車輪の制動力が制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
上記ステップ70に於いて実行される図4の目標減速度Gt演算ルーチンのステップ72に於いては、ストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstが演算され、ステップ74に於いては第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値Pmaが演算されると共に、該平均値Pmaに基づき図7に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptが演算される。
ステップ76に於いては目標減速度Gptに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gstに対する重みα(0≦α≦0.6)が演算され、ステップ78に於いては下記の式2に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。尚図示の実施例に於いては、重みαは0≦α≦0.6を満たす範囲にて設定されるが、その最大値は0.6に限定されるものではなく、0以上1以下の任意の値であってよい。
Gt=αGst+(1−α)Gpt ……(2)
ステップ80に於いては最終目標減速度Gtに対する各輪の目標制動圧(目標ホイールシリンダ圧力)の係数をKi(i=fl、fr、rl、rr)として、最終目標減速度Gtに基づき下記の式3に従って各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
Pti=KiGt ……(3)
かくして図示の実施例1によれば、ステップ20に於いて増圧比を漸次増大させる過程にないと判別され、ステップ30に於いて制動装置10の作動モードが運転者制動モードであると判別されると、ステップ50に於いて制動装置10の作動モードを運転者制動モードより制動制御モードへ移行させる必要があるか否かの判別が行われ、運転者制動モードより制動制御モードへの移行が必要であるときには、ステップ60に於いて制動装置10の作動モードが制動制御モードに切り替え設定される。
そしてステップ20及び40に於いて制動装置10の作動モードが制動制御モードに切り替え設定された時点よりの経過時間Tcが演算され、ステップ70に於いて運転者の制動操作量に基づいて各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、ステップ90に於いて経過時間Tcが増大するにつれて重みRtが漸次増大するよう経過時間Tcに基づいて重みRtが演算され、ステップ100〜140に於いて重みRtに基づき経過時間Tcの増大につれて目標制動圧Ptiの低減補正量が漸次低下するよう目標制動圧Ptiが低減補正され、ステップ180に於いて各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
従って図示の実施例1によれば、電源82が正常な状態に復帰し、制動装置10の作動モードが第一のモードとしての運転者制動モードより第二のモードとしての制動制御モードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにすることができ、これにより運転者制動モードより制動制御モードへの切り替えを円滑に異和感なく行うことができる。
特に図示の実施例1によれば、図5に示されている如く、重みRtの漸増率は車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定されるので、車速Vに拘らず重みRtの漸増率が一定である場合に比して、車速が高いほど制動装置の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにし、これにより低車速域に於いて制動装置の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられる際の制動力不足を防止しつつ、高車速域に於いて制動装置の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられる際の制動力の急増及びこれに起因する車輌の走行安定性の悪化を効果的に防止することができる。
また図示の実施例1によれば、ステップ100に於いて車輌が停止状態にあるか又は運転者により制動操作が行われていないと判別されると、ステップ110に於いて重みRtが漸増されることなく1にセットされるので、車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作が行われていない状況にて制動装置の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられたときには、増力比Pti/Pmaをすぐに第一の比より第二の比へ変化させることができ、従って車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作が行われていない状況に於いて増力比の変化が不必要に遅くされることを確実に防止することができる。
図9は本発明による車輌の制動制御装置の実施例2に於ける制動制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。尚図9に於いて図3に示されたステップと同一のステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例2に於いては、ステップ70に次に実行されるステップ90に於いて制動装置10の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り換えられた時点よりの経過時間Tcに基づき、図10に示されたグラフに対応するマップより前輪用の重みRtf及び後輪用の重みRtrが演算される。またステップ100に於いて肯定判別が行われると、ステップ110に於いて前輪用の重みRtf及び後輪用の重みRtrがそれぞれ1にセットされる。
またステップ120に於いては後輪用の重みRtrが1であるか否かの判別、即ちそれ以上のRtrの漸増処理が不要であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いてフラグFt及び経過時間Tcがそれぞれ0にリセットされ、否定判別が行われたときにはステップ140に於いて下記の式4乃至7に従って各車輪の目標制動圧Ptiが低減補正される。
Ptfl=(1−Rtf)Pma+RtfPtffl ……(4)
Ptfr=(1−Rtf)Pma+RtfPtffr ……(5)
Ptrl=(1−Rtr)Pma+RtrPtfrl ……(6)
Ptrr=(1−Rtf)Pma+RtfPtfrr ……(7)
かくして図示の実施例2によれば、上述の実施例1の場合と同様、電源82が正常な状態に復帰し、制動装置10の作動モードが第一のモードとしての運転者制動モードより第二のモードとしての制動制御モードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにすることができ、これにより運転者制動モードより制動制御モードへの切り替えを円滑に異和感なく行うことができ、また車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作が行われていない状況に於いて増力比の変化が不必要に遅くされることを確実に防止することができる。
特に図示の実施例1によれば、図10に示されている如く、前輪用の重みRtf及び後輪用の重みRtrは後輪用の重みRtrが前輪用の重みRtfに比してゆっくりと増大するよう経過時間Tcに応じて演算されるので、制動装置10の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられる際の後輪の制動圧Prl、Prrの増大率を前輪の制動圧Pfl、Pfrの増大率よりも小さくし、これにより後輪の制動力が前輪に比して過大になること及びこれに起因する車輌の安定性の低下を効果的に防止することができる。
図11は本発明による車輌の制動制御装置の実施例3の電子制御装置を示すブロック線図である。尚図11に於いて図2に示された部材と同一の部材には図2に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この実施例3に於いては、電源82は制動装置10の第一系統の電磁開閉弁24B等を駆動する電源ユニット90と、第二系統の電磁開閉弁24A等を駆動する電源ユニット92よりなっている。電源ユニット90及び92の電圧Ve1及びVe2はそれぞれSOCメータ94及び96により検出され、電圧Ve1及びVe2を示す信号は電子制御装置76のマイクロコンピュータ78へ入力される。
またフローチャートとしては示されていないが、この実施例3に於いては、上述の実施例1又は2のステップ50に対応するステップに於いて電源ユニット90及び92の少なくとも一方の電圧Ve1、Ve2が異常判定基準値以下の状態より電源ユニット90及び92の電圧Ve1及びVe2の両者が正常判定基準値以上の状態になったか否かの判別により、制動装置10の作動モードを運転者制動モードより制動制御モードへ移行させる必要があるか否かの判別が行われる。
同様に、上述の実施例1又は2のステップ150に対応するステップに於いて電源ユニット90及び92の電圧Ve1及びVe2の両者が正常判定基準値以上の状態より電源ユニット90及び92の少なくとも一方の電圧Ve1、Ve2が異常判定基準値以下の状態になったか否かの判別により、制動装置10の作動モードを制動制御モードより運転者制御モードより運転者制動モードへ移行させる必要があるか否かの判別が行われる。尚他のステップは上述の実施例1又は2と同様に実行される。
従ってこの実施例3によれば、上述の実施例1及び2の場合と同様、電源82が正常な状態に復帰し、制動装置10の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替えられる際の制動力の増大変化を穏やかにすることができ、これにより運転者制動モードより制動制御モードへの切り替えを円滑に異和感なく行うことができ、また上述の実施例1又は2の場合と同様の格別の作用効果を得ることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、運転者の制動操作量に基づき車輌の最終目標減速度Gtが演算され、最終目標減速度Gtに基づき各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、制動装置10の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り替え設定されたときには、目標制動圧Ptiが低減補正され、目標制動圧Ptiの低減補正量が作動モードの切り替え設定の時点よりの経過時間Tcの増大につれて漸次低下されるようになっているが、マスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaに対応する車輌の目標減速度Gtoが演算され、車輌の目標減速度Gtoと最終目標減速度Gtとの重み和として補正後の最終目標減速度Gtが演算され、補正後の最終目標減速度Gtに基づいて各車輪の目標制動圧Ptiが演算されるよう修正されてもよい。
また上述の実施例1に於いては、重みRtの漸増率は車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定され、上述の実施例2に於いては、前輪用の重みRtf及び後輪用の重みRtrは後輪用の重みRtrが前輪用の重みRtfに比してゆっくりと増大するよう演算されるようになっているが、上述の実施例2に於いても車速Vが高いほど前輪用の重みRtf及び後輪用の重みRtrが小さくなるよう演算され、これにより上述の実施例1及び2が組み合されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、各車輪の制動圧は第一及び第二のマスターシリンダ圧力の平均値Pma及びブレーキペダルの踏み込みストロークStに基づき演算される目標制動圧に制御されるようになっているが、通常の制動時に運転者の制動操作量に基づいて各車輪の目標制動圧が制御される限り、各車輪の目標制動圧は当技術分野に於いて公知の任意の態様にて演算されてよい。
また上述の各実施例に於いては、制動装置10は第一系統としての前輪系統と第二系統としての後輪系統とよりなっているが、制動装置10は左前輪及び右後輪の制動力を制御する第一系統と右前輪及び左後輪の制動力を制御する第二系統とよりなるものであってもよい。
更に上述の各実施例に於いては、電磁開閉弁24A及び24Bはそれぞれマスタシリンダ14と右前輪のホイールシリンダ22FR及び左前輪のホイールシリンダ22FLとの連通を制御するようになっているが、電磁開閉弁24Bがマスタシリンダ14と左前輪のホイールシリンダ22FL及び右前輪のホイールシリンダ22FRとの連通を制御する三方向二位置切換弁に置き換えられ、電磁開閉弁24Aがマスタシリンダ14と左後輪のホイールシリンダ22RL及び右後輪のホイールシリンダ22RRとの連通を制御する三方向二位置切換弁に置き換えられてもよく、また電磁開閉弁24Bがマスタシリンダ14と左前輪のホイールシリンダ22FL及び右後輪のホイールシリンダ22RRとの連通を制御する三方向二位置切換弁に置き換えられ、電磁開閉弁24Aがマスタシリンダ14と右前輪のホイールシリンダ22FR及び左後輪のホイールシリンダ22RLとの連通を制御する三方向二位置切換弁に置き換えられてもよい。
前輪系統と後輪系統とよりなる制動装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の制動制御装置の実施例を示す概略構成図である。 実施例1の電子制御装置を示すブロック線図である。 実施例1に於ける制動力制御ルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ70に於いて実行される目標減速度演算ルーチンを示すフローチャートである。 制動装置の作動モードが制動制御モードに切り替え設定された時点よりの経過時間Tcと重みRtとの関係を示すグラフである。 ブレーキペダルの踏み込みストロークStと目標減速度Gstとの関係を示すグラフである。 マスタシリンダ圧力の平均値Pmaと目標減速度Gptとの関係を示すグラフである。 目標減速度Gptと目標減速度Gstに対する重みαとの関係を示すグラフである。 本発明による車輌の制動制御装置の実施例2に於ける制動制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。 制動装置の作動モードが運転者制動モードより制動制御モードへ切り換えられた時点よりの経過時間Tcと前輪用の重みRtf及び後輪用の重みRtrとの関係を示すグラフである。 本発明による車輌の制動制御装置の実施例3の電子制御装置を示すブロック線図である。
符号の説明
10 制動装置
12 ブレーキペダル
14 マスタシリンダ
22FL〜22RR ホイールシリンダ
66、68 圧力センサ
70 ストロークセンサ
72、74FL〜74RR 圧力センサ
76 電子制御装置
82 電源
84 メイン電源
86 サブ電源

Claims (7)

  1. 運転者の制動操作量に対する車輪の制動力の比を増力比として、前記増力比が第一の比である第一のモードと、前記増力比が前記第一の比よりも大きい第二の比である第二のモードとに切り替わる制動装置と、前記制動装置の作動モードを前記第一のモード及び前記第二のモードの何れに設定すべきかを判定するモード判定手段と、前記作動モードを前記モード判定手段により判定された作動モードに設定し運転者の制動操作量に基づき各車輪の制動力を制御する制御手段とを備えた車輌の制動制御装置にして、前記制御手段は前記モード判定手段により前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替えるべきと判定されたときには、前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替え設定すると共に、該切り替え設定の時点より時間が経過するにつれて前記増力比前記第一の比より前記第二の比へ漸次変化するよう前記第二のモードにて各車輪の制動力を制御することを特徴とする車輌の制動制御装置。
  2. 前記制動装置は各車輪に設けられた制動力発生手段を有し、前記制御手段は前記第一のモードに於いては制動操作部材に対する運転者の操作力を前記制動力発生手段へ伝達することにより前記第一の比にて制動力を発生することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動制御装置。
  3. 前記制御手段は前記第二のモードに於いては前記増力比が前記第二の比になるよう制動操作部材に対する運転者の操作力若しくは操作駆動量に基づいて各車輪の目標制動力を演算し、各車輪の制動力を前記目標制動力に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌の制動制御装置。
  4. 前記増力比が前記第一の比より前記第二の比になるまでの時間は車速が高いほど長いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の車輌の制動制御装置。
  5. 前記増力比が前記第一の比より前記第二の比になるまでの時間は前輪よりも後輪が長いことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の車輌の制動制御装置。
  6. 前記制御手段は車輌が停止状態にある状況若しくは運転者の制動操作量が基準値以下である状況にて前記モード判定手段により前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへの切り替えるべきと判定されたときには、前記増力比すぐに前記第一の比より前記第二の比へ変化するよう前記第二のモードにて各車輪の制動力を制御することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の車輌の制動制御装置。
  7. 第一のモードと、運転者の制動操作量が同一の場合に於ける車輪の制動力が前記第一のモードの値よりも大きい第二のモードとに切り替わる制動装置と、前記制動装置の作動モードを前記第一のモード及び前記第二のモードの何れに設定すべきかを判定するモード判定手段と、前記作動モードを前記モード判定手段により判定された作動モードに設定し運転者の制動操作量に基づき各車輪の制動力を制御する制御手段とを備えた車輌に於ける制動制御装置であって、前記モード判定手段により前記作動モードを前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替えるべきと判定された後に、前記作動モードが前記第一のモードより前記第二のモードへ切り替えられた時点より時間が経過するにつれて車輪の制動力が漸次増大するよう前記第二のモードにて各車輪の制動力を制御することを特徴とする車輌の制動制御装置。
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