JP4419117B2 - ペレット成型に用いる潤滑剤の供給方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はペレット成型前のダイスに潤滑剤を供給する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、核燃料用のペレットや超硬合金チップ等のペレットの成型はダイスホルダのダイス下方に下パンチの上端が位置するようにダイスホルダを上昇停止した後、原料の粉末体をダイスホルダのダイス内に掻き込んで、下パンチの上端がダイスのほぼ中央に近づけるようにダイスホルダを降下停止した後、ダイス内に上方より上パンチを挿入、降下してダイス内の粉末体を圧縮しペレットに成型、成型後ダイス内の上パンチを上昇すると共に、下パンチの上端がダイスホルダのダイスの上端と面一となるようにダイスホルダを更に降下し、ダイス内より成型されたペレットを押し上げていた。
【0003】
しかし、このダイス内の壁にかかるペレットの成型体の膨張力によって、ダイスホルダを押し下げる力が余分にかかり、しかもペレットがダイス内よりスムーズに押し上げられず、ダイス内で破損して所望のペレットを成型することができなかった。
【0004】
そのために、この原料の粉末体に潤滑剤を混合して、混合体としたものをダイスホルダのダイス内に掻き込み、上述のようにペレットを成型し、ダイス内より上パンチを上昇した後、ダイスホルダを押し下げて、混合体によるペレットを成型することが開発された。
【0005】
この混合体によるペレットによって、ダイス内の壁に混合体内の潤滑剤が接触するために、ダイスホルダを押し下げる力も余分にかからず、しかもダイス内のペレットをスムーズに上昇することができた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この混合体によるペレットは粉末体に混合する潤滑剤の混合工程の設備が必要であり、設備コスト及び製品コストに大幅な投資を要していた。しかも、混合体に対しては多量の潤滑剤が必要である反面、成型されたペレットに対しては不純物となるため潤滑剤量の減少対策に苦慮しており、ペレット内の潤滑剤を揮発除去する工程(予備焼結工程(脱脂工程))を特に設けなければならなかった。又、混合体によるペレットでは硬度及び密度が向上できないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明はこのような従来のペレットの成型が有していた課題を解決したものであって、混合工程や予備焼結工程等の設備コストの削減をはかることができると共に純度が高く、硬度及び密度の向上したペレットを成型できる一方、使用される潤滑剤を効率よく塗布でき、使用される潤滑剤の大幅な低減をはかることができる。
更に、ダイスが上昇するときに発生する吸引力によりダイス内壁に霧状潤滑剤を付着させるため、より均一に塗布することもできる。
又、霧状潤滑剤をダイス内壁に沿う旋回流若しくは上方流によって塗布するために、ダイス内壁への付着力を高めて潤滑性をより向上することもできることを目的としたペレットの成型方法及び成型に用いる潤滑剤の供給方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のペレット成型に用いる潤滑剤の供給方法の構成は、潤滑剤を霧状にする噴霧器1と、この噴霧器1からの霧状潤滑剤bを供給用のバルブ2を介してダイス14上の潤滑剤カップ10に導くと共に、外気を外気吸引バルブ24を介して吸引する供給配管4と、ダイス14に供給された余剰の霧状潤滑剤bを排出用のバルブ7を介して排出する排出配管8と、供給配管4内及び排出配管8内の霧状潤滑剤bを吸引する吸引器9とを備え、霧状潤滑剤bが潤滑剤カップ10に到達する時点で、供給用のバルブ2と排出用のバルブ7を閉鎖し、その後、外気吸引バルブ24を開放し、霧状潤滑剤bを、ダイスホルダ15が上昇するときに発生する外気の吸引力にて潤滑剤カップ10よりダイス14内に引き込み、ダイス14の内壁に自然付着若しくは強制的に塗布する構成としている。
【0009】
また、本発明のペレット成型に用いる潤滑剤の供給方法の構成は、潤滑剤を霧状にする噴霧器1と、この噴霧器1からの霧状潤滑剤bをダイス14に設置の噴射孔23に導く供給配管4と、ダイス14に供給された余剰の霧状潤滑剤bを排出する排出配管8と、供給配管4内及び排出配管8内の霧状潤滑剤bを吸引する吸引器9とを備え、霧状潤滑剤bを、ダイス14内壁に沿う旋回流若しくは上方流によって、ダイス14内壁に自然付着若しくは強制的に塗布する構成としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図に基づき説明する。
図中、図1は本発明実施例の潤滑剤のフローを示す系統図、図2は本発明実施例のダイスに潤滑剤を導入する概略説明図、図3は本発明実施例のダイスに粉末体を導入する概略説明図、図4は本発明実施例のダイスよりペレットを成型する概略説明図、図5は本発明実施例のダイスよりペレットを取り出す概略説明図、図6は本発明別実施例のダイスに潤滑剤を導入する概略説明図である。
【0011】
ペレットAの成型は原料の粉末体aをダイスホルダ15のダイス14内に導入する前にこのダイスホルダ15のダイス14内にステアリン酸系の潤滑剤を付着、塗布している。このステアリン酸系の潤滑剤は図1に示すように、噴霧器1内にて空気と混合し霧状とされ、供給バルブ2を介して供給配管4を通りダイス14へと供給される。このときバルブ5、バルブ7とを開放し、バルブ3、バルブ6とを閉鎖している。
【0012】
この噴霧器1はタンク18の上端を覆う上蓋19を設け、このタンク18内の下面に供給される潤滑剤を受け止める振動増幅板20を設け、この振動増幅板20の下側に振動増幅板20を振動させるスピーカ21を設け、タンク18内に潤滑剤を投入する潤滑剤投入孔と、霧状となった霧状潤滑剤bを供給配管4へ導く潤滑剤供給孔とを設けている。この噴霧器1は潤滑剤投入孔よりタンク18内に潤滑剤が投入されるとスピーカ21を稼働して振動増幅板20を振動し、振動増幅板20上の潤滑剤を空気と混合して霧状にし潤滑剤供給孔を経て供給配管4へと供給する。
【0013】
供給配管4からダイス14内へ導入された霧状潤滑剤bがダイス14内に到達する時点で、供給用のバルブ2と排出用のバルブ7を閉鎖し、潤滑剤カップ10内に霧状潤滑剤bが充満される。その後外気吸引バルブ24を開け、ダイスホルダ15が上昇する時発生する吸引力にて強制的にダイス14内に引き込まれる。
【0014】
この吸引力よって、ダイスホルダ15のダイス14内壁に霧状潤滑剤bが付着、塗布される。このダイスホルダ15のダイス14内壁への塗布が完了された時点で、供給用のバルブ5と外気吸引バルブ24と排出用のバルブ7を開放すれば、吸引器9の吸引によって潤滑剤カップ10内及びダイスホルダ15のダイス14内の余剰の霧状潤滑剤bと供給配管4中及び排出配管8中の霧状潤滑剤bとを吸引器9内へ吸引、集積され、この集積された霧状潤滑剤bが噴霧器1内へ再循環される。
【0015】
次に、別実施例である霧状潤滑剤の供給系路について説明する。ステアリン酸系の潤滑剤は噴霧器1のタンク18内に投入されて空気と混合、霧状とされる。この噴霧器1で霧状とされた霧状潤滑剤bが供給用のバルブ2を介して供給配管4へと送られる。このときバルブ3及びバルブ5とを閉鎖し、吸引用のバルブ6を開放して吸引器9にて一旦吸引配管12を介して供給配管4中を吸引した後に、この吸引用のバルブ6を閉鎖して供給配管4中に霧状潤滑剤bが充満される。
【0016】
噴霧器1から供給された霧状潤滑剤bが供給配管4に到達した時点で、バルブ2を閉鎖し、バルブ5を開放し導入用のバルブ3をも開放して、圧縮空気導入管17からの圧縮空気を供給配管4へと導き、この圧縮空気の押圧にて供給配管4中の霧状潤滑剤bがダイスホルダ15のダイス14内に強制的に充満され、ダイス14内壁に付着、塗布される。
【0017】
このダイスホルダ15のダイス14内壁への塗布が完了された時点で、導入用のバルブ3を閉鎖し、外気吸引バルブ24、排出用のバルブ7を開放すれば、吸引器9の吸引によって潤滑剤カップ10内の余剰の霧状潤滑剤bと供給配管4中の霧状潤滑剤bを吸引器9内へ吸引、集積され、この集積された霧状潤滑剤bが噴霧器1内へ再循環される。
【0018】
このとき、図6に示すように、ダイス14に設置の噴射孔23より霧状潤滑剤bを噴射することにより、ダイスホルダ15のダイス14内壁に付着させ、余剰の霧状潤滑剤bはダイス14上方へ流れ、その後回収される。ここで、ダイス14の噴射孔23の位相を変更することにより、ダイス14内壁に発生する流線が上方向若しくは旋回流等様々な流線を設定することが可能であって、より効率的に霧状潤滑剤をダイス内壁に付着させることができる。
【0019】
このようにして、霧状潤滑剤bは供給されるが、ペレットAの成型を図2乃至図5に基づいて説明する。噴霧器1からの霧状潤滑剤bは潤滑剤カップ10内に導入される。この潤滑剤カップ10がダイスホルダ15のダイス14上部に移動され、ダイス14下部に下パンチ13の上端が位置するまでダイスホルダ15を上昇すると、このダイスホルダ15の移動時に発生する下方への吸引力にて、潤滑剤カップ10内の霧状潤滑剤bがダイス14内壁に付着、塗布される。塗布終了後は潤滑剤カップ10内の余剰の霧状潤滑剤bは吸引器9にて吸引される。このダイスホルダ15のダイス14内に向かって上方より上下動する上パンチ16はこのダイス14より離れた上方に位置しており、下パンチ13は固定で、ダイスホルダ15が上下動している。(図2参照)
【0020】
次に、潤滑剤カップ10はダイスホルダ15のダイス14上方より離れ、代わりに粉末体aを導入した粉末体カップ11がダイス14上部に移動されて、粉末体カップ11内の粉末体aを内壁に潤滑剤bを塗布したダイス14内に掻き込む。このとき上パンチ16はダイス14より離れている。(図3参照)
【0021】
粉末体カップ11がダイスホルダ15のダイス14上方より離れると、内壁に潤滑剤bを塗布し、その内側に粉末体aを掻き込んだダイス14内に上方より上パンチ16を下動し、更に上パンチ16と共にダイスホルダ15を降下して、この上パンチ16と下パンチ13とにてダイス14内の粉末体aを圧縮し、この粉末体aによるペレットAが成型される。(図4参照)
【0022】
次に、上パンチ16が上方へ移動し、ダイスホルダ15が降下して、ペレットAをダイス14上面にまで押し上げる。(図5参照)
【0023】
このように成型されたペレットAは、ダイス14内壁に塗布された潤滑剤bの影響によって、ダイス14内を摺動しやすく、ダイスホルダ15の降下にてスムーズにダイス14上面に押し上げられる。
【0024】
実験例
粉末体としてモリブテンを使用し、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を使用。
この潤滑剤は従来の粉末体と潤滑剤とを混合した混合体が0.2wt%の使用量に対して、0.05wt%の使用量で、35mgとした。
この結果、
従来の混合体が 5.028g/cc(焼結密度)、100%(硬度)
成型されたペレットが5.047g/cc(焼結密度)、125%(硬度)
従って、使用潤滑剤量の大幅低減ができて、それによるペレットの不純物量も低減し、硬度も25%増となって成型状況も良好であった。
【0025】
以上本発明の代表例と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、潤滑剤の連続供給及び間欠供給のどちらにも対応可能であり、供給量も吸引時間及び噴霧器のスピーカ周波数、吸引量等を変えることにより変更可能で、また複数の塗布部分がある場合には複数の分岐も可能で、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から既に明らかなように、本発明にいうところのペレット成型に用いる潤滑剤の供給方法は、潤滑剤を霧状にする噴霧器と、この噴霧器からの霧状潤滑剤を供給用のバルブを介してダイス上の潤滑剤カップに導くと共に、外気を外気吸引バルブを介して吸引する供給配管と、ダイスに供給された余剰の霧状潤滑剤を排出用のバルブを介して排出する排出配管と、供給配管内及び排出配管内の霧状潤滑剤を吸引する吸引器とを備え、霧状潤滑剤が潤滑剤カップに到達する時点で、供給用のバルブと排出用のバルブを閉鎖し、その後、外気吸引バルブを開放し、霧状潤滑剤を、ダイスホルダが上昇するとき発生する外気の吸引力にて潤滑剤カップよりダイス内に引き込み、ダイスの内壁に自然付着若しくは強制的に塗布する構成としている。また、潤滑剤を霧状にする噴霧器と、この噴霧器からの霧状潤滑剤をダイスに設置の噴射孔に導く供給配管と、ダイスに供給された余剰の霧状潤滑剤を排出する排出配管と、供給配管内及び排出配管内の霧状潤滑剤を吸引する吸引器とを備え、霧状潤滑剤を、ダイス内壁に沿う旋回流若しくは上方流によって、ダイス内壁に自然付着若しくは強制的に塗布する構成としているので、従来のように、粉末体と潤滑剤とを混合する混合工程や予備焼結工程等の設備のコストの削減をはかることができると共に純度が高く、硬度及び密度の向上したペレットを成型できる一方、使用される潤滑剤を効率よく塗布でき、使用される潤滑剤の大幅な低減をはかることができる。
更に、ダイスが上昇するときに発生する吸引力によりダイス内壁に霧状潤滑剤を付着させるため、より均一に塗布することもできる。
又、霧状潤滑剤をダイス内壁に沿う旋回流若しくは上方流によって塗布するために、ダイス内壁への付着力を高めて潤滑性をより向上することもできるという顕著な効果を期待することが出来るに至ったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例の潤滑剤のフローを示す系統図。
【図2】 本発明実施例のダイスに潤滑剤を導入する概略説明図。
【図3】 本発明実施例のダイスに粉末体を導入する概略説明図。
【図4】 本発明実施例のダイスよりペレットを成型する概略説明図。
【図5】 本発明実施例のダイスよりペレットを取り出す概略説明図。
【図6】 本発明別実施例のダイスに潤滑剤を導入する概略説明図。
【符号の説明】
1 噴霧器
2、3、5、6、7 バルブ
4 供給配管
8 排出配管
9 吸引器
10 潤滑剤カップ
11 粉末体カップ
12 吸引配管
13 下パンチ
14 ダイス
15 ダイスホルダ
16 上パンチ
17 圧縮空気導入管
23 噴射孔
24 外気吸引バルブ
A ペレット
a 粉末体
b 霧状潤滑剤
Claims (2)
- ペレット(A)成型前のダイス(14)に潤滑剤を供給する方法であって、
潤滑剤を霧状にする噴霧器(1)と、この噴霧器(1)からの霧状潤滑剤(b)を供給用のバルブ(2)を介してダイス(14)上の潤滑剤カップ(10)に導くと共に、外気を外気吸引バルブ(24)を介して吸引する供給配管(4)と、ダイス(14)に供給された余剰の霧状潤滑剤(b)を排出用のバルブ(7)を介して排出する排出配管(8)と、供給配管(4)内及び排出配管(8)内の霧状潤滑剤(b)を吸引する吸引器(9)とを備え、
霧状潤滑剤(b)が潤滑剤カップ(10)に到達する時点で、供給用のバルブ(2)と排出用のバルブ(7)を閉鎖し、その後、外気吸引バルブ(24)を開放し、霧状潤滑剤(b)を、ダイスホルダ(15)が上昇するときに発生する外気の吸引力にて潤滑剤カップ(10)よりダイス(14)内に引き込み、ダイス(14)の内壁に自然付着若しくは強制的に塗布することを特徴としたペレット成型に用いる潤滑剤の供給方法。 - ペレット(A)成型前のダイス(14)に潤滑剤を供給する方法であって、
潤滑剤を霧状にする噴霧器(1)と、この噴霧器(1)からの霧状潤滑剤(b)をダイス(14)に設置の噴射孔(23)に導く供給配管(4)と、ダイス(14)に供給された余剰の霧状潤滑剤(b)を排出する排出配管(8)と、供給配管(4)内及び排出配管(8)内の霧状潤滑剤(b)を吸引する吸引器(9)とを備え、
霧状潤滑剤(b)を、ダイス(14)内壁に沿う旋回流若しくは上方流によって、ダイス(14)内壁に自然付着若しくは強制的に塗布することを特徴とするペレット成型に用いる潤滑剤の供給方法。
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