JP3047501B2 - 筒状防振ブッシュ - Google Patents

筒状防振ブッシュ

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は筒状防振ブッシュに関
し、特に防振ゴム体内に剛性を増すインサ−ト部材を埋
設した筒状防振ブッシュに関する。
【０００２】
【従来の技術】筒状防振ブッシュは筒状に成形した防振
ゴム体内に車両スタビライザバ−等の棒状振動体を挿通
保持するもので、例えば図５に示す如く、サスペンショ
ンア−ムＡより延びるスタビライザバ−Ｓを、横ずれ防
止のためにその屈曲部で保持し、ブラケットにより車体
フレ−ムに固定される。
【０００３】防振ブッシュの防振ゴム体１は図６に示す
如く、上半部が矩形、下半部が半円形の断面を有し、周
方向の一部にスリット１２を形成して、これを押し拡げ
て筒内にスタビライザバ−を挿入する。ところで、防振
ブッシュを防振ゴム体１のみで構成すると、特に上下方
向で保持剛性が不足し、スタビライザバ−が安定しない
ことがあった。
【０００４】そこで、例えば図７、図８に示すように、
貫通孔１３を挟んで防振ゴム体１内の上下の対称位置
に、弧状に湾曲した金属製のインサ−ト部材２´、３´
を埋設して剛性アップを図っている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年は防振
ゴム体１の内周面１３ａに摺動性の良いテフロン繊維の
ライナ−を接合してスタビライザバ−の捩りトルクを低
減し異音の発生を防止するものが提案されているが、こ
れの成形時には横置きの中芯を使用するため、防振ゴム
体１の中間部に埋設する上記インサ−ト部材２´、３´
を金型内で保持するために、インサ−ト部材２´、３´
両端を防振ゴム体１の両端より突出せしめている（図
８）。しかしながら、かかる保持方法は金型構造が複雑
化するとともに、スタビライザバ−へ装着した時にイン
サ−ト部材の露出した両端がスタビライザバ−と干渉
し、あるいはこの部分に泥、石等が噛み込み、金属製で
は錆を生じる等の問題がある。
【０００６】本発明はかかる課題を解決するもので、金
型が複雑にならず、スタビライザバ−との干渉や錆の発
生のおそれがない筒状防振ブッシュを提供することを目
的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明の構成を説明する
と、棒状振動体Ｓを挿通保持する筒状の防振ゴム体１を
有し、該防振ゴム体１の側面の一部１ａを基体４に当接
せしめるとともに、残る側面のうち両端に設けたフラン
ジ部１１を除く部分をブラケット５により保持して上記
基体４に固定してなる筒状防振ブッシュにおいて、上記
防振ゴム体１には、両端の上記フランジ部１１間におい
て、上記一部の側面１ａより筒内周近くへ至るゴム材よ
りも剛性の大きい第一のインサ−ト部材２を埋設すると
ともに、該第一のインサ−ト部材２と筒内周を介して対
称位置に上記防振ゴム体側面１ｂより筒内周近くに至る
ゴム材よりも剛性の大きい第二のインサ−ト部材３を埋
設する。そして、上記第一のインサ−ト部材２の筒外周
側の表面および上記第二のインサ−ト部材３の筒外周側
の表面を、上記基体４または上記ブラケット５と当接す
る上記防振ゴム体側面１ａ、１ｂに露出させたものであ
る（請求項１）。上記第一のインサ−ト部材２は、その
上面が上記防振ゴム体１の上側面１ａと面一に位置し、
中央部下面が上記防振ゴム体１の筒内周に一定間隔で近
接する弧面をなしており、上記第二のインサ−ト部材３
は、その下面が上記防振ゴム体の下側面１ｂと面一に位
置し、上面が上記防振ゴム体１の筒内周に一定間隔で近
接する弧面をなしている（請求項２）。
【０００８】
【作用】上記構成の防振ブッシュにおいては、第一、第
二のインサ−ト部材を配した方向で保持剛性が増大し、
スタビライザバ−等の安定性が確保される。また、第
一、第二のインサ−ト部材は、防振ゴム体の両端のフラ
ンジ部を除く部位において各側面から筒内周近くへ埋設
され、各側面に露出するように位置せしめられるから、
ゴム成形時の第一、第二のインサ−ト部材の保持を簡易
に行うことができ、金型構造が簡素化される。
【０００９】第一、第二のインサ−ト部材が防振ゴム体
の両端のフランジ部間において形成され、その両端から
露出しないから、錆の発生や泥等の噛み込みのおそれは
なく、また、スタビライザバ−との干渉の問題も生じな
い。
【００１０】
【実施例】筒状防振ブッシュの外観を図３，図４に示
す。防振ゴム体１は中心に貫通孔１３を有する筒状体で
あり、上半部は矩形で上側面１ａが平面をなし、下半部
は半円で下側面１ｂは弧面をなしている。防振ゴム体１
の両端は頂部を除く外周が径方向へ突出してフランジ部
１１となっている。防振ゴム体１の内周面１３ａには、
内周にテフロン繊維、外周にポリエステル繊維を配して
筒状に編んだライナ−が接合してある。
【００１１】防振ゴム体１には筒内周１３ａより水平に
外側面に至るスリット１２が形成してあり、該スリット
１２を押し拡げて棒状振動体たるスタビライザバ−Ｓ
（図２）を筒内に挿入する。上記防振ゴム体１は上側面
１ａを基体たる車体フレーム４（図１）に当接せしめ、
フランジ部１１を除く残る周面をＵ字形に成形したブラ
ケット５に保持せしめて上記フレーム４に固定される。
【００１２】防振ゴム体１内には両端のフランジ部１１
を除く上半部内に、第一のインサート部材たる、金属な
いし樹脂のブロック状インサート部材２が埋設してあ
り、該インサート部材２は平面をなす上面が防振ゴム体
１の上側面１ａとほぼ面一に位置し、中央部下面は内周
面１３ａに向けて延びて一定間隔で近接する弧面となっ
ている。上記インサート部材２に対し貫通口１３を介し
て対称位置の防振ゴム体１下半部内には、第二のインサ
ート部材たるインサート部材３が設けてあり、該インサ
ート部材３は一定厚の金属ないし樹脂の板材を下側面１
ｂに沿って弧状に曲げたもので、下面は下側面１ｂとほ
ぼ面一に位置し、上面は内周面１３ａに一定間隔で近接
している。
【００１３】かかる構造の防振ブッシュにスタビライザ
バ−Ｓを挿通保持せしめた状態で（図２）、インサ−ト
部材２，３を配した上下方向で保持剛性は充分大きくな
り、スタビライザバ−Ｓの安定性が確保される。
【００１４】各インサ−ト部材２，３は、一方の面が防
振ゴム体の上側面１ａないし下側面１ｂとほぼ面一に位
置しているから、中芯を横置きにした金型での防振ゴム
体１の射出成形時にインサ−ト部材２，３を簡易に保持
することが可能で、金型構造が簡素化される。
【００１５】各インサ−ト部材２，３は防振ゴム体１の
両端から露出していないから、錆が発生したり泥等が噛
み込むおそれはなく、また、スタビライザバ−Ｓの屈曲
部に直接当たって干渉することもない。なお、たとえイ
ンサ−ト部材２，３のそれぞれ上面と下面が製造時に露
出していても、防振ブッシュを固定した状態では、イン
サ−ト部材２の上面は車体フレ−ム４に当接し、インサ
−ト部材３の下面はブラケット５の内周面に当接して外
気より遮断されるから、錆が発生することはない。
【００１６】
【発明の効果】以上の如く、本発明の筒状防振ブッシュ
は、簡素な型構造で簡易に製造できるとともに、保持す
る振動体との干渉や泥等の噛み込み、あるいは錆の発生
等を生じることがないものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明になる防振ブッシュの横断面図である。
【図２】本発明になる防振ブッシュの縦断面図である。
【図３】本発明になる防振ブッシュの正面図である。
【図４】本発明になる防振ブッシュの側面図である。
【図５】防振ブッシュを設けたサスペンションの概略正
面図である。
【図６】従来の防振ブッシュの横断面図である。
【図７】従来の防振ブッシュの横断面図である。
【図８】従来の防振ブッシュの縦断面図である。
【符号の説明】
１ 防振ゴム体 １ａ 上側面 １ｂ 下側面 １１ フランジ部（端部） １３ 貫通孔 １３ａ 内周面 ２ インサ−ト部材（第一のインサ−ト部材） ３ インサ−ト部材（第二のインサ−ト部材） ４ 車体フレ−ム（基体） ５ ブラケット Ｓ スタビライザバ−（棒状振動体）
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F16F 1/00 - 6/00 B60G 21/055

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 棒状振動体を挿通保持する筒状の防振ゴ
    ム体を有し、該防振ゴム体の側面の一部を基体に当接せ
    しめるとともに、残る側面のうち両端に設けたフランジ
    部を除く部分をブラケットにより保持して上記基体に固
    定してなる筒状防振ブッシュにおいて、上記防振ゴム体
    には、両端の上記フランジ部間において、上記一部の側
    面より筒内周近くへ至るゴム材よりも剛性の大きい第一
    のインサ−ト部材を埋設するとともに、該第一のインサ
    −ト部材と筒内周を介して対称位置に上記防振ゴム体側
    面より筒内周近くに至るゴム材よりも剛性の大きい第二
    のインサ−ト部材を埋設して、上記第一のインサ−ト部
    材の筒外周側の表面および上記第二のインサ−ト部材の
    筒外周側の表面を、上記基体または上記ブラケットと当
    接する上記防振ゴム体側面に露出させたことを特徴とす
    る筒状防振ブッシュ。
  2. 【請求項２】 上記第一のインサ−ト部材は、その上面
    が上記防振ゴム体の上側面と面一に位置し、中央部下面
    が上記防振ゴム体の筒内周に一定間隔で近接する弧面を
    なしており、上記第二のインサ−ト部材は、その下面が
    上記防振ゴム体の下側面と面一に位置し、上面が上記防
    振ゴム体の筒内周と一定間隔で近接する弧面をなしてい
    る請求項１記載の筒状防振ブッシュ。
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