JP2017066576A - ガラス合紙、ガラス板積層体およびガラス板梱包体 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数枚のガラス板を積層する際にガラス板間に介在させるガラス合紙において、ガラス板へのガラス合紙に起因する異物の転写が充分に抑制されたガラス合紙、輸送、保管等がされた後のガラス板の使用時にガラス合紙に起因する異物によるデバイスの不良発生が抑制されたガラス板積層体、および該ガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体を提供する。【解決手段】複数枚のガラス板を積層する際に、ガラス板間に介在させるガラス合紙であって、基紙と、前記基紙の少なくとも一方の主面に形成された、カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含むコート層とを有するガラス合紙、複数枚のガラス板を、該ガラス板間に上記ガラス合紙が介在するように積層したガラス板積層体、梱包容器と、該容器に収容された上記ガラス板積層体を有するガラス板梱包体。【選択図】図1
Description
本発明はガラス合紙、ガラス板積層体およびガラス板梱包体に関する。
近年、液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板等のフラットパネルディスプレイ、有機EL照明、および太陽電池等の電子デバイスに用いられるガラス板の大型化のニーズが高まっている。
このようなガラス板は、板状に加工された後、キズの発生や異物での汚染からガラス板表面を保護する目的で、通常ガラス板間にガラス合紙を挟んで積層されて、製品に加工する工場へ輸送または保管される。ここで「ガラス合紙」とは、ガラス板間に挟み込まれる紙を指す。
しかしながら、ガラス板間にガラス合紙を介在させる方法では、ガラス合紙中の異物がガラス板に転写され、ガラス板上へのデバイス形成時に該異物に起因する不良が発生することが問題であった。そこで、特許文献1には、異物のうちでも特に金属異物の転写を抑制するためにアルギン酸塩等の有機酸塩をガラス合紙にコートしてコート剤層を設ける方法が記載されている。
特許文献1に記載された方法においては、上記コート剤層を設けることでガラス合紙からガラス板への異物、特に金属異物の転写を抑制できるが、必ずしも充分とはいえなかった。特に、昨今、高精細化が進むディスプレイパネルに用いるガラス板においては、異物の転写を充分に抑制しているとは言い難かった。さらに、特許文献1においては、ガラス合紙へのコート剤の結合が弱くコート剤自体がガラス板に転写されることがあり、コート剤を除去するためにガラス板の洗浄を充分に行う必要性があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、複数枚のガラス板を積層する際にガラス板間に介在させるガラス合紙において、ガラス板へのガラス合紙に起因する異物の転写が充分に抑制されたガラス合紙を提供する。また、複数枚のガラス板をガラス板間にガラス合紙を介在させ積層したガラス板積層体において、輸送、保管等がされた後のガラス板の使用時にガラス合紙に起因する異物によるデバイスの不良発生が抑制されたガラス板積層体、および該ガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体を提供することを目的とする。
本発明のガラス合紙は、複数枚のガラス板を積層する際に、ガラス板間に介在させるガラス合紙であって、基紙と、前記基紙の少なくとも一方の主面に形成された、カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含むコート層とを有することを特徴とする。
本発明のガラス板積層体は、複数枚のガラス板を、前記ガラス板間に上記本発明のガラス合紙が介在するように積層してなることを特徴とする。
本発明のガラス板梱包体は、梱包容器と、前記容器に収容された上記本発明のガラス板積層体を有することを特徴とする。
本発明のガラス板梱包体は、梱包容器と、前記容器に収容された上記本発明のガラス板積層体を有することを特徴とする。
本発明によれば、複数枚のガラス板を積層する際にガラス板間に介在させるガラス合紙において、ガラス板へのガラス合紙に起因する異物の転写が充分に抑制されたガラス合紙が提供できる。また、複数枚のガラス板をガラス板間にガラス合紙を介在させ積層したガラス板積層体において、輸送、保管等がされた後のガラス板の使用時にガラス合紙に起因する異物によるデバイスの不良発生が抑制されたガラス板積層体、および該ガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体を提供できる。
本発明の実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
[ガラス合紙]
図1は、本発明の実施形態のガラス合紙の一例の概略構成を示す断面図である。図1に示されるガラス合紙1は、基紙3と、その一方の主面3aに形成された、カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含むコート層2で構成される。カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを以下「カチオンポリマー(A)」ともいう。図2は、本発明の実施形態のガラス合紙がガラス積層体に使用された例の概略構成を示す断面図である。図2に示すガラス板積層体10は、各5枚のガラス合紙1とガラス板4が交互に積層された構成である。
図1は、本発明の実施形態のガラス合紙の一例の概略構成を示す断面図である。図1に示されるガラス合紙1は、基紙3と、その一方の主面3aに形成された、カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含むコート層2で構成される。カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを以下「カチオンポリマー(A)」ともいう。図2は、本発明の実施形態のガラス合紙がガラス積層体に使用された例の概略構成を示す断面図である。図2に示すガラス板積層体10は、各5枚のガラス合紙1とガラス板4が交互に積層された構成である。
図1に示すガラス合紙1においてコート層2は、基紙3の一方の主面3aに形成されている。本発明のガラス合紙においてコート層は必要に応じて基紙の両方の主面に形成されていてもよく、側面を含む全表面に形成されていてもよい。本発明のガラス合紙は、カチオンポリマー(A)を含むコート層を有することで、ガラス板積層体とした際にガラス板へのガラス合紙に起因する異物の転写を充分に抑制することが可能である。さらに、コート層2はその成分が脱落し難いように強固に基紙に3に形成されているため、コート層成分自体がガラス板に転写する量はほとんど問題のないレベルまで抑制される。また、たとえコート層成分がガラス板に転写された場合であっても水もしくは低濃度のアルカリ液による洗浄等で容易に洗浄可能である。
基紙3の一方の主面3aにコート層2を有するガラス合紙1は、例えば、本発明のガラス合紙が用いられるガラス板が電子デバイス用のガラス板であって、一方の主面が該主面に配線や電極等の素子が形成される素子形成面であり、他方の主面が素子非形成面であるガラス板に好ましく用いられる。この場合、ガラス板の素子形成面にガラス合紙1のコート層2が接するようにガラス板とガラス合紙1は積層される。またこの場合、ガラス板の素子非形成面にはガラス合紙1の基紙3におけるコート層2を有しない主面3bが接することになる。
なお、ガラス板の主面の両方について異物の転写の抑制が高いレベルで求められている場合には、本発明のガラス合紙のうちでも基紙の両方の主面にコート層が形成されたガラス合紙を使用すればよい。
例えば、図2に示すガラス板積層体10において、ガラス板4の下側の主面4bが素子形成面であり上側の主面4aが素子非形成面であって、ガラス合紙として基紙3の一方の主面3aにコート層2が形成されたガラス合紙1を用いた場合には、ガラス合紙1はコート層2を上に向けて配置される。この場合、ガラス板積層体10において、5枚のガラス合紙1は全てコート層2を上に向けて配置され、5枚のガラス板4は全て素子形成面を下側に向けて配置される。
ガラス板積層体10において、ガラス合紙1の主面の形状、大きさは、少なくともガラス板4の主面4a、4bと同寸以上であればよい。通常は、図2に示されるように、ガラス合紙1の主面の形状、大きさはその全外周が、ガラス板4の主面の外周より外側に位置する形状、大きさである。ガラス合紙からガラス板の素子形成面に異物が転写するのを抑制する観点からは、ガラス合紙1において基紙3の主面3aにおけるコート層2の形成領域は少なくともガラス板4と接する領域を含めばよい。ただし、ガラス合紙1とガラス板4を積層する際の作業性や、ガラス合紙1の生産性を考慮すると、ガラス合紙1において、コート層2は基紙3の一方の主面3aの全領域に形成されることが好ましい。
ガラス合紙1においてコート層2と基紙3の界面はコート層2を形成する前の基紙3の主面3aの位置である。ガラス合紙1においてコート層2はカチオンポリマー(A)を含む層であり、具体的には、カチオンポリマー(A)を含む後述のコート層形成用組成物を用いて形成される該組成物の固形分からなる層である。通常、コート層2は、コート層形成用組成物を基紙3の主面3aに塗布し乾燥することで形成される。
なお、このようなコート層2の形成に際して、コート層形成用組成物の一部が基紙3の塗布面(主面3a)から表層部に含浸されることがある。そして、得られるガラス合紙1においては、基紙3の主面3a上にコート層2を有するとともに、基紙3のコート層2側の表層部が、基紙3を構成する紙繊維の間にコート層2の構成成分が充填された基紙とコート層成分の混合層の構成となる場合がある。また、該混合層は、コート層2側の表層部のみでなく基紙3の全体に及んでいてもよい。本発明のガラス合紙においては、基紙とその少なくとも一方の主面にカチオンポリマー(A)を含むコート層を有する形態であれば、基紙が上記混合層を有する形態もその範疇に含むものである。
(基紙)
ガラス合紙1における基紙3としては、一般にガラス合紙として用いられる公知の材質、形態の紙が特に制限なく使用可能である。基紙3の形状、大きさは、例えば、上で説明したガラス積層体10におけるガラス合紙1と同様の形状、大きさが挙げられる。具体的には、例えば第8世代の大きさのガラス板に用いる場合であれば、そのガラス板と同寸、同形(2200mm×2500mm)か、基紙の主面の全外周がガラス板の主面の外周の外側に位置するような形状、大きさの紙を用いることができる。基紙3の厚さは、例えば、0.01〜0.2mm程度のものを用いることができる。
ガラス合紙1における基紙3としては、一般にガラス合紙として用いられる公知の材質、形態の紙が特に制限なく使用可能である。基紙3の形状、大きさは、例えば、上で説明したガラス積層体10におけるガラス合紙1と同様の形状、大きさが挙げられる。具体的には、例えば第8世代の大きさのガラス板に用いる場合であれば、そのガラス板と同寸、同形(2200mm×2500mm)か、基紙の主面の全外周がガラス板の主面の外周の外側に位置するような形状、大きさの紙を用いることができる。基紙3の厚さは、例えば、0.01〜0.2mm程度のものを用いることができる。
基紙として用いる紙は、例えばパルプを主成分とする原料を抄紙して得られる。基紙の原料に用いるパルプとしては、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材繊維パルプ、合成パルプ等が挙げられる。
パルプは、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物を原料するものでもよく、セルロース等を含有するものを原料としてもよい。また、これらの原料は、古紙であっても、バージンパルプであっても、古紙とバージンパルプとの混合物であってもよい。中でも、バージンパルプが好ましい。
基紙の性状としては、通常の方法で得られる通常のガラス合紙と同様の性状、例えば、秤量値が1〜60g/m2程度、平滑度が1〜40sec程度、透気度が1.0〜100sec程度、pHが3〜7程度が好ましい。
(コート層)
ガラス合紙1におけるコート層2は、カチオンポリマー(A)、すなわち、平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含有する。なお、本明細書において平均分子量は、特に断りのない限りゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量(MW)を意味する。また、本明細書において、水溶性とは、検体を常温(25℃)の純水に対して1質量%以上溶解(溶液として濁りが認められない)する性質をいう。
ガラス合紙1におけるコート層2は、カチオンポリマー(A)、すなわち、平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含有する。なお、本明細書において平均分子量は、特に断りのない限りゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量(MW)を意味する。また、本明細書において、水溶性とは、検体を常温(25℃)の純水に対して1質量%以上溶解(溶液として濁りが認められない)する性質をいう。
ガラス合紙1におけるコート層2は、好ましくは、カチオンポリマー(A)のみで構成されるが、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じてカチオンポリマー(A)以外の成分を含んでもよい。
カチオンポリマー(A)は、分子内に複数のカチオン性基を有し実質的にアニオン性基を有しないことが好ましい。カチオンポリマー(A)におけるカチオン性基として、具体的には、アミノ基、4級アンモニウム基等が挙げられる。カチオンポリマー(A)がこれらのカチオン性基を有することで、基紙の表面と電気的に結合しやすくなる。カチオンポリマー(A)が、実質的にアニオン性基を有しないとは、例えば、原料化合物や重合開始剤等に含まれるアニオン性基が若干残留している程度の量を除いて、アニオン性基を含有しないことをいう。
ガラス合紙に用いる基紙の表面は通常負に帯電している。このような基紙の表面にカチオンポリマー(A)を用いてコート層を形成すると、カチオンポリマー(A)が有するカチオン性基が基紙の表面に電気的に結合することで、基紙表面に強固に固着したコート層を有するガラス合紙が得られる。カチオンポリマー(A)が有するカチオン性基の数は、基紙にカチオンポリマー(A)のカチオン性基が電気的に結合することで、カチオンポリマー(A)を含有するコート層が基紙から容易に剥離されない構造となる数が好ましい。カチオンポリマー(A)が有するカチオン性基の数は通常、分子量1000あたりの平均のカチオン性基の個数で示される。
以下、カチオンポリマー(A)が分子量1000あたりに有する平均のカチオン性基の個数を「カチオン性基密度」といい、単位を[eq/MW1000]で示す。カチオンポリマー(A)におけるカチオン性基密度は、具体的には、3〜40[eq/MW1000]が好ましい。
カチオン性基密度は、40[eq/MW1000]以下であれば、仮にカチオンポリマー(A)がガラス板に転写した場合でも、洗浄により容易に除去できる。3[eq/MW1000]以上であれば、カチオンポリマー(A)が基紙の表面と電気的に結合しやすくなる。また、カチオン性基密度は、30[eq/MW1000]以下がより好ましい。また、カチオン性基密度は、3.5[eq/MW1000]以上がより好ましく、5[eq/MW1000]以上がさらに好ましい。
カチオンポリマー(A)としては、三次元ネットワーク構造を有する網状ポリマー(A1)であってもよく、鎖状ポリマー(A2)であってもよい。なお、鎖状ポリマー(A2)は側鎖を有してもよい。カチオンポリマー(A)の好ましい平均分子量およびカチオン性基の数については、カチオンポリマー(A)の分子構造によるところが大きい。以下、網状ポリマー(A1)および鎖状ポリマー(A2)の分類にしたがって、カチオンポリマー(A)を説明する。
カチオンポリマー(A)が網状ポリマー(A1)である場合、通常、カチオン性基は網状ポリマー(A1)の表面および内部に存在する。そして、網状ポリマー(A1)を用いて得られるコート層2を有するガラス合紙1においては、基紙3との界面3aにおけるコート層2と基紙3の電気的な結合は、網状ポリマー(A1)が表面に有するカチオン性基が関与してなされる結合と考えられる。したがって、網状ポリマー(A1)を用いる場合には、カチオン性基密度が比較的大きい、具体的には、10〜30[eq/MW1000]の網状ポリマー(A1)が好ましく、15〜30[eq/MW1000]がより好ましい。なお、カチオンポリマー(A)が網状ポリマー(A1)である場合、コート層を構成する網状ポリマー(A1)は、その1種または2種以上であってよい。
また、網状ポリマー(A1)の平均分子量は、200〜10万が好ましく、200〜1万がより好ましく、200〜2000が特に好ましい。網状ポリマー(A1)においては、カチオン性基密度が同じ場合、平均分子量が小さい方が、1分子あたりの比表面積が大きくなり、内部に存在するカチオン性基の数に対する表面に存在するカチオン性基の数の割合が高くなることから、平均分子量は上記範囲が好ましい。
すなわち、網状ポリマー(A1)においては、カチオン性基密度が同じ場合、平均分子量が小さい方が、得られるコート層はより強固に基紙表面に固着される。なお、網状ポリマー(A1)においては、上記のように水溶性であることで、たとえガラス板に網状ポリマー(A1)が転写した場合においても、ガラス板からの網状ポリマー(A1)の除去も容易に行える。除去の方法として、具体的には、純水もしくは低濃度のアルカリ液でスクラブ洗浄する等の方法が挙げられる。
網状ポリマー(A1)として、具体的には、1,2,3級アミンを含むポリエチレンイミン等が挙げられる。ポリエチレンイミンとしては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、いずれも日本触媒社製の商品名として、エポミンSP−003(平均分子量;約300、カチオン性基密度;23.2[eq/MW1000])、エポミンSP−006(平均分子量;約600、カチオン性基密度;23.2[eq/MW1000])等が挙げられる。
コート層が網状ポリマー(A1)で構成される場合、その膜厚は分子径と略同等となる場合がある。その場合、具体的には、網状ポリマー(A1)からなるコート層の膜厚は、概ね0.5〜2.5nmである。
カチオンポリマー(A)が鎖状ポリマー(A2)である場合、カチオン性基は主鎖に存在する場合と側鎖に存在する場合がある。いずれの場合も、鎖状ポリマー(A2)は、カチオン性基の一部がコート層2の基紙3との界面3aに存在するように主鎖が折りたたまってコート層2を構成すると想定される。
鎖状ポリマー(A2)において側鎖にカチオン性基を有する場合、カチオン性基が存在する位置について主鎖にカチオン性基を有する場合に比べて自由度が高い。側鎖のカチオン性基の位置を制御することは困難であることから、鎖状ポリマー(A2)はカチオン性基を主鎖に有することが好ましい。カチオン性基を主鎖に有する鎖状ポリマー(A2)は、カチオン性基を有しない側鎖を有してもよい。なお、カチオンポリマー(A)が鎖状ポリマー(A2)である場合、コート層を構成する鎖状ポリマー(A2)は、その1種または2種以上であってよい。さらに、鎖状ポリマー(A2)の1種以上と網状ポリマー(A1)の1種以上を組み合せてコート層を構成してもよい。
鎖状ポリマー(A2)を用いる場合、その平均分子量は1000〜100万が好ましく、1万〜10万がより好ましい。鎖状ポリマー(A2)は、平均分子量が大きいほど、表面に存在するカチオン性基の数を多くできる。しかし、平均分子量が大きすぎると、主鎖が長くなることで分子に折れ曲がりや折りたたみが生じやすくなるため、表面に存在するカチオン性基の数が低下する傾向がある。平均分子量が上記範囲であれば、表面に存在するカチオン性基の数を多くできるため、好ましい。
また、鎖状ポリマー(A2)を用いる場合、カチオン性基密度は、3〜30[eq/MW1000]が好ましく、3.5[eq/MW1000]以上がより好ましく、5[eq/MW1000]以上がさらに好ましい。カチオン性基密度が、30[eq/MW1000]以下であれば、仮にカチオンポリマー(A)がガラス板に転写した場合でも、洗浄により容易に除去できる。3[eq/MW1000]以上であれば、カチオンポリマー(A)が基紙の表面と電気的に結合しやすくなる。
なお、鎖状ポリマー(A2)においても、上記網状ポリマー(A1)と同様に水溶性であることで、たとえガラス板に鎖状ポリマー(A2)が転写した場合においても、ガラス板からの鎖状ポリマー(A2)の除去も容易に行える。除去の方法として、具体的には、純水もしくは低濃度のアルカリ液でスクラブ洗浄する等の方法が挙げられる。
鎖状ポリマー(A2)として具体的には、主鎖にカチオン性基を有する鎖状ポリマー(A2)については、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルアミン、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合体塩、ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン縮合体塩、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合体塩、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン縮合体塩等が挙げられる。
また、側鎖にカチオン性基を有する鎖状ポリマー(A2)として具体的には、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド4級塩)、トリメチルアンモニウムアルキルアクリルアミド重合体塩、ポリアリルアミン、ポリビニルアミジン等が挙げられる。
これら鎖状ポリマー(A2)としては市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDACまたはPDADMAC;括弧の前の化合物の略称を示す。以下同様である。)として、FPA100L(商品名、センカ社製、平均分子量;2万、カチオン性基密度;6.2[eq/MW1000])、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合体塩(DE)として、KHE104L(商品名、センカ社製、平均分子量;10万、カチオン性基密度;7.3[eq/MW1000])、ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン縮合体塩(DNE)として、KHE100L(商品名、センカ社製、平均分子量;10万、カチオン性基密度;8.1[eq/MW1000])、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド4級塩)(PQEM)として、FPV1000L(商品名、センカ社製、平均分子量;不明、カチオン性基密度;3.7[eq/MW1000])等が挙げられる。
コート層が鎖状ポリマー(A2)で構成される場合、上記のとおりカチオン性基の一部が基紙との界面に存在するように分子の主鎖が折りたたまってコート層を構成することから、その膜厚は、分子鎖長やカチオン性基密度等の分子設計により適宜調整できる。
ところで、ガラス合紙が基紙とその少なくとも一方の主面上にコート層を有する場合、コート層は形成される基紙上の面内で場所に応じて、膜厚にあえて差を設けてもよい。例えば、全体としてコート層がエンボス状の表面となっていてもよい。別の例を挙げれば、コート層の厚み方向からの平面視で、全体として格子状を形成するように、膜厚が厚い部分を線状に設けてもよい。さらに別の例を挙げれば、コート層の膜厚が薄い領域と、厚い領域とを不規則な位置関係で有してもよい。なお、これらの領域の境界部分におけるコート層の膜厚は、転移的に変化してもよく、徐々に変化してもよい。
このように、コート層の膜厚にあえて差を設けることで、ガラス合紙はコート層側で、ガラス板に接触しやすい部分(接触した際には大きな押圧力を受ける部分)と、ガラス板に接触しにくい部分(接触した際には小さな押圧力を受ける部分)と、を有することができる。これにより、ガラス合紙からの異物が転写しやすい部分と、ガラス合紙からの異物が転写しにくい部分とを意図的に作り出せる。そして、ガラス板とガラス合紙を積層しガラス合紙を除去した後のガラス板において、ガラス合紙からの異物転写がしやすい部分を重点的に洗浄する等、効率的な対応が可能となる。
また、ガラス合紙は基紙とコート層が一体化しているため、1回のガラス合紙の除去作業で、基紙とコート層を同時に除去することができる。なお、コート層の膜厚が薄い部分であったとしても、コート層を有しない場合のガラス合紙と比べて、ガラス合紙からガラス板への異物の転写は抑制されており、コート層の膜厚が厚い部分では、さらにガラス合紙からの異物の転写が抑制される。
このように、基紙とコート層を有するガラス合紙であって、基紙上の形成面内でコート層の膜厚に差があるガラス合紙において、コート層は、カチオン性基を有していてもよく、有さなくてもよい。また、コート層は水溶性であってもよく、水溶性でなくてもよい。コート層がカチオン性基を有する場合、および/または水溶性の場合、既述のような効果がさらに得られるため好ましい。
すなわち、上記本発明の実施形態のガラス合紙のようにコート層がカチオンポリマー(A)を含有する場合、具体的には、網状ポリマー(A1)により構成されるコート層を有するガラス合紙、鎖状ポリマー(A2)により構成されるコート層のガラス合紙のいずれの場合においても、基紙上の形成面内でコート層の膜厚に差がある構成を採用できる。その場合、カチオンポリマー(A)を用いる効果に加えて、膜厚差を設ける効果の両方が得られ好ましい。
なお、コート層の膜厚の大小は、コート層形成用組成物を塗布する分量などを調整することによって形成できる。コート層に膜厚差を有するガラス合紙の場合、例えば、網状ポリマー(A1)により構成されるコート層の場合、コート層の最大膜厚は2.0nm〜2.5nmが好ましく、最小膜厚は0.5nm〜1.0nmが好ましい。コート層が別の構成の場合も同様に、適宜、最大膜厚と最小膜厚の関係を調整する。
具体的には、コート層の最大膜厚を最小膜厚の、好ましくは1.2倍以上5倍以下、より好ましくは1.5倍以上4倍以下、さらに好ましくは2.0倍以上3倍以下とする。これにより、適正な押圧力の差をつけつつ、ガラス板が過度に変形すること等を抑制できる。なお、最小膜厚と最大膜厚は、ガラス合紙上の点を20点無作為に選出してコート層の膜厚を測定した際の値で評価する。
なお、本発明のガラス合紙においてコート層が含有するカチオンポリマー(A)としては網状ポリマー(A1)が好ましく、ポリエチレンイミンが特に好ましい。構造上、鎖状ポリマー(A2)と比較して網状ポリマー(A1)の方が、カチオン性密度が高くなり易く、コート層を形成しやすい。また分子の折れ曲がりや折りたたみの影響を考慮しなくてよいためカチオン性密度を制御しやすい。また、特にポリエチレンイミンは、最もカチオン性密度が高い物質のため、カチオンポリマー(A)として好適に用いられる。
このような本発明の実施形態のガラス合紙は、例えば、以下の(1)〜(3)の工程を含む方法で製造できる。
(1)基紙およびカチオンポリマー(A)を含有する液状のコート層形成用組成物を準備する工程。
(2)基紙のコート層が形成される主面にコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する塗布工程。
(3)塗膜を乾燥させてコート層を得る乾燥工程。
(1)基紙およびカチオンポリマー(A)を含有する液状のコート層形成用組成物を準備する工程。
(2)基紙のコート層が形成される主面にコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する塗布工程。
(3)塗膜を乾燥させてコート層を得る乾燥工程。
上記製造方法において、(1)工程で準備されるカチオンポリマー(A)を含有する液状のコート層形成用組成物は、カチオンポリマー(A)および任意成分を溶質として、これらを溶解可能な溶媒を用いて作製される溶液状の組成物が好ましい。コート層形成用組成物は、好ましくは、カチオンポリマー(A)と溶媒で構成される。
上記溶媒としては、カチオンポリマー(A)を溶解しこれらおよび基紙と反応しないものであれば特に制限されない。上記溶媒として、具体的には、水、エタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤の1種または2種以上が挙げられる。これらのなかでも、水またはエタノール等の水溶性有機溶剤と水との混合物が好ましい。
上記コート層形成用組成物における、カチオンポリマー(A)の含有量は、カチオン性基の濃度(当量)として、0.01meq/L〜100meq/Lの範囲となるように調整することが好ましい。基紙の表面を適度に覆いながら過剰とならないようにするために、上記カチオンポリマー(A)のカチオン性基の濃度(当量)は、0.1meq/L〜10meq/Lがより好ましい。なお、コート層形成用組成物の1L中にカチオン性基を1mol有する場合に、その濃度を1当量とし、1eq/Lと表す。
上記コート層形成用組成物のpHについては、酸性からアルカリ性、例えば、pH3〜12程度の範囲で適宜調整が可能である。基紙表面を負に帯電させることで電気的な結合力をより強固にしつつ、カチオンポリマー(A)の付着量を増加できる点で、コート層形成用組成物のpHは6〜12が好ましく、10〜11がより好ましい。
コート層形成用組成物のpH調整は、酸またはアルカリを用いて行う。設備の腐食がされにくい、洗浄後の残留が少ない等の点からアンモニア、硫酸等が好ましい。
(1)工程で準備される基紙は、ガラス合紙としてガラス板の間に挟んで使用される使用時の大きさに切断された形態であってもよく、切断前のロール状にまかれた形態であってもよい。準備される基紙の形態に応じて、以下の(2)の塗布工程、および(3)の乾燥工程が行われる。使用時の大きさ等に切断された基紙の場合、バッチ式、連続式の処理が可能であり、ロール状にまかれた基紙では連続式の処理が好ましい。
次いで、(2)の塗布工程を行う。すなわち、上記のようにして調製されたコート層形成用組成物を、コート層を形成する基紙の表面に塗布する。塗布方法としては、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、スキージコート、スポンジ等による塗布等の公知の膜形成方法に使用される塗布方法が挙げられる。塗布装置として、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスコーター、キャストコーター、スプレーコーティング、スロットオリフィスファウンテンコーター、カーテンコーター、カレンダーコーター等が例示される。
上記塗布の操作において、上記調製されたコート層形成用組成物を基紙の表面に接触させるだけで、該コート層形成用組成物中に含まれるカチオンポリマー(A)はそのカチオン性基の一部が基紙の表面に位置するように分子が配置され、溶媒を含む塗膜となる。これは、基紙の表面が負電荷に帯電しやすいため、接触させるだけで正電荷を帯びているカチオンポリマー(A)のカチオン性基の一部が基紙の表面に静電的にひきつけられるためである。
次いで、(3)の乾燥工程を行う。上記塗布操作により得られる塗膜は、溶媒を含む上記コート層形成用組成物の層である。上記塗布操作の後、上記のように基紙の表面にカチオンポリマー(A)の分子を整列させた状態で、乾燥により塗膜中の溶媒を除去することで、均質なコート層を容易に形成できる。
乾燥の方法としては、溶媒除去に通常用いられる、加熱やエアブロー等の乾燥方法が特に制限なく適用できる。加熱乾燥を行う場合には、50〜80℃に加熱することが好ましく、エアブローでは15〜30℃のエアーを吹き付けることが好ましい。
このようにして、上記(1)〜(3)の工程により本発明の実施形態のガラス合紙が得られる。
このようにして、上記(1)〜(3)の工程により本発明の実施形態のガラス合紙が得られる。
ここで、本発明のガラス合紙は、例えば、パルプを主成分とする原料を抄紙する等の基紙の製造工程の一部に、上記(2)の塗布工程、および(3)の乾燥工程を取り入れて、製造してもよい。なお、(2)工程で用いるコート層形成用組成物は、上記(1)工程で準備されるコート層形成用組成物と同様とできる。
図3に、概念図を示す一般的なガラス合紙の製造装置20の一例を用いて、一般的なガラス合紙の製造について以下に説明する。まず、紙原料液(パルプを水で希釈した液体)が、ヘッドボックス21から、ワイヤパート22に設置された下ワイヤ23の上に、シート状に供給される。下ワイヤ23に供給された紙原料液は、次いで、下ワイヤ23と上ワイヤ24とによって挟み込まれることにより、均一の厚さに広げられると共に、脱水されて、湿紙(紙)となる。
ワイヤパート22で形成された湿紙は、プレスローラ対等を有するプレスパート25に搬送され、ここで、さらなる脱水とプレスとが、同時に行われる。プレスパート25を通過した湿紙は、複数本のローラで構成されるドライヤパート26に搬送され、ドライヤパート26を通過中に、例えば約120℃の雰囲気で乾燥される。乾燥された紙は、カレンダパート27に搬送され、カレンダロールによる挟持搬送等によってカレンダ処理を施されて、表裏面が平滑化される。カレンダ処理を施された紙は、ガラス合紙としてリール28に巻き取られ、ロール29にされる。
このようにして得られる一般的なガラス合紙を、上記製造方法においては(1)で基紙として準備して用いる。しかしながら、このような基紙の製造工程の一部に、上記(2)の塗布工程、および(3)の乾燥工程を取り入れる場合には、例えば、図3に示される基紙の製造工程において、上記(2)の塗布工程、および(3)の乾燥工程は、ドライヤパート26とカレンダパート27との間に、コータパートを設けて行うことができる。
なお、図3に示す製造装置20には図示されていないが、このようなコータパートは、製造する紙の種類に応じて必要とされる各種コート液を紙面上に供給する目的で紙の製造装置が通常有するものである。本発明のガラス合紙の製造に際しては、例えば、図3に示す製造装置20においてドライヤパート26とカレンダパート27との間にコータパートを有する装置を用いれば、特別な装置を準備することなく、容易に製造が可能である。
なお、このような紙の製造装置においては、得られる紙ロールの幅は、ガラス合紙の使用時の大きさに比べて大きい。したがって、例えば、紙ロールは製品に応じた幅に切断されて、巻き取られ、8000〜10000m程度の所定長の長尺なガラス合紙を巻回したロールとして出荷される。そして、出荷先において、積層するガラス板に応じたサイズのカットシート状(矩形状)に切断され、積層されるガラス板の間に介在される。
以上、本発明のガラス合紙およびガラス合紙の製造方法の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。
[ガラス板積層体]
本発明のガラス板積層体は、複数枚のガラス板を、このような本発明のガラス合紙をガラス板間に介在して積層してなるガラス板積層体である。本発明のガラス合紙の使用例を、上記において図2に示すガラス板積層体10を用いて説明した。以下に、同様に図2を用いて本発明のガラス板積層体について説明する。
本発明のガラス板積層体は、複数枚のガラス板を、このような本発明のガラス合紙をガラス板間に介在して積層してなるガラス板積層体である。本発明のガラス合紙の使用例を、上記において図2に示すガラス板積層体10を用いて説明した。以下に、同様に図2を用いて本発明のガラス板積層体について説明する。
図2に示すガラス板積層体10は、各5枚のガラス合紙1とガラス板4が交互に積層された構成である。ガラス合紙1は本発明のガラス合紙であり上記で説明したとおりである。ガラス板4は特に限定されず、板状、略板状など、その2枚以上を積層させて保管、運搬することができる形状、大きさ、厚さ等であればよい。
本発明のガラス合紙の効果がより発揮できる観点から、ガラス板4は、ガラス板の表面が高度に清浄に保たれることが求められる半導体製品の製造に関連して使用されるガラス板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板等のフラットパネルディスプレイ、有機EL照明、および太陽電池等の電子デバイス等に適用されるガラス板が好ましい。
本実施形態に用いられるガラス板4は、その用途に応じて、材質および形状等が適宜選択される。ガラス板の材質としては、通常のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリボロシリケートガラス、石英ガラス等が挙げられる。ガラス板としては、紫外線や赤外線を吸収するガラスや強化ガラスからなるガラス板を用いることも可能である。
ガラス板4の形状としては、図2に示されるガラス板のように平板であってもよく、全面または一部が曲率を有していてもよい。ガラス板の厚さは、積層されるガラス板の用途により適宜選択できる。一般的には、0.3〜3.0mmであることが好ましい。また、ガラス板は、複数枚のガラス板が中間膜を挟んで接着された合わせガラスであってもよい。
液晶ディスプレイ等のディスプレイ基板やフォトマスク用基板として使用する場合は、周知のプレス法、ダウンドロー法、フロート法などの方法により所定の板厚に成形し、徐冷後、研削、研磨などの加工を行い、所定のサイズ、形状のガラス板とする。
ここで、ガラス板は、例えば、近年開発された第8世代(2200mm×2500mm)程度の大きさを有するものであってよい。この場合、ガラス板の厚さは、0.3〜0.8mmであることが強度確保の点で好ましく、さらに好ましくは0.4〜0.7mm程度である。
また、ここで用いることができるガラス板は、ガラス板表面に機能性薄膜を有するものであってもよい。機能性薄膜とは、具体的には、導電膜(スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、Ag、Cr/Cu/Cr構造を有する膜等)や熱線遮蔽膜(酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、ITO等)/Ag/酸化物の構造を有する層等)等である。ここで、酸化亜鉛には、Al、Gaまたは水素等がドープされていてもよい。また、酸化スズにはFまたはSbがドープされていてもよい。さらに、AgにはPdまたはAuがドープされていてもよい。
なお、ガラス板がその表面に機能性薄膜を有する場合は、ガラス合紙のコート層がガラス板の機能性薄膜に接するように、ガラス板積層体を構成することが好ましい。
ガラス板4の主面の大きさとガラス合紙1の主面の大きさの関係は上記のとおりである。例えば、上記主面の形状が矩形であり、大きさが2200mm×2500mmであるガラス板4に対しては、ガラス合紙1の主面は、2280mm×2580mm程度の矩形状が好ましい。ガラス板4が矩形である場合、ガラス合紙1の各辺の長さは、それぞれ対応するガラス板4の辺の長さの1.02〜1.05倍であることが好ましい。
ガラス板およびガラス合紙の積層枚数は、通常、ガラス板とガラス合紙の枚数が同数となるか、ガラス合紙の枚数がガラス板の枚数よりも1枚多いかのいずれかである。ガラス板積層体を構成するガラス板の積層枚数は、2枚以上であればよく、ガラス板の大きさ(厚さも含む)、比重にもよるが、概ね300枚までの積層枚数とできる。通常、ガラス板積層体の総質量として2000kg以下となるように積層される。
[ガラス板梱包体]
ガラス板の輸送や保管の際には、上記のようにガラス板と合紙とを交互に積層してガラス積層体とし、これを梱包容器に収容してから梱包してガラス板梱包体とする。ガラス板梱包体には、ガラス板を水平に積層する横置き型とガラス板を傾斜させて立てた状態で積層する縦積型とがあり、本発明はいずれの型にも適用できる。図4に本発明の実施形態の縦積型のガラス板梱包体の一例の概略構成を示す。また、図5に本発明の実施形態の横置き型のガラス板梱包体の一例の概略構成を示す。
ガラス板の輸送や保管の際には、上記のようにガラス板と合紙とを交互に積層してガラス積層体とし、これを梱包容器に収容してから梱包してガラス板梱包体とする。ガラス板梱包体には、ガラス板を水平に積層する横置き型とガラス板を傾斜させて立てた状態で積層する縦積型とがあり、本発明はいずれの型にも適用できる。図4に本発明の実施形態の縦積型のガラス板梱包体の一例の概略構成を示す。また、図5に本発明の実施形態の横置き型のガラス板梱包体の一例の概略構成を示す。
図4に示すガラス板梱包体30は、梱包容器31に、複数枚(n枚)のガラス板41〜4nを該ガラス板間にガラス合紙12〜1nを介在させて積層したガラス板積層体10が、梱包されたものである。なお、ガラス合紙11は梱包容器とガラス板間に配置されている。梱包容器31は、公知の縦積型のガラス板梱包用の梱包容器であり、基台33と、基台33の上面に立設された傾斜台32と、基台33の上面に載置された載置台34とを有する。
傾斜台32の鉛直方向の一面(ガラス板積層体10との接触面=背面)は、鉛直方向に対して傾斜している(以下、傾斜面とも言う)。この傾斜面の角度(図4中、αで示す。)は、積層されたガラス板積層体10が安定して積載、保管および搬送できる角度であればよく、通常、水平方向に対して85°以下であり、例えば、85°〜70°である。
また、載置台34の上面は、水平方向に対して傾斜台32に向かって下降するように傾斜する。図示例においては、一例として、載置台34の上面は、傾斜台32の傾斜面に対して90°となるように構成される。
梱包容器31において、ガラス板41は、載置台34の上面に載置され、かつ、傾斜台32の傾斜面に立て掛けられた状態で積層される。n枚(nは2以上の整数)のガラス板は傾斜台32側から順にガラス板41、42、…、4nである。また、ガラス板41〜4nの間には、上記本発明のガラス合紙12〜1nが介在される。なお、図4においては、積層されたガラス板41と傾斜台32との間にも、同様に本発明のガラス合紙11が介在されている。ガラス積層体10が有するガラス合紙はガラス板と同じ枚数のn枚であり、傾斜台32側から順にガラス合紙11、12、…、1nである。
例えば、図4に示すガラス板積層体10は、ガラス板41、42、…、4nについてはその下側の主面が素子形成面であり上側の主面が素子非形成面であって、ガラス合紙11、12、…、1nについては基紙の一方の主面にコート層が形成されたガラス合紙をそのコート層を上に向けて配置した例である。ここで、下側とは傾斜台の傾斜面側をいい、上側とはその反対側をいう。
ガラス合紙11〜1nは、ガラス板41〜4nよりも大きなサイズであり、ガラス板41〜4nの全面を覆うように、ガラス板41〜4nの間、またはガラス板41と傾斜台32との間に介在される。ここで、最前面のガラス板4nの表面を同様に本発明のガラス合紙で覆ってもよい。
図5に示すガラス板梱包体50は、梱包容器51に、複数枚(n枚)のガラス板41〜4nを該ガラス板間にガラス合紙12〜1nを介在させて積層したガラス板積層体10が、梱包されたものである。なお、ガラス合紙11は梱包容器とガラス板間に配置されている。梱包容器51は、公知の横置き型ガラス板梱包用の梱包容器であり、基台53と、基台53の上面に載置された載置台54と、基台53の上面の隅、例えば、基台53の上面が矩形であれば少なくとも4隅に、梱包容器51を積層するための支柱52を有する。
図5におけるガラス板積層体10は、ガラス板およびガラス合紙の枚数がn枚であることを除いて図2に示すガラス積層体10と同様である。n枚(nは2以上の整数)のガラス板は、載置台54側から順にガラス板41、42、…、4nである。また、ガラス積層体10が有するガラス合紙はガラス板と同じ枚数のn枚であり、載置台54側から順にガラス合紙11、12、…、1nである。
ここで、図4に示す縦積型のガラス板梱包体30および図5に示す横置き型のガラス板梱包体50のいずれの場合においても、ガラス板積層体10の最下層のガラス板41に最も面圧がかかる。本発明のガラス合紙を用いれば、ガラス板積層体、さらには、ガラス板梱包体とした場合、最下層のガラス板において下側の主面にかかる面圧が10g/cm2以上であってもガラス板の間に介在されたガラス合紙からの異物の転写は少なく、積層する前のガラス板の清浄性を維持しながら保管、搬送が可能である。本発明のガラス合紙においては、上記面圧が20g/cm2以上となっても上記同様の効果が得られることが好ましい。
本発明のガラス合紙を使用すれば、最下層のガラス板において下側の主面にかかる面圧について、概ね50g/cm2までであれば、積層されて保管、搬送された後のガラス板の清浄性が使用上問題ない程度にまで確保できる。なお、一般的に、縦積型のガラス板梱包体に比べて横置き型のガラス板梱包体において、最下層のガラス板にかかる面圧は大きい。したがって、本発明のガラス板梱包体は、複数枚のガラス板の主面が水平となるように積層された横置き型のガラス板梱包体において、特に顕著な効果を発揮できる。
また、本発明のガラス合紙を用いた本発明のガラス板積層体およびガラス板梱包体においては、保管、搬送された後のガラス板の表面に、上記コート層の一部が転写された場合であっても、コート層を構成するカチオンポリマー(A)は水溶性であることから、ガラス板を水もしくはアルカリ洗剤で洗浄することで、その表面に付着したカチオンポリマー(A)を容易に除去することができる。よって、本発明によれば、ガラス板を用いて製造した液晶ディスプレイ等の誤作動の発生率を従来と比べて格段に低くできる。さらに、大型のガラス板の場合であっても、その効果を有する。
以下、実施例および比較例に基づいてさらに本発明を詳細に説明する。
<コート層形成用組成物1の調製>
カチオンポリマー(A)として網状ポリマー(A1)であるポリエチレンイミン(日本触媒社製エポミンSP−003(平均分子量約300、カチオン性基密度;23.2[eq/MW1000])、以下「PEI−300」と示す。)が1meq/Lの濃度になるように純水に溶解して、コート層形成用組成物1を調製した。この溶液のpHは約10.5である。
<コート層形成用組成物1の調製>
カチオンポリマー(A)として網状ポリマー(A1)であるポリエチレンイミン(日本触媒社製エポミンSP−003(平均分子量約300、カチオン性基密度;23.2[eq/MW1000])、以下「PEI−300」と示す。)が1meq/Lの濃度になるように純水に溶解して、コート層形成用組成物1を調製した。この溶液のpHは約10.5である。
<コート層形成用組成物2の調製>
カチオンポリマー(A)として網状ポリマー(A1)であるポリエチレンイミン(PEI;日本触媒社製エポミンSP−006(平均分子量約600)、カチオン性基密度;23.2[eq/MW1000]、以下「PEI−600」と示す。)が1meq/Lの濃度になるように純水に溶解して、コート層形成用組成物2を調製した。この溶液のpHは約10.5である。
カチオンポリマー(A)として網状ポリマー(A1)であるポリエチレンイミン(PEI;日本触媒社製エポミンSP−006(平均分子量約600)、カチオン性基密度;23.2[eq/MW1000]、以下「PEI−600」と示す。)が1meq/Lの濃度になるように純水に溶解して、コート層形成用組成物2を調製した。この溶液のpHは約10.5である。
(例1)
基紙として、FPD(フラットパネルディスプレイ)用合紙(特種東海製紙株式会社製、商品名:Kirari、厚み;80μm)を、試験用のガラス合紙のサイズである400mm×500mmに切断したものを4枚準備した。該基紙の一方の主面に、1枚当たり上記で得られたコート層形成用組成物1の30mLをスプレーにて塗布した。その後、コート層形成用組成物1の塗膜の表面にドライヤーで温風を当ててある程度乾燥させた後、自然乾燥させて水分を除去して、図1に示されるのと同様の構成のガラス合紙Aを4枚得た。
基紙として、FPD(フラットパネルディスプレイ)用合紙(特種東海製紙株式会社製、商品名:Kirari、厚み;80μm)を、試験用のガラス合紙のサイズである400mm×500mmに切断したものを4枚準備した。該基紙の一方の主面に、1枚当たり上記で得られたコート層形成用組成物1の30mLをスプレーにて塗布した。その後、コート層形成用組成物1の塗膜の表面にドライヤーで温風を当ててある程度乾燥させた後、自然乾燥させて水分を除去して、図1に示されるのと同様の構成のガラス合紙Aを4枚得た。
(例2)
例1において、コート層形成用組成物1のかわりにコート層形成用組成物2を用いた以外は同様にしてガラス合紙Bを4枚得た。
例1において、コート層形成用組成物1のかわりにコート層形成用組成物2を用いた以外は同様にしてガラス合紙Bを4枚得た。
(例3)
例1において、コート層形成用組成物1のかわりに純水を用いた以外は同様にして、コート層を有しない純水洗浄されたガラス合紙Cを4枚得た。
例1において、コート層形成用組成物1のかわりに純水を用いた以外は同様にして、コート層を有しない純水洗浄されたガラス合紙Cを4枚得た。
(評価)
以下の方法により、ガラス板と、上記で得られたガラス合紙A〜Cおよび何も処理していない、上記基紙としてのFPD用合紙を積層した後、ガラス板表面へのガラス合紙からの異物(パーティクル)の転写状態を測定し評価した。
以下の方法により、ガラス板と、上記で得られたガラス合紙A〜Cおよび何も処理していない、上記基紙としてのFPD用合紙を積層した後、ガラス板表面へのガラス合紙からの異物(パーティクル)の転写状態を測定し評価した。
(ガラス板積層体の作製)
表面研磨をした、470mm×370mm×厚さ0.7mmの無アルカリボロシリケートガラス製のガラス板を18枚準備した。ガラス板の18枚とガラス合紙の16枚を交互に積層した試験用のガラス板積層体を得た。試験用のガラス板積層体は、図5において梱包容器を除いたのと略同じ構成(ただし、ガラス合紙11は使用せず)とした。
表面研磨をした、470mm×370mm×厚さ0.7mmの無アルカリボロシリケートガラス製のガラス板を18枚準備した。ガラス板の18枚とガラス合紙の16枚を交互に積層した試験用のガラス板積層体を得た。試験用のガラス板積層体は、図5において梱包容器を除いたのと略同じ構成(ただし、ガラス合紙11は使用せず)とした。
すなわち、上記18枚のガラス板を下から順にガラス板41、42…、418の順に積層する際に、ガラス板間にガラス合紙の16枚をガラス合紙12、13、…、117の順に積層した。ガラス板41〜418は、全て同じガラス板であり、ガラス合紙12〜117の種類は表1に示すものとした。表1においてガラス合紙A、ガラス合紙B、ガラス合紙Cを、それぞれ「A」、「B」、「C」で示す。基紙としてのFPD用合紙を「Ref」で示す。なお、図5に示すガラス合紙11は使用しなかった。各ガラス合紙は、コート層または純水洗浄面が上側になるようにして積層した。
(パーティクル測定)
上記で得られたガラス板積層体の上面に重りとして400mm×500mm、厚み3.0mmからなるアルミ板を重量が40kgとなるように上面全体に平均して加重(ガラス合紙A〜CおよびFPD用合紙の各4枚が接するガラス板の面圧が4枚の平均として20.6g/cm2となるように加重)した状態で恒温恒湿槽(温度80℃、湿度40%)に24時間保管した後、ガラス板積層体からガラス合紙を取り外して、18枚のガラス板41〜418を取り出した。取り出した18枚のガラス板のうちの16枚のガラス板42〜417の下側主面のパーティクル数を測定した。なお、パーティクル測定は、東レエンジニアリング株式会社製のFPD用異物検査装置HS830eを使用して実施した。
上記で得られたガラス板積層体の上面に重りとして400mm×500mm、厚み3.0mmからなるアルミ板を重量が40kgとなるように上面全体に平均して加重(ガラス合紙A〜CおよびFPD用合紙の各4枚が接するガラス板の面圧が4枚の平均として20.6g/cm2となるように加重)した状態で恒温恒湿槽(温度80℃、湿度40%)に24時間保管した後、ガラス板積層体からガラス合紙を取り外して、18枚のガラス板41〜418を取り出した。取り出した18枚のガラス板のうちの16枚のガラス板42〜417の下側主面のパーティクル数を測定した。なお、パーティクル測定は、東レエンジニアリング株式会社製のFPD用異物検査装置HS830eを使用して実施した。
ここで、評価においては、ガラス合紙の上側に位置するガラス板の下側の主面についてパーティクル測定を行い、該ガラス合紙の結果とした。例えば、積層位置が12のガラス合紙12は、ガラス合紙Aからなり、ガラス板41とガラス板42に挟持されているが、コート層を上側、すなわちガラス板42の下側の主面に向けて積層されているため上記の評価方法とした。
このようにして得られた、ガラス合紙A〜CおよびFPD用合紙の各4枚のガラス合紙からガラス板に転写されたパーティクルの個数の平均値を算出した。結果をパーティクルサイズ毎(S、M、L)の個数およびその合計数として表2(「積層後」の欄)に示す。パーティクルサイズは、Sが粒子径1μm未満、Mが粒子径1μm以上3μ未満、Lが粒子径3μm以上5μ未満である。なお、パーティクルの個数は積層後のガラス板表面の単位面積当たりのパーティクル数(個/0.17m2)から積層前のガラス板表面の単位面積当たりのパーティクル数(個/0.17m2)を引いて得られたものである。
また、上記と同様にしてガラス積層体を作製し、恒温恒湿槽に保管した後、取り出したガラス板を1%アルカリ洗剤によるスクラブ洗浄(回転するPVA製ブラシを使用)した後に、上記同様にパーティクル数を測定した。ガラス合紙A〜Cについての結果を4枚の平均値として表2の「洗浄後」の欄に示す。
表2より、コート層が形成されたガラス合紙AおよびBは、積層後および洗浄後のいずれでも、Refよりパーティクル数を低減することができた。
一方、コート層を有さず、純水洗浄のみ行われたガラス合紙Cは、積層後にはRefよりもパーティクル数が低いものの、洗浄後にはRefよりもパーティクル数が高い傾向が得られた。基紙に純水のみを塗布した場合では、洗浄性が悪くなるためと考えられ、純水のみでは最終的なパーティクル数を低減できないと分かった。
一方、コート層を有さず、純水洗浄のみ行われたガラス合紙Cは、積層後にはRefよりもパーティクル数が低いものの、洗浄後にはRefよりもパーティクル数が高い傾向が得られた。基紙に純水のみを塗布した場合では、洗浄性が悪くなるためと考えられ、純水のみでは最終的なパーティクル数を低減できないと分かった。
1…ガラス合紙、2…コート層、3…基紙、4…ガラス板、10…ガラス板積層体、20…ガラス合紙製造装置、21…ヘッドボックス、22…ワイヤパート、23…下ワイヤ、24…上ワイヤ、25…プレスパート、26…ドライヤパート、27…カレンダパート、28…リール、29…ロール
30,50…ガラス板梱包体、31,51…梱包容器、32…傾斜台、33,53…基台、34,54…載置台、52…支柱
30,50…ガラス板梱包体、31,51…梱包容器、32…傾斜台、33,53…基台、34,54…載置台、52…支柱
Claims (10)
- 複数枚のガラス板を積層する際に、ガラス板間に介在させるガラス合紙であって、
基紙と、前記基紙の少なくとも一方の主面に形成された、カチオン性基を有する平均分子量が200〜100万の水溶性のカチオンポリマーを含むコート層とを有するガラス合紙。 - 前記カチオンポリマーは、分子量1000あたりのカチオン性基密度が3〜40[eq/MW1000])である請求項1記載のガラス合紙。
- 前記カチオン性基は、アミノ基または4級アンモニウム基である請求項1または2記載のガラス合紙。
- 前記カチオンポリマーは、平均分子量が200〜2000の網状ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス合紙。
- 前記カチオンポリマーは、ポリエチレンイミンである請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス合紙。
- 前記カチオンポリマーは、前記カチオン性基を主鎖に有する、平均分子量が1000〜100万の鎖状ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス合紙。
- 複数枚のガラス板を、前記ガラス板間に請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス合紙が介在するように積層してなるガラス板積層体。
- 梱包容器と、前記容器に収容された請求項7に記載のガラス板積層体を有するガラス板梱包体。
- 前記ガラス板積層体の最下層のガラス板において下側の主面にかかる面圧が10g/cm2以上である請求項8記載のガラス板梱包体。
- 前記ガラス板積層体は前記複数枚のガラス板の主面が水平となるように積層された請求項8または9記載のガラス板梱包体。
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