JP2016046448A - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体レーザを用い、実用性の高いパルス幅、及び低いフルエンスの条件で十分なシリサイド化を行うことが可能な半導体素子の製造方法を提供する。【解決手段】炭化シリコンからなる基板の第1の表面にニッケル、チタンまたはタングステンからなる金属膜を形成する。金属膜に、波長が330nm〜370nmの範囲内のパルスレーザビームを、パルス幅が20ns〜50nsの範囲内、フルエンスが2J/cm2〜3J/cm2の範囲内の条件で入射させることにより、金属膜を溶融させて、基板と金属膜とをシリサイド反応させることにより、基板の第1の表面に金属シリサイド膜を形成する。【選択図】 図1−2

Description

本発明は、炭化シリコン(SiC)基板にオーミック電極を形成する半導体素子の製造方法に関する。
半導体パワーデバイス用の半導体材料として、シリコンよりも広いバンドギャップを有するSiCが注目されている。SiCを用いたショットキバリアダイオード、MOSFET、JFET等のパワー半導体デバイスが実用化されている。SiCは、Siに比べて欠陥の少ないウエハを作製することが困難である。このため、SiCウエハの上に形成された欠陥の少ないエピタキシャル層が、ドリフト層として利用される。エピタキシャル層の厚さは、必要とされる耐圧に合わせて設定される。ドリフト層としてSiCを用いる場合には、Siを用いる場合に比べて、約1/10の厚さで同等の耐圧を確保することができる。例えば、厚さ10μmのSiCからなるエピタキシャル層により、厚さ100μmのSiウエハと同程度の耐圧を確保することができる。
ショットキバリアダイオードにおいては、エピタキシャル層の表面にアノード電極が形成される。スイッチング素子においては、エピタキシャル層の表面にスイッチング機能を有する素子構造が形成される。エピタキシャル層の下地となっているSiCウエハは、エピタキシャル層の支持基板としての役割を持つ。通電ロスを低減するために、SiCウエハを薄くすることが好ましい。エピタキシャル層の表面に素子構造を形成する前に、SiCウエハを薄くすると、プロセス中の破損や反りにより、素子構造を形成することが困難になる。従って、エピタキシャル層の表面に素子構造を形成した後、SiCウエハを削って薄くすることが好ましい。
薄くされたSiCウエハの裏側の表面に、オーミック電極が形成される。オーミック電極の形成時にレーザアニールを適用すると、電気炉でアニールする場合に比べて、表側の表面に形成されている素子構造への熱影響を軽減することができる。オーミック電極として、ニッケルシリサイド等の金属シリサイドが用いられる。
特許文献1〜3に、SiC基板上にニッケル等の金属膜を形成した後、レーザアニールを行うことにより金属シリサイド膜を形成する方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、波長が248nm〜308nmのパルスレーザビームを用い、パルス幅が約30ns、1パルス当たりのエネルギ密度(以下、「フルエンス」という。)が約2.8J/cmの条件でレーザアニールが行われる。この波長のパルスレーザビームを出力する光源として、エキシマレーザが用いられていると推測される。特許文献2に開示された方法では、波長が455nm〜597nmのパルスレーザビームを用い、パルス幅が50ns〜5μs、フルエンスが3.6J/cm以上の条件でレーザアニールが行われる。特許文献3に開示された方法では、XeClエキシマレーザ(波長308nm)を用い、パルス幅が50ns以下、フルエンスが10mJ/cm、パルスの照射数が10〜200回程度、複数パルスの周期5msの条件でレーザアニールが行われる。
特表2007−534143号公報 特開2013−105881号公報 特開2010−186991号公報
エキシマレーザ等のガスレーザは、YAGレーザ等の固体レーザに比べて、レーザビームの品質が不安定であるため、高品質のアニールを再現性よく行うことが困難である。高品質のアニールを再現性よく行うために、固体レーザを用いることが好ましい。一般的な固体レーザを用いる場合、50nsよりも長いパルス幅を実現することは困難である。
高いフルエンスを実現するためにビーム断面を小さく絞ると、レーザアニール時の走査速度を遅くしなければならなくなるため、スループットが低下する。高いフルエンスを実現するために、複数台のレーザ発振器を使用することは、装置コストの増大に繋がる。従って、フルエンスを低くしても十分なシリサイド化を行うことができるアニール条件を見出すことが望まれる。
本発明の目的は、固体レーザを用い、実用性の高いパルス幅、及び低いフルエンスの条件で十分なシリサイド化を行うことが可能な半導体素子の製造方法を提供することである。
本発明の一観点によると、
炭化シリコンからなる基板の第1の表面にニッケル、チタンまたはタングステンからなる金属膜を形成する工程と、
前記金属膜に、波長が330nm〜370nmの範囲内のパルスレーザビームを、パルス幅が20ns〜50nsの範囲内、フルエンスが2J/cm〜3J/cmの範囲内の条件で入射させることにより、前記金属膜を溶融させて、前記基板と前記金属膜とをシリサイド反応させることにより、前記基板の前記第1の表面に金属シリサイド膜を形成する工程と
を有する半導体素子の製造方法が提供される。
上述のアニール条件で、金属膜と基板との間で十分なシリサイド反応を生じさせることができる。これにより、炭化シリコンの基板の表面に、金属シリサイド膜を形成することができる。
図1A〜図1Dは、実施例による半導体素子の製造方法の製造途中段階における基板の断面図である。 図1E〜図1Fは、実施例による半導体素子の製造方法の製造途中段階における基板の断面図である。 図2は、レーザアニール時のNiからなる金属膜と基板との界面の温度変化のシミュレーション結果を示すグラフである。 図3A及び図3Bは、それぞれフルエンスが1.2J/cm及び1.4J/cmの条件でレーザ照射を行った後の基板の断面及び表面のSEM写真である。 図4は、フルエンスが1.6J/cmの条件でレーザ照射を行った後の基板の断面及び表面のSEM写真である。 図5A及び図5Bは、それぞれフルエンスが1.6J/cm及び1.8J/cmの条件でレーザ照射を行った後の基板の断面及び表面のSEM写真である。 図6A及び図6Bは、それぞれフルエンスを2.0J/cm及び2.5J/cmとしてレーザ照射を行った後の基板の断面TEM写真である。 図7は、金属膜として厚さ100nmのTi膜を用いた場合におけるレーザアニール時の金属膜と基板との界面の温度変化のシミュレーション結果を示すグラフである。 図8A〜図8Dは、それぞれフルエンスが1.2J/cm、1.4J/cm、1.6J/cm、及び1.8J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真である。 図9は、図7のシミュレーションと同様の試料をシミュレーション対象とし、金属膜の表面の温度変化のシミュレーションを行った結果を示すグラフである。 図10A及び図10Bは、それぞれフルエンスが2.0J/cm、及び2.5J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面TEM写真である。 図11は、金属膜にタングステンを用い、フルエンスが2.5J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真である。
図1A〜図1Fを参照して、実施例による半導体素子の製造方法について説明する。
図1Aに示すように、n型SiCからなる基板の表面にn型SiCをエピタキシャル成長させることにより、SiCからなる基板10を形成する。基板10には、例えば4H−SiC、6H−SiC、3C−SiCを用いることができる。エピタキシャル層の表層部に、イオン注入によりp型のガードリング11を形成する。ガードリング11が形成された表面とは反対側の表面を「第1の表面」10Aといい、ガードリング11が形成された表面を「第2の表面」10Bということとする。図1Bに示すように、第2の表面10Bに、酸化シリコンからなる絶縁膜12を形成する。絶縁膜12には、ガードリング11に囲まれた領域を露出させる開口が形成されている。
図1Cに示すように、絶縁膜12に形成されている開口の底面に露出している基板10の表面に、ショットキ電極13を形成する。一例として、チタン膜を形成した後、熱処理を行うことにより、ショットキコンタクトが実現される。ショットキ電極13の上に表面電極14を形成する。表面電極14には、例えばアルミニウムが用いられる。ガードリング11、ショットキ電極13、及び表面電極14をまとめて、素子構造15ということとする。
図1Dに示すように、基板10を第1の表面10Aから研削することにより、基板10を薄くする。図1Eに示すように、基板10の第1の表面10Aに、金属膜16を形成する。金属膜16には、例えばニッケル(Ni)またはチタン(Ti)が用いられる。
図1Fに示すように、金属膜16にパルスレーザビーム20を照射することにより、レーザアニールを行う。パルスレーザビーム20のビームプロファイルはトップフラットである。このレーザアニールは、パルスレーザビーム20の入射領域を金属膜16の表面内で移動させながら(走査しながら)行われる。入射領域のオーバラップ率は、例えば50%〜90%とする。このレーザアニールにより、金属膜16がシリサイド化され、金属シリサイド膜17が形成される。このレーザアニールは、金属膜16が溶融する条件で行われる。
図2に、レーザアニール時の金属膜16と基板10との界面の温度変化のシミュレーション結果を示す。金属膜16として厚さ100nmのニッケル(Ni)膜を用いた。横軸は、レーザパルスの立ち上がり時点からの経過時間を単位「ns」で表し、縦軸は、金属膜16と基板10との界面の温度を単位「K」で表す。図2の実線は、下から順番に、金属膜16の表面におけるフルエンスが1.2J/cm、1.4J/cm、1.6J/cm、1.8J/cm、2.0J/cm、2.2J/cm、2.4J/cm、2.6J/cm、2.8J/cm、及び3.0J/cmの条件でレーザ照射を行った時の温度変化を示す。Niのシリサイド反応温度RTはNiとSiとの組成比に依存す
るが、最も低いシリサイド反応温度RTは1219Kであり、Niの融点MTは1728Kであり、Niの沸点BTは3186Kである。
パルスレーザビームの波長は355nmとし、パルス幅は50nsとした。ここで、パルス幅は、パルスの時間波形の半値全幅で定義される。波長355nmのパルスレーザビームの例として、Nd:YAGレーザの第3高調波が挙げられる。
レーザパルスが入射している期間、すなわち図2において経過時間が0nsから50nsまでの期間は、時間の経過とともに、界面温度が上昇する。レーザパルスの立ち下がり後は、界面温度が徐々に低下する。Niの融点MT及び沸点BTにおいて、界面温度の時間変化がほぼフラットになっているのは、潜熱の吸収または放出による。
図2から、フルエンスが1.2J/cm以上の条件で、金属膜16と基板10との界面温度がシリサイド反応温度RTを超えていることがわかる。従って、図2に示したシミュレーション結果からは、フルエンスを1.2J/cm以上とすることにより、Niシリサイド膜を形成することができると予測される。フルエンスを1.4J/cmにすると、界面の温度がNiの融点MTに到達する。ただし、界面温度が融点MTを超えないため、界面においては、金属膜16がほぼ固体の状態であり、界面から離れた領域が溶融すると考えられる。フルエンスを1.6J/cm以上にすると、界面において金属膜16が溶融する。
図3A〜図6Bに、波長355nmのパルスレーザビームを用い、パルス幅が50nsの条件で、フルエンスを変化させてレーザ照射を行って形成した試料の写真を示す。
図3Aに、フルエンスが1.2J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真を示す。金属膜16の厚さは、図2に示したシミュレーション条件と同一の100nmとした。金属膜16は溶融しておらず、平坦な表面のままであり、金属膜16と基板10との界面にNiシリサイド膜が形成されていないことがわかる。基板10の表層部に観察される黒い長方形の領域は、SEM撮像時の処理に起因するものであり、シリサイド反応とは無関係である。
図3Bに、フルエンスが1.4J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真を示す。基板10の表面に、ほとんど金属膜16が残っておらず、表面の領域18において基板10がほぼ露出している。露出した領域18の奥側に、Niが溶融して再固化したNi膜19が観察される。
図4に、フルエンスが1.6J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真を示す。基板10の表層部の一部に、Niシリサイド膜23が形成されており、基板10の表面に、Niが凝集した尾根状のNi領域24が現れている。Ni領域24は、基板10に入射したビーム断面の縁の軌跡に対応して形成されると考えられる。Niが凝集したNi領域24の直下及びその近傍には、Niシリサイド膜23が形成されていない。
図2に示したシミュレーション結果からは、フルエンスが1.2J/cm以上の条件でシリサイド反応が生じると予測されるが、図3A及び図3Bに示した実験結果からは、フルエンスが1.2J/cm及び1.4J/cmの条件ではシリサイド反応が生じていないことがわかる。シリサイド反応が生じない理由として、加熱時間が短いうえに、Niからなる金属膜16とSiCからなる基板10との界面の温度が十分高くなっていなかったため、NiとSiとの十分な相互拡散が生じていないことが挙げられる。
フルエンスを1.6J/cmまで高めると、一部の領域でNiシリサイド膜23が形成されるが、表面の全域に亘ってNiシリサイド膜を形成することはできない。
図5A及び図5Bに、それぞれフルエンスが1.6J/cm及び1.8J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真を示す。図5Aに示した試料は、図4に示した試料と同一である。図5A及び図5Bのいずれの基板の表面にも、Niの凝集によって尾根状のNi領域24が形成されている。ただし、図5Aに比べて図5Bの方が、Ni領域24が不鮮明である。これは、フルエンスを高めたことにより、界面の温度が高くなってシリサイド反応の速度が速くなり、Niの凝集が生じるよりも早くシリサイド化が進むようになったためと考えられる。
図6Aに、フルエンスが2.0J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面TEM写真を示す。基板10の上に、Niシリサイド膜23が形成されていることがわかる。Niシリサイド膜23よりも上の領域は、TEM写真を撮像するために形成した保護膜に相当する。フルエンスを2.0J/cm以上にすると、Niの凝集はほとんど生じなくなる。これは、温度の上昇によってシリサイド反応速度が増大したためと考えられる。
基板10とNiシリサイド膜23との界面に白色の領域25が観察される。これは、シリサイド反応で余剰になった炭素が析出していることを表している。
図6Bに、フルエンスが2.5J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面TEM写真を示す。フルエンスを2.5J/cmにすると、基板10とNiシリサイド膜23との界面への炭素の析出が観察されなくなる。その代わりに、Niシリサイド膜23の上に、炭素の析出を示す白色の領域26が観察される。白色の領域26は、シリサイド反応で余剰になった炭素が、溶融状態のNi膜を通って浮上し、Niシリサイド膜23の表面に析出したことを示している。
図2に示したシミュレーション結果、及び図3A〜図6Bに示した実験結果から、以下の結論が導き出される。
フルエンスを1.8J/cmにした場合には、基板の表面にNiが凝集してしまうため、Niシリサイド膜を形成するために、フルエンスを2J/cm以上にすることが好ましい。この条件は、図2のシミュレーション結果から、界面温度を2500K以上にすることとほぼ等価である。基板10とNiシリサイド膜23との界面への炭素の析出を抑制するために、フルエンスを2.5J/cm以上にすることがより好ましい。フルエンスを高くし過ぎると、界面の温度が高くなり、シリサイド化が起こる前にNi膜が蒸発してしまう量が多くなる。さらに、フルエンスが高い場合には、SiCからなる基板10が昇華してしまい、NiからなるNi膜及びNiシリサイド膜23を吹き飛ばしてしまう。これらの現象が生じることにより、シリサイド膜の厚さが面内で不均一になる。均一な厚さのNiシリサイド膜を形成するために、フルエンスを3J/cm以下にすることが好ましい。
上記シミュレーション及び実験では、波長が355nmのパルスレーザビームを用いた。波長が変わると、金属膜16(図1F)の表面の反射率が変化するため、好ましいフルエンスの範囲も変化する。ただし、波長が330nm〜370nmの範囲内であれば、反射率の変化は僅かであり、好ましいフルエンスの範囲はほぼ同一であると考えられる。この範囲の波長のパルスレーザビームを出力する光源として、Nd:YAGレーザ、Yb:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Yb:YLF、Nd:YVOレーザ、Yb:YVOレーザ等が使用可能である。
上記シミュレーション及び実験では、パルス幅が50nsのパルスレーザビームを用いた。パルス幅が長くなると、Ni膜に投入された熱エネルギのうち、SiC基板の深い領域に拡散するエネルギの割合が多くなる。このため、Ni膜とSiC基板との界面の温度が上昇しにくい。パルス幅を長くして、界面温度を十分な温度まで加熱するためには、より大きなフルエンスが必要とされる。フルエンスを大きくするためには大出力のレーザ発振器を準備する必要があるため、フルエンスを大きくすることは、装置コストの点で好ましくない。小さなフルエンスで、十分な界面温度を得るために、パルス幅は50ns以下とすることが好ましい。
パルス幅が短すぎると、Ni膜の表面のみが局所的に加熱され、SiC基板とNi膜との界面が加熱されにくくなる。パルス幅を短くすると、Ni膜の表面温度が沸点を大幅に超えることなく、かつ界面温度を十分高くするためのフルエンスの範囲が狭くなってしまうか、または存在しなくなってしまう場合がある。従って、パルス幅は20ns以上にすることが好ましい。
上記シミュレーション及び実験では、Niからなる金属膜16の厚さを100nmにしたが、オーミック電極を安定的に形成するために、金属膜16の厚さは70nm〜100nmとすることが好ましい。
図7に、金属膜16(図1F)として厚さ100nmのチタン(Ti)膜を用いた場合におけるレーザアニール時の金属膜16と基板10との界面の温度変化のシミュレーション結果を示す。横軸は、レーザパルスの立ち上がり時点からの経過時間を単位「ns」で表し、縦軸は、金属膜16と基板10との界面の温度を単位「K」で表す。図7の実線は、下から順番に、金属膜16の表面におけるフルエンスが1.2J/cm、1.4J/cm、1.6J/cm、1.8J/cm、2.0J/cm、2.5J/cm、及び3.0J/cmの条件でレーザアニールを行った時の温度変化を示す。Tiのシリサイド反応温度RTは1603Kであり、Tiの融点MTは1941Kである。Tiの沸点BTは3560Kであり、図7のグラフの縦軸の範囲外である。
パルスレーザビームの波長及びパルス幅は、図2に示したシミュレーションと同様に、それぞれ355nm及び50nsとした。
フルエンスが1.4J/cm以上の条件で、界面温度がシリサイド反応温度RTを超えることがわかる。従って、フルエンス1.4J/cm以上の条件でアニールを行うことにより、Tiシリサイドが形成されると予測される。フルエンス2.5J/cm以上の条件でアニールを行うと、界面温度が融点MTを超え、Ti膜が溶融すると予測される。
図8A〜図8Dに、それぞれフルエンスが1.2J/cm、1.4J/cm、1.6J/cm、及び1.8J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面及び表面のSEM写真を示す。図8Aでは、Tiシリサイドの結晶粒が観察されず、シリサイド反応が生じていない。基板10の上に、Ti膜27aが残っている。図8B、図8C、及び図8Dでは、それぞれ厚さ130nm、160nm、及び190nmのTiシリサイド膜27が形成されている。この実験結果は、図7に示したシミュレーション結果と整合する。
図9に、図7のシミュレーションと同一の条件でシミュレーションを行ったときの、金属膜16の表面の温度変化のシミュレーション結果を示す。横軸は、レーザパルスの立ち上がり時点からの経過時間を単位「ns」で表し、縦軸は、Ti膜の表面の温度を単位「
K」で表す。図9の実線は、図7と同様に、下から順番に、金属膜16の表面におけるフルエンスが1.2J/cm、1.4J/cm、1.6J/cm、1.8J/cm、2.0J/cm、2.5J/cm、及び3.0J/cmの条件でレーザ照射を行った時の温度変化を示す。
フルエンスが2.0J/cm以上の条件でアニールを行うと、Ti膜の表面の温度が融点MTを超え、Ti膜が溶融することがわかる。ところが、図7を参照すると、フルエンスが2.0J/cmの上面では、Ti膜とSiC基板との界面温度は融点MTを超えない。このため、Ti膜の表層部は溶融するが、界面近傍のTi膜は溶融しない。フルエンスを2.5J/cm以上にすると、界面温度も融点MTを超え、Ti膜は、その上面から、SiC基板との界面まで溶融する。
図10A及び図10Bに、それぞれフルエンスが2.0J/cm、及び2.5J/cmの条件でレーザアニールを行った後の基板の断面TEM写真を示す。図10A及び図10Bのいずれにおいても、Tiシリサイドの結晶粒が観察され、Tiシリサイド膜27が形成されていることがわかる。図10Aでは、Tiシリサイド膜27の上面に析出物が観察されない。これに対し、図10Bでは、Tiシリサイド膜27の上面に、析出した炭素を示す白色の領域29が観察される。これは、フルエンスを2.5J/cmまで高めたことにより、Ti膜の溶融時間が長くなり、余剰の炭素が、溶融状態のTi膜の上面まで浮上したためである。
図10Aに示した試料では、Tiシリサイド膜27内に、黒色の大きな析出物が発生しているが、図10Bに示した試料では、このような大きな析出物は観察されず、より均質性の高いTiシリサイド膜27が形成されていることがわかる。
図7及び図9に示したシミュレーション結果、及び図8A〜図8D、図10A、図10Bに示した実験結果から、以下の結論が導き出される。
Ti膜を、基板との界面まで溶融させるために、フルエンスを2J/cmを超える値に設定することが好ましい。余剰となった炭素をTiシリサイド膜27の上面に析出させるため、及びTiシリサイド膜27の均質性を高めるために、フルエンスを2.5J/cm以上とすることが好ましい。
金属膜16(図1F)としてTiを用いた場合でも、Niを用いた場合と同様に、パルスレーザビームの波長を330nm〜370nmの範囲内とすることが好ましい。パルス幅は20ns以上、50ns以下とすることが好ましい。金属膜16の厚さは70nm〜100nmとすることが好ましい。
上記実施例では、金属膜16にNiまたはTiを用いたが、タングステン(W)を用いても、同様に金属シリサイド膜17(図1F)を形成することができた。金属膜16にWを用いた場合には、フルエンスを2.5J/cm〜3.0J/cmの範囲内にすることが好ましい。
図11に、SiCからなる基板10及びWシリサイド膜30の断面及び表面のSEM写真を示す。Wからなる金属膜16(図1E)の厚さは100nmであり、フルエンスは2.5J/cmである。基板10の上に、Wシリサイド膜30が形成されていることがわかる。Wシリサイド膜30の上に、析出した炭素31が観察される。この観察結果は、W膜が溶融している期間に、基板10内の炭素がW膜中を浮上したことにより、Wシリサイド膜30の上面に炭素31が析出したこと示している。
フルエンスを3.0J/cmよりも高くすると、Wシリサイド膜30が形成されない領域が部分的に出現した。均質なWシリサイド膜30を形成するために、フルエンスを3.0J/cm以下にすることが好ましい。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
10 基板
10A 第1の表面
10B 第2の表面
11 ガードリング
12 絶縁膜
13 ショットキ電極
14 表面電極
15 素子構造
16 金属膜
17 金属シリサイド膜
18 基板がほぼ露出した領域
19 Ni膜
20 パルスレーザビーム
23 Niシリサイド膜
24 Ni領域
25、26 析出した炭素を示す白色の領域
27 Tiシリサイド膜
27a Ti膜
29 析出した炭素を示す白色の領域
30 Wシリサイド膜
31 析出した炭素
BT 沸点
MT 融点
RT シリサイド反応温度

Claims (6)

  1. 炭化シリコンからなる基板の第1の表面にニッケル、チタンまたはタングステンからなる金属膜を形成する工程と、
    前記金属膜に、波長が330nm〜370nmの範囲内のパルスレーザビームを、パルス幅が20ns〜50nsの範囲内、フルエンスが2J/cm〜3J/cmの範囲内の条件で入射させることにより、前記金属膜を溶融させて、前記基板と前記金属膜とをシリサイド反応させることにより、前記基板の前記第1の表面に金属シリサイド膜を形成する工程と
    を有する半導体素子の製造方法。
  2. 前記金属シリサイド膜を形成する工程で、シリサイド反応により余剰になった炭素が、前記金属膜が溶融している期間に、前記金属膜の表面まで浮上する請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記金属膜はニッケルからなり、前記金属シリサイド膜を形成する工程において、前記金属膜と前記基板との界面の温度が2500K以上となる条件でアニールが行われる請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記金属膜はニッケルからなり、前記金属シリサイド膜を形成する工程において、フルエンスが2.5J/cm〜3J/cmの範囲内の条件でアニールが行われる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  5. 前記金属膜はチタンからなり、前記金属シリサイド膜を形成する工程において、フルエンスが2.5J/cm〜3J/cmの範囲内の条件でアニールが行われる請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
  6. 前記金属膜はタングステンからなり、前記金属シリサイド膜を形成する工程において、フルエンスが2.5J/cm〜3J/cmの範囲内の条件でアニールが行われる請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
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