JP5252505B2 - レーザアニール装置 - Google Patents

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Description

この発明は、パワーデバイスIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の裏面にイオン注入された不純物の活性化やウエハ表層内の結晶欠陥を取り除いて結晶を回復させる処理などに使用されるレーザアニール装置関するものである。
パワーデバイスIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の裏面にイオン注入された不純物の活性化を行う熱処理では、半導体基板にレーザ光を照射して加熱し、その昇温によって熱処理を行う。
このような熱処理では、活性化が良好になされるように、基板のある程度の深さ位置まで効果的に加熱されるのが望ましい。しかし、従来用いられているレーザは、パルス幅(パルスの半値幅)が狭いため、加熱時間が短く、十分な活性化を行うことが難しい。そのため、複数のパルスを連続して照射し、見かけ上のパルス幅を広げて活性化する方法が提案されている。
例えば、2波長、すなわち短い波長と長い波長のCW(連続発振)レーザで、浅いイオン注入層と深いイオン注入層の活性化を担わせる活性化技術が提案されている(特許文献1参照)。
この技術では、CW型LD(波長≦900nm)とCW型YAGレーザの高調波レーザ(波長≧370nm)を同じ基板面に同時照射し、各レーザビームの照射時間(ビーム走査速度とビームサイズで決まる)を制御することで深さ方向の温度分布を制御して3μmレベルの深い活性化を実現している。不純物注入層の浅い部分は短い波長の固体レーザで活性化し、深い部分は半導体レーザで活性化する。裏面は融点以下に、表面は200℃以下にした非溶融活性化である。
また、ダブルパルスレーザアニール装置を使って、浅い注入不純物層は溶融状態で、深い注入不純物層は非溶融状態で活性化する技術が提案されている(非特許文献1、2参照)。
この技術に係るダブルパルスレーザアニール装置は、深いpn接合を活性化するために2台のグリーンパルスレーザを使って、100nsレベルの短いパルス幅を持つ2つのレーザパルスの間に遅延時間を設けて、擬似的にパルス幅を長くしてアニール時間を稼いでいる。その遅延時間を最適化することで、浅いボロンの注入層と深いリンの注入層を一括して活性化する。活性化深さは1.8μmに達しており、高い活性化率が得られている。このpn接合の活性化プロセスは、先ずは深いリン注入層が固相状態で結晶回復して、次に結晶回復したリン層が種結晶となり浅いボロン注入層が液相エピタキシャル成長して、固相から液相へと段階的に進められる。
また、2波長のレーザを組み合わせてイオン注入で形成したアモルファス層を溶融状態で活性化する技術が提案されている(非特許文献3参照)。
この技術は、赤外波長1060nm(パルス幅40ns)とグリーン波長530nm(パルス幅30ns)の2波長のレーザを同時に照射して、先ずグリーン波長のパルスレーザでAsイオン(30keV、E+15/cm)を注入したアモルファス層(48nm)の表面を浅く溶融し、次に赤外波長の吸収を高めて、赤外波長のパルスレーザでアモルファス層全体を溶融する溶融活性化方法である。グリーンパルスレーザは赤外パルスレーザの光吸収のトリガー的な役割を担っている。
国際公開第2007/015388号公報
Toshio Kudo and Naoki Wakabayashi、"PN Junction Formation for High-Performance Insulated Gate Bipolar Transistors(IGBT) Double-Pulsed Green Laser Annealing Technique"、Mater Res. Soc. Symp. Proc.、Material reserch Society、Vol912、2006 工藤利雄著、"ダブルパルス制御方式の固体レーザアニール技術"、ハイパワートランジスターの裏面活性化プロセスへの応用、レーザ加工学会誌、vol.14、No.1、2007年5月 D.H.Auston and J.A.Golovchenko、"Dual-wavelength laser annealing"、Appl.Phys.Lett.、34、(1979)558.
特許文献1に示されるように、波長の長いCWレーザを使うこと、且つ融点以下で活性化することで、長波長の光侵入長を有効に活用できる。しかしながら、例えば波長805nmのレーザ照射では室温(300°K)の光侵入長Lα=10.7μm、1000°KでLα=2.1μmとなり、融点近くでは更に光侵入長は短くなる。長波長レーザ照射でも急激な温度上昇が伴えば、目標とする深い領域まで活性化温度の確保が阻害される。
また、非特許文献1、2に示されるように、2つのパルスレーザに遅延時間を設けて擬似的にパルス幅を長くしても、基板表面温度の急峻な上昇に伴ってフォノンによる光吸収が急激に大きくなり、光侵入長が急減することが避けられない。例えば、波長515nmのグリーンレーザの照射の場合、光侵入長は室温(300°K)でLα=0.79μm、1000°KでLα=0.16μmとなり、室温から1000°Kの温度上昇で光侵入長は約1/5に急減する。特に表面が溶融する場合、光侵入長は8nmと極端に浅くなり、しかも表面が溶融することで反射率が36%から72%と急増するため、レーザ光は深いところへの侵入が阻止され、照射エネルギーの損失を招く。それゆえ、急激な温度上昇による短時間での融点への到達は、目標とする深い領域まで活性化温度を確保するのを阻害する。
さらに、非特許文献3に示されるように、照射レーザの波長を長くすることで光侵入長をのばすことができる。その一方で、例えば、波長805nmのレーザ照射では室温(300°K)の光侵入Lα=10.7μm、1000°KでLα=2.1μmとなり、グリーンレーザと同様に、基板表面温度の上昇に伴って光侵入長は約1/5に急減する。しかし、光侵入長の観点から長波長の方が短波長より深い領域を活性化する上では有利である。但し、溶融状態で活性化する場合、光侵入長が8nmと極端に浅くなることと反射率の急増によって照射エネルギーが損失することから、急激に温度上昇させ融点までの到達時間が短くなれば、やはり深い領域までの活性化温度の確保には不利である。
パワーデバイスIGBTの裏面のlow thermal budget(低温)活性化には、目標とする活性化領域をカバーする光侵入長と熱拡散長の確保が重要である。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、光侵入長と熱拡散長を十分に確保して、不純物の活性化処理などの熱処理を効果的に行うことができるレーザアニール装置提供することを目的とする。
すなわち、本発明のレーザアニール装置は、基板表面を熱処理するレーザアニール装置であって、パルス波形の最大強度の10%から90%にまで到達する立ち上がり時間が160ns以上で、前記立ち上がり時間とパルス波形の最大強度の90%から10%にまで到達する立ち下がり時間との比が1より大きいレーザパルスを発生するレーザ光源と、前記レーザパルスのビーム整形をして前記基板への前記レーザパルスの照射を可能にする光学系と、前記基板と前記レーザパルスとを相対的に移動させて前記レーザパルス照射の走査を可能にする移動装置とを備え、
前記レーザパルスは、前記レーザパルスが前記基板表面に照射された際に前記基板が非溶融で処理層が非溶解状態を維持し、または表層のみが溶融して前記表層を除く処理層が非溶解状態を維持するように照射されることを特徴とする。
立ち上がり時間の緩やかなレーザパルスは、従来の立ち上がりが急峻なレーザパルスに比べて立ち上がりが緩やかなものである。具体的には、例えば、パルス波形の最大強度の10%から90%にまで到達する立ち上がり時間が160ns以上であるパルス波形を有して前記基板に照射されるものが好適例として挙げられる。該立ち上がり時間は、180ns以上であるのがさらに望ましく、300ns以上であるのが一層望ましい。
立ち上がりが緩やかなレーザパルスは、基板に照射された際に、照射初期の基板の温度の急激な上昇を抑え、該温度上昇に伴う光侵入長の急減を緩和できる。
本発明としては、立ち上がりが緩やかなレーザパルスを出力するレーザ光源が特定のものに限定されるものではないが、例えば、LD励起Yb:YAGレーザの第二高調波を搭載するものを好適例として示すことができる。
本発明の他の形態のレーザアニール装置では、前記レーザパルスは、半値幅が600ns以上のパルス波形を有して前記基板に照射されるものであることを特徴とする
上記レーザパルスは、立ち上がり時間が緩やかだけでなく、パルス幅が長いのが望ましい。具体的には、半値幅が600ns以上のパルス波形を有して基板に照射されるものが好適であり、1000ns以上であるのが一層望ましい。
パルスレーザのパルス幅をコントロールする(長くする)ことで、光侵入長に見合った熱拡散長を確保できlow thermal budgetプロセス(低温活性化処理)などを有効に実現できる。
本発明の他の形態のレーザアニール装置では、前記レーザパルスは、前記基板に照射した際に前記基板の表層が非溶融または表層のみが溶融する状態で前記基板の熱処理が行われるエネルギ密度を有することを特徴とする
本発明では、レーザ照射に際し、溶融および非溶融プロセスを問わず何れでも深い活性化などに効果を発揮する。ただし、より効果的な光侵入長を得るため、非溶融または表層のみの溶融状態で熱処理が行われる。これら状態は、レーザパルスのエネルギ密度を減衰器などの調整手段によって調整することで得られる。該減衰器としては既知のものを用いることができる。
前記レーザパルスには、非常に長いパルスをカットしたものを利用することができる。この場合、前記立ち上がり時間が前記カット位置のパルス強度の90%から10%にまで到達する立ち下がり時間より長い非対称のパルス波形を有しているのが望ましい。すなわち、前記立ち上がり時間と前記立ち下がり時間との比は1より大きいことが望ましく、さらに2以上であるのが一層望ましい。
本発明で用いるレーザパルスは、立ち上がり時間が緩やかなパルス波形を有しているが、立ち下がり時間については限定されるものではない。ただし、パルスエネルギーの有効利用の観点からは、前記基板に照射されるレーザパルスは、前記立ち上がり時間が前記立ち下がり時間より長い非対称のパルス波形を有しているのが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、
1)レーザパルスの立ち上がり時間を緩やかにすることで、照射するパルスレーザの時間平均の光侵入長を長くでき、従来問題となっていた照射初期の温度上昇に伴う光侵入長の急減を緩和できる。そのためパルスレーザの波長に起因する光侵入長を確保でき、目標とする深い領域(例えば2μm以上)まで活性化が可能となる。
2)溶融および非溶融の活性化プロセスを問わず何れのプロセスでも深い活性化に効果を発揮する。
3)如何なる波長のパルスレーザによる深い活性化にも効果を発揮する。
4)パルスレーザのパルス幅をコントロールすることで、光侵入長に見合った熱拡散長を確保できlow thermal budgetプロセスを実現できる。
5)イオン注入量が増大して光吸収が大きくなり、深い活性化が難しくなる場合にも本発明の効果を発揮できる。
本発明の一実施形態のレーザアニール装置を示す概略図である。 同じく、照射対象の一例であるパワーデバイスIGBTの一例を示す断面概略図である。 本発明と従来例の立ち上がりが対照的なレーザパルス波形の模式図である。 同じく、LD励起固体レーザのパルス波形を示す図である。 同じく、立ち上がりが急峻パルスレーザ照射と立ち上がりが緩慢なパルスレーザ照射による基板温度の時間変化を示す図である。 同じく、パルス波形における立ち上がり時間が平均光侵入長に及ぼす効果を示す図である。 同じく、実施例におけるキャリア濃度分布プロファイルを示す図である。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
レーザアニール装置1は、図1に示すように、処理室2を備えており、該処理室2内にX−Y方向に移動可能な移動装置3を備え、その上部に基台4を備えている。基台4上には、被処理体配置台5が設けられている。レーザアニール処理時には、該被処理体配置台5上に半導体基板20が設置される。なお、移動装置3は、図示しないモータなどによって駆動される。
処理室2外部には、LD励起Yb:YAGレーザの第二高調波を搭載するレーザ光源10が設置されている。レーザ光源10から出力されるレーザ光15は、必要に応じて減衰器11でエネルギ密度が調整され、レンズ、反射ミラー、ホモジナイザーなどによって構成される光学系12でビーム整形や偏向がなされ、処理室2内の半導体基板20に照射される。
レーザ光源10から出力されるパルス状のレーザ光15は、立ち上がり時間の緩やかなパルス波形を有しており、好適には、立ち上がり時間(パルス波形の最大強度の10%から90%にまで到達する時間)が160ns以上、半値幅が600ns以上のパルス波形を有している。該レーザ光は、半導体基板20に照射された際に、不純物層が非溶融状態を維持でき、融点付近まで表層を高温にできるエネルギ密度または表層のみが溶融する状態が得られるエネルギ密度に調整されているのが望ましい。該レーザ光15は、上記したように、光学系12により例えばラインビーム形状に整形される。
表層のみが溶融する状態とは、活性化が必要な領域までが溶融するものではなく、レーザ光の照射時期後半に表層のみが部分的に溶融する状態であり、それまでに、レーザ光は基板に侵入して深さ領域まで効果的に加熱している。
図2(a)は、本発明で処理対象とすることができるFS(フィールドストップ)型IGBTの断面構造の一例を示すものである。半導体基板20の表面側にボロンが注入されたp型ベース領域23が形成され、さらに、p型ベース領域23の表面側の一部にリンが注入されたn型エミッタ領域24が形成されている。半導体基板20の裏面側の表層にボロンが注入されたp型のコレクタ層22が形成されている。コレクタ層22よりも深い領域に、コレクタ層22に接するようにリンが注入されたn型バッファ層21が形成され、その内側にn-型基板25が位置している。図中、26はコレクタ電極、27はエミッタ電極、29はゲート酸化膜、28はゲート電極である。
上記半導体不純物層へは、図2(b)に示すように、コレクタ電極26の形成前に、裏面側よりパルス状のレーザ光を繰り返し、重複して照射することで、2μm以上の厚さに亘って不純物層を活性化する。レーザ光の重複率(オーバーラップ率)は、必要に応じて適宜選定することができる。この際に、移動装置3による基台4の移動速度を制御することにより、半導体基板20に対し、レーザ光15を所定速度で走査することができる。
次に、本発明が如何にパルスレーザの波長に起源する光侵入長を効果的に活用して、目標とする深い領域の活性化を実現できるか、以下に説明する。
図3に従来と本発明のパルスレーザのパルス波形を模式的に表す。パルス波形の最大強度の10%から90%までの上昇時間を立ち上がり時間t、最大強度の90%から10%までの下降時間を立下り時間tと定義する。従来のパルスレーザは、立ち上がり時間tA2が短く、立下り時間tB2が長い非対称なパルス波形をしている。これに反して、本発明のパルスレーザは立ち上がり時間tA1が長く、好適には立下り時間tB1が短く、従来とは逆の非対称なパルス波形をしている。立ち上がり時間を比較すると本発明の方が従来例に比べて非常に長いのが特徴である。
図4は、従来例および本発明におけるLD励起固体レーザの第二高調波のパルス波形の具体例を示している。この例における本発明のパルスは、長いパルスをカットして得たものであり、カット位置に変曲点を有している。従来例として、Nd:YLFレーザとNd:YAGの第二高調波がある。前者のパルスレーザとしては、図4に示すように、パルス幅83nsに対して立ち上がり時間42nsと立ち下がり時間120nsを有するものが挙げられる。また、その他に、パルス幅171nsに対して立ち上がり時間48nsと立ち下がり時間365nsを有するものが例示される。後者のパルスレーザの例としては、パルス幅105nsに対して立ち上がり時間は45nsと立ち下がり時間200nsを有するものが挙げられる。
本発明例として、Yb:YAGレーザの第二高調波があり、図4に示すように、パルス幅1200nsに対して立ち上がり時間308nsと立ち下がり時間92nsを有するものが例示される。この他に、パルス幅301nsに対して立ち上がり時間182nsと立ち下がり時間85nsを有するものが例示され、さらに、パルス幅504nsに対して立ち上がり時間250nsと立ち下がり時間100nsを有するものが例示される。
従来のLD励起固体レーザの第二高調波パルスレーザの立ち上がり時間は50nsより小さく、他方、本発明例の立ち上がり時間は180nsより大きい。本発明例の立ち上がり時間は従来例に比べて最大で約1ケタ長い。
また、本発明では、パルス波形の非対称の程度として、パルス波形の対称度を立ち上がり時間を立下り時間で割った値を目安とすることができる。パルス波形の対称度が1より小さい場合は立ち上がりが急峻で立下りが緩慢であることを意味し、逆に1より大きい場合は立ち上がりが緩慢で立下りが急峻であることを意味する。従来例のNd:YLFやNd:YAGの第二高調波はパルス波形の対称度は1より非常に小さい。本発明のYb:YAGの第二高調波のパルス波形の対称度は2より大きい。
上記レーザパルスを用いて、基板であるシリコンウエハに照射したときのウエハ表面温度の上昇経過の模式図を図5に示す。パルスレーザにおけるパルス波形の立ち上がり時間の目安として室温から溶融するまでの到達時間を導入することができる。従来のレーザパルスでは、基板温度が急激に上昇して早期に融点に達しており、一方、本願発明のレーザパルスでは、基板温度の上昇が遅く、融点に達するまでの時間も長くなっている。本願発明の熱処理では、基板表面が融点に達することなく処理がなされるようにしてもよく、処理中途で溶融が生じるものであってもよい。溶融が生じる場合でも、これに到達するまでの時間を長くすることができ、レーザ光の侵入長を十分に確保することができる。
次に、図6は従来および本発明のパルスレーザのシリコンウエハに対する光侵入長の温度変化の模式図である。光侵入長Lαは線吸収係数αの逆数として定義される。シリコンウエハの線吸収係数は温度に依存して式(1)で表される。但し、式中でα、Tは、実験データをフィッティングしたときに決まるパラメータである。
Figure 0005252505
(1)式は温度領域300K≦T≦1000K実験結果と良く一致する。図中、Lα(TRM)は室温の光侵入長、Lα(T)は融点での光侵入長を示している。
光侵入長のパルス波形の立ち上がり時間の影響を調べるため、光侵入長の時間平均を導入する。図6に対照的な立ち上がり時間を有する従来及び本発明のパルスレーザを照射したときの侵入長の時間平均Lα1とLα2を示す。光侵入長の時間平均αは、Lα−tグラフを時間0〜t、0〜tまで積分して、図中に示すそれと同面積の長方形から算出できる。本発明のパルスレーザのように立ち上がり時間が長くなるとLα−tグラフから計算された面積が大きくなり、立ち上がり時間の短い従来例に比べて、平均光侵入長は深くなる。したがって、パルスレーザのパルス波形の立ち上がり時間を長く取った方が、深い活性化を効果的にできる。
(実施例1)
以下に、本発明の実施例を説明する。
レーザパルスとして、LD励起固体レーザ第二高調波を用い、レーザ光源には、Yb:YAG、Nd:YLFまたはNd:YAGを用いた。各レーザ光源から出力されるレーザパルスのパルス幅、立ち上がり時間、立ち下がり時間を表1に示すように調整し、照射した。Yb:YAGレーザの第二高調波は元々パルス幅の長い(2000ns以上)レーザパルスをEOスイッチで切り出して、立ち上がり時間が長く、立下り時間の短いパルスを形成した。Nd:YEFの第二高調波レーザに関しては発振信周波数を高めるとパルス幅を長くできる。
該基板における活性化深さは、SRPの深さプロファイル、すなわちキャリアの深さ濃度分布から決定する。例えばリンを注入したフィールドストップ層の底がどこまで深く分布しているかで見極める。その結果を表1に示した。
Figure 0005252505
表から明らかなように、本発明によって照射された基板では、1μmを越え、3μmに至る深さにまで効果的に活性化処理がなされていた。一方、本発明の条件を逸脱するものでは、活性化深さは1μmに達せず、レーザ光の侵入長が十分に得られなかった。
(実施例2)
厚さ150μmの基板に対するパルス幅1200ns、立ち上がり時間308ns、立下り時間92nsの実照射結果を図7に示す。パルス幅1200ns、エネルギー密度(4.7J/cm)が最も深く高い活性化ができている。ボロン層、リン層の活性化率は89%、62%であり、活性化深さは2.7umまで達している。活性化率はSIMSとSRPの深さプロファイルを積分してSRPのキャリア数をSIMSの不純物量で割って%表示したものである。1200nsより短い他のパルス幅の実施例はないのでパルス幅の限定には問題あるが、イノバベントの論文のデータ、325nsと600nsのパルス幅での溶融活性化を実施して活性化深さ〜1umを達成した。したがって、パルス幅は600nsより大きく取らざるを得ないため、パルス幅の範囲は好適には限定される。
1 レーザアニール装置
2 処理室
3 移動装置
4 基台
5 被処理体配置台
10 レーザ光源
11 減衰器
12 光学系
15 レーザ光
20 半導体基板

Claims (6)

  1. 基板表面を熱処理するレーザアニール装置であって、
    パルス波形の最大強度の10%から90%にまで到達する立ち上がり時間が160ns以上で、前記立ち上がり時間とパルス波形の最大強度の90%から10%にまで到達する立ち下がり時間との比が1より大きいレーザパルスを発生するレーザ光源と、前記レーザパルスのビーム整形をして前記基板への前記レーザパルスの照射を可能にする光学系と、前記基板と前記レーザパルスとを相対的に移動させて前記レーザパルス照射の走査を可能にする移動装置とを備え、
    前記レーザパルスは、前記レーザパルスが前記基板表面に照射された際に前記基板が非溶融で処理層が非溶解状態を維持し、または表層のみが溶融して前記表層を除く処理層が非溶解状態を維持するように照射されることを特徴とするレーザアニール装置。
  2. 前記レーザパルスは、半値幅が600ns以上のパルス波形を有して前記基板に照射されるものであることを特徴とする請求項1記載のレーザアニール装置。
  3. 前記レーザパルスは、前記基板に照射した際に前記基板の表層が非溶融または表層のみが溶融する状態で前記基板の熱処理が行われるエネルギ密度を有することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザアニール装置。
  4. 前記レーザパルスのエネルギ密度を調整可能な手段を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  5. 前記レーザパルスは、長いパルスをカットして形成されたものであり、前記立ち上がり時間が前記カット位置のパルス強度の90%から10%にまで到達する立ち下がり時間より長い非対称のパルス波形を有して前記基板に照射されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  6. 前記レーザ光源が、LD励起Yb:YAGレーザの第二高調波を搭載することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のレーザアニール装置。
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