JP2013233156A - 新生児Fcレセプター(FcRn)結合ポリペプチド改変体、ダイマーFc結合タンパク質、およびそれらに関連する方法 - Google Patents

新生児Fcレセプター(FcRn)結合ポリペプチド改変体、ダイマーFc結合タンパク質、およびそれらに関連する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗原独立性エフェクター機能の改変。
【解決手段】本発明の組成物および方法は、部分的には、Fc含有ポリペプチドによって媒介されるエフェクター機能が、(例えば、静電最適化によって)ポリペプチド内の1以上のアミノ酸残基を修飾することによって改変することができるという本発明者らの発見に基づく。本発明の方法に従って生じさせることができるポリペプチドは高度に可変的であって、それらは、Fc領域またはその生物学的に活性な部分を含有する抗体および融合蛋白質を含むことができる。
【選択図】なし

Description

(関連出願)
本出願は、「ANTIBODIES AND VARIANTS THEREOF THAT CONTAIN ALTERED CONSTANT DMAINS」という表題の2003年11月12日に出願された米国仮特許出願番号60/519,744の利益を主張する。本出願はまた、「FC RECEPTOR−BINDING POLYPEPTIDES,PH−SPECIFIC VARIANTS DERIVED BY ELECTROSTATIC OPTIMIZATION,AND USES THEREOF」という表題の2003年11月12日に出願された米国特許出願番号60/519,743の利益を主張する。本出願はまた、「MUTANTS DEFINED BY
ELECTROSTATIC MODELING WITHIN THE HUMAN
FC DOMAIN THAT CAN MODULATE HUMAN ANTIBODY HALF−LIFE」という表題の2003年11月12日に出願された米国特許出願番号60/519,733の利益を主張する。本出願はまた、「Fcγ RECEPTOR−BINDING POLYPEPTIDE VARIANTS AND METHODS RELATED THERETO」という表題の本出願と同日に出願されたPCT出願XXXXXXXXに関する。これらの出願の各々の全体の内容は、本明細書において参考として援用される。
(発明の背景)
多くの生物学的プロセスは、1つの蛋白質ともう1つの蛋白質との特異的相互作用によって媒介される。例えば、酵素はそれらの基質に特異的に結合する蛋白質であって、(神経伝達物質およびホルモンのような)リガンドがそれらの同族レセプターに結合すると、実質的な情報が細胞から細胞へ伝達される。最も魅力的な相互作用の中には、感染または病気を引き起こしかねない外来性物質に対して身体を防御するために(免疫グロブリンとしても知られた)抗体を生じさせる免疫応答の意味で起こるものがある。抗体は抗原、およびファゴサイトのような「エフェクター」細胞上のレセプターと特異的に相互作用する区別されるドメインを含む。抗原の結合が(それが抗原がその内因性標的と相互作用するのを妨げることをできる点で)有用であるが、最も効果的な免疫応答は抗原を破壊する。かくして、最も効果的な抗体は、高親和性抗原−結合を媒介するドメイン、および効果的なエフェクター機能を媒介するドメインを持つものである。
天然に存在する抗体は通常はヘテロテトラマーであり;それは、一緒にジスルフィド結合によって連結された、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖を含む。各重鎖は可変ドメイン(V)、続いて多数の定常ドメイン(CH、CHおよびCH)を有し、他方、各軽鎖は可変ドメイン(V)、続いての単一の定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一の定常ドメインと整列し、VはVと整列する。可変ドメインはそのように命名される。なぜならば、それら内のあるアミノ酸は抗体間で広く異なるからである。相補性決定領域(CDR)とも呼ばれるこれらの可変領域は、その特別な抗原に対する各特定の抗体の結合特異性を担う。各可変ドメインは、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる高度に保存された領域によって分けられた3つのCDRを含む。各鎖におけるCDRはFR領域によって一緒に近接して保持され、他の鎖からのCDRでは、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。
定常ドメインは抗原に対する抗体の結合において直接的には関与しないが、細胞レセプ
ターまたは補体分子へのそれらの結合に基づいて種々のエフェクター機能を媒介する。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体または免疫グロブリンは異なるクラス(A、D、E、GおよびM)に帰属させることができる。最も普通に使用される治療的抗体は「G」クラスのものである(すなわち、それらはIgGである)。これらのクラスはさらに分けることができる。例えば、IgG抗体はアイソタイプIgG1とIgG2、IgG3およびIgG4にさらに分けられる。ヒトIgG Fc領域の結晶構造は決定されている(非特許文献1;Fc領域の説明については、特許文献1の図1参照)。
Fc領域は、2つのカテゴリーに分けられているエフェクター機能を媒介する。最初のものは、抗原結合とは独立して起こる機能であり;これらの機能は循環における持続性、およびトランスサイトーシスによって細胞バリアーを横切って移動される能力を付与する(非特許文献2参照)。第二のものは、抗体が抗原に結合した後に作用する機能であり;これらの機能は補体カスケードまたはFcレセプター(FcR)−担持細胞の参画を含む。FcRは、免疫複合体のファゴサイトーシスによる抗体−被覆病原体の除去、および赤血球、および態様する抗体で被覆された種々の他の細胞標的(例えば、腫瘍細胞)、の溶解を共に媒介する造血細胞上の特殊化された細胞表面レセプターである。溶解は抗体依存性細胞媒介細胞傷害性を介して起こる(ADCC;非特許文献3参照)。FcRは、免疫グロブリンアイソタイプについてのそれらの特異性によって提示される。例えば、IgG抗体に対するFcレセプターはFcγRと言われる。
もう1つのFcレセプター、FcRnはIgGの血清中半減期を調節する。Fc(またはFc含有ポリペプチド)の半減期の増強または、減少は、各々、FcRn(新生Fcレセプター)についてのFc領域親和性の増加または減少に反映されている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。FcRn結合親和性および血清中半減期の相関は、抗体をリソソーム分解からサルベージするその提唱された生物学的役割と合致する。加えて、FcRnは母親から胎児へIgGを移す。
それらの見掛け上多様な役割は、細胞内のおよびそれを横切っての結合したIgGを輸送するFcRnの能力によって媒介される。抗体は通常は内皮細胞によって循環から内部化され、分解のために細胞の酸性エンドソームおよびリソソームに標的化されると考えられている。FcRnはエンドソームの酸性pH(<6.5)において抗体のFc領域に結合することができ、内皮細胞膜と融合し、血流の中性pH(<7.4)において抗体を放出し、それにより、抗体を破壊からサルベージする。血清中抗体レベルから減少すると、増大した量のIgGがサルベージされるように、より多くのFcRn分子がIgG結合のために利用される。逆に、もし血清中IgGレベルが上昇すれば、FcRnは飽和するようになり、それにより、内部化され分解される抗体の割合は増加する(非特許文献7)。前記モデルと合致して、改変されたポリペプチドは、もし新生Fcレセプターに対するその結合活性が増加すれば、より長い半減期を有すると予測される。逆に、改変されたポリペプチドは、もし新生Fcレセプターに対するその結合親和性が減少すれば、より短い半減期を有すると予測される。
今日、モノクローナル抗体(mAbs)を用いて、ヒト患者において病気が治療されている(非特許文献8;非特許文献9;および非特許文献10)。現在の抗体−ベースの療法は完全に成功しているとは言えず;ある場合には、治療剤の限定された循環時間および/または低い生物学的利用性の結果、抗体−ベースの療法に対して完全な応答を呈する、または他の場合には、延長された循環半減期による毒性を引き起こす患者の相対的低いパーセンテージがもたらされ、或いは非−標的組織の暴露は療法としての抗体としての使用を排除し得る。
従って、抗原−独立性エフェクター機能を抗体の意図した使用のために設えた抗体(お
よび融合蛋白質のような他のFc含有ポリペプチド)に対する要望が存在する。同様に、抗原−独立性エフェクター機能を改変する抗体配列の変化の予測を可能とし(かくして、面倒な試行錯誤プロセスに対応する必要性を軽減する)方法に対する要望が存在する。ある場合には、抗体の半減期を増加させるのが望ましいであろう。例えば、血液中の増大した半減期を持つ蛋白質治療剤は、薬物の周期的な投与を同時に減少させ、あるいは別法として薬物の用量を減少させる利点を有する。そのような抗体は病気部位、例えば、腫瘍への増大した暴露の利点も有する。逆に、減少した半減期を持つ蛋白質治療剤は、未改変薬物のより高いかつ許容性の低い用量で観察される効果を維持しつつ、より低い毒性を有すると予測されるであろう。そのような治療剤およびそれの製法は大いに利益があるであろう。
米国特許第6,242,195号明細書
Deisenhofer、「Biochemistry」1981年、第20巻:2361−2370 WardおよびGhetie、「Theraputic Immunology」1995年、第2巻:77−94 Van de WinkelおよびAnderson、「J.Leuk.Biol.」1991年、第49巻:511−24 Gheticら、「Nature Biotechnol.」1997年、第15巻:637−640 Kimら、「J.Immunol.」1994年、第24巻:542−548 Della’Acqaら、「J.Immunol.」2002年、第169巻:5171−5180 GhetieおよびWard、「Annu.Rev.Immunol.」2000年、第18巻:739−66 KingおよびAdair、「Curr.Opin.Drug.Discovery Dev.」1999年、第2巻:110−117 VaswaniおよびHamilton、「Ann.Allergy Asthma Immunol.」1998年、第81巻:105−119 HollingerおよびHoogenboom,「Nature Biotechnol.」、1998年、第16巻:1015−1016
(発明の要旨)
本発明は、例えば、抗原−独立性エフェクター機能(例えば、循環半減期)の改変を付与する、例えば、Fc領域またはそのFcRn結合フラグメント内に特異的なアミノ酸置換を有する改変されたポリペプチド(例えば、IgG定常ドメイン内にアミノ酸置換を有するポリペプチド)をその要旨とする。改変されたポリペプチドを生産し、それを蛋白質−ベースの治療剤として利用する方法も提供される。本発明は、さらに、FcRnの新規な形態およびそれらの使用方法を提供する。
本発明は、少なくとも部分的には、1以上のアミノ酸変異によって改変されると、抗体の抗原−独立性エフェクター機能、特に、抗体の循環半減期を改変する、ヒトFc領域(特に、IgG抗体に由来するFc領域)の定常ドメイン(Fc)内の特定のアミノ酸残基
の同定に基づく。従って、本発明は、1以上のアミノ酸残基において変異されて、ポリペプチドの抗原−独立性エフェクター機能を増加または減少させた、Fc領域の全部または一部を含有するポリペプチド、例えば、抗体および融合蛋白質をその要旨とする。
本発明は、さらに、望ましいアミノ酸変異を同定するための技術、およびそのような変異を含むポリペプチドを生産する方法を提供する。該方法は、Fcレセプター、例えば、ヒト新生Fcレセプターへの結合を改変する(例えば、増強させる、または低下させる)アミノ酸配列におけるアミノ酸改変を予測するのに用いることができる分子モデリングを含む。一般に、該方法は、FcRnに結合した第一のポリペプチドを含有する「出発」または「標的」ポリペプチド、または複合体(例えば、結晶構造または相同性モデル)で開始し、第一のポリペプチドの修飾の結果「第二の」または「改変された」ポリペプチドがもたらされ、これは、改変されたポリペプチドが特定の治療的または診断的適用で良好になされるのを可能とするように第一のポリペプチドとは異なる。例えば、第二のポリペプチドは、1以上の抗原−独立性エフェクター機能(例えば、改変された半減期)をより効果的に実行することができる。該モデリングはイン・シリコで行うことができる。
1つの態様において、本発明は、Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドに関し、ここに、該ポリペプチドは出発ポリペプチドと比較して少なくとも1つの変異を含み、およびここに、少なくとも1つの変異は:
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置248における置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置249における置換;
極性アミノ酸またはリシンでのEUアミノ酸位置251における置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置252における置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置255における置換;
リシンでのEUアミノ酸位置256における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置257における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置258における置換;
EUアミノ酸位置277における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置279における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置280における置換;
荷電アミノ酸またはグルタミンでのEUアミノ酸位置281における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置282における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置284における置換;
正に荷電したアミノ酸、極性アミノ酸、またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置285における置換;
グルタミン酸、スレオニンまたはメチオニンでのEUアミノ酸位置286における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置287における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置288における置換;
EUアミノ酸位置289における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置304における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置305における置換;
EUアミノ酸位置306における置換;
極性または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置307における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置308における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置309における置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置310における置換;
正に荷電されたアミノ酸でのEUアミノ酸位置311における置換;
正に荷電されたアミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置312における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置313における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置315における置換;
正に荷電されたアミノ酸でのEUアミノ酸316における置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸317における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置340における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置343における置換;
ロイシンでのEUアミノ酸位置344における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置345における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置376における置換;
セリンでのEUアミノ酸位置378における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置383における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置385における置換;
負に荷電されたアミノ酸でのEUアミノ酸位置389における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置424における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置426における置換;
極性アミノ酸または荷電したアミノ酸でのEUアミノ位置430における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置431における置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸432における置換;
リシン、アルギニンまたはロイシンでのEUアミノ酸位置434における置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置436における置換;および
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置438における置換;
からなる群より選択される。
もう1つの態様において、本発明は、Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドに関し、ここに、該ポリペプチドは出発ポリペプチドと比較して少なくとも1つの変異を含み、ここに、該少なくとも変異は:
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置248におけるリシンの置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置249におけるアスパラギン酸の置換;
極性アミノ酸またはリシンでのEUアミノ酸位置251におけるロイシンの置換;
EUアミノ酸位置252におけるメチオニンの置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置255におけるアルギニンの置換;
リシンでのEUアミノ酸位置におけるスレオニンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置257におけるプロリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置258におけるグルタミン酸の置換;
EUアミノ酸位置277におけるトリプトファンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置279におけるバリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置280におけるアスパラギン酸の置換;
荷電アミノ酸またはグルタミンでのEUアミノ酸位置281におけるグリシンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置282におけるバリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置284におけるバリンの置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンまたはアラニンの置換;
正に荷電したアミノ酸、極性アミノ酸またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンまたはアラニンの置換;
グルタミン酸、スレオニンまたはメチオニンでのEUアミノ酸位置286におけるアスパラギンまたはリシンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置287におけるアラニンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置288におけるリシンの置換;
EUアミノ酸位置289におけるスレオニンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置304におけるセリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置305におけるバリンの置換;
EUアミノ酸位置306におけるロイシンまたはバリンの置換;
極性または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置307におけるスレオニンまたはバリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置308におけるバリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置309におけるロイシンの置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置310におけるヒスチジンの置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置311におけるグルタミンの置換;
正に荷電したアミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置312におけるアスパラギン酸またはロイシンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置313におけるアスパラギンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置315におけるアスパラギンの置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置316におけるアスパラギンの置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置317におけるリシンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置340におけるリシンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置343におけるプロリンの置換;
ロイシンでのEUアミノ酸位置344におけるアルギニンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置345におけるグルタミン酸の置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置376におけるアスパラギン酸の置換;
セリンでのEUアミノ酸位置378におけるアラニンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置383におけるセリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置385におけるグリシンの置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置389におけるアスパラギンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置424におけるセリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置426におけるセリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置430におけるグルタミン酸の置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置431におけるロイシンの置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置432におけるヒスチジンの置換;
リシン、アルギニン、またはロイシンでのEUアミノ酸位置434におけるアスパラギンの置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置436におけるチロシンの置換;および
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置438におけるグルタミンの置換;
からなる群より選択される。
もう1つの態様において、本発明は、請求項1または2の改変されたポリペプチドに関し、ここに、EUアミノ酸位置277、289、306、344または378の少なくとも1つにおけるアミノ酸は荷電アミノ酸、極性アミノ酸、または非極性アミノ酸で置換されている。
1つの実施形態において、荷電アミノ酸は負に荷電されたアミノ酸である。
1つの実施形態において、負に荷電されたアミノ酸はアスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される。
1つの実施形態において、荷電アミノ酸は正に荷電されたアミノ酸である。
1つの実施形態において、正に荷電されたアミノ酸はアルギニン、ヒスチジンおよびリシンからなる群より選択される。
1つの実施形態において、正に荷電されたアミノ酸はリシンである。
1つの実施形態において、極性アミノ酸はメチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、およびシステインからなる群より選択される。
1つの実施形態において、非極性アミノ酸はアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシンおよびプロリンからなる群より選択される。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは抗体またはそのフラグメントである。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは融合蛋白質である。
1つの実施形態において、Fc領域またはそのFcRn結合部分はヒト抗体に由来する。
1つの実施形態において、ポリペプチドは完全なFc領域を含む。
1つの実施形態において、出発ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を含む。
1つの実施形態において、Fc領域またはそのFc結合部分はIgGアイソタイプである。
1つの実施形態において、IgGアイソタイプはIgG1サブクラスのものである。
1つの実施形態において、ポリペプチドは、VまたはVの相補性決定領域(CDR)における1以上の非―ヒトアミノ酸残基を含む。
1つの実施形態において、ポリペプチドは、(a)抗原および(b)FcRに結合する。
1つの実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原である。
1つの実施形態において、ポリペプチドは、(a)リガンドおよび(b)FcRに結合する。
1つの実施形態において、FcRはFcRnである。
1つの実施形態において、ポリペプチドは、変異を含まない出発ポリペプチドと比較して異なる結合親和性でもってFcRに結合する。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドの結合親和性は出発ポリペプチドよりも約1.5倍〜約100倍大きい。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドの結合親和性は出発ポリペプチドよりも約1.5倍〜約100倍低い。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは、第一のpHにおいてFcRに対する1つの結合親和性を呈し、第二のpHにおいてFcRに対する異なる結合親和性を呈する。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドの結合親和性は第二のpHよりも第一のpHにおいて約1.5倍〜約100倍大きい。
1つの実施形態において、改変された抗体の結合親和性は第二のpHよりも第一のpHにおいて約1.5倍〜約100倍低い。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは、患者に投与されると、変異を含まない出発ポリペプチドとは異なる循環半減期を呈する。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドの半減期は、変異を含まない出発ポリペプチドよりも約1時間〜約1週間長い。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドの半減期は、変異を含まない出発ポリペプチドよりも約1時間〜約1週間短い。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドはプロテインAまたはGに結合する。
1つの実施形態において、請求項1または2に改変されたポリペプチド。
1つの実施形態において、本発明は、請求項1または2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に関する。
1つの実施形態において、核酸は発現ベクター中にある。
1つの実施形態において、発現ベクターは宿主細胞中にある。
1つの実施形態において、本発明は障害に罹った患者を治療する方法に関し、該方法は:
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置284における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置285における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置286における置換;
グルタミン酸またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置290における置換;および
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置304における置換;
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを患者に投与することを含み、
ここに、改変されたポリペプチドは変異を含まない出発ポリペプチドよりも長い循環半減期を呈する。
1つの実施形態において、本発明は、障害に罹った患者を治療する方法に関し、該方法は:
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置284におけるバリンの置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置286におけるアスパラギンの置換;
グルタミン酸またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288におけるリシンの置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置290におけるリシンの置換;および
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置304におけるセリンの置換;
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを患者に投与することを含み、
ここに、改変されたポリペプチドは、変異を含まない出発ポリペプチドよりも長い循環半減期を呈する。
1つの実施形態において、本発明は、障害に罹った患者を治療する方法に関し、該方法は:
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置248における置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置249における置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置250における置換;
アルギニン、リシンまたはアスパラギンでのEUアミノ酸位置251における置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置252における置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置254における置換;
アルギニン、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置256における置換;
ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置255における置換;
リシンでのEUアミノ酸位置260における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置257における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置277における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置279における置換;
グルタミンでのEUアミノ酸位置281における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置282における置換;
アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置287における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置284における置換;
アスパラギン酸またはフェニルアラニンでのEUアミノ酸位置285における置換;
グルタミン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置286における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置290における置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置304における置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置305における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置306における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置307における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置309における置換;
アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEUアミノ酸位置310における置換;
アルギニン、アスパラギンまたはリシンでのEUアミノ酸位置312における置換;
アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEUアミノ酸位置313における置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置315における置換;
グルタミンまたはリシンでのEUアミノ酸位置343における置換;
アルギニンまたはグルタミンでのEUアミノ酸位置345における置換;
アルギニン、リシンまたはロイシンでのEUアミノ酸位置374における置換;
アスパラギンでのEUアミノ酸位置376における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置426における置換;
アルギニン、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置428における置換;
リシンでのEUアミノ酸位置430における置換;
プロリンでのEUアミノ酸位置431における置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置432における置換;
ロイシンまたはリシンでのEUアミノ酸位置434における置換;および
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置438における置換;
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを患者に投与することを含み、
ここに、改変されたポリペプチドは、変異を含まない出発ポリペプチドよりも短い循環半減期を呈する。
もう1つの態様において、本発明は、障害に罹った患者を治療する方法に関し、該方法は:
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置248におけるリシンの置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置249におけるアスパラギン酸の置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置250におけるスレオニンの置換;
アルギニン、リシンまたはアスパラギンでのEUアミノ酸位置251におけるロイシンの置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置252におけるメチオニンの置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置254におけるメチオニンの置換;
アルギニン、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置256におけるスレオニンの置換;
ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置255におけるアルギニンの置換;
リシンでのEUアミノ酸位置260におけるスレオニンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置257におけるプロリンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミンまたはリシンでのEUアミノ酸位置277におけるトリプトファンの置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置279におけるバリンの置換;
グルタミンでのEUアミノ酸位置281におけるグリシンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置282におけるバリンの置換;
アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリンまたはスレオリンでのEUアミノ酸位置287におけるアラニンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置284におけるバリンの置換;
アスパラギン酸またはフェニルアラニンでのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンの置換;
グルタミン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置286におけるアスパラギンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288におけるリシンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置290におけるリシンの置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置304におけるセリンの置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置305におけるバリンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置306におけるロイシンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置307におけるスレオニンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置309におけるロイシンの置換;
アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEUアミノ酸位置310におけるヒスチジンの置換;
アルギニン、アスパラギン、またはリシンでのEUアミノ酸位置312におけるアスパラギン酸の置換;
アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEUアミノ酸位置313におけるトリプトファンの置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置315におけるアスパラギンの置換;
グルタミンまたはリシンでのEUアミノ酸位置343におけるプロリンの置換;
アルギニンまたはグルタミンでのEUアミノ酸位置345におけるグルタミン酸の置換;
アルギニン、リシン、またはロイシンでのEUアミノ酸位置374におけるプロリンの置換;
アスパラギンでのEUアミノ酸位置376におけるアスパラギン酸の置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置426におけるセリンの置換;
アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEUアミノ酸位置428におけるメチオニンの置換;
リシンでのEUアミノ酸位置430におけるグルタミン酸の置換;
プロリンでのEUアミノ酸位置431におけるアラニンの置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置432におけるロイシンの置換;
ロイシンまたはリシンでのEUアミノ酸位置434におけるアスパラギンの置換;および
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置438におけるグルタミンの置換;
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを患者に投与することを含み、
ここに、改変されたポリペプチドは変異を含まない出発ポリペプチドよりも短い循環半減期を呈する。
1つの実施形態において、本発明は請求項1または2の改変されたポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は:
(a)改変されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子で細胞をトランスフェクトし;次いで、
(b)細胞または細胞上清から改変されたポリペプチドを精製する;
ことを含む。
1つの実施形態において、本発明は請求項11または13の抗体を生産する方法に関し、該方法は:
(a)抗体の軽鎖の可変(V)および定常領域(C)をコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸分子を供し;
(b)抗体の重鎖の可変(V)および定常領域(CH、CH、およびCH)をコードするヌクレオチド配列を含む第二の核酸分子を供し;
(c)コードされた軽鎖および重鎖を含む改変された抗体の発現を可能とする条件下で、第一および第二の核酸分子で細胞をトランスフェクトし;次いで、
(d)細胞または細胞上清から抗体を精製する;
ことを含む。
1つの実施形態において、細胞は293細胞である。
1つの実施形態において、本発明は第一および第二のポリペプチド鎖を含むダイマーFc結合蛋白質に関し、ここに、該第一および第二のポリペプチド鎖は、各々、Fc結合ドメインに作動可能に連結された少なくとも1つのFc領域ドメインを含む。
1つの実施形態において、該FcドメインはFcRnへの結合を低下させ、または排除するように変異される。
1つの実施形態において、該第一および第二のポリペプチド鎖は共有結合される。
1つの実施形態において、Fc結合ドメインはFcRnの細胞外ドメインを含む。
1つの実施形態において、Fc結合ドメインはβ−2−マイクログロブリンに結合する。
1つの実施形態において、Fc結合ドメインはヒトFcRnに由来する。
1つの実施形態において、結合蛋白質は配列番号10に示されたアミノ酸配列を含む。
1つの実施形態において、本発明は、FcRについてのFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドの結合親和性を測定する方法に関し、該方法は、Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドを、請求項44のダイマーFc結合蛋白質と接触させ、次いで、相互作用の親和性を測定することを含む。
1つの実施形態において、本発明はFcRnに対する改変された結合親和性を有するポリペプチドについてのFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドのライブラリーをスクリーニングする方法に関し、該方法は:
(a)該ライブラリーのメンバーを、請求項44のダイマーFc結合蛋白質と接触させ;
(b)ダイマーFc結合蛋白質に対するポリペプチドの結合親和性を測定し:次いで、
(c)FcRnに対する改変された結合親和性を有するポリペプチドを選択する;
ことを含む。
1つの実施形態において、本発明はポリペプチドの混合物からFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドを精製する方法に関し、該方法は、該混合物を、請求項44のダイマーFc結合蛋白質を含有するアフィニティーカラムに適用し、該ポリペプチドが精製されるようにFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドを溶出させることを含む。
1つの実施形態において、混合物は第一のpHのアフィニティーカラムからも適用され、該ポリペプチドは第二のpHのアフィニティーカラムからも溶出される。
1つの実施形態において、該ポリペプチドは精製プロセスの間に変性されない。
1つの実施形態において、本発明は出発ポリペプチドと比較してFcRnに対する改変された結合親和性をもつポリペプチドを同定する方法に関し、該方法は:
(a)出発ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布の空間的表示、および溶媒中のFcRnに結合した場合の出発ポリペプチドの結合自由エネルギーの関連変化を測定し;
(b)修飾して、FcRnに結合した場合に出発ポリペプチドの結合自由エネルギーを改変すべき出発ポリペプチドの少なくとも1つの候補アミノ酸残基の位置を同定し;次いで、
(c)出発ポリペプチドへの変異の取り込みの結果、FcRnに対する改変された結合親和性を持つ改変されたポリペプチドがもたらされるように、該アミノ酸位置における選択されたアミノ酸を同定する;
ことを含む。
1つの実施形態において、該方法は、さらに、出発ポリペプチドに選択されたアミノ酸を取り込むことを含む。
1つの実施形態において、該方法は、さらに、FcRnに結合した場合の出発ポリペプチドと比較して、FcRnに結合した場合の改変されたFc含有ポリペプチドの結合の自由エネルギーの変化を計算することを含む。
1つの実施形態において、計算工程は、まず、出発ポリペプチドにおける変異をイン・シリコでモデリングし、次いで、結合の自由エネルギーの変化を計算することを含む。
1つの実施形態において、計算工程は、ポワソン−ボルツマン方程式に基づく方法を用いて静電結合エネルギーの測定で、ファンデルワールス結合エネルギーの測定、および溶媒接触可能表面面積(solvent accessible surface area)に基づく方法を用いる結合エネルギーの測定からなる群より選択される少なくとも1つの測定を用いる。
1つの実施形態において、変異はアミノ酸置換である。
1つの実施形態において、アミノ酸置換の結果、候補アミノ酸とは異なる電荷を持つ選択されたアミノ酸が取り込まれる。
1つの実施形態において、該変異は、溶媒中で結合した場合の改変されたFc含有ポリペプチドおよびFcRnの間の結合の自由エネルギーを増加させ、それにより、FcRnに対する改変されたFc含有ポリペプチドの結合親和性を減少させる。
1つの実施形態において、該変異は、溶媒中で結合した場合の改変されたFc含有ポリペプチドおよびFcRnの間の結合の自由エネルギーを減少させ、それにより、FcRnに対する改変されたFc含有ポリペプチドの結合親和性を増加させる。
1つの態様において、本発明は2つの異なるpHレベルにおけるFcRnに対する改変された結合親和性を持つ改変されたFc含有ポリペプチドを同定する方法に関し、該方法は:
(a)出発ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布の空間的表示、および第一のpHレベルにおける溶媒中でFcRnに結合した場合に出発ポリペプチドの結合自由エネルギーの関連する変化を測定し;
(b)出発ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布の空間的表示、および第二のpHレ
ベルにおける溶媒中でFcRnに結合した場合の出発ポリペプチドの結合自由エネルギーの関連する変化を測定し;
(c)電荷分布の比較に基づき、第一および第二のpHレベルにおいて異なる電荷分布を呈する残基、FcRnに結合した場合の出発ポリペプチドの結合自由エネルギーを改変するよう修飾すべき出発ポリペプチドの少なくとも1つの候補アミノ酸残基位置を同定し;次いで、
(d)出発ポリペプチドにおける選択されたアミノ酸の取り込みが、FcRnに対する改変された結合親和性を持つ改変されたFc含有ポリペプチドをもたらすように、該アミノ酸位置における選択されたアミノ酸を選択することを含む。
1つの実施形態において、第一のpHは約7.4である。
1つの実施形態において、ポリペプチドの親和性は第二のpHよりも第一pHの約1.5倍〜約100倍大きい。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドであって、ここに、該ポリペプチドは出発ポリペプチドと比較して少なくとも1つの変異を含み、そして、該少なくとも1つの変異は:
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置248における置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置249における置換;
極性アミノ酸またはリシンでのEUアミノ酸位置251における置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置252における置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置255における置換;
リシンでのEUアミノ酸位置256における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置257における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置258における置換;
EUアミノ酸位置277における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置279における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置280における置換;
荷電アミノ酸またはグルタミンでのEUアミノ酸位置281における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置282における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置284における置換;
正に荷電したアミノ酸、極性アミノ酸またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置285における置換;
グルタミン酸、スレオニン、またはメチオニンでのEUアミノ酸位置286における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置287における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置288における置換;
EUアミノ酸位置289における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置304における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置305における置換;
EUアミノ酸位置306における置換;
極性または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置307における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置308における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置309における置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置310における置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置311における置換;
正に荷電したアミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置312における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置313における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置315における置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置316における置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置317における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置340における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置343における置換;
ロイシンでのEUアミノ酸位置344における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置345における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置376における置換;
セリンでのEUアミノ酸位置378における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置383における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置385における置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置389における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置424における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置426における置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置430における置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置431における置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置432における置換;
リシン、アルギニン、またはロイシンでのEUアミノ酸位置434における置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置436における置換;および
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置438における置換;
からなる群より選択される、改変されたポリペプチド。
(項目2)
Fc領域の少なくとも1つのFcRu結合部分を含む改変されたポリペプチドであって、ここに、該ポリペプチドは出発ポリペプチドと比較して少なくとも1つの変異を含み、そして、該少なくとも1つの変異が:
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置248におけるリシンの置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置249におけるアスパラギン酸の置換;
極性アミノ酸またはリシンでのEUアミノ酸位置251におけるロイシンの置換;
EUアミノ酸位置252におけるメチオニンの置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置255におけるアルギニンの置換;
リシンでのEUアミノ酸位置256におけるスレオニンの置換;
荷電されたアミノ酸でのEUアミノ酸位置257におけるプロリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置258におけるグルタミン酸の置換;
EUアミノ酸位置277におけるトリプトファンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置279におけるバリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置280におけるアスパラギン酸の置換;
荷電アミノ酸またはグルタミンでのEUアミノ酸位置281におけるグリシンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置282におけるバリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置284におけるバリンの置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンまたはアラニンの置換;
正に荷電したアミノ酸、極性アミノ酸、またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンまたはアラニンの置換;
グルタミン酸、スレオニンまたはメチオニンでのEUアミノ酸位置286におけるアスパラギンまたはリシンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置287におけるアラニンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置288におけるリシンの置換;
EUアミノ酸位置289におけるスレオニンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置304におけるセリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置305におけるバリンの置換;
EUアミノ酸位置306におけるロイシンまたはバリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置307におけるスレオニンまたはバリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置308におけるバリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置309におけるロイシンの置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置310におけるヒスチジンの置換;
正に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置311におけるグルタミンの置換;
正に荷電したアミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置312におけるアスパラギン酸またはロイシンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置313におけるアスパラギンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置315におけるアスパラギンの置換;
正に荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置316におけるアスパラギンの置換;
荷電アミノ酸または極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置317におけるリシンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置340におけるリシンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置343におけるプロリンの置換;
ロイシンでのEUアミノ酸位置344におけるアルギニンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置345におけるグルタミン酸の置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置376におけるアスパラギン酸の置換;
セリンでのEUアミノ酸位置378におけるアラニンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置383におけるセリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置385におけるグリシンの置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置389におけるアスパラギンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置424におけるセリンの置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置426におけるセリンの置換;
極性アミノ酸または荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置430におけるグルタミン酸の置換;
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置431におけるロイシンの置換;
極性アミノ酸でのEUアミノ酸位置432におけるヒスチジンの置換;
リシン、アルギニン、またはロイシンでのEUアミノ酸位置434におけるアスパラギンの置換;
負に荷電したアミノ酸でのEUアミノ酸位置436におけるチロシンの置換;および
荷電アミノ酸でのEUアミノ酸位置438におけるグルタミンの置換
からなる群より選択される、改変されたポリペプチド。
(項目3)
EUアミノ酸位置277、EUアミノ酸位置289、EUアミノ酸位置306、EUアミノ酸位置344またはEUアミノ酸位置378の少なくとも1つにおけるアミノ酸が、荷電アミノ酸、極性アミノ酸、または非極性アミノ酸で置換された、項目1または2に記載の改変されたポリペプチド。
(項目4)
上記荷電アミノ酸が、負に荷電したアミノ酸である、項目3に記載の改変されたポリペプチド。
(項目5)
上記負に荷電したアミノ酸が、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択さ
れる、項目4に記載の改変されたポリペプチド。
(項目6)
上記荷電アミノ酸が、正に荷電したアミノ酸である、項目3に記載の改変されたポリペプチド。
(項目7)
上記正に荷電したアミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、およびリシンからなる群より選択される、項目6に記載の改変されたポリペプチド。
(項目8)
上記正に荷電したアミノ酸が、リシンである、項目7に記載の改変されたポリペプチド。(項目9)
上記極性アミノ酸が、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミンおよびシステインからなる群より選択される、項目3に記載の改変されたポリペプチド。
(項目10)
上記非極性アミノ酸が、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、およびプロリンからなる群より選択される、項目3に記載の改変されたポリペプチド。
(項目11)
上記改変されたポリペプチドが、抗体またはそのフラグメントである、項目1または2に記載の改変されたポリペプチド。
(項目12)
上記改変されたポリペプチドが、融合蛋白質である、項目1または2に記載の改変されたポリペプチド。
(項目13)
上記Fc領域またはそのFcRn結合部分が、ヒト抗体に由来する、項目1または2に記載の改変されたポリペプチド。
(項目14)
完全なFc領域を含む、項目13に記載の改変されたポリペプチド。
(項目15)
上記出発ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、項目14に記載の改変されたポリペプチド。
(項目16)
上記Fc領域またはそのFc結合部分がIgGアイソタイプのものである、項目11〜13に記載の改変されたポリペプチド。
(項目17)
上記IgGアイソタイプがIgG1サブクラスのものである、項目16に記載の改変されたポリペプチド。
(項目18)
上記ポリペプチドが、V またはV の相補性決定領域(CDR)における1以上の非ヒトアミノ酸残基を含む、項目11〜13に記載の改変されたポリペプチド。
(項目19)
上記ポリペプチドが、(a)抗原および(b)FcRに結合する、項目11または13に記載の改変されたポリペプチド。
(項目20)
上記抗原が、腫瘍関連抗原である、項目19に記載の改変されたポリペプチド。
(項目21)
上記ポリペプチドが(a)リガンドおよび(b)FcRに結合する、項目12に記載の改変されたポリペプチド。
(項目22)
上記FcRがFcRnである、項目19または21に記載の改変されたポリペプチド。
(項目23)
上記ポリペプチドが、上記変異を含まない出発ポリペプチドと比較して異なる結合親和性にてFcRに結合する、項目19または21に記載の改変されたポリペプチド。
(項目24)
上記改変されたポリペプチドの結合親和性が、上記出発ポリペプチドよりも約1.5倍〜約100倍大きい、項目23に記載の改変されたポリペプチド。
(項目25)
上記改変されたポリペプチドの結合親和性が、上記出発ポリペプチドよりも約1.5倍〜約100倍低い、項目34に記載の改変されたポリペプチド。
(項目26)
上記改変されたポリペプチドが、第一のpHにおいてFcRに対して1つの結合親和性を示し、そして第二のpHにおいてFcRに対する異なる結合親和性を示す、項目19または21に記載の改変されたポリペプチド。
(項目27)
上記改変されたポリペプチドの結合親和性が、上記第二のpHよりも上記第一のpHにおいて約1.5倍〜約100倍大きい、項目26に記載の改変されたポリペプチド。
(項目28)
上記改変された抗体の結合親和性が、上記第二のpHよりも上記第一のpHにおいて約1.5倍〜約100倍低い、項目27に記載の改変されたポリペプチド。
(項目29)
上記改変されたポリペプチドは、患者に投与された場合、上記変異を含まない出発ポリペプチドとは異なる循環半減期を示す、項目11〜13に記載の改変されたポリペプチド。(項目30)
上記改変されたポリペプチドの半減期が、上記変異を含まない出発ポリペプチドよりも約1時間〜約1週間長い、項目29に記載の改変されたポリペプチド。
(項目31)
上記改変されたポリペプチドの半減期が、上記変異を含まない出発ポリペプチドよりも約1時間〜約1週間短い、項目30に記載の改変されたポリペプチド。
(項目32)
上記改変されたポリペプチドが、プロテインAまたはプロテインGに結合する、項目1または2に記載の改変されたポリペプチド。
(項目33)
項目1または2に記載の改変されたポリペプチドを含む、薬学的組成物。
(項目34)
項目1または2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。(項目35)
発現ベクター中に存在する、項目34に記載の核酸分子。
(項目36)
項目35に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
(項目37)
障害に罹う患者を処置するための方法であって、該方法は、
少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを該患者に投与する工程
を包含し、該少なくとも1つの変異は、
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置284における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置285における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置286における置換;
グルタミン酸またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置290における置換;および
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置304における置換
からなる群より選択され、ここで該改変されたポリペプチドは、該変異を含まない出発ポ
リペプチドよりも長い循環半減期を示す、方法。
(項目38)
障害に罹う患者を処置するための方法であって、該方法は、
少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを該患者に投与する工程
を包含し、該少なくとも1つの変異は、
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置284におけるバリンの置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置286におけるアスパラギンの置換;
グルタミン酸またはアスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288におけるリシンの置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置290におけるリシンの置換;および
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置304におけるセリンの置換
からなる群より選択され、ここで該改変されたポリペプチドは、該変異を含まない出発ポリペプチドよりも長い循環半減期を示す、方法。
(項目39)
障害に罹う患者を処置するための方法であって、該方法は、
少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを該患者に投与する工程
を包含し、該少なくとも1つの変異は、
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置248における置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置249における置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置250における置換;
アルギニン、リシン、またはアスパラギンでのEUアミノ酸位置251における置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置252における置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置254における置換;
アルギニン、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置256における置換;
ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置255における置換;
リシンでのEUアミノ酸位置260における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置257における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置277における置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置279における置換;
グルタミンでのEUアミノ酸位置281における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置282における置換;
アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、またはスレオニンでのEUアミノ酸位置287における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置284における置換;
アスパラギン酸またはフェニルアラニンでのEUアミノ酸位置285における置換;
グルタミン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置286における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288における置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置290における置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置304における置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置305における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置306における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置307におけ
る置換;
アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置309における置換;
アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEUアミノ酸位置310における置換;
アルギニン、アスパラギン、またはリシンでのEUアミノ酸位置312における置換;
アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEUアミノ酸位置313における置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置315における置換;
グルタミンまたはリシンでのEUアミノ酸位置343における置換;
アルギニンまたはグルタミンでのEUアミノ酸位置345における置換;
アルギニン、リシン、またはロイシンでのEUアミノ酸位置374における置換;
アスパラギンでのEUアミノ酸位置376における置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置426における置換;
アルギニン、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置428における置換;
リシンでのEUアミノ酸位置430における置換;
プロリンでのEUアミノ酸位置431における置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置432における置換;
ロイシンまたはリシンでのEUアミノ酸位置434における置換;および
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置438における置換;
からなる群より選択され、ここで該改変されたポリペプチドは、該変異を含まない出発ポリペプチドよりも短い循環半減期を示す、方法。
(項目40)
障害に罹う患者を処置するための方法であって、該方法は、
少なくとも1つの変異を含むFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む改変されたポリペプチドを該患者に投与する工程
を包含し、該少なくとも1つの変異は、
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置248におけるリシンの置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置249におけるアスパラギン酸の置換;
アルギニンまたはリシンでのEUアミノ酸位置250におけるスレオニンの置換;
アルギニン、リシン、またはアスパラギンでのEUアミノ酸位置251におけるロイシンの置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置252におけるメチオニンの置換;
セリンまたはスレオニンでのEUアミノ酸位置254におけるメチオニンの置換;
アルギニン、グルタミン酸またはリシンでのEUアミノ酸位置256におけるスレオニンの置換;
ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置アミノ酸位置255におけるアルギニンの置換;
リシンでのEUアミノ酸位置260におけるスレオニンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置257におけるプロリンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、またはリシンでのEUアミノ酸位置277におけるトリプトファンの置換;
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置279におけるバリンの置換;
グルタミンでのEUアミノ酸位置281におけるグリシンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置282におけるバリンの置換;
アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、またはスレオニンでのEUアミノ酸位置287におけるアラニンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置284におけるバリンの置換;
アスパラギン酸またはフェニルアラニンでのEUアミノ酸位置285におけるヒスチジンの置換;
グルタミン酸またはメチオニンでのEUアミノ酸位置286におけるアスパラギンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置288におけるリシンの置換;
アスパラギン酸でのEUアミノ酸位置290におけるリシンの置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置304におけるセリンの置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置305におけるバリンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEUアミノ酸位置306におけるロイシンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置307におけるスレオニンの置換;
アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置309におけるロイシンの置換;
アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEUアミノ酸位置310におけるヒスチジンの置換;
アルギニン、アスパラギン、またはリシンでのEUアミノ酸位置312におけるアスパラギン酸の置換;
アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEUアミノ酸位置313におけるトリプトファンの置換;
アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置315におけるアスパラギンの置換;
グルタミンまたはリシンでのEUアミノ酸位置343におけるプロリンの置換;
アルギニンまたはグルタミンでのEUアミノ酸位置345におけるグルタミン酸の置換;
アルギニン、リシン、またはロイシンでのEUアミノ酸位置374におけるプロリンの置換;
アスパラギンでのEUアミノ酸位置376におけるアスパラギン酸の置換;
アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEUアミノ酸位置426におけるセリンの置換;
アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEUアミノ酸位置428におけるメチオニンの置換;
リシンでのEUアミノ酸位置430におけるグルタミン酸の置換;
プロリンでのEUアミノ酸位置431におけるアラニンの置換;
アルギニンでのEUアミノ酸位置432におけるロイシンの置換;
ロイシンまたはリシンでのEUアミノ酸位置434におけるアスパラギンの置換;および
グルタミン酸でのEUアミノ酸位置438におけるグルタミンの置換
からなる群より選択され、ここで該改変されたポリペプチドは、該変異を含まない出発ポリペプチドよりも短い循環半減期を示す、方法。
(項目41)
項目1または2に記載の改変されたポリペプチドを生産する方法であって、該方法は:
(a)該改変されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を用いて細胞をトランスフェクトする工程;および
(b)該細胞または細胞上清から該改変されたポリペプチドを精製する工程
を包含する、方法。
(項目42)
項目11または13に記載の抗体を生産する方法であって、該方法は:
(a)該抗体の軽鎖の可変領域(V )および定常領域(C )をコードするヌクレオチド配列を含む、第一の核酸分子を提供する工程;
(b)該抗体の重鎖の可変領域(V )および定常領域(CH 、CH およびCH )をコードするヌクレオチド配列を含む、第二の核酸分子を提供する工程;
(c)該コードされた軽鎖および重鎖を含む改変された抗体の発現を可能とする条件下で、第一の核酸分子および第二の核酸分子を用いて細胞をトランスフェクトする工程;ならびに
(d)該細胞または細胞上清から該抗体を精製する工程
を包含する、方法。
(項目43)
上記細胞が293細胞である、項目42に記載の方法。
(項目44)
第一のポリペプチド鎖および第二のポリペプチド鎖を含むダイマーFc結合蛋白質であって、ここで該第一のポリペプチド鎖および第二のポリペプチド鎖は、各々、Fc結合ドメインに作動可能に連結された少なくとも1つのFc領域ドメインを含む、ダイマーFc結合蛋白質。
(項目45)
上記Fcドメインが、FcRnへの結合を低下または排除するように変異された、項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質。
(項目46)
上記第一のポリペプチド鎖および第二のポリペプチド鎖が、共有結合により連結された、項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質。
(項目47)
上記Fc結合ドメインが、FcRnの細胞外ドメインを含む、項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質。
(項目48)
上記Fc結合ドメインが、β−2−ミクログロブリンに結合される、項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質。
(項目49)
上記Fc結合ドメインが、ヒトFcRnに由来する、項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質。
(項目50)
上記結合蛋白質が、配列番号10に示されたアミノ酸配列を含む、項目59に記載のダイマーFc結合蛋白質。
(項目51)
FcRに対するFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドの結合親和性を測定するための方法であって、該方法は、
Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドを、項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質と接触させる工程、および、
相互作用の親和性を測定する工程
を包含する、方法。
(項目52)
ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするための方法であって、該ポリペプチドは、FcRnに対する改変された結合親和性を有するこれらのポリペプチドに対するFc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含み、該方法は、
(a)該ライブラリーのメンバーと項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質とを接触させる工程;
(b)該ダイマーFc結合蛋白質に対するポリペプチドの結合親和性を測定する工程;および
(c)FcRnに対する改変された結合親和性を有するこれらのポリペプチドを選択す
る工程
を包含する、方法。
(項目53)
ポリペプチドの混合物から、Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドを精製するための方法であって、該方法は、
項目44に記載のダイマーFc結合蛋白質を含むアフィニティーカラムに該混合物を適用する工程、
該ポリペプチドが精製されるように、Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含むポリペプチドを溶出させる工程
を包含する、方法。
(項目54)
上記混合物が、第一のpHにおいてアフィニティーカラムに適用され、そして上記ポリペプチドが、第二のpHにおいてアフィニティーカラムから溶出される、項目53に記載の方法。
(項目55)
上記ポリペプチドが、精製プロセスの間に変性されない、項目54に記載の方法。
(項目56)
出発ポリペプチドと比較してFcRnに対する改変された結合親和性を有するポリペプチドを同定するための方法であって、該方法は、
(a)出発ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布と、溶媒中にてFcRnに結合された場合の該出発ポリペプチドの結合自由エネルギーの関連する変化との空間的表示を決定する工程;
(b)FcRnに結合された場合の出発ポリペプチドの結合自由エネルギーを改変するように修飾された出発ポリペプチドの少なくとも1つの候補アミノ酸残基位置を同定する工程;ならびに
(c)該出発ポリペプチドにおける変異の取り込みが、FcRnに対する改変された結合親和性を有する改変されたポリペプチドを生じるように、選択されたアミノ酸を該アミノ酸の位置において同定する工程
を包含する、方法。
(項目57)
上記選択されたアミノ酸を上記出発ポリペプチドに取り込む工程をさらに包含する、項目56に記載の方法。
(項目58)
上記FcRnに結合された場合の上記出発ポリペプチドと比較して、該FcRnに結合された場合の改変されたFc含有ポリペプチドの結合の自由エネルギーの変化を計算する工程をさらに包含する、項目56に記載の方法。
(項目59)
上記計算する工程が、まず、上記出発ポリペプチドにおいて変異をインシリコでモデリングする工程、次いで、結合の自由エネルギーの変化を計算する工程を包含する、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記計算する工程が、ポアソン−ボルツマン方程式に基づく方法を用いた静電結合エネルギーの決定、ファンデルワールス結合エネルギーの決定、および溶媒接触可能表面面積に基づく方法を用いた結合エネルギーの決定からなる群より選択される、少なくとも1つの決定を用いる、項目58に記載の方法。
(項目61)
上記変異がアミノ酸置換である、項目56に記載の方法。
(項目62)
上記アミノ酸置換が、上記候補アミノ酸とは異なる電荷を有する選択されたアミノ酸の取り込みを生じる、項目61に記載の方法。
(項目63)
上記変異が、溶媒中で結合された場合の改変されたFc含有ポリペプチドとFcRnとの間の結合の自由エネルギーを増加させ、それにより、FcRnに対する該改変されたFc含有ポリペプチドの結合親和性を減少させる、項目56に記載の方法。
(項目64)
上記変異が、溶媒中で結合された場合の改変されたFc含有ポリペプチドとFcRnとの間の結合の自由エネルギーを減少させ、それにより、FcRnに対する該改変されたFc含有ポリペプチドの結合親和性を増加させる、項目56に記載の方法。
(項目65)
2つの異なるpHレベルにおいてFcRnに対する改変された結合親和性を有する改変されたFc含有ポリペプチドを同定するための方法であって、該方法は:
(a)第一のpHレベルにおいて、出発ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布と、溶媒中でFcRnに結合された場合の該出発ポリペプチドの結合自由エネルギーの関連する変化との空間的表示を決定する工程;
(b)第二のpHレベルにおいて、該出発ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布と、溶媒中でFcRnに結合された場合の該出発ポリペプチドの結合自由エネルギーの関連する変化との空間的表示を決定する工程;
(c)電荷分布の比較に基づいて、該第一のpHレベルおよび第二のpHレベルにおいて異なる電荷分布を示す残基を同定する工程であって、該出発ポリペプチドの少なくとも1つの候補アミノ酸残基の位置は、FcRnに結合された場合の該出発ポリペプチドの結合自由エネルギーを改変するように修飾される、工程;ならびに
(d)該出発ポリペプチドにおける選択されたアミノ酸取り込みが、FcRnに対する改変された結合親和性を有する改変されたFc含有ポリペプチドを生じるように、選択されたアミノ酸を該アミノ酸位置において選択する工程
を包含する、方法。
(項目66)
上記第一のpHが約7.4である、項目65に記載の方法。
(項目67)
ポリペプチドの親和性が、第二のpHにおけるよりも第一のpHにおいて約1.5倍〜約100倍大きい、項目65に記載の方法。
(項目68)
第一のpHにおいてFcRnに対する親和性を示し、第二のpHにおいてFcRnに対する異なる親和性を示す改変されたポリペプチドであって、該ポリペプチドは、項目56に記載の方法によって予測されるアミノ酸配列を含む、改変されたポリペプチド。
(項目69)
項目68に記載のポリペプチドを含む、薬学的組成物。
(項目70)
項目68に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
本発明の1以上の実施形態の詳細は添付の図面および以下の記載に記載される。本発明の他の特徴、目的および利点は記載および図面から、および特許請求の範囲から明らかであろう。我々の明細書で引用されたいずれの特許、特許出願、および他の文献の内容もここに引用してその全体を援用する。
図1Aは、本発明の方法における出発ポリペプチドとして利用する成熟huCBE11重鎖のDNA配列を示す。該DNA配列はpEAG1787発現ベクターにおいてコードされる。図1Bは成熟huCBE11重鎖の予測されるアミノ酸配列を示す。 図2は、本発明の方法において出発ポリペプチドとして用いられるhuCBE11重鎖のFc領域のアミノ酸配列を示す。アミノ酸の位置はKabatにおけるようなEUナンバリングによって示される。 図3Aは、huCBE11軽鎖のDNA配列を示す。DNA配列はpEAG1754発現ベクターにコードされた。図3BはhuCBE11軽鎖の予測されるアミノ酸配列を示す。 図4Aは、ヒトβミクログロブリンのDNA配列を示す。該DNA配列はpEAG1761発現ベクターにコードされる。図3Bは、ヒトβミクログロブリンの予測されるアミノ酸配列を示す。 図5Aは、ヒトFcRn/Fc/融合蛋白質をコードするcDNAのヌクレオチド配列を示す。DNA配列はpEAG1761発現ベクターにコードされた。図3Bは、FcRn/Fc/融合蛋白質の予測されたアミノ酸配列を示す。 図6は、本発明の改変されたポリペプチドのFcRn結合親和性の評価のためにFRET−ベースのアッセイを用いられた結果を示す。結合親和性における測定可能な増加を持つ変異(H285E、N286D、K290E、およびS304D)は下向き矢印で示される。結合親和性における顕著な減少を持つ変異(N434L)は左向き矢印によって示される。 図7は、本発明の改変されたポリペプチドのFcRn結合親和性の評価のためにAlphaScreenアッセイを用いて得られた結果を示す。結合親和性の測定可能な増加を持つ変異(V284E、H285E、N286D、およびK290E)は下向き矢印で示される。結合親和性における顕著な減少を持つ変異(Q438E)は左向き矢印によって示される。 図8は、本発明の方法で用いるhuCBE12重鎖のFc領域の構造的モデルを示す。FcRnに対する増強された親和性を持つ特別な「アップ変異体」(V284E、H285E、N286E、K290E)、およびFcRnに対する低下された親和性を持つ特別な「ダウン変異体」(V282E、M252T、N434L、Q438L)の位置はFcRnの他のドメインに関して示される。 パネルAは、FcRnドメインに関して図9に示されるアスパラギン酸280からスレオニン299に延びるFcRn結合ループの位置を示す。パネルBはFcRnドメインに関する15オングストロームFcRn接触ゾーンにおける残基の位置を示す(例えば、243F;244P;245P;246K;247P;248K;249D;250T;251L;252M;253I;254S;255R;256T;257P;258E;259V;260T;261C;275F;276N;277W;278Y;279V;280D;282V;283E;284V;285H;286N;287A;288K;289T;290K;291P;292R;293E;302V;303V;304S;305V;306L;307T;308V;309L;310H;311Q;312D;313W;314L;315N;316G;317K;318E;319Y;336I;337S;338K;339A;340K;341G;342Q;343P;344R;345E;346P;347Q;348V;367C;369V;372F;373Y;374P;375S;376D;377I;378A;379V;380E;381W;382E;383S;384N;385G;386Q;387P;388E;389N;391Y;393T;408S;424S;425C;426S;427V;428M;429H;430E;431A;432L;433H;434N;435H;436Y;437T;438Q;439K;および440S)。 図10は、3、6および9μg/mlの種々の濃度におけるELISAプレート上にコートされたhFcRnFcへのビオチニル化hIgGの結合を示す。ビオチニル化hIgGの濃度は示したように変化し、HPR−ストレプトアビジンは1:20,000の濃度で用い、標準的なプロトコルで発色させた。反応を停止させた後、吸光度を450nmにおいて読んだ。9μg/ml(□)および6μg/ml(○)におけるhFcRnFcは結合曲線で変化を示さず、ここに、3μg/ml(△)としては、hFcRnFcは被覆されたhIgGに対する減少した結合を示す。陰性対照(◇)は、hFcRnFcの不存在下においてストレプトアビジンHRPのバックグラウンド結合を示す。
(詳細な説明)
本発明は、少なくとも部分的には、新生Fcレセプター(FcRn)への改変された結合を呈するFc領域の少なくとも部分(例えば、IgG1のような免疫グロブリンの定常ドメイン)を含む(抗体および融合蛋白質のような)ポリペプチドの同定に基づく。そのような改変されたポリペプチドは、野生型ポリペプチドと比較した場合、FcRnへの増大したまたは減少した結合いずれかを呈し、したがって、各々、血清中で増大したまたは減少した半減期を有する。FcRnに対する改良された親和性を持つFc領域変種は、より長い血清中半減期を有すると予測され、そのような分子は、例えば、慢性の病気または障害を治療するための、投与されたポリペプチドの長い半減期が望まれる哺乳動物を治療する方法において有用な適用を有する。対照的に、減少したFcRn結合親和性を持つFc領域変種はより短い半減期を有すると期待され、そのような分子は、例えば、短縮された循環時間が有利であろう哺乳動物へ投与するのに、例えば、インビボ診断イメージング、または長時間循環に存在する場合に毒性副作用を出発ポリペプチドが有する状況でも有用であろう。減少したFcRn結合親和性を持つFc領域変種は胎盤をあまり通過しないようであり、かくして、妊娠した婦人における病気または障害の治療でも有用である。加えて、低下したFcRn結合親和性が望ましいであろう他の適用は、脳、腎臓および/または肝臓の局所化が望まれる適用を含む。1つの例示的実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは血管系から腎臓糸球体の上皮を横切っての低下した輸送を呈する。もう1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは脳から血管空間への血液脳関門(BBB)を横切っての低下した輸送を呈する。
また、本発明は、そのような改変されたポリペプチドの製法、およびそのようなポリペプチドの使用方法にも関する。また、本発明は新規な形態のFcRnおよびその使用方法にも関する。
本発明の種々の態様を以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載する。
(I.定義)
用語「蛋白質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は本明細書中においては相互交換的に用いる。蛋白質は天然アミノ酸または非−天然アミノ酸の1以上を含むことができる。
「出発ポリペプチド」「第一のポリペプチド」は、本明細書中に開示したFc領域修飾の1以上を欠き、かつ改変されたまたは修飾されたポリペプチドと比較してエフェクター機能が異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。出発ポリペプチドはFc領域、またはそのFcRn結合部分を含む天然に存在するまたは人工−由来ポリペプチドである。出発ポリペプチドは天然に存在するFc領域配列、または(付加、欠失および/または置換のような)予め存在するアミノ酸配列修飾を持つFc領域を含むことができる。本発明の出発ポリペプチドは、FcRnへの結合親和性を変調する(増加または減少させるのにいずれか)ように本明細書中に開示されたように修飾される。
本明細書中で用いるように、用語「改変されたポリペプチド」または「第二のポリペプチド」とは、Fc領域に少なくとも1つの変異を含む天然に生じないFc結合部分を含むポリペプチドをいう。我々が改変されたポリペプチドが「改変されたエフェクター機能」を呈するという場合、我々は、改変されたポリペプチドがそのエフェクター機能の1以上(恐らくは、必ずしもそうではないが全て)を出発ポリペプチドよりも大きなまたは低い程度容易とすることを意味する。
本明細書中で用いるように、用語「Fc領域」は、抗体重鎖の定常領域に由来するアミノ酸配列を含む。Fc領域は、EU指標に従って約位置216における、パパイン切断部位のヒンジ領域のN末端で開始し、該ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含めた、抗体の重鎖定常領域の部分である。
出発ポリペプチドは、FcRnへの結合を媒介するFc領域の少なくとも部分を含むことができる。例えば、1つの実施形態において、出発ポリペプチドは抗体またはFc融合蛋白質である。本明細書中で用いるように、用語「融合蛋白質」とは、天然ではそれが自然に連結しない第二のアミノ酸配列に連結された第一のアミノ酸配列を含むキメラポリペプチドをいう。例えば、融合蛋白質は、Fc領域の少なくとも部分(例えば、FcRnへの結合を付与するFc領域の部分)をコードするアミノ酸配列、および非−免疫グロブリンポリペプチド、例えば、レセプターのリガンド結合ドメインまたはリガンドのレセプター結合ドメインをコードするアミノ酸配列を含むことができる。アミノ酸配列は、一緒に融合蛋白質に運ばれる別々の蛋白質に存在できるか、あるいはそれらは通常は同一蛋白質に存在できるが、融合ポリペプチド中の新しい再編成に入れられる。融合蛋白質は、例えば、化学合成によって、またはペプチド領域が所望の関係でコードされたポリヌクレオチドを作成し、それを翻訳することによって作成することができる。
本明細書中で用いるように、用語「連結された」、「融合された」または「融合」は相互交換的に用いられる。これらの用語は、化学的コンジュゲーションまたは組換え手段を含めた全ての手段によって、2以上のエレメントまたは成分を一緒に連結することをいう。「イン・フレーム融合」「作動可能に連結した」とは、元のORFの正しいリーディングフレームを維持する様式で、連続したより長いORFを形成するための2以上のオープンリーディングフレーム(ORF)の連結をいう。かくして、得られた組換え融合蛋白質は、(そのセグメントは通常は天然ではそのように連結しない)元のORFによってコードされたポリペプチドに対応する2以上のセグメントを含有する単一蛋白質である。リーディングフレームは、かくして、融合されたセグメント全体にわたって連続的にされるが、セグメントは、例えば、イン−フレームリンカー配列によって物理的にまたは空間的に分離することができる。
1つの実施形態において、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン抗原結合部位、またはリガンド結合を担うレセプター分子の部分、またはレセプター結合を担うリガンド分子の部分を含む。
本明細書中で用いるように、用語「エフェクター機能」は、免疫系の蛋白質および/または細胞に結合し、種々の生物学的効果を媒介するFc領域またはその部分の基本的能力をいう。エフェクター機能は抗原−依存的または抗原−独立的であり得る。
本明細書中で用いるように、用語「抗原−依存性エフェクター機能」とは、抗体の対応する抗原への結合に続いて通常は誘導されるエフェクター機能をいう。典型的な抗原−依存性エフェクター機能は、補体蛋白質(例えば、C1q)に結合する能力を含む。例えば、Fc領域への補体のC1成分の結合は古典的補体系を活性化でき、オプソニン化および細胞病原体の溶解に導き、これは補体−依存性細胞障害性(CDCC)というプロセスである。補体の活性化は、炎症応答を刺激し、自己免疫過敏に関与し得る。
他の抗原−依存性エフェクター機能は、それらのFc領域を介する、細胞上のある種のFcレセプター(「FcRs」)への抗体の結合によって媒介される。IgG(ガンマレセプター、またはIgγRs)、IgE(イプシロンレセプター、IgεRs)、IgA(アルファレセプター、またはIgαRs)およびIgM(ミューレセプター、またはIgμRs)を含めた、抗体の異なるクラスに対して特異的である多数のFcレセプターで
ある。細胞表面のFcレセプターへの抗体の結合は、免疫複合体のエンドサイトーシス、(抗体−依存性ファゴサイトーシス、またはADCPともいわれる)抗体−被覆粒子または微生物の飲み込みおよび破壊、免疫複合体のクリアランス、(抗体−依存性細胞−媒介細胞傷害性、またはADCCと呼ばれる)キラー細胞による抗体−被覆標的細胞の溶解、炎症メディエーターの放出、免疫系細胞活性化の調節、胎盤移動および免疫グロブリン生産の制度を含めた多数の重要かつ多様な生物学的応答をトリガーする。
ある種のFcレセプター、Fcガンマレセプター(FcγRs)は、免疫応答をなくし、または増強する臨界的役割を演じる。FcγRsは白血球上に発現され、3つの区別されるクラス:FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIから構成される。IgG免疫グロブリンアイソタイプのFc領域(Gessner et al.,Ann.Hematol.,(1998)、76:231−48)。構造的には、FcγRsは、2つまたは3ついずれかのIg−様ドメインから構成される細胞外部分を持つIgG−結合α−鎖を有する免疫グロブリンスーパーファミリー全てのメンバーである。ヒトFcγRI(CD64)はヒト単球で発現され、モノマーIgG1、IgG3およびIgG4への高い親和性結合を呈する(Ka=10〜10−1)。ヒトFcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)はIgG1およびIgG3に対して低い親和性を有し(Ka<10−1)、これらのIgGアイソタイプの複合体化したまたはポリマー形態のみに結合することができる。さらに、FcγRIIおよびFcγRIIIクラスは「A」「B」形態を共に含む。FcγRIIa(CD32a)およびFcγRIIIa(CD16a)はマクロファージ、NK細胞およびいくつかのT細胞の表面で膜貫通ドメインによって結合し、他方、FcγRIIb(CD32b)およびFcγRIIIb(CD16b)はホスファチジルイノシトールグルカン(GPI)アンカーを介して顆粒球(例えば、好中球)の細胞表面に選択的に結合する。ヒトFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIの各ネズミホモログはFcγRIIa、FcγRIIb/1、およびFcγR1oである。
本明細書中で用いるように用語「抗原−独立性エフェクター機能」とは、それがその対応する抗原に結合したか否かとは無関係に、抗体によって誘導され得るエフェクター機能をいう。典型的な抗原−依存性エフェクター機能は細胞輸送、循環半減期および免疫グロブリンのクリアランス速度を含む。サルベージレセプターとしても公知の構造的にユニークなFcレセプター、「新生Fcレセプター」または「FcRn」は、これらの機能を調節するにおいて臨界的な役割を演じる、好ましくは、本発明のポリペプチドが結合するFcRnはヒトFcRnである。
免疫グロブリンスーパーファミリーに属するFcγRsとは異なり、ヒトFcRnsは構造的には主要組織不適合性複合体(MHC)クラスIのポリペプチドに構造的に似ている(Ghetie and Ward,Immunology Today(1997),18(12):592−8)。FcRnは、可溶性βまたは軽鎖(β2マイクログロブリン)と複合体化された膜貫通αまたは重鎖よりなるヘテロダイマーとして典型的には発現される。クラスI MHC分子と22〜29%配列同一性を有するFcRnはMHCペプチド結合溝の非−機能的バージョンを有する(Simister and Mostov,Nature,(1989),337:184−7)。MHCのように、FcRnのα鎖は3つの細胞外ドメイン(α1,α2,α3)よりなり、短い細胞質テイルは蛋白質を細胞表面に繋留する。α1およびα2ドメインは抗体のFc領域中のFcR結合部位と相互作用する(Raghavan et al.,Immunity,(1994),1:303−15)。
FcRnは、哺乳動物の母性胎盤または卵黄嚢で発現され、それは母親から胎児へのIgGの移動に関与する。FcRnはげっ歯類新生児の小腸でも発現され、そこでは、それ
は摂取された初乳または乳から母性IgGの刷子縁上皮を横切る移動に関与する。FcRnは多数の種を横切って多数の他の組織、並びに種々の内皮細胞系においても発現される。それはヒト成人血管内皮、筋肉血管系、および肝臓洞様毛細血管でも発現される。FcRnは、それに結合し、それを血清にリサイクルすることによって、循環半減期またはIgGの血清中レベルを維持するにおいて更なる役割を演じると考えられている。FcRnのIgG分子への結合は、厳格にpHに依存的であり、最適結合は7.0未満のpHにおけるものである。
本明細書中で用いるように、用語「半減期」とは、特定のFc含有ポリペプチドのインビボでの生物学的半減期をいう。半減期は、被験体に投与された量の半分が動物における循環および/または他の組織から除去されるのに必要な時間によって表すことができる。与えられたFc含有ポリペプチドのクリアランス曲線が時間の関数として作成されている場合、該曲線は通常は迅速なα−相およびより長いβ−相での二相である。α−相は典型的には血管内および血管外空間の間の投与されたFcポリペプチドの並行を表し、部分的には、ポリペプチドのサイズによって決定される。β−相は、典型的には、血管内空間におけるFcポリペプチドの異化を表す。従って、好ましい実施形態においては、本明細書中で用いる用語半減期とはβ−相におけるFcポリペプチドの半減期をいう。ヒト抗体の典型的なβ相半減期は21日である。
本明細書中で用いるように、用語「変異」は、改変されたポリペプチドを得るために出発ポリペプチドでなされたアミノ酸の置換、付加または欠失を含む。
「アミノ酸置換」とは、もう1つの異なる「置換」アミノ酸残基での所定のアミノ酸配列(出発ポリペプチドのアミノ酸配列)における少なくとも1つの存在するアミノ酸残基の置換をいう。置換残基または複数残基は「天然に存在するアミノ酸残基」(すなわち、遺伝子暗号によってコードされる)であってよく、アラニン(A);アルギニン(R);アスパラギン(N);アスパラギン酸(B);システイン(C);グルタミン(Q);グルタミン酸(E);グリシン(G);ヒスチジン(H);イソロイシン(I);ロイシン(L);リシン(K);メチオニン(M);フェニルアラニン(F);プロリン(P);セリン(S);スレオニン(T);トリプトファン(W);チロシン(Y);およびバリン(V)からなる群より選択することができる。1以上の天然に生じないアミノ酸残基での置換も本明細書中におけるアミノ酸置換の定義に含まれる。「天然に生じないアミノ酸残基」とは、ポリペプチド鎖中の隣接アミノ酸残基に共有結合することができる、天然に存在する前記リストのアミノ酸残基以外の残基をいう。天然に生じないアミノ酸残基の例はノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、およびEllman et al.Meth.Enzym.202:301−336(1991)に記載されたもののような他のアミノ酸残基アナログを含む。そのような天然に生じないアミノ酸残基を生じさせるためには、例えば、Noren et al.Science 244:182(1989)およびEllmal et al.,前掲の手法を用いることができる。簡単に述べれば、これらの手法は、天然に生じないアミノ酸残基でサプレッサーtRNAを化学的に活性化し、続いて、該RNAをインビトロ転写および翻訳することを含む。
本明細書中で用いるように、用語「非−極性」は未荷電側鎖を有するアミノ酸を含む(例えば、A、L、I、V、G、P)。これらのアミノ酸は通常は疎水性相互作用に関与する。
本明細書中で用いるように、用語「極性」は、正味のゼロの電荷を有するが、それらの側鎖の異なる部分においてゼロでない部分的電荷を有するアミノ酸を含む(例えば、M、F、W、S、Y、N、Q、C)。これらのアミノ酸は疎水性相互作用および静電相互作用に参画することができる。
本明細書中で用いるように、用語「荷電した」アミノ酸はゼロでない正味の電荷をそれらの側鎖に有することができる(例えば、R、K、H、E、D)。これらのアミノ酸は、疎水性相互作用および静電相互作用に参画することができる。
「アミノ酸挿入」とは、所定のアミノ酸配列への少なくとも1つのアミノ酸の取り込みをいう。挿入は通常は1または2のアミノ酸残基の挿入よりなるが、本発明のより大きな「ペプチド挿入」、例えば、約3〜約5、または約10までものアミノ酸残基の挿入をなすことができる。挿入された残基は前記開示のように天然に存在するまたは天然に生じないものであり得る。
「アミノ酸欠失」とは、所定のアミノ酸配列からの少なくとも1つのアミノ酸残基の除去をいう。
本明細書中で用いるように、用語「十分な立体的バルク」とは、より大きな三次元空間を占める側鎖を有するアミノ酸を含む。十分な立体的バルクの側鎖化学を有する例示的アミノ酸はチロシン、トリプトファン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、グルタミン、およびメチオニン、またはそのアナログまたはミメティックを含む。
本明細書中で用いるように、用語「溶媒接触可能表面面積」は、溶媒分子と接触した原子の表面積を意味する。溶媒接触可能表面面積は、当該分野でよく知られた方法を用いて計算することができる。簡単に述べると、もし特定のサイズの溶媒(水)分子をファンデルワールス接触させることができれば、原子または原子の群は接近可能であると定義される。ファンデルワールス接触は、溶媒分子の中心の座である。というのは、それは該蛋白質に沿って転がり、最大の可能な接触をなすからである。
本明細書中で用いる用語「結合親和性」は、結合相互作用の強度を含み、従って、現実の結合親和性ならびに見掛けの結合親和性を共に含む。現実の結合親和性は解離速度に対する会合速度の比率である。従って、結合親和性の付与または最適化は、結合親和性の所望のレベルを達成するためのこれらの成分のいずれかまたは双方の改変を含む。見掛けの親和性は、例えば、相互作用の結合力を含むことができる。
本明細書中で用いるように、用語「結合自由エネルギー」または「結合の自由エネルギー」は、その分野で認められた意味を含み、特に、溶媒中でのFc−Fcレセプター相互作用に適用される。結合自由エネルギーの低下は親和性を増強させ、他方、結合自由エネルギーの増加は親和性を低下させる。
本明細書中で用いるように、用語「結合ドメイン」または「結合部位」とは、標的分子(例えば、抗原、リガンド、レセプター、基質または阻害剤)との特異的結合を媒介するポリペプチドの1以上の領域をいう。例示的な結合ドメインは、抗体可変ドメイン、リガンドのレセプター結合ドメイン、レセプターのリガンド結合ドメイン、または酵素ドメインを含む。本明細書中で用いる用語「リガンド結合ドメイン」とはいずれかの天然レセプター(例えば、細胞表面レセプター)をいうか、あるいは少なくとも定量的リガンド結合能力、好ましくは、対応する天然レセプターの生物学的活性を保持するそのいずれかの領域または誘導体をいう。本明細書中で用いるように、用語「レセプター結合ドメイン」とは、いずれかの天然リガンド、または少なくとも定量的レセプター結合能力、好ましくは、対応する天然リガンドの生物学的活性を保有するそのいずれかの領域または誘導体をいう。1つの実施形態において、ポリペプチドは低下または排除に対して標的化された分子に対して特異的な少なくとも1つの結合ドメイン、例えば、細胞表面抗原または可溶性抗原を有する。好ましい実施形態において、結合ドメインは抗原結合部位である。
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは少なくとも1つの結合部位(例えば、抗原結合部位、レセプター結合部位、またはリガンド結合部位)を含む。1つの実施形態において、本発明のポリペプチドは少なくとも2つの結合部位を含む。1つの実施形態において、ポリペプチドは3つの結合部位を含む。もう1つの実施形態において、ポリペプチドは4つの結合部位を含む。
本発明のポリペプチドはモノマーまたはマルチマーいずれかであり得る。例えば、1つの実施形態において、本発明のポリペプチドはダイマーである。1つの実施形態において、本発明のダイマーは2つの同一モノマーサブユニットを含むホモダイマーである。もう1つの実施形態において、本発明のダイマーは2つの非−同一モノマーサブユニットを含むヘテロダイマーである。ダイマーのサブユニットは1以上のポリペプチド鎖を含むことができる。例えば、1つの実施形態において、ダイマーは少なくとも2つのポリペプチド鎖を含む。1つの実施形態において、ダイマーは2つのポリペプチド鎖を含む。もう1つの実施形態において、ダイマーは(例えば、抗体分子の場合におけるように)4つのポリペプチド鎖を含む。
本明細書中で用いるように、用語「露出された」アミノ酸残基は、その表面の少なくとも1部が、溶液中のポリペプチドに存在する場合に溶媒にある程度暴露されるものを含む。好ましくは、露出されたアミノ酸残基は、その側鎖表面の少なくとも1/3が溶媒に暴露されるものである。分子モデルの分析またはポリペプチドの構造を含めた、種々の方法が残基が暴露されたか否かを判断するために利用できる。
本明細書中で用いるように、用語「変種」、「改変されたポリペプチド」、「修飾されたポリペプチド」、「修飾されたアミノ酸を含有するポリペプチド」等は、出発ポリペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。典型的には、そのようなポリペプチドは1以上の変異、例えば、もう1つのアミノ酸残基で置換されている、あるいは1以上のアミノ酸残基挿入または欠失を有する1以上のアミノ酸残基を有する。好ましくは、ポリペプチドは天然に生じないFc領域の少なくとも部分を含むアミノ酸配列を含む。そのような変種は必然的に出発抗体と100%未満の配列同一性または類似性を有する。好ましい実施形態において、変種は出発ポリペプチドのアミノ酸配列と約75%〜100%未満のアミノ酸配列同一性または類似性、より好ましくは約80%〜100%未満、より好ましくは約85%〜%未満の、より好ましくは約90%〜100%未満、最も好ましくは約95%〜100%未満の同一性または類似性のアミノ酸配列を有する。1つの実施形態において、出発抗体および本発明の修飾された抗体の間には1つのアミノ酸の差がある。この配列に関する同一性または類似性が、本明細書中においては、配列を整列させ、ギャップを導入して、必要であれば、最大パーセント配列同一性を達成した後に、出発アミノ酸残基と同一である(すなわち、同一残基)候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。本発明の修飾されたポリペプチドは発現できるか、あるいは別法として、イン・シリコで形成することができる。
本明細書中で用いるように、フレーズ「候補アミノ酸残基位置」は、本発明のポリペプチド内で同定されるアミノ酸位置を含み、ここに、候補アミノ酸の置換が形成され、予測され、または経験的に、もう1つのアミノ酸との改変、欠失、挿入または置換に際してポリペプチドのFcRn結合親和性を変調することが見出される。
本明細書中で用いるように、用語「選択されたアミノ酸」とは、ポリペプチド内の候補アミノ酸位置における置換アミノ酸として取り込むための本発明の方法によって選択されたアミノ酸残基をいう。1つの実施形態において、選択されたアミノ酸残基での候補アミノ酸残基位置の置換は、Fc−FcRn複合体の結合自由エネルギーに対する静電寄与を
低下または増加させる。
本明細書中で用いる用語「抗体」は、抗体を生じる動物から得られた、または該動物によって生産された天然に存在する抗体を含む。例えば、抗体はマウス、ラット、アレチネズミ、ハムスターまたはモルモットのようなげっ歯類;ウサギ、ネコまたはイヌのようなより大きな動物;家畜として通常育てられる動物(例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジまたはヤギ);(ヒトおよび非ヒト霊長類を含めた)霊長類によって生産された、またはそれから得られた抗体であり得る。用語「抗体」は免疫グロブリン分子および修飾された免疫グロブリン分子、例えば、抗原およびFcRnへの結合を媒介するFc領域の少なくとも一部に結合する(それと免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を含む。本明細書中で用いるように、用語「抗体」は、Fc領域の少なくとも部分を含む修飾されたまたは合成抗体分子も含む。
本明細書中で用いるように、用語「ヒンジ領域」は、例えば、EU番号システムに従って約位置216〜230の、CH1ドメインとCH2ドメインを連結させる重鎖分子の部分を含む。このヒンジ領域はほぼ25残基を含み、柔軟性があり、かくして、2つのN末端抗原結合領域が独立して移動するのを可能とする。ヒンジ領域は3つの区別されるドメイン:上方、中央および下方ヒンジドメインに小分けすることができる(Roux et
al. J.Immunol.1998 161:4083)。
本明細書中で用いるように、用語「CH2ドメイン」は、例えば、約EU位置231〜340から延びる重鎖分子の部分も含む。CH2ドメインは、それがもう1つのドメインと密接に対合しない点でユニークである。むしろ、2つのN−結合分岐炭水化物鎖は無傷の天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に置かれる。
本明細書中で用いるように、用語「CH3ドメイン」は、例えば、約残基341〜446(EUナンバリングシステム)からCH2ドメインのN末端からほぼ110残基延びる重鎖分子の部分を含む。CH3ドメインは、典型的には、抗体のC末端部分を形成する。しかしながら、いくつかの免疫グロブリンにおいては、さらなるドメインがCH3ドメインから延びて、分子のC末端部分を形成することができる(例えば、IgMのμ鎖およびIgEのε鎖におけるCH4ドメイン)。
1つの実施形態において、1以上の変異をFc領域の「FcRn結合ループ」中に作成する。FcRn結合ループは(EUナンバリングに従って)アミノ酸残基280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296,297,298および299よりなる。このループは図9に示す。
もう1つの実施形態において、1以上の変異は15Å FcRn「接触ゾーン」でなされる。本明細書中で用いるように、用語15Å FcRn「接触ゾーン」は以下の位置(それらの位置についての例示的アミノ酸もリストする)243F;244P;245P;246K;247P;248K;249D;250T;251L;252M;253I;254S;255R;256T;257P;258E;259V;260T;261C;275F;276N;277W;278Y;279V;280D;282V;283E;284V;285H;286N;287A;288K;289T;290K;291P;292R;293E;302V;303V;304S;305V;306L;307T;308V;309L;310H;311Q;312D;313W;314L;315N;316G;317K;318E;319Y;336I;337S;338K;339A;340K;341G;342Q;343P;344R;345E;346P;347Q;348V;367C;369V;372F;373Y;374P;375S;376D;
377I;378A;379V;380E;381W;382E;383S;384N;385G;386Q;387P;388E;389N;391Y;393T;408S;424S;425C;426S;427V;428M;429H;430E;431A;432L;433H;434N;435H;436Y;437T;438Q;439K;および440S(EUナンバリング)における残基を含む。
本明細書中でいう「計算分析」とは、全てのまたはいくつかの本明細書中に記載された操作を行うコンピューターが実行したプロセスをいう。そのようなプロセスはユーザーに対して情報を提示するアウトプットデバイスを含む(例えば、CRTディスプレイ、LCD、プリンター、モデム、オーディオアウトプット等のような通信デバイス)。コンピューター−実行プロセスは特定のコンピュータープラットフォーム、特別なプロセッサー、または特別な高−レベルプログラミング言語に限定されない。
本明細書中で用いる用語「構造」または「構造データ」は、本発明の、原子、分子、化合物、アミノ酸残基およびその部分、およびマクロ分子およびその部分、特に、溶媒中で抗原に結合したポリペプチドによって占められる三次元空間における既知の、予測されたおよび/または形成された位置を含む。X−線結晶学、NMR構造モデリング等のような分子/原子レベルで構造を同定するおよび/または予測するための多数の方法を用いることができる。
本明細書中で用いるように、フレーズ「最適電荷分布の空間的表示」はFc領域またはFc−FcRn複合体に対する電荷分布のモデリングを含み、ここに、FcRnと結合した場合のポリペプチドの自由エネルギーに対する静電寄与は、出発ポリペプチドおよび/またはFcRnと結合した場合の出発ポリペプチドの電荷分布の公知のおよび/または形成された表示と比較して最適化(最小化)される。最適電荷分布の形成は、インプットとしてのFc領域またはFc−FcRn複合体の公知のおよび/または形成された構造を取り込むイン・シリコプロセスによって達成することができる。応答連続モデリング(例えば、線形化ポアソン−ボルツマン(Poisson−Boltzmann)方程式)を使用して、Fc脱溶媒化、Fc−FcRn相互作用、およびFcRn脱溶媒化項の合計としての溶媒中の複合体の静電結合自由エネルギーを表すことができる。このイン・シリコプロセスは、本発明の形成された電荷分布内で電荷分布を表すことにおける単極、二極および四極項を取りこむ能力によって特徴付けられ、未結合および結合状態の間におけるFc領域またはその部分の転移の間でのポリペプチドのアミノ酸残基についての溶媒/脱溶媒エネルギーの広範な評価を可能とする。ポリペプチド−FcRn複合体についての最適な電荷分布の空間的表示をモデル化するプロセスは、加えて、ファンデルワールス力、溶媒接触可能表面面積力等のモデリングを取りこむことができる。
本明細書中で用いる用語「溶媒」は、その最も広い当該分野で認められた意味を含み、本発明のポリペプチドが溶解されるおよび/または存在するいずれの液体もいう。好ましくは溶媒は生物学的に適合する溶媒である。好ましい溶媒はPBS、血清等を含む。
好ましい出発ポリペプチドは、ヒト抗体に由来するアミノ酸配列を含む。指名されたポリペプチドまたは源種「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列とは、ポリペプチドの起源をいう。好ましくは、特定の出発ポリペプチドまたはアミノ酸配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、出発配列のそれと実質的に同一なアミノ酸配列、または当該部分が少なくとも10〜20アミノ酸、好ましくは少なくとも20〜30アミノ酸、より好ましくは少なくとも30〜50アミノ酸よりなる、またはそうでなければ出発配列におけるその起源を有するものとして同業者が同定可能であるその部分を有する。例えば、ヒトポリペプチドに由来するポリペプチドはもう1つの哺乳動物種からの1以上のアミノ酸を含むことができる。例えば、霊長類重鎖部分、ヒンジ部分、または結合部位を主
題のポリペプチドに含めることができる。別法として、1以上のネズミアミノ酸が、例えば、抗体の抗原結合部位(CDR)における出発ポリペプチドに存在することができる。本発明の好ましい出発ポリペプチドは抗原性ではない。
用語「PEG化部位」、「ポリエチレングリコール部位」または「PEG部位」は、カップリング剤、またはカップリングまたは活性化部位での(例えば、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシランでの、または好ましくはマレイミド部位、例えば、PEG−マレイミドでの)誘導体化の有りまたは無しにて、ポリアルキレングリコール化合物またはその誘導体を含む。他の適当なポリアルキレングリコール化合物は、限定されるものではないが、マレイミドモノメトキシPEG、活性化されたPEGポリプロピレングリコール、また以下のタイプ:デキストラン、コロミン酸、または他の炭水化物ベースのポリマー、アミノ酸のポリマー、およびビオチン誘導体の荷電したまたは中性ポリマーを含む。
用語「機能的部位」は、好ましくは、所望の機能を変種ポリペプチドに加える部位を含む。好ましくは、機能は、ポリペプチドの固有の所望の活性、例えば、抗体の場合には、分子の抗原−結合活性を有意に改変することなく加える。本発明の変種ポリペプチドは、同一または異なってもよい1以上の機能的部位を含むことができる。有用な機能的部位の例は、限定されるものではないが、PEG化部位、ブロッキング部位、検出可能な部位、診断部位、および治療部位を含む。例示的な検出可能な部位は蛍光部位、放射性同位体部位、放射線不透過部位等を含む。例示的な診断部位は、病気または障害のインジケーターの存在を明らかにするのに適した部位を含む。例示的な治療部位は、例えば、抗―炎症剤、抗癌剤、抗神経変性剤、および抗感染剤を含む。機能的部位は前記機能の1以上の部位を有することもできる。他の有用な機能的部位は当該分野で知られており、以下に記載する。
本明細書中で用いるように、用語「抗癌剤」または「化学的治療剤」は、新形成または腫瘍細胞の成長および/または増殖に対して有害であって、悪性を低下させ、阻害し、またはそれを破壊するよう働くことができる剤を含む。そのような剤の例は、限定されるものではないが、細胞静止剤、アルキル化剤、抗生物質、細胞傷害性ヌクレオシド、チューブリン結合剤、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト等を含む。免疫反応性細胞または悪性細胞の成長を遅らせ、または遅延させるよう作用するいずれの剤も本発明の範囲内にある。
用語「ベクター」または「発現ベクター」は、本明細書中においては、細胞において所望のポリヌクレオチドを導入し、それを発現させるためのビークルとして本発明に従って使用されるベクターを意味するよう、明細書および特許請求の範囲の目的で用いる。当業者に知られているように、そのようなベクターはプラスミド、ファージ、ウイルスおよびレトロウイルスからなる群より容易に選択することができる。一般に、本発明に適合するベクターは、選択マーカー、所望の遺伝子のクローニングを容易とするための適当な制限部位、および真核生物または原核生物細胞に進入し、および/またはそこで複製する能力を含むであろう。
用語「宿主細胞」とは、組換えDNA技術を用いて構築され、少なくとも1つの異種遺伝子をコードするベクターで形質転換されている細胞をいう。組換え宿主からの蛋白質の単離のためのプロセスの記載においては、用語「細胞」および「細胞培養」は、それが明瞭に他のことを特定するのでなければ、蛋白質の源を示すように相互交換的に用いられる。言い換えれば、「細胞」からの蛋白質の回収は、回転させた全細胞から、または培地および懸濁した細胞を共に含有する細胞培養からを意味することができる。
本明細書中で用いるように、「腫瘍関連抗原」は、一般には、腫瘍細胞に関連する、すなわち、正常な細胞と比較して同一またはより大きな程度生じるいずれの抗原も意味する。そのような抗原は比較的腫瘍特異的であり得、かつ悪性細胞の表面へのそれらの発現は制限されているが、それらは非−悪性細胞で見出すこともできる。1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは腫瘍関連抗原に結合する。従って、本発明の出発ポリペプチドは、腫瘍関連分子と反応する多数の抗体のいずれか1つに由来し、それから生じ、またはそれから作成することができる。
本明細書中で用いるように、用語「悪性疾患」とは、非−良性腫瘍または癌をいう。本明細書中で用いるように、用語「癌」は、脱調節または未制御な細胞増殖によって特徴付けられる悪性疾患を含む。例示的癌は癌腫、肉腫、白血病およびリンパ腫を含む。用語「癌」は一次悪性腫瘍(例えば、元の腫瘍の部位以外の被験体の身体における部位にその細胞が移動しなかったもの)および二次悪性腫瘍(例えば、転移、元の腫瘍の部位とは異なる二次部位への腫瘍の移動から生起するもの)を含む。
本明細書中で用いるように、フレーズ「ポリペプチドの投与で益する被験体」は、本発明のポリペプチドの投与から陽性治療または予防結果を受けるであろう哺乳動物被験体のような対照を含む。本明細書中に開示されたポリペプチドの例示的な有益な使用は、例えば、(例えば、診断手法のための)ポリペプチドによって認識される抗原の検出、またはポリペプチドによって認識された標的を低下または排除するポリペプチドでの治療を含む。例えば、1つの実施形態においては、被験体は循環または血清からの可溶性または粒状分子(例えば、トキシンまたは病原体)の低下または排除、または標的(例えば、腫瘍細胞)を発現する細胞の集団の低下または排除から益することができる。本明細書中においてより詳細に記載するように、ポリペプチドはコンジュゲートしていない形態で用いることができるか、あるいは例えば薬物、プロドラッグ、タグまたは同位体へコンジュゲートすることができる。
(II.修飾のためのFc含有ポリペプチド)
1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは、FcRn結合を付与するのに十分なFc領域の少なくとも部分を含む。FcRnに結合するFc領域の部分はIgG1の約アミノ酸282〜438(EUナンバリング)を含む。Fc領域におけるアミノ酸位置はEU指標ナンバリングシステムに従って本明細書中ではナンバリングされる(Kabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,U.S.Dept.Health and Human Services, 5th、1991参照)。「KabatにおけるようなEU指標」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングをいう。
本発明のFc領域は好ましくは起源がヒトである。例示的Fc領域(ヒトIgG1領域)をコードするヌクレオチド配列は配列番号1に示され、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列は配列番号2に示される。Fc領域のアミノ酸配列は、アミノ酸のEUナンバリングを説明するために表1にて以下に掲げる。
1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはCH2ドメインの少なくともアミノ酸282〜340を含む。もう1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは完全なCH2ドメイン(EUナンバリングに従って抗体Fc領域の約アミノ酸231〜340)を含む。もう1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは少なくともCH2ドメイン、およびヒンジ領域(EUナンバリングに従って抗体Fc領域の約アミノ酸216〜230)、およびCH3ドメイン(EUナンバリングに従って抗体Fc領域の約アミノ酸341〜446)のうちの少なくとも1つを含む。1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはCH2およびCH3ドメインを含む。もう1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはヒンジ、CH2,およびCH3ドメインを含む。1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは配列番号2に示された配列を含む。
Fc領域またはそのFcRn結合部分は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含めたいずれかのアイソタイプの重鎖に由来することができる。1つの実施形態において、ヒトアイソタイプIgG1を用いる。
出発ポリペプチドのFc領域をなすドメインは異なる免疫グロブリン分子に由来することができる。例えば、ポリペプチドは、IgG1分子に由来するCH2ドメイン、およびIgG3分子に由来するヒンジ領域を含むことができる。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドは、部分的に、IgG1分子に、および部分的には、IgG3分子に由来するヒンジ領域を含むことができる。もう1つの例において、出発ポリペプチドは、部分的には、IgG分子に、および部分的に、IgG4分子に由来するキメラヒンジを含むことができる。前記したように、出発Fcドメインは、それらが天然に存在する抗体分子とはアミノ酸配列とは異なるように(例えば、分子の非FcRn結合部分において)修飾することができる。
本発明の出発ポリペプチドは少なくとも1つのFc領域またはそのFcRn結合部分を含むことができる。本発明の好ましい出発ポリペプチドは、加えて、少なくとも1つの結合ドメイン、例えば、抗原結合ドメイン、レセプター結合ドメイン、またはリガンド結合ドメインを含む。1つの実施形態において、出発ポリペプチドは少なくとも1つの結合ドメインおよび少なくとも1つのFc部分を含む。1つの実施形態において、出発ポリペプチドは2つの結合ドメインおよび2つのFc部分よりなる。
1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは、生物学的な効果(例えば、細胞表面レセプターに結合することができるリガンドまたはリガンドに結合することができる細胞表面レセプター)を媒介し,少なくとも1つのFc部分と一緒に陰性または陽性シグナルを細胞に伝達することを媒介する標的分子に対して特異的な少なくとも1つの結合ドメインを有する。1つの実施形態において、出発ポリペプチドは、少なくとも1つのFc領域またはそのFcRn結合部分と共に、低下または排除につき標的化された抗原、例えば、細胞表面抗原または可溶性抗原に対して特異的な少なくとも1つの結合ドメインを有する。
(A.抗体)
1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは抗体である。当該分野で認められたプロトコルを用い、例えば、抗体は、関連抗原(例えば、精製された腫瘍関連抗原、またはそのような抗原を含む細胞または細胞抽出物)およびアジュバントの複数回の皮下または腹腔内注射によって好ましくは哺乳動物において生起させる。この免疫化は、典型的には、活性化された脾臓細胞またはリンパ球からの抗原−反応性抗体の生産を含む免疫応答を誘導する。
Fc含有ポリペプチドが抗体である実施形態において、該抗体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体とすることができる。免疫グロブリンをコードするDNAを骨髄腫細胞に安定に導入する技術を有するように(例えば、Oi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:6351−6355,1983)、モノクローナル抗体を生産する方法はある程度の間知られてきた(例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495−497,1975参照)。インビトロ変異誘発およびDNAトランスフェクションを含むこれらの技術は組換え免疫グロブリンの構築を可能とし、それを用いて、本発明の方法で用いるポリペプチド、またはそれから得られるもの(例えば、治療および診断抗体)を生じさせることができる。生産方法、ベクターおよび宿主は後にさらに記載する。
本発明で用いる出発抗体は、非ヒト哺乳動物、例えば、ネズミ、モルモット、霊長類、
ウサギまたはラットにおいて、該動物を抗原またはそのフラグメントで免疫化することによって生産することができる。全ての目的で個々に引用して援用するHarlow & Lane,前掲参照。得られた抗体は動物の血清から収穫して、ポリクローナル調製物を得ることができるが、個々のリンパ球は脾臓、リンパ球、末梢液から単離して、モノクローナル抗体(MAb)で均一な調製物を得るのがたいてい望ましい。ウサギまたはモルモットは、典型的には、ポリクローナル抗体を作成するのに用いられる。マウスは、典型的には、モノクローナル抗体を作成するのに用いられる。モノクローナル抗体は、抗原フラグメントをマウスに注射し、「ハイブリドーマ」を調製し、次いで、該抗原に特異的に結合する抗体につきハイブリドーマをスクリーニングすることによってフラグメントに対して調製することができる。このよく知られたプロセス(Kohler et al.,(1975),Nature,256,495)において、抗原を注射されたマウスからの比較的に短い寿命の、または死すべきリンパ球を不滅の腫瘍細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)と融合させ、かくして、ハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」が得られ、これらは共に不滅であって、B細胞の遺伝的にコードされた抗体を生産することができる。得られたハイブリッドは、選択、希釈および再増殖によって単一の遺伝的株に分離され、各個々の株は単一抗体の形成用の特異的遺伝子を含む。それらは、所望の抗原に対して均一である抗体を生じ、それらの遺伝的親性を参照して、「モノクローナル」といわれる。
かくして調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1以上の物質を含有する適当な培地に接種し増殖させる。当業者であれば、ハイブリドーマの形成、選択および増殖用の試薬、細胞系および培地は多数の源から商業的に入手可能であって、標準化されたプロトコルがよく確立されていることを認識するであろう。一般に、ハイブリドーマ細胞が増殖する培地を、所望の抗原に対するモノクローナル抗体の生産についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生産されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈澱によって、あるいはラジオイミュノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)のようなインビトロアッセイによって測定される。所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を生じるハイブリドーマ細胞が同定された後、限界希釈手法によってクローンをサブクローンし、標準的な方法によって増殖させることができる(Goding,Monoclonal Antibodies,Principles and Practice,pp59−103(Academic Press,1986))。さらに、サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテイン−A、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティークロマトグラフィーのような慣用的な精製手法によって、培地、腹水または血清から分離することができる。
所望により、抗体は、抗原の他の非重複フラグメントに結合することなく、特異的領域または該抗原の所望のフラグメントへの結合につきスクリーニングすることができる。後者のスクリーニングは、抗原の欠失変異体のコレクションへの抗体の結合を測定し、次いで、いずれの欠失変異体が抗体に結合するかを決定することによって達成することができる。結合は、例えば、ウェスタンブロットまたはELISAによって評価することができる。抗体に対して特異的な結合を示す最小フラグメントは、抗体のエピトープを定義する。別法として、エピトープ特異性は、テストおよび参照抗体が抗原への結合につき競合する競合アッセイによって測定することができる。もしテストおよび参照抗体が競合するならば、それらは、1つの抗体の結合が他の結合の抗体結合に干渉するように、同一のエピトープまたは十分に近接するエピトープに結合する。
もう1つの実施形態において、所望のモノクローナル抗体をコードするDNAは、慣用的な手法を用い(例えば、ネズミ抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離し
、配列決定することができる。単離されサブクローンされたハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい源として供される。一旦単離されれば、DNAを発現ベクターに入れることができ、次いで、それをE.coli細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはそうでなければ免疫グロブリンを生産しない骨髄腫細胞のような原核生物または真核生物宿主細胞にトランスフェクトする。さらに詳しくは、(本明細書中で記載するように合成することができる)単離されたDNAを用いて、ここに引用して援用する、1995年1月25日に出願されたNewman et al.,の米国特許第5,658,570号に記載されたように、抗体を製造するための定常および可変領域配列をクローンすることができる。本質的には、これは、選択された細胞からのRNAの抽出、cDNAへの変換、およびIg特異的プライマーを用いるPCRによる増幅を含む。この目的に適したプライマーもまた、米国特許第5,658,570号に記載されている。後により詳細に議論するように、所望の抗体を発現する形質転換細胞を比較的大量に増殖して、免疫グロブリンの臨床的および商業的供給を提供することができる。
当業者であれば、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合部位)をコードするDNAもまた、例えば、pdファージまたはFdファージミド技術を用いて抗体ファージライブラリーから誘導することもできる。例示的な方法は、例えば、EP 368 684 B1;米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,H.R.and Chames.2000.Immunol.Today 21:371;Nagy et
al.2002.Nat.Med.8:801;Huie et al.2001.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:2682;Lui et al.2002.J.Mol.Biol.315:1063に記載されており、その各々をここに引用して援用する。いくつかの刊行物(例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779−783(1992))は、chain shuffling法による高親和性ヒト抗体の生産、ならびに大きなファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染およびインビボ組換えを記載している。もう1つの実施形態において、リボソームディスプレイを用いて,ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージを置き換えることができる(例えば、Hanes et
al.2000.Natl.Biotechnol.18:1287;Wilson et al.2001.Proc.Natl.Acad.Sci. USA98:3750;or Irving et al.2001 J.Immunol.Methods
248:31参照)。なおもう1つの実施形態において、細胞表面ライブラリーを抗体につきスクリーニングすることができる(Boder et al.2000.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701;Daugherty et
al.2000 J.Immunol.Methods 243:211)。そのような手法は、モノクローナル抗体の単離および引き続いてのクローニングのための伝統的なハイブリドーマ技術に対する代替法を提供する。
本発明のさらに他の実施形態は、内因性免疫グロブリンの生産ができないトランスジェニック動物(例えば、マウス)においてヒトまたは実質的にヒト抗体を作り出すことを含む(例えば、ここに引用してその各々を援用する米国特許第6,075,181号、第5,939,598号、第5,591,669号および第5,589,369号参照)。例えば、キメラおよび生殖系変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域のホモ接合性欠失の結果、内因性抗体生産の完全な阻害が得られることが記載されている。ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイのそのような生殖系変異体マウスへの導入の結果、抗原誘発にさいしてヒト抗体が生産される。SCIDマウスを用いるヒト抗体を作り出すもう1つの好ましい手段は、ここに引用して援用する米国特許第5,811,524号に開示されている。これらのヒト抗体と会合した遺伝物質もまた本明細書中に記載したように単離し、操作することができるのは認識されよう。
組換え抗体を作成するためのさらにもう1つの高度に効果的な手段はNewman, Biotechnology, 10:1455−1460(1992)によって開示されている。具体的には、この技術の結果、サル可変ドメインおよびヒト定常配列を含む霊長類化抗体が作り出される。この文献はここに引用してその全体が援用される。さらに、この技術は、その各々をここに引用して援用する共通して譲渡された米国特許第5,658,570号、第5,693,780号および第5,756,096号に記載されている。
もう1つの実施形態において、リンパ球はミクロ操作によって選択し、可変遺伝子を単離することができる。例えば、末梢血液単核細胞を免疫化哺乳動物から単離し、インビトロにて約7日間培養することができる。培養は、スクリーニング基準を満足する特異的IgGにつきスクリーニングすることができる。陽性ウェルからの細胞を単離することができる。FACSによって、あるいは補体−媒介溶血プラークアッセイにおいてそれらを同定することによって,個々のIg−生産B細胞を単離することができる。Ig−生産B細胞をミクロ操作により試験管に入れることができ、例えば、RT−PCRを用いてVHおよびVL遺伝子を増幅することができる。VHおよびVL遺伝子を抗体発現ベクターにクローン化し、発現のために細胞(例えば、真核生物細胞または原核生物細胞)にトランスフェクトすることができる。
さらに、本発明のポリペプチドを生産するのに有用な遺伝子配列は多数の異なる源から得ることができる。例えば、前記にてかなり議論したように、種々のヒト抗体遺伝子が公に接近可能な寄託の形態で入手できる。抗体および抗体をコードする遺伝子の多くの配列が公表されており、適当な抗体遺伝子は、当該分野で認められた技術を用いてこれらの配列から化学的に合成することができる。本発明のこの態様に適合するオリゴヌクレオチド合成技術は当業者によく知られており、いくつかの商業的に入手可能な自動合成器のいずれかを用いて行うことができる。加えて、本明細書中に記載したいくつかのタイプの重鎖および軽鎖をコードするDNA配列は、商業的DNA合成販売業者を介して入手することができる。次いで、これまでの方法のいずれかを用いて得られた遺伝物質を改変し、または合成して、本発明のポリペプチドを得ることができる。
可変および定常ドメインは、例えば、ポリメラーゼ鎖反応、および注目するドメインを増幅するのに選択されたプライマーを用いて別々にクローン化することができる。加えて、多くの抗体の可変および定常ドメインの配列は知られており、そのようなドメインは当該分野でよく知られた方法を用いて合成することができる。例えば、特定のエフェクター機能を有し(または特定のエフェクター機能を欠く)、または免疫原性を低下させるための特定の修飾を施した定常領域ドメインを選択することができる。別法として、可変ドメインは、選択した動物からの可変遺伝子配列のライブラリーから得ることができる。ドメイン、例えば、VおよびVドメインのランダムな組合せを発現するライブラリーを、所望の結合特徴を有するエレメントを同定するために所望の抗原でスクリーニングすることができる。そのようなスクリーニングの方法は当該分野でよく知られている。例えば、抗体遺伝子レパートリーを−λバクテリオファージ発現ベクターにクローン化することができる(Huse,WD et al.(1989),Science,2476:1275)。加えて、その表面に抗体を発現する細胞(Francisco et al.(1994),PNAS,90:10444;Georgiou et al.(1997),Nat.Biotech.,15:29;Boder and Wittrup(1997) Nat.Biotechnol.15:553;Boder et al.(2000),PNAS,97:10701;Daugtherty,P.et al.(2000) J.Immunol.Methods 243:211)またはウイルス(例えば、Hoogenboom,HR.(1998), Immunotechnolo
gy 4:1;Winter et al.(1994).Annu.Rev.Immunol.12:433;Griffiths,AB.(1998).Curr.Opin.Biotechnol.9:102)をスクリーニングすることができる。当業者であれば、抗体ドメインをコードするDNAは、例えば、pdファージまたはFdファージミド技術を用いて抗体ファージライブラリーから誘導することもできることを認識するであろう。例示的な方法は、例えば、その各々をここに引用して援用する、EP 368 684 B1;米国特許第5,969,108号;Hoogenboom et al.,(2000) Immunol.Today 21:371;Nagy et al.(2002) Nat.Med.8:801;Huie et al.(2001),PNAS,98:2682;Lui et al.(2002), J.Mol.Biol.315:1063に記載されている。数個の刊行物(例えば、Marks et al.(1992),Bio/Technology 10:779−783)は、chain
shuffling法による高親和性ヒト抗体の生産、ならびに大きなファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染およびインビボ組換えを記載している。もう1つの実施形態において、リボソームディスプレイを用いて、ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージを置き換えることができる(例えば、Hanes,et al.(1998)、PNAS 95:14130;Hanes and
Pluckthun.(1999),Curr.Top.Microbiol.Immunol.243:107;He and Taussig.(1997),Nuc.Acids Res.,25:5132;Hanes et al.(2000),Nat.Biotechnol.18:1287;Wilsol.et al.(2001),PNAS,98:3750;or Irving et al.(2001) J.Immunol.Methods 248:31参照)。
スクリーニングのための好ましいライブラリーはヒト可変遺伝子ライブラリーである。非ヒト源からのVおよびVドメインを用いることもできる。免疫化被験体または半合成からのライブラリーはナイーブであり得る(Hoogenboom and Winter.(1992).J.Mol.Biol.227:381;Griffiths et al.(1995) EMBO J.13:3245;de Kruif et al.(1995). J.Mol.Biol.248:97;Barbas et al.(1992),PNAS,89:4457)。1つの実施形態において、変異を免疫グロブリンドメインに対して作成して、より大きな不均一性を有する核酸分子のライブラリーを作り出すことができる(Thompson et al.(1996),J.Mol.Biol.256:77;Lamminmaki et al.(1999), J.Mol.Biol.291:589;Caldwell and Joyce.(1992),PCR Methods Appl.2:28;Caldwell and Joyce.(1994),PCR Methods Appl.3:S136)。標準的なスクリーニング手法を用いて高親和性変種を選択することができる。もう1つの実施形態において、VおよびV配列に対する変化を行って、例えば、当該分野で公知の技術を用いて結晶構造から得られた情報を用いて抗体の結合活性を増加させることができる。
別法として、抗体−生産細胞系を、当業者によく知られた技術を用いて選択し、培養することができる。そのような技術は種々の実験室マニュアルおよび最初の刊行物に記載されている。この点に関し、以下に記載する本発明で用いるのに適した技術は、別冊を含めて、ここに引用してその全体を援用する、Current Protocols in Immunology, Coligan et al.Eds, Green Publishing Associates and Wiley−Interscience,John Wiley and Sons,New York(1991)に記載されている。
本発明の範囲は、さらに、抗原結合DNA配列の全ての対立遺伝子、変種および変異を含むことがさらに認識されよう。
よく知られているように、RNAは、グアニジウムイソチオシアネート抽出および沈殿、続いての、遠心またはクロマトグラフィーのような標準的な技術によって、元のハイブリドーマ細胞から、または他の形質転換細胞から単離することができる。望ましい場合、オリゴdTセルロースでのクロマトグラフィーのような標準的な技術によって、mRNAを全RNAから単離することができる。適当な技術は当該分野においてよく知られている。
1つの実施形態において、よく知られた方法に従って逆転写酵素およびDNAポリメラーゼを用いて、抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAを同時または別々に作成することができる。PCRは、コンセンサス定常領域プライマーによって、あるいは公表された重鎖および軽鎖DNAおよびアミノ酸配列に基づくより特異的なプライマーによって開始することができる。前記したように、PCRを用いて、抗体の軽鎖および重鎖をコードするDNAクローンを単離することもできる。この場合、マウス定常領域プローブのようなコンセンサスプライマーまたはより大きな相同プローブによってライブラリーをスクリーニングすることができる。
DNA、典型的にはプラスミドDNAは、当該分野で知られた技術を用いて細胞から単離し、制限マッピングし、例えば、組換えDNA技術に関する前記文献に詳細に記載された標準的、よく知られた技術に従って配列決定することができる。もちろん、DNAは、単離プロセスまたは引き続いての分析の間のいずれかの時点で本発明に従って合成することができる。多くの場合、これらの抗原の各々についての免疫反応性抗体は文献で報告されている。
もう1つの実施形態において、抗原への出発ポリペプチドの結合の結果、例えば、組織から、または循環系から抗原が減少または排出される。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドは、標的分子の存在を検出するのに(例えば、汚染物を検出し、または疾患または障害を診断するのに)用いることができる抗原に対して特異的な少なくとも1つの結合ドメインを有する。なおもう1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは、分子を被験体中の特異的部位(例えば、腫瘍細胞または血餅)へ標的化する少なくとも1つの結合部位を含む。
1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは1以上の腫瘍関連抗原と免疫反応性であり得る。例えば、癌または新形成を治療するには、ポリペプチドの抗原結合ドメインは、好ましくは、選択された腫瘍関連抗原に結合する。報告された新形成に関連する抗原の数、および関連する抗体の数を仮定すれば、当業者であれば、本発明のポリペプチドは多数の全抗体のいずれか1つに由来することができるのを認識するであろう。より一般的には、本発明で有用な出発抗体は、選択された疾患に関連する抗原またはマーカーと反応する(文献に以前に報告されたものを含めた)いずれかの抗体から入手し、または誘導することができる。さらに、所望のポリペプチドを作成するのに用いられる出発抗体、またはそのフラグメントはネズミ、ヒト、キメラ、ヒト化、非ヒト霊長類または霊長類化であってよい。本発明で用いる出発ポリペプチドによって結合された例示的な腫瘍関連抗原は、例えば、汎B抗原(例えば、非−ホジキンリンパ腫におけるもののような悪性および非−悪性の双方のB細胞の表面に見出されるCD20)および汎T細胞抗原(例えば、CD2、CD3、CD5、CD6、CD7)を含む。他の例示的な腫瘍関連抗原は、限定されるものではないが、MAGE−1、MAGE−3、MUC−1、HPV16、HPV
E6&E7、TAG−72、CEA、α−Lewis、L6−抗原、CD19、CD22、CD25、CD30、CD33、CD37、CD44、CD52、CD56、メソ
セリン、PSMA、HLA−DR、EGRレセプター、VEGFレセプター、およびHER2レセプターを含む。
腫瘍関連抗原と反応する従前に報告された抗体は本明細書中に記載されたように改変して、本発明の改変された抗体を提供することができる。腫瘍関連抗原と反応することができる例示的な標的抗体は:2B8、Lym1、Lym2、LL2、Her2、B1、BR96、MB1、BH3、B4、B72.3、5E8、B3F6、5E10、α−CD33、α−CanAg、α−CD56、α−CD44v6、α−Lewis、およびα−CD30を含む。
より詳しくは、例示的な標的抗体は,限定されるものではないが、2B8およびC2B8(Zevalin(登録商標)およびRituxan(登録商標)、IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego)、Lym1およびLym2 (Techniclone)、LL2(Immunomedics Corp.,New Jersey)、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標),Genentech Inc.,South San Fransisco)、トシツモマブ(Bexxar(登録商標),Coulter Pharm.,SanFrancisco)、アレムツマブ(Camphth(登録商標),Millennium Pharmaceuticals,Cambridge)、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標),Wyeth−Ayerst,Philadelphia)、セツキシマブ(Erbitux(登録商標),Imclone Systems,New York)、Bevacizumab (Avastin(登録商標),Genentech Inc.,South SanFrancisco)、BR96、BL22、LMB9、LMB2、MB1、BH3、B4、B72.3(Cytogen Corp.)、SS1(NeoPharm)、CC49(National Cancer Institute)、カンツズマブメルタンシン(ImmunoGen, Cambridge)、MNL2704(Milleneum Pharmaceuticals, Cambridge)、ビバツズマブメルタンシン(Boehringer Ingelheim, Germany)、トラスツズマブ−DM1(Genentech,South San Francisco)、My9−6−DM1(ImmunoGen,Cabridge)、SGN−10、−15、−25、および−35(Seattle Genetics、 Seattle)、および5E10(University of Iowa)を含む。好ましい実施形態において、本発明の出発抗体は、直ぐ前にリストした抗体と同一の腫瘍関連抗原に結合するであろう。特に好ましい実施形態において、ポリペプチドはY2B8、C2B8、CC49およびC5E10と同一の抗原に由来し、またはそれに結合し、なおより好ましくは、ドメイン欠失抗体(すなわち、ΔCH2抗体)を含むであろう。
第一の好ましい実施形態において、出発抗体はRituxan(登録商標)と同一の腫瘍関連抗原に結合するであろう。(リツキシマブ、IDEC−C2B8およびC2B8としても知られた)Rituxan(登録商標)は、ヒトB−細胞リンパ腫の治療のために最初にFDAに認可されたモノクローナル抗体であった(その各々をここに引用して援用する米国特許第5,843,439号;第5,776,456号および第5,736,137号参照)。Y2B8(90Y標識2B8;Zevalin(登録商標);イブリツモマブチウキセタン)はC2B8のネズミ出発である。Rituxan(登録商標)は、増殖阻害性であって、インビトロにて化学療法剤によってアポトーシスにつきある種のリンパ腫細胞系を報告されるところによると感作させるキメラ抗CD20モノクローナル抗体である。該抗体はヒト補体に効果的に結合し、強力なFcR結合を有し、補体依存性(CDC)および抗体−依存性(ADCC)メカニズムの双方を介してインビトロにてヒトリンパ球を効果的に殺すことができる(Reff et al.,Blood 83:435−445(1994))。当業者であれば、本開示に従って合成されたC2B8または
2B8のダイマー変種(ホモダイマーまたはヘテロダイマー)を、本発明の方法に従ってエフェクター部位とコンジュゲートさせて、CD20+悪性疾患を表す患者を治療するにおいてなおより効果的である修飾された抗体を提供することができる。
本発明の他の好ましい実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはCC49と同一の腫瘍関連抗原に由来し、またはそれに結合するであろう。CC49は、ヒト起源、特にLS174T腫瘍細胞系のある種の腫瘍細胞の表面に会合するヒト 腫瘍関連抗原TAG−72に結合する。LS174T[American Type Culture Collection(ここにATCC No.CL 186]は、LS180(ATCC No.Cl 187)結腸腺癌系の変種である。
TAG−72に対する結合特異性を有する多数のネズミモノクローナル抗体が開発されているのはさらに認識されるであろう。B72.3と命名されたこれらのモノクローナル抗体のうちの1つはハイブリドーマB72.3(ATCC No.HB−8108)によって生産されたネズミIgG1である。B72.3は免疫原としてのヒト乳癌抽出物を用いて開発された第一世代のモノクローナル抗体である(その各々をここに引用して援用するColcher et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:3199−3203(1981);および米国特許第4,522,918号および第4,612,282号参照)。TAG−72に対して向けられた他のモノクローナル抗体は(結腸癌のための)「CC」と命名される。Schlom et al.(ここに引用して援用する米国特許第5,512,443号)によって記載されているように、CCモノクローナル抗体が、B72.3で精製されたTAG−72を用いて調製された第二世代のネズミモノクローナル抗体のファミリーである。TAG−72に対するその比較的良好な結合親和性のため、以下のCC抗体がATCCに寄託されており、制限されたアクセスが要求されている:CC49(ATCC No.HB 9459);CC83(ATCC
No.HB9453);CC46(ATCC No.HB 9458);CC92(ATCC No.HB9454);CC30(ATCC No.HB9457);CC11(ATCC No.9455);およびCC15(ATCC No.HB9460)。米国特許第5,512,443号は、当該分野で公知の組換えDNA技術によって、例えば、マウス定常領域に代えてヒト定常領域(Fc)ドメインを置換することによって開示された抗体をそのキメラ形態に改変することができることをさらに教示している。ネズミおよびキメラ抗TAG−72抗体の開示の他に、Schlom et al.は、その各々をここに引用して援用する,PCT/US99/2552に開示されたヒト化CC49抗体の変種、および米国特許第5,892,019号に開示された一本鎖構築体も作り出した。当業者であれば、これまでの抗体、構築体または組換体、およびその変種の各々は合成でき、それを用いて、本発明に従ってポリペプチドを提供することができるのを認識するであろう。
前記した抗TAG−72抗体に加えて、種々のグループはドメイン−欠失CC49およびB72.3抗体の構築および部分的特徴付けを報告している(例えば、Calvo et al. Cancer Biotherapy, 8(1):95−109(1993), Slavin−Chiorini et al. Int.J.Cancer 53:97−103(1993)and Slavin−Chiorini et al.Cancer Res.55:5957−5967(1995))。
1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはCD23に結合する(米国特許第6,011,138号)。好ましい実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは5E8抗体と同一のエピトープに結合する。もう1つの実施形態において、本発明の出発ポリペプチドは抗CD23抗体、例えば、5E8抗体からの少なくとも1つのCDRを含む。
好ましい実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはCRIPTO−I抗原に結合する(WO 02/088170A2またはWO 03/083041A2)。より好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドはB3F6抗体と同一のエピトープに結合する。さらにもう1つの実施形態において、本発明のポリペプチドは抗CRIPTO−I抗体、例えば、B3F6抗体からの少なくとも1つのCDRを含む。
本発明のさらに他の実施形態は、C5E10と同一の腫瘍関連抗原に由来する、またはそれに結合する修飾された抗体を含む。同時係属出願第09/104,717号に記載されているように、C5E10は、前立腺腫瘍細胞系(例えば、DU145、PC3、またはND1)に対して特異的であるように見えるほぼ115kDaの糖蛋白質決定基を認識する抗体である。かくして、本発明と組み合わせると、C5E10抗体によって認識されるのと同一の腫瘍関連抗原に特異的に結合するポリペプチドは、単独で用いることができるか、あるいは本発明の方法によって、エフェクター部位とコンジュゲートすることができ、それにより、新形成障害の改良された治療で有用な修飾されたポリペプチドを提供する。特に好ましい実施形態において、出発ポリペプチドは、ATCC受託番号PTA−865を有するハイブリドーマ細胞系から分泌されたC5E10抗体の抗原結合領域の全てまたは一部に由来し、またはそれを含むであろう。次いで、得られたポリペプチドを後に記載するように治療エフェクター部位にコンジュゲートし、本明細書中に記載した方法に従って前立腺癌に罹った患者に投与することができる。
(B.抗体変種)
天然に存在する抗体に加え、本発明の出発抗体は、天然に生じない免疫反応性フラグメントまたは部分を含むことができる。
もう1つの実施形態において、本発明の標的抗体の抗原結合ドメインの重鎖可変部分および軽鎖可変部分は、例えば、一本鎖抗体(ScFv)またはミニボディ(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO 94/09817A1参照)におけるように、同一ポリペプチドに存在させる。ミニボディは、各々が、ScFv分子(1以上の抗原結合部位、例えば、フレキシブルなリンカーによって連結ペプチドを介してCH3ドメインに融合したVドメインに連結されたVドメインを含む単一ポリペプチド)を含む、2つのポリペプチド鎖から構成されたダイマー分子である。ScFv分子は、V−リンカー−V向きまたはV−リンカー−V向きに構築することができる。抗原結合部位をなすVおよびVドメインを連結するフレキシブルなヒンジは、約10〜約50のアミノ酸残基を好ましくは含む。この目的での例示的な連結ペプチドは(Gly4Ser)3である(Huston et al.(1988):PNAS,85:5879)。他の連結ペプチドとは当該分野で知られている。
一本鎖抗体を作成する方法は、当該分野でよく知られている。例えば、Ho et al.(1989),Gene,77:51;Bird et al.(1988), Science 242:423;Pantoliano et al.(1991), Biochemistry 30:10117;Milenic et al.(1991), Cancer Research,51:6363;Takkinen et al.(1991), Protein Engineering 4:837)。ミニボディは、ScFv成分を構築し、当該分野で記載された方法を用いてペプチド−CH成分を連結することによって作成することができる(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO 94/09817A1参照)。これらの成分は制限フラグメントとして別々のプラスミドから単離し、次いで、連結し、適当なベクターに再度クローン化することができる。適当な組み立ては、制限消化およびDNA配列分析によって立証することができる。1つの実施形態において、本発明のミニボディは連結ペプチドを含む。1つの
実施形態において、連結ペプチドはGly/Serリンカー、例えば、GGGSSGGGSGGを含む。
もう1つの実施形態において、四価ミニボディを構築することができる。四価ミニボディは、例えば、アミノ酸配列(G4S)G3ASを有するフレキシブルリンカーを用いて2つのScFv分子を連結する以外は、ミニボディと同様にして構築することができる。
もう1つの実施形態において、本発明の出発抗体はダイアボディを含む。ダイアボディはscFv分子と同様であるが、通常、同一ポリペプチド鎖上のVおよびVドメインが相互作用できないように、双方の可変領域を連結する短い(10未満、好ましくは1〜5の)アミノ酸残基リンカーを有する。その代わり、1つのポリペプチド鎖のVおよびVドメインは第二のポリペプチド鎖上の(各々)VおよびVドメインと相互作用する(WO 02/02781)。
もう1つの実施形態において、本発明の出発抗体は、FcR結合部分に作動可能に連結されたその免疫反応性フラグメントまたは部分(例えば、scFv分子、ミニボディ、四価ミニボディ、またはダイアボディ)を含む。例示的な実施形態において、FcR結合部分は完全なFc領域である。
もう1つの実施形態において、出発抗体の少なくとも1つの抗原結合ドメインは触媒的である(Shokat and Schultz.(1990).Annu.Rev.Immunol.8:335)。触媒結合特異性を持つ抗原結合ドメインは当該分野で認められた技術を用いて作成することができる(例えば、米国特許第6,590,080号、米国特許第5,658,753号参照)。触媒結合特異性は、転移状態を安定化させ、それにより、活性化の自由エネルギーを減少させる酵素につき同定されたものと同様な多数の基本的メカニズムによって働くことができる。例えば、一般的な酸および塩基残基は、触媒活性部位内の触媒作用への参画のために最適に位置させることができ;共有結合酵素−基質中間体を形成することができ;触媒抗体は反応に適切な向きであり、少なくとも七桁の大きさだけ反応体の有効濃度を増加させることができ(Fersht et al.,(1968),J.Am.Chem.Soc.90:5833)、それにより、化学反応のエントロピーを大いに低下させることができる。最後に、触媒抗体は基質結合に際して得られたエネルギーを変換して、転移状態に似た構造に向けて反応を転じることができる。
酸または塩基残基は、免疫原として相補的な荷電分子を用いることによって抗原結合部位に一体化させることができる。この技術は、正に荷電したアンモニウムイオンを含有するハプテンでの抗体の解明で首尾よいことが判明した(Shokat, et al.,(1988),Chem.Int.Ed.Engl.27:269−271)。もう1つのアプローチにおいて、抗体は、所望の反応の転移状態のサイズ、形状および電荷に似た化合物を安定化するよう誘導することができる(すなわち、転移状態アナログ).動物を免疫化するための転移状態アナログの使用、および触媒抗体の生産を記述する米国特許第4,792,446号および米国特許第4,963,355号参照。これらの特許の双方をここに引用して援用する。そのような分子は、例えば、KLHのような免疫原性担体分子との免疫コンジュゲートの一部として投与することができる。
1つの実施形態において、本発明の出発抗体は二特異的である。二特異的分子は、例えば、同一標的分子上の、または異なる標的分子上の2つの異なる標的部位に結合することができる。例えば、抗体の場合には、二特異的分子は、同一抗原上、または2つの異なる抗原上の2つの異なるエピトープに結合することができる。二特異的分子は、例えば、診
断および治療適用で用いることができる。例えば、それらを用いて、免疫アッセイで用いるための酵素を固定化することができる。また、それらは、例えば、腫瘍関連分子および検出可能なマーカー(放射性核種に密接に結合するキレーター)双方に結合することによって、癌の診断および治療で用いることもできる。また、例えば、(例えば、病原体または腫瘍細胞に、およびT細胞レセプターのような細胞傷害性トリガー分子に結合することによって)特異的標的に細胞傷害性を向けることによって、二特異的分子をヒト療法で用いることもできる。二特異的抗体もまた、例えば、線維溶解剤またはワクチンアジュバントとして用いることもできる。
二特異的結合分子の例は、腫瘍細胞抗原に対して向けられた少なくとも2つのアームを持つもの;(抗CD3/抗悪性B細胞(1D10)、抗CD3/抗P185.sup.HER2、抗CD3/抗p97、抗CD3/抗腎臓細胞癌腫、抗CD3/抗OVCAR−3、抗CD3/LD1(抗結腸癌腫)、抗CD3/抗メラノサイト刺激ホルモンアナログ、抗EGFレセプター/抗CD3、抗CD3/抗CAMA1、抗CD3/抗CD19、抗CD3/MoV18、抗神経細胞接着分子(NCAM)/抗CD3、抗葉酸結合蛋白質(FBP)/抗CD3、抗汎癌腫関連抗原(AMOC−31)/抗CD3のような)腫瘍細胞抗原に対して向けられた少なくとも1つのアームおよび細胞傷害性トリガー分子に対して向けられた少なくとも1つのアームを持つ二特異的結合分子;(抗サポリン/抗Id−1、抗CD22/抗サポニン、抗CD7/抗サポニン、抗CD38/抗サポニン、抗CEA/抗リシンA鎖、抗インターフェロン−.アルファ.(IFN−.アルファ.)/抗ハイブリドーマーイディオタイプ、抗CEA/抗ビンカアルカロイドのような)腫瘍抗原に対して特異的に結合する少なくとも1つ、およびトキシンに結合する少なくとも1つを持つ二特異的結合分子;((マイトマイシンリン酸プロドラッグのマイトマイシンアルコールへの変換を触媒する)抗CD30/抗アルカリ性ホスファターゼのような)酵素活性化プロドラッグを変換するための二特異的結合分子;(抗フィブリン/抗組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)、抗フィブリン/抗ウロキナーゼ−タイププラスミノーゲンアクチベータ(uPA)のような)線維溶解剤として用いることができる二特異的結合分子;(抗低密度リポ蛋白質(LDL)のような)免疫複合体を細胞表面レセプターに標的化させる二特異的結合分子;(抗CD3/抗―単純疱疹ウイルス(HSV)、抗T−細胞レセプター:CD3複合体/抗インフルエンザ、抗Fc.ガンマ.R/抗HIVのような)感染症の治療で用いられる二特異的分子;(抗CEA/抗EOTUBE、抗CEA/抗DPTA、抗p185HER2/抗ハプテンのような)インビトロまたはインビボでの腫瘍検出用の二特異的結合分子;ワクチンアジュバントとしての二特異的結合分子(Fanger et al.,前掲参照);および(抗ウサギIgG/抗フェリチン、抗ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)/抗―ホルモン、抗ソマトスタチン、抗サブスタンスP、抗HRP/抗FITC、抗CEA/抗.ベータ.−ガラクトシダーゼ(Nolan et al.,前掲参照)のような)診断ツールとしての二特異的結合分子を含む。三特異的抗体の例は抗CD3/抗CD4/抗CD37、抗CD3/抗CD5/抗CD37および抗CD3/抗CD8/抗CD37を含む。
好ましい実施形態において、本発明の二特異的分子はCRIPTO−Iに結合する。
二特異的分子は各特異性については一価であるか、または各特異性につき多価であり得る。例えば、抗体分子または融合蛋白質は、第一の標的分子と反応する1つの結合部位、および第二の標的分子と反応する1つの結合部位を含むことができるか、あるいはそれは第一の結合分子と反応する2つの結合部位、および第二の標的分子と反応する2つの結合部位を含むことができる。二特異的分子を生産する方法は当該分野でよく知られている。例えば、組換え技術を用いて、二特異的分子を生産に使われることができる。二特異的分子を生産するための例示的技術は当該分野で知られている(例えば、Kontermann et al. Methods in Molecular Biology Vo
l.248:Antibody Engineering:Methods and Protocols.Pp.227−242 US 2003/0207346 A1 およびそこで引用された文献)。1つの実施形態において、マルチマー二特異的分子は、例えば、US 2003/0207346 A1または米国特許第5,821,333号またはUS2004/0058400に記載されたもののような方法を用いて調製される。
本明細書中で用いるように、フレーム「多特異的融合蛋白質」は、少なくとも2つの結合特異性を有する(すなわち、リガンドまたはレセプターの2以上の結合ドメインを組み合わせる)(前記定義の)融合蛋白質を示す。多特異的融合蛋白質は、実質的には、WO
89/02922(1989年4月6日に公開)、EP 314,317(1989年5月3日に公開)、および1992年5月2日に発行された米国特許第5,116,964号に開示されたように、ヘテロダイマー、ヘテロトリマー、またはヘテロテトラマーとして組み立てることができる。好ましい多特異的融合蛋白質は二特異的である。二特異的融合蛋白質の例はCD4−IgG/TNFレセプター−IgGおよびCD4−IgG/L−セレクチン−IgGを含む。最後に述べた分子は、リンパ球ホーミングレセプター(LHR,L−セレクチン)のリンパ節結合機能、およびCD4のHIV結合機能を組み合わせ、HIV感染、関連疾患の予防または治療において、あるいは診断剤としての潜在的適用が見出される。
本発明の多特異的結合分子についての標的結合部位は当業者によって容易に選択することができる。断じて限定されるものではないが、例示的な結合部位は腫瘍抗原の1以上のエピトープを含む。他の例示的な標的分子は,例えば、ヘパリン硫酸、成長因子またはそれらのレセプター(例えば、表皮成長因子レセプター、インスリン−様成長因子レセプター、肝細胞成長因子(HGF/SF)レセプター)の1以上のエピトープを含む(例えば、Cao et al.Proc.Natl.Acad.Sci 2001.98:7443;Lu et al.2004.J.Biol.Chem.279:2856参照)。
もう1つの実施形態において、出発抗体の抗原結合ドメインは、例えば、V鎖の存在下で安定である、ラクダ科動物に由来するVドメインよりなる(Hamers−Casterman et al.(1993),Nature,363:446;Desmyter et al.(1996) Nat.Struct.Biol.3:803;Decanniere et al.(1999).Structure,7:361;Davies et al.(1996).Protein Eng.,9:531;Kortt et al.(1995).J.Protein Chem.,14:167)。
非ヒト出発抗体、またはそのフラグメントまたはドメインは、当該分野で認められた技術を用いてその免疫原生を低下させるように改変することができる。ヒト化出発ポリペプチドが、出発抗体の特性を保持するか、または実質的に保持するが、ヒトにおいて免疫原生が低い、非ヒト−蛋白質に由来する出発ペプチドである。ヒト化出発抗体の場合において、これは、(a)全非ヒト可変ドメインをヒト定常領域に移植して、キメラ標的抗体を生じさせること;(b)非ヒト相補性決定領域(CDR)の1以上の少なくとも一部を、臨界的フレームワーク残基の保持の有りまたは無しにて、ヒトフレームワークおよび定常領域に移植すること;(c)全非ヒト可変ドメインを移植するが、表面残基の置換によってそれらをヒト−様セクションで「覆い隠す」ことを含めた種々の方法によって達成することができる。そのような方法はMorrison et al.,(1984),PNAS.81:6851−5;Morrison et al.,(1988),Adv.Immunol.44:65−92;Verhoeyen et al.,(1988),Science 239:1534−1536;Padlan,(1991),Mol
ec.Immun.28:489−498;Padlan,(1994),Molec.Immun.31:169−217;および米国特許第5,585,089号、第5,693,761号および第5,693,762号に開示されており、それらの全てを、ここに引用してその全体を援用する。
また、脱免疫化を用いて、出発抗体の免疫原性を減少させることもできる。本明細書中に用いるように、用語「脱免疫化」は、T細胞エピトープを修飾するための抗体の改変を含む(例えば、WO 9852976 A1,WO 0034317A2参照)。例えば、出発抗体からのVHおよびVL配列を分析し、ヒトT細胞エピトープは各V領域から「マップ」され、これは、相補性−決定領域(CDR)および該配列内の他の鍵となる残基の位置を示す。T細胞エピトープマップからの個々のT細胞エピトープを分析して、抗体の活性を改変する低い危険性でもって代替のアミノ酸置換を同定する。ある範囲の代替VHおよびVL配列は、アミノ酸置換の組合せを含むように設計され、これらの配列は、引き続いて、機能につきテストされる本発明のある範囲のポリペプチドに取り込まれる。典型的には、12および24の間の変種抗体が生じ、それをテストする。次いで、修飾されたVおよびヒトC領域を含む完全な重鎖および軽鎖遺伝子を発現ベクターにクローン化し、引き続いて、プラスミドを全抗体の生産のために細胞系に導入する。次いで、抗体を、適当な生化学および生物学アッセイで比較し、最適な変種を同定する。
1つの実施形態において、出発ポリペプチドはキメラ抗体を含む。本出願の関連では、用語「キメラ抗体」は、第一の種から免疫反応性領域または部位が得られ、または誘導され、(本発明に従って無傷、部分的または修飾されていてもよい)定常領域が第二の種から得られるいずれの抗体も意味する。好ましい実施形態において、標的結合領域または部位は非ヒト源(例えば、マウス)からのものであって、定常領域はヒトである。好ましくは、標的抗体の重鎖および軽鎖双方における可変ドメインは、1以上のCDRの少なくとも部分的置換および、必要であれば、部分的フレームワーク領域の置換および配列変化によって改変される。CDRは、フレームワーク領域がそれに由来する標的抗体と同一のクラスまたはサブクラスさえの抗体に由来することができるが、CDRは異なるクラスの抗体から、好ましくは、異なる種からの抗体から由来すると考えられる。CDRの全てを、ドナー可変領域からの完全なCDRと置き換えて、1つの可変ドメインの抗原結合能力をもう1つの可変ドメインに移動させる必要はないであろう。むしろ、結合ドメインの活性を維持する必要があるこれらの残基を導入する必要があるだけであろう。米国特許第5,585,089号、第5,693,761号および第5,693,762号に記載された説明を仮定すれば、ルーチン的な実験を行うことによって、または低下した免疫原性を持つ機能的抗体を得るための試行錯誤のテストによって、それは十分に当業者の能力内のものであろう。
好ましい実施形態において、本発明の出発ポリペプチドはヒトにおいて有害な免疫応答を誘導しないであろう。当業者であれば、キメラ出発ポリペプチドも生産することができることを認識するであろう。本出願の関連では、用語「キメラ出発抗体」は、免疫反応性領域または部位が第一の種から得られ、またはそれに由来し、(本発明に従って無傷、部分的または修飾されていてもよい)定常領域が第二の種から得られるいずれの出発抗体も意味する。好ましい実施形態において、標的結合領域または部位は非ヒト源(例えば、マウス)からのものであって、定常領域はヒトである。可変領域の免疫原性特異性はその源によって一般には影響されないが、ヒト定常領域は、非ヒト源からの定常領域よりもヒト被験体からの免疫応答をあまり誘導しないようである。
(C.融合蛋白質)
また、本発明の出発ポリペプチドは、Fc領域の少なくとも1つのFcRn結合部分を含む融合蛋白質でもあり得る。好ましくは、本発明の融合蛋白質は(少なくとも1つの結
合部位を含む)結合ドメインを含む。主題の融合蛋白質は(第一の標的のための1つの結合部位および第二の標的のための第二の結合部位を持ち)二特異的とすることができ、あるいは(同一標的についての2つの結合部位を持ち)多価とすることもできる。
文献に報告された例示的な融合蛋白質はT細胞レセプター(Gascoigne et
al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936−2940(1987));CD4(Capon et al., Nature 337:525−531(1989);Traunecker et al., Nature 339:68−70(1989);Zettmeissl et al., DNA Cell Biol.USA 9:347−353(1990);and Byrn et al., Nature 344:667−670(1990));L−selectin(homing receptor)(Watson et al., J.Cell.Biol.110:2221−2229(1990);and Watson et al., Nature 349:164−167(1991));CD44(Aruffo et al., Cell 61:1303−1313(1990));CD28 and B7(Linsley et al., J.Exp.Med.173:721−730(1991));CTLA−4(Lisley et al., J.Exp.Med.174:561−569(1991));CD22(Stamenkovic et al., Cell 66:1133−1144(1991));TNF receptor(Ashkenazi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Lesslauer et al., Eur.J.Immunol.27:2883−2886(1991);and Peppel et al., J.Exp.Med.174:1483−1489(1991));and IgE receptor a(Ridgway and Gorman,J.Cell.Biol.Vol.115,Abstract No.1448(1991))の融合を含む。
通常、結合ドメインはFc部分のN末端に対してC末端側で、細胞アンカリング領域の代わりに融合される。例えば、リガンド結合レセプターのいずれかの膜貫通領域または脂質またはリン脂質アンカー認識配列は、好ましくは、融合に先立って不活化し、または欠失する。リガンドまたはリガンド結合パートナーをコードするDNAは、所望のORFセグメントをコードするDNAの5’および3’末端でまたはそれに対して基部側にて制限酵素によって切断される。次いで、得られたDNAフラグメントは、重鎖定常領域をコードするDNAに容易に挿入される。融合がなされる正確な部位を経験的に選択して、可溶性融合蛋白質の分泌または結合特徴を最適化することができる。次いで、融合蛋白質をコードするDNAを発現のために宿主細胞にトランスフェクトする。
1つの実施形態において、融合蛋白質は、リガンドまたはレセプターの結合ドメイン(例えば、レセプターの細胞外ドメイン(ECD))を、少なくとも1つのFc部分および、所望により、合成連結ペプチドと組み合わせる。1つの実施形態において、本発明の融合蛋白質を調製する場合、リガンドの結合ドメインまたはレセプタードメインをコードする核酸を、Fc領域のN末端をコードする核酸に対してC末端側に融合させる。N末端側融合も可能である。また、融合を定常ドメインのFc部分のC末端に対し、あるいは重鎖のCH1または軽鎖の対応する領域に対して直ぐN末端に対してなすこともできる。
1つの実施形態において、融合蛋白質のFc領域は、化学的にIgG Fcを規定するパパイン切断部位の丁度上流のヒンジ領域(約残基216EUナンバリング、重鎖定常領域の最初の残基を考慮すると114)で開始し、そのC末端で終了する、抗体の実質的に完全なFc領域を含む。融合がなされる正確な部位は臨界的ではなく;特定の部位はよく知られており、それを選択して、分子の生物学的活性、分泌または結合特徴を最適化する
ことができる。融合蛋白質の製法は当該分野で知られている。
二特異的融合蛋白質では、融合蛋白質はマルチマーとして、特に、ヘテロダイマーまたはヘテロテトラマーとして組み立てることができる。一般には、これらの組み立てられた免疫グロブリンは公知のユニット構造を有するであろう。基本的な4つの鎖構造ユニットはIgG、IgDおよびIgEが存在する形態である。4つの鎖ユニットは高分子量免疫グロブリンにおいては反復され;IgMは、一般には、ジスルフィド結合によって一緒に保持される4つの基本的ユニットのペンタマーとして存在する。IgAグロブリン、および場合によってはIgGグロブリンもまた血清中ではマルチマー形態で存在し得る。マルチマーの場合、4つのユニットの各々は同一または異なってもよい。
主題の融合蛋白質に含めることができるさらなる例示的リガンドおよびそれらのレセプターは以下のものを含む:
(i)サイトカインおよびサイトカインレセプター)
サイトカインは、リンパ球の増殖、分化、および機能的活性化に対して多面効果を有する。種々のサイトカイン、またはそのレセプター結合部分は本発明の融合蛋白質で利用することができる。例示的なサイトカインはインターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13およびIL−18)、コロニー刺激因子(CSF)(例えば、顆粒球CSF(G−CSF)、顆粒球−マクロファージCSF(GM−CSF)、および単球マクロファージCSF(M−CSF))、腫瘍壊死因子(TNF)アルファおよびベータ、およびインターフェロン−α、βまたはγのようなインターフェロンを含む(米国特許第4,925,793号および第4,929,554号)。
サイトカインレセプターは、典型的には、リガンド−特異的アルファ鎖および共通のベータ鎖よりなる。例示的なサイトカインレセプターはGM−CSF、IL−3(米国特許第5,639,605号)、IL−4(米国特許第5,599,905号)、IL−5(米国特許第5,453,491号)、IFNγ(EP0240975)、およびレセプターのTNFファミリー(例えば、TNFα(例えば、TNFR−1(EP 417,563)、TNFR−2(EP 417,014)リンフォトキシンベータレセプター)についてのものを含む。
(ii)接着蛋白質)
接着分子は、細胞が相互に相互作用することを可能とする膜−結合蛋白質である。白血球ホーミングレセプターおよびそのレセプター結合部分の細胞接着分子を含めた種々の接着分子を本発明の融合蛋白質に取り込むことができる。白血球ホーミングレセプターは、炎症の間に白血球細胞表面に発現され、細胞外マトリックス成分への結合を媒介するβ−1インテグリン(例えば、VLA−1、2、3、4、5および6)、および血管内皮上の細胞接着分子(CAM)に結合するβ2−インテグリン(例えば、LFA−1、LPAM−1、CR3、およびCR4)を含む。例示的なCAMはICAM−1、ICAM−2、VCAM−1、およびMAdCAM−1を含む。他のCAMは、E−セレクチン、L−セレクチンおよびP−セレクチンを含めたセレクチンファミリーのものを含む。
(iii)ケモカイン)
ケモカイン、感染の部位に向けての白血球の移動を刺激する化学走性蛋白質もまた本発明の融合蛋白質に取り込むことができる。例示的なケモカインはマクロファージ炎症性蛋白質(MIP−1−αおよびMIP−1−β)、好中球化学走性因子、および(通常T−細胞で発現され分泌される、活性化に際して調節される)RANTESを含む。
(iv)成長因子および成長因子レセプター)
成長因子またはそのレセプター(またはレセプター結合またはそのレセプター結合部分)を本発明の融合蛋白質に取り込むことができる。例示的な成長因子は血管内皮成長因子(VEGF)およびそのイソ形態(米国特許第5,194,596号);aFGFおよびbFGFを含めた線維芽細胞成長因子(FGF);心房性ナトリウム利尿因子(ANF);肝細胞成長因子(HGF;米国特許第5,227,158号および第6,099,841号)、骨−由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5、または−6(NT−3、NT−4、NT−5またはNT−6)のような神経栄養因子、またはNGF−β血小板−由来成長因子(PDGF)のような神経成長因子(米国特許第4,889,919号、第4,845,075号、第5,910,574号および第5,877,016号);TGF−αおよびTGF−β(WO 90/14359)のようなトランスフォーミング成長因子(TGF)、骨形態形成蛋白質(BMP)を含めた骨誘導因子;インスリン様成長因子−Iおよび−II(IGF−1およびIGF−II;米国特許第6,403,764号および第6,506,874号);エリスロポエチン(EPO);幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(C−Mplリガンド)およびWntポリペプチド(米国特許第6,159,462号)を含む。
本発明の標的化レセプタードメインとして用いることができる例示的な成長因子レセプターはEGFレセプター;VEGFレセプター(例えば、Flt1またはFlk1/KDR)、PDGFレセプター(WO 90/14425);HGFレセプター(米国特許第5,648,273号および第5,686,292号)、およびNGF、BNDF、およびNT−3に結合するp75NTRまたはp75とも呼ばれる低親和性レセプター(LNGFR)、およびレセプターチロシンキナーゼのtrkファミリーのメンバー(例えば、trkA、trkB(EP 455,460)、trkC(EP 522,530))である高親和性レセプターを含めた神経栄養レセプターを含む。
(v)ホルモン)
本発明の融合蛋白質において標的化剤として用いられる例示的成長ホルモンはレニン、ヒト成長ホルモン(HGH;米国特許第5,834,598号)、N−メチオニルヒト成長ホルモン;ウシ成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン(PTH);甲状腺刺激ホルモン(TSH);チロキシン;プロインスリンおよびインスリン(米国特許第5,157,021号および第6,576,608号);卵胞刺激ホルモン(FSH)、カルシトニン、黄体ホルモン(LH)、レプチン、グルカゴン;ボンベシン;ソマトトロピン;ムレリアン−阻害物質;レラキシンおよびプロレラキシン;ゴナドトロピン−関連ペプチド;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;OB蛋白質;またはムレリアン−阻害物質を含む。
(vi)血液凝固因子)
本発明の融合蛋白質において標的化剤として用いられる例示的な血液凝固因子は凝固因子(例えば、第V、VII、VIII、X、IX、XI、XIIおよびXIII因子、von Willebrand因子);組織因子(米国特許第5,346,991号、第5,349,991号、第5,726,147号);トロンビンおよびプロトロンビン;フィブリンおよびフィブリノゲン;プラスミンおよびプラスミノーゲン;ウロキナーゼまたはヒト尿または組織−タイプのプラスミノーゲンアクチベータ(t−PA)のようなプラスミノーゲンアクチベータを含む。
他の例示的融合蛋白質は、例えば、WO 0069913A1およびWO 0040615A2に教示されている。本発明の融合蛋白質に含めることができるもう1つの例示的分子はIGSF9である。融合蛋白質は、当該分野でよく知られた方法を用いて調製することができる(例えば、米国特許第5,116,964号および第5,225,538号参照)。
(III.修飾のための候補アミノ酸を同定する方法)
本発明は、(例えば、アミノ酸置換によって)変異により改変された場合に、FcRnに対する結合親和性の変調、および血清中のポリペプチドの半減期の変調がもたらされると予測される、出発Fc含有ポリペプチドのFc領域(またはそのFcRn結合部分)における特定のアミノ酸残基を同定する方法を提供する。
該方法は、FcRnへの結合を変調(例えば、増強または低下)させるのにFc領域中でのアミノ酸改変を予測するのに用いることができる分子または計算モデリングを含む。一般には、該方法は「第一」または「出発」ポリペプチド、またはそれを含有する複合体(例えば、結晶構造または相同性モデル)で始まり、FcRnに対する結合親和性が変調されており、修飾されたポリペプチドが特定の治療または診断適用において良好になされる点で第一のポリペプチドとは異なる「第二の」または「改変された」または「修飾された」ポリペプチドがもたらされる。該モデリングはイン・シリコで行うことができる。
該方法は1以上の工程を含むことができる。例えば、該方法は複合体の構造、または標的FcポリペプチドおよびFcRnの間のそれに対応するデータを供することを含むことができる。もう1つのまたは引き続いての工程において、該方法は、修飾することができ(例えば、変異することができ)、FcRnに対するポリペプチドの結合親和性に影響することが予測される出発ポリペプチドのFc領域内の規定された残基または残基の組(すなわち、候補アミノ酸)を同定することを含むことができる。
出発ポリペプチドのFc領域に導入される好ましい変異は、出発ポリペプチドの抗原−独立性エフェクター機能(例えば、半減期)を改変する変異を含む。1つの実施形態において、変異は、出発ポリペプチドのいずれの他の存在するエフェクター機能(例えば、抗原、リガンド、またはレセプター結合またはFc媒介エフェクター機能(FcRn結合以外))を危うくせず、またはその意図した使用を減少させない。従って、導入された変異は、好ましくは、Fc領域が提供する他の利点の多くを維持する。例えば、Fc含有ポリペプチドは、たいてい、ADCC機能性を有する。この重要な細胞殺傷活性は、切形されたFc領域を有する抗体構築体においては部分的にまたは全部が失われるであろう。Fc−依存性ADCC機能性の維持はある適用においては重要であり得る。なぜならば、それは、ADCC依存性枯渇メカニズムによって働く抗癌薬物または他の薬物の有効性を増強するように働く細胞殺傷効果を誘導することができるからである。
好ましい実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、出発ポリペプチドの他の望ましい免疫エフェクターまたはレセプター結合機能を無くさない、またはより好ましくは変調しない変異を含む。特に好ましい実施形態においては、改変されたポリペプチドは、改変されたポリペプチド、特に、Staphylococcal蛋白質AまたはGの精製を容易とすることができるFc−結合蛋白質への改変されたポリペプチドの結合を改変しない変異を含む。プロテインAへの結合を担うFc上の部位は当該分野で知られている(Deisenhofer J.1981 Biochemistry.Apr 28;20(9):2361−70)。
(A.配列ベースの分析)
1つの実施形態において、潜在的改変部位は、出発ポリペプチドのFc領域と、FcRnに対する異なる結合親和性を持つ哺乳動物Fc領域との配列比較に基づいて予測される。Fc領域の配列を整列させ、異なる結合を持つ配列からの1以上の対応するアミノ酸を出発ポリペプチドのFc領域に置換する。
1つの実施形態において、より短い半減期が望まれる場合、対応するアミノ酸を無関係
な哺乳動物種の免疫グロブリンから選択し、ここに、該免疫グロブリンはFcRnレセプターに対するより低い親和性を呈する。代替実施形態において、より長い半減期が望まれる場合、相同アミノ酸が無関係哺乳動物種の免疫グロブリンから選択され、ここに、該免疫グロブリンはFcRnレセプターに対するより高い親和性を呈する。
例えば、ウサギFc領域は、特に、hFcRnと接触する領域内のヒトFc領域に対して高レベルの相同性を示す。加えて、ウサギIgGはヒトIgGよりもより密接にhFcRnに結合する(Ober et al., Int.Immunol.13:1551−1559,2001)。従って、1つの例示的な実施形態において、潜在的改変部位は、所望の生物学的特性を持つポリペプチドとは異なる(例えば、ヒトFc領域において)修飾されるべきポリペプチドのFc領域(例えば、ウサギFc領域)における残基として同定され、ヒトIgG1 Fc領域のアミノ酸残基の1以上は、ウサギIgG1 Fc領域からの対応するアミノ酸残基の1以上によって置き換えられる。
例えば、キメラ蛋白質は特異的アミノ酸、あるいはウサギFcアミノ酸によって置換されているヒトFcにおけるアミノ酸の組合せを表すであろう。ウサギFcアミノ酸は、ラットIgG2aラットFcRn結晶構造から開発された相同性モデルに示されたヒトFcおよび新生Fcレセプター(hFcRn)の間の接触領域から規定される。次いで、ヒトFc:ヒトFcRnの接触ドメイン内に規定される特異的アミノ酸を、ヒト配列からウサギ配列に変化させることができる。別法として、ヒトFc内の残基の1以上を同一クラスのモルモット免疫グロブリンから対応するアミノ酸残基で置き換えることができる。
例示的改変部位は、EU位置280、281、282、283、284、285、288、289、290、305、307、308、309、315、340、344および378を含む。
より詳しくは、本発明のポリペプチドは、EUナンバリングシステムに従って、:Asp280Asn(ここに、Dは引用されたEU位置(278)において(置換によって)変異されるべきアミノ酸位置を示し、ここに、Nは改変されたポリペプチドにおいて到達すべきその位置へ置換されるべきアミノ酸を示す)、Gly281Glu、Val282Glu、Glu283Gln、His285Arg、Asn286Thr、Lys288Arg、Thr289Pro、Lys290Pro、Val305Thr、Thr307Pro、Val308Ile、Leo309Thr、Asn315Arg、Lys340Arg、Arg344Leu、Ala378Ser、Ser383Lys、Glu386Lys、Pro387Ala、およびAsn389Aspからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸変異を含むことができる。
(B.立体配座分析)
もう1つの実施形態において、標的アミノ酸を同定するための方法は出発ポリペプチド(例えば、Fc含有ポリペプチド)および/またはFcレセプターに結合した出発ポリペプチド(例えば、FcRn)の分析(例えば、目視観察または計算による分析)を含む。
蛋白質の三次元構造はその生物学的活性および安定性に影響し、その構造は多数の方法で決定し、または予測することができる。一般には、経験的な方法は物理的生化学分析を用いる。別法として、三次構造は、既知の三次元構造を有する1以上の相同蛋白質(または蛋白質複合体)の三次元構造のモデル形成を用いて予測することができる。X−線結晶学は、恐らくは、蛋白質構造を決定する最良の既知の方法であり(従って、用語「結晶構造」は用語「構造」の代わりに用いることができる)(例えば、ヒトIgG1 Fc領域の結晶構造は決定されている(Disenhofer et al., Biochemistry,(1981),20:2361−70))、しかしながら、円二色性、光散
乱を用いて、または放射エネルギーの吸収および発生を測定することによって見積もりをなすこともできる。他の有用な技術は中性子回折、核磁気共鳴(NMR)、および相同性モデリングを含む。これらの方法の全ては当業者に知られており、それらは標準的なテキスト(例えば、Physical Chemistry, 4th Ed, W.J.Moore, Prentiss−Hall, N.J.,1972,or Physical Biochemistry,K.E.Van Holde,Prentiss−Hall,N.J.,1971参照)、および多数の刊行物によく記載されている。これらの技術のいずれも、Fc領域、Fc領域を含むポリペプチド(またはそのFcRn結合部分)、またはポリペプチドおよびFcRnの複合体の構造を決定するのに行うことができ、次いで、これを分析して、置換のためのアミノ酸を予測し、および/またはそれを用いて(例えば、後に記載したもののような)手法の1以上の工程を知らせることができる。
抗体、抗体フラグメント、scFv−抗原複合体の結晶を形成するための方法は、例えば、van den Elsen et al.によって報告されている(ここに引用して明示的に援用するProc.Natl.Acad.Sci.USA 96:13679−13684,1999)。そのような当該分野で認められた技術を行って、本発明の方法に従う分析のために、Fc含有ポリペプチドおよびFcRnを含有する複合体の構造を決定することができる。別法として、複合体の公表された構造、またはそれに対応するデータは、商業的または公のデータベース、例えば、Protein Data Bankから容易に入手することができる。加えて、ラットFcRn、および単一FcRn結合部位を含有するヘテロダイマーラットFcの共結晶構造(2.8Å)が最近得られている(例えば、Martin et al., Molecular Cell, (2001),7:867−77)。複合体の構造(例えば、X−線構造)またはそれに対応するデータが知られていない、または入手できない場合、(例えば、もう1つの種または相同なリガンド/レセプター複合体からの)関連複合体を用いる相同モデルを利用することができる。例えば、ラットFc−FcRn複合体の結晶構造を用いて、ヒトFcとFcRnとの相互作用をモデル化することができる。
Fc/FcRn複合体に対応するデータを評価して、潜在的改変部位を決定することができる。もう1つの実施形態において、該方法は、遊離(すなわち、結合していない)Fc含有ポリペプチド、およびFcRnに結合したFc含有ポリペプチドの間の立体配座の差の分析(例えば、構造的または計算分析)を含む。
(C.静電最適化)
本発明の方法を実行するのに用いられる基本的計算式は、例えば、その内容を、ここに引用してその全体を本出願に一体化させる米国特許第6,230,102号に供されている。1つの実施形態において、ポリペプチドは、好ましくは、本明細書中に記載された発明の区別される基準または規則に従って、ポリペプチドおよびFcRnの間の静電力の計算分析の結果に従って改変される(または「修飾される」)。計算分析は、ポリペプチドレセプター複合体内の最適な電荷分布を予測することを可能とし、コンピューターシステムにおける電荷分布を表す1つの方法は多極の組としてである。別法として、電荷分布は、ポリペプチドの原子の位置に位置した点電荷の組によって表すことができる。一旦電荷の分布が決定されれば(好ましくは、最適な電荷分布)、ポリペプチドを電荷分布にマッチさせるように、または良好にマッチさせるように修飾することができる。
計算分析は、米国特許第6,230,102号に記載された計算を行うコンピューター−実行プロセスによって(または、Tidor and Lee,J.Chem.Phys.106:8681,1997;Kangas and Tidor,J.Chem.Phys.109:7522,1998に記載されているように)媒介することができる。コンピュータープログラムを適合させて、ポリペプチド−FcRn結合の現実の世界の
意味を考慮することができ(他の方法とは異なり、本発明の方法は、例えば、溶媒、長い範囲の静電力、および溶媒(例えば、水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、血漿または血液のような水性溶媒)中のポリペプチドおよびFcRnの間の結合の誘電効果を考慮する)。該プロセスを用いて、(未修飾(「出発」ポリペプチドのそれと比較して)修飾されたポリペプチドおよびFcRnの間の結合自由エネルギーに対する静電寄与を最小化する修飾されたポリペプチド上の電荷分布を達成するポリペプチド構造に対する修飾を同定する。典型的なように、本明細書中に記載された(および米国特許第6,230,102号により詳細に)記載された操作を行うコンピューターシステム(またはデバイス)は、情報をユーザーに表示するアウトプットデバイスを含む(例えば、CRTディスプレイ、LCD、プリンター、モデム、オーディオアウトプットなどのような通信デバイス)。加えて、該方法を実行するための指令は、部分的に、または全部が、指令を実行するための電子デバイスで用いるのに適した媒体に付与することができる。かくして、本発明の方法はソフトウェア(例えば、コンピューター−リーダブル指令)およびハードウェア(例えば、コンピューター、ロボティックスおよびチップ)をふくむ高スループットアプローチに修正することができる。コンピューター−実行プロセスは特定のコンピュータープラットフォーム、特定のプロセッサー、または特定の高レベルプログラミング言語に限定されない。有用なプロセスは米国特許第6,230,102号に記載されており、より詳細な解説は、ここに引用してその各々を明示的に援用するLee and Tidor(J.Chem.Phys.106:8681−8690−1997)に供される。
本発明の規則は以下のように適用することができる。例えば、そのような結合を低下させ、改良し、または回復させるためにポリペプチドのFcRn−結合親和性を変調するために、基本的な配列および/または構造データがまず獲得される。
1つの実施形態において、候補アミノ酸残基は、最適下または最適結合親和性を有すると判断される残基から選択することができる。別法として、または加えて、標的アミノ酸残基は、最適または最適下結合親和性を持つ残基に隣接するFc領域内の残基から選択することができる。典型的には、静電電荷最適化をまず用いて、結合に対して最適下であるFc領域の位置を決定する(Lee and Tidor, J.Chem.Phys.106:8681−8690,1997;Kangas and Tidor,J.Chem.Phys.109:7522−7545,1998)。
次いで、1以上の変異(すなわち、修飾)をさらなる計算分析に付す。これらの計算に基づき、次いで、結合親和性を、本発明の規則に従って、1以上の修飾を有する修飾されたポリペプチドのサブセットにつき決定する。連続静電モデルを用い、ポリペプチドのFcにおけるアミノ酸の各側鎖について静電電荷最適化を実行することができる。電荷最適化は、原子中心における電荷を与えるが、常には、現実の変異を生じさせない。従って、注目する位置において天然の側鎖特徴を表すように負荷された種々の拘束を施してあるラウンドの電荷最適化を実行することができる。例えば、原子の電荷で特定の値、例えば、0.85電子電荷単位を超えないというさらなる拘束を課して、−1、0および+1の正味の側鎖電荷につき最適化を実行することができる。次いで、候補アミノ酸の側鎖の位置、およびこれらの位置における残基の修飾を、最適化で開発された静電結合自由エネルギーにおける潜在的利得に基づいて決定する。
完全に未荷電側鎖等電子体に対する天然の残基、すなわち、同一の形状を持つが、原子上で電荷を全く持たないまたは部分的な電荷しか持たない残基から進めて結合自由エネルギーの差(kcal/モルで表す)を計算することができる。負の数は、結合親和性の予測される増加を示す。
結合自由エネルギーの差が好都合であって(ΔG<−0.3kcal/モル)、完全に
未荷電側鎖等電子体に対する天然の残基、すなわち、同一の形状を持つが、原子上に電荷を持たない、または部分的な電荷しか持たない残基からの転移に関連する状況において、非極性側鎖を持つアミノ酸、例えば、A、C、I、L、M、F、P、Vの組からの修飾が選択される。
側鎖における最適な電荷分布、および−1の正味の側鎖電荷で得ることができる結合自由エネルギーの差が好都合である場合(ΔG<−0.3kcal/モル)、負に荷電した側鎖を持つアミノ酸、例えば、D、Eの組からの修飾が選択される。
同様に、側鎖における最適な電荷分布、および+1の正味の側鎖電荷で得ることができる結合自由エネルギーの差が好都合である場合(ΔG<−0.3cal/モル)、正に荷電した側鎖を持つアミノ酸、例えば、R、H、Kの組からの修飾が選択される。
最後に、最適な側鎖の電荷分布および0の正味の側鎖電荷で得ることができる結合自由エネルギーの差が好都合な場合(ΔG<−0.3kcal/モル)、それにC、G、MおよびFが付加された、未荷電極性側鎖を持つアミノ酸、例えば、N、C、Q、G、H、M、F、S、T、W、Yの組からの修飾が選択される。
本明細書中に記載したように、設計された修飾ポリペプチドはイン・シリコで形成することができ、結合エネルギーを再度計算することができる。修飾された側鎖は、60度の二面角増分を用いて、CHARMMにおけるロタマー二面角スキャンを実行することによって形成して、各側鎖につき最も望ましい位置を決定することができる。次いで、ポアソン−ボルツマン静電エネルギー、およびファンデルワールスエネルギーについてのさらなる項、および埋もれた表面積を用い、野生型(出発)および変異体(修飾された)複合体について結合エネルギーを計算する。
次いで、これらの計算修飾計算からの結果を、例えば、イン・シリコ、またはさらなる実験構造/機能データによって知らされた方法の引き続いての反復の後に、必要であれば再度評価する。以下のようにカテゴリー分けすることができる規則はいくつかの予測をなすことを可能とする:
1)FcRnへの結合に際して部分的に埋もれるようになるポリペプチド上の残基が関与する相互作用界面における修飾(相互作用は水素結合を作ることによって改良される);2)結合に際して埋もれるようになり、かくして、脱溶媒ペナルティーを払うが、レセプターとのいずれの直接的静電相互作用もなさないポリペプチド上の極性残基の修飾(改良は、通常、野生型残基と同様な形状を持つ疎水性残基に対する修飾によって、または好都合な静電相互作用をなすことができる残基を加えることによってなされる);および
3)未補充的ポテンシャルの領域にあるポリペプチド上の表面残基の修飾。これらの修飾は、結合界面におけるパッキング相互作用を乱すことなく、ポリペプチドおよびFcRnの間の長い範囲の静電相互作用を改良すると信じられている。
かくして、本発明の規則は、親和性改変、(例えば、低下または増強)、側鎖修飾の成功した予測を可能とする。これらの知見は、3つの一般的クラスの修飾に分類することができる。修飾の第一のタイプは、水素結合を作ることができる抗原上の荷電基を横切っての界面における残基を含み;第二のタイプは結合に際して脱溶媒ペナルティーを払うが、逆静電相互作用をなさない埋もれた極性残基を含み;および第三のタイプは長い範囲の静電相互作用を含む。
第一のタイプの修飾は、基本的物理的/化学的考慮の精査によって決定される。というのは、これらの残基は、抗原の満足されない水素パートナーとで水素結合を実質的に作るからである。他の方法とは異なり、本発明の規則は、脱溶媒の犠牲が役に立つ相互作用エ
ネルギーを凌がない驚くべき残基修飾を可能とした。
第二のタイプの修飾は修飾のさらにもう1つの組を表す。というのは、獲得されたエネルギーは、主として、非−極性相互作用を維持しつつ、好都合でない脱溶媒を排除する結果であるからである。
第三のタイプの修飾は、親和性における有意な利得についてのポテンシャルを示す長い範囲の相互作用に関する。これらのタイプの修飾は特に興味深い。なぜならば、それらは抗原と直接的に接触せず、従って、ポリペプチド−FcRn界面におけるデリケートな相互作用における乱れをほとんど起こさないからである。
従って、所望の側鎖化学が、該規則に従って候補アミノ酸位置につき決定された場合、次いで、例えば、本明細書中にさらに記載するように、置換、挿入または欠失によって残基の位置が修飾され、または改変される。
ポリペプチド修飾についての前記規則に加えて、ある決定、例えば、溶媒の効果を最適な電荷分布の初期(および引き続いての)計算に因子として入れることができる。
1つの実施形態において、標的抗体のエフェクター機能を改変する好ましい変異(例えば、アミノ酸置換)は、電荷最適化データに基づいて選択され、種々のpHレベル(例えば、約7.2〜7.4の中性pH;約3.0〜5.0(例えば、4.0)の酸性pH;または約8.0〜10.9(例えば、9.0)の塩基性pH)におけるFcレセプターへの結合を改変する(例えば、増強または低下させる)Fc領域におけるアミノ酸改変(例えば、置換)を予測することによって同定することができる。
電荷最適化の結果、原子中心における最適な電荷の組が得られるが、現実の変異提唱を生じない。一旦電荷最適化が前記した方法を用いて決定されれば、標的アミノ酸残基の1以上、またはポリペプチドにおけるいずれかの隣接アミノ酸残基(例えば、CHドメインの中または周りの残基、またはFc領域のFcRn結合ループ)を、電荷最適化の結果に基づいて改変(例えば、変異)することができる。このプロセスにおいて、最適電荷分布を分析し、現在の残基よりも最適に近い変異を選択する。例えば、現在の残基にマッチし、良好にマッチし、またはそれよりも最適に近いアミノ酸置換を選択することができる。1つの、または1を超える変異を、最適電荷分布が達成されるように選択することができる。好ましい変異は、データの目視観察によって、またはデータの計算分析によって選択することができる。
最近、静電力を調べるのに用いるソフトウェアは、最適な電荷分布をモデル化し、ユーザーは、次いで、いずれのアミノ酸置換または改変がその分布を改良するかを決定する。従って、(例えば、モデル化された、最適電荷分布を調査し、配列修飾を決定して、抗原結合を改良する)そのような工程は、今回特許請求する方法の一部であり、または一部であり得る。しかしながら、プログラムがアミノ酸置換(または改変)の選択を含むようにソフトウェアを修飾するのは困難ではないであろうから、将来、そのアウトプットを調べ、提案された変化(または所望であれば、そのいくつかの変形)を実行する必要があるのみである。
1つの実施形態において、置換のためのアミノ酸は、種々のpHレベル(例えば、約7.2〜7.4の中性pH;約3.0〜5.0(例えば、4.0)の酸性pH;または約8.0〜10.9(例えば、9.0)の塩基性pH)においてFcレセプターへの結合を改変(例えば、増強または低下)させるFc領域におけるアミノ酸改変(例えば、置換)を予想することによって同定することができる。
1つの実施形態において、本発明は、ポリペプチドのアミノ酸の最適電荷分布の空間的表示、および第一のpHレベルにおける溶媒中でFcRnに結合した場合のポリペプチドの結合自由エネルギーの関連変化を測定し;抗体のアミノ酸の最適電荷分布の空間的表示、および第二のpHレベルにおける溶媒中でFcRnに結合した場合のポリペプチドの結合自由エネルギーの関連変化を測定し;電荷分布の比較に基づいて、第一および第二のpHレベルにおいて異なる電荷分布を呈する残基、FcRnに結合した場合のポリペプチドの結合自由エネルギーを改変するように修飾すべきポリペプチドの少なくとも1つの候補アミノ酸残基位置を同定し;次いで、選択されたアミノ酸残基の置換に際して、FcRnについてのポリペプチドの親和性が変調されるように、該アミノ酸位置についての置換用の選択されたアミノ酸残基を選択することを含む、2つの異なるpHレベルにおいて、FcRnに対する、Fc領域のFcRn結合部分を含むポリペプチドの結合親和性を変調する方法に関する。
1つの実施形態において、第一のpHは約7.4である。1つの実施形態において、第二のpHは約6.0である。
1つの実施形態において、未荷電である出発ポリペプチドのアミノ酸は荷電したアミノ酸で置換される。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドの未荷電アミノ酸はもう1つの未荷電アミノ酸で置換される。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドのアミノ酸(例えば、未荷電または負に荷電したアミノ酸)は正に荷電したアミノ酸で置換される。正に荷電されたアミノ酸はヒスチジン、リシンおよびアスパラギンを含む。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドのアミノ酸(例えば、未荷電または正に荷電されたアミノ酸)は負に荷電されたアミノ酸で置換される。負に荷電されたアミノ酸はアスパラギン酸(アスパラギン酸)およびグルタミン酸(グルタミン酸)を含む。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドのアミノ酸(例えば、負にまたは正に荷電したアミノ酸)は未荷電アミノ酸で置換される。もう1つの実施形態において、出発ポリペプチドのアミノ酸(例えば、未荷電アミノ酸)は、異なる電荷分布を有する未荷電アミノ酸で置換される。
ある実施形態において、改変されたポリペプチドに導入される場合、置換されたアミノ酸は、改変されたポリペプチドが出発ポリペプチドとは異なる正味の電荷を有するように、ポリペプチドの電荷を変化させる。ある他の実施形態において、改変されたポリペプチドに導入される場合、置換されたアミノ酸は、改変されたポリペプチドが出発ポリペプチドと同一の正味の電荷を有するが、異なる電荷分布を有するように、ポリペプチドの電荷を変化させない。
ある実施形態において、アミノ酸は以下の3つの群にグループ分けられる(1)未荷電側鎖を有する非−極性アミノ酸(例えば、A、L、I、V、G、P)。これらのアミノ酸は通常疎水性相互作用に関与する;(2)正味の0の電荷を有するが、その側鎖の異なる部分において0ではない部分的電荷を有する極性アミノ酸を有するアミノ酸(例えば、M、F、W、S、Y、N、Q、C)。これらのアミノ酸は疎水性相互作用および静電相互作用に参画することができる。(3)その側鎖上に0ではない正味の電荷を有することができる荷電アミノ酸(例えば、R、K、H、E、D)。これらのアミノ酸は疎水性相互作用および静電相互作用に参画することができる。
1つの実施形態において、ポリペプチド−Fc相互作用の親和性を改変する少なくとも1つの変異は以下の3つのカテゴリーのうちの1つからの変異である:
(1)相互作用界面における、あるいは界面から離れるFcRnおよびポリペプチドの間の未補充的静電ポテンシャルの領域における電荷分布を変化させる変異。これらの変化は
極性、非極性、および荷電アミノ酸上の基の間の置換(それらは、部分的電荷の位置を常に変化させるであろう)、ならびにそれらが電荷の分布を改変する限り、極性アミノ酸の基内、および荷電したアミノ酸の基内の置換を含むことができる(例えば、CはSG原子の上に部分的負の電荷およびHG原子上に部分的に正の電荷を有する。NはSG、HD原子上に部分的正の電荷およびNDおよびOD原子上に部分的負の電荷を有し;よって、Nに代えてのCの置換は電荷の分布を改変するであろう)。例えば、1つの実施形態において、(0の正味の電荷を持つが、側鎖における原子上に部分的電荷を有する)極性であるアミノ酸での(側鎖中の全ての原子において0の電荷を持つ)非極性であるアミノ酸の置換、またはその逆;
(2)結合に際して埋もれるようになり、かくして、脱溶媒ペナルティー(結合に際しての溶媒の除去のエネルギー的犠牲)を払うが、FcRnとのいずれの好都合な制限相互作用も行わない抗体上の極性または荷電残基の変異。この場合、溶媒とは相互作用せず、従って、結合に際して脱溶媒ペナルティーを払わない非−極性アミノ酸に対する変異によって改良がなされる。
(3)分子の形状を変化させ、かくして、ポリペプチドおよびFcRnの間の媒体の誘電特性に影響する表面残基の変異。溶媒は蛋白質よりも高いスクリーニング能力(誘電定数)を有するので、電荷は溶媒を通じるよりも蛋白質を通じてより強く相互作用する。従って、ポリペプチドおよびFcRn上の電荷の間の空間を蛋白質側鎖で満たす(またはクリアする)と、それらの相互作用を変調するであろう。これらの変異は、置換基が元のアミノ酸とは異なる形状の側鎖を有するアミノ酸置換を含む(等電子体の間のものを除く全ての電荷:VからT、DからN、NからD、LからD、LからN、DからL、LからN、QからE、およびEからQ)。非−極性アミノ酸上の基での置換では、この現象はポリペプチドおよびFcRnの間の静電相互作用に対する唯一の効果であろう。
特別な実施形態において、改変されたポリペプチドは、
からなる群より選択されるEU位置に対応するアミノ酸位置において置換を含む。
より特別な実施形態において、改変されたポリペプチドは以下の変異のいずれか1つまたはいずれかの組合せ(全てまで)を含むことができる:アスパラギン酸でのEU位置248における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置249における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置250における置換;アルギニン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置251における置換;セリンまたはスレオニンでのEU位置252における置換;セリンまたはスレオニンでのEU位置254における置換;アルギニン、グルタミン酸またはリシンでのEU位置256における置換;ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEU位置255における置換;リシンでのEU位置260における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置257における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置277における置換;グルタミン酸でのEU位置279における置換;グルタミンでのEU位置281における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置282における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリンまたはスレオニンでのEU位置287における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置284における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸またはフェニルアラニンでのEU位置285における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸またはメチオニンでのEU位置28
6における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置288における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置290における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置304における置換;アルギニンでのEU位置305における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置306における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置307における置換;アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸での位置309における置換;アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置310における置換;アルギニン、アスパラギン、またはリシンでのEU位置312における置換;アスパラギン酸、アルギニンまたはリシンでのEU位置313における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置315における置換;グルタミンまたはリシンでのEU位置343における置換;アルギニンまたはグルタミンでのEU位置345における置換;アルギニン、リシンまたはロイシンでのEU位置374における置換;アスパラギンでのEU位置376における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置426における置換;アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEU位置428における置換;リシンでのEU位置430における置換;プロリンでのEU位置431における置換;アルギニンでのEU位置432における置換;ロイシンまたはリシンでのEU位置434における置換;またはグルタミン酸でのEU位置438における置換。
より特別な実施形態において、置換はIgG1のFc領域に導入され、以下の変異のうちの1つから選択される:
(D.側鎖再パッキング)
もう1つの実施形態において、好ましいアミノ酸置換を選択する方法は、側鎖再パッキング技術を、Fc含有ポリペプチドおよびFcRnを含有する複合体の構造(例えば、結晶構造またはモデル)への適用を含む。側鎖再パッキング計算において、標的残基は計算により修飾することができ、FcRnに結合した立体配座における得られたFcポリペプチド変異体の安定性は計算により評価することができる。側鎖再パッキング計算は、改変された安定性(すなわち、改変された分子内エネルギー)を有する変種のランクされたリストを生じる。
もう1つの実施形態において、好ましいアミノ酸置換を選択するための方法は、側鎖再パッキング技術の、2つのポリペプチド(例えば、Fc含有ポリペプチドおよびFcRn)を含有する複合体の構造(例えば、結晶構造またはモデル)への適用を含む。次いで、レセプター結合親和性の所望の改変(例えば、増加または減少)をもたらす変異体を、実験的発現につき選択することができる。
計算により評価される蛋白質変異体の数は非常に大きくあり得る。というのは、各可変アミノ酸位置を全ての20の標準的なアミノ酸に変異させることができるからである。計算分析の結果をランク付けするのに用いられる例示的な計算アルゴリズムはデッド−エンド排除およびツリーサーチアルゴリズムを含む(例えば、Lasters et al.(Protein Eng.8:815−822,1995),Looger and Hellinga (J.Mol.Biol.307:429−445,2001)and Dahiyat and Mayo (Protein Sci.5:895−903,1996))。
(E.3−D可視化)
1つの実施形態において、ポリペプチド−FcRn複合体の三次元構造および/またはモデルの(例えば、3−D分子量ビジュアライザーを用いる)ビジュアル分析を視覚的に分析して、特定の分子立体配座に好都合または不都合である変異を予測することができる。
1つの実施形態において、変異の結果、変異したFc含有ポリペプチドおよびFcRnのアミノ酸残基の間にさらなる接触を導入することによって、Fcレセプターに対するFc含有ポリペプチドの親和性の増加がもたらされる。これは、例えば、より小さなアミノ酸側鎖Fc含有ポリペプチド(例えば、アラニン、グリシン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、バリン、システイン)をより大きなアミノ酸側鎖(例えば、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、リシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、スレオニン、ヒスチジン)で置き換えることによって達成することができる。もう1つの実施形態において、変異の結果、FcRnと接触するFc含有ポリペプチドのアミノ酸を改変することによって、Fcレセプターに対するFc含有ポリペプチドの親和性の減少がもたらされる。これは、例えば、Fc含有ポリペプチドのより大きなアミノ酸側鎖(例えば、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、リシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、スレオニン、ヒスチジン)をより小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン、グリシン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、バリン、システイン)で置き換えることによって達成することができる。
1つの実施形態において、1以上の変異を、領域のFcRn結合ループ中で作成する。FcRn結合ループはアミノ酸残基(EUナンバリングに従って280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298および299)よりなる。このループを図1に示す。1つの実施形態において、1以上の変異を、EUナンバリングに従って280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298および299からなる群より選択されるアミノ酸において作成する。1つの実施形態において、FcRn結合ループにおける1以上のアミノ酸に対してなされた変異の結果、FcRnに対する結合親和性は低下する。好ましくは、FcRn結合ループにおける1以上のアミノ酸においてなされた変異の結果、FcRnに対する結合親和性は増加する。1つの実施形態において、本発明は、FcRn結合ループにおける少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させることを含む、本発明のポリペプチドの半減期を増強させる方法に関する。もう1つの
実施形態において、本発明は、増大した半減期を有する本発明の改変されたポリペプチドでの処理で利益を受ける被験体を治療するための組成物に関する。
もう1つの実施形態において、1以上の変異が、例えば、以下の位置における1以上において15Å FcRn接触ゾーンでなされる(それらの位置についての例示的アミノ酸もリストされる)243F;244P;245P;246K;247P;248K;249D;250T;251L;252M;253I;254S;255R;256T;257P;258E;259V;260T;261C;275F;276N;277W;278Y;279V;280D;282V;283E;284V;285H;286N;287A;288K;289T;290K;291P;292R;293E;302V;303V;304S;305V;306L;307T;308V;309L;310H;311Q;312D;313W;314L;315N;316G;317K;318E;319Y;336I;337S;338K;339A;340K;341G;342Q;343P;344R;345E;346P;347Q;348V;367C;369V;372F;373Y;374P;375S;376D;377I;378A;379V;380E;381W;382E;383S;384N;385G;386Q;387P;388E;389N;391Y;393T;408S;424S;425C;426S;427V;428M;429H;430E;431A;432L;433H;434N;435H;436Y;437T;438Q;439K;および440S(EUナンバリング)。
(F.FcR変異体のパンニングライブラリー)
もう1つの実施形態において、本発明のマルチマーFcRnレセプター(すなわち、本明細書中においてさらに詳細に記載されるFcRn−Fc融合蛋白質)を使用して、Fcポリペプチドのいずれかの利用可能なライブラリーのメンバーのエフェクター機能の改変をアッセイすることができる。例えば、本発明のマルチマーFcレセプターを用いて、変異したFc含有ポリペプチドのファージライブラリーをスクリーニングまたは「パンニング」することができる。ファージディスプレイライブラリーは、典型的には、ファージゲノムに挿入されたポリヌクレオチド配列からの変異を含有する変異したFc含有ポリペプチドまたはFc領域またはその領域または部分を発現するファージ粒子を含む。従って、ファージライブラリーは、それらの中に、変異したFc−ポリペプチドのレパートリーまたはコンビナトリアルライブラリーの各メンバーを発現するファージ粒子を含むことができる。これらの方法で用いるファージは、典型的には、fdおよびM13を含めた繊維状ファージである。変異したFc部分は、典型的には、ウイルスコート蛋白質(例えば、ファージ遺伝子IIIまたはVIII蛋白質)との融合としてファージの表面に発現される。ファージライブラリーを作成する方法は当該分野で知られている(Brinkman et al., J.Immunol.Methods,(1995),182:41−50;Ames et al., J.Immunol.Methods,(1995),184;177−86;Kettleborough et al., (1994),24:952−8;Persic et al., Gene,(1997),187:9−18;Burton et al., Advances in Immunol.,(1994),57:191−280参照)。別法として、現存のファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることができる。入手可能なライブラリーはWO 02/060919に記載された改変Fcポリペプチドのライブラリーを含む。
出発ポリペプチドよりも高いまたは低い親和性いずれかを持つ本発明のマルチマーFcレセプターに結合するFc領域を発現するファージは、例えば、固体表面(例えば、ビーズ)上に結合したまたは固定化された標識マルチマーFcRnを用いて選択または同定することができる。また、それは、Fc領域のより高い親和性形態を発現する細胞を選択するためにFACSソーティングで用いることもできよう。
そのような方法を用い、Fc分子の改変された形態を、選択された結合親和性の望まれる増加または減少を伴うFcRnおよび分子に対するそれらの結合親和性における改変につきテストすることができる。
(G.FcRn結合親和性のさらなる最適化)
本発明の方法によって生じた改変されたポリペプチドを再モデル化し、さらに改変して、FcR結合をさらに変調する(例えば、結合をさらに増強させ、またはさらに減少させる)ことができる。かくして、前記した工程に続き、例えば:(a)改変されたまたは「第二の」ポリペプチドおよびレセプターの間の複合体の構造に対応するデータを入手し;(b)(我々がそれを第一の「ラウンド」で得られ用いるデータと区別するために「さらなるデータ」ということができる)データを用い、第二のポリペプチドおよびレセプターの間の結合自由エネルギーへの静電寄与を最小化する第二のポリペプチドの定常領域でのさらなる電荷分布の表示を測定し;次いで、(c)レセプターに結合する第三のポリペプチドを発現させ、該第三のポリペプチドは少なくとも1つのアミノ酸残基によって第二のポリペプチドのそれと異なる配列を有する;を含めたさらなる工程を行うことができる。加えて、経験的結合データを用いて、さらなる最適化を知らせることができる。最適化のなおさらなるラウンドを行うことができる。
(IV.ポリペプチドを改変する方法)
出発ポリペプチドでなされる所望の変異に到達すれば、種々の利用可能な方法のいずれかを用いて、変異を含む改変されたポリペプチドを得ることができる。そのようなポリペプチドは、例えば、組換え方法によって生産することができる。さらに、遺伝子暗号の縮重のため、種々の核酸配列を用いて、各所望のポリペプチドをコードすることができる。
出発ポリペプチドのアミノ酸配列変種をコードする核酸分子を作成するための例示的な当該分野で認められた方法は、限定されるものではないが、部位特異的(またはオリゴヌクレオチド−媒介)変異誘発、PCR変異誘発、ポリペプチドをコードするより初期に調製されたDNAのカセット変異法による調製を含む。
部位特異的変異誘発は置換変種を調製する好ましい方法である。この技術は当該分野でよく知られている(例えば、Carter et al. Nucleic Acids
Res.13:4431−4443(1985)and Kunkel et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1987)参照)。簡単に述べれば、DNAの部位特異的変異誘発を行うにおいて、親DNAを、まず、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドを、そのような親DNAの一本鎖にハイブリダイズすることによって改変する。ハイブリダイゼーションの後、DNAポリメラーゼを用いて、プライマーとしてハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを用い、かつ鋳型として親DNAの一本鎖を用いて全第二のストランドを合成する。かくして、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドを得られた二本鎖をDNAに取り込む。
PCR変異誘発も出発ポリペプチドのアミノ酸配列変種を作成するのに適している。Higuchi,in PCR Protocols, pp.177−183(Academic Press, 1990);and Vallette et al., Nuc.Acids Res.17:723−733(1989)参照。簡単に述べれば、少量の鋳型DNAをPCRにおける出発物質として用いる場合、鋳型DNAにおける対応する領域と配列がわずかに異なるプライマーを用いて、プライマーが鋳型とは異なる位置においてのみ鋳型配列と異なる比較的大量の特異的DNAフラグメントを生じさせることができる。
変種を調製するためのもう1つの方法、カセット変異法は、Wells et al., Gene 34:315−323(1985)によって記載された技術に基づく。出発物質は、変異すべき出発ポリペプチドDNAを含むプラスミド(または他のベクター)である。変異すべき親DNAにおけるコドンが同定される。同定された変異部位の各側にユニークな制限エンドヌクレアーゼ部位がなければならない。もしそのような制限部位が存在しなければ、それらは、前記したオリゴヌクレオチド−媒介変異誘発方法を用いて生じさせて、それらを、出発ポリペプチドDNA中の適切な位置に導入することができる。プラスミドDNAをこれらの部位で切断して、それを線形化する。制限部位の間のDNAの配列をコードするが、所望の変異を含む二本鎖オリゴヌクレオチドを標準的な手法を用いて合成し、ここに、オリゴヌクレオチドの2つのストランドは別々に合成し、次いで、標準的な技術を用いて一緒にハイブリダイズさせる。この二本鎖オリゴヌクレオチドをカセットという。このカセットは、それがプラスミドに直接的に連結できるように、線形化プラスミドの末端に適合する5’および3’末端を有するように設計される。このプラスミドは、今や、変異したDNA配列を含有する。
別法として、あるいは加えて、ポリペプチド変種をコードする所望のアミノ酸配列を決定することができ、そのようなアミノ酸配列変種をコードする核酸配列を合成により生じさせることができる。
改変されたFcRn結合を有する本発明のポリペプチドは、それらがアミノ酸配列において変化したが、所望の活性は変化しないように、さらに修飾することができるのは当業者に理解されるであろう。例えば、「非−必須」アミノ酸残基におけるアミノ酸置換に導くさらなるヌクレオチド置換を蛋白質に対してなすことができる。例えば、免疫グロブリンポリペプチドにおける非必須アミノ酸残基を同一側鎖ファミリーからのもう1つのアミノ酸残基で置き換えることができる。もう1つの実施形態において、アミノ酸のストリングを、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に同様なストリングで置き換えることができ、すなわち、アミノ酸残基を同様な側鎖を有するアミノ酸残基で置き換える保存的置換をなすことができる。
同様な側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
アミノ酸置換とは別に、本発明では、改変されたエフェクター機能を持つFc領域変種を生じさせるための出発Fc領域アミノ酸配列の他の修飾が考えられる。例えば、Fc領域の1以上のアミノ酸残基を欠失させて、FcRへの結合を低下させ、増強させることができる。1つの実施形態において、Fc領域残基の1以上を修飾して、そのようなFc領域変種を生じさせることができる。一般に、1以下〜約10のFc領域残基を本発明のこの実施形態に従って欠失させるであろう。1以上のアミノ酸欠失を含むここでのFc領域は、好ましくは、出発Fc領域の、または天然配列ヒトFc領域の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%を保有する。
また、アミノ酸挿入Fc領域変種を作成することもでき、その変種は改変されたエフェクター機能を有する。例えば、FcR結合をインパクトするものとしてここでは同定されるFc領域位置の1以上に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基(例えば、1〜2のアミノ酸残基で一般的には10以下の残基)を導入することができる。「隣接する」とは、
ここで同定されるFc領域残基の1〜2のアミノ酸残基以内を意味する。そのようなFc領域変種は増強されたまたは減少したFcRn結合を表示することができる。
そのようなFc領域変種は、一般には、Fc領域において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むであろう。1つの実施形態において、アミノ酸修飾は組み合わせることができる。例えば、変種Fc領域は、例えば、ここに同定された特異的Fc領域位置の2、3、4、5などの置換をその中に含むことができる。もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは、FcRnに対する、およびもう1つのFcレセプターに対する改変した結合を有することができる。
Fc領域は2つの同一の蛋白質鎖よりなる。従って、1つの実施形態において、変異は双方の蛋白質鎖に適用される。もう1つの実施形態において、変異は1つの蛋白質鎖においてのみ適用される。
(V.好ましい改変)
本発明の改変されたポリペプチドはそのFc領域内に少なくとも1つの変異(例えば、アミノ酸置換)を含む。1つの実施形態において、置換されたアミノ酸はFc領域のCH2ドメイン内に位置する。もう1つの実施形態において、置換されたアミノ酸はFc領域のCH3ドメイン内に位置する。もう1つの実施形態において、置換されたアミノ酸はFc領域のCH2およびCH3ドメイン双方内に位置する。
1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、血液中での分子の半減期を増強させるように働くFc領域中に少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。増大した半減期を持つ分子は、薬物の周期的投与を同時に減少させるか、あるいは別法として、薬物の用量を減少させる利点を有し、同一のファーマコキネティックプロフィールを維持する。
もう1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、血液中での抗体の半減期を減少させるように働くFc領域中の少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。減少した半減期を持つ分子は、患者への減少した投与および暴露時間の利点を有する。もし改変された抗体が毒性または放射性薬物(例えば、抗癌治療剤)診断標識にコンジュゲートされているならばこれは特に重要である。というのは、抗体の非−特異的および特異的結合の間のバランスが達成されなければならないからである。
半減期または他の抗原−独立性エフェクター機能の改変は、そのFcRn結合親和性に関する、出発抗体および改変された抗体の間の差から予測することができる。
もう1つの例示的実施形態において、ポリペプチドの組織分布または生物学的利用性は、FcRn結合親和性を変調することによって変調される。1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドはFc領域に少なくとも1つのアミノ酸変異を含み、その結果、ポリペプチドは、粘膜表面または病気部位、例えば、病理学によって特徴付けられる腫瘍または他の特異的病気のような、特異的標的組織に増強されて局所化される。
もう1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、未改変出発ポリペプチドの効果に感受性である組織への改変されたポリペプチドの低下した局所化をもたらすFc領域における少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。例示的実施形態において、改変されたポリペプチドは、胎児の組織への母親の循環系からの低下した胎盤移動を呈する。低下した(または増強された)局所化が便宜なようである他の感受性組織は脳、腎臓および肝臓を含む。1つの例示的実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは血管系から腎臓糸球体の上皮を横切っての低下した輸送を呈する。もう1つの実施形態にお
いて、本発明の改変されたポリペプチドは脳からの血液脳関門(BBP)を横切っての低下した輸送を呈する。
もう1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、変異を欠く出発抗体よりも集合したIgGの糸球体上皮細胞への低下したFcRn−媒介結合、およびより低い膜性腎症をもたらすFc領域における少なくとも1つのアミノ酸変異を含む(Haymann et al.2004.Nephron Exp.Nethrol.90:e13−e21)。
Fc(またはFc含有ポリペプチド)の組織局所化の増強または減少は、各々、FcRn(新生Fcレセプター)に対するFc領域親和性の増加または減少に反映されている。同様に、FcRn結合親和性、およびFcポリペプチドの組織分布または生物学的利用性の相関は、トランスサイトーシスによる上皮バリアーを横切っての抗体の輸送を容易とするにおいてFcRnの生物学的役割とも合致する。
いくつかの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、抗原−依存性エフェクター機能(例えば、ADCCまたはCDC)を改変することなく改変された抗原−独立性エフェクター機能を呈するだろう。他の実施形態において、改変されたポリペプチドは、抗原−独立性エフェクター機能および抗原−依存性エフェクター機能双方を改変するであろう。1つの実施形態において、本明細書中に開示された1以上の変異は、増大した抗原−依存性エフェクター機能および減少した半減期を付与することができる。
もう1つの実施形態において、本明細書中に開示された1以上の変異は、増大した抗原−依存性エフェクター機能および増大した半減期を付与することができる。もう1つの実施形態において、本明細書中に開示された1以上の変異は、減少した抗原−依存性エフェクター機能および減少した半減期を付与することができる。もう1つの実施形態において、本明細書中に開示された1以上の変異は、減少した抗原−依存性エフェクター機能および増大した半減期を付与することができる。
特別な実施形態において、改変されたポリペプチドは、
からなる群より選択されるEUアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置において置換を含む。
例示的実施形態において、改変されたポリペプチドは、15Å FcRn定常領域または「ゾーン」(例えば、EU位置243から261、EU位置275からEU位置280、EU位置282からEU位置293、EU位置302からEU位置319、EU位置336からEU位置348、EU位置367、EU位置369、EU位置372からEU位置389、EU位置391、EU位置393、EU位置408、およびEU位置424からEU位置440)のアミノ酸における置換を含む。
もう1つの例示的実施形態において、改変されたポリペプチドは、EUアミノ酸位置2
80、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、および299を含むFcRn接触ループにおける置換を含む。
変異のための例示的Fc領域(またはそのFcRn結合部分)部位は、EU位置280、281、282、283、285、286、288、289、290、305、307、308、309、315、340、344、および378を含む。
もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは以下の変異のいずれか1つまたはいずれかの組合せ(全てまで)を含むことができる:アスパラギン酸でのEU位置248における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置249における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置250における置換;アルギニン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置251における置換;グルタミン、アスパラギン、セリンまたはスレオニンでのEU位置252における置換;メチオニン、アスパラギン酸またはロイシンでのEU位置255における置換;アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEU位置256における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、またはリシンでのEU位置257における置換;アルギニン、グルタミンまたはリシンでのEU位置258における置換;リシンでのEU位置260における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミンまたはリシンでのEU位置277における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置279における置換;アスパラギンでのEU位置280における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸またはグルタミンでのEU位置281における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置282における置換;グルタミンでのEU位置283における置換;アルギニン、リシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置284における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、スレオニンまたはフェニルアラニンでのEU位置285における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、スレオニンまたはメチオニンでのEU位置286における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリンまたはスレオニンでのEU位置287における置換;メチオニン、アルギニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置288における置換;プロリンでのEU位置289における置換;プロリン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置290における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置304における置換;アルギニンまたはスレオニンでのEU位置305における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置306における置換;アルギニン、プロリン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置307における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシンまたはイソロイシンでのEU位置308における置換;スレオニン、アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸での位置309における置換;アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置310における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置311における置換;アルギニン、アスパラギン、ロイシンまたはリシンでのEU位置312における置換;アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEU位置313における置換;アルギニン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置314における置換;アルギニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置315における置換;アスパラギン酸またはリシンでのEU位置316における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置317における置換;アルギニンでのEU位置340における置換;グルタミンまたはリシンでのEU位置343における置換;ロイシンでのEU位置344における置換;アルギニン、リシンまたはグルタミンでのEU位置345における置換;アルギニン、リシン、またはロイシンでのEU位置374における置換;アスパラギン、アルギニン、ロイシン、リシンでのEU位置376における置換;セリンでのEU位置378における置換;リシンでのEU位置383における置換;リシンでのEU位置385におけるグリシンの置換;アラニンまたはリシンでのEU位置386におけるグルタミンの置換;アラニンでのEU位置387における
置換;アスパラギン酸でのEU位置389における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置426における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEU位置428における置換;アルギニン、グルタミン、メチオニン、またはリシンでのEU位置430における置換;リシンまたはプロリンでのEU位置431における置換;アルギニンまたはフェニルアラニンでのEU位置432における置換;ロイシン、アルギニン、リシンでのEU位置434における置換;アルギニンまたはグルタミン酸でのEU位置436における置換;またはグルタミン酸でのEU位置438における置換。
より詳しくは、改変されたポリペプチドは以下の変異のいずれか1つまたはいずれかの組合せ(全てまで)を含むことができる:アスパラギン酸でのEU位置248におけるリシンの置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置249におけるアスパラギン酸の置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置250におけるスレオニンの置換;アルギニン、リシン、またはアスパラギンでのEU位置251におけるロイシンの置換;グルタミン、アスパラギン、セリンまたはスレオニンでのEU位置252におけるメチオニンの置換;メチオニン、アスパラギン酸、またはロイシンでのEU位置255におけるアルギニンの置換;アルギニン、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置256におけるスレオニンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリシンでのEU位置257におけるプロリンの置換;アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEU位置258におけるグルタミン酸の置換;リシンでのEU位置260におけるスレオニンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、またはリシンでのEU位置277におけるトリプトファンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置279におけるバリンの置換;アスパラギンでのEU位置280におけるアスパラギン酸の置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、またはグルタミンでのEU位置281におけるグリシンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置282におけるバリンの置換;グルタミンでのEU位置283におけるグルタミン酸の置換;アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸でのEU位置284におけるバリンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、スレオニン、またはフェニルアラニンでのEU位置285におけるヒスチジンまたはアラニンの置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、スレオニン、またはメチオニンでのEU位置286におけるアスパラギンまたはリシンの置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、またはスレオニンでのEU位置287におけるアラニンの置換;メチオニン、アルギニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置288におけるリシンの置換;プロリンでのEU位置289におけるスレオニンの置換;プロリン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置290におけるリシンの置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置304におけるセリンの置換;アルギニンまたはスレオニンでのEU位置305におけるバリンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置306におけるロイシンまたはバリンの置換;アルギニン、プロリン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置307におけるスレオニンまたはバリンの置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、またはイソロイシンでのEU位置308におけるバリンの置換;スレオニン、アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸でのEU位置309におけるロイシンの置換;アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置310におけるヒスチジンの置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置311におけるグルタミンの置換;アルギニン、アスパラギン、ロイシンまたはリシンでのEU位置312におけるアスパラギン酸またはロイシンの置換;アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEU位置313におけるアスパラギンの置換;アルギニン、リシン、またはアスパラギンでのEU位置314におけるロイシンの置換;アルギニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置315におけるアスパラギンの置換;アスパラギン酸またはリシンでのEU位置316におけるアスパラギンまたはグリシンの置換;アスパラギン酸またはグルタミ
ン酸でのEU位置317におけるリシンの置換;アルギニンでのEU位置340におけるリシンの置換;グルタミンまたはリシンでのEU位置343におけるプロリンの置換;ロイシンでのEU位置344におけるアルギニンの置換;アルギニン、リシン、またはグルタミンでのEU位置345におけるグルタミン酸の置換;アルギニン、リシン、またはロイシンでのEU位置374におけるプロリンの置換;アスパラギン、アルギニン、ロイシン、またはリシンでのEU位置376におけるアスパラギン酸の置換;セリンでのEU位置378におけるアラニンの置換;リシンでのEU位置383におけるセリンの置換;リシンでのEU位置385におけるグリシンの置換;アラニンまたはリシンでのEU位置386におけるグルタミンの置換;アラニンでのEU位置387におけるプロリンの置換;アスパラギン酸でのEU位置389におけるアスパラギンの置換;アルギニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置426におけるセリンの置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、グルタミンまたはリシンでのEU位置428におけるメチオニンの置換;アルギニン、グルタミン、メチオニン、またはリシンでのEU位置430におけるグルタミン酸の置換;リシンまたはプロリンでのEU位置431におけるロイシンの置換;アルギニンまたはフェニルアラニンでのEU位置432におけるヒスチジンの置換;ロイシン、アルギニン、またはリシンでのEU位置434におけるアスパラギンの置換;アルギニンまたはグルタミン酸でのEU位置436におけるチロシンの置換;またはグルタミン酸でのEU位置438におけるグルタミンの置換。
もう1つの実施形態において、本発明のポリペプチドは:EUナンバリングシステムに従って、EでのEU位置281における置換、EでのEU位置282における置換、QでのEU位置283における置換、RでのEU位置285における置換、TでのEU位置286における置換、RでのEU位置288における置換、PでのEU位置289における置換、PでのEU位置290における置換、TでのEU位置305における置換、PでのEU位置307における置換、IでのEU位置308における置換、TでのEU位置309における置換、RでのEU位置315における置換、RでのEU位置340における置換、LでのEU位置344における置換、SでのEU位置378における置換、KでのEU位置383における置換、KでのEU位置385における置換、AでのEU位置386における置換、およびDでのEU位置389における置換からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸変異を含有することができる。
さらに詳しくは、本発明のポリペプチドは:EUナンバリングシステムに従って、Asp280Asn(ここに、Dは引用されたEU位置(280)において変異させるべきアミノ酸位置を示し、ここに、Nは改変されたポリペプチドに到達するその位置において置換されるべきアミノ酸を示す)、Gly281Glu、Val282Glu、Glu283Gln、His285Arg、Asn286Thr、Lys288Arg、Thr289Pro、Lys290Pro、Val305Thr、Thr307Pro、Val308Ile、Leu309Thr、Asn315Arg、Lys340Arg、Arg344Leu、Ala378Ser、Ser383Lys、Glu386Lys、Pro387Ala、およびAsn389Aspからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸変異を含むことができる。
特別な実施形態において、改変されたポリペプチドは、
からなる群より選択されるEU位置に対応するアミノ酸位置において置換を含む。
もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは以下の変異のいずれか1つまたはいずれかの組合せ(全てまで)を含むことができる;アスパラギン酸でのEU位置248における置換;アルギニン、またはリシンでのEU位置249における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置250における置換;アルギニン、リシン、またはアスパラギンでのEU位置251における置換;セリンまたはスレオニンでのEU位置252における置換;アルギニン、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置256における置換;ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEU位置255における置換;リシンでのEU位置260における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置257における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、またはリシンでのEU位置277における置換;グルタミン酸でのEU位置279における置換;グルタミンでのEU位置281における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置282における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、またはスレオニンでのEU位置287における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置284における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸またはフェニルアラニンでのEU位置285における置換;アスパラギン酸,グルタミン酸、またはメチオニンでのEU位置286における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置288における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置290における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置304における置換;アルギニンでのEU位置305における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置306における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置307における置換;アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸でのEU位置309における置換;アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギン酸でのEU位置310における置換;アルギニン、アスパラギン、またはリシンでのEU位置312における置換;アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEU位置313における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置315における置換;グルタミンまたはリシンでのEU位置343における置換;アルギニンまたはグルタミンでのEU位置345における置換;アルギニン、リシン、またはロイシンでのEU位置374における置換;アスパラギンでのEU位置376における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置426における置換;アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEU位置428における置換;リシンでのEU位置430における置換;プロリンでのEU位置431における置換;アルギニンでのEU位置432における置換;ロイシンまたはリシンでのEU位置434における置換;またはグルタミン酸でのEU位置438における置換。
もう1つの実施形態において、置換はIgG1のFc領域に導入され、それは、以下の変異:
の1つから選択される。
前記したように、主題の組成物は本明細書中に記載された変異の1以上を含むことができる。1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは本明細書中にリストされた変異のうちの1つのみを含む。1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、本明細書中にリストされた変異のうちの2つのみを含む。1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは本明細書中にリストされた変異のうちの3つのみを含む。1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは本明細書中にリストされた変異のうちの4つのみを含む。
(A.増強されたFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチド)
1つの実施形態において、本発明は、その対応する出発ポリペプチドと比較して、新生Fcレセプターに対する増強された親和性を持つ改変されたポリペプチドを提供する。好ましくは、改変されたポリペプチドは、変異を含まない匹敵するポリペプチドよりも長い循環半減期を呈する。
1つの実施形態において、増強されたFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチドは以下のEU位置:284、285、286、288、290、および304のうちの1つにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。
もう1つの実施形態において、増強されたFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチドは、以下のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含むことができる;グルタミン酸でのEU位置284における置換;グルタミン酸でのEU位置285における置換;ア
スパラギン酸でのEU位置286における置換;グルタミン酸でのEU位置288における置換;およびグルタミン酸でのEU位置290における置換。
1つの例示的な実施形態において、該改変されたポリペプチドはIgG1分子のFc領域を含む。好ましくは、該分子は以下の変異のうちの少なくとも1つを含む:V282E、V284E、H285E、N286D、N286E、K288E、K290E、およびS304D。
本発明の好ましい実施形態において、修飾されたポリペプチドのFcRnに対する結合親和性は出発ポリペプチドよりも少なくとも約30%、50%、80%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍または100倍だけ増加する。
患者に投与する場合、本発明の改変されたポリペプチドは、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、10日、12日、2週間、3週間、また1ヶ月よりも長い患者における循環半減期を有することができる。例示的な実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは21日よりも長い患者における循環半減期を有する。
1つの実施形態において、改変された結合分子は特に標的組織、例えば、病気となった組織への増強された局所化、または該組織における生物学的利用性を有することができる。例示的な病気となった組織は、新形成組織または腫瘍あるいは脳またはCNS、肺、心臓、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、大腸または小腸,呼吸器管、リンパ節、筋肉、表皮,骨,軟骨,関節、血管、骨髄、前立腺、卵巣、または子宮を含めた、本明細書中に記載した障害のいずれかの病理によって特徴付けられる他の組織または器官を含む。
(B.低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチド)
もう1つの実施形態において、本発明は、その対応する出発ポリペプチドと比較して、新生Fcレセプターに対する低下した親和性を持つ改変されたポリペプチドを持つ。好ましくは、改変されたポリペプチドは、変異を含まない匹敵するポリペプチドよりも短い循環半減期を呈する。
低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチドはEU位置において少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができ、ここに、該EU位置は以下の領域:a)位置248から位置260;b)位置277から位置315;c)位置343から位置374;およびd)位置426から位置438のうちの1つ以内から選択される。
1つの実施形態において、低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチドは以下のEU位置:
のうちの1つにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。
もう1つの実施形態において、低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたFcポリペプチドは以下のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含むことができる:アスパラギ
ン酸でのEU位置248における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置249における置換;アルギニンまたはリシンでのEU位置250における置換;アルギニン、リシン、またはアスパラギンでのEU位置251における置換;セリンまたはスレオニンでのEU位置252における置換;アルギニン、グルタミン酸またはリシンでのEU位置256における置換;ロイシン、アスパラギン酸またはメチオニンでのEU位置255における置換;リシンでのEU位置260における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置257における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置277における置換;グルタミン酸でのEU位置279における置換;グルタミンでのEU位置281における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置282における置換;アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、またはスレオニンでのEU位置287における置換;アスパラギン酸でのEU位置284における置換;アスパラギン酸またはフェニルアラニンでのEU位置285における置換;グルタミン酸またはメチオニンでのEU位置286における置換;アスパラギン酸でのEU位置288における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置290における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置304における置換;アルギニンでのEU位置305における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置306における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置307における置換;アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸での位置309における置換;アルギニン、ロイシン、リシンまたはアスパラギンでのEU位置310における置換;アルギニン、アスパラギン、またはリシンでのEU位置312における置換;アスパラギン酸、アルギニン、またはリシンでのEU位置313における置換;アスパラギン酸またはグルタミン酸でのEU位置315における置換;グルタミンまたはリシンでのEU位置343における置換;アルギニンまたはグルタミンでのEU位置345における置換;アルギニン、リシン、またはロイシンでのEU位置374における置換;アスパラギンでのEU位置376における置換;アルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸でのEU位置426における置換;アルギニン、グルタミン、またはリシンでのEU位置428における置換;リシンでのEU位置430における置換;プロリンでのEU位置431における置換;アルギニンでのEU位置432における置換;ロイシンまたはリシンでのEU位置434における置換;またはグルタミン酸でのEU位置438における置換。
もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは以下の変異:
のいずれか1つまたはいずれかの組合せ(全てまで)を含むことができる。ある好ましい
実施形態において、低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたFcは少なくとも1つの変異:M252S、M252T、V282E、K288E;V308E、V308D、L314K、N434L、またはQ438Eを含むことができる。より好ましい実施形態において、低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチドは少なくとも1つの変異:M252S、M252T、N434L、またはQ438Eを含むことができる。なおより好ましい実施形態において、低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたFcは変異N434LまたはQ438を含む。もう1つの実施形態において、低下したFcRn結合親和性を持つ改変されたポリペプチドは以下のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含むことができる:スレオニンでのEU位置252における置換;アスパラギン酸でのEU位置255における置換;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンでのEU位置282における置換;アルギニン、アスパラギン酸、リシンまたはグルタミン酸での位置309における置換;およびロイシンでの位置434における置換。
1つの例示的実施形態において、改変されたポリペプチドはIgG1分子のFc領域を含む。好ましくは、該分子は以下の変異M252T、R255D、V282R、V282D、V282E、V282K、L309R、L309D、L309K、L309E、またはN434Lのうちの少なくとも1つを含む。
本発明の好ましい実施形態において、修飾されたポリペプチドのFcRnに対する結合親和性は、出発ポリペプチドと比較すると、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%だけ低下する。
患者に投与する場合、本発明の改変されたポリペプチドは、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、10日、12日、2週間、3週間または1ヶ月未満である患者における循環半減期を有することができる。例示的な実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは約21日未満の患者における循環半減期を有する。
1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは、特定の組織、例えば、未改変結合分子からの毒性に対して害を受ける組織への低下した局所化、または該組織における生物学的利用性を有することができる。典型的には、治療剤の毒性効果を被る例示的組織は脳またはCNS、心臓、肝臓、および腎臓を含む。もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは胎児への低下した局所化または胎盤移動を有することができる。もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは、乳または初乳に摂取した場合、新生児の循環系に対して低下した局所化を有することができる。
(V.改変されたポリペプチドの発現)
本発明のポリペプチド、例えば、出発ポリペプチドおよび修飾されたポリペプチドは組換え方法によって生産される。
例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を組換え発現のための適当な発現ベクターに挿入することができる。ポリペプチドが抗体である場合、所望により、定常領域に連結していてもよいさらなる軽鎖および重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを同一または異なる発現ベクターに挿入することができる。親和性タグ配列(例えば、His(6)タグ)は,所望により、出発ポリペプチド配列内に付着させ、または含ませて、下流精製を促進することができる。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実とする発現ベクターにおける制御配列に作動可能に連結される。発現制御配列は、限定されるものではないが、プロモーター(例えば、天然−関連または異種プロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント、
および転写終止配列を含む。好ましくは、発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換し、またはトランスフェクトすることができるベクター中の真核生物プロモーターシステムである。一旦ベクターが適当な宿主に取込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、およびポリペプチドの収集および精製に適した条件下に維持される。
これらの発現ベクターは、典型的には、エピソーム、または宿主染色体DNAの一体化部分として宿主生物において複製可能である。通常、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能とするための選択マーカー(例えば、アンピシリン−抵抗性、ヒグロマイシン−抵抗性、テトラサイクリン抵抗性またはネオマイシン抵抗性)を含む(例えば、米国特許第4,704,362号参照)。
E.coliは、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA配列)をクローニングするのに特に有用な1つの原核生物宿主である。使用するのに適した他の微生物宿主はBacillus subtilusのようなバチルス、およびSalmonella、Serratia、および種々のPseudomonas種のような他のエンテロバクテリウムを含む。
また、酵母のような他の微生物の発現で有用である。SaccharomycesおよびPichiaは例示的な酵母宿主であり、適当なベクターは発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終止配列等を所望により有する。典型的なプロモーターは3−ホスホグリセレートキナーゼおよび他の解糖酵素を含む。誘導性酵母プロモーターは、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロームC、およびメタノール、マルトース、およびガラクトース資化を担う酵素を含む。
微生物に加えて、哺乳動物組織培養を用いて、本発明のポリペプチドを発現させ、生産することができる(例えば、免疫グロブリンまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)。Winnacker, From Genes to Clones, VCH Publishers, N.Y.,N.Y.(1987)参照。真核生物細胞が現実には好ましい。なぜならば、異種蛋白質(例えば、無傷免疫グロブリン)を分泌することができる多数の適当な宿主細胞系が当該分野で開発されているからであり、それは、CHO細胞系、種々のCos細胞系、HeLa細胞、293細胞、骨髄腫細胞系、形質転換されたB−細胞、およびハイブリドーマを含む。これらの細胞についての発現ベクターは複製起点、プロモーター、およびエンハンサーのような発現制御配列(Queen
et al.,Immunol.Rev.89:49(1986))、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写ターミネーター配列のような必要なプロセッシング情報部位を含むことができる。好ましい発現制御配列は免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルス等に由来するプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149(1992)参照。
注目するポリヌクレオチド配列(例えば、重鎖および軽鎖エンコーディング配列および発現制御配列)を含有するベクターを、細胞宿主のタイプに応じて変化する、よく知られた方法によって宿主細胞に導入することができる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核生物細胞で通常に利用され、他方、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェクション、バイオスティクスまたはウイルス−ベースのトランスフェクションを他の細胞宿主で用いることができる(一般に、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harvor Press,2nd, 1989参照)。哺乳動物細胞を形質転換するのに用いられる他の方法はポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクションの使用を含む(
一般に、Sambrook et al.,前掲参照)。トランスジェニック動物の生産では、導入遺伝子を受精卵母細胞に微小注射することができるか、あるいは胚幹細胞のゲノムに取り込むことができ、そのような細胞の核を除核卵母細胞に導入することができる。
また、トランスジェニック動物のゲノムへの導入、および例えば、トランスジェニック動物の乳中での引き続いての発現のために、主題のポリペプチドを導入遺伝子に一体化させることもできる(例えば、Deboer et al.,5,741,957;Rosen 5,304,489;and Meade 5,849,992参照)。適当な導入遺伝子は、カゼインまたはベータラクトグロブリンのような哺乳動物乳腺特異的遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサーと作動可能に連結した軽鎖および/または重鎖についてのコーディング配列を含む。
改変されたポリペプチド(例えば、ポリペプチド)を単一ベクターまたは2つのベクターを用いて発現させることができる。例えば、抗体の重鎖および軽鎖を別々の発現ベクターにクローン化し、細胞へ共トランスフェクトすることができる。
1つの実施形態において、シグナル配列を用いて、本発明のポリペプチドの発現を容易とすることができる。
一旦発現されれば、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム(例えば、プロテインAまたはプロテインG)、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動等を含めた、当該分野での標準的な手法に従って、ポリペプチドを精製することができる(一般に、Scopes, Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.(1982)参照)。好ましい実施形態において、精製手法は、後に記載する本発明のマルチマーFcレセプターの使用を用いることができる。
(VI.結合親和性の分析)
結合親和性は種々の方法で測定することができる、一般に、親和性が定義されるまたは測定される正確な方法にかかわらず、本発明の方法は、それからそれが作成された出発ポリペプチドへのその臨床的適用のいずれかの態様において優れたポリペプチドを生じさせる場合、FcRnへの結合親和性を変調する(例えば、本発明の方法は、修飾されたポリペプチドをより低い用量で、または低い頻度で、あるいはより便宜な投与方法によって投与することができるか、あるいは低下した副作用または改変された生体内分布を有する場合に効果的であるまたは成功すれば、考えられる)。
改変されたポリペプチドのエフェクター機能の改変は、特定のFcレセプターに対するその結合親和性を測定することによって決定することができる。1つの実施形態において、抗原−依存性エフェクター機能の改変は、Fcガンマレセプターに対する改変されたポリペプチドの結合親和性を測定することによって決定することができる。もう1つの実施形態によって、抗原−独立性エフェクター機能(例えば、半減期または生体内分布)は、他のFcレセプター、特に、新生Fcレセプター(例えば、FcRn)に対する結合親和性を測定することによって決定することができる。
本発明の改変されたポリペプチドの結合親和性の改変は、改変されたポリペプチドの結合親和性を適当な対照ポリペプチド(例えば、対応する出発ポリペプチド)と比較することによって決定することができる。1つの実施形態において、結合親和性の改変は、第一のアッセイにおける改変されたポリペプチドの結合親和性を、第二の結合アッセイにおける対照ポリペプチドの結合親和性と比較することによって決定することができる。別の実施形態において、結合親和性の改変は、改変されたポリペプチドの結合親和性および同一
アッセイにおける対照ポリペプチドと比較することによって決定することができる。例えば、該アッセイは競合結合アッセイとして行うことができ、そこでは、改変されたポリペプチドの結合親和性を、対照ポリペプチドの濃度を増加させて評価することができる。特別な実施形態において、Fcレセプター(例えば、FcRn)に対する結合親和性は第一のpH(例えば、酸性pH)および第二のpH(例えば、塩基性pH)において決定することができる。
さらに詳しくは、ポリペプチド、およびそれが結合するレセプターの間の親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴(例えば、BiaCore assay)、分析超遠心法、ゲル濾過、FRET、およびELISA1またはKinExATM3000アッセイ(Sapidyne Instrulments(Boise,ID)から入手可能)を含めた種々のアッセイによって測定することができる。例示的アッセイは後に詳しく記載する。
(i)無細胞アッセイ)
改変されたポリペプチドのエフェクター機能(例えば、FcR結合親和性)をテストするためのいくつかのインビトロ無細胞アッセイは当該分野で記載されている。好ましくは、細胞ベースのアッセイは、可溶性形態Fcレセプター、例えば、モノマーFcレセプター、または本発明のマルチマーFcレセプターへの改変された抗体の結合を評価することができる。自動化およびHTS技術をスクリーニング手法で利用することができる。スクリーニングは、検出可能とする標識(例えば、同位体標識,発色団、フルオロフォア、ルミフォア、またはエピトープ)の使用を用いることができる。標識は、アッセイされるマルチマーFcレセプターまたはFc含有ポリペプチドに付着させることができる。
例示的な無細胞アッセイは、限定されるものではないが、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)、BRET(生物発光共鳴エネルギー移動)、Alphascreen(増幅発光近接ホモジニアス)−ベースのアッセイ、シンチレーション近接アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、SPR(BIACORE(登録商標)のような表面プラズモン共鳴)、等温滴定熱量計、示差走査熱分析、ゲル電気泳動、分析超遠心法、およびゲル−濾過クロマトグラフィーを含めたクロマトグラフィーを含む。
(ii)細胞ベースのアッセイ)
改変されたポリペプチドのエフェクター機能(例えば、FcR結合親和性)をテストするためのいくつかのインビトロ細胞ベースのアッセイが当該分野で記載されている。好ましくは、細胞ベースのアッセイは、Fcレセプターの表面形態への改変された抗体の結合を評価することができる。例示的な細胞ベースのアッセイはブリッジングアッセイおよびフローサイトメトリーを含む。
例示的な実施形態において、改変された抗体のFcR結合親和性は、FcRブリッジングアッセイを用いて測定することができる。FcR(例えば、FcRnまたはFcγR)結合親和性を抗体の能力に基づくアッセイで測定して、抗原およびFcR担持細胞の間に「ブリッジ」を形成することができる。
(iii)モデル動物アッセイ)
また、本発明の改変されたポリペプチドをモデル動物に投与して、例えば、抗体の半減期または生体内分布をテストすることによって、動物目的、またはヒト病気の動物モデル,例えば、前記した免疫疾患または障害として、療法で用いるためのその潜在能力をテストすることもできる。後者に関しては、そのような動物モデルは、本発明の抗体の治療効果を評価するために有用であろう(例えば、エフェクター機能、投与量、および投与のタイムコースのテスト)。
1つの実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは、循環半減期の改良につきテストすることができる。増強された半減期を持つ改変されたポリペプチドはモデル動物に投与する場合、変異を含まない匹敵するポリペプチドよりも長く循環内で留まることが予測される(例えば、改変された抗体が変異を含有する場合の位置において変異を含有しない同一の型(例えば、IgG1のようなIgG)の抗体)。例えば、21日はヒト抗体についての典型的なベータ相半減期であるので、本発明の改変された抗体は21日よりも長く循環するものであり得る。もう1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは標的抗体に対して低下した半減期を有する。例えば、標的抗体に対して低下した半減期(例えば、21日未満)を持つ改変された抗体を選択することができる。
腫瘍形成を予防または治療するための本発明の改変されたポリペプチドの治療効果を評価するのに用いることができる動物モデルの例は腫瘍異種移植片モデルを含む。
関節リウマチ(RA)を予防または治療するための本発明の改変されたポリペプチドの治療効果を評価するのに用いることができる動物モデルの例はアジュバント−誘導RA、コラーゲン−誘導RA,およびコラーゲンmAb−誘導RAを含む(Holmdahl et al,.Immunol.Rev.184:184,2001;Holmdahl
et al.,Ageing Res.Rev.1:135,2002;Van den Berg,Curr.Rheumatol.Rep.4:232,2002)。
炎症性腸疾患(IBD)を予防または治療するための本発明の改変されたポリペプチドの治療効果を評価するのに用いることができる動物モデルの例はTNBS−誘導IBD、DSS−誘導IBDを含む(Padol et al.,Eur.J.Gastrolenterol.Hepatol.12:257,2000;Murthy et al.,Dig.Dis.Sci.38:1722,1993)。
糸球体腎炎を予防または治療するための本発明の改変されたポリペプチドの治療効果を評価するのに用いることができる動物モデルの例は抗GBM−誘導糸球体腎炎(Wada
et al.,Kidney Int.49:761−767,1996)および抗thyl−誘導糸球体腎炎(Schneider et al.,Kidney Int,56:135−144,1999)を含む。
多発性硬化症を予防または治療するための本発明の抗体または抗原−結合フラグメントの治療効果を評価するのに用いることができる動物モデルの例は実験的自己性免疫脳脊髄炎(EAE)を含む。(Link and Xiao, Immunol.Rev.184:117−128,2001)。
(VII.FcRn融合蛋白質)
もう1つの態様において、本発明は、例えば、精製で用いるための、本発明の改変されたFc含有ポリペプチドの結合親和性を決定するための、またはFcRnに対する結合に影響する更なるFc変異についてのパンニングのための新規な試薬を提供する。
本発明の試薬は、第一のポリペプチドおよび少なくとも1つのさらなるポリペプチドを含むマルチマーFc結合蛋白質であり、ここに、該第一およびさらなるポリペプチドは、各々、少なくとも1つのモノマーFc結合ドメインに作動可能に連結した少なくとも1つのFc領域またはその部分を含む。
1つの実施形態において、Fc領域またはその部分、および各ポリペプチドのその部分のFc結合ドメインは、当該分野で容易に利用できる技術を用いて遺伝的に融合される。ある実施形態において、マルチマーは、該第一およびさらなるポリペプチドの間の非共有
結合によって形成される。もう1つの実施形態において、マルチマーは、該第一およびさらなるポリペプチドの間の共有結合(例えば、ジスルフィド結合)によって形成される。好ましくは、該第一および第二のポリペプチドをその各Fc領域において(例えば、ジスルフィド結合によって)共有結合させて「ダイマー」(または二座)Fc結合ドメインを形成する。1つの実施形態において、Fc領域は、それらのエフェクター機能、特に、Fcレセプターへの結合がなくされ、または不活化されるように改変(例えば、変異)することができる。該Fc領域およびFc結合ドメインは、各ドメインを発現するいずれかの生物に由来することができる。好ましい種はヒト、サル、マウス、ラット,およびウサギを含む。マルチマーFcレセプターはキメラであってよく、例えば、Fc領域はげっ歯類(例えば、マウスまたはラット)に由来してもよく、他方、Fc結合ドメインは霊長類(例えば、ヒトまたはサル)に由来する。
ある好ましい実施形態において、該試薬はFcレセプター(例えば、Fc新生レセプター)に由来するFc結合ドメインまたはその細胞外部分を含むことができる。1つの実施形態において、本発明のFcRn:Fc分子はダイマー分子であり;各モノマーは、新生レセプター(例えば、レセプターのα1およびα2ドメイン)のアルファ鎖の細胞外ドメイン、およびそのFc領域または部分を含む第一のポリペプチド、および第二のベータ−マイクログロブリン(ベータm)ポリペプチドを含むダイマーをなす。1つの実施形態において、Fc領域はIgG1に由来する。好ましいヒトFcRnアルファ−Fc融合のDNA配列は配列番号9に示され、予測されるアミノ酸配列は配列番号10に示される。Fc領域は、好ましくは、モノマーまたはマルチマーFcレセプターへのその結合を低下させる少なくとも1つの変異を含む。例えば、変異は、例えば、実施例4に記載されるように、アミノ酸位置310、311、433および434(EUナンバリング)においてなすことができる。
驚くべきことに、マルチマーFcレセプターはモノマーFcレセプターよりもかなり高いレベルで発現することができる。例えば、同一のベクター上、または別々のベクター上にて一緒に、FcRn:Fc融合蛋白質およびベータmをコードする発現ベクターでの哺乳動物細胞系(例えば、CHO)の安定なトランスフェクションにより、100mg/Lまでの収率を得ることができる。
本発明の試薬は現存の試薬よりも優れた多くの利点を提供する。本発明者らは、本発明のマルチマーFcレセプターがFc含有ポリペプチドとの大きく増強された結合相互作用を有するという驚くべきかつ予測予期せぬ発見をなした。固定化されたhIgGに対するhFcRnFcについてのBiacoreによる結合親和性の測定は、モノマーhFcRnについての2,000ナノモラーに対して25ナノモラーの結合親和性を示す。例えば、該試薬はFc含有ポリペプチド(例えば、抗体のFc領域)の少なくとも2つの別々のFcR結合部位に結合することができる。特に、本発明の試薬は、ポリペプチドのFc領域(例えば、抗体)の双方の重鎖上のFcR結合部位に結合することができる。これらの特性は、Fc含有ポリペプチドとの増強された結合相互作用を付与する。特に、本発明の試薬は、増強された安定性および/または結合活性でもってFc含有ポリペプチドに結合することができる。現存の試薬は、典型的には、多数の欠陥に悩むモノマー可溶性Fcレセプターまたはそのフラグメントを含む。例えば、モノマーFcレセプター、特に、ヒトモノマーFcRnは、固体(例えば、プラスチック)表面にコートし、標識し、または固定化した場合のそれらの貧弱な親和性および不安定性のため多くのハイ−スループットスクリーニング(HTS)アッセイフォーマット(例えば、HTS ELISA)で用いることができない。さらに、モノマーFcレセプターへのFc−ポリペプチドの結合は比較的弱く、結合シグナルの測定を困難とする。モノマーFcレセプターと比較して、本発明のマルチマーFcレセプターは、その増強された安定性、および特定のFc含有ポリペプチドへの改良された(例えば、>100倍)結合親和性のためより頑強なアッセイを提供
する。
したがって、本発明のマルチマーFcレセプターは広い範囲のスクリーニング手法で使用して、いずれかのFc含有ポリペプチドのFcR結合親和性の改変をテストすることができる。本発明のマルチマーFcレセプターは、マルチマーFcレセプターへのFc含有ポリペプチド(例えば、抗体)の結合を評価することができる当該分野で公知のいずれかの無細胞結合アッセイで利用することができる。アッセイの要件に従い、本発明のマルチマーFcレセプターは固体基材に固定化することができるか、あるいは溶液中に自由に浮かべることができる。適合する無細胞結合アッセイが本明細書中で引用される。1つの実施形態において、本発明のマルチマーFcレセプターを使用して、本発明の改変されたポリペプチドのエフェクター機能の改変をテストすることができる。
もう1つの実施形態において、本発明のマルチマーFcレセプターは、Fc含有ポリペプチドの精製で使用することができる。例えば、本発明のマルチマーFcレセプターは、Fc含有ポリペプチドがマルチマーFcレセプターに対するそのより大きな親和性に基づいて混合物から精製できるように、カラムに固定化することができる。これらの方法は、(例えば、Hisまたはエピトープタグで)精製を容易とするタグで蛋白質を標識するのに必要とする既存の親和性精製方法よりも優れたある利点を提供する。そのようなタグは精製された蛋白質(例えば、治療剤としての投与)および、もし除去されれば、生成物収率の広範囲の喪失をもたらす必要な広範囲の再精製工程をそれらから除去する方法の意図した使用に干渉することができる。
例示的な実施形態において、本発明のマルチマー新生Fcレセプターは、第一のpH(例えば、酸性pH)におけるカラムへのFc含有ポリペプチドの結合、および第二のpH(例えば、中性pH)におけるカラムからの溶出を容易とすることができる。そのような精製方法は、Fc含有ポリペプチドを精製する既存の方法よりも優れた更なる利点を提供する。例えば、プロテインAアフィニティーカラムは、抗体および他のFc含有ポリペプチドの精製で通常用いられる。しかしながら、カラムからのポリペプチドの溶出は、ポリペプチドを破壊し、生成物収率の広範囲な喪失をもたらしかねない比較的荒い処理(例えば、低pH)を必要とする。対照的に、マルチマー新生Fcレセプター親和性からのFc含有ポリペプチドの溶出は、第一のpH(例えば、pH5.8〜6.5)からの第二のpH(例えば、pH7.0〜7.5)への僅かな上昇が必要なのに過ぎない。
もう1つの実施形態において、マルチマーFcレセプター(例えば、さらに、本発明の試薬)は、いずれかのFc含有蛋白質ベースの治療剤、特に、モノクローナル抗体治療剤の安全性をテストするのに利用することができる。例えば、ある種のFc含有ポリペプチド(例えば、酸化されたFc含有ポリペプチド)は、患者に投与されると、害される組織(例えば、母親から胎児への胎盤移動)に対して望ましくないトランスサイトーシスを呈しかねない。そのようなFc含有ポリペプチドが、より低い親和性をもってマルチマーFcレセプターに結合すると予測され、酸化されていないポリペプチドより前に溶出するであろう。メチオニン(例えば、EU位置253および429)残基は特に酸化に対して害される。したがって、FcポリペプチドをマルチマーFcレセプターへの結合につきスクリーニングすることができ、もしマルチマーFcレセプターに対する結合親和性が許容できる閾値において起こるならば治療用途のために選択することができる。例えば、1つの実施形態において、マルチマーFcレセプターへの結合を用いて、ポリペプチドの調製の中でも、バッチの合致性を測定し、または品質制御テストを行うことができる。
本発明のマルチマーFcレセプターは、本明細書中に記載された方法のいずれかを用いて製造することができる。
(VIII.改変されたFc含有ポリペプチドのさらなる修飾)
改変されたFc含有ポリペプチドは、さらに修飾して、所望する効果を供することができる。例えば、ある実施形態において、改変されたポリペプチドは、さらなる部位、例えば、ポリペプチドの所望の機能(例えば、治療効果)を改良するように働く、PEG化部位、ブロッキング部位、検出可能部位、診断部位および/または治療部位のような機能的部位へコンジュゲートさせる(すなわち、物理的に連結させる)ことによって(例えば、化学的または遺伝子的手段により)修飾することができる。化学的コンジュゲーションは、ランダムに、または改変されたポリペプチド内の特定の残基の部位特異的修飾によって行うことができる。例示的な機能的部位をまず以下に記載し、続いて、そのような機能的部位を改変されたポリペプチドの種々のアミノ酸側鎖化学へ連結するのに有用な化学を記載する。
(a)機能的部位)
有用な機能的部位の例は、限定されるものではないが、PEG化部位、ブロッキング部位、検出可能部位、診断部位、および治療部位を含む。
例示的なPEG化部位はポリエチレングリコール部位、例えば、PEG部位、好ましくはPEG−マレイミド部位を含む。好ましいPEG化部位(または関連ポリマー)は、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリオキシエチル化グリコール(「POG」)および他のポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール(「PVA」)および他のポリアルキレンオキサイド、ポリオキシエチル化ソルビトール、またはポリオキシエチル化グリコールであり得る。該ポリマーは、少なくとも1つの活性なスルホン部位を有する限り、直鎖または分岐差の、置換されたまたは置換されていない前記リストのモノマーに基づいてホモポリマー、ランダムまたはブロックコポリマー、ターポリマーであり得る。該ポリマー部分は、いずれの長さまたは分子量のものであってもよいが、これらの特徴は生物学的特性に影響し得る。医薬適用においてクリアランス速度を減少させるのに特に有用なポリマーの平均分子量は、2,000〜35,000ダルトン範囲である。加えて、もし2つの基をポリマーに連結させるならば、各末端の1つ、ポリマーの長さは効果的な距離、および2つの基の間の他の空間的関係にインパクトを与え得る。かくして、当業者であれば、ポリマーの長さを変化させて、所望の生物学的活性を最適化し、または付与することができる。PEGはいくつかの理由で生物学的適用で有用である。PEGは典型的には透明であり、無色であり、無臭であり、水に可溶性であり、熱に対して安定であり、多くの化学剤に対して不活性であり、加水分解せず、かつ非毒性である。
好ましくは、PEG化部位は、増強された寿命を有する本発明の改変されたFc含有ポリペプチドに付着される。PEG化部位は、分子の見掛けの分子量を増加させることによって、改変されたポリペプチドの半減期をさらに増強するように働くことができる。増大した見掛けの分子量は、皮下または全身投与に続いての身体からのクリアランスの速度を低下させる。多くの場合、PEG化は抗原性および免疫原性を減少させるようにも働く。加えて、PEG化は改変されたポリペプチドの溶解度を増加させることができる。
例示的なブロッキング部位は、抗原−依存性エフェクター機能が、例えば、Fcレセプターまたは補体蛋白質に結合するFc領域の能力を阻害することによって低下されるような、システインアダクト、シスチン、混合ジスルフィドアダクト、または十分な立体的嵩および/または電荷の他の化合物を含む。好ましくは、該ブロッキング部位は、エフェクター機能がさらに低下されるように、低下したエフェクター機能を持つ本発明の改変されたポリペプチドにコンジュゲートされる。
本発明の改変されたポリペプチドへのコンジュゲーションで有用であり得る例示的検出
可能部位は、蛍光部位、放射性同位体部位、放射性不透過部位など、例えば、ビオチン、フルオロフォア、クロモフォア、スピン共鳴プローブ、または放射性標識のような検出可能な標識を含む。例示的なフルオロフォアは蛍光色素(例えば、フルオレセイン、ローダミンなど)および他の蛍光分子(例えば、ルミナール)を含む。フルオロフォアは、もしそれが、基質(例えば、ダンシルプローブ)への結合に際して構造的変化を受ける修飾された蛋白質における1以上の残基に近く位置していればその蛍光が変化するように、環境に感受性であり得る。例示的な放射性標識は、1以上の低い感度の核を持つ原子(13C、15N、H、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Ga、111Inなど)を含有する小さな分子を含む。他の有用な部位は当該分野で公知である。
本発明の改変されたポリペプチドへのコンジュゲーションであり得る診断部位の例は、病気または障害の存在を明らかにするのに適した形質可能な部位を含む。典型的には、診断部位は分子、例えば、病気または障害に関連する標的ペプチド、蛋白質、または複数蛋白質の存在、不存在またはレベルを測定するのを可能とする。そのような診断剤は、病気または障害およびその進行を予後および/または診断するのにも適している。
本発明の改変されたポリペプチドへのコンジュゲーションで有用であり得る治療部位の例は、例えば、抗炎症剤、抗癌剤、抗神経変性剤、および抗感染剤を含む。機能的部位は前記した機能の1以上を有することもできる。
例示的な治療剤は、核DNAにおいて複数のストランド破壊を引き起こすことができ、従って、(例えば、癌の)細胞の死滅を誘導するのに適した高エネルギーイオン化放射線を持つ放射性核種を含む。例示的な高−エネルギー放射性核種は:90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Reおよび188Reを含む。これらの同位体は、典型的には、短い経路長を有する高エネルギーα−またはβ−粒子を生じる。そのような放射性核種は、それが近くにある細胞、例えば、コンジュゲートが付着したか、または進入した新形成細胞を殺す。それらは、非−局所化細胞に対してほとんどまたは全く効果を有さず、本質的には非−免疫原性である。
例示的治療剤は細胞増殖抑制剤(例えば、アルキル化剤、DNA合成阻害剤、DNA−インターカレーターまたは架橋剤、またはDNA−RNA転写調節剤)、酵素阻害剤、遺伝子レギュレーター、細胞傷害性ヌクレオシド、チューブリン結合剤、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト、抗脈管形成剤なども含む。
例示的治療剤は薬物のアントラサイクリンファミリー(例えば、アドリアマイシン、カルミノマイシン、サイクロスポリン−A、クロロキノン、メトプテリン、ミトラマイシン、ホルフィロマイシン、ストレプトニグリン、ポルフィロマイシン、アントラセンジオンおよびアジリジン)のようなアルキル化剤も含む。もう1つの実施形態において、化学治療部位はDNA合成阻害剤のような細胞増殖抑制剤である。DNA合成阻害剤の例は、限定されるものではないが、メトトレキセートおよびジクロロメトトレキセート、3−アミノ−1,2,4−ベンゾトリアジン1,4−ジオキサイド、アミノプテリン、サイトシンβ−D−アラビノフラノシド、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシル、ガンシクロビール、ヒドロキシ尿素、アクチノマイシン−D、およびマイトマイシンCを含む。例示的なDNA−インターカレーターまたは架橋剤は、限定されるものではないが、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロロアムブシル、シクロホスファミド、二塩化シス−ジアミノ白金(II)(シスプラチン)、メルファラン、ミトキサントロンおよびオキサリプラチンを含む。
例示的な治療剤はアクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ホモハリングトニンおよびイダルビシンのような転写レギュレーターも含む。本発明に適合する他の例示的細胞増殖抑制剤はアンサムシンベンゾキノン、キノノイド誘導体(例えば、キノロン、ゲネステイン、バクタサイクリン)、ブスルファン、イフォスファミド、メクロレタミン、トリアジクオン、ジアジクオン、カルバジルキノン、インドロキノンEO9、ジアジリジニル−ベンゾキノンメチルDZQ、トリエチレンホスフォラミド、およびニトロソ尿素化合物(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン)を含む。
例示的な治療剤は、例えば、アデノシンアラビノシド、シタラビン、シトシンアラビノシド、5−フルオロウラシル、フルダラビン、フロキシウリジン、フトラフル、および6−メルカプトプリンのような細胞傷害性ヌクレオシド;タキソイド(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン)、ノコダゾール、リゾキシン、ドラスタチン(例えば、ドラスタチン−10、−11、または−15)、コルヒチンおよびコルヒチノイド(例えば、ZD6126)、コムブレタスタチン(例えば、コムブレタスタチンA−4、AVE−6032)、およびビンカアルカノイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン(ナベルビン))のようなチューブリン結合剤;アンギオスタチンK1−3、DL−α−ジフルオロメチル−オルニチン、エンドスタチン、フマギリン、ゲニステイン、ミノサイクリン、スタウロスポリン、および(±)−サリドマイドのような抗脈管形成化合物も含む。
例示的治療剤はコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンまたはメドロプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、テストステロン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド)、17−(アリルアミノ)−17−デモキシゲルダナマイシン、4−アミノ−1,8−ナフタルイミド、アピゲニン、ブレフェルジンA、シメチジン、ジクロロメチレン−ジホスホン酸、ロイプロリド(ロイプロレリン)、黄体ホルモン−放出ホルモン、ピフィトリン−α、ラパマイシン、性ホルモン−結合グロブリン、およびタプシガルジンのようなホルモンおよびホルモンアンタゴニストも含む。
例示的な治療剤はS(+)−カンプトテシン、クルクミン、(−)−デグエリン、5,6−ジクロロベンズ−イミダゾール1−β−D−リボフラノシド、エトポシド、フォルメスタン、フォストリエシン、ヒスピジン、2−イミノ−1−イミダゾリジン酢酸(シクロクレアチン)、メビノリン、トリコスタチンA、チルフォスチンAG34、およびチルフォスチンAG879のような酵素阻害剤も含む。
例示的治療剤は5−アザ−2’−デオキシシチジン、5−アザシチジン、コレカルシフェロール(ビタミンD)、4−ヒドロキシタモキシフェン、メラトニン、ニフェプリストン、ラロキシフェン、トランス−レチナール(ビタミンAアルデヒド)、レチノイン酸、ビタミンA酸、9−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、レチノール(ビタミンA)、タモキシフェン、およびトログリタゾンのような遺伝子レギュレーターも含む。
例示的治療剤は、例えば、薬物のプテリジンファミリー、ジイネン、およびポドフィロトキシンのような細胞傷害性剤も含む。それらのクラスの特に有用なメンバーは、例えば、メトプテリン、ポドフィロトキシン、あるいはエトポシドまたはエトポシドリン酸、ロイロシジン、ビンデシン、ロイロシンなどのようなポドフィロトキシン誘導体を含む。
本明細書中における教示に適合するさらに他のサイトトキシンはオーリスタチン(例えば、オーリスタチンEおよびモノメチルオーリスタンE)、カリケアミシン、グラミシジ
ンD、マイタンサノイド(例えば、マイタンシン)、ネオカルジノスタチン、トポテカン、タキサン、サイトカラシンB、エチジウムブロマイド、エメチン、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、およびそのアナログまたはホモログを含む。
他のタイプの機能的部位は当該分野で知られており、本明細書中に含まれる教示に基づいて本発明の方法および組成物において容易に用いることができる。
(b)機能的部位をアミノ酸側鎖に連結させるための化学)
これまでの機能的部位を連結させるための化学は小分子、核酸、ポリマー、ペプチド、蛋白質、化学治療剤、または特定のアミノ酸側鎖に対する他のタイプの分子であり、当該分野で知られている(具体的なリンカーの詳細なレビューについては、例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques, Academic Press(1996)参照)。
スルフヒドリル部位のための例示的な当該分野で認められた連結基(例えば、システイン、またはチオール側鎖化学)は、限定されるものではないが、活性化されたアシル基(例えば、アルファ−ハロアセテート、クロロ酢酸、またはクロロアセトアミド)、活性化されたアルキル基、マレイミド基またはアクリル基のようなミカエルアクセプター、レドックス反応を介してスルフヒドリル部位と反応する基、および活性化されたジスルフィド基を含む。スルフヒドリル部位はブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミダゾリル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル−2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって連結することもできる。
好ましい実施形態において、チオール側鎖化学でのシステインまたは他のアミノ酸は、Fc含有ポリペプチドの製造の間にまたはそれに引き続いて連結させる。例えば、細胞培養を用いて修飾されたFc含有ポリペプチドを生産する場合、溶液中の遊離システインが、Fc含有ポリペプチドのチオール側鎖とでシステインアダクトを形成できるような条件が提供される。そのように形成されたアダクトを用いて、グリコシル化および/またはエフェクター機能を阻害することができるか、あるいは引き続いて、還元条件に付して、アダクトを除去することができ、それにより、前記したスルフヒドリル化学の1つの使用を可能とする。
ヒドロキシル部位についての例示的な当該分野で認められた連結基(例えば、セリン、スレオニン、またはチロシン側鎖化学)は、活性化されたアシル基、活性化されたアルキル基およびミカエルアクセプターを含めたスルフヒドリル部位について前記したものを含む。
アミン部位についての例示的な当該分野で認められた連結基(例えば、アスパラギンまたはアルギニン側鎖化学)は、限定されるものではないが、N−スクシンイミジル、N−スルホスクシンイミジル、N−フタルイミジル、N−スルホフタルイミジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、3−スルホニル−4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、イミドエステル(例えば、メチルピコリンイミデート)、ピリドキサールホスフェート、ピリドキサール、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素および2,4−ペンタンジオンを含む。
酸性部位についての例示的な当該分野で認められた連結基(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸側鎖化学)は、活性化されたエステルおよび活性化されたカルボニルを含む。酸性部位は1−シクロヘキシル−3−[2−モルホリニル−(4−エチル)]カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルフェニル)−カルボジイミドのようなカルボジイミド(R’N−C−N−R’)との反応によって選択的に修飾することもできる。
所望の機能的部位がPEG化部位である場合、当該分野でよく知られたPEG化反応を使用することができる。例えば、1つの方法において、PEG化はアシル化反応、または反応性ポリエチレングリコール分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)とのアルキル化反応を介して行われる。本発明の抗体および抗体フラグメントのPEG化のための水溶性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)である。もう1つの実施形態において、PEG化のためのポリマーはポリエチレングリコール−マレイミド(すなわち、PEG−マレイミド)である。
本発明のPEG化抗体および抗体フラグメントを調製する方法は、一般には、a)抗体または抗体フラグメントが1以上のPEG基に結合するようになる条件下で、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体のようなポリエチレングリコールと抗体または抗体フラグメントとを反応させ、次いで、b)反応生成物を得る工程を含む。公知のパラメーターおよび所望の結果に基づき、最適な反応条件またはアシル化反応を選択するのは当業者に明らかであろう。1つの実施形態において、特定のアミノ酸残基、例えば、第二のアミノ酸残基のグリコシル化を阻害するために改変された第一のアミノ酸残基、好ましくは、第一のアミノ酸がシステインであるか、またはチオール化学を有する場合、を標的化することができる。
(IX.予防、診断および治療方法)
本発明は、改変されたポリペプチド(例えば、抗体または融合蛋白質)が細胞−表面抗原に結合する場合に一般的用途を有し、ここに、該結合は必要なエフェクター応答を惹起する。エフェクター−媒介応答の1つの例は障害の根本的原因の低下である(例えば、腫瘍細胞の、または免疫または炎症反応に関与する抗原−担持細胞の排除)。もう1つの実施形態において、障害の1以上の兆候を低下させることができる。もう1つの実施形態において、本明細書中に記載された組成物を用いて、診断試薬(例えば、腫瘍をイメージングするのに用いる抗体)におけるエフェクター−媒介応答を改変することができる。本明細書中に記載された方法を用いて、障害を発症する危険性がある被験体、または障害の兆候を現在呈している被験体を治療することができる。
(A.抗腫瘍療法)
従って、ある実施形態において、本発明の改変されたポリペプチドは癌の予防または治療で有用である。1つの実施形態において、改変されたポリペプチドは(例えば、シグナルを変換することなくレセプターを結合することによって、または成長因子を結合することによって)、オートクリンまたはパラクリン増殖をブロックする。好ましい実施形態において、改変されたポリペプチドは腫瘍関連抗原に結合することができる。
1つの実施形態においては、変更されたポリペプチドは、腫瘍の大きさを小さくし、腫瘍の増殖を阻害し、および/または腫瘍を有している動物の生存期間を延長することができる。一般的には、開示される発明は、修飾された抗体により癌性細胞を標的化することができる抗原性マーカーを含む任意の腫瘍を予防的または治療的に処置するために使用することができる。予防または処置することができる例示的な癌または腫瘍としては、膀胱癌、乳癌、頭頸部癌、前立腺癌、結腸直腸癌、黒色腫または皮膚癌、乳癌、卵巣癌、子宮
頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌および非鱗状細胞癌)、膵臓癌、および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定はされない。さらに具体的には、本発明の修飾された抗体は、カポジ肉腫、CNS腫瘍(毛細血管芽細胞血管腫、髄膜腫、および脳への転移)、黒色腫、胃腸および腎臓の肉腫、横紋筋肉腫、膠芽細胞腫(好ましくは、多形性膠芽腫)、平滑筋肉腫、網膜芽細胞種、卵巣の乳頭状嚢胞腺癌、ウィルムス腫瘍、または小細胞肺癌を処置するために使用することができる。適切な出発ポリペプチドは、本発明の開示を参照して過度の実験を用いることなく、上記の腫瘍のそれぞれに関係している腫瘍関連抗原について誘導することができることは、明らかである。
開示される発明での処置に敏感に反応する例示的な血液悪性疾患としては、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、さらには、ALL−L3(バーキット型白血病)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および単球細胞白血病を含む白血病が挙げられる。本発明の変更されたポリペプチドおよび方法は、低度悪性/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞性リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中等度悪性/濾胞性NHL、中等度悪性びまん性NHL、高度悪性の免疫芽球性NHL、高度悪性のリンパ芽球性NHL、高度悪性のsmall non−cleaved NHL、bulky病変NHL、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む、種々のB細胞リンパ腫を処置することにおいて特に有効である。これらのリンパ腫は、時折、分類システムの変更が原因で異なる名称を有しており、そして異なる名称に分類されたリンパ腫を有している患者もまた、本発明の併用療法のレジュメによる利益を得ることができることは、当業者に明確であるはずである。上記の腫瘍性疾患に加えて、開示される発明は、適合性の腫瘍関連抗原を有している別の悪性腫瘍を処置するためにも有利に使用することができる場合がある。
(B.免疫障害の治療)
腫瘍性疾患に加えて、本発明の変更されたポリペプチドは、自己免疫疾患または異常な免疫応答の処置においても特に有効である。これに関して、本発明の変更されたポリペプチドを使用して、外部抗原および自己抗原の両方に対する望ましくない免疫応答を制御、抑制、変調、または排除できることは明らかである。例えば、1つの実施形態においては、抗原は自己抗原である。別の実施形態においては、抗原はアレルゲンである。さらに他の実施形態においては、抗原は同種抗原または異種抗原である。同種抗原および異種抗原に対する免疫応答を減少させるための開示される修飾されたポリペプチドの使用とは、具体的には、移植における使用、例えば、ドナー移植片(例えば、組織または臓器移植片、あるいは骨髄移植)の移植レシピエントによる拒絶を阻害するための使用である。さらに、骨髄移植内でのドナーT細胞の抑制または排除は、移植片対宿主疾患について有用である。
さらに他の実施形態においては、本発明の変更されたポリペプチドは、以下を含むがこれらに限定されない免疫疾患を処置するために使用することができる:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症;アレルギー性鼻炎;自己免疫性溶血性貧血;黒色表皮症;アレルギー性接触皮膚炎;アジソン病;アトピー性皮膚炎;円形脱毛症;全身性脱毛症;アミロイド沈着症;アナフィラクトイド性紫斑病;過敏症反応;再生不良性貧血;血管性浮腫、遺伝性;血管性浮腫、突発性;強直性脊椎炎;動脈炎、頭蓋;動脈炎、巨細胞性動脈炎;動脈炎、高安動脈炎;動脈炎、側頭動脈炎;喘息;毛細血管拡張性運動失調症;自己免疫性卵巣炎;自己免疫性精巣炎;自己免疫性多腺性内分泌不全;ベーチェット病;バージャ病;バージャー病;気管支炎;水疱性類天疱瘡;カンジダ症、慢性粘膜皮膚カンジダ症;カプラン症候群;心筋梗塞後症候群;心膜切開術後症候群;心臓炎;セリアック病;シャーガス病;Chediak−Higashi症候群;チャーグ・ストラウス症候群;肝硬変;コーガン症候群;寒冷凝集素症;CREST症候群;クローン病;クリオグロブリン血症;特発性間質性肺炎;疱疹状皮膚炎;皮膚筋炎;真性糖尿病;先天性赤芽球癆;ディ
ジョージ症候群;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;上強膜炎;持久性***性紅斑;有縁性紅斑;多形性紅斑;結節性紅斑;家族性地中海熱;フェルティ症候群;繊維性肺疾患;糸球体腎炎、アナフィラクトイド性糸球体腎炎;糸球体腎炎、自己免疫性糸球体腎炎;糸球体腎炎、レンサ球菌感染後の糸球体腎炎;糸球体腎炎、移植後の糸球体腎炎;糸球体症、膜性糸球体腎炎;グッドパスチャー症候群;顆粒球減少症、免疫介在性顆粒球減少症;環状肉芽腫;肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫症;肉芽腫性筋炎;グレーヴス病;橋本甲状腺炎;新生児溶血性疾患;血色素症、突発性血色素症;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;肝炎、慢性活動性肝炎および慢性進行性肝炎;組織球増殖症X;好酸球増加症候群;特発性血小板減少性紫斑病;ヨブ症候群;若年性皮膚筋炎;若年性関節リウマチ(若年性慢性関節炎);川崎病;角膜炎;乾性角結膜炎;Landry−Guillain−Barre−Strohl症候群;ハンセン病、らい腫性らい;Loeffler症候群;狼瘡;ループス腎炎;ライエル症候群;ライム病;リンパ腫様肉芽腫症;肥満細胞症、全身性肥満細胞症;混合性結合組織病;多発性単神経炎;Muckle−Wells症候群;粘膜皮膚リンパ節症候群;粘膜皮膚リンパ節症候群;多中心性細網組織球症;多発性硬化症;重症筋無力症;菌状息肉症;壊死性血管炎、全身性壊死性血管炎;ネフローゼ症候群;重複症候群;脂肪織炎;発作性寒冷血色素尿症;発作性夜間血色素尿;類天疱瘡;天疱瘡;紅斑性天疱瘡;落葉状天疱瘡;尋常性天疱瘡;鳩飼病;肺炎、過敏性肺炎;結節性多発性動脈炎;リウマチ性多発性筋痛;多発性筋炎;多発性神経炎、突発性多発性神経炎;ポルトガル家族性多発性筋肉痛;子癇前症/子癇;原発性胆汁性肝硬変症;進行性全身性硬化症(強皮症);乾癬;乾癬性関節炎;肺胞タンパク症;肺線維症;レイノー現象/レイノー症候群;Reidel甲状腺炎;ライター症候群;再発性多発性軟骨炎;リウマチ熱;関節リウマチ;サルコイドーシス;強膜炎;硬化性胆管炎;強皮症、血清病;セザリー症候群;シェーグレン症候群;スティーブンス・ジョンソン症候群;スティル病;亜急性硬化性全脳炎;交感性眼炎;全身性エリテマトーデス;移植拒絶;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織疾患;蕁麻疹、慢性蕁麻疹;蕁麻疹、寒冷蕁麻疹;ブドウ膜炎;白斑;ウェーバークリスチャン病;ヴェゲナー肉芽腫症;および、ウィスコット・アルドリッチ症候群。
(C.抗炎症療法)
さらに他の実施形態においては、本発明の変更されたポリペプチドを使用して、炎症、例えば、血流の増加、浮腫、免疫細胞の活性化(例えば、増殖、サイトカインの生産、または食作用のファゴサイトーシス)によって少なくとも一部引き起こされるか、または炎症によって悪化する炎症性疾患を処置することができる。例示的な炎症性疾患としては、炎症または炎症性因子(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、一酸化窒素(NO)、TNF、インターロイキン、血漿タンパク質、細胞性の防御システム、サイトカイン、脂質代謝物、プロテアーゼ、毒性のあるラジカル、ミトコンドリア、アポトーシス、接着分子など)が関係しているか、あるいは所定の領域または組織中に異常な量で、例えば、被験体を変化させるために有利である、例えば、被験体に利益をもたらすことができる量で存在している炎症性疾患が挙げられる。炎症のプロセスは、損傷に対する生存している組織の応答である。炎症の原因は、物理的な損傷、化学物質、微生物、組織の壊死、癌、または他の要因であり得る。急性の炎症は短期間型であり、わずか数日間しか持続しない。しかし、長期間型である場合には、慢性的な炎症と呼ばれる場合もある。
炎症性疾患としては、急性炎症性疾患、慢性炎症性疾患、および再発性炎症性疾患が挙げられる。急性炎症性疾患は、通常は、比較的短期間であり、約数分から約1〜2日間持続するが、これは数週間持続する場合もある。急性炎症性疾患の主な特徴としては、血流の増加、液タンパク質および血漿タンパク質の浸出(浮腫)、ならびに、白血球(例えば、好中球)の移動が挙げられる。慢性炎症性疾患は、通常、長期間型であり、例えば、数ヶ月から数年、またはそれ以上の期間であり、リンパ球およびマクロファージの存在に、さらには、血管および結合組織の増殖に、組織学的に関係している。再発性炎症性疾患と
しては、一定の期間後に再発する疾患、または周期的な症状の発現を有する疾患が挙げられる。再発性炎症性疾患の例としては、喘息および多発性硬化症が挙げられる。いくつかの疾患は、1つ以上のカテゴリーに入れられる場合がある。
炎症性疾患は、通常、発熱、発赤、***、痛み、および機能低下を特徴とする。炎症性疾患の原因の例としては、微生物感染(例えば、細菌、ウイルス、および真菌への感染)、物理的要因(例えば、火傷、放射線、および外傷)、化学物質(例えば、毒素および腐食性物質)、組織の壊死、および種々のタイプの免疫学的反応が挙げられるが、これらに限定はされない。炎症性疾患の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:アルツハイマー病;重症のぜんそく、アテローム性硬化症、悪液質、CHF虚血、および冠動脈再狭窄;変形性関節症、関節リウマチ、線維症/放射線誘発または若年性関節炎;急性および慢性的な感染(細菌、ウイルス、および真菌);急性および慢性気管支炎、副鼻腔炎、および一般的な感冒を含む他の呼吸器感染症;急性および慢性胃腸炎および大腸炎、ならびにクローン病;急性および慢性膀胱炎および尿道炎;急性呼吸窮迫症候群;嚢胞性線維症;急性および慢性皮膚炎;乾癬;急性および慢性結膜炎;急性および慢性漿膜炎(心膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎、および腱炎);***性心膜炎;急性および慢性胆嚢炎;急性および慢性膣炎;脳卒中、外傷による脳および中枢神経系の炎症、ならびに潰瘍性大腸炎;急性および慢性ブドウ膜炎;薬物反応;糖尿病性ネフロパシー、および火傷(熱による火傷、化学物質により火傷、および電気的な火傷)。本発明の抗体または抗原結合フラグメントを用いて予防または処置することができる他の炎症性疾患または症状としては、角膜移植による炎症、慢性閉塞性肺疾患、C型肝炎、リンパ腫、多発性骨髄腫、および変形性関節症が原因である炎症が挙げられる。
別の実施形態においては、本発明のポリペプチドを使用して、アルツハイマー病、脳卒中、および外傷性の脳または中枢神経系の損傷を含むがこれらに限定はされない神経変性疾患を予防または処置することができる。さらに別の神経変性疾患としては、ALS/運動ニューロン疾患、糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性網膜症、ハンチントン病、黄斑変性症、およびパーキンソン病が挙げられる。好ましい実施形態においては、FcRnに対して低い結合親和性を有している変更されたポリペプチドを使用して、神経系疾患が処置される。なぜなら、これらは、より高いFcRn結合親和性を有しているポリペプチドよりも効率よく血液脳関門を通過することはないからである。例えば、1つの実施形態においては、本発明の変更されたポリペプチドは、神経変性疾患を処置するために脊髄液中に注入される。
予防的な適用においては、本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物または医薬品が、Fc領域を有しているポリペプチドで処置することができる疾患(例えば、免疫系の疾患)についてリスクがある被験体(または、そのような疾患を有しているが、その症状はまだ発現していない被験体)に対して、疾患、その合併症、および疾患の発症の間に示される中間の病理学的表現形の生化学的、組織学的、および/または行動上の症状を含む疾患のリスクを排除するかまたは低下させる、重篤度を下げる、あるいはその発症を遅らせるために十分な量で投与される。
治療的な適用においては、組成物または医薬品は、疾患の発症におけるその合併症および中間の病理学的表現形を含む疾患の症状(生化学的、組織学的、および/または行動上の症状)を治癒させるか、または少なくとも部分的に停止させるために十分な量で、そのような疾患にすでに罹患している被験体に投与される。本発明のポリペプチドは、処置または予防される疾患が、異常に高いかまたは異常に低い抗原の生物学的活性が少なくとも一部原因となって引き起こされている場合には、血液中に残存している細胞表面抗原の生物学的活性を変調することについて特に有用である。
いくつかの方法においては、薬剤の投与によって、例えば、炎症のような免疫疾患が軽減または排除される。治療的または予防的処置を達成するために適切な量は、治療または予防有効量として定義される。予防および治療のいずれのレジュメにおいても、薬剤は、通常は、十分な免疫応答が得られるまで、数回の投与量において投与される。
本発明の修飾されたポリペプチドを使用して、それに対してポリペプチドが結合する標的分子の選択に基づいて本明細書中に明確には記載されていない多数の疾患を処置することができることが理解される。当業者であれば、抗体または融合タンパク質を本発明の方法にしたがって修飾し、示される疾患を処置するために使用できることを認識できることが、さらに理解される。
(D.投与の方法)
本発明の改変されたポリペプチドは、予防および/または治療的処置のためのスターチンゲラル(startingeral)、局所、静脈内、経口、動脈内、頭蓋内、腹腔内、または鼻腔内手段によって投与することができる。本明細書中で用いる用語スターチンゲラルは、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、または膣投与を含む。蛋白質薬物の投与の最も典型的な経路は血管内、皮下または筋肉内であるが、他のルートは効果的であり得る。いくつかの方法において、沈積物が蓄積された場合には薬剤を特定の組織に直接的に注射する(例えば、頭蓋内注射)。いくつかの方法において、抗体は徐放性組成物、またはMedipadTMデバイスのようなデバイスとして投与される。また、蛋白質薬物は、例えば、乾燥粉末吸入デバイスを用いて呼吸器系管を介して投与することもできる。
前記した疾患の治療のための本発明の組成物の有効用量は、投与の手段、標的部位、被験体の生理学的状態、被験体がヒトであるかまたは動物であるか、他の投薬、および処置が予防的かまたは治療的かを含めた多くの異なる因子に応じて変化する。通常、被験体はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含めた非ヒト哺乳動物を治療することもできる。
抗体での受動免疫化では、用量は約0.0001〜100mg/kg、より通常には0.01〜20mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、用量は1mg/kg体重または10mg/kg体重であるか、または1〜10mg/kgの範囲内、好ましくは少なくとも1mg/kgであり得る。被験体にはそのような用量を毎日、1日おきに、毎週、または経験的分析によって決められたいずれかの他のスケジュールに従って投与することができる。例示的な処置は、例えば、少なくとも6ヶ月の長期間にわたる複数の用量での投与を含む。さらなる例示的処置計画は、2週間ごとに1回、または1ヶ月に1回、または3〜6ヶ月ごとに1回の投与を含む。例示的用量は連続日での1〜10mg/kgまたは15mg/kg、1日おきの30mg/kg、または毎週の60mg/kgを含む。いくつかの方法において、異なる結合特異性を持つ2つのポリペプチドを同時に投与し、その場合、投与される各ポリペプチドの用量は示された範囲内に入る。
ポリペプチドは、通常、複数の場合に投与される。単一用量の間の間隔は週、月または年であり得る。いくつかの方法において、用量を調整して、1〜1000μg/ml、いくつかの方法では、25〜300μg/mlの血漿中抗体濃度を達成する。別法として、ポリペプチドは徐放性処方として投与することができ、その場合、低い頻度の投与が必要なだけである。用量および頻度は被験体におけるポリペプチドの半減期に依存して変化する。一般に、ヒト抗体は最も長い半減期を示し、続いて、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト抗体である。本明細書中で議論するように、半減期は改変されたポリペプチドに存在する特定の変異にも依存する。
用量および投与の頻度は、処置が予防的または治療的であるかに応じて変化し得る。予防的適用においては、本発明の抗体またはそのカクテルを含有する組成物はすでに病気状態となっていない被験体に投与して、被験体の抵抗性を増強させる。そのような量は「予防的有効用量」であると定義される。この使用において、正確な量は、再度、被験体の健康状態および一般的免疫性に依存するが、一般には、用量当たり0.1〜25mg、特に用量当たり0.5〜2.5mgの範囲である。比較的低用量が、長期にわたって比較的頻繁ではない間隔で投与される。幾人かの被験体はその生命の残りの間治療を受け続ける。
治療的適用においては、比較的短い間隔の比較的高用量(例えば、用量当たり約1〜200mgの抗体;5〜25mgの用量は最も通常に用いられる)は、時々、病気の進行が低下し、または停止するまで、好ましくは被験体が病気の兆候の部分的または完全な軽減を示すまで必要である。その後、患者には予防投与計画を受けさせることができる。
抗体をコードする核酸についての用量は被験体当たり約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、または30〜300μgDNAの範囲である。感染性ウイルスベクターについての用量は、用量当たり10〜100以上のビリオンで変化する。
当業者であれば、ルーチン的な実験によって、障害を治療する目的では、改変されたポリペプチドのどれくらいの有効非−毒性量であるかを決定することができる。例えば、修飾されたポリペプチドの治療的活性量は、被験体の病気状態(例えば、ステージI−対−ステージIV腫瘍)、年齢、性別、医学的合併症(例えば、免疫抑制疾患または病気)および体重、および被験体において望まれる応答を誘導する修飾されたポリペプチドの能力のような因子に従って変化し得る。投与計画を調整して、最適な治療的応答を供することができる。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与することができ、該用量は治療的状況の緊急度によって示されるように比例して低下させることができる。
(E.処置のモニタリング)
病気または障害に罹った被験体の処置は標準的な方法を用いてモニターすることができる。いくつかの方法は、薬剤の用量を投与し、処置後のプロフィールまたはレベルについての値とこれとを比較する前に、例えば、被験体における抗体のレベルまたはプロフィールのベースライン値を決定することを含む。該レベルまたはプロフィールの値の有意な増加(すなわち、そのような測定の手段からの1標準偏差として表した、同一試料の反復測定における実験誤差の典型的な限界よりも大)は、正の処置の結果のシグナルである(すなわち、該薬剤のその投与は所望の応答を達成した)。もし免疫応答についての該値が有意に変化しないか、または減少すれば、負の処置の結果が示される。
他の方法において、レベルまたはプロフィールの対照値(すなわち、平均および標準偏差)を対照集団について決定する。典型的には、対照集団における個体は以前に処置を受けていないものである。次いで、治療剤を投与した後の被験体における該レベルまたはプロフィールの測定された値を対照値と比較する。(例えば、平均から1標準偏差大きい)対照値に対する有意な増加は正または十分な処置の結果のシグナルである。有意な増加または減少の欠如は負または不十分な処置の結果のシグナルである。該レベルが対照値に対して増加している間、薬剤の投与を一般的に継続する。前記したように、対照値に対するプラトーの獲得は、処置の投与を用量および/または頻度において中断または低下させることができるインジケーターである。
他の方法において、該レベルまたはプロフィール(例えば、平均および標準偏差)の対照値は、治療剤での治療を受け、そのレベルまたはプロフィールが処置に応答してプラトーとなった個体の対照集団から決定する。被験体におけるレベルまたはプロフィールの測定された値を対照値と比較する。もし被験体における測定されたレベルが対照値とは(例
えば、1を超える標準偏差)有意に異ならなければ、処置を中断することができる。もし被験体におけるレベルが対照値よりも有意に低いならば、薬剤の継続した投与は保証される。もし被験体におけるレベルが終始対照値未満であれば、処置の変化を示すことができる。
他の方法において、処置を現在受けていないが、以前処置のコースを受けたことがある被験体は、ポリペプチドレベルまたはプロフィールにつきモニターして、治療の再開が必要か否かを決定する。被験体における測定されたレベルまたはプロフィールを、以前の処置のコース後に被験体で従前に達成された値と比較することができる。以前の測定に対する有意な減少(すなわち、同一試料の反復測定における典型的な誤差の限界よりも大)は、処置を再開できる表示である。別法として、被験体で測定した値を、処置のコースを受けた後の被験体の集団で決定された対照値(平均+標準偏差)と比較することができる。別法として、被験体における測定された値を、病気の兆候がないままである予防的に処置された被験体の集団、または病気特徴の軽減を示す治療的に処置された被験体の集団における対照値と比較することができる。これらの全ての場合において、対照レベルに対する有意な減少(すなわち、標準偏差よりも大)は、処置を被験体で再開すべきことを示す。
投与に続いてのポリペプチドのプロフィールは、典型的には、抗体濃度における中間のピーク、続いての、指数関数的減少を示す。さらなる用量なくして、該減少は、投与される抗体の半減期に応じて数日〜数ヶ月の間内に予備処置レベルに近づく。例えば、いくつかのヒト抗体の半減期は20日のオーダーである。
いくつかの方法において、被験体における与えられた抗原に対するポリペプチドのベースライン測定は投与前になされ、第二の測定はその後間もなくなされて、ピークポリペプチドレベルを決定し、1以上のさらなる測定を間隔を置いて、ポリペプチドレベルの減少をモニターする。ポリペプチドのレベルがベースラインまたはベースラインを差し引いたピークの所定のパーセンテージ(例えば、50%、25%または10%)まで減少すると、ポリペプチドのさらなる用量の投与がなされる。いくつかの方法において、バックグラウンドを差し引いたピークまたは引き続いての測定レベルを、他の被験体における有益な予防的または治療的処置計画を構成するために以前決定された参照レベルと比較する。もし測定されたポリペプチドレベルが参照レベルよりも有意に低いならば(例えば、処置から利益を受ける被験体の集団における参照値の平均から1標準偏差を引いたもの未満)、ポリペプチドのさらなる用量の投与が示される。
処置のコースにわたり、いずれかの当該分野で認められた生理学的兆候(例えば、物理的または精神的兆候)のモニタリングを含めたさらなる方法は、ルーチン的に、障害を診断しまたはモニターする研究者または医師に頼る。
(F.併用療法)
本発明の改変されたポリペプチドは、所望により、処置(例えば、予防的または治療的)を必要とする障害または疾患を治療するのに効果的であることが知られている、またはそのように決定される(セクションVIII前掲からのいずれかの薬剤を含めた)他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。加えて、本発明のポリペプチドは、機能性を例えばポリペプチドに加える部位(例えば、PEG、タグ、薬物、または標識)にコンジュゲートすることができる。
本発明の改変されたポリペプチドは、インビボで新形成細胞の増殖を排除し、低下させ、阻害し、または制御するいずれかの化学療法剤または複数剤と一緒にまたは組み合わせて用いて(例えば、併用療法計画を供する)ことができる。本発明に適合する例示的化学療法剤はアルキル化剤、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラス
チン)、プロカルバジン、メトトレキセートおよびプレドニゾンを含む。4−薬剤組合せMOPP(メクレタミン(ニトロジェンマスタード)、ビンクリスチン(オンコビン)、プロカルバジンおよびプレドニゾン)は種々のタイプのリンパ腫を治療するのに非常に効果的であって、本発明の好ましい実施形態を含む。MOPP−抵抗性患者において、ABVD(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびデカルバジン)、Ch1VPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)、CABS(ロムスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびストレプトゾトシン)、MOPP+ABVD、MOPP+ABV(ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびビンブラスチン)またはBCVPP(カルムスチン、シクロホスファミド、ビンブラスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)組合せを用いることができる。標準用量およびスケジューリングについてはArnold S.Freedman and Lee M.Nadler,Malignant Lymphomas,in HARRISON’S PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE 1774−1788(Kurt J.Isselbacher et al.eds.13th ed.1994)およびV.T.DeVita et al., (1997)およびそこに引用された文献。これらの療法は変更せずに用いることができるか、あるいは特定の患者では、本明細書中に記載された本発明の1以上の修飾されたポリペプチドと組み合わせて必要に応じて改変することができる。
本発明の関連で有用であるさらなる投与計画は、シクロホスファミドまたはクロラムブシルのような単一のアルキル化剤、あるいはCVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、CHOP(CVPおよびドキソルビシン)、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン)、CAP−BOP(CHOP+プロカルバジンおよびブレオマイシン)、m−BACOD(CHOP+メトトレキセート、ブレオマイシンおよびロイコボリン)、ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシドおよびロイコボリン+標準MOPP)、ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、メトトレキセートおよびロイコボリン)およびMACOP−B(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、固定された用量のプレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)のような組合せの使用を含む。当業者であれば、これらの投与計画の各々についての標準的な用量およびスケジューリングを容易に決定できるであろう。CHOPはブレオマイシン、メトトレキセート、プロカルバジン、ニトロジェンマスタード、シトシンアラビノシドおよびエトポシドとも組み合わされてきた。他の適合する化学療法剤は、限定されるものではないが、2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)、2’−デオキシコフォルマイシンおよびフルダラビンを含む。
寛解または再発を達成しなかった中間−および高度悪性NHLを持つ患者では、サルベージ療法が用いられる。サルベージ療法は、単独でまたは組み合わせて投与されるシトシンアラビノシド、カルボプラチン、シスプラチン、エトポシドおよびイフォスファミドのような薬物を使用する。ある種の新形成障害の再発したまたは攻撃的形態では、以下のプロトコルがたいてい用いられる:各々、よく知られた投与率およびスケジュールを持つIMVP−16(イフォスファミド、メトトレキセートおよびエトポシド)、MIME(メチル−gag、イフォスファミド、メトトレキセートおよびエトポシド)、DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビンおよびシスプラチン)、ESHAP(エトポシド、メチルプレドニゾロン、HDシタラビン、シスプラチン)、CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン)およびCAMP(ロブスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン)。
本発明の修飾されたポリペプチドと組み合わせて用いるべき化学療法剤の量は被験体に
よって変化し得るか、あるいは当業者に知られたものに従って投与することができる。例えば、Bruce A Chabner et al., AntineoPlastic Agents, in GOODMAN & GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS 1233−1287(Joel G.Hardman et al.eds.,9th ed. 1996)参照。
修飾されたポリペプチドは本明細書中に記載されたように投与することができるが、他の実施形態においては、修飾されたポリペプチドは第一次選択療法としてそうでなければ健康な患者に投与することができることは強調されなければならない。そのような実施形態において、修飾されたポリペプチドは、正常なまたは平均的な赤色骨髄貯蔵を有する患者、および/または受けたことがなくて、受けない患者に投与することができる。本明細書中で用いるように、アジュバント療法と同時にまたはそれと組み合わせた修飾されたポリペプチドの投与は、該療法および開示された抗体の順次の、同時の、共働しての、一緒の、一緒にしたまたは共に働く投与または適用を意味する。当業者であれば、組み合わせた治療計画の種々の成分の投与または適用のタイミングを図って、治療の総じての効率を増強させることができる。例えば、化学療法剤は処置の標準的なよく知られたコースで、続いて、本発明のラジオイムノコンジュゲートにより数週間以内に投与することができよう。逆に、サイトトキシン関連修飾ポリペプチドを静脈内投与し、続いて、腫瘍局所化外部ビーム放射線を投与できよう。なお他の実施形態において、修飾されたポリペプチドは、単一の診察にて1以上の選択された化学療法剤と同時に投与することができる。当業者(例えば、経験を積んだ腫瘍学者)であれば、選択されたアジュバント療法および本明細書の教示に基づいて、過度の実験なくして効果的な併用療法計画を容易に認識できるであろう。
この点に関し、修飾されたポリペプチドおよび化学療法剤の組合せは、患者に治療的有効性を供するいずれかの順序でかついずれかのタイムフレーム内で投与することができるのは認識されよう。すなわち、化学療法剤および修飾されたポリペプチドはいずれかの順序でまたは同時に投与することができる。選択された実施形態において、本発明の修飾されたポリペプチドは、以前に化学療法を受けたことがある患者に投与されよう。なお他の実施形態において、修飾されたポリペプチドおよび化学療法処置は実質的に同時にまたは一緒に投与されよう。例えば、患者には、化学療法のコースを受けつつある間に修飾された抗体を与えることができる。好ましい実施形態において、修飾された抗体はいずれかの化学療法剤または処置から1年以内に投与されるであろう。他の好ましい実施形態において、修飾されたポリペプチドはいずれかの化学療法剤または処置から10、8、6、4または2ヶ月以内に投与されるであろう。なお他の好ましい実施形態において、修飾されたポリペプチドはいずれかの化学療法剤または処置から4、3、2または1週間以内に投与されるであろう。なお他の実施形態において、修飾されたポリペプチドは選択された化学療法剤または処置から5、4、3、2または1日内に投与されるであろう。2つの薬剤または処置を数時間または数分内に患者に投与することができる(すなわち、実質的に同時)のはさらに認識されるであろう。
(IX.薬学的組成物)
本発明の治療組成物は、薬学的に受容可能な担体中の、本明細書中に記載された方法によって製造された修飾されたFc含有ポリペプチドの少なくとも1つを含む。「薬学的に受容可能な担体」とは、有効成分の投与で通常用いられる医薬製剤の少なくとも1つの成分をいう。それ自体、担体は当該分野で使用されるいずれかの医薬賦形剤および投与用のビークルのいずれかの形態を含有することができる。該組成物は、例えば、注射溶液、水性懸濁液または溶液、非−水性懸濁液または溶液、固体および液体経口処方、膏薬、ゲル、軟膏、皮内パッチ、クリーム、ローション、錠剤、カプセル、徐放性処方などであり得
る。さらなる賦形剤は、例えば、着色剤、味−マスキング剤、溶解補助剤、懸濁化剤、圧縮剤、腸溶コーティング、徐放性助剤などを含むことができる。
本発明の薬剤は、たいてい、有効治療剤、すなわち、および種々の他の薬学的に受容可能な成分を含む薬学的組成物として投与される。Remington’s Pharmaceutircal science(15th ed.,Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania(1980))参照。好ましい形態は、意図した投与の態様および治療的適用に依存する。組成物は、所望の処方に応じて、動物またはヒト投与用の薬学的組成物を処方するのに通常用いられるビークルとして定義される薬学的に受容可能な非−毒性担体または希釈剤を含むことができる。希釈剤は、組合せの生物学的活性に影響しないように選択される。そのような希釈剤の例は蒸留水、リン酸緩衝化生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。加えて、薬学的組成物または処方は他の担体、アジュバント、または非毒性の、非治療、非免疫原性安定化剤なども含むことができる。
ポリペプチドは、有効成分の徐放性を可能とするように処方することができるデポ注射またはインプラント製剤の形態で投与することができる。例示的な組成物は、HCl pH6.0に調整された50mM L−ヒスチジン、150mM NaClよりなる水性緩衝液に処方された5mg/mLのポリペプチドを含む。例示的な一般的処方の緩衝液は20mMクエン酸ナトリウム、pH6.0、10%スクロース、0.1% Tween80である。
典型的には、組成物は液状溶液または懸濁液いずれかとしての注射剤として調製され;注射に先立っての液体ビークル中の溶液または懸濁液に適した固体形態を調製することもできる。製剤は、前記で議論したように、増強されたアジュバント効果のために、ポリラクチド、ポリグリコリド、またはコポリマーのようなリポソームまたはマイクロ粒子中に乳化またはカプセル化することもできる(Langer, Science 249:1527,1990 and Hanes, Advanced Drug Delivery Reviews 28:97,1997参照)。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、該実施例は限定的なものと解釈されるべきではない。本明細書を通じて引用された全ての文献、特許、および公表された特許出願、ならびに図面および配列表はここに引用して援用する。
(実施例I−キメラFc領域を持つ改変された抗体の製造)
ヒトウサギIgGキメラ構築体の結合を評価するために、結合にインパクトを与えるようなアミノ酸をまず2つの相互作用蛋白質間の相互作用の界面の10Å内にあると規定した。ラットIgG2aおよびラットFcRnの結晶構造に基づき、これらの2つの分子に対する界面の10Å内のラットIgG2a Fcについてのアミノ酸を規定した。次いで、ウサギIgG1 FcおよびラットIgG1 Fc領域の相同性整列は、ウサギFc領域のいずれのアミノ酸が相互作用面の10Å内にあるようであるかの決定を可能とする。次いで、ラットおよびヒトFc領域の対応を決定する。次いで、10Å界面内の変異体の全てを含めたキメラ分子を構築する。次いで、個々のアミノ酸をhFcに置換し、アッセイを行って、結合に対する個々の成分アミノ酸の寄与を決定する。次いで、アミノ酸変異体の組合せを、hFcRnへの増強された結合を示すこれらの分子で構築する。このようにして、結合への正の寄与のみが同定される。
陽性結果とスコア取りされる親和性における25%またはより良好な増強を示す分子と共にBiacoreを用いて各変異体の親和性をアッセイする。
変異体抗体は、当業者にとって標準的な技術によって293細胞において一過的に発現させる。発現した蛋白質はプロテインLにつきラムダであって、プロテインLで容易に精製することができるヒトF(ab)を含有する。抗体は、pKがそこで決定される動物において発現されないエピトープと反応性である。可変ドメインがそれに対して反応性である抗原を用いるELISA、および抗ヒトH&L HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)二次抗体での検出によって、血液中のmAbの検出を行う。これらのアッセイおよび動物モデルは当業者によって容易に確立される。
可溶性モノマーhFcRnに対するウサギIgG1のKdはBiacoreにつき測定されている。該値を、ヒトIgG1について決定されたKdに対する同一チップで比較した。これらの実験において、IgGはチップの異なるコードラントに固定化し、Kd値の直接的比較を決定することができる。蛋白質は購入し、使用に先立ってSDS PAGEおよび分析ゲル濾過によって純度につき確認した。
ウサギIgG1およびヒトIgG1の配列整列を完了し、ラットIgG2a/rFcRn結晶構造から測定して、ヒトおよびウサギIgGの間の界面の10Å内の配列を同定した。
抗体の半減期を増大させるヒト抗体およびIgG融合蛋白質のIgG定常ドメイン内での特異的アミノ酸置換を決定する。特許請求される変異は、ウサギIgG1定常ドメイン(rFc)およびhIgG1定常ドメイン(hFc)の間のキメラ蛋白質構築体から特異的に由来する。
次いで、天然hFcと比較して、変化の影響は、変異したhFc領域へのhFcRnの結合親和性を測定することによって決定し、h/rFcキメラはhFcRnに対してより大きな親和性を示す。次いで、分子のインビボ半減期をサルあるいはノック−インまたはトランスジェニックhFcRnマウスのような他の適当なモデルにおいて決定して、キメラ蛋白質が天然hFcと比較して増強された半減期を有することが示される。
結果は:hFcRn、次いで、hIgGに対するウサギIgG結合につき二倍密接なKd値を示すhFcRnでのBiacoreデータが得られた。置換についての例示的残基は:EU位置280、281、282、283、285、286、288、289、290、305、307、308、309、315、340、344、および378を含む。より詳しくは、本発明のポリペプチドは、EUナンバリングシステムに従って、Asp280Asn(ここに、Dは引用されたEU位置(278)において(置換によって)変異されるべきアミノ酸位置を示し、ここに、Nは改変されたポリペプチドに到達するその位置へ置換されるべきアミノ酸を示す)、
からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸変異を含むことができる。
(実施例2−静電最適化による候補残基の同定)
本実施例においては、ヒトFcRnに向けての抗体定常ドメイン親和性を修飾する方法を記載する。酸性pHおよび中性pHにおいてFcRnに対するFc領域の改変された結合親和性を持つ変異体を得るために、我々は、静電電荷最適化技術を、ヒトFcRnに結合したヒトFcの相同性モデルに適用した。酸性(6.0)pHおよび中性(7.4)pHにおけるヒトFc/FcRn複合体のモデルは、MODELLERプログラム(Accelrys,Inc.,San Diego,CA)を用いてラットFc/FcRn複合体(PDBコード:1I1A)の結晶構造から誘導し、CHARMM(Accelrys,Inc.,San Diego,CA)においてエネルギー−最小化した。計算による最適化手法において、我々は静電荷電最適化を用いて、酸性pHおよび中性pHにおいてFcRnに対するFc結合を変調できるFc残基の位置を決定した(Lee and Tidor,J.Chem.Phys.106:8681−8690,1997;Kangas and Tidor,J.Chem.Phys.109:7522−7545,1998)。これらの計算は2つのpH値、酸性(6.0)pHおよび中性(7.4)pHで完了した。なぜならば、Fcは飲作用小胞においては酸性pHでFcRnに結合することが知られており、中性pHでは細胞外空間に放出されるからである。中性pHにおけるFcRnへのFcの増強された結合はFcの半減期にかなり有害であり得る。半減期の減少は、もしIgGが典型的なIgGスカベンジングメカニズムの間に細胞結合FcRnから放出できないならば予期された結果であろう。従って、より高いpHでFcRnに対して増強された親和性を有するFc含有蛋白質は血液から除去され、その結果、より短い半減期を持つ蛋白質が得られる。
変異の予測は(1)結合に際して部分的に埋もれるようになる残基に関連する相互作用界面における変異(相互作用は界面を横切る水素結合の作成によって改良される);(2)結合に際して埋もれるようになり、かくして、脱溶媒ペナルティーを払うが、FcRnとのいずれの直接的静電相互作用もなさない抗体上での極性残基の変異(改良は、通常、野生型残基と同様な形状を持つ疎水性残基への変異によって、または好都合な静電相互作用をなすことができる残基を加えることによってなされる);および(3)補充されないポテンシャルの領域にあるFcでの表面残基の変異に関係するものとしてカテゴリー分けすることができる。これらの変異は、結合界面でのパッキング相互作用を乱すことなくFcおよびFcRnの間の長い範囲の静電相互作用を改良し、分子の電荷を維持し、改変する双方の変異を含むと信じられている。
電荷最適化は、天然側鎖特徴を表すように課された種々の拘束にて行われる。例えば、最適化は、原子の電荷で0.85電子電荷単位の絶対値を超えるものはないというさらなる拘束の下で、−1、0および+1の正味の側鎖電荷で行った。水素にプログラムCHARMM(Accelrys,Inc.,San Diego,CA)を加えるための標準的手法を用いてモデルを調製した。N−アセトアミドおよびN−メチルアミドパッチを、各々、β2−ミクログロビン鎖のN末端を除いて、N末端およびC末端に適用した。酸性pHおよび中性pH値についてのモデルを別々に調製して、ヒスチジン残基の異なるプロトン化およびロタマー状態、ならびにアスパラギンおよびグルタミンのロタマー状態を説明した。連続静電モデルを用い、我々は、酸性pHおよび中性pH値におけるFcRn(候補残基)界面の15Å内にあるFcでのアミノ酸の各側鎖に対して静電電荷最適化を行った。電荷最適化からの結果に基づき、さらなる計算分析のために変異を決定した。このプロセスでは、我々は、最適電荷分布を肉眼で精査し、現在の残基よりも最適に近い変異を設計する。電荷最適化は、原子中心における電荷を与えるが、現実の変異を生じさせない。1ラウンドの電荷最適化を、中性側鎖特徴を表すように課された種々の拘束の下で行った。例えば、原子の電荷で0.85電子電荷単位の絶対値を超えるものはないというさらなる拘束の下で、−1、0および+1の正味の側鎖電荷にて最適化を行った。理想的電
荷分布が中性pHおよび酸性pHの間での0.3kcal/モル以上のヒトFcRnに対する結合の差を生じさせることができる位置、置換のみを選択した。現存の側鎖での理想的電荷の分布を分析し、20の天然アミノ酸についての組からの置換を提案した。
以下の実施例は、Fc分子の(選択された残基の例である)バリン284、ヒスチジン285、アスパラギン286、およびリシン290で得られた最適結果を示す。Mut(変異エネルギー)の欄は、完全に未荷電側鎖等電子体、例えば、同一形状を持つが、原子上の電荷を持たないまたは部分的電荷しか持たない残基に対する天然残基からの結合自由エネルギーの差(kcal/モル)に対応する。負の数は、結合親和性の予測された増加を示す。Opt−1の欄は、側鎖における最適電荷分布および−1の正味の側鎖電荷で得ることができる結合自由エネルギー差に対応する。欄Opt0およびOpt1は、最適電荷での結合自由エネルギーの差に対応し、正味の電荷は、各々、0および+1である。
酸性pHでは、以下の結果が得られた:
中性pHでは、以下の結果が得られた:
これらの結果およびモデルのビジュアル分析に基づき、これらの結合自由エネルギー改良を利用し得るグルタミン酸への変化が示唆された。事実、全ての位置について、中性pHおよび酸性pHの間のヒトFcRnに対する結合の差の0.3kcal/モルよりも大きなΔΔGは、野生型アミノ酸をグルタミン酸に変異させることによって得ることができる。
30または60度の二面角増分を用い、CHARMMにおけるロタマー二面スキャンを行うことによって、変異体側鎖を形成し、各側鎖の最も所望される位置を決定した。次いで、ポアソン−ボルツマン静電エネルギーおよびファンデルワールスエネルギーおよび埋もれた表面積についてのさらなる項を用いて、野生型および変異体複合体について結合エネルギーを計算した。計算は、アミノ酸についてのPARSEまたはCHARMM電荷組にて、酸性pHおよび中性pHで行った。コンセンサススコアリングスキームを用い、これは、双方の電荷組を用いて得られた結果が意味のある予測を生じさせるためには兆候が
合致すべきであることを意味する。
以下の例は、Fc分子のバリン284、ヒスチジン285、アスパラギン286、およびリシン288についてのこの方法の使用を示す。
酸性pHにおいて、FcRn結合への野生型Fcに対するヒトFcRnに対するヒトFcの結合についてのΔΔGは双方の電荷組について−0.3kcal/モルよりも低く、これは、野生型ヒトFcに対する親和性の増加を示す。中性pHにおいては、ΔΔGは電荷組についての異なる兆候のものであり、(コンセンサススコアリングスキームの意味において)変異体は野生型ヒトFcに対して中性pHでのヒトFcRnに対するより高い結合親和性を有しないようであることを示す。従って、(選択された変異の例である)V284E、H285E、N286E、およびK290E変異体は、生物において野生型分子よりも長いFcRn−媒介半減期を有すると予測される。
結論として、我々は、前記した計算プロセスを実行して、中性および酸性pH値で異なってFc分子のFcRn結合親和性を変調する変異体を予測した。我々は、中性pHにおける相互作用の親和性に影響し、またはそれを減少させることなく、酸性pHにおけるFcRn親和性の増加を有するヒトFcでのアミノ酸置換の結果、より長いインビボ半減期を有するFc分子が得られると提案する。中性pHにおいて増大したFc/FcRn結合および/または酸性pHにおける減少したFc/FcRn結合を生じるアミノ酸置換は、インビボにおける半減期の減少を示す。
(実施例4:改変されたFcポリペプチドの構築)
本発明の方法によって予測される改変を、ヒト化IgG1モノクローナル抗体huCBE11の重鎖をコードする出発ポリペプチドに導入した。図1Aおよび1Bは、各々、この重鎖のヌクレオチド(配列番号3)および推定されるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。標準的な組換えDNA技術による部位−特異的変異誘発を用いて、pPEAG1787と呼ばれる発現ベクターに運ばれるhuCBE11重鎖に変異が導入された。抗体の可変ドメインは残基1〜120であり、ヒトIgG1定常ドメインは残基121〜449である。huIgG1のC末端リシン残基は遺伝子的に除去された。参考のため:N−結合グリコシル化部位(EU残基番号N297)は前記配列における残基300である。図2は、EUナンバリング指標におけるhuCBE11のFc領域のアミノ酸配列を示す。
huCBE11モノクローナル抗体は、ヒト化IgG1、すなわち、ヒトリンホトキシンベータレセプターを認識するカッパ組換え抗体である。mAb CBE11クローニング、キメラ化およびヒト化は米国特許出願第2004/0058394号に記載されている。huCBE11軽鎖はpEAG1754と呼ばれる発現ベクターに運ばれていた。可変ドメインは残基1〜107であり、ヒトカッパ定常ドメインは残基108〜214である。図3Aおよび3Bは、各々、この軽鎖ヌクレオチド(配列番号5)および予測されるアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
野生型および改変された抗体は、重鎖ベクター(pEAG1787)および軽鎖ベクター(pEAG1754)でのヒト胚腎臓細胞株(HEK293E)の一過性共トランスフェクションによって発現された。
(実施例5:FcRn−Fc融合蛋白質試薬の構築)
ダイマーFc結合蛋白質は、新生Fcレセプターの細胞外ドメインをIgG1抗体のFc領域と遺伝子的に融合させることによって構築された。
簡単に述べれば、ヒトβ−2−ミクログロブリンcDNAは、ヒト胎盤ポリA+RNAからのRT−PCRによってクローン化した。ヒトβ−2−ミクログロブリンcDNAのヌクレオチド配列(配列番号7)および予測されるアミノ酸配列(配列番号8)は、各々、図4Aおよび4Bに示される。ヒトFcRnのα−鎖に対応するcDNAは、ヒト胎盤ポリA+RNAからRT−PCRによってクローン化し、配列決定した。ヒトFcRn α−鎖の細胞外ドメイン(ECD)(残基1〜297)を、IgG1抗体に由来するヒトFc領域への融合のためにサブクローンした。
Fc領域(残基398〜535)は、従前に記載されたヒトIgG1抗体から誘導された(米国特許第5,928,643号参照)。IgG1 Fc領域は、CH3ドメインのC末端リシン残基が遺伝子的に除去された以外は、切形ヒンジを含んだが、抗体のCH2およびCH3ドメインを保持した。IgG1抗体cDNAの重鎖のヌクレオチド配列(配列番号3)および予測されたアミノ酸配列(配列番号4)は図1Aおよび1Bに示される。
FcRnへの融合蛋白質の結合の尤度を排除するために、図5Bに示された配列に下線を施した残基388、389、511および512に示された4つの位置においてその野生型配列から部位−特異的変異誘発によってFc領域を変異させて、FcRnに対するFcRn結合親和性および血清中半減期を有意に低下させることが従前に示されているH310A/Q311N/H433A/N434Q変異体(EUナンバリング)のヒト同等体(「huM4Fc」)を作成した(Kim et al., 1994,Eur.J.Immunol.24:542−548;and Popov et al., 1996,Mol.Immunol.33:521−530)。
標準的な組換えDNA技術を用いてFc領域をFcRn ECDのC末端に融合させて、FcRn−Fc融合蛋白質cDNAを形成した。β−2−ミクログロブリンおよびFcRn−Rc融合蛋白質cDNAを、サイトメガロウイルス前初期プロモーターによって駆動されるタンデム転写ユニット中に双方のcDNAを運ぶ発現ベクター(pEAG1761)に挿入した。pEAG1761をCHO細胞にトランスフェクトして、可溶性ダイマーを分泌する安定な細胞系を生産した(2つのβ−2−ミクログロブリンおよび2つのFcRnアルファ−Fc融合鎖よりなるヘテロテトラマーFcRn−Fc融合蛋白質)。pEAG1761によってコードされるヒトFcRnアルファ−Fc融合cDNAのヌクレオチド配列(配列番号9)および予測されるアミノ酸配列(配列番号10)を、各々、図5Aおよび5Bに示す。
分泌されたFcRn−huM4Fc(α−鎖およびβ2ミクログロブリン)融合蛋白質を含有する(CHOまたは293E細胞からの)条件培地を、10,000MWCOポリエーテルスルホン膜を用いてAmicon攪拌セルユニット中でほぼ6倍に150mlまで濃縮した。濃縮された物質を40容量の20mM MES(pH5.8)、150mM
NaClに対して一晩透析し、引き続いて、2060×gにおいて4℃にて10分間遠心して、細胞デブリスをペレット化した。20mM MES(pH5.8)、150mM
NaCl中に予備平衡化した6mlのヒトIgG−Sepharose 6 Fast
Flow(Amersham Biosciences)カラムに適用した。結合したFcRnFcを、20mMトリス、150mM NaCl中の緩衝液pH8の単一工程変化で溶出させた。hIgG−Sepharoseカラムを用いて、ラット、マウスおよびヒトFcRn−huM4Fc蛋白質を首尾よく捕獲してある。
溶出された画分を非−還元性SDS−PAGE(4%〜20%グラジエントゲル)によって分析し、FcRn−huM4Fc含有画分をアニオン交換クロマトグラフィーによるさらなる精製のためにプールした。蛋白質濃度は、ヒトまたはラット蛋白質の1mg/ml溶液についての1.80のA280値、およびマウス蛋白質についての1.84を用いて分光学的に決定した。ほぼ70mgのhFcRn−M4FcがIgG−Sepharoseカラムから溶出された。5mlのDEAEカラムに負荷する前に、このプールを20mMトリスpH8に対して透析した。0.5M NaClの最終濃度まで塩を増加させる直線グラジエント(20カラム容量)を用いて、結合した蛋白質をDEAEカラムから溶出させた。FcRn−huM4Fc蛋白質はほぼ150mM〜175mM NaCl(30%〜35%0.5M NaCl緩衝液)で溶出した。DEAE画分を前記したSDS−PAGEによって純度につき分析し、FcRn−huM4Fc含有画分をプールして、48mgのFcRnFcの均一なプールを得た。
DEAEプールを濃縮し、最終精製工程としての、−80℃における貯蔵のための、またはサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200 16/60,Amersham Biosciences)のための、20mM MES(pH5.8)、150mM NaCl緩衝液へのVivaspinコンセントレーターユニット(10,000MWCO)を通じての遠心によって緩衝液を交換して、少量の凝集体を除去した。
(実施例6:改変されたポリペプチドのFcRn結合親和性をアッセイする)
本発明の改変されたヒトモノクローナル抗体を、種々の無細胞アッセイを用いて、ビオチニル化FcRnへ結合するその能力について特徴付けた。
(a)改変されたFcポリペプチドの精製)
実施例4のFcRn−huM4Fc融合蛋白質を用いて、改変されたFc領域を含有するヒトモノクローナル抗体を精製した。精製を容易とするために、FcRn−huM4Fc融合蛋白質をSepharose 4 Fast Flow Mediaに固定化した。ほぼ20mgのhFcRnを、4℃にて一晩揺らしつつ、PBS(pH7.2)でのNHS−活性化Sepharose 4 Fast Flow培地(Amersham Biosciences)にカップリングさせることによって、2mlのhFcRnFcカラムを調製した。精製での使用に先立ち、カラムをPBSで洗浄した。1mgの各ヒトFcRnFcカラム。
1mgの各改変されたヒトIgG1 mAbを、負荷緩衝液20mM MES(pH5.8)、150mM NaClにてカラムに適用した。次いで、カラムを10カラム容量の負荷緩衝液で洗浄し、pHを8.0まで上昇させるpHステップグラジエント(20mMトリス、150mM NaCl)で結合したmAbを溶出させた。
(b)FcRn−huM4Fc(bhFcRnFc)のビオチニル化)
ビオチンXXスルホスクシンイミジルエステル(XX=2つのアミノヘキサノイル鎖)を用いて、後に記載する競合ビーズ−ベースのFRETおよびAlphaScreenアッセイで用いるためにFcRn−huM4Fcをビオチニル化した。試薬は、Molecular ProbesからのMini−Biotin−XX蛋白質標識キットF6347にて入手可能である。FcRnFCをPBS 150 mM Na/Kホスフェート、
pH7.0および150mM NaCl中で透析した。0.72mg/mlのhFcRnFcIgG(500ul)に1/10容量の1M炭酸水素ナトリウム(50uL)(NaHCO3)ストック溶液を加えた。次に、Molecular Probesによって記載されているように、使用直前に、水に溶解させた10ulのビオチン−XX試薬を加えた。反応を室温にて1時間インキュベートし、次いで、4℃にてPBSに対して徹底的に透析した。ビオチニル化融合蛋白質(bhFcRnFc)は−80℃で凍結した場合に安定であった。
(c)直接的結合アッセイ)
本発明の改変されたFcポリペプチドへの未標識hFcRn−Fcの直接的結合をELISAフォーマットを用いて評価した。
全ての洗浄および希釈は特記しない限りpH6.0 PBS中で行う。プレートを5μg/mlの改変されたIgG抗体でウェル当たり100uLにて4℃にて一晩コートした。プレートを3回洗浄し、次いで、2時間で1%BSAでコートした。次いで、プレートを3回洗浄し、100uLの適当な系列希釈FcRnFcを90分間インキュベートした。プレートを再度3回洗浄し、100uLの適当な二次mAb−HRPまたはストレプトアビジンHRPを加え、90分間インキュベートし、プレートを再度洗浄し、選択された二次mAbのために適切に発色させ、吸光度を読んだ。図10に示される結合データの4パラメーターフィットを用いて、見掛けの解離乗数(Kd)を決定した。
(d)競合結合アッセイ)
蛍光標識対照抗体(5C8)および実施例4の改変された抗体の間の競合結合を評価する2つの近接アッセイ(FRETおよびAlphaScreen)を用いて、標識されたダイマーFcRn構築体(bhFcRnFc)に対する変種抗体の相対的結合親和性を測定した。
(i)FRET結合アッセイ)
FRETアッセイを、30uLの合計反応容量にて黒色半分−ウェルELISAプレートで行った。各反応ミックスは以下の:100mM NaClおよび0.005%P2O洗剤(Biacore,Tween−20)を含むpH5.8緩衝液中の;a)ユーロピウム(EU)で標識された1nMの対照抗体(h5C8);b)第二のフルオロフォア(APC)で標識された250nMのストレプトアビジン;c)実施例4からの適当な競合体mAb(0〜5uモラー;0〜0.75mg/ml);およびd)200nMのbhFcRnFcを含んだ。bhFcRnFcは最後に反応ミックスに加えた。
反応を室温にて30分間インキュベートし、次いで、615の励起波長および665の蛍光発光波長にてLJL Analyst(Molecular Devices)で読んだ。LJL Analystについての設定は50μS時間遅延および400μs読みであった。APCおよびEu(665nm/615nm)のシグナル比率(ΔF)を競合体mAbの濃度に対してプロットして、IC50(μg/ml)を決定した。陰性対照反応はユーロピウム標識hAbおよび競合体IgGを欠き、陽性対照は競合対IgGを含有しなかった。
相対的IC50値(変異体IC50/w.t.対照IC50)を各改変された抗体について決定し、図6にプロットする。図6は、EU位置285、286、290および304における変異、特に、変異H285E、N286D、K290E、およびS304Dを含む抗体の結果、ダイマーFcRn/Fc融合蛋白質に対する増強された相対的結合親和性(相対的IC50<1)が得られたことを示す。対照的に、改変された抗体の多く(すなわち、EU位置252、255、279、282、284、285、287、288、
290、304、306、309、376、434、および438における変異を含むもの)は、ダイマーFcRn/Fc融合蛋白質に対して低下した見掛けの結合親和性(相対的IC50>1)を呈した。特に、EU位置282(V282E)、290(K290B)、438(Q438E)、および434(N434L)における変異はFcRnに対する結合親和性の顕著な減少を呈した。例えば、変異N434Lの結果、対照抗体よりも〜4000×低いFcRn結合親和性が得られた。
(ii)ALPHAスクリーン結合アッセイ)
AlphaScreenはビーズ−ベースのアッセイであり、これは、結合パートナー(すなわち、ダイマーFc結合蛋白質および改変されたFcポリペプチド)に別々にコンジュゲートされるドナーおよびアクセプタービーズを用いる。ドナービーズを光増感剤で被覆し、これは、(例えば、680nmにおける)レーザー励起に際して、シングレット酸素を生じる。化学発光−被覆アクセプタービーズはシングレット酸素と反応して、520〜620nmにおける光を発する。溶液中のシングレット酸素の非常に短い半減期のため、アクセプタービーズ化学発光はドナービーズの近接性に比例する。従って、ドナーおよびアクセプタービーズの結合の結果、大いに増強されたケミルミネセントシグナルが得られる。
ビオチニル化Fc/FcRn融合蛋白質(bhFcRnFc)を、384ウェル白色Costerプレート(Corning,Acton,MA)中の実施例4の改変された抗体の二連系列希釈に加えた(2μg/ml最終濃度)。室温での30分間のインキュベーションの後に、(PerkinElmer Biosignal Inc.,Montreal,Canadaによってコンジュゲートされた)ヒトIgG1コンジュゲートされたアクセプタービーズおよびストレプトアビジンコンジュゲートされたドナービーズ(PerkinElmer Biosignal Inc.,Montreal,Canada)を25μlの最終反応容量中にて20μg/ml(最終濃度)に加えた。この配置の結果、Fc/FcRn融合蛋白質に結合したストレプトアビジン−コンジュゲーテッドドナービーズおよび改変された抗体に結合されたIgG1−コンジュゲーテッドアクセプタービーズを含有する反応混合物が得られた。
反応混合物を室温にて1時間インキュベートし、Fusion−Alphaリーダー(PerkinElmer Biosignal Inc.,Montreal,Canada)で読んだ。pH6.0のPBS、0.1%ウシ血清アルブミンおよび0.01%Tween20をアッセイ緩衝液として用いた。ヒトIgGを陽性対照として用いた。pH7.0のアッセイ緩衝液を陰性対照として用いて、ヒトFcRnFcへのヒトIgGの非−結合を確認した。結果をGraphPad Prismソフトウェアを用いて分析した。
各改変された抗体について決定されたIC50値(μg/ml)を図7にまとめる。図7は、EU位置284、285、286、および288における変異、特に、V284E、H285E、N286D、K290Eを含む抗体の結果、対照抗体に対してダイマーFcRn/Fc融合蛋白質に対する増強された見掛けの結合親和性(IC50<1)をもたらした。対照的に、改変された抗体の多く(すなわち、EU位置252、255、279、282、284、285、286、290、304、306、309、314、313、345、376、434および438)は、対照抗体に対して、ダイマーFcRn/Fc融合蛋白質に対して低下した見掛けの結合親和性(IC50>1)を呈した。特に、EU位置252(M252SおよびM252T)、434(N434L)、および438(Q438E)における変異は、FcRnに対する結合親和性の顕著な減少を呈した。例えば、変異Q438Eは、対照抗体よりも〜1500×低いFcRn結合親和性をもたらした。
(同等物)
当業者であれば、たかだかルーチン的実験を用いて、本明細書中に記載された発明の特別な実施形態に対する多くの同等物を認識するか、または確認することができよう。そのような同等物は以下の請求の範囲に含まれることを意図する。
配列番号1

配列番号2

pEAG1787によってコードされる成熟huCBE11重鎖のDNA配列(配列番号3)


成熟huCBE11重鎖の予測されるアミノ酸配列(配列番号4)

pEAG1754によってコードされる成熟huCBE11軽鎖のDNA配列(配列番号5)

成熟huCBE11軽鎖の予測されるアミノ酸配列(配列番号6)

pEAG1761によってコードされるヒトβ−2−ミクログロブリンのDNA配列(配列番号7)

ヒトβ−2−ミクログロブリンの予測されるアミノ酸配列(配列番号8)

pEAG1761によってコードされるヒトFcRnα−Fc融合物のDNA配列(配列番号9)

ヒトFcRnα−Fc融合タンパク質の予測されるアミノ酸配列(配列番号10)

Claims (1)

  1. 本明細書の一部に記載の発明。
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