JP2013011644A - 静電荷現像剤用トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアシェル型の静電荷現像剤用トナーであって、コア層が少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、該コア層は少なくともスチレンアクリル樹脂成分で覆われたシェル用球状粒子により被覆され、その表面被覆率が10%以上50%以下であることを特徴とする静電荷現像剤用トナー。
【選択図】なし
Description
コアシェル型の静電荷現像剤用トナーであって、コア層が少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、該コア層は少なくともスチレンアクリル樹脂成分で覆われたシェル用球状粒子により被覆され、その表面被覆率が10%以上50%以下であることを特徴とする静電荷現像剤用トナー。
前記コア層がスチレンアクリル樹脂を核とし、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を被覆した構成と成っていることを特徴とする(1)記載の静電荷現像剤用トナー。
コアシェル型の静電荷現像剤用トナー製造方法において、少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有したコア層を作製し、該コア層を少なくともスチレンアクリル樹脂成分を含むシェル用球状粒子により被覆し、その表面被覆率を10〜50%とすることを特徴とする静電荷現像剤用トナーの製造方法。
コアシェル型の静電荷現像剤用トナー製造方法において、少なくともスチレンアクリル樹脂を含有したコア層を作製し、該コア層を少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂成分を含む第一段シェル用球状粒子により被覆し、次いで第二段シェル用球状粒子により被覆し、第二段シェルの表面被覆率を10%以上50%以下とすることを特徴とする静電荷現像剤用トナーの製造方法。
以上の操作を10粒子について行い、平均した値をもって表面被覆率とする。
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の含有率はトナー粒子の5〜40質量%、より好ましくは10〜20質量%である。これより少ないと定着性が悪化し、多いと定着分離性が悪化する傾向がある。
本発明のトナーは、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなる結着樹脂を用いたコア粒子の表面に、少なくともスチレンアクリル系樹脂を含むシェル粒子層を形成させてなるものである。ポリエステル主鎖に対して、スチレンアクリルは末端に結合されていてもよいし、側鎖としてグラフト結合していてもよい。当該スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステルセグメントの末端にスチレンアクリル系重合体セグメントが結合されたものとされている。
本発明のトナーを構成するコア層は、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含む樹脂よりなるものであるが、コア樹脂において、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂と共に含有させることのできる樹脂としては、例えばスチレンアクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
以上のようなコア樹脂に含有されるスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の3つが挙げられる。
(1)未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、両反応性モノマーとを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程
を経ることにより、ポリエステルセグメントの末端にスチレンアクリル系重合体セグメントを形成させることができる。
(式(ア)において、Wxは単量体xの質量分率、Tgxは単量体xの単独重合体のガラス転移点である。)
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
スチレンアクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
スチレンアクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。
本発明に係るスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
重合工程(2)においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
また、当該重合工程(2)においては、スチレンアクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
本発明のトナーを構成するシェル層粒子は、少なくともスチレンアクリル系樹脂を含む結着樹脂を含有するものである。
コア粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
本発明のトナーは、公知の種々の方法によって製造することができるが、水系媒体に分散された結着樹脂微粒子と着色剤微粒子などを凝集、融着させてコア粒子を形成し、当該コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させることによりトナー粒子が得られる乳化重合凝集法によって製造することが好ましい。
(1−1)水系媒体中において、シェル用樹脂によるシェル用樹脂微粒子を形成して当該シェル用樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製するシェル用樹脂微粒子分散液調製工程(シェル用樹脂は2種類でもかまわない)、
(1−2)水系媒体中において、コア用結着樹脂によるコア用結着樹脂微粒子を重合または分散法により形成して、当該結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する結着樹脂微粒子形成工程、
(1−3)水系媒体中に、着色剤による着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中で結着樹脂微粒子および着色剤微粒子を凝集させてコア粒子を形成するコア粒子形成工程、
(3)コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、シェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させてコア−シェル構造を有するトナー母体粒子を形成する工程、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する熟成工程、
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(6)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程、
から構成され、必要に応じて、
(7)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程、
を加えることができる。
(1−1−1)水系媒体中において、第一段シェル用樹脂による第一段シェル用樹脂微粒子を形成して当該第一段シェル用樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する第一段シェル樹脂微粒子分散液調製工程、
第一段シェル用樹脂はスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂が好ましい。
(1−1−2)水系媒体中において、第二段シェル用樹脂による第二段シェル用樹脂微粒子を形成して当該第二段シェル用樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する第二段シェル樹脂微粒子分散液調製工程、
第二段シェル用樹脂はスチレンアクリル樹脂が好ましい。
(1−2)水系媒体中において、結着樹脂によるコア用結着樹脂微粒子を重合により形成して当該コア用結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する結着樹脂重合工程、
コア層の樹脂はスチレンアクリル樹脂またはスチレンアクリル樹脂とスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の混合物が好ましい。
(1−3)水系媒体中に、着色剤による着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中で結着樹脂微粒子および着色剤微粒子を凝集させてコア粒子を形成するコア粒子形成工程、
(3−1)コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、第一段シェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面に第一段シェル樹脂微粒子を凝集、融着させてコア−シェル構造を有する粒子を形成する工程、
(3−2)コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、第二段シェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面に第二段シェル樹脂微粒子を凝集、融着させてコア−シェル構造を有するトナー母体粒子を形成する工程、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する熟成工程、
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(6)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程、
から構成され、必要に応じて、
(7)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程、
を加えることができる。
(1−1)シェル樹脂微粒子分散液調製工程
このシェル樹脂微粒子分散液調整工程において、シェル樹脂微粒子の分散液は、例えば、超音波分散法、ビーズミル分散法などにより、界面活性剤を添加した水系直接分散法により得ることができる。
水系媒体中には、分散させた微粒子の凝集を防ぐために、分散安定剤が添加されていることが好ましい。
(1−2)コア用結着樹脂重合工程
このコア用結着樹脂重合工程においては、コア用結着樹脂に係る樹脂微粒子が形成されて、これがコア粒子形成工程に供される。
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明に係るトナー粒子中に、荷電制御剤を含有させる場合は、荷電制御剤としては、公知の種々のものを使用することができる。
結着樹脂重合工程において使用される重合開始剤としては、上記と同様のものを使用することができる。
結着樹脂重合工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては上記と同様のものを使用することができる。
(1−3)着色剤微粒子分散液調製工程
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
(2)コア粒子形成工程
このコア粒子形成工程においては、必要に応じて、結着樹脂微粒子および着色剤微粒子と共に、オフセット防止剤や荷電制御剤などのその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
このコア粒子形成工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(3)シェル化工程
このシェル化工程においては、コア粒子の分散液中にシェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル層を被覆させてトナー母体粒子を形成する。
(4)熟成工程
上記のコア粒子形成工程およびシェル化工程における加熱温度の制御によりある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経る。
(5)洗浄工程〜(6)乾燥工程
洗浄工程および乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(7)外添剤添加工程
この外添剤添加工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を調製する工程である。
本発明のトナーは、コア粒子の表面にシェル層が形成されてなるトナー粒子よりなり、そのままでもトナーとして使用することができるが、これに外添剤を添加したものをトナーとして使用することが好ましい。
本発明のトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径(D50)で3〜10μmであることが好ましい。この粒径は、例えば後述する乳化重合凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
本発明のトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、下記式(T)で示される円形度の算術平均値が0.850〜0.990であることが好ましい。
ここで、トナー粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される値である。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナーは、一般的な電子写真方式の画像形成方法に用いることができ、このような画像形成方法が行われる画像形成装置としては、例えば静電潜像担持体である感光体と、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体の表面に一様な電位を与える帯電手段と、一様に帯電された感光体の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを感光体の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、当該トナー像を必要に応じて中間転写体を介して転写材に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着させる定着手段を有するものを用いることができる。このような構成を有する画像形成装置の中でも、複数の感光体に係る画像形成ユニットが中間転写体に沿って設けられた構成のカラー画像形成装置、特に、感光体が中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置に好適に用いることができる。
(1)結着樹脂微粒子分散液の調製
1−1 第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に予めアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 154質量部
メタクリル酸 77質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる単量体溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子〔a1〕」の分散液を調製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 27質量部
メタクリル酸 6質量部
n−オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、オフセット防止剤(離型剤)としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液〔2〕を調製した。
上記の「樹脂微粒子〔a11〕」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 78質量部
メタクリル酸 16質量部
n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなる単量体溶液〔3〕を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中に結着樹脂微粒子〔A〕が分散された「結着樹脂微粒子〔A〕の分散液」を作製した。
2−1 第1段シェル樹脂(スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂A)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 117質量部
フマル酸 82質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 30質量部
ブチルアクリレート 7質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔A:StAc変性PES〕を得た。
得られたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔A〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が250nmであるスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔A〕が分散された「シェル樹脂微粒子〔A〕の分散液」を作製した。
3−1 「シェル樹脂粒子分散液B1:StAc用」の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)2質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させて界面活性剤水溶液を調製した。前記界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、温度を80℃に昇温させた。
n−ブチルアクリレート 198質量部
メタクリル酸メチル 945質量部
イタコン酸 60質量部
上記単量体溶液の滴下終了後、液温を78℃にして1時間保持することにより、重合反応を進行させることにより、上記3つの重合性単量体より形成される共重合体を含有する「シェル樹脂粒子分散液B1」を作製した。「樹脂粒子B1」を構成する共重合体におけるメタクリル酸メチルとイタコン酸の比率は83.5質量%であった。また、「樹脂粒子B1」の重量平均分子量Mwは280,000、ガラス転移温度Tgは68℃であった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応装置にアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)2質量部、および前記「シェル樹脂粒子分散液B1」50質量部(固形分換算)をイオン交換水2900質量部に溶解させて界面活性剤溶液を調製した。前記界面活性剤溶液を窒素気流下230rpmの回転速度で撹拌しながら、液温を80℃に昇温させた。
スチレン 570質量部
n−ブチルアクリレート 170質量部
n−オクチルメルカプタン 12質量部
上記単量体溶液を滴下終了後、液温を78℃にして1時間保持することで重合反応を進行させることにより、「樹脂B1」を「樹脂C1」で内包させた構造の樹脂粒子を含有する「シェル樹脂微粒子分散液B1C1」を作製した。「シェル樹脂微粒子分散液B1C1」の重量平均分子量は60,000、ガラス転移温度47℃であった。また、「シェル樹脂微粒子分散液B1C1(StAc)」中の「シェル樹脂微粒子分散液B1」の含有量は6.3質量%であった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子〔C〕が分散されてなる「着色剤微粒子〔C〕の分散液」を調製した。この分散液における着色剤微粒子〔C〕の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「結着樹脂微粒子〔A〕の分散液」を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
トナー1の作製における凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、表面被覆率が10%のトナーを得た。これをトナー2とする。
トナー1の作製における凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、表面被覆率が50%のトナーを得た。これをトナー3とする。
トナーの作製例1の凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し結着樹脂微粒子〔A〕に置き換えてシェル樹脂微粒子〔A〕とした他は同様にして、表面被覆率が25%のトナー4を作製した。
下記合成方法にて、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂(StAc変性PES−2)を作製し、トナー4同様にして表面被覆率が25%のトナー5を作製した。
〈ポリエステル樹脂の作製(ポリエステル(a)の作製)〉
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物500質量部、テレフタル酸127質量部、フマル酸54質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(a)とする。ポリエステル(a)は、Tgは65℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部と上記で得られたポリエステル樹脂(a)を入れ溶解し、窒素置換後、スチレン60.4質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル15.2質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.98質量部、およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、スチレン−アクリル含有率10質量%のシェル用樹脂を得た。
得られたシェル用樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散後した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、平均粒径(体積基準におけるメディアン径(D50))が160nm、固形分量が13.5質量%のシェル用樹脂粒子分散液(StAc変性PES−2))を得た。
トナー1の作製における凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、表面被覆率が9.0%のトナーを得た。これをトナー6とする。
トナー1の作製における凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、表面被覆率が51%のトナーを得た。これをトナー7とする。
トナーの作製例1の凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、結着樹脂微粒子〔A〕に置き換えて下記ポリエステル樹脂粒子分散液〔A〕とした他は同様にして、表面被覆率が25%のトナー8を作製した。
ポリエステル樹脂(A)の作製
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物343部、テレフタル酸87部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで100mmHg(1mmHg=133Pa)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル樹脂(A)とする。ポリエステル樹脂(A)は、Tgは55℃、数平均分子量は3500、重量平均分子量は12000であった。
トナーの作製例1の凝集、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、表面被覆率が25%のトナー9を作製した。
トナー1の作製において、融着−熟成−洗浄−乾燥−外添剤添加工程において、表1に記した被覆率に応じて添加量を変更し、第2段シェルをトナー8で用いたポリエステル樹脂粒子分散液〔A〕とした他は同様にして、トナー10を作製した。
(1)キャリアの作製
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成させることにより、体積基準のメジアン径が50μmであるキャリアを得た。
トナー1〜10の各々に対して、上記のキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)によって回転速度45rpmで30分間混合することにより、現像剤1〜9を製造した。
市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用い、評価紙「POD128(王子製紙)」に印字率20%で200000枚印刷の実写耐久テストを行った後、A4ベタ画像を出力し、画像上の白斑点の個数を数えた。画像上の白斑点が0〜2を良好とし、3〜5を可とし、6以上を不合格とした。
Claims (4)
- コアシェル型の静電荷現像剤用トナーであって、コア層が少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、該コア層は少なくともスチレンアクリル樹脂成分で覆われたシェル用球状粒子により被覆され、その表面被覆率が10%以上50%以下であることを特徴とする静電荷現像剤用トナー。
- 前記コア層がスチレンアクリル樹脂を核とし、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を被覆した構成と成っていることを特徴とする請求項1記載の静電荷現像剤用トナー。
- コアシェル型の静電荷現像剤用トナー製造方法において、少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有したコア層を作製し、該コア層を少なくともスチレンアクリル樹脂成分を含むシェル用球状粒子により被覆し、その表面被覆率を10〜50%とすることを特徴とする静電荷現像剤用トナーの製造方法。
- コアシェル型の静電荷現像剤用トナー製造方法において、少なくともスチレンアクリル樹脂を含有したコア層を作製し、該コア層を少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂成分を含む第一段シェル用球状粒子により被覆し、次いで第二段シェル用球状粒子により被覆し、第二段シェルの表面被覆率を10%以上50%以下とすることを特徴とする静電荷現像剤用トナーの製造方法。
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