JP5565338B2 - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
少なくともスチレン−アクリル樹脂およびワックスを含有するコア粒子の表面に、ポリエステル樹脂を含有するシェル層を形成して成るコア・シェル構造のトナー母体粒子であって、該トナー母体粒子中に下記一般式(1)で表される高級アルコールを含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(1)
CH3(CH2)xOH
(式中、xは、5から17の整数を表す。)
2.
前記一般式(1)で表される高級アルコールが、前記シェル層中に含有されていることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
3.
コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
少なくともスチレン−アクリル樹脂とワックスとを含有するコア用樹脂微粒子の水系分散液を作製する工程と、
着色剤微粒子の水系分散液を作製する工程と、
ポリエステル樹脂と下記一般式(1)で表される高級アルコールを含有するシェル用樹脂微粒子の水系分散液を作製する工程と、
該コア用樹脂微粒子の水系分散液と該着色剤微粒子の水系分散液を混合し、凝集剤を添加して加熱しコア粒子を作製する工程と、
次いで該シェル用樹脂微粒子分散液を混合し、凝集剤を添加して加熱しトナー母体粒子を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
一般式(1)
CH3(CH2)xOH
(式中、xは5から17の整数を表す。)
一般式(1)
CH3(CH2)xOH
(式中、xは5から17の整数を表す。)
本発明のトナーはコア粒子にスチレン−アクリル樹脂とワックスを含有し、シェル層にポリエステル樹脂と高級アルコールを含有することを特徴としている。ここで、シェル層中に高級アルコールを含有するのは以下の理由による。
本発明においてシェル層に用いられるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)および多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造されたものである。多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸が例示できる。
本発明のポリエステル樹脂の重合用触媒としては、一般的な公知の触媒が使用可能であり、具体的には、ジブチルスズオキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラtert−ブトキシドなどのチタン化合物、オクチル酸スズ等のSn−C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を組み合わせて用いられる。
ポリエステル樹脂粒子のガラス転移点Tgは40℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。Tgが40℃以上であると、高温度領域での樹脂自体の凝集力が適切であり、定着の際にホットオフセットを生じることがないので好ましい。また、Tgが70℃以下であると、十分な溶融を得ることができ、好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。ガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。また、用いるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。重量平均分子量が1,500以上であると、バインダー樹脂として好適な凝集力が得られ、ホットオフセット性が良好であるので好ましい。また、重量平均分子量が60,000以下であると、良好なホットオフセット性および好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
本発明において、コア粒子は少なくとも結着樹脂とワックス(離型剤)を含有するものである。コア粒子を構成する結着樹脂は、従来から電子写真用トナーの結着樹脂として用いられるものであれば特に制限されるものではなく、種々の樹脂が使用可能であり、あるいはビニル系樹脂が用いられ、特にスチレン−アクリル樹脂が好ましく用いられる。コア粒子の形成方法としては、公知の方法で製造することができるが、水系媒体に分散した樹脂粒子と着色粒子などを凝集させてコア粒子を形成する乳化凝集法が好ましく用いられる。コア粒子がスチレン−アクリル樹脂から成る樹脂粒子等を凝集/融着して成る構成を有する場合、当該コア粒子は通常、乳化凝集法によって形成される。乳化凝集法を採用する場合、詳しくは重合性単量体を水系媒体中に乳化分散させて重合させた樹脂粒子及び着色剤粒子を必要に応じてワックスなどのオフセット防止剤、荷電制御剤、磁性粉等の添加剤とともに水系媒体中、凝集/融着させてコア粒子を形成させても良いし、または乳化させたオフセット防止剤や荷電制御剤の添加剤の存在下で重合性単量体を水系媒体中、シード乳化重合させてコア粒子を形成させてもよい。樹脂粒子の粒子径は通常、重量平均粒径で50nm〜500nmの範囲であることが好ましい。コア粒子表面に均一にシェル層を形成させる場合、乳化凝集法を採用するのが好ましい。乳化凝集法を採用する場合、コア粒子の水分散液中に、シェル粒子の乳化分散液を添加し、コア粒子の表面にシェル粒子を凝集/融着させて形成させることができる。
本発明においては、上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御できる。連鎖移動剤としては、公知のものを使用することができ、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルが挙げられる。連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体に対して、0.1〜5質量%の範囲で添加するのが好ましい。
本発明において上記重合性単量体の重合に使用される重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチル等の過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等である。
水系媒体中には、分散した液滴の凝集を防ぐために通常、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選択される分散安定剤を用いることが出来る。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。なお、分散安定剤は着色剤やオフセット防止剤等の分散液にも使用できる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデイシルトリメチルアンオニウムブロマイドなどが挙げられる。
本発明のトナーを構成するコア粒子に含有するワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ワックスの含有割合は、コアの全質量の2〜20質量%、好ましくは3〜18質量%さらに好ましくは4〜15質量%である。また、ワックスの融点としては、電子写真におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃であることが好ましい。
本発明で用いられる高級アルコールとは炭素数が6以上の脂肪族アルコールのことであり、下記式(1)で表される。
CH3(CH2)xOH
式中、xは5以上17以下であり、好ましくは11以上17以下である。5未満だと親和性が不十分でシェル層が形成できない。17より大きいとトナー表面は平滑になるが相溶が進行し過ぎて耐熱保管性が確保できない。コアに含まれていても良いが、シェル中に含有させるのが好ましい。また、含有量としてはシェル層用樹脂中に0.5質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜5質量%である。この範囲であると親和性が十分で、均一で平滑なシェル層の形成が可能となり、低温定着性と耐熱保管性が確保出来るので好ましい。上記一般式(1)で表される高級アルコールの具体例としては、例えば、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。
次に本発明で用いられるトナー母体粒子について説明する。なお、本発明で言う「トナー母体粒子」とは、コア粒子表面にシェル層を有して成るコア・シェル構造を有する粒子のことである。トナー母体粒子は、そのままでもトナーとして使用することができるが、通常、外添剤を添加してトナー粒子として使用することが好ましい。尚、トナーとはトナー粒子の集合体のことである。
先ず、本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度について説明する。本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度は0.850以上0.990以下が好ましい。ここで、トナー粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
次に、本発明で用いられるトナー母体粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50)で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能になる。トナー母体粒子の体積基準メディアン径(D50)は、たとえば、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー母体粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。
次に、本発明で用いられるトナー母体粒子の製造方法について説明する。
(1)水系媒体中にワックスを含有したコア用結着樹脂微粒子が分散されてなるコア用樹脂微粒子分散液を作製する工程
(2)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる着色剤分散液を調製する工程
(3)水系媒体中にシェル層用樹脂微粒子が分散されてなるシェル層用樹脂微粒子分散液を作製する工程
(4)上記コア用樹脂微粒子分散液と着色剤分散液とを混合し、次いで凝集剤を添加して、コア粒子を作製し、次いでシェル層用樹脂微粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル層を形成してコア・シェル構造のトナー母体粒子を作製する工程
(5)上記コア・シェル構造のトナー母体粒子を濾過・洗浄する工程
(6)トナー母体粒子を乾燥し、外添剤を添加してトナーを作製する工程
上記(1)のコア用樹脂微粒子分散液を作製する工程においてコア用結着樹脂微粒子を分散する手法としては、乳化重合によって得られる乳化重合粒子分散液を用いることが好ましい。また、コア用結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層または3層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成の結着樹脂微粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
使用される着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。この荷電制御剤粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
本発明ではトナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、外添剤を添加することが出来る。本発明で用いられる外添剤としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて用いてもよい。外添剤の添加方法としては、乾燥済みのトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。又、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
本発明のトナーが用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体と述べる)上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。特に、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色毎の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのが有効である。
(1)コア用樹脂粒子A分散液の調整
(2)シェル用樹脂粒子B分散液の調整
(3)凝集・融着〜外添剤処理工程
以下順を追って説明する。
(1)コア用樹脂粒子A1分散液の調整
(1−1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に予めアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤溶液に重合開始剤「過硫酸カリウム:KPS」9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
溶液(1)
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる溶液(1)を3時間かけて滴下し、滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することで重合(第1段重合)を行い「樹脂微粒子(a1)」の分散液を調製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
溶液(2)
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 60質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
からなる溶液(2)に、離型剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液(2)を調製した。一方、アニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に「樹脂微粒子(a1)」の分散液を、樹脂微粒子(a1)の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記単量体溶液(2)を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製し、この分散液に重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行って「樹脂微粒子(a11)」の分散液を調製した。
上記の「樹脂微粒子(a11)」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
溶液(3)
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 100質量部
n−オクチルメルカプタン 5.2質量部
からなる溶液(3)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア用樹脂粒子Aが分散した「コア用樹脂粒子A1の分散液」を作製した。
(2)シェル用樹脂粒子B1分散液の調整
(2−1)シェル用樹脂粒子B1分散液の調整
≪ポリエステル樹脂の作製≫
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、無水マレイン酸34質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、シェル用樹脂B1を得た。シェル用樹脂B1は、Tgは65℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
得られた「シェル用樹脂B1」100質量部、ラウリルアルコール1質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散後した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、ラウリルアルコールを含有する平均粒径(体積基準におけるメディアン径(D50))が160nm、固形分量が13.5質量%の「ポリエステル樹脂粒子の分散液(シェル用樹脂粒子B1分散液)」を得た。
使用した高級アルコール種および量を表1の様に変更した以外は同様にしてシェル用樹脂粒子B2〜B10分散液を作製した。
(3)凝集・融着〜外添剤処理工程
≪トナーの作製≫
〈着色剤分散液の作製〉
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を分散して有する着色剤分散液を調製した。この分散液の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−150(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
撹拌装置、温度センサ、冷却管を取り付けた反応容器に、「コア用樹脂粒子A1」の分散液を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、「着色剤分散液」を固形分換算で40質量部投入した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(コールターベックマン社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μmになった時点で、「シェル用樹脂粒子B1」の分散液を固形分換算で72質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、「トナー母体粒子分散液1」を作製した。
上記凝集・融着工程にて作製した「トナー母体粒子分散液1」を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子〔1〕」を作製した。
上記の「トナー母体粒子〔1〕」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
トナー1の作製で用いた「コア用樹脂粒子A」と「シェル用樹脂粒子B」の種類と質量部を、表1のように変更した以外は同様にして「トナー2〜14」を作製した。
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径50μmのキャリアを得た。キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
(1)低温定着性
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)のブラックの現像装置に、上記で作製した現像剤を順次装填して評価を行った。なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてNPi上質紙128g/m2(日本製紙製)を用い、トナー付着量11.3g/m2のベタ画像を定着速度300mm/secで定着上ベルト150〜200℃、定着下ローラは上ベルトより20℃低く設定し5℃毎の水準で定着させた時に、コールドオフセットが発生しない定着下限温度を評価した。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れている。
○:定着下限温度が150℃以上160℃未満
△:定着下限温度が160℃以上170℃未満
×:定着下限温度が170℃以上
(2)耐熱保管性
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。トナー凝集率は下記式(2)により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。
○:トナー凝集率が10質量%以上15質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:トナー凝集率が15質量%以上20質量%未満(トナーの耐熱保管性がやや悪い) ×:トナー凝集率が20質量%以上(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
(3)定着分離性
定着用ヒートローラの表面温度を180℃とし、搬送方向に対して垂直方向に5cm幅のベタ黒帯状画像を有するA4画像を縦送りで搬送した際における画像側の定着ローラと紙との分離性を下記の評価基準により判定した。
○:紙が定着ローラと分離爪で分離するが、画像上に分離爪の跡はほとんど目立たない △:紙が定着ローラと分離爪で分離するが、画像上に分離爪跡が残る
×:紙が定着ローラに巻きついてしまい定着ローラと分離できない
以上の評価結果を表2に示した。
Claims (3)
- 少なくともスチレン−アクリル樹脂およびワックスを含有するコア粒子の表面に、ポリエステル樹脂を含有するシェル層を形成して成るコア・シェル構造のトナー母体粒子であって、該トナー母体粒子中に下記一般式(1)で表される高級アルコールを含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(1)
CH3(CH2)xOH
(式中、xは、5から17の整数を表す。) - 前記一般式(1)で表される高級アルコールが、前記シェル層中に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
少なくともスチレン−アクリル樹脂とワックスとを含有するコア用樹脂微粒子の水系分散液を作製する工程と、
着色剤微粒子の水系分散液を作製する工程と、
ポリエステル樹脂と下記一般式(1)で表される高級アルコールを含有するシェル用樹脂微粒子の水系分散液を作製する工程と、
該コア用樹脂微粒子の水系分散液と該着色剤微粒子の水系分散液を混合し、凝集剤を添加して加熱しコア粒子を作製する工程と、
次いで該シェル用樹脂微粒子分散液を混合し、凝集剤を添加して加熱しトナー母体粒子を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
一般式(1)
CH3(CH2)xOH
(式中、xは5から17の整数を表す。)
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