JP5782872B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の分野では、市場からの要求に応じてそれに適した電子写真装置、およびこれに使用可能なトナーの開発が急ピッチで進められている。
例えば、高画質化に対応したトナーとしては、個々のトナー粒子毎の現像挙動が揃うことにより、微小ドットの再現性が著しく向上することから、粒径分布がシャープであるものが求められている。しかしながら、従来の粉砕法によっては、粒径分布のシャープなトナーを得ることは容易ではなかった。これに対して、トナー粒子の形状や粒度分布を任意に制御可能な製造方法として乳化重合凝集法が提案されている。この方法は、結着樹脂微粒子の乳化分散液に着色剤微粒子の分散液や必要に応じてワックス微粒子の分散液を混合し、撹拌しながら、凝集剤の添加、pHの制御などにより、これらの微粒子を凝集させ、さらに加熱によって凝集粒子を融着させることにより、トナー粒子を得るものである。
また、省エネルギー化の観点から、少ないエネルギーで定着できる低温定着トナーの開発が進められている。トナーの定着温度を下げるためには、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要である。しかしながら、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げるために、結着樹脂のガラス転移点(Tg)や分子量を下げると、トナーの耐熱保管性が低下するなど新たな問題が生じる。
この問題を解決するために、低温定着性と耐熱保管性との両方を満足するためにトナー粒子をコア−シェル構造のものとする技術が報告されている。すなわち、低温定着性に優れたコア粒子の表面に軟化点が高く耐熱性に優れた微粒子を用いてシェル層を形成することによって、低温定着性と耐熱保管性との両方を満足するトナーを作製することができる。特に、乳化重合凝集法によるトナーの製造においては、このような形状制御を容易に行うことができるという利点がある。
しかしながら、近年、プロダクションプリント領域において、複写機、プリンターの高速化および対応紙種の拡大が進む中、コア−シェル構造のトナーによっては、さらなる低温定着性と耐熱保管性との両方を満足することが困難になってきている。
このような問題を解決するために、シェル層の材料としてポリエステル樹脂を用いたトナーが開発されている(例えば、特許文献1,2参照。)。ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂と比較して高いガラス転移点を維持したまま低軟化点設計が容易に行えるという利点があり、シェル層にポリエステル樹脂を用いることで、低温定着性・耐熱保管性の良好なトナーを得ることができる。
一方、着色剤としてカーボンブラック粒子を用いたトナーについて、その着色力および転写性を向上させるためには、トナー粒子中のカーボンブラック粒子の分散性を向上させること、および、トナー粒子の表面へのカーボンブラック粒子の露出を抑制させることが必要である。
カーボンブラック粒子の分散性を向上させるためには、結着樹脂およびカーボンブラック粒子の極性を高くすればよいことが知られている(特許文献3参照)。
また、トナー粒子の表面へのカーボンブラック粒子の露出を抑制させるためには、カーボンブラック粒子を含有するコア粒子をカーボンブラック粒子を含まないシェル層で覆うコア−シェル構造を形成することが有用であることが知られている。
特開2005−77881号公報 特開2005−338548号公報 特開2000−98665号公報
然るに、極性の高いカーボンブラック粒子を含むコア粒子をポリエステル樹脂を含むシェル層で被覆すると、ポリエステル樹脂の極性が高いため、カーボンブラック粒子がトナー粒子の表面へ露出してしまうという不具合が生じ、これに起因して転写不良が発生してしまう、という問題があった。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、十分な着色力が得られると共に優れた転写性が得られる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂にpH2〜6のカーボンブラック粒子が分散されてなるコア粒子の表面に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなるシェル層が形成されてなるトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
水系媒体中において、スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂からなるコア樹脂微粒子およびpH2〜6のカーボンブラック粒子を凝集させることによって得られる凝集粒子の表面に、下記一般式(A)で表されるフタロシアニン化合物からなるフタロシアニン化合物粒子を凝集させてコア粒子を得る工程と、
前記コア粒子の表面に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有するシェル樹脂からなるシェル樹脂微粒子を凝集させる工程とを有し、
前記凝集粒子が体積基準のメジアン径で200〜2500nmである時点において、前記水系媒体中に前記フタロシアニン化合物粒子を添加することを特徴とする。
Figure 0005782872
〔上記一般式(A)中、M は金属原子またはTiOである。〕
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記凝集粒子が体積基準のメジアン径で300〜2500nmである時点において、前記水系媒体中に前記フタロシアニン化合物粒子を添加することが好ましい。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記カーボンブラック粒子に対する前記フタロシアニン化合物粒子の使用割合が、質量比でカーボンブラック粒子:フタロシアニン化合物粒子=12:1〜4:1であることが好ましい。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記トナー粒子を構成するコア樹脂およびシェル樹脂からなる結着樹脂全体における前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合が5〜35質量%であることが好ましい。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5〜30質量%であることが好ましい。
さらに、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、静電荷像現像用トナーが黒トナーである構成とすることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、基本的に、シェル層にポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が含有されているために、コア粒子とシェル層との高い親和性が得られて当該シェル層が薄層で均一なものとされているので、十分な低温定着性および優れた耐熱保管性が得られると共に優れた帯電性が得られ、さらに、カーボンブラック粒子がpH2〜6の極性の高いものであることによりコア粒子中においてカーボンブラック粒子の高い分散性が得られながら、当該コア粒子がコア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子による凝集粒子の表面にフタロシアニン化合物粒子を凝集させて得たものであることから、当該フタロシアニン化合物粒子の作用により、得られるトナー粒子の表面へのカーボンブラック粒子の露出が抑制されるために、十分な着色力が得られると共に優れた転写性が得られる静電荷像現像用トナーを製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂にpH2〜6のカーボンブラック粒子が分散されてなるコア粒子の表面に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなるシェル層が形成されてなるトナー粒子よりなるトナーの製造方法であって、水系媒体中において、スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂からなるコア樹脂微粒子およびpH2〜6のカーボンブラック粒子を凝集させることによって得られる凝集粒子の表面に、上記一般式(A)で表されるフタロシアニン化合物(以下、「特定のフタロシアニン化合物」ともいう。)からなるフタロシアニン化合物粒子(以下、「特定のフタロシアニン化合物粒子」ともいう。)を凝集させてコア粒子を得る工程と、コア粒子の表面に、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂からなるシェル樹脂微粒子を凝集させる工程とを有する方法である。
本発明のトナーの製造方法は、メインの着色剤としてカーボンブラック粒子を含有する黒トナーを製造する場合に好ましく適用されるが、メインの着色剤としてカーボンブラック粒子を含有しなくとも、少量のカーボンブラック粒子を含有するトナーを製造する場合に適用してもよい。
本発明のトナーの製造方法を具体的に示すと、例えば、
(1−1)水系媒体中に、pH2〜6のカーボンブラック粒子が分散されてなる分散液を調製するカーボンブラック粒子分散液調製工程、
(1−2)水系媒体中に、特定のフタロシアニン化合物粒子が分散されてなるフタロシアニン粒子分散液を調製するフタロシアニン粒子分散液調製工程、
(1−3)水系媒体中において、シェル樹脂によるシェル樹脂微粒子を形成して当該シェル樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製するシェル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−4)水系媒体中において、重合によりコア樹脂によるコア樹脂微粒子を形成して当該コア樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製するコア樹脂重合工程、
(2)水系媒体中において、コア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子を凝集、融着させ、その過程において特定のフタロシアニン化合物粒子を共に凝集させてコア粒子を得る凝集、融着工程、
(3)コア粒子が分散された水系媒体中に、シェル樹脂微粒子を添加してこれをコア粒子の表面にさらに凝集、融着させてコア−シェル構造を有するトナー母体粒子を形成するシェル化工程、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整してトナー粒子を得る熟成工程、
(5)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
から構成され、必要に応じて、
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
(1−1)カーボンブラック粒子分散液調製工程
カーボンブラック粒子が分散されてなるカーボンブラック粒子分散液は、カーボンブラック粒子を水系媒体中に分散させることにより調製することができる。カーボンブラック粒子の分散処理は、カーボンブラック粒子が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。カーボンブラック粒子の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
本発明において用いられるカーボンブラック粒子は、pH2〜6の極性基の含有量が多いものである。
pH2〜6のカーボンブラック粒子は、カーボンブラック粒子を公知の方法により表面処理を行うことにより、調製することができる。具体的には、酢酸溶液やスルフォン酸溶液などの酸性溶液中にカーボンブラックを浸漬処理する湿式の表面処理方法や、空気酸化法、硝酸、窒素酸化物と空気の混合ガス、オゾンなどの酸化剤に接触させる乾式の表面処理方法などが挙げられる。また、市販のカーボンブラック粒子には、すでにpH調整がなされて市場に提供されているものがある。
カーボンブラック粒子のpHは、当該カーボンブラック粒子における極性基の含有量の指標とされ、後述の通りに測定されるものである。
カーボンブラック粒子がpH2〜6のものであることにより、トナー粒子中における当該カーボンブラック粒子の高い分散性が得られる。
カーボンブラック粒子のpHは、具体的には、試料(カーボンブラック)5gを100mLの容器に採取し、これに蒸留水50mLを加え、これを15分間煮沸した後、常温まで冷却し、その上澄み液のpHとして得られる。当該上澄み液のpHは、pHメータ「HM50S」(東亜電波工業社製)によって測定される。
トナーにおけるカーボンブラック粒子の含有割合は、コア樹脂およびシェル樹脂からなる結着樹脂全体に対して1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
このカーボンブラック粒子分散液調製工程において調製されるカーボンブラック粒子分散液中のカーボンブラック粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で10〜300nmとされることが好ましい。
このカーボンブラック粒子分散液中のカーボンブラック粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
〔界面活性剤〕
水系媒体中には、分散させた微粒子の凝集を防ぐために、分散安定剤が添加されていることが好ましい。
分散安定剤としては、公知の種々のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの界面活性剤を使用することができる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデイシルトリメチルアンオニウムブロマイドなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリキオシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪族石鹸や、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げることができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(1−2)フタロシアニン粒子分散液調製工程
特定のフタロシアニン化合物粒子が分散されてなるフタロシアニン粒子分散液は、カーボンブラック粒子の代わりに特定のフタロシアニン化合物粒子を用いることの他は上記カーボンブラック粒子分散液と同様にして調製することができる。
本発明において用いられる特定のフタロシアニン化合物は、上記一般式(A)で表されるものである。
上記一般式(A)において、Mは、金属原子またはTiOを示す。
特定のフタロシアニン化合物としては、上記一般式(A)においてMがCu,Zn,Sn,Si,CoまたはFeであるもの、またはTiOを用いることが好ましく、特に、MがCu,Znのものを用いることが好ましい。
特定のフタロシアニン化合物の使用割合は、質量比でカーボンブラック粒子:特定のフタロシアニン化合物粒子が12:1〜4:1であることが好ましく、より好ましくは10:1〜6:1である。
特定のフタロシアニン化合物の使用割合が上記の範囲であることにより、確実に、十分な着色力および優れた転写性が得られる。一方、特定のフタロシアニン化合物の使用割合が過多である場合は、カーボンブラック粒子、特定のフタロシアニン化合物およびコア樹脂から構成されるコア粒子の表面の極性が低下し、コア−シェル間の極性差が広がるという理由から、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むシェル樹脂によってシェル層を形成することが難しい。また、特定のフタロシアニン化合物の使用割合が過少である場合は、得られるトナー粒子において、カーボンブラック粒子がシェル層の表面に露出することを十分に抑制できないおそれがある。
このフタロシアニン粒子分散液調製工程において調製されるフタロシアニン粒子分散液中の特定のフタロシアニン化合物粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で50〜300nmとされることが好ましい。
このフタロシアニン粒子分散液中の特定のフタロシアニン化合物粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
(1−3)シェル樹脂微粒子分散液調製工程
このシェル樹脂微粒子分散液調製工程において、シェル樹脂微粒子の分散液は、シェル樹脂を用いて、例えば、超音波分散法、ビーズミル分散法などにより、界面活性剤を添加した水系直接分散法により得ることができる。
このシェル樹脂微粒子分散液調製工程において得られるシェル樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmの範囲にあることが好ましい。
なお、体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
このシェル樹脂微粒子分散液調製工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上述のカーボンブラック粒子分散液調製工程において使用することのできる界面活性剤として挙げたものと同じものを使用することができる。
〔シェル樹脂〕
シェル樹脂は、結着樹脂を構成するものであり、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むものである。
シェル樹脂において、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂と共に含有させることのできる樹脂としては、例えばスチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合は、シェル樹脂100質量%中において70〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合が70質量%未満である場合は、コア粒子とシェル層との十分な親和性が得られずに所望のシェル層を形成することができないために、十分な耐熱保管性、帯電性または耐破砕性が十分に得られないおそれがある。
トナーを構成するシェル樹脂にスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を用いることにより、以下の効果が得られる。
すなわち、一般に、トナー粒子の設計においてポリエステル樹脂を結着樹脂として用いることの利点は、ポリエステル樹脂がスチレン−アクリル系樹脂に比べて高いガラス転移点(Tg)を維持したまま低軟化点化の設計が容易に行えることにある。つまり、ポリエステル樹脂は低温定着性と耐熱保管性との両方を満足するために好適な樹脂である。そして、シェル層に用いられるポリエステル樹脂にスチレン−アクリル系重合体セグメントを導入することによって、ポリエステル樹脂の高いガラス転移点と低い軟化点を維持したままコア粒子のスチレン−アクリル系樹脂との親和性が高められ、これにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつその表面が平滑なシェル層を形成することができる。従って、シェル樹脂にスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を用いたトナーによれば、低温定着性と耐熱保管性との両方を満足すると共に優れた帯電性が得られ、さらに、シェル層が剥がれ難くなったことにより、現像器内において撹拌されてストレスを受けても破砕されることのない耐破砕性が十分に得られ、その結果、例えば高速機などの高機能機においても画像ノイズのない高い画質の画像が得られる。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合(以下、「スチレン−アクリル変性量」ともいう。)は、5〜30質量%であることが好ましく、特に、10〜20質量%であることが好ましい。
スチレン−アクリル変性量は、具体的には、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、すなわち、ポリエステルセグメントとなる未変性のポリエステル樹脂と、スチレン−アクリル系重合体セグメントとなる芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、これらを結合させるための両反応性モノマーを合計した全質量に対する、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量の割合をいう。
スチレン−アクリル変性量が上記の範囲にあることにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子との親和性が適正に制御され、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができる。一方、スチレン−アクリル変性量が過小である場合は、均一な膜厚のシェル層を形成することができず、部分的にコア粒子が露出してしまう結果、十分な耐熱保管性および帯電性が得られない。また、スチレン−アクリル変性量が過大である場合は、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が軟化点の高いものとなるため、トナー粒子全体として十分な低温定着性が得られない。
また、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するために多価カルボン酸モノマーとして脂肪族不飽和ジカルボン酸が用いられて、このポリエステルセグメントに当該脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されることが好ましい。
脂肪族不飽和ジカルボン酸とは、分子内にビニレン基を有する鎖状のジカルボン酸をいう。
脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂によれば、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を確実に形成することができる。
このスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーに由来の構造単位における、脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位の含有割合(以下、「特定の不飽和ジカルボン酸含有割合」ともいう。)が25モル%以上75モル%以下とされることが好ましく、特に30モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
特定の不飽和ジカルボン酸含有割合が上記の範囲にあることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。一方、特定の不飽和ジカルボン酸含有割合が過小である場合は、十分な耐熱保管性および帯電性が得られないことがあり、また、特定の不飽和ジカルボン酸含有割合が過大である場合は、十分な帯電性が得られないことがある。
脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位としては、下記一般式(B)で表されるものに由来の構造単位であることが好ましい。
一般式(B):HOOC−(CR1 =CR2 −COOH
〔式中、R1 、R2 は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。〕
このような脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されていることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。
これは、ビニレン基を有する脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を用いることにより、例えば後述する乳化重合凝集法によってトナー粒子を製造する場合に、エマルション化したときの当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂による微粒子の乳化安定性が向上するために、コア粒子の表面への凝集が均一に進むためと推察される。また、ビニレン基を有する脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂は、極性が高いものであるために、これを用いてトナー粒子を例えば後述する乳化重合凝集法によって製造する場合に、シェル層を形成すべきスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂による微粒子のポリエステルセグメント部分が、凝集粒子における表面側に配向し易くなったためとも推察される。
シェル樹脂は、低温定着性および定着分離性などの定着性、並びに、耐熱保管性および耐ブロッキング性などの耐熱性を確実に得る観点から、ガラス転移点が50〜70℃であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃であり、かつ、軟化点が80〜110℃であることが好ましい。
シェル樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
また、シェル樹脂の軟化点は、以下のように測定されるものである。
まず、20℃±1℃、50%±5%RHの環境下において、シェル樹脂1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃±5℃、50%±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、シェル樹脂の軟化点とされる。
〔スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の合成方法〕
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を合成する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の3つが挙げられる。
(A−1)ポリエステルセグメントを予め重合しておき、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を反応させることにより、スチレン−アクリル系重合セグメントを形成する方法。
(A−2)スチレン−アクリル系重合体セグメントを予め重合しておき、当該スチレン−アクリル系重合体セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを反応させることにより、ポリエステルセグメントを形成する方法。
(B)ポリエステルセグメントおよびスチレン−アクリル系重合体セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
本明細書において、両反応性モノマーとは、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と、重合性不飽和基とを有するモノマーである。
(A−1)の方法について具体的に説明すると、
(1)未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、両反応性モノマーとを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程
を経ることにより、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成させることができる。
混合工程(1)においては、加熱することが好ましい。加熱温度としては、未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および両反応性モノマーを混合させることができる範囲であればよく、良好な混合が得られると共に、重合制御が容易となることから、例えば80〜120℃とすることができ、より好ましくは85〜115℃、さらに好ましくは90〜110℃である。
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および両反応性モノマーのうち、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち前記の4者の全質量を100質量%としたときの芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計の割合が5質量%以上30質量%以下とされ、特に、5質量%以上20質量%以下とされることが好ましい。
用いられる樹脂材料の全質量に対する芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計の割合が上記の範囲にあることにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子との親和性が適正に制御され、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができる。一方、当該割合が過小である場合は、得られるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、均一な膜厚のシェル層を形成することができるものとならず、部分的にコア粒子が露出してしまう結果、得られるトナーに十分な耐熱保管性および帯電性が得られない。また、当該割合が過大である場合は、得られるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が軟化点の高いものとなるため、得られるトナーが、全体として十分な低温定着性が得られないものとなる。
また、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の相対的な割合は、下記式(ア)で表されるFOX式で算出されるガラス転移点(Tg)が35〜80℃、好ましくは40〜60℃の範囲となるような割合とされることが好ましい。
式(ア):1/Tg=Σ(Wx/Tgx)
〔式(ア)において、Wxは単量体xの重量分率、Tgxは単量体xの単独重合体のガラス転移点である。〕
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および両反応性モノマーのうち、両反応性モノマーの使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち前記の4者の全質量を100質量%としたときの両反応性モノマーの割合が0.1質量%以上5.0質量%以下とされ、特に、0.5質量%以上3.0質量%以下とされることが好ましい。
〔芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体〕
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレンなどおよびその誘導体が挙げられる。
これらの芳香族系ビニル単量体は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、優れた帯電性、画質特性などを得る観点から、スチレンまたはその誘導体を多く用いることが好ましい。具体的には、スチレンまたはその誘導体の使用量が、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するために用いられる全単量体(芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体)中の50質量%以上であることが好ましい。
〔両反応性モノマー〕
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。
〔ポリエステル樹脂〕
本発明に係るスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸などの2価以上のカルボン酸などを挙げることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に、上記一般式(B)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましい。
脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、確実に、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。特に、上記一般式(B)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、一層確実に、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。
用いる全多価カルボン酸モノマーにおける脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合は、25モル%以上75モル%以下とされることが好ましく、特に30モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が上記の範囲にあることにより、得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、より一層確実に、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。一方、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が過小である場合は、得られるトナーに十分な耐熱保管性および帯電性が得られないことがあり、また、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が過大である場合は、得られるトナーに十分な帯電性が得られないことがある。
多価アルコールモノマーとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
上記の多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーの比率は、多価アルコールモノマーの水酸基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
ポリエステル樹脂を合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を得るための未変性のポリエステル樹脂は、ガラス転移点が40℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。未変性のポリエステル樹脂のガラス転移点が40℃以上であることにより、当該ポリエステル樹脂について高温領域における凝集力が適切なものとなり、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。また、未変性のポリエステル樹脂のガラス転移点が70℃以下であることにより、定着の際に十分な溶融を得ることができて十分な最低定着温度を確保することができる。
また、当該未変性のポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。
重量平均分子量が1,500以上であることにより、コア樹脂およびシェル樹脂からなる結着樹脂全体として好適な凝集力が得られ、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。また、重量平均分子量が60,000以下であることにより、十分な溶融を得ることができて十分な最低定着温度を確保することができながら、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。
当該未変性のポリエステル樹脂は、用いる多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーとして、カルボン酸価数またはアルコール価数を選択することなどによって、一部枝分かれ構造や架橋構造などが形成されていてもよい。
〔重合開始剤〕
重合工程(2)においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチルなどの過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)などのアゾ化合物などが挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
また、当該重合工程(2)においては、スチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
連鎖移動剤は、上記の混合工程において樹脂材料と共に混合させておくことが好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、所望するスチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体、並びに両反応性モノマーの合計量に対して、0.1〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
重合工程(2)における重合温度は、特に限定されず、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体間の重合およびポリエステル樹脂への結合が進行する範囲において適宜選択することができる。重合温度としては、例えば、85℃以上125℃以下であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましく、95℃以上115℃以下であることがさらに好ましい。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の作製においては、重合工程後の残留モノマー量など乳化物からの揮発性有機物質が、1,000ppm以下に抑制されることが実用上好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。
(1−4)コア樹脂重合工程
このコア樹脂重合工程においては、コア樹脂からなるコア樹脂微粒子が形成されて、これが凝集、融着工程に供される。
具体的には、コア樹脂微粒子は、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、コア樹脂を形成するための重合性単量体に必要に応じてワックスや荷電制御剤などのトナー構成成分を溶解あるいは分散させた単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して、液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。このようなコア樹脂重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
このコア樹脂重合工程において形成させるコア樹脂微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成のものとすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
コア樹脂微粒子を構成するコア樹脂は、結着樹脂を構成するものであり、少なくともスチレン−アクリル系樹脂を含むが、その他に、従来から電子写真用トナーのコア樹脂として用いられる樹脂を含んでもよく、このようなその他の樹脂としては、公知の種々の樹脂を用いることができる。
スチレン−アクリル系樹脂を形成するために用いられる重合性単量体としては、上記に挙げた芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を挙げることができる。上記の芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体は、それぞれ1種単独で、またはそれぞれ2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性単量体として、上記の芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体と共に、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどや、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエンなどを用いることもできる。
また、重合性単量体として、上記の芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体と共に、多官能ビニル系単量体を用いることもできる。多官能ビニル系単量体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキしレングリコールなどのジアクリレート;ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどの三級以上のアルコールのジメタクリレートおよびトリメタクリレートなどが挙げられる。
多官能ビニル系単量体のコア樹脂に係る重合性単量体全体に対する共重合比は、通常0.001〜5質量%とされ、好ましくは0.003〜2質量%、より好ましくは0.01〜1質量%とされる。
多官能ビニル系単量体の使用により、テトラヒドロフランに不溶のゲル成分が生成されるが、ゲル成分は、コア樹脂全体の40質量%以下とされることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
コア樹脂重合工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上述のカーボンブラック粒子分散液調製工程において使用することのできる界面活性剤として挙げたものと同じものを使用することができる。
トナー粒子中には、結着樹脂およびカーボンブラック粒子の他に、必要に応じて他の着色剤、ワックスや荷電制御剤、磁性粉などの内添剤を含有させてもよく、このような内添剤は、例えば、このコア樹脂重合工程において、予め、コア樹脂を形成するための単量体溶液に溶解または分散させておくことによってトナー粒子中に導入することができる。
また、このような内添剤は、別途内添剤のみよりなる内添剤微粒子の分散液を調製し、凝集、融着工程においてコア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子と共に当該内添剤微粒子を凝集させることにより、トナー粒子中に導入することもできるが、コア樹脂重合工程において予め導入しておく方法を採用することが好ましい。
〔ワックス〕
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスとしては、トナーの低温定着性および離型性を確実に得る観点から、その融点が50〜95℃であるものを用いることが好ましい。
ワックスの含有割合は、コア樹脂およびシェル樹脂からなる結着樹脂全体に対して2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%、さらに好ましくは4〜15質量%である。
〔帯電制御剤〕
また、本発明に係るトナー粒子中に、荷電制御剤を含有させる場合は、荷電制御剤としては、公知の種々のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
荷電制御剤の含有割合は、コア樹脂およびシェル樹脂からなる結着樹脂全体に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%とされる。
〔重合開始剤〕
コア樹脂重合工程において使用される重合開始剤としては、上記と同様のものを使用することができる。
〔連鎖移動剤〕
コア樹脂重合工程においては、コア樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては上記と同様のものを使用することができる。
コア樹脂重合工程において合成されるコア樹脂は、ガラス転移点が30〜65℃であることが好ましく、より好ましくは30〜55℃である。また、軟化点が80〜120℃であることが好ましく、より好ましくは90〜110℃である。
コア樹脂のガラス転移点および軟化点は、測定試料としてコア樹脂を用いて上述と同様に測定されるものである。
このコア樹脂重合工程において得られるコア樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmの範囲にあることが好ましい。
なお、体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
(2)凝集、融着工程
この凝集、融着工程においては、コア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子が凝集、融着されることにより凝集粒子が成長するが、この凝集粒子の成長の過程において特定のフタロシアニン化合物粒子が共に凝集され、コア粒子が形成される。
コア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子の凝集、融着は、具体的には、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、コア樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することによって、コア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子などの微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進めることにより凝集粒子が成長する。
そして、凝集粒子の成長の過程、具体的には凝集粒子が体積基準のメジアン径で200〜2500nm、好ましくは300〜1800nmに成長した時点において、特定のフタロシアニン化合物粒子が水系媒体中に添加されて、これが凝集粒子の表面に凝集され、かつ、コア樹脂微粒子およびカーボンブラック粒子の当該凝集粒子の表面への凝集、融着が継続され、これにより、コア粒子が形成される。
特定のフタロシアニン化合物粒子の水系媒体中への添加が凝集粒子の体積基準のメジアン径が200nm未満の時点で行われる場合は、得られるトナー粒子が、カーボンブラック粒子がその表面に露出したものとなり、当該トナー粒子によって画像を形成するときに転写不良が発生するおそれがある。また、特定のフタロシアニン化合物粒子の水系媒体中への添加が凝集粒子の体積基準のメジアン径が2500nmを超えた大きさの時点で行われる場合は、均一なシェル層が形成できず、結果としてという不具合が発生するおそれがある。
この凝集、融着工程においては、凝集剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くして速やかにコア樹脂のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によっては粒子の凝集状態が変動して粒径分布が不安定になったり、融着させた粒子の表面性が変動したりする問題が発生することが懸念されるためである。この昇温までの時間としては通常30分間以内であることが好ましく、10分間以内であることがより好ましい。また、昇温速度としては1℃/分以上であることが好ましい。昇温速度の上限は特に規定されるものではないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から、15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、反応系がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該反応系の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、コア粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上することができる。
〔凝集剤〕
この凝集、融着工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
凝集、融着工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上述のカーボンブラック粒子分散液調製工程において使用することのできる界面活性剤として挙げたものと同じものを使用することができる。
この凝集、融着工程において得られるコア粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径(D50)が2〜9μmであることが好ましく、より好ましくは4〜7μmである。
コア粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)によって測定されるものである。
(3)シェル化工程
このシェル化工程においては、コア粒子の分散液中にシェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル層を被覆させてトナー母体粒子を形成する。
具体的には、コア粒子の分散液は凝集、融着工程における温度を維持した状態でシェル樹脂微粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル樹脂微粒子をコア粒子の表面に凝集、融着させることによってコア粒子の表面に厚さ100〜300nmのシェル層を被覆させてトナー母体粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
シェル樹脂微粒子の使用量は、シェル樹脂微粒子に含有されるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の結着樹脂全体に対する含有割合が好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%となる量とされる。
具体的には、シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂量によって異なるが、得られるトナーを構成する結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が、好ましくは結着樹脂全体の5〜20質量%、より好ましくは10〜30質量%となる量であることが好ましい。
結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が過度に低い場合は、十分な耐熱保管性が得られないおそれがあり、また、結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が過度に高い場合は、十分な低温定着性が得られないおそれがある。
(4)熟成工程
上記の凝集、融着工程〜シェル化工程における加熱温度の制御によりある程度トナー母体粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経る。
この熟成工程は、加熱温度と時間の制御を行うことにより、粒径が一定で分布が狭く形成したトナー母体粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものとなるよう制御する。具体的には、凝集、融着工程およびシェル化工程において加熱温度を低めにして樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均―化を促進させ、この熟成工程においても加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてトナー母体粒子が所望の平均円形度となる、すなわち表面が均一な形状のものとなるよう制御する。
(5)洗浄工程〜(6)乾燥工程
洗浄工程および乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(7)外添剤添加工程
この外添剤添加工程は、乾燥処理したトナー粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を調製する工程である。
乾燥工程までの工程を経て作製されたトナー粒子は、そのままトナー粒子として使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、あるいはクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
無機微粒子としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
これらの外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
〔トナー〕
以上のような製造方法によって得られたトナーは、スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂にカーボンブラック粒子が分散されると共に特定のフタロシアニン化合物粒子が含有されたコア粒子の表面に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなるシェル層が形成されてなるものとなる。
〔トナーの軟化点〕
本発明によって得られたトナーの軟化点は、90〜115℃であることが好ましい。
トナーの軟化点は、測定試料としてトナーを用いて上述と同様に測定されるものである。
〔トナーの平均粒径〕
本発明によって得られたトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径(D50)で3〜10μmであることが好ましい。この粒径は、例えば後述する乳化重合凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、例えば1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を調製し、このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにして頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナー粒子の平均円形度〕
本発明によって得られたトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、下記式(T)で示される円形度の算術平均値が0.850〜0.990であることが好ましい。
式(T):円形度=粒子投影像と同等の投影面積を有する真円の周囲長/粒子投影像の周囲長
ここで、トナー粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される値である。
具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。
〔現像剤〕
本発明によって得られたトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
〔画像形成装置〕
本発明によって得られたトナーは、一般的な電子写真方式の画像形成方法に用いることができ、このような画像形成方法が行われる画像形成装置としては、例えば静電潜像担持体である感光体と、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体の表面に一様な電位を与える帯電手段と、一様に帯電された感光体の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを感光体の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、当該トナー像を必要に応じて中間転写体を介して転写材に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着させる定着手段を有するものを用いることができる。このような構成を有する画像形成装置の中でも、複数の感光体に係る画像形成ユニットが中間転写体に沿って設けられた構成のカラー画像形成装置、特に、感光体が中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置に好適に用いることができる。
また、本発明によって得られたトナーは、定着温度(定着部材の表面温度)が100〜200℃とされる比較的低温のものにおいて好適に用いることができる。
さらに、本発明によって得られたトナーは、静電潜像担持体の線速が100〜500mm/secとされる高速機に好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔トナーの製造例1〕
(1)コア用樹脂微粒子分散液の調製工程
(1−1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に予めアニオン性界面活性剤「ドデシル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
このアニオン性界面活性剤溶液に重合開始剤「過硫酸カリウム(KPS)」9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる単量体溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子〔a1〕」の分散液を調製した。
(1−2)第2段重合:中間層の形成
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
スチレン 140質量部
n−ブチルアクリレート 45質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 4質量部
からなる溶液に、パラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液〔2〕を調製した。
一方、アニオン性界面活性剤「ドデシル硫酸ナトリウム」2質量部をイオン交換水600質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に上記の「樹脂微粒子〔a1〕」の分散液を、樹脂微粒子〔a1〕の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記単量体溶液〔2〕を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製し、この分散液に重合開始剤「KPS」5.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子〔a11〕」の分散液を調製した。
(1−3)第3段重合:外層の形成
上記の「樹脂微粒子(a11)」の分散液に、重合開始剤「KPS」5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
スチレン 220質量部
n−ブチルアクリレート 80質量部
メタクリル酸 24質量部
n−オクチルメルカプタン 4質量部
からなる単量体溶液〔3〕を2時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア用樹脂微粒子〔A〕が分散された「コア用樹脂微粒子分散液〔A〕」を作製した。
このコア用樹脂微粒子〔A〕のガラス転移点は51℃、軟化点は108℃であった。
(2)シェル樹脂微粒子分散液の調製工程
(2−1)ポリエステル樹脂の合成
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、無水マレイン酸34質量部を入れ、さらに重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出すことにより、ポリエステル樹脂〔1〕を得た。このポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は65℃、数平均分子量は4,500、重量平均分子量は13,500であった。
(2−2)シェル樹脂(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂)の合成
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部および上記のポリエステル樹脂〔1〕430質量部を入れて溶解させ、窒素置換後、スチレン86.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル21.5質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.75質量部およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下重合し、さらにこの温度で30分間保持した後、脱溶剤を行うことにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。
このスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は56℃、軟化点は96℃であった。
(2−3)分散液の調製
得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部を、酢酸エチル(関東化学社製)400質量部に溶解させ、予め作製した0.26質量%濃度のドデシル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いて、V−LEVEL、300μAの条件で30分間超音波分散後した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去することにより、体積基準のメジアン径(D50)が160nm、固形分量が13.5質量%であるシェル樹脂微粒子〔B〕が分散された「シェル樹脂微粒子分散液〔B〕」を作製した。
(3)カーボンブラック粒子分散液の調製工程
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製、pH2)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、カーボンブラック粒子〔Bk〕が分散されてなる「カーボンブラック粒子分散液〔Bk〕」を調製した。この分散液におけるカーボンブラック粒子〔Bk〕の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で117nmであった。
(4)フタロシアニン粒子分散液の調製工程
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、「Pigment Blue 15:3」(東洋インキ社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、フタロシアニン化合物粒子〔Pc〕が分散されてなる「フタロシアニン粒子分散液〔Pc〕」を調製した。この分散液におけるフタロシアニン化合物粒子〔Pc〕の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で183nmであった。
(5)凝集、融着工程〜外添剤添加工程
撹拌装置、温度センサ、冷却管を取り付けた反応容器に、コア用樹脂微粒子分散液〔A〕を固形分換算で320質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11に調整した。
その後、カーボンブラック粒子分散液〔Bk〕を固形分換算で24質量部投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した後、撹拌を継続し、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装社製)を用いて凝集粒子の体積基準のメジアン径が450nmとなった時点で、フタロシアニン化合物粒子分散液〔Pc〕3質量部(固形分換算)を加え、昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま粒子成長反応を継続してコア粒子を成長させた。この状態で「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)にて凝集粒子(コア粒子)の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.0μmになった時点で、シェル樹脂微粒子分散液〔B〕80質量部(固形分換算)を60分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却することにより、トナー粒子〔1〕の分散液を作製した。
このトナー粒子〔1〕の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、これを遠心分離機を用いて濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥した。
乾燥させたトナー粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー〔1〕を作製した。
〔トナーの作製例2〜23〕
トナーの作製例1において、用いるカーボンブラックの種類(CBのpH)、フタロシアニン粒子分散液〔Pc〕を加えるときの凝集粒子の体積基準のメジアン径(Pc添加時のD50)、カーボンブラックに対するフタロシアニン化合物の量(CB:Pc)、樹脂成分全体におけるシェル樹脂の量(シェル樹脂量)を、表1に従って変更したことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔23〕を作製した。
〔トナーの作製例24〕
トナーの作製例1において、フタロシアニン粒子分散液〔Pc〕をカーボンブラック粒子分散液〔Bk〕と同時に添加することの他は同様にして、トナー〔24〕を作製した。
〔現像剤の製造例1〜24〕
(1)キャリアの作製
フェライト芯材粒子100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂微粒子5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライト芯材粒子の表面に樹脂コート層を形成させることにより、体積基準のメジアン径が35μmであるキャリアを得た。
キャリアの体積基準のメジアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定した。
(2)トナーとキャリアの混合
トナー〔1〕〜〔24〕の各々に対して、上記のキャリアをトナー濃度が7質量%となるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)によって回転速度45rpmで30分間混合することにより、現像剤〔1〕〜〔24〕を製造した。
以上の現像剤〔1〕〜〔24〕を、市販のカラー複合機「bizhub PRO C8000」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の黒色用現像装置に装填してテスト画像を形成し、画像濃度および転写性について評価した。
(1)転写性
高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)下で、10cm角のベタ画像をテスト画像としてプリントし、感光体上に現像されて付着したトナーの質量(W転写前)と、転写紙上に転写されて付着したトナーの質量(W転写後)を測定し、下記式(1)で定義される転写率を算出した。結果を表1に示す。なお、転写率が85%以上である場合を合格とする。
式(1):転写率(%)=(W転写後/W転写前)×100
(2)画像濃度(着色力)
常温常湿環境(温度20℃、湿度55%RH)下で、トナーの転写紙上の付着量が一定になるよう調整した上で、5cm角のベタ画像をテスト画像としてプリントし、このテスト画像の画像濃度を透過濃度計「TD904」(マクベス社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。なお、画像濃度は、1.30以上である場合を合格とする。
Figure 0005782872
以上の結果から明らかなように、本発明に係るトナーは、比較用のトナーに比べて、十分な着色力が得られながら優れた転写性が得られることが確認された。

Claims (6)

  1. スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂にpH2〜6のカーボンブラック粒子が分散されてなるコア粒子の表面に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなるシェル層が形成されてなるトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
    水系媒体中において、スチレン−アクリル系樹脂を含むコア樹脂からなるコア樹脂微粒子およびpH2〜6のカーボンブラック粒子を凝集させることによって得られる凝集粒子の表面に、下記一般式(A)で表されるフタロシアニン化合物からなるフタロシアニン化合物粒子を凝集させてコア粒子を得る工程と、
    前記コア粒子の表面に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有するシェル樹脂からなるシェル樹脂微粒子を凝集させる工程とを有し、
    前記凝集粒子が体積基準のメジアン径で200〜2500nmである時点において、前記水系媒体中に前記フタロシアニン化合物粒子を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    Figure 0005782872

    〔上記一般式(A)中、M は金属原子またはTiOである。〕
  2. 前記凝集粒子が体積基準のメジアン径で300〜2500nmである時点において、前記水系媒体中に前記フタロシアニン化合物粒子を添加することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記カーボンブラック粒子に対する前記フタロシアニン化合物粒子の使用割合が、質量比でカーボンブラック粒子:フタロシアニン化合物粒子=12:1〜4:1であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記トナー粒子を構成するコア樹脂およびシェル樹脂からなる結着樹脂全体における前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合が5〜35質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 静電荷像現像用トナーが黒トナーであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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