JP2009118843A - 水中油型乳化油脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 保存安定性の改善された風味豊かな水中油型乳化油脂組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 蒸発冷却のフラッシュタンク内圧が−0.04MPa以下であることを特徴とする水中油型乳化油脂組成物の製造方法を提供した。更には、これにより得られた水中油型乳化油脂組成物を提供した。この様に蒸発冷却のフラッシュタンク内圧を−0.04MPa以下にすることにより、水中油型乳化油脂組成物のメジアン径を簡便に小さくすることが可能となり、その結果、保存安定性の改善された水中油型乳化油脂組成物を得ることが可能となる。
【選択図】 なし
【解決手段】 蒸発冷却のフラッシュタンク内圧が−0.04MPa以下であることを特徴とする水中油型乳化油脂組成物の製造方法を提供した。更には、これにより得られた水中油型乳化油脂組成物を提供した。この様に蒸発冷却のフラッシュタンク内圧を−0.04MPa以下にすることにより、水中油型乳化油脂組成物のメジアン径を簡便に小さくすることが可能となり、その結果、保存安定性の改善された水中油型乳化油脂組成物を得ることが可能となる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ホイップクリームや練り込み用クリーム、調理加工用クリームに代表される水中油型乳化油脂組成物、およびその製造方法に関する。
ケーキやデザート、ホワイトソースなどの製造に使用されるホイップクリームや練り込み用クリーム、調理加工用クリームに代表される水中油型乳化油脂組成物は、一般的に、予備乳化、均質化、殺菌、冷却、均質化、冷却、エージングの工程を経て製造される。殺菌冷却方式としては、商品への熱ダメージが少なく新鮮な風味を提供できるとして蒸気直接加熱−蒸発冷却方式を用いられることが多い。蒸気直接加熱とは蒸気を商品に直接作用させて加熱する方式のことであり、蒸発冷却とはフラッシュタンク等と呼ばれる陰圧下に制御されたタンクにおいて蒸発熱を利用して冷却する方式のことをいう。
水中油型乳化油脂組成物は、油滴粒径が大きいと保存中や輸送中に凝集や油水分離(以下、「クリーミング」という。)を生じてしまう。そこで、油滴粒径を小さくし、保存安定性を向上させるため、一般的に多量の乳化剤等を添加すること(特許文献1)や超高圧の均質化機(ナノマイザーやマイクロフルイダイザー)等を用いること(特許文献2)などがおこなわれている。多量の乳化剤等の使用は、それら自体の味による風味の損失といった欠点があり、また、超高圧の均質化機は、非常に高価であるだけでなく、大量処理に適していないといった工業的に不都合な面があった。
特公昭62−118855号公報
特開平7−177858号公報
本発明は、保存安定性の改善された風味豊かな水中油型乳化油脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、殺菌工程に次いで蒸発冷却工程を含み、該蒸発冷却工程におけるフラッシュタンクの内圧を特定の圧力まで下げてやれば、水中油型乳化油脂組成物のメジアン径が小さくなり、保存安定性が高くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、殺菌工程に次いで蒸発冷却工程を含み、該蒸発冷却工程におけるタンクの内圧が、−0.04MPa以下であることを特徴とする水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。好ましい実施態様は、殺菌工程に次ぐ蒸発冷却工程の後に、高圧ホモジナイザーによる均質化工程を含むことを特徴とする上記記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。より好ましくは、殺菌工程が、蒸気直接加熱であることを特徴とする上記記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法、更に好ましくは、殺菌工程での加熱温度が120〜155℃であることを特徴とする上記記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法、特に好ましくは、殺菌工程に次ぐ冷却工程の後に風味素材を添加する工程を有することを特徴とする上記記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法、に関する。本発明の第二は、上記記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法で得られる水中油型乳化油脂組成物を用いてなる加工食品に関する。
本発明に従えば、保存安定性の改善された風味豊かな水中油型乳化油脂組成物およびその製造方法を提供することが可能となる。またこの結果、より賞味期限の長い商品を提供することが可能となる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の水中油型乳化油脂組成物の製造方法は、殺菌工程の次に蒸発冷却工程を含み、該蒸発冷却工程におけるタンク内圧が−0.04MPa以下であることを特徴とする。一般的に、ホイップクリームや練り込み用クリーム、調理加工用クリームに代表される水中油型乳化油脂組成物の製造は、予備乳化、均質化、殺菌、冷却、均質化、冷却、エージングの工程を経て製造されるが、本発明もそれに従えばよい。また本発明の効果を損なわない限り、一部工程を変えても良い。
本発明における内圧は、ゲージ圧表記である。ゲージ圧力とは大気圧基準(大気圧を0とする基準)で、大気圧または周囲の圧力を基準とした圧力表現である。「−0.04MPa以下」とは、例えば、「−0.07MPa」などの高真空側のことを意味する。
本発明における予備乳化工程は、常法に従えばよく、例えば、ミキサーにて撹拌速度200〜500rpmで行い、水中油型乳化油脂組成物のメジアン径をおよそ10〜60μmにすればよい。
本発明における予備乳化工程後の均質化工程は、常法に従えばよく、例えば、高圧ホモジナイザーにて設定圧1.0〜5.0MPaで行い、水中油型乳化油脂組成物のメジアン径をおよそ5〜10μmにすればよい。
本発明における前記均質化後の殺菌工程とは、風味を損ないにくい点で蒸気直接加熱方式での殺菌が好ましく、加熱温度は120〜155℃が好ましく、より好ましくは135〜155℃である。120℃を下まわると衛生的な面での変質が抑えきれず、保存安定性も低下する場合がある。また、155℃を超えると、焦げ臭が強くなり商品として好ましくない場合がある。
本発明における殺菌工程に次ぐ冷却工程では、蒸発冷却方式が好ましく、タンクとしてフラッシュタンクやデアレーターと呼ばれる陰圧に制御可能なタンクを用いることが好ましい。そしてその内圧は下げれば下げるほど保存安定性が改善されるが、−0.04MPa以下であることが好ましく、−0.06MPa以下がより好ましく、設備面やコストの観点から−0.097MPa〜−0.06MPaがさらに好ましい。
本発明における殺菌工程に次ぐ冷却工程に続く均質化工程では、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。本発明において、高圧ホモジナイザーとは、乳化物に対して、高圧に加圧し、スリット(隙間)を抜ける際のせん断力を利用して油滴を小さく粉砕し、分散・均質化させる装置のことをいう。高圧ホモジナイザーは、乳化剤等の安定化剤の添加量が少ない系において、大きな粒子の乳化物を小粒径化しようと高い均質化圧力で処理すると、粒径は小さくならず、逆に凝集させてしまう傾向を持っている。また、小さい粒径の乳化物を高圧ホモジナザーで均質化した場合、大幅な小粒径化はできないが、粒度分布の標準偏差を小さくすることに優れている。
つまり、より安定なエマルションの水中油型乳化油脂組成物を製造するには、前記のような蒸発冷却を用いて予め粒径を小さくして、さらに高圧ホモジナイザーで均質化することが望ましいのである。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ホモゲナイザー「HV−A」(イズミフードマシナリ社製)、ホモゲナイザー「H−20型」(三和機械社製)などが挙げられる。
本発明においては、殺菌工程に次ぐ冷却工程に続く均質化工程の後で、さらに冷却工程があることが好ましく、その方法としては、間接冷却方式が好ましい。
なお、本発明において、全工程終了後の水中油型乳化油脂組成物は、必要により冷蔵(0〜15℃)もしくは冷凍状態(−0℃以下)で保存してもよい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、通常、油脂、水を成分として含有し、水中に油滴が分散した形態を言い(O/W型エマルションとも言う)、牛乳や生クリームといった天然由来のO/W型エマルションや、人工のO/W型エマルションも含む。また、水相や油相中に各種成分を含有していてもよく、例えば、油脂、蛋白原料、乳化剤、糖類、安定剤・増粘剤、無機塩類などを必要に応じて添加できる。
前記油脂としては、食用であれば特に限定されないが、例えば、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、ゴマ油、カポック油、落花生油、米糠油、胡麻油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、マンゴー核油、イリッペ脂などの各種植物油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの各種動物油脂および、それらの分別、硬化、エステル交換等の処理をして得られる加工油脂、さらには市販のバター、マーガリン、またはショートニングあるいはハードバター等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記蛋白原料としては、食用であれば特に限定されないが、牛乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、加糖練乳、無糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、ホエー、ホエーパウダー、カゼイン、カゼインナトリウム、脂肪球皮膜タンパク、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン、生クリーム等の乳由来の蛋白質、更には卵蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質等の乳以外の蛋白質等を使用することができる。卵蛋白質としては、液状あるいは乾燥された卵黄、卵白、全卵及びこれらより分離される単一(単純)蛋白質、例えばオボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリン、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質等がある。大豆蛋白質としては、豆乳、脱脂大豆粉、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂豆乳粉末、大豆蛋白加水分解物等がある。小麦蛋白質としては、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等がある。また、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質も使用できる。これらの蛋白質は、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記乳化剤としては、食用であれば特に限定されないが、大豆レシチン、卵黄レシチン、または、それらの酵素分解物、脂肪酸とグリセリンのエステル及びその誘導体(グリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、ポリソルベート等を挙げることができ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記糖類としては、食用であれば特に限定されないが、ブドウ糖、果糖、マンノース、キシロース、ショ糖、乳糖、麦芽糖、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、酵素糖化水飴、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、澱粉加水分解物、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール、ラフィノース、ラクチュロース、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記安定剤・増粘剤としては、食用であれば特に限定されないが、プルラン、サイリウム、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガム、グルコマンナン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンド種子多糖、カラギーナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、結晶セルロース、カードラン及びそれらの低分子化物、澱粉、化工澱粉、各種α化デンプン、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
また、脂質蛋白複合体や蛋白糖複合体などについても食用であれば何ら限定されず用いることができる。
前記無機塩類としては、食用であれば特に限定されないが、食塩、岩塩、海塩、塩化カリウム、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、第1リン酸塩、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、ポリリン酸塩、重曹等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
この他、抽出物、着香料、調味料、乳製品、酵素処理物、pH調整剤、酵素、食品保存料、日持ち向上剤、酸化防止剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー等を使用することができ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
本発明でいう油滴のメジアン径とは、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920((株)掘場製作所)で測定した、体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径である。
本発明の方法により製造される水中油型乳化油脂組成物は、例えば、ホイップ用クリーム、コーヒー用クリーム、加工食品(グラタン、ホワイトソース等)用クリーム、アイスクリーム、ソフトクリーム用プレミックス、パン、菓子、ハム、ソーセージ、食肉、魚肉、その他加工食品等の練り込み用油脂、マヨネーズ、ドレッシング、チーズ様食品、フラワーペースト、フィリング、トッピング、サンド、スプレッド等の加工食品用途に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
(クリーミング評価)
サンプル100gにアジ化ナトリウム10%の水溶液0.5mlに添加(腐敗防止)し、5℃で1ヶ月保管した後、表層に形成されたクリーミング層の重量を測定した。その重量が3g未満のものを「○」、6g以上のものを「×」、その間を「△」とした。
サンプル100gにアジ化ナトリウム10%の水溶液0.5mlに添加(腐敗防止)し、5℃で1ヶ月保管した後、表層に形成されたクリーミング層の重量を測定した。その重量が3g未満のものを「○」、6g以上のものを「×」、その間を「△」とした。
(実施例1)
表1の配合の通り、水相と油相を調整し、65℃に温調・撹拌しながら調合タンクにて予備乳化した。均質化圧力を1.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)を用いて殺菌システムに送液した。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて80℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株)製)での加熱により140℃まで加熱した。さらに、殺菌保持装置であるホールディングチューブにて140℃で4秒間保持し、フラッシュタンク(岩井機械工業(株)製)の内圧を−0.082MPaに調整し、蒸発冷却を行い、5.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理を行い、再び、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて10℃まで冷却して水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果(クリーミング状態、メジアン径)は、表1にまとめた。
表1の配合の通り、水相と油相を調整し、65℃に温調・撹拌しながら調合タンクにて予備乳化した。均質化圧力を1.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)を用いて殺菌システムに送液した。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて80℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株)製)での加熱により140℃まで加熱した。さらに、殺菌保持装置であるホールディングチューブにて140℃で4秒間保持し、フラッシュタンク(岩井機械工業(株)製)の内圧を−0.082MPaに調整し、蒸発冷却を行い、5.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理を行い、再び、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて10℃まで冷却して水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果(クリーミング状態、メジアン径)は、表1にまとめた。
(実施例2)
フラッシュタンクの内圧を−0.070MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表1にまとめた。
フラッシュタンクの内圧を−0.070MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表1にまとめた。
(比較例1)
フラッシュタンクの内圧を−0.030MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表1にまとめた。
フラッシュタンクの内圧を−0.030MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表1にまとめた。
表1よりわかるように、実施例1,2で得られた水中油型乳化油脂組成物は、比較例1と比較して、クリーミング層の形成が少なく、保存安定性に優れていた。このことより、殺菌工程に次ぐ蒸発冷却方式の冷却工程でのフラッシュタンクの内圧が、水中油型乳化油脂組成物の風味を損なうことなく保存安定性を改善するためには重要な要件であると推察された。
(実施例3)
表2の配合の通り、水相と油相を調整し、65℃に温調・撹拌しながら調合タンクにて予備乳化した。均質化圧力を3.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)を用いて殺菌システムに送液した。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて80℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株)製)での加熱により140℃まで加熱した。さらに、殺菌保持装置であるホールディングチューブにて140℃で4秒間保持し、フラッシュタンク(岩井機械工業(株)製)の内圧を−0.082MPaに調整し、蒸発冷却を行い、5.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理を行い、再び、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて10℃まで冷却して水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果(クリーミング状態、メジアン径)は、表2にまとめた。
表2の配合の通り、水相と油相を調整し、65℃に温調・撹拌しながら調合タンクにて予備乳化した。均質化圧力を3.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)を用いて殺菌システムに送液した。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて80℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株)製)での加熱により140℃まで加熱した。さらに、殺菌保持装置であるホールディングチューブにて140℃で4秒間保持し、フラッシュタンク(岩井機械工業(株)製)の内圧を−0.082MPaに調整し、蒸発冷却を行い、5.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理を行い、再び、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて10℃まで冷却して水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果(クリーミング状態、メジアン径)は、表2にまとめた。
(実施例4)
フラッシュタンクの内圧を−0.070MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
フラッシュタンクの内圧を−0.070MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
(実施例5)
フラッシュタンクの内圧を−0.065MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
フラッシュタンクの内圧を−0.065MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
(実施例6)
フラッシュタンクの内圧を−0.055MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
フラッシュタンクの内圧を−0.055MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
(比較例2)
フラッシュタンクの内圧を−0.030MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
フラッシュタンクの内圧を−0.030MPaに変更した以外は、実施例3と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の評価結果は、表2にまとめた。
表2よりわかるように、実施例3〜6で得られた水中油型乳化油脂組成物は、比較例2と比較して、クリーミング層の形成が少なく、保存安定性に優れていた。このことより、油相水相の組成が変わっても、殺菌工程に次ぐ蒸発冷却方式の冷却工程でのフラッシュタンクの内圧が、水中油型乳化油脂組成物の風味を損なうことなく保存安定性を改善するためには重要な要件であると推察された。
Claims (6)
- 殺菌工程に次いで蒸発冷却工程を含み、該蒸発冷却工程におけるタンクの内圧が、−0.04MPa以下であることを特徴とする水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
- 殺菌工程に次ぐ蒸発冷却工程の後に、高圧ホモジナイザーによる均質化工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
- 殺菌工程が、蒸気直接加熱であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
- 殺菌工程での加熱温度が120〜155℃であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
- 殺菌工程に次ぐ冷却工程の後に風味素材を添加する工程を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物の製造方法で得られる水中油型乳化油脂組成物を用いてなる加工食品。
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