JP7103731B2 - ベーカリー製品含浸用水性液 - Google Patents

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Description

本発明は、ベーカリー製品含浸用水性液に関する。
フレンチトーストとは、老化して硬くなったパンを再生する一方法として古くから食されてきたもので、パン全体に、卵類、牛乳、糖類からなる、いわゆる浸漬液を染み込ませた後に加熱調理し、しっとりと柔らかくさせた加工食品である。
フレンチトーストの一般的な製法は、バット等に入れた浸漬液に、厚さ10mm~20mm程度にスライスした食パン、或いはフランスパンを20分~一晩浸漬し、さらに必要に応じ、砂糖やシナモン等の風味原料を振り掛け、これをフライパン、或いはオーブンで焼成する、というものである。
すなわち、フレンチトーストとは、常温で液状、且つ加熱により凝固するという卵の特性を利用し、浸漬液の水分によりパン組織に過剰の水分を含ませ、且つ卵を凝固させた卵ゲルの物性を付与することにより、老化して硬くなったパンにしっとりとしたソフトな食感を再付与したものである。
ただし、このフレンチトーストの製造方法は手間と時間がかかるため、家庭のお菓子や小規模の生産の場合は問題ないが、大規模な工場生産には不適である。
反面、パンの表面だけに浸漬液を塗布して加熱調理したものや、卵、砂糖、澱粉、牛乳等を主原料として加熱加工したカスタードクリームやフラワーペーストを載せて焼成したものなど、パンに浸漬液が浸透していない簡易なフレンチトーストもある。この場合、もちろんパンの内相まで浸漬液、クリーム又はペーストが浸透していないため全体としてしっとりとした食感は得られない。
また、浸漬液の主要原料である卵は大変保存性の悪いものであるため、使用の度に割卵や、冷凍卵の解凍などの作業が必要であり、また、長時間浸漬液を保存しておいておくことも不可能であるため、大変作業性が悪い。
さらに、浸漬液を浸透させて後焼成して得たフレンチトーストは、卵ゲルの物性が脆弱であることに加え、水分が大量に染み込んで重量が増加している上に、浸漬液の浸透によりパン組織物性を失っているため、手にとって食すには保型性が足りず、よって、サンドイッチに利用したり、パンの売り場で販売するには不適当であった。
また、カスタードクリームやフラワーペーストを塗布する方法では、卵に比べ保存性はよいものの、カスタードクリームやフラワーペーストは粘度が高くパンへの浸透性が極めて悪い上に、焼成時の焦げの問題があった。
そのため、このような問題点を解決し、簡便にフレンチトーストを得るためにさまざまな検討が行われてきた。
例えば、水分含量50~59%である冷凍フレンチトーストを得る方法(例えば特許文献1参照)、卵類、乳類を含有し、熱により融解するシート状卵加工食品をパンに積載し、焼成する方法(例えば特許文献2参照)、或いは、卵黄成分を固形分換算で2~15%含むスラリーをパンの厚みに対し2/5~4/5吸収してなり、かつ、該スラリーを吸収していない部分が1/5~3/5であるフレンチトースト(例えば特許文献3参照)、油脂中に糖類、乾燥卵黄及び粉乳を分散させているフレンチトースト用油脂食品を使用する方法(例えば特許文献4参照)、特定の粒径の澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を使用する方法(例えば特許文献5参照)、流動状の酸性水中油型乳化物を使用する方法(例えば特許文献6参照)、特定のHLBの乳化剤を含有する油中水型乳化物を使用する方法(例えば特許文献7参照)などの検討が行われてきた。
しかし、特許文献1に記載の方法はただ食する前の段階で冷凍工程を挟んだだけであり、保存性の悪い卵を大量に使用する点は変わらず、また、パンに浸漬液を浸透させる時間の短縮効果もなく、また、冷凍工程のため、全体としての製造時間はむしろ長く煩雑になってしまっている。
特許文献2に記載の方法は、シート状加工食品が冷蔵保存、もしくは常温で保存する場合に、浸漬液がシート状を保つためには多量の増粘多糖類を含有させることが必要であり、そのため、パンへの染み込みが悪く、得られたフレンチトーストの食感が劣ったものになってしまう。なお、シート状加工食品が冷凍品である場合はこの問題はないが、上記同様、冷凍工程を経るために全体としての製造時間が長く煩雑になるという問題が残る。
特許文献3に記載の方法は、卵黄液を用い、染み込ませる浸漬液量をある程度制限することにより大量生産性と卵味の風味のバランスをとっているが、浸漬液が浸み込まない層を必ず残さねばならない点において、製造の際に大変気を使う必要がある。
特許文献4に記載の方法は、乾燥卵黄を使用し、水分を含まないことから、得られるフレンチトースト様食品の食感が油性感の高いものになってしまう問題があった。
特許文献5に記載の方法は、手で持つことのできる十分な保型性をもつフレンチトースト様食品を得るためには、加熱調理時の浸透性を考慮しながら水中油型乳化組成物の塗布量を決定する必要があること、また、加熱調理時の温度条件によっては該水中油型乳化組成物が十分にパンに浸透しない場合があるなど、良好な品質のフレンチトースト様食品を得るにはきめ細かい条件設定が必要であるという問題があった。
特許文献6に記載の方法は、酸性風味が付与されてしまう問題があり、良好な乳風味のフレンチトーストが得られない問題があった。
特許文献7に記載の方法は、油中水型乳化物であることを必須とするものであるために、得られるフレンチトースト様食品の食感が油性感の高いものになってしまう問題があった。
特開平10-099057号公報 特開平11-206343号公報 特開平11-215947号公報 特開2003-180245号公報 特開2004-081091号公報 特開2005-253426号公報 特開2010-075136号公報
よって、本発明の目的は、ベーカリー製品、特にスライスした食パンに対する浸透性が良好であり、且つ、保存性が高く、乳風味が良好で、ソフトでしっとりしたフレンチトースト様食品を与えることのできるベーカリー製品含浸用水性液を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、従来使用のフレンチトースト用浸漬液や卵液に代えて特定の水性液を用いることにより、上記問題を解決しうることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上、油脂含量5質量%以上であり、乳化物中の油滴の体積基準のメディアン径が2μm以下の水中油型乳化物であることを特徴とするベーカリー製品含浸用水性液を提供するものである。
また、本発明は、乳化物からなるベーカリー製品含浸用水性液の製造方法であって、
甘味度30超の糖類の含有量が前記水性液に対して15質量%以上である水性相(水相と呼ばれる場合もある)と、油脂含量が前記水性液に対して5質量%以上である油性相(油相と呼ばれる場合もある)とを混合して均質化させて、乳化物中の油滴の体積基準のメディアン径を2μm以下とする、ベーカリー製品含浸用水性液の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、ベーカリー製品に対し、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上、油脂含量5質量%以上であり、油滴の体積基準のメディアン径が2μm以下の水中油型乳化物を含浸させたのち、加熱する、フレンチトースト様食品の製造方法を提供するものである。
本発明のベーカリー製品含浸用水性液は、ベーカリー製品、特にスライスした食パンに含浸させた際に、加熱調理時にダマになることなく、極めて低粘度の液状となってパン又はケーキに浸み込ませることができ、外観・内相に優れ、また、保存性が高く、乳風味が良好で、ソフトでしっとりした食感のフレンチトースト様食品を得ることができる。また本発明のベーカリー製品含浸用水性液は、水中油型乳化物であるために、一般に油中水型乳化物に比べて油性感が少なく、また、ベーカリー製品への浸透性が高いために含浸量が少なくてすむため、手でもって食せるほどの保型性を示すフレンチトースト様食品を簡便に得ることができる。
以下、本発明のベーカリー製品含浸用水性液について詳細に述べる。
なお、ここでいう水性液とは、水溶液のほか、水に不溶の成分が分散した懸濁液や、少量の油脂や油溶性成分が分散した水中油型乳化物などの、水性相を連続相とする液状物を意味するものとする。
では、まず、本発明で使用する水中油型乳化物について述べる。
上記水中油型乳化物は、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上であることが必要であり、好ましくは18~50質量%、さらに好ましくは20~50質量%である。甘味度30超の糖類の含有量が15質量%未満であると、加熱調理時にダマになりやすく、また、得られるフレンチトースト様食品も甘さが弱すぎ、すっきりとした乳風味が得られないことに加え、ソフトでしっとりした食感が得られず、また保存性も悪化してしまう。本明細書において、甘味度とは、ショ糖の甘味を100としたときの各種甘味料の甘味の強さを相対値として表したものである。
なお、甘味度30超の糖類の含有量を50質量%以下とすることが、水性液をベーカリー製品に浸みこみやすくすることに加え、甘味が強すぎてバランスが悪い乳風味になってしまったり、さらにはべたついた食感のフレンチトースト様食品になってしまうおそれを防止することができる。
なお使用する糖類が液状の場合は、上記含有量については固形分で算出するものとする。
上記甘味度30超の糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、還元パラチノース、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、はちみつ等が挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上の糖類を用いることができる。
なお、本発明では、得られるフレンチトースト様食品の甘味がすっきりした甘味となる点、保存性が良好となる点で上記糖類の一部又は全部が糖アルコールであることが好ましい。なお、一部とする場合は糖類の固形分中の5~30質量%を糖アルコールとすることが、加熱調理時のダマの発生が抑制され、且つ焦げが生じにくく、良好な甘味が得られる点で好ましい。
なお、糖アルコールとしては、上記糖類のうち、還元澱粉糖化物、還元水飴、還元パラチノース、ソルビトール、還元乳糖、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール等が挙げられる。
上記水中油型乳化物の油脂含量は、油脂純分として5質量%以上であることが必要であり、好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。油脂含有量が5質量%未満であると、加熱調理時にダマを生じやすくなってしまう。
なお水中油型乳化物の油脂含量を50質量%以下とすることで、得られるフレンチトースト様食品の油性感を更に低減することができる。
上記水中油型乳化物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
なお、上記油中水型乳化物に使用する油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、バタークリーム等の油脂組成物や、油脂を含有する食品素材も使用することができる。
上記水中油型乳化物は、良好な風味のフレンチトースト様食品が得られる点で卵黄を含有することが好ましい。本発明では卵類が糖類を多く含有する水中油型乳化物の水性相に含まれることにより、従来のフレンチトーストの製造に使用する浸漬液や卵液に比べ、加熱調理時にダマになりにくい点及び保存性の点で優れている。上記水中油型乳化物における卵類の含有量は、卵黄の固形分として0.1質量%以上であれば卵黄の風味と色調をフレンチトースト様食品に付与することが可能であり、2質量%以上20質量%以下で好ましい卵風味を付与することができるが、本発明では、加熱調理時のダマの発生を防ぐため、及び、保存性が高く、乳風味が良好で、ソフトでしっとり食感が得られやすい点において、卵黄の固形分として0.1~5質量%となる量であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましく、特に好ましくは0.1~1質量%である。
上記の卵類としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白、凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、凍結加糖全卵、凍結加糖卵黄、凍結加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄などを用いることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記水中油型乳化物は、良好な風味のフレンチトースト様食品が得られる点で蛋白質及び/又はアミノ酸を含有することが好ましい。蛋白質のみであってもアミノ酸のみであってもよいが、少なくとも蛋白質を含有することが好ましい。そしてその含有量は蛋白質とアミノ酸を合計して0.3~8質量%であることが好ましく、1~6質量%であることがより好ましい。蛋白質及び/又はアミノ酸の含有量が合計して0.3質量%以上であると、良好な焼き色のフレンチトースト様食品が得られやすく、8質量%以下であると、加熱調理中にダマを生じることを防止できる。
上記蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、α-ラクトアルブミンやβ-ラクトグロブリン、乳清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン等の小麦蛋白質、プロラミン、グルテリン等の米蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて1種ないし2種以上の蛋白質として、或いは1種ないし2種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよく、好ましくは上記卵黄、或いは乳及び乳製品として含有することが好ましい。
上記乳及び乳製品としては、発酵乳・牛乳・全粉乳・脱脂粉乳・トータルミルクプロテイン、ホエイパウダー、ミネラル濃縮ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、バターミルクパウダー・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
特に本発明では、糖類及び蛋白質を多く含有しながら加熱調理中のダマが生じにくく、さらには良好な風味のフレンチトースト様食品が得られる点で加糖練乳を含有するものであることが好ましい。
また、上記アミノ酸としては、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アラニン、ロイシン、トリプトファン、チロシン、バリン、シトルリン、オルニチンなどが挙げられる。これらのアミノ酸は遊離のアミノ酸でもよいし、塩やペプチドの形態でもよい。
上記水中油型乳化物は、乳清ミネラルを固形分として0.2~2質量%、好ましくは0.3~1.2質量%含有することが、得られるフレンチトースト様食品が濃厚且つすっきりとした乳風味となる点で好ましい。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、そのため、高濃度に乳の灰分(ミネラル)を含有し、且つ、固形分に占める灰分の割合が極めて高いという特徴を有する。そして、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、良好な乳風味が得られることから、純度が高いもの、即ち蛋白質や乳糖等の不純物含量が低いものが好ましい。より詳細には、固形分に占める灰分含量が20質量%以上である乳清ミネラルを使用することが好ましく、固形分に占める灰分含量が30質量%以上である乳清ミネラルを使用することがより好ましく、固形分に占める灰分含量が50質量%以上である乳清ミネラルを使用することがより一層好ましい。尚、該灰分含量は高いほど好ましい。
また、本発明で使用する乳清ミネラルとしては、特に良好な乳風味を付与できること、及び、加熱調理時にダマが生じにくい点で、固形分中のカルシウム含量が好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.5質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、更には冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、或いは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここでミネラルの濃縮には膜分離を採用できる。また、使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
上記乳清ミネラルは、流動状、ペースト状、粉末状等、どのような形態であっても使用可能である。
上記水中油型乳化物の水の含有量は、好ましくは25~60質量%、より好ましくは30~55質量%である。尚、ここでいう水の含有量は、上記糖類、卵黄、蛋白質及び/又はアミノ酸、乳清ミネラルをはじめ下記の「その他の成分」に含まれる水分も含めたものとする。
上記水中油型乳化物では、必要に応じ、乳化剤、安定剤、甘味度30未満の糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等のその他の成分を任意に配合してもよい。その他の成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲において、通常の使用量の範囲で使用することができるが、好ましくは固形分として30質量%以下、より好ましくは15質量%以下とする。
上記の乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤や天然乳化成分が挙げられる。本発明においては、必要に応じてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。乳化剤を使用する場合、水中油型乳化物中の乳化剤の含有量は0.1~10質量%とすることが好ましく、0.1~2質量%とすることがより好ましい。
上記安定剤としては、リン酸(ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、オルソリン酸、ピロリン酸、第3リン酸、第2リン酸、第1リン酸)塩、特にアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。安定剤を使用する場合、本発明に係る水中油型乳化物中の安定剤の含有量は0.01~3質量%とすることが好ましく、0.05~1質量%とすることがより好ましい。
なお、上記水中油型乳化物は、乳化安定性、とくに加熱調理時の乳化安定性の点で、油滴の体積基準のメディアン径が2μm以下であることが必要であるが、0.2~1.5μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.3~1.0μmの範囲とする。
油滴の体積基準のメディアン径が2μm超であると、クリームの安定性が悪くなってしまう。
なお、油滴の体積基準のメディアン径を0.2μm以上とすると、水性液が増粘してしまいベーカリー製品への浸透性が低下してしまうことを防止しやすい。
上記範囲の粒径とするには、下述の製造方法において、均質化装置を使用して均質化する際にその圧力を好ましくは1~100MPa、より好ましくは1~10MPa、さらに好ましくは1~6MPaとすることにより得ることができる。
尚、本発明では、上記油滴の粒径は、島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2100、島津製作所製)等を用いて測定すればよい。その測定方法としては、例えば、水中油型乳化物をイオン交換水に分散し、これを上記島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2100、島津製作所製)を用いて、屈折率が1.60-0.20iの条件にて測定するのがよい。測定温度は10~40℃が好ましい。
本発明のベーカリー製品含浸用水性液は、10℃~40℃にかけて、粘度が、500mPa・s以下であることがベーカリー製品への浸みこみやすさの点で好ましく、200mPa・s以下であることがより好ましい。水性液の製造しやすさの点で、上記粘度は、10mPa・s以上であることが好ましく、50mPa・s以上であることがより好ましい。
本発明のベーカリー製品含浸用水性液は、乳風味に優れる点等において、pHが、5.0以上7.0以下であることが好ましく、6.0以上6.8以下であることがより好ましい。本明細書中、pHは25℃で測定した値である。
本発明のベーカリー製品含浸用水性液を構成する水中油型乳化物は、O/W型であってもW/O/W型であってもよいが、好ましくは、O/W型である。
次に上記水中油型乳化物を製造する方法について述べる。
上記水中油型乳化物の製造方法は、通常のホイップクリームなどと同様であり、その一例として以下の方法が挙げられる。
まず、油脂に必要によりその他の原料を加えた油性相を用意する。一方、水に甘味度30超の糖類、必要により蛋白質、乳清ミネラル、その他の原料を加えた水性相を用意する。該水性相を、上記油性相と混合し、水中油型に乳化することにより、水中油型乳化物を得ることができる。
乳化の際には、まず予備乳化物を調製し、次にこれを必要によりバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0~100MPaの範囲で均質化してもよく、上述した圧力で均質化することが好ましい。
また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、或いは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。上記のメディアン径の油滴をより一層得やすい点から、その場合の圧力としては、好ましくは1~30MPa、より好ましくは3~15MPaとする。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明のベーカリー製品含浸用水性液は、上記の水中油型乳化物からなるものである。
そして本発明のベーカリー製品含浸用水性液は、ベーカリー製品に含浸させ、加熱することにより、フレンチトースト様食品を製造することができる。
ここで上記ベーカリー製品としては、特に限定されるものではないが、例えば、食パン、バラエティブレッド、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、ライ麦パン、デニッシュ・ペストリー、イングリッシュマフィン、グリッシーニ、コーヒーケーキ、ブリオッシュ、シュトーレン、パネトーネ、クロワッサン、イーストパイ、ピタ、ナン、マフィン、蒸しパン、イーストドーナツ、ワッフル、パイ等のパン類や、スナックカステラ、バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、サンドケーキ等のケーキ類が挙げられる。
上記ベーカリー製品がパン類の場合は、表面が焼成によって硬化しているため、本発明のベーカリー製品含浸用水性液を含浸させることが難しい場合がある。そのため、好ましくはスライスしたパン、より好ましくはスライスした食パン、フランスパン、イギリスパンを用いる。ケーキ類の場合も、パン類ほどではないが、表面が硬いため、スライスしたものを用いるのが好ましく、バターケーキ、スポンジケーキ等をスライスして用いるのがよい。
すなわち、本発明のフレンチトースト様食品の製造方法は、ベーカリー製品に対し、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上、油脂含量5質量%以上であり、粒径2.0μm以下の水中油型乳化物を含浸させたのち、加熱することを特徴とする。
上記含浸方法は、特に限定されるものではないが、塗布、浸漬、スプレー等の方法によって、上記水中油型乳化物をベーカリー製品に対し、含浸させることができる。
なお、好ましい含浸方法は以下のとおりである。
まず、上記水中油型乳化物を入れたバットを用意する。そして、上記ベーカリー製品をその上に積置し、好ましくは水中油型乳化物がベーカリー製品の表面にまで含浸してくるまで待つ。なお、含浸時間の短縮のために、ベーカリー製品を途中で反転して両面から含浸させてもよい。
本発明のフレンチトースト様食品を得る際の、ベーカリー製品への含浸量は、ベーカリー製品100質量部に対し、好ましくは30~300質量部、さらに好ましくは40~200質量部、最も好ましくは50~120質量部である。30質量部以上とすることで、フレンチトーストの様相を呈さない食味が淡い食品となってしまうことを防止できる。300質量部以下とすることで、フレンチトースト様食品の保型性を向上させ、手で持って食することができないくらいの柔らかい食品となることを一層確実に防止できる。
なおここでいう含浸量は、ベーカリー製品に水中油型乳化物を含浸させることでベーカリー製品に保持された水中油型乳化物の量を指し、含浸前後のベーカリー製品の質量差により求められる。
なお、含浸の際に、上記水中油型乳化物以外に、その他の成分、例えば、シナモン、香辛料等を別途付着させてもよい。
なお、上記水中油型乳化物を含浸させる際は、水中油型乳化物を、必要に応じ加温することで粘度を下げることが可能である。
また、上記水中油型乳化物を含浸させる際は、減圧下で含浸させる方法や、遠心法を使用することも可能である。
上記水中油型乳化物を含浸させたベーカリー製品を加熱調理する方法としては一般的な方法でよく、例えば、ホットプレートやオーブンやジェットオーブンで焼成、フライパン等で加熱、蒸し器で蒸す、或いはマイクロ波により加熱する等の方法がある。
上記水中油型乳化物を含浸させたベーカリー製品を加熱することで、本発明のフレンチトースト様食品が得られる。本明細書において、フレンチトースト様食品とは、パンやケーキに、卵を多く含有する浸漬液や卵液を浸漬させてから加熱し、卵の凝固力を使用して得られる通常のフレンチトーストと同様の外観、風味、食感を有している食品を意味し、いわゆるフレンチトーストそのものも含む。ただし、風味については卵風味以外に乳風味、カカオ風味、コーヒー風味等の呈味が付与されたものも含むものとする。フレンチトースト様食品にはベーカリー製品の製造をフレンチトーストのように型なしで加熱でするものに限定されず、パンプディングのように型に入れてオーブンで加熱するものも含まれる。
本発明のフレンチトースト様食品の加熱条件は、オーブンの種類や、フレンチトースト様食品の種類によって異なるが、固定式のオーブンの場合は好ましくは120~270℃で、さらに好ましくは130~210℃、さらに最も好ましくは、160~200℃である。またジェットオーブンの場合は好ましくは200~330℃で、さらに好ましくは230~280℃である。
このようにして得られたフレンチトースト様食品は、生の卵類を大量に使用せずとも、上記本発明のベーカリー製品含浸用水性液である、上記水中油型乳化物を使用することにより、保存性が高く、乳風味が良好で、ソフトでしっとりした食感でありながら、油性感がなく、手で持って食せるほどの保型性を示す。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<乳清ミネラルの製造>
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルAを得た。得られた乳清ミネラルAの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%、灰分の含有量は55質量%であった。
<水中油型乳化物の製造>
〔実施例1〕
(水中油型乳化物Aの調製)
水35.57質量部を60℃に昇温し、攪拌しながら、20%加糖卵黄(水分含量44質量%、蛋白質含量12.1質量%、卵黄固形分36質量%、ショ糖含量20質量%)2質量部、乳清ミネラルA0.4質量部、脱脂粉乳(蛋白質含量34質量%)7質量部、加糖練乳(水分含量25質量%、ショ糖含量50質量%、蛋白質含量7.8質量%)2質量部、グラニュー糖32質量部、ソルビトール液糖(固形分70質量%)5質量部、シュガーエステル0.2質量部、カラメル色素1質量部、リン酸塩(トリポリリン酸ナトリウムとヘキサメタリン酸ナトリウムの等量混合物)0.15質量部、香料0.03質量部を溶解させた水性相を用意した。一方、ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂14.2質量部にグリセリンモノ脂肪酸エステル0.25質量部、大豆レシチン0.2質量部を溶解させた油性相を用意し、上記水性相に該油性相を加え、混合攪拌して予備乳化物を調製した。予備乳化後5MPaの圧力で均質化し、次いでVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142℃にて4秒間殺菌し、再度10MPaの圧力で均質化後、5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間のエージングを行い、甘味度30超の糖類の含有量が36.9質量%、油脂含量が14質量%、水分含量が38.5質量%、卵黄を固形分として0.72質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が2.8質量%であるO/W型の水中油型乳化物である水中油型乳化物Aを得た。
なお、水中油型乳化物Aについて島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2100、島津製作所製)を用いて、屈折率が1.60-0.20iの条件にて測定したところ、油滴の体積基準のメディアン径は0.8μmであった(測定温度25℃、以下同様)。また水中油型乳化物Aの粘度は10℃~40℃の範囲内において、50~200mPa・sの範囲内であり、25℃のpHは6.4であった。
〔実施例2〕
(水中油型乳化物Bの調製)
乳清ミネラルAを無添加とし、水35.57質量部を35.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、甘味度30超の糖類の含有量が36.9質量%、油脂含量が14質量%、水分含量が38.9質量%、卵黄を固形分として0.72質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が2.8質量%であるO/W型の水中油型乳化物Bを得た。
なお、島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2100、島津製作所製)を用いて、屈折率が1.60-0.20iの条件にて測定したところ、油滴の体積基準のメディアン径は0.8μmであった。また水中油型乳化物Bの粘度は10℃~40℃の範囲内において、50~200mPa・sの範囲内であり、25℃のpHは6.4であった。
〔実施例3〕
(水中油型乳化物Cの調製)
加糖練乳2質量部を無添加とし、水35.57質量部を37.57質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、甘味度30超の糖類の含有量が35.9質量%、油脂含量が14質量%、水分含量が40.0質量%、卵黄を固形分として0.72質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が2.7質量%であるO/W型の水中油型乳化物Cを得た。
なお、島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2100、島津製作所製)を用いて、屈折率が1.60-0.20iの条件にて測定したところ、油滴の体積基準のメディアン径は0.8μmであった。また水中油型乳化物Cの粘度は10℃~40℃の範囲内において、50~200mPa・sの範囲内であり、25℃のpHは6.4であった。
〔比較例1〕
(フレンチトースト用浸漬液の調製)
牛乳70質量部、グラニュー糖15質量部、卵黄15質量部を均一に混合した。
<フレンチトースト様食品の作成>
〔実施例4~6及び比較例2〕
上記実施例1~3で得られた水中油型乳化物、比較例1で得られたフレンチトースト用浸漬液それぞれをベーカリー製品含浸用水性液として使用して、以下のようにして、実施例4~6及び比較例2のフレンチトースト様食品を作成し、得られたそれぞれのフレンチトースト様食品について評価を行なった。
市販の食パン(プルマンタイプ)を縦40mm×横40mm×高さ30mmにカットした(重量は50g)。バットに、深さ50mm以上となるように、20℃に調温したベーカリー製品含浸用水性液、又はフレンチトースト用浸漬液を入れ、ここに上記のカットした食パンを片面20秒浸漬し、さらに反転して20秒浸漬した(含浸量は16g)。
次に、これをジェットオーブンにより260℃で2.5分間焼成し、フレンチトースト様食品を得た。
<フレンチトースト様食品の評価>
得られたフレンチトースト様食品の外観及び内相について、下記評価方法及び評価基準により4段階で評価を行なった。
また、得られたフレンチトースト様食品を官能試験に供し、乳風味及び食感(ソフト性・しとり感)それぞれについて、下記評価方法及び評価基準により4段階で評価を行なった。尚、官能試験には、焼成後20℃で2時間冷却したサンプルを供した。また官能評価においては、パネラーに、事前に乳風味や食感が異なる複数のサンプル例を食べ比べさせて、パネラー間において乳風味及び食感について「良好」とする程度のすり合わせを行った。
これらの評価結果を表1に示す。
(評価方法及び評価基準)
(1)外観:ベーカリー製品含浸用水性液の浸透性の評価を目的とし、表面の焦げの有無、表面の平滑性を目視により観察した。
◎:焦げは全く見られず、表面も平滑である。
○:少量の焦げが見られるが、表面は平滑である。
△:焦げ、及び若干のオイルオフの発生が見られ、表面は膜状になり、パンとの一体感が得られていない。
×:焦げの発生が見られ、表面は盛り上がり、パンとの一体感が全く得られていない。
(2)内相:ベーカリー製品含浸用水性液の加熱調理時のダマの有無の評価を目的とし、内相のダマの有無を目視により観察した。
◎:ダマは全く見られず、均質な内相であった。
○:ほぼ均質な内相であった。
△:微細なダマが見られた。
×:ダマが多くみられ、不均質な内相であった。
(3)乳風味:得られたフレンチトースト様食品について、専門パネラー10人にて乳風味の評価を行った。
◎:8割以上が良好と評価。
○:5割以上8割未満が良好と評価。
△:2割以上5割未満が良好と評価。
×:2割未満が良好と評価。
(4)食感(ソフト性):得られたフレンチトースト様食品について、専門パネラー10人にてソフト感の評価を行った。
◎:8割以上が良好と評価。
○:5割以上8割未満が良好と評価。
△:2割以上5割未満が良好と評価。
×:2割未満が良好と評価。
(5)食感(しとり感):得られたフレンチトースト様食品について、専門パネラー10人にてしとり感の評価を行った。
◎:8割以上が良好と評価。
○:5割以上8割未満が良好と評価。
△:2割以上5割未満が良好と評価。
×:2割未満が良好と評価。
Figure 0007103731000001
以上の結果からわかるように、実施例1~3のベーカリー製品含浸用水性液を使用した実施例4~6のフレンチトースト様食品は、外観、内相、乳風味、及び食感(ソフト性及びしとり感)が良好であった。
これに比べ、通常のフレンチトースト用浸漬液を使用した比較例2のフレンチトースト様食品は、焦げ、及び若干のオイルオフの発生が見られ、表面は膜状になり、パンとの一体感が得られていない上に、乳風味、食感ともに劣っていた。

Claims (9)

  1. 甘味度30超の糖類の含有量が20~50質量%、油脂含量10質量%以上であり、乳化物中の油滴の体積基準のメディアン径が0.2~2μmの水中油型乳化物であり、25℃のpHが6.0以上であり、卵黄を固形分として0.1~1質量%含有する、ベーカリー製品含浸用水性液。
  2. 上記糖類の一部又は全部が糖アルコールである、請求項記載のベーカリー製品含浸用水性液。
  3. 蛋白質及び/又はアミノ酸を含有し、その含有量が合計して0.3~8質量%である請求項1又は2に記載のベーカリー製品含浸用水性液。
  4. 乳清ミネラルを固形分として0.2~2質量%含有する、請求項1~のいずれか1項に記載のベーカリー製品含浸用水性液。
  5. 加糖練乳を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載のベーカリー製品含浸用水性液。
  6. 10℃~40℃にかけて、粘度が、10mPa・s以上500mPa・s以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のベーカリー製品含浸用水性液。
  7. 卵黄の含有量が固形分換算で1.5%以上25%以下、水分活性が0.75以上0.90以下であり、炭水化物を20%以上70%以下、脂質を5%以上45%以下、リゾリン脂質を0.02%以上0.7%以下含有し、品温25℃における粘度が25Pa・s以下である、濃縮フレンチトースト用食品を水及び/又は乳で希釈して得られたものを除く、請求項1~の何れか1項に記載のベーカリー製品含浸用水性液。
  8. 乳化物からなるベーカリー製品含浸用水性液の製造方法であって、
    甘味度30超の糖類の含有量が前記水性液に対して20~50質量%である水性相と、油脂含量が前記水性液に対して10質量%以上である油脂とを混合して均質化させて、乳化物中の油滴の体積基準のメディアン径を0.2~2μmとする、25℃のpHが6.0以上であり、卵黄を固形分として0.1~1質量%含有するベーカリー製品含浸用水性液製造する方法。
  9. ベーカリー製品に対し、甘味度30超の糖類の含有量が20~50質量%、油脂含量10質量%以上であり、25℃のpHが6.0以上であり、油滴の体積基準のメディアン径が0.2~2μmであり、卵黄を固形分として0.1~1質量%含有する水中油型乳化物を含浸させたのち、加熱する、フレンチトースト様食品の製造方法。
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