JP2008268938A - 保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高表面硬度、及び低透湿性を実現した保護フィルム、その保護フィルムを用いた偏光板、及びその偏光板を用いることによって表面硬度が高く、耐久性に優れた液晶表示装置の提供。
【解決手段】透明基材フィルムの一方の面に、低透湿層、及びハードコート層がこの順に積層され、前記ハードコート層の平均膜厚が10μm以上であり、60℃95%相対湿度での透湿度が500g/m・日以下であることを特徴とする保護フィルム等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高表面硬度と低透湿性を実現した保護フィルム、並びにそのような保護フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関し、特に、低透湿層と膜厚が10μm以上のハードコート層を有する保護フィルムと、それを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
透明プラスチックフィルム基材に防眩性ハードコート層や、ハードコート層と低反射層を積層した反射防止フィルム(前者は防眩フィルムとも称する)は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な液晶表示装置において、表面散乱や低表面反射により、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。
近年、液晶テレビ等の低価格化に伴い、反射防止フィルムを搭載した画像表示装置が広く普及してきた。これに伴い、搭載された反射防止フィルムは、画像表示装置と伴に、様々な環境下に晒される場面が増えてきている。特に表面がガラスであるブラウン管テレビのように扱われ、液晶表示装置の表面に傷が付く危険性が増えてきている。そのため、液晶表示装置の最表面に配置される反射防止フィルムには、従来から求められていた高い視認性改良効果に加えて、高い物理強度(耐擦傷性など)が要求される。
高い物理強度を得るために、セルロースアシレートフィルム上に光硬化性樹脂と有機溶剤を含有した硬化性組成物を塗布、乾燥、光硬化させることで、膜厚が10μm以上のハードコート層を積層した反射防止フィルムが提案されている。(例えば特許文献1)
また、特許文献2にはセルロースアシレートフィルム上に平均粒径が6〜15μmの樹脂粒子、硬化性樹脂、有機溶剤を含有した硬化性組成物を、塗布、乾燥、光硬化させることで、膜厚が15〜35μmの防眩層を積層した高表面硬度を有する防眩フィルムが提案されている。
一方、液晶テレビでは液晶セルの両面に2枚の偏光板を配置する構成がとられている。偏光板はポリビリニルアルコールを主体とした偏光層の両面に、偏光板保護フィルムとして接着剤を介してセルロースアシレートフィルムを配置したものが広く用いられている。
セルロースアシレートフィルムを保護フィルムとした偏光板を搭載した液晶表示装置では、過酷な使用環境で長時間使用された場合、温度や湿度変化に伴う偏光層のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生する場合がある。前述のように液晶テレビの普及に伴い、液晶テレビが過酷な環境下で使用される機会が増えて来ており、改善が望まれていた。
これらの問題を解決するために、セルロースアシレートフィルムの表面に、塩化ビニリデン共重合体を含有する低透湿層を設けた保護フィルムを用いることにより、偏光板の湿熱性を改善する提案がなされている。(例えば特許文献3、4)
しかしながら、表面硬度が高く、低透湿性を有する保護フィルム(反射防止フィルム)に対する提案はこれまでになされなかった。
上記の問題を同時に解決するためには上記2つの技術を組み合わせて、表面硬度と低透湿性を実現することが考えられる。即ち、基材フィルム上に塩化ビニリデン共重合体を含有する低透湿層、10μm以上のハードコート層を積層することで低透湿性ハードコート層を積層する方法である。
しかしながら、本発明者らの検討したところ、塩化ビニリデン共重合体を含有する低透湿層を設けたフィルム上に有機溶剤を含有した硬化性樹脂組成物を用いて膜厚が10μm以上の硬化性組成物を用いてハードコート層を積層すると、透湿度が上昇し充分な低透湿性が得られない問題が生じることが明らかになった。
また、塩化ビニリデン共重合体を含有する低透湿層を設けたフィルム上に樹脂粒子、硬化性樹脂、有機溶剤を含有した硬化性樹脂組成物を用いて膜厚が10μm以上の防眩性ハードコート層を積層すると、透湿度が上昇する問題に加えて、樹脂粒子が基材から離れた側に寄ってしまい、表面散乱性が高くなり過ぎる問題が起きることが本発明者らの検討の結果、明らかとなった。
特開2003−227902号公報 特開2007−041533号公報 特開昭62−161103号公報 特開2001−215331号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを目的とする。即ち、本発明は、高表面硬度、及び低透湿性を実現した保護フィルム、その保護フィルムを用いた偏光板、及びその偏光板を用いることによって表面硬度が高く、光漏れが低減された液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、膜厚の厚いハードコート層を積層するためには、硬化性組成物を厚く塗布する必要があり、硬化性組成物中に含まれる有機溶剤の塗布量も必然的に多くなり、その有機溶剤が低透湿層に浸透し、低透湿層を溶解してしまうことに鑑み、ハードコート層の膜厚を10μm以上にし、ハードコート層を積層した後の60℃95%相対湿度の透湿度を500g/m・日以下にコントロールすることにより、前記課題が解決されることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 透明基材フィルムの一方の面に、低透湿層、及び平均膜厚が10μm以上のハードコート層がこの順に積層され、60℃95%相対湿度での透湿度が500g/m・日以下であることを特徴とする保護フィルムである。
<2> 低透湿層の平均膜厚が、0.5μm〜3.0μmである前記<1>に記載の保護フィルムである。
<3> ハードコート層が微粒子を含有し、透明基材フィルムと低透湿層の界面から、前記微粒子を含有していない部分の平均膜厚が0.3μm〜3.0μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<4> ハードコート層の平均膜厚が、15μm以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<5> 低透湿層が、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<6> 塩素含有ビニル単量体が、塩化ビニリデンである前記<5>に記載の保護フィルムである。
<7> 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂が、塩化ビニリデン88〜93質量%と、該塩化ビニリデンと共重合可能であって、メタクリロニトリルを40質量%以上含む1種以上の単量体12〜7質量%とからなる塩化ビニリデン系共重合体である前記<5>から<6>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<8> 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂のシクロヘキサノンに対する溶解度が、25℃のシクロヘキサノン100gに対して、1g〜40gである前記<5>から<7>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<9> JIS−K−5400に規定する鉛筆硬度評価方法において、荷重4.9Nの鉛筆硬度が4H以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<10> ハードコート層が、電離放射線硬化性組成物をバインダーとして含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<11> ハードコート層は、微粒子をバインダーに対して5質量%〜40質量%含有している前記<1>から<11>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<12> 微粒子の少なくとも一部が樹脂粒子である前記<11>に記載の保護フィルムである。
<13> 樹脂粒子の平均粒径が、4μm〜15μmである前記<12>に記載の保護フィルムである。
<14> 透明基材フィルムが、セルロースアシレートを含む前記<1>から<13>のいずれかに記載の保護フィルムである。
<15> 該偏光子の少なくとも一方の面に設けられた前記<1>から<14>のいずれかに記載の保護フィルムと、偏光子とを有することを特徴とする偏光板である。
<16> 前記<15>に記載の偏光板と、液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によれば、高表面硬度、及び低透湿性を実現した保護フィルム、その保護フィルムを用いた偏光板、及びその偏光板を用いることによって表面硬度が高く、光漏れが低減された液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明の保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置について詳細に説明する。
(保護フィルム)
本発明の保護フィルムは、透明基材フィルム上に、少なくとも低透湿層、膜厚が10μm以上のハードコート層を順に有する構成である。前記ハードコート層は、複数層で構成されてもよい。この場合、本発明におけるハードコート層の平均膜厚とは、ハードコート層全ての平均膜厚の合計を意味する。
各層の厚みはフィルムの断面を観察することで求めることができる。断面観察の手法としてはフィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察することが好ましい。低透湿層上にハードコート層を積層した時に、低透湿層とハードコート層が界面で混合し、低透湿層とハードコート層の界面が分かり難くなることがある。このような場合を考慮して、本発明ではハードコート層の平均膜厚とは、ハードコート層を積層した後の低透湿層とハードコート層を合わせた平均膜厚から、低透湿層のみを積層した時の平均膜厚を差し引いた厚みを言う。
また、本発明では、ハードコート層が微粒子を含有する場合に特に効果を発揮する。低透湿層を設けた基材フィルム上に微粒子、硬化性樹脂、有機溶剤を含有した硬化性組成物を用いて膜厚が10μm以上のハードコート層を積層すると、充分な低透湿性が得られなくなる問題に加えて、微粒子が基材フィルムから離れた側に寄ってしまい、微粒子が表面散乱付与の目的で添加されている場合は微粒子が偏在することで、表面散乱上昇の問題が生じる。また、これに伴い、微粒子を含む層の厚みが減少し、低透湿層と微粒子を含有しない部分の厚みが上昇する。
このような問題を解決するためには、透明基材フィルムの一方の面に、低透湿層、微粒子を含有するハードコート層が順に積層されたフィルムにおいて、透明基材フィルムと低透湿層の界面から微粒子を含有していない部分の平均膜厚を0.3〜3.0μmに抑えることが好ましい。また、前記厚みが0.5〜2.5μmであることがより好ましく、0.7〜2.0μmであることが特に好ましい。
なお、本発明において、微粒子の含有していない部分の平均膜厚「粒子無膜厚」は断面を走査型電子顕微鏡で観察することで測定する。具体的な測定方法に関しては[実施例]の[防眩性ハードコートフィルムの評価](5)粒子無層膜厚に記載した。
透明基材フィルムと、ハードコート層との間には、必要に応じて、帯電防止層(ディスプレイ側から表面抵抗を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミ付きが問題となる場合)、密着改良層、干渉縞防止層(基材とハードコート層の間に0.03以上の屈折率差がある場合)等を設けてもよい。このような層は、透明基材フィルムと、ハードコート層との間に設けられていれば、基材フィルムと低透湿層の間であっても、低透湿層とハードコート層の間であってもよい。
また、ハードコート層の透明基材フィルムから遠い側には、低屈折率層を含む単層又は複数構成の反射防止層を設けることも好ましい態様である。
好ましい層構成の例を以下に挙げるが、以下の構成に限定されるものではない。
基材フィルム/低透湿層/ハードコート層
基材フィルム/低透湿層/ハードコート層/低屈折率層
基材フィルム/低透湿層/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/低透湿層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/低透湿層/防眩性ハードコート層
基材フィルム/低透湿層/防眩性ハードコート層/低屈折率層
本発明の保護フィルムの60℃95%相対湿度における透湿度としては、500g/m・日以下であることが好ましく、400g/m・日以下であることがより好ましく、300g/m・日以下であることが更に好ましい。
透湿度を500g/m・日以下にすることで、保護フィルムを搭載した液晶表示装置の偏光層のサイズ変化を抑制することができる。
また、前記透湿度は、50g/m・日以上であることが好ましく、80g/m・日以上であることが好ましく、100g/m・日以上であることが更に好ましい。透湿度は50g/m・日以上とすることで、偏光板加工時の乾燥工程において、効率よく水分を放出することができる。
ここで、前記透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、フィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量(g/m)を算出することによって得られる。
上記測定法で測定した市販されているセルロースアセテートフィルムの透湿度は、一般に、厚さ80μmで上記条件での透湿度が1,400〜1,500g/m・日である。
<<透明基材フィルム>>
前記透明基材フィルムの光透過率としては、80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。
本発明において、透明基材フィルムの光透過率は、分光光度計を用いて、波長380nm〜780nmを1nm毎に測定し、平均値を算出することで求められる。
また、前記透明基材フィルムのヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることが更に好ましい。
前記ヘイズの測定は、光学補償フィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機(株)製)でJIS K−6714に従って測定する。
更に、前記透明基材フィルムの屈折率としては、1.4〜1.7であることが好ましい。
前記透明基材フィルムの屈折率は、アッベ屈折計(DR−1A、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプを用いて測定することができる。
前記透明基材フィルムの材料の例としては、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例えばシンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート及びポリエーテルケトンが含まれる。セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートが好ましい。
[セルロースアシレートフィルム]
前記透明基材フィルムとしては、セルロースアシレートフィルムが好ましい。セルロースアシレートは、セルロースをエステル化することにより作製される。エステル化前のセルロースとしては、例えば、リンター、ケナフ、パルプのうち少なくとも1つを精製して用いられる。
−セルロースアシレート−
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースの脂肪酸エステルのことであるが、低級脂肪酸エステルが好ましく、セルロースの脂肪酸エステルフィルムが更に好ましい。
前記低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートが特に好ましい。また、セルロースアセテートプロピオネートや、セルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(Dp)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
また、セルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)を指標とする分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがより好ましく、1.0〜2.0であることが特に好ましい。
前記透明基材フィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアシレートを使用することが好ましい。
また、前記酢化度は、57.0〜62.0%であることが更に好ましく、59.0〜61.5%が特に好ましい。
ここで、前記酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。
また、前記酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアシレート等の試験法)におけるアシル化度の測定、及び計算によって求められる。
セルロースアシレートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。
本発明に用いるセルロースアシレートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度、又は多い方が好ましい。2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることが更に好ましく、32〜40%であることが特に好ましい。
前記透明基材フィルムには、フィルムの機械的特性(膜の強度、カール、寸度安定性、滑り性等)、耐久性(耐湿熱性、耐候性等)等の特性を調整するために各種の添加剤を用いてもよい。例えば、可塑剤(リン酸エステル類、フタル酸エステル類、ポリオールと脂肪酸とのエステル類等)、紫外線防止剤(例えば、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等)、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、微粒子(例えばSiO、Al、TiO、BaSO、CaCO、MgCO、タルク、カオリン等)、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等が挙げられる。
上記透明基材フィルムについての詳細は、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会),p.17−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
また、前記添加剤の使用量は、前記透明支持体に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることが更に好ましい。
<<低透湿層>>
本発明の低透湿層は含塩素化合物から形成される被覆層であることが好ましい。この場合、被覆層は塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましく、塩素含有単量体としては、一般には、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニリデンが特に好ましい。
前記塩素含有単量体は、これらの塩化ビニル、又は塩化ビニリデン単量体に、これらと共重合可能な単量体を共重合することにより得ることができる。
−塩素含有ビニル単量体と共重合可能な単量体−
前記共重合可能な単量体としては、オレフィン類、スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
前記オレフィン類の例としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、クロルエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シアノアセトキシエチルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート。
前記ビニルエーテル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル。
前記ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジメチルプロピオネート、ビニルエチルブチレート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセトアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルが挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
また、前記共重合可能な単量体としては、ヒドロキシル基を有するアクリルアミド類も用いることができ、これらの例としては、N−ヒドロキシメチル−N−(1,1−ジメチル−3−オキソ−ブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
前記ビニルケトン類としては、例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。ビニル異節環化合物としては、例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。グリシジルエステル類としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。N−アルキルマレイミド類としては、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸類としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられ、更に、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等の無水物等が挙げられる。また、これら共重合可能な単量体は、2種類以上用いてもよい。
本発明における塩素含有重合体としては、特開昭53−58553号公報、特開昭55−43185号公報、特開昭57−139109号公報、特開昭57−139136号公報、特開昭60−235818号公報、特開昭61−108650号公報、特開昭62−256871号公報、特開昭62−280207号公報、特開昭63−256665号公報などに記載がある。
塩素含有重合体における、塩素含有ビニル単量体の割合は、50〜99質量%が好ましく、70〜97質量%がより好ましく、80〜95質量%が更に好ましく、88〜93%質量%が特に好ましい。塩素含有ビニル単量体の割合が50質量%以上とすることで充分な低透湿性が得られ、また99質量%以下とし、他の共重合成分を含有させることで結晶性をコントロールし、種々の溶剤への溶解性が得られるので好ましい。
前記塩素含有ビニル単量体は塩化ビニリデンであることが好ましい。
更に、本発明において塩素含有重合体は塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の重合反応によって形成されることが好ましく、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体成分にメタクリロニトリルが含まれることが好ましい。塩化ビニリデンと共重合可能な塩化ビニリデン以外の単量体成分に対するメタクリロニトリルの割合は20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。
また、前記塩素含有重合体は、塩化ビニリデンの割合が88〜93質量%と、メタクリロニトリルを40質量%以上含む塩化ビニリデンと共重合可能な1種以上の単量体12〜7質量%からなる塩化ビニリデン系重合体であることが好ましい。メタクリロニトリルを40質量%以上含有させることで溶剤への溶解性を確保しつつ、透湿度の上昇を最小限に抑えることができる。
前記塩素含有重合体としては、例えば、「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
これらの中でも、有機溶剤に対する溶解性があり、且つ、低透湿層を形成した後に、低透湿層上にハードコート層を積層する時に低透湿層は低透湿性を保持するものが好ましい。このような要件を満たす市販の塩素含有重合体としては、塩化ビニリデン系重合体である「サランレジンR204」が挙げられる。
従って、前記低透湿層は「サランレジンR204」を主成分として形成されることも好ましい態様である。その場合、本発明の低透湿層は「サランレジンR204」を50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することが更に好ましく、90質量%以上含有することが特に好ましい。
このような要件を満たすために、前記塩素含有重合体は、25℃100gのシクロヘキサノンに対して10〜40g溶解することが好ましく、15〜40g溶解することがより好ましく、20〜35g溶解することが更に好ましい。
前記低透湿層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることが更に好ましい。前記低透湿層の厚みを上記範囲とすることで、低透湿性を維持しつつカールの問題を回避することができる。
ここで、前記低透湿層の厚みは、干渉膜厚計(FE−3000、大塚電子(株)製)によって測定される。
前記低透湿層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。表面ヘイズと内部ヘイズの比は任意でよいが、表面ヘイズは1%以下であることが特に好ましい。
<<ハードコート層>>
本発明の保護フィルムは、その物理強度を付与するために、ハードコート層を有することが好ましい。
前記ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な表面硬度を与えつつ、加工性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは、10μm〜40μm程度が好ましく、12μm〜35μmがより好ましく、15μm〜30μmが更に好ましい。
また、前記ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、4H以上であることが好ましく、5H以上であることがより好ましくい。
鉛筆硬度に関しては、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて傷が認められない鉛筆硬度として求めることができる。
鉛筆硬度を高くする技術内容については、ハードコート層の厚さ、構成バインダー、充填するフィラー、硬化条件等が挙げられ、これらについては後述する。
前記ハードコート層は、硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明基材フィルム上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、重合性のものが好ましく、中でも重合性官能基がより好ましい。重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基(重合性不飽和基)等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わり、又はそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
また、本発明では、硬化性組成物中に微粒子を含有してもよい。微粒子を含有することでハードコート層の硬化収縮量を低減できるため、ハードコート層の硬化収縮によって、そのハードコート層が積層された低透湿層の歪を低減し、結果として、透湿度上昇を抑制したり、カールを低減でき、好ましい。また、内部散乱性を付与する微粒子を前記硬化性組成物中に含有してもよい。
バインダーに対する微粒子の含有量は5〜40質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、20〜35質量%が更に好ましい。
前記ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー又は無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には、屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。
本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体をバインダーと称し、そのバインダーには、分散された無機粒子が含まれることが好ましい。
前記ハードコート層のヘイズは、偏光板保護フィルムに付与させる機能によって異なる。画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部、及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程よく、具体的には10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下が更に好ましい。
一方、物理強度を付与する機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが1〜15%であることが好ましく、2〜10%であることがより好ましい。
また、前記ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10〜90%であることが好ましく、15〜70%がより好ましく、20〜50%が更に好ましい。
このように、本発明の保護フィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ、及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、前記ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得るためには、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、0.09μm以下がより好ましく、0.08μm以下が更に好ましい。
本発明の保護フィルムにおいては、保護フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸の形状が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、偏光板保護フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな偏光板保護フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
[防眩性ハードコート層]
本発明の偏光板保護フィルムが液晶表示装置の表面に用いられる場合に、周辺の物体の反射像が表面に映り込んで、表示画像の視認性を低下させることがあり、これを防ぐためには、ハードコート層の表面に凹凸を付け、光を表面で散乱する性能(防眩性)を付与することが好ましい。
また、前記低透湿層は、透明基材フィルムより屈折率が高い場合があり、低透湿層/基材フィルム間の屈折率差により干渉ムラが発生する。この干渉ムラによる視認性の悪化を防ぐためにも、光散乱性を付与することが好ましい。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号公報に記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報に記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報に記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報に記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号公報に記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい形態は、ハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための微粒子、及び溶媒を必須成分として含有し、微粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。
防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。以下にバインダー及び微粒子の詳細について説明する。
[バインダー]
本発明の保護フィルムは、硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることができる。すなわち、バインダーとして硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明基材フィルム上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性基を有する多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等が挙げられる。
更には、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
上記の中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーがより好ましい。
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリル酸又はメタクリル酸」、「アクリロイル又はメタクリロイル」を表す。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
<光重合開始剤>
前記光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
前記アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
前記ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
前記ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
また、その他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、及び特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
前記ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
前記活性エステル類の例には、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には、特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
また、オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
前記活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
前記光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましい。
<光増感剤>
前記光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。該光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などが挙げられる。
更に、アジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱ラジカル開始剤>
前記熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
[微粒子]
前記微粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。該微粒子としては、有機粒子が好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が0.01以上0.3以下になるものが好ましい。
前記有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
上記微粒子の中でも、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各微粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
前記バインダー(透光性樹脂)と微粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、1.48〜1.65であることがより好ましい。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び微粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
ここで、前記バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記微粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に微粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような微粒子の場合には、バインダー中で微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させことが好ましい。
前記ハードコート層が防眩層の場合、防眩性を付与するための微粒子は、サイズの大きい粒子を用いることが好ましい。
粒子サイズが小さいと防眩層の内部に埋没して表面の凹凸を作り難くなる。また、粒子サイズの大きい粒子を使用することで、光の散乱角を狭く抑えることができ、文字ボケを防止することができる。
具体的には微粒子の平均粒径は4〜15μmが好ましく、5〜12μmであることがより好ましく、6〜10μmであることが特に好ましい。
また、微粒子の平均粒径は、ハードコート層の膜厚に対して30%以上75%以下であることが好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の微粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の微粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の微粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記微粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましく、添加層全固形分中に5〜20質量%含有されるように配合されることがより好ましい。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、微粒子の密度は、10〜1,000mg/mが好ましく、100〜700mg/mがより好ましい。
<微粒子の調製、分級法>
前記微粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。
これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁、及び146頁〜147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
前記微粒子の粒度分布は、ヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが更に好ましい。
このような粒度分布を持つ粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、好ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。
「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
[ハードコート層の溶剤]
前記ハードコート層は、低透湿層の上にウエット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。溶媒の要件としては、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性微粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいことが挙げられる。
また、下層の溶解性が高すぎないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には被覆層を溶解・膨潤させること(密着性に必要)、等も好ましい特性である。
溶剤は1種でもよいが、2種以上の溶剤を用いて、被覆層の溶解性、膨潤性、素材の溶解性、乾燥特性、粒子の凝集性などを調整することが特に好ましい。また、被覆層の膨潤性の低い主溶媒に対して、膨潤性の高い少量溶媒を添加することにより、他の性能、面状を悪化させることなく、被覆層との密着性を向上させることができる。
具体例としては、溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種エステル(酢酸メチル、酢酸エチル等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、が好ましく用いられる。
その他として、各種アルコール類(プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、トルエンなどが好ましく用いられる。
[高屈折率層(中屈折率層)]
本発明の保護フィルム上には、ハードコート層上に高屈折率層、中屈折率層を設け、後述の低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性をより高めることができる。
なお、以下の記載では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明基材との関係でいえば屈性率は、透明基材フィルム>低屈折率層、高屈折率層>透明基材フィルムの関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、1.60〜2.20がより好ましく、1.65〜2.10が更に好ましく、1.80〜2.00が特に好ましい。
透明基材フィルムから近い順に被覆層、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、SiO等が挙げられる。これらの中でも、TiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。
該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%がより好ましく、15〜75質量%が更に好ましい。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明基材フィルムの屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、50〜170nmがより好ましく、60〜150nmが更に好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。例えば、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。高屈折率層は、前記透明基材フィルム上に他の層を介して構築することが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムが液晶表示装置の表面に用いられる場合に、映り込みを防ぐ方法として、ハードコート層の表面に低屈折率層を形成することも好ましく用いられる。以下に本発明に好ましく用いることができる低屈折率層を説明する。
[低屈折率層]
前記低屈折率層は、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素化合物を主としてなる熱硬化性及び/又は光硬化性を有する組成物を塗布して形成されることが好ましい。
前記防眩性反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、1.45以下であることが好ましく、1.30以上1.40以下がより好ましく、1.33以上1.37以下が更に好ましい。
更に、低屈折率層は下記数式(3)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
1/4×0.7×λ<n1×d1<1/4×1.3×λ・・・・・・数式(3)
数式(3)中、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは、波長500〜550nmの範囲の値である。
数式(3)は、低屈折率層の屈折率と膜厚の積である、光学膜厚が、視感度の最も高い光の波長域である波長500〜550nmの1/4に近いことを意味する。
前記低屈折率層の膜厚としては、数式(3)と低屈折率層の屈折率から算出される値として、70〜120nmが好ましい。
前記低屈折率層は、例えば含フッ素化合物を主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。
前記低屈折率層を形成する際に使用される硬化性組成物は、(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子、及び(C)オルガノシラン化合物のうちの少なくとも2種を含有してなるのが好ましく、3種全てを含有することが特に好ましい。
前記含フッ素化合物としては、屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。
前記含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱又は電離放射線により架橋し、形成された低屈折率層表面の動摩擦係数が、0.03〜0.30であり、水に対する接触角が、85〜120°となる素材が好ましい。
次に、低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
<低屈折率層用含フッ素ポリマー>
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱又は電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の防眩性フィルム又は防眩性反射防止フィルムを液晶表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf(4.9N)以下が好ましく、300gf(2.9N)以下がより好ましく、100gf(0.98N)以下が更に好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
前記低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有し、且つ架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましく、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物〔例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン〕の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点からヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー〔例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等〕の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。
併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類〔エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等〕、アクリル酸エステル類〔アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル〕、メタクリル酸エステル類〔メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等〕、スチレン誘導体〔スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等〕、ビニルエーテル類〔メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等〕、アクリルアミド類〔N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等〕、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等が挙げられる。
前記含フッ素ポリマーについては、特開平10−25388号公報、及び特開平10−147739号各公報に記載の硬化剤を適宜併用してもよい。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンと、ビニルエーテル類又はビニルエステル類とのランダム共重合体である。
特に、単独で架橋反応可能な基〔(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等〕を有していることが好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、30〜60mol%を占めていることがより好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層用含フッ素ポリマーの好ましい形態としては、下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
<低屈折率層用無機微粒子>
無機微粒子の配合量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、5mg/m〜80mg/mがより好ましく、10mg/m〜60mg/mが更に好ましい。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムや酸化珪素(シリカ)の微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
前記無機微粒子の平均粒径は、例えば、低屈折率層の厚みの10%以上100%以下、30%以上100%以下が好ましく、35%以上80%以下がより好ましく、40%以上60%以下が更に好ましい。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、35nm以上80nm以下がより好ましく、40nm以上60nm以下が更に好ましい。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
前記無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
ここで、無機微粒子の平均粒径は、コールターカウンターにより測定される平均粒径を指す。
前記低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40が好ましく、1.17〜1.35がより好ましく、1.17〜1.30が更に好ましい。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(4)で表される。
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100・・・・・・・・・数式(4)
空隙率xは、10〜60%が好ましく、20〜60%がより好ましく、30〜60%が更に好ましい。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、無機微粒子の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定できる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下「小サイズ無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を前記の好ましい範囲内の粒径の無機微粒子(以下「大サイズ無機微粒子」と称す)と併用してもよい。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下がより好ましく、10nm以上15nm以下が更に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。
カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時に更に添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
次に、(C)オルガノシラン化合物について説明する。
<低屈折率層用オルガノシラン化合物>
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)、の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
これらの成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、含フッ素化合物として、好ましくは前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
前記一般式(4)において、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数1〜16のものがより好ましく、炭素数1〜6のものが更に好ましい。アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であることがより好ましい。
mは1〜3の整数を表し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
〔層の形成〕
本発明に用いられる被覆層、及び必要に応じてハードコート層、低屈折率層又はその他の層は、塗布液を透明基材フィルム上に塗布し、加熱・乾燥し、その後、必要に応じて、光照射及び/又は加熱して、各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
本発明のフィルムの各層の塗布方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましく、高い生産性で供給するために、ダイコート法が好ましく用いられる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程の長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが膜硬度や接着防止の点で好ましい。有機溶媒を含有しない場合には、乾燥工程を省略し塗布後すぐに紫外線照射することもできる。
本発明の被覆層は、結晶化度を高めるために熱処理を施してもよい。好ましい熱処理温度は、40〜130℃であり熱処理時間は必要とする結晶化度に応じ適宜決定することができるが通常5分〜48時間程度である。
更に、透明基材フィルムと被覆層の密着性を向上させる目的で、所望により透明基材フィルムの片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
[鹸化処理]
本発明の保護フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の保護フィルムをそのまま偏光板保護用フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の保護フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、接着性を高めるために、透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と保護フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、光学機能を有する面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に光学機能層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に光学機能層を形成する前又は後に、アルカリ液を該保護フィルムの光学機能層を形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
以下に、本発明の保護フィルムを偏光板保護フィルムとして用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
(偏光板)
本発明にかかる偏光板は、偏光子(偏光膜)を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の保護フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の保護フィルムが偏光板用保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の保護フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性等も優れた偏光板とすることができる。
前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
前記偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の偏光板保護フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
本発明の偏光板は、液晶表示装置等に用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置することが好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の保護フィルム、及び偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、又はECB(Electrically Controlled Birefringence)モードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
透明基材フィルムがセルロースアシレートフィルムであり、塩化ビニリデン系重合体を含む低透湿層、ハードコート層として膜厚が10μm以上の防眩層(防眩性ハードコート層)が順に積層された保護フィルム(以下、防眩性ハードコートフィルムということがある。)を本発明の実施例として本発明を説明する。
<塩化ビニリデン系重合体Aの調製>
ガラスライニングを施した耐圧反応器内に、イオン交換水100部、アルキル硫酸ナトリウム0.1部、過硫酸ナトリウム0.9部を仕込み、脱気を行った後内容物の温度を50℃に保った。別の容器に塩化ビニリデン90質量%、メタクリロニトリル5質量%、メタクリル酸メチル5質量%を計量混合してモノマー混合物を作成した。前記反応器内にメタクリロニトリル0.6部、イタコン酸0.8部を添加した後、前述のモノマー混合物100部を16時間かけて全量連続添加した。このとき亜硫酸水素ナトリウム0.1部もモノマーと一緒に連続添加した。モノマー混合物を全量添加した後内圧は直ちに降下し始め、内圧の低下がなくなるまで反応を進行させて塩化ビニリデン系ポリマーの水分散体を得た。この塩化ビニリデン系ポリマーの水分散体30gを60℃に加温した塩化カルシウムの3%水溶液100gの中に攪拌しながら少しずつ滴下した後、生成した凝集物を水洗、乾燥して白色の粉末を得た。
<低透湿層用塗布液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、低透湿層用塗布液A〜Cを調製した。
[低透湿層用塗布溶液Aの組成]
・塩化ビニリデン系重合体:R204 12質量部
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
・テトラヒドロフラン 62質量部
・トルエン 13質量部
・メチルエチルケトン 13質量部
[低透湿層用塗布溶液Bの組成]
・塩化ビニリデン系重合体A 12質量部
・テトラヒドロフラン 62質量部
・トルエン 13質量部
・メチルエチルケトン 13質量部
[低透湿層用塗布溶液Cの組成]
・塩化ビニリデン系重合体:F216 5質量部
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンF216」}
・トルエン 9質量部
・シクロヘキサノン 18質量部
<塩化ビニリデン系重合体の溶解性試験>
シクロヘキサン100gを入れたガラスビーカーを2個準備し、上記で作製した塩化ビニリデン系重合体Aの粉末を一方のビーカーに20g、他方のビーカーに36g添加し、25℃に恒温槽に入れて60分間攪拌し、溶解性を確認したところ、20g入れたビーカーは溶解したが、36g入れたビーカーでは一部が溶解しなかった。
この結果から、塩化ビニリデン系重合体Aのシクロヘキサノンに対する溶解度が、25℃のシクロヘキサノン100gに対して20g以上36g未満であることが分かった。
同様の試験を塩化ビニリデン系重合体R204{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}に対して行ったところ、20g入れたビーカーは溶解したが、36g入れたビーカーでは一部が溶解しなかった。
この結果から、「サランレジンR204」のシクロヘキサノンに対する溶解度が、25℃のシクロヘキサノン100gに対して20g以上36g未満であることが分かった。
同様の試験を塩化ビニリデン系重合体F216{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンF216」}に対して行ったところ、20g入れたビーカー、41g入れたビーカー共に溶解した。
この結果から、「サランレジンF216」のシクロヘキサノンに対する溶解度が、25℃のシクロヘキサノン100gに対して41g以上であることが分かった。
<ハードコート層塗布液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、防眩性ハードコート層用塗布液を調製した。
[防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)の組成]
・UV硬化性樹脂(PETA、日本化薬(株)製) 600.0質量部
・「イルガキュア184」 20.0質量部
・架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0質量部
・平均粒径8μmの架橋アクリル−スチレン粒子 45.0質量部
・トルエン 392.0質量部
・シクロヘキサノン 98.0質量部
・シリコーンオイル「X−22−164C」 0.1質量部
(実施例1)
<保護フィルムの作製>
<<低透湿層の塗設>>
市販のセルロースアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フィルム(株)製、幅1,340mm、厚さ80μm)を、透明基材フィルムとしてロール形態で引き出し、搬送速度30m/分の条件下で、上記低透湿層用塗布溶液Aを、バーコーターを用いて塗布し、100℃で1分乾燥し、搬送しながら、1,000mを巻き取った。この時の低透湿層の膜厚は2.0μmであった。
<<ハードコート層の塗設>>
支持体(基材)として上記で作製した低透湿層を塗設したフィルムをロール形態で巻き出し、防眩性ハードコート用塗布液(HCL−1)を、マイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、更に酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、防眩層を形成し、巻き取り、防眩性ハードコート層を設けた保護フィルム(HCF−1)を作製した。硬化後の防眩層の平均厚さは12.0μmであった。
なお本実施例で言う低透湿層上に防眩層(ハードコート層)を積層した防眩フィルムの、硬化後の防眩層(ハードコート層)の平均厚さとは、防眩層を積層した後の防眩層と低透湿層とを合わせた厚さの平均値から低透湿層のみを積層した時の低透湿層の平均厚さを差し引いた厚みを言う。また、それぞれの厚みは保護フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察し任意の20点の平均値を取ることで確定した。
(実施例2〜9、比較例2〜3)
<保護フィルムの作製>
実施例1で示した防眩性ハードコートフィルム(HCF−1)に対し硬化後の防眩層の平均厚さ、及び/又は低透湿層の平均厚さを、表1に示した値になるように調整し、防眩性ハードコートフィルム(HCF−2)〜(HCF−9)、及び(HCF−12)〜(HCF−13)を作製した。
(実施例10)
<保護フィルムの作製>
実施例5で示した防眩性ハードコートフィルム(HCF−5)に対し、低透湿層用塗布液を低透湿層用塗布液Aから低透湿層用塗布液Bに代え、硬化後の防眩層の平均厚さを表1に示した値になるように調整し、防眩性ハードコートフィルム(HCF−10)を作製した。
(比較例1)
実施例1で示した防眩性ハードコートフィルム(HCF−1)に対し低透湿層を積層せずに、防眩層の平均厚さを20μmになるように調整し、防眩性ハードコートフィルム(HCF−11)を作製した。
(比較例4〜5)
実施例1で示した防眩性ハードコートフィルム(HCF−1)に対し低透湿層用塗布液を低透湿層用塗布液Aから低透湿層用塗布液Cに代え、硬化後の防眩層の平均厚さを表1に示した値になるように調整し、防眩性ハードコートフィルム(HCF−14)〜(HCF−15)を作製した。
上記で作製した防眩性ハードコートフィルム(HCF−1)〜(HCF−15)を下記の評価法(1)〜(6)に従って評価した。結果を表1に示した。
[防眩性ハードコートフィルムの評価]
(1)鏡面反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における各防眩性ハードコートフィルム試料の鏡面分光反射率を測定した。波長450〜650nmの平均反射率を評価に用いた。
(2)透湿度(60℃95%相対湿度での透湿度)
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208に従った透湿カップを用いて、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m)を算出した。吸湿剤の入れていないブランクのカップで透湿度の値を補正は行わなかった。
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。光拡散性フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する2H〜5Hの試験用鉛筆を用いて、4.9Nの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
OK:n=5の評価において傷なし〜傷1つ
NG:n=5の評価において傷が3つ以上
(4)耐熱性評価
防眩性ハードコートフィルムを105℃の条件下で3日間保存し、下記の基準に従い4段階評価を行った。
◎:着色がない。
○:着色が殆どない。
△:僅かに着色が観られる。
×:明らかに着色が観られる。
(5)粒子無層膜厚
防眩性ハードコート層を積層した後の防眩性フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で5,000倍に拡大した断面写真を作製し、その断面写真を試料サンプルの幅方向に10μmに対応する長さを観察し、微粒子が最も基材に近い部分と低透湿層の基材の界面との距離を粒子無層膜厚とする。この操作を20回繰り返し、粒子無膜厚を20点採取し、平均値を平均粒子無層膜厚とする。
(6)脆性
JIS K−5600−5−1に準じてマンドレル試験を実施し、以下のように評価した。
○:5mmでワレなし
△:5mmでワレ発生、8mmでワレなし
×:8mmでワレ発生
表1の結果から以下のことが明らかである。
シクロヘキサノンに対する溶解度の低いポリ塩化ビニリデン系樹脂によって形成した膜厚が0.5μm以上の低透湿層上に10μm以上のハードコート層を形成したハードコートフィルムは、表面硬度が高く、透湿度が500g/m・日以下で良好な低透湿性が得られる。また、このような系では粒子を含有しない層の膜厚(粒子無層膜厚)は低透湿層の膜厚と等しく、0.3〜3.0μmの範囲にある。
一方、シクロヘキサノンに対する溶解度の高いポリ塩化ビニリデン系樹脂によって形成した低透湿層上に10μm以上のハードコート層を形成したハードコートフィルムは、表面硬度が高く、透湿度が500g/m・日以上で充分な低透湿性は得られない。
また、このような系では、粒子を含有しない層の膜厚(粒子無層膜厚)は低透湿層の膜厚に対して増加しており、0.3〜3.0μmの範囲外である。
低透湿層を塩化ビニリデン系重合体で形成した場合、熱を加えたときに着色するが、膜厚を3.0μm以下に抑えることで着色を抑制することができる。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販の視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、液晶層を積層していない面を偏光膜の一方の面に貼り付けた。
更に、同様にして実施例1で作製したロール状保護フィルム(HCF−1)を、鹸化処理を行い、被覆層を形成していない面を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の他方の面に貼り付けて、偏光板(P−1)を作製した。
また、偏光板(P−1)に対してロール状とした保護フィルムを(HCF−1)から(HCF−2)〜(HCF−15)に変更し、それぞれ、偏光板(P−2)〜(P−15)を作製した。
(液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板(P−1)〜(P−15)を、被覆層が外側(視認側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付け、液晶表示装置(LCD−1)〜(LCD−15)を作製した。液晶表示装置を以下の特性を評価した。評価結果を表2に示した。
<映り込み評価>
液晶表示装置にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8,000cd/m)を液晶表示装置の表面の法線方向から平面に向かって45°の角度から映し、−45°の方向から観察した際の蛍光灯の映り込みの程度を以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
●:蛍光灯の存在が認識できず、全面が白い面に見える
◎:蛍光灯の輪郭が全くわからないが、蛍光灯の存在は認識できる
○:蛍光灯の輪郭がわずかにわかるが、殆ど映り込まない
△:蛍光灯はぼけているが、若干映り込む
×:蛍光灯が完全に映り込む
<高湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を60℃、相対湿度90%、50時間処理後に、25℃、相対湿度60%、の環境下で2時間放置した後、液晶表示装置を黒表示させ、暗室にて正面からの光漏れを複数の観察者により下記評価基準に基づき、目視評価する。
[評価基準]
◎:光漏れは観察されなかった。
〇:光漏れが周辺部から5mm未満。
△:光漏れが周辺部から5mm以上10mm未満。
×:光漏れが周辺部から10mm以上。
表2の結果から以下のことが明らかである。
防眩フィルムを最表面に貼り合せたTN型液晶表示装置の高湿処理後の光漏れは防眩フィルムの透湿度と対応しており、透湿度が低いほど光漏れが少ない。
また、本発明の防眩性ハードコートフィルムを搭載した液晶表示装置LCD−1〜10の何れも背景の映りこみが少なく、表示品位が高かった。
また、低透湿層が形成されていない防眩性ハードコートフィルムHCF−11、及び低透湿層が0.4μmの厚さである防眩性ハードコートフィルムHCF−12は、共に、透湿度が高く、強い光漏れが確認された。
また、低透湿層が2.0μmの厚さであり、ハードコート層が9μmの厚さである防眩性ハードコートフィルムHCF−13は、光漏れが良好ではあるが、本発明の目的である表面硬度は達成できなかった。
また、粒子無膜厚が3μmを越えた防眩性ハードコートフィルムHCF−14〜15を搭載した液晶表示装置LCD−14〜15は、表面の光散乱性が増加し、蛍光灯を写し込んだ液晶表示装置の表面の全面が白く見え、好ましくなかった。
次に、膜厚が10μm以上の防眩層(防眩性ハードコート層)において、ハードコート層中に含まれる微粒子の含有量を変えた保護フィルム(防眩性ハードコートフィルム)を本発明の実施例として本発明を説明する。
(実施例11〜13)
<<防眩性ハードコート層塗布液の調製>>
実施例5で示した防眩性ハードコート層用塗布液に(HCL−1)に対して添加した架橋アクリルースチレン粒子の配合量を、表3に示す配合量に変えて、防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−2)〜(HCL−4)を調製した。
<<低透湿層の塗設>>
上記の実施例5と同様に市販のセルロースアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製、幅1,340mm、厚さ80μm)を透明基材フィルムとしてロール形態で引き出し、搬送速度30m/分の条件下で、上記低透湿層用塗布溶液Aを、バーコーターを用いて塗布し、100℃で1分乾燥し、搬送しながら、1,000mを巻き取った。この時の低透湿層の膜厚は1.5μmであった。
<<防眩性ハードコート層の塗設>>
支持体(基材)として上記で作製した低透湿層を塗設したフィルムをロール形態で巻き出し、防眩性ハードコート用塗布液(HCL−2)を、マイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、更に酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、防眩層を形成し、巻き取り、防眩性ハードコートフィルム(HCF−16)を作製した。硬化後の防眩層の平均厚さは20μmであった。
表3に示すように、防眩性ハードコートフィルム(HCF−16)に対し、防眩性ハードコート塗布液(HCL−3)、(HCL−4)に変更し、それぞれ、防眩性ハードコートフィルム(HCF−17)、(HCF−18)を作製した。
(比較例6〜9)
実施例5、11〜13で示した防眩性ハードコートフィルム(HCF−5、16〜18)のそれぞれに対し、防眩性ハードコート層の膜厚を表3に示すように変更し、防眩性ハードコートフィルム(HCF−19)〜(HCF−22)を作製した。
上記で作製した防眩性ハードコートフィルム(HCF−5)、(HCF−16)〜(HCF−22)を上記の評価法(1)〜(5)に従って評価した。結果を表3に示した。
表3に示す結果から以下のことが明らかである。
低透湿層上に防眩性ハードコート層を積層した防眩性ハードコートフィルムにおいて、防眩性ハードコート層の膜厚が10μm以上(20μm)のものではバインダーに対する粒子の配合量を増やすことで、透湿度を下げることができる。バインダー粒子に対する配合量40質量部にすると鉛筆硬度が低下傾向にあることを考慮すると、粒子の配合量は20〜35質量部が最も好ましい。
一方、防眩性ハードコート層の膜厚が10μm未満のものでは、鉛筆硬度が低く、また、粒子の配合量を増やしても、透湿度の低下効果が殆ど観られない。
したがって、防眩性ハードコート層の膜厚が10μm以上で防眩性ハードコート層の粒子の配合量を20〜35質量部にすることは好ましい。
次に、構成が低透湿層/防眩層/低屈折率層である防眩性反射防止ハードコートフィルムを本発明の実施例として本発明を説明する。
(実施例14)
<<低透湿層の塗設>>
上記の実施例4と同様に市販のセルロースアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製、幅1,340mm、厚さ80μm)を透明基材フィルムとしてロール形態で引き出し、搬送速度30m/分の条件下で、上記低透湿層用塗布溶液Aを、バーコーターを用いて塗布し、100℃で1分乾燥し、搬送しながら、1,000mを巻き取った。この時の低透湿層の膜厚は1.5μmであった。
<<ハードコート層塗布液の調製>>
ウレタンアクリレートとしてペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートからなるウレタンアクリレート100質量部と、ポリオール(メタ)アクリレートとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート49質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート24質量部及びペンタエリスリトールテトラアクリレート41質量部と、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーとして2−ヒドロキシエチル基、及び2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマー(大日本インキ化学工業株式会社製、PC 1097)59質量部を配合した。更に、上記で配合した全樹脂成分100質量部に対し、平均粒子径が8μmのPMMA粒子(屈折率:1.49)を30質量部と、反応性レベリング剤を0.5質量部と、重合開始剤(イルガキュア184)を5質量部とを、酢酸ブチルと酢酸エチルの混合割合が55:45(全溶媒に対する酢酸エチル比率45%)の混合溶媒により固形分濃度が55%となる様に希釈して、ハードコート形成材料を調製した。尚、前記反応性レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
<<ハードコート層の塗設>>
支持体(基材)として上記で作製した低透湿層を塗設したフィルムをロール形態で巻き出し、バーコーターを用いて塗工し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。
その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、硬化処理して厚み20μmのハードコート層を形成し、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)を作製した。
(実施例15)
次に、防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)上に反射防止層を積層することで、本実施例に係る防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−24)を作製する。
<<反射防止層塗布液の調製>>
[反射防止層塗布液(LNL−1)の調製]
まず、反射防止層の形成材料として、エチレングリコール換算による平均分子量が500〜10,000であるシロキサンオリゴマー(コルコートN103(コルコート(株)製、固形分2質量%))を用意し、その数平均分子量を測定した。その結果、数平均分子量は950であった。
また、ポリスチレン換算による数平均分子量が5,000以上であって、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物として、オプスターJTA105(商品名、JSR(株)製、固形分5質量%)とを用意し、このフッ素化合物の数平均分子量について測定すると、ポリスチレン換算による数平均分子量は8,000であった。
また、硬化剤としては、JTA105A(JSR(株)製,固形分5質量%)を用いた。
次に、オプスターJTA105を100質量部、JTA105Aを1質量部、コルコートN103を590質量部、及び酢酸ブチルを151.5質量部混合して、反射防止層塗布液(LNL−1)を調製した。
<<反射防止層の塗設>>
防眩性ハードコートフィルム(HCF−22)のハードコート層上にダイコーターにて、ハードコート層と同じ幅となる様にして、上記で調製した反射防止層塗布液(LNL−1)を塗工し、120℃で3分間加熱することにより乾燥・硬化して反射防止層(低屈折率層、厚さ0.1μm、屈折率1.43)を形成し、防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−24)を作製した。
(実施例16)
次に、防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)上に中空粒子を含有した反射防止層を積層することで、本実施例に係る防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−25)を作製する。
<<反射防止層塗布液の調製>>
[反射防止層塗布液(LNL−2)の調製]
ジペンタエリスリトール系アクリレート100質量部と、メタクリロキシプロピル基及びブチル基を有するシリコーン系ポリマー15質量部と、ヘキサンジオールアクリレート2.5部と、ルシリン型光重合開始剤6質量部と、アクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理を行い、疎水化した直径60nmの中空で球状の酸化ケイ素超微粒子とを、混合溶剤(IPA/MIBK/ブチルセロソルブ/トルエン(80/9/10.5/0.5))で分散させ、固形分が3質量%となる様に調製して反射防止層塗布液(LNL−2)を調製した。
<<反射防止層の塗設>>
防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)のハードコート層上にダイコーターにて、ハードコート層と同じ幅となる様にして、上記で調製した反射防止層塗布液(LNL−2)を塗工し、120℃で3分間加熱することにより乾燥・硬化して反射防止層(低屈折率層、厚さ0.1μm、屈折率1.43)を形成し、防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−25)を作製した。
上記で作製した防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)、及び防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−24)、(HCF−25)の評価結果を、上記の評価法(2)、(3)及び(5)、並びに、下記の評価法(7)に従って評価した。結果を表4に示した。
(7)積分反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における各防眩性ハードコートフィルム試料の積分分光反射率を測定した。波長450〜650nmの平均反射率を評価に用いた。
表4の結果から以下のことが明らかである。
本発明の防眩性ハードコートフィルムに反射防止層を積層することで、表面硬度が高く、透湿度が低く、積分反射率の低い防眩性反射防止ハードコートフィルムを作製することができる。
<偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販の視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、液晶層を積層していない面を偏光膜の一方の面に貼り付けた。
更に、同様にして実施例1で作製したロール状保護フィルム(HCF−23)を、鹸化処理を行い、被覆層を形成していない面を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の他方の面に貼り付けて、偏光板(P−23)を作製した。
偏光板(P−23)に対して防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)を防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−24)、(HCF−25)に変更し、それぞれ、偏光板(P−24)、(P−25)を作製した。
[液晶表示装置の作製]
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板(P−23)〜(P25)を、被覆層が外側(視認側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付け、液晶表示装置(LCD−23)〜(LCD−25)を作製した。前記の液晶表示装置(LCD−1)〜(LCD−15)と同様に評価した。評価結果を表5に示した。
表5の結果から以下のことが明らかである。
本発明の防眩性ハードコートフィルム(HCF−23)、及び防眩性反射防止ハードコートフィルム(HCF−24)、(HCF−25)を最表面に貼り合せたTN型液晶表示装置(LCD−23)〜(LCD−25)の高湿処理後の光漏れが少ない。
また、本発明の防眩性ハードコートフィルムを搭載した液晶表示装置(LCD−23)は背景の映りこみが少なく、特に防眩性反射防止ハードコートフィルムを搭載した液晶表示装置(LCD−24)、(LCD−25)では背景の映り込みが極めて少なく、表示品位が高かった。

Claims (16)

  1. 透明基材フィルムの一方の面に、低透湿層、及び平均膜厚が10μm以上のハードコート層がこの順に積層され、60℃95%相対湿度での透湿度が500g/m・日以下であることを特徴とする保護フィルム。
  2. 低透湿層の平均膜厚が、0.5μm〜3.0μmである請求項1に記載の保護フィルム。
  3. ハードコート層が微粒子を含有し、透明基材フィルムと低透湿層の界面から、前記微粒子を含有していない部分の平均膜厚が0.3μm〜3.0μmである請求項1から2のいずれかに記載の保護フィルム。
  4. ハードコート層の平均膜厚が、15μm以上である請求項1から3のいずれかに記載の保護フィルム。
  5. 低透湿層が、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂を含有する請求項1から4のいずれかに記載の保護フィルム。
  6. 塩素含有ビニル単量体が、塩化ビニリデンである請求項5に記載の保護フィルム。
  7. 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂が、塩化ビニリデン88〜93質量%と、該塩化ビニリデンと共重合可能であって、メタクリロニトリルを40質量%以上含む単量体12質量%〜7質量%とからなる塩化ビニリデン系共重合体である請求項5から6のいずれかに記載の保護フィルム。
  8. 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂のシクロヘキサノンに対する溶解度が、25℃のシクロヘキサノン100gに対して、1g〜40gである請求項5から7のいずれかに記載の保護フィルム。
  9. JIS−K−5400に規定する鉛筆硬度評価方法において、荷重4.9Nの鉛筆硬度が4H以上である請求項1から8のいずれかに記載の保護フィルム。
  10. ハードコート層が、電離放射線硬化性組成物をバインダーとして含む請求項1から9のいずれかに記載の保護フィルム。
  11. ハードコート層は、微粒子をバインダーに対して5質量%〜40質量%含有している請求項1から10のいずれかに記載の保護フィルム。
  12. 微粒子の少なくとも一部が樹脂粒子である請求項11に記載の保護フィルム。
  13. 樹脂粒子の平均粒径が、4μm〜15μmである請求項12に記載の保護フィルム。
  14. 透明基材フィルムが、セルロースアシレートを含む請求項1から13のいずれかに記載の保護フィルム。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載の保護フィルムと、偏光子とを有することを特徴とする偏光板。
  16. 請求項15に記載の偏光板と、液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置。
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