JP2008003580A - 偏光板用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置等の表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる、偏光膜の保護フィルムとして好適な偏光板用保護フィルムおよび偏光板、を提供すること。
【解決手段】塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの片面に形成され、透明基材フィルムの反対側の面に少なくともハードコート性を有する層を設け、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明基材フィルム上に被覆層を有する偏光板用保護フィルムに関する。
最近、液晶表示装置(以下、LCD)が、薄型で、軽量であり、また消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されるようになっている。偏光板は、LCDの普及に伴いその需要が急増している。その使用分野も、従来の電卓や時計などの小型品から、自動車用計器、PCのモニター、テレビといった大型品へ拡大されつつある。
表示装置は、常時長時間に亘って使用状態にあることが多いので、偏光板は、物理的な損傷を受け易く、また損傷を受けると表示画像品質を損なうので、偏光板の機械強度の強化が望まれている。更に、温湿度変化を有する環境下での長期使用でもLCDの画像品質が劣化しないような、長期の耐久性が要求されるようになってきた。
偏光板は、一般に偏光能を有する偏光膜の両面又は片面に、接着剤層を介して偏光板用保護フィルム(以下、保護層と称することもある)が貼り合わせられている。偏光膜の素材としてはポリビニルアルコール(以下、PVAということもある)が主に用いられており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ素又は二色性染料で染色するか、あるいは染色してから延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより偏光膜が形成される。保護層としては、光学的に透明で複屈折性が小さいこと、表面が平滑であること等から、主にセルローストリアセテート(以下、TACということもある)が用いられている。
しかしながら、セルローストリアセテートを保護層として用いた場合、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生する場合があるという問題があった。またセルローストリアセテートは表面硬度が小さく、傷つきやすいという問題もあった。
これらの問題点を解決する技術として、ノルボルネン系樹脂からなるシートが偏光膜の保護フィルム(保護層)として有用であることが報告されている(特許文献1)。しかしながらノルボルネン系樹脂からなるシートは、透湿性は十分小さく、湿度の変化を受けづらいが、偏光膜との接着性が不十分であるという課題がある。
またセルローストリアセテートフィルムの表面に、塩化ビニリデン共重合体を含有する層を設けた保護フィルムを用いることにより、偏光板の湿熱性が向上することが報告されている(特許文献2、3)。しかしながら、湿熱性は向上するものの、表面硬度が低いためさらにハードコート処理が必要であるが、ハードコートに関する記載はない。また、特許文献2、3では透湿性能の記載がなく、それらの特許に記載の素材、膜厚では本発明で目的とする十分な透湿性低減効果が無い。
更に、一般に塩化ビニリデン共重合体は紫外線により着色しやすいという問題もある。
以上のような課題を解決するために、塩素含有ビニル単量体を含んで誘導される重合体、エチレン性二重結合を有する化合物及び重合開始剤を含有する塗布液から形成された被覆層により、透湿性低減、ハードコート性の付与、着色の抑制をする報告がされている(特許文献4)。しかしながら、本発明で必要な透湿度は達成できていなく、その面での改良は必要である。
特開平10−101907号公報 特開昭62−161103号公報 特開2001−215331号公報 特開2006−91656号公報
本発明の目的は、液晶表示装置等のディスプレイの表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる、偏光膜の保護フィルムとして好適な偏光板用保護フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する被覆層を透明基材フィルムの片面に有し、反対面にハードコート性を有する偏光板用保護フィルムにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち本発明は、
(1)塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの片面に形成され、透明基材フィルムの反対側の面に少なくともハードコート性を有する層を設け、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
(2)ハードコート性を有する層が散乱性を持つことを特徴とする上記(1)に記載の偏光板用保護フィルム。
(3) 塩素含有ビニル単量体が塩化ビニリデンである上記(1)または(2)に記載の偏光板用保護フィルム。
(4)被覆層の厚みが1μm以上10μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(5)透明基材フィルムの膜厚が、30μm以上120μm以下である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(6)セルロースアシレート類が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(7)透明基材フィルムと被覆層の間および被覆層の表面のいずれかに易接着層を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(8)透明基材フィルム、透明基材フィルムと被覆層の間の易接着層および被覆層の少なくとも1つに紫外線吸収剤を含有し、波長380nmの光の透過率が5%以下であり、波長600nmの透過率が80%以上100%以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(9)紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、及び紫外線吸収ポリマーのいずれかである前記(8)に記載の偏光板用保護フィルム。
(10)紫外線吸収剤が下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の少なくとも1種類以上含有することを特徴とする上記(9)に記載の偏光板用保護フィルム。
Figure 2008003580
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を表し、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。)
(11)少なくとも1種の粒径が0.5〜12μmの粒子を被覆層に含む前記(1)〜(10)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(12)被覆層および易接着層の少なくともいずれかにが塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体と親水性高分子化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(13)透明基材フィルム表面および被覆層表面の少なくともいずれかをコロナ放電処理およびグロー放電の少なくともいずれかの処理をしたことを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(14)被覆層を形成する際に用いる塗布組成物が、少なくとも塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体と有機溶剤とを含有し、該有機溶剤が透明基材フィルムを膨潤又は溶解可能な溶剤を含む前記(1)〜(13)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(15) 前記(14)に記載の被覆層上に、更に塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する第2の被覆層を形成し、該第2の被覆層を形成する際に用いる塗布組成物が該重合体の水分散物であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
(16) 被覆層に、酸化防止剤、及び金属錯体の少なくともいずれかを含有する前記(1)〜(15)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(17)塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体、および該重合体を溶解もしくは分散可能な溶媒を含有する被覆層用塗布組成物を、透明基材フィルム上に塗布、乾燥して、該被覆層を形成することを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
(18)前記被覆層用塗布液を塗布、乾燥して被覆層を形成した後、第2の被覆層を該被覆層上に塗布、乾燥して形成する工程において、1回の送り出しから巻き取りの工程で、連続的に各層を形成することを特徴とする前記(17)に記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
(19)偏光膜と、上記(1)〜(7)に記載の偏光板用保護フィルム、または上記(17)または(18)のいずれかに記載の製造方法で作成した偏光板用保護フィルムを有し、透明基材フィルムに対して、ハードコート性を有する層の反対側に偏光膜が位置することを特徴とする偏光板。
(20)上記(19)に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する、被覆層が、セルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの片面に形成され、反対面にハードコート性有する層を有し、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルムは、低透湿性であり偏光度が大きく、耐久性、画像品質に優れた偏光板を作製できる。また、ハードコート性を有する層を設けることで、高鉛筆硬度で、低着色性の偏光板用保護フィルムを作製できる。本発明の偏光板用保護フィルムを用いると、液晶表示装置等のディスプレイの表示画像品質を長期にわたり高品位に保つことができる。
以下、本発明の偏光板用保護フィルムについて詳細に説明する。
本発明の偏光板用保護フィルムについて好適な一実施形態の基本的な構成を図面を参照しながら説明する。
ここで、図1は、本発明の偏光板用保護フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図であるが、本発明の偏光板用保護フィルムはこの形態に限るものではない。
図1の(1)に示す本発明の偏光板用保護フィルム1は、透明基材フィルム2と、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する被覆層3(以下、被覆層と記載する場合もある)、透明基材フィルム2の反対面にハードコート性を有する層4を設けるのが好ましい。ハードコート性を有する層4に内部散乱性や表面散乱性を加えることも好ましく用いられる。またハードコート性を有する層4の上にさらに低屈折率層を設けることも、表面の反射率を低減する目的から好ましい。透明基材フィルム2と被覆層3の間、もしくは被覆層3の表面の少なくとも一方に易接着層を有するのも層間の密着性の観点で好ましく、易接着層が複数の層からなることも好ましい。また、易接着層のいずれかの層を帯電防止性層とすることも好ましく用いられる。
図2は本発明の偏光板用保護フィルムを用いた本発明の偏光板の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図であるが、本発明の偏光板はこの形態に限るものではない。
図2に示す本発明の偏光板5は、本発明の偏光板用保護フィルム1と偏光子6と反対側の偏光板用保護フィルム7からなる。本発明の偏光板5は被覆層3が偏光子6と貼り合わせられる。反対側の偏光板用保護フィルム7は特に制限は無いが、生産性の観点から、被覆層の無いセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムであることが好ましい。
図3は本発明の偏光板を用いた本発明の液晶表示装置の好ましい一実施形態を液晶表示装置を用いて模式的に示す断面図であるが、本発明の液晶表示装置はこの形態に限るものではない。
図3に示す本発明の液晶表示装置8は、本発明の偏光板5と液晶セル9からなる。本発明の偏光板5を図3のように両側に用いるのが好ましいが、片側でも効果がある。本発明の偏光板は反対側の保護フィルム7側を粘着剤を介して液晶セルに貼り付けるのが好ましい。
本発明の偏光板の反対側の保護フィルムとして光学補償フィルムも好ましく用いられ、光学補償フィルムが基材フィルムの上に光学補償層を形成した基材フィルムであることも好ましい。また、反対側の保護フィルムの上に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼り付けて用いることも好ましい。
[被覆層]
本発明の被覆層は塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体(以下塩素含有重合体とも称する)を有することを特徴とする。
塩素含有ビニル単量体としては、一般的には、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。塩素含有重合体は、これら塩化ビニル又は塩化ビニリデン単量体に、これらと共重合可能な単量体を共重合することにより得ることができる。
[塩素含有ビニル単量体と共重合可能な単量体]
共重合可能な単量体としては、オレフィン類、スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
オレフィン類の例としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等を挙げることができる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、クロルエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シアノアセトキシエチルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート。
ビニルエーテル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル。
ビニルエステル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジメチルプロピオネート、ビニルエチルブチレート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセトアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル。
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
またヒドロキシル基を有するアクリルアミド類も用いることができ、これらの例としては、N−ヒドロキシメチル−N−(1,1−ジメチル−3−オキソ−ブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
ビニルケトン類としては、例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。ビニル異節環化合物としては、例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。グリシジルエステル類としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。N−アルキルマレイミド類としては、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられ、更に、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等の無水物等が挙げられる。
これら共重合可能な単量体は2種類以上用いてもよい。
本発明における塩素含有重合体としては、特開昭53−58553号公報、特開昭55−43185号公報、特開昭57−139109号公報、特開昭57−139136号公報、特開昭60−235818号公報、特開昭61−108650号公報、特開昭62−256871号公報、特開昭62−280207号公報、特開昭63−256665号公報などに記載がある。
塩素含有重合体における、塩素含有ビニル単量体の割合は、50〜99質量%が好ましく、60〜98質量%が更に好まし、70〜97質量%が最も好ましい。塩素含有ビニル単量体の割合が50%以上であれば、透湿性が悪化するなどの不具合が生じなく、また99%以下であれば、種々の溶剤への溶解性が得られるので好ましい。
塩素含有重合体は、旭化成ケミカルズ(株)、呉羽化学(株)から入手できる。旭化成ケミカルズ(株)から入手可能なものとしては以下のものが挙げられる。
「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」。サランレジンF216、R204は、ケトン類溶媒(メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)に可溶のため、より好ましく用いられ、またサランレジンR204は、結晶性が高いため被覆層の透湿度を低くすることができるため更に好ましく用いられる。
被覆層の厚みは、1〜10μmの厚さが好ましく、1.0〜7μmの厚さがより好ましく、1.0〜5μmの厚みが更に好ましい。被覆層の厚みが該上限値以下であれば、優れた低透湿度を有すると共に、カールが大きくなる、被覆層の脆性が悪化するなどの弊害が生じないので好ましい。カールが大きくなりすぎると、その後の偏光板を作製する工程、例えば偏光膜との接着工程、ハンドリングにおいて支障をきたす。また、作製工程のみならず、偏光板としてもカールが残存することは、LCDに表示ムラ等を発生させ、好ましくない。
従って、カールが発生しないか、又は実用上問題ない程度に小さくするには、被覆層の膜厚上限を上記範囲とすることが好ましい。
また、被覆層の厚みが前記上限値以下であれば、脆い膜になったり、着色し易くなるなどの弊害も生じないので好ましい。一方、被覆層の厚みの下限は、防湿性より好ましい範囲が規定され、上記範囲とすることで本発明の効果が十分に発現できる。被覆層は少なくとも1層からなるものであり、2層以上の形態も可能である。
被覆層の厚みに関しては、更に面内の均一性も必要である。本発明の被覆層は、幅が1m以上3m未満で、全長が100m以上10,000m未満のロール状の透明基材フィルム上にウェット塗布にて連続的に生産されることが、生産コストの点から好ましいが、膜厚の分布としては、幅方向および長手方向の面内において、平均厚みに対して±20%以内のバラツキであることが好ましく、平均厚みに対して±10%以内のバラツキであることがより好ましく、平均厚みに対して±5%以内のバラツキであることが更に好ましい。
平均厚みに対して±20%以内のバラツキであれば、後述する測定法による被覆層の透湿度のバラツキも抑えられ、本発明の効果である表示品質のムラがより低減することになる。
被覆層のヘイズは5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが最も好ましい。表面ヘイズと内部ヘイズの比は任意で良いが、表面ヘイズは1%以下であることがより好ましい。
本発明の被覆層は、ウェット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。要件としては、上記の溶質を充分に溶解すること、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいことが挙げられる。
被覆層を形成するための塗布液の溶剤は、支持体と被覆層の間に混合領域を形成する為に、本発明においては、基材フィルムを溶解又は膨潤させる性質を持った溶剤を選択する必要がある。これは、塗布液にそのような溶剤を用いれば、塗布直後から支持体を溶解あるいは膨潤しつつ被覆層を形成する為に、基材フィルムと被覆層の界面が不明確になると同時に、被覆層の樹脂成分と基材フィルムの樹脂成分が混合した領域の層が形成される。
また、被覆層表面の凹凸の制御(凹凸を小さくする、あるいは平らにする)及び被覆層の強度の両立を図るために、透明基材フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム)を溶解しない溶剤を、少なくとも一種類以上混合するのが好ましく、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることがより好ましい。
更には、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうち最も沸点の高い溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうち最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が25℃以上であることが好ましく、35℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。
基材フィルムがセルロースアシレートフィルムの場合、基材フィルムを溶解又は膨潤させる性質を持った溶剤としては、
炭素子数が3〜12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等、
炭素数が3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノン等、
炭素数が3〜12のエステル類:具体的には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、及びγ−ブチロラクトン等、
2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、N−メチルピロリドン及びアセト酢酸エチル等が挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。透明基材フィルムを溶解する溶剤としてはテトラヒドロフランもしくはケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
透明基材フィルム(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明基材フィルムを溶解する溶剤の総量(A)と透明基材フィルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、20/80〜100/0が好ましく、30/70〜100/0がより好ましく、40/60〜100/0が更に好ましい。
本発明では、塩素含有重合体が塩化ビニリデンである場合はテトラヒドロフランを主溶剤にもちいることが好ましい。
また、塩化ビニリデンの共重合体を選択することで、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ケトン系溶剤などに溶解可能とし、テトラヒドロフランを用いずに、トルエン、ケトン系溶剤などをもちいることは更に好ましく、特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンを用いることが蒸発速度を制御する際に、特に好ましい。
また、テトラヒドロフランに溶質が溶解する範囲で上記溶媒を添加することも好ましく用いられる。また、テトラヒドロフランに溶質が溶解する範囲で上記溶媒を添加することも好ましく用いられる。テトラヒドラフランを用いる場合は、光安定化の観点から、p−クレゾール、レゾルシン、ヒドロキノン、第一鉄塩、ヒンダードフェノール(例えば2、6ージーtーブチルー4ーメチルフェノール)などの還元性物質を、塗布液中に0.01〜1質量%添加することが好ましい。被覆層の着色防止にも効果があるため好ましく用いられる。
また塩素含有重合体がラテックス分散物として供給される場合は、主溶剤としては水が好ましく用いられる。ラテックス分散物の場合は、界面活性剤や増粘剤などが併用されることが好ましい。
塩素含有重合体は、熱、光、紫外線によって分解され、着色するため、劣化防止剤を含有することが好ましい。劣化防止剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、あるいはある種の金属錯体がある。
酸化防止剤としては、例えばクロマン系化合物、クマラン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物がある。また、特開昭61−159644号記載の化合物、ヒドロキサム酸(特開平8−76311のA−I〜A−Vなど)、エポキシ系化合物も有効である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物(米国特許第3,533,794号など)、4−チアゾリドン系化合物(米国特許第3,352,681号など)、ベンゾフェノン系化合物(特開昭56−2784号など)、その他特開昭54−48535号、同62−136641号、同61−88256号等に記載の化合物がある。また、特開昭62−260152号記載の紫外線吸収性ポリマーも有効である。
金属錯体としては、米国特許第4,241,155号、同第4,245,018号第3〜36欄、同第4,254,195号第3〜8欄、特開昭62−174741号、同61−88256号(27)〜(29)頁、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号等に記載されている化合物がある。有用な劣化防止剤の例は、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号(125)〜(137)頁に記載されている。
また、塩化ビニル樹脂に一般的に用いられる各種金属安定剤も好ましく用いられ、ZnやBaなどの金属石鹸系や、有機錫系の安定化剤は特に有効である。具体的には「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」(化学工業社刊)(148)〜(304)頁に記載されている各種化合物が挙げられる。
また、鉛、亜鉛、バリウムなどのステアリン酸や銀塩類、酸化マグネシウムなどが共に用いられることも好ましい。また、特開2004−359819公報の段落[0013]〜[0020]記載のような酸化防止剤を用いてもよい。上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体はこれら同士を組み合わせて使用してもよい。
上記酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体は、塩素含有重合体に対して、0.1質量%〜10質量%添加することが好ましい。0.1質量%以上の添加量であれば、その劣化防止能が十分に発現し、様々な耐久性試験での変化が見られなくなるか、非常に小さくなる。10質量%以下の添加量であれば、劣化防止能は十分であり、かつ透湿度など他の性能への影響がないため、好ましい。
前記被覆層には、耐ブロッキング性の改良のため、粒子を添加することも好ましい。粒子は無機粒子でも有機樹脂粒子でも用いることができる。粒子の平均粒径は、被覆層の膜厚の0.5倍から2倍が好ましく、0.8倍から1.5倍がより好ましく、0.9倍から1.2倍が特に好ましい。粒子の凝集や沈降の観点からは、0.5〜12μmが好ましく、0.8〜8.0μmがより好ましく、1.0〜6μmが更に好ましく、この粒径範囲で、被覆層の膜厚と粒径の比率が上記範囲になるように設計するのが特に好ましい。また、粒子径の異なる2種以上の有機樹脂粒子を併用して用いてもよい。
前記粒子は、塩素含有重合体中に0.1〜30質量%含有されるように配合されることが好ましく、塩素含有重合体中に0.2〜5質量%含有されるように配合されることがより好ましく、塩素含有重合体中に0.25〜1質量%含有されることが特に好ましい。配合量が0.1質量%以上、30質量%以下であると、耐ブロッキング性が良好で、透湿度も低く抑えることができ、好ましい。
前記粒子の粒度分布は透明性の確保、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが更に好ましい。
樹脂粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。前記のような粒度分布を持つ粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、好ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
塩素含有重合体を含む被覆層を透明基材フィルム上に塗布する場合に、耐ブロッキング性の改良のために無機粒子を用いる場合は、前記の粒径、含有量を満たせば特にその種類に制限はないが、無微粒子の例としては、例えば、サイリシア(富士シリシア製)、ミズカシール(水澤化学工業製)、二ップシール(日本シリカ工業製)などのシリカ粉末が挙げられる。
耐ブロッキング性の改良に粒子を用いる場合には、有機樹脂粒子を用いることもできる。塗布液中の沈降性の観点より、上記シリカ粉末よりも比重が軽いため、好ましく用いられる。有機樹脂粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、塩素含有重合体との屈折率差が0.001以上0.3以下になるものが好ましい。
前記の粒径、含有量を満たせば特にその種類に制限はないが、有機樹脂粒子としては、架橋ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
上記有機樹脂粒子の中でも、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられる。
ここで、塩素含有重合体の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記有機樹脂粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に有機樹脂粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
本発明に係る有機樹脂粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。
これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁、及び146頁〜147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
前記被覆層には、耐ブロッキング性の改良のため、粒子以外の添加剤を加えることも好ましい。例えば、パラフィンワックス(日本精蝋製)、ベヘニン酸(日本油脂製)、ステアリン酸(日本油脂製)などのワックスエマルジョンを0.2〜5.0部添加して用いることも好ましい。また、特開平9−143419公報の段落[0012]〜[0016]に記載のように変性ワックスを用いることも好ましい。 さらに塩素含有重合体を含む被覆層と透明基材フィルムや、他層との密着性を高くするために、コロネートL(日本ポリウレタン製)、タケネートA−3(武田薬品工業)などのイソシアネート系接着剤を塩素含有重合体に対して、0.1〜1.0部添加することも好ましく用いられる。0.1部よりも添加量を増やさないと、密着性の改良される効果が得られず、また1.0部以下の添加量にしないと、光に対する安定性が著しく悪化してしまう。
[耐光性試験]
JIS K 5600−7−5「塗料一般試験方法 −耐光性−」には、キセノンランプを光源として耐光性試験を行うことが記載されている。
本発明では、耐光性試験として、キセノンランプ光源を使用し、放射照度100±25W/m(波長310〜400nm)、試験槽内温度35±5℃、ブラックパネル温度50±5℃、相対湿度65±15%の条件で、JIS K 5600−7−5を採用する。
[耐光性の評価]
本発明では、偏光板用保護フィルムの耐光性を測る尺度として、外観(透過光の色味)の変化具合を評価した。
本発明者らは、これらを定量的に測定し、表示する数値として、下記数式(1)により算出される、透過光色味変化量(CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔE*ab値)が適切であることを見出した。
例えば、透明性が劣化(透過率が低くなる)すれば、ΔL*が大きくなり、結果、透過光色味変化量ΔE*ab値は大きくなる。
また、透過光の色味が変化すれば、Δa*やΔb*が大きくなり、やはり透過光色味変化量ΔE*ab値は大きくなる。透過光色味変化量ΔE*ab値と外観変化に対する官能評価結果との対応は、ほぼ下記表1の通りであり、色味変化量は偏光板用保護フィルムの外観変化の度合い、すなわち耐光性を正しく反映する適切な評価特性であることが判る。
透過光色味変化量ΔE*ab値は、4.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることが更に好ましい。透過光色味変化量ΔE*ab値を4.5以下とすることで、高い耐光性を達成することができる。
Figure 2008003580
数式(1): ΔE*ab=[(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
ΔL*=L1*−L2*
Δa*=a1*−a2*
Δb*=b1*−b2*
(式中、L1*、a1*、b1*、L2*、a2*、及びb2*は、偏光板用保護フィルムのCIE標準光源Cの透過光の色味を、CIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、及びb*値で表したものである。また、L1*、a1*、及びb1*は、前記耐光性試験を実施する前の偏光板用保護フィルムのL*値、a*値、及びb*値を表し、L2*、a2*、及びb2*は、前記耐光性試験を実施した後の偏光板用保護フィルムのL*値、a*値、及びb*値を表す。)
上記数式(1)中、L1*、a1*、b1*、L2*、a2*、及びb2*は、詳しくは以下の方法により算出される値である。
[L1*、a1*、及びb1*の算出]
分光光度計(UV―3150、島津製作所(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、分光透過率を測定する。
次に、得られた分光透過率のデータとCIEのC標準光源の分光分布データとを各波長ごとに掛け合わせてC光源に対する分光透過光を求める。
得られた標準光下の分光透過光データから、CIE標準光源CにおけるCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、及びb*値を算出し、L1*、a1*、及びb1*とする。
[L2*、a2*、及びb2*の算出]
耐光性試験装置(スーパーキセノンウェザーメーターSX120型(ロングライフキセノンランプ)、スガ試験機(株)製)を用い、JIS K 5600−7−5に準じて耐光性試験25hrを実施した後に、前記分光光度計(UV―3150、島津製作所(株)製)を用いて同様に測定した値から算出したL*値、a*値、及びb*値を、L2*、a2*、及びb2*とする。
被覆層塗布後に形成される混合領域は、被覆層用塗布液の固形分濃度、溶剤種、溶剤組成、電離放射線硬化性化合物の種類、添加剤、被覆層が塗布される透明基材フィルムの種類、被覆層用塗布液の塗布量、乾燥条件、硬化条件など、様々な条件によって影響を受ける。本発明においては、透明基材フィルムと被覆層との間に混合領域が形成され、被覆層の干渉ムラを抑制する効果があれば、特に上記条件が制限されることは無い。
混合領域の層の厚さは、0.2〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.3〜7μmがより好ましく、0.5〜5μmが更に好ましい。混合領域の層の厚さがこの範囲より小さいと被覆層の干渉ムラの抑制効果が小さく、この範囲より大きいと被覆層の強度が低下する傾向がある。混合領域の層の厚さは、偏光板用保護フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より混合領域の層の厚さを求めることができる。
[透明基材フィルム]
本発明に用いられる透明基材フィルムは、光学的に均一なこと、表面が平滑なこと、偏光板を作製する上での二次加工性がよいことから、セルロースアシレート系フィルムが使用される。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステルまたは芳香族カルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号公報、同8−231761号公報、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。或いは、特開2002−179701号公報、特開2002−265639号公報、特開2002−265638号公報に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステルも好ましく用いられる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテートと後述するセルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることも出来る。
セルロースアシレートの置換度(DS)は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度は、セルロースの構成単位重量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM-D817-91に準じて実施する。
本発明のセルロースアシレートはアシル基の疎水性と水酸基の親水性を適度にバランスさせることにより、レターデーションの湿度依存性と寸度安定性を両立させるものである。すなわち、アシル基中のアルキル鎖が平均的に短かすぎる、及び/あるいは水酸基比率が高すぎるとレターデーションの湿度依存性は大きくなってしまう。また、アシル基中のアルキル鎖が平均的に長すぎる、及び/あるいは水酸基比率が高すぎるとTgが低下し、
寸度安定性が悪化してしまう。
したがって、本発明で好ましく用いられるセルローストリアセテートはアセチル化度が2.83以上2.91以下で炭素数3以上の他のアシル基を有しないものが好ましい。アセチル化度は2.84以上2.89以下がさらに好ましい。
また、セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(a)及び(b)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(a) 2.6≦X+Y≦2.9
式(b) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
透明基材フィルムの厚みは30〜120μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。基材フィルムの厚みが該下限値以上であれば、フィルム強度が弱くなるなどの問題が生じにくく、該上限値以下であれば、重量が増加しすぎて、特に20インチ以上の大型テレビに用いた場合に不利になるなどの弊害が生じにくいので好ましい。
[紫外線吸収剤]
本発明の透明基材フィルム、被覆層、易接着層、ハードコート層のいずれかに、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤を1種類以上含有することが好ましい。
また、該紫外線吸収剤に関する下記式(A)で表されるオクタノール/水分配係数(以下logP)の平均値(以下平均logP)とセルロースアシレートのアシル化度DSが下記式(B)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムが透明基材フィルムとして用いられることがより好ましい。
Figure 2008003580
(一般式(1)式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を表し、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。)
Figure 2008003580
(式(A)中、Wはn番目の紫外線吸収剤の質量分率を表し、(logP)は、n番目の紫外線吸収剤のlogPを表す)
5.0×DS−6.7≦平均logP≦5.0×DS−5.1 式(B)
本発明に用いられる前記紫外線吸収剤のlogPの平均値は(5.0×DS−6.7)以
上(5.0×DS−5.1)以下であり、(5.0×DS−6.5)以上(5.0×DS−5.2)以下が好ましい。logPの平均値が大きすぎると面状が悪化し、logPの平均値が小さすぎると高温高湿下での紫外線吸収剤の保留性が悪化する。また、一般式(1)で表される化合物は330〜360nmの波長範囲に吸収極大を有するものである。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
紫外線吸収剤は、セルロースアシレートフイルム作製のドープ流延、乾燥の過程及び被覆層、易接着層、ハードコート層などの塗布、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
紫外線吸収剤の添加層としては、被覆層を保護する観点からは、被覆層より表面側のハードコート性を有する層、被覆層とハードコート性を有する層との間の下塗り層に添加することがより好ましく、液晶表示装置の各部材を保護する観点からは、透明基材フィルムを含めた本発明の偏光板用保護フィルムのいずれかの層中に添加することが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明において用いられる紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが特に好ましい。
被覆層、易接着層、ハードコート層などに添加する場合は、全固形分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら紫外線吸収剤を添加する時期はドープ及び塗布層作製工程中の何れであってもよく、ドープ及び塗布層調製工程の最後に行ってもよい。
次に一般式(1)で表される紫外線吸収剤について詳しく説明する。
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を表し、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。置換基としては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよく、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよいが、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
4およびR5として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2008003580
本発明に好ましく用いられるその他の紫外線吸収剤としては、特開2006−282979号公報の段落[0123]〜[0248]に記載の化合物が挙げられる。
〔偏光板用保護フィルム〕
本発明の偏光板用保護フィルムは、被覆層が透明基材フィルム上に形成されており、被覆層の厚みは1.1〜10μm、好ましくは2〜8μmである。被覆層の厚みが該上限値
以下であれば、優れた低透湿度を有すると共に、カールが大きくなるなどの弊害が生じないので好ましい。カールが大きくなりすぎると、その後の偏光板を作製する工程、例えば偏光膜との接着工程、ハンドリングにおいて支障をきたす。また作製工程のみならず、偏光板としてもカールが残存することはLCDに表示ムラ等を発生させ好ましくない。従ってカールが発生しないか、又は実用上問題ない程度に小さくするには、被覆層の膜厚上限は上記範囲とすることが好ましい。一方膜厚の下限は透水性、鉛筆硬度等の物性より好ましい範囲が規定され、1.1μm以上が好ましい。被覆層は少なくとも1層からなるものであり、2層以上の形態も可能である。
次に透湿性につき詳述する。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適宜適用することができる。
〔透湿度の測定法1〕
本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)した。上記測定法で測定した市販されているセルロースアセテートフイルムの透湿度は、一般に、厚さ80μmで上記条件での透湿度が1400〜1500g/m2・日である。本発明の偏光板用保護フィルムの透湿度の上限は300g/m2・日以下であることが好ましく、150g/m2・日以下であることがより好ましい。上記上限値より透湿度が高いと、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因での表示画像のムラが発生低減の効果が低い。下限は特に制限はないが、偏光板加工時の生産性の観点からは20g/m2・日以上が好ましく、30g/m2・日以上がより好ましい。したがって、30〜150g/m2・日の範囲にすることが最も好ましい。
この範囲であれば、偏光板としての性能(偏光度、単板透過率)が悪化することがなく、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生することが抑制できる。実用上有用である。
〔透湿度の測定法2〕
本発明では調湿条件を60℃、95%RHに変更した以外は、JIS Z−0208に従って透湿度を算出した。この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定なるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
〔透湿度の測定法3〕
透湿度の測定には、モコン法と呼ばれる測定方法も好ましく用いられる。本発明ではモコン法による透湿度はモコン社製PERMARTRAN−W3/33型水蒸気透過率測定装置で40℃、相対湿度90%RHの条件で測定し算出した。
硬化した被覆層は、単層でも複数層から構成されていてもよいが、製造工程上簡便な単層であることが好ましい。この場合の単層とは同一の組成物で形成される被覆層を指し、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布で形成されていてもよい。一方、複数層とは組成の異なる複数の組成物で形成されることを指す。
また本発明では、被覆層形成用塗布液中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することで硬度向上、透明基材フィルムとの密着性向上、透湿度低減などの効果が得ることができる。
[微粒子]
微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化インジウム粒子などが挙げられる。
一般に、無機微粒子は、単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の被覆層にひび割れが生じたりしやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を、有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。
微粒子の充填量は、充填後の被覆層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜30体積%がより好ましく、5〜30体積%が最も好ましい。
被覆層形成用塗布液中に、無機の層状化合物を添加することもできる。層状化合物としては、合成雲母、合成スメクタイトが好ましく用いられる。合成雲母の具体例としては、コープケミカル(株)製「ミクロマイカMK−100」、「ミクロマイカMK−200」、「ミクロマイカMK−300」、「ソマシフME−100」、「ソマシフMAE」、「ソマシフMTE」、「ソマシフMEE」、「ソマシフMPE」などが挙げられ、合成スメクタイトとしては、「ルーセンタイトSWN」、「ルーセンタイトSAN」、「ルーセンタイトSTN」、「ルーセンタイトSEN」、「ルーセンタイトSPN」などが挙げられる。硬化後の被覆層の透明性、被覆層形成用塗布液中への分散性から、合成スメクタイト、「ルーセンタイトSTN」、「ルーセンタイトSPN」が好ましい。
また本発明の偏光板用保護フィルムは実質的に無色であることが好ましい。「実質的に無色」であるとは、L*,a*,b*表色系で表したa*,b*の絶対値が3.0以下であることを言う。2.5以下が更に
好ましく、2以下が特に好ましい。実質的に無色であることで、偏光板としたときに色味がニュートラルグレーを示し、カラー表示において支障をきたすなどの不具合を生じないので好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムは、カールを以下の数式(2)で表したときの値が、−15〜+15の範囲に入っていることが好ましく、−12〜+12の範囲がより好ましく、さらに好ましくは−10〜+10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
カール=1/R・・・・・・・・数式(2)
上記数式(2)において、Rは曲率半径(m)を表す。
カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。上記の範囲内であれば、被覆層を有するフィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれが起きず、好ましい。上記範囲にカールを小さくすることと表面硬度を高くすることは、硬化前後の体積収縮率を15%以下とすることによって可能である。
カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の、方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25℃、湿度60%RH、調湿時間10時間である。
ここで、カールがプラスとはフィルムの被覆層塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
一般式(1)で表される紫外線吸収剤を用いた本発明の偏光板用保護フィルムの透過率は、波長380nmで5%以下となり、波長600nmで80%以上100%以下となることが好ましい。波長380nmの透過率が5%以下であれば、可視域での吸収が生じないため、偏光板用保護フィルムに色味が生じないので好ましい。波長600nmの透過率が80%以上であれば、可視域での透過率が高く、液晶表示装置に用いた時のコントラスト低下が起きないため、視認性が高く好ましい。
また、本発明の偏光板用保護フィルムは、上記カール測定法に基づいて湿度のみを80%RHから10%RHに変更したとき、各カール値の差の絶対値が24〜0、さらには15〜0、特には8〜0の範囲であることが好ましい。これは、さまざまな湿度下で偏光板用保護フィルムを貼り付けたときの、ハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
本発明の偏光板用保護フィルムの耐ひび割れ性は、被覆層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率半径が、30mm以下であることが好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が最も好ましい。
エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、被覆層を有したフィルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
[ハードコート性を有する層]
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、好ましくは透明支持体の一方の面にハードコート性を有する層(以下、ハードコート層と記載する場合がある)が設けられる。
好ましくは、その上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成する。
ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.49〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜15μm、最も好ましくは3μm〜10μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わり又はそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが1%〜15%であることが好ましく、2%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜70%であり、最も好ましくは20%〜50%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.09μm以下であり、更に好ましくは0.08μm以下である。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
[面状改良剤]
基材フィルム上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。前記面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であることが好ましく、2mN/m以上下げる面状改良剤であることがより好ましく、3mN/m以上下げる面状改良剤であることが更に好ましい。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例は、特開2005−115359号、特開2005−221963号、特開2005−234476号に記載の化合物が挙げられる。
[光散乱層]
本発明の偏光板用保護フィルムが液晶表示装置の表面に用いられる場合に、周辺の物体の反射像が表面に映り込んで、表示画像の視認性を低下させることがあり、これを防ぐためには、ハードコート層の表面に凹凸を付け、光を表面で散乱する性能(防眩性)を付与することが好ましい。
また、本発明の被覆層は基材フィルムより屈折率が高い場合があり、被覆層/基材フィルム間の屈折率差により干渉ムラが発生する。この干渉ムラによる視認性の悪化を防ぐためにも、光散乱性を付与することが好ましい。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号公報記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
以下にバインダー及び透光性粒子の詳細について説明する。
[バインダー]
本発明のフィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan“42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
[透光性粒子]
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が0.01以上0.3以下になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜8.0μmである。平均粒径が0.5μm以上、10μm以下であると、ディスプレイの文字ボケ
を引き起こさず、かつカールやコスト上昇といった問題が生じないため、好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のギラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
[相分離]
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の手法の一例として、複数のポリマーのスピノーダル分解により光散乱層を作成する手法が挙げられる。また特に相分離した相の屈折率に差を与えることで、良好な光散乱性を付与することが可能となる。
スピノーダル分解により作成される光散乱層は、互いに屈折率の異なる複数のポリマーで構成され、通常、使用雰囲気(特に、約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも共連続相構造を有する相分離構造を形成している。
そして、前記共連続相構造は、複数のポリマーを含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶液)からのスピノーダル分解により形成されている。
前記共連続相構造は、通常、複数のポリマーを含み、かつ常温で液相を形成する組成物(例えば、混合液又は溶液)を用い、溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形成されている。
このような光散乱層は、液相から形成されるため、均一で微細な共連続相構造を有している。このような透過型光散乱シートを用いると、入射光が実質的に等方的に散乱し、かつ透過散乱光に指向性を付与できる。そのため、高い光散乱性と指向性とを両立できる。
光散乱性を高めるため、複数のポリマーは、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。
好ましいポリマーには、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。複数のポリマーとしては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
これらの複数のポリマーは適当に組み合わせて使用できる。例えば、複数のポリマーの組合せにおいて、少なくとも1つのポリマーを、セルロース誘導体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2-4アルキ
ルカルボン酸エステル類)とし、他のポリマーと組み合わせてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、シートの強度や剛性の点から、構成ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーのガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好ましくは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
本発明では複数のポリマーを含む液相から溶媒を蒸発させてスピノーダル分解する湿式法を採用するため、原理的には複数のポリマーの相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性の共連続相構造を有する光散乱層を形成できる。そのため、互いに相溶性の複数のポリマーを組み合わせて構成してもよいが、通常、スピノーダル分解により相分離構造を容易に制御し、効率よく共連続相構造を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数のポリマーを組み合わせる場合が多い。
複数のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わにより構成でき、第1のポリマー及び第2のポリマーは、それぞれ単一の樹脂で構成してもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されない。例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2-4アルキレン
アリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(重量比)程度、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度、特に40/60〜60/40(重量比)程度である。一方のポリマーの割合が多すぎると、分離した相間の体積比が偏るため、散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数のポリマーでシートを形成する場合、各ポリマーの含有量は、通常、1〜90重量%(例えば、1〜70重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%)程度の範囲から選択できる。
本発明の光散乱シートを構成する光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有している。共連続相構造とは、共連続構造や三次元的に連続又は繋がった構造と称される場合があり、少なくとも2種の構成ポリマー相が連続している構造(例えば、網目構造)を意味する。前記光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有していればよく、共連続相構造と液滴相構造(独立又は孤立した相構造)とが混在した構造を有していてもよい。なお、スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離を進行させると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造、すなわち、上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造も形成できる。本発明では、上記中間的構造も共連続相構造という。なお、相分離構造が共連続相構造と液滴構造との混在構造である場合、液滴相(独立ポリマー相)の割合は、例えば、30%以下(体積比)、好ましくは10%以下(体積比)であってもよい。共連続相構造の形状は特に制限されず、ネットワーク状、特にランダムなネットワーク状であってもよい。
前記共連続相構造は、通常、層又はシート面内において異方性が低減されており、実質的に等方性である。なお、等方性とは、シート面内のどの方向に対しても共連続相構造の平均相間距離が実質的に等しいことを意味する。
共連続相構造は、通常、相間距離(同一相間の距離)に規則性を有する。そのため、シートに入射した光はブラッグ反射により透過散乱光が特定方向に指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着しても、透過した散乱光を一定の方向に指向させることができ、表示画面を高度に明るくすることができ、従来の粒子分散型の透過型光散乱シートでは解決できなかった問題点、すなわち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを回避できる。
光散乱シートにおいて共連続相の平均相間距離は、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μm)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度である。平均相間距離が小さすぎると、高い散乱光強度を得ることが困難であり、平均相間距離が大きすぎると、透過散乱光の指向性が低下する。
なお、共連続層の平均相間距離は、光散乱層又は光散乱シートの顕微鏡写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)から算出することができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを測定し、下記のブラッグ反射条件の式より共連続相の平均相間距離dを算出してもよい。
2d・sin(θ/2)=λ
(式中、dは共連続相の平均相間距離、θは散乱角度、λは光の波長を示す)
[エンボス]
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の手法の一例として、エンボス法により光散乱層を作成する手法が挙げられる。
エンボス法により作成される光散乱層とは、透明基板上に、表面が微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムで賦形された電離放射線硬化型樹脂組成物、または熱硬化型樹脂組成物から本質的に構成される光拡散層が形成されたものである。
上記光散乱層の製造方法は、樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された電離放射線硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた塗膜上に電離放射線を照射することにより前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜を硬化させ、次に硬化した電離放射線硬化型樹脂の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
また、樹脂が熱硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に熱硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された熱硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた前記塗膜を加熱して硬化させ、次に硬化した熱硬化型樹脂組成物の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
賦型フィルムを未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜上にラミネートする際には、塗工した樹脂が溶剤希釈系のものであれば、溶剤を乾燥した後にラミネートを行い、また、塗工した樹脂が無溶剤系のものであれば、そのままラミネートを行う。
エンボス法の光拡散層に用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物の皮膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
前記皮膜形成成分は、特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
光拡散性を有し且つハードコート(耐擦傷性)塗膜を形成するための塗料は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し溶剤乾燥型樹脂を10重量部以上100重量部以下含ませてもよい。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性樹脂が用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥型熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるものが使用されるが、特に、電離放射線硬化型樹脂にポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物を使用した場合には、使用する溶剤乾燥型樹脂にはポリメタクリル酸メチルアクリレート又はポリメタクリル酸ブチルアクリレートが塗膜の硬度を高く保つことができる。しかも、この場合、主たる電離放射線硬化型樹脂との屈折率が近いので塗膜の透明性を損なわず、透明性、特に、低ヘイズ値、高透過率、また相溶性の点において有利である。
また、透明基板として、特にトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いるときには、電離放射線硬化型樹脂に含ませる溶剤乾燥型樹脂には、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂が塗膜の密着性及び透明性の点で有利である。
防眩層の膜厚は、1〜25μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
光散乱層にて、虹状ムラを抑える場合は、全ヘイズは10%〜80%が好ましく、20%〜70%であることがより好ましい。また、表面ヘイズが0.3%〜70%であることが好ましく、0.3%〜20%であることがより好ましい。
さらに、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜80%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜70%であり、最も好ましくは20%〜60%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.01〜0.40μmの範囲が好ましく、0.05〜0.20μmの範囲がより好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
[ハードコート性を有する層の溶剤]
本発明のハードコート層は、被覆層の上にウエット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。要件としては、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性微粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいことが挙げられる。また、下層の溶解性が高すぎないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には支持体を溶解・膨潤させること(密着性に必要)、等も好ましい特性である。溶剤は1種でもよいが、2種以上の溶剤を用いて、支持体の溶解性、膨潤性、素材の溶解性、乾燥特性、粒子の凝集性などを調整することが特に好ましい。透明支持体の膨潤性の低い主溶媒に対して、膨潤性の高い少量溶媒を添加することにより、他の性能、面状を悪化させることなく、透明支持体との密着性を向上させることができる。
具体例としては、溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、が好ましく用いられる。その他として、各種アルコール類(プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、トルエンなどが好ましく用いられる。
[高屈折率層(中屈折率層)]
本発明のフィルム上には、ハードコート層上に高屈折率層、中屈折率層を設け、後述の低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性をより高めることができる。
なお、以下の記載では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明基材との関係でいえば屈性率は、透明基材フィルム>低屈折率層、高屈折率層>透明基材フィルムの関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、1.60〜2.20がより好ましく、1.65〜2.10が更に好ましく、1.80〜2.00が特に好ましい。
透明基材フィルムから近い順にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。これらの中でも、TiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。
該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%がより好ましく、15〜75質量%が更に好ましい。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明基材フィルムの屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、50〜170nmがより好ましく、60〜150nmが更に好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。例えば、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。高屈折率層は、前記透明基材フィルム上に他の層を介して構築することが好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムが液晶表示装置の表面に用いられる場合に、映り込みを防ぐ方法として、ハードコート層の表面に低屈折率層を形成することも好ましく用いられる。以下に本発明に好ましく用いることができる低屈折率層を説明する。
[低屈折率層]
本発明で用いられる低屈折率層は、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素化合物を主としてなる熱硬化性および/または光硬化性を有する組成物を塗布して形成されることが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、1.45以下であることが好ましく、1.30以上1.40以下がより好ましく、1.33以上1.37以下がさらに好ましい。
さらに、低屈折率層は下記数式(3)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(3)
(m/4)×0.7<n1×d1<(m/4)×1.3・・・・・・数式(3)
数式(3)中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(3)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(3)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層は、例えば含フッ素化合物を主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。 低屈折率層を形成する際に使用される硬化性組成物は、(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子、および(C)オルガノシラン化合物のうちの少なくとも2種を含有してなるのが好ましく、3種全てを含有することが特に好ましい。含フッ素化合物としては、屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
<低屈折率層用含フッ素ポリマー>
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の防眩性フィルムまたは防眩性反射防止フィルムを液晶表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf(4.9N)以下が好ましく、300gf(2.9N)以下がより好ましく、100gf(0.98N)以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有し、且つ架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましく、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物〔例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン〕の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー〔例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等〕の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類〔エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等〕、アクリル酸エステル類〔アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル〕、メタクリル酸エステル類〔メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等〕、スチレン誘導体〔スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等〕、ビニルエーテル類〔メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等〕、アクリルアミド類〔N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等〕、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
前記含フッ素ポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類とのランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基〔(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等〕を有していることが好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる低屈折率層用含フッ素ポリマーの好ましい形態として一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
Figure 2008003580
一般式(2)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N及びSから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**, *−(CH22−NH−**, *−(C
24−O−**, *−(CH26−O−**, *−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(* はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65が好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。ただし、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式(3)が挙げられる。
Figure 2008003580
一般式(3)においてXは一般式(2)と同じ意味を表わし、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式(2)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式(2)又は(3)で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一般式1又は2で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
<低屈折率層用無機微粒子>
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい
例えば、フッ化マグネシウムや酸化珪素(シリカ)の微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの例えば10%以上100%以下、30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球形が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40が好ましく、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(4)で表される
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100・・・・(数式4)
空隙率xは、10〜60%が好ましく、20〜60%がより好ましく、30〜60%が更に好ましい。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定できる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下「小サイズ無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を前記の好ましい範囲内の粒径の無機微粒子(以下「大サイズ無機微粒子」と称す)と併用してもよい。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
次に、(C)オルガノシラン化合物について説明する。
<低屈折率層用オルガノシラン化合物>
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)、の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
これらの成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、含フッ素化合物として、好ましくは前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
Figure 2008003580
前記一般式(4)において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。
アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のア
ルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が
挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式(4)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(5)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 2008003580
前記一般式(5)において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカル
ボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**および *−CONH−**が好ましく、単結合および *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**
はLに結合する位置を表す。
また、前記一般式(5)において、Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
また、前記一般式(5)において、nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
また、前記一般式(5)において、R10は一般式(4)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
また、前記一般式(5)において、Xは一般式(4)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式(4)、一般式(5)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(4)、一般式(5)で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2008003580
Figure 2008003580
上記(M−1)〜(M−10)のうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好
ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を
示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。
本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、およびAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5
、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物
および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト
酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。上記範囲内において、良好な保存安定性が得られる。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調製するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
本発明においては、前記防眩層および前記低屈折率層の両方が、前記一般式(4)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
前記硬化性組成物には、上述した無機微粒子以外の無機フィラーを本発明の所望の効果を損なわない範囲の添加量で添加することもできる。無機フィラーとしては、防眩層用で記載した無機微粒子が好ましく、特にインジウムや錫、アンチモンのような導電性を付与できるものを屈折率に大きく影響しない範囲内で添加するのが好ましい。
(ゾルゲル素材)
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシランおよびその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与の点で好ましく、前述の(A)含フッ素化合物として含有させることも好ましい。
[低屈折率層用硬化性組成物に含有するその他の物質]
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性等の観点からは、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して30質量%以下の範囲とすることが好ましく、20質量%以下の範囲とすることがより好ましく、10質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合
であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32,−CH2CF(CF32,−CH(CH3)CF2CF3,−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても
、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3,−CH2CH2OCH248H,−CH2CH2OCH2CH2817,−CH2CH2OCF2CF2OCF2
CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で適宜添加することのできる、前述のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物は、その分子構造を低屈折率層用の硬化性組成物中の(A)含フッ素化合物の分子構造中に含むことも好ましい。つまり、前述の含フッ素ポリマーや含フッ素ゾルゲルの分子構造中にブロックまたはグラフとの形態で含有するのが望ましい。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[低屈折率層用の溶剤]
本発明の低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とすることが好ましく、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが更に好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
〔層の形成〕
本発明に用いられる被覆層、および必要に応じてハードコート層、低屈折率層またはその他の層は、塗布液を透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥し、その後、必要に応じて、光照射および/または加熱して、各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
本発明のフィルムの各層の塗布方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましく、高い生産性で供給するために、ダイコート法が好ましく用いられる。
本発明では、被覆層上に第2の被覆層を形成したり、ハードコート性を有する層上に低屈折率層を形成するなど、2層以上の複数の層を形成する態様が好ましく用いられる。複数の層のうち少なくとも2層を、塗布ステーション、乾燥ゾーン、必要に応じてUV硬化ゾーンのセットを複数有する塗布機で、1回の透明基材フィルムの送り出しから巻き取りの工程で、連続で形成することが生産性およびコストの観点で非常に好ましい。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程の長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが膜硬度や接着防止の点で好ましい。有機溶媒を含有しない場合には、乾燥工程を省略し塗布後すぐに紫外線照射することもできる。
本発明の被覆層は、結晶化度を高めるために熱処理を施してもよい。好ましい熱処理温度は、40℃〜130℃であり熱処理時間は必要とする結晶化度に応じ適宜決定することができるが通常5分から48時間程度である。
さらに、透明基材フィルムと被覆層の密着性を向上させる目的で、所望により透明基材フィルムの片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
[易接着層]
本発明で被覆層の両側もしくは片側に易接着層を有することについて説明する。易接着層は1層で構成されていてもよく、2層以上で構成されていてもよい。本発明において、透明支持体/被覆層の間に下記のような二層構成の易接着層を設けることが好ましい。
(組成)
一層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、およびカルボジイミド化合物、
導電性金属酸化物粒子を必須成分とした帯電防止層
二層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、および架橋剤を必須成分とした表面層
易接着層は、支持体上に帯電防止層と表面層がこの順で設けられる。本発明の帯電防止層においては、支持体上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性支持体のヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の表面層の表面電気抵抗が1×106 〜1×1011 Ωの
範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生を抑制することができる。
上記帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を含む層であり、一般に更に結合剤を含んでいる。上記導電性金属酸化物粒子としては、針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)が3〜50の範囲にあるものを使用することが好ましい。特に長軸/短軸が10〜50の範囲のものが好ましい。このような針状粒子の短軸は、0.001〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、特に0.01〜0.02μmの範囲にあることが好ましい。またその長軸は、0.1〜5.0μmの範囲にあることが好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。
上記導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al23
、In23 、MgO、BaO及びMoO3 及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23 、TiO2 、In23、及びMgOが好ましく、さらにSnO2 、ZnO、In22 及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。
異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2 に対してNbあるいはTa、In23 に対してSn、及びSnO2 に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため偏光板用保護フィルムとしては適さない。
従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2 粒子が好ましい。
従って、本発明では前記短軸、長軸の寸法を有するアンチモンドープSnO2等の金属酸化物粒子を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を形成するのに有利である。これにより低帯電性支持体を有し、表面層の表面電気抵抗が1×106〜1×1011Ωの範囲にある偏光板用保護フィルムを容易に得ることができる。
前記短軸、長軸の寸法を有する針状の金属酸化物粒子(例、アンチモンドープSnO2)を使用することにより、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を有利に形成できる理由については、次のように考えられる。
上記針状の金属酸化物粒子は、帯電防止層内では、長軸方向が帯電防止層の表面に平行に、長く伸びているが、層の厚さ方向には短軸の径の長さ分だけ占めているに過ぎない。このような針状の金属酸化物粒子は、上記のように長軸方向に長いため、通常の球状の粒子に比べて、互いに接触し易く、少ない量でも高い導電性が得られる。
従って、透明性を損なうことなく、表面電気抵抗を低下させることができる。
また、上記針状の金属酸化物粒子では、短軸の径は、通常、帯電防止層の厚さより小さいか、ほぼ同じであり、表面に突出することは少なく、仮に突出してもその突出部分はわずかなため、帯電防止層上に設けられる表面層によりほぼ完全に覆われることになる。
従って、偏光板用保護フィルムの搬送中、層より突出部分の脱離である粉落ちの発生がほとんどないとの優位性も得られる。
本発明の帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤を、一般に含んでいる。結合剤の材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができる。粉落ちを防止する観点から、ポリマー(好ましくは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂)とカルボジイミド化合物との硬化物であることが好ましい。
本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもカルボジイミド化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。
また、ポリマーは、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有する。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。
これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加しても良い。
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
本発明で使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物を使用することが好ましい。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメ
チルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
本発明のカルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
本発明の帯電防止層の形成するには、まず、例えば前記導電性金属酸化物粒子をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に分散させた分散液を、上記結合剤(例、ポリマー、カルボジイミド化合物及び適当な添加剤)を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)して帯電防止層形成用塗布液を調製する。上記帯電防止層は、上記帯電防止層形成用塗布液をポリエステル等のプラスチックフィルムの表面(感光層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布することができる。塗布されるポリエステル等のプラスチックフィルムは、逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれであっても良い。帯電防止層形成用塗布液を塗布するプラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線処理、コロナ処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
本発明の帯電防止層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。
導電性金属酸化物粒子は、帯電防止層中に、結合剤(例、上記ポリマー及びカルボジイミド化合物の合計)に対して10〜1000重量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜500重量%の範囲が好ましい。10重量%未満の場合は、充分な帯電防止性が得られず、1000重量%を超えた場合はヘイズが高くなり過ぎる。
本発明の帯電防止層および下記の表面層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などの添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。
界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。
滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
本発明においては、帯電防止層の上には、表面層が設けられる。表面層は、主として接着剤層との接着性付与、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能を補助するために設けられる。表面層の材料には、一般にアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができ、上記帯電防止層中の結合剤として記載したポリマーが好ましい。
表面層に用いられる架橋剤は、エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジグリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグリシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、光学特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、及び英国特許994869号及び同1167207号等に記載されている硬化剤などがあげられる。
代表的な例としては、2個以上(好ましくは3個以上)のメチロール基および/またはアルコキシメチル基を含有するメラミン化合物およびそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルグリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の表面層の形成するには、まず、例えば水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に上記ポリマー、エポキシ化合物、及び適当な添加剤を添加、混合(必要に応じて分散)して表面層塗布液を調製する。
上記表面層は、本発明の帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより上記表面層塗布液を塗布することにより形成することができる。上記表面層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能が不十分で、1μmを超える場合は、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすい。
本発明では、形成したこれら被覆層、ハードコート層に防汚剤を含有させること、又は、フッ素及び/もしくはケイ素を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂を含む、紫外線の照射により硬化する硬化性組成物を主体とする防汚性層を積層することにより、防汚性被覆層とすることができる。
本発明に用いられる防汚剤は、被覆層に撥水性、撥油性等の防汚性を付与するもので、そのようなものとしては、被覆層形成用塗布液の調製及び透明基材フィルム上に塗布する際に不都合が無く、かつ防汚性被覆層形成時に、防汚性被覆層表面で撥水性、撥油性を発現するものであればいかなるものであってもよい。そのようなものとしてはフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化樹脂があげられる。
[フッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂]
本発明で用いられる被覆層又は防汚性層に含有されるフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、又はフッ素及びケイ素含有部を含むブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、さらに樹脂又は金属酸化物等と相溶性のよいセグメントと、フッ素又はケイ素を含有するセグメントとを含有する硬化性樹脂が好ましく、被覆層又は防汚性層へ添加することで、表面にフッ素又はケイ素を偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素又はケイ素を含有するモノマーと、他の親水性又は親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表される、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。親水性又は親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーの「ディフェンサMCF−300」、「ディフェンサMCF−312」、「ディフェンサMCF−323」等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーの「メガファックF−170」、「メガファックF−173」、「メガファックF−175」等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーの「メガファックF−171」等{以上、大日本インキ化学(株)製}や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系の「モディパーF−200」、「モディパーF−220」、「モディパーF−600」、「モディパーF−820」等、シリコン系の「モディパーFS−700」、「モディパーFS−710」等{以上、日本油脂(株)製}が挙げられる。
被覆層の上に防汚性層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号公報、特開平2−19801号公報、特開平3−17901号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
本発明の偏光板用保護フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の少なくとも一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の偏光板用保護フィルムを、被覆層とは反対側の透明基材フィルムの表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。親水化処理としては、下記の鹸化処理を行うことが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に偏光板用保護フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の防眩層や反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。 偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と
接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、該ダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や低屈折率層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の防眩性反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)防眩層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板用保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに被覆を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して被覆層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、被覆層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、被覆層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層または他の層を形成することで対処できる。また、防眩層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
以下に、本発明の偏光板用保護フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
〔偏光膜の作製〕
本発明の偏光板用保護フィルム(光学フィルム)は、偏光子の少なくとも1面に張り合わせることで偏光板を構成する。偏光子の他の面は、透湿度が700〜3000g/m2・dayの偏光板用保護フィルムを張り合わる事が好ましく、さらに好ましくは1000〜1700g/m2・dayである。通常使用されているTACは好適に用いられる。
通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いるても良い。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板用保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであっても良い。
また、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板用保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムがReが0〜10nm、Rthが−20〜20nmであるフィルム(たとえば、特開2005−301227号公報段落番号[0095]参照)であっても良い。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の偏光板用保護フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の偏光板保護膜は、液晶表示装置等とともに用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置することが好ましい。
《液晶表示装置》
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の液晶表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<輝度向上フィルム>
輝度向上フィルムとしては、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光又は散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。かかる輝度向上フィルムは、反射偏光又は散乱偏光のバックライトからの再帰光を利用して、直線偏光の出射効率を向上できる。
たとえば、異方性反射偏光子が挙げられる。異方性反射偏光子としては、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜が挙げられる。
異方性多重薄膜としては、たとえば、3M製のDBEFが挙げられる(たとえば、特開平4−268505号公報等参照)。
また、異方性反射偏光子としては、コレステリック液晶層とλ/4板の複合体が挙げられる。かかる複合体としては、日東電工製のPCFが挙げられる(特開平11−231130号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、反射グリッド偏光子が挙げられる。
反射グリッド偏光子としては、金属に微細加工を施し可視光領域でも反射偏光を出すような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等参照)、金属の微粒子を高分子マトリック中に入れて延伸したようなもの(特開平8−184701号公報等参照)が挙げられる。
また、異方性散乱偏光子が挙げられる。異方性散乱偏光子としては、3M製のDRPが挙げられる(米国特許第5825543号明細書参照)。
更に、ワンパスで偏光変換できるような偏光素子が挙げられる。たとえば、スメクテイックC* を用いたものなどが挙げられる(特開2001−201635号公報等参照)。異方性回折格子を用いることができる。
本発明の偏光板は輝度向上フィルムと一緒に用いることができる。輝度向上フィルムを用いる場合には、偏光板と輝度向上フィルムを密着することが偏光板への水分の浸入を防ぎ、光漏れを抑制するため、より好ましい。偏光板と輝度向上フィルムとは貼り合わせる接着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
<塗布液の調製>
[被覆層用塗布液1]
塩素含有重合体:R204 12g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
テトラヒドロフラン 63g
[被覆層用塗布液2]
塩素含有重合体: 10g
{塩化ビニリデン含有90質量%、アクリル酸エステル含有10質量%、質量平均分子量7×10、融点145℃}
紫外線吸収剤 0.8g
{BASF社製 ユビナールD−50}
テトラヒドロフラン 42g
トルエン 18g
[被覆層用塗布液3]
塩素含有重合体:R241C 9.62g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR241C」}
MEK(メチルエチルケトン) 22.5g
シクロヘキサノン 2.50g
サイリシア(富士シリシア製) 0.034g
パラフィンワックス(日本精蝋製) 0.11g
[被覆層用塗布液4]
塩素含有重合体:F216 9.62g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンF216」}
MiBK(メチルイソブチルケトン) 10.0g
シクロヘキサノン 15.0g
サイリシア(富士シリシア製) 0.034g
パラフィンワックス(日本精蝋製) 0.11g
[被覆層用塗布液5]
被覆層用塗布液4における、MiBK/シクロヘキサノンの添加量を、5.0g/20.0gに変更した以外は、被覆層用塗布液4と同様にして、被覆層用塗布液5を調製した。
[被覆層用塗布液6]
被覆層用塗布液4における、MiBK/シクロヘキサノンの添加量を、0g/25.0gに変更した以外は、被覆層用塗布液4と同様にして、被覆層用塗布液6を調製した。
[被覆層用塗布液7]
被覆層用塗布液4における、MiBK/シクロヘキサノンの添加量を、20.0g/5.0gに変更した以外は、被覆層用塗布液4と同様にして、被覆層用塗布液7を調製した。
[被覆層用塗布液8]
被覆層用塗布液4における、MiBK/シクロヘキサノンの添加量を、25.0g/0gに変更した以外は、被覆層用塗布液4と同様にして、被覆層用塗布液8を調製した。
[被覆層用塗布液9]
・塩素含有重合体:R204 10.0g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
・テトラヒドロフラン 68.0g
{安定剤 BHT 250PPM含有}
・トルエン 22.0g
・MXS−300 0.02g
{綜研化学(株)製:3μm架橋PMMA粒子の分級強化品}
・紫外線吸収剤UV−2 0.5g
{チバスペシャリティケミカルズ(株)製「TINUVIN329」}
[被覆層用塗布液10]
被覆層用塗布液9におけるMXS−300の代わりに、MX−180TA{綜研化学(株)製,1.8μm高架橋PMMA粒子}を0.05gに変更した以外は、被覆層用塗布液9と同様にして、被覆層用塗布液10を調製した。
[被覆層用塗布液11]
・塩素含有重合体:L549B 20.0g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランラテックスL549B」}
・蒸留水 45.0g
・MXS−300 0.02g
{綜研化学(株)製:3μm架橋PMMA粒子の分級強化品}
・紫外線吸収剤UV−2 0.5g
{チバスペシャリティケミカルズ(株)製「TINUVIN329」}
[易接着層用塗布液S1]
スチレンブタジエンラテックス(固形分43%) 300g
2,4−ジクロロ−6ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(8%) 49g 蒸留水 1,600g
[易接着層用塗布液S2] −1層目塗布液(帯電防止層用)−
蒸留水 781.7質量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET−410:日本純薬製、固形分30%)
30.9質量部
針状構造酸化スズ粒子(FS−10D:石原産業製、固形分20%)
131.1質量部
カルボジイミド化合物(カルボジライトV−02−L2:日清紡製、固形分40%)
6.4質量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 1.4質量部
界面活性剤(ナロアクティーHN−100:三洋化成工業製 固形分100%)
0.7質量部
シリカ微粒子分散液(シーホスターKE−W30:日本触媒製 0.3μm 固形分20%) 5.0質量部
−2層目塗布液(表面層用)−
蒸留水 941.0質量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET−410:日本純薬製、固形分30%) 57.3質量部
エポキシ化合物(デナコールEX−521:ナガセ化成工業製、固形分100%)
1.2質量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 0.5質量部
[易接着層用塗布液S3]
−1層目塗布液−
蒸留水 823.0質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C5:日本ゼオン製 固形分40%) 151.5質量部
2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩
(H−232:三協化学製 固形分8%) 25.0質量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μ)
(Nipol UFN1008:日本ゼオン製 固形分10%) 0.5質量部
−2層目塗布液−
蒸留水 982.4質量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8質量部
メチルセルロース(TC−5:信越化学工業製) 0.46質量部
下記に示す化合物(Cpd−21) 0.33質量部
プロキセル(Cpd−22 固形分3.5%) 2.0質量部
Figure 2008003580
[ハードコート層用塗布液の調製]
(ゾル液aの調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。
この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液aを120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1,500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1,000〜20,000の成分は30%であった。
また、H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構造であった。
Figure 2008003580
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)光散乱層用塗布液の調製
[ハードコート層用塗布液1の組成]
PET−30 40.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 11.0g
トルエン 38.5g
[ハードコート層用塗布液2の組成]
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 11.0g
トルエン 28.5g
シクロヘキサノン 10.0g
[ハードコート層用塗布液3の組成]
PET−30 28.0g
DPHA 12.0g
凝集性シリカ(2次凝集径1.5μm) 5.0g
イルガキュア184 1.0g
イルガキュア907 0.2g
FP−13 0.08g
MiBK 40.0g
シクロヘキサノン 15.0g
[ハードコート層用塗布液4の組成]
PET−30 46.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 28.6g
FP−13 0.06g
ゾル液a 7.0g
MiBK 13.0g
MEK(メチルエチルケトン) 6.0g
[ハードコート層用塗布液5の組成]
PET−30 46.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 7.0g
MiBK 13.0g
MEK 6.0g
[ハードコート層用塗布液6の組成]
デソライトZ7404 100.0g
DPHA 31.0g
KBM−5103 10.0g
KEP−150 8.9g
MXS−300 3.4g
MEK 29.0g
MiBK 13.0g
[ハードコート層用塗布液7の組成]
CAP482−20 2.4g
サイクロマーP 13.4g
DPHA 16.3g
イルガキュア184 1.2g
MEK 51.0g
ブタノール 14.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 3.5g
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液1〜7を調製した。
上記各ハードコート層用塗布液を調製する際に使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・イルガキュア907:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用]
・FP−13フッ素系表面改質剤
Figure 2008003580
MX−600:
平均粒径6μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MiBK分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用]
・凝集性シリカ:2次凝集径1.5μm(1次粒径数十nm)、[日本シリカ(株)製]
・デソライトZ7404:ジルコニア微粒子含有光重合性ハードコート組成液[JSR(株)製]
・KBM−5103:γアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製]
・KE―P150:1.5μmシリカ粒子[日本触媒(株)製]
・MXS−300:3μm架橋PMMA粒子[綜研化学(株)製]
・CAP482−20:酢酸プロピオン酸セルロースエステル[イーストマンケミカル社製]
・サイクロマーP:反応性オリゴマー[ダイセル・ユーシービー(UCB)(株)製]
[低屈折率層用塗布液の調製]
−パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成−
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g、及び過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。更にヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に、該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより、下記構造式に示すパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
Figure 2008003580
−ゾル液bの調製−
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液bを得た。質量平均分子量は1,600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1,000〜20,000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
−分散液Aの調製−
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水9gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し、20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
[低屈折率層用塗布液1の調製]
ポリシロキサン及び水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液b0.65g、及びメチルエチルケトン4.4g、シクロヘキサノン1.2gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液1を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
[低屈折率層用塗布液2の調製]
熱架橋性含フッ素ポリマー(特開平11−189621公報実施例1に記載の含フッ素含シリコーン熱硬化ポリマー)37.6g、硬化剤(サイメル303;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)9.40g、硬化触媒(キャタリスト4050;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.92gをメチルエチルケトン500gに溶解し、更に、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液b17.0質量部(固形分として5.0質量部)、PM980M(光重合開始剤、和光純薬製)0.3質量部を添加した。を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が8対92になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液2を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.39であった。
[低屈折率層用塗布液3の調製]
パーフルオロオレフィン共重合体(1)15.4g、中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20%)2.2g、反応性シリコーンX−22−164C(商品名;信越化学工業(株)製)0.3g、ゾル液b 7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.76g、メチルエチルケトン298g、シクロヘキサノン12.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液3を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.40であった。
[低屈折率層用塗布液4の調製]
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(特開2005−89536公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1))固形分として45.0gをメチルイソブチルケトン500gに溶解し、更に、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液b17.0質量部(固形分として5.0質量部)、PM980M(光重合開始剤、和光純薬製)2.0質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液4を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.38であった。
[低屈折率層用塗布液5の調製]
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.65g、シリカ分散液A(中空シリカ分散液、固形分濃度20%)30.0g、ゾル液b2.93g、反応性シリコーンX−22−164C(商品名;信越化学工業社製)0.15g、含フッ素化合物F3035(商品名;日本油脂株式会社製、固形分濃度30%)0.15g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.20g、及びメチルエチルケトン103g、シクロヘキサノン3.5gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液5を調製した。
[低屈折率層用塗布液6の調製]
フルオロアルキル基及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物としてオプスターJTA105(JSR株式会社製、固形分:5質量%)100質量部、オプスターJTA105A(JSR株式会社製、固形分:5質量%)1質量部、酢酸ブチル151.5質量部、及びシロキサンオリゴマーとしてコルコートN103X(コルコート株式会社製、エチレングリコール換算による数平均分子量950、固形分:2質量%)164.0質量部を混合した。更に、中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製)42.5gを加えて、低屈折率層用塗布液6を調製した。
(実施例1)
(偏光板用保護フィルムの作製)
<易接着層1の塗設>
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態(幅1,340mm、全長3,900m)で巻き出して、一方の面(被覆層との接着界面となる面)に、易接着層用塗布液S1を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布した。
<被覆層の塗設>
易接着層1を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムの易接着層S1を塗布してある面上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で5分乾燥して、巻き取った。
<易接着層2の塗設>
易接着層1及び被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、被覆層の上に易接着層用塗布液S1を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布した。
<ハードコート層の塗設>
易接着層1、被覆層、易接着層2を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムの易接着層1/被覆層/易接着層2が塗布してある面とは逆の支持体面上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6.0μmの防眩性を有するハードコート層を形成し、巻き取り実施例1の偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板用保護フィルムの各物性の測定)
以下、本発明に係る偏光板用保護フィルムの各物性について測定した。
〔透湿度1〕
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208に従った透湿カップを用いて、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m)を算出した。吸湿剤の入れていないブランクのカップで透湿度の値を補正は行わなかった。
〔透湿度2〕
本発明では調湿条件を60℃、95%RHに変更した以外はJIS Z−0208に従って、透湿度を算出した。この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。
また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
〔透湿度3〕
本発明では、透湿度はモコン社製PERMARTRAN−W3/33型透湿度測定装置で40℃、相対湿度90%RHの条件で測定した。
〔硬度〕
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。
[被覆層、及び混合領域の層の厚さ測定]
偏光板用保護フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より被覆層、及び混合領域の層の厚さを求めた。
また、被覆層の膜厚分布を確認するために、幅方向、及び長手方向共に、20cm間隔で膜厚を求め、平均膜厚に対するバラツキを求めた。
〔密着性〕
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価した。
塗布層を有する側(被覆層側もしくはハードコート層側)の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
[評価基準]
○:剥がれが無い
△:一部に剥がれがあるが実用上で問題が無い
×:全面に剥がれがある
〔スチールウール耐傷性評価〕
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすり、テストを行った。
[評価環境条件]
25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール((株)日本スチールウール製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
[評価基準]
○:一見傷が見えない。
△:よく見ると傷が見える
×:はっきりとした傷が見える
〔ヘイズ〕
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズを測定した。
1.JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値を測定する。
2.得られたフィルムの低屈折率層側の表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出した。
3.上記1で測定した全ヘイズから上記2で算出した内部ヘイズを引いた値をフィルムの表面ヘイズとして算出した。
〔積分反射率〕
フィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分反射率の算術平均値を用いた。
〔鏡面反射率〕
フィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
〔防塵性〕
偏光板加工したサンプルを硝子板に貼り付け、一般室に1時間放置後の表面の埃のつき方を目視で確認した。
[評価基準]
○:埃がほとんど付いていない
△:埃が少し付いていて多少気になる
×:埃が付いていて気になる
〔耐光性〕
本発明においては、耐光性試験としては、耐光性試験装置(スーパーキセノンウェザーメーターSX120型(ロングライフキセノンランプ)、スガ試験機(株)製)を用い、放射照度100±25W/m(波長310nm〜400nm)、試験槽内温度35±5℃、ブラックパネル温度50±5℃、相対湿度65±15%の条件で、JIS K 5600−7−5に準じて耐光性試験25hrを実施した前後に、前記記載の分光光度計を用いて測定した値から算出したL*値,a*値,b*値を用いて、前述の数式(1)に従い、ΔE*abを求めた。
〔耐ひび割れ性〕
被覆層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率半径を求めた。
(偏光板の作製)
〔偏光子の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸し、偏光子を作製した。
(他の偏光板用保護フィルム)
また、光学異方性層が塗布されているWVフィルム(富士フイルム(株)製)を55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬した後、水洗乾燥した。
偏光板用保護フィルム1の易接着層1/被覆層/易接着層2が塗布されている面と上記鹸化したWVフィルムの光学異方性層が塗布されていない面に、上記偏光子を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として貼合し、偏光板1を作製した。
〔偏光度〕
上記のようにして得られた偏光板を、60℃、95%RHの環境下、1,000時間放置したのち偏光度を測定した。なお偏光度は下記数式(5)より求められる。(波長550nm)
Figure 2008003580
[評価基準]
○:偏光度99%以上で問題ない。
△:偏光度98%以上、99%未満で実用上問題ない。
×:偏光度98%未満であり問題である。
〔着色〕
偏光板用保護フィルムを目視観察し、着色(黄変)の程度を判定した。
[評価基準]
○:ほとんど着色がないレベル。
△:ごく薄く着色があるものの、事実上問題の無いレベル
×:着色が問題のレベル。
〔液晶表示装置の性能〕
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板1を、被覆層が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。暗室にて、液晶表示装置を表示して、目視により以下の特性を評価した。
<高湿及び低湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を60℃90%50時間、又は70℃10%50時間処理後に、25℃60%の環境下で2時間放置した後、液晶表示装置を黒表示させ、正面からの光漏れを複数の観察者により目視評価する。
[評価基準]
◎ 光漏れは観察されなかった
△ 光漏れがあるが問題の無いレベルであった
× 光漏れがはっきり観察された
〔干渉ムラ(虹ムラ)〕
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(TH−15TA2、松下電器産業(株)製)に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板用保護フィルムを用いた偏光板を、被覆層が視認側に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。三波長蛍光管を設置した1,000(lux)の明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の基準で評価した。
<干渉ムラの判定基準>
○:干渉ムラが全くない
○△:干渉ムラがほとんどない
△:弱い干渉ムラがある
×:強い干渉ムラがある
(実施例2〜15、比較例1〜2の偏光板用保護フィルムの作製)
各層の有無、塗布液の種類、膜厚を表2に示す通りに変化させた以外は、実施例1と同じ方法で実施例2〜15、及び比較例1〜2の偏光板用保護フィルムを作製した。
易接着層S2、S3は、下記に示すように塗設を行った。
(易接着層用塗布液S2の塗設)
塗設する面に下記の方法で二層塗布した。
搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、易接着層用塗布液S2の1層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、7.1ml/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃、1分乾燥することで帯電防止層を得た。
続いて、搬送速度105m/分を保ったまま、易接着層1の1層目の上に易接着層用塗布液S2の2層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、5.05ml/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成の易接着層S2を得た。
(易接着層用塗布液S3の塗設)
塗設する面に下記の方法で二層塗布した。
搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、易接着層用塗布液S3の1層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、5.05ml/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで易接着層1層目を得た。
続いて、搬送速度105m/分を保ったまま、易接着層2の1層目上に易接着層用塗布液S3の2層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、8.7ml/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成の易接着層S3を得た。
また、実施例1と同様にして、実施例2〜15、及び比較例1〜2で作製された偏光板用保護フィルムについて、透湿度(「透湿度1」)、硬度(鉛筆硬度)、密着性(被覆層側およびハードコート層側)、スチールウール擦り、ヘイズ(「内部ヘイズ」及び「外部ヘイズ」)、積分反射率、鏡面反射率、及び防塵性を測定した。測定結果を表3に示す。
更に、実施例1と同様にして、実施例2〜15、及び比較例1〜2で作製された偏光板用保護フィルムを用いた偏光板を作製し、作製された偏光板について、偏光度、着色、及び耐光性を測定した。測定結果を表3に示す。
加えて、実施例1と同様にして、実施例2〜15、及び比較例1〜2で作製された偏光板を用いた液晶表示装置について、上述の液晶表示の性能を評価した。測定結果を表3に示す。
(実施例16)
<偏光板用保護フィルムの作製>
(低屈折率層の塗設)
実施例3の偏光板用保護フィルムをロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムのハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、実施例16の偏光板用保護フィルムを作製した。乾燥・硬化条件を以下に示す。
乾燥:90℃、60秒で乾燥した。
硬化:110℃で10分硬化の後、窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィック(株)製)を用いて、照射量400mJ/cmの紫外線を照射した。
(実施例17〜18の偏光板用保護フィルムの作製)
ハードコート層用塗布液、及び低屈折率層用塗布液を表2に示す通りに変更した以外は実施例10と同じ方法で実施例17〜18の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例19〜22の偏光板用保護フィルムの作製)
ハードコート層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を表2に示す通りに変更し、低屈折率層用塗布液を実施例19〜22の偏光板用保護フィルムを作製した。その際に、乾燥・硬化条件を以下に示すように変更した。
乾燥:90℃、60秒で乾燥した。
硬化:窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィック(株)製)を用いて、照射量400mJ/cmの紫外線を照射した。
(実施例23)
<偏光板用保護フィルムの作製>
上記実施例3と同じ方法でハードコート層付きフィルムを作製した後、2.0kW、ライン速度12m/分の条件でコロナ放電処理をした。コロナ処理後のハードコート層付きフィルムにスロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液6をバックアップロール上のハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布し、厚さ100nmの低屈折率層を巻き取り、120℃で3分硬化させた。その後窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィック(株)製)を用いて、照射量400mJ/cmの紫外線を照射した。このようにして実施例23の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例24)
<偏光板用保護フィルムの作製>
上記実施例3と同じ方法で、ハードコート層付きフィルムを作製した後、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液4を塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量200mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させた。このときのハードコート層用塗布液4の硬化後の膜厚は1.5μであった。このようにして実施例24の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例25〜30の偏光板用保護フィルムの作製)
ハードコート層用塗布液、及び低屈折率層用塗布液を表2に示す通りに変更した以外は実施例2と同じ方法で実施例25〜30の偏光板用保護フィルムを作製した。
実施例30は、第1の被覆層を形成した後、第2の被覆層を同様に塗設して積層させ、その他の層は実施例2と同じ方法で作成した。
得られた偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置の評価結果を表3にまとめる。本発明の偏光板は偏光度、着色の問題が無く、周辺ムラを抑制でき、実用上で好ましい性能を示した。また、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、液晶表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。実施例9は耐擦傷性が劣るものの、それ以外の性能は良好であり、液晶表示装置の内側(視認者側から見て液晶セルの裏側)に用いるのには十分な性能を示した。
また、各偏光板用保護フィルムの被覆層の膜厚分布は、いずれも±15%以下であり、良好であった。
実施例25〜26は塗布の面状が悪く、カールも大きかった。
実施例5、6、16〜24の偏光板用保護フィルムは何れも、波長380nmの光の透過率が5%以下であり、波長600nmの透過率が80%以上であった。
実施例4及び5につき、偏光子と張り合わせる前に、搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、727J/m条件で被覆層の表面にコロナ放電処理を行った以外は実施例4及び5と同じ条件で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、偏光子との密着性が向上した。
Figure 2008003580
Figure 2008003580
上記実施例及び比較例の偏光板用保護フィルムの透湿度を、測定法を変更して評価した結果を表4に示す。どの測定法の場合でも、本発明の偏光板用保護フィルムは低い透湿度を示すことが分かる。
Figure 2008003580
(実施例15−2〜15−10)
上記の実施例15に用いた被覆層塗布後の乾燥条件を、表5に示すような乾燥温度と乾燥時間と被覆層膜厚との組み合わせで実施した以外は、実施例15と同じ方法で実施例15−2〜15−10の偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価したところ、透湿度は表5に示すような結果となり、その他性能は実施例15とほぼ同様な評価結果が得られた。ただし、実施例15、実施例15−2〜実施例15−8は、実施例15−9よりも透湿性が優れており、かつ実施例15−10よりも偏光板用保護フィルム品の耐ひび割れ性が優れた結果となった。
Figure 2008003580
(他の実施例)
上記の実施例2に用いた被覆層塗布液中に上述のUV−1(紫外線吸収剤1)を塩素含有重合体に対して5質量%添加した以外は上記の実施例2と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、ΔE*abが3.0以下となり耐光性が更に向上した。
また、実施例2において、被覆層塗布液中に、下記構造式に示すベンゾフェノン系化合物UV−11(アデカスタブLA−51、旭電化製)を塩素含有重合体に対して5質量%添加した以外は、実施例2と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、ΔE*abが3.0以下となり耐光性が更に向上した。
Figure 2008003580
また、実施例2において、被覆層塗布液中に、下記構造式に示すUV−12(紫外線吸収ポリマー)を塩素含有重合体に対して5質量%添加した以外は、実施例2と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、ΔE*abが3.0以下となり耐光性が更に向上した。
Figure 2008003580
上記の実施例2に用いた被覆層塗布液中に酸化防止剤として、ヒドロキサム酸(下記構造式H−1)を塩素含有共重合体に対して5質量%添加した以外は上記の実施例2と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、ΔE*abが3.0以下となり耐光性が更に向上した。
Figure 2008003580
上記の実施例2に用いた被覆層塗布液中に酸化防止剤として、金属錯体(下記構造式M)を塩素含有共重合体に対して5質量%添加した以外は上記の実施例2と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、ΔE*abが3.0以下となり耐光性が更に向上した。
構造式(M)
Figure 2008003580
上記の実施例2に用いた被覆層塗布液中に金属安定化剤として、ジブチル錫ジラウリルメルカプタイドを塩素含有共重合体に対して1質量%添加した以外は上記の実施例2と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、ΔE*abが3.0以下となり耐光性が更に向上した。
上記の実施例27〜30の偏光板用保護フィルム、その偏光板用保護フィルムを用いた偏光板、及び液晶表示装置を、実施例2と同様に作製して評価した結果、ΔE*abは3.0以下となり耐光性は良好であった。また、耐ブロッキング性が著しく向上し、ロール形態時の巻き姿も良好であった。
更に、実施例27〜30については、透明基材フィルムを通常の1,340mm幅のTAC(TD80U 富士フイルム(株)製)の代わりに、1,600mm幅にしたTACを用いた以外は実施例2と同様に作製して評価した結果、同様な性能が得られた上で、42インチ以上の大型のパネルに対応する偏光板が生産性高く得られた。
また、実施例28および30については、塗工ステーションを2つもつ塗布機を使用して、ハードコート層と低屈折率層もしくは、第1の被覆層と第2の被覆層の塗布を連続で生産したところ、同様な性能が得られた上で、コストが低減し、非常に生産効率の高い偏光板用保護フィルムを得ることができた。
(偏光板T)
WVフィルムを通常のTAC(TD80 富士フイルム(株)製)とした以外は実施例1と同様にして偏光板Tを作製した。
(偏光板Z)
WVフィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC、富士フイルム(株)製、Re=1nm、Rth=−3nm)とした以外は実施例1と同様にして偏光板Zを作製した。
〔液晶表示装置の性能〕
更に、VA型液晶表示装置(LC−26GD3、シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜を残したまま剥がし、代わりに本発明の偏光板Tを偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300、松下電器産業(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板Zを偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
また、IPS型液晶表示装置(32LC100、(株)東芝製)に設けられている偏光板を表側の位相差膜を残し、裏側の位相差膜は剥がし、代わりに本発明の偏光板Zを偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。いずれも被覆層が塗設してある側が外側になるように貼り付けた。また、いずれの液晶表示装置も、本発明の偏光板を用いることで、周辺ムラが有意に低減できることが確認できた。また、液晶表示装置の表面に用いるのに十分な耐擦傷性、反射率であった。
また、実施例1〜24の装置については、バックライト側の偏光板だけを偏光板Tに替え、更にバックライト側に輝度向上フィルム(DBEF、3M製)を入れた液晶表示装置を作製し、周辺ムラ他の性能を悪化させることが無く、ディスプレイの輝度が向上した。更に、輝度向上フィルムを用いた装置において、輝度向上フィルムと接する偏光板用保護フィルムにレターデーションのきわめて小さいZ−TACを用いた装置では視野角の色味変化が小さいことが認められた。
また、輝度向上フィルムを入れた液晶表示装置で、輝度向上フィルムを偏光板を粘着剤によって密着させたフィルムでは、更に過酷な条件下でも周辺ムラが発生しないことが判った。
透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、下記の通りに作成したセルロースアシレートフィルムを用いた以外は上記の実施例と同じ方法で偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作製して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、偏光板耐久性が更に向上した。
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
[セルロースアシレート溶液A組成]
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.86) 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液Aを調製した。
[マット剤溶液A組成]
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.2質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 2.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.2質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.1質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 83.5質量部 メタノール(第2溶媒) 12.0質量部
(紫外線吸収剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液Aを調製した。
[紫外線吸収剤溶液A組成]
UV−1(紫外線吸収剤1) 3.0質量部
UV−10(紫外線吸収剤2) 12.0質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.86) 4.4質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.4質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 70.0質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
(セルロースアシレートフィルム1の作製)
セルロースアシレート溶液Aを97.4質量部、マット剤溶液Aを1.3質量部、紫外線吸収剤溶液A1.3質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤が60%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをクリップテンターを用いて幅を保持し、5%延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ(乾燥(1))、セルロースアシレートフィルムを製造した。できあがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
本発明の偏光板用保護フィルムを用いた各実施例では、光漏れは発生せず、着色も実用上で問題無く、好ましい性能を示した。また、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、液晶表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。
本発明の偏光板用保護フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の偏光板の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の液晶表示装置の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 偏光板用保護フィルム
2 透明基材フィルム
3 被覆層
4 ハードコート性を有する層
5 偏光板
6 偏光子
7 反対側の偏光板用保護フィルム
8 液晶表示装置
9 液晶セル

Claims (20)

  1. 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの片面に形成され、透明基材フィルムの反対側の面に少なくともハードコート性を有する層を設け、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  2. ハードコート性を有する層が散乱性を持つことを特徴とする請求項1に記載の偏光板用保護フィルム。
  3. 塩素含有ビニル単量体が塩化ビニリデンである請求項1または2に記載の偏光板用保護フィルム。
  4. 被覆層の厚みが1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1から3に記載の偏光板用保護フィルム。
  5. 透明基材フィルムの膜厚が、30μm以上120μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  6. セルロースアシレート類が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートである請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  7. 透明基材フィルムと被覆層の間および被覆層の表面のいずれかに易接着層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  8. 透明基材フィルム、透明基材フィルムと被覆層の間の易接着層、被覆層の少なくとも1つに紫外線吸収剤を含有し、波長380nmの光の透過率が5%以下であり、波長600nmの透過率が80%以上100%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  9. 紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、及び紫外線吸収ポリマーのいずれかである請求項8に記載の偏光板用保護フィルム。
  10. 紫外線吸収剤が下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の少なくとも1種類以上含有することを特徴とする請求項9に記載の偏光板用保護フィルム。
    Figure 2008003580
    (式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を表し、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。)
  11. 少なくとも1種の粒径が0.5〜12μmの粒子を被覆層に含む請求項1〜10のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  12. 被覆層および易接着層の少なくともいずれかが塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体と親水性高分子化合物を含有することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  13. 透明基材フィルム表面および被覆層表面の少なくともいずれかをコロナ放電処理およびグロー放電の少なくともいずれかにより処理したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  14. 被覆層を形成する際に用いる塗布組成物が、少なくとも塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体と有機溶剤とを含有し、該有機溶剤が透明基材フィルムを膨潤又は溶解可能な溶剤を含む請求項1〜13のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  15. 請求項14に記載の被覆層上に、更に塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する第2の被覆層を形成し、該第2の被覆層を形成する際に用いる塗布組成物が該重合体の水分散物であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  16. 被覆層に、酸化防止剤、及び金属錯体の少なくともいずれかを含有する請求項1〜15のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  17. 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体、および該重合体を溶解もしくは分散可能な溶媒を含有する被覆層用塗布組成物を、透明基材フィルム上に塗布、乾燥して、該被覆層を形成することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
  18. 前記被覆層用塗布液を塗布、乾燥して被覆層を形成した後、第2の被覆層もしくはハードコート性を有する層を該被覆層上に塗布、乾燥して形成する工程において、1回の送り出しから巻き取りの工程で、連続的に各層を形成することを特徴とする請求項17に記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
  19. 偏光膜と、請求項1〜16のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム、または請求項17または18のいずれかに記載の製造方法で作成した偏光板用保護フィルムを有し、透明基材フィルムに対して、ハードコート性を有する層の反対側に偏光膜が位置することを特徴とする偏光板。
  20. 請求項19に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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