JP2008190892A - 加速度センサおよびそれを用いた電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持枠と、可撓性を有する第1の梁部を介して前記支持枠に保持される第1の錘部と、可撓性を有する第2の梁部を介して前記第1の錘部に保持される第2の錘部とを有し、前記第1の錘部は前記支持枠の内側に配置されるとともに前記第2の錘部は前記第1の錘部の内側に配置され、前記第1の梁部および第2の梁部に、それぞれ第1の加速度センサ部および第2の加速度センサ部が設けられた加速度センサことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明の第1の実施の形態について図1を用いて説明する。図1の(a)は3軸加速度センサ素子の斜視図、(b)はその上面図、(c)は(b)のA−A’線に沿った断面図である。図1では、歪の検出による加速度検出に関わる部分を示してあり、保護ケースや配線等の要素は省略してある。これらの要素は、従来から周知の構成を用いることができる。図1の加速度センサ素子1では、略正方形形状の支持枠2の内側に、4つの可撓性を有する第1の梁部3を介して第1の錘部4が保持されている。さらに、前記第1の錘部4の内側に、4つの可撓性を有する第2の梁部5を介して第2の錘部6が保持されている。すなわち、2つの錘部が、いわゆる入れ子状に配置されている。正方形形状の支持枠2、第1の錘部4および第2の錘部6は、対向する各辺の長手方向中央で梁によって連結されている。なお、支持枠2に対しては、第1の錘部4だけでなく、その内側に位置する第2の梁部5や第2の錘部6も錘としての作用を及ぼすことになるが、ここでは、図1の符号4で表される枠体の部分を狭義の錘部として第1の錘部と称する。図1(c)の断面図で明らかなように、梁部3、5の厚さは、支持枠2や錘部4,6の厚さよりも薄くしてあるため、加速度が作用したときに、梁部が撓む。第1の梁部3には第1の加速度センサ部7を、第2の梁部5には第2の加速度センサ部8が設けられている。該加速度センサ部が、梁部の歪み量を検出することによって加速度センサとしての機能を発揮する。図1の構成では、加速度センサ部が2つあるため、レベルの異なる加速度を検出することができる。さらに、1つの支持枠の内側に2つの加速度センサ部が設けらており、しかも第1の錘部が第2の錘部に対する支持枠の機能も兼ねているため、センサの大型化を回避して、小型の加速度センサを実現する。
図1では梁部3、5は、2対、すなわち4本の梁で構成されているが、これらの梁部はそれぞれ4対或いはそれ以上の梁で構成してもよい。また、図1の構成では、第1の錘部、第2の錘部とも正方形状のものを示しているが、細部の形状は限定するものではなく、要は図1で示したX方向、Y方向に対する対称性が確保されていればよい。対称性を確保してXの出力とYの出力を同等のレベルとすることにより、ブリッジ回路のバランスが取り易くなり、検出回路を含めた全体も小型できる。
また、第1の錘部および第2の錘部には、過大な加速度が作用した場合に破損しないように、いわゆるストッパである拘束部材を設けて所定の範囲以上に変位しないようにする。拘束部材を設けないで、加速度センサを構成することもできるが、継続的な使用のためには拘束部材を設けることが好ましい。特に、第1の加速度センサが検出するような大加速度が作用した場合に破損しないように、少なくとも小加速度を検出する第2の加速度センサ部には、拘束部材を設けることが好ましい。例えば拘束部材は、第1の錘部および/または第2の錘部に対して、所定の間隔をあけて板状部材を設ける。拘束部材は、図1の板状の錘部の片面に設けてもよいが、破損を確実に防止するためには両面に設けることが好ましい。第1の錘部の拘束部材は支持枠に固定するなどして、第1の錘部は支持枠との関係において拘束される。一方、第2の錘部の拘束部材は前記第1の錘部の拘束部材と共通化することも可能であるが、各加速度センサ部同士の影響を抑制する観点からは、第2の錘部の拘束部材は、第1の錘部に固定して、第2の錘部は第1の錘部との関係において拘束されることが好ましい。
梁部の歪を検出する加速度センサ部には、ピエゾ抵抗、圧電効果、静電容量などを利用した素子を用いることができる。このうち、ピエゾ抵抗を利用したピエゾ抵抗素子は、半導体プロセスを用いて小型のものを簡易に製造することができるので好ましい。そこで、加速度センサ部としてピエゾ抵抗素子を用いた加速度センサについて以下説明する。まず、第1の加速度センサ部について説明する。図1では、加速度センサの中心を挟んでX軸方向に対置された一対の梁の各々に、X軸方向の加速度成分を検出するためのピエゾ抵抗素子7X1および7X2、7X3および7X4が設けられている。また、前記一対の梁には同様に、Z軸方向の加速度成分を検出するためのピエゾ抵抗素子7Z1および7Z2、7Z3および7Z4が設けられている。一方、加速度センサの中心を挟んでY軸方向に対置された一対の梁の各々に、Y軸方向の加速度成分を検出するためのピエゾ抵抗素子7Y1および7Y2、7Y3および7Y4が設けられている。各軸ともそれぞれ前記4つの素子でブリッジ回路を構成し(図2)、X軸、Y軸およびZ軸方向の加速度を下記の式で表される電圧として出力する。なお、ピエゾ抵抗素子7X1、7X2、7X3および7X4の抵抗値をRX1、RX2、RX3およびRX4とし、7Y1、7Y2、7Y3および7Y4の抵抗値をRY1、RY2、RY3およびRY4とし、7Z1、7Z2、7Z3および7Z4の抵抗値をRZ1、RZ2、RZ3およびRZ4とした。
X軸:Vout=[RX4/(RX1+RX4)―RX3/(RX2+RX3)]Vin
Y軸:Vout=[RY4/(RY1+RY4)―RY3/(RY2+RY3)]Vin
Z軸:Vout=[RZ3/(RZ1+RZ3)―RZ4/(RZ2+RZ4)]Vin
図3および図4の(a)の構造を用いた加速度センサを例として、本発明に係る加速度センサの組立の概要を、図5を用いて説明する。保護ケース18に、加速度センサ素子17を硬質プラスチック球(例えばφ10μm)を含有した接着剤(図示せず)で固着する。加速度センサ素子17の第1の錘部の底面と拘束部材として機能する保護ケース18の内底との間隔Gap1は、硬質プラスチック球の球径である10μm相当となる。この場合は、保護ケース18の内底が拘束部材を兼ねる。加速度センサ素子17の周辺部に形成された端子と、端子形成部19に形成された保護ケース18側の端子とはワイヤ(図示せず)で接続する。例えばφ25μmの金裸線ワイヤを用い、超音波ワイヤボンディングで接合すればよい。加速度センサ素子の上にφ10μmの硬質プラスチック球を含有した接着剤(図示せず)で拘束部材16を固着する。拘束部材16には、厚さ0.3mmの青板ガラスを用いる。保護ケース蓋15を保護ケース18にエポキシ系の樹脂で固着して加速度センサを得る。加速度センサ素子17は、図3のような形状に形成される。一方の面には複数個のピエゾ抵抗素子が形成される。配線パターンおよび端子の図示は省略した。加速度センサ素子は、支持枠、錘部、梁部を一体で形成してもよいし、錘部等の部材を別々に形成した後、それらの部材を接着して複合体を形成しても良い。
携帯機器を、前記加速度センサと、前記第1の加速度センサ部と第2の加速度センサ部のうち、少なくとも、より大きな加速度を検出できる加速度センサ部の検出出力を記憶する記憶部とを有するものとすれば、携帯機器が受けた加速度のデータを保存しておくことができる。加速度のデータの保存は、以下のように行うことができる。第1の加速度センサ部および第2の加速度センサ部のうち、より小さな加速度を検出する加速度センサ部(以下、小加速度検出部とする)の出力に基づいて、大きな加速度を検出する加速度センサ部(以下、大加速度検出部とする)の検出出力の記憶を行う。例えば、小加速度検出部の出力と予め設定された閾値に基づき落下を判定する回路部によって、落下していると判断されて落下フラグを発生される。前記落下フラグはデータ保存を制御する制御部であるマイコンに入力され、前記マイコンは、大加速度検出部から得られる各軸の加速度信号(XL,YL,ZL)を記憶部であるフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリに書き込むように制御する。これにより、落下判定は小加速度検出部の検出加速度値に基づいて行われ、フラッシュメモリへの記録は大加速度検出部の検出加速度信号によって行われる。記録される加速度のデータは機器が受けた最大加速度を更新していくようしてもよいし、所定の閾値以上の加速度の作用回数を確認できるように記録してもよい。このようにして機器が受けた加速度、特に加速度の履歴を保存しておくことができるため、携帯機器等の機器の故障原因究明等にも供することができる。
なお、本発明は広範囲の加速度を検出する加速度センサ素子構造に関するものであり、その検出方法は、ピエゾ方式に限定されるものではない。第1の錘と第2の錘について各々の変位を静電容量の変化で計測する方式でも良い。その一例を図6で説明する。図6の(a)は3軸加速度センサ素子用の基板の斜視図、(b)は前記基板に電極膜を形成した様子を示す上面図、(c)は(b)に対向基板や拘束部材等を付加した3軸加速度センサ素子を(b)のA−A’線に沿ってみた断面図である。基板21の構造は、図1(a)から加速度センサ部7及び8を除いたものと同じにした。まず、図6(b)に示すように、基板21の上面には電極膜25,26,27及び28と、前記電極膜に導通する配線膜(図示を省略)とを形成した。ついで、図6(c)に示すように、スペーサ24を介して対向基板29を設け、錘側には他のスペーサ23を介して拘束部材9を設けることで、加速度センサ素子を構成した。なお、スペーサ24は電極膜に導通する配線膜の一部に跨るように設けるが、配線膜には予め酸化物保護膜を被覆しておき、前記酸化物保護膜とスペーサ24間をAuSn系ハンダで接合するようにした。また、対向基板29には、予め選択的エッチングで貫通孔を形成し、前記貫通孔に導電材を埋め込んでビア電極39を形成し、ついで各々のビア電極と導通するように対向電極膜35,36,37及び38を形成しておいた。ビア電極及び対向電極膜35,36,37及び38は、電極膜25,26,27及び28と対向させてキャパシタンスを形成するため、(b)の電極膜のパターンとは鏡像対称のパターンとなるように対向基板29に形成した。その結果、第2の錘部6には電極26zと電極36による静電容量C5が形成され、第2の梁部5の各々には、電極28x1と対向する電極38による静電容量C1、電極28x2と対向する電極38による静電容量C2、電極28y1と対向する電極による静電容量C3、電極28y2と対向する電極による静電容量C4が形成され、C1〜C5の5個の静電容量で3軸を検知する第2の加速度センサ部を構成した。第1の錘部4には電極25z1,25z2,25z3及び25z4と対向する電極による静電容量C10が形成され、第1の梁部3の各々には、電極27x3と対向する電極37による静電容量C6、電極27x4と対向する電極37による静電容量C7、電極27y3と対向する電極による静電容量C8、電極27y4と対向する電極による静電容量C9が形成され、C6〜C10の5個の静電容量で3軸を検知する第1の加速度センサ部を構成した。基板21を用いると、第1の梁部の幅が狭いために電極膜28の面積を大きくすることはできない。したがって、電極膜28と電極膜38間における静電容量は、他の対向する電極膜間における静電容量よりも小さくなる。
他の実施例として、第1の錘及び第2の錘について圧電体薄膜を用いて加速度を検知する方式の一例を図7に示す。図7の(a)は3軸加速度センサ素子用の基板の斜視図、(b)は前記基板に共通電極膜と圧電体薄膜と複数の電極膜を形成した様子を示す上面図、(c)は(b)の錘部側に拘束部材を付加した3軸加速度センサ素子を(b)のA−A’線に沿ってみた断面図である。基板21の構造は、図1(a)の構成から加速度センサ部7及び8を除いた基板だけの構成と同じである。ついで、図7(c)に示すように、基板21の上面には共通電極膜44を全面に形成し、支持枠2の部分よりも内側となるように前記共通電極膜44上に圧電体薄膜49を形成し、ついで前記圧電体薄膜49上に電極膜45,46,47及び48と、配線膜(図示を省略)とを形成した。さらに、基板21の錘側にはスペーサ23を介して拘束部材9を設けることで、加速度センサ素子を構成した。基板21を用いると、第1の梁部の幅が狭いため、電極膜48の面積を大きくできず、電極膜48と共通電極膜44とそれらに挟まれた部分の圧電体薄膜49によって構成される圧電体素子は、他の電極膜と共通電極膜34とそれらに挟まれた部分の圧電体薄膜44によって構成される圧電体素子よりも小さくなる。
比較例1について図8を用いて説明する。図8の(a)は2軸加速度センサ素子の斜視図、(b)はその上面図、(c)は(b)のA−A’線に沿った断面図である。図8の加速度センサ素子111では、略正方形形状の支持枠102の内側に、4つの可撓性を有する第1の梁部103を介して第1の錘部104が保持されている。さらに、前記第1の錘部104の内側に、4つの可撓性を有する第2の梁部105を介して第2の錘部106が保持されている。2つの錘部が、いわゆる入れ子状に配置されている。しかしながら、比較例1は次の点で実施例1とは異なる。すなわち、第1の梁部103のうち、対向する1対の梁部は幅が細いため、加速度センサ部107が設けられていない。第2の梁部105のうち、対向する1対の梁部は幅が細いため、加速度センサ部108が設けられていない。幅の狭い梁があるため、素子面積に制限があって検知軸が2軸となり、3軸加速度センサとしては使用できない。
比較例2について図9を用いて説明する。図9の(a)は3軸加速度センサ素子の斜視図、(b)はその上面図、(c)は(b)のA−A’線に沿った断面図である。図9の加速度センサ素子211では、略正方形形状の支持枠202の内側に、4つの可撓性を有する第1の梁部203を介して第1の錘部204が保持されている。さらに、前記第1の錘部204の内側に、4つの可撓性を有する第2の梁部205を介して第2の錘部206が保持されている。2つの錘部が、いわゆる入れ子状に配置されている。しかしながら、比較例2は次の点で実施例1とは異なる。すなわち、加速度センサ部207を有する第1の梁部203のうち、対向する1対の梁部は幅が細く、幅が太い方の1対の梁部とは非対称になっている。加速度センサ部208を有する第2の梁部105のうち、対向する1対の梁部は幅が細く、幅が太い方の1対の梁部とは非対称になっている。梁の幅が非対称であるため、入れ子状の形状であっても、X軸とY軸の感度が異なり、実用的な低感度出力及び高感度出力を精度よく得ることが困難である。この3軸加速度センサ素子に出力の軸方向感度を校正する回路を付加すると、装置の小型化が困難であるだけでなく、センサ素子1個づつ感度調整することが必要となり実用的ではない。
実施例1における梁の厚さの関係のみを変えて実施例7及び実施例8の加速度センサを作製した。実施例7は第2の梁部の厚さを第1の梁部と同じ厚さとし、実施例8は第2の梁部の厚さを第1の梁部の厚さよりも薄くした。評価結果を表2に示す。実施例1の製造工程では、厚い第2の梁部を得るエッチングと、薄い第1の梁部を得るエッチングと、梁部を設ける基板を貫通するエッチングとを要するため、エッチングの工数が多くなってしまう。エッチング毎にレジスト形成等のプロセスも付随するため、全体の工数も急激に増大する。これに対して、実施例7の製造工程では、第2及び第1の梁部を得るエッチングと、梁部を設ける基板を貫通するエッチングとを要するが、実施例1よりも工数が少なくて済む。検出する加速度のレンジに広さや低感度域と高感度域分離について、実施例7は実施例1よりも劣るが実用可能な範囲である。実施例8はレンジが狭くなり、低感度域と高感度域の明確な分離が難しくなった。なお、表2において、狭幅梁厚=広幅梁厚とは、第2の梁部と第1の梁部を1回のエッチングで同時に形成した構造であることを意味する。
2:支持枠
3:第1の梁部
4:第1の錘部
5:第2の梁部
6:第2の錘部
7:第1の加速度センサ部
8:第2の加速度センサ部
9、10、14、16:拘束部材
12:接着剤
13:スペーサ
15:保護ケース蓋
18:保護ケース
19:端子形成部
Claims (5)
- 支持枠と、可撓性を有する第1の梁部を介して前記支持枠に保持される第1の錘部と、可撓性を有する第2の梁部を介して前記第1の錘部に保持される第2の錘部とを有し、前記第1の錘部は前記支持枠の内側に配置されるとともに前記第2の錘部は前記第1の錘部の内側に配置され、前記第1の梁部および第2の梁部に、それぞれ第1の加速度センサ部および第2の加速度センサ部が設けられた加速度センサ。
- 作用する加速度に対して前記第1の加速度センサ部が検出する第1の梁部の歪の大きさと、前記第2の加速度センサ部が検出する第2の梁部の歪の大きさが異なることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ。
- 前記第1の加速度センサ部が検出する第1の梁部の歪の大きさが、前記第2の加速度センサ部が検出する第2の梁部の歪の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の加速度センサ。
- 前記第1の加速度センサ部が検出できる最大加速度の大きさと、前記第2の加速度センサ部が検出できる最大加速度の大きさとは100倍以上の差があることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加速度センサ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の加速度センサと、前記第1の加速度センサ部と第2の加速度センサ部のうち、少なくとも、より大きな加速度を検出できる加速度センサ部の検出出力を記憶する記憶部とを有する電子機器。
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