JP2004184081A - 加速度センサー - Google Patents
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Abstract
【課題】加速度センサー素子の耐衝撃性を上げるため、錘部の動きを規制する規制板が設けられるが、規制板が加速度センサー素子の端子や配線パターン、ワイヤーと干渉し規制板と錘部の間隙が不安定になり耐衝撃性に不安があった。また、ワイヤー接続や規制板付加等の作業性が悪いだけでなく、加速度センサー素子の小型化を阻害している。
【解決手段】四隅の接着部を除いた個所に切り欠き部を設けた規制板を用いることで、端子や配線パターン、ワイヤーと干渉を避けることができる。また、配線パターン上に樹脂の付着があっても、規制板と錘部の間隙を確保でき、小型、高感度で高耐衝撃性の加速度センサーを安価に提供できる。
【選択図】 図1
【解決手段】四隅の接着部を除いた個所に切り欠き部を設けた規制板を用いることで、端子や配線パターン、ワイヤーと干渉を避けることができる。また、配線パターン上に樹脂の付着があっても、規制板と錘部の間隙を確保でき、小型、高感度で高耐衝撃性の加速度センサーを安価に提供できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、航空機、携帯端末機器、玩具等に用いられる加速度検出用の半導体加速度センサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加速度センサーは、エアーバッグ作動用に多く用いられ自動車衝突した衝撃を加速度としてとらえていた。自動車ではX軸,Y軸の加速度を測定するため1軸もしくは2軸機能で充分であった。また、測定する加速度が非常に大きいため、加速度を検知する加速度センサー素子も頑丈に製作されている。最近は、携帯端末機器やロボット等にも使用されることが多くなり、空間の動きを検出するためX,Y,Z軸の加速度を測定する3軸加速度センサーが要求されてきている。また、微小な加速度を検出するために高分解能で、小型であることが要求されている。
【0003】
加速度は可撓部の動きを電気信号に変換する方法で、ピエゾ抵抗型、静電容量型、圧電型に大別され、センサーの出力の大きさや応答周波数特性、耐電磁ノイズ、出力の直線性、静止加速度の検出、温度特性等を考慮し選ばれている。小型で高感度の要求から微細加工が必要なため、シリコン基板にフォトリソ技術を用い形状を形成し、半導体技術でシリコンに不純物を打ち込みピエゾ抵抗を形成するピエゾ抵抗型3軸加速度センサーが実用化されてきている。
【0004】
加速度センサー素子の拡大図を図6a)に示す。加速度センサー素子1は、錘部11を支える可撓部13、可撓部13を支える支持枠12から構成され、可撓部13にはピエゾ抵抗素子9が設けられている。ピエゾ抵抗素子は端子14に配線パターン31で接続されている。外力を加速度センサー素子が受けた時の錘部と可撓部の動きを、図6のk−k’断面を使って図6b)からd)に示す。図6b)は外力が加わっていない状態で可撓部13はほぼ水平の状態である。このときの錘部の角部位置をA0とする。図6c)は加速度センサー素子の横方向から外力が加わったときの、錘部と可撓部の形状を模式的に表している。錘部が左右に動かされ一方の可撓部が下に、他方が上に撓みピエゾ抵抗素子の抵抗が変化してX軸方向、Y軸方向の加速度に応じた電圧として検出される。このときの錘部の角部位置をA1とする。図6d)は、加速度センサー素子の上下方向から外力が加わったときの、錘部と可撓部の形状を模式的に表している。このときの錘部の角部位置をA2とする。左右の可撓部は同一方向に撓みZ軸方向の加速度を検知することができる。可撓部の寸法や印加された加速度によって決まるが、加速度センサー素子に2000GかかるとA0とA1の位置は約40μm、A0とA2の位置は約25μmと大きく変動することとなる。
【0005】
加速度センサー素子の感度は、可撓部の撓み易さで決まるため、可撓部の長さが長く、幅が狭く、厚みが薄いほど向上するものである。そのため、高感度品では可撓部の長さは500〜700μm、幅は80〜120μm、厚みは5〜10μmと非常に薄っぺらくなっている。このため、シリコンで形成された可撓部は20μm程度変形すると折れてしまい、加速度センサー素子としての機能が失われてしまう。加速度センサーの感度を上げることと、測定できる加速度の上限は相反することとなる。加速度センサーが携帯機器等に用いられ落下衝撃に耐えられる様にするには、加速度センサーの感度を下げざるを得なかった。
【0006】
高感度で落下衝撃に耐えられる加速度センサーを得るため、錘部の動く量を強制的に抑えるための規制板を設けることが行われている。規制板を付加した構造および接着剤に混練された硬質プラスチック球の直径が錘部11と保護ケースの内底との間隙g”および錘部と規制板33との間隙g’を規制する方法が特開平4−274005号と特開平8−233851号公報に記載されている。図6a)b)に錘部の動きを規制した加速度センサーの断面構造を示す。加速度センサー素子1の上下に規制板33が設けられ、規制板33と錘部11の間隔g1,g2は、接着材7の厚みで規制されている。接着剤7は厚みを制御するため間隔g1,g2に相当する硬質プラスチック球が含有されている。開示されている構造はいずれも加速度センサー素子部近傍の断面図であり、ピエゾ抵抗素子と保護ケースとの電気的接続を行うワイヤーの記載は省略されている。高感度で落下衝撃に耐えられる加速度センサーを得るため、規制版を設けた構造が多く採用されている。
【0007】
従来の加速度センサーの展開図を図4に示す。図4において加速度センサー素子1のピエゾ抵抗素子(図示せず)は、配線パターン31で加速度センサー素子の端子14に接続されている。加速度センサー素子の端子14はワイヤー4で保護ケース2の端子5に接続され外部端子6に接続される。加速度センサーの支持枠部に所定の間隙を保つようにスペーサー(図示せず)を介し規制板33が接着剤(図示せず)で固着されている。加速度センサー素子1は、保護ケース2の内底に加速度センサー素子と内底が所定の間隙を保つようにスペーサー(図示せず)を介し接着剤(図示せず)で固着されている。保護ケース蓋3を保護ケース2に固着密封され加速度センサー10が構成されている。
【0008】
図5に図4のj−j’断面を示す。加速度センサー素子1は、錘部11と支持枠12、可撓部13から成っている。可撓部13のワイヤー4接続面にはピエゾ抵抗素子(図示せず)と配線パターン31(図示せず)が形成されている。支持枠12上面には配線パターン31と端子14が形成され、端子14と端子5はワイヤー4で接続されているものである。保護ケース2の内底と支持枠、支持枠と規制板は硬質プラチック球を混練した樹脂接着剤7で固着される。接着剤に混練された硬質プラスチック球の直径が錘部11と保護ケースの内底との間隙g”および錘部と規制板33との間隙g’を規制するものである。この間隙g’、g”は過度な加速度が加速度センサーに加わったとき、錘部の動き量を規制して可撓部13の破損を防ぐものである。保護ケース2と保護ケース蓋3は接着剤7’で固着されている。加速度センサー素子に外力が加わると、可撓部13に吊り下げられた錘部11が動き可撓部13を撓ませ、その撓み量をピエゾ抵抗素子で感知し電圧として出力するものである。
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
略方形の規制板33を支持枠に硬質プラスチック球を混練した樹脂で固着するとき、ワイヤーが邪魔になるだけでなく、間隙より細い径のワイヤーを用いてもワイヤーを端子に超音波溶接した時の接続部盛り上がり高さが間隙より大きくなることは避けられない。ワイヤーの径や接続部の盛り上がり部を避けるため端子32で囲まれる内領域より規制板を小さくする必要がある。しかし、規制板の接着強度を得るためには接着面積を大きくする必要があり、そのため支持枠の寸法が大きくなり小型化を阻害するだけでなく、ウェファーから採れる加速度センサー素子の数が減少し価格を押し上げると言う問題があった。また,加速度センサー素子を小型化するため、加速度センサー素子の外形を小さくし配線パターン上に樹脂を塗布して規制板を固着し、接着面積を大きくすることも行われたが、配線パターン面は凹凸があるため間隙gが不安定になったり、間隙gを得るために規制板を強く樹脂押付ける様に作業すると、樹脂中の硬質プラスチックが配線パターンを傷付けたり、断線させたりすると言う問題点があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ワイヤーの取り回しと接続が容易で、規制板の接着面積および安定した間隙が得られる規制板を有した、小型、高感度で耐衝撃性の高い加速度センサーを安価に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の加速度センサーは、可撓部と錘部、支持枠よりなる加速度センサー素子の錘部の動きを規制する規制板と保護ケース等からなり、加速度センサー素子と保護ケースの端子がワイヤーで接続された加速度センサーであって、規制板の四隅部以外の領域に切り欠き部を設けワイヤーおよび配線パターンと規制板の接触を防止したことを特徴とする。
【0012】
規制板は接着部と錘部と対向する部位の確保と強度が得られれば、切り欠き部の寸法、形状は特に問わないものである。可能な限り切り欠き部を大きくする事で、規制板の重量を下げることができる。略方形の規制板素材の角部を残し、各辺の一部に切り欠き部を設けることで、接着部と錘部に対向する部位を有する規制板が得られる。切り欠き部は方形もしくは半円形、多角形やそれらの組合せを用いることができる。規制板の表裏で切り欠き深さを変えて、傾斜面を有する構造とすることもできる。ワイヤーを接続する端子の上面に規制板がかからない事つまり規制板側から見た時端子が見える様に、切り欠き部を設けることがより好ましいものである。
【0013】
規制板の材質は、ガラスやセラミック、金属を用いることができる。外力が加わったときに規制板が容易に変形しない限り、特に材質選定に制約はない。加速度センサー全体の軽量化を図るには、比重の小さな材料を選択することが好ましい。異常な加速度が加わった時に大きく変位するのは錘部と錘部近傍の可撓部である。可撓部だけでなく錘部にも配線パターンが形成された加速度センサー素子では、金属の規制板を用いると電気的に短絡する可能性もあるため、絶縁性のガラスやセラミックを用いることが好ましい。可撓部や錘部の配線パターンが絶縁膜で保護された加速度センサー素子の場合は、金属の規制板を用いることもできる。
【0014】
規制板の厚みと同じ素材を機械加工や化学エッチング、真空装置を使ったエッチング等で製造することができる。例えば、ガラス板にフォトレジストを塗布し、弗酸を使って化学エッチングすることで、容易にきり欠き部を有する規制板を製作することができる。ガラスやセラミック板をダイアモンド砥石で研削することでも容易に得られるものである。規制板の厚みより厚い素材を用い切り欠き部を形成した後、規制板の厚みになる様に切断や研削を行っても良いが、価格的に高いものとなるため余り好ましい方法ではない。
【0015】
本発明の加速度センサーは、加速度センサー素子の支持枠の配線パターンおよび端子が形成されていない領域に、スペーサーを介して規制板の四隅部を固着することが望ましい。
【0016】
支持枠四隅の端子および配線パターンの無い部位と規制板の接着部を、スペーサーを介して接着することが望ましい。端子および配線パターン部上で接着を行うと間隙gが得られないこととなってしまう。本発明の切り欠き部を有する規制板を用いれば、端子および配線パターン上に接着材が付着しても、切り欠き部領域があるため間隙gは所定の値が得られるため、接着材の塗布作業が容易になる。
【0017】
ワイヤーを接続する端子の上面に規制板がかからない事、つまり規制板側から見た時端子が見える様に切り欠き部が設けられているため、ワイヤーの取り回しの自由度が大きくなるだけでなく、間隙gよりも太いワイヤーを使用でき、電気抵抗を下げることができる。また、ワイヤーの接続部の盛り上がり量も許容されるため、高価な金ワイヤーを超音波ボンディングする必要がなく、銅線を半田付けすることも可能となる。
【0018】
加速度センサー素子上面と規制板の間隙gは、樹脂に硬質プラスチック球やセラミック球、ガラス球を重量で数%から10%程度混練したもので固着することで得ることができる。加速度センサーの軽量化を図るには、比重の小さな硬質プラスチックを用いることが好ましい。加速度センサー素子下面と保護ケース内底との間隙gは、樹脂に硬質プラスチック球やセラミック球、金属球、ガラス球を重量で数%から10%程度混練したもので固着することができる。加速度センサー下面には配線パターンや端子がないので、電気的な絶縁を考慮する必要がないため安価な金属球を用いることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の加速度センサーの実施例について図1、2を用いて説明する。説明を判りやすくするため、従来例と同一の部品には同じ符号を用いている。図1は、本発明の加速度センサーの展開図、図2a)はh−h’断面図であり、図2b)は用いた規制板の斜視図であり、切り欠き部23が4箇所設けられている。図1において加速度センサー素子1の端子14はワイヤー4で保護ケース2の端子5に接続され外部端子6に接続される。規制板21を加速度センサー素子上面に硬質プラスチック球が混練された接着剤7を用いて固着、保護ケース蓋3を保護ケース2に固着密封して加速度センサーを形成した。錘部の素子下面方向の動きの規制は、保護ケース2の内底を利用し、硬質プラスチック球が混練された接着剤7を用いて保護ケース内底と支持枠下面が固着された構造とした。また、ピエゾ抵抗素子の図示は省略している。保護ケース2と保護ケース蓋3は硬質プラスチック球の入っていない樹脂7’で固着した。
【0020】
ピエゾ抵抗素子の製造方法と寸法関係を簡単に説明する。約600μm厚のシリコン板に数μmのシリコン酸化層と10μm程度のシリコン層を有するSOIウェファーを使用した。フォトレジストでパターニング行いシリコン層にボロンを1〜3x1018原子/cm3打ち込みピエゾ抵抗素子を作製、ピエゾ抵抗素子に接続する配線を、金属スパッタ−、ドライエッチング装置を用いて形成した。シリコン層に可撓部と錘部、支持枠をフォトリソとドライエッチング装置を用いて形成した。シリコン酸化層がエッチングストッパーとなるため、エッチングされるのはシリコン層のみである。ピエゾ素子面を下にしてSOIウェファーをダミー基板に接着し、SF6と酸素を導入したプラズマ内でシリコン板の約600μmをエッチングした。可撓部と錘部、支持枠が形成された基板を切断機でチップに分離したのち、溶剤を用い接着樹脂を溶かし加速度センサー素子をダミー基板から取り外した。高感度な加速度センサーを得るため、可撓部の寸法は長さ700μm、幅110μm、厚み6μmと非常に薄く平板なものとなっている。錘部は、一辺の長さを1000μm、支持枠の幅は450μmとし、加速度センサー素子外観形状は3.3mm角厚み約0.6mmとしている。比較のため用いた従来の加速度センサー素子は支持枠の幅を750μmと広くする必要があったので、加速度センサー素子外観形状は3.9mm角厚み約0.6mmとなっている。
【0021】
保護ケース2に接着剤7で加速度センサー素子を間隙10μmで固着したのち、加速度センサー素子の端子14と保護ケース2の端子5をワイヤー4で接続した。ワイヤーはφ25μmの裸金線を用い超音波ボンダーで溶接した。ワイヤーの取り回しは出来得る限り小さくしている。規制板を付加する前に、端子部のワイヤー盛上り量h1、ワイヤーの取り回し高さh2を測定した。加速度センサー素子の四隅に接着剤を塗布し、切り欠き部23を有する規制板21を間隙8μmで固着した後、保護ケース蓋3を接着剤7’で固着し加速度センサーを得た。保護ケース2と保護ケース蓋の接着に用いる接着剤7’には、スペーサーとなる硬質プラスチック球は混練していない。
【0022】
図8に盛上り量h1とワイヤー取り回し高さh2を示す。端子にワイヤーを超音波ボンディング行うとき、超音波ウェッジツールでワイヤーを端子に押さえ込むため、ワイヤーの端部が盛り上がる。特に超音波ウェッジツールとワイヤー端部の距離をワイヤー径以下にしないと盛上り量h1は大きくなってしまう。盛上り量はワイヤーの端部側の端子面からの高さで規定した。ワイヤーの取り回し高さh2は、ワイヤー径つまりワイヤーの剛性で主に決まってしまう。ワイヤーを直線的に接続する場合でも、ワイヤーの巻き癖等から実質的に取り回し高さh2が生じてしまうものである。
【0023】
本発明の切り欠き部を有する規制板21と3.3mm角の外寸の小型加速度センサー素子の組合せAと、比較のため従来の方形平板の規制板33と3.9mm角の加速度センサー素子の組合せBを、各々200個製作した。盛上り量h1は、A,Bとも30から50μmであった。ワイヤー取り回し高さh2は、A,Bとも100から270μmであった。h1,h2の分布は正規分布をしており、A,Bで殆ど差がなかった。規制板の接着作業時間を調べたところ、Aはワイヤー取り回し状態を気にすることなく作業できたため、Bに比べ約20%の作業時間の短縮ができた。
【0024】
A,Bの加速度センサーに、5G,10G,20Gの加速度を与え、出力、ノイズレベルを測定したがいずれも不良品の発生は無かった。これらの試験の後、厚さ100mmの板に高さ1mから加速度センサーを自然落下させ耐衝撃性を測定した。この高さから落下させると約1500から2000Gの衝撃が加速度センサーに加わる。加速度印加時の出力、ノイズレベルは仕様値に入って入れは良品とした。耐衝撃性は落下後の出力が有るか否かで判断し、出力が無い加速度センサーは破壊したと判定し、出力のあるものを良品と判断した。Aの200個は衝撃試験後の出力、ノイズレベルは衝撃試験前と同じであり、耐衝撃性に問題ないことが確認された。Bの200個のうち3個が衝撃試験後2個に出力、1個にノイズレベルに異常が見られた。異常のあった3個の加速度センサーを分解して調査したところ、出力異常品はいずれも可撓部と錘部の境界部で破損していた。ノイズレベル異常品は可撓部と指示枠の境界部にクラックが認められた。詳細に破損とクラックの原因を調査したところ規制板と錘部との間隙gが設定の8μmより大きくなっていた。破損した2個は14μm、クラックの1個は12μmの間隙となっていたため、衝撃試験で錘部の動きが大きくなり破損やクラックが発生したものであった。間隙gを大きくした原因は、配線パターン上に樹脂が流れ込んでいたためであった。耐衝撃性のあった50個の加速度センサーを分解調査した結果、樹脂の量と塗布位置は厳しく管理して作業していても、数%の加速度センサーに発生してしまうことが判った。50個中1個で配線パターン上に樹脂が認められたが、その樹脂中にスペーサーとなる硬質プラスチック樹脂球がなかったため、間隙gは8μmに保たれていたため、衝撃試験で不具合が出なかったものと考えられる。
【0025】
図3a)からd)に示す規制板を用いて各々100個の加速度センサーを作製し、作業性、出力、ノイズレベル、耐衝撃性を試験した。図7a)は切り欠き部を深くし十字の交差部方形を錘部と同一寸法とした形状、図7b)は切り込み部に曲面を設けた形状、図7c)は切り込み部の表裏で傾斜を形成した形状、図7d)は2段切り込み部を有する形状である。試験結果は前述した実施例と同じで、出力、ノイズレベル、耐衝撃性で不良となる加速度センサーはなかった。また、作業性も前述実施例と同様従来に比べ約20%組立作業時間を短縮できた。
【0026】
次に、ワイヤー接続と規制板の接着作業順を入れ替えて、切り欠き部を有する規制板の効果を試験した。加速度センサー素子を保護ケース内底に接着する工程の後に、規制板をワイヤー接続前に接着することで、樹脂を硬化させる工程を同時にできるため硬化作業工程を一回減らすことができる。しかし、従来の構造の規制板では超音波ボンダーのウェッジツールが規制板の接触し、ワイヤーを端子に確実に接続することが難しかっただけでなく、ワイヤーの取り回しにも制約が多かったため、なかなか実現できなかった。図3a)に示す本発明の規制板を支持枠に固着した後、ワイヤー接続を行った。規制板に切り欠き部が設けられているため、超音波ボンダーのウェッジツールが規制板に当たることがなく、確実にワイヤーを端子に熔接することができた。また、切り欠き部があるためワイヤーの取り回しの自由度が上がり作業も非常にやり易くなった。硬化作業工程回数の減と作業のやり易さで、従来の作業工数に対し約30%組立作業時間を短縮できた。
【0027】
【発明の効果】
四隅の接着部を除いた個所に切り欠き部を設けた規制板を用いることで、ワイヤーの取り回しを気にせず規制板を支持枠に固着でき、従来の規制板に比べ約20から約30%の作業時間短縮が可能となった。切り欠き部を有する規制板を使用することで、加速度センサー素子を小さくできウェファーから採れる加速度センサー素子数が増加した。また、配線パターン上に樹脂の付着があっても、規制板と錘部の間隙gを容易に確保でき、小型、高感度で高耐衝撃性の加速度センサーを安価に提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加速度センサーの展開図である。
【図2】本発明の加速度センサーの断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す規制板の斜視図である。
【図4】従来の加速度センサーの展開図である。
【図5】従来の加速度センサーの断面図である。
【図6】加速度センサー素子と錘部と可撓部の動きを説明する図である。
【図7】従来の規制板付き加速度センサー素子部の断面図である。
【図8】盛り上がり量とワイヤー取り回し高さを説明する図である。
【符号の説明】
1 加速度センサー素子、2 保護ケース、3 保護ケース蓋、
4 ワイヤー、5 端子、6 外部端子、7,7’ 接着剤、
9 ピエゾ抵抗素子、10 加速度センサー、11 錘部、12 支持枠、
13 可撓部、14 端子、21 規制板、23 切り欠き部、
31 配線パターン、33 規制板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、航空機、携帯端末機器、玩具等に用いられる加速度検出用の半導体加速度センサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加速度センサーは、エアーバッグ作動用に多く用いられ自動車衝突した衝撃を加速度としてとらえていた。自動車ではX軸,Y軸の加速度を測定するため1軸もしくは2軸機能で充分であった。また、測定する加速度が非常に大きいため、加速度を検知する加速度センサー素子も頑丈に製作されている。最近は、携帯端末機器やロボット等にも使用されることが多くなり、空間の動きを検出するためX,Y,Z軸の加速度を測定する3軸加速度センサーが要求されてきている。また、微小な加速度を検出するために高分解能で、小型であることが要求されている。
【0003】
加速度は可撓部の動きを電気信号に変換する方法で、ピエゾ抵抗型、静電容量型、圧電型に大別され、センサーの出力の大きさや応答周波数特性、耐電磁ノイズ、出力の直線性、静止加速度の検出、温度特性等を考慮し選ばれている。小型で高感度の要求から微細加工が必要なため、シリコン基板にフォトリソ技術を用い形状を形成し、半導体技術でシリコンに不純物を打ち込みピエゾ抵抗を形成するピエゾ抵抗型3軸加速度センサーが実用化されてきている。
【0004】
加速度センサー素子の拡大図を図6a)に示す。加速度センサー素子1は、錘部11を支える可撓部13、可撓部13を支える支持枠12から構成され、可撓部13にはピエゾ抵抗素子9が設けられている。ピエゾ抵抗素子は端子14に配線パターン31で接続されている。外力を加速度センサー素子が受けた時の錘部と可撓部の動きを、図6のk−k’断面を使って図6b)からd)に示す。図6b)は外力が加わっていない状態で可撓部13はほぼ水平の状態である。このときの錘部の角部位置をA0とする。図6c)は加速度センサー素子の横方向から外力が加わったときの、錘部と可撓部の形状を模式的に表している。錘部が左右に動かされ一方の可撓部が下に、他方が上に撓みピエゾ抵抗素子の抵抗が変化してX軸方向、Y軸方向の加速度に応じた電圧として検出される。このときの錘部の角部位置をA1とする。図6d)は、加速度センサー素子の上下方向から外力が加わったときの、錘部と可撓部の形状を模式的に表している。このときの錘部の角部位置をA2とする。左右の可撓部は同一方向に撓みZ軸方向の加速度を検知することができる。可撓部の寸法や印加された加速度によって決まるが、加速度センサー素子に2000GかかるとA0とA1の位置は約40μm、A0とA2の位置は約25μmと大きく変動することとなる。
【0005】
加速度センサー素子の感度は、可撓部の撓み易さで決まるため、可撓部の長さが長く、幅が狭く、厚みが薄いほど向上するものである。そのため、高感度品では可撓部の長さは500〜700μm、幅は80〜120μm、厚みは5〜10μmと非常に薄っぺらくなっている。このため、シリコンで形成された可撓部は20μm程度変形すると折れてしまい、加速度センサー素子としての機能が失われてしまう。加速度センサーの感度を上げることと、測定できる加速度の上限は相反することとなる。加速度センサーが携帯機器等に用いられ落下衝撃に耐えられる様にするには、加速度センサーの感度を下げざるを得なかった。
【0006】
高感度で落下衝撃に耐えられる加速度センサーを得るため、錘部の動く量を強制的に抑えるための規制板を設けることが行われている。規制板を付加した構造および接着剤に混練された硬質プラスチック球の直径が錘部11と保護ケースの内底との間隙g”および錘部と規制板33との間隙g’を規制する方法が特開平4−274005号と特開平8−233851号公報に記載されている。図6a)b)に錘部の動きを規制した加速度センサーの断面構造を示す。加速度センサー素子1の上下に規制板33が設けられ、規制板33と錘部11の間隔g1,g2は、接着材7の厚みで規制されている。接着剤7は厚みを制御するため間隔g1,g2に相当する硬質プラスチック球が含有されている。開示されている構造はいずれも加速度センサー素子部近傍の断面図であり、ピエゾ抵抗素子と保護ケースとの電気的接続を行うワイヤーの記載は省略されている。高感度で落下衝撃に耐えられる加速度センサーを得るため、規制版を設けた構造が多く採用されている。
【0007】
従来の加速度センサーの展開図を図4に示す。図4において加速度センサー素子1のピエゾ抵抗素子(図示せず)は、配線パターン31で加速度センサー素子の端子14に接続されている。加速度センサー素子の端子14はワイヤー4で保護ケース2の端子5に接続され外部端子6に接続される。加速度センサーの支持枠部に所定の間隙を保つようにスペーサー(図示せず)を介し規制板33が接着剤(図示せず)で固着されている。加速度センサー素子1は、保護ケース2の内底に加速度センサー素子と内底が所定の間隙を保つようにスペーサー(図示せず)を介し接着剤(図示せず)で固着されている。保護ケース蓋3を保護ケース2に固着密封され加速度センサー10が構成されている。
【0008】
図5に図4のj−j’断面を示す。加速度センサー素子1は、錘部11と支持枠12、可撓部13から成っている。可撓部13のワイヤー4接続面にはピエゾ抵抗素子(図示せず)と配線パターン31(図示せず)が形成されている。支持枠12上面には配線パターン31と端子14が形成され、端子14と端子5はワイヤー4で接続されているものである。保護ケース2の内底と支持枠、支持枠と規制板は硬質プラチック球を混練した樹脂接着剤7で固着される。接着剤に混練された硬質プラスチック球の直径が錘部11と保護ケースの内底との間隙g”および錘部と規制板33との間隙g’を規制するものである。この間隙g’、g”は過度な加速度が加速度センサーに加わったとき、錘部の動き量を規制して可撓部13の破損を防ぐものである。保護ケース2と保護ケース蓋3は接着剤7’で固着されている。加速度センサー素子に外力が加わると、可撓部13に吊り下げられた錘部11が動き可撓部13を撓ませ、その撓み量をピエゾ抵抗素子で感知し電圧として出力するものである。
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
略方形の規制板33を支持枠に硬質プラスチック球を混練した樹脂で固着するとき、ワイヤーが邪魔になるだけでなく、間隙より細い径のワイヤーを用いてもワイヤーを端子に超音波溶接した時の接続部盛り上がり高さが間隙より大きくなることは避けられない。ワイヤーの径や接続部の盛り上がり部を避けるため端子32で囲まれる内領域より規制板を小さくする必要がある。しかし、規制板の接着強度を得るためには接着面積を大きくする必要があり、そのため支持枠の寸法が大きくなり小型化を阻害するだけでなく、ウェファーから採れる加速度センサー素子の数が減少し価格を押し上げると言う問題があった。また,加速度センサー素子を小型化するため、加速度センサー素子の外形を小さくし配線パターン上に樹脂を塗布して規制板を固着し、接着面積を大きくすることも行われたが、配線パターン面は凹凸があるため間隙gが不安定になったり、間隙gを得るために規制板を強く樹脂押付ける様に作業すると、樹脂中の硬質プラスチックが配線パターンを傷付けたり、断線させたりすると言う問題点があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ワイヤーの取り回しと接続が容易で、規制板の接着面積および安定した間隙が得られる規制板を有した、小型、高感度で耐衝撃性の高い加速度センサーを安価に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の加速度センサーは、可撓部と錘部、支持枠よりなる加速度センサー素子の錘部の動きを規制する規制板と保護ケース等からなり、加速度センサー素子と保護ケースの端子がワイヤーで接続された加速度センサーであって、規制板の四隅部以外の領域に切り欠き部を設けワイヤーおよび配線パターンと規制板の接触を防止したことを特徴とする。
【0012】
規制板は接着部と錘部と対向する部位の確保と強度が得られれば、切り欠き部の寸法、形状は特に問わないものである。可能な限り切り欠き部を大きくする事で、規制板の重量を下げることができる。略方形の規制板素材の角部を残し、各辺の一部に切り欠き部を設けることで、接着部と錘部に対向する部位を有する規制板が得られる。切り欠き部は方形もしくは半円形、多角形やそれらの組合せを用いることができる。規制板の表裏で切り欠き深さを変えて、傾斜面を有する構造とすることもできる。ワイヤーを接続する端子の上面に規制板がかからない事つまり規制板側から見た時端子が見える様に、切り欠き部を設けることがより好ましいものである。
【0013】
規制板の材質は、ガラスやセラミック、金属を用いることができる。外力が加わったときに規制板が容易に変形しない限り、特に材質選定に制約はない。加速度センサー全体の軽量化を図るには、比重の小さな材料を選択することが好ましい。異常な加速度が加わった時に大きく変位するのは錘部と錘部近傍の可撓部である。可撓部だけでなく錘部にも配線パターンが形成された加速度センサー素子では、金属の規制板を用いると電気的に短絡する可能性もあるため、絶縁性のガラスやセラミックを用いることが好ましい。可撓部や錘部の配線パターンが絶縁膜で保護された加速度センサー素子の場合は、金属の規制板を用いることもできる。
【0014】
規制板の厚みと同じ素材を機械加工や化学エッチング、真空装置を使ったエッチング等で製造することができる。例えば、ガラス板にフォトレジストを塗布し、弗酸を使って化学エッチングすることで、容易にきり欠き部を有する規制板を製作することができる。ガラスやセラミック板をダイアモンド砥石で研削することでも容易に得られるものである。規制板の厚みより厚い素材を用い切り欠き部を形成した後、規制板の厚みになる様に切断や研削を行っても良いが、価格的に高いものとなるため余り好ましい方法ではない。
【0015】
本発明の加速度センサーは、加速度センサー素子の支持枠の配線パターンおよび端子が形成されていない領域に、スペーサーを介して規制板の四隅部を固着することが望ましい。
【0016】
支持枠四隅の端子および配線パターンの無い部位と規制板の接着部を、スペーサーを介して接着することが望ましい。端子および配線パターン部上で接着を行うと間隙gが得られないこととなってしまう。本発明の切り欠き部を有する規制板を用いれば、端子および配線パターン上に接着材が付着しても、切り欠き部領域があるため間隙gは所定の値が得られるため、接着材の塗布作業が容易になる。
【0017】
ワイヤーを接続する端子の上面に規制板がかからない事、つまり規制板側から見た時端子が見える様に切り欠き部が設けられているため、ワイヤーの取り回しの自由度が大きくなるだけでなく、間隙gよりも太いワイヤーを使用でき、電気抵抗を下げることができる。また、ワイヤーの接続部の盛り上がり量も許容されるため、高価な金ワイヤーを超音波ボンディングする必要がなく、銅線を半田付けすることも可能となる。
【0018】
加速度センサー素子上面と規制板の間隙gは、樹脂に硬質プラスチック球やセラミック球、ガラス球を重量で数%から10%程度混練したもので固着することで得ることができる。加速度センサーの軽量化を図るには、比重の小さな硬質プラスチックを用いることが好ましい。加速度センサー素子下面と保護ケース内底との間隙gは、樹脂に硬質プラスチック球やセラミック球、金属球、ガラス球を重量で数%から10%程度混練したもので固着することができる。加速度センサー下面には配線パターンや端子がないので、電気的な絶縁を考慮する必要がないため安価な金属球を用いることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の加速度センサーの実施例について図1、2を用いて説明する。説明を判りやすくするため、従来例と同一の部品には同じ符号を用いている。図1は、本発明の加速度センサーの展開図、図2a)はh−h’断面図であり、図2b)は用いた規制板の斜視図であり、切り欠き部23が4箇所設けられている。図1において加速度センサー素子1の端子14はワイヤー4で保護ケース2の端子5に接続され外部端子6に接続される。規制板21を加速度センサー素子上面に硬質プラスチック球が混練された接着剤7を用いて固着、保護ケース蓋3を保護ケース2に固着密封して加速度センサーを形成した。錘部の素子下面方向の動きの規制は、保護ケース2の内底を利用し、硬質プラスチック球が混練された接着剤7を用いて保護ケース内底と支持枠下面が固着された構造とした。また、ピエゾ抵抗素子の図示は省略している。保護ケース2と保護ケース蓋3は硬質プラスチック球の入っていない樹脂7’で固着した。
【0020】
ピエゾ抵抗素子の製造方法と寸法関係を簡単に説明する。約600μm厚のシリコン板に数μmのシリコン酸化層と10μm程度のシリコン層を有するSOIウェファーを使用した。フォトレジストでパターニング行いシリコン層にボロンを1〜3x1018原子/cm3打ち込みピエゾ抵抗素子を作製、ピエゾ抵抗素子に接続する配線を、金属スパッタ−、ドライエッチング装置を用いて形成した。シリコン層に可撓部と錘部、支持枠をフォトリソとドライエッチング装置を用いて形成した。シリコン酸化層がエッチングストッパーとなるため、エッチングされるのはシリコン層のみである。ピエゾ素子面を下にしてSOIウェファーをダミー基板に接着し、SF6と酸素を導入したプラズマ内でシリコン板の約600μmをエッチングした。可撓部と錘部、支持枠が形成された基板を切断機でチップに分離したのち、溶剤を用い接着樹脂を溶かし加速度センサー素子をダミー基板から取り外した。高感度な加速度センサーを得るため、可撓部の寸法は長さ700μm、幅110μm、厚み6μmと非常に薄く平板なものとなっている。錘部は、一辺の長さを1000μm、支持枠の幅は450μmとし、加速度センサー素子外観形状は3.3mm角厚み約0.6mmとしている。比較のため用いた従来の加速度センサー素子は支持枠の幅を750μmと広くする必要があったので、加速度センサー素子外観形状は3.9mm角厚み約0.6mmとなっている。
【0021】
保護ケース2に接着剤7で加速度センサー素子を間隙10μmで固着したのち、加速度センサー素子の端子14と保護ケース2の端子5をワイヤー4で接続した。ワイヤーはφ25μmの裸金線を用い超音波ボンダーで溶接した。ワイヤーの取り回しは出来得る限り小さくしている。規制板を付加する前に、端子部のワイヤー盛上り量h1、ワイヤーの取り回し高さh2を測定した。加速度センサー素子の四隅に接着剤を塗布し、切り欠き部23を有する規制板21を間隙8μmで固着した後、保護ケース蓋3を接着剤7’で固着し加速度センサーを得た。保護ケース2と保護ケース蓋の接着に用いる接着剤7’には、スペーサーとなる硬質プラスチック球は混練していない。
【0022】
図8に盛上り量h1とワイヤー取り回し高さh2を示す。端子にワイヤーを超音波ボンディング行うとき、超音波ウェッジツールでワイヤーを端子に押さえ込むため、ワイヤーの端部が盛り上がる。特に超音波ウェッジツールとワイヤー端部の距離をワイヤー径以下にしないと盛上り量h1は大きくなってしまう。盛上り量はワイヤーの端部側の端子面からの高さで規定した。ワイヤーの取り回し高さh2は、ワイヤー径つまりワイヤーの剛性で主に決まってしまう。ワイヤーを直線的に接続する場合でも、ワイヤーの巻き癖等から実質的に取り回し高さh2が生じてしまうものである。
【0023】
本発明の切り欠き部を有する規制板21と3.3mm角の外寸の小型加速度センサー素子の組合せAと、比較のため従来の方形平板の規制板33と3.9mm角の加速度センサー素子の組合せBを、各々200個製作した。盛上り量h1は、A,Bとも30から50μmであった。ワイヤー取り回し高さh2は、A,Bとも100から270μmであった。h1,h2の分布は正規分布をしており、A,Bで殆ど差がなかった。規制板の接着作業時間を調べたところ、Aはワイヤー取り回し状態を気にすることなく作業できたため、Bに比べ約20%の作業時間の短縮ができた。
【0024】
A,Bの加速度センサーに、5G,10G,20Gの加速度を与え、出力、ノイズレベルを測定したがいずれも不良品の発生は無かった。これらの試験の後、厚さ100mmの板に高さ1mから加速度センサーを自然落下させ耐衝撃性を測定した。この高さから落下させると約1500から2000Gの衝撃が加速度センサーに加わる。加速度印加時の出力、ノイズレベルは仕様値に入って入れは良品とした。耐衝撃性は落下後の出力が有るか否かで判断し、出力が無い加速度センサーは破壊したと判定し、出力のあるものを良品と判断した。Aの200個は衝撃試験後の出力、ノイズレベルは衝撃試験前と同じであり、耐衝撃性に問題ないことが確認された。Bの200個のうち3個が衝撃試験後2個に出力、1個にノイズレベルに異常が見られた。異常のあった3個の加速度センサーを分解して調査したところ、出力異常品はいずれも可撓部と錘部の境界部で破損していた。ノイズレベル異常品は可撓部と指示枠の境界部にクラックが認められた。詳細に破損とクラックの原因を調査したところ規制板と錘部との間隙gが設定の8μmより大きくなっていた。破損した2個は14μm、クラックの1個は12μmの間隙となっていたため、衝撃試験で錘部の動きが大きくなり破損やクラックが発生したものであった。間隙gを大きくした原因は、配線パターン上に樹脂が流れ込んでいたためであった。耐衝撃性のあった50個の加速度センサーを分解調査した結果、樹脂の量と塗布位置は厳しく管理して作業していても、数%の加速度センサーに発生してしまうことが判った。50個中1個で配線パターン上に樹脂が認められたが、その樹脂中にスペーサーとなる硬質プラスチック樹脂球がなかったため、間隙gは8μmに保たれていたため、衝撃試験で不具合が出なかったものと考えられる。
【0025】
図3a)からd)に示す規制板を用いて各々100個の加速度センサーを作製し、作業性、出力、ノイズレベル、耐衝撃性を試験した。図7a)は切り欠き部を深くし十字の交差部方形を錘部と同一寸法とした形状、図7b)は切り込み部に曲面を設けた形状、図7c)は切り込み部の表裏で傾斜を形成した形状、図7d)は2段切り込み部を有する形状である。試験結果は前述した実施例と同じで、出力、ノイズレベル、耐衝撃性で不良となる加速度センサーはなかった。また、作業性も前述実施例と同様従来に比べ約20%組立作業時間を短縮できた。
【0026】
次に、ワイヤー接続と規制板の接着作業順を入れ替えて、切り欠き部を有する規制板の効果を試験した。加速度センサー素子を保護ケース内底に接着する工程の後に、規制板をワイヤー接続前に接着することで、樹脂を硬化させる工程を同時にできるため硬化作業工程を一回減らすことができる。しかし、従来の構造の規制板では超音波ボンダーのウェッジツールが規制板の接触し、ワイヤーを端子に確実に接続することが難しかっただけでなく、ワイヤーの取り回しにも制約が多かったため、なかなか実現できなかった。図3a)に示す本発明の規制板を支持枠に固着した後、ワイヤー接続を行った。規制板に切り欠き部が設けられているため、超音波ボンダーのウェッジツールが規制板に当たることがなく、確実にワイヤーを端子に熔接することができた。また、切り欠き部があるためワイヤーの取り回しの自由度が上がり作業も非常にやり易くなった。硬化作業工程回数の減と作業のやり易さで、従来の作業工数に対し約30%組立作業時間を短縮できた。
【0027】
【発明の効果】
四隅の接着部を除いた個所に切り欠き部を設けた規制板を用いることで、ワイヤーの取り回しを気にせず規制板を支持枠に固着でき、従来の規制板に比べ約20から約30%の作業時間短縮が可能となった。切り欠き部を有する規制板を使用することで、加速度センサー素子を小さくできウェファーから採れる加速度センサー素子数が増加した。また、配線パターン上に樹脂の付着があっても、規制板と錘部の間隙gを容易に確保でき、小型、高感度で高耐衝撃性の加速度センサーを安価に提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加速度センサーの展開図である。
【図2】本発明の加速度センサーの断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す規制板の斜視図である。
【図4】従来の加速度センサーの展開図である。
【図5】従来の加速度センサーの断面図である。
【図6】加速度センサー素子と錘部と可撓部の動きを説明する図である。
【図7】従来の規制板付き加速度センサー素子部の断面図である。
【図8】盛り上がり量とワイヤー取り回し高さを説明する図である。
【符号の説明】
1 加速度センサー素子、2 保護ケース、3 保護ケース蓋、
4 ワイヤー、5 端子、6 外部端子、7,7’ 接着剤、
9 ピエゾ抵抗素子、10 加速度センサー、11 錘部、12 支持枠、
13 可撓部、14 端子、21 規制板、23 切り欠き部、
31 配線パターン、33 規制板。
Claims (2)
- 可撓部と錘部、支持枠よりなる加速度センサー素子の錘部の動きを規制する規制板と保護ケース等からなり、加速度センサー素子と保護ケースの端子がワイヤーで接続された加速度センサーであって、規制板の四隅部以外の領域に切り欠き部を設けワイヤーおよび配線パターンと規制板の接触を防止したことを特徴とする加速度センサー。
- 加速度センサー素子の支持枠の配線パターンおよび端子が形成されていない領域に、スペーサーを介して規制板の四隅部を固着したことを特徴とする請求項1に記載の加速度センサー。
Priority Applications (5)
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