JP2008133442A - 樹脂組成物、光学材料、及び、該光学材料の制御方法 - Google Patents

樹脂組成物、光学材料、及び、該光学材料の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れ、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な樹脂組成物、光学部材、及び、該光学材料の制御方法を提供する。
【解決手段】有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、該有機樹脂成分は、エポキシ基含有化合物を含むものであり、該オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
aRbYcSiOd
(式中、Rは、飽和脂肪族炭化水素基を表す。Rは、アリール基又はアラルキル基を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原又は水素原子を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で表される樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び光学部材に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な樹脂組成物、光学材料、及び、該光学材料の制御方法に関する。
硬化性樹脂組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等として有用であり、また、塗料や接着剤の材料としても用いられるものである。更に、無機物質が含有された樹脂組成物は、熱膨張率を低下させることができるだけでなく、無機物質と樹脂との屈折率を合わせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。例えば、デジタルカメラモジュールは携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、低コスト化も求められているため無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。近年においては新規用途として車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の車載化ニーズが高まっている。これら用途に適用する際、夏季の高温暴露等を考慮し、長時間の耐熱性が要求されている。従来のプラスチック材料よりも優れた耐熱性を必要とすることから硬化型材料の検討が進んでいる。
硬化性エポキシ樹脂組成物において、機械的特性、耐熱性を改良する目的で、ヒュームドシリカなどの無機充填剤粉末を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)、透明性の改良のために、オルガノシリカゾル、好ましくはMEKゾルとして無機粒子を添加する方法(例えば、特許文献2〜4参照。)、シランカップリング剤で表面処理されたコロイダルシリカを添加する方法(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。
またシリカ等の無機微粒子に代えてオルガノポリシロキサンをエポキシ樹脂の添加剤に用いて、(トリ)アルコキシシラン類を加水分解縮合して得られたポリシロキサンを含有させることにより、硬化物の内部応力を低減したり(例えば、特許文献6参照。)、特定官能基を有するオルガノポリシロキサンを離型剤として含有(例えば、特許文献7参照。)したりすることが開示されている。
特開平6−63502号公報(第1−2頁) 特開2004−250521号公報(第1−2頁) 特開2002−327165号公報(第1−2頁) 特開平3−143915号公報(第1−2頁) 特開2001−187812号公報(第1−2頁) 特開平1−272623号公報(第1−2頁) 特開昭58−69244号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、硬化成形後の成形体の表面及び内部における極めて高度な光学的均質性が必要とされる光学材料に適用するにおいて、上記の先行技術にも問題が潜在していることを見いだした。すなわち、前記シリカを用いた場合や、アミン系、酸無水物系、フェノールノボラック系等の硬化剤、イミダゾールや3級アミン化合物などの硬化促進剤を用いる場合や、官能基を有するポリシロキサンを用いた場合には、常温でも粘度が経時的に増加すること、特に、硬化反応性の高いエポキシ成分を添加したり、硬化剤、硬化促進剤を用いたりしたときに、顕著に増粘すること。したがって、得られる硬化物は、光学的均質性が不充分であったり、硬化剤添加後の経過時間により硬化特性、加工性等が変化するという課題である。したがって、耐熱性等の基本性能を備えたものであって、光学特性を向上させ、種々の光学部材に好適に適用できるように、経時的な増粘やゲル化を充分に抑制し、品質を向上する等において鋭意検討した。製造工程における硬化・加工特性の再現性に優れ、その結果、品質の安定した硬化性樹脂組成物を提供し得る技術、並びに、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れる樹脂組成物、光学材料、及び、該光学材料の制御方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、有機樹脂成分と無機成分とを含む樹脂組成物について種々検討したところ、エポキシ基含有化合物は、成形が容易であり光学用途等種々の用途における材料として有用であることに着目し、有機樹脂成分としてエポキシ基含有化合物を必須とし、無機成分としてオルガノシロキサン化合物を必須とする樹脂組成物を用いると、成形性、硬化性等の作業性、透明性、屈折率等の光学特性、機械的特性が優れたものとなるだけでなく、保存安定性に優れた樹脂組成物となることを見いだした。また、特定の有機樹脂成分と無機成分とを用いることにより、アッベ数や屈折率等の光学特定を所望のものに制御することができ、種々の用途に好適に用いることができる樹脂組成物とすることができることに想到した。更に、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
また本発明者等は、従来の有機樹脂成分と無機成分とを含む樹脂組成物において、光学特性、機械的特性の改善のためにシリカ等の無機充填剤を添加した系においては、硬化反応性の高いエポキシ成分を添加したり、硬化剤、硬化促進剤を用いたりしたときに、加熱しないのに増粘することに着目した。本発明者らは、無機充填剤としてシリカの使用や官能基ポリシロキサンを用いた場合、特にシリカを用いた場合に、常温での経時的な増粘やゲル化がおこり、その結果樹脂組成物の保存安定性を著しく損ね、種々の用途に用いる場合に様々な問題を引き起こすことを見いだし、増粘やゲル化の原因を以下のように推察した。すなわち、無機成分としてシリカ等の無機微粒子を用いる場合には、酸化物の表面シラノール基の酸性、及び、表面処理剤などが増粘やゲル化に影響すると考えられる。硬化剤や硬化促進剤を用いる場合にはその作用により、また、反応性の高い官能基を有するポリシロキサンを用いた場合には官能基の作用により、硬化前の樹脂組成物の粘度の経時的な増加やゲル化が生じると考えられる。したがって、無機成分として、反応性の低い有機基を官能基として有するオルガノシロキサン化合物を用いた場合は、アミン等の従来の硬化剤及び硬化促進剤を用いず、熱潜在性硬化触媒等のカチオン硬化触媒を用いた方が保存安定性に優れる樹脂組成物とすることができることを見いだした。このような樹脂組成物は、常温での保存安定性に優れ、加熱硬化性に優れる一液性樹脂組成物(一液性硬化性樹脂組成物)として提供することができ、ハンドリング性に優れた樹脂組成物として種々の用途に好適に用いることができる。
更に、無機成分としてシリカ等の無機微粒子を用いる場合には、エポキシ樹脂の硬化性に好ましくない作用をもたらすことを見いだし、これらの無機微粒子に代えて特定のオルガノシロキサン化合物を用いると、有機樹脂成分の硬化性に影響することなく、所望の硬化速度を有する有機樹脂成分を選ぶことにより、樹脂組成物(光学材料)の硬化性を制御することができることも見いだした。例えば、硬化反応性の高いエポキシ成分を用いて、硬化時の硬化性を高めることができることとなる。更に、このような、硬化反応性の高いエポキシ成分を用いることで、加熱硬化性に優れた硬化物が得られ、光学部材等として好適に用いることができる。例えば、アッベ数、屈折率を適宜制御することにより、所望の光学特性を有する樹脂組成物を得ることができ、屈折率が低く、アッベ数が高い光学材料を、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)として得ることができ、該光学材料を硬化させて、低屈折率かつ高アッベ数を有する硬化物(光学部材)を得ることができる。また、硬化触媒として、熱潜在性硬化触媒等のカチオン硬化触媒を用いることで、上述のような保存安定化効果が充分に発揮されつつ、好適な範囲で硬化をすすめることができ、上述した種々の用途に好適に用いることができることを見いだした。
すなわち本発明は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、上記有機樹脂成分は、エポキシ基含有化合物を含むものであり、上記オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
aRbYcSiOd
(式中、Rは、飽和脂肪族炭化水素基を表す。Rは、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で表される樹脂組成物である。なお、本明細書中、「エポキシ基」とは、エポキシ基及びグリシジル基を含むものとする。
以下に本発明を詳述する。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ基含有化合物とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物である。このような樹脂組成物は、成形が容易であり、加熱硬化特性に優れ、ハンドリング等の作業性がよく、保存安定性に優れたものとなる。また、成形体は、優れた透明性(光学的均質性)、屈折率等の光学特性を示し、耐熱性がよく、線膨張率が小さく、耐曲げ強度等の機械的特性に優れている。更に、上記オルガノシロキサン化合物は、不活性な(反応性の低い)有機基であるR及び/又はRを有することから、本発明の樹脂組成物は、長期間保存しても経時的な粘度の上昇が小さく、硬化剤や硬化触媒を添加しても常温でゲル化反応が進行し難い。
上記オルガノシロキサン化合物は、不活性で反応性が低い有機基であるR及び/又はRを有することから、樹脂組成物の経時的な粘度の上昇が小さいことが特徴である。このような不活性有機基を有するオルガノシロキサン化合物は、耐熱性や機械的特性を改善しながら、増粘を促進する作用がない点で特に好ましい。
したがって、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性硬化性樹脂組成物)として提供することができ、樹脂組成物として種々の用途に好適に用いることができる。このように、有機樹脂成分を含む樹脂組成物であって、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物を含有せしめる樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)の保存安定性改良方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。更に、オルガノシロキサン化合物を用いると、有機樹脂成分の硬化性に影響することがないので、所望の硬化速度を有する有機樹脂成分を選ぶことにより、樹脂組成物(光学材料)の硬化性を制御することができる。例えば、硬化反応性の高いエポキシ成分を用いて、硬化時の硬化性を高めることができることとなる。なお、本明細書中、「有機樹脂成分」とは、エポキシ基含有化合物を含む有機樹脂全体を指すものである。エポキシ基含有化合物の含有量としては、全有機樹脂成分中、30質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、最も好ましくは、100質量%である。
また上記硬化性樹脂組成物を硬化させる場合には、製造工程における硬化・加工特性の再現性に優れ、品質の安定した硬化物が得られることとなる。得られる硬化物は、充分な光学的均質性を有し、種々の用途、特に、硬化成形後の成形体の表面及び内部における極めて高度な光学的均質性が必要とされる光学材料に好適に用いることができる。更に、有機樹脂成分として、硬化反応性の高いエポキシ成分を用いることで、加熱硬化性に優れた硬化物が得られ、光学部材等として好適に用いることができる。例えば、アッベ数、屈折率を適宜制御することにより、所望の光学特性を有する樹脂組成物を得ることができ、例えば、屈折率が低く、アッベ数が高い光学材料を、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)として得ることができ、該光学材料を硬化させて、低屈折率かつ高アッベ数を有する硬化物(光学部材)を得ることができる。また、硬化触媒として、熱潜在性硬化触媒を用いることで、上述のような保存安定化効果が充分に発揮されつつ、好適な範囲で硬化をすすめることができ、上述した種々の用途に好適に用いることができる。
上記オルガノシロキサン化合物としては、平均組成式が上記のものであれば特に限定されない。上記オルガノシロキサン化合物において、Rとしては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基などの飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)((1)群):シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基などの飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)((2)群):飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)で置換されてなる基((3)群);飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)で置換されてなる基((4)群);などの無置換−飽和脂肪族炭化水素基(以下、無置換−炭化水素基(I)と称することがある)が好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物は、Rが上記のものであればいずれも好適に用いることができるが、中でも、Rがアルキル基であることが好ましい。
またRとしては、飽和脂肪族炭化水素基における炭素数が1〜20であるものが好ましい。
上記Rとしてより好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基であり、更に好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記飽和脂肪族炭化水素基が、オルガノシロキサン化合物の1分子中に複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
上記Rとしては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基などの如く、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部又は全部が、脂肪族炭化水素基で置換されてなる基が好ましい。これらを総称して無置換−炭化水素基(II)と称することがある。
上記Rとしては、工業的に入手し易い点でフェニル基、ベンジル基が特に好ましい。最も好ましくは、フェニル基である。
更に、上記R、Rにおいて、上記炭化水素のみからなる基以外に、炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、他の置換基で置換されたものも好ましい。この場合、炭化水素基とは、Rにおいては、無置換−炭化水素基(I)を、Rにおいては、無置換−炭化水素基(II)を意味する。以下、総称して、無置換−炭化水素基ともいう。これらのR及び/又はRを有するオルガノシロキサン化合物もまた、本発明におけるオルガノシロキサン化合物に包含される。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基などの非反応性置換基が無置換−炭化水素基の一部又は全部の水素原子と置換した基(このような非反応性置換基を有する炭化水素基を非反応性基置換−炭化水素基ともいう。);水酸基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、スルホン酸基、エポキシ基(グリシジル基)、エポキシシクロヘキサン基、オキセタン基、ビニル基などの重合性不飽和結合基、などの反応性置換基が無置換−炭化水素基の一部又は全部の水素原子と置換した基(反応性官能基を有する炭化水素基を反応性基置換−炭化水素基ともいう。
)が例示される。
上記非反応性置換基において、上記ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
上記アルコキシ基としては、アルコキシ基を構成するアルキル鎖が、Rにおける脂肪族炭化水素基(1)群に例示したアルキル基であるもの、又は、同じく(2)群に例示したシクロアルキル基であるものが好ましい。より好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記R、Rとしては、上述した無置換−炭化水素基、非反応性基置換−炭化水素基及び反応性基置換−炭化水素基は、いずれも用いることができる。より好ましくは、無置換−炭化水素基、非反応性基置換−炭化水素基であり、更に好ましくは、無置換−炭化水素基である。なお、それぞれの炭化水素基の好ましい例は、上述したとおりである。
上記反応性置換基ならびに反応性基置換−炭化水素基は、硬化性樹脂組成物の粘度を上昇させる場合があることから、本願発明の硬化性樹脂組成物の常温における保存安定性の低下を招くおそれがある。したがって、これらの反応性置換基は、ないか、又は、少ないことが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物が反応性置換基を有する場合、反応性置換基の炭化水素基に対する割合としては、炭化水素基(R+R)100質量%中、50質量%未満が好ましい。また、10質量%未満が好ましく、1質量%未満が好ましい。より好ましくは、0.1質量%未満であり、更に好ましくは、0.01質量%未満であり、特に好ましくは、0.001質量%未満である。最も好ましくは、0質量%(検出されない)である。なお、上述したように、反応性置換基は、上記反応性基置換−炭化水素基に含有される反応性置換基のことである。また、オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子に、R及び/又はRが結合する場合は、これ(又はこれら)のR及び/又はRは、上記「オルガノシロキサン化合物が有する炭化水素基」に含まれる。また、反応性基置換−炭化水素基に含まれる反応性置換基の割合としては、反応性基置換−炭化水素基100質量%中30質量%未満が好ましい。また、5質量%未満が好ましく、0.5質量%未満が好ましい。より好ましくは、0.05質量%未満であり、更に好ましくは、0.005質量%未満であり、特に好ましくは、0.0005質量%未満である。最も好ましくは、0質量%(検出されない)である。
上記オルガノシロキサン化合物が無置換−炭化水素基及び/又は非反応性基置換−炭化水素基を有する場合、無置換−炭化水素基及び非反応性基置換−炭化水素基の炭化水素基に対する割合としては、炭化水素基総量(R+R)100質量%中、50質量%以上が好ましい。また、90質量%以上が好ましい。より好ましくは、95質量%以上であり、更に好ましくは、98質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%である。なお、オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子に、R及び/又はRが結合する場合は、上述と同様である。また、無置換−炭化水素基及び非反応性置換基−炭化水素基に対する無置換−炭化水素基の割合としては、無置換−炭化水素基及び非反応性置換基−炭化水素基100質量%中70質量%以上が好ましい。また、80質量%以上が好ましい。より好ましくは、90質量%以上であり、更に好ましくは、98質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%である。
上記Yは、OR基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
上記Yは、Rがアルキル基であるOR基、塩素原子、水酸基、水素原子であることが好ましい。より好ましくは、Rが炭素数1〜5のアルキル基からなるOR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1のアルキル基からなるOR基、すなわち、メトキシ基である。
上記Yの含有量としては、低いことが好ましい。Yの含有率が高いと、硬化性樹脂組成物の常温における硬化反応が進むおそれがあるためである。具体的には、平均組成式におけるcの値が、1未満であることが好ましい。より好ましくは、0.4未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。最も好ましくは、0である。またR、Rの合計モル数に比べ、Yの含有モル数が小さいことが、同様の理由から好ましい。具体的には、c<a+bであることが好ましい。より好ましくは、c<(a+b+c)×0.4である。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物を表す平均組成式は、c<(a+b+c)×0.4を満たすことが好ましい。言い替えれば、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物であり、該式におけるYの含有量がc<(a+b+c)×0.4を満たすことが好ましい。更に好ましくは、c<(a+b+c)×0.2であり、特に好ましいは、c<(a+b+c)×0.1であり、最も好ましくは、c<(a+b+c)×0.01である。
上記オルガノシロキサン化合物は、上述の平均組成式で表されるものであるが、各オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子における末端結合基が、上記した、R又はRであることが好ましい。より好ましくは、R又はRが、上記無置換−炭化水素基又は非反応性基置換−炭化水素基であり、更に好ましくは、R又はRが、上記無置換−炭化水素基である。なお、分子末端のケイ素原子に結合する基の一部又は全部が、R、R以外の基であってもよく、例えば、上記したY(RO基、ハロゲン原子、水酸基及び水素原子)であり、更に好ましい態様は上記したYに同様である。
上記オルガノシロキサン化合物分子の結合基における、上記R又はRからなる炭化水素基の割合は、末端結合基100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、80モル%以上であり、更に好ましくは、90モル%以上であり、特に好ましくは、100モル%である。
上記オルガノシロキサン化合物において、a、b、c及びdとしては、0≦a<3、0≦b<3、0<a+b<3、0<a+b+c<3、及び、a+b+c+2d=4を満たすものである。上記a及びbとしては、R及びRの割合を示すこととなる。このような有機基は、(1)R、(2)R及びR、(3)Rのいずれかからなり、樹脂組成物の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、Rからなる形態(1)(Rを含まない形態)では、樹脂組成物の屈折率を小さくすることができ、有機樹脂成分を適宜選択することで、屈折率が小さく所望のアッベ数の樹脂組成物や硬化物を得ることができる。また、Rからなる形態(3)(Rを含まない形態)では、樹脂組成物の屈折率を大きくすることができ、有機樹脂成分を適宜選択することで、屈折率が大きく所望のアッベ数の樹脂組成物や硬化物を得ることができる。また、RとRとからなる形態(2)では、RとRの割合を変えることにより、屈折率を所望の範囲に設定することができる。このように、上記オルガノシロキサン化合物におけるR、Rの比率により、ポリシロキサン自体の屈折率が制御され、得られる樹脂組成物の屈折率の厳密な調整が可能となる。
上記a+b+cとしては、0より大きく3未満であればよい。好ましくは、0.5以上2.7以下であり、より好ましくは、0.8以上2.4以下である。また、a+bは、0より大きく3未満であればよい。a+bの好ましい範囲は、0.4以上2.7以下であり、より好ましくは、0.7以上2.4以下である。また高屈折率の樹脂を得たい場合には、a+b+cにおけるaの割合:a/(a+b+c)は、0.4未満が好ましい。
より好ましくは、0.2未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。一方、低屈折率の樹脂の場合には、bの割合b/(a+b+c)は、0.4未満が好ましい。より好ましくは0.2未満であり、更に好ましくは0.1未満であり、最も好ましくは0.01未満である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、特に限定されないが、通常、鎖状構造(直鎖状、分岐状)、ラダー状構造、鎖状、ラダー状からなる環状構造、かご状及び粒子状が例示される。分子構造としては、鎖状、ラダー状、かご状が好ましく、より好ましくは、ラダー状である。すなわち、ラダー状>線状(鎖状)>かご状、粒子状の順に好ましい。これは、この順に樹脂成分への溶解性が高いためであり、溶解性が高いと、オルガノシロキサン化合物が均質に分散した樹脂組成物を得ることができる。なお、分子構造がラダー状、鎖状の場合は、樹脂組成物への溶解性が高く、光学的な透明性、機械特性がよい材料が得られる。特にラダー状のオルガノシロキサン化合物を用いると、他の構造のものを用いる場合に比べて、少量の添加で下記添加効果が発揮されることとなる。オルガノシロキサン化合物を添加する効果とは、(1)硬化後の成形金型から硬化物を容易に離型することができる。(離型性に優れる。)(2)硬化性樹脂組成物の透明性、アッベ数・屈折率を厳密に制御することができる。(制御性に優れる。)(3)硬化物の透明性、アッベ数・屈折率を厳密に制御することができる。(制御性に優れる。)(4)硬化物の機械的特性に優れる(弾性率、破壊強度が高い)。等があげられる。
上記分子構造が鎖状構造である場合、上記平均組成式におけるa+b+cの好ましい範囲は、1.5以上2.7以下である。より好ましくは、1.8以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.9以上2.3以下であり、特に好ましくは、2以上2.2以下である。a+bの好ましい範囲は、1以上2.7以下である。より好ましくは、1.6以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.8以上2.2以下であり、特に好ましくは、2±0.05である。上記分子構造がラダー状、かご状である場合、上記平均組成式におけるa+b+cの好ましい範囲は、0.5以上2以下である。より好ましくは、0.8以上1.6以下であり、更に好ましくは、0.9以上1.4以下であり、特に好ましくは、1以上1.2以下である。a+bの好ましい範囲は、0.4以上2以下である。より好ましくは、0.7以上1.7以下であり、更に好ましくは、0.8以上1.2以下であり、特に好ましくは、1±0.05である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように鎖状、ラダー状、かご状が好ましく、この場合、上記a+bとしては、1又は2であることが好ましい。a+b=1のとき、分子構造は通常ラダー状、又は、かご状、粒子状等の二次元、三次元の高次構造となり、a+b=2のとき、分子構造は、直鎖状の一次元構造となる。このように、オルガノシロキサン化合物は、式中、a+bが1又は2である樹脂組成物である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように、ラダー状であることがより好ましい。この場合、上記a+bとしては、1であることが好ましい。すなわち、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状であり、式中、a+bが1である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記平均組成式:RaRbYcSiOdにおいて、RとRとの割合(aとbとの比率)を上記a及びbの条件を満たす範囲で変化させることが好ましい。すなわち、上記オルガノシロキサン化合物は、オルガノシロキサン化合物のRとRとの比率を変化させるものである樹脂組成物である形態(RとRとの比率を変化させる形態)もまた、本発明の好ましい形態の一つである。このようにaとbとの割合を変化させることにより、樹脂組成物(及び硬化物)の屈折率を変更することができ、所望の屈折率を有する樹脂組成物を得ることができる。例えば、Rの比率を高くすると、得られる樹脂組成物を低屈折率化することができ、低く(Rの含有量を高く)すると、得られる樹脂組成物を高屈折率化することとなる。
上記aとbとの比率としては、屈折率をどの程度変化させるか、及び、用いるR、Rの種類に依存し、適宜選択することができる。上記樹脂組成物及び硬化物として、屈折率が低いものを得たい場合、脂肪族炭化水素基含有量が多い方が好ましい。具体的には、a/(a+b)×100が、50%以上であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、更に好ましくは、100%である。樹脂組成物及び硬化物として、屈折率が高いものを得たい場合、アリール基又はアラルキル基含有量が多い方が好ましい。具体的には、a/(a+b)×100が、50%未満であることが好ましい。より好ましくは、0〜20%であり、更に好ましくは、0%である。
上記RとRとの比率を変化させる形態においては、オルガノシロキサン化合物として、分子中にRを有するシロキサン(b=0、シロキサンA)と、Rを有するシロキサン(a=0、シロキサンB)とを併用し、該オルガノシロキサン化合物のシロキサンA含有量を変化させる形態(a)、オルガノシロキサン化合物として、分子中にR及びRのいずれも有するシロキサン(a≠0、b≠0)(シロキサンAB)を用いて制御し、該オルガノシロキサンのR含有量を変化させる形態(b)が好適である。a、b、cの異なるオルガノシロキサンABを2種以上用いる形態や、シロキサンA及び/又はシロキサンBとシロキサンABとを用いる形態なども好適である。
なお、上記平均組成式は用いるオルガノシロキサン分子の平均組成を示し、a、b、c及びdは、Siに対するR、R、Y及びOの結合割合の平均値を表すものであり、その結合様式を特定するものではない。具体的には、シロキサンABとしては、その分子中のシロキサン骨格が、任意のケイ素原子にRもRも結合しているものからなる場合、有機基としてRのみが結合したケイ素原子と、Rのみが結合したケイ素原子からなる場合も、両方が混在した場合も含まれる。この平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物において、シロキサン骨格を形成するケイ素原子に注目すると、(1)RとRとが結合したケイ素原子、又は、(2)Rが結合したケイ素原子及びRが結合したケイ素原子が必須として含まれ、RとRのいずれも結合していないケイ素原子が含まれていてもよい。これらのケイ素原子の組み合わせ、割合、シロキサン骨格での位置等については限定されないこととなる。
用いるオルガノシロキサン化合物総量において、上記RとRとの比率を変化させる形態においては、シロキサンAと、シロキサンBとを併用し、該オルガノシロキサン化合物のシロキサンAの含有量を変化させる形態(a)がより好ましい。形態(a)と(b)とを比べると、形態(b)では、分子量や分子構造、RとRの比率を任意に制御したオルガノシロキサンABを用いてRとRとの比率を制御することとなる。一方、形態(a)では、分子量、分子構造、R含有量の制御されたシロキサンAとR含有量の制御されたシロキサンBの混合比率を変えることで、RとRとの比率を制御することとなり、所望の特性を有するシロキサンA又はシロキサンBが個々に工業的に入手し易いことから、また、シロキサンA又はシロキサンBを個別に合成した方がシロキサンAB製造時に起こるRとRの導入比率の振れの問題が起こり難いことから、形態(b)に比べて、組成物の物性を制御し易い。このように、上記オルガノシロキサン化合物は、形態(a)によりRとRとの比率を制御した樹脂組成物、すなわち、シロキサンAとシロキサンBとを併用してなる樹脂組成物が好ましい。
上記シロキサンAとしては、Rを有し、Rを有さないシロキサンであればいずれも好適に用いることができるが、Rがアルキル基であるアルキルシロキサンが好ましい。また、シロキサンBとしては、Rを有し、Rを有さないシロキサンであればいずれも好適に用いることができるが、Rがフェニル基であるフェニルシロキサンが好ましい。このように、上記オルガノシロキサン化合物は、アルキルシロキサンとフェニルシロキサンとを併用したものである樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。言い替えれば、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物は、平均組成式がa=0を満たすオルガノシロキサン化合物とb=0を満たすオルガノシロキサン化合物とを併用したものであることが好ましい。
上記シロキサンAをオルガノシロキサン化合物として用いた場合、樹脂組成物及び硬化物は、低屈折率を示すこととなる。エポキシ成分を適宜選択することにより、得られる樹脂組成物を低屈折率化、高アッベ化することができる。一方、シロキサンBをオルガノシロキサン化合物として用いた場合、樹脂組成物の硬化物は、高屈折率を示すことから、エポキシ成分を適宜選択することにより、得られる樹脂組成物を高屈折率化することができ、しかも、低アッベ化することができる。このように、シロキサンAとシロキサンBとが異なる性質を示すことから、これらを併用して割合を変えることにより、樹脂組成物の光学特性を変えることができる。また、上記割合を変えることに加えて、シロキサンAやシロキサンBにおけるRやRを適宜選択することにより、樹脂組成物の特性を変えることもできる。
上記オルガノシロキサン化合物は、重量平均分子量が100〜10000であることが好ましい。100より小さいと、添加効果が小さく、保存安定化効果、光学特性制御等の効果が充分には発揮されないおそれがあり、硬化時の熱による輝発のおそれがある。また、1分子中における分子末端のケイ素原子の割合が高まる。したがって、末端ケイ素原子にアルコキシ基(アルコキシシリル基)、水酸基(シラノール基)などの反応性基等の上記平均組成式におけるY基が結合している場合は、結果として、シロキサン添加総量に対する反応性基の割合が高くなる。その結果、樹脂組成物中の反応性基量の含有率が高まり、保存安定性が低下するおそれがある。10000を超えると有機樹脂成分への相溶性が悪く、溶解しにくいおそれがある。上記重量平均分子量としてより好ましくは、500〜5000であり、更に好ましくは、800〜2000である。
上記オルガノシロキサン化合物において、a、b、c及びdとしては、a=1、b=0、c=0〜0.4及びd=1.5〜1.3であることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物としては、上述したように有機基やその割合を適宜選択して所望のものを得ることができるが、シロキサンAとしては、ポリメチルシルセスキオキサンであることが好ましい。このようなポリメチルシルセスキオキサンは、上記平均組成式において、Rがメチル基(ここで、c及びdは、該シロキサンの分子量、縮合度によるが、好ましくは、c<0.7であり、dは1.5又は1.1〜1.5である。)で表されるものであり、ラダー状の構造であることが好ましい。ポリメチルシルセスキオキサンを用いると、特に高いアッベ数と低い屈折率を達成できることとなり、これらの特性が要求される用途、例えば、光学用途等の種々の用途に好適に用いることができる。このように、上記オルガノシロキサン化合物は、ポリメチルシルセスキオキサンである樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。また上記オルガノシロキサン化合物は、上記平均組成式に示されるオルガノシロキサン化合物であり、ラダー状シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。なお、ラダー状とは、シルセスキオキサン化合物の分子形態を表し、当該分子形態を表す技術用語として認められている意味を有するものである。
上記オルガノシロキサン化合物の樹脂組成物中での含有量(添加量)としては、エポキシ基含有化合物とオルガノシロキサン化合物の総重量に対し、0.1〜50質量%(重量%)が好ましい。0.1質量%未満であると、添加効果が小さく、保存安定化効果、光学特性制御等の効果が充分には発揮されないおそれがあり、50質量%超えると硬化物の機械的強度が充分とはならない場合がある。より好ましくは、1〜30質量%であり、更に好ましくは、3〜20質量%である。
〔オルガノシロキサン化合物の製造方法〕
上記オルガノシロキサン化合物の製造方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、下記式(I):
sSiX (4−s) (I)
(上記式中、Rは上述のRと同じである。Xは、加水分解性基を表す。sは、1、2又は3である。)、下記式(II):
tSiX (4−t) (II)
(上記式中、Rは上述のR2と同じである。Xは、加水分解性基を表す。tは、1、2又は3である。)、及び、下記式(III):
s´Rt´SiX (4−s´−t´) (III)
(上記式中、R及びRは上述のR及びRと同じである。Xは、加水分解性基を表す。s´及びt´は、同一又は異なって、1又は2であり、s´+t´は、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物を、単独又は混合して有機溶媒中で加水分解・縮合して得ることが好ましい。
上記式(I)〜(III)において、X、X及びXとしては、同一でもよく異なってもよく、RO基、水酸基、水素原子、ハロゲン原子であることが好ましい。なお、Rとしては、アルキル基を表す。Rの炭素数としては、1〜5が好ましく、1又は2がより好ましい。
、X及びXとしては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子であることが好ましい。
上記式(I)で表されるシラン化合物を加水分解・縮合することにより、上述したシロキサンAが得られることとなり、上記式(II)で表されるシラン化合物を加水分解・縮合することにより、上述したシロキサンBが得られることとなる。
上記式(I)及び(II)を共加水分解・縮合するか、上記式(I)及び/又は(II)と式(III)とを共加水分解・縮合するか、上記(III)を単独で加水分解・縮合することにより、上記シロキサンABが得られることとなる。なお、上記式(I)及び(II)を共加水分解・縮合する場合、上記式(I)や(II)において、R、R等は適宜設定することができ、同一又は異なるシロキサン化合物(AB)を得ることができることとなる。
上記式(I)及び(II)において、s及びtは、同一又は異なって1、2であることが好ましい。特にs=1、t=1で表されるトリアルコキシシラン化合物が好ましい。トリアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合することにより得られるオルガノシロキサン化合物は、有機樹脂成分に相溶性に優れるため好ましい。
上記(III)において、s´及びt´は、1であることが好ましい。
本発明のオルガノシロキサン化合物を加水分解・縮合する場合、上記式(I)〜(III)以外のシラン化合物を原料として用いてもよい。このように、上記式(I)〜(III)と共加水分解・縮合するシラン化合物としては、例えば、下記式(IV):
Si(X (IV)
(式中、Xは、加水分解性基を表す。)で表されるものであることが好適である。
上記Xは、同一又は異なっていてもよく、好ましい態様も上記X〜Xと同様である。
上記式(IV)は、上記式(I)〜(III)と好適に共加水分解・縮合することができるが、最終的に得られるオルガノシロキサン化合物が上記平均組成式で表されるものである範囲で用いることが好ましい。具体的には、上記平均組成式において、R、Rの割合が、上述した範囲となる割合で用いることが好ましい。また、有機溶媒中で(I)から(IV)を加水分解縮合して得られるオルガノシロキサン化合物は、再沈殿精製、抽出等により精製して使用することが好ましい。
〔有機樹脂成分〕
本発明の硬化性樹脂組成物においては、上記有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、有機樹脂成分を50〜99.9質量%、オルガノシロキサン化合物を0.1〜50質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性とアッベ数がいずれも高い硬化性樹脂組成物とすることができる。特に、有機樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。上記含有量としてより好ましくは、有機樹脂成分が70〜99質量%、オルガノシロキサン化合物が1〜30質量%であり、更に好ましくは、有機樹脂成分が80〜97質量%、オルガノシロキサン化合物が3〜20質量%である。
〔エポキシ基含有化合物〕
本発明の樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)は、有機樹脂成分としてエポキシ基含有化合物を含むものである。
上記有機樹脂は、エポキシ基を少なくとも一つ有する。エポキシ基を少なくとも一つ有することにより、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。以下、本発明の有機樹脂成分として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物について説明する。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ化合物);(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂(エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ化合物);テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレートも好適も用いることができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記エポキシ基含有化合物は、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むものであることが好ましい。具体的には、脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、中心骨格にオキシプロピレン骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。水添エポキシ化合物としては、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が好適である。脂環式エポキシ化合物としては、エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂等が好適である。芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、ブロモ置換基を有する芳香族エポキシ樹脂等が好適である。
上記脂環式エポキシ化合物としては、エポキシシクロヘキサン基を有する樹脂が好適であり、上記水添エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂等の芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物が好適である。
上記水添エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等が好ましい。なお、芳香族エポキシ化合物は、芳香族グリシジルエーテル化合物を含む。
上記エポキシ基含有化合物の中でも、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物がこの順に好ましい。具体的には、脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物(以下、単に「多官能脂環式エポキシ化合物」とも言う。)が好適である。水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する多官能グリシジルエーテル化合物(以下、単に「多官能グリシジルエーテル化合物」とも言う。)が好適である。脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族グリシジルエーテル化合物が好適である。芳香族エポキシ化合物としては、芳香族グリシジルエーテル化合物が好適である。これらの中でもより好ましくは、硬化性樹脂組成物の硬化速度が高い点で、多官能脂環式エポキシ化合物、多官能グリシジルエーテル化合物である。このように、高い硬化速度を発揮できることから、触媒量が同じであれば、より短時間で硬化物を得ることができる。
上記エポキシ基含有化合物として具体的には、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物が好適である。
上記脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が好ましい。
上記水添エポキシ化合物としては、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等が好ましい。
これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物である。脂環式エポキシ化合物を用いると、他の有機化合物成分を用いる場合に比べて、光/熱酸発生剤等のカチオン硬化触媒の添加量を少なくしても、高い硬化速度を発揮することができる。したがって、より短時間で硬化物を得ることができだけでなく、触媒量を低減することより、耐熱性に優れ、加熱による熱変色、機械的強度の劣化が抑制された硬化物を得ることができる。
上記エポキシ基含有化合物としては、上述した化合物であればいずれも好適に用いることができるが、得られる樹脂組成物(硬化性エポキシ樹脂)の目的に応じて、適宜選択して用いることが好ましい。例えば、得られる樹脂組成物を光学用途で用い、高アッベ数、低屈折率を有する樹脂組成物及び該樹脂組成物の硬化物を目的とする場合、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、及び、脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つのエポキシ化合物(エポキシAとも言う。)を用いることが好ましい。一方、低アッベ数、高屈折率を有する樹脂組成物及び該樹脂組成物の硬化物を目的する場合、芳香族エポキシ化合物(エポキシBとも言う。)を用いることが好ましい。
これらのエポキシA及びBは、ともに用いてもよく、エポキシA及びBの組み合わせや割合を変えることによって、所望のアッベ数及び屈折率を有する樹脂組成物とすることができる。なお、上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物は、単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。
〔高アッベ数・低屈折率化〕
本発明の硬化性樹脂組成物及び硬化物は、有機樹脂成分(特に、エポキシ基含有化合物)及び/又はオルガノシロキサン化合物を適宜選択することにより、アッベ数及び/又は屈折率を所望のものとすることができる。以下、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を目的とする場合について、更に説明する。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物に含まれるオルガノシロキサン化合物としては、不活性かつ低屈折率のオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。具体的には、上述したシロキサンA及びシロキサンABの少なくとも一方であるオルガノシロキサン化合物が好適である。飽和脂肪族炭化水素基は、鎖状であっても環状であってもよい。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物として好適なオルガノシロキサン化合物の含有量としては、オルガノシロキサン化合物100質量%中、50質量%以上が好ましく、更に80質量%以上が好ましく、特に100質量%が好ましい。
上記高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を目的とする場合は、エポキシAを主成分とすることが好ましい。
上記特性を有する樹脂組成物においては、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、及び、脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つのエポキシ基含有化合物(エポキシA)が主成分であることが好ましい。これらの化合物の具体例は、上述したとおりである。なお、より高屈折率化する場合は、エポキシ基等をスルフィド基に置換した化合物や、芳香族エポキシ化合物の芳香環を臭素化した化合物を用いることが好ましい。スルフィド基に置換した場合、用途によっては耐熱性が不充分となる場合があることから、例えば、耐リフロー性を有する硬化性樹脂組成物を得る場合は、エポキシ基含有化合物を用いることが好ましい。なお、「耐リフロー性を有する」とは、半田に耐える耐熱性を有する性能(機能)のことをいい、「リフローアブル」であるとも言う。例えば、耐熱性を有するカメラモジュールを「リフローアブルカメラモジュール」と言う。
上記エポキシAの含有量としては、エポキシAが全有機樹脂成分中、60質量%以上であることが好ましい。60質量%以上であれば、有機樹脂成分の主成分となり、エポキシAの効果が充分に発揮されることとなり、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を得ることができる。エポキシAの含有量としてより好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
本発明の硬化性樹脂組成物はアッベ数が45以上である有機樹脂成分を含むものであることが好ましい。アッベ数が45以上である有機樹脂成分の含有量としては、上述した範囲であれば好適に用いることができ、有機樹脂成分全体のアッベ数は特に限定されないが、高アッベ数の樹脂組成物とする場合には、有機樹脂成分全体のアッベ数が45以上であることが好ましい。有機樹脂成分全体のアッベ数が45以上であるとは、「全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上である」ことを意味するものであり、アッベ数が45未満の有機樹脂成分が含まれていてもよい。アッベ数を45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)とすることで、樹脂組成物を光学用途に用いた場合に、光の分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる。45未満であると、例えば、眼鏡用レンズに用いた場合ににじみがみられるおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、種々の光学用途に好適な材料とはならないおそれがある。上記有機樹脂成分においては、後述する好適な形態を適宜組み合わせることによりアッベ数を45以上とすることができる。
上記アッベ数としてより好ましくは47以上であり、更に好ましくは、50以上である。
上記有機樹脂成分としては、アッベ数が45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)のものであれば特に限定されないが、例えば、アッベ数45以上の有機樹脂が全有機樹脂成分中40質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数45以上の有機樹脂の割合としてより好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%(実質的にすべてがアッベ数45以上のもの)である。なお、上記有機樹脂成分としては、有機樹脂成分全体のアッベ数が45以上のものであれば、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、オルガノシロキサン化合物との相溶性に優れ、該成分が有機樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。具体的には、下記に示すエポキシAが好ましい。
上記高アッベ数を有する樹脂組成物においては、不飽和結合を有する化合物の割合が20質量%以下であることが好ましい。不飽和結合を有する化合物としては、例えば、有機樹脂成分における芳香環(例えば、フェニル基)、二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。なお、不飽和結合を有する化合物は、有機樹脂成分、オルガノシロキサン化合物、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれかに含まれることとなる。このような不飽和結合を有する化合物は、一般にアッベ数を下げることから、不飽和結合の含有量が10質量%を超えると、樹脂組成物のアッベ数が充分に大きなものとはならず、例えば、レンズとして用いた場合に光のにじみが大きくなり、種々の用途に好適に用いることができないおそれがある。不飽和結合を有する化合物の割合としてより好ましくは、樹脂組成物(有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と必要に応じてその他の成分)100質量%中、20質量%以下であり、更に好ましくは、10質量%以下である。特に好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、実質的に含まれないことである。すなわち、有機樹脂成分、オルガノシロキサン化合物、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれにも含まれない形態が好ましい。このような不飽和結合を有する化合物としては樹脂組成物を硬化した硬化物においても含有量が上記範囲であることが好ましい。このように、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂組成物中に20%以下である樹脂組成物及び硬化物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記特性を有する樹脂組成物においては、エポキシAの中でも、水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。特に脂環式エポキシ化合物が好ましい。これらの化合物を用いた場合、オルガノシロキサン化合物の中でも本発明の化合物を用いる効果(常温でのエポキシ基の硬化反応を抑制する効果)が顕著に発揮される。なお、上記特性を有するためには、有機樹脂成分は、不飽和結合量が少ないものが好ましいことから、芳香環等不飽和結合を有するものは、樹脂組成物の不飽和結合が20質量%以下となるように含まれることが好適である。芳香環等不飽和結合を有するものとしては、有機樹脂成分として、エポキシB、後述する多価フェノール化合物等が挙げられ、オルガノシロキサン化合物として、シロキサンB等のR(アリール基又はアラルキル基)を有するオルガノシロキサン化合物が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、ポリテトラメチレンエーテルのグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、トリメチルプロパングリシジルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリテトラメチレンエーテルのジグリシジルエーテルが好ましい。これらの中でも、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルのグリシジルエーテルである。
上記脂環式エポキシ化合物を用いることで、アッベ数の向上が可能であり、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、下記化学式:
Figure 2008133442
で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、下記化学式:
Figure 2008133442
で表される1,2,8,9−ジエポキシリモネン、下記化学式:
Figure 2008133442
(式中、R´は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)基を表す。)で表される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂が好ましい。
上記水添エポキシ化合物としては、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が好ましい。これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の水添エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が好ましい。
これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)であり、特に好ましくはエポキシシクロヘキサン化合物であり、最も好ましくは、加熱時の硬化速度の高いエポキシシクロヘキサン化合物である。エポキシシクロヘキサン化合物はまた、本発明のオルガノシロキサン化合物を選択した効果(常温での硬化反応を抑制する効果)が顕著である点でも好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物の含有量としては、上述したとおりである。また、エポキシシクロヘキサン化合物を用いる場合、その含有量としては、全有機樹脂成分中、20質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、40質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。またこれまで述べた光学的な制約をふまえた上で、アッベ数45以上の樹脂に含まれる量は40%以上が好ましい。より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、特に好ましくは100%である。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物を目的とする場合は、上述したような有機樹脂成分及びオルガノシロキサン化合物を上述の範囲で用いることが好適である。これらの組み合わせとしては特に限定されず、用途によって適宜選択することができる。
上記樹脂組成物としては、上記のように、エポキシ成分(A、B)の組み合わせにより、アッベ数、屈折率の制御が可能であり、さらに、上述したように、オルガノシロキサン化合物の有機基及び添加量を調整することで、屈折率、アッベ数の微調整が可能である。
したがって、これらの特定のオルガノシロキサン化合物及び特定のエポキシ化合物を適宜選択することにより、特に光学用途において、厳密に制御された光学特性を有する光学材料とすることができ、様々な市場の要求に応えることができる。更に、厳密に制御された光学特性を有するレンズなどの光学材料成形体、膜等の上記樹脂組成物の硬化物を得ることができる。
上記光学特性として、高アッベ数の樹脂組成物、該樹脂組成物を含む光学材料を得る場合、特に好ましくは、上記エポキシAを主たる有機樹脂成分とし、シロキサンA(又はRの比率の高いオルガノシロキサン化合物)を組み合わせることで達成することができる。また、この組み合わせでは、低屈折率の樹脂組成物、該樹脂組成物を含む光学材料を得ることもできる。すなわち、エポキシAを用いることで高アッベ数となり、シロキサンA(又はRの比率の高いオルガノシロキサン化合物(AB))を組み合わせることでよりアッベ数の高い樹脂組成物が得られる。
上記組み合わせにおいて、オルガノシロキサン化合物をシロキサンB(又はRの比率の高いオルガノシロキサン化合物(AB))とすると、高屈折率にシフトすることとなり、エポキシAに由来した高アッベ数、かつオルガノシロキサン化合物に由来した高屈折率を有する樹脂組成物を得ることができる。
上記樹脂組成物、光学材料において、上述の中間のアッベ数、中間の屈折率のものを得る場合は、エポキシ成分の組み合わせと、オルガノシロキサン化合物(シロキサン)におけるR、Rの比率とを調整することで達成することができる。このように、アッベ数、屈折率を制御する目的で、(1)2種以上のオルガノシロキサン化合物(シロキサン化合物)を併用する形態、(2)2種以上のエポキシ化合物を併用する形態、(3)2種以上のエポキシ化合物と2種以上のオルガノシロキサン化合物とを併用する形態も、また本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物においては、エポキシAとBとの組み合わせ(及び必要に応じてオルガノシロキサン化合物との組合わせ)によりアッベ数や屈折率を所望の条件とすることができるが、更に、エポキシ成分の組み合わせにより、硬化・成形工程で求められる加熱温度、加熱時間を変化することができ、種々の条件等に対応することができる。例えば、短時間の加熱、比較的低温での加熱により、機械的特性が優れるなど硬化物特性に優れた硬化体を得たい場合は、エポキシAとして、脂環式エポキシ化合物(エポキシCとも言う。)、水添エポキシ化合物(エポキシDとも言う。)を含有させることが好ましい。より好ましくは、エポキシCであり、中でも、エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ化合物、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂等である。すなわち、エポキシC及びDはAのうちの一種となる。なお、本明細書において、「エポキシA」とは、エポキシC及びDを含むエポキシAを意味し、エポキシC及びDを除くエポキシAを指す場合、「エポキシA´」と言う。
また、エポキシA、A´、B、C、D、オルガノシロキサン化合物としては、上記又は下記の1種又は2種以上の化合物を用いることができる。
本発明の樹脂組成物において、低い加熱温度、短い加熱時間で機械的特性に優れた樹脂組成物を得る場合、本発明において用いるオルガノシロキサンを特定の有機基からなる化合物に特定をしていて作用効果が高いのは、エポキシCを含む場合である。ついで水添エポキシ化合物(D)を含む場合であり、ついで、エポキシA´を含む場合であり、エポキシBを含む場合が最も作用効果が低い。これは、常温での反応性がエポキシC>エポキシD>エポキシA´>エポキシBの順のためであると考えられる。すなわち、硬化反応性(エポキシ基の開環による硬化反応のし易さ)が、エポキシC>エポキシD>エポキシA´>エポキシBであることから、加熱時の硬化反応速度がエポキシCが最も高くなる。このため、短時間での硬化が必要な場合に、エポキシCが好ましい成分となる。
本発明の樹脂組成物においては、オルガノシロキサン化合物として、反応性の低い有機基(R及び/又はR)を有するオルガノシロキサン化合物を用いるが、反応性が高い官能基や酸/塩基性官能基を有するポリシロキサンを用いると、常温でのゲル化などが生じることとなり、保存安定性を損ねる反応が硬化反応と同序列で起こる。
上記樹脂組成物において、光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合には、有機樹脂成分として水添エポキシ化合物(エポキシD)や脂環式エポキシ化合物(エポキシC)を含む形態が好ましい。より好ましくは、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の少なくとも一種以上を含む形態であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物を必須とする形態であり、特に好ましくは、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の両方を含む形態である。
上記脂環式エポキシ化合物としては、エポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。上記脂環式エポキシ化合物(エポキシC)の中でも好ましい形態であるエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂としては、下記のものを好適に用いることができる。
名称:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、製品名:セロキサイド2021P
名称:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、製品名:EHPE3150
名称:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、製品名:EHPE3150CE
名称:1,2:8,9−ジエポキシリモネン、製品名:セロキサイド3000
名称:ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、製品名:セロキサイド2000
セロキサイド 2081、(いずれも、ダイセル化学工業社製)。これらの中でも、2021P、EHPE3150がより好ましい。
以下に上記脂環式エポキシ化合物について説明する。
上記セロキサイド 3000は、下記式:
Figure 2008133442
で表される。代表的な一般性状は、粘度(mPa・s/25℃) 5〜20、エポキシ当量 <93.5、沸点(℃/760mmHg) 228である。
上記セロキサイド 2000は、下記式:
Figure 2008133442
で表される。
上記セロキサイド 2000は、ビニル基を有するモノエポキシドであり、代表的な一般性状は、色相(APHA) <50、純度(%) >95、沸点(℃/8〜9mmHg) 49〜53、粘度(mPa・s/25℃) 1.5である。
上記EHPE 3150は、下記式:
Figure 2008133442
(式中、R´は上述と同様である。)で表される。代表的な一般性状は、外観 透明フレーク、エポキシ当量 170〜190、軟化点(℃) 70〜85、(軟化点の測定は、JIS K6911に従った。)である。
上記EHPE 3150の特徴としては、塩素系不純物がなく(原料材料に塩素系は使用していない)、エポキシ基の反応性が大きく、硬化物のTgが高く、耐候性、透明性を有することである。
上記セロキサイド 2021は、下記式:
Figure 2008133442
で表される。代表的な一般性状は、色相 (APHA)<50、エポキシ当量 128〜145、粘度(mPa・s/25℃)100〜400である。
上記セロキサイド 2021Pは、セロキサイド 2021の精製品である。代表的な一般性状は、色相 (APHA)<50、エポキシ当量 128〜145、粘度(mPa・s/25℃)150〜400である。
上記セロキサイド 2081は、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
上記セロキサイド 2081は、可撓性を有し、代表的な一般性状は、形状(常温) 液状、色相(APHA) <100、エポキシ当量 190〜210、粘度(mPa・s/25℃) 80〜130である。
〔低アッベ数・高屈折率化〕
上記樹脂組成物、光学材料において、低アッベ数、高屈折率のものを得る場合、不飽和結合量が多い有機樹脂成分を用いることが好ましい。すなわち、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が30質量%以上である硬化性樹脂組成物が好ましい。
ここでいう「不飽和結合量」は、硬化体に含有される不飽和結合量の総量を意味する。有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物以外の成分(その他の成分)が不飽和結合を有する場合、その他の成分が有する不飽和結合も上記総量に含まれる。
上記樹脂組成物は、硬化後の硬化体(硬化物ともいう。)100質量%に対して不飽和結合を30質量%以上有するものであることが好ましい。ここで、不飽和結合量とは、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子の合計質量である。すなわち、硬化体100質量%中に含まれる不飽和結合を形成する原子、並びに、該原子に結合している水素原子及びハロゲン原子の合計質量である。具体的には、−CHCHCHCl−CH=CCl−CHCH−構造を有する場合、不飽和結合量は、CH=CCl部分の合計質量を意味する。
また炭素原子が芳香環を形成する場合、硬化体100質量%中に含まれる芳香環の質量%を表すものとする。この場合、芳香環が置換基を有していても、不飽和結合を有しない置換基の質量を含めるのではなく、炭素原子と水素原子とによって構成される芳香環の質量を不飽和結合の合計量の計算に参入することになる。なお、芳香環にハロゲン原子が置換基として結合している場合は、上記定義よりハロゲン原子も含まれる。本発明においては、不飽和結合が芳香環によって構成される形態が好ましい形態の一つである。
上記不飽和結合量が30質量%未満であると、アッベ数を充分に低くすることができず、透明性、屈折率等の光学特性に優れた硬化性樹脂組成物とすることができないおそれがある。より好ましくは、35質量%以上であり、更に好ましくは、40質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物において、有機樹脂成分の不飽和結合とオルガノシロキサン化合物の不飽和結合の割合(モル比)としては、〔有機樹脂成分の不飽和結合〕/〔オルガノシロキサン化合物の不飽和結合〕=100/0〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、90/10〜10/90であり、更に好ましくは、80/20〜20/80であり、特に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記不飽和結合が芳香環に由来する場合、このような芳香環を有する化合物としては、例えば、有機樹脂成分における芳香環(例えば、フェニル基、フルオレン骨格、カルバゾール骨格)、二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。なお、不飽和結合を有する化合物は、有機樹脂成分、オルガノシロキサン化合物、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれかに含まれることとなる。
上記硬化性樹脂組成物において、該硬化性樹脂組成物の硬化体の不飽和結合量の定量方法としては、元素分析、NMR、IR等により硬化性樹脂組成物を分析し、構造等を明らかにした上でH−NMR等で定量分析を行い、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子を定量することにより求めることができる。なお、硬化性樹脂組成物としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、不飽和結合を有さない成分が含まれていてもよい。
上記不飽和結合量は、具体的には、以下の方法により求めることができる。
(1)硬化性樹脂組成物を硬化させ硬化体を得る。
(2)上記硬化体及び/又は樹脂組成物を元素分析することにより組成式を求め、IR、NMR測定により該硬化体が有する不飽和結合の存在、及び、該不飽和結合を形成する官能基を特定する。
(3)質量を定量した硬化体及び/又は樹脂組成物、並びに、質量を定量した外部基準を用いて、NMR測定する。
(4)上記(3)のNMR測定において、外部基準のピーク面積と、不飽和結合に由来するピーク面積、外部基準の質量とから、NMR測定に用いた硬化体に含まれる不飽和結合量を算出する。
(5)上記(4)の結果から、硬化体100質量%に含まれる不飽和結合量を求める。
なお、上記(2)及び(3)のNMR測定においては、最適な核種を1つ又は2つ以上選択して、測定することとする。例えば、不飽和結合が芳香環由来のものである場合は、H−NMR単独や、13C−NMRとの組み合わせが好適であり、不飽和結合を形成する原子にフッ素原子が結合している場合は、19F−NMRが好適である。また、用いる外部基準は、各種に応じて適宜選択し、H−NMRの場合では、一般的にTMSが好適である。
上記硬化性樹脂組成物は、有機樹脂成分が芳香環を有することを必須とし、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が30質量%以上である硬化性樹脂組成物であることが好ましい。上記硬化性樹脂組成物は、芳香環を有する有機樹脂成分を必須として含むものであることが好ましく、硬化性樹脂組成物に含まれる有機樹脂成分以外の有機成分としては、該成分中に芳香環を有するものが含まれるものであることが好適である。なお、有機成分としては、有機化合物から構成される成分であればよく、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、芳香環を有さない成分が含まれていてもよい。また、上記有機成分としては、オルガノシロキサン化合物との相溶性に優れ、該成分が有機樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。
上記芳香環量としては、硬化後の硬化体100質量%に対して、30質量%以上である。このような範囲とすることで、アッベ数が充分に低く、透明性、屈折率が充分に高い等の光学特性に優れた硬化性樹脂組成物とすることができる。より好ましくは、35質量%以上であり、更に好ましくは、40質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。なお、このような芳香環量は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とに含まれる芳香環量をいう。すなわち、有機樹脂成分だけが芳香環を持つ場合は、硬化後の硬化体100質量%に対する有機樹脂成分中の芳香環の質量%であり、オルガノシロキサン化合物も芳香環を持つ場合には、硬化後の硬化体100質量%に対する有機樹脂成分中の芳香環量及びオルガノシロキサン化合物中の芳香環量の合計質量%である。オルガノシロキサン化合物も芳香環を持つ場合の有機樹脂成分の芳香環とオルガノシロキサン化合物の芳香環の割合(モル比)としては、〔有機樹脂成分の芳香環〕/〔オルガノシロキサン化合物の芳香環〕=99/1〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、80/20〜20/80であり、更に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記オルガノシロキサン化合物としては、芳香環を有するものであることが好ましい。オルガノシロキサン化合物が芳香環を有することにより硬化性樹脂組成物に含まれる芳香環量が多くなり、アッベ数を充分に小さくすることができ、本発明の作用効果を充分に発揮することができる。このように、芳香環を有する有機樹脂成分(例えば、有機樹脂)と芳香環を有するオルガノシロキサン化合物(例えば、オルガノシロキサン化合物)とを含む樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、オルガノシロキサン化合物に含まれる芳香環量としては、上述した芳香環量(有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とに含まれる芳香環量)、及び、有機樹脂成分の芳香環とオルガノシロキサン化合物の芳香環の割合から求めることができる。なお、オルガノシロキサン化合物の詳細は上述したとおりである。
上記オルガノシロキサン化合物としては、上述したシロキサンB(「芳香環を有するシリカ系高分子化合物」とも言う。)、及び、Rの含有量よりRの含有量の方が多いシロキサンAB(上記平均組成式において、a<bであるシロキサンAB、以下「R<RであるシロキサンAB」とも言う。)の1種又は2種以上であることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物の中でも、特にシロキサンBが好ましい。シロキサンBは、低アッベ樹脂組成物に好適に用いることができる。
上記シロキサンBとしては、ポリシロキサン結合と芳香環を必須とするものであり、該化合物の構造としては、直鎖状又は分岐状、ラダー状、かご状、キュービック状等の構造のポリシルセスキオキサンであることが好適である。具体的には、シリコーンオリゴマーPPSQ−E(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)、シリコーンオリゴマーPPSQ−H(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)等が好ましい。中でも、シリコーンオリゴマーPPSQ−Eがより好ましい。なお、シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、粒子が液相合成法で合成されており、後工程で粉末化されたものであり、後述する湿式方により得られたものである。シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、紐状の形態であるため、溶液中で凝集せず分散しやすい。
上記シロキサンBにおける芳香環量としては、ケイ素原子量100質量%に対して、40質量%以上であることが好ましい。このように、上記無機成分は、芳香環を有するシリカ系高分子化合物(シロキサンB)であり、ケイ素原子量100質量%に対するシリカ系高分子化合物中の芳香環量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記芳香環量が40質量%未満であると、硬化性樹脂組成物のアッベ数が充分には小さくならず、光学用途に好適に用いることができないおそれがある。なお、上記「ケイ素原子量」とは、樹脂組成物中のケイ素原子量を言うものである。
上記芳香環量としてより好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、100質量%以上であり、特に好ましくは、200質量%以上である。
上記オルガノシロキサン化合物において、シロキサンB以外に芳香環を有するオルガノシロキサン化合物が含まれる場合には、オルガノシロキサン化合物中の芳香環量としては、オルガノシロキサン化合物中のケイ素原子量100質量%に対し、上述した範囲であることが好ましい。具体的には、オルガノシロキサン化合物が、シロキサンBとシロキサンABとから構成される場合は、オルガノシロキサン化合物中の芳香環量は、シロキサンBとシロキサンAB中のケイ素原子量を100質量%として、これに対するシロキサンBとシロキサンAB中の芳香環量(質量%)を言う。シロキサンABは、高屈折率の硬化性樹脂組成物とするためには、上記平均組成式において、a<bであるシロキサンAB(R<RであるシロキサンAB)であることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物は、上述したものを好適に用いることができる。特に湿式法により得られたものであることが好ましい。このようにして得られるオルガノシロキサン化合物としては、微粒子の形態であってもよい。
上記有機樹脂成分においては、有機樹脂成分が芳香環を有することを必須とし、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上であることが好適であるが、アッベ数が35以下であることが好ましい。アッベ数が35以下であるとは、「全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が35以下である」ことを意味するものであり、アッベ数が35を超える有機樹脂成分が含まれていてもよい。低アッベ用硬化性樹脂組成物としては、アッベ数45以上の有機樹脂成分を必須として含み、全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が35以下であることが好ましい。一方必須成分であるアッベ数が45以上の有機樹脂成分を含まないと、カチオン硬化速度があがらず、生産性が充分ではなくなるおそれがある。アッベ数が45以上の有機樹脂成分の割合としては、有機樹脂成分100質量%中、1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以上であり、更に好ましくは、10質量%以上であり、特に好ましくは、20質量%以上である。アッベ数を35以下(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が35以下)とすることで、硬化性樹脂組成物を光学用途に用いた場合に、光学特性に優れたものとすることができる。35を超えると、光の波長分散を大きくできないおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、種々の光学用途に好適な材料とはならないおそれがある。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて光学部材(例えば、レンズ)として用いる場合には、アッベが35以下である効果が顕著に発揮されることとなる。具体的には、本発明の光学部材(レンズ)を高アッベ数のレンズと組み合わせて用いることで、光の分散が小さくなり、解像度があがり、にじみが生じないといった効果が発現する。このような優れた光学特性は組み合わせるレンズのアッベ数の差が大きいほど顕著である。レンズのアッベ数の差は、20以上であることが望ましいが、一般的にレンズのアッベ数は20〜70の範囲であり、高アッベ数のレンズとしてはアッベ数20〜40のレンズが主流であることから、アッベ数が20以上異なるレンズを組み合わせることは容易ではない。少しでもアッベ数の差を大きくするために、低アッベレンズのアッベ数はより小さい方が有利である。具体的には、アッベ数が33.5と36.3との2.8程度の差であっても、上記用途においては、効果の面で顕著な差が生じることとなる。
上記有機樹脂成分においては、後述するような好適な形態を適宜組み合わせることによりアッベ数を35以下とすることができる。上記アッベ数として好ましくは、35以下であり、より好ましくは、34以下であり、更に好ましくは、33.5以下であり、特に好ましくは、30以下である。上記有機樹脂成分としては、アッベ数が35以下(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が35以下)のものであれば特に限定されないが、例えば、アッベ数35以下の有機樹脂が全有機樹脂成分中40質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数35以下の有機樹脂の割合としてより好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、上限は99質量%(実質的にすべてがアッベ数35以下のもの)である。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記有機樹脂成分は、アッベ数の平均値が45未満であり、オルガノシロキサン化合物を表す平均組成式がb>aを満たすことが好ましい。
言い替えれば、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記有機樹脂成分の総量は、アッベ数の平均値が45未満であり、オルガノシロキサン化合物が、上記式で表されるオルガノシロキサン化合物であり、該化合物が、該式におけるa、bが、b>aなる化合物であることが好ましい。
上記アッベ数35以下の有機樹脂成分としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、芳香族エポキシ(「エポキシ(B)」又は「芳香族エポキシ化合物(B)」とも言う。)を単独で、又は、2種以上の混合物として使用することができる。これらの中でも、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる点で、芳香族エポキシ化合物(B)を必須とすることが好ましい。このように、上記有機樹脂成分は、芳香族エポキシ化合物(B)を必須とする上記硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記エポキシ(B)の含有量としては、有機樹脂成分100質量%中、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上である。なお、含有量の上限は、99質量%である。
上記芳香族エポキシ化合物(B)としてより好ましくは、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環共役系を有するグリシジル化合物であり、更に好ましくは、フルオレン骨格有するエポキシ及び/又はグリシジル化合物(フルオレン化合物)である。また、芳香族エポキシ化合物の臭素化化合物を用いることで高屈折率化できるが、アッベ数が若干上昇することとなり、用途に応じて用いることが好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1020又はオグソールEG210、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1010又はオグソールPG等が好ましく、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オグソールEG−210である。
上記低アッベ数、高屈折率の硬化性樹脂組成物の好ましい実施形態は、芳香環を有するエポキシ化合物と芳香環を有するオルガノシロキサン化合物とを必須とし、有機樹脂成分中の芳香環量及びオルガノシロキサン化合物中の芳香環量の合計質量が硬化体に対して30%以上であり、該オルガノシロキサン化合物中の芳香環量が、45質量%以上である。すなわち、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、有機樹脂成分が芳香環を有するエポキシ化合物を必須とし、該オルガノシロキサン化合物が芳香環を有するオルガノシロキサン化合物であり、ケイ素原子量100質量%に対するオルガノシロキサン化合物中の芳香環量が50質量%以上であり、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が30質量%以上である硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記芳香環を有するオルガノシロキサン化合物は、上述したシロキサンB又はシロキサンABである。
上記アッベ数が低い硬化性樹脂組成物の好ましい実施形態は、アッベ数が45以上の有機樹脂成分と芳香族エポキシ化合物(B)を必須とし、オルガノシロキサン化合物が芳香環を有するシロキサン(B)であり、ケイ素原子量100質量%に対するシロキサン(B)中の芳香環量が40質量%以上であり、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物である。上記シロキサン(B)中の芳香環量及び硬化後の硬化体100質量%に対する芳香環量(有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物の両方に含まれる芳香環量)の好ましい範囲は、それぞれ上述したとおりである。オルガノシロキサン化合物として、シロキサンABが含まれる場合は、上述と同様である。また、芳香族エポキシ化合物(B)、及び、芳香環を有するシロキサン(B)の好適な化合物もそれぞれ上述したとおりであり、オルガノシロキサン化合物と有機樹脂成分との組み合わせとしては、上述した化合物を適宜選択して用いることができる。これらの組み合わせの中で、特に好ましい形態としては、ビスフェノールAとシリコーンオリゴマーPPSQ−E又はPPSQ−Hとを含む形態、フルオレンエポキシとシリコーンオリゴマーPPSQ−E又はPPSQ−Hとを含む形態である。
〔その他の有機成分〕
本発明の樹脂組成物としては、有機樹脂成分としてエポキシ基含有化合物を含むものであればよいが、その他の有機成分(樹脂成分)を含むものであってもよい。その他の成分としては、重合性不飽和結合を有する化合物、多価フェノール化合物、脂環式化合物等の硬化性樹脂成分が好適である。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、上述したエポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、アッベ数を向上させる場合には、脂環式化合物であることが好ましい。脂環式化合物を用いることで、アッベ数の向上が可能であるだけでなく、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
本発明のその他の有機成分として、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分を含有するものを使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミド等を挙げることができる。
〔有機樹脂成分の好ましい形態〕
本発明の硬化性樹脂組成物において、有機樹脂成分は、分子量(重量平均分子量)が700以上である有機樹脂を必須とするものであることが好ましい。有機樹脂成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、樹脂組成物を硬化させたときに、一体感のあるものとでき、剥離の際の強度が向上し、割れることがなく、好適な材料硬度とすることができる。上記有機樹脂成分に必須として含まれる有機樹脂の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
上記樹脂組成物において、分子量が700以上の成分(有機樹脂)が樹脂組成物総量100質量%に対し、10質量%以上含まれることが好ましい。また、成型のしやすさの面から、分子量が700以上の成分(具体的には、700〜1万)は90質量%以下とすることが好ましい。分子量が700以上の有機樹脂の含有量としてより好ましくは、10〜80質量%である。20〜80質量%、20〜70質量%も好適である。更に好ましくは、30〜70質量%である。また、30質量%以上であることが好ましい。例えば30〜90質量%が好適である。このように、分子量が700以上の有機樹脂成分を10〜90質量%含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、有機樹脂の分子量の測定方法としては、下記のとおりである。
<分子量の測定方法>
上記有機樹脂成分の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
上記エポキシ基含有化合物は、分子量が700以上のものと700未満のものとを必須とするものである樹脂組成物であることが好ましい。分子量が700以上のもの(高分子量成分とも言う。)と700未満のもの(低分子量成分とも言う。)とを必須とすることにより、製造時の粘度低減と製品の機械強度の向上という効果が得られることとなる。すなわち、硬化性樹脂組成物の加工特性(粘度、流れ性)に優れ、硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度に優れるといった、相反しながら両特性を満足する。硬化性樹脂組成物の粘度としては、有機樹脂成分として、高分子量成分だけであると、粘度が上昇するので、低分子量成分を併用する方が好ましい。また、硬化収縮率は、高分子量成分の方が低分子量成分より小さいことから、高分子量成分を用いることが好ましい。このような理由により、低分子量成分と高分子量成分を併用することが好ましい。これらの高分子量成分と低分子量成分とは、組成が同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記高分子量成分の分子量としては、上述した分子量(重量平均分子量)が700以上である有機樹脂と同様であることが好ましい。具体的には、700〜10000が好ましい。
上記低分子量成分の分子量としては、重量平均分子量が700未満であることが好ましい。具体的には、150〜700が好ましい。
上記2種以上の分子量を有する有機樹脂成分としては、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。このような有機樹脂成分の好適な組み合わせとしては、(1)高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシCである形態、(2)高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシA´及びCである形態、(3)高分子量成分がエポキシBであり、低分子量成分がエポキシB及びCである形態、(4)高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシB及びCである形態、(5)低分子量成分がエポキシA´であり、高分子量成分がエポキシCである形態、(6)低分子量成分がエポキシBであり、高分子量成分がエポキシCである形態、(7)低分子量成分がエポキシA´及びCであり、高分子量成分がエポキシCである形態、(8)低分子量成分がエポキシB及びCであり、高分子量成分がエポキシCである形態である。これらの中でも、低分子量成分が、エポキシCである形態(形態(1)〜(4))が好ましい。脂環式エポキシ(エポキシC)(エポキシシクロヘキサン化合物)を低分子量成分として含むと、硬化前は低粘度でありながら、加熱時の硬化密度が高く、且つ、機械的特性に優れる硬化物が得られる。上記組み合わせの中でも、高アッベ数の硬化性樹脂組成物の場合は、高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシCである形態(形態(1))がより好ましく、形態(1)において、高分子量成分(エポキシA´)として、エポキシC以外の脂環式エポキシを含む形態が更に好ましい。
上記樹脂組成物としてはまた、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、溶媒5質量%以下に調製される形態が好ましい。このような形態に調製することにより、連続生産可能となり、一体感を有し、強度が高く、透明性・耐熱性が高い熱硬化性樹脂を得ることができ、500nm透過率80%以上であるレンズ材料(光学材料)として有用な熱硬化性材料を提供することができる。有機樹脂成分としては2種以上であることが好適である。樹脂組成物が、上記2種以上の有機樹脂が分子量が700以上のもの(高分子量成分)と700未満のもの(低分子量成分)とを含む場合、これらの調製方法としては、低分子量成分とオルガノシロキサン化合物(と必要に応じてその他の成分)とを混合し、溶媒(溶剤)を留去した後、高分子量成分を添加する方法が好ましく、混合物(低分子量成分とオルガノシロキサン化合物と高分子量成分と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒を5質量%以下となるよう調製してなる形態が好ましい。
上記のように混合することで、樹脂組成物の粘度が上昇することなく、好適な樹脂組成物を得ることができる。また、高分子量材料の樹脂組成物へのなじみをよくすることができる。このように、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、2種以上の有機樹脂とオルガノシロキサン化合物とを混合し、最終的に溶媒5質量%以下で調製する工程を含む樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。このような製造方法としてより好ましくは、上記2種以上の有機樹脂が分子量が700以上のもの(高分子量成分)と700未満のもの(低分子量成分)とを必須とするものである形態である。更に好ましくは、上記混合工程は、低分子量成分とオルガノシロキサン化合物と溶媒とを含む混合物から溶媒の少なくとも一部を除去した後、高分子量成分を添加してなる形態である。
上記溶媒量としては、混合物(2種以上の有機樹脂とオルガノシロキサン化合物と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。一方、本発明の好ましい形態の一つとして溶媒を用いた樹脂組成物の製造時(脱溶媒時)の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、高沸点溶媒等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。上記溶媒としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール等の高沸点アルコールが好ましい。なお、高沸点アルコールの具体例については、後述する。このような高沸アルコールの残存量は、0.01〜2質量%であることが好ましい。
上記分子量が700以上の有機樹脂、分子量の測定方法及び樹脂組成物に含まれるオルガノシロキサン化合物としては、上述と同様であることが好ましい。
上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕=10〜90であることが好ましい。より好ましくは、20〜80であり、更に好ましくは、30〜70である。なお、有機樹脂の具体例としては、上述したとおりである。
また低分子量成分と高分子量成分の割合としては、高分子量成分/(有機樹脂成分総量)=30〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、35〜80質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。
上記2種以上の分子量を有する有機樹脂成分としては、上述したように、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、脂環式エポキシを含むことが好適である。このように、分子量の異なる2種以上のエポキシ化合物をオルガノシロキサン化合物と溶媒5%以下で混合してなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物は、好適には、上記有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、有機樹脂成分を50〜99.9質量%、オルガノシロキサン化合物を0.1〜50質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性が高い樹脂組成物とすることができる。特に、有機樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。
〔可とう性成分〕
上記樹脂組成物はまた、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、一体感のある樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。具体的には、−〔−(CH−O−〕− で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)が好ましい。例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D、ジャパンエポキシレジン社製のYL−7217(オキシアルキレン鎖がオキシブチレンである、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上));高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル工業社製 EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鎖や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基(グリシジル基)等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
上記可とう性成分としては、硬化性の官能基を含む化合物を好適に適用できるが、硬化性の官能基を含む化合物の中でも特に好ましくは、エポキシ基を含む化合物である。上記可とう性成分としては、具体的には、オキシブチレン(オキシテトラメチレン)であることが好ましい。
上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、オルガノシロキサン化合物を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。すなわち、可とう性成分が10質量%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜35質量%であり、更に好ましくは、0.5〜30質量%である。
また上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、オルガノシロキサン化合物を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。特に、可とう性成分が10質量%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜1質量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物としては、(1)可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる脂環式硬化性物質と無機分散体からなる形態、(2)可とう性を有する材料(可とう性成分)と硬化性材料とオルガノシロキサン化合物を含んでなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、150℃で10分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、40MPa以上のものであることが好ましい。このように、オルガノシロキサン化合物と有機樹脂成分とを含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、可とう性を有する成分を含み、150℃で10分硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、40MPa以上である硬化性樹脂組成物もまた本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物は、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上のものであることが好ましい。上記樹脂組成物は、後述するように、金型を用いて硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことが好ましい。この場合、上記硬化物の耐曲げ強度は、ポストキュア(ベーク)を行う前であって、金型を用いて120℃で2分間硬化させたときに得られる硬化物の強度をいう。
このように、オルガノシロキサン化合物と有機樹脂成分とを含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物は、可とう性を有する成分を含み、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物の粘度として特に好ましくは、10000Pa・s以下であり、更に好ましくは、1000Pa・s以下であり、最も好ましくは、200Pa・s以下である。
本発明の樹脂組成物は、上述した樹脂やオルガノシロキサン化合物の他に、硬化触媒、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
〔離型剤〕
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適に用いることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸(特に高級脂肪酸)及びカルボン酸エステルである。カルボン酸及びカルボン酸エステルは、カチオン硬化反応を阻害することなく、離型効果を充分に発揮できることから好ましい。なおアミンは、カチオン硬化反応を阻害する可能性があることから、離型剤として用いない方が好ましい。
上記化合物は、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数であると、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示す硬化物となる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記炭素数が8〜36アルコールとは、一価又は多価のアルコールであり、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。具体的には、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ジペンタエリスリトール、2−フェニルエタノール等が好適である。上記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも、オクチルアルコール(オクタノール)、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2−エチルヘキサノール)、ステアリルアルコールがより好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸エステルとは、(1)上記アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル、(2)メタノール、エタノール、プロパノール、ヘプタノール、ヘキサノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールと上記カルボン酸との組み合わせで得られるカルボン酸エステル、(3)酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブタン酸等の炭素数1〜7のカルボン酸と上記アルコールとの組み合わせで得られるカルボン酸エステル等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、酢酸オクチル等が好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物、アルコール系化合物であり、更に好ましくは、ステアリン酸系化合物である。このように、上記樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
上記硬化性樹脂組成物は、オルガノシロキサン化合物を含有することで、硬化性樹脂組成物の熱膨張率を低下させることができる。また、オルガノシロキサン化合物、有機樹脂組成物(エポキシ基含有化合物)との屈折率をあわせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもでき、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用なものとすることができる。更に、オルガノシロキサン化合物を含むことで離型効果を発揮することができる。具体的には、オルガノシロキサン化合物を適量加えることにより、硬化物に離型効果がみられ、金型から容易に剥がれることとなる。
なお上記有機樹脂成分は、溶媒を含んでいてもよく、有機樹脂成分に含まれる溶媒量としては、有機樹脂成分100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、有機樹脂成分を含む場合に上述したように、成形体に気泡が生じるおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、特に好ましくは、3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。
上記脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物は、有機樹脂成分に含まれていればよくその含有量は特に限定されないが、総有機樹脂成分中5質量%以上であり、更に好ましくは、10質量%以上である。特に、高アッベ数光学用途に対しては、60質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは、実質的にすべてが脂環式エポキシ化合物又は水添エポキシ化合物であることである。低アッベ数光学用途に対しては、1〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%であり、更に好ましくは20〜50質量%である。
本発明の樹脂組成物としては、カチオン硬化触媒を用いたカチオン硬化性樹脂組成物であることが好ましい。カチオン硬化性樹脂組成物(カチオン重合性基を有する樹脂成分)であることにより、硬化剤を用いずに硬化することができ、本発明の作用効果を充分に発揮し、保存安定性に優れたものとし、更に着色しないものとすることができる。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ基含有化合物を含むものであることから、カチオン硬化触媒を用いることでカチオン硬化性樹脂組成物となる。
上記カチオン硬化性樹脂組成物とは、カチオン重合性基を分子中に少なくとも1個有する化合物を含む樹脂組成物である。カチオン硬化性樹脂組成物としては、カチオン重合性基を2個以上有する化合物を含むことが好ましい。より好ましくは、カチオン重合性基を2個以上有する多官能カチオン硬化性化合物を含むことである。
本発明の樹脂組成物において、エポキシ基含有化合物として好適な水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物は多官能カチオン硬化性化合物である。これらの化合物は、多官能カチオン硬化性化合物であることから、樹脂組成物に含まれることが好ましい。
本発明の樹脂組成物としては、エポキシ基含有化合物を含むものであり、「エポキシ基」として具体的には、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基等のグリシジル基;芳香族グリシジルエーテル化合物の水添物等の完全又は部分飽和脂肪族環状炭化水素に結合したグリシジルエーテル基;エポキシシクロへキサン基など脂環式エポキシ基を含むエポキシ基等も含まれる。
上記エポキシ基含有化合物以外のカチオン重合性基を有する化合物も本発明の樹脂組成物に含まれていてもよい。このようなカチオン重合性基としては、オキセタン基;ジオキソラン基;トリオキサン基;ビニルエーテル基等が好適である。これらのエポキシ基含有化合物以外のカチオン重合性基を有する化合物は、主に硬化速度を調整する目的で樹脂組成物に添加することが好ましい。
〔硬化触媒〕
上記硬化触媒としては、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば、カチオン硬化触媒が好ましい。このように、上記樹脂組成物は、カチオン硬化触媒を含む樹脂組成物(カチオン硬化系樹脂組成物)が好ましい。カチオン硬化触媒を有することで、硬化剤を用いた系に比べて硬化性樹脂組成物の保存安定性がより優れたものとなる。更に、硬化性樹脂組成物の硬化速度を速くすることができ、生産性よく硬化物を得ることができる。また、得られる硬化物は、耐熱性、透明性、機械的特性に優れるものとなる。なお、上記カチオン硬化系樹脂組成物としては、カチオン重合性基を有する有機樹脂成分を必須とするものであることが好ましい。
上記カチオン硬化触媒としては、熱酸発生剤(熱潜在性硬化触媒)又は光酸発生剤であることが好ましい。熱や光により、重合を開始させるカチオン種が発生するものであれば、特に限定されない。熱酸発生剤を用いることにより、加熱によりカチオン種を含む化合物が励起され、熱分解反応がおこり、熱硬化がすすむこととなる。また光酸発生剤を用いることにより、光によりカチオン種を含む化合物が励起され、光分解反応がおこり、光硬化がすすむこととなる。
上記カチオン硬化触媒の触媒量(使用量)は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物をあわせた樹脂組成物100質量%に対し、固形分換算で(溶媒等を含まない、有効成分の量で)0.01〜10質量%が好ましい。より好ましくは、0.1〜2.0質量%であり、更に好ましくは、0.2〜1.0質量%である。触媒量を減らしすぎて0.01質量%未満とすると、硬化が遅く、10質量%を超えて増やすと硬化時やその成形体の加熱時に着色するおそれがある。例えば、成型体を得た後にその成形体をリフロー実装する場合には、200℃以上の耐熱性が必要であり、透明性の観点からは、触媒量は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物をあわせた樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.5質量%以下であり、更に好ましくは、0.2質量%以下である。
上記カチオン硬化触媒としては、熱潜在性硬化触媒が好適である。このように、上記樹脂組成物は、熱潜在性硬化触媒を含むものである樹脂組成物(カチオン硬化系樹脂組成物)もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記熱潜在性硬化触媒とは、熱潜在性硬化剤、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性硬化触媒は後述する硬化剤と異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、また、熱潜在性硬化触媒の作用として、硬化反応を充分に促進することができ、優れた効果を発揮することができ、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)を提供することができる。特に、硬化性樹脂組成物を光学材料として用いる場合には、熱潜在性硬化剤を含むカチオン硬化系樹脂組成物であることが好ましい。カチオン硬化系樹脂組成物は保存安定性に優れる点で好ましい。このように、エポキシ基等のカチオン重合性基を有する有機樹脂成分、及び、熱潜在性硬化触媒を含む樹脂組成物であって、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物を含有する樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)の保存安定性改良方法もまた本発明の好ましい形態の一つである。カチオン硬化系樹脂組成物における有機樹脂成分は硬化速度の向上の観点からは、脂環式エポキシ化合物(エポキシシクロヘキサン骨格)、水添エポキシ化合物(水添ビスA)が好ましく、触媒量を減量するという観点からは、脂環式エポキシ化合物(エポキシシクロヘキセン)が好ましい。
上記熱潜在性硬化触媒を用いると、また、得られる樹脂組成物の硬化物の耐湿性が劇的に改善され、過酷な使用環境においても樹脂組成物が有する優れた光学特性を保持し、種々の用途に好適に用いることができるものとなる。通常、屈折率が低い水分が樹脂組成物やその硬化物に含まれると、濁りの原因になるが、熱潜在性硬化触媒を用いると、優れた耐湿性が発揮できることから、このような濁りが抑制され、レンズ等の光学用途に好適に用いることができる。特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(1)
(R Z)+m(AXn)−m(1)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、上述の構造を有するものであればよいが、これらは、一般に、硬化温度でカチオンが発生することになる。硬化温度としては、25〜250℃であることが好ましい。より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜180℃である。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分である。
上記一般式(1)の陰イオン(AXn)−mの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式AXn(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、40kgf/cm以下の強度で離型するものであることが好ましい。上記樹脂組成物において、40kgf/cm以下の強度で離型するとは、当該技術分野において容易に剥離し、製造工程で生産性よく製造することができ、樹脂組成物の連続生産ができると評価されることを意味する。剥離強度が、40kgf/cmを超えると生産性よく製造できず、経済性に優れたものとならないおそれがある。剥離強度として好ましくは、20kgf/cm以下であり、より好ましくは、10kgf/cm以下であり、更に好ましくは、1kgf/cm以下であり、特に好ましくは、0.1kgf/cm以下である。
上記剥離強度は、透明材料の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる150℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度(40kgf/cm以下の強度で離型する)であることが好ましい。このような剥離強度(材料硬度)は、例えば、以下のようにして評価することができる。120℃、2.5分で樹脂組成物をSUS304基板上に厚さ1mmで硬化し、30℃に30s以内で冷却し、樹脂とSUS304の界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を所望の力(例えば、剥離強度40kgf/cmの力)で押し当てて離型のしやすさを評価することができる。成形条件によっては、冷却せずに、そのまま、評価することも可能である。なお、剥離強度40kgf/cmの力は、1.5kgの荷重を長さ2cmの樹脂と、SUS304界面にカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積を、0.04cmとした。また、離型性能を示す方法として、碁盤目試験(JISK−5400)も好ましい試験方法である。
〔硬化方法〕
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、樹脂組成物に上記硬化触媒や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化触媒等を混合した硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。
すなわち、混合直後に比べて25℃で1日間保存後の硬化性樹脂組成物の粘度が、1000%以下であることが好ましい。1000%を超えると、金型への液の塗出が困難となりうるおそれがあり、金型内での流動性にも悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、500%以下であり、更に好ましくは、10%以下である。このように、上記樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物として1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存後に混合直後に比べて10%以下となる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。また混合直後に比べて25℃で3日間保存後の硬化性樹脂組成物の粘度が、200%以下であることが好ましい。200%を超えると、金型への液の塗出が困難となるおそれがあり、金型内での流動性にも悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、180%以下であり、更に好ましくは、150%以下である。このように、上記硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物として1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存後に混合直後に比べて200%以下となる硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法としては、通常用いられている方法を好適に使用することができ、後述するように樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができるが、上記樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する方法が好ましい。具体的には、上記樹脂組成物に硬化触媒や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して、5分以内で硬化させることが好ましい。上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内である。硬化速度は速い方が生産性が向上し好適であるが、硬化速度が速い有機樹脂成分としては、脂環式エポキシ基(エポキシシクロへキシル基、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介して付加したエポキシ基)を有するものがグリシジル基を有するものより速い。なおこれらはアッベ数が45以上である樹脂成分である。また、脂環式エポキシ化合物の方が、芳香族エポキシの水添物よりも硬化速度が速い。
上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。
上記硬化方法おいては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1kgf/cm以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
本発明の樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
以下、本発明の樹脂組成物の硬化方法について更に説明する。本発明の樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物は、硬化触媒を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化触媒として上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。なお、熱潜在性カチオン発生剤等のカチオン硬化触媒を用いるカチオン硬化以外の硬化方法として硬化剤を使用する方法がある。このような硬化剤としては、例えば、酸無水物類、アミン類、フェノール樹脂類等が挙げられる。具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;アンモニア、1〜3級アミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
上記硬化剤を用いる硬化方法においては、必要に応じて硬化促進剤を用いることができ、例えば、イミダゾール、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。
なお、上述した硬化剤及び硬化促進剤は、本発明の作用効果の一つである優れた保存安定性を充分には発揮できないおそれが生じるため、硬化剤及び硬化促進剤を添加することが必要不可欠である場合以外は、積極的には使用しない方がよい。
〔硬化物の特性〕
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより、2%以下にすることが好ましく、1.0%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
上記硬化物の耐熱性は、空気中、260℃で5分間加熱処理した後でも、加熱処理前に比べてクラック発生などの外観の変化が全くなく、可視光に対する全光線透過率・濁度の変化率が30%以下であることが好ましい。より好ましくは、10%以下であり、更に好ましくは、5%以下であり、特に好ましくは、1%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。樹脂組成物の耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、長期にわたり黄変や強度低下の抑制された耐熱性に優れる硬化物となる。
〔光学材料〕
本発明はまた、上記樹脂組成物によって構成される光学材料でもある。光学材料とは、上記樹脂組成物を用いた硬化材料であり、単に「硬化材料」又は「光学部材用硬化性材料」とも言う。本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮し、該樹脂組成物を硬化させた硬化物もまた、同様の特性を発揮することから、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。本発明の光学材料としては、上記樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。
上記光学材料としては、上述したように、オルガノシロキサン化合物及び/又はエポキシ化合物の組み合わせによりアッベ数、屈折率を制御することができる。これらの好適な組み合わせ等は、上述のとおりである。また、このような光学材料の硬化方法、粘度等の種々の特性等は、上記樹脂組成物におけるものと同様であることが好ましい。
上記光学材料が高アッベ数である形態としては、光学材料のアッベ数が45以上であり、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。アッベ数及び透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性や解像度を有する光学特性に優れた光学材料となる。光学材料のアッベ数としてより好ましくは、55以上であり、更に好ましくは、58以上である。光学材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
上記光学材料が低アッベ数である形態としては、光学材料のアッベ数が35以下であり、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。アッベ数及び透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性や解像度を有する光学特性に優れた光学材料となる。光学材料のアッベ数としてより好ましくは、34以下であり、更に好ましくは、33.5以下であり、特に好ましくは、30以下である。光学材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
上記光学材料(透明光学用材料)は、120℃で2分の硬化時の耐曲げ強度が60MPa以上となることが好ましい。耐曲げ強度については、上述したとおりである。
上記光学材料としては、上記樹脂組成物を含むものであるが、光学材料の用途に応じて適宜その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、UV吸収剤、IRカット剤、反応性希釈剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、光安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が好適である。
本発明はまた、上記光学材料を硬化させてなる光学部材でもある。このような光学部材(上記樹脂組成物により形成される硬化物)としては、上述の光学材料の中でも、アッベ数が高いものを硬化させてなる光学部材が好ましい。高アッベ数の光学部材としては、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂中に20%以下である硬化物が好ましい。芳香環等の二重結合を有する化合物が樹脂組成物中に20質量%以下であると、屈折率等の光学特性が優れたものとなり、光学用途等に好適に用いることができる。
上記光学部材のアッベ数及び屈折率としては、上述のように樹脂組成物を構成するオルガノシロキサン化合物及び/又はエポキシ化合物の組み合わせによりアッベ数、屈折率を制御することができ、用途に応じて好適な範囲のものを選択することができる。例えば高アッベ数の光学部材とする場合は、上記光学材料におけるものと同様であることが好ましい。このような高いアッベ数の硬化物であることから、下記の種々の用途に用いることができる。
〔硬化物の用途〕
上記硬化物の用途として具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車載カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光導波路、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記用途の中でも、レンズ用途においては、今後の方向として以下の光学特性が要求されると考えられる。本発明における硬化性樹脂組成物、光学材料、及び、光学材料の制御方法は、これらの目的にも好適に用いることができる。
(1)高アッベレンズ
アッベ数:50以上、屈折率:1.5程度
(2)低アッベレンズ
アッベ数:35以下、屈折率:1.57以上
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
〔アッベ数及び/又は屈折率の制御方法〕
本発明の樹脂組成物は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを適宜選択することにより、アッベ数及び/又は屈折率を制御することができる。このような制御においては、有機樹脂成分を適宜選択することにより、アッベ数及び/又は屈折率、特にアッベ数を制御することができる。硬化性樹脂組成物のアッベ数対屈折率の相関線を考えた場合、有機樹脂成分の種類を選ぶことで、アッベ数がほぼ決まり、オルガノシロキサン化合物を選ぶことで、有機樹脂成分のアッベ数を維持しつつ屈折率を上げたり下げたりすることができる。例えば、屈折率を低減させる場合には、シロキサンA、Rの割合の多いシロキサンAB等を用いることが好適であり、屈折率を上昇させる場合には、シロキサンB、Rの割合の多いシロキサンAB等を用いることが好適である。本発明の硬化性樹脂組成物の屈折率を上げるためには、高屈折率の金属酸化物微粒子を併用することもできるが、真比重が高い点、高度な透明性の実現が容易ではない点、カチオン重合性化合物の安定性にマイナスの影響を与える点から、本願発明におけるオルガノシロキサン化合物を用いることが好ましい。オルガノシロキサン化合物の中でも、反応性基のないオルガノシロキサン化合物(メタロキサンポリマー)が好適であり、水酸基やアルコキシ基等上記オルガノシロキサン化合物の式中Y基のないものがより好適である。
上述したように、オルガノシロキサン化合物、有機樹脂成分を適宜選択することにより、該樹脂組成物のアッベ数及び/又は屈折率を制御することができるものである。また、上記樹脂組成物だけでなく、樹脂組成物によって構成される光学材料及び光学材料を硬化させてなる光学部材のアッベ数及び/又は屈折率も制御することができる。すなわち、樹脂組成物、光学材料及び光学部材のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、(i)オルガノシロキサン化合物のRとRとの比率を変化させる形態、(ii)有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いる形態、(iii)有機樹脂成分として、芳香族エポキシ化合物を用いる形態、(iv)上記(i)〜(iii)の形態を組み合わせた形態が好適である。
上記形態(i)〜(iii)としては、上記樹脂組成物において説明したのと同様であることが好ましい。また、これらの組み合わせ(iv)についても、上述したとおりである。具体的には、上記形態(i)としては、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、オルガノシロキサン化合物のRとRとの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法である。このような制御方法としては、(1)1種のオルガノシロキサン化合物において、RとRの含有比率を変えて制御する形態、(2)2種以上のオルガノシロキサン化合物を併用することによって制御する形態が好適である。
上記(1)の形態としては、オルガノシロキサン化合物としてシロキサンA(上記平均組成式においてb=0)を含有する形態(形態(1−1))、オルガノシロキサン化合物としてシロキサンB(上記平均組成式においてa=0)を含有する形態(形態(1−2))、オルガノシロキサン化合物としてシロキサンAB(上記平均組成式においてa≠0かつb≠0)を含有する形態(形態(1−3))が好ましい。形態(1−3)は言い換えると、上記シロキサンABにおけるRとRの割合によりアッベ数及び/又は屈折率を制御する形態、すなわち、シロキサンABを用いて該シロキサンABのR含有量を変化させる形態(形態(b)ともいう)である。
上記形態(2)としては、RとRの含有比率の異なるオルガノシロキサン化合物2種以上を併用する形態が好ましい。具体的には、シロキサンAとシロキサンBとを併用する形態(形態(2−1))、2種以上のシロキサンABを併用する形態(形態(2−2))、シロキサンAとシロキサンABとを併用する形態(形態2−3))、シロキサンBとシロキサンABとを併用する形態(形態2−4))が好適である。なお、上記形態(2−1)において、「シロキサンAとシロキサンBとを併用する」とは、シロキサンAとシロキサンBとを必須として含むことを言い、その他のオルガノシロキサン化合物(例えば、シロキサンAB)を含んでいてもよい。形態(2−2)〜(2−4)、及び、以下の形態(2)に関する説明についても同様である。すなわち、シロキサンA、シロキサンB及びシロキサンABのすべてを含む形態も上記形態(2−1)〜(2−4)の好適な形態の一つである。
上記形態(2−2)は、RとRの含有比率の異なる2種以上のシロキサンABを併用する形態である。例えば、R>Rである2種以上のシロキサンABを併用する形態も含まれる。より好ましくは、R>RであるシロキサンABとR<RであるシロキサンABとを併用する形態である。上記形態(2−3)としてより好ましくは、シロキサンAとR<RであるシロキサンABとを併用する形態である。上記形態(2−4)としてより好ましくは、シロキサンBとR>RであるシロキサンABとを併用する形態である。
上記形態(2)の形態としては、用いる2種以上のオルガノシロキサン化合物の割合を変化させることでアッベ数及び/又は屈折率を制御する形態がより好ましい。具体的には、上記オルガノシロキサン化合物は、上記平均組成式におけるR>Rである(オルガノシロキサン化合物一分子中のRのモル数がRのモル数より多い)オルガノシロキサン化合物(I)と、R<Rであるオルガノシロキサン化合物(II)とを併用し、オルガノシロキサン化合物(I)と、オルガノシロキサン化合物(II)との割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する形態が好ましい。また、オルガノシロキサン化合物として、シロキサンAと、シロキサンBとを併用し、該オルガノシロキサン化合物のシロキサンA含有量を変化させる形態(a)、オルガノシロキサン化合物として、R>RのシロキサンABとR<RのシロキサンABとを併用し、該2種のシロキサンABの含有量を変化させる形態(a´)が好適である。
なお、上述したように、シロキサンAとは、上記オルガノシロキサン化合物(I)に含まれ、上記平均組成式におけるb=0のものをいい、シロキサンBとは、上記オルガノシロキサン化合物(II)に含まれ、平均組成式におけるa=0のものをいう。シロキサンABとは、上述の平均組成式においてa≠0かつb≠0のものをいう。また、R>Rは、平均組成式において、Rの割合の方がRの割合より多いことを意味し、a>bであることを言う。R<Rについても同様であり、a<bであることを意味する。
上記形態(ii)としては、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いる形態、上記形態(iii)としては、芳香族エポキシ化合物の中の1種又は2種以上を用いる形態が好適である。
上記(iv)の形態としては、上記(i)と(ii)とを用いる形態、(i)と(iii)とを用いる形態、(ii)と(iii)とを用いる形態、(i)〜(iii)の全てを用いる形態が好ましい。これらの中でも、(i)〜(iii)の全てを用いる形態がより好ましい。すなわち、本発明はまた、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、オルガノシロキサン化合物のRとRとの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法でもある。
上記製造方法において、更に好ましくは、(i)〜(iii)において、Rがアルキル基であり、Rがフェニル基である形態である。このように、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、オルガノシロキサン化合物のアルキル基とフェニル基との割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記形態(i)が上記形態(a)であるものも好適である。このように、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、オルガノシロキサン化合物として、シロキサンAと、シロキサンBとを併用し、該オルガノシロキサン化合物のシロキサンA含有量を変化させる光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。言い換えると、光学材料におけるエポキシ成分AとBとの併用、かつ、シロキサンAとシロキサンBとの併用によるアッベ数、屈折率の制御方法でもある。
上記(i)〜(iii)の全てを用いる形態としてはまた、上記形態(i)が上記形態(b)であるものが好適である。このように、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、オルガノシロキサン化合物として、シロキサンABを用いて制御し、該シロキサンABのR含有量を変化させる光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。言い換えると、上記光学材料における、エポキシ成分AとBとの併用、かつ、シロキサンABにおけるR含有比率によるアッベ数、屈折率の制御方法でもある。
上記(iv)の形態としては、また、アッベ数を高く制御する場合に(i)と(ii)とを用いる形態が好ましい。すなわち、本発明はまた、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用い、オルガノシロキサン化合物のRとRとの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法でもある。
上記制御方法において、Rがアルキル基であり、Rがフェニル基であることがより好ましい。すなわち、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用い、オルガノシロキサン化合物の飽和脂肪族炭化水素基(R)とアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R)との割合を、a/(a+b)×100=0〜100%の範囲で変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の一つである。なお、「オルガノシロキサン化合物の飽和脂肪族炭化水素基(R)とアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R)との割合を変化させ」るとは、R又はRの割合が0となる場合も含まれる。すなわち、オルガノシロキサン化合物が飽和脂肪族炭化水素基(R)を含まない場合、オルガノシロキサン化合物がアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R)を含まない場合も含まれる。
上記RとRとの割合a/(a+b)×100としては、上述と同様であることが好ましい。すなわち、上記樹脂組成物及び硬化物として、屈折率が低いものを得たい場合、脂肪族炭化水素基含有量が多い方が好ましい。具体的には、a/(a+b)×100が、50%以上であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、更に好ましくは、100%である。樹脂組成物及び硬化物として、屈折率が高いものを得たい場合、アリール基又はアラルキル基含有量が多い方が好ましい。具体的には、a/(a+b)×100が、50%未満であることが好ましい。より好ましくは、0〜20%であり、更に好ましくは、0%である。
上記光学材料の制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用することが好ましい。
上記制御方法の好適な形態としては、R>Rであるオルガノシロキサン化合物(I)(シロキサンAを含む)と、R<Rであるオルガノシロキサン化合物(II)(シロキサンBを含む)との割合を変化させるものである。すなわち、上記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基含有量がアリール基及びアラルキル基の合計モル数量よりも多いモル数のオルガノシロキサン化合物(I)と、アリール基及びアラルキル基の合計モル数量が飽和脂肪族炭化水素基含有量よりも多いモル数のオルガノシロキサン化合物(II)とを併用し、オルガノシロキサン化合物(I)と、オルガノシロキサン化合物(II)との割合を、(I)/((I)+(II))×100=0〜100%の範囲で変化させることにより、アッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、オルガノシロキサン化合物(I)には、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R)を含まない場合(シロキサンA)が含まれ、オルガノシロキサン化合物(II)には、飽和脂肪族炭化水素基(R)を含まない場合(シロキサンB)が含まれる。
上記オルガノシロキサン化合物(I)と、オルガノシロキサン化合物(II)との割合としては、(I)/((I)+(II))×100=0〜100%の範囲であることが好ましい。屈折率が低いものを得たい場合は、50%以上であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、更に好ましくは、100%である。屈折率が高いものを得たい場合は、50%未満であることが好ましい。より好ましくは、0〜20%であり、更に好ましくは、0%である。
上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用い、オルガノシロキサン化合物として、下記平均組成式:
aRbYcSiOd
(式中、Rは、飽和脂肪族炭化水素基を表す。Rは、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で示されるオルガノシロキサン化合物を1種又は2種以上用いオルガノシロキサン化合物総量におけるRとRとの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の一つである。
上記形態においては、実質的にエポキシAのみを用いるものであることが好ましく、上述した(i)〜(iii)の全てを含む形態において、エポキシBが含まれない形態であることが好ましい。すなわち、上記(i)〜(iii)の形態であって、エポキシAを主成分とする形態も好ましい。
上記(i)と(ii)とを用いる形態においては、上記形態(i)が上記形態(a)であるものも好適である。このように、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群の1種又は2種以上を用い、オルガノシロキサン化合物として、シロキサンAと、シロキサンBとを併用し、該オルガノシロキサン化合物のシロキサンA含有量を変化させる光学材料の制御方法も、好ましい形態の一つである。
上記(iv)の形態としては、アッベ数を低くしながら、硬化速度の速い樹脂を得る場合に、(ii)と(iii)とを用いる形態であることが好ましい。このような形態とすることで、硬化速度が遅い(iii)成分の欠点を(ii)が補えるという利点がある。すなわち、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、それらの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の一つである。言い換えると、上記制御方法は、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つ(エポキシA)と、芳香族エポキシ化合物(エポキシB)との合計量に対するエポキシAの含有量により制御するものである。
上述した制御方法において、オルガノシロキサン化合物がR及び/又はRを有する場合、Rが、アルキル基であり、Rがフェニル基であることが好ましい。このように、上記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基が、アルキル基であり、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つがフェニル基である光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の光学材料の制御方法としては、上記エポキシ基含有化合物は、エポキシシクロヘキサン骨格を有するものである光学材料の制御方法でもある。このような制御方法を用いることにより、所望の光学特性を有する樹脂組成物及び光学材料を容易に得ることができ、光学用途等において好適に用いることができることとなる。このような制御方法としては、上記(i)を含む形態において、有機樹脂成分がエポキシシクロヘキサン骨格を有するもの(エポキシC)であることが好ましい。具体的には、上記(i)の形態、(i)と(ii)とを用いる形態、(i)と(iii)とを用いる形態、及び、(i)と(ii)と(iii)とを用いる形態において、有機樹脂成分がエポキシシクロヘキサン骨格を有するもの(エポキシC)であることが好ましい。
上記制御方法において、具体的な方法としては、上記樹脂組成物等において詳述したとおりであることが好ましい。
〔光学材料の製造方法〕
本発明はまた、上記光学材料の制御方法を用いる光学材料の製造方法でもある。このような製造方法としては、上記樹脂組成物を製造できるものである限り特に限定されないが、例えば、オルガノシロキサン化合物、有機樹脂の均一混合が困難な場合には、(1)オルガノシロキサン化合物、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、例えば、アルコール類、ケトン類、脂肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができる。これらの中でも、エポキシ基を有する化合物が容易に溶解する溶媒が好ましく、具体的には、ケトン類、脂肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類が好ましい。中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンが好ましい。
上記調製工程としては、減圧度を調整して、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と溶媒との割合としては、(有機樹脂成分+オルガノシロキサン化合物)/(有機樹脂成分+オルガノシロキサン化合物+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である
上記(2)の脱気工程としては、高沸点成分共存下で行われるものであることが好ましい。すなわち、本発明の製造方法としては、樹脂組成物の製造過程で、組成物中間体が溶媒を含む場合、高沸点成分を共存させて脱溶媒(脱気)する工程を含むことが好ましい。
このような製造方法は、オルガノシロキサン化合物として無機微粒子の溶媒分散体を原料とした場合や、オルガノシロキサンの溶液を原料として用いた場合などに好適に適用することができる。高沸点成分共存下で脱気することにより、オルガノシロキサン化合物を高濃度とすることができ、透明性とアッベ数がいずれも高い樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘及びゲル化を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であってもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、オルガノシロキサン化合物(無機物)と有機樹脂成分(有機物)を混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点成分を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記高沸点成分の添加量としては、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と脱気前の溶媒と高沸点成分と必要に応じてその他の成分との混合物100質量%に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。高沸点成分の添加量が10質量%を超えると、硬化性樹脂組成物中の高沸点成分含有量を30000ppm(3質量%)以下とするために、高い脱気温度とする必要があり、有機樹脂成分のカチオン硬化性官能基がオルガノシロキサン化合物のシラノール基と反応してしまうおそれがある。
上記高沸点成分は、高沸点成分は、脱気工程終了時に最終生成物である硬化性樹脂組成物にも含まれることとなる。高沸点成分としては、後述するように、高沸点アルコールであることが好ましい。アルコールは、一般に、シラノール基へのエステル化反応活性が高く、金属水酸基を封鎖する反応が起こりやすいことが知られている。本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、オルガノシロキサンがシラノール基を有する場合、樹脂組成物の製造過程や保存時に高沸点アルコールが共存すると、シラノール基を封鎖する反応が起こり、樹脂組成物の保存安定性が改善される。
上記硬化性樹脂組成物中の高沸点成分の含有量としては、硬化性樹脂組成物総量に対し、100〜30000ppm(0.01〜3質量%)であることが好ましい。30000ppmより大きい場合では、上記金属水酸基を封鎖する反応により、副生する水分濃度が高くなるため、樹脂組成物の化学的安定性が損なわれるおそれがある。また、樹脂組成物の硬化時に、高沸点アルコールや上記封鎖反応により生成する水分がガス化し、気泡を発生するおそれがある。このようなガス化により、硬化物にボイドが生じたり、硬化反応が阻害されたりするおそれがある。また、100ppmより小さい場合、上記樹脂組成物の保存安定化効果が充分には得られないおそれがある。
上記オルガノシロキサン化合物は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11であり、上記硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物総量に対して、高沸点成分を100〜30000ppm含有し、有機溶媒含有量が5質量%以下であることが本発明の好ましい形態の一つである。
上記オルガノシロキサン化合物は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11であるオルガノシロキサン化合物を有機溶媒分散体として、その有機溶媒分散体に由来する形態を有するオルガノシロキサン化合物である。
上記オルガノシロキサン化合物の好ましい形態は、本明細書中に記載される好ましい形態と適宜組み合わせることができる。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程においては、溶媒を脱気できる条件であれば特に限定されないが、有機樹脂成分の分解や硬化反応、オルガノシロキサン化合物の凝集が過度におこるのを抑制する条件であることが好ましい。具体的には、脱気温度は200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは、80℃以下である。脱気時間としては、72時間以下であることが好ましい。より好ましくは、24時間以下であり、更に好ましくは、2時間以下である。脱気工程における圧力としては、常圧であってもよいが、200torr以下であることが好ましく、100torr以下であることがより好ましい。
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
上記高沸点成分は、硬化性樹脂組成物中の有機溶媒に含まれる、常圧での沸点が100℃以上の成分であり、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール、ブタノール等の沸点が100℃以上のアルコール等が好ましい。より好ましくは、沸点が120℃以上のアルコール(具体的には、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール)であり、更に好ましくは、沸点が150℃以上のアルコールである。このように、高沸点成分がアルコールである組成物が好ましい。沸点が120℃以上のアルコールとしては、上記の中でも2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノールがより好ましく、2−エチル−1−ヘキサノールが更に好ましい。なお、沸点が100℃未満のアルコールでは、混合物の増粘が充分には防げられないおそれがあることから、沸点が100℃以上のアルコールであることが好ましい。上記高沸点成分は、沸点が100℃以上のアルコールである樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、沸点120℃以上のアルコールの中でも、沸点150℃以上のアルコールがより好ましく、沸点190℃以上のアルコールが更に好ましい。
上記高沸点アルコールとしては、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の多価アルコールも好ましい。より好ましくは、ジエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオールであり、更に好ましくは、ブタンジオールである。
多価アルコールは1価アルコールに比べ、上述したオルガノシロキサン化合物に含まれる金属水酸基へのエステル化反応活性が高いために、樹脂組成物の保存安定性を改善される効果に優れることとなる。
上記高沸点アルコールとしては、また、融点が20℃以下のものであることが好ましい。融点が20℃より高い場合には、樹脂組成物の製造直後や保存時に、高沸点アルコールが析出するおそれがある。
本発明の樹脂組成物としては、上述の方法で製造されることが好適である。すなわち、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、オルガノシロキサン化合物、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、該混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含み、該脱気工程が、高沸点成分共存下で行われる樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記製造方法において、製造される樹脂組成物は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、樹脂組成物に関する記載はすべて上記樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。なお、有機樹脂成分として特に好ましくは、脂環式エポキシ化合物であり、上記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物である樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物は、上記製造方法から得られるものであることが好ましい。この場合、上記製造方法においては、高沸点成分の共存下で脱気し、高沸点成分は組成物中に残存することから、樹脂組成物に高沸点成分が含まれることとなる。高沸点成分の好ましい形態としては、上述したように、高沸点のアルコールであり、高沸点成分(高沸点アルコール)を含む有機樹脂成分(例えば、脂環式硬化性物質)とオルガノシロキサン化合物(例えば、オルガノシロキサン化合物)からなる樹脂組成物であることが好ましい。このように、沸点100℃以上(好ましくは120℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは190℃以上である。)のアルコール、有機樹脂成分(例えば、熱硬化性材料)、オルガノシロキサン化合物を含む透明樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物を得るためのオルガノシロキサン化合物の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物を光学用途に用いる場合には、オルガノシロキサン化合物を内部析出法により生成した場合、用いた触媒による組成物の安定性の低下、オルガノシロキサン化合物の構造・組成の制御が困難、有機樹脂成分(エポキシ基)との反応などによる硬化前の変質、残存触媒、除去し難い水の残留等の種々の影響のおそれがある。したがって、光学材料に用いる場合は内添法は好ましくない。
上記オルガノシロキサン化合物の外部添加法、具体的には、オルガノシロキサン化合物の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記オルガノシロキサン化合物の形態としては、粉末状、液状又は液状の媒体に溶解した形態で、樹脂成分と混合することが好ましい。オルガノシロキサン化合物が媒体に溶解した溶液の形態であることが好ましい。
上記媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適に使用できるが、エポキシ基を有する化合物が容易に溶解する溶媒が好ましい。
上記溶媒及びオルガノシロキサン化合物を含む溶液としては、例えば、溶媒分散体の形態が挙げられる。溶媒分散体におけるオルガノシロキサン化合物の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、光学材料の製造方法において上述した有機溶媒のなかから適宜選択して用いることができる。
本発明で使用するオルガノシロキサン化合物の内部析出法としては、上述した樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、上記アルコキシド化合物を加水分解及び縮合してオルガノシロキサン化合物を得る方法である。ただし、液体溶媒で、アルコキシド化合物を加水分解及び縮合してオルガノシロキサン化合物を得た後に、加水分解触媒を取り除き、樹脂成分を混合する方法が好ましい。
本発明の樹脂組成物及びその光学部材は、上述の構成よりなり、連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れ、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な樹脂組成物及びその光学部材である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
合成例1−1
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を60g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を35gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)5gを均一になるように混合し、実施例1−1用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−2
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を91g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)9gを100℃で均一になるように混合し、実施例1−2用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−3
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を91g、メチルフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMPSQ−E、数平均分子量1100)9gを100℃で均一になるように混合し、実施例1−3用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−4
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を65g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を25gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)10gを均一になるように混合し、実施例1−4用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−5
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55.5g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を30gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)4.5g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10gを均一になるように混合し、実施例1−5用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は23Pa・Sであった。
合成例1−6
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を68g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を22gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−6用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は18Pa・Sであった。
合成例1−7
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を53g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を17gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)30gを均一になるように混合し、実施例1−7用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−8
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を30gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMPSQ−E、数平均分子量1100)10g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)5gを均一になるように混合し、実施例1−8用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−9
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を5g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を25gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7gを均一になるように混合し、実施例1−9用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は19Pa・Sであった。
合成例1−10
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を65g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を15gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10gを均一になるように混合し、実施例1−10用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−11
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を50g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)45gをそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)5gを均一になるように混合し、実施例1−11用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は49Pa・Sであった。
合成例1−12
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を15gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)20gを均一になるように混合し、実施例1−12用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度67Pa・Sであった。
合成例1−13
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を20g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を10gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)40g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)20gを均一になるように混合した。更に加えて、70℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7gを均一になるように混合し、実施例1−13用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−14
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を15g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2081、エポキシ当量201)を20g、それぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、70℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7gを均一になるように混合し、実施例1−14用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−15
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10g、を均一になるように混合し、実施例1−15用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−16
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10g、を均一になるように混合し、実施例1−16用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−17
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10g、を均一になるように混合し、実施例1−17用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−18
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を20g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を10g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オンコ−トEX−1020、エポキシ当量296)35g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−18用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−19
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を55g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、80℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、オキセタン化合物(宇部興産社製、ETERNACOLL(R)、OXBP)5g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−19用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−20
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を25g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を10g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オグソ−ルEG−210、エポキシ当量340)30g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−20用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−21
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を10g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を15gをそれぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)5gを均一になるように混合し、実施例1−21用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−22
100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)15g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オグソ−ルEG−210、エポキシ当量340)50g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−22用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−23
100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)20g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)10g、臭素系エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン社製、JER5050、エポキシ当量395)60g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)8g、メチルフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMPSQ−E、数平均分子量1100)2gを均一になるように混合し、実施例1−23用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−24
100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)15g、臭素系エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン社製、JER5050、エポキシ当量395)15g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オグソ−ルEG−210、エポキシ当量340)40g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)5gを均一になるように混合し、実施例1−24用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−25
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を25g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を10g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER152、エポキシ当量175、多官能エポキシ樹脂)を30g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)9g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)1gを均一になるように混合し、実施例1−25用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
合成例1−26(YX−8000/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)=70/30(wt%))
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)22.8gとシリコーン(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)9.8gを均一になるように混合し、実施例1−26用樹脂組成物を得た。収量32.6g、粘度3Pa・sであった。NMRより求めた不飽和結合の量は、18質量%であった。
合成例1−27(YX−8000=100(wt%))
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を比較例1−1用樹脂組成物として用いた。
合成例1−28(YL−7170=100(wt%))
水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)53.7g、イソプロパノール36.7gを80℃で混合し、比較例1−2用樹脂組成物を得た。
合成例1−29(828EL=100(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート 828EL、エポキシ当量184〜194)を比較例1−3用樹脂組成物として用いた。
合成例1−30(YX−8000/SiO(MEK−ST)=70/30(wt%))
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量249.7g、粘度40Pa・sであった。
合成例1−31(YX−8000/SiO(MEK−ST)=90/10(wt%))
合成例1−30で得られた樹脂組成物を93.6g、YX−8000を10gそれぞれ秤量し、50℃で均一になるように混合し、実施例1−27用樹脂組成物を得た。収量103.6g、粘度1Pa・sであった。
合成例1−32(YX−8000/SiO(MEK−ST)=60/40(wt%))
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)27gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)60gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行い、実施例1−28用樹脂組成物を得た。収量47.32g、粘度880Pa・sであった。
合成例1−33(YX−8000/YL−7170/SiO(MEK−ST)=65/25/10(wt%))
合成例1−30で得られた樹脂組成物を34.7g、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を25g、YX−8000を41.6gそれぞれ秤量し、80℃で均一になるように混合し、実施例1−29用樹脂組成物を得た。収量101.3g、粘度130Pa・sであった。
実施例1−1〜実施例1−29及び比較例1−1〜比較例1−3
(硬化用樹脂組成物の調製)
上記樹脂組成物(実施例1−1〜実施例1−25)に対しては、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して表1記載の濃度となるように添加し、80℃で均一混合した。50℃に冷却後、熱潜在性カチオン発生剤(カチオン系重合開始剤)(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L,固形分50%)を全重量に対して表1記載の濃度となるように添加し均一になるように混合した。
上記樹脂組成物(比較例1−1〜比較例1−3、実施例1−26〜実施例1−29)に対しては、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一混合した。50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して1wt%(固形分換算で0.5wt%)となるように添加し均一になるように混合した。
(成形体)
樹脂組成物を必要に応じて熱を加え(50℃等)減圧脱泡処理を行った後、溶媒の存在により気泡が発生する場合には、減圧処理を行いながら、150℃2時間で硬化を行い、実施例1−1〜実施例1−25は500μmのフィルムを、実施例1−26〜実施例1−29、比較例1−1〜比較例1−3は表中に記載の膜厚のフィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び成型体について、下記の物性を評価した。結果を表1〜3に示す。
<透明性の評価(濁度、透過率)>
濁度:濁度計(日本電色社製、NDH2000)を用いて評価した。
(硬化物):前述の成型体、フィルムのヘイズを評価した。
透過率:吸光度計(島津製作所製、分光光度計UV−3100)を用いて、波長500nmにおける硬化物の透過率を評価した。
(硬化物):前述の成型体、フィルムの透過率を評価した。実施例1−7、1−10、1−20、1−24については、260℃、5分乾燥機内に保持した後のフィルムの透過率も評価した。
<粘度>
離型剤、硬化剤を加える前の樹脂組成物の40℃、回転速度D=1/s時の粘度をR/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)にて評価した。粘度20Pa・s以上ではRC25−1の測定治具を使用し、20未満ではRC50−1の治具を使用した。D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
<屈折率、アッベ数の評価>
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて20℃にて評価した。
(硬化物):前述の成形体、フィルムの屈折率、アッベ数を評価した。
Figure 2008133442
Figure 2008133442
Figure 2008133442

Claims (15)

  1. 有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、
    該有機樹脂成分は、エポキシ基含有化合物を含むものであり、
    該オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
    aRbYcSiOd
    (式中、Rは、飽和脂肪族炭化水素基を表す。Rは、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で表されることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記オルガノシロキサン化合物は、式中、a+bが1又は2であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状であり、式中、a+bが1であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 前記オルガノシロキサン化合物は、アルキルシロキサンとフェニルシロキサンとを併用したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ基含有化合物は、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記エポキシ基含有化合物は、分子量が700以上のものと700未満のものとを必須とするものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学材料。
  8. 請求項7記載の光学材料を硬化させてなることを特徴とする光学部材。
  9. 請求項7記載の光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、
    該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、
    それらの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御することを特徴とする光学材料の制御方法。
  10. 請求項7記載の光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、
    該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用い、前記オルガノシロキサン化合物の飽和脂肪族炭化水素基(R)とアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R)との割合を、a/(a+b)×100=0〜100%の範囲で変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御することを特徴とする光学材料の制御方法。
  11. 前記光学材料の制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用することを特徴とする請求項10記載の光学材料の制御方法。
  12. 前記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基含有量がアリール基及びアラルキル基の合計モル数量よりも多いモル数のオルガノシロキサン化合物(I)と、アリール基及びアラルキル基の合計モル数量が飽和脂肪族炭化水素基含有量よりも多いモル数のオルガノシロキサン化合物(II)とを併用し、オルガノシロキサン化合物(I)と、オルガノシロキサン化合物(II)との割合を、(I)/((I)+(II))×100=0〜100%の範囲で変化させることにより、アッベ数及び/又は屈折率を制御することを特徴とする請求項10又は11記載の光学材料の制御方法。
  13. 前記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基が、アルキル基であり、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つがフェニル基であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の光学材料の制御方法。
  14. 前記エポキシ基含有化合物は、エポキシシクロヘキサン骨格を有するものであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の光学材料の制御方法。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の光学材料の制御方法を用いることを特徴とする光学材料の製造方法。
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