JP2009132834A - 硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、耐湿性等の基本性能に優れ、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等々な用途に好適に適用することができる硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材を提供する。
【解決手段】樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む金属酸化物粒子を更に含み、該樹脂成分が、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を必須とするものである硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材に関する。
硬化性樹脂組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等として有用であり、また、塗料や接着剤の材料としても用いられるものである。更に、無機物質を含有するものとすると、熱膨張率を低下させることができるだけでなく、無機物質と樹脂との屈折率を合わせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。例えば、デジタルカメラモジュールは携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、低コスト化も求められているため無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。近年においては新規用途として車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の車載化ニーズが高まっている。これら用途に適用する際、夏季の高温暴露等を考慮し、長時間の耐熱性が要求されている。従来のプラスチック材料よりも優れた耐熱性を必要とすることから硬化型材料の検討が進んでいる。
従来のカチオン重合性樹脂組成物に関し、(I)オキセタン含有基を、分子内に少なくとも2個有するオキセタン化合物。(II)エポキシ化合物、および(III)カチオン重合開始剤を含んでなる歯科用カチオン硬化性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、(A)成分:分子中にオキセタニル基を1個有する単官能オキセタン化合物、(B)成分:分子中に2個以上のカチオン開環重合性を有する環状エーテル残基を有する化合物、(C)成分:潜在性を有するカチオン重合開始剤、および(D)成分:粒径が1〜1000nmである金属酸化物微粒子、からなるカチオン重合型組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、各種特性を優れたものとし、封止剤用途以外にも適用できるようにする工夫の余地があった。
特開2007−31288号公報(第1−2頁) 特表2004−033532号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明性、耐熱性、耐湿性等の基本性能に優れ、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等様々な用途に好適に適用することができる硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、金属酸化物粒子を添加すると、各種特性を向上することができることに着目し、特定の金属酸化物粒子を添加すると、該粒子をナノ分散できることから、樹脂硬化物の耐熱性、機械的強度を改善するだけでなく、硬化性樹脂組成物及び硬化物の透明性を優れたものとすることができることを見いだした。透明性に優れることから光学用途に好適に用いることができ、光学用途に用いる場合には、屈折率、アッベ数の制御を容易に行うことができることを見いだした。また、特定の金属酸化物粒子を含む硬化性樹脂組成物を硬化させる場合、反応速度が遅く、生産性が充分ではないという課題があることを見いだした。特に、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を分散させたグリシジルエーテル基含有エポキシ樹脂(グリシジルエーテルエポキシ樹脂)を、カチオン重合開始剤存在下で加熱しても硬化反応がゆっくりとしか進まず、硬化物を得るには長時間を要するという課題があることを見いだした。これらの金属酸化物粒子存在下でも、硬化速度を改善する方法を検討した結果、特定のカチオン重合性化合物を共存させることにより、短時間で硬化させることが可能であることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂組成物は、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を更に含み、上記樹脂成分が、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を必須とする硬化性樹脂組成物である。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学部材用硬化性材料でもある。
本発明は更に、上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明は、樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含み、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を更に含む硬化性樹脂組成物である。このような構成を有することによりカチオン重合性の改良された硬化性樹脂組成物とすることができる。本発明の硬化性樹脂組成物は、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子(以下、単に「金属酸化物粒子」とも言う。)が樹脂組成物に含まれていても、硬化時にカチオン硬化反応が速やかに進むことに起因して、樹脂硬化物の耐熱性、機械的強度を改善することができ、熱膨張率を低下させることができ、離型効果を発揮することができる。また、上記金属酸化物粒子は、粒子同士が静電反発するため、溶液等の溶媒中で安定に分散して存在することができる。このため、優れた透明性を発揮し、光学用途に好適に用いることができる。光学用途に用いる場合には、屈折率、アッベ数の制御を容易に行うことができる。
上記金属酸化物粒子としては、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素から構成される酸化物である。
上記金属酸化物粒子としては、上記金属元素の酸化物であればよく、単一酸化物、固溶体、複合酸化物のいずれであってもよい。また、1種又は2種以上を用いてもよい。
上記金属酸化物として、具体的には、ZrO、ZrO・xHO(xは、水和水の数を表す。)、MZrO(Mは、アルカリ金属元素を表す。)、ZrO・2HO、KZrO・4H・2HO等のジルコニウムの酸化物及び関連化合物;酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)等が好ましい。より好ましくは、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)であり、更に好ましくは、酸化ジルコニウムである。これらの金属酸化物粒子は、レンズ等の光学材料の高屈折率化、アッベ数の制御に添加剤として硬化性樹脂組成物に含有させる場合に有用である。しかしながら、従来の硬化性樹脂に添加する形態では硬化速度が遅いという問題があり、実用的な生産性で硬化物を得ることは困難であった。本発明では、特定の樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含むものとすることにより、硬化性に優れる、高屈折率の硬化性樹脂組成物及び光学材料を得ることができる。
上記金属酸化物粒子としては、1次粒子径(結晶子径、比表面積径)が50nm未満(50nmより小さい)であることが好ましい。50nm以上であると、透明性が損なわれるおそれがある。より好ましくは、20nm未満であり、更に好ましくは、10nm未満(10nmより小さい)である。通常、樹脂組成物を光学用途に用いる場合には、透明性を充分なものとするために微細な粒子が必須である。本発明においては、金属酸化物粒子の粒子径が上記範囲であることから、光学用途に好適に用いることができ、本発明の作用効果が充分に発揮されることとなる。
上記金属酸化物粒子としては、高屈折率酸化物であることが好ましい。高屈折率酸化物を用いれば、該金属酸化物粒子を含む硬化性樹脂組成物、及び、該硬化性樹脂組成物によって構成される硬化物材料の屈折率を高いものとすることができ、光学用途等に好適に用いることができる。
上記金属酸化物粒子の屈折率としては、1.9以上であることが好ましい。1.9未満であると、硬化性樹脂組成物の高屈折率化を充分には行えないおそれがあるが、1.9以上であると、光学用途に好適に用いることができる。より好ましくは、2.0以上であり、更に好ましくは、2.1以上である。具体的には、1.9〜2.7であることが好ましい。
上記金属酸化物粒子の含有量としては、硬化性樹脂組成物100質量%中5〜90質量%であることが好ましい。5質量%未満であると、高屈折率化の効果が充分ではないおそれがあり、90質量%を超えると、硬化性樹脂組成物が成形体にならないおそれがある。より好ましくは、10〜80質量%であり、更に好ましくは、20〜70質量%である。
上記樹脂成分としては、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基(以下、単に「カチオン重合性基」とも言う。)を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を必須とするものである。カチオン重合性基を2個以上有することにより、硬化速度を速くしたり、成形物の機械的強度が発現する利点がある。カチオン重合性基は2個以上であればよく、好ましくは、2〜4個である。より好ましくは、2〜3個であり、更に好ましくは、2個である。
上記カチオン重合性基において、R−C=C−O基としては、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。R及びRがアルキル基である場合、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐状のものが好ましい。より好ましくは、イソプロペニルエーテル基、ビニルエーテル基であり、更に好ましくは、ビニルエーテル基である。
上記二重結合とベンゼン環をそれぞれ1つ以上有する基としては、スチリル基等が好ましい。
上記カチオン重合性化合物は、上記カチオン重合性基を分子内に2個以上有するものであるが、具体的には、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製 脂環式エポキシ樹脂)等の脂環式エポキシ樹脂(後述の脂環式エポキシ化合物);Eternacoll@OXBP(宇部興産株式会社製 オキセタン樹脂)等のオキセタン樹脂(後述のオキセタン環含有化合物);シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(日本カーバイド工業株式会社製)等のジビニルエーテル等の1種又は2種以上が好ましい。より好ましくは、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルである。
上記カチオン重合性化合物としては、上述のいずれも好適に用いることができるが、硬化速度を速める観点からは、オキセタン環を2個以上有するカチオン硬化性化合物(オキセタン環含有化合物とも言う。)とエポキシシクロヘキサン環を2個以上有するカチオン硬化性化合物(脂環式エポキシ化合物ともいう)とを併用する形態が好ましい。この場合、図1に示すように、コンバージョンのよいオキセタン環含有化合物と、反応初期の立ち上がりの速い脂環式エポキシ化合物の両方の優れた特徴が相まって、立ち上がりが速く、コンバージョンのよいカチオン重合性化合物とすることができる。
図1に示す各化合物の特性の違い並びに併用の効果は、低温でカチオン硬化させる際に顕著となる。
上記カチオン重合性化合物の好ましい例としては、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するオルガノシロキサン化合物(以下、単にカチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物とも言う)が挙げられる。
上記カチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
aRbYcSiOd
(式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。Rは、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する基を表す。Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。R´は、アルキル基を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0<b<3、0≦c<3、0<d<2、0<a+b+c<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす数である。)で表される化合物であることが好ましい。
上記カチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物は、上記平均組成物で表されるものであり、不活性基であるRとカチオン重合性基(活性基)であるRとを有する。
上記カチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物としては、平均組成式が上記のものであれば特に限定されない。上記オルガノシロキサン化合物において、Rとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、これらは置換されていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基などの飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)((1)群):シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基などの飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)((2)群):飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)で置換されてなる基((3)群);飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)で置換されてなる基((4)群);などの無置換−飽和脂肪族炭化水素基(以下、無置換−炭化水素基(I)と称することがある)が好ましい。
上記Rとしては、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基などの如く、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部又は全部が、脂肪族炭化水素基で置換されてなる基が好ましい。これらを総称して無置換−炭化水素基(II)と称することがある。
上記カチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物は、Rが上記のものであればいずれも好適に用いることができるが、中でも、Rがアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
またRとしては、飽和脂肪族炭化水素基における炭素数が1〜20であるものが好ましい。
上記Rとしてより好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基であり、更に好ましくは、メチル基、シクロへキシル基、フェニル基であり、特に好ましくは、フェニル基である。Rがフェニル基であると、エポキシ共役構造を有するエポキシ樹脂との相溶性に優れる点、高屈折率の硬化性樹脂組成物とする点及び透明性が優れたものとなる点から好ましい。
基が、カチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物の1分子中に複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
上記無置換−炭化水素基(I)と無置換−炭化水素基(II)の割合としては、(I)/((I)+(II))が0.5未満であることが好ましい。このような範囲とすることにより、上記オルガノシロキサン化合物における芳香環の含有量(無置換−炭化水素基(II))が充分となり、高屈折率の樹脂を得ることができることとなる。より好ましくは、0.2未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。
更に、上記Rにおいて、上記炭化水素のみからなる基(無置換−炭化水素基(I)、無置換−炭化水素基(II)を意味する。以下、総称して、無置換−炭化水素基ともいう。)以外に、炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、他の置換基で置換されたものも好ましく、これらのRを有するオルガノシロキサン化合物もまた、本発明におけるオルガノシロキサン化合物に包含される。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基などの非反応性置換基が無置換−炭化水素基の一部又は全部の水素原子と置換した基(このような非反応性置換基を有する炭化水素基を非反応性基置換−炭化水素基ともいう。);水酸基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、スルホン酸基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和結合基、などの反応性置換基が無置換−炭化水素基の一部又は全部の水素原子と置換した基(反応性官能基を有する炭化水素基を反応性基置換−炭化水素基ともいう。)が例示される。
上記非反応性置換基において、上記ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましい。上記アルコキシ基としては、アルコキシ基を構成するアルキル鎖が、Rにおける脂肪族炭化水素基(1)群に例示したアルキル基であるもの、又は、同じく(2)群に例示したシクロアルキル基であるものが好ましい。より好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記Rとしては、上述した無置換−炭化水素基、非反応性基置換−炭化水素基及び反応性基置換−炭化水素基は、いずれも好適に用いることができるが、より好ましくは、無置換−炭化水素基、非反応性基置換−炭化水素基であり、更に好ましくは、無置換−炭化水素基である。なお、それぞれの炭化水素基の好ましい例は、上述したとおりである。
また炭化水素基総量(R)100質量%(オルガノシロキサン化合物における分子末端のケイ素原子にRが結合する場合はこれを含む)に対して、無置換−炭化水素基と、非反応性基置換−炭化水素基との総量は、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。
また無置換−炭化水素基と、非反応性置換基−炭化水素基との総量100質量%に対して、無置換−炭化水素基の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。
上記Rとしては、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する基である。なお、R及び/又はRにおいて、アルキル基としては、上述したものと同様であることが好ましい。
上記Rとしては、上述した中でも、エポキシシクロヘキサン環、オキセタン環であることが好ましい。
上記Rの含有量としては、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物1分子中にカチオン重合性基を少なくとも2個有するものであればよい。少なくとも2個有することにより、硬化物の機械強度を向上させる利点がある。より好ましくは、2〜10個であり、更に好ましくは2〜4個であり、特に好ましくは、2個である。
上記Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、R´は、アルキル基を表す。
上記Yは、R´がアルキル基であるR´O基、塩素原子、水酸基、水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R´が炭素数1〜5のアルキル基からなるR´O基であり、更に好ましくは、R´が炭素数1のアルキル基からなるR´O基、すなわち、メトキシ基である。
上記Yの含有量としては、少ない方が好ましい。具体的には、平均組成式におけるcの値が、0.5以下であることが好ましい。0.5を超えると、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が充分ではなくなるおそれがある。より好ましくは、0.2以下であり、更に好ましくは、0.1以下である。
上記カチオン重合性基を2個以上有するオルガノシロキサン化合物は、上述の平均組成式で表されるものであるが、各オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子における末端結合基が、上記したR、R又はYであることが好ましい。より好ましくは、末端結合基が、R又はRである。
上記オルガノシロキサン化合物分子の末端ケイ素原子に結合した基又は原子団(末端結合基)における、上記R又はRの割合は、末端結合基100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、80モル%以上であり、更に好ましくは、90モル%以上であり、特に好ましくは、100モル%である。
上記オルガノシロキサン化合物において、a、b、c及びdとしては、0≦a<3、0<b<3、0≦c<3、0<d<2、0<a+b+c<3、及び、a+b+c+2d=4を満たすものである。
上記a及びbとしては、R及びRの割合を示すこととなる。RとRの比率(モル比)としては、a/b(R/R)が、90/10〜0/100であることが好ましい。より好ましくは、70/30〜0/100であり、更に好ましくは、50/50〜0/100である。
上記a+b+cとしては、0より大きく3未満であればよい。好ましくは、0.5以上2.7以下であり、より好ましくは、0.8以上2.4以下である。また、a+bは、0より大きく3未満であればよい。a+bの好ましい範囲は、0.4以上2.7以下であり、より好ましくは、0.7以上2.4以下である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、特に限定されないが、通常、鎖状構造(直鎖状、分岐状)、ラダー状、網状、環状、ラダー状からなる環状構造、かご状及び粒子状が例示される。分子構造としては、鎖状、ラダー状、網状、かご状が好ましく、より好ましくは、ラダー状、網状、かご状である。これらのラダー状、網状、かご状の分子構造は、オルガノシロキサン化合物の添加量が少量であっても効果が発揮されやすく好ましい。このように、上記オルガノシロキサン化合物が、ラダー状、網状及びかご状からなる群より選ばれる少なくとも一つの分子構造を持つ硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。これらの分子構造は、下記構造式:
Figure 2009132834
(式中、Rは、有機基を表す。)で表される。上記構造式(1)はランダム(網状)構造(Random structure)であり、構造式(2)はラダー状構造(Ladder structure)であり、構造式(3)は不完全かご型構造(Incomplete condensed cage)、構造式(4)〜(6)はかご型構造(Completely condensed structures)を示す。
上記分子構造として更に好ましくは、ラダー状である。なお、分子構造がラダー状、鎖状の場合は、樹脂組成物への溶解性が高く、光学的な透明性、機械特性がよい材料が得られる。
上記分子構造が鎖状構造である場合、上記平均組成式におけるa+b+cの好ましい範囲は、1.5以上2.7以下である。より好ましくは、1.8以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.9以上2.3以下であり、特に好ましくは、2以上2.2以下である。a+bの好ましい範囲は、1以上2.7以下である。より好ましくは、1.6以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.8以上2.2以下であり、特に好ましくは、2±0.05である。
上記分子構造がラダー状、かご状である場合、上記平均組成式におけるa+b+cの好ましい範囲は、0.5以上2以下である。より好ましくは、0.8以上1.6以下であり、更に好ましくは、0.9以上1.4以下であり、特に好ましくは、1以上1.2以下である。a+bの好ましい範囲は、0.4以上2以下である。より好ましくは、0.7以上1.7以下であり、更に好ましくは、0.8以上1.2以下であり、特に好ましくは、1±0.05である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように鎖状、ラダー状、かご状が好ましく、この場合、上記a+bとしては、1又は2であることが好ましい。a+b=1のとき、分子構造は通常ラダー状、かご状、又は、粒子状等の二次元、三次元の高次構造となり、a+b=2のとき、分子構造は、直鎖状の一次元構造となる。このように、オルガノシロキサン化合物は、式中、a+bが1又は2である樹脂組成物である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように、ラダー状であることがより好ましい。この場合、上記a+bとしては、1であることが好ましい。すなわち、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状であり、式中、a+bが1である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記オルガノシロキサン化合物の製造方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、下記式(I):
SiX (4−t) (I)
(上記式中、Rは上述のRと同じである。Xは、加水分解性基を表す。tは、1、2又は3である。)、及び/又は、下記式(II):
s´ t´SiX (4−s´−t´) (II)
(上記式中、R及びRは上述のR及びRと同じである。Xは、同一又は異なって、加水分解性基を表す。s´及びt´は、同一又は異なって、1又は2であり、s´+t´は、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物を必須として有機溶媒中で加水分解・縮合して得ることが好ましい。
上記式(I)、(II)において、X、Xとしては、同一でもよく異なってもよく、RO基、水酸基、水素原子、ハロゲン原子であることが好ましい。なお、Rとしては、アルキル基を表す。Rの炭素数としては、1〜5が好ましく、1又は2がより好ましい。X、Xとしては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子であることが好ましい。
上記式(I)及び/又は(II)を必須として加水分解・縮合するか、必要に応じて上記式(I)及び/又は(II)と、例えば、下記式(III):
SiX (4−s) (III)
(上記式中、Rは上述のRと同じである。Xは、加水分解性基を表す。sは、1、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物、下記式(IV):
Si(X (IV)
(式中、Xは、加水分解性基を表す。)で表される加水分解性シラン化合物等とを共加水分解・縮合することにより、上記平均組成式においてb≠0で表されるRを有するオルガノシロキサン化合物が得られることとなる。
上記式(I)及び(III)において、s及びtは、同一又は異なって1、2であることが好ましい。特にs=1、t=1で表されるトリアルコキシシラン化合物が好ましい。トリアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合することにより得られるオルガノシロキサン化合物は、有機樹脂成分に相溶性に優れるため好ましい。
上記式(II)において、s´及びt´は、1であることが好ましい。
上記式(III)、(IV)において、上記X、Xは、同一又は異なっていてもよく、好ましい態様も上記X及びXと同様である。
上記式(III)、(IV)は、上記式(I)及び/又は(II)と好適に共加水分解・縮合することができるが、最終的に得られるオルガノシロキサン化合物が上記平均組成式で表されるものである範囲で用いることが好ましい。具体的には、上記平均組成式において、R、Rの割合が、上述した範囲となる割合で用いることが好ましい。
本発明のオルガノシロキサン化合物を加水分解・縮合する場合、上記式(I)〜(IV)以外のシラン化合物を原料として用いてもよい。
また、有機溶媒中で(I)及び/又は(II)を必須成分として加水分解縮合して得られるオルガノシロキサン化合物は、再溶精製、抽出等により精製して使用することが好ましい。
上記カチオン重合性化合物の含有量としては、硬化性樹脂組成物100質量%中1〜95質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、硬化速度が速くならないおそれがあり、95質量%を超えると、上記金属酸化物粒子として酸化ジルコニウムを用いた場合に酸化ジルコニウムによる高屈折率化が充分ではないおそれがある。より好ましくは、5〜90質量%であり、更に好ましくは、10〜80質量%である。
上記硬化性樹脂組成物において、樹脂成分としては、カチオン重合性化合物を必須とするものであるが、その他の樹脂成分(有機樹脂成分とも言う。)を有していてもよい。上記その他の樹脂成分の含有量としては、樹脂成分(カチオン重合性化合物と有機樹脂成分との合計)100質量%中、10〜90質量%含むことが好ましい。10質量%未満であると、その他の樹脂成分を配合した効果(例えば屈折率制御等)が充分とならないおそれがあり、90質量%を超えると、硬化速度が充分には速くならないおそれがある。より好ましくは、20〜85質量%であり、更に好ましくは、30〜80質量%である。なお、有機樹脂成分については、後述する。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、金属酸化物粒子とカチオン重合性化合物とを含むものであるが、これらは個々の成分として配合することが好ましいが、ハイブリッド物質として配合することもできる。ハイブリッド物質とは、金属酸化物粒子に前記特定のカチオン重合性基が導入されたものである。ハイブリッド物質として配合する場合、カチオン重合性化合物を単独で別途添加することが好ましく、さらにグリシジルエーテルエポキシ樹脂を併用することが好ましい。グリシジルエーテルエポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂が高屈折率の硬化性樹脂組成物となる点で好ましい。
上記ハイブリッド物質は、金属酸化物粒子をカチオン重合基で処理して得ることができる。また、上述したカチオン重合性基を有する有機金属化合物で処理して得ることもできる。なお、ハイブリッド物質は、カチオン重合性基を粒子表面に有するものであればよく、カチオン重合性化合物が粒子全体に導入された形態であってもよい。また、カチオン重合性基やカチオン重合性化合物は、粒子表面に導入されることが好ましい。
上記ハイブリッド物質において、粒子に導入されるカチオン重合性基としては、1粒子あたり2個以上であることが好ましい。より好ましくは、3個以上であり、更に好ましくは、5個以上である。粒子に導入されるカチオン重合性基としては、オキセタン基、R−C=C−O−基、スチリル基が好ましく、より好ましくはオキセタン基である。
上記ハイブリッド物質の含有量(配合量)としては、金属酸化物粒子及びカチオン重合性化合物が、上述の含有量となる範囲で配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、カチオン重合開始剤を含むものである。
上記カチオン開始剤とは、光カチオン発生剤、熱潜在性カチオン発生剤等を好適に用いることができる。硬化性樹脂組成物を光硬化させる場合には、光カチオン発生剤を用いることが好ましく、硬化性樹脂組成物を熱硬化させる場合には、熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。
上記カチオン重合開始剤の使用量は、硬化性樹脂組成物100質量%に対し、0.01〜10質量%が好ましい。より好ましくは、0.1〜2.0質量%であり、更に好ましくは、0.2〜1.0質量%である。使用量を減らしすぎて0.01質量%未満とすると、硬化が遅く、10質量%を超えて増やすと硬化時やその成形体の加熱時に着色するおそれがある。透明性の観点からは、使用量は、硬化性樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.5質量%以下であり、更に好ましくは、0.2質量%以下である。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩及び三フッ素化ホウ素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されているようなビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されているようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されているようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されているようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されているようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されているようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されているようなMF 陰イオン(ここでMは、リン、アンチモン及びヒ素から選択される)の形のVIb元素;米国特許第4231951号に記載されているようなアリールスルホニウム塩;米国特許第4256828号に記載されているような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマーケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789項(1984年)に記載されているようなビス[4−(ジフェリルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば、リン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩など);鉄化合物の混合配位子金属塩;シラノール−アルミニウム錯体;などが挙げられる。これらの紫外線重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの紫外線重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの紫外線重合開始剤のうち、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族ヨードニウム錯塩又は芳香族スルホニウム錯塩、II族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が好適である。これらのいくつかは、例えばUVI−6992(ダウ・ケミカル社製)、FX−512(3M社製)、UVR−6990、UVR−6974(ユニオン・カーバイド社製)、KI−85(デグッサ社製)、SP−150、SP−170(旭電化社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)などの市販品を入手することができる。
上記熱潜在性カチオン発生剤は、熱又は光を与えない限り硬化反応が起きない等、一液性のカチオン硬化性樹脂組成物に好ましく、また硬化反応を制御できる為に本発明の効果を発揮する上で好ましい硬化触媒である。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(1)
(R Z)+m(AXn)−m(1)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、上述の構造を有するものであればよいが、これらは、一般に、硬化温度でカチオンが発生することになる。硬化温度としては、25〜250℃であることが好ましい。より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜180℃である。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分である。
上記一般式(1)の陰イオン(AXn)−mの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式AXn(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオン・カーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の樹脂成分は、カチオン重合性基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を必須とするものであり、カチオン重合性化合物以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂成分」と言う。)が含まれていてもよい。すなわち、上記カチオン重合性化合物以外に、目的に応じて、その他の樹脂成分を併用することができる。このように、樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を更に含み、該樹脂成分が、カチオン重合性基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物と、その他の樹脂成分とを必須とするものである硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記その他の樹脂成分としては、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、プラスチックレンズ用途においては、無機のレンズに比べて加工が容易であり、大きさや形状を自由に変えられ、大量生産にも好適である。その他の樹脂成分としてゼオネックス(脂環式オレフィンポリマー)などの熱可塑性樹脂が加工性の面から好ましいが、耐熱性という観点で熱硬化性樹脂が望まれており、耐熱性を求められるレンズ等の用途においては、より好ましくは、硬化性樹脂である。
上記その他の樹脂成分(硬化性エポキシ樹脂、又は、硬化性樹脂とも言う。)としては、硬化性を有するとともに、高分子量からオリゴマー程度の分子量を有する樹脂を含有するものであれば特に限定されない。
上記その他の樹脂成分としては、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることが好適である。硬化性樹脂の形態としては、例えば、(1)液状又は固形の硬化性樹脂からなる形態、(2)液状又は固形の硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物又は溶剤(非硬化性)等を含有する形態、及び、(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物とを含有する形態等が挙げられる。上記(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物を含有する形態としては、例えば、PMMA等のアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマー等を含有する形態を挙げることができる。
その他の樹脂成分としてのエポキシ化合物(樹脂)とはエポキシシクロヘキサン環を分子内に2個以上有する化合物以外の、エポキシ化合物(樹脂)をいう。
上記その他の樹脂成分としては、例えば、上述したカチオン重合性化合物以外のカチオン重合性化合物であることが好ましい。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物としては、カチオン硬化性化合物を併用する形態(第2のカチオン硬化性化合物の併用)が好ましい。以下、上述したカチオン重合性化合物以外のカチオン重合性化合物を「その他のカチオン重合性化合物」とも言う。
上記その他のカチオン重合性化合物としては、エポキシシクロヘキサン環以外のエポキシ基(例えば、グリシジルエーテル基やグリシジルエステル基等)、トリオキサン環等のカチオン重合性基を有する化合物や、上述したカチオン重合性基を分子内に1つ有するカチオン重合性化合物等が好適である。これらの中でも、グリシジルエーテル基を2個以上有する芳香族エポキシ樹脂、水添エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等のグリシジルエーテルエポキシ樹脂が好ましい。グリシジルエーテルエポキシ樹脂は、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を用いた場合にカチオン硬化反応阻害が顕著であるが、本発明のカチオン重合性化合物を少量併用することにより、硬化反応速度が顕著に改善される効果を奏する。このように、上記樹脂成分は、グリシジルエーテルエポキシ樹脂を必須とするものである硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。エポキシ樹脂を用いると、硬化時に金属酸化物粒子とエポキシ樹脂が反応することに起因して、樹脂硬化物の耐熱性、機械的強度を改善することができ、熱膨張率を低下させることができる。
上記グリシジルエーテルエポキシ樹脂の中でも高屈折率の硬化物を得る場合は、芳香族エポキシ樹脂が好ましい。また、低屈折率又は高アッベ数の硬化物を得る場合は、水添エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が好ましい。
上記エポキシシクロヘキサン環以外のエポキシ基を有する化合物としては、以下に例示するエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物を好適に用いることができる。具体的にはグリシジル基、エポキシ基を少なくとも一つ有することにより、硬化速度を充分なものとする効果とともに、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。
上記エポキシシクロヘキサン環以外のエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ化合物);テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。
上記エポキシシクロヘキサン環以外のエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレートも好適も用いることができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記その他の樹脂成分としてはまた、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物等も好適に使用することができ、これらの化合物を単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物の高屈折率化を目的とする場合には、上記その他の樹脂成分としては、芳香族エポキシ化合物を併用することが好ましい。より好ましくは、グリシジルエーテル型芳香族エポキシ化合物を併用することである。
上記芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールA)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ビスフェノールF)、ブロモ置換基を有する芳香族エポキシ樹脂等が好適であり、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールAである。ビスフェノールAとしては、具体的には、下記化学式:
Figure 2009132834
で表されるJER828EL(ジャパンエポキシレジン社、ビスフェノールAエポキシ樹脂)が好適である。
上記その他の樹脂成分としては、硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有するものを使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミド等を挙げることができる。前記硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、及び、重合性不飽和結合を有する化合物について例示する中から、適宜選択して使用すればよい。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、上述したエポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の金属酸化物粒子の他に、その他の無機成分を含んでいてもよい。以下、上記金属酸化物粒子とその他の無機成分とをあわせて「無機成分」とも言う。
上記その他の無機成分は、メタロキサン成分であることが好ましい。メタロキサン成分とは、メタロキサン結合を有する高分子量化合物であり、ポリマー及び/又はナノ粒子の形態であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物としてはまた、上記樹脂成分、無機成分以外の、添加成分を含んでいてもよい。
上記添加成分としては、硬化性樹脂組成物としての保存安定性や透明性が重要となる場合は、上記カチオン重合性化合物に入らないオルガノシロキサンであるオルガノシロキサン化合物、すなわち、上記カチオン重合性基を分子内に2個以上有さないオルガノシロキサン化合物が好ましい。
上記カチオン重合性基を分子内に2個以上有さないオルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
RaYcSiOd
(式中、Rは、カチオン重合性基(オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基)を含まない有機基であればよい。Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。R´は、アルキル基を表す。a、c及びdは、0≦a<3、0≦c<3、0<d<2、0<a+c<3、及び、a+c+2d=4を満たす数である。)で表される化合物であることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物としては、カチオン重合性基を分子内に2個以上有さないものであれば特に限定されないが、平均組成式が上記のものであることが好ましい。上記オルガノシロキサン化合物において、Rとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、これらは置換されていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基などの飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)((1)群):シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基などの飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)((2)群):フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基などが好ましい。
上記Rとしてより好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基であり、更に好ましくは、メチル基、シクロへキシル基、フェニル基である。高屈折率の硬化性樹脂組成物とする場合は、アリール基、アラルキル基が好ましく、中でもフェニル基、ベンジル基が好ましい。
R基が、オルガノシロキサン化合物の1分子中に複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
更に、上記Rにおいて、上記炭化水素のみからなる基以外に、炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、他の置換基で置換されたものも用いられる。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基などの非反応性置換基;水酸基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、スルホン酸基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和結合基、などの反応性置換基が例示される。
カチオン硬化反応に影響を与え難い点で非反応性置換基が好ましい。
上記Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、R´は、アルキル基を表す。
上記Yは、R´がアルキル基であるR´O基、塩素原子、水酸基、水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R´が炭素数1〜5のアルキル基からなるR´O基であり、更に好ましくは、R´が炭素数1のアルキル基からなるR´O基、すなわち、メトキシ基である。
上記Yの含有量としては、少ない方が好ましい。具体的には、平均組成式におけるcの値が、0.5以下であることが好ましい。0.5を超えると、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が充分ではなくなるおそれがある。より好ましくは、0.2以下であり、更に好ましくは、0.1以下である。
上記オルガノシロキサン化合物は、上述の平均組成式で表されるものであることが好ましいが、各オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子における末端結合基が、上記したR又はYであることが
好ましい。更に好ましくは、末端結合基が、Rである。
なお、分子末端のケイ素原子に結合する基の一部又は全部が、R又はY以外の基又は原子であるオルガノシロキサン化合物も上記オルガノシロキサン化合物に包含される。
上記オルガノシロキサン化合物分子の末端ケイ素原子に結合した基又は原子団(末端結合基)における、Rの割合は、末端結合基100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、80モル%以上であり、更に好ましくは、90モル%以上であり、特に好ましくは、100モル%である。
上記a+cとしては、0より大きく3未満であればよい。好ましくは、0.5以上2.7以下であり、より好ましくは、0.8以上2.4以下である。また、aは、0より大きく3未満であればよい。aの好ましい範囲は、0.4以上2.7以下であり、より好ましくは、0.7以上2.4以下である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、特に限定されないが、通常、鎖状(直鎖状、分岐状)、ラダー状、網状、環状、ラダー状からなる環状構造、かご状及び粒子状が例示される。分子構造としては、鎖状、ラダー状、網状、かご状が好ましく、より好ましくは、ラダー状、網状、かご状である。これらのラダー状、網状、かご状の分子構造は、オルガノシロキサン化合物の添加量が少量であっても効果が発揮されやすく好ましい。これらの分子構造は、下記構造式:
Figure 2009132834
(式中、Rは、有機基を表す。)で表される。上記構造式(1)はランダム(網状)構造(Random structure)であり、構造式(2)はラダー状構造(Ladder structure)であり、構造式(3)は不完全かご型構造(Incomplete condensed cage)、構造式(4)〜(6)はかご型構造(Completely condensed structures)を示す。
上記分子構造として更に好ましくは、ラダー状である。なお、分子構造がラダー状、鎖状の場合は、樹脂組成物への溶解性が高く、光学的な透明性、機械特性がよい材料が得られる。
上記分子構造が鎖状構造である場合、上記平均組成式におけるa+cの好ましい範囲は、1.5以上2.7以下である。より好ましくは、1.8以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.9以上2.3以下であり、特に好ましくは、2以上2.2以下である。aの好ましい範囲は、1以上2.7以下である。より好ましくは、1.6以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.8以上2.2以下であり、特に好ましくは、2±0.05である。
上記分子構造がラダー状、かご状である場合、上記平均組成式におけるa+cの好ましい範囲は、0.5以上2以下である。より好ましくは、0.8以上1.6以下であり、更に好ましくは、0.9以上1.4以下であり、特に好ましくは、1以上1.2以下である。aの好ましい範囲は、0.4以上2以下である。より好ましくは、0.7以上1.7以下であり、更に好ましくは、0.8以上1.2以下であり、特に好ましくは、1±0.05である。
上記カチオン重合性基を分子内に2個以上有さないオルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように鎖状、ラダー状、かご状が好ましく、この場合、上記aとしては、1又は2であることが好ましい。a=1のとき、分子構造は通常ラダー状、かご状、又は、粒子状等の二次元、三次元の高次構造となり、a=2のとき、分子構造は、直鎖状の一次元構造となる。
上記Rとしてフェニル基を有するオルガノシロキサン化合物の例としては、シリコーンオリゴマーPPSQ−E(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)、シリコーンオリゴマーPPSQ−H(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)等が好ましい。
上記カチオン重合性基を分子内に2個以上有さないオルガノシロキサン化合物の製造方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、下記式(V):
SiX (4−u) (V)
(上記式中、Rは上述のRと同じである。Xは、加水分解性基を表す。uは、1、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物を、単独又は混合して有機溶媒中で加水分解・縮合して得ることが好ましい。
上記式(V)において、Xとしては、同一でもよく異なってもよく、RO基、水酸基、水素原子、ハロゲン原子であることが好ましい。なお、Rとしては、アルキル基を表す。Rの炭素数としては、1〜5が好ましく、1又は2がより好ましい。Xとしては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子であることが好ましい。
上記式(V)において、uは、1又は2であることが好ましい。特にu=1で表されるトリアルコキシシラン化合物が好ましい。トリアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合することにより得られるオルガノシロキサン化合物は、樹脂成分との相溶性に優れるため好ましい。
本発明のオルガノシロキサン化合物を加水分解・縮合する場合、上記式(V)以外のシラン化合物を原料として用いてもよい。例えば、前記した式(IV)で表されるものであることが好適である。
また、有機溶媒中で(V)を必須として加水分解縮合して得られるオルガノシロキサン化合物は、再溶精製、抽出等により精製して使用することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の成型体の屈折率が1.55を超える為には、硬化性樹脂組成物のH−NMRチャートのピーク面積比が、40%以上であることが好ましい。ピーク面積比としては、より好ましくは、70%以上である。
上記面積比は、以下の式から求められる。
面積比(%)=(芳香族プロトンピークの面積)/(全プロトンピークの面積)×100
芳香族プロトンピークはH−NMRチャートにおいて8−6ppmに位置するものを指し、基準物質としてはテトラメチルシランを用いる。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の好ましい形態について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂成分としては、分子量(重量平均分子量)が700以上である樹脂成分を必須とするものであることが好ましい。樹脂成分がこのような分子量を有する樹脂成分を含むことにより、樹脂組成物を硬化させたときに、一体感のあるものとでき、剥離の際の強度が向上し、割れることがなく、好適な材料硬度とすることができる。上記樹脂成分に必須として含まれる樹脂成分の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
上記樹脂組成物において、分子量が700以上の成分が樹脂成分総量100質量%に対し、10質量%以上含まれることが好ましい。また、成型のしやすさの面から、分子量が700以上の成分(具体的には、700〜1万)は90質量%以下とすることが好ましい。分子量が700以上の樹脂成分の含有量としてより好ましくは、10〜80質量%であり、更に好ましくは、20〜70質量%である。また、30質量%以上であることが好ましい。例えば30〜90質量%が好適である。このように、分子量が700以上の樹脂成分を10〜90質量%含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、樹脂成分の分子量の測定方法としては、下記のとおりである。
<分子量の測定方法>
上記樹脂成分の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
上記樹脂成分は、分子量が700以上のものと700未満のものとを必須とするものである硬化性樹脂組成物であることが好ましい。分子量が700以上のもの(高分子量成分と言う。)と700未満のもの(低分子量成分と言う。)とを必須とすることにより、製造時の粘度低減と製品の機械強度の向上という効果が得られることとなる。硬化性樹脂組成物の粘度としては、成分として高分子量成分を含む方が低分子量成分を含む場合に比べて、粘度が上昇するので、低分子量成分が必須となる。また、硬化収縮率は、高分子量成分の方が低分子量成分より小さいことから、高分子量成分は必須となる。このような理由により、低分子量成分と高分子量成分を併用することが好ましい。
上記樹脂組成物においては、上記2種以上の樹脂成分が分子量が700以上のもの(高分子量成分)と700未満のもの(低分子量成分)とを含むことが好適であるが、これらの調製方法としては、低分子量成分と上記金属酸化物粒子(と必要に応じてその他の成分)とを混合し、溶媒(溶剤)を留去した後、高分子量成分を添加する方法が好ましく、混合物(低分子量成分と上記金属酸化物粒子と高分子量成分と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒を5質量%以下となるよう調製してなる形態が好ましい。上記のように混合することで、樹脂組成物の粘度が上昇することなく、好適な樹脂組成物を得ることができる。このように、樹脂成分とTi、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、2種以上の樹脂成分と該金属酸化物粒子とを混合し、最終的に溶媒5質量%以下で調製する工程を含む樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。このような製造方法としてより好ましくは、上記2種以上の樹脂成分が分子量が700以上のもの(高分子量成分)と700未満のもの(低分子量成分)とを必須とするものである形態である。更に好ましくは、上記混合工程は、低分子量成分と上記金属酸化物粒子と溶媒とを含む混合物から溶媒の少なくとも一部を除去した後、高分子量成分を添加してなる形態である。
上記分子量が700以上の樹脂成分、分子量の測定方法及び樹脂組成物に含まれる金属酸化物粒子としては、上述と同様であることが好ましい。
上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕=10〜90%であることが好ましい。より好ましくは、20〜80%であり、更に好ましくは、30〜70%である。なお、有機樹脂の具体例としては、上述したとおりである。
上記2種以上の分子量を有する樹脂成分としては、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、芳香族環を有するエポキシ樹脂を含むことが好適である。このように、2種以上のエポキシを、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子と溶媒5%以下で混合する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の硬化性樹脂組成物としてはまた、樹脂成分とTi、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子とを含む樹脂組成物であって、溶媒5質量%以下に調製される形態が好ましい。このような形態に調製することにより、連続生産可能となり、一体感を有し、強度が高く、透明性・耐熱性が高い熱硬化性樹脂を得ることができ、500nm透過率80%以上であるレンズ材料(光学材料)として有用な熱硬化性材料を提供することができる。
上記溶媒量としては、混合物(カチオン重合性化合物を必須とする樹脂成分と上記金属酸化物粒子と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。一方、本発明の好ましい形態の一つとして溶媒を用いた樹脂組成物の製造時(脱溶媒時)の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、後述の高沸点成分等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。
本発明の樹脂組成物においては、透明性に優れた硬化物を与えることができるものであるが、透明性を向上させると光学部材としての性能が向上し、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる樹脂組成物となる。
本発明の樹脂組成物は、上述した樹脂成分や金属酸化物粒子、カチオン重合開始剤、無機成分、添加物の他に、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、重合禁止剤、有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適に用いることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
上記化合物としては、上述した群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有するものであればよく、これらの中でも好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸(特に高級脂肪酸)である。
上記化合物は炭素数8〜36であり、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数である。このような範囲のある程度の長鎖を有するものであれば、本発明の作用効果を発揮し、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示すことができる。また、入手が比較的容易であり、経済性も優れたものとすることができる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記化合物は、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、具体例としては、下記のものが好適である。
上記炭素数が8〜36アルコールとは、一価又は多価のアルコールであり、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。具体的には、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3,5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ジペンタエリスリトール、2−フェニルエタノール等が好適である。上記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも、オクチルアルコール(オクタノール)、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2−エチルヘキサノール)、ステアリルアルコールがより好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸エステルとは、(1)上記アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル、(2)メタノール、エタノール、プロパノール、ヘプタノール、ヘキサノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールと上記カルボン酸との組み合わせで得られるカルボン酸エステル、(3)酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブタン酸等の炭素数1〜7のカルボン酸と上記アルコールとの組み合わせで得られるカルボン酸エステル等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、酢酸オクチル等が好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物、アルコール系化合物であり、更に好ましくは、ステアリン酸系化合物である。このように、上記樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
以下、本発明の樹脂組成物の硬化方法について更に説明する。本発明の樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて硬化剤を使用することができる。このような硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
上記樹脂組成物の硬化においては、必要に応じて硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。
なお、上述した硬化剤及び硬化促進剤は、本発明のカチオン重合性化合物のカチオン硬化反応を阻害しない範囲で使用することができる。なお、上記カチオン硬化反応は、上述したカチオン重合開始剤を用いて、上述したカチオン重合性化合物を硬化させる反応である。
上記硬化剤及び硬化促進剤は、樹脂組成物の硬化反応を促進し、ハンドリングが容易になる等の利点があるが、このような酸無水物・アミノ化合物などの従来公知の硬化剤等は、酸無水物硬化に通常使用する脂環式酸無水物の屈折率が低いこと、アミノ化合物は黄変しやすいことが知られている。したがって、高屈折率光学材料に用いる場合は、硬化剤及び硬化促進剤を添加することが必要不可欠である場合以外は、積極的には使用せず、硬化触媒によるカチオン硬化が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐候性を発揮する。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料でもある。光学部材用硬化性材料とは、上記樹脂組成物を用いた硬化材料であり、単に「硬化材料」又は「光学材料」とも言う。本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮し、該樹脂組成物を硬化させた硬化物もまた、同様の特性を発揮することから、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。本発明の光学材料としては、上記樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。
上記光学材料としては、上述したように、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子、及び/又は、樹脂成分の組み合わせによりアッベ数、屈折率を制御することができる。これらの好適な組み合わせ等は、上述のとおりである。また、このような光学材料の硬化方法、粘度等の種々の特性等は、上記樹脂組成物におけるものと同様であることが好ましい。
上記光学材料としては、上記樹脂組成物を含むものであるが、光学材料の用途に応じて適宜その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、UV吸収剤、IRカット剤、反応性希釈剤、顔料、洗料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、光安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が好適である。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物でもある。特に、硬化物を光学用途として用いる場合、上記光学部材用硬化性材料を用いることが好適である。上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材もまた、本発明の一つである。
上記光学部材としては、上記光学部材用硬化性材料を上記硬化方法により硬化させてなるものが好ましい。上記光学部材においては、上述のように高屈折率とすることができ、下記の種々の用途に用いることができる。
上記硬化物の用途として具体的には、車載カメラ、PC用カメラ、デジタルカメラ、携帯電話、デジタルビデオ、監視カメラ、PDA、PC内蔵カメラ等の撮像用レンズとして用いることが好ましい。このように、上記光学材料を硬化させてなるレンズもまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、眼鏡レンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED用封止剤、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
上記硬化物としては、上述光学材料を硬化させてなる光学部材であることが好適である。また上記光学用途においては、特にレンズ等を組み合わせてレンズユニットとすることが好ましい。このように、上記硬化物を用いてなるレンズユニットもまた、本発明の一つである。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の好適な製造方法について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物としては、本発明の作用効果を発揮できる限り、製造方法としては特に限定されないが、例えば、金属酸化物粒子等の無機成分、カチオン重合性化合物等の樹脂成分の均一混合が困難な場合には、(1)無機成分、樹脂成分及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンである。
上記調製工程としては、減圧度を調整して、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、樹脂成分と無機成分と溶媒との割合としては、(樹脂成分+無機成分)/(樹脂成分+無機成分+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である。
上記(2)の脱気工程としては、高沸点成分共存下で行われるものであることが好ましい。高沸点成分共存下で脱気することにより、無機成分を高濃度とすることができ、透明性の樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であってもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、無機成分と樹脂成分を混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点成分を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記高沸点成分の添加量としては、樹脂成分と無機成分と脱気前の溶媒と高沸点成分と必要に応じてその他の成分の混合物100質量%に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
なお、高沸点成分は、脱気工程終了時に組成物中に残存することとなる。その割合としては、脱気工程終了時の混合物100質量%中、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程においては、溶媒を脱気できる条件であれば特に限定されないが、樹脂成分の分解や硬化反応、無機成分の凝集が過度におこるのを抑制する条件であることが好ましい。具体的には、脱気温度は200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは、80℃以下である。脱気時間としては、72時間以下であることが好ましい。より好ましくは、24時間以下であり、更に好ましくは、2時間以下である。脱気工程における圧力としては、常圧であってもよいが、200torr以下であることが好ましく、100torr以下であることがより好ましい。
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
上記高沸点成分としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール、ブタノール等の沸点が100℃以上のアルコール等が好ましい。より好ましくは、沸点が120℃以上のアルコール(具体的には、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール)であり、更に好ましくは、沸点が150℃以上のアルコールである。このように、高沸点成分がアルコールである組成物が好ましい。沸点が120℃以上のアルコールとしては、上記の中でも2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノールがより好ましく、2−エチル−1−ヘキサノールが更に好ましい。なお、沸点が100℃未満のアルコールでは、混合物の増粘が充分には防げられないおそれがあることから、沸点が100℃以上のアルコールであることが好ましい。上記高沸点成分は、沸点が100℃以上のアルコールである樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、沸点120℃以上のアルコールの中でも、沸点150℃以上のアルコールがより好ましく、沸点190℃以上のアルコールが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物としては、上述の方法で製造されることが好適である。すなわち、樹脂成分と無機成分とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、無機成分、樹脂成分及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、該混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含み、該脱気工程が、高沸点成分共存下で行われる樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記製造方法において、製造される樹脂組成物は、樹脂成分と無機成分とを含むものであるが、樹脂成分と無機成分としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、樹脂組成物に関する記載はすべて上記樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。
本発明の樹脂組成物は、上記製造方法から得られるものであることが好ましい。この場合、上記製造方法においては、高沸点成分の共存下で脱気し、高沸点成分は組成物中に残存することから、樹脂組成物に高沸点成分が含まれることとなる。高沸点成分の好ましい形態としては、上述したように、高沸点のアルコールであり、高沸点成分(高沸点アルコール)を含む樹脂成分(カチオン重合性化合物を必須とする)と無機成分(Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を必須とする)からなる樹脂組成物であることが好ましい。このように、沸点100℃以上(好ましくは120℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは190℃以上である。)のアルコール、樹脂成分、無機成分を含む透明樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物を得るための無機成分や必要に応じてオルガノシロキサン化合物の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物を光学用途に用いる場合には、上記成分を内部析出法により生成した場合、用いた触媒による組成物の安定性の低下、上記成分の構造・組成の制御が困難、樹脂成分との反応などによる硬化前の変質、残存触媒、除去し難い水の残留等の種々の影響のおそれがある。したがって、光学材料に用いる場合は内添法は好ましくない。
上記無機成分の外部添加法、具体的には、無機成分の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記無機成分の形態としては、粉末状又は液状の媒体に溶解した形態で、樹脂成分と混合することが好ましい。すなわち、無機成分が媒体に溶解した溶液の形態であることが好ましい。
上記媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適に使用できるが、カチオン重合性化合物が容易に溶解する溶媒が好ましい。
上記溶媒及び無機成分を含む溶液としては、例えば、溶媒分散体の形態が挙げられる。溶媒分散体における無機成分の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、脂肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができる。これらの中でも、カチオン重合性化合物が容易に溶解する溶媒が好ましく、具体的には、ケトン類、脂肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類が好ましい。
本発明で使用する無機成分の製造方法としては、上述した樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、アルコキシド化合物を加水分解及び縮合して無機成分を得る方法(内部析出法)も採用しうる。ただし、液体溶媒で、アルコキシド化合物を加水分解及び縮合して無機成分を得た後に、加水分解触媒を取り除き、樹脂成分を混合する方法が好ましい。
本発明はまた、樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物を硬化する方法であって、該硬化性樹脂組成物の硬化方法は、上記樹脂成分が、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物と、グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを必須として硬化するものである硬化性樹脂組成物の硬化方法でもある。このように、特定のカチオン重合性基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を共存させることにより、グリシジルエーテルエポキシ樹脂の硬化速度を改善することができる。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法は、上記硬化性樹脂組成物がオキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を含有せしめることによって、カチオン硬化速度を向上させるものである。上記硬化方法によって得られる硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法においては、特定のカチオン重合性化合物を含有せしめることによって、カチオン硬化速度を向上させるものであるが、上述した金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法は、該硬化性樹脂組成物が更にTi、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法は、上述したように従来の硬化性樹脂組成物とは異なって、金属酸化物粒子が樹脂組成物に含まれていても、硬化時にカチオン硬化反応が速やかに進むものであり、これに起因して樹脂硬化物の耐熱性、機械的強度を改善することができ、熱膨張率を低下させることができ、離型効果を発揮することができる。上記金属酸化物粒子は、溶液等の溶媒中で安定に分散して存在することができ、このため優れた透明性を発揮し、光学用途に好適に用いることができる。光学用途に用いる場合には、屈折率、アッベ数の制御を容易に行うことができる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法を「硬化性樹脂組成物のカチオン硬化方法」ともいう。また、上記硬化性樹脂組成物を「カチオン硬化性樹脂組成物」ともいう。
上記樹脂成分、カチオン重合開始剤、金属酸化物粒子、カチオン重合性化合物、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、及び、その他硬化性樹脂組成物に関する例示等は、上記硬化性樹脂組成物について説明したものと同様であることが好ましい。
上記硬化方法としては、また、上記カチオン硬化性樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する方法であることが好ましい。具体的には、上記樹脂組成物に必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して、5分以内で硬化させることが好ましい。金型を用いた硬化を短時間で行うことにより、経済性に優れた方法とすることができる。このように、上記樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法であって、該製造方法は、樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する樹脂組成物の硬化方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内である。硬化速度は速い方が生産性が向上し好適であるが、硬化速度が速い樹脂成分としては、オキセタン基、脂環式(エポキシシクロへキシル基)を有するものがグリシジル基を有するものより速い。
上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。
本発明の樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
本発明の硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、光学部材、及び、硬化性樹脂組成物の硬化方法は、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用である。特に、車載カメラ、PC用カメラ、デジタルカメラ、携帯電話、デジタルビデオ、監視カメラ、PDA、PC内蔵カメラ等の撮像用レンズに好適に用いることができる。その他、透明導電膜、反射防止膜(高屈折率、低屈折率)、光ディスク基板、反射膜などの薄膜材料にも好ましく使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材は、上述の構成よりなり、透明性、耐熱性、耐湿性等の基本性能に優れ、様々な用途に好適に適用することができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(合成例1:酸化ジルコニウムナノ粒子の合成)
40℃の純水700gに水酸化ナトリウム100g(キシダ化学株式会社、特級)を攪拌下、添加して溶解させた。次いで、ネオデカン酸495g(ジャパンエポキシレジン株式会社)を攪拌下、添加し、ネオデカン酸ナトリウム水溶液を調製した。該溶液を80℃とし、740gのジルコゾールZC−20(第一希元素化学工業株式会社製)を攪拌下、20分かけて投入し、80℃で1時間半攪拌を続けたところ、白色で高粘度なネオデカン酸ジルコニウムが生成した。次にテトラデカンを1270g添加して攪拌すると、ネオデカン酸ジルコニウムとテトラデカンからなる油相と水相の二相からなる溶液が得られた。水相を分離除去して油相部分を回収した。このようにして得られた油相部を純水で3回洗浄した。次いで油相1000gと純水500gを攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、反応容器中の雰囲気を窒素ガスにより置換した。その後、175℃まで加熱し、3時間反応させた。175℃反応中の容器中圧力は、0.9MPaであった。反応後の溶液を取出し、底部にたまった沈殿物をろ過により回収した。該沈殿物をアセトンで洗浄し、乾燥させた後、トルエンに分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として定量濾紙(アドバンテック東洋社製 No.5C)にて再度ろ過を行い、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。更に、ろ液中のトルエンを減圧除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を回収した。
上記酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、C−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収が認められた。当該吸収は、酸化ジルコニウムナノ粒子を被覆しているネオデカン酸に由来するものと考えられる。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、10℃/分の速度で800℃まで昇温し、酸化ジルコニウムナノ粒子の質量減少率を測定したところ、19質量%の減少率となった。
(合成例2:KBM−103処理酸化ジルコニウムナノ粒子の合成)
合成例1にて得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7gに分散させて溶液を調製し、該溶液にフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM−103)4gおよび超純水4gを添加し、90℃で1時間攪拌下、還流した。
還流処理後の溶液を放冷した後、n−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。次いで、白濁溶液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で真空乾燥し、フェニルトリメトキシシランで処理された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製した。
処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、C−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収、さらにSi−O−C由来の吸収が確認でき、処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ネオデカン酸およびフェニルトリメトキシシランの2種の被覆剤により被覆されていることが確かめられた。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、17質量%の減少率となった。
金属酸化物微粒子確認方法:
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、そこに酢酸をトルエンで50質量%に希釈した溶液を1.0g添加し攪拌を行ったところ、白色沈殿が析出した。このことから合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子が負の電荷を帯びていることを確認した。
樹脂組成物の作成方法
実施例1用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールAエポキシ樹脂)3.5g、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製 脂環式エポキシ樹脂)1.0gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例2用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)3.5g、Eternacoll@OXBP(宇部興産株式会社製 オキセタン樹脂)1.0gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社 FM−1)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例3用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールAエポキシ樹脂)3.5g、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(日本カーバイド工業株式会社製)1.0gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例4用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)3.5g、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)0.5g、EternacollOXBP(宇部興産株式会社 オキセタン樹脂)0.5gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例5用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)4.5gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例6用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、EternacollOXBP(宇部興産株式会社 オキセタン樹脂)4.5gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例7用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)4.0g、EternacollOXBP(宇部興産株式会社 オキセタン樹脂)0.5gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例8用樹脂組成物
酸化ジルコニウム粒子分散溶液NZD−8E61−01(住友大阪セメント株式会社製、固形分15%)10.0g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)1.75g、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)1.75gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例9用樹脂組成物
酸化ジルコニウム粒子分散溶液ZRAP15wt%−E17(シーアイ化成株式会社製、固形分15%)3.33g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)2.25g、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)2.25gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例10用樹脂組成物
酸化亜鉛粒子分散溶液ZNトル15wt%−G0(シーアイ化成株式会社製、固形分15%)3.33g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)2.25g、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)2.25gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
実施例11用樹脂組成物
酸化チタン粒子分散溶液TIトル15wt%−X240(シーアイ化成株式会社製、固形分15%)3.33g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)2.25g、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)2.25gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例1用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)0.5gをトルエン4.0gに分散させ、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)4.5gと分散剤としてプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社、FM−1)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例2用樹脂組成物
トルエン4.0g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)4.5gとプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社、FM−1)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例3用樹脂組成物
トルエン4.0gにセロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)4.0g、EternacollOXBP(宇部興産株式会社 オキセタン樹脂)0.5gとプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社、FM−1)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例4用樹脂組成物
トルエン4.0gにEternacollOXBP(宇部興産株式会社 オキセタン樹脂)4.5gとプラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社、FM−1)0.01gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例5用樹脂組成物
酸化ジルコニウム粒子分散溶液NZD−8E61−01(住友大阪セメント株式会社製、固形分15%)10.0g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)3.5gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例6用樹脂組成物
酸化ジルコニウム粒子分散溶液ZRAP15wt%−E17(シーアイ化成株式会社製、固形分15%)3.33g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)4.5gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例7用樹脂組成物
酸化亜鉛粒子分散溶液ZNトル15wt%−G0(シーアイ化成株式会社製、固形分15%)3.33g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)4.5gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
比較例8用樹脂組成物
酸化チタン粒子分散溶液TIトル15wt%−X240(シーアイ化成株式会社製、固形分15%)3.33g、JER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)4.5gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った。
(硬化用樹脂組成物の調整)
前記樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一混合した。50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業株式会社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して1wt%となるように添加し均一になるように混合した後、減圧脱泡処理を行った。
<硬化速度の測定>
得られた組成物を160℃に調温したホットプレート上に1g落とし、その後樹脂のタック感が無くなる時間を調べた。
結果を表1に示す。
Figure 2009132834
表1において、*1は、10分経過後も液状のままであったことを示す。
実施例1〜7及び比較例1において、用いた金属酸化物は、合成例2の酸化ジルコニウム粉末である。また、実施例8〜11及び比較例5〜8において、括弧内の金属酸化物量は、それぞれの製品に含まれる金属酸化物量(g)を示す。
表1中、比較例1と比較例2とを比べると、酸化ジルコニウムを添加した比較例1では10分経過後も液状のままであったのに対して、樹脂単独(JER828EL、ビスフェノールAエポキシ樹脂)の比較例2では、硬化時間が15秒であった。このことから、ジルコニアがグリシジルエーテルエポキシ樹脂のカチオンの硬化阻害をおこしているといえる。
同様に、比較例2と比較例7の比較より酸化亜鉛、比較例2と比較例8との比較より酸化チタンが同樹脂のカチオン硬化阻害を起こしているといえる。
実施例6と比較例4、及び、実施例7と比較例3から、酸化ジルコニアを使用することで、有機材料単独では到達できない高アッベ化が可能となることが明らかになった。また、耐熱性も向上する。
なお、上述した実施例及び比較例では、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン樹脂又はシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルと、酸化ジルコニウムと、カチオン重合開始剤とを用いた硬化性樹脂組成物の調製例を示している。一方、酸化亜鉛、酸化チタンに関しては、カチオン重合性基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物として脂環式エポキシ樹脂を用いた例しか示していないが、これらの酸化物の場合においても、脂環式エポキシ樹脂に限らず、カチオン重合性基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を用いれば、酸化ジルコニウムの場合と同様、カチオン重合性を改良し、硬化物の耐熱性や機械的強度を改善し、優れた透明性を発揮することを示していると言える。
したがって、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子とカチオン重合開始剤とを有するカチオン硬化性組成物において、カチオン重合性基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を用いることにより本発明の有利な効果を発現することが立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。
更に、上述した実施例、比較例では、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタンを金属酸化物粒子として用いた場合に、カチオン硬化反応が進み難しかったグリシジルエーテル基を分子内に2個有するエポキシ樹脂からなる組成物に、前述したオキセタン樹脂、脂環式エポキシ樹脂又はシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを少量共存させることによって、カチオン硬化反応速度が顕著に改善されることを示している。
なお、グリシジルエーテルエポキシ樹脂として芳香族エポキシ樹脂を用いており、金属酸化物粒子として高屈折率の酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛を用いていることから、実施例で得られる硬化物は、高屈折率となることは明白である。
図1は、本発明の硬化性樹脂組成物において、カチオン重合性化合物の種類を変えた場合の時間とコンバージョンの関係を示す模式図である。
符号の説明
1 オキセタン環含有化合物と脂環式エポキシ化合物とを併用した場合。
2 オキセタン環含有化合物を用いた場合。
3 脂環式エポキシ化合物を用いた場合。

Claims (6)

  1. 樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物であって、
    該硬化性樹脂組成物は、Ti、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を更に含み、
    該樹脂成分が、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物を必須とするものであることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂成分は、グリシジルエーテルエポキシ樹脂を必須とするものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学部材用硬化性材料。
  4. 請求項3に記載の光学部材用硬化性材料を硬化させてなることを特徴とする光学部材。
  5. 樹脂成分とカチオン重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物を硬化する方法であって、
    該硬化性樹脂組成物の硬化方法は、該樹脂成分が、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、R−C=C−O基(ただし、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基である。)、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を分子内に2個以上有するカチオン重合性化合物と、グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを必須として硬化するものであることを特徴とする硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  6. 前記硬化性樹脂組成物の硬化方法は、該硬化性樹脂組成物が更にTi、Zr及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属元素を有する金属酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項5に記載の硬化性樹脂組成物の硬化方法。
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