JP2009062459A - 有機無機複合樹脂組成物及び該有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物 - Google Patents

有機無機複合樹脂組成物及び該有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、耐湿性等の基本性能に優れ、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等々な用途に好適に適用することができる有機無機複合樹脂組成物及び有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物を提供する。
【解決手段】有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機成分は、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とし、該無機成分は、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とする有機無機複合樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機無機複合樹脂組成物及び有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物及び有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関する。
有機無機複合樹脂組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等として有用であり、また、塗料や接着剤の材料としても用いられるものである。更に、無機物質が含有されていることから、熱膨張率を低下させることができるだけでなく、無機物質と樹脂との屈折率を合わせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。例えば、デジタルカメラモジュールは携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、低コスト化も求められているため無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。近年においては新規用途として車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の車載化ニーズが高まっている。これら用途に適用する際、夏季の高温暴露等を考慮し、長時間の耐熱性が要求されている。従来のプラスチック材料よりも優れた耐熱性を必要とすることから硬化型材料の検討が進んでいる。
従来の発光素子、光−電気変換素子のような透明性を必要とする素子あるいは電子部品を封止するための樹脂について、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂封止材組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、各種特性を優れたものとし、封止剤用途以外にも適用できるようにする工夫の余地があった。
特開2005−41925号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明性、耐熱性、耐湿性等の基本性能に優れ、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等々な用途に好適に適用することができる有機無機複合樹脂組成物及び有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、有機無機複合樹脂組成物について種々検討したところ、高屈折率のものとするには、芳香環を有する硬化性樹脂組成物(例えば、エポキシ樹脂)を用いることが好ましいことに着目し、有機成分に共役系を構成する炭素数が7個以上である芳香族構造を有するエポキシ樹脂は芳香族環の電子吸引性又は立体障害に起因して、カチオン重合性がビスフェノールAタイプエポキシ樹脂(共役構造を構成する炭素数は、合計6個)と比較して低下することを見いだした。
また光学物性(アッベ数)を制御するためにはシロキサン系材料の併用が有効であるが、フェニルシルセスキオキサンのような官能基を有さない材料を使用すると、カチオン硬化性は更に低下してしまい、生産性に問題が生じてしまうことを見いだした。それに対しエポキシ基等のカチオン重合性基を有するシロキサン系材料を併用することで、有機材料単独よりもカチオン硬化性が良好になることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、上記有機成分は、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とし、上記無機成分は、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とする有機無機複合樹脂組成物である。なお、本明細書中、有機無機複合樹脂組成物を「硬化性樹脂組成物」又は「樹脂組成物」とも言う。また、本発明中、「エポキシ基」とは、グリシジル基及びエポキシシクロヘキサン環を意味し、これらの基を有する化合物を「エポキシ樹脂」又は「エポキシ化合物」と言う。
以下に本発明を詳述する。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とする有機成分と、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とする無機成分とを含むものである。このような構成を有することにより、有機無機複合樹脂組成物は、高屈折率を有するとともに硬化物を高い生産性で製造することができる。また、本発明の有機無機複合樹脂組成物の硬化物は、1.57以上(より好ましくは1.60以上)の高屈折率を有することができることとなる。なお、共役構造を有するエポキシ樹脂が含まれることにより、高屈折率を有する有機無機複合樹脂組成物とすることができるが、これは、共役構造が高屈折率化に有効であるためである。本発明者らは、硬化速度が遅くなることを見いだした。硬化速度が遅延する理由は、(1)芳香族環が電子吸引性基であるため、カチオン重合時にエポキシ環上でカチオンが不安定化されるため、(2)かさ高い芳香族環の立体障害による重合遅延によるためである。また、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とすると、上記重合遅延が改善されることを見出した。その作用機構は明らかではないが、カチオン重合性基がグリシジル基であり、該基が酸素を介してアルキル基に結合した構造の有機基を有するオルガノシロキサン化合物の場合は、グリシジルエーテル基に電子供与性のアルキル基が接続しているため、エポキシ基上でのカチオンの安定性が向上し、硬化速度が高まると推定される。
上記有機成分としては、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とするものである。なお、カチオン重合性化合物の好ましい1つの形態がエポキシ樹脂であるが、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するエポキシ樹脂とは、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有し、後述するカチオン重合性基がエポキシ基(グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環)である化合物である。以下、「7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物」を単に「共役構造を有するカチオン重合性化合物」とも言う。
上記共役構造を有するカチオン重合性化合物としては、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するものである。このような構造を有することにより、高屈折率の有機無機複合樹脂組成物とすることができ、光学用途等に好適に用いることができる。
上記共役構造を有するカチオン重合性化合物としては、1つの共役単位で炭素数が7個以上有するものを意味する。言い換えると、1つの共役単位を構成することになる原子団に属する炭素数が7個以上であり、そのような共役構造を少なくとも1つ持つことが好ましい。
上記共役単位としては、共役二重結合を有するものであることが好ましい。より好ましくは、芳香族環を有するものである。すなわち、カチオン重合性化合物は、共役構造を構成する炭素数が7個以上であり、芳香族環を有するものであることがより好ましい。芳香環を有するカチオン重合性化合物を用いることにより、高屈折率のカチオン重合性化合物を得ることができる。なお、上記「共役単位」とは、当該単位を含む結合構造を示した場合に、共鳴に関わる部分の一まとまりを一つの単位と言う。
上記共役単位としては、炭素数が7個以上共役系(芳香族環)であることが好ましく、具体的には、下記化学式:
Figure 2009062459
で表されるフルオレン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、スチルベンが好ましく、また、フルオレン、ビフェニル等を骨格構造に有するものであることが好ましい。なお、骨格構造に有するとは、これらの構造において、共鳴構造を有する範囲で置換基を有していてもよいことを意味する。このように、上記7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物は、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン環、アントラセン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール骨格及びスチルベン骨格からなる群より選ばれる少なくとも一つの骨格を有する有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記共役構造としては、上述した骨格や環構造を有するものであればいずれも好適に用いることができるが、中でも、フルオレン骨格を有することが好ましい。
上記カチオン重合性化合物におけるカチオン重合性基としては、3員環、4員環、5員環、6員環及びR−C=C−O基(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
上記カチオン重合性基としては、具体的には、グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環等の3員環:オキセタン環(オキセタン基)等の4員環;ジオキソラン環等の5員環;トリオキサン環等の6員環;R−C=C−O基(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)が好ましい。R及び/又はRにおいて、アルキル基としては、水素原子、メチル基が好ましい。より好ましくは、水素原子である。R及びRの組み合わせとしては、R=H、R=CH又はR=H、R=Hが好ましい。より好ましくは、R=H、R=Hである。
上記カチオン重合性基としてより好ましくは、グリシジル基、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、トリオキサン環及びR−C=C−O基(R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)であり、更に好ましくは、グリシジル基、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環である。
上記共役構造を有するカチオン重合性化合物としては、1分子中にカチオン重合性基を少なくとも1個有するものであればよいが、2個以上有することが好ましい。2個以上有することにより、硬化物の機械強度向上できる利点がある。より好ましくは、2〜3個であり、更に好ましくは、2個である。
上記共役構造を有するカチオン重合性化合物としては、上述した共役構造とカチオン重合性基とを有するものであれば特に限定されないが、フルオレン骨格を有するカチオン重合性化合物(「カチオン重合性フルオレン化合物」とも言う。)、ビフェニル骨格を有するカチオン重合性化合物(「カチオン重合性ビフェニル化合物」とも言う。)が特に好ましい。カチオン重合性フルオレン化合物は、通常、高屈折率樹脂原料であり、これらを用いることにより、本発明の有機無機複合樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、屈折率を1.6又はそれ以上とすることができ、例えば、高屈折率レンズとして好適に用いることができることとなる。また、カチオン重合性フルオレン化合物は、屈折率が高いだけでなく、耐熱性、可視光領域で高い透明性を有する等種々の優れた性質を示すだけでなく、マトリックスに均一にきれいに分散することができることから、光学用途をはじめ、種々の用途に用いることができる。また、カチオン重合性ビフェニル化合物は、高い屈折率を有し、耐熱性に優れ、可視光領域での透明性が高いだけでなく、低コストで利用できるという利点がある。
「カチオン重合性フルオレン化合物」、「カチオン重合性ビフェニル化合物」において、カチオン重合性基がエポキシ基であるものを、以下、「フルオレンエポキシ樹脂」、「ビフェニルエポキシ樹脂」と言う。
上記カチオン重合性フルオレン化合物としては、例えば、下記一般式(1)及び(2):
Figure 2009062459
(式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表し、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子を表す。mは、同一又は異なって、1〜5の整数であり、nは、同一又は異なって、0〜10の整数である。)で表される化合物が好適である。具体的には、下記化学式:
Figure 2009062459
で表されるオグソールEG−210(大阪瓦欺社製、フルオレンエポキシ樹脂)が好適である。
上記ビフェニル樹脂としては、例えば、下記化学式:
Figure 2009062459
で表されるJER YX4000(ジャパンエポキシレジン社、ビスフェニルエポキシ樹脂)が好適である。
上記カチオン重合性フルオレン化合物を有する場合、カチオン重合性フルオレン化合物の含有量としては、全カチオン重合性化合物中20質量%(重量%)以上であることが好ましい。20質量%未満であると、得られる有機無機複合樹脂組成物の屈折率が充分には高くならないおそれがある。より好ましくは、25質量%以上であり、更に好ましくは、30質量%以上である。
上記カチオン重合性ビフェニル化合物を有する場合、カチオン重合性ビフェニル化合物の含有量としては、全カチオン重合性化合物中30質量%(重量%)以上であることが好ましい。30質量%未満であると、得られる有機無機複合樹脂組成物の屈折率が充分には高くならないおそれがある。より好ましくは、35質量%以上であり、更に好ましくは、40質量%以上である。
上記有機無機複合樹脂組成物において、有機成分としては、共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とするものであるが、その他の有機成分(有機樹脂成分とも言う。)を有していてもよい。上記共役構造を有するカチオン重合性化合物の含有量としては、有機成分(共役構造を有するカチオン重合性化合物と有機成分との合計)100質量%中、10質量%以上、90質量%以下であることが好ましい。10質量%未満であると、得られる有機無機複合樹脂組成物の屈折率が充分には高くならないおそれがあり、90質量%を超えると、高粘度化による作業性の低下のおそれがある。より好ましくは、15質量%以上、80質量%以下であり、更に好ましくは、20質量%以上、70質量%以下である。なお、有機成分については、後述する。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、有機成分と無機成分とを含むものである。無機成分を含有することで、熱膨張率を低下させることができ、離型効果を発揮することができる。
上記無機成分は、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とするものである。カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とすることにより、共役構造を有するエポキシ樹脂を含むことにより生じる硬化速度の遅延を抑えることができ、好ましい硬化速度を維持することができる。特に、光学レンズ等微少な材料を短時間で生産する際に重要となる初速度を充分に速くすることができ、光学材料を好適に生産することができることとなる。オルガノシロキサン化合物がグリシジルエーテル基に電子供与性のアルキル基が接続している構造の場合は、エポキシ基上でのカチオンの安定性が向上し、カチオン硬化速度が速いことから、共役構造を有するエポキシ樹脂が含まれることによる硬化速度の遅延の影響を最小限に抑えることができ、優れた生産性とすることができる。また、当該ネットワークに入ることで、透明性が優れた有機無機複合樹脂組成物とすることができる。更に、架橋密度があがることから、ガラス転移温度が上昇すること等により、耐熱性があがることとなる。
上記カチオン重合性基としては、有機成分において上述したものと同様であることが好ましい。すなわち、3員環、4員環、5員環、6員環及びR−C=C−O基(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有することが好ましい。
上記カチオン重合性基としては、具体的には、グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環等の3員環:オキセタン環(オキセタン基)等の4員環;ジオキソラン環等の5員環;トリオキサン環等の6員環;R−C=C−O基(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)が好ましい。より好ましくは、グリシジル基、オキセタン環、エポキシシクロヘキサン環、ジオキソラン環、トリオキサン環及びR−C=C−O基(R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)である。このように、グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環、オキセタン基、ジオキソラン環、トリオキサン環及びR−C=C−O基(R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
aRbYcSiOd
(式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。Rは、カチオン重合性基を含む有機基を表す。Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも一種を表す。R´は、アルキル基を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0<b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす数である。)で表されることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物は、上記平均組成物で表されるものであり、カチオン重合性基(活性基)を有する有機基であるRを必須とすることが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物において、Rとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、これらは置換されていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基などの飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)((1)群):シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基などの飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)((2)群):飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)で置換されてなる基((3)群);飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)で置換されてなる基((4)群);などの炭化水素のみからなる−飽和脂肪族炭化水素基(以下、無置換−炭化水素基(I)と称することがある)が好ましい。
上記Rとしては、また、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基などの如く、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部又は全部が、脂肪族炭化水素基で置換されてなる基が好ましい。これらを総称して無置換−炭化水素基(II)と称することがある。
上記オルガノシロキサン化合物は、Rが上記のものであればいずれも好適に用いることができる。
上記Rとしてより好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基であり、更に好ましくは、メチル基、シクロへキシル基、フェニル基であり、特に好ましくは、フェニル基である。Rがフェニル基であると、共役構造を有するカチオン重合性化合物との相溶性に優れる点、高屈折率の有機無機複合樹脂組成物とする点及び透明性が優れたものとなる点から好ましい。
基が、オルガノシロキサン化合物の1分子中に複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
上記無置換−炭化水素基(I)と無置換−炭化水素基(II)の割合としては、(I)/((I)+(II))が0.5未満であることが好ましい。このような範囲とすることにより、オルガノシロキサン化合物における芳香環の含有量(無置換−炭化水素基(II))が充分となり、高屈折率の樹脂を得ることができることとなる。より好ましくは、0.2未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。
更に、上記Rにおいて、上記炭化水素のみからなる基(無置換−炭化水素基(I)、無置換−炭化水素基(II)を意味する。以下、総称して、無置換−炭化水素基ともいう。)以外に、炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、炭化水素基以外の置換基で置換されたものも好ましく、これらのR及び/又はRを有するオルガノシロキサン化合物もまた、本発明におけるオルガノシロキサン化合物に包含される。このような置換基で置換された炭化水素基として、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基などの非反応性置換基が無置換−炭化水素基の一部又は全部の水素原子と置換した基(このような非反応性置換基を有する炭化水素基を非反応性基置換−炭化水素基ともいう。);水酸基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、スルホン酸基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和結合基、などの反応性置換基が無置換−炭化水素基の一部又は全部の水素原子と置換した基(反応性官能基を有する炭化水素基を反応性基置換−炭化水素基ともいう。)が例示される。
上記非反応性置換基において、上記ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。上記アルコキシ基としては、アルコキシ基を構成するアルキル鎖が、Rにおける脂肪族炭化水素基(1)群に例示したアルキル基であるもの、又は、同じく(2)群に例示したシクロアルキル基であるものが好ましい。より好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記Rとしては、上述した無置換−炭化水素基、非反応性基置換−炭化水素基及び反応性基置換−炭化水素基は、いずれも好適に用いることができるが、より好ましくは、無置換−炭化水素基、非反応性基置換−炭化水素基であり、更に好ましくは、無置換−炭化水素基である。なお、それぞれの炭化水素基の好ましい例は、上述したとおりである。
上記反応性置換基ならびに反応性基置換−炭化水素基は、上記共役構造を有するカチオン重合性化合物と反応して硬化速度を速める目的で含有させることもできる。
また炭化水素基総量(R)100質量%(オルガノシロキサン化合物における分子末端のケイ素原子にRが結合する場合はこれを含む)に対して、無置換−炭化水素基と、非反応性基置換−炭化水素基との総量は、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。
また無置換−炭化水素基と、非反応性置換基−炭化水素基との総量100質量%に対して、無置換−炭化水素基の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。
上記Rとしては、グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環、オキセタン基、ジオキソラン環、トリオキサン環及びR−C=C−O基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。なお、R及び/又はRにおいて、アルキル基としては、上述したものと同様であることが好ましい。
上記Rとしては、上述した中でも、グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環、又は、オキセタン基であることが好ましい。より好ましくは、グリシジル基、エポキシシクロヘキサン環、又は、オキセタン基であって、これらが電子供与性基に結合した形態のものである。
上記Rの含有量としては、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物1分子中にカチオン重合性基を少なくとも1個有するものであればよいが、2個以上有することが好ましい。2個以上有することにより、硬化物の機械強度を向上させる利点がある。より好ましくは、1〜3個であり、更に好ましくは、2個である。
上記Rの含有量としては、また、オルガノシロキサン化合物のケイ素原子に対して、モル比で0.3以上であることが好ましい。より好ましくは0.5以上である。なお、上記モル比は、Rの含有量(モル)をケイ素原子の含有量(モル)で除した値である[R(モル)/Si原子(モル)]。
上記Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R´は、アルキル基を表す。
上記Yは、R´がアルキル基であるR´O基、塩素原子、水酸基、水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R´が炭素数1〜5のアルキル基からなるR´O基であり、更に好ましくは、R´が炭素数1のアルキル基からなるR´O基、すなわち、メトキシ基である。
上記Yの含有量としては、少ない方が好ましい。具体的には、平均組成式におけるcの値が、0.5以下であることが好ましい。0.5を超えると、有機無機複合樹脂組成物の貯蔵安定性が充分ではなくなるおそれがある。より好ましくは、0.2以下であり、更に好ましくは、0.1以下である。
上記オルガノシロキサン化合物は、上述の平均組成式で表されるものであるが、各オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子における末端結合基が、上記したR又はYであることが好ましい。より好ましくは、末端結合基が、Rである。
なお、分子末端のケイ素原子に結合する基の一部又は全部が、R又はY以外の基又は原子であるオルガノシロキサン化合物も本発明のオルガノシロキサン化合物に包含される。R又はY以外の基又は原子として、例えば、上記したRであり、更に好ましい態様は上記したRに同様である。
上記オルガノシロキサン化合物分子の末端ケイ素原子に結合した基又は原子団(末端結合基)における、上記R又はRからなる炭化水素基の割合は、末端結合基100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、80モル%以上であり、更に好ましくは、90モル%以上であり、特に好ましくは、100モル%である。
上記オルガノシロキサン化合物において、a、b、c及びdとしては、0≦a<3、0<b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、及び、a+b+c+2d=4を満たすものである。
上記a及びbとしては、R及びRの割合を示すこととなる。RとRの比率(モル比)としては、a/b(R/R)が、下限としては90/10であることが好ましい。より好ましくは70/30であり、更に好ましくは50/50である。上限としては0/100であることが好ましい。
上記a+b+cとしては、0より大きく3未満であればよい。好ましくは、0.5以上2.7以下であり、より好ましくは、0.8以上2.4以下である。また、a+bは、0より大きく3未満であればよい。a+bの好ましい範囲は、0.4以上2.7以下であり、より好ましくは、0.7以上2.4以下である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、特に限定されないが、通常、鎖状構造(直鎖状、分岐状)、ラダー状構造、網状、環状、ラダー状からなる環状構造、かご状及び粒子状が例示される。分子構造としては、鎖状、ラダー状、網状、かご状が好ましく、より好ましくは、ラダー状、網状、かご状である。これらのラダー状、網状、かご状の分子構造は、オルガノシロキサン化合物の添加量が少量であっても効果が発揮されやすく好ましい。このように、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状、網状及びかご状からなる群より選ばれる少なくとも一つの分子構造を持つ有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。これらの分子構造は、下記構造式:
Figure 2009062459
(式中、Rは、有機基を表す。)で表される。上記構造式(1)はランダム(網状)構造(Random structure)であり、構造式(2)はラダー状構造(Ladder structure)であり、構造式(3)は不完全かご型構造(Incomplete condensed cage)、構造式(4)〜(6)はかご型構造(Completely condensed structures)を示す。
上記分子構造として更に好ましくは、ラダー状である。なお、分子構造がラダー状、鎖状の場合は、樹脂組成物への溶解性が高く、光学的な透明性、機械特性がよい材料が得られる。
上記分子構造が鎖状構造である場合、上記平均組成式におけるa+b+cの好ましい範囲は、1.5以上2.7以下である。より好ましくは、1.8以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.9以上2.3以下であり、特に好ましくは、2以上2.2以下である。a+bの好ましい範囲は、1以上2.7以下である。より好ましくは、1.6以上2.4以下であり、更に好ましくは、1.8以上2.2以下であり、特に好ましくは、2±0.05である。
上記分子構造がラダー状、かご状である場合、上記平均組成式におけるa+b+cの好ましい範囲は、0.5以上2以下である。より好ましくは、0.8以上1.6以下であり、更に好ましくは、0.9以上1.4以下であり、特に好ましくは、1以上1.2以下である。a+bの好ましい範囲は、0.4以上2以下である。より好ましくは、0.7以上1.7以下であり、更に好ましくは、0.8以上1.2以下であり、特に好ましくは、1±0.05である。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように鎖状、ラダー状、あみ状、かご状が好ましく、この場合、上記a+bとしては、1又は2であることが好ましい。a+b=1のとき、分子構造は通常ラダー状、かご状、又は、あみ状等の二次元、三次元の高次構造となり、a+b=2のとき、分子構造は、直鎖状の一次元構造となる。このように、オルガノシロキサン化合物は、式中、a+bが1又は2である樹脂組成物である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記オルガノシロキサン化合物の分子構造としては、上述のように、ラダー状であることがより好ましい。この場合、上記a+bとしては、1であることが好ましい。すなわち、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状であり、式中、a+bが1である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
なお、上記平均組成式は用いるオルガノシロキサン分子の平均組成を示し、a、b、c及びdは、Siに対するR、R、Y及びOの結合割合の平均値を表すものであり、その結合様式を特定するものではない。具体的には、a≠0かつb≠0のオルガノシロキサンとしては、その分子中のシロキサン骨格が、任意のケイ素原子にRもRも結合しているものからなる場合、有機基としてRのみが結合したケイ素原子と、Rのみが結合したケイ素原子からなる場合も、両方が混在した場合も含まれる。(1)RとRとが結合したケイ素原子、又は、(2)Rが結合したケイ素原子及びRが結合したケイ素原子が必須として含まれ、RとRのいずれも結合していないケイ素原子が含まれていてもよい。これらのケイ素原子の組み合わせ、割合、シロキサン骨格での位置等については限定されないこととなる。
上記オルガノシロキサン化合物は、重量平均分子量が100〜10000であることが好ましい。100より小さいと、添加効果が小さく、硬化促進効果、光学特性制御等の効果が充分には発揮されないおそれがあり、硬化時の熱による輝発のおそれがある。10000を超えると有機樹脂成分への相溶性が悪い場合がある。上記重量平均分子量としてより好ましくは、500〜5000であり、更に好ましくは、800〜2000である。
上記カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物としては、具体的には、下記化学式:
Figure 2009062459
(式中、nは繰り返し数である。)で表されるS−501(荒川化学工業社製、グリシジル基含有シルセスキオキサン)が好ましい。
本発明の無機成分においては、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とするものである。上記カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を「必須とする」とは、無機成分100質量%中、該カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を10質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは、30質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上であり、最も好ましくは、実質的に全てである。
上記その他の無機成分としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物、シリカ、金属酸化物であることが好ましい。その他の無機成分については後述する。
上記カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物の樹脂組成物中での含有量(添加量)としては、有機無機複合樹脂組成物の総重量に対し、1〜50質量%(重量%)が好ましい。1質量%未満であると、添加効果が小さく、硬化促進効果、光学特性制御等の効果が充分には発揮されないおそれがあり、50質量%超えると屈折率が充分には高くならない場合がある。より好ましくは、2〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。
上記オルガノシロキサン化合物(カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物及びカチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物)の製造方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、下記式(I):
SiX (4−s) (I)
(上記式中、Rは上述のRと同じである。Xは、同一又は異なって、加水分解性基を表す。sは、1、2又は3である。)、下記式(II):
SiX (4−t) (II)
(上記式中、Rは上述のRと同じである。Xは、同一又は異なって、加水分解性基を表す。tは、1、2又は3である。)、及び、下記式(III):
s´ t´SiX (4−s´−t´) (III)
(上記式中、R及びRは上述のR及びRと同じである。Xは、同一又は異なって、加水分解性基を表す。s´及びt´は、同一又は異なって、1又は2であり、s´+t´は、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物を、単独又は混合して有機溶媒中で加水分解・縮合して得ることが好ましい。
上記式(I)〜(III)において、X、X及びXとしては、同一でもよく異なってもよく、RO基、水酸基、水素原子、ハロゲン原子であることが好ましい。なお、Rとしては、アルキル基を表す。Rの炭素数としては、1〜5が好ましく、1又は2がより好ましい。X、Xとしては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子であることが好ましい。
上記式(I)及び(II)において、s及びtは、同一又は異なって1、2であることが好ましい。特にs=1、t=1で表されるトリアルコキシシラン化合物が好ましい。トリアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合することにより得られるオルガノシロキサン化合物は、有機樹脂成分に相溶性に優れるため好ましい。
上記(III)において、s´及びt´は、1であることが好ましい。
本発明のオルガノシロキサン化合物を加水分解・縮合する場合、上記式(I)〜(III)以外のシラン化合物を原料として用いてもよい。このように、上記式(I)〜(III)と共加水分解・縮合するシラン化合物としては、例えば、下記式(IV):
Si(X (IV)
(式中、Xは、加水分解性基を表す。)で表されるものであることが好適である。
上記Xは、同一又は異なっていてもよく、好ましい態様も上記X、X及びXと同様である。
上記式(IV)は、上記式(I)〜(III)と好適に共加水分解・縮合することができるが、最終的に得られるオルガノシロキサン化合物が上記平均組成式で表されるものである範囲で用いることが好ましい。具体的には、上記平均組成式において、R、Rの割合が、上述した範囲となる割合で用いることが好ましい。上記式(II)、(III)を必須の原料として用いることが好ましい。
また、有機溶媒中で(I)から(IV)を加水分解縮合して得られるオルガノシロキサン化合物は、再溶精製、抽出等により精製して使用することが好ましい。
上記その他の無機成分としては、金属酸化物粒子、カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。これらについて、以下に説明する。
上記金属酸化物としては、チタニア、ジルコニア、イットリア、酸化ランタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物粒子等の屈折率が2以上の金属酸化物ナノ粒子であることが好ましい。特に有機無機複合樹脂組成物及び該樹脂組成物の硬化物を高屈折率化する場合に好ましい。
上記金属酸化物粒子としては、一次粒子の平均粒子径が100nm以下であることが好ましい。より好ましくは、20nm以下であり、更に好ましくは、15nm以下である。このような範囲とすることにより、透明性、光透過性の高い有機無機複合樹脂組成物及び硬化物が得ることができる。
上記一次粒子径は、TEM像(透過型電子顕微鏡観察)により得られる数平均粒子径;比表面積径(B.E.T.表面積の測定より得られる重量平均粒子径;粉末X線回折測定法により得られる結晶子径;X線小角散乱法等により得られる慣性半径とその散乱強度から求められる平均粒子径等を用いることができる。中でも、TEM像より得られる数平均粒子径が好ましい。
上記金属酸化物粒子の形状は、球状に限られず、例えば、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状、紐状等が好適である。
上記カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物としては、上述したカチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物の平均組成式において、Rが含まれない形態であることが好ましい。すなわち、平均組成式:
xYySiOz
(式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも一種を表す。R´は、アルキル基を表す。x、y及びzは、0≦x<3、0≦y<3、0<x+y<3、及び、x+y+2z=4を満たす数である。)で表されるオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。上記平均組成式において、R、Y及びR´は上述と同様であることが好ましい。
また、x、y及びzは、それぞれ、a+b、c及びdと同様であることが好ましい。
上記カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物は、カチオン重合性を有しない点を除き、平均分子量、分子構造及び製法等は、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物と同様であることが好ましい。
上記その他の無機成分100質量%中の湿式無機微粒子の含有量としては、10〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜100質量%であり、更に好ましくは、80〜100質量%である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物において、屈折率を上昇させる場合には、その他の無機成分としては、上記高屈折率ナノ粒子、チタノキサン化合物等を用いることが好適である。屈折率を上昇させる場合には、高屈折率ナノ粒子がより好ましく、TiOがチタノキサン化合物より好ましい。なお、チタノキサン化合物等は高濃度に配合可能である。
上記カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物としては、屈折率を上昇させる場合には、芳香環を有することが好ましい。該化合物の構造としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、ラダー状、かご状等の構造のポリシルセスキオキサンであることが好適である。具体的には、シリコーンオリゴマーPPSQ−E(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)、シリコーンオリゴマーPPSQ−H(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)等が好ましい。シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、構造中にベンゼン環を有する粉末ポリマーシリカであり、紐状の形態であるため、溶液中で凝集せず分散しやすい。
上記カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物中の芳香環量としては、ケイ素原子量100質量%に対して、40質量%以上であることが好ましい。上記カチオン重合性基を有さないオルガノシロキサン化合物中の芳香環量が40質量%未満であると、屈折率を充分高くして、光学用途に好適に用いることができないおそれがある。上記芳香環量としてより好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、100質量%以上であり、特に好ましくは、200質量%以上である。
本発明の有機成分は、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とするものであり、共役構造を有するカチオン重合性化合物以外の有機成分(以下、「その他の有機成分」とも言う。)が含まれていてもよい。以下、その他の有機成分について説明する。
上記その他の有機成分としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミド等を挙げることができる。上記その他の成分である硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、及び、後述するエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について例示する中から、適宜選択して使用すればよい。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、上述したエポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記その他の有機成分としては、硬化速度の観点からエポキシ基含有化合物、すなわち、上述した共役構造を有するカチオン重合性化合物以外のエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物であることが好ましい。エポキシ基を少なくとも一つ有することにより、硬化速度を充分なものとする効果とともに、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。以下、本発明の有機樹脂成分として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物について説明する。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ化合物);(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂(エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ化合物);テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレートも好適に用いることができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記エポキシ基含有化合物としては、屈折率を向上させるためには、芳香族環を有するものであることが好ましい。芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールA)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ビスフェノールF)、ブロモ置換基を有する芳香族エポキシ樹脂等が好適であり、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールAである。ビスフェノールAとしては、具体的には、下記化学式:
Figure 2009062459
で表されるJER828EL(ジャパンエポキシレジン社、ビスフェノールAエポキシ樹脂)が好適である。
本発明の必須成分である共役構造を有するカチオン重合性化合物やカチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物に加えて、更に含まれることが好ましい成分や、有機無機複合樹脂組成物の好ましい形態等について述べる。以下、無機成分をオルガノシロキサン化合物ともいう。
上記樹脂組成物、光学材料においては、高屈折率のものを得ることができることから、不飽和結合量が多い有機成分を用いることが好ましい。硬化性樹脂組成物としては、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が40質量%以上であるものが好ましい。ここで、不飽和結合量とは、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子の合計質量である。すなわち、硬化体100質量%中に含まれる不飽和結合を形成する原子、並びに、該原子に結合している水素原子及びハロゲン原子の合計質量である。具体的には、−CHCHCHCl−CH=CCl−CHCH−構造を有する場合、不飽和結合量は、CH=CCl部分の合計質量を意味する。
また炭素原子が芳香環を形成する場合、硬化体100質量%中に含まれる芳香環の質量%を表すものとする。この場合、芳香環が置換基を有していても、不飽和結合を有しない置換基の質量を含めるのではなく、炭素原子と水素原子とによって構成される芳香環の質量を不飽和結合の合計量の計算に参入することになる。なお、芳香環にハロゲン原子が置換基として結合している場合は、上記定義よりハロゲン原子も含まれる。本発明においては、不飽和結合が芳香環によって構成される形態が好ましい形態の一つである。
上記不飽和結合量は、より好ましくは、43質量%以上であり、更に好ましくは、45質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物において、有機成分の不飽和結合と無機成分の不飽和結合の割合(モル比)としては、〔有機成分の不飽和結合〕/〔無機成分の不飽和結合〕=100/0〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、90/10〜10/90であり、更に好ましくは、80/20〜20/80であり、特に好ましくは、60/40〜40/60である。その他の有機成分及びその他の無機成分の少なくとも一方が、不飽和結合を有することが好ましい。特に芳香環を有することが好ましい。
上記不飽和結合が芳香環に由来する場合、このような芳香環としては、例えば、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、スチルベン、フェニル基、フルオレン骨格、カルバゾール骨格等が挙げられる。
上記硬化性樹脂組成物において、該硬化性樹脂組成物の硬化体の不飽和結合量の定量方法としては、元素分析、NMR、IR等により硬化性樹脂組成物を分析し、構造等を明らかにした上でH−NMR等で定量分析を行い、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子を定量することにより求めることができる。なお、硬化性樹脂組成物としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、不飽和結合を有さない成分が含まれていてもよい。
上記不飽和結合量は、具体的には、以下の方法により求めることができる。
(1)硬化性樹脂組成物を硬化させ硬化体を得る。
(2)上記硬化体及び/又は樹脂組成物を元素分析することにより組成式を求め、IR、NMR測定により該硬化体が有する不飽和結合の存在、及び、該不飽和結合を形成する官能基を特定する。
(3)質量を定量した硬化体及び/又は樹脂組成物、並びに、質量を定量した外部基準を用いて、NMR測定する。
(4)上記(3)のNMR測定において、外部基準のピーク面積と、不飽和結合に由来するピーク面積、外部基準の質量とから、NMR測定に用いた硬化体に含まれる不飽和結合量を算出する。
(5)上記(4)の結果から、硬化体100質量%に含まれる不飽和結合量を求める。
なお、上記(2)及び(3)のNMR測定においては、最適な核種を1つ又は2つ以上選択して、測定することとする。例えば、不飽和結合が芳香環由来のものである場合は、H−NMR単独や、13C−NMRとの組み合わせが好適であり、不飽和結合を形成する原子にフッ素原子が結合している場合は、19F−NMRが好適である。また、用いる外部基準は、各種に応じて適宜選択し、H−NMRの場合では、一般的にTMSが好適である。
上記硬化性樹脂組成物は、有機成分が芳香環を有することを必須とし、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物であることが好ましい。上記硬化性樹脂組成物は、その他の有機成分として芳香環を有する有機成分を含むものであることが好適である。
上記芳香環量としては、硬化後の硬化体100質量%に対して、40質量%以上である。このような範囲とすることで、透明性、屈折率が充分に高い等の光学特性に優れた硬化性樹脂組成物とすることができる。より好ましくは、43質量%以上であり、更に好ましくは、45質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。なお、このような芳香環量は、有機成分と無機成分とに含まれる芳香環量をいう。すなわち、有機成分だけが芳香環を持つ場合は、硬化後の硬化体100質量%に対する有機成分中の芳香環の質量%であり、無機成分も芳香環を持つ場合には、硬化後の硬化体100質量%に対する有機成分中の芳香環量及び無機成分中の芳香環量の合計質量%である。無機成分も芳香環を持つ場合の有機成分の芳香環と無機成分の芳香環の割合(モル比)としては、〔有機成分の芳香環〕/〔無機成分の芳香環〕=90/10〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、80/20〜20/80であり、更に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記有機樹脂成分に必須として含まれる有機成分の数平均分子量としては、150〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
<分子量の測定方法>
上記有機樹脂成分の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
本発明の硬化性樹脂組成物の好ましい実施形態は、高屈折率化のために、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物(共役構造を有するカチオン重合性化合物)以外の他の有機成分として、芳香環を有するエポキシ化合物を含有し、カチオン重合性基の有無にかかわらず芳香環を含有するオルガノシロキサン化合物を含むことが好ましい。有機成分中の芳香環量及び無機成分中の芳香環量の合計質量が40%以上であり、オルガノシロキサン化合物中の芳香環量が、30質量%以上であることが好ましい。すなわち、有機成分と無機成分とを含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、有機成分が芳香環を有するエポキシ化合物を必須とし、該無機成分が芳香環を有するオルガノシロキサン化合物であり、ケイ素原子含有量100質量%に対するオルガノシロキサン化合物中の芳香環量が50質量%以上であり、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、無機成分と有機成分との組み合わせとしては、上述した化合物を適宜選択して用いることができる。これらの組み合わせの中で、特に好ましい形態としては、カチオン重合性フルオレン化合物である。より好ましくは、フルオレンエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、及び、カチオン重合性基とフェニル基を含むオルガノシロキサン化合物である。
上記有機成分は、溶媒を含んでいてもよく、有機成分に含まれる溶媒量としては、有機成分100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、有機樹脂成分を含む場合に上述したように、成形体に気泡が生じるおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、特に好ましくは、3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、上記有機成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、下限としては、有機成分を40質量%、更に好ましくは70質量%、オルガノシロキサン化合物を1質量%、更に好ましくは2質量%、特に好ましくは5質量%含むことが好ましい。上限としては、有機成分を99質量%、更に好ましくは98質量%、オルガノシロキサン化合物を60質量%、特に好ましくは30質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性が高い樹脂組成物とすることができる。特に、有機成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。
上記樹脂組成物はまた、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、一体感のある樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。具体的には、−〔−(CH−O−〕− で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)例えば、ブチレンオキシドを含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7217、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上));高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル工業社製 EHPE−3150);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鞘や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基、オキセタン基等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
上記可とう性成分としては、硬化性の官能基を含む化合物を好適に適用できるが、硬化性の官能基を含む化合物の中でも特に好ましくは、エポキシ基を含む化合物である。上記可とう性成分としては、具体的には、ブチレンオキシドであることが好ましい。
上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分と無機成分と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、無機成分を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜35質量%であり、更に好ましくは、0.5〜30質量%である。すなわち、可とう性成分が10%以下である樹脂組成物が好適である。
また上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、オルガノシロキサン化合物を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。特に、可とう性成分が10%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜1質量%である。
本発明の樹脂組成物としては、上述のように、有機成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであり、可とう性成分を含むことが好適である。すなわち、可とう性を有する材料(可とう性成分)とカチオン重合性フルオレン化合物(より好ましくは、フルオレンエポキシ樹脂)とオルガノシロキサン化合物を含んでなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物の粘度として特に好ましくは、10000Pa・s以下であり、更に好ましくは、1000Pa・s以下であり、最も好ましくは、200Pa・s以下である。
上記樹脂組成物としてはまた、有機成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、溶媒5質量%以下に調製される形態が好ましい。このような形態に調製することにより、連続生産可能となり、一体感を有し、強度が高く、透明性・耐熱性が高い熱硬化性樹脂を得ることができ、500nm透過率80%以上であるレンズ材料(光学材料)として有用な熱硬化性材料を提供することができる。有機成分としては2種以上であることが好適であり、このように、2種以上の有機成分とオルガノシロキサンとを溶媒5質量%以下に調製してなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記溶媒量としては、混合物(2種以上の有機成分とオルガノシロキサン化合物と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。一方、本発明の好ましい形態の一つとして溶媒を用いた樹脂組成物の製造時(脱溶媒時)の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、高沸点溶媒等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。上記溶媒としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール等が好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、透明性に優れた硬化物を与えることができるものであるが、透明性を向上させると光学部材としての性能が向上し、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる樹脂組成物となる。
本発明の樹脂組成物は、上述した有機成分やオルガノシロキサン化合物の他に、硬化触媒、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適に用いることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
上記化合物としては、上述した群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有するものであればよく、これらの中でも好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸(特に高級脂肪酸)である。
上記化合物は炭素数8〜36であり、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数である。このような範囲のある程度の長鎖を有するものであれば、本発明の作用効果を発揮し、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示すことができる。また、入手が比較的容易であり、経済性も優れたものとすることができる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記化合物は、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、具体例としては、下記のものが好適である。
上記炭素数が8〜36のアルコールとは、一価又は多価のアルコールであり、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。具体的には、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ジペンタエリスリトール、2−フェニルエタノール等が好適である。上記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも、オクチルアルコール(オクタノール)、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2−エチルヘキサノール)、ステアリルアルコールがより好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸エステルとは、(1)上記アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル、(2)メタノール、エタノール、プロパノール、ヘプタノール、ヘキサノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールと上記カルボン酸との組み合わせで得られるカルボン酸エステル、(3)酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブタン酸等の炭素数1〜7のカルボン酸と上記アルコールとの組み合わせで得られるカルボン酸エステル等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、酢酸オクチル等が好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物、アルコール系化合物であり、更に好ましくは、ステアリン酸系化合物である。このように、上記樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
上記硬化触媒としては、通常用いられているものや、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば、光潜在性硬化触媒、熱潜在性硬化触媒が好適である。このように、上記樹脂組成物は、光潜在性硬化触媒、熱潜在性硬化触媒を含むものである樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記熱潜在性硬化触媒とは、熱潜在性硬化剤、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性硬化触媒は後述する硬化剤と異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、また、熱潜在性硬化触媒の作用として、硬化反応を充分に促進することができ、優れた効果を発揮することができ、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)を提供することができる。特に、硬化性樹脂組成物を光学材料として用いる場合には、熱潜在性硬化剤を用いることが好ましい。このように、エポキシ基を有する有機成分、及び、熱潜在性硬化触媒を含む樹脂組成物であって、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物を含有せしめる樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)の保存安定性改良方法もまた本発明の好ましい形態の一つである。なお、オルガノシロキサン化合物、及び、有機成分については、上述したとおりである。有機成分やオルガノシロキサン化合物としては、上述のものを好適に用いることができるが、硬化速度の向上の観点からは、エポシキシクロヘキサン環、オキセタン基及び電子供与性基に結合したカチオン重合性基のいずれかを有するカチオン重合性化合物が好ましく、その他の有機成分としては、脂環式エポキシ樹脂(エポキシシクロヘキサン骨格)、水素化ビスフェノールAエポキシ樹脂が好ましく、触媒量を減量するという観点からは、脂環式エポキシ樹脂の導入が好ましい。
上記熱潜在性硬化触媒の触媒量(使用量)は、有機樹脂成分と無機成分をあわせた樹脂組成物100質量%に対し、0.01質量%以上、10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上、5.0質量%以下であり、更に好ましくは、0.2質量%以上、2.0質量%以下である。触媒量を減らしすぎて0.01質量%未満とすると、硬化が遅く、10質量%を超えて増やすと硬化時やその成形体の加熱時に着色するおそれがある。
上記熱潜在性硬化触媒としては、また、得られる樹脂組成物の耐湿性が劇的に改善され、過酷な使用環境においても樹脂組成物が有する優れた光学特性を保持し、種々の用途に好適に用いることができるものとなる。通常、屈折率が高い水分が樹脂組成物やその硬化物に含まれると、濁りの原因になるが、優れた耐湿性が発揮できることから、このような濁りが抑制され、レンズ等の光学用途に好適に用いることができる。特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(1)
(R Z)+m(AXn)−m(1)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、上述の構造を有するものであればよいが、これらは、一般に、硬化温度でカチオンが発生することになる。硬化温度としては、25〜250℃であることが好ましい。より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜180℃である。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分である。
上記一般式(1)の陰イオン(AXn)−mの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式AXn(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオン・カーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
上記光潜在性硬化触媒(光潜在性カチオン発生剤又は光カチオン重合開始剤とも言う)としては、例えば米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩及び三フッ素化ホウ素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されているようなビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されているようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されているようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されているようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されているようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されているようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されているようなMF 陰イオン(ここでMは、リン、アンチモン及びヒ素から選択される)の形のVIb元素;米国特許第4231951号に記載されているようなアリールスルホニウム塩;米国特許第4256828号に記載されているような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマーケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789項(1984年)に記載されているようなビス[4−(ジフェリルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば、リン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩など);鉄化合物の混合配位子金属塩;シラノール−アルミニウム錯体;などが挙げられる。これらの紫外線重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの紫外線重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの紫外線重合開始剤のうち、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族ヨードニウム錯塩又は芳香族スルホニウム錯塩、II族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が好適である。これらのいくつかは、例えばUVI−6992(ダウ・ケミカル社製)、FX−512(3M社製)、UVR−6990、UVR−6974(ユニオン・カーバイド社製)、KI−85(デグッサ社製)、SP−150、SP−170(旭電化社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)などの市販品を入手することができる。
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、樹脂組成物に上記硬化触媒や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化触媒等を混合した硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。
上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。
本発明の樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
以下、本発明の樹脂組成物の硬化方法について更に説明する。本発明の樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物は、硬化触媒を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化触媒として上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。なお、本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、上記熱潜在性カチオン発生剤等の硬化触媒を用いた硬化方法以外の硬化方法も採用し得る。例えば、硬化剤を使用することができる。このような硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸、3−メチル−1、2、3、6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−3、6エンドメチレン−1、2、3、6−テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
上記樹脂組成物の硬化においては、更に必要に応じて硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。
なお、上述した硬化剤及び硬化促進剤は、樹脂組成物の硬化反応を促進し、ハンドリングが容易になる等の利点があるが、このような酸無水物・アミノ化合物などの従来公知の硬化剤等は、酸無水物硬化に通常使用する脂環式酸無水物の屈折率が低いこと、アミノ化合物は黄変しやすいことが知られている。したがって、高屈折率光学材料に用いる場合は、硬化剤及び硬化促進剤を添加することが必要不可欠である場合以外は、積極的には使用せず、硬化触媒によるカチオン硬化が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより、2%以下にすることが好ましく、1%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
上記硬化物の耐熱性は、クラック発生などの外観の変化が全くなく、全光線透過率・濁度の変化率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは全光線透過率・濁度の変化率が15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物によって構成される光学材料であることが好ましい。光学材料とは、上記樹脂組成物を用いた硬化材料であり、単に「硬化材料」又は「光学部材用硬化性材料」とも言う。本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮し、該樹脂組成物を硬化させた硬化物もまた、同様の特性を発揮することから、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。本発明の光学材料としては、上記樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。
上記光学材料の形態としては、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性を有する光学特性に優れた光学材料となる。光学材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
上記光学材料としては、上記樹脂組成物を含むものであるが、光学材料の用途に応じて適宜その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、UV吸収剤、IRカット剤、反応性希釈剤、顔料、洗料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、光安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が好適である。
本発明はまた、上記有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物でもある。
上記樹脂組成物により形成される硬化物としては、上記硬化方法により硬化させてなるものが好ましい。上記光学部材においては、上述のように高屈折率とすることができ、下記の種々の用途に用いることができる。
上記硬化物の用途として具体的には、車載カメラ、PC用カメラ、デジタルカメラ、携帯電話、デジタルビデオ、監視カメラ、PDA、PC内蔵カメラ等の撮像用レンズとして用いることが好ましい。このように、硬化物を用いてなるレンズもまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、眼鏡レンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
上記硬化物としては、上述光学材料を硬化させてなる光学部材であることが好適である。また上記光学用途においては、上記光学材料を硬化させてなるレンズも好ましい。また、特にレンズ等を組み合わせてレンズユニットとすることが好ましい。このように、上記硬化物を用いてなるレンズユニットもまた、本発明の一つである。
以下、本発明の有機無機複合樹脂組成物の好適な製造方法について説明する。
本発明の有機無機複合樹脂組成物としては、本発明の作用効果を発揮できる限り、製造方法としては特に限定されないが、例えば、無機成分、有機成分の均一混合が困難な場合には、(1)無機成分、有機成分及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンである。
上記調製工程としては、減圧度を調整して、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機成分と無機成分と溶媒との割合としては、(有機成分+無機成分)/(有機成分+無機成分+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である。
上記(2)の脱気工程としては、高沸点成分共存下で行われるものであることが好ましい。高沸点成分共存下で脱気することにより、無機成分を高濃度とすることができ、透明性の高い樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であってもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、無機成分と有機成分を混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点材料を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記高沸点成分の添加量としては、有機成分と無機成分と脱気前の溶媒と高沸点成分と必要に応じてその他の成分の混合物100質量%に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
なお、高沸点成分は、脱気工程終了時に組成物中に残存することとなる。その割合としては、脱気工程終了時の混合物100質量%中、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程においては、溶媒を脱気できる条件であれば特に限定されないが、有機成分の分解や硬化反応、無機成分の凝集が過度におこるのを抑制する条件であることが好ましい。具体的には、脱気温度は200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは、80℃以下である。脱気時間としては、72時間以下であることが好ましい。より好ましくは、24時間以下であり、更に好ましくは、2時間以下である。脱気工程における圧力としては、常圧であってもよいが、200torr以下であることが好ましく、100torr以下であることがより好ましい。
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
上記高沸点成分としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール、ブタノール等の沸点が100℃以上のアルコール等が好ましい。より好ましくは、沸点が120℃以上のアルコール(具体的には、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール)であり、更に好ましくは、沸点が150℃以上のアルコールである。このように、高沸点材料がアルコールである組成物が好ましい。沸点が120℃以上のアルコールとしては、上記の中でも2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノールがより好ましく、2−エチル−1−ヘキサノールが更に好ましい。なお、沸点が100℃未満のアルコールでは、混合物の増粘が充分には防げられないおそれがあることから、沸点が100℃以上のアルコールであることが好ましい。上記高沸点成分は、沸点が100℃以上のアルコールである樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、沸点120℃以上のアルコールの中でも、沸点150℃以上のアルコールがより好ましく、沸点190℃以上のアルコールが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物としては、上述の方法で製造されることが好適である。すなわち、有機成分と無機成分とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、無機成分、有機成分及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、該混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含み、該脱気工程が、高沸点成分共存下で行われる樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記製造方法において、製造される樹脂組成物は、有機成分と無機成分とを含むものであるが、有機成分と無機成分としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、樹脂組成物に関する記載はすべて上記樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。
本発明の樹脂組成物は、上記製造方法から得られるものであることが好ましい。この場合、上記製造方法においては、高沸点成分の共存下で脱気し、高沸点成分は組成物中に残存することから、樹脂組成物に高沸点成分が含まれることとなる。高沸点成分の好ましい形態としては、上述したように、高沸点のアルコールであり、高沸点材料(高沸点アルコール)を含む有機成分(例えば、カチオン重合性フルオレン化合物(好ましくはフルオレンエポキシ樹脂))と無機成分からなる樹脂組成物であることが好ましい。このように、沸点100℃以上(好ましくは120℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは190℃以上である。)のアルコール、有機成分、無機成分を含む透明樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物を得るための無機成分の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物を光学用途に用いる場合には、無機成分を内部析出法により生成した場合、用いた触媒による組成物の安定性の低下、メタロキサンの構造・組成の制御が困難、有機成分(具体的には、エポキシ基)との反応などによる硬化前の変質、残存触媒、除去し難い水の残留等の種々の影響のおそれがある。したがって、光学材料に用いる場合は内添法は好ましくない。
上記無機成分の外部添加法、具体的には、無機成分の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記無機成分の形態としては、粉末状又は液状の媒体に溶解した形態で、樹脂成分と混合することが好ましい。すなわち、無機成分が媒体に溶解した溶液の形態であることが好ましい。
上記媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適に使用できるが、エポキシ基を有する化合物が容易に溶解する溶媒が好ましい。
上記溶媒及び無機成分を含む溶液としては、例えば、溶媒分散体の形態が挙げられる。溶媒分散体における無機成分の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、脂肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができる。これらの中でも、エポキシ基を有する化合物が容易に溶解する溶媒が好ましく、具体的には、ケトン類、脂肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類が好ましい。
本発明で使用する無機成分の製造方法としては、上述した樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、上記式(II)又は(III)を必須とする加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合して無機成分を得る方法(内部析出法)も採用しうる。ただし、液体溶媒で、アルコキシド化合物を加水分解及び縮合して無機成分を得た後に、加水分解触媒を取り除き、樹脂成分を混合する方法が好ましい。樹脂成分を含有する液体媒体中で加水分解縮合物を得ることによって、有機−無機の複合化が行われ、マトリックスである樹脂中に、無機成分が微細に分散した有機−無機ハイブリッド(複合体)である本発明の樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた有機−無機ハイブリッドは、優れた難燃性を発揮する場合もある。
本発明の有機無機複合樹脂組成物及び有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、上述の構成よりなり、透明性、耐熱性、耐湿性等の基本性能に優れ、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等々な用途に好適に適用することができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1〜5及び比較例1〜7
表1に示す配合とトルエン10.0gを加えて均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行い、50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して1質量%となるように添加し均一になるように混合した後、減圧脱泡処理を行った。
<硬化速度試験>
140℃に加熱したホットプレート上に、配合した樹脂組成物1gをたらし、放射温度計で樹脂表面の温度の測定を行った。発熱温度が最大になる時間を調べることで硬化速度の比較を行った。
Figure 2009062459
JER828EL(ジャパンエポキシレジン社、ビスフェノールAエポキシ樹脂)
オグソールEG(大阪瓦欺社製、フルオレンエポキシ樹脂)
JER YX4000(ジャパンエポキシレジン社、ビスフェニルエポキシ樹脂)
PPSQ−E(小西化学工業社製、フェニル基含有シルセスキオキサン)
S−501(荒川化学工業社製、エポキシ基含有シルセスキオキサン)
EP0408(Hybrid Plastics社製、脂環式エポキシ基含有籠型シルセスキオキサン)
EP0409(Hybrid Plastics社製、エポキシ基含有籠型シルセスキオキサン)
上述した実施例及び比較例では、共役構造を有するエポキシ樹脂としてフルオレンエポキシ樹脂を用いているが、硬化速度を遅延させる機構は、(1)芳香族環が電子吸引性基であるため、カチオン重合時にエポキシ環上でカチオンが不安定化されるため、(2)かさ高い芳香族環の立体障害による重合遅延ためであり、共役構造を有するエポキシ樹脂であれば、いずれも同様である。また、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物としてエポキシ基含有シルセスキオキサンを用いているが、硬化速度の遅延を抑制させる機構はグリシジルエーテル基に電子供与性のアルキル基が接続しているため、エポキシ基上でのカチオンの安定性が向上てるためであり、共役構造を有するエポキシ樹脂であれば、いずれも同様である。したがって、共役構造を有するエポキシ樹脂とカチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物とを必須とするものであれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、フルオレン骨格とカチオン重合性基とを有する有機成分と、カチオン重合性基をシルセスキオキサンとを必須とする場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (7)

  1. 有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、
    該有機成分は、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物を必須とし、
    該無機成分は、カチオン重合性基を有するオルガノシロキサン化合物を必須とすることを特徴とする有機無機複合樹脂組成物。
  2. 上記オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
    aRbYcSiOd
    (式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を表す。Rは、カチオン重合性基を含む有機基を表す。Yは、R´O基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも一種を表す。R´は、アルキル基を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0<b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす数である。)で表されることを特徴とする請求項1記載の有機無機複合樹脂組成物。
  3. 前記7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物は、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン環、アントラセン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール骨格及びスチルベン骨格からなる群より選ばれる少なくとも一つの骨格を有することを特徴とする請求項1又は2記載の有機無機複合樹脂組成物。
  4. 前記7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有するカチオン重合性化合物は、カチオン重合性基を有するものであり、
    該カチオン重合性基として、3員環、4員環、5員環、6員環及びR−C=C−O基(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1〜3のいずかに記載の有機無機複合樹脂組成物。
  5. 前記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状、網状及びかご状からなる群より選ばれる少なくとも一つの分子構造を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項6記載の硬化物を用いてなることを特徴とするレンズ。
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