JP5296472B2 - 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 - Google Patents
成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5296472B2 JP5296472B2 JP2008247572A JP2008247572A JP5296472B2 JP 5296472 B2 JP5296472 B2 JP 5296472B2 JP 2008247572 A JP2008247572 A JP 2008247572A JP 2008247572 A JP2008247572 A JP 2008247572A JP 5296472 B2 JP5296472 B2 JP 5296472B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- compound
- curable resin
- molded
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
しかしながら、このような製造方法で得られる熱硬化性樹脂組成物においては、光学用途等で用いることができるだけの充分な透明性は得られない。そのため、粗大な無機粒子を完全に消失させて一次粒子として充分に分散させ、これにより、可視光を無機粒子によって散乱されることなく、透明性を充分なものとすることが求められている。具体的には、上記文献には、乾式シリカを溶媒分散した分散体と脂環式エポキシとからなる樹脂が開示されているが、このような樹脂組成物は、柔軟性、耐破壊性、増粘抑制効果、ビーズミルの混合等の際における不純物の混入防止等を適当なものとしたうえで、更に、透明性等の光学特性を充分に向上させるための工夫の余地があった。また、このような樹脂組成物を金型等を用いて成型加工するときには、硬化物を金型から取り出す際の離型性を向上させて成型体を生産性良く製造することが望まれていた。
したがって、従来においては、耐熱性等の基本性能を備えたものであって、透明性等の光学特性を向上させ、また生産性の面では、硬化物を金型から取り出す際の離型性が向上された、種々の光学部材に好適に適用できるものが見いだされていないといえる。透明性と離型性は、一方を高めるともう一方が低下する相反する関係にあるため、両立させるための工夫の余地があった。成型体が優れた特性を示し、そのような成型体の生産性を改善することができれば、工業製品としての有用性が格段に高まることから、そのような成型体用硬化性樹脂組成物が求められるところであった。
ここで、熱硬化性樹脂は、熱により硬化し得る樹脂を意味するものであって、硬化方法を特定するものではない。したがって、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物の硬化には、熱硬化と光硬化の両方を使用することができる。本発明の成型体用硬化性樹脂組成物が含む硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂として知られているものが好適に使用できる。
本発明はまた、上記成型体用硬化性樹脂組成物を成型してなる成型体でもある。
本発明は更に、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する珪素化合物、及び/又は、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を含んでいる成型体でもある。
本発明はそして、エポキシ樹脂を含有する成型体用硬化性樹脂組成物から成型体を製造する方法であって、上記製造方法は、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する珪素化合物を更に必須成分として含有させた成型体用硬化性樹脂組成物を成型する工程を含む成型体の製造方法でもある。
なお、本明細書中において、化合物等を「更に含有する」とは、工程手順を意味するものではなく、例えば従来の成型体用硬化性樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂と区別するために、「更に、もう1つの成分を含有する」ことを意味するものである。化合物等を「必須成分として含有する」、「必須成分とする」とは、本発明の効果を奏することになるように上記化合物等を含有することを意味するものである。
以下に本発明を詳述する。
このような化合物を更に必須成分として含有することによって、硬化物を金型から取り出す際の離型性を充分なものとするとともに、珪素化合物が成型体用硬化性樹脂組成物中のその他の成分と相溶して濁りが生じず、成型体用硬化性樹脂組成物と成型体との両方において透明性等の光学特性を発揮することができる。
なお、本発明における珪素化合物はポリオキシアルキレン鎖を有するもの、アリール基を有するもの、これら両方を有するものの3種があるが、これらは上述した作用効果を共通に発揮するものであり、当業者の技術常識からは、これらが共通の効果を発揮するとは容易に想到しないものである。
上記オキシアルキレン基において、全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基の量は、50〜100モル%であることが好ましい。オキシエチレン基の量が50モル%以上であると、本発明の効果がより顕著に発揮されやすい。したがって、オキシエチレン基の量は、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上であることが最も好ましい。
また、上記ポリオキシアルキレン鎖を有する珪素化合物が、ポリオキシエチレン鎖を有する形態が特に好ましい。
以下に、上記ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する珪素化合物の分子構造のとり得る形態と好適な形態について、詳述する。
上記ポリマーにおけるポリオキシアルキレン鎖とアリール基との合計含有数の、ポリマーにおける珪素原子数に対する割合が、1/10〜1/2であることが好ましい。より好ましくは、1/8〜1/3であり、更に好ましくは、1/6〜1/4である。また、上記合計含有数は、ポリマー1分子当たり、1〜20であることが好ましい。より好ましくは、1〜15であり、更に好ましくは、2〜10である。
中でも、上記珪素化合物がポリシロキサン化合物(本明細書中、ポリシロキサンともいう。)である形態が好ましい。すなわち、上記離型剤がポリシロキサン化合物を必須成分とすることが本発明の好ましい形態である。
上記ポリシロキサン化合物の好ましい形態としては、2置換シロキサンからなる構造単位を有するポリシロキサンである形態である。言い換えれば、2置換シロキサン単位を構造単位とするポリシロキサン化合物であることが好ましい。すなわち、上記珪素化合物が2置換シロキサン由来の構造単位を有するポリシロキサン化合物であることは、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物における好ましい実施形態である。
上記2置換シロキサン単位とは、珪素原子の4本の結合手のうち、2本がシロキサンを形成する酸素と結合し、残りの2つがポリオキシアルキレン鎖、アリール基又はその他の有機基(官能基)と結合するものを意味する。上記「2置換シロキサン」又は「2置換シロキサン単位」は、「2官能シロキサン」又は「2官能シロキサン単位」ともいう。
なお、最も小さいポリシロキサン化合物は、2量体であり、例えば下記式(1);
で表されるものである。
上記ポリシロキサン化合物の構造としては、例えば、鎖状、ラダー状、かご状、粒子状が挙げられる。鎖状としては、分岐のない線状のもの、分岐した線状のものが挙げられる。
上記構造のポリシロキサン化合物は、上述したようにシロキサン結合を有する2個以上の珪素原子を有し、シロキサン結合を構成する少なくとも1個の珪素原子にポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が結合したものであればよいが、上記構造のポリシロキサン化合物は、例えば、下記の方法で製造されたものであることが好ましい。
鎖状;
・分岐のない線状 ジアルコキシシラン(主鎖)の加水分解・縮合物、又は、必要に応じてジアルコキシシラン(主鎖)とモノアルコキシシラン(末端)との加水分解・縮合物
・分岐した線状 ジアルコキシシラン(主鎖)とトリアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランとの共加水分解した縮合物。必要に応じて、共加水分解の前又は共加水分解中にモノアルコキシシランを添加。
ラダー状;トリアルコキシシラン(主鎖)の加水分解・縮合物。
かご状;トリアルコキシシラン(主鎖)の加水分解・縮合物。
粒子状;テトラアルコキシシラン及び/又はトリアルコキシシランを必須として、好ましくは主成分としての、加水分解・縮合物。
中でも、分子構造が鎖状である形態が好ましい。より好ましくは、分岐のない線状である形態である。
何れの場合も、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が結合した珪素原子を有するアルコキシシランを必須として上記構造のポリシロキサン化合物を製造するものであることが好ましい。上記アルコキシシランは、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン及びトリアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である。
更に、上記珪素化合物におけるポリオキシアルキレン鎖とアリール基との合計含有量は、モノマー1個当たり(珪素原子当たり)、1〜4であることが好ましい。より好ましくは、2〜4であり、更に好ましくは、3又は4である。
具体的には、フェニルトリメトキシシラン及び/又はフェニルメチルジエトキシシランが特に好適である。
なお、上記珪素化合物の重量平均分子量の測定方法としては、例えば下記の方法を用いることができる。
上記離型剤の重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。HLC−8220GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、商品名、東ソー社製)を用い、下記の条件で測定することが好ましい。
(重量平均分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
以下に、溶媒及び/又は離型剤として好適な1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物について詳述する。
このような化合物を更に含有することによって、硬化物を金型から取り出す際の離型性を向上させることができ、本願発明の作用効果が充分に発揮されることになる。
離型性が向上する理由としては、以下の理由が考えられる。上記化合物は、沸点が260℃以下であるため、加熱したときに状態変化し易いものであり、気化し易く、エネルギーの高い状態になりやすい化合物である。
また、このような上記化合物は、熱硬化性樹脂に対する溶媒としての作用も有するものであり、樹脂成分との相溶性を有する。したがって、金型成型時において、加熱により樹脂組成物が溶融状態にある時には、樹脂成分や離型剤等の添加剤と共に均一に混合された状態にある。そして、溶融した樹脂組成物を金型に充填(射出・塗出)して硬化するときには、上記のように状態変化し易く、樹脂組成物中で金型の表層側に移行して析出したり、凝集したりする、いわゆるブリードアウトを生じ、これにより離型性を発揮する。
なお、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物において好ましい化合物は、沸点のみで決まるわけではなく、樹脂組成物に対する相溶性や、成形加工時の移動速度等(ブリードアウト速度)も考慮したうえで、本発明の作用効果をより発揮できることにより決まるものである。
このような化合物を必須成分として含有することにより、成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の透明性を充分なものとしたうえで、金型を用いて硬化する際に、離型性を向上させて成型体を容易に金型から剥がすことができることとなる。これにより、成型体の表面に傷をつけることなく連続生産が可能となり、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用なものとなる。このような上記特定の沸点を持つ化合物は、熱硬化性樹脂において溶媒としての作用があることから、上述したように成型体の表層に移行して離型性等を発揮すると考えられる。
また、上記化合物の構造としては、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよい。
上記1気圧下で沸点150℃以下の化合物(A−1)は、上記1気圧下で沸点が150℃を超える化合物(A−2)よりも気体化しやすいものであり、その沸点は、130℃以下であることが好ましい。より好ましくは、沸点110℃以下である。
1気圧下での沸点が150℃以下の化合物(A−1)としては、アルコール類が好ましい。1気圧下での沸点が150℃を超える化合物(A−2)としては、1気圧下で沸点が150℃を超え、260℃以下である化合物であればよいが、アルコール類であることが好ましい。より好ましくは、総炭素数6以上の脂肪族1価アルコール類である。
このような加熱脱泡処理時には、比較的沸点の低い化合物(A−1)は蒸発してしまうことがあり、金型へ溶融した樹脂を充填(射出・塗出)したときに樹脂組成物中の化合物(A−1)の量が少なくなったり、場合によっては化合物(A−1)が含まれなくなり、化合物(A−1)自体が有する離型性や上記した離型剤のブリードアウト速度を高める効果が得られない恐れがある。
したがって、成型体中に特定の沸点を持つ化合物が含まれていなくても充分な離型性が得られる場合や、低温での加熱脱泡処理が可能である場合には、化合物(A−1)のみであっても良い。しかし、成型体中に特定の沸点を持つ化合物が含まれていることが好ましい場合や、上記のように加熱脱泡処理を必要とする光学用途用として用いる場合には、化合物(A−2)が含まれていることが好ましく、化合物(A−1)と化合物(A−2)とが共に含まれていることがより好ましい。また、化合物(A−1)と化合物(A−2)とを併用することにより、これらを含有する樹脂組成物が、成型加工条件によらずに特定の化合物を含有させる効果を充分に発揮するものとなる。
上記アルコール類としては、脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール等の芳香環を有する芳香族アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、カルビトール、グリセリン等の多価アルコール類が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらアルコール類の中でも脂肪族アルコール類が特に好ましく、脂肪族アルコール類の中でも飽和脂肪族アルコール類が好ましい。総炭素数は、1〜12であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、3〜12であることがさらに好ましい。また、樹脂組成物に対する相溶性を考慮すると、総炭素数は、3〜8であることが好ましい。工業的プロセスを勘案すると、脱泡処理におけるコントロール性の良さから、総炭素数は、6〜12であることが好ましい。特に、総炭素数が6〜8であると、上記した相溶性と脱泡処理におけるコントロール性の良さとを兼ね備えていることからより好ましい。総炭素数が6〜8である飽和脂肪族アルコール類としては、具体的には、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、オクチルアルコール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、化合物(A−2)としては、炭素数6〜12の脂肪族アルコール類が挙げられ、特に、炭素数6〜12の脂肪族1価アルコール類が好ましい。具体的には、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール等の炭素数6である化合物、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の炭素数7である化合物、オクチルアルコール(1−オクタノール)、2−エチルヘキサノール(2−エチルヘキシルアルコール)等の炭素数8である化合物、1−ノニルアルコール、イソノニルアルコール等の炭素数9である化合物、1−デシルアルコール、2−デシルアルコール等の炭素数10である化合物、1−ウンデシルアルコール等の炭素数11である化合物、1−ドデカノール(ラウリルアルコール)等の炭素数12である化合物が挙げられる。これらの中でも、炭素数が6〜8である、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、オクチルアルコール、2−エチルヘキサノールが特に好ましい。
上記した化合物(A−1)及び化合物(A−2)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多価アルコール誘導体の具体例として、例えば、化合物(A−1)としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、化合物(A−2)としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、セロソルブ等の多価アルコールエーテル系化合物、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の多価アルコールエーテルエステル類、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート等の多価アルコールエステル系化合物等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、化合物(A−2)としては、酪酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、オクタン酸(カプリル酸)、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバリン酸)等の炭素数4〜9の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜9の脂肪族カルボン酸等が好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、化合物(A−2)としては、酢酸−n−ヘキシル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸オクチル等の炭素数6以上の脂肪族アルコールの酢酸エステル;プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ベンジル等の炭素数5以上の脂肪族アルコールのプロピオン酸エステル;ギ酸ヘキシル、ギ酸ベンジル等の炭素数6以上の脂肪族アルコールのギ酸エステル;等の他、カプチル酸メチル、カプチル酸プロピル、カプチル酸アミル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル等が挙げられる。
これらのなかでも、酢酸イソプロピル、酢酸オクチル等が好ましい。特に好ましくは、酢酸イソプロピルである。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(A−1)としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、4−メチル−3−ペンテン−2−オン(メチルオキシド)、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また、化合物(A−2)としては、ジイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ヘブチルケトン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン(イソアセトフェノン)、アセトフェノン等が挙げられる。
これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン等が好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族炭化水素類としては、1気圧下で260℃以下の沸点を持ち、一つ以上の芳香族基を有する炭化水素であればよいが、総炭素数は7〜12であることが好ましい。
脂肪族、芳香族炭化水素類において、化合物(A−1)としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキセン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン等が挙げられ、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が好ましい。また、化合物(A−2)としては、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン、ジペンテン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、シメン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記特定の沸点を有する化合物の割合が0.01質量%未満であると、この化合物を添加する効果である離型性の向上効果を充分に発揮することができない恐れがあり、5質量%を超えると、金型を用いて成型する際に、樹脂組成物の金型への追従性が損なわれ、成型体に膨れが生じて光学用の成型体として使用する場合に、透明性や屈折率が低下してしまうと共に、成型体としての均質性が失われる恐れがある。
本発明においては、上記特定の沸点を有する化合物の作用効果が顕著に発揮されやすい点で、0.05質量%以上4質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることが更に好ましい。
離型剤を含むことで離型性が向上する。また、上記特定の沸点を持つ化合物と共に用いると、成型体用硬化性樹脂組成物を金型を用いて硬化する際に、上記特定の沸点を持つ化合物によって離型剤のブリードアウト速度が高まり、離型剤の添加効果がより発揮されることとなる。これにより、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物を金型を用いて硬化する際に、容易に金型から硬化物(成型体)を剥がすことができる。また、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を更に発現させることもできる。得られた成型体は、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
上記離型剤は、当該技術分野において通常用いられる離型剤であって、エポキシ樹脂に溶解(相溶)又は分散するものであればよいが、熱硬化性樹脂に溶解(相溶)し得るものが好ましい。また、離型剤が硬化物(成型体)の表層に存在して離型性を発揮することを考慮すると、1気圧下で260℃を超える沸点を持つ化合物を必須成分とすることが本発明の好ましい実施形態である。なお、本明細書中、「1気圧下で260℃を超える沸点を持つ」とは、1気圧下で沸点を有しない不揮発性のものを含む。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物における上記離型剤は、1気圧下で260℃を超える沸点を持つ化合物を必須成分とし、更に、下記(1)の形態及び/又は(2)の形態であることが好ましい。
中でも、上記離型剤が上記(1)かつ(2)の形態である化合物を必須成分とする形態、言い換えれば、後述する(B1)〜(B3)の化合物の少なくとも1種であって20℃で固体状であるものを必須成分とする形態がより好ましい。すなわち、上記離型剤がアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、カルボン酸塩類及びカルボン酸無水物類からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭素数13以上である化合物を必須成分とし、上記炭素数13以上である化合物が20℃で固体状である形態がより好ましい。より好ましくは、30℃で固体状である形態であり、更に好ましくは、50℃で固体状である形態である。
以下に上記(1)、(2)の形態について詳述する。
より好ましくは、上記離型剤がアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類及びカルボン酸塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とする形態である。更に好ましくは、上記離型剤がアルコール類、カルボン酸類及びカルボン酸エステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とする形態である。特に好ましくは、上記離型剤がカルボン酸類を必須成分とする形態である。
上記カルボン酸無水物類(B−2)とは、1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、総炭素数が8以上であるカルボン酸無水物であればよい。また、上記カルボン酸無水物類は、脂肪族カルボン酸無水物が好ましい。より好ましくは、総炭素数が10以上の脂肪族カルボン酸無水物である。より好ましくは、総炭素数が13以上である。具体的には、無水コハク酸、無水フタル酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物である。このように、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有するものが好ましい。より好ましくは、ステアリン酸である。
なお、上記離型剤が1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、総炭素数が13以上であるカルボン酸エステル類が20℃で固体状である形態は本発明の好ましい実施形態である。これは言い換えれば、1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、総炭素数が13以上であるカルボン酸エステル類が好ましい形態であることになる。
上記化合物の炭素数は、15以上であることがより好ましい。更に好ましくは、18以上である。
炭素数の上限は、例えば36であることが好ましい。より好ましくは24であり、更に好ましくは20である。
このような範囲のある程度の長鎖を有するものであれば、本発明の作用効果を発揮し、耐熱性等の基本性能、透明性等の光学特性を損なうことなく優れた剥離性を示すことができる。また、入手が比較的容易であり、経済性も優れたものとすることができる。
直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよいが、中でも直鎖状であるものが好ましい。
例えば、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物における上記離型剤は、50℃で固体状であることが好ましい。
このような特性を有する離型剤を用いると、金型成型の硬化時において、本発明における特定の化合物による離型剤のブリードアウト速度の向上効果が顕著になる。例えば、成型温度が低い場合には、融点の高い離型剤は通常はブリードアウトし難いが、上記1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物と併用することで、上記化合物によって離型剤がより成型体の表面側に移行されやすくなり、ブリードアウト速度が格段に向上するためであると考えられる。また、成型体の表面側に析出、凝集した離型剤は、上記のような特性を有することで、成型体の温度が下がるにつれてより固化しやすくなり、表面に析出した状態となって離型性を格段に高めることになると考えられる。これにより、耐熱性等の基本性能、透明性等の光学特性を充分に維持しながら、離型性を格段に優れたものとすることができる。
下記表1、表2中、A−1は、1気圧下で150℃以下の沸点を持つ化合物を表す。A−2は、1気圧下で150℃を超え、260℃以下の沸点を持つ化合物を表す。B−1は、260℃を超える沸点を持つアルコール類を表す。B−2は、260℃を超える沸点を持つカルボン酸類、260℃を超える沸点を持つカルボン酸塩類又は260℃を超える沸点を持つカルボン酸無水物類を表す。B−3は、260℃を超える沸点を持つカルボン酸エステル類を表す。MEKは、メチルエチルケトンを意味する。沸点は、特に記載がなければ、1気圧下で測定したものである。
これにより、成型終了時点でも充分な離型性を得ることができる。
その存在については、成型加工により得られた成型体に熱分解GC−Mass(ガスクロマトグラフ質量)スペクトルでの測定を行うことにより確認することが可能である。
すなわち、本発明は、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する珪素化合物、及び/又は、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を含んでいる成型体でもある。
その好ましい形態は、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物、成型体における好ましい形態と同様である。例えば、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する珪素化合物を含んでいる成型体がより好ましい。
上記エポキシ基含有化合物は、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むものであることが好ましい。
上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG600)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるもの、プロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有するもの等が好適である。
中でも、中心骨格にプロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。
より好ましくは、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等である。更に好ましくは、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等である。また、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等が好ましい。なお、芳香族エポキシ化合物は、芳香族グリシジルエーテル化合物を含む。
上記エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環共役系を有するグリシジル化合物が好ましく、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、フルオレン骨格を有するエポキシ及び/又はグリシジル化合物(フルオレン化合物)である。また、芳香族エポキシ化合物の臭素化化合物を用いることで高屈折率化できるが、アッベ数が若干上昇することとなり、用途に応じて用いることが好ましい。すなわち、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、ブロモ置換基を有する芳香族エポキシ樹脂等が好適である。
中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
具体的には、脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物(以下、単に「多官能脂環式エポキシ化合物」とも言う。)が好適である。
水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する多官能グリシジルエーテル化合物(以下、単に「多官能グリシジルエーテル化合物」とも言う。)が好適である。
脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適である。脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の好ましい形態は、上述した通りである。
芳香族エポキシ化合物としては、芳香族グリシジルエーテル化合物が好適である。上記芳香族グリシジルエーテル化合物としては、例えばエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
上記高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られるものが好適である。
上記アッベ数が45以上であるエポキシ樹脂の含有量としては、全エポキシ樹脂中1質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数45以上のエポキシ樹脂の含有量としてより好ましくは、5質量%以上であり、更に好ましくは、10質量%以上である。特に、高アッベ数光学用途に対しては、60質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。低アッベ数光学用途に対しては、1〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%であり、更に好ましくは20〜50質量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物がアッベ数が45以上であるエポキシ樹脂を含む場合、上記化合物を含む硬化性樹脂組成物は、カチオン硬化触媒を含むことが好ましい。なお、カチオン硬化触媒については、後述する。
上記アッベ数が45以上であるエポキシ樹脂の好ましい形態としては、エポキシ化合物の好ましい形態として上述した通りである。
これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物である。また、上記特定の珪素化合物を用いる場合は、硬化性樹脂組成物の安定性と硬化させる際の硬化特性の点からも、脂環式エポキシ化合物が好適である。
上記脂環式エポキシ樹脂としては、CELL−2021P、セロキサイド2081、EHPE−3150(商品名、いずれもダイセル化学工業社製)等が好ましい。このように、上記エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂を必須とする成型体用硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。脂環式エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂に含まれていればよく、その含有量は特に限定されないが、総エポキシ樹脂中40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、実質的に全てが脂環式エポキシ樹脂であることである。これにより、本発明の効果をより充分に発揮することができる。
上記アッベ数45以上であるエポキシ化合物以外の脂環式化合物としては、例えば、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」);テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記成型体用硬化性樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、可とう性成分を、機械的強度の改善等を目的として適宜含有させることができる。可とう性成分を含むことにより、一体感のある成型体用硬化性樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)上記エポキシ樹脂とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)エポキシ樹脂の1種が可とう性成分である形態のいずれの形態であっても好適に適用することができる。
可とう性成分の含有量は特に限定されず、適宜選択すればよい。通常は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対して、0.01〜50質量%の範囲から選択され、好ましくは、0.1〜20質量%の範囲から選択される。
上記可とう性成分としては、具体的には、−〔−(CH2)n−O−〕m−で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)である。上記可とう性成分としては、オキシアルキレン骨格を有し、エポキシ基を有する化合物が好ましい。中でも、オキシブチレン骨格を有し、エポキシ基を有する化合物が好ましく、工業製品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYL−7217(エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂)が挙げられる。
また、その他、可とう性成分として好ましい化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYL−7170(YX−8040)(エポキシ当量1000、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂)等の水添エポキシ化合物;ジャパンエポキシレジン社製のJER1007(エポキシ当量1750〜2200、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等の芳香族エポキシ化合物;ダイセル化学工業社製のEHPE3150(常温で固形状)高分子量脂環式固形エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2081(常温で液状)等の炭素数4以上のアルキレン骨格を有するエポキシ樹脂;等のエポキシ化合物が例示される。
ジャパンエポキシレジン社製のYL−7170(YX−8040)、ジャパンエポキシレジン社製のJER1007は、高分子量である点からも好ましく使用し得る。
その他、液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等も好ましい。
より好ましくは、末端や側鞘や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分として、硬化性の官能基を含んでなる成型体用硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物としては、上述のように、可とう性成分を含むことが好適である。より好ましくは、可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる脂環式硬化性物質を含む形態がより好ましい。可とう性成分としては、エポキシ樹脂が特に好ましい。
上記分子量が700以上の高分子材料と700未満の低分子材料との割合(質量割合)としては、樹脂組成物全体に対して、分子量が700以上の高分子材料が、10〜90%含まれていることが好ましい。より好ましくは、20〜80%であり、更に好ましくは、30〜70%である。
上記2種以上のエポキシ樹脂としては、2種以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。中でも、脂環式エポキシ樹脂を含むことが好適である。
上記樹脂組成物及び成型体において、低アッベ数で高屈折率のものを得る場合、不飽和結合量が多いエポキシ樹脂成分を用いることが好ましい。すなわち、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物が好ましい。
ここでいう「不飽和結合量」とは、硬化体に含有される不飽和結合量の総量を意味する。エポキシ樹脂以外の成分(その他の成分)が不飽和結合を有する場合、その他の成分が有する不飽和結合も上記総量に含まれる。
上記樹脂組成物は、硬化後の硬化体(硬化物ともいう。)100質量%に対して不飽和結合を40質量%以上有するものであることが好ましい。ここで、不飽和結合量とは、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子の合計質量である。すなわち、硬化体100質量%中に含まれる不飽和結合を形成する原子、並びに、上記原子に結合している水素原子及びハロゲン原子の合計質量である。具体的には、−CH2CH2CHCl−CH=CCl−CH2CH2−構造を有する場合、不飽和結合量は、CH=CCl部分の合計質量を意味する。
また炭素原子が芳香環を形成する場合、不飽和結合量は、硬化体100質量%中に含まれる芳香環の質量%を表すものとする。この場合、芳香環が置換基を有する場合に不飽和結合の合計量を求めるには、不飽和結合を有さない置換基の質量は含めずに、炭素原子と水素原子とによって構成される芳香環の質量のみを不飽和結合の合計量の計算に算入する。なお、芳香環にハロゲン原子が置換基として結合している場合は、上記定義よりハロゲン原子も含めて、不飽和結合の合計量を算出する。本発明においては、不飽和結合が芳香環によって構成される形態が好ましい形態の一つである。
上記のように、光学用途において複数のレンズを組み合わせて用いる場合には、レンズのアッベ数の差が大きいことが望ましい。ただし、例えば、アッベ数が33.5のレンズとアッベ数が36.3のレンズとを用いた場合に、これらのレンズのアッベ数の差は2.8であるが、2.8程度の差であっても、光学用途においては、効果の面で顕著な差が生じることとなる。
上記芳香族エポキシ化合物の含有量としては、エポキシ樹脂成分100質量%中、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上である。なお、含有量の上限は、99質量%である。
上記アッベ数は、屈折率計を用いて評価することができる。屈折率計としては、例えばDR−M2(屈折率計、商品名、アタゴ社製)を用いて20℃にて評価することが好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、総炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
これらの熱可塑性樹脂と併用する低分子量の硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、及び、エポキシ樹脂について上記のように例示した中から、適宜選択して使用すればよい。
また、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを併用する場合には、上記熱硬化性樹脂は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対して、90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、95質量%以上であり、更に好ましくは、98質量%以上である。
中でも、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物が熱潜在性カチオン硬化触媒を更に含有することが好ましい。
カチオン硬化させることにより、短時間で硬化反応が進行することになるが、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、そのような条件下においても本発明の効果を充分に発揮することができる。
熱潜在性カチオン硬化触媒とは、熱酸発生剤、熱潜在性硬化剤、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、加熱によりカチオン種を含む化合物が励起され、熱分解反応が起こり、硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性カチオン硬化触媒は、硬化剤として一般に使用されている酸無水物類、アミン類、フェノール樹脂類等とは異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、また、熱潜在性カチオン硬化触媒の作用として、硬化反応を充分に促進して優れた効果を発揮することができ、ハンドリング性に優れた樹脂組成物を提供することが可能となる。
このような熱潜在性カチオン硬化触媒を用いることにより、例えば、室温で硬化が進むようなエポキシ樹脂を用いた場合であっても、室温で硬化を進まないようにすることができ、硬化反応のハンドリングが容易にできるようになる。また、得られる成型体の耐湿性が劇的に改善され、過酷な使用環境においても成型体が有する優れた光学特性を保持し、種々の用途に好適に用いることができるものとなる。通常、水分が樹脂組成物やその成型体(硬化物)に含まれると、水分は屈折率が低いため濁りの原因になるが、熱潜在性カチオン硬化触媒を用いると、優れた耐湿性が発揮できることから、このような濁りが抑制され、レンズ等の光学用途に好適に用いることができる。特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の存在下での紫外線照射又は熱線暴露の効果により酸素ラジカルが発生することが原因と考えられる。耐湿性が向上することで、成型体への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露による酸素ラジカル発生も抑えられるため、成型体は黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+m(AXn)−m (2)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn及びCoからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
また硬化条件としては、硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては、型内保持温度を25〜250℃とすることが好ましい。より好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜180℃である。保持時間は、例えば10秒〜5分が好ましい。より好ましくは30秒〜5分であり、更に好ましくは1分〜3分である。
更に一般式AXn(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記成型体用硬化性樹脂組成物において、4×10−2N/m2以下の強度で離型するとは、当該技術分野において、容易に剥離し、製造工程で生産性良く製造することができ、成型体の連続生産ができると評価されることを意味する。離型強度が、4×10−2N/m2を超えると生産性良く製造できず、経済性に優れたものとならない恐れがある。剥離強度として好ましくは、2×10−2N/m2以下であり、より好ましくは、1×10−2N/m2以下であり、更に好ましくは、1×10−3N/m2以下であり、特に好ましくは、1×10−4N/m2以下である。
上記剥離強度は、成型体の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる150℃以下の温度で、短時間にある程度の材料硬度(4×10−2N/m2以下の強度で離型する)であることが好ましい。このような剥離強度(材料硬度)は、例えば、以下のようにして評価することができる。140℃、2.5分で樹脂組成物をSUS304基板状に高さ1mmで硬化し、30℃、30秒以内で冷却し、樹脂とSUS304の界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を所望の力(例えば、剥離強度4×10−2N/m2の力)で押し当てて、離型のしやすさを評価することができる。なお、剥離強度4×10−2N/m2の力は、1.5kgの荷重を長さ2cmの樹脂と、SUS304との界面にカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積を、0.04cm2とした。
このような方法においては、硬化剤等を混合した硬化性成型体用硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いを考慮すると、著しく上昇しない方が好ましい。取り扱いが容易である粘度としては、例えば、混合直後に比べて25℃で3日間保存した後の成型体用硬化性樹脂組成物の粘度が、200%以下であることが好ましい。この粘度が200%を超えると、金型への液の充填(射出・塗出)が困難となり得る恐れがあり、金型内での流動性にも悪影響を与える恐れがある。より好ましくは、180%以下であり、更に好ましくは、150%以下である。このように、1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存した後に混合直後に比べて200%以下となる成型体用硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は短時間で硬化を行う際にも離型性と透明性とを両立することができるものであるため、本発明の効果がより顕著に発揮されることになり、また経済性に優れた方法とすることができる。
上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、上記260℃以下の沸点を持つ化合物が蒸発して硬化物中に実質的に含有されなくなり、離型性等の本発明の効果を十分に発揮できなくなる恐れがある。したがって、硬化時間は、より好ましくは、4分以内であり、更に好ましくは、3.5分以内であり、最も好ましくは、3分以内である。上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。具体的には、140℃で3分硬化させることが好適である。
上記硬化方法においては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1×10−3N/m2以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
本発明の樹脂組成物のエポキシ樹脂は、上述したように硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、上述した熱潜在性硬化触媒熱潜在性カチオン硬化触媒を用いることが好ましい。また、熱潜在性カチオン硬化触媒以外の硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF3錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記エポキシ樹脂を多価フェノール化合物で硬化することもできる。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって成型体を得ることができる。
本発明はまた、上述した成型体用硬化性樹脂組成物を成型してなる成型体でもある。
本発明の成型体の原料、硬化方法等の好ましい形態は、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物において上述した好ましい形態と同様である。
透明性としては、成型体の可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは87%以上である。
上記成型体において、成型体の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記成型体のPCT(プレッシャークッカーテスト)後の吸湿率(30℃、相対湿度40%の空気中における飽和吸収率)は、硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより.1.0%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.2%以下である。
本発明の成型体の製造方法の原料、反応条件等の好ましい形態は、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物、成型体において上述した好ましい形態と同様である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成型体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
また、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は離型性に優れることから、単位体積に対する表面積の大きな硬化物が好ましい。硬化物における単位体積に対する表面積としては、例えば、(表面積)/(単位体積)=0.1mm2/mm3以上であることが好ましい。より好ましくは、1mm2/mm3以上であり、更に好ましくは、3mm2/mm3以上である。また、好ましい上限は、100mm2/mm3である。これにより、本発明の効果が顕著に発揮される。より好ましくは、離型表面積(mm2)/単位体積(mm3)の比が、上記範囲にあるものである。なお、上記離型表面積(mm2)とは、樹脂組成物の硬化後、金型から取り出す前に、金型と硬化物とが接している面積を意味する。
上記体積に対する表面積の大きな硬化物としては、例えば、微小な硬化物、薄膜等が挙げられる。
また、透明性等の光学特性に優れることからレンズ成型等の用途に好適であり、微小光学系の用途等が特に好適である。微小光学系としては、携帯電話用、デジカメ用等の撮像レンズ、ピックアップレンズ等が挙げられる。このような成型体は、微細加工により調製することになるため、短時間で硬化が完了する。本発明の成型体用硬化性樹脂組成物においては、短時間で硬化を行う際にも離型性と透明性とを両立することができるものであるため、本発明の効果がより顕著に発揮されることになる。また、特定の化合物として1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を含む場合には、この化合物の蒸発を抑制することができ、本発明の効果がより顕著に発揮されることになる。
成型体用硬化性樹脂組成物の調製
ガスインレット、冷却管、攪拌棒付きの四つ口フラスコに、エポキシ樹脂として液状のエポキシ樹脂CELL−2021P(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)30部、EHPE−3150(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業株式会社)20部、、及び、オグソールEG210(芳香族エポキシ樹脂、商品名、大阪ガスケミカル株式会社)45部と、離型剤としてステアリン酸を0.5部とを仕込み、130℃でよく攪拌して均一にした。その後、珪素化合物としてKF−56(エポキシ樹脂に溶解するポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル〔離型剤〕、商品名、信越シリコーン社製)5部を投入し、均一に攪拌した。
1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物は、離型剤を投入した後、70℃で添加し、更に均一に攪拌した。得られた液体を40℃に冷却した後、熱潜在性カチオン硬化触媒としてサンエイドSI−80L(商品名、三新化学工業社製)を全重量に対して0.6部となるように投入し、均一に混合して調製液を得た。
上記調製を行った樹脂組成物(以下、調製液ともいう。)に、必要に応じて50℃の熱を加えて減圧脱泡処理を行い、金型に注入して140℃で3分の硬化を行った。そして、硬化物を金型から剥離させて取り出し、成型体である250μm厚の注型板(塗膜)を得た。
この実施例1における樹脂組成物の組成を下記表3に示す。
物性
<離型性>
本発明における成型体には、成型体の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる250℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度を達成することが要求される。そこで、上記調製液を、アプリケータを用いてSUS304基板上に高さ(厚み)1mmとなるように塗工し、140℃、2.5分の条件下で硬化した。そして、硬化した樹脂(塗膜)とSUS304基板との界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を4×10−2N/m2の力で押し当てて硬化した樹脂を剥離させ、剥離のし易さを評価することにより、離型性の評価とした。
剥離強度4×10−2N/m2の力は、SUS304基板上に形成された、高さ(厚み)1mm、長さ2cmの樹脂と、SUS304基板との界面に、1.5kgの荷重をカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積は、0.04cm2とした。また、塗膜の幅は2cmであり、離型表面積と単位体積の割合(表面積)/(体積)は、1mm2/mm3である。
離型性の評価は、下記の8段階で行った。
8(強い、はがすことが困難)>7>6>5>4>3>2>1(弱い、容易に剥離)
すなわち、上記試験においては、数値が低い程、離型性に優れている。また、上記評価のランクが7以下の数値であれば、数μmオーダーでの精密な表面形状が要求されるレンズ等の光学製品として光学用途に適用可能なレベルであり、上記光学製品の連続製造が可能なレベルであると判断した。
透明性は、硬化前の樹脂組成物(調製液)と硬化後の樹脂組成物(硬化物)とについて、濁度計(日本電色社製、NDH2000)を用いて、25℃におけるヘイズ値(透過率)を測定し、下記のように5段階で評価をした。なお、目視にて明らかに光学用途として不適な濁りが観察されたものは、調製液については液濁、硬化物については固濁と、下記評価と合わせて下記表中に記載した。また、上記評価のランクが4以下の数値であれば、数μmオーダーでの精密な表面形状が要求されるレンズ等の光学製品として光学用途に適用可能なレベルであると判断した。
(調製液):光路長1cmのセルに上記調製液を注ぎ入れ、上記濁度計を用いてヘイズを測定した。
(硬化物):上記した250μm厚の成型体のヘイズを、上記濁度計を用いて測定した。
(評価):上記のように測定した調製液及び硬化物の両方のヘイズ値を考慮して、下記のように5段階で透明性の評価を行った。
5(濁っている)>4>3>2>1(透明)
粘度の測定は、硬化剤を加える前の樹脂組成物について、R/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)を用いて、40℃、回転速度D=1/sの条件下で行った。なお、粘度20Pa・s以上では、RC25−1の測定治具を使用し、粘度20Pa・s未満では、RC50−1の治具を使用した。
また、回転速度D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、回転速度D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
屈折率及びアッベ数の測定は、JIS K7142に準拠した方法で、下記の方法によりそれぞれ測定を行った。
屈折率は、上記硬化物(250μm厚の成型体)について、屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、測定波長を486nm、589nm、656nmとして、20℃の条件下で測定した。
アッベ数は、上記硬化物(250μm厚の成型体)について、屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、20℃の条件下で測定した。
上記した各種物性の測定及び評価結果を、下記表4に示す。
特定の有機基を持つ珪素化合物に加えて特定の沸点を持つ化合物を用い、樹脂組成物の組成を表5に示すようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。
得られた評価結果を、下記表6に示す。
(装置)
GC−Mass:サーモクエスト社製 Polaris Q
熱分解装置:フロンティアラボ社製 PY2020D
(条件)
熱分解温度:260℃、ガス:He 1ml/mm
カラム(0.25mm内径×30m、膜厚0.25μm、TRACETM TR−5MS GCカラム)
(結果)
実施例30、32、38、42の成型体には、元素分析によりケイ素が確認できた。また、ドデカノール、ステアリン酸、エポキシ分解物のピークが観測された。この測定結果より、実施例30、32、38、42の成型体中には、本発明における特定の有機基を有する珪素化合物に加えて、特定の沸点を有する化合物、離型剤、及び熱硬化性樹脂が含まれていることが明らかになった。これら、実施例30、32、38、42の成型体は、表6から明らかなように、離型性に優れている。
本発明における特定の珪素化合物を用いずに、樹脂組成物の組成を表7に示すようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。
なお、熱硬化性樹脂に溶解しない珪素化合物は、エポキシ樹脂と同様に仕込み、130℃で良く攪拌して均一にした。
得られた評価結果を、下記表8に示す。
特定の有機基を持つ珪素化合物に加えて、特定の沸点を持つ化合物を用い、樹脂組成物の組成を表9に示すようにした。特定の有機基を持つ珪素化合物としては、実施例43では、BYK−333(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液)を用い、実施例44では、BYK−307(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)を用いた。特定の沸点を持つ化合物としては、オクタノールを用い、そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。得られた評価結果を、下記表9に示す。
KF−56(商品名、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル〔離型剤〕、重量平均分子量1.75×103、信越シリコーン社製)
KF−6004(商品名、両末端にポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを有する有機基を導入した変性シリコーンオイル〔離型剤〕、重量平均分子量7.7621×104、信越シリコーン社製)
HIVAC−F−4(商品名、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル〔離型剤〕、重量平均分子量1.51×103、信越シリコーン社製)
BYK−333(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液〔シロキサン化合物〕)
BYK−307(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン〔シロキサン化合物〕)
MEK:メチルエチルケトン
(熱潜在性カチオン硬化触媒)
SI−80L:サンエイドSI−80L(熱潜在性カチオン硬化触媒〔芳香族スルホニウム塩〕、商品名、三新化学工業株式会社製)
SI−100L:サンエイドSI−100L(熱潜在性カチオン硬化触媒〔芳香族スルホニウム塩〕、商品名、三新化学工業株式会社製)
(エポキシ樹脂)
CELL−2021P(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)
セロキサイド2081(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)
EHPE−3150(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)
オグソールEG210(芳香族エポキシ樹脂(フルオレンエポキシ化合物)、商品名、大阪ガスケミカル株式会社製)
オグソールPG100(芳香族エポキシ樹脂(フルオレンエポキシ化合物)、商品名、大阪ガスケミカル株式会社製)
JER828EL(芳香族エポキシ樹脂(ビスフェノールAエポキシ樹脂)、商品名、ジャパンエポキシレジン社製)
(熱硬化性樹脂に溶解しない珪素化合物)
KS−707(商品名、溶液型シリコーンオイル、信越シリコーン社製)
KF−96(商品名、オイル型シリコーンオイル、信越シリコーン社製)
KF−412(商品名、オイル型シリコーンオイル、信越シリコーン社製)
KF−53(商品名、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル、信越シリコーン社製)
KF−54(商品名、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル、重量平均分子量2.27×104、信越シリコーン社製)
X−22−169AS(商品名、両末端に脂環式エポキシ骨格を導入した両末端型/脂環式エポキシ変性シリコーンオイル、重量平均分子量6.85×103、信越シリコーン社製)
X−22−163(商品名、両末端に脂肪族エポキシ骨格を導入した両末端型/エポキシ変性シリコーンオイル、重量平均分子量1.15×105、信越シリコーン社製)
SF 8421(商品名、シリコーンオイル、東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)
プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)
(ラジカル硬化触媒)
パープチルO(商品名、日油社製、ラジカル発生剤)
このように、実施例7では、成型体の連続製造が可能であるレベルであるが、比較例2では、成型体を連続製造することができない。
このように、本発明における硬化性樹脂組成物に配合する珪素化合物は、特定の有機基を有する珪素化合物とすることで、離型性と透明性とを兼ね備えたものになることが明らかである。
また、特定の珪素化合物のみを含む実施例9と、特定の珪素化合物と特定の沸点を持つ化合物とを含む実施例30とを比較すると、実施例30において離型性が向上していることが明らかである。実施例10と実施例29、実施例12と実施例29、実施例10と実施例30についても同様のことが言える。これにより、本発明においては、特定の珪素化合物と特定の沸点を持つ化合物との両方を含むことで、離型性が更に向上すると言える。
Claims (7)
- エポキシ樹脂(ただし、分子内に脂肪族炭化水素基或いはそのフッ素化物基と環状エーテ
ル含有基とを有するシリコーン樹脂を除く)を含有する成型体用硬化性樹脂組成物であっ
て、
該成型体用硬化性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する
珪素化合物を更に必須成分として含有し、
該成型体用硬化性樹脂組成物は、熱潜在性カチオン硬化触媒を更に含有し、
該成型体用硬化性樹脂組成物は、光学用途の成型体を得るために用いられるものであり、
該光学用途の成型体は、レンズであり、
該珪素化合物は、シロキサン結合を有する2個以上の珪素原子を有し、シロキサン結合を構成する少なくとも1個の珪素原子にポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が結合したポリシロキサン化合物である
ことを特徴とする成型体用硬化性樹脂組成物。 - 前記珪素化合物は、2置換シロキサン由来の構造単位を有するポリシロキサン化合物であ
ることを特徴とする請求項1に記載の成型体用硬化性樹脂組成物。 - 前記珪素化合物は、重量平均分子量が500以上、10万以下であることを特徴とする請
求項1又は2に記載の成型体用硬化性樹脂組成物。 - 前記成型体用硬化性樹脂組成物は、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を更に含
有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型体用硬化性樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂のアッベ数は、35以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載の成型体用硬化性樹脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の成型体用硬化性樹脂組成物を成型してなることを特徴と
する成型体。 - エポキシ樹脂(ただし、分子内に脂肪族炭化水素基或いはそのフッ素化物基と環状エーテ
ル含有基とを有するシリコーン樹脂を除く)を含有する成型体用硬化性樹脂組成物から成
型体を製造する方法であって、
該製造方法は、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有する珪素化合物を更に
必須成分として含有させ、熱潜在性カチオン硬化触媒を更に含有させた成型体用硬化性樹
脂組成物を成型する工程を含み、
該成型体用硬化性樹脂組成物は、光学用途の成型体を得るために用いられるものであり、
該光学用途の成型体は、レンズであり、
該珪素化合物は、シロキサン結合を有する2個以上の珪素原子を有し、シロキサン結合を構成する少なくとも1個の珪素原子にポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が結合したポリシロキサン化合物である
ことを特徴とする成型体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008247572A JP5296472B2 (ja) | 2008-03-27 | 2008-09-26 | 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008083629 | 2008-03-27 | ||
JP2008083629 | 2008-03-27 | ||
JP2008247572A JP5296472B2 (ja) | 2008-03-27 | 2008-09-26 | 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009256586A JP2009256586A (ja) | 2009-11-05 |
JP5296472B2 true JP5296472B2 (ja) | 2013-09-25 |
Family
ID=41384414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008247572A Expired - Fee Related JP5296472B2 (ja) | 2008-03-27 | 2008-09-26 | 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5296472B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6564159B2 (ja) * | 2012-12-07 | 2019-08-21 | 株式会社カネカ | 半導体発光装置 |
WO2014115646A1 (ja) * | 2013-01-25 | 2014-07-31 | 富士フイルム株式会社 | 透明樹脂膜、転写フィルム、導電膜積層体、静電容量型入力装置および画像表示装置 |
JP5805274B2 (ja) * | 2014-06-25 | 2015-11-04 | キヤノン株式会社 | レンズの製造方法 |
CN107209284B (zh) * | 2015-02-03 | 2020-11-13 | 三井化学株式会社 | 光学材料用聚合性组合物、由该组合物得到的光学材料及塑料透镜 |
US11312857B2 (en) | 2017-03-08 | 2022-04-26 | Mitsui Chemicals, Inc. | Polymerizable composition and molded product |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3975305B2 (ja) * | 1997-03-27 | 2007-09-12 | 大阪瓦斯株式会社 | エポキシ樹脂組成物および成形体 |
JP2001207019A (ja) * | 2000-01-28 | 2001-07-31 | Matsushita Electric Works Ltd | 光半導体用エポキシ樹脂組成物及び光半導体装置 |
JP2003268198A (ja) * | 2002-03-19 | 2003-09-25 | Toray Ind Inc | 精密部品成形用エポキシ樹脂組成物および精密部品 |
JP2006182801A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-13 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 金型離型回復樹脂組成物及び半導体装置の製造方法 |
JP5078289B2 (ja) * | 2006-06-23 | 2012-11-21 | 株式会社日本触媒 | 樹脂組成物及びその製造方法 |
JP2009013213A (ja) * | 2007-07-02 | 2009-01-22 | Gun Ei Chem Ind Co Ltd | モーター封止用エポキシ樹脂成形材料及び成形品 |
JP2009024041A (ja) * | 2007-07-17 | 2009-02-05 | Sekisui Chem Co Ltd | 光半導体用封止剤及び光半導体素子 |
-
2008
- 2008-09-26 JP JP2008247572A patent/JP5296472B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009256586A (ja) | 2009-11-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8674038B2 (en) | Curable resin composition for molded bodies, molded body, and production method thereof | |
JP5771148B2 (ja) | 硬化成型体の製造方法及び硬化成型体 | |
JP5480469B2 (ja) | 樹脂組成物、光学材料、及び、該光学材料の制御方法 | |
US8524841B2 (en) | Curable resin composition, optical material, and method for controlling optical material | |
JP4398500B2 (ja) | 樹脂組成物及び光学部材 | |
JP2009084310A (ja) | 熱・光硬化性樹脂組成物、光学材料及び光学部材 | |
JP5296472B2 (ja) | 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 | |
JP4439017B2 (ja) | 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 | |
JP2009062459A (ja) | 有機無機複合樹脂組成物及び該有機無機複合樹脂組成物を硬化させてなる硬化物 | |
JP2011241380A (ja) | 硬化成型体用樹脂組成物及び硬化成型体 | |
JP5102671B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物、その硬化物、光学部材及び光学ユニット | |
JP5301409B2 (ja) | カチオン硬化性樹脂組成物及びその硬化物 | |
JP2009235196A (ja) | 硬化性樹脂組成物、その硬化物、光学部材及び光学ユニット | |
JP6001317B2 (ja) | カチオン硬化性樹脂組成物 | |
JP2013138158A (ja) | 撮像素子、色素含有レンズ及びレンズ成型用樹脂組成物 | |
JP5778448B2 (ja) | 硬化成型体用樹脂組成物及び硬化成型体 | |
JP2009179568A (ja) | 芳香族骨格含有脂環式エポキシ化合物、その製造方法、芳香族骨格含有脂環式エポキシ樹脂組成物並びにその成形体及び光学部材 | |
JP2012063620A (ja) | 硬化性組成物および光導波路の製造方法 | |
JP5448358B2 (ja) | 樹脂組成物、光学材料、及び、光学部材 | |
JP2009132834A (ja) | 硬化性樹脂組成物、光学部材用硬化性材料、及び、光学部材 | |
JP2008101136A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物 | |
JP5305707B2 (ja) | 樹脂組成物及び光学部材 | |
JP6001318B2 (ja) | エポキシ系硬化物 | |
JP2012136571A (ja) | 光学レンズ用カチオン硬化性樹脂組成物 | |
JP2011128225A (ja) | 光拡散レンズ用樹脂組成物及び光拡散レンズ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110512 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110512 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120903 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120911 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121023 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121204 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130123 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130312 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130403 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130521 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130613 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5296472 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |