JP2004210106A - タイヤ経時変化予測方法、タイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法、空気入りタイヤおよびプログラム - Google Patents

タイヤ経時変化予測方法、タイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法、空気入りタイヤおよびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いて予測するタイヤ経時変化予測方法、この予測方法を用いたタイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法および空気入りタイヤ、さらには、前記タイヤ経時変化予測方法を実行するプログラムを提供する。
【解決手段】経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状の予測は、内圧充填処理により変形した初期タイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備え、かつ、前記初期タイヤモデルに内圧充填処理を施して前記初期タイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えた調整タイヤモデルに内圧充填処理を施して得られるタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いて予測するタイヤ経時変化予測方法、このタイヤ経時変化予測方法を用いたタイヤ特性予測方法、このタイヤ特性予測方法を用いたタイヤ設計方法、このタイヤ設計方法に基づいて空気入りタイヤを製造するタイヤ製造方法、および空気入りタイヤ、さらには、前記タイヤ経時変化予測方法を実行するコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、空気入りタイヤ(以降、タイヤという)を、複数の有限要素に分割した有限要素(FE)モデルを用いてタイヤ特性を予測し、このタイヤ特性に基づいてタイヤを設計する方法が種々提案されている。
これらの方法は、いずれもコンピュータを用いて有限要素モデルを作成し、作成した有限要素モデルを用いて所望の状態を再現し、この時の特性物理量を算出してタイヤ特性を評価する。これによって、タイヤ特性の優れた有限要素モデルのタイヤ断面形状を得ることができ、これに基づいてタイヤを設計することができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、演算時間が短く実用的な静的有限要素解析を用いて、忠実度の高い回転体発熱エネルギおよび回転体転動抵抗の特性の調査、分析を行う方法を開示している。
また、下記特許文献2に示す方法では、製造工程や構成部材のバラツキ、あるいは使用条件の変動等が発生した場合の、タイヤ等の対象物の特性の変動誤差を算出し、この算出結果を用いて安定した性能を発揮する設計案を得る方法を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平11−237332号公報
【0005】
【特許文献2】特開2002−99579号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際に上記方法で設計され作成されたタイヤは使用するに従ってタイヤ特性が変化し、初期状態のタイヤ特性と異なるものとなる場合が多い。また、初期状態においてタイヤ特性が良好であっても、使用に伴ってタイヤ特性が大きく悪化する場合もある。
このようなタイヤ特性の変化は、タイヤの使用条件や使用環境によってタイヤ形状が経時変化を起こし、例えば、タイヤの外径が成長し、タイヤ断面形状が変化する。すなわち、タイヤ特性は、タイヤの使用に伴う経時変化によってタイヤ断面形状等のタイヤ形状の変化に大きく影響を受ける。
【0007】
しかし、上記特許文献1、2をはじめとする従来の技術において、有限要素モデルを用いてタイヤの使用に伴う経時変化を予測する方法は提案されていないのが実情である。
このため、タイヤの経時変化を考慮したタイヤの設計を実現することができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、タイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いて予測するタイヤ経時変化予測方法、このタイヤ経時変化予測方法を用いたタイヤ特性予測方法、このタイヤ特性予測方法を用いたタイヤ設計方法、このタイヤ設計方法に基づいて空気入りタイヤを製造するタイヤ製造方法、および空気入りタイヤ、さらには、前記タイヤ経時変化予測方法を実行するコンピュータが実行可能なプログラムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、空気入りタイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いて予測するタイヤ経時変化予測方法であって、タイヤ形状の経時変化を予測する初期タイヤ形状を備える空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現した初期タイヤモデルを作成するモデル作成ステップと、作成された初期タイヤモデルに内圧充填処理を施す内圧充填処理ステップと、この内圧充填処理により前記初期タイヤモデルに作用する応力および前記初期タイヤモデルに用いた材料定数の少なくとも一方を調整することで経時変化後のタイヤモデルを作成し、この作成したタイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する経時変化予測ステップと、を有することを特徴とするタイヤ経時変化予測方法を提供する。
【0010】
ここで、前記タイヤ経時変化予測方法の前記経時変化予測ステップにおいて、前記内圧充填処理により変形した前記初期タイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備えた調整タイヤモデルを作成し、この調整タイヤモデルに内圧充填処理を施して得られるタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測するのが好ましい。すなわち、前記調整タイヤモデルは、前記初期タイヤモデルに作用する応力を調整して得られたタイヤモデルである。その際、前記経時変化予測ステップにおいて作成される前記調整タイヤモデルは、前記初期タイヤモデルに内圧充填処理を施した際に前記初期タイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えるモデルであるのが好ましい。
あるいは、前記経時変化予測ステップにおいて、タイヤモデルから調整タイヤモデルを作成する処理であって、内圧充填処理により変形したタイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備えた調整タイヤモデルを作成する調整処理を行い、この調整処理を最初に行うタイヤモデルを前記初期タイヤモデルとし、前記調整処理で作成された前記調整タイヤモデルをさらに前記調整処理を行うタイヤモデルとすることにより、前記調整処理を所定回数繰り返し行い、最後に作成された調整タイヤモデルの内圧充填処理後のタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測するのも、同様に好ましい。その際、前記調整処理において作成される前記調整タイヤモデルは、前記調整処理を行うタイヤモデルに内圧充填処理を施した際にこのタイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えるモデルであるのも好ましい。
【0011】
また、前記経時変化予測ステップにおいて、前記初期タイヤモデルに作用する応力の大きさを減じた値を前記初期応力とするのも好ましい。
【0012】
また、前記タイヤ経時変化予測方法の前記経時変化予測ステップにおいて、前記初期タイヤモデルに前記内圧充填処理を施した状態のまま、前記初期タイヤモデルの材料定数を調整することにより変形した前記初期タイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測するのも好ましい。その際、前記材料定数の調整は、空気入りタイヤの経過時間の測度に応じて行う、弾性率およびポアソン比の少なくとも一方の調整であるのが好ましい。
なお、前記経過時間の測度は、空気入りタイヤにおけるタイヤトレッド部の残溝の溝深さの、初期溝深さに対する比率、あるいは、タイヤ形状の経時変化を予測する空気入りタイヤの走行距離であるのが好ましい。
【0013】
本発明は、前記タイヤ経時変化予測方法を用いることで、以下に示すタイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法、空気入りタイヤおよびプログラムを提供することができる。
【0014】
すなわち、前記タイヤ経時変化予測方法を用いて作成された経時変化後のタイヤモデルを用いて経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法であって、前記経時変化後のタイヤモデルに接地処理を施す接地処理ステップと、前記接地処理の施された前記経時変化後のタイヤモデルを用いて特性物理量を求める物理量抽出ステップと、を有し、求められた特性物理量から空気入りタイヤのタイヤ特性を予測することを特徴とするタイヤ特性予測方法を提供する。
【0015】
その際、前記接地処理の施された前記経時変化後のタイヤモデルに転動処理を施す転動処理ステップをさらに有し、前記物理量抽出ステップでは、前記転動処理の施された前記経時変化後のタイヤモデルを用いて特性物理量を求めるのが好ましい。
前記特性物理量は、例えば、タイヤ断面における注目する部位の主歪みがタイヤ周状位置に対して変化する際の変動幅であるのが好ましい。また、前記特性物理量は、前記経時変化後のタイヤモデルにおけるベルト端部のベルト層間剪断歪みであるのも好ましい。さらに、前記特性物理量として、例えば、接地形状、接地圧分布および摩擦エネルギーのうち少なくとも1つを求めるのも同様に好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記タイヤ経時変化予測方法において作成した前記初期タイヤモデルと、この初期タイヤモデルから作成された経時変化後のタイヤモデルとに対して所定の使用条件を与えて空気入りタイヤの挙動をシミュレートすることにより、初期タイヤ特性および経時変化後のタイヤ特性を予測して、空気入りタイヤを設計するタイヤ設計方法であって、前記初期タイヤモデルの設計パラメータと前記経時変化後のタイヤモデルの設計パラメータ、および、前記使用条件の少なくとも一方を誤差因子として変動させて空気入りタイヤの挙動をシミュレートするシミュレーションステップと、前記シミュレーションステップによるシミュレーション結果から前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルの特性物理量と、この特性物理量の、前記誤差因子の変動に対する誤差変動量とを算出する変動算出ステップとを有し、前記特性物理量と前記特性物理量の誤差変動量とに基づいて、空気入りタイヤを設計することを特徴とするタイヤ設計方法を提供する。
【0017】
その際、前記初期タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルにおける前記特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、これらの特性物理量が所定の範囲内に収まるように、前記初期タイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップと、を有するのが好ましい。
【0018】
また、本発明は、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤのタイヤ形状から、この空気入りタイヤの初期タイヤ形状を予測することにより、空気入りタイヤを設計するタイヤ設計方法であって、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現したタイヤモデルを作成するモデル作成ステップと、作成された前記タイヤモデルとこのタイヤモデルに付与される境界条件と前記タイヤモデルに付与される内圧とを用いて初期空気入りタイヤを再現した初期タイヤ形状を備える初期タイヤモデルを算出するモデル算出ステップと、を有し、算出された前記初期タイヤモデルを用いて空気入りタイヤを設計することを特徴とするタイヤ設計方法を提供する。
【0019】
その際、さらに、空気入りタイヤを製造する際のポストキュアインフレーションを模擬した境界条件とこのポストキュアインフレーション時の空気入りタイヤに付与される圧力とを用いて、前記初期タイヤモデルから空気入りタイヤを製造する加硫金型内面形状を算出する金型形状算出ステップを有するのが好ましい。
また、前記モデル作成ステップにおいて作成されるタイヤモデルは、タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、タイヤモデルを用いて算出される特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、この特性物理量が所定の範囲内に収まるように決定された設計パラメータの値を備えるモデルであるのが好ましい。
【0020】
また、前記モデル算出ステップは、前記モデル算出ステップで処理されるタイヤモデルを内圧充填処理の施されたタイヤモデルと見做して、内圧充填処理前のタイヤ形状を備えるタイヤモデルを算出する処理を行うのが好ましい。
また、前記モデル作成ステップで作成されたタイヤモデルを前記モデル算出ステップで最初に処理されるタイヤモデルとし、前記モデル算出ステップで算出されたタイヤモデルを前記モデル算出ステップで処理されるタイヤモデルとすることにより、前記処理を繰り返し行って前記初期タイヤモデルを算出するのも、同様に好ましい。
【0021】
また、本発明は前記タイヤ設計方法を用いて設計された空気入りタイヤを製造することを特徴とするタイヤ製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記タイヤ製造方法を用いて製造されたことを特徴とする空気入りタイヤを提供する。
【0022】
また、本発明は、空気入りタイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いてコンピュータに予測させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、タイヤ形状の経時変化を予測する、初期タイヤ形状を備える空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現した初期タイヤモデルを作成するモデル作成ステップをコンピュータの演算手段に行わせる手順と、作成された初期タイヤモデルに内圧充填処理を施す内圧充填処理ステップを前記演算手段に行わせる手順と、この内圧充填処理により前記初期タイヤモデルに生じ前記初期タイヤモデルに作用する応力および前記初期タイヤモデルに用いた材料定数の少なくとも一方を調整することで経時変化後のタイヤモデルを作成し、この作成したタイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する経時変化処理ステップを前記演算手段に行わせる手順と、を有することを特徴とするプログラムを提供する。
【0023】
さらに、本発明は、前記プログラムを用いて作成された前記経時変化後のタイヤモデルとこの前記経時変化後のタイヤモデルを作成するために用いた前記初期タイヤモデルとを用いて、コンピュータに空気入りタイヤを設計させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、前記初期タイヤモデルの設計パラメータと前記経時変化後のタイヤモデルの設計パラメータ、および、前記使用条件の少なくとも一方を誤差因子として変動させて空気入りタイヤの挙動をシミュレートするシミュレーションステップをコンピュータの演算手段に行わせる手順と、前記シミュレーションステップによるシミュレーション結果から前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルの特性物理量と、この特性物理量の、前記誤差因子の変動に対する誤差変動量を算出する変動算出ステップを前記演算手段に行わせる手順と、前記初期タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルにおける前記特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、これらの特性物理量が所定の範囲内に収まるように、前記初期タイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップを前記演算手段に行わせる手順と、を有することを特徴とするプログラムを提供する。
【0024】
また、本発明は、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤのタイヤ形状から、この空気入りタイヤの初期タイヤ形状を、コンピュータに予測させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現したタイヤモデルを作成するモデル作成ステップをコンピュータの演算手段に行わせる手順と、作成された前記タイヤモデルとこのタイヤモデルに付与される境界条件と前記タイヤモデルに付与される内圧とを用いて初期空気入りタイヤを再現した初期タイヤ形状を備える初期タイヤモデルを算出するモデル算出ステップを前記演算手段に行わせる手順と、を有することを特徴とするプログラムを提供する。
【0025】
その際、前記モデル作成ステップを前記演算手段に行わせる手順の前に、作成されるタイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、タイヤモデルを用いて算出される特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、この特性物理量が所定の範囲内に収まるように、タイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップを前記演算手段に行わせる手順を有し、決定された設計パラメータを備えるタイヤモデルを、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤ再現したタイヤモデルとするのが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のタイヤ経時変化予測方法、タイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法、空気入りタイヤおよびプログラムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0027】
図1は、トラック・バス用タイヤの断面形状の構成の一例を示している。
タイヤ10は、スチールコード等のコード材をゴム材で被覆したタイヤ骨材としてのカーカス部材12と、このカーカス部材12の径方向Rへの拡張を抑制し締め付けるベルト部材14と、ベルト部材14の径方向外側に設けられ、接地面と接触するトレッドパターンの形成されたトレッド部材16と、カーカス部材12の端部を巻き上げて、カーカス部材12を固定するとともに、リム装着を可能とするビード部材18と、側面の表面を覆うサイド部材20と、を主に有して構成される。
【0028】
このようなタイヤ10を有限要素モデルでモデル化した一例が図2に示されている。
図2に示すタイヤモデル30は、少なくとも、カーカス部材12、ベルト部材14、トレッド部材16、ビード部材18およびサイド部材20の各構成部材を有限個の要素に分割してタイヤ10を近似したものであり、タイヤモデル30の要素は、三角形、四角形等の固体要素、膜要素あるいはシェル要素によって構成される。
なお、タイヤモデル30は、各要素(各有限要素)の幾何学形状の情報と各要素の節点位置情報とを設定することによって作成され、さらに、各要素の材料定数も設定されて計算可能な有限要素モデルとなる。
なお、図2に示すタイヤモデル30は、タイヤ回転軸を含む径方向Rに沿ってタイヤ10を切断したときの断面形状(タイヤ形状)を表したものであるが、後述するようにタイヤモデル30を用いてタイヤ経時変化の予測計算を行う場合、図2に示すようなタイヤ形状がタイヤ周上に形成され、タイヤ周方向のねじれの自由度を有する軸対称モデルとして計算を行う。
なお、図2に示すようなタイヤモデル30を作成する替わりに、図2に示すようなタイヤモデルをタイヤ周方向に一様に有し、3次元固体要素、3次元膜要素、あるいは3次元シェル要素を有する3次元タイヤモデルを用いてもよい。
【0029】
図3は、本発明のタイヤ経時変化予測方法およびタイヤ特性予測方法を実行する装置である。
図3に示す装置40は、モデル作成部42と、経時変化予測部44と、接地処理部46と、シミュレーション演算部48とを有し、装置40にモニタ50が接続されている。
【0030】
モデル作成部42は、入力された初期タイヤ形状の情報に基づいて上述のタイヤモデル30を作成し初期タイヤモデルとするとともに、このタイヤモデル30に結合(マージ)するリムモデルを作成し、さらに、後述するようにタイヤ形状の経時変化を予測するための調整タイヤモデルを作成する部分である。
経時変化予測部44は、モデル作成部42で作成された初期タイヤモデルに後述する所定の処理を施して、経時変化後のタイヤモデルを作成する部分である。接地処理部46は、作成された経時変化後のタイヤモデルに荷重を負荷して接地面に接地させる処理を行う部分である。
【0031】
シミュレーション演算部48は、予め定められたシミュレーション計算を行って、経時変化後のタイヤモデルの特性物理量を算出する部分である。
例えば、接地処理の施された経時変化後のタイヤモデルを所定の走行速度で転動させ、その時のベルト部材端部に相当する位置が転動することによって生じるベルト層間剪断歪みの変化の変動幅を特性物理量としたり、あるいは、転動状態における経時変化後のタイヤモデルの接地形状、接地圧分布、摩擦エネルギーまた発熱エネルギー等を特性物理量としたり、経時変化後のタイヤモデルにスリップ角を与えたときに発生する横力を特性物理量としたり、経時変化後のタイヤモデルに外乱振動を与えたときに発生する振動・騒音を特性物理量としたり、路面モデル上に水膜モデルを作成し、この上に経時変化後のタイヤモデルを通過させたときの揚力または抗力等を特性物理量とする。
モニタ50は、初期タイヤ形状の情報を入力する入力画面の表示に用いたり、作成された各種モデルを表示したり、シミュレーション演算結果を表示するために用いられる。
【0032】
図4は、装置40で行われるタイヤ経時変化予測方法およびタイヤ特性予測方法の流れを示すフローチャートである。
まず、入力された初期タイヤ形状の情報に従って、初期タイヤモデルの作成が行われる(ステップS100)。
初期タイヤ形状の情報とは、例えば、各有限要素の幾何学形状の情報と各有限要素の節点位置情報と各有限要素の材料定数である。
次に、予め設定されたリムモデルに装着される(ステップS102)。
リムモデルは、例えば、変形を許容しない剛体モデルである。
次に、リムモデルの装着された初期タイヤモデルに内圧充填処理が施される(ステップS104)。
内圧充填処理とは、リムモデルによって初期タイヤモデルの一部分、例えばビード周りの部分が、部分的に拘束された状態で初期タイヤモデルの内周面側から一様に圧力を負荷する処理をいう。
【0033】
次に、内圧充填処理により変形した初期タイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備え、かつ、内圧充填処理により初期タイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えた調整タイヤモデルが作成される(ステップS106)。
ここで、調整タイヤモデルは、初期タイヤモデルの各要素の節点座標を内圧充填処理により変形した初期タイヤモデルの各要素の節点座標で置き換えて作成したものであってもよく、また、内圧充填処理により変形した初期タイヤモデルの輪郭線形状および部材境界線形状を保持した状態で、節点および要素の幾何学情報等を再度作成し直したものであってもよい。すなわち、内圧充填処理を行って変形した初期タイヤモデルのタイヤ形状を備えたタイヤモデルに初期応力をマッピングにより与える。
なお、内圧充填処理で付加される圧力は、必ずしも、タイヤの使用条件としての内圧に制限されず、予め設定された圧力を負荷すればよい。
【0034】
また、初期応力は、初期タイヤモデルに作用する応力の大きさを減じた値を初期応力とし、例えば、初期タイヤモデルに作用する応力に0.2等のような係数を乗算して調整された値を用いる。この場合、上記係数の値は0以上1.0未満であればよく、予め設定された値を用いる。また、上記係数は、ベルト部材やカーカス部材に相当する要素毎に変えてもよい。
なお、ここでいう応力とは、引張方向および圧縮方向のいずれの方向の応力も含まれる。
【0035】
この後、作成された調整タイヤモデルに内圧充填処理が施される(ステップS108)。こうしてステップS106〜S108が所定の回数行われるまで繰り返され(ステップS110)、最後に作成された調整タイヤモデルを経時変化後のタイヤモデルとする。すなわち、ステップS106〜S108の各ステップが所定回数行われるまで、内圧充填処理が施されてタイヤ形状の変形した調整タイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備え、かつ、内圧充填処理によりこの調整タイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えた調整タイヤモデルを新たに作成する。このように、ステップS108で内圧充填処理の施された調整タイヤモデルをステップS106に戻して所定回数になるまで繰り返し行う。本発明では、ステップS106〜S108のステップは調整処理に対応する。
この調整処理の繰り返し回数は、予測したいタイヤ形状の経時変化の時間経過の測度によって設定するとよい。例えば、時間経過の測度としてタイヤの走行距離を用い、走行距離が長くなるほど上記繰り返し回数を増やすとよい。あるいは走行することによってトレッド部材が摩耗して溝深さが浅くなることを利用して、初期状態における溝深さに対する溝深さの比率を時間経過の測度として用いてもよい。溝深さの比率が小さくなるほど上記繰り返し回数を増やすとよい。
【0036】
なお、ステップS108における内圧充填処理は、ステップS104の内圧充填処理と同様に、必ずしもタイヤの使用条件としての内圧に制限されず、予め設定された圧力を負荷すればよいが、ステップS106〜S108が所定の回数行われた後の調整タイヤモデルに施す内圧充填処理において負荷する内圧は、タイヤの使用条件としての内圧とされる。
ステップS110において肯定されると(「YES」の場合)、最後に作成された調整タイヤモデルが経時変化後のタイヤモデルとされる。
【0037】
このように、ステップS106〜ステップS108を繰り返し行うことで、経時変化後のタイヤモデルを得ることができるのは、本願発明者等が以下の事実を知見したことによる。
【0038】
タイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化は、タイヤ使用初期の時点から始まる、タイヤ形状が大きく変化する成長期と、この後において、タイヤ形状が殆ど変化せず安定する安定期とを備える。
図5は、トラック・バス用タイヤのタイヤ外径成長量の一例を示している。「■」、「◆」、「△」は、それぞれタイヤ幅方向に設けられた3本のタイヤ周方向溝の溝位置(センター位置、右側ショルダー位置、および左側ショルダー位置)における外径成長量である。いずれも、走行距離50000kmまで外径成長量が大きく変化してタイヤ形状が変化し、これ以降、外径成長量は変化せず、タイヤ形状が変化しないことがわかる。このように、最終的に外径がタイヤ使用初期に比べて約3mm成長することから、所望の時期におけるタイヤ形状も、初期タイヤ形状からずれていることがわかる。このため、タイヤ特性は初期タイヤ形状から変形したタイヤ形状に大きく影響を受ける。
【0039】
図6は、タイヤ使用初期と10000km走行時とにおけるタイヤの外径と内圧の関係の一例を示している。
点Aは、使用初期のタイヤの内圧100kPa時の外径を、点Bは、使用条件における内圧900kPaを充填した時の外径を、点Cは、10000km走行時の内圧100kPa時の外径を、点Dは、10000km走行時の内圧900kPa時の外径を示している。なお、100kPaは、タイヤをリムに装着した際の内圧0と略同等のタイヤ形状を示す内圧である。したがって、点A,Cは、略内圧0における外径とみなすことができる。
このような内圧とタイヤの外径の関係によると、内圧充填前の初期状態(未使用)のタイヤに内圧を充填することで成長した外径(点B)を得る。一方、10000km走行後の外径(点D)は、10000km走行後の内圧充填前の外径(点C)から成長するが、この内圧充填前の外径(点C)は、初期状態における内圧充填したタイヤの外径(点B)と略同等である(点B:1057.1mm、点C:1057.7mm)。したがって、点Cにおけるタイヤ形状と点Bにおけるタイヤ形状は略同等といえる。
すなわち、初期状態の内圧充填時のタイヤ形状を、内圧充填前のタイヤ形状として備えたタイヤに内圧充填を施したとき、タイヤ形状が10000km走行時のタイヤ形状と略一致するといえる。
【0040】
したがって、内圧充填処理により変形した初期タイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備えた調整タイヤモデルを作成することで、所定の走行距離後のタイヤ形状を予測することができる。このような内圧充填処理によるタイヤ形状の変化を複数回繰り返してもよい。例えば、走行距離に応じて上記繰り返し回数を定める。すなわち、予め数種類のタイヤについて、室内ドラム試験あるいは実車走行試験によって、走行距離とタイヤ形状の経時変化との関係を求めておくとともに、上記繰り返し回数とタイヤモデルにおけるタイヤ形状の変化との関係を求め、さらに、これらの関係を用いて走行距離と上記繰り返し回数との関係を求めておき、走行距離に応じて繰り返し回数を定める。なお、室内ドラム試験あるいは実車走行試験後のタイヤ形状は、例えばX線CTスキャン撮影装置等によって得ることができる。実車走行試験の場合、トレッド部材は摩耗することから、トレッドパターンの溝底位置を用いて経時形状を求めてもよい。
【0041】
なお、タイヤ形状を正確に予測するには、内圧充填処理における内圧および調整タイヤモデルに与える初期応力を、調整用パラメータとして設定するとよい。このパラメータは、実際のタイヤ形状の経時変化と比較しながら予め定めるとよい。
このように内圧充填処理により変形したタイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として内圧充填処理を少なくとも1回以上行う処理は、内圧充填された初期状態のタイヤ内部に作用する応力がタイヤ構成部材の粘弾性特性によって緩和することを模擬しているといえる。
【0042】
こうして作成された経時変化後のタイヤモデルは、さらに、タイヤ特性の評価に供される。
すなわち、経時変化後のタイヤモデルは、所定の接地面に所定の負荷荷重が付与されて接地処理が施される(ステップS112)。
この後、タイヤ特性を予測するためのタイヤ挙動のシミュレーション演算が行われる(ステップS114)。
タイヤ挙動のシミュレーション演算とは、例えば、経時変化後のタイヤモデルを転動させて所定の走行速度で直進運動させる演算、経時変化後のタイヤモデルを転動させかつスリップ角を与えて所定の走行速度で横力またはセルフアライニングトルクを発生させる演算、経時変化後のタイヤモデルを転動させかつ外乱振動を与えて振動・騒音をシミュレートする演算、あるいは、路面モデルに水膜モデルを作成し、この上に経時変化後のタイヤモデルを通過させる演算等が例示される。
【0043】
この後、タイヤ挙動のシミュレーション演算を行ったタイヤモデルから注目する特性物理量が求められ、タイヤ特性の予測が行われる(ステップS116)。特性物理量は、上記タイヤ挙動のシミュレーション演算の内容に応じて算出され、例えばベルト部材端部におけるベルト層間剪断歪みの変動幅をはじめとするタイヤ断面における注目する部位のタイヤ周状位置における主歪みの変動幅、接地形状、接地圧分布、摩擦エネルギー、発熱エネルギー、あるいは、スリップ角を与えたときの横力またはセルフアライニングトルク、あるいは、水膜モデルを通過するときの揚力や抗力等が例示される。例えば、ベルト層間剪断歪みの変動幅の場合、変動幅が小さいほどタイヤのベルト耐久性に優れたものと予測することができる。
【0044】
なお、本実施例では、タイヤ挙動のシミュレーション演算を行ってタイヤ特性を予測するものであるが、本発明においては、接地処理(ステップS112)後タイヤ挙動のシミュレーション演算(ステップS114)を行わず、接地処理の施された経時変化後のタイヤモデルから注目する特性物理量を求めてタイヤ特性の予測を行ってもよい。例えば、非転動状態(静止状態)におけるタイヤモデルのベルト部材端部におけるベルト層間剪断歪みをタイヤ周状の分布として求め、この分布から変動幅を求めることができる。
このようにして、タイヤ形状の経時変化の予測および経時変化したタイヤのタイヤ特性の予測を行うことができる。
【0045】
また、本発明では、ステップS106〜S110の代わりに、図7に示すステップS118およびステップS120を用いてもよい。
すなわち、内圧充填処理の施された初期タイヤモデルの状態を保持した状態で、初期タイヤモデルに用いた材料定数、例えば、等方性弾性材料モデルでは弾性率およびポアソン比を、異方性材料モデルあるいは超弾性材料モデルあるいは粘弾性材料モデルの場合には各種材料定数が調整される(ステップS118)。
ここでいう材料定数の調整は、タイヤの使用に伴う経時劣化を再現するものであり、等方性材料モデルの場合、一般的に弾性率が上昇するように設定される。
例えば、材料定数を、使用時間、走行距離、あるいは温度等の状態変数の関数としておく。上記状態変数の関数は、実験的に求めることができ、例えば、室内エージング試験や材料物性試験で得られる材料定数の経時劣化の結果を用いて求めることができる。あるいは、室内ドラム試験または実車走行試験において、所定走行距離または所定走行時間走行させたタイヤのサンプル片を切り出して材料物性を測定することで求めることができる。また、上記関数における状態変数は0〜1で正規化したものを用いてもよいし、走行距離等のように値自体に物理的な意味を持たせてもよい。
この状態変数と上述した時間経過の測度との対応関係を予め実験的に求めておき、経時変化を予測するために設定された時間経過の測度から上記状態変数を求め、これに従って材料定数を設定するとよい。これにより、経時劣化した材料定数を設定することができる。
【0046】
この後、初期タイヤモデルのタイヤ形状の算出が行われる(ステップS120)。すなわち、経時劣化した材料定数により初期タイヤモデルのタイヤ形状が変形し、経時変化後のタイヤ形状の算出を行うことができる。
こうして得られた経時変化後のタイヤ形状を備えるタイヤモデルがステップS112〜S116の処理に供される。
なお、上記実施例では、上記ステップS106〜S110を行って経時変化後のタイヤ形状を予測する場合と、ステップS118およびステップ120を行って経時劣化した材料定数を用いて経時変化後のタイヤ形状を予測する場合を説明したが、本発明では、ステップS106〜S110とステップS118およびステップ120とを同時に行って経時変化後のタイヤ形状を予測してもよい。この場合、材料定数は、ステップS106〜S110の繰り返し回数に応じて段階的に調整してもよい。例えば繰り返し回数が3回の場合、調整量を3等分して、材料定数を変化させるとよい。
【0047】
上述のタイヤ経時変化予測方法は、プログラムを実行することによってコンピュータ上で処理することができる。
例えば プログラムは、タイヤ形状の経時変化を予測するタイヤを、有限個の要素を用いて再現した初期タイヤモデルを作成するモデル作成ステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、作成された初期タイヤモデルに内圧充填処理を施す内圧充填処理ステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、この内圧充填処理により初期タイヤモデルに作用する応力および初期タイヤモデルの材料定数の少なくとも一方を調整することで経時変化後のタイヤモデルを作成し、この作成したタイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化したタイヤのタイヤ形状を予測する経時変化処理ステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、を有するとよい。
さらに、タイヤ特性を予測するには、上記プログラムは、経時変化後のタイヤモデルに接地処理を施す接地処理ステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、接地処理の施された経時変化後のタイヤモデルを用いて特性物理量を求める物理量抽出ステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、を有し、求められた特性物理量からタイヤのタイヤ特性を予測するものであるとよい。
【0048】
次に、上述のタイヤ特性予測方法を用いて行う本発明のタイヤ設計方法を説明する。
図8は、本発明のタイヤ設計方法の一例の流れを説明するフローチャートである。
図8に示すタイヤの設計方法は、初期タイヤモデルの設計パラメータを制御因子とし、この制御因子とした設計パラメータの水準を振って初期タイヤモデルを設定するとともに、制御因子とした設計パラメータと異なる設計パラメータおよび使用条件の少なくとも1つを誤差因子として、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルを用いて注目する特性物理量を算出し、初期タイヤモデルと経時変化後のタイヤモデルにおけるタイヤ特性の特性評価とロバスト性評価とを行って、初期タイヤ特性および経時変化後のタイヤ特性が優れ、かつ、初期ロバスト性および経時変化後のロバスト性も優れた初期タイヤを設計する方法である。
【0049】
まず、制御因子として、初期タイヤモデルの設計パラメータが設定されるとともに、誤差因子として設計パラメータおよび使用条件の少なくとも1つが誤差因子として設定される(ステップS200)。ここで、誤差因子として用いる設計パラメータは、制御因子として用いる設計パラメータとは異なるものが用いられる。
【0050】
制御因子とは、設計段階において所望の値に設定できる設計パラメータであって、例えば、ベルト部材の幅や厚さ、あるいは、トレッド部材の幅や厚さ、さらには、各部材の材料定数等の他、さらには、所定の関数で表されたタイヤ形状自体も制御因子とすることができる。ここで、所定の関数で表されたタイヤ形状とは、例えば、基準とする初期タイヤモデルに対して固有値解析を行って求められる固有モードの振動形態で表されたタイヤ形状が例示される。このような制御因子の設計パラメータは、例えば2水準、3水準、4水準等に値が振られるように設定される。例えば、3水準の場合、ベルト部材の幅を160mm(水準1)、170mm(水準2)、180mm(水準3)といったように振る。
一方、誤差因子とは、設計段階において制御できない因子であって、例えば、タイヤの内圧や負荷荷重等の使用条件またベルト部材の位置ずれといった設計パラメータ等が挙げられる。
このような誤差因子は、例えば2水準、3水準、4水準等に値が振られるように設定される。
図9は、誤差因子として、内圧と荷重の使用条件をそれぞれ3水準ずつ組み合わせて設定し、誤差因子として合計9水準とした例を示している。
【0051】
次に、設定された制御因子の割り付けが行われる(ステップS202)。
ここで、制御因子の割り付けは、例えば直交表を用いて行う。
図10は、制御因子をh〜hとして、直交表L64に割り付けてデータ番号を設定した例を示している。データ番号とは、この場合、制御因子h〜hを予め定められた水準1〜4に割り付けて設定される初期タイヤモデルの番号である。
したがって、直交表L64では64個のデータ番号が設定され、制御因子とした5つの設計パラメータの値を4水準の中で種々変えた64個の初期タイヤモデルが設定される。これに従って初期タイヤモデルが作成されることになる。また、64個の初期タイヤモデルにそれぞれ誤差因子が水準1〜9の9個が設定される。
【0052】
次に、走行距離の設定が行われる(ステップS204)。
走行距離の設定は、経時変化後のタイヤ形状を予測するための時間経過の測度として設定するものである。このほかにトレッドパターンの初期溝深さに対する溝深さの比率によって時間経過の測度を設定するものであってもよい。
【0053】
次に、データ番号の順に、制御因子の水準に従って、初期タイヤモデルが1つずつ作成される(ステップS206)。
初期タイヤモデルの作成は、図4に示されるステップS100と同様の処理であり、制御因子の水準に従って初期タイヤモデルである有限要素モデルが作成される。
次に、作成された初期タイヤモデルにリムモデルの装着および内圧充填処理が施される(ステップS208)。ステップS208は、図4に示されるステップS102およびS104と同様の処理である。
【0054】
次に、経時変化処理が行われる(ステップS210)。経時変化処理とは、図4に示すステップS106〜S110の処理をいう。これにより、経時変化後のタイヤモデルが作成される。
次に、ステップS208でリムモデルが装着され内圧充填処理の施された初期タイヤモデルおよびステップS210で作成された経時変化後のタイヤモデルに対して接地処理が施される(ステップS212)。接地処理は、図4に示すステップS112と同様の処理である。
【0055】
次に、接地処理の施された初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルのタイヤ挙動のシミュレーション演算が行われる(ステップS214)。ここで、タイヤ挙動のシミュレーション演算は、誤差因子の各水準毎に行われる。図10に示すような制御因子および誤差因子の割り付けを行った場合、データ番号に従って作成された初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルに対して、誤差因子9水準(荷重および内圧を変化させた9条件)に基づいてシミュレーション演算が行われる。
ここで、シミュレーション演算は、図4に示すステップS114のタイヤ挙動のシミュレーション演算と同様である。例えば、評価したいタイヤ特性に応じて、経時変化後のタイヤモデルを転動させて所定の走行速度で直進運動させる演算、経時変化後のタイヤモデルを転動させかつスリップ角を与えて所定の走行速度で横力またはセルフアライニングトルクを発生させる演算、経時変化後のタイヤモデルを転動させかつ外乱振動を与えて振動・騒音をシミュレートする演算、あるいは、路面モデルに水膜モデルを作成し、この上に経時変化後のタイヤモデルを通過させる演算等が行われる。
【0056】
次に、ステップS214における演算結果に基づいて、注目する特性物理量の算出が行われる(ステップS216)。例えば、タイヤ断面における注目する部位のタイヤ周状位置における主歪みの変動幅、接地形状、接地圧分布、摩擦エネルギー、発熱エネルギー、あるいは、スリップ角を与えたときの横力またはセルフアライニングトルク、あるいは、水膜モデルを通過するときの揚力や抗力等が例示される。なお、接地形状および接地圧分布の場合、形状や分布を規定する所定のパラメータを用いて特性物理量とする。
【0057】
次に、ステップS202で制御因子が割り付けられて設定されたデータ番号に従って初期タイヤモデルをすべて作成し、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルを用いて特性物理量を算出したか否かが判定される(ステップS218)。
この判定において否定された場合、ステップS206に戻って、次のデータ番号の制御因子の水準に従って初期タイヤモデルが作成される。図10に示す制御因子の割り付けを行った場合、64個の初期タイヤモデルおよび各初期タイヤモデルに対応する64個の経時変化後のタイヤモデルにおいて、誤差因子9水準のそれぞれ対して特性物理量が算出される。
このようにして設定されたすべてのデータ番号に従って初期タイヤモデルが作成され、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルにおける、誤差因子の水準に応じた特性物理量の算出が行われる。
【0058】
次に、算出された特性物理量によってロバスト性の評価が行われる(ステップS220)。
例えば、設定されたデータ番号毎に、誤差因子の水準別に算出した特性物理量から、誤差因子によるばらつき状態を表す特性物理量の標準偏差が特性物理量の誤差変動量として求められる。例えば、図10に示す制御因子の割り付けの場合、図11に示すように、データ番号1〜64毎に標準偏差σ〜σ64が求められる。このデータ番号毎に求められた標準偏差σ〜σ64に対して分散分析を行って標準偏差σ〜σ64に影響を与える制御因子を取りだして、上記標準偏差の制御因子に基づく推定式を算出し、ロバスト性の評価を行う。分散分析および推定式の算出は、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルの別に行われる。このロバスト性の評価については、例えば、「実験計画法による非線形問題の最適化」(柏村孝義/白鳥正樹/干 強著、朝倉書店、105頁〜115頁)に詳述されている。
また、ロバスト性の評価は、上記方法のほか、例えば、「ロバスト設計のための機能性評価 −効率的開発の方法−」(田口 玄一著、日本規格協会)に示されるように、品質工学で用いられるSN比を特性物理量の誤差変動量として用いて行ってもよい。
【0059】
次に、ロバスト性を考慮した最適初期タイヤモデルが決定される(ステップS222)。
例えば、誤差因子の水準別に算出したデータ番号毎の平均値、最小値、あるいは、最大値等のいずれか1つを代表値とし、代表値を初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデル別に取り出す。代表値について分散分析を行って代表値に影響を与える制御因子を取りだして、上記代表値の制御因子に基づく推定式を算出する。分散分析および推定式の算出は、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデル別に行われる。したがって、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルにおける推定式が得られる。
この後、初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルのそれぞれの代表値および標準偏差が予め設定された所定の範囲に入るような、制御因子の水準(設計パラメータの値)の組み合わせを、代表値の推定式および標準偏差の推定式を用いて探索する。すなわち、代表値および標準偏差が所定の範囲に含まれる制御因子の水準が決定される。
こうして探索された制御因子の水準に基づいて作成される初期タイヤモデルが優れたロバスト性を備え、かつ、所望のタイヤ特性を備えた最適な初期タイヤモデルとされ、最適初期タイヤ形状が決定され、この初期タイヤ形状を用いてタイヤを設計し、さらに設計されたタイヤに基づいて、初期タイヤ形状を備えるタイヤ製造することができる。
【0060】
なお、上述したタイヤ設計方法は、プログラムを実行することによってコンピュータ上で処理することができる。
例えば プログラムは、上述のタイヤ形状の経時変化を予測するプログラムを用いて作成された経時変化後のタイヤモデルとこの経時変化後のタイヤモデルを作成するために用いた初期タイヤモデルとを用いて、コンピュータに空気入りタイヤを設計させるものであり、例えば、前記初期タイヤモデルの設計パラメータと前記経時変化後のタイヤモデルの設計パラメータ、および、前記使用条件の少なくとも一方を誤差因子として変動させて空気入りタイヤの挙動をシミュレートするシミュレーションステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、
前記シミュレーションステップによるシミュレーション結果から前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルの特性物理量と、この特性物理量の、前記誤差因子の変動に対する誤差変動量を算出する変動算出ステップを前記CPUに行わせる手順と、
前記初期タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルにおける前記特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、これらの特性物理量が所定の範囲内に収まるように、前記初期タイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップをCPUに行わせる手順と、を有するものが例示される。
【0061】
上記タイヤ設計方法は、初期状態のみならず経時変化後においても、優れたロバスト性と良好なタイヤ特性を備える最適な初期タイヤ形状を設定するものであるが、本発明は、優れたロバスト性および良好なタイヤ特性を備えた経時変化後のタイヤ形状から初期タイヤ形状、さらには、初期タイヤ形状を製造する加硫用金型形状を決定するタイヤ設計方法を提供する。
【0062】
図12は、優れたロバスト性および良好なタイヤ特性を備えた経時変化後のタイヤ形状から初期タイヤ形状、さらには、この初期タイヤ形状を備えるタイヤの製造を可能とする加硫用金型形状を決定するタイヤ設計方法の一例の流れを示している。
まず、図12に示す制御因子、誤差因子の設定(ステップS300)、制御因子の割り付け(ステップS302)は、図8に示すステップS200、ステップS202と同様の処理内容である。
また、リムモデルの装着・内圧充填処理(ステップS308)、接地処理(ステップS312)、タイヤ挙動のシミュレーション演算(ステップS314)、特性物理量の算出(ステップS316)、全データ番号の特性物理量の算出(ステップS318)、および、ロバスト性の評価(ステップS320)のそれぞれは、経時変化後の想定されたタイヤモデルを処理対象とし、図8に示すステップS208、ステップS212、ステップS214、ステップS216、ステップS218、および、ステップS220が初期タイヤモデルおよび経時変化後のタイヤモデルを処理対象とするのと異なる以外は、ステップS208、ステップS212、ステップS214、ステップS216、ステップS218、および、ステップS220と同様の処理内容であるので説明は省略する。
【0063】
タイヤモデルの作成(ステップS304)では、ステップS302で設定されたデータ番号の順に、制御因子の水準に従って、タイヤモデルが1つずつ作成される。
また、最適タイヤモデルの決定(ステップS322)は、ステップS316で算出した、誤差因子の水準別に算出したデータ番号毎の特性物理量の平均値、最小値、あるいは、最大値等のいずれか1つを代表値とし、この代表値について分散分析を行って代表値に影響を与える制御因子を取りだして、上記代表値の制御因子に基づく推定式を算出する。
この後、タイヤモデルのそれぞれの代表値および標準偏差が予め設定された所定の範囲に入るような、制御因子の水準の組み合わせを、代表値の推定式および標準偏差の推定式を用いて探索する。
こうして探索された制御因子の水準に基づいて作成されるタイヤモデルが優れたロバスト性を備え、かつ、所望のタイヤ特性を備えた最適な経時変化後のタイヤモデルとされ、最適タイヤ形状が決定される。
【0064】
次に、この最適な経時変化後のタイヤモデルに基づいて初期タイヤモデルが予測される(ステップS324)。
この方法は、初期タイヤモデルから経時変化後のタイヤモデルの形状を算出する図4や図8に示すような方法を順形状決定手法とすると、逆形状決定手法といえる。
図4や図8に示す順形状決定方法では、初期タイヤモデル、内圧充填処理を施す際のビード周りの境界条件、および負荷すべき内圧を既知として内圧充填後の変形形状を求める。一方、逆形状決定方法では、経時変化後のタイヤ形状、負荷されている内圧およびビード周りの境界条件から初期タイヤモデルの形状を求める。
【0065】
周知のように順形状決定手法における内圧充填処理は、初期タイヤモデルの内周面に内圧を付与して変形形状を計算するものであるが、この処理は、比較的大きな変形を伴うため、非線形解析によって行われ、内圧を逐次増加させつつ、タイヤモデルに作用する内力と外力(内圧)とを釣り合わせながら解析する。したがって、逆形状決定問題の場合にも、非線形解析を利用するが、内圧充填処理の方法を通常通り、すなわち、単純に内圧を逆向きに与えたのでは非線型解析のため、必ずしも妥当な結果を得られない。
すなわち、順形状決定方法では、初期タイヤ形状から内圧と内力とが釣り合ったタイヤ形状を求めるが、逆形状決定方法では、この内圧と内力とが釣り合ったタイヤ形状を出発点として初期タイヤ形状を求める点で大きく異なる。
図13では、変形前の連続体において位置座標Xの参照位置が変形後の連続体において位置座標xに写像された状態を示している。
【0066】
したがって順形状決定方法では、変形前のタイヤモデルにおける座標系で釣り合いの式を考え、逆形状決定方法では、変形後のタイヤモデルにおける座標系で釣り合いの式を考える必要がある。
【0067】
具体的には、順形状決定方法で用いられる釣り合いの式は、第1種Piola−Kirchhoff 応力テンソルをP、単位体積当たり作用する変形前のタイヤに作用する物体力をBとすると、下記式(1)、(2)に示す強形式で書き表すことができる。
Div(P) + B = 0 (1)
FP= PF (2)
ここで、Fは、変形勾配応力テンソルである。
【0068】
一方、逆形状決定方法で用いられる釣り合いの式は、コーシー応力テンソルをσ、単位体積当たり作用する変形後のタイヤに作用する物体力をbとすると、下記式(3)、(4)に示す強形式で書き表すことができる。
Div(σ) + b = 0 (3)
σ= σ (4)
したがって、このような異なる釣り合いの式から導かれる有限要素解析の定式結果も異なる。
詳細については、本願発明者の開示する「タイヤ逆形状設計手法」(日本機械学会[No.00−27]第4回最適化シンポジウム講演論文集、[’00−10−6,7, 東京])に説明されている。
【0069】
また、上述した経時変化処理は、順形状決定手法である内圧充填処理を少なくとも1回以上行って初期タイヤ形状から経時変化したタイヤ形状を算出するので、順形状決定手法である。
そこで、ステップS324では、内圧充填処理を用いた順形状決定手法である経時変化処理に対して、この処理の逆形状決定手法を用いることで、すなわち、経時変化後のタイヤモデルを内圧付与後のタイヤモデルとし、内圧付与後のタイヤモデルから内圧付与前のタイヤ形状を備えるタイヤモデルを算出する処理を少なくとも1回以上行うことで、初期タイヤモデルを算出することができる。
このようにして、タイヤ形状を最適化した経時変化後のタイヤモデルから初期タイヤモデルを算出することができる。
【0070】
さらに、算出された初期タイヤモデルから、この初期タイヤモデルのタイヤ形状を備えるタイヤの製造を可能とする加硫金型内面形状が算出される(ステップS326)。
具体的には、タイヤを製造する際、加硫用金型から取り出された高温状態にあるタイヤに対して、タイヤ内周面に内圧を負荷した状態で冷却するポストキュアインフレーション工程を施すが、このポストキュアインフレーションを模擬した境界条件とこの時のタイヤの内周面に付与される内圧の情報とを用いて、初期タイヤモデルから加硫金型内面形状を算出する。この場合、ポストキュアインフレーションにおける内圧充填処理の手法に対する逆形状決定手法で処理を行うことができる。
また、ポストキュアインフレーションの直後は、タイヤ自体が高温状態にあるので、大きな熱収縮を伴うことから、上記逆形状決定手法において熱弾性変形を考慮する必要がある。本実施例では、ヘルムホルツの自由エネルギーを付加して有限要素解析の定式化を行うことで、ポストキュアインフレーション直前の加硫金型から取り出された直後のタイヤ形状を備えるタイヤモデルを算出することができ、このタイヤ形状を加硫金型内面形状とすることができる。
詳細は、本願発明者の開示する「タイヤ逆形状設計手法」(日本機械学会[No.00−27]第4回最適化シンポジウム講演論文集、[’00−10−6,7, 東京])に説明されている。
【0071】
このようにして、内圧充填処理を順形状決定手法とすると、この手法と逆行する逆形状決定手法を用いて、経時変化後のタイヤ形状から初期タイヤ形状さらには加硫用金型内面形状を算出することができる。
このようにして算出された初期タイヤ形状の情報を用いてタイヤを設計することができ、また、加硫用金型内面形状を設計することができ、所望の初期タイヤ形状を成したタイヤを製造することができる。
本発明は、このような方法を用いて設計され、製造されたタイヤを提供するものである。
【0072】
なお、ステップS324において、内圧充填処理による経時変化処理の逆形状決定手法を用いることで、タイヤ初期形状をを算出することができるが、本発明では、この経時変化処理の逆形状決定手法を行う際に、タイヤモデルに用いられる材料定数を段階的に調整し、最終的に初期タイヤモデルが算出される段階で初期状態における材料定数に変化するように、材料定数の調整を行ってもよい。
【0073】
なお、上述した逆形状決定手法を用いたタイヤ設計方法は、プログラムを実行することによってコンピュータ上で処理することができる。
例えば プログラムは、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した、優れたロバスト性を備えた空気入りタイヤのタイヤ形状から、この空気入りタイヤの初期タイヤ形状を、コンピュータに予測させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現したタイヤモデルを作成するモデル作成ステップをコンピュータのCPUに行わせる手順と、作成されたタイヤモデルとこのタイヤモデルに付与される境界条件とこのタイヤモデルに付与される内圧とを用いて初期空気入りタイヤを再現した初期タイヤ形状を備える初期タイヤモデルを算出するモデル算出ステップをCPUに行わせる手順と、を有するものが例示される。
この場合、モデル作成ステップをコンピュータに行わせる手順において作成されるタイヤモデルは、タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、タイヤモデルを用いて算出される特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、この特性物理量が所定の範囲内に収まるように、タイヤモデルの設計パラメータの値をCPUに決定させる手順を経て得られた設計パラメータを備えるのが好ましい。
【0074】
なお、本発明では、タイヤ形状の経時変化の予測の段階までは、図2に示すタイヤ形状がタイヤ周方向に沿って形成され、タイヤ周方向のねじれの自由度を有する軸対称モデルとして計算を行い、接地処理、タイヤ挙動のシミュレーション演算等の有限要素解析では、3次元固体要素、3次元膜要素、あるいは3次元シェル要素を有する3次元タイヤモデルを用い解析を行うのが好ましい。
すくなくとも、内圧充填処理および内圧充填処理を用いた経時変化処理は、タイヤ周方向で変形が生じることは殆どないので、軸対称モデルを用いても計算精度が落ちることはないほか、計算時間が3次元タイヤモデルに比べて短いといったメリットを有する。なお、接地処理、タイヤ挙動のシミュレーション演算等の有限要素解析では、タイヤモデルはタイヤ周方向に変形するので、計算精度を確保するうえで3次元タイヤモデルを用いるのが好ましい。
【0075】
また、図8に示すようなロバスト性の評価を行ってタイヤの設計を行う場合、所定のプログラムを実行してコンピュータ上で設計を行うのが好ましいが、この場合、きわめて多数のタイヤモデルを作成してタイヤ挙動のシミュレーション演算を行い、演算時間も長大となることから、作成されたタイヤモデル毎に別々のコンピュータで独立に処理するように、複数のコンピュータを設けて分散処理を行うのが好ましい。
また、タイヤモデルは、回転体形状であり、処理前のタイヤ形状はタイヤ周状で比較的揃っているので、タイヤモデルをタイヤ周方向に沿って等分割、例えば、2分割、3分割・・・等のように領域分割して、独立したコンピュータで並列計算を行わせ、演算の負荷を一様にしてもよい。これにより、長大な計算時間を効率よく短縮することができる。
【0076】
以上、本発明のタイヤ経時変化予測方法、タイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法、空気入りタイヤおよびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0077】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、タイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いて予測し、このタイヤモデルに基づいて、経時変化後のタイヤ特性を予測することができる。
さらに、初期状態および経時変化した状態においても、良好なタイヤ特性および優れたロバスト性を備えたタイヤを設計することができる。
さらに、所望のタイヤ形状を備える経時変化したタイヤモデルから初期タイヤモデル、さらにはタイヤを製造する加硫用金型内面形状を設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラック・バス用タイヤの断面形状の構成の一例を示した断面図である。
【図2】本発明のタイヤ経時変化予測方法において用いられるタイヤモデルの一例を示す図である。
【図3】本発明のタイヤ特性予測方法を行う装置の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明のタイヤ特性予測方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【図5】空気入りタイヤの経時変化の一例を示す図である。
【図6】空気入りタイヤの経時変化を説明する説明図である。
【図7】本発明のタイヤ特性予測方法の他の例の流れの要部を示すフローチャートである。
【図8】本発明のタイヤ設計方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【図9】図8に示すタイヤ設計方法で用いる誤差因子を説明する図である。
【図10】図8に示すタイヤ設計方法で用いる制御因子の割り付けを説明する図である。
【図11】図8に示すタイヤ設計方法で得られる標準偏差を説明する図である。
【図12】本発明のタイヤ設計方法の他の例の流れを示すフローチャートである。
【図13】図10に示すタイヤ設計方法で用いる逆形状決定手法を説明する図である。
【符号の説明】
10 タイヤ
12 カーカス部材
14 ベルト部材
16 トレッド部材
18 ビード部材
20 サイド部材
30 タイヤモデル

Claims (28)

  1. 空気入りタイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いて予測するタイヤ経時変化予測方法であって、
    タイヤ形状の経時変化を予測する初期タイヤ形状を備える空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現した初期タイヤモデルを作成するモデル作成ステップと、
    作成された初期タイヤモデルに内圧充填処理を施す内圧充填処理ステップと、
    この内圧充填処理により前記初期タイヤモデルに作用する応力および前記初期タイヤモデルに用いた材料定数の少なくとも一方を調整することで経時変化後のタイヤモデルを作成し、この作成したタイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する経時変化予測ステップと、を有することを特徴とするタイヤ経時変化予測方法。
  2. 前記経時変化予測ステップにおいて、前記内圧充填処理により変形した前記初期タイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備えた調整タイヤモデルを作成し、この調整タイヤモデルに内圧充填処理を施して得られるタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する請求項1に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  3. 前記経時変化予測ステップにおいて作成される前記調整タイヤモデルは、前記初期タイヤモデルに内圧充填処理を施した際に前記初期タイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えるモデルである請求項2に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  4. 前記経時変化予測ステップにおいて、タイヤモデルから調整タイヤモデルを作成する処理であって、内圧充填処理により変形したタイヤモデルのタイヤ形状を内圧充填処理前のタイヤ形状として備えた調整タイヤモデルを作成する調整処理を行い、
    この調整処理を最初に行うタイヤモデルを前記初期タイヤモデルとし、前記調整処理で作成された前記調整タイヤモデルをさらに前記調整処理を行うタイヤモデルとすることにより、前記調整処理を所定回数繰り返し行い、最後に作成された調整タイヤモデルの内圧充填処理後のタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する請求項1に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  5. 前記調整処理において作成される前記調整タイヤモデルは、前記調整処理を行うタイヤモデルに内圧充填処理を施した際にこのタイヤモデルに作用する応力を調整した値を初期応力として備えるモデルである請求項4に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  6. 前記経時変化予測ステップにおいて、前記初期タイヤモデルに作用する応力の大きさを減じた値を前記初期応力とする請求項3または5に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  7. 前記経時変化予測ステップにおいて、前記初期タイヤモデルに前記内圧充填処理を施した状態のまま、前記初期タイヤモデルの材料定数を調整することにより変形した前記初期タイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する請求項1に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  8. 前記材料定数の調整は、空気入りタイヤの経過時間の測度に応じて行う、弾性率およびポアソン比の少なくとも一方の調整である請求項7に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  9. 前記経過時間の測度は、空気入りタイヤにおけるタイヤトレッド部の残溝の溝深さの、初期溝深さに対する比率である請求項8に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  10. 前記経過時間の測度は、タイヤ形状の経時変化を予測する空気入りタイヤの走行距離である請求項8に記載のタイヤ経時変化予測方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ経時変化予測方法を用いて作成された経時変化後のタイヤモデルを用いて経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法であって、
    前記経時変化後のタイヤモデルに接地処理を施す接地処理ステップと、
    前記接地処理の施された前記経時変化後のタイヤモデルを用いて特性物理量を求める物理量抽出ステップと、を有し、
    求められた特性物理量から空気入りタイヤのタイヤ特性を予測することを特徴とするタイヤ特性予測方法。
  12. 前記接地処理の施された前記経時変化後のタイヤモデルに転動処理を施す転動処理ステップをさらに有し、
    前記物理量抽出ステップでは、前記転動処理の施された前記経時変化後のタイヤモデルを用いて特性物理量を求める請求項11に記載のタイヤ特性予測方法。
  13. 前記特性物理量は、タイヤ断面における注目する部位の主歪みがタイヤ周状位置に対して変化する際の変動幅である請求項11または12に記載のタイヤ特性予測方法。
  14. 前記特性物理量は、前記経時変化後のタイヤモデルにおけるベルト端部のベルト層間剪断歪みである請求項11〜13のいずれか1項に記載のタイヤ特性予測方法。
  15. 前記特性物理量として、接地形状、接地圧分布および摩擦エネルギーのうち少なくとも1つを求める請求項11または12に記載のタイヤ特性予測方法。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ経時変化予測方法において作成した前記初期タイヤモデルと、この初期タイヤモデルから作成された経時変化後のタイヤモデルとに対して所定の使用条件を与えて空気入りタイヤの挙動をシミュレートすることにより、初期タイヤ特性および経時変化後のタイヤ特性を予測して、空気入りタイヤを設計するタイヤ設計方法であって、
    前記初期タイヤモデルの設計パラメータと前記経時変化後のタイヤモデルの設計パラメータ、および、前記使用条件の少なくとも一方を誤差因子として変動させて空気入りタイヤの挙動をシミュレートするシミュレーションステップと、
    前記シミュレーションステップによるシミュレーション結果から前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルの特性物理量と、この特性物理量の、前記誤差因子の変動に対する誤差変動量とを算出する変動算出ステップとを有し、
    前記特性物理量と前記特性物理量の誤差変動量とに基づいて、空気入りタイヤを設計することを特徴とするタイヤ設計方法。
  17. 前記初期タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルにおける前記特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、これらの特性物理量が所定の範囲内に収まるように、前記初期タイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップと、を有する請求項16に記載のタイヤ設計方法。
  18. 内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤのタイヤ形状から、この空気入りタイヤの初期タイヤ形状を予測することにより、空気入りタイヤを設計するタイヤ設計方法であって、
    内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現したタイヤモデルを作成するモデル作成ステップと、
    作成された前記タイヤモデルとこのタイヤモデルに付与される境界条件と前記タイヤモデルに付与される内圧とを用いて初期空気入りタイヤを再現した初期タイヤ形状を備える初期タイヤモデルを算出するモデル算出ステップと、を有し、
    算出された前記初期タイヤモデルを用いて空気入りタイヤを設計することを特徴とするタイヤ設計方法。
  19. さらに、空気入りタイヤを製造する際のポストキュアインフレーションを模擬した境界条件とこのポストキュアインフレーション時の空気入りタイヤに付与される圧力とを用いて、前記初期タイヤモデルから空気入りタイヤを製造する加硫金型内面形状を算出する金型形状算出ステップを有する請求項18に記載のタイヤ設計方法。
  20. 前記モデル作成ステップにおいて作成されるタイヤモデルは、タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、タイヤモデルを用いて算出される特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、この特性物理量が所定の範囲内に収まるように決定された設計パラメータの値を備えるモデルである請求項18または19に記載のタイヤ設計方法。
  21. 前記モデル算出ステップは、前記モデル算出ステップで処理されるタイヤモデルを内圧充填処理の施されたタイヤモデルと見做して、内圧充填処理前のタイヤ形状を備えるタイヤモデルを算出する処理を行う請求項18〜20のいずれか1項に記載のタイヤ設計方法。
  22. 前記モデル作成ステップで作成されたタイヤモデルを前記モデル算出ステップで最初に処理されるタイヤモデルとし、前記モデル算出ステップで算出されたタイヤモデルを前記モデル算出ステップで処理されるタイヤモデルとすることにより、前記処理を繰り返し行って前記初期タイヤモデルを算出する請求項21に記載のタイヤ設計方法。
  23. 請求項16〜22のいずれか1項に記載のタイヤ設計方法を用いて設計された空気入りタイヤを製造することを特徴とするタイヤ製造方法。
  24. 請求項23に記載のタイヤ製造方法を用いて製造されたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  25. 空気入りタイヤの使用に伴うタイヤ形状の経時変化を、タイヤモデルを用いてコンピュータに予測させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、
    タイヤ形状の経時変化を予測する、初期タイヤ形状を備える空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現した初期タイヤモデルを作成するモデル作成ステップをコンピュータの演算手段に行わせる手順と、
    作成された初期タイヤモデルに内圧充填処理を施す内圧充填処理ステップを前記演算手段に行わせる手順と、
    この内圧充填処理により前記初期タイヤモデルに生じ前記初期タイヤモデルに作用する応力および前記初期タイヤモデルに用いた材料定数の少なくとも一方を調整することで経時変化後のタイヤモデルを作成し、この作成したタイヤモデルのタイヤ形状を用いて、経時変化後の空気入りタイヤのタイヤ形状を予測する経時変化処理ステップを前記演算手段に行わせる手順と、を有することを特徴とするプログラム。
  26. 請求項25に記載のプログラムを用いて作成された前記経時変化後のタイヤモデルとこの前記経時変化後のタイヤモデルを作成するために用いた前記初期タイヤモデルとを用いて、コンピュータに空気入りタイヤを設計させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、
    前記初期タイヤモデルの設計パラメータと前記経時変化後のタイヤモデルの設計パラメータ、および、前記使用条件の少なくとも一方を誤差因子として変動させて空気入りタイヤの挙動をシミュレートするシミュレーションステップをコンピュータの演算手段に行わせる手順と、
    前記シミュレーションステップによるシミュレーション結果から前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルの特性物理量と、この特性物理量の、前記誤差因子の変動に対する誤差変動量を算出する変動算出ステップを前記演算手段に行わせる手順と、
    前記初期タイヤモデルの設計パラメータを制御因子として変更して、前記初期タイヤモデルおよび前記経時変化後のタイヤモデルにおける前記特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、これらの特性物理量が所定の範囲内に収まるように前記初期タイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップを前記演算手段に行わせる手順と、を有することを特徴とするプログラム。
  27. 内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤのタイヤ形状から、この空気入りタイヤの初期タイヤ形状を、コンピュータに予測させる、コンピュータが実行可能なプログラムであって、
    内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤを有限個の要素を用いて再現したタイヤモデルを作成するモデル作成ステップをコンピュータの演算手段に行わせる手順と、
    作成された前記タイヤモデルとこのタイヤモデルに付与される境界条件と前記タイヤモデルに付与される内圧とを用いて初期空気入りタイヤを再現した初期タイヤ形状を備える初期タイヤモデルを算出するモデル算出ステップを前記演算手段に行わせる手順と、を有することを特徴とするプログラム。
  28. 前記モデル作成ステップを前記演算手段に行わせる手順の前に、作成されるタイヤモデルの設計パラメータを制御因子とし、タイヤモデルを用いて算出される特性物理量の誤差変動量が所定の範囲内に収まり、かつ、この特性物理量が所定の範囲内に収まるようにタイヤモデルの設計パラメータの値を決定するパラメータ値決定ステップを前記演算手段に行わせる手順を有し、決定された設計パラメータを備えるタイヤモデルを、内圧充填されかつタイヤ形状が経時変化した空気入りタイヤを再現したタイヤモデルとする請求項27に記載のプログラム。
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