JP5186856B2 - タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法 - Google Patents

タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5186856B2
JP5186856B2 JP2007247706A JP2007247706A JP5186856B2 JP 5186856 B2 JP5186856 B2 JP 5186856B2 JP 2007247706 A JP2007247706 A JP 2007247706A JP 2007247706 A JP2007247706 A JP 2007247706A JP 5186856 B2 JP5186856 B2 JP 5186856B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
tire model
model
shape
simulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007247706A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009078618A (ja
Inventor
勇司 児玉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2007247706A priority Critical patent/JP5186856B2/ja
Publication of JP2009078618A publication Critical patent/JP2009078618A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5186856B2 publication Critical patent/JP5186856B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Description

本発明は、タイヤのシミュレーション計算に用いるタイヤモデルを作成するタイヤモデルの作成方法、及び、この作成方法を用いたタイヤのシミュレーション方法に関する。
今日、タイヤ特性を解析するために、タイヤモデルを用いてシミュレーション計算を行うが、コンピュータの能力向上に伴って種々のシミュレーション計算が提案されている。例えば、所定の転動速度におけるコーナリング特性を算出するために、コーナリングフォースを算出する手法等が提案されている。
これらのシミュレーションは、タイヤ特性の検討のために、タイヤモデルの形状を可能な限り実際のタイヤの形状に一致させたタイヤモデルを作成することによって行う。タイヤモデルの形状を実際のタイヤの形状に可能な限り一致させるのは、タイヤの外形形状がタイヤ特性に与える影響は極めて大きいからである。タイヤの外形形状が異なると、タイヤの接地形状や接地圧分布が変わり、コーナリング特性等のタイヤの特性が変化する。
一方において、下記特許文献1には、解析対象のタイヤの外側断面形状を予め常温状態で計測し、この計測結果のタイヤの外側断面形状を基準として外側断面形状内部にタイヤ基本モデルを設定して、解析対象のタイヤのタイヤモデルを作成する方法が記載されている。これによって、タイヤモデルを用いた解析で使用状態に近いタイヤモデルを構築することができる、とされている。
しかし、上記特許文献1では、解析対象とするタイヤの外側断面形状を予め計測する必要があるので、実際に作製したタイヤを解析対象とする。したがって、この方法で作製されるタイヤモデルは、実際のタイヤの外形形状を正確に再現できても、タイヤを作製するために用いるタイヤの加硫用金型の内面形状との関係が不明なので、この加硫用金型から、どのようなタイヤ形状を有するタイヤが作製され、その作製されたタイヤがどのようなタイヤ特性を発揮するか、予測することはできない。一方において、加硫用金型を用いて作製されたタイヤの外形形状は、そのタイヤの作製に用いた加硫用金型の内面形状とは一致しないことも当業者では周知の事項である。
このため、タイヤの加硫用金型の内面形状から作製されるタイヤの外形形状を予測することはできず、したがって、タイヤの加硫用金型の内面形状から、この加硫用金型によって作製されるタイヤのタイヤ特性を予測することも、解析することもできない。
特開2006−123644号公報
そこで、本発明は、タイヤのシミュレーション計算に用いるタイヤモデルを作成するとき、タイヤの加硫用金型の内面形状から、この加硫用金型によって作製されるタイヤのタイヤ特性を予測することが可能なタイヤモデルの作成方法を提供するとともに、この方法によって作成されたタイヤモデルを用いたタイヤのシミュレーション方法を提供することを目的とする。
本発明は、タイヤのシミュレーション計算に用いるタイヤモデルを作成するタイヤモデルの作成方法であって、タイヤの加硫用金型の内面形状を所定の外形形状として備える第1のタイヤモデルを作成するステップと、第1のタイヤモデルの、少なくともタイヤトレッド部材に対応する部分に、前記タイヤトレッド部材の熱膨張係数を付与するステップと、前記熱膨張係数の付与された第1のタイヤモデルに対して、所定の温度低下を与えて熱変形解析を行うステップと、変形した前記第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とし、かつ、変形した前記第1のタイヤモデルに生じた歪みや応力を持たない第2のタイヤモデルを初期タイヤモデルとして作成するステップと、を有することを特徴とするタイヤモデルの作成方法を提供する。
また、前記第2のタイヤモデルは、前記外周面の形状のみならず、その内周面の形状も、熱変形した前記第1のタイヤモデルの形状に合せてあり、前記第1のタイヤモデルおよび前記第2のタイヤモデルを有限要素モデルとした場合に、前記第2のタイヤモデルは、熱変形を受ける前の前記第1のタイヤモデルとは、外形形状のみが異なり、有限要素モデル内での各要素の構成は同じであることが好ましい。
その際、前記熱変形解析を行うステップでは、前記熱変形解析の他に内圧充填処理を施
し、これらの処理によって変形した第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とする第2
のタイヤモデルを初期タイヤモデルとして作成することが好ましい
、前記第1のタイヤモデルに設定される前記熱膨張係数の値は、その値と前記温度低下の積の絶対値が0.001〜0.1となるように、設定されることが好ましい。
さらに、本発明は、前記タイヤモデル作成方法で作成された初期タイヤモデルを用いて、タイヤのシミュレーションを行うことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法を提供する。
本発明では、作成した所定の外形形状を備える第1のタイヤモデルの、少なくともタイヤトレッド部材に対応する部分に熱膨張係数を付与し、所定の温度変化を与えて熱変形解析を行った後、この結果変形した第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とする第2のタイヤモデルを初期タイヤモデルとして作成する。このため、所定の外形形状を例えばタイヤの加硫用金型の内面形状とすることにより、タイヤの加硫用金型の内面形状から、この加硫用金型によって作製されるタイヤの外形形状が予測でき、タイヤ特性を予測、解析することができる。
以下、添付の図面に示す実施形態に基づいて、本発明のタイヤモデルの作成方法及びタイヤのシミュレーション方法を詳細に説明する。
図1に示すシミュレーション装置10は、概説すると以下の処理を実行する。まず、タイヤの加硫用金型の内面形状を外形形状として備える第1のタイヤモデルを作成し、作成した第1のタイヤモデルの、少なくともタイヤトレッド部材に対応する部分に、タイヤトレッド部材の材料物性値として熱膨張係数を付与する。次に、熱膨張係数の付与された第1のタイヤモデルに対して、所定の温度変化、例えば加硫温度から室温程度までの温度変化を与えて熱変形解析を行う。この熱変形解析によって変形した第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とする第2のタイヤモデルを初期タイヤモデルとして作成し、この作成した初期タイヤモデルをシミュレーション計算に用い、シミュレーション結果を出力する。
シミュレーション装置10は、CPU12、メモリ14及び入出力ユニット16を備えるコンピュータによって構成される。コンピュータには、入出力ユニット16を介して、マウスやキーボード等の入力操作系26とディスプレイ28とプリンタ30が接続されている。
メモリ14に記憶されたプログラムを読み出しプログラムを実行することにより、条件作成モジュール18、熱変形解析モジュール20、タイヤモデル作成モジュール22、およびシミュレーション演算モジュール24の各プログラムモジュール群が形成される。
CPU12は、各プログラムモジュールの動作を制御管理するとともに、各プログラムモジュールの処理内容を実質的に演算処理する部分でもある。
条件作成モジュール18は、有限要素法を用いたタイヤモデルを作成するためのモデル条件を設定し、さらに、タイヤの接地状態あるいは転動状態をシミュレーションにより再現するときのシミュレーション条件等を設定する部分である。例えば、タイヤモデルの要素数や節点数等のモデルの構成を定める情報や、タイヤの部材の材料パラメータの値を設定する。又、タイヤモデルに施す内圧や接地荷重や走行速度等のシミュレーション条件を設定する。
これらの設定内容は、入力操作系26からのオペレータの指示に従って作成され、メモリ14に記憶保持されている。オペレータによる指示は、オペレータがディスプレイ28に表示された入力設定画面を見ながら為される。シミュレーションを行うとき、この記憶された内容は、条件作成モジュール18によって呼び出されてモデル作成条件及びシミュレーション条件が設定される。
熱変形解析モジュール20は、後述するタイヤモデル作成モジュール22で作成された第1のタイヤモデルに対して熱変形解析を行う部分である。具体的には、第1のタイヤモデルは、タイヤの加硫用金型の内面形状を外形形状として備える有限要素モデルであり、材料物性値には、ヤング率及びせん断剛性等の力学特性を表す材料物性値の他に、熱膨張係数が少なくとも含まれている。本願発明では、これらの値を、材料パラメータと呼ぶ。したがって、第1のタイヤモデルに対して、雰囲気温度が加硫温度170℃から室温の20℃に低下することを再現するように、温度変化を−150℃に設定することで、温度変化に基づいてタイヤモデルに現れる歪み分布、応力分布及び熱変形を計算することができる。熱膨張係数は、温度1℃上昇したときの長さ又は体積の変化率をいう。ここで、第1のタイヤモデルのうち、少なくともトレッドゴム部材に相当する部分に熱膨張係数を付与することが好ましい。トレッドゴム部材は、タイヤの他の構成部材、例えば、サイドゴム部材、ビードフィラーゴム部材、リムクッションゴム部材、インナーライナーゴム部材、ベルト部材に用いるコードゴム部材等に比べて体積比率が大きいので、他の構成部材に比べて熱収縮は大きい。このため、少なくともトレッドゴム部材に相当する部分に熱膨張係数を付与することが好ましい。
熱変形解析モジュール20で算出された熱変形解析後の第1のタイヤモデルのデータはメモリ14に記憶される。
タイヤモデル作成モジュール22は、条件作成モジュール18で作成されメモリ14に記憶されているタイヤモデルを作成するためのモデル条件を呼び出して設定し、あるいはメモリ14に記憶されている第1のタイヤモデルの熱変形解析後のデータを呼び出し、この呼び出した条件やデータに基づいてタイヤモデルを作成する部分である。タイヤモデルは、第1のタイヤモデル及び第2のタイヤモデルを含む。第1のタイヤモデルは、熱変形解析を行うための有限要素モデルからなるモデルで、タイヤの加硫用金型の内面形状を外形形状として備える。又、第1のタイヤモデルには、ヤング率、せん断剛性、ポアソン比等の力学特性を示す材料物性値が付与されている他、上述したように、少なくともトレッド部材に相当する部分に、熱変形解析による変形が生じるように熱膨張係数が付与されている。第2のタイヤモデルは、熱変形解析後の第1のタイヤモデルのデータを用いて、熱変形後の第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とする、有限要素モデルからなるモデルである。
第2のタイヤモデルには、後述するシミュレーション演算を行うために必要な材料物性値が付与されている。作成された第2のタイヤモデルのデータはメモリ14に記憶される。
シミュレーション演算モジュール24では、設定されたシミュレーション条件に従って、第2のタイヤモデルに対して内圧充填処理、接地処理を行い、さらに、必要に応じて転動処理を行って、タイヤの転動を再現したシミュレーションを行う。例えば、転動速度を50(km/時)として転動処理を行い、この後、スリップ角を1度与えてコーナリング走行を再現したシミュレーションを行う。
このようなシミュレーションの結果のデータは、メモリ14に記憶されるとともに、入出力ユニット16を介して、シミュレーション結果はディスプレイ28に画面表示され、あるいはプリンタ30に出力される。
以上の構成のシミュレーション装置10が実行するタイヤのシミュレーション方法についてより詳細に説明する。
図2は、本発明のタイヤのシミュレーション方法の一実施形態の処理のフローを示すフローチャートである。
まず、タイヤモデルを作成する上でのモデル条件及びシミュレーション演算を行う上でのシミュレーション条件の作成が行われる(ステップS10)。モデル条件及びシミュレーション条件は、入力操作系26を介してオペレータが画面を見ながら入力することによって作成される。作成されたモデル条件及びシミュレーション条件はメモリ14に記憶される。
モデル条件として、有限要素モデルの各要素の配置に関する情報、要素数及び節点数、さらには、各要素に付与する材料パラメータの値等が挙げられる。シミュレーション条件として、内圧、接地荷重、転動速度、路面の凹凸の他、タイヤモデルに付与するスリップ角、キャンバー角、トー角、スリップ率、路面との間の摩擦係数等の走行条件が挙げられる。
次に、タイヤモデル作成モジュール22は、メモリ14から呼び出され設定されたタイヤモデルのモデル条件に従って、第1のタイヤモデルを作成する(ステップS20)。又、シミュレーション条件において路面に接地するシミュレーションを行うことが設定されているとき、このシミュレーション条件に応じて路面モデルが作成される。
次に、タイヤモデル作成モジュール22は、作成された第1のタイヤモデルに設定されたモデル条件に従って、第1のタイヤモデルに熱膨張係数を付与する(ステップS30)。勿論、力学特性を示す材料物性値も付与される。
図3には、作成された第1のタイヤモデルTの断面形状が示されている。タイヤモデルTの外形形状は、タイヤの加硫用金型の内面形状に一致する形状となっている。タイヤモデルTの作成とは、具体的に、タイヤモデルTの各要素における番号付けられた節点の座標位置のデータと、各要素を構成する節点の番号のデータと、シミュレーション条件のデータと、がタイヤモデルのファイルとしてまとめられることをいう。さらに、第1のタイヤモデルのデータに、ヤング率、せん断剛性、ポアソン比の材料物性値の他に、熱膨張係数の値が付与される。なお、温度変化による熱ひずみは、熱膨張係数と温度変化の積によって定まるので、この積の値が同じであれば同じ熱ひずみが生じる。ゴム部材の熱膨張係数は10-5〜5×10-4であり、加硫温度から室温までの温度変化は略150℃である。本実施形態では、熱膨張係数と温度変化の積の絶対値が0.001〜0.1の範囲内であればよい。さらに、熱膨張係数と温度変化の積が同じ値であり、その積の絶対値が0.001〜0.1の範囲にあれば、熱膨張係数の値と温度変化をどのように設定して付与してもよい。例えば、温度変化を10倍にすれば、熱膨張係数を10分の1に設定しても、熱変形解析の結果は変化しない。
次に、熱変形解析モジュール20は、作成された第1のタイヤモデルに対して上述した温度変化を与えて、熱変形解析を行う(ステップS40)。熱変形解析では、少なくともトレッド部材に相当する要素には熱膨張係数が付与され、温度が150℃低下するので、この熱膨張係数によって要素は熱収縮し、これによって第1のタイヤモデルに熱ひずみが生じるとともに、要素の各節点の位置が変位して第1のタイヤモデルが変形する。熱変形解析では、例えば、タイヤがリムと接触する部分に相当する第1のタイヤモデルの節点の位置において変位を固定することにより行う。
次に、タイヤモデル作成モジュール22は、熱変形を受けた第1のタイヤモデルの外形形状が外形形状となる第2のタイヤモデルを作成する(ステップS50)。熱変形をうけた第1のタイヤモデルは、歪みや応力が生じているが、作成される第2のタイヤモデルは、この歪みや応力を持たず、熱変形をうけた第1のタイヤモデルの外形形状と同じ外形形状を有する。ここで、第2のタイヤモデルは、タイヤモデルのトロイダル形状の外周面の形状のみならず、内周面の形状も、熱変形した第1のタイヤモデルの形状に合せる。
したがって、第2のタイヤモデルは、熱変形を受ける前の第1のタイヤモデルとは、外形形状のみが異なり、モデル内での各要素の構成は同じである。一方、各要素の節点の位置座標は、外形形状が変化することにより変わる。作成された第2のタイヤモデルのデータは、初期タイヤモデルとしてメモリ14に記憶される。
シミュレーション演算モジュール24は、こうして作成された初期タイヤモデルのデータを呼び出し、ステップS10で作成されたシミュレーション条件に従って、初期タイヤモデルに、内圧充填処理、接地処理及び転動処理を施することで、所望のシミュレーション演算を行う(ステップS60)。
内圧充填処理は、タイヤをリム組して内圧を充填する工程を再現したもので、タイヤモデルの内周面に、タイヤ内圧に相当する圧力を負荷する処理をいう。具体的には、第2のタイヤモデルのデータから、内圧充填処理のために表した行列を用いた式が作成され、この式に対して、上記所定の圧力を外力として付与して節点の変位、歪み等を算出することによって、内圧充填処理後のタイヤモデルのデータを算出する。算出されたタイヤモデルのデータは、メモリ14に記憶される。
接地処理は、生成された路面モデルに対して内圧充填処理の施されたタイヤモデルを接地させる処理である。具体的には、タイヤ初期モデルと路面モデルとの間の距離を徐々に狭くして、初期タイヤモデルが路面モデルに接地した状態を計算し、路面モデルが初期タイヤモデルに作用する反力を計算する。この反力が目標とする値(接地荷重)になるまで初期タイヤモデルと路面モデルとの間の距離を狭くして行き、反力が目標とする値になるまで繰り返す。このような接地処理では、内圧充填処理を施した初期タイヤモデルのデータをメモリ14から呼び出して、このデータから接地処理のために表した行列を用いて接地処理の演算が行われる。演算されて得られた接地処理後の初期タイヤモデルのデータはメモリ14に記憶される。
転動処理は、路面モデルに対して、設定された走行速度で初期タイヤモデルが走行するようにする処理である。この処理は、所定の時間ステップで解析時間を刻みながら、逐次計算することによって行われる。転動処理では、具体的には、初期タイヤモデルに並進運動とタイヤ回転軸周りの回転運動とを別々に与える。並進運動については、設定された走行速度で初期タイヤモデルが平行移動するように、初期タイヤモデルの各節点に、時間ステップの時間刻み幅に対応した平行移動の変位を付与する。一方、回転運動については、タイヤ回転軸の周りに回転するように、所定の角速度に対応した変位を付与する。なお、自由転動処理は、タイヤ回転軸周りの回転トルクが略0の状態を再現するが、初期タイヤモデルは接地荷重によって変形しているので、走行速度を初期タイヤモデルの半径で割った値を角速度としても、回転トルクが略0とはならず、初期タイヤモデルは自由転動状態となっていない。このため、自由転動状態(回転トルク略0の状態)を探索するために、本実施形態では、初期タイヤモデルに付与する角速度を逐次変更しつつ自由転動状態を設定する。あるいは、初期タイヤモデルの回転軸を、回転自由度の拘束されない回転フリー状態とし、初期タイヤモデルが所定の走行速度で移動するように変位を与えることによって、初期タイヤモデルが自由転動する転動処理を行ってもよい。
こうして自由転動状態の初期タイヤモデルに対してシミュレーション条件に従って、必要に応じて、スリップ角、キャンバー角、路面の凹凸条件等を変更して、初期タイヤモデルに作用する物理量、例えば回転軸に作用する横力、前後力等を算出する。
算出された物理量は、シミュレーション結果として、転動状態の初期タイヤモデルのデータとともに、メモリ14に記憶するとともに、入出力ユニット16を介してディスプレイ28及びプリンタ30に出力する(ステップS70)。
なお、上記実施形態では、加硫温度170℃から室温20℃まで、温度変化150℃を与えて熱変形解析を行った第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とする第2のタイヤモデルを初期タイヤモデルとした。本発明では、別の実施形態として、作成された第1のタイヤモデルに対して、熱変形解析の他に所定の内圧充填処理を施すことにより変形した第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とするタイヤモデルを初期タイヤモデルとしてもよい。第1のタイヤモデルに対して所定の内圧充填処理を施すのは、実際のタイヤの製造工程では、加硫用金型から取り出されたタイヤはPCI(Post Curing Inflation)工程と呼ばれる内圧付与工程がタイヤ形状を安定化させるために行われており、この工程を再現するためである。PCI工程を経たタイヤの外形形状は、加硫用金型から取り出されたタイヤの外形形状に比べて大きくなっている。
PCI工程を再現した内圧充填処理は、熱変形解析の後工程として行う他、熱変形解析の前工程として行ってもよいし、熱変形解析と同時に行ってもよい。
図4(a)は、タイヤの加硫用金型の内面形状を外側形状としてタイヤモデルを作成したときのタイヤモデルの外形形状と、上記加硫用金型を用いてタイヤを作製したときのタイヤの実測の外形形状とを重ね書きすることにより、外形形状の差異を示している。実測の外形形状は、太線Aで記されている。
一方、図4(b)は、図2に示す処理フローで作成した初期タイヤモデルの外形形状と、上記加硫用金型を用いてタイヤを作製したときのタイヤの実測の外形形状とを重ね書きすることにより、外形形状の差異を示している。実測の外形形状は、太線Aで記されている。トレッド部材に相当する各要素に、熱膨張係数1.4×10-4を付与した。図4(a),(b)に示すタイヤモデルは、節点数約59000、要素数約54000の3次元モデルである。
図4(a)及び(b)を比べると、図4(a)に示すタイヤモデルの外形形状の、太線Aの実測の外形形状に対する差異はショルダー領域Sで大きくなっている。これに対して、図4(b)に示す初期タイヤモデルの外形形状の、太線Aの実測の外形形状に対する差異は図4(a)に示す差異に比べて全体的に小さく、ショルダー領域でも太線Aとの差異は小さい。これより、図2に示す処理フローで作成した初期タイヤモデルは、実測のタイヤの外形形状に近い形状を備えることが判る。
図5(a)は、図2に示す処理フローで作成した初期タイヤモデルに対して、内圧230(kPa)、接地荷重4.5(kN)のシミュレーション条件で内圧充填処理及び接地処理を施したときの、接地形状を示す図である。図5(b)は、図4(a)に示すタイヤモデルに対して、上記シミュレーション条件と同様の内圧及び接地荷重の条件で内圧充填処理及び接地処理を施したときの、接地形状を示す図である。
太線Bは、上記加硫用金型を用いて実際のタイヤを作製したときの、そのタイヤにおける内圧230(kPa)、接地荷重4.5(kN)の条件での実測の接地形状の輪郭を示す。
図4(a)に示す初期タイヤモデルの接地形状は、図4(b)に示すタイヤモデルの接地形状に比べて、実測の接地形状に近いことが判る。これより、図2に示す処理フローで作成した初期タイヤモデルの接地形状は実際のタイヤの接地形状に近いことが判る。実際、タイヤ特性は、路面と接触して形成される接地形状及び接地圧分布に大きな影響を受けて定まっているので、接地形状を実測のタイヤに近づけることができる本発明のタイヤモデル作成方法を用いることにより、タイヤ特性を精度良く予測することが可能となる。
以上、本発明のタイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明のタイヤモデルの作成方法およびシミュレーション方法を実施するシミュレーション装置の概略構成図である。 本発明のタイヤのシミュレーション方法の一実施形態の処理のフローを示すフローチャートである。 本発明のタイヤモデルの作成方法で用いる第1のタイヤモデルの一例を示す断面図である。 (a)及び(b)は、作成されたタイヤモデルの外形形状と実際のタイヤの外形形状との差異を示す図である。 (a)及び(b)は、作成されたタイヤモデルの接地形状と実際のタイヤの接地形状との差異を示す図である。
符号の説明
10 シミュレーション装置
12 CPU
14 メモリ
16 入出力ユニット
18 条件作成モジュール
20 熱変形解析モジュール
22 タイヤモデル作成モジュール
24 シミュレーション演算モジュール
26 入力操作系
28 ディスプレイ
30 ディスプレイ

Claims (5)

  1. タイヤのシミュレーション計算に用いるタイヤモデルを作成するタイヤモデルの作成方法であって、
    タイヤの加硫用金型の内面形状を所定の外形形状として備える第1のタイヤモデルを作成するステップと、
    第1のタイヤモデルの、少なくともタイヤトレッド部材に対応する部分に、前記タイヤトレッド部材の熱膨張係数を付与するステップと、
    前記熱膨張係数の付与された第1のタイヤモデルに対して、所定の温度低下を与えて熱変形解析を行うステップと、
    変形した前記第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とし、かつ、変形した前記第1のタイヤモデルに生じた歪みや応力を持たない第2のタイヤモデルを初期タイヤモデルとして作成するステップと、を有することを特徴とするタイヤモデルの作成方法。
  2. 前記第2のタイヤモデルは、前記外周面の形状のみならず、その内周面の形状も、熱変形した前記第1のタイヤモデルの形状に合せてあり、前記第1のタイヤモデルおよび前記第2のタイヤモデルを有限要素モデルとした場合に、前記第2のタイヤモデルは、熱変形を受ける前の前記第1のタイヤモデルとは、外形形状のみが異なり、有限要素モデル内での各要素の構成は同じであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤモデルの作成方法。
  3. 前記熱変形解析を行うステップでは、前記熱変形解析の他に内圧充填処理を施し、これらの処理によって変形した第1のタイヤモデルの外形形状を外形形状とする第2のタイヤモデルを初期タイヤモデルとして作成する請求項1又は2に記載のタイヤモデルの作成方法。
  4. 前記第1のタイヤモデルに設定される前記熱膨張係数の値は、その値と前記温度低下の積の絶対値が0.001〜0.1となるように、設定される請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤモデルの作成方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成方法で作成された初期タイヤモデルを用いて、タイヤのシミュレーションを行うことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。
JP2007247706A 2007-09-25 2007-09-25 タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法 Active JP5186856B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007247706A JP5186856B2 (ja) 2007-09-25 2007-09-25 タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007247706A JP5186856B2 (ja) 2007-09-25 2007-09-25 タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009078618A JP2009078618A (ja) 2009-04-16
JP5186856B2 true JP5186856B2 (ja) 2013-04-24

Family

ID=40653714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007247706A Active JP5186856B2 (ja) 2007-09-25 2007-09-25 タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5186856B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5297223B2 (ja) * 2009-02-17 2013-09-25 住友ゴム工業株式会社 タイヤモデルの作成方法及びタイヤのシミュレーション方法
JP5721982B2 (ja) * 2010-09-13 2015-05-20 株式会社ブリヂストン タイヤ性能シミュレーション方法、タイヤ性能シミュレーション装置、及びタイヤ性能シミュレーションプログラム
JP5993185B2 (ja) * 2012-04-05 2016-09-14 住友ゴム工業株式会社 タイヤの転動シミュレーション方法
JP6349723B2 (ja) * 2013-12-25 2018-07-04 横浜ゴム株式会社 シミュレーション方法、その装置およびプログラム
JP6329440B2 (ja) * 2014-06-18 2018-05-23 住友ゴム工業株式会社 タイヤのシミュレーション方法
JP7137461B2 (ja) * 2018-12-20 2022-09-14 Toyo Tire株式会社 シミュレーション装置、シミュレーション方法、およびプログラム
CN110000293B (zh) * 2019-03-07 2020-08-07 南京航空航天大学 一种考虑非均匀温度场的复杂曲面件热成形模具设计方法
JP7323340B2 (ja) * 2019-06-11 2023-08-08 Toyo Tire株式会社 空気入りタイヤのシミュレーション装置、シミュレーション方法、およびプログラム

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002264134A (ja) * 2001-03-08 2002-09-18 Bridgestone Corp タイヤの加硫方法およびそれに用いるコア装置
JP4278991B2 (ja) * 2003-01-15 2009-06-17 横浜ゴム株式会社 タイヤモデル作成方法、タイヤ特性予測方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ特性予測装置およびタイヤモデル作成方法を実行するプログラム
JP2005014301A (ja) * 2003-06-24 2005-01-20 Yokohama Rubber Co Ltd:The ゴム構造体の変形シミュレーション方法、ゴム構造体製品の性能予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法
JP2006232138A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ挙動シミュレーション方法
JP2007050596A (ja) * 2005-08-18 2007-03-01 Bridgestone Corp タイヤ加硫成型金型及び加硫成型方法
JP2007131206A (ja) * 2005-11-11 2007-05-31 Bridgestone Corp タイヤとホイールの組み付け解析方法とその解析モデル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009078618A (ja) 2009-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186856B2 (ja) タイヤモデルの作成方法およびタイヤのシミュレーション方法
JP4621271B2 (ja) タイヤのシミュレーション方法
JP5297223B2 (ja) タイヤモデルの作成方法及びタイヤのシミュレーション方法
JP4285991B2 (ja) タイヤ経時変化予測方法、タイヤ特性予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ製造方法およびプログラム
US20230347901A1 (en) Maximum friction coefficient estimation system and maximum friction coefficient estimation method
JP5018369B2 (ja) タイヤのシミュレーション方法およびシミュレーション装置
JP2006232138A (ja) タイヤ挙動シミュレーション方法
JP6039210B2 (ja) タイヤの耐久性の予測方法
JP6523902B2 (ja) タイヤモデルの作成方法及びタイヤ温度のシミュレーション方法
JP6484124B2 (ja) タイヤモデルの作成方法及びタイヤ温度のシミュレーション方法
JP2002007489A (ja) タイヤ有限要素モデルの作成方法
JP5320806B2 (ja) 回転体のシミュレーション方法
JP2022047824A (ja) タイヤのシミュレーション方法及び装置
JP6699396B2 (ja) タイヤ温度のシミュレーション方法
Maritz Numerical modelling and experimental measurement of the temperature distribution in a rolling tire
JP5304093B2 (ja) タイヤの転がり抵抗のシミュレーション方法および装置
JP6454221B2 (ja) タイヤのシミュレーション方法
JP2010033427A (ja) 粘弾性体のシミュレーション方法およびシミュレーション装置
JP2014141164A (ja) タイヤのシミュレーション方法
JP6159181B2 (ja) タイヤモデルの作成方法及びタイヤのシミュレーション方法
JP2012181600A (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成プログラム、及びタイヤ性能解析方法
JP7451965B2 (ja) タイヤの転がり抵抗の計算方法、コンピュータプログラム及び計算装置
JP7056405B2 (ja) タイヤの使用条件頻度分布取得方法、及び、装置、並びに、タイヤの摩耗量予測方法
JP5785457B2 (ja) タイヤの耐久性の予測方法
JP2005306113A (ja) 回転体の耐久性予測方法及び回転体の耐久性予測用コンピュータプログラム、並びに回転体の耐久性予測装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120410

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130107

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5186856

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250