JP2023069285A - タイヤのシミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間、低コストで、精度の高い高速耐久性の評価が可能なタイヤのシミュレーション方法を提供する。【解決手段】実施形態の一例であるタイヤのシミュレーション方法では、タイヤを有限要素に分割したタイヤモデルに評価対象速度に対応する遠心力を付与した状態で所定の荷重を負荷して静解析を行い、有限要素の各々についてエネルギー損失率を算出する。次に、エネルギー損失率に基づいて熱解析を行い、タイヤモデルにおける温度分布を算出し、温度分布に基づいて材料物性値を更新する。そして、タイヤモデルが定常状態に達したか否かの収束判定を行い、定常状態に達するまで材料物性値の更新と当該静解析を繰り返す。最後に、タイヤモデルにおいて歪みエネルギー密度が所定の閾値を超える部分を故障個所として特定する。【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤのシミュレーション方法に関し、より詳しくは、有限要素法(FEM)によるタイヤのシミュレーション方法に関する。
従来、タイヤを有限要素に分割したタイヤのFEMモデルを作成し、当該FEMモデルを用いたコンピュータシミュレーションによりタイヤ性能を予測することが行われている。例えば、特許文献1には、FEMモデルの静解析によるタイヤ性能の予測方法が開示されている。特許文献1の方法は、FEMモデルの静解析により各有限要素についてエネルギー損失率を求め、エネルギー損失率から温度分布を求めて材料物性値を更新し、温度分布が定常状態に到達するまで物性値の更新と静解析を繰り返すことを特徴とする。
特開2005-306174号公報
ところで、時速200kmのような高速走行時のタイヤの耐久性について、短時間、低コストで、正確に性能予測できる手法が確立できれば、新製品の開発等において極めて有用である。タイヤモデルを高速で転動させる動解析を行えば、タイヤの高速耐久性を比較的高精度で予測できるが、解析に長時間を要し計算コストが高いという問題がある。他方、タイヤモデルを転動させない静解析では、短時間、低コストの解析が可能であるものの、特許文献1の方法を含む従来の方法では、タイヤの高速耐久性を高精度で予測することは困難である。
本発明の目的は、短時間、低コストで、精度の高い高速耐久性の評価が可能なタイヤのシミュレーション方法を提供することである。
本発明に係るシミュレーション方法は、(a)タイヤを有限要素に分割したタイヤモデルを作成するステップと、(b)前記タイヤモデルに材料物性値を付与するステップと、(c)前記タイヤモデルに評価対象速度に対応する遠心力を付与するステップと、(d)前記タイヤモデルに前記遠心力を付与した状態で所定の荷重を負荷して静解析を行い、前記有限要素の各々についてエネルギー損失率を算出するステップと、(e)前記エネルギー損失率に基づいて熱解析を行い、前記タイヤモデルにおける温度分布を算出するステップと、(f)前記温度分布に基づいて前記材料物性値を更新するステップと、(g)前記タイヤモデルが定常状態に達したか否かの収束判定を行い、当該定常状態に達するまで(c)~(f)のステップを繰り返すステップと、(h)歪みエネルギー密度が所定の閾値を超える部分を特定するステップとを含む。
本発明に係るタイヤのシミュレーション方法によれば、短時間、低コストで、精度の高い高速耐久性の評価が可能である。
実施形態の一例であるタイヤのシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。 タイヤモデルの一例を示す図である。 実施形態の一例であるタイヤのシミュレーション方法を示すフローチャートである。 材料物性値の更新に使用される温度依存性データの一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るタイヤのシミュレーション方法の実施形態の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態および変形例の各構成要素を選択的に組み合わせてなる構成は本発明に含まれている。
図1は、実施形態の一例であるシミュレーション装置1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、シミュレーション装置1は、プロセッサ15およびメモリ16を含む制御装置10を備えたコンピュータで構成され、高速走行時におけるタイヤの耐久性について解析を実行する。シミュレーション装置1は、1つのコンピュータで構成されていてもよく、複数のコンピュータで構成されていてもよい。また、シミュレーション装置1の機能の一部が、通信網を介して接続されるサーバー等に存在していてもよい。
シミュレーション装置1は、有限要素法(FEM)を用いてタイヤの高速耐久性を解析するように構成されている。制御装置10は、かかる解析を実行する処理部として、第1処理部11、第2処理部12、第3処理部13、および第4処理部14を有する。プロセッサ15は、シミュレーションプログラムを読み出して実行することにより、各処理部の機能を実現する。メモリ16は、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成され、シミュレーションプログラム、後述する材料物性値の温度依存性データ等を含むシミュレーションの実行に必要な各種設定情報などを記憶している。
シミュレーション装置1は、入力装置20および表示装置21を備える。入力装置20は、シミュレーションの実行に必要な情報を入力するための入力インターフェイスであって、一例としてはキーボードが挙げられる。入力装置20により入力される情報は、例えば、解析条件、タイヤモデルの作成条件などが挙げられる。表示装置21は、入力画面、シミュレーション結果等の出力画面などが表示されるディスプレイであって、一例としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。入力装置20と表示装置21は、制御装置10に接続されている。
第1処理部11は、評価対象のタイヤを有限要素に分割したタイヤモデル(以下、「FEMモデル」という場合がある)を作成する。FEMモデルは、例えば、入力装置20により入力されるモデル作成条件に基づいて作成される。FEMモデルの一例は、後述の図2に示すFEMモデル50である。モデル作成条件としては、タイヤの設計情報(例えば、トレッドパターンを含むタイヤ形状、タイヤの内部構造、構成材料の物性値等)、メッシュ分割数、メッシュ形状などが例示される。
第2処理部12は、FEMモデル50に材料物性値を設定する。材料物性値は、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビード、ベルト、カーカスなど、タイヤを構成する材料毎に定義される。材料物性値の初期値は、所定の温度、歪み(振幅、周波数)の条件下で予め測定された値とする。また、第2処理部12は、材料物性値の他に、FEMモデル50に対して、所定の空気圧、垂直荷重、回転速度等を含む解析条件を設定する。
第3処理部13は、FEMモデル50に所定の遠心力を付与すると共に、所定の荷重を負荷して静解析を行い、FEMモデル50の各有限要素についてエネルギー損失率を算出する。そして、エネルギー損失率に基づいて熱解析を行い、FEMモデル50の温度分布を算出する。第3処理部13は、FEMモデル50が定常状態に達するまで、遠心力を付与した静解析と、エネルギー損失率に基づく熱解析を繰り返し行う。また、第3処理部13は、FEMモデル50が定常状態に達したか否かの収束判定を行う。
第4処理部14は、FEMモデル50が定常状態に達した後、歪みエネルギー密度を算出し、歪みエネルギー密度が所定の閾値を超える部分を特定する。歪みエネルギー密度は、上記静解析により歪みが生じた各要素に蓄えられる歪みエネルギー量(単位体積当たりの歪みエネルギー量)である。第4処理部14は、例えば、FEMモデル50において歪みエネルギー密度が所定の閾値を超えて最大となる部分を故障個所として特定する。
ここで、図2を参照しながら、タイヤの高速耐久性のシミュレーションに使用されるFEMモデル50について説明する。図2は、FEMモデル50を示す図であって、FEMモデル50の2次元断面の一部を示している。
図2に示すように、FEMモデル50は、メッシュにより複数の要素に分割されている。図2は、タイヤ幅方向および径方向において複数の要素に分割された2次元断面の一部を示すが、FEMモデル50は、タイヤ周方向についても複数の要素に分割された三次元モデルである。FEMモデル50は、数理的手法に基づいて解析可能となるように、コンピュータプログラムへのインプットデータ形式にタイヤを数値化したデータであり、トレッドパターンを含むタイヤの外形、および内部構造に関するデータを有する。
FEMモデル50は、自然平衡状態のタイヤ形状を基準形状とし、この基準形状をFEMによりモデル化して作成される。FEMモデル50は、例えば、二次元CADソフトにより作成されたタイヤの形状に対し、メッシュ作成ソフトを用いてメッシュ生成を行い、それをタイヤ周方向に展開して三次元モデルが作成される。メッシュ形状は、一般的には、四角形又は三角形であり、四角形と三角形が混在していてもよい。
FEMモデル50を用いたシミュレーションでは、メッシュの各節点に解析に必要な遠心力、荷重等の物理量、および材料物性値が入力され、また各要素についてエネルギー損失率、温度、歪みエネルギー密度等が算出される。なお、FEMモデル50は、トレッドモデル50aと、ボディモデル50bとで構成されていてもよい。トレッドモデル50aはトレッドパターンを含む部分のモデルであり、ボディモデル50bはカーカス、ベルト、ビード等を含む部分のモデルである。
以下、図3を参照しながら、タイヤのシミュレーション方法について詳説する。図3は、FEMモデル50の作成から歪みエネルギーの算出まで、タイヤの高速耐久性の評価に関する一連のシミュレーション手順を示すフローチャートである。
図3に示すシミュレーションは、シミュレーション装置1を用いて、即ちコンピュータを用いて実行される。シミュレーション方法の概要は、下記の通りであり、(a)~(h)の手順を含む。
(a)タイヤを有限要素に分割したFEMモデル50を作成するステップ
(b)FEMモデル50に材料物性値を付与するステップ
(c)FEMモデル50に評価対象速度に対応する遠心力を付与するステップ
(d)FEMモデル50に遠心力を付与した状態で所定の荷重を負荷して静解析を行い、FEMモデル50の有限要素の各々についてエネルギー損失率を算出するステップ
(e)エネルギー損失率に基づいて熱解析を行い、FEMモデル50における温度分布を算出するステップ
(f)上記温度分布に基づいて材料物性値を更新するステップ
(g)FEMモデル50が定常状態に達したか否かの収束判定を行い、当該定常状態に達するまで(c)~(f)のステップを繰り返すステップ
(h)歪みエネルギー密度が所定の閾値を超える部分を特定するステップ
図3に示すシミュレーションでは、まず初めに、評価対象であるタイヤのFEMモデル50を作成する(ステップS1)。FEMモデル50は、上述のように、自然平衡状態のタイヤ形状をメッシュ分割により複数の有限要素に分割した三次元モデルである。FEMモデル50は、タイヤ幅方向、径方向、および周方向について複数の要素にメッシュ分割されている。FEMモデル50の作成は、第1処理部11の機能により実行される。なお、FEMモデル50は、他の装置で予め作成されたものであってもよく、作成済みのモデルが解析対象としてシミュレーション装置1に入力されてもよい。
ステップS2において、FEMモデル50に材料物性値の初期値を設定する。材料物性値は、上述のように、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビード、ベルト、カーカスなど、タイヤを構成する材料毎に設定される。材料物性値の初期値は、例えば、入力装置20により入力された情報に基づき、第2処理部12の機能により設定される。材料物性値としては、ヤング率、tanδ、熱伝導率、ポアソン比、密度、熱膨張係数などが挙げられる。本実施形態では、材料物性値として、少なくともヤング率とtanδを構成材料毎に設定する。ヤング率には、引張およびせん断のヤング率が含まれる。材料物性値の初期値は、材料が同じであれば、設定される材料物性値は同じ値となる。
ステップS3において、評価対象速度に対応する遠心力をFEMモデル50に付与する。FEMモデル50に遠心力を付与することで、静解析においてタイヤの高速耐久性を高精度で解析することが可能になる。なお、ステップ3以降の解析手順は、FEMモデル50を仮想リムに装着した状態で行われる。そして、FEMモデル50に遠心力を付与した状態で所定の荷重を負荷して静解析を行い、FEMモデル50の各有限要素についてエネルギー損失率を算出する(ステップS4)。ステップS3から後述のステップS9までの手順は、第3処理部13の機能により実行される。
ステップS3以降の解析手順では、実使用状態のリムに対応する仮想リムにFEMモデル50を装着して、所定の空気圧を付与する。FEMモデル50の仮想回転軸は、仮想リムとの距離が常に一定となるように固定される。また、FEMモデル50には、実使用状態に対応する空気圧および垂直荷重が付与される。垂直荷重は、上記仮想回転軸を垂直に押し下げる荷重である。空気圧および垂直荷重には、例えば、規格の上限値が設定される。
ステップS4の静解析では、所定の空気圧、垂直荷重、および遠心力が付与された状態におけるFEMモデル50の形状(形状変形)が算出される。本実施形態では、材料毎にヤング率が入力され、FEMモデル50の各有限要素について歪みが算出される。各有限要素についてタイヤ周方向に分割された要素毎に歪みを求めることにより、タイヤ周方向における歪み分布(引張歪み分布およびせん断歪み分布)を示す歪みサイクルが求められる。
また、得られた歪みサイクルから歪みの振幅と周波数が算出される。歪みの周波数は、歪みサイクルをフーリエ級数展開により所定次数(例えば、20次)まで次数分解したときに、その中で最も支配的な次数成分の周波数である。ここで、最も支配的な次数成分とは、振幅が最大となる次数成分を意味する。
ステップS4の静解析では、さらに、上記歪みサイクルと、材料物性値としてtanδとを用いて、FEMモデル50の各有限要素について、エネルギー損失率を算出する。本実施形態において、エネルギー損失率は、下記式1により算出される。これは、タイヤの角速度、歪みサイクルの変化量(タイヤ周方向の角度位置に対する歪み微分値)、材料のダンピングマトリックス(粘性減衰マトリックス)を掛け合わせたものを、各有限要素の体積についてタイヤ1周にわたり積分したものである。
Figure 2023069285000002
式1により各有限要素のタイヤ1周分のエネルギー損失率が算出される。ダンピングマトリックスには、tanδが含まれる。
ここで、ステップS3における遠心力の付与について、さらに詳説する。遠心力はタイヤの回転速度(回転数)によって大きく変化するため、評価対象速度に対応する遠心力をFEMモデル50に付与する必要がある。評価対象速度とは、タイヤが装着される車両の速度を意味する。評価対象速度は特に限定されないが、本実施形態では時速200km以上に設定される。評価対象速度が速くなるほど、特に時速が200km以上である場合に、ステップS3を追加することによる効果が顕著になる。なお、タイヤの回転速度は、回転角速度(ω)によって表される。
ステップS3では、評価対象速度における角速度でタイヤが回転した場合に発生する遠心力、より正確には、遠心力に対応する荷重がFEMモデル50の各有限要素について算出される。そして、各有限要素に遠心力に対応する荷重が設定され、遠心力が付与された状態でステップS4の静解析が行われる。遠心力は、有限要素の各節点について算出および設定される。なお、垂直荷重および空気圧についても同様に、有限要素の各節点について算出および設定される。
遠心力は、FEMモデル50の各有限要素の質量(m)、上記仮想回転軸から各要素までの距離(r)、および評価対象速度から算出される角速度(ω)を用いて、m×r×ωにより算出される。そして、算出された遠心力が、有限要素の各節点に対し、タイヤ径方向外側に向かって付与される。
続いて、ステップS4の静解析により求められたエネルギー損失率を内部発熱量として用いた熱解析(熱伝導解析)を行う(ステップS5)。この熱解析により、FEMモデル50の各有限要素の温度を算出し、FEMモデル50における温度分布を求める。熱解析は、従来公知の方法により行うことができる。例えば、各材料の熱伝導率および温度に関する境界条件に基づき、エネルギー損失率から発熱量を求めて熱伝導解析を行うことにより各有限要素の温度が算出される。
次に、ステップS6において、ステップS5で得られた温度分布に基づいて材料物性値の初期値を更新する。FEMモデル50の位置によって温度が大きく異なるため、材料物性値の更新は、FEMモデル50の有限要素毎に行われることが好ましい。なお、材料物性値の更新は、通常、複数回行われる。タイヤの高速耐久性を精度良く評価するためには熱の影響を考慮することが望ましく、本シミュレーション方法によれば、遠心力の付与(ステップS3)と材料物性値の更新(ステップS6)の相乗効果により、大幅な予測精度の向上を実現できる。
材料物性値の更新は、材料物性値の温度依存性データを用いて行うことが好ましい。材料物性値の温度依存性データは、例えば、制御装置10のメモリ16に記憶されている。本実施形態では、この温度依存性データと、ステップS5で求められた温度分布とに基づいて、FEMモデル50の各有限要素について材料物性値を更新する。また、ステップS6では、ステップS4の静解析で求められた歪みの振幅と周波数の依存性をさらに考慮して材料物性値を更新することが好ましい。この場合、歪みの振幅と周波数が考慮された材料物性値の温度依存性データが用いられる。
図4は、材料物性値の更新に使用される温度依存性データの一例を模式的に示す図である。図4(a)はヤング率の温度依存性データを、図4(b)はtanδの温度依存性データをそれぞれ示す。ヤング率およびtanδの温度依存性データ、特にtanδの温度依存性データにおいて、歪みの振幅と周波数の依存性が考慮されていることが好ましい。図4では図示していないが、ヤング率およびtanδの温度依存性データには、例えば、各歪みレベルに対応する複数の曲線が含まれている。
図4に示す温度依存性データは、2次曲線で近似されている。本実施形態では、材料物性値の更新において、材料物性値と温度の関係を2次曲線で近似した温度依存性データを使用する。また、更新する材料物性値は、ヤング率とtanδであり、他の物性値は更新しなくてもよい。ステップS6では、例えば、物性値と温度の関係は実験により予め測定しておき、2次曲線で近似した関数を物性値の更新に使用する。この場合、3点の実験により信頼性の高い温度依存性データを準備できる。言い換えると、材料物性値が2次曲線で近似できる温度範囲においてシミュレーションを行う。
ステップS6において材料物性値の初期値が更新されると、再び、FEMモデル50に所定の遠心力を付与し、遠心力を付与した状態で所定の荷重を負荷して静解析を行い、エネルギー損失率を算出する(ステップS7,S8)。ステップS7,S8は、ステップS3,S4と同様の手順であって、静解析に使用される材料物性値として、ステップS2で設定された初期値の代わりに、ステップS6で更新された値(更新されたヤング率とtanδ)を用いる点だけが異なる。
次に、ステップS9において、FEMモデル50が定常状態に達したか否かの収束判定を行う。収束判定は、FEMモデル50の温度分布に基づいて行われてもよいが、好ましくはエネルギー損失率に基づいて行う。即ち、FEMモデル50のエネルギー損失率が所定の定常状態に達したか否かの判定を行う。本実施形態では、今回の静解析で得られたエネルギー損失率(ステップS8で得られたエネルギー損失率)と、前回の静解析で得られたエネルギー損失率(ステップS4で得られたエネルギー損失率)の差が、所定の閾値以下であるか否かの判定を行う。なお、エネルギー損失率の収束判定の具体的な手法は特に限定されない。
ステップS9の収束判定では、例えば、FEMモデル50の各有限要素のエネルギー損失率の合計値が用いられる。即ち、今回と前回の静解析において各有限要素のエネルギー損失率の合計値が比較される。上述の通り、当該収束判定はFEMモデル50の温度分布に基づいて行うこともできるが、この場合、温度分布の変化量が所定の閾値以下であっても、その温度領域で物性値の変化が大きい場合、収束判定後にエネルギー損失率が大きく変化することが懸念される。エネルギー損失率に基づく収束判定によれば、このような問題が発生せず、より信頼性の高い解析が可能になる。
ステップS9の収束判定において上記エネルギー損失率の差が所定の閾値以下となり、FEMモデル50が定常状態に達したと判定された場合、ステップS10に進み、歪みエネルギー密度を算出する。一方、FEMモデル50が定常状態に達していないと判定された場合、ステップS5に戻り、ステップS5~S9の手順を再度実行する。ステップS9でFEMモデル50が定常状態に達したと判定されるまで、ステップS5~S9の手順が繰り返し実行される。
ステップS10では、FEMモデル50の各有限要素について歪みエネルギー密度を算出し、歪みエネルギー密度が所定の閾値を超える部分を故障個所として特定する。所定の閾値は、例えば、歪みエネルギー密度とタイヤの損傷発生確率の関係を実験等により求め、損傷発生確率が高くなる歪みエネルギー密度の値に設定される。
ステップS10では、FEMモデル50において歪みエネルギー密度が所定の閾値を超えて最大となる部分を故障箇所として特定することが好ましい。歪みエネルギー密度は、遠心力を付与した静解析により歪みが生じる各有限要素に蓄えられたエネルギー量であるから、歪みエネルギー密度が最大となる部分は、高速走行時に最も負荷がかかり蓄積され易い部分となる。つまり、他の部分よりもダメージを受け易い部分である。なお、歪みエネルギー密度が最大となる部分は、一般的に、複数の有限要素に亘っている。
ステップS10において、歪みエネルギー密度が最大となり高速走行時にダメージを受け易い部分が特定されるため、いわゆる当業者であれば、この知見に基づいて、当該部分を補強するための検討を行うことができる。或いは、当該部分から歪みエネルギーを分散させるための検討を行うことができる。
以上のように、上述のシミュレーション方法は、FEMモデル50に評価対象速度に対応する遠心力を付与した状態で静解析を行うと共に、静解析により求められたエネルギー損失率に基づいて熱解析を行い、材料物性値を更新しつつ当該静解析を繰り返す。本シミュレーション方法によれば、遠心力の付与と材料物性値の更新の相乗効果により、高速走行状態とそのときの熱の影響が十分に考慮された静解析を行うことができる。よって、短時間、低コストで、精度の高い高速耐久性の評価が可能となる。
FEMモデル50を用いたシミュレーション方法において、遠心力の付与および熱解析に基づく材料物性値の更新のいずれか一方を適用するだけでは、時速200kmを超えるような高速走行条件におけるタイヤの耐久性を正確に解析することは難しい。つまり、遠心力の付与および材料物性値の更新の両ステップを適用することで、高速耐久性の高精度な解析を漸く実現できる。
また、上述のシミュレーション方法では、FEMモデル50が定常状態になるまで静解析と熱解析を繰り返し実行するが、定常状態に達したか否かの収束判定をエネルギー損失率に基づいて行う。この場合、FEMモデル50の温度に基づいて収束判定を行う場合と比較して、より正確な収束判定が可能であり、解析結果の信頼性が向上する。
また、材料物性値の更新において、材料物性値(例えば、ヤング率とtanδ)と温度の関係を2次曲線で近似した温度依存性データを使用することにより、線形補間よりも信頼性の高い温度依存性データを容易に準備できる。
なお、上述の実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上述の実施形態では、静解析により算出されるエネルギー損失率に基づいてFEMモデル50が定常状態に達したか否かの収束判定を行うが、エネルギー損失率の関数を用いて収束判定を行ってもよい。或いは、エネルギー損失率と温度を考慮した関数を用いて収束判定を行ってもよい。
1 シミュレーション装置、10 制御装置、11 第1処理部、12 第2処理部、13 第3処理部、14 第4処理部、15 プロセッサ、16 メモリ、20 入力装置、21 表示装置、50 FEMモデル、50a トレッドモデル、50b ボディモデル

Claims (4)

  1. (a)タイヤを有限要素に分割したタイヤモデルを作成するステップと、
    (b)前記タイヤモデルに材料物性値を付与するステップと、
    (c)前記タイヤモデルに評価対象速度に対応する遠心力を付与するステップと、
    (d)前記タイヤモデルに前記遠心力を付与した状態で所定の荷重を負荷して静解析を行い、前記有限要素の各々についてエネルギー損失率を算出するステップと、
    (e)前記エネルギー損失率に基づいて熱解析を行い、前記タイヤモデルにおける温度分布を算出するステップと、
    (f)前記温度分布に基づいて前記材料物性値を更新するステップと、
    (g)前記タイヤモデルが定常状態に達したか否かの収束判定を行い、当該定常状態に達するまで(c)~(f)のステップを繰り返すステップと、
    (h)歪みエネルギー密度が所定の閾値を超える部分を特定するステップと、
    を含む、タイヤのシミュレーション方法。
  2. 前記収束判定は、前記エネルギー損失率に基づいて行う、請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  3. 前記材料物性値の更新において、材料物性値と温度の関係を2次曲線で近似した温度依存性データを使用する、請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  4. 前記(h)のステップでは、前記タイヤモデルにおいて歪みエネルギー密度が前記所定の閾値を超えて最大となる部分を故障箇所として特定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
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