JP2004182056A - ブレーキ倍力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダッシュボードにマスタシリンダを固定し、マスタシリンダによってブレーキブースタを支持するようにした軽量、低コストなブレーキ倍力装置を提供する
【解決手段】ブレーキブースタの定圧室と変圧室との圧力差に基づくダイヤフラムの移動をピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達してブレーキ液圧を発生するブレーキ倍力装置において、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、マスタシリンダに設けたフランジ部を、マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室側で固定し、マスタシリンダのフランジ部にブレーキブースタを取付ける。
【選択図】 図1
【解決手段】ブレーキブースタの定圧室と変圧室との圧力差に基づくダイヤフラムの移動をピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達してブレーキ液圧を発生するブレーキ倍力装置において、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、マスタシリンダに設けたフランジ部を、マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室側で固定し、マスタシリンダのフランジ部にブレーキブースタを取付ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌のブレーキ倍力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力ロッドを引っ張ることによりブレーキ液圧を発生するようにしたブレーキ装置は、エンジンルームと車室内とを仕切るダッシュボードのエンジンルーム側にブレーキブースタの一端側を取付け、ブレーキブースタの他端側にマスタシリンダを設けた構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−294138号公報(第3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のブレーキ装置においては、ダッシュボードにブレーキブースタの一端が固定されているので、ブレーキペダルから入力ロッドに作用する力をブレーキブースタで支持しなければならず、ブレーキブースタのシェルの変形等を防止するために、シェルの肉厚を大きくして強度を持たせる必要があり、ブレーキブースタ延いてはブレーキ倍力装置の重量が大きくなるとともに、コスト高となる不具合があった。
【0005】
本発明は、係る従来の不具合を解消するためになされたもので、ダッシュボードにマスタシリンダを固定し、マスタシリンダによってブレーキブースタを支持するようにした軽量、低コストなブレーキ倍力装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、ブレーキブースタを構成するフロントシェルとリアシェルとの間にダイヤフラムの外周縁を挟着してブレーキブースタを定圧室と変圧室とに区画し、該ダイヤフラムにピストンを固着し、該ピストンにブレーキペダルの操作に基づいて前記変圧室を大気と前記定圧室とに切り換えて連通する弁機構を設け、前記両室内の圧力差に基づくダイヤフラムの前後方向の移動を前記ピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達してブレーキ液圧を発生するブレーキ倍力装置において、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、前記マスタシリンダに設けたフランジ部を、前記マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室側で固定し、前記マスタシリンダのフランジ部に前記ブレーキブースタを取付けたことである。
【0007】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記ブレーキペダルの踏込み操作によって前記ピストンを後方側へ移動させるように構成したことである。
【0008】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または2において、前記マスタシリンダのフランジ部及び前記ブレーキブースタを軸線方向に貫通する複数のタイロッドにより、前記フロントシェルと前記リアシェルとを結合し、前記ブレーキブースタを前記マスタシリンダのフランジ部に固定するとともに、前記フランジ部を前記ダッシュボードに固定することである。
【0009】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、ブレーキペダルの操作により入力ロッドが作動され、ピストンに設けた弁機構が作動してブレーキブースタの定圧室と変圧室との圧力差によってダイヤフラムを作動させ、このダイヤフラムの作動をピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達し、ブレーキ液圧を発生する。
【0010】
そして、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、マスタシリンダに設けたフランジ部を、マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室内側で固定し、前記マスタシリンダのフランジ部に前記ブレーキブースタを取付けたので、ブレーキブースタにかかる荷重負担が軽減され、ブレーキブースタのシェルの肉厚を薄くしても、変形等を防止でき、ブレーキブースタ延いてはブレーキ倍力装置の軽量化、低コスト化を可能にできる。
【0011】
また、マスタシリンダとブレーキブースタをダッシュボードに接近して取付けることができるので、取付け状態が安定し、振動等の発生を防止できる。
【0012】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、ブレーキペダルの踏込み操作によってピストンが後方側へ移動される入力ロッド引張り式のブレーキ倍力装置において、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を奏することができる。
【0013】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、複数のタイロッドによって、ブレーキブースタのフロントシェルとリアシェルとの結合、ブレーキブースタのマスタシリンダへの固定、およびマスタシリンダのダッシュボードへの固定を行うことができる。
【0014】
【実施の形態】
以下、本発明に係るブレーキ倍力装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、1はエンジンルーム2と車室3内とを仕切る車輌のダッシュボードで、このダッシュボード1の車室3内側には後述する構成のマスタシリンダ25のシリンダボディ5に設けたフランジ部5aが接合され、後述するタイロッド26により固定される。マスタシリンダ25のシリンダボディ5はダッシュボード1に設けた開口を貫通してエンジンルーム2内に突出され、このシリンダボディ5上にリザーバ6が載置されている。シリンダボディ5のフランジ部5aには車室3内においてブレーキブースタ4がタイロッド26により取付け固定される。
【0015】
ダッシュボード1の車室3側に固定されたペダルブラケット7にはブレーキペダルアーム8が中間部分で枢支ピン9によって回動可能に枢支され、ブレーキペダルアーム8の先端部には入力ロッド10が連結ピン11により回動可能に連結され、下端部にはブレーキペダル12が設けられている。
【0016】
ブレーキブースタ4は、図2に示すように、前壁となるフロントシェル13及び後壁となるリアシェル14から構成されている。ブレーキブースタ4の両シェル13,14間には、フレキシブルなダイヤフラム16が外周縁のビードで気密的に挟着され、このダイヤフラム16によりブレーキブースタ4の内部を定圧室17と変圧室18とに区画している。ダイヤフラム16には円盤状のプレート19が定圧室17側で重ねられ、ダイヤフラム16及びプレート19に形成された中心孔にはピストン20が先端部外周面で気密的に嵌着固定され、ピストン20の前側部は変圧室18に露出している。リアシェル14の後面中心部には後方に突出する円筒状の突出部14aが形成され、その突出端は車室3内に開口されている。突出部14aにはピストン20の後端部がシール部材21を介して摺動可能に支持され、定圧室17を大気から遮断している。リアシェル14には負圧導入管22が取付けられ、定圧室17は負圧導入管22を介してエンジンの吸気マニホールドに連通されて負圧に維持されている。
【0017】
フロントシェル13とリアシェル14とは、両シェルで構成されるブレーキブースタ4の軸線と平行に延在する円周上2本のタイロッド26で結合されてシリンダボディ5のフランジ部5aに固定されている。即ち、タイロッド26はダイヤフラム16を気密的に貫通し、その一端側に設けられた大径の取付座26aが変圧室18内でフロントシェル13の内面に気密的に当接し、取付座26aより前方に突出する雄ねじ部26bがフロントシェル13に穿設された貫通穴及びシリンダボディ5のフランジ部5aに穿設された取付穴を貫通し、ナットを背面から埋没するためにフランジ部5aの背面に凹設された穴内で雄ねじ部26bに螺合して穴肩部に当接するナット27によりブレーキブースタ4をシリンダボディ5のフランジ部5aに固定している。また、後方に延在するタイロッド26の他端は、リアシェル14を貫通して車室3内に突入され、その軸端にナット28が螺合する雄ねじ26cが刻設されている。タイロッド26上には定圧室17内でリアシェル14の内面がスプリング受け29およびシールを介在して気密的に当接する係止部26dが形成され、雄ねじ26cにナット28を締め付けることによりフロントシェル13とリアシェル14を互いに引き寄せて結合している。
【0018】
マスタシリンダ25のシリンダボディ5はダッシュボード1に設けた開口を貫通してエンジンルーム2内に突出され、ダッシュボード1の車室3内側にはシリンダボディ5に設けたフランジ部5aの背面が接合され、タイロッド26の雄ねじ部26bがダッシュボード1に穿設された取付穴を貫通してエンジンルーム2内に突出し、ナット87が螺着されてシリンダボディ5をダッシュボード1に固定している。フロントシェル13には2本の取付ねじ15が円周上でタイロッド26と交互に配置され、取付ねじ15の頭部15aが変圧室18内でフロントシェル13の内面に気密的に当接し、頭部15aよりフロントシェル13を貫通して前方に突出する雄ねじ部15bがシリンダボディ5のフランジ部5aおよびダッシュボードに穿設された取付穴を貫通し、ナットを背面から埋没するためにフランジ部5aの背面に凹設された穴内で雄ねじ部15bに螺合して穴肩部に当接するナット88によりブレーキブースタ4をシリンダボディ5のフランジ部5aに固定し、ダッシュボード1を挟んで雄ねじ部15bに螺合ナット89によりシリンダボディ5をダッシュボード1に固定している。
【0019】
マスタシリンダ25を構成するシリンダボディ5には、後方が開口した有底のシリンダ25aがピストン20と同一軸線上に形成されている。シリンダ25aの後方開口端にはそのシリンダ内径より大径の装着孔30が形成され、この装着孔30に閉塞部材31の先端部がOリング32によりシールされて嵌合されている。閉塞部材31は装着孔30の肩部との間にリング体33とシール部材34を介在してシリンダボディ5の後端部に螺着されている。閉塞部材31の内径はシリンダ25aの内径と同径とされ、また、閉塞部材30の後側部は変圧室18に連通する中間室18aに露出している。
【0020】
シリンダ25aの底部側には第1マスタピストン35が摺動可能に嵌合され、第1マスタピストン35に形成された凹溝に嵌め込まれたシール部材36により第1マスタピストン35の外周とシリンダ25aとの間をシールしている。第1マスタピストン35の後端より突出されたピストンロッド37は閉塞部材31を貫通して中間室18a内まで延在されている。シリンダ25aには第1マスタピストン35と閉塞部材31との間に第2マスタピストン38が摺動可能に嵌合され、第2マスタピストン38に形成された凹溝に嵌め込まれたシール部材39により第2マスタピストン38の外周とシリンダ25aとの間をシールしている。第2マスタピストン38にはピストンロッド37がシール部材40を介して摺動可能に貫通しており、第2マスタピストン38によってシリンダ25aを第1シリンダ室42と第2シリンダ室43に液密的に区画している。第1シリンダ室42はポート45を介して第1ブレーキ系統に連通され、第2シリンダ室43はポート46を介して第2ブレーキ系統に連通されている。第1マスタピストン35と第2マスタピストン38との間及び第2マスタピストン38と閉塞部材31との間には、それぞれ圧縮スプリング48、49が介挿され、第2マスタピストン38を非作動時に中立位置にバランスして停止させている。
【0021】
シリンダボディ5の上端にはリザーバ6がピン50で結合して載置固定されている。リザーバ6の下面に穿設された第1、第2出口51、52が、シリンダボディ5の上端に穿設されて第1、第2シリンダ室42、43に作動液を補給する第1、第2補給口53、54に連通されている。第1補給口53は、非作動位置に位置する第1マスタピストン35の肩部に開口され、第1マスタピストン35の摺動によりシール部材36によって閉塞される。第1マスタピストン35とシリンダ25aの底部の間はシリンダボディ5に穿設された孔55によりリザーバ6に開放されている。第2補給口54は、リング体33のシール部材34との当接面に半径方向に刻設された溝に連通し、この溝は非作動位置に位置する第2マスタピストン38の環状部に半径方向に穿設された補給孔56に連通し、第2マスタピストン38の摺動によってその連通が遮断される。
【0022】
ピストン20は、ダイヤフラム16の中心孔に嵌着された第1ピストン部57と、リアシェル14に摺動可能に支持された第2ピストン部58によって構成され、第2ピストン部58の一端は第1ピストン部57の一端外周に嵌合され、かしめにより一体に結合されている。第2ピストン部58の第1ピストン部57との接合部には内周方向に突出する凸部が形成され、この凸部の第1ピストン部57側の端面に第1弁座59が形成されている。また、第2ピストン部58の第1ピストン部57との結合部近傍には半径方向孔60が円周上複数穿設され、この半径方向孔60を介して第2ピストン部58内の一部分が定圧室17に連通されている。
【0023】
第1ピストン部57の軸方向中央部の外周には鍔部57aが形成され、鍔部57aとリアシェル14に当接するスプリング受け29との間にはリターンスプリング61が介在されている。リターンスプリング61によりピストン20を前方に付勢し、シリンダボディ5の内周に固定された規制プレート47に接近した位置に保持している。第1ピストン部57の内周にはカップ状の連結部材62が摺動可能に嵌装され、第1ピストン部57の連結部材62との嵌合面には変圧室18に開口する連通溝57bが形成されている。連結部材62の中心部には大気弁体63が結合され、大気弁体63は両ピストン部57、58の結合部を挿通して第2ピストン部58内に延在され、入力ロッド10の一端に連結されている。第2ピストン部58の内孔開口部には入力ロッド10が気密的に貫通するエアフィルタ90が固定されている。入力ロッド10上にはピストン20の非作動位置において、リアシェル14の突出部14aと当接して入力ロッド10と大気弁体63の位置を規制する規制部材64が一体的に取付けられている。
【0024】
大気弁体63の外周には外周方向に突出する凸部が形成され、この凸部に第1ピストン部57側に向けて第2弁座65が形成されている。第2ピストン部58に形成された第1弁座59と大気弁体63に形成された第2弁座65は半径方向に隙間を存して隔てられ、かつ軸方向に対応するように位置されている。
【0025】
70は変圧室18を大気と定圧室17とに切り換えて連通する制御弁体で、この制御弁体70の基部が第2ピストン部58の内周に抑え金具72によって固定されている。制御弁体70の先端には軸線方向に伸縮自在な可撓部73を介して基部に接続された弁部74が設けられている。弁部74は第1弁座59と第2弁座65との間の隙間を挿通して第1ピストン部57内に突入され、両弁座59、65に接離可能に当接するようになっている。すなわち、制御弁体70の弁部74とカップ状の連結部材62との間に介在された圧縮スプリング75の付勢力によって制御弁体70の弁部74が第1弁座59に当接され、また、抑え金具72と大気弁体63との間に介在された圧縮スプリング76の付勢力によって制御弁体70の弁部74に第2弁座65が当接されている。制御弁体70によってピストン20内が定圧室側と大気側とに区画され、第1、第2弁座59、65の接離によって定圧室17側と大気側とのいずれか一方を連通溝57bを介して変圧室18に連通するようになっている。
【0026】
連結部材62内には、カップ状の出力部材77が所定量相対摺動可能に嵌装され、この出力部材77の中心部より突出する出力ロッド78はピストンロッド37の先端にピン79によって結合されている。出力部材77のカップの底面と第1ピストン部57の反力端面57cとの間には環状の反力室80が形成され、この反力室80内に弾性材料で形成された環状帯の反力部材81が出力部材77のカップの底面と第1ピストン部57の反力端面57cとの間で挟持されるように収納されている。連結部材62には出力部材77のカップの底面との間で反力部材81を挟み込むように環状リング82が係合されている。
【0027】
これにより、反力部材81はピストン20が出力ロッド78、延いてはマスタシリンダ25の第1マスタピストン35を引張する力に応じて圧縮変形されるようになっており、ピストン20は定圧室17と変圧室18との両室内の圧力差に基づくダイヤフラム16の前後方向の移動を反力部材81及び出力ロッド78を介してマスタシリンダ25の第1マスタピストン35に伝達するようになっている。
【0028】
上記した第1及び第2弁座59、65、制御弁体70、並びに圧縮スプリング75、76によって弁機構83を構成し、また、出力部材77、第1ピストン部57、反力室80内に収納された反力部材81、環状リング82および連結部材62等によって反力機構84を構成している。
【0029】
次に、上記実施形態に係るブレーキ倍力装置の作動について説明する。ブレーキペダル12が踏まれて、入力ロッド10が図2の右方に引っ張られると、連結部材62に係合された環状リング82が反力部材81を圧縮しつつ圧縮スプリング75、76のばね力に抗して右方に移動され、制御弁体70の弁体74が大気弁体63の第2弁座65より開離される。これにより、車室3内の大気が第2弁座65、連通溝57bを通って変圧室18に流入し、変圧室18と定圧室17との両室内の圧力差によりダイヤフラム16、プレート19及びピストン20がリターンスプリング61のばね力に抗して後退移動される。
【0030】
ピストン20の後退移動により、出力ロッド78が反力部材81を介して後退され、マスタシリンダ25の第1マスタピストン35がピストンロッド37を介して後方に移動され、第1補給口53がシール部材36により遮断される。第1補給口53が遮断された後、第1マスタピストン35の後方移動により、第1シリンダ室42内の作動液の液圧が上昇し、この液圧がポート45を介して第1ブレーキ系統に供給される。
【0031】
第1マスタピストン35の後方移動により、第1シリンダ室42内の液圧が上昇するために、第2マスタピストン38も圧縮スプリング49を圧縮しながら後方移動され、補給孔56がシール部材34により遮断され、第2補給口54との連通が遮断される。第2補給口54との連通が遮断された後、第2マスタピストン38の後方移動により、第2シリンダ室43内の作動液の液圧が上昇し、この液圧がポート46を介して第2ブレーキ系統に供給される。第2マスタピストン38は第1、第2シリンダ室42、43が同圧となる位置にバランスされる。
【0032】
ピストン20はダイヤフラム16に作用する両室内の圧力差に応じた作動力で、反力部材81を弾性変形しながら出力ロッド78を介して第1マスタピストン35を後退移動するとともに、制御弁体70の弁体74が大気弁体63に対して後退されるため、ブレーキペダル12の踏力に見合った作動力でピストン20が出力ロッド78を引っ張ると、制御弁体70の弁体74が第2弁座65に当接して大気と変圧室18との連通を遮断し、所望のブレーキ油圧を保持する。このとき、ブレーキペダル12を踏む力は、入力ロッド10を介して連結部材62の環状リング82から反力部材81に伝達され、反力部材81が踏力に応じて弾性変形するので、運転者は反力を感じることができる。
【0033】
ブレーキペダル12が開放されると、反力部材81の弾性復帰作用により、連結部材62がピストン20に対して前方に移動されるため、制御弁体70の弁部74が第1弁座59より開離する。これにより定圧室17内の負圧が半径方向孔60、第1弁座59、連通溝57bを通って変圧室18に導入され、変圧室18と定圧室17との両室内の圧力差が無くなり、ピストン20、プレート19及びダイヤフラム16がリターンスプリング61のばね力により前方に移動され、図2に示す原位置に復帰する。一方、ピストン20の前方への移動により、マスタシリンダ25の第1マスタピストン35が原位置に復帰されるとともに、第2マスタピストン38が原位置に復帰され、マスタシリンダ25の各シリンダ室42、43内がリザーバ6に開放される。
【0034】
なお、ブレーキ倍力装置としては、上記実施の形態で説明したように、ブレーキペダル12の踏込み操作によって入力ロッド10を後方側へ移動させるように構成したものに限らず、ブレーキペダル12の踏込み操作によって入力ロッド10を前方側へ移動させるにものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレーキ倍力装置をダッシュボードに取付けた状態を示す図。
【図2】ブレーキ倍力装置の詳細を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…ダッシュボード、2…エンジンルーム、3…車室、4…ブレーキブースタ、5…シリンダボディ、5a…フランジ部、6…リザーバ、10…入力ロッド、12…ブレーキペダル、13…フロントシェル、14…リアシェル、16…ダイヤフラム、17…定圧室、18…変圧室、20…ピストン、25…マスタシリンダ、26…タイロッド。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌のブレーキ倍力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力ロッドを引っ張ることによりブレーキ液圧を発生するようにしたブレーキ装置は、エンジンルームと車室内とを仕切るダッシュボードのエンジンルーム側にブレーキブースタの一端側を取付け、ブレーキブースタの他端側にマスタシリンダを設けた構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−294138号公報(第3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のブレーキ装置においては、ダッシュボードにブレーキブースタの一端が固定されているので、ブレーキペダルから入力ロッドに作用する力をブレーキブースタで支持しなければならず、ブレーキブースタのシェルの変形等を防止するために、シェルの肉厚を大きくして強度を持たせる必要があり、ブレーキブースタ延いてはブレーキ倍力装置の重量が大きくなるとともに、コスト高となる不具合があった。
【0005】
本発明は、係る従来の不具合を解消するためになされたもので、ダッシュボードにマスタシリンダを固定し、マスタシリンダによってブレーキブースタを支持するようにした軽量、低コストなブレーキ倍力装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、ブレーキブースタを構成するフロントシェルとリアシェルとの間にダイヤフラムの外周縁を挟着してブレーキブースタを定圧室と変圧室とに区画し、該ダイヤフラムにピストンを固着し、該ピストンにブレーキペダルの操作に基づいて前記変圧室を大気と前記定圧室とに切り換えて連通する弁機構を設け、前記両室内の圧力差に基づくダイヤフラムの前後方向の移動を前記ピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達してブレーキ液圧を発生するブレーキ倍力装置において、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、前記マスタシリンダに設けたフランジ部を、前記マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室側で固定し、前記マスタシリンダのフランジ部に前記ブレーキブースタを取付けたことである。
【0007】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記ブレーキペダルの踏込み操作によって前記ピストンを後方側へ移動させるように構成したことである。
【0008】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または2において、前記マスタシリンダのフランジ部及び前記ブレーキブースタを軸線方向に貫通する複数のタイロッドにより、前記フロントシェルと前記リアシェルとを結合し、前記ブレーキブースタを前記マスタシリンダのフランジ部に固定するとともに、前記フランジ部を前記ダッシュボードに固定することである。
【0009】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、ブレーキペダルの操作により入力ロッドが作動され、ピストンに設けた弁機構が作動してブレーキブースタの定圧室と変圧室との圧力差によってダイヤフラムを作動させ、このダイヤフラムの作動をピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達し、ブレーキ液圧を発生する。
【0010】
そして、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、マスタシリンダに設けたフランジ部を、マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室内側で固定し、前記マスタシリンダのフランジ部に前記ブレーキブースタを取付けたので、ブレーキブースタにかかる荷重負担が軽減され、ブレーキブースタのシェルの肉厚を薄くしても、変形等を防止でき、ブレーキブースタ延いてはブレーキ倍力装置の軽量化、低コスト化を可能にできる。
【0011】
また、マスタシリンダとブレーキブースタをダッシュボードに接近して取付けることができるので、取付け状態が安定し、振動等の発生を防止できる。
【0012】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、ブレーキペダルの踏込み操作によってピストンが後方側へ移動される入力ロッド引張り式のブレーキ倍力装置において、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を奏することができる。
【0013】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、複数のタイロッドによって、ブレーキブースタのフロントシェルとリアシェルとの結合、ブレーキブースタのマスタシリンダへの固定、およびマスタシリンダのダッシュボードへの固定を行うことができる。
【0014】
【実施の形態】
以下、本発明に係るブレーキ倍力装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、1はエンジンルーム2と車室3内とを仕切る車輌のダッシュボードで、このダッシュボード1の車室3内側には後述する構成のマスタシリンダ25のシリンダボディ5に設けたフランジ部5aが接合され、後述するタイロッド26により固定される。マスタシリンダ25のシリンダボディ5はダッシュボード1に設けた開口を貫通してエンジンルーム2内に突出され、このシリンダボディ5上にリザーバ6が載置されている。シリンダボディ5のフランジ部5aには車室3内においてブレーキブースタ4がタイロッド26により取付け固定される。
【0015】
ダッシュボード1の車室3側に固定されたペダルブラケット7にはブレーキペダルアーム8が中間部分で枢支ピン9によって回動可能に枢支され、ブレーキペダルアーム8の先端部には入力ロッド10が連結ピン11により回動可能に連結され、下端部にはブレーキペダル12が設けられている。
【0016】
ブレーキブースタ4は、図2に示すように、前壁となるフロントシェル13及び後壁となるリアシェル14から構成されている。ブレーキブースタ4の両シェル13,14間には、フレキシブルなダイヤフラム16が外周縁のビードで気密的に挟着され、このダイヤフラム16によりブレーキブースタ4の内部を定圧室17と変圧室18とに区画している。ダイヤフラム16には円盤状のプレート19が定圧室17側で重ねられ、ダイヤフラム16及びプレート19に形成された中心孔にはピストン20が先端部外周面で気密的に嵌着固定され、ピストン20の前側部は変圧室18に露出している。リアシェル14の後面中心部には後方に突出する円筒状の突出部14aが形成され、その突出端は車室3内に開口されている。突出部14aにはピストン20の後端部がシール部材21を介して摺動可能に支持され、定圧室17を大気から遮断している。リアシェル14には負圧導入管22が取付けられ、定圧室17は負圧導入管22を介してエンジンの吸気マニホールドに連通されて負圧に維持されている。
【0017】
フロントシェル13とリアシェル14とは、両シェルで構成されるブレーキブースタ4の軸線と平行に延在する円周上2本のタイロッド26で結合されてシリンダボディ5のフランジ部5aに固定されている。即ち、タイロッド26はダイヤフラム16を気密的に貫通し、その一端側に設けられた大径の取付座26aが変圧室18内でフロントシェル13の内面に気密的に当接し、取付座26aより前方に突出する雄ねじ部26bがフロントシェル13に穿設された貫通穴及びシリンダボディ5のフランジ部5aに穿設された取付穴を貫通し、ナットを背面から埋没するためにフランジ部5aの背面に凹設された穴内で雄ねじ部26bに螺合して穴肩部に当接するナット27によりブレーキブースタ4をシリンダボディ5のフランジ部5aに固定している。また、後方に延在するタイロッド26の他端は、リアシェル14を貫通して車室3内に突入され、その軸端にナット28が螺合する雄ねじ26cが刻設されている。タイロッド26上には定圧室17内でリアシェル14の内面がスプリング受け29およびシールを介在して気密的に当接する係止部26dが形成され、雄ねじ26cにナット28を締め付けることによりフロントシェル13とリアシェル14を互いに引き寄せて結合している。
【0018】
マスタシリンダ25のシリンダボディ5はダッシュボード1に設けた開口を貫通してエンジンルーム2内に突出され、ダッシュボード1の車室3内側にはシリンダボディ5に設けたフランジ部5aの背面が接合され、タイロッド26の雄ねじ部26bがダッシュボード1に穿設された取付穴を貫通してエンジンルーム2内に突出し、ナット87が螺着されてシリンダボディ5をダッシュボード1に固定している。フロントシェル13には2本の取付ねじ15が円周上でタイロッド26と交互に配置され、取付ねじ15の頭部15aが変圧室18内でフロントシェル13の内面に気密的に当接し、頭部15aよりフロントシェル13を貫通して前方に突出する雄ねじ部15bがシリンダボディ5のフランジ部5aおよびダッシュボードに穿設された取付穴を貫通し、ナットを背面から埋没するためにフランジ部5aの背面に凹設された穴内で雄ねじ部15bに螺合して穴肩部に当接するナット88によりブレーキブースタ4をシリンダボディ5のフランジ部5aに固定し、ダッシュボード1を挟んで雄ねじ部15bに螺合ナット89によりシリンダボディ5をダッシュボード1に固定している。
【0019】
マスタシリンダ25を構成するシリンダボディ5には、後方が開口した有底のシリンダ25aがピストン20と同一軸線上に形成されている。シリンダ25aの後方開口端にはそのシリンダ内径より大径の装着孔30が形成され、この装着孔30に閉塞部材31の先端部がOリング32によりシールされて嵌合されている。閉塞部材31は装着孔30の肩部との間にリング体33とシール部材34を介在してシリンダボディ5の後端部に螺着されている。閉塞部材31の内径はシリンダ25aの内径と同径とされ、また、閉塞部材30の後側部は変圧室18に連通する中間室18aに露出している。
【0020】
シリンダ25aの底部側には第1マスタピストン35が摺動可能に嵌合され、第1マスタピストン35に形成された凹溝に嵌め込まれたシール部材36により第1マスタピストン35の外周とシリンダ25aとの間をシールしている。第1マスタピストン35の後端より突出されたピストンロッド37は閉塞部材31を貫通して中間室18a内まで延在されている。シリンダ25aには第1マスタピストン35と閉塞部材31との間に第2マスタピストン38が摺動可能に嵌合され、第2マスタピストン38に形成された凹溝に嵌め込まれたシール部材39により第2マスタピストン38の外周とシリンダ25aとの間をシールしている。第2マスタピストン38にはピストンロッド37がシール部材40を介して摺動可能に貫通しており、第2マスタピストン38によってシリンダ25aを第1シリンダ室42と第2シリンダ室43に液密的に区画している。第1シリンダ室42はポート45を介して第1ブレーキ系統に連通され、第2シリンダ室43はポート46を介して第2ブレーキ系統に連通されている。第1マスタピストン35と第2マスタピストン38との間及び第2マスタピストン38と閉塞部材31との間には、それぞれ圧縮スプリング48、49が介挿され、第2マスタピストン38を非作動時に中立位置にバランスして停止させている。
【0021】
シリンダボディ5の上端にはリザーバ6がピン50で結合して載置固定されている。リザーバ6の下面に穿設された第1、第2出口51、52が、シリンダボディ5の上端に穿設されて第1、第2シリンダ室42、43に作動液を補給する第1、第2補給口53、54に連通されている。第1補給口53は、非作動位置に位置する第1マスタピストン35の肩部に開口され、第1マスタピストン35の摺動によりシール部材36によって閉塞される。第1マスタピストン35とシリンダ25aの底部の間はシリンダボディ5に穿設された孔55によりリザーバ6に開放されている。第2補給口54は、リング体33のシール部材34との当接面に半径方向に刻設された溝に連通し、この溝は非作動位置に位置する第2マスタピストン38の環状部に半径方向に穿設された補給孔56に連通し、第2マスタピストン38の摺動によってその連通が遮断される。
【0022】
ピストン20は、ダイヤフラム16の中心孔に嵌着された第1ピストン部57と、リアシェル14に摺動可能に支持された第2ピストン部58によって構成され、第2ピストン部58の一端は第1ピストン部57の一端外周に嵌合され、かしめにより一体に結合されている。第2ピストン部58の第1ピストン部57との接合部には内周方向に突出する凸部が形成され、この凸部の第1ピストン部57側の端面に第1弁座59が形成されている。また、第2ピストン部58の第1ピストン部57との結合部近傍には半径方向孔60が円周上複数穿設され、この半径方向孔60を介して第2ピストン部58内の一部分が定圧室17に連通されている。
【0023】
第1ピストン部57の軸方向中央部の外周には鍔部57aが形成され、鍔部57aとリアシェル14に当接するスプリング受け29との間にはリターンスプリング61が介在されている。リターンスプリング61によりピストン20を前方に付勢し、シリンダボディ5の内周に固定された規制プレート47に接近した位置に保持している。第1ピストン部57の内周にはカップ状の連結部材62が摺動可能に嵌装され、第1ピストン部57の連結部材62との嵌合面には変圧室18に開口する連通溝57bが形成されている。連結部材62の中心部には大気弁体63が結合され、大気弁体63は両ピストン部57、58の結合部を挿通して第2ピストン部58内に延在され、入力ロッド10の一端に連結されている。第2ピストン部58の内孔開口部には入力ロッド10が気密的に貫通するエアフィルタ90が固定されている。入力ロッド10上にはピストン20の非作動位置において、リアシェル14の突出部14aと当接して入力ロッド10と大気弁体63の位置を規制する規制部材64が一体的に取付けられている。
【0024】
大気弁体63の外周には外周方向に突出する凸部が形成され、この凸部に第1ピストン部57側に向けて第2弁座65が形成されている。第2ピストン部58に形成された第1弁座59と大気弁体63に形成された第2弁座65は半径方向に隙間を存して隔てられ、かつ軸方向に対応するように位置されている。
【0025】
70は変圧室18を大気と定圧室17とに切り換えて連通する制御弁体で、この制御弁体70の基部が第2ピストン部58の内周に抑え金具72によって固定されている。制御弁体70の先端には軸線方向に伸縮自在な可撓部73を介して基部に接続された弁部74が設けられている。弁部74は第1弁座59と第2弁座65との間の隙間を挿通して第1ピストン部57内に突入され、両弁座59、65に接離可能に当接するようになっている。すなわち、制御弁体70の弁部74とカップ状の連結部材62との間に介在された圧縮スプリング75の付勢力によって制御弁体70の弁部74が第1弁座59に当接され、また、抑え金具72と大気弁体63との間に介在された圧縮スプリング76の付勢力によって制御弁体70の弁部74に第2弁座65が当接されている。制御弁体70によってピストン20内が定圧室側と大気側とに区画され、第1、第2弁座59、65の接離によって定圧室17側と大気側とのいずれか一方を連通溝57bを介して変圧室18に連通するようになっている。
【0026】
連結部材62内には、カップ状の出力部材77が所定量相対摺動可能に嵌装され、この出力部材77の中心部より突出する出力ロッド78はピストンロッド37の先端にピン79によって結合されている。出力部材77のカップの底面と第1ピストン部57の反力端面57cとの間には環状の反力室80が形成され、この反力室80内に弾性材料で形成された環状帯の反力部材81が出力部材77のカップの底面と第1ピストン部57の反力端面57cとの間で挟持されるように収納されている。連結部材62には出力部材77のカップの底面との間で反力部材81を挟み込むように環状リング82が係合されている。
【0027】
これにより、反力部材81はピストン20が出力ロッド78、延いてはマスタシリンダ25の第1マスタピストン35を引張する力に応じて圧縮変形されるようになっており、ピストン20は定圧室17と変圧室18との両室内の圧力差に基づくダイヤフラム16の前後方向の移動を反力部材81及び出力ロッド78を介してマスタシリンダ25の第1マスタピストン35に伝達するようになっている。
【0028】
上記した第1及び第2弁座59、65、制御弁体70、並びに圧縮スプリング75、76によって弁機構83を構成し、また、出力部材77、第1ピストン部57、反力室80内に収納された反力部材81、環状リング82および連結部材62等によって反力機構84を構成している。
【0029】
次に、上記実施形態に係るブレーキ倍力装置の作動について説明する。ブレーキペダル12が踏まれて、入力ロッド10が図2の右方に引っ張られると、連結部材62に係合された環状リング82が反力部材81を圧縮しつつ圧縮スプリング75、76のばね力に抗して右方に移動され、制御弁体70の弁体74が大気弁体63の第2弁座65より開離される。これにより、車室3内の大気が第2弁座65、連通溝57bを通って変圧室18に流入し、変圧室18と定圧室17との両室内の圧力差によりダイヤフラム16、プレート19及びピストン20がリターンスプリング61のばね力に抗して後退移動される。
【0030】
ピストン20の後退移動により、出力ロッド78が反力部材81を介して後退され、マスタシリンダ25の第1マスタピストン35がピストンロッド37を介して後方に移動され、第1補給口53がシール部材36により遮断される。第1補給口53が遮断された後、第1マスタピストン35の後方移動により、第1シリンダ室42内の作動液の液圧が上昇し、この液圧がポート45を介して第1ブレーキ系統に供給される。
【0031】
第1マスタピストン35の後方移動により、第1シリンダ室42内の液圧が上昇するために、第2マスタピストン38も圧縮スプリング49を圧縮しながら後方移動され、補給孔56がシール部材34により遮断され、第2補給口54との連通が遮断される。第2補給口54との連通が遮断された後、第2マスタピストン38の後方移動により、第2シリンダ室43内の作動液の液圧が上昇し、この液圧がポート46を介して第2ブレーキ系統に供給される。第2マスタピストン38は第1、第2シリンダ室42、43が同圧となる位置にバランスされる。
【0032】
ピストン20はダイヤフラム16に作用する両室内の圧力差に応じた作動力で、反力部材81を弾性変形しながら出力ロッド78を介して第1マスタピストン35を後退移動するとともに、制御弁体70の弁体74が大気弁体63に対して後退されるため、ブレーキペダル12の踏力に見合った作動力でピストン20が出力ロッド78を引っ張ると、制御弁体70の弁体74が第2弁座65に当接して大気と変圧室18との連通を遮断し、所望のブレーキ油圧を保持する。このとき、ブレーキペダル12を踏む力は、入力ロッド10を介して連結部材62の環状リング82から反力部材81に伝達され、反力部材81が踏力に応じて弾性変形するので、運転者は反力を感じることができる。
【0033】
ブレーキペダル12が開放されると、反力部材81の弾性復帰作用により、連結部材62がピストン20に対して前方に移動されるため、制御弁体70の弁部74が第1弁座59より開離する。これにより定圧室17内の負圧が半径方向孔60、第1弁座59、連通溝57bを通って変圧室18に導入され、変圧室18と定圧室17との両室内の圧力差が無くなり、ピストン20、プレート19及びダイヤフラム16がリターンスプリング61のばね力により前方に移動され、図2に示す原位置に復帰する。一方、ピストン20の前方への移動により、マスタシリンダ25の第1マスタピストン35が原位置に復帰されるとともに、第2マスタピストン38が原位置に復帰され、マスタシリンダ25の各シリンダ室42、43内がリザーバ6に開放される。
【0034】
なお、ブレーキ倍力装置としては、上記実施の形態で説明したように、ブレーキペダル12の踏込み操作によって入力ロッド10を後方側へ移動させるように構成したものに限らず、ブレーキペダル12の踏込み操作によって入力ロッド10を前方側へ移動させるにものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレーキ倍力装置をダッシュボードに取付けた状態を示す図。
【図2】ブレーキ倍力装置の詳細を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…ダッシュボード、2…エンジンルーム、3…車室、4…ブレーキブースタ、5…シリンダボディ、5a…フランジ部、6…リザーバ、10…入力ロッド、12…ブレーキペダル、13…フロントシェル、14…リアシェル、16…ダイヤフラム、17…定圧室、18…変圧室、20…ピストン、25…マスタシリンダ、26…タイロッド。
Claims (3)
- ブレーキブースタを構成するフロントシェルとリアシェルとの間にダイヤフラムの外周縁を挟着してブレーキブースタを定圧室と変圧室とに区画し、該ダイヤフラムにピストンを固着し、該ピストンにブレーキペダルの操作に基づいて前記変圧室を大気と前記定圧室とに切り換えて連通する弁機構を設け、前記両室内の圧力差に基づくダイヤフラムの前後方向の移動を前記ピストンから出力ロッドを介してマスタシリンダに伝達してブレーキ液圧を発生するブレーキ倍力装置において、エンジンルームと車室とを隔てる車輌のダッシュボードに、前記マスタシリンダに設けたフランジ部を、前記マスタシリンダがダッシュボードを貫通してエンジンルーム側に突出するように車室側で固定し、前記マスタシリンダのフランジ部に前記ブレーキブースタを取付けたことを特徴とするブレーキ倍力装置。
- 請求項1において、前記ブレーキペダルの踏込み操作によって前記ピストンを後方側へ移動させるように構成したことを特徴とするブレーキ倍力装置。
- 請求項1または2において、前記マスタシリンダのフランジ部及び前記ブレーキブースタを軸線方向に貫通する複数のタイロッドにより、前記フロントシェルと前記リアシェルとを結合し、前記ブレーキブースタを前記マスタシリンダのフランジ部に固定するとともに、前記フランジ部を前記ダッシュボードに固定することを特徴とするブレーキ倍力装置。
Priority Applications (3)
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JP2002350591A JP2004182056A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | ブレーキ倍力装置 |
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US10/703,439 US6907731B2 (en) | 2002-11-11 | 2003-11-10 | Master cylinder apparatus |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002350591A JP2004182056A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | ブレーキ倍力装置 |
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-
2002
- 2002-12-03 JP JP2002350591A patent/JP2004182056A/ja not_active Abandoned
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