JP2001135871A - 積層型圧電体の製造方法 - Google Patents

積層型圧電体の製造方法

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JP2001135871A
JP2001135871A JP31213799A JP31213799A JP2001135871A JP 2001135871 A JP2001135871 A JP 2001135871A JP 31213799 A JP31213799 A JP 31213799A JP 31213799 A JP31213799 A JP 31213799A JP 2001135871 A JP2001135871 A JP 2001135871A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層型圧電体の内部電極層の端面が露出して
いる部分に均一なセラミックスコーティング層を形成
し、信頼性に優れた積層型圧電体を、用途に対応させて
コストを抑えて製造する方法を提供する。 【解決手段】 圧電セラミックス層2と内部電極層3と
を交互に複数積層させ、内部電極層3の端面が側面等に
露出した構造を有する積層型圧電体1の製造方法におい
て、圧電セラミックスからなるグリーンシートと内部電
極層3とを交互に複数積層させ所定形状のグリーンシー
ト積層体を形成後、その外面をセラミックスでコーティ
ングし、脱バインダ処理と、焼成とを施し内部電極層3
の端面が露出している部分にセラミックスコーティング
層4を形成する。しかも、要求特性に適合する方法でセ
ラミックスコーティング層4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型圧電体の製
造方法に関する。特に、積層型圧電体の信頼性と経済性
とを高めた積層型圧電体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、薄型の圧電アクチュエータとし
て、積層型圧電体が多用されている。この積層型圧電体
は、一般に、板状の圧電セラミックス層と電圧を印加す
るための膜状の内部電極層とが交互に複数積層され、こ
の内部電極層の端面の所定位置に外部電極が設けられた
構造を有する。
【0003】前記積層型圧電体が小型であったり、形状
が複雑な場合には、積層型圧電体の側面に内部電極層の
端面が露出した部分が存在することがある。この状態で
内部電極層に電圧を印加し積層型圧電体を駆動させる
と、内部電極層を構成する金属等がイオン化し電極間を
電界に応じて移動する、いわゆるマイグレーション現象
が誘起される。なお、内部電極層としては、コスト等の
制約により、一般に、銀を主成分とした合金、例えば、
銀(Ag)−パラジウム(Pd)合金等が採用されてい
る。しかしながら、Agを含む合金からなる内部電極層
においては、マイグレーションが生じ易く、マイグレー
ションが進展すると、やがて、互いに対向する内部電極
層の間にAg等からなる金属の架橋が形成される。その
結果、金属の架橋により、対向する内部電極層の間で電
気的ショートが生じる場合があり、信頼性が損なわれる
おそれがある。
【0004】このようなマイグレーションは、特に、高
温高湿度、高電界下で促進される。そこで、以下の方策
により、前記積層型圧電体の耐湿性向上が図られてき
た。 (1)前記積層型圧電体の外面を、樹脂フィルムまたは
ガラス層からなる絶縁体で被覆する方法。
【0005】(2)前記積層型圧電体の外面を、シリカ
(SiO2 )からなる絶縁体でコーティングする方法。
例えば、特開昭61−15382号公報では、内部電極
層の露出部に、シリカからなる絶縁膜を減圧CVD法に
より均一に形成し、内部電極層の露出部をシリカ膜でコ
ーティングする技術が開示されている。
【0006】(3)前記積層型圧電体の内部電極層が側
面に露出した部分のみに、無機材料、または高分子材料
からなる絶縁体を選択的に固着させ被覆させる方法。例
えば、特開平7−176802号公報では、電気泳動法
により、圧電セラミックス等の無機物、またはポリイミ
ド等の高分子の絶縁体からなる粒子を、前記積層型圧電
体の内部電極層が露出した部分のみに選択的に固着させ
被覆させる技術が開示されている。
【0007】(4)前記積層型圧電体に孔部が設けられ
た構造を有するものにおいて、その孔部に充填材を充填
し、その内面に内部電極層の端面が露出している部分を
被覆した構造。例えば、特開平10−136665号公
報では、前記積層型圧電体に孔部が設けられた構造を有
するものにおいて、その孔部にシリコーン樹脂やウレタ
ン樹脂等の柔軟性充填材が充填された構造が開示されて
おり、孔部の内部電極層の端面が露出している部分が被
覆されることによって耐湿性を向上させる効果も付与さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(1)の方策によれば、前記積層型圧電体の外面を樹脂
フィルムでコーティングした場合、耐湿性付与の効果が
小さく信頼性の点で問題が残る。また、前記積層型圧電
体の外面をガラス層で被覆した場合、耐湿性は向上する
が、ガラス層の弾性率と前記圧電セラミックスの弾性率
との差が許容範囲を越える場合があり、前記積層型圧電
体を駆動させた際に、ガラス層が圧電セラミックスの変
位を阻害するおそれがある。
【0009】前記(2)の方策によれば、耐湿性は向上
するが、前記積層型圧電体を駆動させシリカ膜に引張応
力が繰返し作用した場合に、シリカ膜にクラックが発生
し易くなる。シリカ膜にクラックが発生すると内部電極
層の端面が再び露出して、信頼性が損なわれるという問
題が内包される。
【0010】また、前記シリカ膜を所定膜厚に形成させ
るには比較的長い処理時間を要するため、コストアップ
要因となるという問題もある。
【0011】前記(3)の方策によれば、耐湿性が向上
し、さらに内部電極層が露出している部分のみに選択的
に絶縁体が固着され被覆されるため、前記積層型圧電体
を駆動させシリカ膜に引張応力が繰返し作用した場合に
もクラックの発生は充分に抑止することが可能となる。
したがって、信頼性を大きく向上させることができる。
また、電気泳動法によれば、前記(2)の方策に比べ絶
縁体の被覆時間も短かくなるため、コストアップをある
程度低く抑えることが可能となる。
【0012】前記(4)の方策によれば、孔部で内部電
極層が露出している部分の耐湿性は向上するが、外面に
内部電極層が露出している部分については、別途絶縁体
からなるコーティング層等を設け外界から遮蔽すること
が必要となる。
【0013】したがって、本発明は前記積層型圧電体の
内部電極層の端面が露出している部分に均一なセラミッ
クスコーティング層を形成し、信頼性に優れた積層型圧
電体を用途に対応させてコストを抑えて製造する方法を
提供することを目的とする。なお、「セラミックスコー
ティング層」とは局所的または比較的広い面積を被覆す
るセラミックスからなる膜のことをいう。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記目的
を達成するために鋭意検討した結果、圧電セラミックス
層と内部電極層とを交互に複数積層させ、その内部電極
層の端面が側面等に露出した構造を有する積層型圧電体
の製造方法において、その内部電極層が露出している部
分にセラミックスをコーティングし、しかも、要求特性
に適合する方法でセラミックスをコーティングすること
により、前記目的を達成できることを見出し、本発明を
創作するに至った。
【0015】〔第1の態様〕 (1)本発明の積層型圧電体の製造方法の第1の態様
は、圧電セラミックス層からなるグリーンシートと内部
電極層とを交互に複数積層させて所定形状のグリーンシ
ート積層体を形成した後、その外面をセラミックスでコ
ーティングし、脱バインダ処理と、焼成とを施して前記
内部電極層の端面が露出している部分にセラミックスコ
ーティング層を形成する構成とした。
【0016】〔第2の態様〕 (2)また、本発明の積層型圧電体の製造方法の第2の
態様は、第1の態様において、前記グリーンシート積層
体に脱バインダ処理と、予備焼成を施す工程とを加えて
構成した。
【0017】(3)なお、本発明の第2の態様におい
て、前記グリーンシートと内部電極層とを交互に複数積
層したものを所定形状に形成する形状加工を、前記セラ
ミックスをコーティングする前であれば、前記脱バイン
ダ処理と予備焼成とを施す前に行っても、または、その
後に行っても、いずれの工程手順で行ってもよい。
【0018】(4)また、本発明の第2の態様におい
て、前記予備焼成の温度が、800℃以上、かつ、前記
焼成の温度以下であることが好ましい。
【0019】(5)また、本発明の第1の態様、また
は、第2の態様において、前記セラミックスが、圧電セ
ラミックスからなることが好ましく、若しくは積層型圧
電体本体の圧電セラミックス層と同一の化学量論的組成
比からなることがさらに好ましい。
【0020】(6)本発明の第1の態様、または、第2
の態様において、前記セラミックスをコーティングする
方法が、ディップコート法、または、スピンコート法で
あることが好ましい。
【0021】(7)本発明の第2の態様においては、前
記セラミックスをコーティングする方法が、電気泳動法
であってもよい。この場合には、前記所定形状のグリー
ンシート積層体に内部電極層が露出している部分のみに
前記セラミックスがコーティングされる。
【0022】(8)本発明の第1の態様、または、第2
の態様において、前記積層型圧電体を圧電アクチュエー
タに適用すると都合がよい。
【0023】(9)本発明の第2の態様においては、前
記セラミックス積層体の外面をセラミックスでコーティ
ングした後に行う脱バインダ処理を適宜省略してもよ
い。
【0024】(10)本発明の第1の態様、または、第
2の態様において、前記内部電極層を、Agを含む合金
で構成すると前記圧電アクチュエータの要求特性とコス
トとを調和させて満足させることができ都合がよい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
(a)、(b)、(c)を参照して説明する。図1
(a)は本発明の実施の形態に係る積層型圧電体1の構
成を示す斜視図であり、図1(b)は(a)のA−A線
断面図であり、図1(c)は(a)のB−B線断面図で
ある。図1(a)、(b)、(c)に示すように、本実
施の形態に係る積層型圧電体1は、圧電セラミックス層
2と、内部電極層3と、セラミックスコーティング層4
とを含んでなり、側面で内部電極層3が露出した部分に
セラミックスコーティング層4を設けた構造となってい
る。
【0026】[セラミックスコーティング層]セラミッ
クスコーティング層4は、積層型圧電体1の内部電極層
3の端面が露出している部分を外界と遮断し充分な耐湿
性を付与するものである。このようなセラミックスコー
ティング層4の必要条件として以下の事項が挙げられ
る。 (A)積層型圧電体1の駆動時に、その圧電体の伸びを
阻害することを防ぐために、セラミックスコーティング
層4の弾性率が、積層型圧電体1を構成する圧電セラミ
ックス層2の弾性率と同程度以上、若しくは同一である
こと。 (B)吸湿性、透過性(液体、気体)が充分に低いこ
と。 (C)積層型圧電体1に充分な密着性を保持してコーテ
ィングできること。 (D)均質で、かつ、欠陥が比較的少ないセラミックス
コーティング層4を形成できること。 このような条件を備えたセラミックスコーティング層4
に適用されるセラミックスとしては、例えば、以下のよ
うなセラミックスが挙げられる。
【0027】圧電セラミッスス層2が、例えば、PZT
{Pb(Zr,Ti)O3 }系セラミックスからなる場合には、セ
ラミックスコーティング層4を、そのPZT系セラミッ
クスの主要構成元素である鉛(Pb)、ジルコニウム
(Zr)、チタン(Ti)、酸素(O)を含む圧電セラ
ミックスとするのが好ましい。このようにすればセラミ
ックスコーティング層4の弾性率と圧電セラミックス層
2の弾性率とを略同一にすることができ、積層型圧電体
1の駆動時にその変位を阻害することを防いだセラミッ
クスコーティング層4を形成することが可能となる。
【0028】また、必要に応じて本発明の目的・効果が
損なわれない範囲で、前記PZT系セラミックスの主要
構成元素であるPb、Zr、Ti、O以外に、従来公知
の各種添加元素を添加することができる。例えば、スト
ロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、ニオブ(N
b)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ニッケル
(Ni)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、タンタル
(Ta)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等を
適宜添加し、前記PZT系セラミックスの構成元素の一
部を置換してもよい。また、前記圧電セラミックス層2
が前記PZT系セラミックス以外の場合、例えば、チタ
ン酸バリウム系セラミックスや、チタン酸鉛系セラミッ
クスからなる場合にも、前記PZT系セラミックスの場
合の対処法に準じて調整されたセラミックスコーティン
グ層4を形成することが好ましい。
【0029】さらに、セラミックスコーティング層4を
圧電セラミックス層2と同一の化学量論的組成比で構成
することにより、セラミックスコーティング層4の弾性
率と圧電セラミックス層2の弾性率とが同一となり、積
層型圧電体1の駆動時に、その変位を阻害することを抑
制することが可能である。したがって、セラミックスコ
ーティング層4を圧電セラミックス層2と同一の化学量
論的組成比で構成することがさらに好ましい。
【0030】このようなセラミックスコーティング層4
の厚みは、5〜10μmであることが好ましい。その厚
みが5μm未満であると、厚みの均一度が低下しピンホ
ール等の欠陥や下地の露出が生じ易くなり、局部的に内
部電極層3の端面が露出する危険性がある。その結果、
内部電極層3を構成するAg等のマイグレーションの防
止が不充分となるため好ましくない。また、その厚みが
10μmを越えると、積層型圧電体1の変位を阻害する
作用が過大となるため好ましくない。また、セラミック
スコーティング層4の内部応力が増大するため、積層型
圧電体1の繰返し引張応力によってクラックが発生する
危険性が高まる可能性もある。
【0031】〔予備焼成の温度〕積層型圧電体1の予備
焼成は、前記グリーンシート積層体を、以後の工程のハ
ンドリングに支障をきたさないような充分な強度に形成
し、また圧電セラミックス層2と異なる材質のセラミッ
クスでコーティングする場合には、セラミックスコーテ
ィング層4と圧電セラミックス層2との化学反応を抑制
するために行われるものである。本実施の形態において
は、この予備焼成の温度は、圧電セラミックス層2の強
度を一定以上に確保する観点から、800℃以上とする
ことが好ましい。また、前記グリーンシート積層体の予
備焼成の温度は信頼性の点から、焼成の温度以下、例え
ば、前記PZT系圧電セラミックスの場合には1100
℃以下とすることが好ましい。前記PZT系圧電セラミ
ックスの場合には、後記するように信頼性試験の結果を
踏まえ、予備焼成の温度を950〜1050℃とするの
がさらに好ましい。
【0032】また、この予備焼成はPb等の比較的低沸
点の元素の蒸発を防止し、圧電セラミックスの化学量論
的組成比を維持するため密閉雰囲気で行うことが好まし
い。
【0033】なお、前記したグリーンシート積層体が、
その後の工程に対して支障をきたさないような充分な強
度を備えている場合、または、圧電セラミックス層2と
異なる材質のセラミックスでコーティングする際にセラ
ミックスコーティング層4と圧電セラミックス層2との
化学反応が起こらない場合には、脱バインダおよび予備
焼成の工程は省略してもよい。予備焼成を省略する場合
には、そのまま直接、加工を施すことができる。
【0034】〔焼成の温度〕また、積層型圧電体1の焼
成は、圧電セラミックス層2とセラミックスコーティン
グ層4とを充分な温度で充分な時間焼成し、所望の圧電
特性およびセラミックスの構造特性を得るべく行われ
る。例えば、圧電セラミックス層2が前記PZT系セラ
ミックスからなる場合の焼成の温度としては、900〜
1200℃であることが好ましい。また、信頼性試験の
結果を踏まえ、焼成の温度を950〜1100℃とする
のがさらに好ましい。この焼成の温度は、圧電セラミッ
クス層2やセラミックスコーティング層4の種類、およ
び両者の組み合わせに応じて適切に設定される。
【0035】[セラミックスコーティング層の形成方
法]積層型圧電体1のセラミックスコーティング層4の
形成は、積層型圧電体1の内部電極層3の端面が露出し
ている部分にセラミックスをコーティングすることによ
り、内部電極層3の端面を外界から遮断して内部電極層
3の構成金属のイオン化を防ぎ、そのマイグレーション
を抑止するために行われるものである。そこで、セラミ
ックスコーティング層4を均質に、なおかつ欠陥を可及
的に抑えて形成することが必要となる。さらに、経済性
の観点から、生産性よく形成することも要求される。こ
のようなセラミックスコーティング層4の形成方法の必
要条件として以下の事項が挙げられる。
【0036】(A)均質に、かつ、欠陥をより少なく形
成できること。 (B)比較的短時間で所定の厚みに形成できること。 (C)層の厚みを精度よく形成できること。 以上の必要条件を備えたコーティング方法として、以下
の方法が挙げられる。
【0037】(1)ディップコート法 所定のセラミックスの粒子を溶媒および樹脂中に分散さ
せた分散液中に、グリーンシート積層体、または前記予
備焼成を行ったグリーンシート積層体(以下、予備焼成
積層体という)を一定時間浸漬させ、セラミックスをコ
ーティングする。その後、このグリーンシート積層体ま
たは予備焼成積層体に脱バインダ処理を施し、所定の厚
みにセラミックスコーティング層4を形成する。脱バイ
ンダ処理法としては、例えば、前記セラミックスの粒子
がPZT系圧電セラミックスを樹脂(アクリル系、ポリ
ビニルアルコール系等)に分散させたものからなる場合
には、大気中、350〜700℃の温度で加熱して行わ
れる。この方法によれば、セラミックスコーティング層
4を比較的簡便に短時間で形成できるため、大量生産に
好適である。
【0038】(2)スピンコート法 所定のセラミックスの粒子を溶媒および樹脂中に分散さ
せた分散液を、回転ステージ上に固定された前記グリー
ンシート積層体または予備焼成積層体上に所定量滴下
し、所定の回転速度で、一定時間回転させ、セラミック
スをコーティングする。その後、このグリーンシート積
層体または予備焼成積層体に脱バインダ処理を施し、所
定の厚みにセラミックスコーティング層4を形成する。
脱バインダ処理法は前記(1)の場合に準ずる。この方
法によれば、ディップコート法に比べ均一に、かつ、精
度よくセラミックスをコーティングできるため、セラミ
ックスコーティング層4の厚みをより精度よく形成した
い場合に好適である。
【0039】(3)電気泳動法 所定のセラミックスの粒子を分散させた溶液中に前記予
備焼成積層体と、参照電極とを浸漬する。そして、この
予備焼成積層体の内部電極層3の露出部分の一部に設け
られた外部電極(図示せず)、または仮外部電極(図示
せず)と、参照電極(図示せず)との間に所定の電圧を
印加する。このようにして内部電極層3と外部電極、ま
たは仮外部電極との間に電圧を印加することにより、前
記溶液中に分散しているセラミックス粒子を電界に沿っ
て内部電極層3の露出部分に移動させ、セラミックスを
コーティングする。その後、この予備焼成積層体を焼成
し、所定の厚みにセラミックスコーティング層4を形成
する。この方法は、内部電極層3が露出した部分のみに
選択的にセラミックスコーティング層4を形成でき、か
つ、厚みの制御も高精度に行える方法であり、特に高い
信頼性を得たい場合に好適である。
【0040】また、セラミックスコーティング層4は、
前記(1)〜(3)の、いわゆる「湿式」による膜形成
法以外にも、多少時間を要するが、気相中で行う、いわ
ゆる「乾式」による膜形成法を用いることも可能であ
る。
【0041】以上説明したセラミックスコーティング層
4の形成方法は、必要に応じて適宜使い分けることが可
能であるが、信頼性と経済性とを可及的に好ましい調和
点で満足させた積層型圧電体1を製造するには、前記デ
ィップコート法を用いることで、本発明の目的を充分に
達成することができる。
【0042】〔内部電極層〕積層型圧電体1に用いられ
る内部電極層3は、圧電セラミックスからなるグリーン
シート上に膜状の所定のパターン形状に形成されるもの
である。そして、この内部電極層3は、そのグリーンシ
ートを積層することにより圧電セラミックス層2と内部
電極層3とが交互に複数積層して圧電セラミックス層2
に電界を作用させるための対向電極となる。この内部電
極層3に電圧を印加することによって、圧電セラミック
ス層2に変位を発生させ積層型圧電体1を駆動させるこ
とができる。なお、この内部電極層3の形成方法は特に
限定されず、圧電セラミックスの形成方法を考慮して、
導電性ペーストの焼成や、スパッタリング法、真空蒸着
法、無電解めっき法等の従来公知の各種膜形成法から適
宜選択すればよい。
【0043】また、内部電極層3を膜状の所定のパター
ン形状に形成する方法は特に限定されず、例えば、導電
性ペーストを用いて形成する場合には、所定のパターン
形状を有するスタンプやローラ、スクリーン、あるいは
マスク等を用いてグリーンシート上に塗布して行う、い
わゆる印刷法で行ってもよい。また、グリ−ンシートの
表面にフォトレジスト膜を形成し、マスクを用いて露光
処理を行うフォトリソグラフィ法により所定のパターン
にフォトレジスト膜を形成し、その後、前記膜形成法に
より内部電極層3を所定の厚みで所定のパターンに形成
してもよい。このような内部電極層3の必要条件とし
て、以下の事項が挙げられる。
【0044】(A)グリーンシート上の所定の位置に容
易に形成できること。 (B)グリーンシート上に密着性良く形成できること。 (C)所定の温度で焼成した後にも電極としての機能を
保持できること。 (D)所定の電極構造を保持したまま圧電セラミックス
層2の変位に対応して変位できること。 前記(A)〜(D)の条件を満たし、かつ、経済性を加
味し、これらを可及的に好ましい調和点で満足させる内
部電極層3としては、通常、AgをベースとしこれにP
dを適量加えたAg−Pd合金が用いられる。この内部
電極層3は、例えば、ペースト状のAg−Pd合金をグ
リーンシート上に印刷して形成することができる。Ag
−Pd合金の化学組成は、焼成温度によりAgとPdの
含有比率を適宜決定する。また、必要に応じて、Ag−
Pd合金に他の金属および酸化物の両者、あるいはいず
れか一方を添加してもよい。なお、最も外側にある内部
電極層3のさらに外側には、いわゆる蓋としての圧電セ
ラミックス層2が設けられる。
【0045】そして、内部電極層3は、前記脱バインダ
処理と予備焼成とを施した後に、必要に応じてその端面
を露出させる加工を施すこともできる。
【0046】また、本発明に係る積層型圧電体1には、
内部電極層3の端面の所定位置に接続される外部電極
(図示せず)が設けられる。この外部電極の形成は、セ
ラミックスコーティング層4が形成された後に行われて
もよい。その際、この外部電極が設けられる位置の内部
電極層3を被覆しているセラミックスコーティング層4
は、従来公知の各種の切断法、研削法等を用いて、例え
ば、サンドブラスト処理法によって削られ、内部電極層
3の端面を露出させることができる。
【0047】なお、本発明に係る製造方法で作製された
積層型圧電体1は、圧電セラミックス層2と内部電極層
3との積層数や、大きさ(面積、厚み、幅等)に特に制
限はなく、少なくとも2層からなる積層型圧電体1であ
れば適用できる。
【0048】また、本発明に係る製造方法で作製された
積層型圧電体1には、形状の制限は特になく、セラミッ
クスコーティング層4が形成可能であれば適用できる。
例えば、内部に孔部が設けられた形状の積層型圧電体に
も適用可能である。
【0049】
【実施例】以下に、本発明の積層型圧電体の製造方法の
実施例を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限
定されるものではなく、本発明の効果を奏する限りにお
いて適用可能である。
【0050】[実施例1]実施例1を図1〜図3および
表1を参照して説明する。図1(a)は本実施例で作製
した積層型圧電体1の斜視図であり、図1(b)は
(a)のA−A線断面図であり、図1(c)は(a)の
B−B線断面図である。また、図2は本実施例の工程フ
ローを示す図であり、図3は図2の主要部を示す模式図
である。図2および図3において、まず、圧電セラミッ
クス粉末材料、バインダ、溶剤等を混練してペーストを
調製し(S1〜S4)、これを成形してグリーンシート
を作製した(S5)。また、別途、導電性材料、バイン
ダ、溶剤等を混練して内部電極層用ペーストを調製し
た。つぎに、前記グリーンシート上に所定のパターンの
内部電極層用ペーストを印刷した(S6)後、これを所
定の大きさに切断し(S7)、30枚積層(S8)し、
プレス(S9)してグリンーンシート積層体を作製した
(S10)。このグリーンシート積層体に予備焼成(S
12)を施したもの(脱バインダ処理(S11) あり)と、
予備焼成(S12)を施さなかったものとの水準振りを
行い、各々に加工(S13)を施し側面に内部電極層3
の端面が露出した形状のグリーンシート積層体7を作製
後、ディップコート法を用いて内部電極層3が露出した
部分を含む外面全体に下記に示すセラミックスコーティ
ング層4を形成し(S14)、セラミックスコーティン
グ積層体8を作製した。その後、乾燥(S15)、脱バ
インダ処理(S16)、焼成(17)を施し最終形状に
加工(S18)後、所定の位置に外部電極を設け(S1
9〜S20)、積層型圧電体1の試験サンプルを作製し
た(S21)。また、比較例としてセラミックスコーテ
ィング層4を形成していない試験サンプルも作製した。
その後、初期電気特性測定を行い(S22)、さらに、
高温高湿度、高電界条件下で内部電極層からのマイグレ
ーション現象を促進させて信頼性の耐湿性試験を行い
(S23)、試験時間と累積不良率との関係について調
べた。表1に試験結果を示す。試験サンプルの構成およ
び耐湿性試験の条件を以下に示す。
【0051】(1)外形寸法:2.0 ×1.2 ×3.0mm (2)圧電セラミックス層2の化学組成 Pb0.96Sr0.04[(Co1/3Nb2/3)0.01Ti0.46Zr0.53]O3+WO3 (3)セラミックスコーティング層4の化学組成 (a) 積層型圧電体1本体の圧電セラミックス層2と同一
化学量論的組成比からなるもの Pb0.96Sr0.04[(Co1/3Nb2/3)0.01Ti0.46Zr0.53]O3+WO3 (b) 積層型圧電体1本体の圧電セラミックス層2とは異
なる圧電セラミックスからなるもの Pb0.96Sr0.04[(Zn1/3Nb2/3)0.1Ti0.42Zr0.48]O3 +T2O5 (c) 圧電セラミックスではないセラミックスからなるも
の BaTiO3+Li2SiO3 (4)圧電セラミックス層2と内部電極層3との層間
隔:25μm (5)層数:30層 (6)内部電極:Ag−Pd(化学組成比 Ag:Pd
=70:30) (7)外部電極:Au(金) (8)予備焼成温度:800〜1100℃ (9)ディップコート法の条件 樹脂(アクリル系)を溶解させた分散液に前記各種セラ
ミックスの粉末を分散させたものを使用した。 分散媒:酢酸エチル、および、塩化メチレンの混合溶媒 セラミックス粉末濃度:30質量% 浸漬時間:10秒 温度:室温 雰囲気:大気下 (10)焼成温度:1100℃ (11)耐湿性試験の条件: 試験槽:85℃/85%RH 印加電圧:D.C.50V(2kV/mm) (12)不良の判定条件:絶縁抵抗が3桁低下した場合
に不良と判定した。
【0052】
【表1】
【0053】表1より、セラミックスコーティング層4
を形成していない比較例No.25 では、累積不良率が10
時間経過後では60%、50時間では100%となって
おり、信頼性が著しく低くなっている。また、セラミッ
クスコーティング層4が圧電体ではないセラミックスか
らなる実施例No.17 〜24では、累積不良率が10時間経
過後で0%、50時間経過後で10〜60%、100時
間で15〜75%であり、セラミックスコーティング層
4がない比較例No.25 に比べ信頼性が向上している。一
方、セラミックスコーティング層4が圧電セラミックス
からなる実施例No.1〜16では、累積不良率が10時間経
過後では0%、50時間では0〜25%、さらに100
時間経過後でも0〜60%であり、信頼性がより向上し
ている。その中で、セラミックスコーティング層4が積
層型圧電体1本体の圧電セラミックス層2と同一の実施
例No.1〜8 は、セラミックスコーティング層4が積層型
圧電体1本体の圧電セラミックス層2と異なる圧電セラ
ミックス層からなる実施例No.9〜16に比べ、20時間以
上で累積不良率が低くなっている。特に、セラミックス
コーティング層4が積層型圧電体1本体の圧電セラミッ
クス層2と同一かつ予備焼成温度が950〜1050℃
の実施例No.2、3 、4 では、100時間経過後でも累積
不良率が0%となっており、飛躍的に信頼性が向上した
ものとなっている。
【0054】また、本発明に係る実施例で、予備焼成あ
り、なしの効果を比較すると、予備焼成なしのNo.8、1
6、24の累積不良率は、それぞれ予備焼成ありのNo.1〜7
、No.9〜15、No.17 〜23と比べて特に有意な差がみら
れず、したがって、予備焼成あり、なしの信頼性に対す
る影響はほとんどないことが分かる。このことから、前
記グリーンシート積層体が充分な強度を備えていれば、
予備焼成を省略しても信頼性に特に悪影響を及ぼさない
と言える。
【0055】[実施例2]実施例2を図1〜図3および
表2を参照して説明する。なお、実施例1と同じ図面ま
たは構成は説明を省略する。実施例1と同様にして作製
したグリーンシート積層体(S10)に脱バインダ処理
(S11)と、予備焼成(S12)と、加工(S13)
とを施して側面に内部電極層3の端面が露出した形状の
グリーンシート積層体7を作製後、スピンコート法を用
いて内部電極層3が露出した部分を含む外面に、積層型
圧電体1本体と同一の化学量論的組成比からなるセラミ
ックスコーティング層4を形成し(S14)、セラミッ
クスコーティング積層体8を作製した。その後、乾燥
(S15)、脱バインダ処理(S16)、焼成(S1
7)を施し、最終形状に加工(S18)後、外部電極5
を設け(S19〜S20)、積層型圧電体1の試験サン
プルを作製した(S21)。また、比較例としてセラミ
ックスコーティング層4を形成していない試験サンプル
も作製した。その後、実施例1と同様にして、初期電気
特性測定(S22)を行った後、高温高湿度、高電界条
件下で信頼性の耐湿性試験(S23)を行い、試験時間
と累積不良率との関係について調べた。表2に試験結果
を示す。なお、試験サンプルの構成および不良の判定条
件は実施例1に準ずる。 (1)スピンコート法の条件 樹脂(アクリル系)を溶解させた分散液に前記各種セラ
ミックスの粉末を分散させたものを使用した。 分散媒:酢酸エチル、および、塩化メチレンの混合溶媒 セラミックス粉末濃度:30質量% 温度:室温 雰囲気:大気下 回転数:2000rpm 実効回転時間:30秒 (2)予備焼成温度:1100℃ (3)焼成温度:1100℃
【0056】
【表2】
【0057】表2より、セラミックスコーティング層4
を形成していない比較例No.27 は、10時間で累積不良
率が60%となり、50時間で100%となっている。
それに対して、本発明に係る実施例No.26 では、累積不
良率が50時間経過まで0%、さらに200時間でも3
5%に留まっており、比較例No.27 に比べ信頼性が著し
く向上していることが分かる。
【0058】[実施例3]実施例3を図1〜図3および
表3を参照して説明する。なお、実施例1または実施例
2と同じ図面または構成は説明を省略する。実施例1、
2と同様にして作製したグリーンシート積層体(S1
0)に脱バインダ処理(S11)と、予備焼成(S1
2)と、加工(S13)とを施して側面に内部電極層3
の端面が露出した形状のグリーンシート積層体7を作製
後、電気泳動法を用いて内部電極層3が露出した部分に
選択的にセラミックスコーティング層4を形成した(S
14)。その後、乾燥(S15)、焼成(S17)を施
し、最終形状に加工(S18)し、外部電極5を設け
(S19〜S20)、積層型圧電体1の試験サンプルを
作製した(S21)。また、比較例として、セラミック
スコーティング層4を形成していない試験サンプル作製
した。その後、実施例1、2と同様にして、初期電気特
性測定(S22)を行い、高温高湿度、高電界条件下で
信頼性の耐湿性試験(S23)を行い、試験時間と累積
不良率について調べた。試験結果を表3に示す。なお、
試験サンプルの構成および不良の判定条件は実施例1、
2に準ずる。 (1)電気泳動法の条件 分散媒:アセトン 粉末濃度:1質量% 印加電圧:DC100V 処理時間:1分 (2)予備焼成温度:1100℃ (3)焼成温度:1100℃
【0059】
【表3】
【0060】表3より、セラミックスコーティング層4
を形成していない比較例No.29 は、10時間で累積不良
率が60%となり、50時間で100%となっている。
それに対して、本発明に係るNo.28 は、累積不良率が5
0時間経過まで0%、さらに200時間経過後でも30
%に留まっており、前記比較例No.29 に比べ信頼性が著
しく向上していることが分かる。
【0061】以上の結果より、本発明に係る積層型圧電
体1の製造方法によれば、図3に示すように、前記グリ
ーンシート積層体(S10)に必要に応じて脱バインダ
処理(S11)と予備焼成(S12)とを行った後、加
工(S13)を施して側面に内部電極層3の端面が露出
した形状のグリーンシート積層体7にした後、その内部
電極層3が露出した部分に、セラミックスコーティング
層4、好ましくは圧電セラミックスからなるセラミック
スコーティング層4、さらに好ましくは前記積層型圧電
体1本体の圧電セラミックス層2と同一の化学量論的組
成比からなるセラミックスコーティング層4を、ディッ
プコート法、または、スピンコート法、または、電気泳
動法を用いて形成(S14)したセラミックスコーティ
ング積層体8を作製することができる。その後、セラミ
ックスコーティング積層体8に乾燥(S15)、必要に
応じて脱バインダ処理(S16)、および焼成(S1
7)を施し、最終形状に加工(S18)し、外部電極を
設け(S19〜S20)、耐湿性に優れ、信頼性に優れ
る積層型圧電体1を製造することができる(S21)。
【0062】その中で、ディップコート法によれば、比
較的簡便にしかも短時間でセラミックスコーティング層
4を形成することができ、信頼性を向上させた積層型圧
電体1を比較的安価に提供することができる。また、ス
ピンコート法によれば、セラミックスコーティング層4
の厚みの均一性をさらによくでき、信頼性に優れ、寸法
精度のよい積層型圧電体1を提供することができる。そ
して、電気泳動法によれば、内部電極層3の端面が露出
した部分のみに選択的にセラミックスコーティング層4
を形成できるため、その駆動時に繰返し引張応力の影響
を抑えることができ、セラミックスコーティング層4の
クラック発生をより効果的に防止することができる。さ
らに、必要に応じて予備焼成(S12)を施す場合に
は、その温度を焼成(S17)の温度以下とすること
で、安定して駆動する積層型圧電体1を提供することが
できる。
【0063】
【発明の効果】(1)以上のとおり、本発明における請
求項1に係る発明によれば、圧電セラミックス層と内部
電極層とを交互に積層し、内部電極層の端面が側面等に
露出した構造を有する積層型圧電体の製造方法で、前記
圧電セラミックス層からなるグリーンシートと前記内部
電極層とを交互に複数積層したグリーンシート積層体に
加工を施し、所定形状のセラミックス積層体を形成後
に、外面をセラミックスでコーティングし、内部電極層
の端面が露出している部分にセラミックスコーティング
層を形成することで、耐湿性を向上させて内部電極層の
マイグレーションの発生を防止した信頼性に優れる積層
型圧電体を提供することができる。
【0064】(2)また、請求項2に係る発明によれ
ば、前記(1)において、前記グリーンシート積層体に
必要に応じて予備焼成を施す工程を加えることで所定の
強度を確保できるため後の工程のハンドリングに支障を
きたすことがなくなり、また、前記圧電セラミックス層
と異なる材質のセラミックスでコーティングする場合に
は、このセラミックスと前記圧電セラミックスとの化学
反応を抑制するため、化学的に安定なセラミックスコー
ティング層を形成でき、前記した信頼性に優れる積層型
圧電体を提供することができる。
【0065】(3)請求項3に係る発明によれば、前記
(2)において、予備焼成の温度を800℃以上、か
つ、焼成の温度以下とすることにより、前記した優れた
信頼性に加え、より安定して駆動する積層型圧電体を提
供することができる。
【0066】(4)請求項4に係る発明によれば、前記
セラミックスコーティング層が圧電セラミックスで形成
されているため、その駆動時に、前記セラミックスコー
ティング層が圧電セラミックス層の変位を阻害しにくく
して動作特性を高め、しかも、前記した信頼性に優れる
積層型圧電体を提供することができる。
【0067】(5)請求項5に係る発明によれば、前記
セラミックスコーティング層が、積層型圧電体本体の圧
電セラミックス層と同一の化学量論的組成比からなるセ
ラミックスで形成されているため、その駆動時に、圧電
セラミックス層の変位をより阻害しにくくして動作特性
を高め、しかも、前記した信頼性に優れる積層型圧電体
を提供することができる。
【0068】(6)請求項6に係る発明によれば、前記
セラミックスコーティング層を、ディップコート法によ
り形成するため、コストを低く抑え、しかも前記した信
頼性に優れる積層型圧電体を提供することができる。
【0069】(7)請求項7に係る発明によれば、前記
セラミックスコーティング層を、スピンコート法により
形成するため、寸法精度がより高く、しかも前記した信
頼性に優れる積層型圧電体を提供することができる。
【0070】(8)さらに、請求項8に係る発明によれ
ば、前記セラミックスコーティング層を、電気泳動法に
より形成するため、駆動時の繰返し引張応力による前記
セラミックスコーティング層のクラック発生をより一層
抑えることができ、前記した優れた信頼性をより長期間
に渡って発揮できる積層型圧電体を提供することができ
る。
【0071】(9)そして、請求項9に係る発明によれ
ば、前記した信頼性に優れる積層型圧電体を圧電アクチ
ュエータに適用することで、コスト、性能、耐久性、精
度等の多くのニーズにより的確に応えた圧電アクチュエ
ータを提供することができる。
【0072】以上説明したとおり、本発明に係る積層型
圧電体の製造方法によれば、優れた信頼性と優れた経済
性とを両立させた積層型圧電体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係る積層型圧電体の構成を示す
斜視図である。 (b)(a)における積層型圧電体1のA−A線断面図
である。 (c)(a)における積層型圧電体1のB−B線断面図
である。
【図2】本発明の積層型圧電体1の製造方法に係る工程
フローを示す図である。
【図3】本発明の積層型圧電体1の製造方法に係る工程
フローの主要部を示す模式図である。
【符号の説明】
1 積層型圧電体 2 圧電セラミックス層 3 内部電極層 4 セラミックスコーティング層 5 外部電極 7 内部電極層3の端面が露出した形状のグリーンシー
ト積層体 8 内部電極層3の端面が露出した形状のグリーンシー
ト積層体7にセラミックスコーティング層4が形成され
たセラミックスコーティング積層体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電セラミックス層と内部電極層とを交
    互に複数積層させ、かつ、その内部電極層の端面が露出
    した構造を有する積層型圧電体の製造方法において、 前記圧電セラミックス層からなるグリーンシートと前記
    内部電極層とを交互に複数積層させて所定形状のグリー
    ンシート積層体を形成した後、 その外面をセラミックスでコーティングし、脱バインダ
    処理と、焼成とを施して前記内部電極層の端面が露出し
    ている部分にセラミックスコーティング層を形成するこ
    とを特徴とする積層型圧電体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の積層型圧電体の製造方法にお
    いて、前記グリーンシート積層体に脱バインダ処理を施
    す工程と、予備焼成を施す工程とを加えたことを特徴と
    する請求項1に記載の積層型圧電体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記予備焼成の温度が、800℃以上
    で、かつ、前記焼成の温度以下であることを特徴とする
    請求項2に記載の積層型圧電体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記セラミックスコーティング層が、圧
    電セラミックスからなることを特徴とする請求項1乃至
    請求項3のいずれか1項に記載の積層型圧電体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記セラミックスコーティング層が、積
    層型圧電体本体の圧電セラミックスと同一の化学量論的
    組成比を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3
    のいずれか1項に記載の積層型圧電体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記セラミックスをコーティングする方
    法が、ディップコート法であることを特徴とする請求項
    1乃至請求項5のいずれか1項に記載の積層型圧電体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記セラミックスをコーティングする方
    法が、スピンコート法であることを特徴とする請求項1
    乃至請求項5のいずれか1項に記載の積層型圧電体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記セラミックスをコーティングする方
    法が、電気泳動法であることを特徴とする請求項2乃至
    請求項5のいずれか1項に記載の積層型圧電体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記積層型圧電体が、圧電アクチュエー
    タ用であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のい
    ずれか1項に記載の積層型圧電体の製造方法。
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