JP2004291455A - セラミックグリーンシート及びその製造方法、並びに、積層型電子部品及びその製造方法 - Google Patents

セラミックグリーンシート及びその製造方法、並びに、積層型電子部品及びその製造方法 Download PDF

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文男 吉井
Tamikazu Kume
民和 久米
Toshiaki Yagi
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Abstract

【課題】水系グリーンシートと有機溶剤系グリーンシートの短所を排除しトータル的なコストダウンを図れるセラミックグリーンシートを提供する。
【解決手段】第1,第2グリーンシート4,6は電子線3の照射による架橋処理により水系グリーンシートでありながら環境湿度の影響を受け難い性質を有するものとなっているため、第1,第2グリーンシート4,6を積み重ねて圧着するときに環境湿度の影響によって厚さ変動等の変形や伸びによる積層ずれを生じることを確実に防止できる。また、第1,第2グリーンシート4,6は、有機溶媒系グリーンシートのようにスラリー溶媒として有機溶剤を使用していないので、シート製造過程等で蒸発した有機溶剤によって作業環境が汚損される問題や、工場から排出される有機溶剤によって工場外環境が汚損される問題を未然に回避することができると共に、これら問題に対策を講じるための費用を削減し、且つ、溶媒に係る材料費を削減してシート製造コストを低減できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシート及びその製造方法と、積層型電子部品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサ等の積層型電子部品の製造に使用されるセラミックグリーンシートは、一般に、セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーをフィルム等の被塗布体に塗布し乾燥することにより作成されている。
【0003】
このグリーンシートは使用される溶媒及びバインダの種類によって水系グリーンシートと有機溶剤系グリーンシートとに大別される。ちなみに、水系グリーンシートは溶媒として水を用い、且つ、バインダとして水に可溶な合成樹脂を用いたものを指し、一方、有機溶剤系グリーンシートは溶媒としてアルコール系等の有機溶剤を用い、且つ、バインダとして有機溶剤に可溶な合成樹脂を用いたものを指す。
【0004】
水系グリーンシートは、有機溶剤系グリーンシートに比べて溶媒に係る材料費が安く済むメリットがあるものの、環境湿度の影響を受け易い性質から特にグリーンシートを積み重ねて圧着するときに厚さ変動等の変形や伸びによる積層ずれを生じ易い短所があるため、シート薄層化による小型化等が望まれている近年においては前記短所を有しない有機溶剤系グリーンシートが主として用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では有機溶剤系グリーンシートに対しても、シート製造過程等で蒸発した有機溶剤によって作業環境が汚損される問題や、工場から排出される有機溶剤によって工場外環境が汚損される問題が指摘されている。
【0006】
前者の問題に対しては作業者に防護具の着用を強制する等の手段が講じられているが、長期的な従事による健康悪化の懸念は払拭できないし、場合によって作業者の安全を守るために防爆装置を設置する必要も生じる。また、後者の問題に対しては有機溶剤を無害化するための浄化装置を設ける等の手段が講じられている。
【0007】
しかし、何れの問題も対策を講じるために相当の費用が必要であり、溶媒に係る材料費が嵩むことも相俟って、グリーンシートの製造コストやこのグリーンシートを使用して製造された積層型電子部品の単価を低減することが困難となっている。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、水系グリーンシートと有機溶剤系グリーンシートの短所を排除しトータル的なコストダウンを図れるセラミックグリーンシート及びその製造方法と、積層型電子部品及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のセラミックグリーンシートは、セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布して製造されたグリーンシートであって、スラリーにはバインダとして水溶性樹脂が使用され溶媒として水が使用されていて、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線照射による架橋処理が施されている、ことをその特徴とする。
【0010】
このセラミックグリーンシートは電子線照射による架橋処理により水系グリーンシートでありながら環境湿度の影響を受け難い性質を有するものとなっているため、グリーンシートを積み重ねて圧着するときに環境湿度の影響によって厚さ変動等の変形や伸びによる積層ずれを生じることを防止できる。また、このグリーンシートは、有機溶媒系グリーンシートのようにスラリー溶媒として有機溶剤を使用していないので、シート製造過程等で蒸発した有機溶剤によって作業環境が汚損される問題や、工場から排出される有機溶剤によって工場外環境が汚損される問題を未然に回避できると共に、これら問題に対策を講じるための費用を削減し、且つ、溶媒に係る材料費を削減してシート製造コストを低減できる。
【0011】
また、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法は、セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布してグリーンシートを製造する方法であって、バインダとして水溶性樹脂を使用し溶媒として水を使用したスラリーを用い、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線を照射して架橋処理を施す、ことをその特徴とする。
【0012】
このセラミックグリーンシートの製造方法によれば、前記のセラミックグリーンシートを的確且つ安定に製造できる。
【0013】
一方、本発明の積層型電子部品は、セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布して第1グリーンシートを作成する工程と、金属粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含む導体ペーストを第1グリーンシート上に塗布して未焼成導体層を有する第2グリーンシートを作成する工程と、第1グリーンシートと第2グリーンシートとを所定順序で多数枚積み重ね圧着て未焼成積層物を作成する工程を少なくとも利用して製造された積層型電子部品であって、第1グリーンシート作成工程のスラリーにはバインダとして水溶性樹脂が使用され溶媒として水が使用されていて、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線照射による架橋処理が施されている、ことを特徴とする。
【0014】
この積層型電子部品によれば、水系グリーンシートでありながら環境湿度の影響を受け難い性質を有する第1,第2グリーンシートを用いて、有機溶剤系グリーンシートを用いた場合と変わらぬ品質を備える積層型電子部品を的確に製造でき、積層型電子部品の小型化等にも的確に応じることができると共に、シート製造コストの低減により積層型電子部品の単価をも低減することができる。
【0015】
また、本発明の積層型電子部品の製造方法は、セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布して第1グリーンシートを作成する工程と、金属粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含む導体ペーストを第1グリーンシート上に塗布して未焼成導体層を有する第2グリーンシートを作成する工程と、第1グリーンシートと第2グリーンシートとを所定順序で多数枚積み重ね圧着して未焼成積層物を作成する工程を少なくとも利用して積層型電子部品を製造する方法であって、第1グリーンシート作成工程では、バインダとして水溶性樹脂を使用し溶媒として水を使用したスラリーを用い、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線を照射して架橋処理を施す、ことをその特徴とする。
【0016】
この積層型電子部品の製造方法によれば、前記の積層型電子部品を的確且つ安定に製造できる。
【0017】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図5は本発明を積層セラミックコンデンサに適用した実施形態を示す。
【0019】
積層セラミックコンデンサを製造するときには、先ず、チタン酸バリウム(BaTiO)やBaTiOのBaサイトの一部をCa,Sr,Mg,Pbの1種または複数種で置換したものやBaTiOのTiサイトの一部をZr,Snの1種または両方で置換したものやBaoの一部をSrO,CaO,MgOの1種または複数種で置換したもの等から成るペロブスカイト構造の誘電体材料と、HoやCeO 等の希土類酸化物やMnO から成る耐還元性材料とを少なくとも含む耐還元性のセラミック粉末を用意する。
【0020】
そして、このセラミック粉末と、水溶性樹脂から成るバインダと、水から成る溶媒を適当な重量割合で混合,混練してスラリーを用意する。前記水溶性樹脂にはポリマー内に極性の基を有し水に溶解し得るもの、例えば、ポリビニルブチラール等のポリアセタール樹脂や、ポリビニルアルコール樹脂や、ポリアクリルアミド等のメタクリル樹脂(アクリル樹脂)等が適宜使用できる。樹脂の状態は、完全に水に溶けた状態であってもよいし、エマルジョンの状態であってもよい。ちなみに、スラリーにおけるバインダ(水溶性樹脂)の重量割合は一般に2〜15wt%であるが、使用するセラミック粉末の粉体物性により最適添加量が異なるためこの数値範囲に限定されるものではない。また、スラリーには、界面活性剤等の分散剤や、可塑剤や、架橋促進剤等の各種添加剤を必要に応じて適量添加しても構わない。
【0021】
次に、図1(A)に示すように、前記スラリーをドクターブレードやダイコータ等を用いた塗布法によってポリエチレンテレフタレート(PET)等から成るキャリアフィルム1上に所定の厚みで塗布してスラリー塗布物2を作成する。
【0022】
次に、図1(B)に示すように、前記スラリー塗布物2に図示省略の電子線照射装置から電子線3を照射してスラリー塗布物2中のバインダに架橋反応を生じさせて架橋させ、この後に乾燥処理を行ってスラリー塗布物2中の水を蒸発させて第1グリーンシート4を作成する。
【0023】
このときに使用する電子線には特に制限はないが、工業的にはコバルト60からのγ線、或いは加速器による電子線が望ましい。加速器による電子線の場合、目的とする耐水性が得られるのであれば加速電圧に特段の制限はない。
【0024】
前記の架橋処理における電子線照射の線量は1〜300kGy、好ましくは10〜150kGyである。線量が少ない場合は架橋の効果が減少し、逆に線量が多い場合は架橋の効果が充分に得られるもののコストが増加するするため、実際上では架橋の効果とコストとの関係から適当な線量を選択して使用することが好ましい。また、照射雰囲気は大気中等の酸化性雰囲気であってもよいし、NやN+H等の還元性雰囲気下または酸素分圧が低い雰囲気であってもよい。さらに、前記の乾燥処理は架橋処理前に行っても構わないが、バインダ粒子に流動性が確保されている乾燥処理前の状態で行うほうが架橋処理をより均一に行うことができる。
【0025】
次に、図2に示すように、Ni,Cu等の卑金属粉末とバインダと溶媒等を適当な重量割合で混合,混練して得た導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の厚膜形成法によって前記第1グリーンシート4上に所定の厚みで印刷し、この後に乾燥処理を行って未焼成内部電極層5を有する第2グリーンシート6を作成する。前記導体ペーストには、溶媒としてアルコール系等の有機溶剤を用い、且つ、バインダとして有機溶剤に可溶な合成樹脂を用いたものの他、溶媒として水を用い、且つ、バインダとして水に可溶な合成樹脂を用いたものが適宜使用できる。
【0026】
次に、図3に示すように、第1グリーンシート4を1乃至複数枚(図中は2枚)積層し、その上に、第2グリーンシート6を必要枚数(図中は8枚)積層し、その上に、第1グリーンシート4を1乃至複数枚(図中は3枚)積層して、最終的に全体に圧力を加え圧着度を増して単位積層物7を作成する。
【0027】
前記の積層には、グリーンシートを下側グリーンシートに重ねて圧着してからキャリアフィルム1を剥離する手順を最終のグリーンシートまで順次繰り返して全体を加圧する方法の他、グリーンシートを下側グリーンシートに重ねて圧着してからキャリアフィルム1を剥離する手順を所定回数繰り返して得たものを幾つか用意しておいてこれらを積み重ねてから全体を加圧する方法が採用できる。
【0028】
次に、図4に示すように、単位積層物7を図示省略の焼成炉に投入し、NやN+H等の還元性雰囲気下または酸素分圧が低い雰囲気下で、300〜600℃の温度で20〜40時間程度の時間をかけて脱バイを行い、続いて、1300℃付近の温度で2時間程度の時間をかけて本焼成を行って、複数の内部電極9がセラミックス層を介して積層された構造を有する単位チップ8を作成する。
【0029】
次に、図5に示すように、内部電極9の端縁が交互に露出する単位チップ8の相対する端部に前記同様の導体ペーストをディップ法やロール塗布法等の手法によって塗布し、前記同様の還元性雰囲気下または酸素分圧が低い雰囲気下で、700〜900℃の温度で1時間程度の時間をかけて焼き付けて外部電極10を作成する。
【0030】
前記の外部電極用塗布ペーストの焼き付けは単位積層物7の焼成と同時に行うようにしてもよく、この場合には単位積層物7の相対する端部に導体ペーストを塗布してから、これを焼成炉に投入して単位積層物7の焼成と外部電極用塗布ペーストの焼成を同時に行う。
【0031】
尚、図1〜図5には、説明の便宜上、第1グリーンシート4及び第2グリーンシート6として単一の積層コンデンサに対応したサイズのものを示してあるが、、実際上の第1グリーンシート4及び第2グリーンシート6は多数個取りが可能な大きさを有しており、第2グリーンシート6には取り数に応じた数の未焼成内部電極層5がm×n等の所定配列で形成される。また、積層工程によって作成された未焼成積層物はダイシング装置等を用いて個々の部品サイズに分断され、これにより図3に示す単位積層物7が作成される。
【0032】
先に説明したように、前記の第1,第2グリーンシート4,6は電子線3の照射による架橋処理により水系グリーンシートでありながら環境湿度の影響を受け難い性質を有するものとなっているため、第1,第2グリーンシート4,6を積み重ねて圧着するときに環境湿度の影響によって厚さ変動等の変形や伸びによる積層ずれを生じることを確実に防止できる。依って、水系グリーンシートである第1,第2グリーンシート4,6を用いて、有機溶剤系グリーンシートを用いた場合と変わらぬ品質を備える積層セラミックコンデンサを的確に製造でき、積層セラミックコンデンサの小型化及び大容量化の要求にも的確に応じることができる。
【0033】
また、第1,第2グリーンシート4,6は、有機溶媒系グリーンシートのようにスラリー溶媒として有機溶剤を使用していないので、シート製造過程等で蒸発した有機溶剤によって作業環境が汚損される問題や、工場から排出される有機溶剤によって工場外環境が汚損される問題を未然に回避することができると共に、これら問題に対策を講じるための費用を削減し、且つ、溶媒に係る材料費を削減してシート製造コスト並びに積層セラミックコンデンサの単価を低減することができる。
【0034】
図6〜図8は、本発明を適用して製造されたグリーンシートの耐水性の評価結果をそれぞれ示す。
【0035】
図6の評価結果における実験例1〜16は、チタン酸バリウム粉末と水溶性ポリビニルブチラールと水とを70:5:25の重量割合で含むスラリーを用い、これをPETフィルム上に5,50,100,500μmの厚みで塗布し、このスラリー塗布物が乾燥する前に電子線を線量1,10,100,300kGyで照射して架橋処理を行い、この後に乾燥処理を行ってスラリー塗布物中の水を蒸発させることにより作成されたグリーンシートをその評価対象とする。また、図6の評価結果における比較例1〜4は、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤系ポリビニルブチラールとアルコールとを70:5:25の重量割合で含むスラリーを用い、これをPETフィルム上に5,50,100,500μmの厚みで塗布し、このスラリー塗布物を乾燥させることにより作成されたグリーンシートをその評価対象とする。
【0036】
図7の評価結果における実験例1〜16は、チタン酸バリウム粉末と水溶性ポリビニルブチラールと水とを70:5:25の重量割合で含むスラリーを作成し、これをPETフィルム上に5,50,100,500μmの厚みで塗布し、このスラリー塗布物を乾燥させてから電子線を線量1,10,100,300kGyで照射して架橋処理を施すことにより作成されたグリーンシートをその評価対象とする。また、図7の評価結果における比較例1〜4は、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤系ポリビニルブチラールとアルコールとを70:5:25の重量割合で含むスラリーを用い、これをPETフィルム上に5,50,100,500μmの厚みで塗布し、このスラリー塗布物を乾燥させることにより作成されたグリーンシートをその評価対象とする。
【0037】
図8の評価結果における実験例1〜16は、チタン酸バリウム粉末と水溶性アクリル樹脂と水とを70:5:25の重量割合で含むスラリーを用い、これをPETフィルム上に5,50,100,500μmの厚みで塗布し、このスラリー塗布物が乾燥する前に電子線を線量1,10,100,300kGyで照射して架橋処理を行い、この後に乾燥処理を行ってスラリー塗布物中の水を蒸発させることにより作成されたグリーンシートをその評価対象とする。また、図8の評価結果における比較例1〜4は、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤系アクリル樹脂とアルコールとを70:5:25の重量割合で含むスラリーを用い、これをPETフィルム上に5,50,100,500μmの厚みで塗布し、このスラリー塗布物を乾燥させることにより作成されたグリーンシートをその評価対象とする。
【0038】
何れの場合も、作成されたグリーンシートを水中で煮沸し、煮沸後の重量減少量(%)に基づいて各々グリーンシートの耐水性を評価した。
【0039】
図6〜図8に示す各評価結果から分かるように、各実験例1〜16の重量減少量は比較例1〜4の重量減少量よりも低く、架橋処理によって水系グリーンシートの耐水性が有機溶剤系グリーンシートの耐水性よりも全体的に向上していることが分かる。また、図6及び図7に示す各評価結果から分かるように、スラリー塗布物を乾燥する前に架橋処理を施すほうが水系グリーンシートの耐水性が若干向上していることも分かる。
【0040】
尚、前述の説明では、積層セラミックコンデンサ用のグリーンシートを例に挙げてセラミックグリーンシート及びその製造方法に係る発明を詳述したが、同発明は他の積層型電子部品、例えば、積層セラミックインダクタ等のチップ部品や、積層セラミックコンデンサアレイ等のアレイ部品や、積層セラミックLCフィルター等の複合部品や、多層基板等を製造する際に用いられるグリーンシートにも適用でき同様の作用効果を得ることができる。また、前述の説明では、積層セラミックコンデンサを例に挙げて積層型電子部品及びその製造方法に係る発明を詳述したが、同発明は先に述べた他の積層型電子部品にも適用でき同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、水系グリーンシートと有機溶剤系グリーンシートの短所を排除しトータル的なコストダウンを図れるセラミックグリーンシート及びその製造方法と、積層型電子部品及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1グリーンシートの作成工程の説明図
【図2】第2グリーンシートの作成工程の説明図
【図3】単位積層物の作成工程の説明図
【図4】単位チップの作成工程の説明図
【図5】
外部電極の作成工程の説明図
【図6】
グリーンシートの耐水性の評価結果を示す図
【図7】
グリーンシートの耐水性の評価結果を示す図
【図8】
グリーンシートの耐水性の評価結果を示す図
【符号の説明】
1…キャリアフィルム、2…スラリー塗布物、3…電子線、4…第1グリーンシート、5…未焼成内部電極層、6…第2グリーンシート、7…単位積層物、8…単位チップ、9…内部電極、10…外部電極。

Claims (4)

  1. セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布して製造されたグリーンシートであって、
    スラリーにはバインダとして水溶性樹脂が使用され溶媒として水が使用されていて、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線照射による架橋処理が施されている、
    ことを特徴とするセラミックグリーンシート。
  2. セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布してグリーンシートを製造する方法であって、
    バインダとして水溶性樹脂を使用し溶媒として水を使用したスラリーを用い、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線を照射して架橋処理を施す、
    ことを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
  3. セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布して第1グリーンシートを作成する工程と、金属粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含む導体ペーストを第1グリーンシート上に塗布して未焼成導体層を有する第2グリーンシートを作成する工程と、第1グリーンシートと第2グリーンシートとを所定順序で多数枚積み重ね圧着して未焼成積層物を作成する工程を少なくとも利用して製造された積層型電子部品であって、
    第1グリーンシート作成工程のスラリーにはバインダとして水溶性樹脂が使用され溶媒として水が使用されていて、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線照射による架橋処理が施されている、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  4. セラミック粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含むスラリーを被塗布体上に塗布して第1グリーンシートを作成する工程と、金属粉末,バインダ及び溶媒を少なくとも含む導体ペーストを第1グリーンシート上に塗布して未焼成導体層を有する第2グリーンシートを作成する工程と、第1グリーンシートと第2グリーンシートとを所定順序で多数枚積み重ね圧着して未焼成積層物を作成する工程を少なくとも利用して積層型電子部品を製造する方法であって、
    第1グリーンシート作成工程では、バインダとして水溶性樹脂を使用し溶媒として水を使用したスラリーを用い、スラリーを被塗布体上に塗布した後に電子線を照射して架橋処理を施す、
    ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
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