JP2016063079A - 抵抗素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】素体と、素体の表面に配置される端子電圧とを含む抵抗素子において、端子電極表面におけるめっき層の未着を防止しつつ、めっき層を構成する成分の素体表面への析出を抑制することができる抵抗素子、およびそのような抵抗素子の製造方法を提供する。【解決手段】素体と、素体の表面に配置される端子電極とを含む抵抗素子であって、端子電極の表面を除く素体表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層を有する、抵抗素子。【選択図】図1

Description

本発明は、抵抗素子およびその製造方法に関し、特に、素体の表面に端子電極が配置されたチップ型抵抗素子およびその製造方法に関する。
素体の表面に端子電極が配置された抵抗素子等のチップ型電子部品を基板に実装する場合、通常、はんだ付けが行われる。このとき、実装時のはんだ濡れ性や耐熱性を向上させるために、端子電極の表面に電解めっきによりめっき層を形成することが知られている。しかし、電解めっきを行う場合、端子電極の表面にめっき層が形成されるだけでなく、端子電極が形成されている部分以外の素体の表面にもめっき層を構成する成分が析出してしまうという問題がある。めっき層を構成する成分の素体表面への析出を防止するために、素体の表面にガラス、樹脂、シランカップリング剤等のカップリング剤等の層を形成する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、セラミックサーミスタ素子の両端部に外部電極が形成されており、この外部電極で被覆されていないセラミックサーミスタ素子の表面は有機系絶縁層もしくはサーミスタ素子よりも高比抵抗のセラミック層で覆われていることを特徴とするチップ型セラミックサーミスタが記載されている。特許文献1には、セラミックサーミスタ素子の表面に、外部電極形成部を残してアクリレート系の絶縁樹脂をタンポ印刷などの工法を用いて塗布、熱硬化させて絶縁層を形成し、絶縁層を形成したセラミックサーミスタ素子の両端部にNiめっき層およびSnめっき層を順次形成して、チップ型セラミックサーミスタを得ることが記載されている。このように素子表面に絶縁層を形成することにより、電解めっき時に素子表面にめっきが析出すること及びセラミックサーミスタ素子表面の腐食を防止することができる。
特許文献2には、セラミック素体と、セラミック素体の表面に形成される端子電極と、端子電極の表面に形成されるめっき膜とを有するチップ型電子部品であって、セラミック素体の表面のうち少なくとも端子電極が形成されていない部分にチタネート系カップリング剤の被覆層が形成されてなることを特徴とするチップ型電子部品が記載されている。特許文献2に記載のチップ型電子部品は、セラミック素体の表面にチタネート系カップリング剤の被覆層が形成されていることにより、端子電極以外のセラミック素体にめっき膜が形成されることを防ぐことができる。
特開2000−091105号公報 特許第4506066号公報
抵抗素子の外観不良を低減し、歩留まりを向上させるために、抵抗素子の端子電極が形成されている部分以外の素子表面において、めっき層を構成する成分(例えばNi等の金属成分)の析出をより一層抑制することが求められている。一方、シランカップリング剤等の層を素体表面に形成させた場合、めっき層を構成する成分の素体表面への析出が抑制されるだけでなく、端子電極表面におけるめっき層の形成も阻害されてしまい、めっき層の未着が発生するという問題がある。そのため、端子電極表面におけるめっき層の未着を防止しつつ、めっき層を構成する成分の素体表面における析出を抑制する方法が求められている。更に、素体表面にガラス層を形成する従来の方法は、製造工数が相当に多くなるため、製造コストが高騰するという問題がある。従って、低コストかつ簡単な方法で、めっき層を構成する成分の素体表面への析出を抑制することも求められている。
本発明の目的は、端子電極表面におけるめっき層の未着を防止しつつ、めっき層を構成する成分の素体表面への析出を抑制することができる抵抗素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、研究を重ねた結果、抵抗素子において、端子電極の表面を除く素体表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層を形成することにより、端子電極表面におけるめっき層の未着を防止しつつ、めっき層を構成する成分の素体表面への析出を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の要旨によれば、素体と、
素体の表面に配置される端子電極と
を含む抵抗素子であって、
端子電極の表面を除く素体表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層を有する、抵抗素子が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、素体と、素体の表面に配置される端子電極とを含む抵抗素子の製造方法であって、
素体の表面に端子電極を形成する工程と、
端子電極が形成された素体をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬して、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層を形成する工程と
を含む、方法が提供される。
本発明に係る抵抗素子は、上記構成を有することにより、端子電極表面におけるめっき層の未着を防止しつつ、めっき層を構成する成分の素体表面への析出を抑制することができる。また、本発明に係る抵抗素子の製造方法は、上記構成を有することにより、端子電極表面におけるめっき層の未着を防止しつつ、めっき層を構成する成分の素体表面への析出を抑制することができる抵抗素子を簡単な方法で得ることができる。
図1は、本発明の一の実施形態に係る抵抗素子の概略断面図である。 図2は、本発明の一の実施形態に係る抵抗素子の第1の変形例の概略断面図である。 図3は、本発明の一の実施形態に係る抵抗素子の第2の変形例の概略断面図である。 図4(a)〜(c)は、本発明の一の実施形態に係る抵抗素子の製造方法を説明する模式図である。 図5は、実施例7〜11および比較例1の抵抗素子にめっき層を形成した際の、めっき層の厚さの経時変化を示すグラフである。 図6は、実施例7〜11および比較例1の抵抗素子にめっき層を形成した際の、めっき層の厚さの変動係数の経時変化を示すグラフである。 図7は、基板に接着された抵抗素子の破壊強度測定結果を示すグラフである。 図8は、基板に接着された抵抗素子の破壊強度測定における、破壊モードA〜Eの発生割合を示すグラフである。 図9は、破壊モードDにおける抵抗素子の破壊強度測定結果を示すグラフである。 図10は、破壊モードEにおける抵抗素子の破壊強度測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は例示を目的とするものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下に説明する構成要素の寸法、材質、形状、相対的配置等は、特定的な記載がない限りは本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、各図面が示す構成要素の大きさ、形状、位置関係等は説明を明確にするため誇張していることがある。
[抵抗素子]
図1に、本実施形態に係る抵抗素子の概略断面図を示す。図1に示す抵抗素子1は、素体2と、素体2の表面に配置される端子電極3とを含み、端子電極3の表面を除く素体2の表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4を有する。
本実施形態において、素体2の種類は特に限定されるものではなく、目的とする抵抗素子1の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、抵抗素子1が半導体セラミック素子である場合、素体2は、半導体セラミックであってよい。図1に示す抵抗素子1は、素体2の内部に内部電極が配置されていない構成を有する。但し、本実施形態に係る抵抗素子1は、図2の第1の変形例に示すように、素体2の内部に複数の内部電極6を有してもよい。内部電極6は、互いに対向する1以上の対で構成され、端子電極3と電気的に接続される。
端子電極3は、素体2の表面に配置される。図1に示す構成において、1対の端子電極3が素体2の両端面に配置されているが、端子電極3の数および配置は、図1に示す形態に限定されるものではなく、目的に応じて適宜変更することができる。端子電極3は、Ag、Pd、Ag−Pd、Pt等の貴金属粒子を導電性成分として含むことが好ましいが、これに限定されるものではなく、Cu、Ni等の卑金属粒子を導電性成分として含んでもよい。
本実施形態に係る抵抗素子1は、端子電極3の表面を除く素体2の表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4を有する。アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は絶縁性を有する。そのため、端子電極3の表面に電解めっきによりめっき層を形成する際に、めっき層を構成する成分が素体2の表面に析出するのを抑制することができる。本実施形態において、絶縁性を有する被覆層4はアルコキシシランオリゴマーに由来する成分を含有しているので、例えばSi原子を1つ含むアルコキシシランのモノマーに由来する被覆層を素体の表面に形成する場合と比較して、めっき層を構成する成分の素体2の表面への析出をより一層効果的に抑制することができる。これは、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4を用いることにより、アルコキシシランのモノマーに由来する被覆層と比較して、より厚く且つより緻密な絶縁性の被覆層4を形成することができるからであると考えられる。なお、本明細書において、被覆層4の厚さ及び緻密さの指標として、素体2の表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合が用いられる。素体2の表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合は、X線光電子分光分析法(XPS)により測定することができる。素体2の表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合が高いほど、被覆層4が厚く且つ緻密であると見なすことができる。
アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、後述するように、端子電極3が形成された素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬することにより形成することができる。端子電極3が形成された素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬すると、アルコキシシランオリゴマーのアルコキシ基が加水分解することにより生じるシラノール基が素体2の表面と反応することにより、共有結合が形成される。また、アルコキシシランオリゴマーのアルコキシ基が加水分解することにより生じるシラノール基と、別のアルコキシシランオリゴマーにおいて生じるシラノール基との縮合反応も起こり得、複数のアルコキシシランオリゴマーがシロキサン結合により結合された縮合反応生成物が生成し得る。この縮合反応生成物もまた、アルコキシシランオリゴマーと同様に、素体2の表面と反応することにより共有結合を形成し得る。このようにして、アルコキシシランオリゴマーに由来する成分を含む被覆層4が素体2の表面に形成される。なお、本明細書において、「アルコキシシランオリゴマーに由来する成分」は、アルコキシシランオリゴマーと素体2の表面との反応により生成する生成物を含み、複数のアルコキシシランオリゴマーの縮合反応生成物と素体2の表面との反応により生成する生成物を更に含んでよい。また、「アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層」は、上述のアルコキシシランオリゴマーに由来する成分を含む層である。アルコキシシランオリゴマー溶液は、素体2に対する濡れ性は比較的高いが、端子電極3に対する濡れ性は比較的低い傾向にある。そのため、端子電極3が形成された素体2全体をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬した場合であっても、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、端子電極3の表面を除く素体2の表面に形成される。但し、端子電極3の表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する成分(アルコキシシランオリゴマーおよび複数のアルコキシシランオリゴマーの縮合反応生成物)が少量存在してもよい。端子電極3の表面に存在するアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が少量である場合、端子電極3の表面に電解めっきによりめっき層を形成する際にめっき層の形成が阻害されにくく、めっき層の形成不良を防止することができる。また、本実施形態におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、素体2の強度を低下させることがなく、また、抵抗素子1の電気的特性に悪影響を及ぼすこともないので、抵抗素子1の特性に影響を及ぼすことなく、めっき層を構成する成分の素体2の表面への析出を抑制することができ、抵抗素子1の外観不良を低減することができる。
更に、親水性の官能基または疎水性(撥水性)の低い官能基を有するアルコキシシランオリゴマーを用いることにより、親水性の被覆層4または疎水性の低い被覆層4を形成することができる。被覆層4が親水性である場合または疎水性が低い場合、端子電極3表面におけるめっき層の形成が、より一層阻害されにくくなる。その結果、端子電極3表面におけるめっき層の形成不良をより一層効果的に防止することができる。
本発明において用いられるアルコキシシランオリゴマーは、下記の構造式で表される。
Figure 2016063079

式中、ORはアルコキシ基、Xは官能基である。アルコキシシランオリゴマーは、複数のSi原子、例えば20個以下、代表的には10〜15個程度のSi原子がシロキサン結合で結合したものであればよい。アルコキシシランオリゴマーの官能基Xは特に限定されるものではなく、メチル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フェニル基、ビニル基、ウレイド基、イソシアネート基等の官能基の1以上を適宜選択することができる。なお、本明細書において、「エポキシ基」は3員環のエーテルであるオキシランを構造式中に有する官能基を意味し、「アミノ基」はNH基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれかを意味し、「メルカプト基」は−SHで表される構造を構造式中に有する官能基を意味する。アルコキシシランオリゴマーは、メチル基およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。アルコキシシランオリゴマーの官能基を上述のように選択することにより、端子電極3表面におけるめっき層の未着をより一層効果的に防止することができる。
アルコキシシランオリゴマーは、より好ましくは、官能基としてエポキシ基を有する。抵抗素子1を基板に実装する際、抵抗素子1を接着剤で仮止めし、その後、はんだにより実装を行うという方法が通常用いられている。このとき、抵抗素子1の表面に対する接着剤の濡れ性が低いと、抵抗素子1を接着剤で仮止めするときに十分な接着強度を得ることができないという問題がある。仮止め時の接着強度が低いと、実装不良を引き起こす可能性がある。接着剤としては通常、エポキシ樹脂系の接着剤が用いられる。被覆層4に含まれるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が官能基としてエポキシ基を有する場合、抵抗素子1の表面に対する接着剤の濡れ性を向上させることができ、接着剤で抵抗素子1を基板に仮止めする際に十分高い接着強度を達成することができる。その結果、実装不良を低減することができる。アルコキシシランオリゴマーは、より一層好ましくは、官能基としてエポキシ基およびメチル基を有する。被覆層4に含まれるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が官能基としてエポキシ基およびメチル基を有する場合、接着剤で抵抗素子1を基板に仮止めする際により一層高い接着強度を達成することができる。アルコキシシランオリゴマーが官能基としてエポキシ基を有する場合、アルコキシシランオリゴマーのエポキシ当量は、例えば200〜400g/molであってよい。
アルコキシシランオリゴマーのアルコキシ基は、例えばメトキシ基および/またはエトキシ基であってよい。即ち、上述の構造式(1)において、Rがメチルまたはエチルであってよい。メトキシ基はエトキシ基よりも反応性が高いので、アルコキシ基は、メトキシ基であることが好ましい。
アルコキシシランオリゴマーは、アルコキシ基を例えば10〜30重量%含んでよい。また、アルコキシシランオリゴマーにおけるSiO分率は、例えば30〜50重量%であってよい。尤も、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
アルコキシシランオリゴマーの重量平均分子量は、1000〜5000であることが好ましい。重量平均分子量が1000以上であると、素体2の表面に厚く緻密な絶縁層を形成することができ、めっき層を構成する成分が素体2の表面に析出するのを一層抑制することができる。重量平均分子量が5000以下であると、端子電極3の表面におけるめっき層の形成を阻害することなく、厚さのばらつきの小さいめっき層を形成することができる。アルコキシシランオリゴマーの重量平均分子量は、より好ましくは1500〜3000である。アルコキシシランオリゴマーの重量平均分子量が上記範囲内であると、めっき層を構成する成分が素体2の表面に析出するのを抑制しつつ、端子電極3の表面におけるめっき層形成の阻害を最小限に抑えることができる。
上述のように、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、端子電極3の表面を除く素体2の表面に形成されるが、端子電極3の表面に少量のアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が存在してもよい。端子電極3の表面におけるアルコキシオリゴマーに由来する成分の存在量は、素体2の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量よりも少ない。端子電極3の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量は、端子電極3の表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合で見積もることができる。一方、素体2の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量は、素体2の表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合で見積もることができる。素体2の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合が、端子電極3の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合よりも大きい場合、端子電極3の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量は、素体2の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量よりも少ないと見なすことができる。一例として、素体2が金属元素としてBaおよびTiを含有し、端子電極3が金属元素としてAgおよびCuを含有する場合、素体2の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合(Si/(Ba+Ti))は0.3〜3.0であることが好ましく、端子電極3の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合(Si/(Ag+Cu))は1.0以下であることが好ましい。素体2の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合、および端子電極3の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合は、XPS測定により求めることができる。
図3に、本実施形態に係る抵抗素子の第2の変形例の概略断面図を示す。図3に示すように、抵抗素子1は、端子電極3の表面に形成されためっき層5を更に含んでよい。めっき層5は単一の層であってよいが、図3に示すように複数の層で構成されてもよい。めっき層5は、例えば、端子電極3の表面に形成されたNiめっき層51およびNiめっき層51の表面に形成されたSiめっき層52を含むことができる。なお、図3に示す第2の変形例において、素体2の内部に内部電極は配置されていないが、図2に示す第1の変形例と同様に、素体2の内部に内部電極6を配置してもよい。本実施形態に係る抵抗素子1において、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、端子電極3の表面を除く素体2の表面に形成されるが、端子電極3の表面には少量のアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が存在してもよい。端子電極3の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量は、素体2の表面に存在するアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量よりも少ない。更に、親水性の官能基または疎水性の低い官能基を有するアルコキシシランオリゴマーを用いることにより、親水性の被覆層4または疎水性の低い被覆層4を形成することができる。被覆層4が親水性である場合または疎水性が低い場合、端子電極3表面におけるめっき層の形成が、より一層阻害されにくくなる。その結果、端子電極3表面におけるめっき層の形成不良をより一層効果的に防止することができる。この場合、端子電極3の表面にアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が存在する場合であっても、めっき層5の形成は、より一層阻害されにくくなる。従って、アルコキシシランオリゴマーを使用することにより、めっき層5の形成不良を効果的に抑制することができる。
本実施形態に係る抵抗素子1の用途は特に限定されるものではなく、コンデンサ、バリスタ等の半導体セラミック素子に幅広く適用することができる。
[抵抗素子の製造方法]
以下、本発明に係る抵抗素子の製造方法の一の実施形態について、図4を参照して説明するが、本発明に係る抵抗素子の製造方法はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係る抵抗素子1の製造方法は、素体2の表面に端子電極3を形成する工程と、端子電極3が形成された素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬して、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4を形成する工程とを含む。
(素体の作製)
まず、素体2を作製する。素体2の作製方法は、抵抗素子1の用途に応じて適宜選択することができる。以下、抵抗素子1が半導体セラミック素子であり、従って素体2が半導体セラミック素体である場合を例として、素体2の作製方法の一例を説明する。
素体2の原料として、セラミック原料および半導体化剤を所定量秤量する。セラミック原料および半導体化剤の種類は、目的とする用途に応じて適宜選択することができる。素体2の原料として、例えばBaCO、TiO、Pb、SrCO、CaCO、SiO、Er、MnCO等を用いてよい。素体2の原料として、セラミック原料および半導体化剤に加えて、特性改善剤や焼結助剤を用いてもよい。秤量した各原料を湿式混合粉砕し、得られた混合物を所定温度(例えば1200℃)で仮焼成して、仮焼粉末を得る。この仮焼粉末に、バインダ等を加えスプレードライヤーで乾燥造粒し、更に乾式プレス成型することによって未焼成のチップを得る。この未焼成のチップを大気中で所定温度(例えば1350℃付近)にて焼成することにより、素体2が得られる。
別法として、以下に説明する方法で素体を作製してもよい。素体2の原料として、セラミック原料および半導体化剤を所定量秤量する。セラミック原料および半導体化剤の種類は、目的とする用途に応じて適宜選択することができる。素体2の原料として、例えばBaCO、TiO、Sm等を用いてよい。素体2の原料として、セラミック原料および半導体化剤に加えて、特性改善剤や焼結助剤を用いてもよい。秤量した各原料を湿式混合粉砕し、得られた混合物を所定温度(例えば1100℃)で仮焼成して、仮焼粉末を得る。この仮焼粉末に、有機バインダ、分散剤および水を加えて混合することにより、セラミックスラリーを得る。このセラミックスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形し、乾燥させてセラミックグリーンシートを得る。セラミックグリーンシートを所定数積層し、圧着した後所定の寸法に切断して未焼成のチップを得る。この未焼成のチップを還元雰囲気の下で所定温度(例えば1200℃)にて焼成することにより、素体2が得られる。
内部電極6が内部に配置された素体2を作製する場合には、上述のセラミックグリーンシートの主面上に、所望のパターンとなるように内部電極ペーストを塗布し、次いで、内部電極ペーストがセラミックグリーンシートを介して対向するようにセラミックグリーンシートを所定数積層し、更に内部電極ペーストを塗布していないセラミックグリーンシートを上下に配置して圧着し、所定の寸法に切断することにより、未焼成のチップを得る。この未焼成のチップを還元雰囲気の下で焼成することにより、内部電極6が内部に配置された素体2が得られる。
(端子電極の形成)
得られた素体2の両端面に、Ag、Cu等の導電性粒子を有機ビヒクル中に分散させることにより得られる導電性ペースト(端子電極ペースト)を塗布する。塗布された導電性ペーストを焼き付けることにより、端子電極3を形成する。これにより、図4(a)に示すように端子電極3が形成された素体2が得られる。
(被覆層の形成)
次に、端子電極3が形成された素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬する。素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬することにより、素体2の表面に凹凸が存在する場合であっても、凹部および凸部の表面に被覆層4を形成することができる。めっき層を構成する成分の析出は、素体2の表面における凹凸部や、凹凸部に存在し得るアルミナ粉等の不純物が起点となる場合がある。本実施形態に係る方法は、凹部および凸部の表面に被覆層4を形成することができるので、素体2の表面に凹凸が存在する場合であっても、めっき層を構成する成分の析出を効果的に抑制することができる。アルコキシシランオリゴマー溶液は、アルコキシシランオリゴマーを、エタノール、2−プロパノール等の有機溶媒に溶解させることにより得ることができる。アルコキシシランオリゴマー溶液中のアルコキシシランオリゴマーの濃度は、0.1〜10体積%であることが好ましい。アルコキシシランオリゴマー濃度が0.1体積%以上であると、めっき層を構成する成分の素体2表面における析出をより一層効果的に抑制することができる。アルコキシシランオリゴマー濃度が10体積%以下であると、端子電極3の表面におけるめっき層析出の阻害を最小限にとどめることができる。端子電極3が形成された素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬することにより、図4(b)に示すように、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4が形成された抵抗素子1が得られる。アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、端子電極3の表面を除く素体2の表面に形成される。但し、端子電極3の表面に少量のアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が存在してもよい。本実施形態に係る抵抗素子1の製造方法は、上述のように、端子電極3が形成された素体2をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬するという簡単な方法で、素体2の表面に選択的に被覆層4を形成することができる。
上述の浸漬を行った後、場合により熱処理を行ってよい。熱処理を行うことにより、アルコキシシランオリゴマーのシラノール基と素体2の表面との反応を促進させることができる。熱処理は、例えば、100〜200℃で10〜60分間行ってよい。
(めっき層の形成)
本実施形態に係る抵抗素子1の製造方法は、上述の被覆層を形成する工程の後に、端子電極3の表面にめっき層5を形成する工程を更に含んでよい。めっき層5を形成する工程は、端子電極3の表面に、電解めっき法によりNiめっき層51およびSnめっき層52を形成することにより行ってよい。上述のように、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層4は、端子電極3の表面を除く素体2の表面に形成され、端子電極3の表面におけるアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量は、素体2の表面に存在するアルコキシシランオリゴマーに由来する成分の存在量よりも少ない。更に、親水性の官能基または疎水性の低い官能基を有するアルコキシシランオリゴマーを用いることにより、親水性の被覆層4または疎水性の低い被覆層4を形成することができる。この場合、端子電極3の表面にアルコキシシランオリゴマーに由来する成分が存在する場合であっても、めっき層5(Niめっき層51およびSnめっき層52)の形成が阻害されにくくなる。その結果、めっき層5の形成不良を効果的に抑制することができる。
[実施例1]
以下に示す手順で実施例1の抵抗素子を作製した。
(素体の作製)
まず、素体2の原料として、BaCO、TiO、Pb、SrCO、CaCO、SiO、Er、MnCOを秤量した。秤量した各原料を湿式混合粉砕し、得られた混合物を1200℃付近で仮焼成して、仮焼粉末を得た。この仮焼粉末に、バインダ等を加えスプレードライヤーで乾燥造粒し、更に乾式プレス成型しによって未焼成のチップを得た。この未焼成のチップを大気中で1350℃付近にて焼成することにより、素体2を得た。
(端子電極の形成)
得られた素体2の両端面に、Ag粉末およびCu粉末を有機ビヒクル中に分散させることにより得られる導電性ペースト(端子電極ペースト)を塗布し、塗布した導電性ペーストを焼き付けることにより、端子電極を形成した。
(被覆層の形成)
本実施例においては、エポキシ基およびメチル基を官能基として有し、アルコキシ基がメトキシ基であるアルコキシシランオリゴマー(以下、エポキシ/メチル系オリゴマーともよぶ)を用いた。本実施例において用いられるアルコキシシランオリゴマーは、エポキシ当量が280g/molであり、アルコキシ基(即ちメトキシ基)を17重量%含み、SiO分率が41重量%であり、重量平均分子量が約2000であった。上述のアルコキシシランオリゴマーを2−プロパノールに溶解することにより、濃度が0.1体積%のアルコキシシランオリゴマー溶液を調製した。端子電極が形成された素体を、このアルコキシシランオリゴマー溶液に5分間浸漬し、浸漬後の素体を150℃で30分間熱処理に付した。このようにして、実施例1の抵抗素子が得られた。
[実施例2]
アルコキシシランオリゴマー溶液の濃度を2体積%とした以外は実施例1と同様の手順で、実施例2の抵抗素子を作製した。
[実施例3]
アルコキシシランオリゴマー溶液の濃度を10体積%とした以外は実施例1と同様の手順で、実施例3の抵抗素子を作製した。
[比較例1]
比較例1の抵抗素子は、素体の表面に被覆層を有しない抵抗素子である。実施例1と同様の手順で素体および端子電極を形成することにより、比較例1の抵抗素子を作製した。
[比較例2]
比較例2の抵抗素子は、アルコキシシランのモノマーに由来する被覆層を有する抵抗素子である。アルコキシシランオリゴマー溶液の代わりに、アルコキシシランのモノマーをエタノールに溶解することにより得られるアルコキシシランモノマー溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順で、比較例2の抵抗素子を作製した。比較例2において用いたアルコキシシランモノマーは、官能基としてデシル基を有するものであった。比較例2において用いたアルコキシシランモノマー溶液の濃度は3重量%であった。
(XPS測定)
実施例1〜3ならびに比較例1および2の抵抗素子について、XPS測定により、素体表面および端子電極表面の元素分析を行った。素体表面の元素分析結果を表1、端子電極表面の元素分析結果を表2に示す。なお、表1に示す原子濃度比Si/(Ba+Ti)は、素体の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合を意味する。また、表2に示す原子濃度比Si/(Ag+Cu)は、端子電極の表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合を意味する。
Figure 2016063079
Figure 2016063079
表1より、実施例1〜3の抵抗素子の素体表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合(原子濃度比)は、アルコキシシランオリゴマーの代わりにアルコキシシランモノマーを用いた比較例2の抵抗素子における原子濃度よりも高い値であったことがわかる。また、用いたアルコキシシランオリゴマー溶液の濃度が高いほど、得られた抵抗素子の素体表面におけるSi原子の原子濃度比が高くなったことがわかる。
表2より、実施例1〜3の抵抗素子の端子電極表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合(原子濃度比)は、比較例2の抵抗素子における原子濃度よりも高い値であったことがわかる。また、用いたアルコキシシランオリゴマー溶液の濃度が高いほど、得られた抵抗素子の端子電極表面におけるSi原子の原子濃度比が高くなったことがわかる。更に、表1および表2の結果より、実施例1〜3の抵抗素子のいずれにおいても、素体表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合が、端子電極表面に存在する金属原子の総数に対するSi原子数の割合よりも大きくなったことがわかる。
被覆層の撥水性(疎水性)を評価するために、下記に示す手順で作製した試料1〜3について接触角測定を行った。
[試料1]
試料1として、表面に被覆層が形成されていないチタン酸バリウム板を準備した。
[試料2]
試料2として、アルコキシシランのモノマーに由来する被覆層が表面に形成されたチタン酸バリウム板を準備した。アルコキシシランのモノマーは、比較例2で用いたものと同じものを用いた。アルコキシシランのモノマーを2−プロパノールに溶解することにより、濃度が3重量%のアルコキシシランモノマー溶液を調製した。チタン酸バリウム板をこのアルコキシシランモノマー溶液に5分間浸漬し、次いで150℃で30分間熱処理に付した。このようにして、試料2が得られた。
[試料3]
試料3として、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層が表面に形成されたチタン酸バリウム板を準備した。アルコキシシランオリゴマーは、実施例1で用いたものと同じものを用いた。アルコキシシランオリゴマーを2−プロパノールに溶解することにより、濃度が3体積%のアルコキシシランオリゴマー溶液を調製した。チタン酸バリウム板をこのアルコキシシランオリゴマー溶液に5分間浸漬し、次いで150℃で30分間熱処理に付した。このようにして、試料3が得られた。
(接触角測定)
試料1〜3について、クォークテクノロジー製の携帯式接触角計PG−X+を用いて、下記の手順で静的接触角の測定を行った。純水約2μlの液滴を各試料の表面に滴下し、試料表面における液滴の画像を取り込み、画像解析を行うことにより、静的接触角を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2016063079
表3より、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層が形成された試料3における接触角は、アルコキシシランモノマーに由来する被覆層が形成された試料2における接触角よりも小さく、被覆層が形成されていない試料1における接触角と同等であったことがわかる。従って、試料3の被覆層は試料2の被覆層よりも撥水性が低いといえる。以上の結果より、試料3において用いたアルコキシシランオリゴマーは、試料2において用いたアルコキシシランモノマーと比較して、端子電極表面におけるめっき層の形成を阻害しにくいと考えられる。
被覆層によりめっき層を構成する成分の素体表面への析出が抑制される効果を確認するために、下記の実施例4〜6および3〜5を作製した。
[実施例4]
実施例2と同様の手順で抵抗素子を作製した。抵抗素子の端子電極表面にNiめっき層を形成し、Niめっき層の表面にSiめっき層を形成した。Niめっき層は、電流14Aで91分間電解めっきを行うことにより形成した。Snめっき層は、電流8Aで160分間電解めっきを行うことにより形成した。このようにして、実施例4の抵抗素子が得られた。
[実施例5]
電流14Aで129分間電解めっきを行うことによりNiめっき層を形成し、電流14Aで91分間電解めっきを行うことによりSnめっき層を形成した以外は実施例4と同様の手順で実施例5の抵抗素子を作製した。
[実施例6]
電流20Aで125分間電解めっきを行うことによりNiめっき層を形成し、電流14Aで91分間電解めっきを行うことによりSnめっき層を形成した以外は実施例4と同様の手順で実施例6の抵抗素子を作製した。
[比較例3]
比較例2と同様の手順で抵抗素子を作製した。この抵抗素子に、実施例4と同様の手順でNiめっき層およびSnめっき層を形成することにより、比較例3の抵抗素子を作製した。
[比較例4]
比較例2と同様の手順で抵抗素子を作製した。この抵抗素子に、実施例5と同様の手順でNiめっき層およびSnめっき層を形成することにより、比較例4の抵抗素子を作製した。
[比較例5]
比較例2と同様の手順で抵抗素子を作製した。この抵抗素子に、実施例6と同様の手順でNiめっき層およびSnめっき層を形成することにより、比較例5の抵抗素子を作製した。
実施例4〜6および比較例3〜5の抵抗素子をそれぞれ5000個ずつ準備した。各々の抵抗素子について、めっき層を構成する成分(以下、「めっき成分」ともよぶ)の素体表面への析出の程度を、以下に説明する手順で判定した。めっき成分が素体の表面に析出する場合、めっき成分は通常、端子電極と素体との境界部分から素体の長さ方向に沿って析出する傾向にある。なお、「素体の長さ方向」とは、素体の一方の端面から他方の端面へと向かう方向を意味する。各々の抵抗素子の素体表面をCCDカメラで撮影し、素体の長さ方向における析出しためっき成分の最大長さを画像解析により求めた。析出しためっき成分の最大長さが端子電極の短辺の長さの1/10以下であった抵抗素子を良品と判定した。なお、「端子電極の短辺の長さ」とは、素体の長さ方向と平行な方向における端子電極の寸法を意味し、「端子電極の短辺の長さ」はめっき層(Niめっき層、Siめっき層等)の厚さを含まないものとする。良品の判定結果に基づいて、良品率を算出した。また、実施例4〜6および比較例3〜5の抵抗素子について、蛍光X線分析によりNiめっき層の厚さを測定した。Niめっき層の厚さの測定結果に基づいて、Niめっき層の平均厚さ及び厚さの標準偏差σを算出した。結果を表4に示す。
Figure 2016063079
表4の結果より、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層が形成された実施例4〜6の抵抗素子は、アルコキシシランモノマーに由来する被覆層が形成された比較例3〜5の抵抗素子と比較して良品率が向上したことがわかる。また、実施例4〜6の抵抗素子におけるNiめっき層の平均厚さおよび厚さの標準偏差σは、比較例3〜5におけるNiめっき層の平均厚さおよび厚さの標準偏差σと同等の値であったことがわかる。以上より、Niめっき層およびSnめっき層の電解めっき条件を変更した場合であっても、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層が形成された抵抗素子は、アルコキシシランモノマーに由来する被覆層が形成された抵抗素子よりも、めっき層を構成する成分の素体表面における析出を抑制する効果が高いといえる。
次に、異なる種類の官能基を有するアルコキシシランオリゴマーを用いて、以下に示す実施例7〜11の抵抗素子を作製した。
[実施例7]
アルコキシシランオリゴマー溶液の濃度を3体積%とした以外は実施例1と同様の手順で、実施例7の抵抗素子を作製した。
[実施例8]
アルコキシシランオリゴマーとして、メチル基およびアミノ基を官能基として有し、アルコキシ基がメトキシ基であるアルコキシシランオリゴマー(以下、メチル/アミン系オリゴマーともよぶ)を用いた以外は実施例7と同様の手順で実施例8の抵抗素子を作製した。
[実施例9]
アルコキシシランオリゴマーとして、エポキシ基を官能基として有し、アルコキシ基がメトキシ基であるアルコキシシランオリゴマー(以下、エポキシ系オリゴマーともよぶ)を用いた以外は実施例7と同様の手順で実施例9の抵抗素子を作製した。
[実施例10]
アルコキシシランオリゴマーとして、メルカプト基を官能基として有し、アルコキシ基がメトキシ基であるアルコキシシランオリゴマー(以下、メルカプト系オリゴマーともよぶ)を用いた以外は実施例7と同様の手順で実施例10の抵抗素子を作製した。
[実施例11]
アルコキシシランオリゴマーとして、メチル基を官能基として有し、アルコキシ基がメトキシ基であるアルコキシシランオリゴマー(以下、メチル系オリゴマーともよぶ)を用いた以外は実施例7と同様の手順で実施例11の抵抗素子を作製した。
(XPS測定)
実施例7〜11の抵抗素子について、XPS測定により端子電極表面の元素分析を行った。結果を表5に示す。なお、表5においては、比較例1の抵抗素子に関する元素分析結果も比較のため記載している。
Figure 2016063079
表5に示すように、エポキシ系オリゴマーを使用した実施例9の抵抗素子およびメチル系オリゴマーを使用した実施例11の抵抗素子は、メチル/アミン系オリゴマーを使用した実施例8の抵抗素子およびメルカプト系オリゴマーを使用した実施例10の抵抗素子と比較して端子電極の表面におけるSi原子の存在量が少なく、原子濃度比Si/(Ag+Cu)が2以下であった。このことから、エポキシ系オリゴマーやメチル系オリゴマーを用いることにより、端子電極表面に存在するアルコキシシランオリゴマーの量を低減することができたことがわかる。
(めっき層厚さの経時変化)
実施例7〜11および比較例1の抵抗素子をそれぞれ10個ずつ準備した。各抵抗素子の端子電極表面にNiの電解めっきを行い、端子電極表面に形成されるNiめっき層の厚さの経時変化を測定した。電解めっきは、電流1.5Aで160分間行った。Niめっき層の厚さは蛍光X線分析により測定した。実施例7〜11および比較例1のそれぞれについて、測定したNiめっき層の厚さの平均値および変動係数(CV)を計算した。なお、変動係数は下記式で表される。

(変動係数)=(標準偏差)/(平均値)

Niめっき層の厚さの平均値および変動係数をめっき時間に対してプロットした結果をそれぞれ、図5および6に示す。
図5より、エポキシ/メチル系オリゴマーを使用した実施例7、エポキシ系オリゴマーを使用した実施例9の抵抗素子およびメチル系オリゴマーを使用した実施例11の抵抗素子の端子電極表面におけるNiめっき層の析出速度は、メチル/アミン系オリゴマーを使用した実施例8の抵抗素子およびメルカプト系オリゴマーを使用した実施例10の抵抗素子における析出速度よりも速くなったことがわかる。また、実施例7および9の抵抗素子は、電解めっき開始から100分後において、被覆層が形成されていない比較例1と同等のNiめっき層厚さを達成することができた。しかし、実施例8および10の抵抗素子におけるNiめっき層の厚さは、電解めっき開始から100分の時点において、被覆層が形成されていない比較例1の抵抗素子におけるNiめっき層の厚さよりも小さくなった。以上より、エポキシ/メチル系オリゴマーまたはエポキシ系オリゴマーを使用することによって、端子電極表面におけるNiめっき層形成の阻害を抑制することができ、Niめっき層の未着を防止する効果が高くなったことがわかる。
また、図6より、実施例7、9および11の抵抗素子においては、電解めっき開始から約20分程度でNiめっき層の厚さの変動係数の値が低くなり、電解めっき開始から100分後において、被覆層が形成されていない比較例1の抵抗素子におけるめっき層の厚さのCVの値と同等の値となったことがわかる。これに対し、実施例8および10の抵抗素子において、電解めっき開始から100分後におけるNiめっき層の厚さの変動係数は、比較例1の抵抗素子におけるNiめっき層の厚さの変動係数よりも大きい値となった。以上より、エポキシ/メチル系オリゴマー、エポキシ系オリゴマーまたはメチル系オリゴマーを使用することにより、端子電極表面におけるNiめっき層の厚さのばらつきを低減させることができたことがわかる。
(基板に接着された抵抗素子の強度測定)
実施例7〜11および比較例1〜2の抵抗素子をそれぞれ20個ずつ準備した。各抵抗素子の端子電極表面にNiめっき層を形成し、Niめっき層の表面にSiめっき層を形成した。基板表面にエポキシ樹脂系の接着剤を塗布し、その上に、めっき層(Niめっき層およびSnめっき層)が形成された抵抗素子を配置した。抵抗素子が配置された基板を加熱することにより、接着剤を熱硬化させた。このようにして、めっき層が形成された抵抗素子を基板に接着させた。このように作製された各試料について、DAGE社製のボンドテスターDAGE−SERIES−4000PXY(P6J2)を用いて接着強度を測定した。基板表面に接着された抵抗素子を、シェアツールによって基板表面に対して平行な方向(水平方向)に50μm/sの速度で押し、抵抗素子と基板との接合面が破断された時の強度(破壊強度)を測定した。シェアツールの基板表面からの高さは、0.2mmに設定した。また、各試験について、抵抗素子と基板との接合面が破断されたときの破壊モードを下記の破壊モードA〜Eに分類した。

破壊モードA:基板表面が破壊される。
破壊モードB:基板と接着剤との界面が破壊される(剥離する)。
破壊モードC:接着剤が破壊される。
破壊モードD:接着剤と抵抗素子との界面が破壊される(剥離する)。
破壊モードE:抵抗素子が破壊される。
図7に、基板に接着された抵抗素子の破壊強度の測定結果を示す。図7より、実施例7および9〜11の抵抗素子は、アルコキシシランモノマーを使用した比較例2の抵抗素子と同等以上の破壊強度を有することがわかった。一方、メチル/アミン系オリゴマーを使用した実施例8の抵抗素子は、比較例2より低い破壊強度を有することがわかった。
図8に、破壊強度測定における破壊モードA〜Eの発生割合を示す。図8より、エポキシ/メチル系オリゴマーを使用した実施例7においては、抵抗素子の破壊(破壊モードE)のみが発生し、接着剤と抵抗素子との界面における剥離(破壊モードD)は発生しなかったことがわかる。エポキシ系オリゴマーを使用した実施例9においても、接着剤と抵抗素子との界面における剥離はほとんど発生しなかった。一方、メルカプト系オリゴマーを使用した実施例10およびメチル系オリゴマーを使用した実施例11においては、接着剤と抵抗素子との界面における剥離の発生割合は、実施例9よりも高くなった。更に、メチル/アミン系オリゴマーを使用した実施例8においては、接着剤と抵抗素子との界面における剥離のみが発生した。以上の結果より、エポキシ/メチル系オリゴマーまたはエポキシ系オリゴマーを用いることにより、抵抗素子と接着剤との接着強度を高くすることができることがわかった。
図9に、破壊モードがDであった試料の破壊強度の値を示す。図9より、実施例9〜11の抵抗素子と接着剤との接着強度は、アルコキシシランモノマーを使用した比較例2の抵抗素子と接着剤との接着強度と同等以上であったことがわかる。一方、メチル/アミン系オリゴマーを使用した実施例8の抵抗素子と接着剤との接着強度は、比較例2の抵抗素子と接着剤との接着強度よりも低かったことがわかる。なお、エポキシ/メチル系オリゴマーを使用した実施例7において、破壊モードDは発生しなかった。従って、エポキシ/メチル系オリゴマーを使用することにより、抵抗素子と接着剤との接着強度を高くすることができると考えられる。
図10に、破壊モードがEであった試料の破壊強度の値を示す。なお、実施例8において破壊モードEは発生しなかった。図10より、実施例7および実施例9〜11の抵抗素子における素体はいずれも、比較例2と同等以上の強度を有したことがわかる。これらの結果より、アルコキシシランモノマーの代わりにアルコキシシランオリゴマーを使用した場合、素体の強度は低下しないと考えられる。
図7〜10より、メチル/アミン系オリゴマーを使用した実施例8の抵抗素子は、アルコキシシランモノマーを使用した比較例2の抵抗素子と比較して、接着剤との接着強度が低い傾向にあることがわかった。しかし、実施例8および比較例2の素体表面を光学顕微鏡で観察したところ、実施例8の抵抗素子は、比較例2の抵抗素子と比較して、めっき層を構成する成分の素体表面における析出が抑制されたことが確認された。
本発明に係る抵抗素子は、めっき層を構成する成分の素体表面における析出が抑制されているので、外観不良の発生率を抑制することができ、良品率を向上させることができる。そのため、抵抗素子の製造における歩留まりを向上させることが可能である。
1 抵抗素子
2 素体
3 端子電極
4 被覆層
5 めっき層
51 Niめっき層
52 Siめっき層
6 内部電極

Claims (11)

  1. 素体と、
    前記素体の表面に配置される端子電極と
    を含む抵抗素子であって、
    前記端子電極の表面を除く前記素体表面に、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層を有する、抵抗素子。
  2. 前記アルコキシシランオリゴマーが、メチル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フェニル基、ビニル基、ウレイド基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、請求項1に記載の抵抗素子。
  3. 前記アルコキシシランオリゴマーが、メチル基およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、請求項2に記載の抵抗素子。
  4. 前記アルコキシシランオリゴマーが、エポキシ基およびメチル基を有する、請求項3に記載の抵抗素子。
  5. 前記アルコキシシランオリゴマーのエポキシ当量が200〜400g/molである、請求項4に記載の抵抗素子。
  6. 前記素体表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合が、前記端子電極表面に存在する、金属原子の総数に対するSi原子数の割合よりも大きい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抵抗素子。
  7. 前記端子電極の表面に形成されためっき層を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抵抗素子。
  8. 前記抵抗素子が半導体セラミック素子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抵抗素子。
  9. 素体と、前記素体の表面に配置される端子電極とを含む抵抗素子の製造方法であって、
    前記素体の表面に前記端子電極を形成する工程と、
    前記端子電極が形成された前記素体をアルコキシシランオリゴマー溶液に浸漬して、アルコキシシランオリゴマーに由来する被覆層を形成する工程と
    を含む、方法。
  10. 前記アルコキシシランオリゴマー溶液中のアルコキシシランオリゴマーの濃度が0.1〜10体積%である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記被覆層を形成する工程の後に、前記端子電極の表面にめっき層を形成する工程を更に含む、請求項9または10に記載の方法。
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