JP2000283240A - フライホイール組立体 - Google Patents

フライホイール組立体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フライホイールの温度上昇を抑えること。 【解決手段】 フライホイール組立体１はフライホイー
ル５とフレキシブルプレート４とを有している。フライ
ホイール５は、クラッチディスク組立体２１の摩擦フェ
ーシングが圧接し得る摩擦面５ａを有し、摩擦面５ａで
発生する熱を放散するための複数の貫通孔９が形成され
ている。フレキシブルプレート４は、外周部がフライホ
イール５に固定され、内周部がエンジンのクランク軸３
に連結可能であり、フライホイール５からの熱を放散す
るための複数の貫通孔８を有している。そして、フライ
ホイール５の複数の貫通孔９は、摩擦面側端が摩擦面の
内周側に形成され、摩擦面側端は半径方向内側を向いて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、フライホイール組
立体、特に、熱放散用の貫通孔を有するフライホイール
とフレキシブルプレートとからなるフライホイール組立
体に関する。
【０００２】
【従来の技術及びその課題】たとえば自動車用エンジン
のクランク軸端には、フライホイールが装着されてい
る。フライホイールは、クランク軸端に直接装着される
場合と、フレキシブルプレートを介して装着される場合
とがある。フレキシブルプレートを用いて装着する場合
は、フレキシブルプレートの内周部がクランク軸端に固
定され、またフレキシブルプレートの外周部にフライホ
イールが固定される。
【０００３】また、フライホイールの外周部にはクラッ
チ装置が装着され、フライホイールの側面には、クラッ
チディスクの摩擦フェーシングが圧接される摩擦面が形
成されている。このようなフライホイールでは、摩擦面
と摩擦フェーシングとの摩擦によって熱が発生する。こ
の摩擦熱は、摩擦フェーシングの異常磨耗や特性の早期
劣化等の原因となる。特に、フレキシブルプレートを介
してクランク軸端にフライホイールを装着する構成で
は、フライホイールとフレキシブルプレートとの間に熱
がこもりやすい。
【０００４】本発明の目的は、摩擦熱によるフェーシン
グへの影響を抑えることにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】請求項１に記載のフライ
ホイール組立体はフライホイールとフレキシブルプレー
トとを備えている。フライホイールは、クラッチディス
クの摩擦材が圧接し得る摩擦面を有し、摩擦面で発生す
る熱を放散するための複数の貫通孔が形成されている。
フレキシブルプレートは、外周部がフライホイールに固
定され、内周部がエンジンのクランク軸に連結可能であ
る。フレキシブルプレートは、フライホイールからの熱
を放散するための複数の貫通孔を有する。フライホイー
ルの複数の貫通孔は、摩擦面側端が摩擦面の内周側に形
成されている。摩擦面側端は半径方向内側を向いてい
る。
【０００６】このフライホイール組立体では、フライホ
イール及びフレキシブルプレートのいずれにも軸方向貫
通孔が形成されているため、フライホイールの摩擦面側
の空気がフレキシブルプレート側に流れ、さらにフレキ
シブルプレートのフライホイール側と反対側に流れる。
さらに、フライホイールの複数の貫通孔の摩擦面側端が
半径方向内側を向いているため、遠心力によって半径方
向外方に移動するフライホイール摩擦面側の空気は複数
の貫通孔内に流れ込む。
【０００７】請求項２に記載のフライホイール組立体で
は、請求項１において、複数の貫通孔はフレキシブルプ
レート側端の一部が摩擦面側端より半径方向外側に位置
する。このフライホイール組立体では、フライホイール
に形成された複数の貫通孔のフレキシブルプレート側端
の一部が摩擦面側端より半径方向外側に位置するため、
フライホイールの貫通孔に流れ込んだフライホイールの
摩擦面側の空気が遠心力によって半径方向外方に移動し
ながらフレキシブルプレート側に移動する。このため、
フライホイールは冷却され、高温になるのを抑えること
ができる。したがって、クラッチディスクの摩擦材の異
常摩耗や特性の早期劣化を抑えることができる。
【０００８】請求項３に記載のフライホイール組立体は
フライホイールとフレキシブルプレートとを備えてい
る。フライホイールは、クラッチディスクの摩擦材が圧
接し得る摩擦面を有し、摩擦面で発生する熱を放散する
ための複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔は
フレキシブルプレート側端の一部が摩擦面側端より半径
方向外側に位置する。フレキシブルプレートは、外周部
がフライホイールに固定され、内周部がエンジンのクラ
ンク軸に連結可能であり、フライホイールからの熱を放
散するための複数の貫通孔を有する。
【０００９】このフライホイール組立体では、フライホ
イールに形成された複数の貫通孔のフレキシブルプレー
ト側端の一部が摩擦面側端より半径方向外側に位置する
ため、フライホイールの貫通孔に流れ込んだフライホイ
ールの摩擦面側の空気が遠心力によって半径方向外方に
移動しながらフレキシブルプレート側に移動する。
【００１０】
【実施の形態】図１に本発明の一実施形態が採用された
フライホイール組立体１及びこのフライホイール組立体
１に装着されたクラッチ装置２を示す。フライホイール
組立体１はクランク軸３の端部に装着されており、フレ
キシブルプレート４とフライホイール５とから構成され
ている。フレキシブルプレート４は、中央部に孔４ａを
有し、円環状に形成されている。そして、内周部４ｂが
クランク軸３のフランジ部３ａにボルト６により固定さ
れている。また、外周部４ｃには、ボルト７によりフラ
イホイール５が固定されている。内周部４ｂと外周部４
ｃとの間の中間部４ｄには、複数の貫通孔８が形成され
ている。複数の貫通孔８は、円周方向に等間隔で配置さ
れている。フライホイール５はほぼ円板状の部材であ
り、内周部の側面がクランク軸３の端面に当接してい
る。外周部には摩擦面５ａが形成されており、摩擦面５
ａの内周側には複数の孔９が形成されている。孔９は、
円周方向に等間隔で形成されている。孔９のさらに内周
部には、ボルト６の頭部との干渉を避けるために、孔１
０が形成されている。
【００１１】孔９は、図１に示すように、フライホイー
ル５の軸方向を貫通する孔である。孔９の摩擦面５ａ側
端部は、摩擦面５ａの内周側に形成された段部の内周壁
に開口している。すなわち、孔９の摩擦面５ａ側端部は
半径方向内側を向いている。孔９は、摩擦面５ａ側の端
部から軸方向に延びるとともに、半径方向外側に広がっ
ている。すなわち、孔９のフレキシブルプレート４側の
端部は、摩擦面５ａ側の端部に軸方向に対応するととも
にさらにその半径方向外側に位置する部分を有してい
る。
【００１２】孔９は、図２に示すように、円周方向に所
定の幅を有し、フレキシブルプレート４側の端部は摩擦
面５ａ側の端部より円周方向幅が長くなっている。ボル
ト６の座部とフレキシブルプレート４との間には、座金
プレート１５が配置されている。座金プレート１５はリ
ング状であり、図３で拡大して示すように、外周部１５
ａは所定の角度でフライホイール５側に折り曲げられて
いる。また、図２で示すように、円周方向に等間隔で、
複数の半径方向スリット１６が形成されている。このた
め、座金プレート１５の外周折曲げ部１５ａは弾性変形
が可能である。なお、フレキシブルプレート４とフライ
ホイール５とは、フレキシブルプレート４の内周部４ｂ
とフライホイール５との間に隙間が形成されるように配
置されており、組立状態では、座金プレート１５の外周
折曲げ部１５ａはフライホイール５の側面に当接してお
らず、隙間ｄ（図３参照）が確保されている。
【００１３】クラッチ装置２は、クラッチカバー組立体
２０と、クラッチカバー組立体２０内に配置されたクラ
ッチディスク組立体２１とから構成されている。クラッ
チカバー組立体２０は、フライホイール５の外周部に固
定されたクラッチカバー２２と、フライホイール５の摩
擦面５ａとの間にクラッチディスク組立体２１を挟持す
るプレッシャープレート２３と、プレッシャープレート
２３を押圧するためのダイヤフラムスプリング２４とを
有している。
【００１４】このような構成のフライホイール組立体１
及びクラッチ装置２では、エンジンからの入力トルク
は、フレキシブルプレート４を介してフライホイール５
に伝達される。このとき、振動等によってフライホイー
ル５に作用する曲げモーメントは、フレキシブルプレー
ト４によって吸収される。すなわち、フレキシブルプレ
ート４が弾性変形することによりフライホイール５の面
振れが抑えられる。したがって、クラッチディスク組立
体２１の摩擦フェーシングの偏磨耗等を抑えることがで
きる。
【００１５】なお、強い曲げモーメントが作用し、フレ
キシブルプレート４が大きく弾性変形すると、座金プレ
ート１５もそれに伴って弾性変形する。すると、座金プ
レート１５の外周折曲げ部１５ａがフライホイール５の
側面に当たり、この外周折曲げ部１５ａの弾性変形によ
ってさらに曲げモーメントが吸収される。このとき、座
金プレート１５の剛性はフレキシブルプレート４の剛性
に比較して高いので、２段の曲げ吸収特性が得られる。
したがって、小さい振動等による曲げモーメントと、大
きな振動等による曲げモーメントとを効果的に吸収で
き、フライホイール５の面振れを少なくすることができ
る。
【００１６】ここで、クラッチディスク組立体２１がフ
ライホイール５の摩擦面５ａと摩擦すると、熱が発生す
る。しかし、この実施例では、フライホイール５及びフ
レキシブルプレート４のそれぞれに孔８，９が形成さ
れ、これらによって空気の流路が形成されているので、
フライホイール５の熱がこの流路を流れる空気によって
冷却される。具体的には、フライホイール５の摩擦面５
ａ側の空気は、遠心力により、孔９を移動してフレキシ
ブルプレート４側に移動する。この空気はフレキシブル
プレート４の孔８を通ってフレキシブルプレート４のフ
ライホイール５と反対側に移動する。このため、熱によ
る摩擦フェーシングの異常磨耗や特性の早期劣化を抑え
ることができ、クラッチディスク組立体２１の長寿命化
を図ることができる。
【００１７】複数の孔９の摩擦面５ａ側端が半径方向内
側に向いているため、遠心力によって半径方向外方に移
動するフライホイール５の摩擦面５ａ側の空気は、スム
ーズに孔９内に流入する。複数の孔９のフレキシブルプ
レート４側端の一部が摩擦面５ａ側端より半径方向外側
に位置するため、フライホイール５の摩擦面５ａ側の空
気は遠心力によって半径方向外方に移動することで孔９
内をフレキシブルプレート４側に移動する。
【００１８】フライホイール５に伝達されたトルクは、
クラッチディスク組立体２１を介してミッションの入力
軸に伝達される。
【００１９】
【発明の効果】以上のように本発明では、フライホイー
ル及びフレキシブルプレートに熱放散用の孔を形成した
ので、フライホイールの温度上昇を抑えることができ、
したがって、クラッチディスクの摩擦材の長寿命化が図
れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態の縦断面図。
【図２】図１の正面部分図。
【図３】図１の部分拡大図。
【符号の説明】
１ フライホイール組立体 ２ クラッチ装置 ３ クランク軸 ４ フレキシブルプレート ５ フライホイール ８，９ 孔 ２０ クラッチカバー組立体 ２１ クラッチディスク組立体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】クラッチディスクの摩擦材が圧接し得る摩
    擦面を有し、前記摩擦面で発生する熱を放散するための
    複数の貫通孔が形成されているフライホイールと、 外周部が前記フライホイールに固定され、内周部がエン
    ジンのクランク軸に連結可能であり、前記フライホイー
    ルからの熱を放散するための複数の貫通孔を有するフレ
    キシブルプレートとを備え、 前記フライホイールの前記複数の貫通孔は、摩擦面側端
    が前記摩擦面の内周側に形成され、 前記摩擦面側端は半径方向内側を向いている、フライホ
    イール組立体。
  2. 【請求項２】前記複数の貫通孔はフレキシブルプレート
    側端の一部が前記摩擦面側端より半径方向外側に位置す
    る、請求項１に記載のフライホイール組立体。
  3. 【請求項３】クラッチディスクの摩擦材が圧接し得る摩
    擦面を有し、前記摩擦面で発生する熱を放散するための
    複数の貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔はフレキシ
    ブルプレート側端の一部が摩擦面側端より半径方向外側
    に位置する、フライホイールと、 外周部が前記フライホイールに固定され、内周部がエン
    ジンのクランク軸に連結可能であり、前記フライホイー
    ルからの熱を放散するための複数の貫通孔を有するフレ
    キシブルプレートと、を備えたフライホイール組立体。
JP2000081453A 1993-01-27 2000-03-23 フライホイール組立体 Expired - Lifetime JP3416094B2 (ja)

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