WO2010035638A1

WO2010035638A1 - ドアロック装置

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Publication number: WO2010035638A1
Application number: PCT/JP2009/065742
Authority: WO
Inventors: 秋月　龍次郎; 西尾　貴士; 山田　祐介; 翔三戸
Original assignee: アイシン精機株式会社
Priority date: 2008-09-29
Filing date: 2009-09-09
Publication date: 2010-04-01
Also published as: US20110162419A1; JP2010084320A; CN102159783B; US8029028B2; JP4760887B2; EP2330266B1; EP2330266A1; CN102159783A; EP2330266A4; TW201024516A

Abstract

　ドアロック装置は、駆動部材を所定中立位置から回動させる電気的駆動源と、駆動部材を所定中立位置に復帰させる復帰付勢部材とを含む。駆動部材は、ロッキングレバーがアンロック位置に配置された状態で駆動部材が所定中立位置から第１方向へ移動することに伴って第１係合部にてロッキングレバーを押圧してロッキングレバーをロック位置に変位させる。駆動部材は、続く所定中立位置への復帰に伴ってダブルロックレバーの第２位置への変位を許容するとともに第１係合部とロッキングレバーとの係合を解放する。駆動部材は、所定中立位置から第１方向へ再移動することに伴って第２係合部によってダブルロックレバーを押圧してロッキングレバーをダブルロック位置に変位させる。

Description

ドアロック装置

　本発明は、ドアロック装置に関するものである。

　従来、電気的な制御を行うことなく一つのモータで車両ドアのアンロック状態、ロック状態、室内側からの操作による車両ドアのロック状態からアンロック状態への移行を禁止するダブルロック状態（スーパーロック状態）の三つの状態に切り替え可能なドアロック装置として、例えば特許文献１に記載されたドアロック装置が知られている。このドアロック装置では、モータの動力により回転部材が中立位置から正転すると、シルノブ駆動レバーはロック側に変位してロック機構をロック状態に切替えるが作動レバーは保持バネの弾力に抗して変位しない。モータはロック機構がロック状態に切替わるとオフとなる。したがって、回転部材が中立復帰バネの弾力により中立位置に復帰するとともに作動レバーが保持バネの弾力により所定位置に復帰する。その後再度回転部材が正転すると作動レバーは保持バネの弾力に抗して変位して切替レバーを変位させる。これにより、空振り機構を作動させる位置に係合ピンが変位される。一方、回転部材にはスーパーロック解除段部が形成されている。回転部材が逆転すると、スーパーロック解除段部は切替レバーと係合して、空振り機構の作動を解除させる位置に係合ピンを移動させる。

特開平７－７１１５１号公報

　ところで、特許文献１では、シルノブ駆動レバーはアンロック側（アンロック位置）とロック側（ロック位置）との間を変位するのみである。すなわち、車両ドアのダブルロック状態への切替えは作動レバーや切替レバー、中間レバー、屈曲レバーで構成されるリンク機構を利用して行われている。従って、車両ドアをダブルロック状態に切替えるためのこれら専用部品を使用する分、ドアロック装置の構造が複雑になっている。

　本発明の目的は、より簡易な構造で、電気的な制御を行うことなく一つの電気的駆動源によって車両ドアをアンロック状態、ロック状態、ダブルロック状態の三つの状態に切り替え可能なドアロック装置を提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るドアロック装置は、ラッチ機構と、ロッキングレバーと、ダブルロックレバーと、電気的駆動源と、駆動部材と、復帰付勢部材と、を備える。前記ラッチ機構は、車両ドアを車両ボデーに対して閉状態で保持する。前記ラッチ機構は、室内側の操作力又は室外側の操作力が伝達されることにより前記車両ドアが前記車両ボデーに対して開可能状態になるように動作する。前記ロッキングレバーは、前記車両ドアに連係されるとともに、アンロック位置と、ロック位置と、ダブルロック位置とに切り替え自在である。前記ロッキングレバーは、前記アンロック位置に配置されたときには前記室内側の操作力及び前記室外側の操作力を前記ラッチ機構に伝達可能とする。前記ロッキングレバーは、前記ロック位置に配置されたときには前記室外側の操作力を前記ラッチ機構に伝達不能とするとともに前記室内側の操作力がロッキングレバーに加わることによりアンロック位置へと変位することが許容される。前記ロッキングレバーは、前記ダブルロック位置に配置されたときには前記室外側の操作力を前記ラッチ機構に伝達不能とするとともに前記室内側の操作力がロッキングレバーに加わってもアンロック位置又はロック位置へと変位することが阻止される。前記ダブルロックレバーは、前記ロッキングレバーに連結され、前記ロッキングレバーの前記アンロック位置及び前記ロック位置にそれぞれ対応して第１位置及び第２位置に変位する。前記駆動部材は、前記ロッキングレバーと係合可能な第１係合部及び前記ダブルロックレバーと係合可能な第２係合部を有するとともに前記車両ドアに連係される。前記駆動部材は、前記電気的駆動源により中立位置から第１方向及び該第１方向と反対側の第２方向に駆動される。前記復帰付勢部材は、前記電気的駆動源の駆動停止に伴い前記駆動部材を前記中立位置に復帰させる。前記駆動部材は、前記ロッキングレバーが前記アンロック位置に配置された状態で前記駆動部材が前記中立位置から前記第１方向へ移動することに伴って、前記ダブルロックレバーが前記第２位置へ変位することを規制しつつ前記第１係合部によって前記ロッキングレバーを押圧して該ロッキングレバーを前記ロック位置に変位させるように構成される。前記駆動部材は、続く前記所定中立位置への復帰に伴って前記ダブルロックレバーとの係合を解放して前記ダブルロックレバーの前記第２位置への変位を許容するとともに前記第１係合部と前記ロッキングレバーとの係合を解放するように構成される。前記駆動部材は、該駆動部材が前記中立位置から第１方向へ再移動することに伴って前記第２係合部によって前記第２位置にある前記ダブルロックレバーを押圧して前記ロッキングレバーを前記ダブルロック位置に変位させるように構成される。

　好ましくは、ドアロック装置は、前記車両ドアに固定されたベース部材と、前記ベース部材に形成されたストッパ部と、をさらに備える。前記駆動部材は、前記ロッキングレバーが前記アンロック位置に配置された状態で前記駆動部材が前記中立位置から第１方向へ移動することに伴って前記ダブルロックレバーが前記第２位置へ変位することを規制しつつ前記第１係合部によって前記ロッキングレバーを押圧して該ロッキングレバーを前記ダブルロックレバーが前記ストッパ部に係合する前記ロック位置に変位させるように構成される。前記駆動部材は、続く前記駆動部材の前記中立位置への復帰に伴って前記ダブルロックレバーとの係合を解放して前記ダブルロックレバーの前記第２位置への変位を許容するように構成される。前記ダブルロックレバーは、前記第２位置へ変位した際に前記ストッパ部との係合が解除され、それによって前記ロッキングレバーの前記ロック位置から前記ダブルロック位置への変位を許容するように構成される。

　好ましくは、前記ベース部材はガイド部をさらに備える。該ガイド部は、
　前記ストッパ部と、第１ガイド部と、第２ガイド部と、を有する。前記第１ガイド部は、前記ロッキングレバーが前記アンロック位置から前記ロック位置に変位する際に前記ダブルロックレバーを前記第１位置に維持した状態で案内するように構成される前記第２ガイド部は、前記ロッキングレバーが前記ロック位置から前記ダブルロック位置に変位する際に前記ダブルロックレバーを前記第２位置に維持した状態で案内するように構成される。

　上記各構成によれば、車両ドアのアンロック状態、ロック状態、ダブルロック状態への切替えは、電気的な制御を行うことなく一つの電気的駆動源が前記駆動部材を第１方向及び第２方向に駆動されることによって行われる。詳細には、前記駆動部材と前記ロッキングレバー及び前記ダブルロックレバーとの係合態様が、これらロッキングレバー及びダブルロックレバーの変位に応じて変更されることで、車両ドアの状態の切替えが行われる。従って、これらアンロック状態、ロック状態、ダブルロック状態への車両ドアの切替えを、前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置の三位置を変位する前記ロッキングレバーと、該ロッキングレバーに連動する前記ダブルロックレバーとからなる極めて簡易な構造で行うことができる。そして、前記切替えに係る部品点数を削減することができる。

　好ましくは、前記駆動部材及び前記ロッキングレバーは、互いに同軸となるように前記ベース部材に回動自在に支持されている。
　同構成によれば、前記駆動部材及び前記ロッキングレバーの配置スペースを集約し全体としてコンパクトにまとめることができる。特に、前記ロッキングレバーは、前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置への変位を一軸における回動によって実現しているため、ドアロック装置全体をより小型化することができる。

　好ましくは、ドアロック装置は、前記ロッキングレバーに並設された二つの係止突部と、前記ベース部材に支持される保持部材と、をさらに備える。前記保持部材は、前記ロッキングレバーの前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置にそれぞれ対応して異なる個数の前記係止突部を弾性的に挟持するように構成される。

　同構成によれば、前記保持部材が前記ロッキングレバーに並設された二つの係止突部を選択的に挟持することで、前記ロッキングレバーを前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置に安定的に保持することができる。特に、前記保持部材は、互いに異なる個数の前記係止突部を弾性的に挟持することで、前記ロッキングレバーを前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置にそれぞれ保持することができる。そのため、前記保持部材として基本的に適宜の突部を選択的に挟持し得る汎用の保持部材（例えばスナップピンなど）を利用することができる。

本発明の一実施形態に係るドアロック装置が適用される車両ドアを示す正面図。ドアロック装置のラッチ機構を示す立面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。図３の４－４線に沿った断面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。ドアロック装置及びその動作を示す側面図。

　以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
　図１に示されるように、車両ドア１内には、該車両ドア１の後縁に沿ってドアロック装置１０が設けられている。ドアロック装置１０は、車両ボデー５に固定されたストライカ２に係合して車両ドア１を車両ボデー５に対して閉状態に保持する。また、車両ドア１の内壁には車室内に露出する態様でインサイドハンドル３が設置されるとともに、車両ドア１の外壁には車室外に露出する態様でアウトサイドハンドル４が設置されている。なお、本実施形態のドアロック装置１０は、室内側からのアンロック・ロック操作に係るロックノブの割愛された、いわゆるノブレスタイプである。

　図２に示されるように、ドアロック装置１０はラッチ機構１１を備え、該ラッチ機構１１はラッチ１２及びポール１３を備えている。ラッチ機構１１は前記ストライカ２に係合することで車両ボデー５に対して車両ドア１を閉状態に保持する。車両ドア１を閉めるとき、ラッチ１２が第１方向に回転してストライカ２と係合するとともに、ポール１３がラッチ１２の回転を阻止するようにラッチ１２に係合することによって車両ドア１が閉状態に保持される。また、ラッチ１２の回転が許容されるようにポール１３が回転すると、該ラッチ１２は図示しない復帰スプリングの付勢力によって前記第１方向とは逆の第２方向に回転する。すると、ラッチ１２とストライカ２との係合状態が解除され、車両ボデー５に対して車両ドア１が開放可能な状態になる。

　次に、ドアロック装置１０を図３～図１０に従って詳述する。図３は、ドアロック装置１０を示す側面図であり、図４は、図３の４－４線に沿った断面図である。また、図５は、図３の一部の部材を拡大して示す図である。

　図３に示すように、ドアロック装置１０は、車両ドア１に固定されたベース部材としての箱状のハウジング２１と、インサイドレバー２２と、インサイドオープンレバー２３と、ロッキングレバーとしてのアクティブレバー２４と、ダブルロックレバー２５と、電気的駆動源としての切替用アクチュエータ２６と、駆動部材としてのセクタギヤ２７と、パニックレバー２８と、オープンリンク２９と、キャンセルレバー３０とを備えている。

　図３及び図５に示すように、前記インサイドレバー２２は、例えば金属板からなり、所定の初期回動位置に配置される態様で、回転軸線Ｏ１を中心としてハウジング２１に対し時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。このインサイドレバー２２は、図３における上側に延出するとともに、回転軸線Ｏ１側に折り返されて鋏形状の係止片２２ａを形成する先端部を有する。インサイドレバー２２は、係止片２２ａによって前記インサイドハンドル３と連係されており、該インサイドハンドル３の開操作により、図３及び図５において反時計回り方向に回動する。なお、インサイドレバー２２は、回転軸線Ｏ１に対して第１径方向側（図５の右上側）に延出する鉤爪状の押圧片２２ｂを有する。

　前記インサイドオープンレバー２３は、例えば金属板からなり、前記インサイドレバー２２の紙面に直交する方向における奥側に設けられ、前記回転軸線Ｏ１を中心としてハウジング２１に対し時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。このインサイドオープンレバー２３は、前記インサイドレバー２２と一体回動するように該インサイドレバー２２に連結されている。なお、インサイドオープンレバー２３は、回転軸線Ｏ１に対して第２径方向他側（図３の右下側）に延出する鉤爪状の押圧片２３ａを有する。この押圧片２３ａは、回転軸線Ｏ１を中心とした周方向に沿って、インサイドレバー２２の押圧片２２ｂから離間して配置されている。

　前記アクティブレバー２４は、例えば樹脂材にて成形されており、図５におけるインサイドレバー２２の上側に配置される。前記アクティブレバー２４は、前記回転軸線Ｏ１に平行な回転軸線Ｏ２を中心としてハウジング２１に対し時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。なお、アクティブレバー２４は、所定の範囲内で回動するように前記ハウジング２１によって規制されている。このアクティブレバー２４には、回転軸線Ｏ２を中心とする周方向に沿って並設された二つの係止突部２４ａ，２４ｂが形成されている。これら係止突部２４ａ，２４ｂは、隣接する外周部同士が連続する態様で全体として略「８」の字形状を呈している。係止突部２４ａ，２４ｂは、紙面に直交する方向に沿って奥側、すなわちハウジング２１の底壁側に向かって延びている。一方、ハウジング２１（底壁）には、アクティブレバー２４を位置決めするための保持部材としての節度スプリング３１が取着されている。この節度スプリング３１は、コイル部と、該コイル部から延出する一対の略Ｌ字状の端部３１ａ，３１ｂとを有する。節度スプリング３１はいわゆるスナップピンからなるもので、端部３１ａ，３１ｂは互いの間隔が狭くなる方向の付勢力を発生する。節度スプリング３１は、前記係止突部２４ａ，２４ｂを弾性的に挟持することでアクティブレバー２４の回動位置を保持する。

　ここで、図３、図５及び図１０は、アクティブレバー２４がアンロック位置に配置された状態を示す。この状態では、ハウジング２１によりアクティブレバー２４の反時計回り方向への回動が規制されるとともに、節度スプリング３１が係止突部２４ａ，２４ｂのいずれをも挟持しない。また、図６及び図７は、アクティブレバー２４がロック位置に配置された状態を示す。この状態では、アクティブレバー２４がアンロック位置から時計回り方向に所定角度だけ回動するとともに、節度スプリング３１が一方の係止突部２４ａのみを挟持する。さらに、図８及び図９は、アクティブレバー２４がダブルロック位置に配置された状態を示す。この状態では、アクティブレバー２４がロック位置から時計回り方向に所定角度だけ回動して、ハウジング２１によりアクティブレバー２４の時計回り方向への回動が規制され、且つ節度スプリング３１が全ての係止突部２４ａ，２４ｂを挟持する。つまり、節度スプリング３１は、アクティブレバー２４のアンロック位置、ロック位置及びダブルロック位置にそれぞれ対応して異なる個数の係止突部２４ａ，２４ｂを弾性的に挟持している。

　なお、アクティブレバー２４は、回転軸線Ｏ２に対して第１径方向側（図３の上側）に延出する取付片２４ｃと、回転軸線Ｏ２に対して第２径方向側（図３の右下側）に前記キャンセルレバー３０の近傍まで延出する当接片２４ｄとを有する。アクティブレバー２４は、セクタギヤ２７の図５における左側の位置で紙面に直交する方向に沿って手前側に向かって延びる四角柱状の角ボス２４ｅを有する。

　前記ダブルロックレバー２５は、例えば樹脂材にて成形されており、アクティブレバー２４の取付片２４ｃに対し前記回転軸線Ｏ１，Ｏ２に平行な回転軸線Ｏ３を中心として時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。このダブルロックレバー２５は、取付片２４ｃの図５における左側で紙面に直交する方向に沿って奥側、すなわちハウジング２１の底壁側に向かって延びるガイドピン２５ａを有する。一方、ハウジング２１（底壁）上であって、回転軸線Ｏ２に対してガイドピン２５ａの内周側の位置には、前記ガイドピン２５ａに当接可能なリブ状のガイド部３２が形成されている。図５に示すように、このガイド部３２は、回転軸線Ｏ２を中心とする周方向に沿って延在する円弧状の第１ガイド部３２ａと第２ガイド部３２ｂとを有する。該第２ガイド部は、第１ガイド部３２ａの外径よりも短い外径を有する。なお、第２ガイド部３２ｂは、第１ガイド部３２ａの時計回り方向側に隣接して配置されており、これら第１及び第２ガイド部３２ａ，３２ｂ間の回転軸線Ｏ２の径方向に沿った段差は傾斜ガイド部３２ｃによって滑らかに繋がっている。

　また、ダブルロックレバー２５は先端部２５ｂを有する。先端部２５ｂは、紙面に直交する方向に沿って奥側、すなわちハウジング２１の底壁側に向かって延びるブロック状のストッパ部２５ｃを有する。このストッパ部２５ｃは、回転軸線Ｏ２に対してガイド部３２（第１ガイド部３２ａ）の内周側に配置されている。一方、ガイド部３２は、回転軸線Ｏ２に対して傾斜ガイド部３２ｃの内周側に位置するとともに、前記回転軸線Ｏ２に対して径方向に沿って延びる段差３２ｄを有する。

　回転軸線Ｏ３の周りには、付勢部材としてのねじりコイルスプリング３３が設けられている。ねじりコイルスプリング３３の一端はアクティブレバー２４に係止され、ねじりコイルスプリング３３の他端はダブルロックレバー２５に係止されている（図３参照）。これにより、ダブルロックレバー２５は、ガイドピン２５ａがガイド部３２に当接する方向（図３におけるガイドピン２５ａの回転軸線Ｏ３を中心とする反時計回り方向）に常時付勢されている。

　ここで、アクティブレバー２４がアンロック位置にあるとき、ガイドピン２５ａは、第１ガイド部３２ａに当接している（図５参照）。このときのダブルロックレバー２５の回動位置をダブルロックレバー２５の第１位置という。一方、アクティブレバー２４がロック位置またはダブルロック位置にあるとき、ガイドピン２５ａは、第２ガイド部３２ｂに当接している（図７～図９参照）。このときのダブルロックレバー２５の回動位置をダブルロックレバー２５の第２位置という。

　ガイド部３２に案内されるダブルロックレバー２５は、第１位置にあるときに回転軸線Ｏ２を中心とする周方向に沿って円弧状に延在している。そして、前記段差３２ｄは、前記ストッパ部２５ｃの回転軸線Ｏ２を中心とする回動軌跡上に配置されている。従って、アンロック位置にあるアクティブレバー２４がロック位置へと変位すべく時計回り方向に回動すると、アクティブレバー２４に連動するダブルロックレバー２５が第１ガイド部３２ａに案内されつつダブルロックレバー２５のストッパ部２５ｃが段差３２ｄに当接する。これによりダブルロックレバー２５とともにアクティブレバー２４の回動が係止される（図６参照）。換言すれば、アクティブレバー２４は、ストッパ部２５ｃと段差３２ｄとが互いに当接することによってロック位置で停止する。また、ダブルロックレバー２５は、第１位置から第２位置への変位に伴い、第１及び第２ガイド部３２ａ，３２ｂ間の回転軸線Ｏ２に対する径方向に沿った段差分だけ、回転軸線Ｏ３を中心とする反時計回り方向、即ち先端部２５ｂが回転軸線Ｏ２に対して径方向内側に変位する方向に、回動する。そして、前記段差３２ｄは、前記ストッパ部２５ｃの回転軸線Ｏ２を中心とする回動軌跡から外れる。

　前記切替用アクチュエータ２６は、アクティブレバー２４の図３における左側でハウジング２１に設置された電動モータ２６ａと、該電動モータ２６ａの回転軸に固着されたウォーム２６ｂと、ウォーム２６ｂに噛合するウォームホイール２６ｃとを備える。前記ウォームホイール２６ｃは、セクタギヤ２７及びアクティブレバー２４の紙面に直交する方向における奥側に設けられ、回転軸線Ｏ１～Ｏ３と平行な回転軸線Ｏ４を中心としてハウジング２１に対し回転可能に支持される。そして、このウォームホイール２６ｃの中心部には、小径の出力ギヤ２６ｄが紙面に直交する方向における手前側に向かって延びる態様で固定されている。出力ギヤ２６ｄは前記ウォームホイール２６ｃと一体回転する。従って、電動モータ２６ａが回転駆動されることで、ウォーム２６ｂ及びウォームホイール２６ｃ（ウォームギヤ）を介して出力ギヤ２６ｄが回転される。

　前記セクタギヤ２７は、例えば樹脂材にて成形されており、前記アクティブレバー２４の紙面に直交する方向における手前側に設けられ、前記回転軸線Ｏ２を中心としてハウジング２１に対し時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。なお、セクタギヤ２７の回動は、ハウジング２１に係止されるアクティブレバー２４又はダブルロックレバー２５を介して所定の回動範囲内に制限されている。このセクタギヤ２７は、回転軸線Ｏ２から切替用アクチュエータ２６の出力ギヤ２６ｄ側に延出する扇形のギヤ部２７ａを有する。ギヤ部２７ａの軸方向位置は、前記出力ギヤ２６ｄの軸方向位置と重合している。ギヤ部２７ａと出力ギヤ２６ｄとは噛合連結されており、セクタギヤ２７は切替用アクチュエータ２６によって回転駆動される。なお、回転軸線Ｏ４の周りには復帰付勢部材としての復帰スプリング３４が設けられている。該復帰スプリング３４の一端はハウジング２１に係止され、復帰スプリング３４の他端は前記ウォームホイール２６ｃに係止されている。セクタギヤ２７は、切替用アクチュエータ２６の駆動停止（駆動力の解放）に伴い、その回動位置が所定中立位置に復帰するように復帰スプリング３４によりウォームホイール２６ｃを介して常時付勢されている。換言すれば、切替用アクチュエータ２６は、復帰スプリング３４の付勢力に抗してセクタギヤ２７を回転駆動している。

　また、セクタギヤ２７は第１係合部としての円弧状の係合孔２７ｂを有する。該係合孔２７ｂは、回転軸線Ｏ２に対してギヤ部２７ａの内周側に設けられるとともに、該回転軸線Ｏ２を中心とする周方向に沿って延在する。係合孔２７ｂには、前記角ボス２４ｅが紙面に直交する方向において奥側から挿通される。セクタギヤ２７が前記所定中立位置にあり、且つ、アクティブレバー２４がアンロック位置にあるとき、係合孔２７ｂの第１終端部は前記角ボス２４ｅに当接又は近接している（図５参照）。従って、この状態で、セクタギヤ２７が時計回り方向に回動すると、係合孔２７ｂの内壁面にて前記角ボス２４ｅが押圧され、アクティブレバー２４がセクタギヤ２７と一体で時計回り方向に回動する。そして、アクティブレバー２４は、ストッパ部２５ｃと段差３２ｄとが互いに当接することによってロック位置で停止する（図６参照）。また、セクタギヤ２７が前記所定中立位置にあり、且つ、アクティブレバー２４がロック位置にあるとき、前記角ボス２４ｅは係合孔２７ｂの長手方向中央部に配置されている（図７参照）。そして、ストッパ部２５ｃの回転軸線Ｏ２を中心とする回動軌跡は、段差３２ｄから外れている。従って、この状態で、セクタギヤ２７が時計回り方向又は反時計回り方向に回動すると、前記角ボス２４ｅは係合孔２７ｂ内を空走する。さらに、セクタギヤ２７が前記所定中立位置にあり、且つ、アクティブレバー２４がダブルロック位置にあるとき、係合孔２７ｂの前記第１終端部と反対側の第２終端部は前記角ボス２４ｅに当接又は近接している（図９参照）。従って、この状態で、セクタギヤ２７が反時計回り方向に回動（逆回動）すると、係合孔２７ｂの内壁面にて前記角ボス２４ｅが押圧され、アクティブレバー２４は前記アンロック位置へと変位すべく前記セクタギヤ２７と一体で反時計回り方向に回動する。そして、アクティブレバー２４は、ハウジング２１により反時計回り方向への回動が規制されることによってアンロック位置で停止する（図１０参照）。

　また、セクタギヤ２７は第２係合部としての槌形の押圧片２７ｃを有する。該押圧片２７ｃは、回転軸線Ｏ２に対してガイド部３２の内周側に位置するとともに、ダブルロックレバー２５の近傍まで延出する。押圧片２７ｃの軸方向位置は、前記ダブルロックレバー２５の軸方向位置と重合している。そして、前記ダブルロックレバー２５が前記第１位置にあるとき、該ダブルロックレバー２５（先端部２５ｂ）は押圧片２７ｃの回動軌跡から外れるように設定されている（図５参照）。

　一方、アクティブレバー２４を前記ロック位置へと変位させるべく前記セクタギヤ２７を時計回り方向に回動させると、ダブルロックレバー２５のガイドピン２５ａが第２ガイド部３２ｂの回転軸線Ｏ２に対して外周側に配置される（図６参照）。そして、コイルスプリング３３に付勢されて前記第２位置へと変位しようとするダブルロックレバー２５は、押圧片２７ｃの外周面２７ｄに当接することで当該変位が規制される。従って、アクティブレバー２４は、ダブルロックレバー２５とセクタギヤ２７との干渉によって阻害されることなく前記ロック位置へと変位する。

　そして、アクティブレバー２４が前記ロック位置へと変位した後、切替用アクチュエータ２６の駆動が停止されると、セクタギヤ２７は、ウォームホイール２６ｃを介して復帰スプリング３４に付勢されて反時計回り方向に回動（戻り回動）し前記所定中立位置に復帰する（図７参照）。これに伴い、セクタギヤ２７は、押圧片２７ｃの外周面２７ｄにおけるダブルロックレバー２５の係止を解放して、ダブルロックレバー２５が第２位置へ変位することを許容する。また、セクタギヤ２７は、前記角ボス２４ｅを係合孔２７ｂの長手方向中央部に配置して該係合孔２７ｂによる前記角ボス２４ｅとの係合を解放する。前記第２位置にあるとき、ダブルロックレバー２５（先端部２５ｂ）は、押圧片２７ｃの回動軌跡上に配置されるように設定されている。

　従って、この状態で、前記セクタギヤ２７を時計回り方向に再び回動させると、押圧片２７ｃにて前記第２位置にあるダブルロックレバー２５が押圧される。これにより、前記ダブルロックレバー２５が連結されるアクティブレバー２４が前記セクタギヤ２７及びダブルロックレバー２５と一体で回転軸線Ｏ２を中心として時計回り方向に回動する。そして、アクティブレバー２４は、ハウジング２１により回転軸線Ｏ２を中心とする時計回り方向への回動が規制されることでダブルロック位置で停止する（図８参照）。このとき、アクティブレバー２４は、前記角ボス２４ｅが係合孔２７ｂ内を相対的に空走することで、前記角ボス２４ｅと係合孔２７ｂとの干渉によって前記ダブルロック位置への変位が阻害されることはない。

　そして、アクティブレバー２４が前記ダブルロック位置へと変位した後、切替用アクチュエータ２６の駆動が停止されると、セクタギヤ２７は、ウォームホイール２６ｃを介して復帰スプリング３４に付勢されて反時計回り方向に回動（戻り回動）し前記所定中立位置に復帰する（図９参照）。このとき、係合孔２７ｂの第２終端部は前記角ボス２４ｅに当接又は近接している。

　一方、この状態で、セクタギヤ２７を反時計回り方向に回動（逆回動）させると、係合孔２７ｂの内壁面にて前記角ボス２４ｅが押圧され、アクティブレバー２４がセクタギヤ２７と一体で反時計回り方向に回動する。そして、アクティブレバー２４は、ハウジング２１により反時計回り方向への回動が規制されることによってアンロック位置で停止する（図１０参照）。同時に、前記第２位置にあるダブルロックレバー２５は、ガイドピン２５ａが傾斜ガイド部３２ｃを介して第２ガイド部３２ｂから第１ガイド部３２ａへと案内されることで前記第１位置に変位する。その後、切替用アクチュエータ２６の駆動が停止されると、セクタギヤ２７は、ウォームホイール２６ｃを介して復帰スプリング３４に付勢されて時計回り方向に回動（戻り回動）し前記所定中立位置に復帰する（図５参照）。

　なお、前記切替用アクチュエータ２６は、キーブレードやドア室内トリムに設けた切替用スイッチの遠隔操作が図示しない制御回路にて検出されることで一定時間だけ駆動制御される。つまり、切替用アクチュエータ２６は、電動モータ２６ａの回転方向に応じて供給電源の極性が変更されることを除けば特別に電気的な制御（位置制御など）がされているわけではない。すなわち、アクティブレバー２４は、切替用アクチュエータ２６の駆動期間中に前述の態様で機械的に係止されることでアンロック位置、ロック位置及びダブルロック位置に選択的に切り替わる。

　前記パニックレバー２８は、例えば金属板からなり、前記回転軸線Ｏ２を中心としてハウジング２１に対し時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。回転軸線Ｏ２には付勢部材（図示略）が設けられている。該付勢部材の一端は前記アクティブレバー２４に係止され、前記付勢部材の他端は前記パニックレバー２８に係止されている。これにより、パニックレバー２８は、基本的に前記アクティブレバー２４と一体回動する。なお、パニックレバー２８の先端部には、紙面に直交する方向に沿って手前側に延びる係止ピン２８ａが取着されている。

　前記オープンリンク２９は、例えば金属板からなり、図５における上下方向に沿って延在する。前記オープンリンク２９の第１端部には、前記パニックレバー２８の係止ピン２８ａが挿通される長孔状の係合溝２９ａが形成されている。オープンリンク２９は、パニックレバー２８に対し係合溝２９ａの長手方向に沿って移動可能に連結されている。

　また、オープンリンク２９の第１端部と反対側の第２端部には、ハウジング２１に設けられたオープンレバー３５に連結される連結部２９ｂが形成されている。オープンリンク２９はオープンレバー３５に対し揺動可能に連結されている。このオープンレバー３５は、支持ピン３６によってハウジング２１に回動可能に取り付けられており、トーションスプリング（図示略）により所定の回動位置に安定配置されている。オープンレバー３５は、第１端部３５ａと、該第１端部３５ａとオープンレバー３５の回動軸線を挟んで反対側に位置する第２端部（図示略）とを有している。前記第１端部３５ａは前記オープンリンク２９の連結部２９ｂと連結されている。オープンレバー３５の前記第２端部は前記アウトサイドハンドル４と連係される。オープンレバー３５は、アウトサイドハンドル４の開方向への操作により、トーションスプリングに抗して第１端部３５ａ、すなわちオープンリンク２９を上動させるように回動する。

　さらに、オープンリンク２９は連結部２９ｂを有し、前記係合溝２９ａ及び前記連結部２９ｂの中間部にＬ字状の係合片部２９ｃが形成されている。この係合片部２９ｃは、ハウジング２１に回動可能に取り付けられたリフトレバー３７の近傍に配置されている。このリフトレバー３７は、前記ポール１３（図２参照）と一体回動するように前記ポール１３に連結されている。リフトレバー３７は、前記係合片部２９ｃ側に位置する先端部３７ａを有している。該先端部３７ａが上動するように該リフトレバー３７が回動すると、前記ポール１３の一体回動に伴い、ラッチ機構１１とストライカ２との係合状態が解除され、前記車両ドア１が車両ボデー５に対して開可能状態となる。

　なお、前記係合片部２９ｃは、前記インサイドオープンレバー２３の押圧片２３ａに上下方向に沿って対向配置され、該押圧片２３ａの回動軌跡上に配置されている。従って、例えばインサイドオープンレバー２３を反時計回り方向に回動させると、前記押圧片２３ａによって係合片部２９ｃの前記押圧片２３ａと対向する端面が押圧されて、オープンリンク２９が上動する。

　ここで、アクティブレバー２４のアンロック位置、ロック位置及びダブルロック位置に対応する係合片部２９ｃ及び先端部３７ａの配置関係について説明する。アクティブレバー２４がアンロック位置にある状態（図３、図５参照）では、パニックレバー２８の係止ピン２８ａによってオープンリンク２９の第１端部が第１側（図３、図５の右側）に案内されている。このとき、上記係合片部２９ｃ及び先端部３７ａは、図３及び５における上下方向において対向配置されており、係合溝２９ａはその長手方向が図３及び５における上下方向と一致するように配置されている。従って、この状態でオープンリンク２９（係合片部２９ｃ）を前述の態様で上動させれば、係合片部２９ｃに押圧されて先端部３７ａが上動し、ラッチ機構１１とストライカ２との係合状態が解除される。

　一方、アクティブレバー２４がロック位置にある状態（図７参照）又はダブルロック位置にある状態（図９参照）では、パニックレバー２８の係止ピン２８ａによってオープンリンク２９の第１端部が前記第１側と反対側の第２側（図７、図９の左側）に案内されている。このとき、上記係合片部２９ｃは、該係合片部２９ｃから係合溝２９ａの長手方向に沿って延びる延長線が先端部３７ａから外れるように配置されている。従って、オープンリンク２９が上動しても、係合片部２９ｃによって先端部３７ａが上動するように押圧されることはなく、ラッチ機構１１とストライカ２との係合状態は維持される。

　前記キャンセルレバー３０は、例えば金属板からなり、前記インサイドレバー２２とアクティブレバー２４との間に配置される。キャンセルレバー３０は、前記回転軸線Ｏ１～Ｏ４に平行な回転軸線Ｏ５を中心としてハウジング２１に対し時計回り方向及び反時計回り方向に回動可能に支持されている。このキャンセルレバー３０は、Ｕ字状に形成され、一方の先端部の終端に当接片３０ａが形成される。該当接片３０ａは、前記押圧片２２ｂの近傍で略Ｌ字状に屈曲するとともに、紙面に直交する手前側に突出する。キャンセルレバー３０はまた、前記当接片２４ｄに臨んで平坦な形状を有する第３係合部としての係合片３０ｂを有する。

　回転軸線Ｏ５にはコイルスプリング３８が設けられている。コイルスプリング３８の一端はハウジング２１に係止され、コイルスプリング３８の他端は前記キャンセルレバー３０に係止されている（図３参照）。そして、キャンセルレバー３０は、コイルスプリング３８により、当接片３０ａが前記インサイドレバー２２の押圧片２２ｂに当接する側（反時計回り方向に回動する側）に常時付勢されている。従って、キャンセルレバー３０は、通常は、所定の初期回動位置に配置されるインサイドレバー２２に対応して所定回動位置に保持されている。そして、インサイドハンドル３の開方向への操作によりインサイドレバー２２が反時計回り方向に回動すると、キャンセルレバー３０は、当接片３０ａが押圧片２２ｂに押圧されることによって時計回り方向に回動する。

　ここで、アクティブレバー２４がロック位置にある状態（図７参照）では、前記当接片２４ｄは係合片３０ｂの回動軌跡上に配置されている。従って、インサイドハンドル３の開方向への操作により前述の態様でキャンセルレバー３０が時計回り方向に回動すると、係合片３０ｂにて当接片２４ｄが押圧されることによってアクティブレバー２４が反時計回り方向に回動し前記アンロック位置へと変位する。また、アクティブレバー２４のアンロック位置への変位を待って、即ち係合片部２９ｃ及び先端部３７ａの上下方向における対向配置を待って、引き続きインサイドレバー２２と一体回動するインサイドオープンレバー２３の押圧片２３ａによって前記係合片部２９ｃの前記押圧片２３ａと対向する端面が押圧される。これにより、前述の態様でラッチ機構１１とストライカ２との係合状態が解除される。つまり、本実施形態では、一回のインサイドハンドル３の操作によって、車両ドア１のロック状態からアンロック状態への移行を完了するとともにラッチ機構１１とストライカ２との係合状態を解除する、いわゆるワンモーション機構を採用している。

　一方、アクティブレバー２４がダブルロック位置にある状態（図９参照）では、前記当接片２４ｄは係合片３０ｂの回動軌跡から外れるように配置されている。従って、インサイドハンドル３の開方向への操作により前述の態様でキャンセルレバー３０が時計回り方向に回動しても、係合片３０ｂによって当接片２４ｄが押圧されることはなく、係合片３０ｂと当接片２４ｄとの係合が解放される（係合片３０ｂが空走する）。したがって、アクティブレバー２４はダブルロック位置に停止したままである。この場合、ラッチ機構１１とストライカ２との係合状態が維持されることはいうまでもない。

　次に、本実施形態の動作について説明する。
　図５に示すように、アクティブレバー２４がアンロック位置にある状態（アンロック状態）で、切替用アクチュエータ２６の駆動により前記所定中立位置にあるセクタギヤ２７が時計回り方向に回動すると、係合孔２７ｂの内壁面にて前記角ボス２４ｅが押圧されることで、アクティブレバー２４が前記ロック位置へと変位する（図６参照）。同時に、アクティブレバー２４は、一方の係止突部２４ａが前記節度スプリング３１に弾性的に挟持されることで当該ロック位置に保持される。このとき、ダブルロックレバー２５は、押圧片２７ｃの外周面２７ｄに当接することで前記第２位置への変位が規制される。

　そして、ストッパ部２５ｃと段差３２ｄとの当接による回動規制によってアクティブレバー２４が前記ロック位置へと変位した後、一定時間が経過すると切替用アクチュエータ２６の駆動が自動的に停止される。セクタギヤ２７は、ウォームホイール２６ｃを介して復帰スプリング３４に付勢されて反時計回り方向に回動（戻り回動）し前記所定中立位置に復帰する（図７参照）。これに伴い、ダブルロックレバー２５は、押圧片２７ｃの外周面２７ｄによる係止が解放されて第２位置へと変位する。そして、ストッパ部２５ｃの回転軸線Ｏ２を中心とする回動軌跡が段差３２ｄから外れる。また、アクティブレバー２４の角ボス２４ｅは、係合孔２７ｂの長手方向中央部に配置されて該係合孔２７ｂとの係合が解放される。

　アクティブレバー２４がロック位置にある状態（ロック状態）で、切替用アクチュエータ２６の駆動により前記所定中立位置にあるセクタギヤ２７が時計回り方向に再び回動すると、押圧片２７ｃにて前記第２位置にあるダブルロックレバー２５（先端部２５ｂ）が押圧されることで、該ダブルロックレバー２５が連結されるアクティブレバー２４は前記ダブルロック位置へと変位する（図８参照）。同時に、アクティブレバー２４は、両係止突部２４ａ，２４ｂが前記節度スプリング３１に弾性的に挟持されることで当該ダブルロック位置に保持される。このとき、アクティブレバー２４の角ボス２４ｅは、係合孔２７ｂ内を相対的に空走する。

　そして、ハウジング２１による回動規制でアクティブレバー２４が前記ダブルロック位置へと変位した後、一定時間の経過を待って切替用アクチュエータ２６の駆動が自動的に停止されると、セクタギヤ２７は、ウォームホイール２６ｃを介して復帰スプリング３４に付勢されて反時計回り方向に回動（戻り回動）し前記所定中立位置に復帰する（図９参照）。このとき、係合孔２７ｂの第２終端部は前記角ボス２４ｅに当接又は近接している。

　アクティブレバー２４がダブルロック位置にある状態（ダブルロック状態）で、切替用アクチュエータ２６の駆動により前記所定中立位置にあるセクタギヤ２７が反時計回り方向に回動（逆回動）すると、係合孔２７ｂの内壁面にて前記角ボス２４ｅが押圧される。これにより、アクティブレバー２４が前記アンロック位置へと変位する（図１０参照）。同時に、アクティブレバー２４は、係止突部２４ａ，２４ｂのいずれも前記節度スプリング３１に弾性的に挟持されないように当該アンロック位置に保持される。このとき、ダブルロックレバー２５は、ガイド部３２に案内されることで前記第１位置へと変位する。

　そして、ハウジング２１による回動規制でアクティブレバー２４が前記アンロック位置へと変位した後、一定時間が経過すると切替用アクチュエータ２６の駆動が自動的に停止される。セクタギヤ２７は、ウォームホイール２６ｃを介して復帰スプリング３４に付勢されて反時計回り方向に回動（戻り回動）し前記所定中立位置に復帰する（図５参照）。

　このように、本実施形態では、特別な電気的制御（位置制御など）を要することなく、復帰スプリング３４の付勢力にてセクタギヤ２７を前記所定中立位置に復帰させつつ、切替用アクチュエータ２６にてセクタギヤ２７を回動させることによって、アクティブレバー２４をアンロック位置、ロック位置及びダブルロック位置に選択的に切り替える。これにより、車両ドア１のアンロック状態、ロック状態又はダブルロック状態への移行を行なう。

　なお、アクティブレバー２４がロック位置にある状態（図７参照）では、一回のインサイドハンドル３の操作により、前述の態様で車両ドア１のアンロック状態への移行が完了されるとともに、ラッチ機構１１とストライカ２との係合状態が解除される。一方、アクティブレバー２４がダブルロック位置にある状態（図９参照）では、インサイドハンドル３を操作してもキャンセルレバー３０が前述の態様で空振りすることで、車両ドア１がアンロック状態等に移行することはない。

　以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す利点が得られる。
　（１）本実施形態では、車両ドア１のアンロック状態、ロック状態、ダブルロック状態への切替えは、電気的な制御を行うことなく一つの切替用アクチュエータ２６（電動モータ２６ａ）がセクタギヤ２７を第１方向及び第２方向に駆動させることによって行なわれる。詳細には、セクタギヤ２７とアクティブレバー２４及びダブルロックレバー２５との係合態様が、これらアクティブレバー２４及びダブルロックレバー２５の変位に応じて変更されることで、車両ドア１の状態の切替えが行われる。従って、これらアンロック状態、ロック状態、ダブルロック状態への切替えを、前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置の三位置に変位するアクティブレバー２４と、該アクティブレバー２４に連動するダブルロックレバー２５とからなる極めて簡易な構造で行うことができる。そして、前記切替えに係る部品点数を削減することができる。

　（２）本実施形態では、セクタギヤ２７及びアクティブレバー２４は、互いに同軸（回転軸線Ｏ２）でハウジング２１に回動自在に連結されている。そのため、これらセクタギヤ２７及びアクティブレバー２４の配置スペースを集約し全体としてコンパクトにまとめることができる。特に、アクティブレバー２４は、前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置への変位（即ち車両ドア１のアンロック状態、ロック状態及びダブルロック状態への切替え）を一軸（回転軸線Ｏ２）における回動によって実現しているため、ドアロック装置全体をより小型化することができる。

　（３）本実施形態では、節度スプリング３１がアクティブレバー２４に並設された二つの係止突部２４ａ，２４ｂを選択的に挟持することで、アクティブレバー２４を前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置に安定的に保持することができる。特に、節度スプリング３１は、互いに異なる個数の係止突部２４ａ，２４ｂを弾性的に挟持することで、アクティブレバー２４を前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置にそれぞれ保持することができる。そのため、節度スプリング３１として基本的に適宜の突部を選択的に挟持し得る汎用のスナップピンを利用することができる。

　（４）本実施形態では、電気的な制御を行うことなく一つの切替用アクチュエータ２６で、車両ドア１をアンロック状態、ロック状態、ダブルロック状態へと切替えることができる。そのため、例えばアクティブレバー２４の回動位置を検知するセンサ等が不要になり、電気的な構成を簡易化してコストを削減することができる。また、アクティブレバー２４を前記アンロック位置、前記ロック位置又は前記ダブルロック位置に配置する際、切替用アクチュエータ２６の駆動力によるアクティブレバー２４の動きが機械的に係止される。そのため、例えばセンサ等によりアクティブレバー２４の位置を検知する場合に比べて該アクティブレバー２４の位置ばらつきを抑制することができ、ひいては装置全体としての信頼性を向上することができる。

　（５）本実施形態では、ロック状態において、インサイドハンドル３の操作（室内側の操作力の入力）によりインサイドレバー２２を動かす。これにより、インサイドレバー２２と一体動作するキャンセルレバー３０の係合片３０ｂによってアクティブレバー２４の当接片２４ｄが押圧され、アクティブレバー２４をアンロック位置へと移動させることができる。特に、ドアロック装置がノブレスタイプの構造であっても、室内側の操作力の入力によるインサイドレバー２２の動きによってアクティブレバー２４をアンロック位置へと移動させることができる。

　なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
　ガイド部３２の第１ガイド部３２ａ及び第２ガイド部３２ｂは必ずしも円弧形状である必要はなく、直線であってもよい。

　第１ガイド部３２ａは必ずしもガイド部３２に設けられている必要がなく、セクタギヤ２７に第１ガイド部３２ａの機能を持たせてもよい。詳説すると、アクティブレバー２４がアンロック位置からロック位置に移動する際に、セクタギヤ２７がダブルロックレバー２５に当接して、該ダブルロックレバー２５を第１位置に保持する構成であれば、第１ガイド部３２ａは必要ない。

　前記実施形態においては、ハウジング２１によりアクティブレバー２４の回動を規制することで、該アクティブレバー２４をアンロック位置又はロック位置で停止させた。これに限らず、例えばハウジング２１によりセクタギヤ２７の回動を規制することで、該セクタギヤ２７に連動するアクティブレバー２４をアンロック位置又はロック位置で停止させてもよい。

　前記実施形態においては、復帰付勢部材（復帰スプリング３４）によりウォームホイール２６ｃを付勢してセクタギヤ２７を前記所定中立位置に復帰させた。これに限らず、前記復帰付勢部材により、電動モータ２６ａの回転軸よりも動力伝達の上流側のウォームホイール２６ｃ以外の部材を付勢してもよい。例えば、復帰付勢部材によりセクタギヤ２７を直に付勢して該セクタギヤ２７を前記所定中立位置に復帰させてもよい。なお、電動モータ２６ａの回転軸及びセクタギヤ２７間の動力伝達の構成は一例であり、例えば電動モータ２６ａのウォーム２６ｂをセクタギヤ２７のギヤ部２７ａに直に噛合させてもよい。

　前記実施形態においては、係止突部２４ａ，２４ｂの隣接する外周部同士を接続してこれらを一体化したが、係止突部２４ａ，２４ｂは互いに分離されていてもよい。
　インサイドレバー２２及びインサイドオープンレバー２３を一体形成してもよい。

　アクティブレバー２４等が連結されるベース部材（ハウジング２１）として、車両ドア１に固定された適宜のブラケットや、該車両ドア１自体の骨格をなすフレームなどを採用してもよい。

　車両ドア１のロック状態では、一回のインサイドハンドル３の操作によりアンロック状態への移行のみが完了してもよい。従って、ラッチ機構１１とストライカ２との係合状態の解除は、二回目のインサイドハンドル３の操作により行われてもよい（いわゆるツーモーション機構）。

　本発明を、ロックノブ付きのドアロック装置に適用してもよい。ただし、この場合、ロックノブによる室内側からのロック操作のみを許容し、アンロック操作については適宜の空振り機構を設定して禁止する。このようなロックノブを適用する場合、請求項１に記載する「室内側の操作力」は、インサイドハンドル３の操作力であってもよいし、ロックノブの操作力であってもよい。あるいは、ロックノブによる室内側からのロック操作後に、該ロックノブを車両ドア１内に埋没させて直接的な操作が不能になるような構成を適用してもよい。このような埋没式のロックノブを適用する場合、請求項１に記載する「室内側の操作力」はインサイドハンドル３の操作力である。

　１…車両ドア、１０…ドアロック装置、１１…ラッチ機構、２１…ハウジング（ベース部材）、２２…インサイドレバー、２４…アクティブレバー（ロッキングレバー）、２４ａ，２４ｂ…係止突部、２５…ダブルロックレバー、２６…切替用アクチュエータ（電気的駆動源）、２７…セクタギヤ（駆動部材）、２７ｂ…係合孔（第１係合部）、２７ｃ…押圧片（第２係合部）、３０…キャンセルレバー、３１…節度スプリング（保持部材）、３２…ガイド部、３２ａ…第１ガイド部、３２ｂ…第２ガイド部、３２ｄ…段差（ストッパ部）、３４…復帰スプリング（復帰付勢部材）。

Claims

　車両ドアを車両ボデーに対して閉状態で保持するラッチ機構であって、室内側の操作力又は室外側の操作力が伝達されることにより前記車両ドアが前記車両ボデーに対して開可能状態になるように動作する前記ラッチ機構と、
　前記車両ドアに連係されるとともに、アンロック位置と、ロック位置と、ダブルロック位置とに切り替え自在なロッキングレバーであって、前記アンロック位置に配置されたときには前記室内側の操作力及び前記室外側の操作力を前記ラッチ機構に伝達可能とし、前記ロック位置に配置されたときには前記室外側の操作力を前記ラッチ機構に伝達不能とするとともに前記室内側の操作力がロッキングレバーに加わることによりアンロック位置へと変位することが許容され、前記ダブルロック位置に配置されたときには前記室外側の操作力を前記ラッチ機構に伝達不能とするとともに前記室内側の操作力がロッキングレバーに加わってもアンロック位置又はロック位置へと変位することが阻止される、前記ロッキングレバーと、
　前記ロッキングレバーに連結され、前記ロッキングレバーの前記アンロック位置及び前記ロック位置にそれぞれ対応して第１位置及び第２位置に変位するダブルロックレバーと、
　電気的駆動源と、
　前記ロッキングレバーと係合可能な第１係合部及び前記ダブルロックレバーと係合可能な第２係合部を有するとともに前記車両ドアに連係される駆動部材であって、前記電気的駆動源により中立位置から第１方向及び該第１方向と反対側の第２方向に駆動される前記駆動部材と、
　前記電気的駆動源の駆動停止に伴い前記駆動部材を前記中立位置に復帰させる復帰付勢部材と、を備え、
　前記駆動部材は、前記ロッキングレバーが前記アンロック位置に配置された状態で前記駆動部材が前記中立位置から前記第１方向へ移動することに伴って、前記ダブルロックレバーが前記第２位置へ変位することを規制しつつ前記第１係合部によって前記ロッキングレバーを押圧して該ロッキングレバーを前記ロック位置に変位させるように構成され、続く前記駆動部材の前記所定中立位置への復帰に伴って前記ダブルロックレバーとの係合を解放して前記ダブルロックレバーの前記第２位置への変位を許容するとともに前記第１係合部と前記ロッキングレバーとの係合を解放するように構成され、
　前記駆動部材は、該駆動部材が前記中立位置から第１方向へ再移動することに伴って前記第２係合部によって前記第２位置にある前記ダブルロックレバーを押圧して前記ロッキングレバーを前記ダブルロック位置に変位させるように構成されるドアロック装置。
　前記車両ドアに固定されたベース部材と、
　前記ベース部材に形成されたストッパ部と、をさらに備え、
　前記駆動部材は、前記ロッキングレバーが前記アンロック位置に配置された状態で前記駆動部材が前記中立位置から第１方向へ移動することに伴って前記ダブルロックレバーが前記第２位置へ変位することを規制しつつ前記第１係合部によって前記ロッキングレバーを押圧して該ロッキングレバーを前記ダブルロックレバーが前記ストッパ部に係合する前記ロック位置に変位させるように構成され、続く前記駆動部材の前記中立位置への復帰に伴って前記ダブルロックレバーとの係合を解放して前記ダブルロックレバーの前記第２位置への変位を許容するように構成され、
　前記ダブルロックレバーは、前記第２位置へ変位した際に前記ストッパ部との係合が解除され、それによって前記ロッキングレバーの前記ロック位置から前記ダブルロック位置への変位を許容するように構成される、請求項１に記載のドアロック装置。
　前記ベース部材はガイド部をさらに備え、該ガイド部は、
　前記ストッパ部と、
　前記ロッキングレバーが前記アンロック位置から前記ロック位置に変位する際に前記ダブルロックレバーを前記第１位置に維持した状態で案内するように構成された第１ガイド部と、
　前記ロッキングレバーが前記ロック位置から前記ダブルロック位置に変位する際に前記ダブルロックレバーを前記第２位置に維持した状態で案内するように構成された第２ガイド部とを有する、請求項２に記載のドアロック装置。
　前記駆動部材及び前記ロッキングレバーは、互いに同軸となるように前記ベース部材に回動自在に支持されている、請求項２又は３に記載のドアロック装置。
　前記ロッキングレバーに並設された二つの係止突部と、
　前記ベース部材に支持される保持部材と、をさらに備え、
　前記保持部材は、前記ロッキングレバーの前記アンロック位置、前記ロック位置及び前記ダブルロック位置にそれぞれ対応して異なる個数の前記係止突部を弾性的に挟持するように構成される、請求項２～４のいずれか一項に記載のドアロック装置。
　前記第１ガイド部及び前記第２ガイド部は円弧形状である、請求項３に記載のドアロック装置。
　前記二つの係止突部は、隣接する外周部同士を接続して一体化される、請求項５に記載のドアロック装置。
　前記車両ドアに連係され、前記室内側の操作力が入力されるインサイドレバーと、
　前記インサイドレバーに連係され、前記ロッキングレバーと係合可能な第３係合部を有するキャンセルレバーとをさらに備え、
　前記ロッキングレバーは、前記ロック位置に配置された状態で前記インサイドレバーへ前記室内側の操作力が入力されることに伴い、前記キャンセルレバーの前記第３係合部によって前記アンロック位置へと変位するように押圧され、
　前記ロッキングレバーは、前記ダブルロック位置にあるとき、同ロッキングレバーが変位しないように、前記キャンセルレバーの前記第３係合部との係合が解放される、請求項１～５のいずれか一項に記載のドアロック装置。
　前記インサイドレバーは、初期回動位置に配置される態様で、回転軸線を中心として前記ベース部材に対し回動可能に支持される、請求項８に記載のドアロック装置。