JPWO2019124026A1 - 繊維状炭素ナノ構造体、繊維状炭素ナノ構造体の評価方法および表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体を提供する。本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下である。ここで、熱重量曲線の一次微分曲線は、熱重量曲線の温度微分曲線または熱重量曲線の時間微分曲線とすることができる。
Description
本発明は、繊維状炭素ナノ構造体、繊維状炭素ナノ構造体の評価方法および表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法に関するものである。
近年、導電性、熱伝導性および機械的特性に優れる材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状の炭素ナノ構造体が注目されている。
しかしながら、CNTなどの繊維状炭素ナノ構造体は、ファンデルワールス力等によりバンドル構造体を形成し易く、溶媒中や樹脂中で分散させ難いため、所期の高特性を発揮させ難かった。
そこで、CNTなどの繊維状炭素ナノ構造体に対して例えば酸化処理などの表面改質処理を施すことにより、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高める技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の表面改質処理により分散性に優れる表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る観点からは、原料となる繊維状炭素ナノ構造体を良好に表面改質処理することが求められている。
しかし、従来の繊維状炭素ナノ構造体には、表面改質処理のし易さを更に向上させるという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の性状を有する繊維状炭素ナノ構造体が表面改質され易いことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下であることを特徴とする。熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下の繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易い。
ここで、本発明において、「ピークの対称性係数」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
ここで、本発明において、「ピークの対称性係数」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
ここで、前記一次微分曲線は、前記熱重量曲線の温度微分曲線または時間微分曲線とすることができる。
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。t−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性(例えば、導電性、熱伝導性、強度など)を発揮し得るからである。
更に、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、前記t−プロットの屈曲点が、0.2≦t(nm)≦1.5の範囲にあることが好ましい。t−プロットの屈曲点が上記範囲内にある繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性(例えば、導電性、熱伝導性、強度など)を発揮し得るからである。
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットから得られる全比表面積S1および内部比表面積S2が、関係式:0.05≦S2/S1≦0.30を満たすことが好ましい。S2/S1が上記範囲内にある繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性(例えば、導電性、熱伝導性、強度など)を発揮し得るからである。
そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブを含むことが好ましく、単層カーボンナノチューブを含むことがより好ましい。カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体、特には単層カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性(例えば、導電性、熱伝導性、強度など)を発揮し得るからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の評価方法は、繊維状炭素ナノ構造体について、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析を行い、熱重量曲線の一次微分曲線を得る工程と、前記熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数を求める工程と、前記対称性係数が3.70以下であるものを良品と判断し、前記対称性係数が3.70超のものを不良品と判断する工程とを含むことを特徴とする。
そして、本発明の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、上述した繊維状炭素ナノ構造体の評価方法を用いて繊維状炭素ナノ構造体を評価する工程と、良品と判断された繊維状炭素ナノ構造体に対して表面改質処理を施し、表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る工程とを含むことを特徴とする。
そして、本発明の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、上述した繊維状炭素ナノ構造体の評価方法を用いて繊維状炭素ナノ構造体を評価する工程と、良品と判断された繊維状炭素ナノ構造体に対して表面改質処理を施し、表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
また、本発明によれば、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
また、本発明によれば、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、例えば酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易いものである。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体を表面改質処理して得られる表面改質繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、例えば分散媒中に表面改質繊維状炭素ナノ構造体を分散させてなる分散液を調製する際に好適に用いることができる。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、例えば酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易いものである。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体を表面改質処理して得られる表面改質繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、例えば分散媒中に表面改質繊維状炭素ナノ構造体を分散させてなる分散液を調製する際に好適に用いることができる。
(繊維状炭素ナノ構造体)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下であることを必要とする。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下であるので、酸化処理などの表面改質処理を施した際に良好に表面改質される。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下であることを必要とする。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下であるので、酸化処理などの表面改質処理を施した際に良好に表面改質される。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体が挙げられる。
なお、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、上述した炭素ナノ構造体を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
なお、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、上述した炭素ナノ構造体を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上述した中でも、繊維状炭素ナノ構造体としては、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体が好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性(例えば、導電性、熱伝導性、強度など)を発揮し得るからである。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得るからである。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得るからである。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下であることが必要であり、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数は、3.30以下であることが好ましく、2.60以下であることがより好ましく、2.00以下であることが更に好ましい。また、繊維状炭素ナノ構造体の熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数は、0.50以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましく、0.80以上であることが更に好ましい。一次微分曲線のピークの対称性係数が上記範囲内であれば、酸化処理などの表面改質処理を施した際に更に表面改質され易くなるからである。
なお、熱重量曲線は、縦軸が質量で横軸が温度の熱重量曲線であってもよいし、縦軸が質量で横軸が時間の熱重量曲線であってもよい。また、熱重量曲線の一次微分曲線は、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度の温度微分曲線であってもよいし、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が時間の時間微分曲線であってもよい。
ここで、一次微分曲線が温度微分曲線の場合、一次微分曲線のピークのピークトップは、通常、500〜800℃の範囲内に位置する。また、一次微分曲線が時間微分曲線の場合、熱重量分析時の昇温速度をv[℃/分]とすると、一次微分曲線のピークのピークトップは、通常、20×v〜36×v分の範囲内(例えば、昇温速度が5[℃/分]であれば100〜180分の範囲内)に位置する。
ここで、一次微分曲線が温度微分曲線の場合、一次微分曲線のピークのピークトップは、通常、500〜800℃の範囲内に位置する。また、一次微分曲線が時間微分曲線の場合、熱重量分析時の昇温速度をv[℃/分]とすると、一次微分曲線のピークのピークトップは、通常、20×v〜36×v分の範囲内(例えば、昇温速度が5[℃/分]であれば100〜180分の範囲内)に位置する。
そして、繊維状炭素ナノ構造体の熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数の大きさは、特に限定されることなく、繊維状炭素ナノ構造体の合成条件(例えば、原料ガスの組成、合成に使用する触媒の種類等)を変更することにより、調節することができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。平均直径が上記範囲内の繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
ここで、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
ここで、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.50超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましく、600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。平均長さが上記範囲内の繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均長さ」は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均長さ」は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体は、通常、アスペクト比が10超である。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体20本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることがより好ましく、2000m2/g以下であることが好ましく、1800m2/g以下であることがより好ましく、1600m2/g以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m2/g以上であれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2000m2/g以下であれば、表面改質処理した際に分散性を十分に高めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。t−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、「t−プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。即ち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
なお、「t−プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。即ち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt−プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点がかかる範囲内にあれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のS2/S1の値がかかる範囲内であれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体として好適なCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が0.5以上5.0以下であることが好ましい。G/D比が0.5以上5.0以下であれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
そして、繊維状炭素ナノ構造体の炭素純度は、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%以上である。
(繊維状炭素ナノ構造体の製造方法)
なお、上述した性状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、CVD法により繊維状炭素ナノ構造体を合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(例えば、国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、エチレンを含む原料ガス(例えば、エチレンを10体積%超含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。
なお、上述した性状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、CVD法により繊維状炭素ナノ構造体を合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(例えば、国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、エチレンを含む原料ガス(例えば、エチレンを10体積%超含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。
ここで、ウェットプロセスによる基材表面への触媒層の形成は、例えば、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布した後、塗工液Aを乾燥して基材上にアルミニウム薄膜(鉄薄膜(触媒層)を担持する触媒担持層)を形成し、更に、アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布した後、塗工液Bを乾燥してアルミニウム薄膜上に鉄薄膜(触媒層)を形成することにより、行うことができる。なお、「アルミニウム薄膜」とは金属成分としてアルミニウムを含む薄膜を指し、「鉄薄膜」とは金属成分として鉄を含む薄膜を指す。
そして、基材としては、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウムおよびアンチモンなどの金属からなる基材、これらの金属の合金または酸化物からなる基材、シリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイトおよびダイヤモンドなどの非金属からなる基材、或いは、セラミックからなる基材を用いることができる。
また、塗工液Aとしては、アルミニウム薄膜としてのアルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物または金属塩を有機溶剤に溶解または分散させたものを用いることができる。
ここで、アルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシドが挙げられる。アルミニウムを含む金属有機化合物としては他に、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)などの錯体が挙げられる。また、アルミナ薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム等が挙げられる。更に、有機溶剤としては、アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、エステル類、炭化水素類等の種々の有機溶剤が使用できる。これらは、単独で、或いは、混合物として用いることができる。
なお、塗工液Aには、金属有機化合物および金属塩の縮合重合反応を抑制するための安定剤を添加してもよい。安定剤は、β−ジケトン類およびアルカノールアミン類からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。β−ジケトン類ではアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンなどがあるが、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルを用いることが好ましい。アルカノールアミン類ではモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあるが、第2級または第3級アルカノールアミンを用いることが好ましい。
ここで、アルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシドが挙げられる。アルミニウムを含む金属有機化合物としては他に、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)などの錯体が挙げられる。また、アルミナ薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム等が挙げられる。更に、有機溶剤としては、アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、エステル類、炭化水素類等の種々の有機溶剤が使用できる。これらは、単独で、或いは、混合物として用いることができる。
なお、塗工液Aには、金属有機化合物および金属塩の縮合重合反応を抑制するための安定剤を添加してもよい。安定剤は、β−ジケトン類およびアルカノールアミン類からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。β−ジケトン類ではアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンなどがあるが、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルを用いることが好ましい。アルカノールアミン類ではモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあるが、第2級または第3級アルカノールアミンを用いることが好ましい。
更に、塗工液Bとしては、鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物または金属塩を有機溶剤に溶解または分散させたものを用いることができる。
ここで、鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、鉄ペンタカルボニル、フェロセン、アセチルアセトン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(II)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(III)等が挙げられる。また、鉄薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄等の無機酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、乳酸鉄等の有機酸鉄等が挙げられる。これらは、単独で、或いは、混合物として用いることができる。
なお、塗工液Bに含まれる有機溶剤は、特に限定されず、上述の塗工液Aに使用し得る有機溶剤と同様のものを用いることができる。また、塗工液Bには、上述の塗工液Aに配合し得るものと同様の安定剤が含まれていてもよい。
ここで、鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、鉄ペンタカルボニル、フェロセン、アセチルアセトン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(II)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(III)等が挙げられる。また、鉄薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄等の無機酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、乳酸鉄等の有機酸鉄等が挙げられる。これらは、単独で、或いは、混合物として用いることができる。
なお、塗工液Bに含まれる有機溶剤は、特に限定されず、上述の塗工液Aに使用し得る有機溶剤と同様のものを用いることができる。また、塗工液Bには、上述の塗工液Aに配合し得るものと同様の安定剤が含まれていてもよい。
そして、上述した塗工液Aおよび塗工液Bの塗布並びに乾燥は、既知の手法を用いて行うことができる。
(表面改質処理)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易いものである。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の表面改質処理は、特に限定されることなく、例えば、硝酸、硫酸、硝酸と硫酸との混酸、オゾン、フッ素ガスまたは過酸化水素などの表面改質処理剤を用いて行うことができる。中でも、分散性に優れる表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る観点からは、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の表面改質処理は、硝酸、硫酸または硝酸と硫酸との混酸を用いて行うことが好ましく、硝酸と硫酸との混酸を用いて行うことがより好ましい。また、表面改質処理条件は、使用する表面改質処理剤の種類および所望の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の性状に応じて設定することができる。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易いものである。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の表面改質処理は、特に限定されることなく、例えば、硝酸、硫酸、硝酸と硫酸との混酸、オゾン、フッ素ガスまたは過酸化水素などの表面改質処理剤を用いて行うことができる。中でも、分散性に優れる表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る観点からは、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の表面改質処理は、硝酸、硫酸または硝酸と硫酸との混酸を用いて行うことが好ましく、硝酸と硫酸との混酸を用いて行うことがより好ましい。また、表面改質処理条件は、使用する表面改質処理剤の種類および所望の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の性状に応じて設定することができる。
そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体を表面改質処理して得られる表面改質繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、例えば水などの分散媒中で、分散剤を使用しなくても良好に分散させることができる。そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体分散液は、各種成形品(例えば、帯電防止膜や透明導電膜など)の製造に用いることができる。
なお、表面改質処理しようとする繊維状炭素ナノ構造体の性状が不明な場合(即ち、本発明の繊維状炭素ナノ構造体に該当するか否かが不明な場合)には、下記の本発明の繊維状炭素ナノ構造体の評価方法を用いて当該繊維状炭素ナノ構造体を評価し、良品と判断された繊維状炭素ナノ構造体に対して表面改質処理を施して表面改質繊維状炭素ナノ構造体を製造することが好ましい。良品と判断された繊維状炭素ナノ構造体に対して表面改質処理を施せば、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得ることができる。
(繊維状炭素ナノ構造体の評価方法)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の評価方法は、繊維状炭素ナノ構造体について、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析を行い、熱重量曲線の一次微分曲線を得る工程(A)と、工程(A)で得た熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数を求める工程(B)と、工程(B)で求めた対称性係数が3.70以下であるものを良品と判断し、対称性係数が3.70超のものを不良品と判断する工程とを含む。そして、このように、対称性係数が3.70以下であるものを良品と判断すれば、表面改質され易い繊維状炭素ナノ構造体を適切に評価・選別することができる。
なお、良品と不良品とを判断する基準となるピークの対称性係数は、3.30以下とすることが好ましく、2.60以下とすることがより好ましく、2.00以下とすることが更に好ましく、0.50以上とすることが好ましく、0.70以上とすることがより好ましく、0.80以上とすることが更に好ましい。一次微分曲線のピークの対称性係数が上記範囲内であれば、酸化処理などの表面改質処理を施した際に更に表面改質され易くなるからである。そして、熱重量曲線は、縦軸が質量で横軸が温度の熱重量曲線であってもよいし、縦軸が質量で横軸が時間の熱重量曲線であってもよい。また、熱重量曲線の一次微分曲線は、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度の温度微分曲線であってもよいし、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が時間の時間微分曲線であってもよい。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の評価方法は、繊維状炭素ナノ構造体について、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析を行い、熱重量曲線の一次微分曲線を得る工程(A)と、工程(A)で得た熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数を求める工程(B)と、工程(B)で求めた対称性係数が3.70以下であるものを良品と判断し、対称性係数が3.70超のものを不良品と判断する工程とを含む。そして、このように、対称性係数が3.70以下であるものを良品と判断すれば、表面改質され易い繊維状炭素ナノ構造体を適切に評価・選別することができる。
なお、良品と不良品とを判断する基準となるピークの対称性係数は、3.30以下とすることが好ましく、2.60以下とすることがより好ましく、2.00以下とすることが更に好ましく、0.50以上とすることが好ましく、0.70以上とすることがより好ましく、0.80以上とすることが更に好ましい。一次微分曲線のピークの対称性係数が上記範囲内であれば、酸化処理などの表面改質処理を施した際に更に表面改質され易くなるからである。そして、熱重量曲線は、縦軸が質量で横軸が温度の熱重量曲線であってもよいし、縦軸が質量で横軸が時間の熱重量曲線であってもよい。また、熱重量曲線の一次微分曲線は、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度の温度微分曲線であってもよいし、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が時間の時間微分曲線であってもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のG/D比、平均直径、t−プロット、全比表面積、内部比表面積、炭素純度、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数、および、表面改質処理性は、それぞれ以下の方法を使用して測定または評価した。
<G/D比>
顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、NicoletAlmega XR)を用い、基材中心部付近の繊維状炭素ナノ構造体について測定した。
<平均直径>
透過型電子顕微鏡を用いて得られた画像から無作為に選択された20本の繊維状炭素ナノ構造体の直径(外径)を測定し、個数平均値として求めた。
<t−プロット、全比表面積および内部比表面積>
BET比表面積測定装置(日本ベル(株)製、BELSORP(登録商標)−mini)を用いて測定した。
<炭素純度>
熱重量分析装置(TG)を使用し、繊維状炭素ナノ構造体を空気中で800℃まで昇温した際の減少質量から炭素純度(=(800℃に到達するまでに燃焼して減少した質量/初期質量)×100(%))を求めた。
<対称性係数>
熱重量示差熱同時測定装置(BrukerAXS製、製品名「TG−DTA2020SA」)を使用し、昇温速度5℃/分、乾燥空気流量200mL/分の条件下で繊維状炭素ナノ構造体の熱重量曲線を測定し、一次微分曲線を得た。
[温度微分曲線の場合]
ここで、熱重量曲線の縦軸が質量で横軸が温度であり、一次微分曲線が、例えば図1(a)に示すような、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度の温度微分曲線である場合には、温度微分曲線のピークから、下記式(1)により、繊維状炭素ナノ構造体のDTGピークの対称性係数Wa/Wbを求めた。
Wa/Wb=(Tmax−Ta)/(Tb−Tmax) ・・・(1)
Tmax:ピークトップの温度
DTGmax:温度Tmaxにおける微分熱重量
Ta:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる温度(低温側)
Tb:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる温度(高温側、Tb>Ta)
[時間微分曲線の場合]
また、熱重量曲線の縦軸が質量で横軸が時間であり、一次微分曲線が、例えば図1(b)に示すような、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が時間の時間微分曲線である場合には、時間微分曲線のピークから、下記式(2)により、繊維状炭素ナノ構造体のDTGピークの対称性係数Wa/Wbを求めた。
Wa/Wb=(tmax−ta)/(tb−tmax) ・・・(2)
tmax:ピークトップの時間
DTGmax:時間tmaxにおける微分熱重量
ta:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる時間(短時間側)
tb:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる時間(長時間側、tb>ta)
<表面改質処理性>
冷却管と撹拌翼を備えた300mLフラスコに、得られた繊維状炭素ナノ構造体0.80g、イオン交換水54.8g、および、硫酸(和光純薬社製、濃度96〜98%)と硝酸(和光純薬社製、濃度69〜70%)とを1:3(体積比)の割合で含有する混酸液83mLを加えたのち、撹拌しながら内温110℃で8時間加熱した。
得られた混酸処理後の繊維状炭素ナノ構造体/混酸の液3.0gを、50mLサンプル瓶に測り取り、イオン交換水を27.0g添加して希釈した。上澄みを除去した後、イオン交換水を加えて液量を30mLとした。濃度0.1%のアンモニア水を加えて、pHを7.0に調整したのち、超音波照射装置(ブランソン製、製品名「BRANSON5510」)を用いて周波数42Hzで50分間、超音波照射して、繊維状炭素ナノ構造体の分散液を得た。
[分散液の評価]
そして、得られた分散液に対し、遠心分離機(ベックマンコールター製、製品名「OPTIMA XL100K」)を使用し、20,000Gで40分間遠心分離して上澄み液を回収するサイクルを3回繰り返して、遠心分離処理後の繊維状炭素ナノ構造体の分散液20mLを得た。得られた分散液について、目視で凝集物の有無を確認した。
また、分光光度計(日本分光製、商品名「V670」)を使用し、遠心分離機で処理する前の分散液の吸光度Ab1(光路長1cm、波長550nm)と、遠心分離機で処理した後の分散液の吸光度Ab2(光路長1cm、波長550nm)を測定した。下記式により、遠心分離処理による吸光度の低下率を求めることで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を評価した。吸光度低下率が小さいほど、繊維状炭素ナノ構造体が良好に表面改質されており、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が優れていることを示す。
吸光度低下率(%)={1−(Ab2/Ab1)}×100
[成形品(膜)の評価]
また、得られた分散液を、ガラス基板にバーコーター♯2にて塗布した後、130℃で10分間乾燥し、繊維状炭素ナノ構造体からなる膜をガラス基板上に形成した。
そして、得られた膜を光学顕微鏡(倍率100倍)で観察し、顕微鏡の視野中に視認される繊維状炭素ナノ構造体の凝集塊(直径30μm以上)の有無を確認することで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を評価した。繊維状炭素ナノ構造体の凝集塊の数が少ないほど、繊維状炭素ナノ構造体が良好に表面改質されており、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が優れていることを示す。
顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、NicoletAlmega XR)を用い、基材中心部付近の繊維状炭素ナノ構造体について測定した。
<平均直径>
透過型電子顕微鏡を用いて得られた画像から無作為に選択された20本の繊維状炭素ナノ構造体の直径(外径)を測定し、個数平均値として求めた。
<t−プロット、全比表面積および内部比表面積>
BET比表面積測定装置(日本ベル(株)製、BELSORP(登録商標)−mini)を用いて測定した。
<炭素純度>
熱重量分析装置(TG)を使用し、繊維状炭素ナノ構造体を空気中で800℃まで昇温した際の減少質量から炭素純度(=(800℃に到達するまでに燃焼して減少した質量/初期質量)×100(%))を求めた。
<対称性係数>
熱重量示差熱同時測定装置(BrukerAXS製、製品名「TG−DTA2020SA」)を使用し、昇温速度5℃/分、乾燥空気流量200mL/分の条件下で繊維状炭素ナノ構造体の熱重量曲線を測定し、一次微分曲線を得た。
[温度微分曲線の場合]
ここで、熱重量曲線の縦軸が質量で横軸が温度であり、一次微分曲線が、例えば図1(a)に示すような、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度の温度微分曲線である場合には、温度微分曲線のピークから、下記式(1)により、繊維状炭素ナノ構造体のDTGピークの対称性係数Wa/Wbを求めた。
Wa/Wb=(Tmax−Ta)/(Tb−Tmax) ・・・(1)
Tmax:ピークトップの温度
DTGmax:温度Tmaxにおける微分熱重量
Ta:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる温度(低温側)
Tb:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる温度(高温側、Tb>Ta)
[時間微分曲線の場合]
また、熱重量曲線の縦軸が質量で横軸が時間であり、一次微分曲線が、例えば図1(b)に示すような、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が時間の時間微分曲線である場合には、時間微分曲線のピークから、下記式(2)により、繊維状炭素ナノ構造体のDTGピークの対称性係数Wa/Wbを求めた。
Wa/Wb=(tmax−ta)/(tb−tmax) ・・・(2)
tmax:ピークトップの時間
DTGmax:時間tmaxにおける微分熱重量
ta:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる時間(短時間側)
tb:微分熱重量の値がDTGmaxの1/10になる時間(長時間側、tb>ta)
<表面改質処理性>
冷却管と撹拌翼を備えた300mLフラスコに、得られた繊維状炭素ナノ構造体0.80g、イオン交換水54.8g、および、硫酸(和光純薬社製、濃度96〜98%)と硝酸(和光純薬社製、濃度69〜70%)とを1:3(体積比)の割合で含有する混酸液83mLを加えたのち、撹拌しながら内温110℃で8時間加熱した。
得られた混酸処理後の繊維状炭素ナノ構造体/混酸の液3.0gを、50mLサンプル瓶に測り取り、イオン交換水を27.0g添加して希釈した。上澄みを除去した後、イオン交換水を加えて液量を30mLとした。濃度0.1%のアンモニア水を加えて、pHを7.0に調整したのち、超音波照射装置(ブランソン製、製品名「BRANSON5510」)を用いて周波数42Hzで50分間、超音波照射して、繊維状炭素ナノ構造体の分散液を得た。
[分散液の評価]
そして、得られた分散液に対し、遠心分離機(ベックマンコールター製、製品名「OPTIMA XL100K」)を使用し、20,000Gで40分間遠心分離して上澄み液を回収するサイクルを3回繰り返して、遠心分離処理後の繊維状炭素ナノ構造体の分散液20mLを得た。得られた分散液について、目視で凝集物の有無を確認した。
また、分光光度計(日本分光製、商品名「V670」)を使用し、遠心分離機で処理する前の分散液の吸光度Ab1(光路長1cm、波長550nm)と、遠心分離機で処理した後の分散液の吸光度Ab2(光路長1cm、波長550nm)を測定した。下記式により、遠心分離処理による吸光度の低下率を求めることで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を評価した。吸光度低下率が小さいほど、繊維状炭素ナノ構造体が良好に表面改質されており、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が優れていることを示す。
吸光度低下率(%)={1−(Ab2/Ab1)}×100
[成形品(膜)の評価]
また、得られた分散液を、ガラス基板にバーコーター♯2にて塗布した後、130℃で10分間乾燥し、繊維状炭素ナノ構造体からなる膜をガラス基板上に形成した。
そして、得られた膜を光学顕微鏡(倍率100倍)で観察し、顕微鏡の視野中に視認される繊維状炭素ナノ構造体の凝集塊(直径30μm以上)の有無を確認することで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を評価した。繊維状炭素ナノ構造体の凝集塊の数が少ないほど、繊維状炭素ナノ構造体が良好に表面改質されており、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が優れていることを示す。
(実施例1)
<触媒基材の製造>
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド0.19kgを、2−プロパノール10L(7.8kg)に溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.09kgを加えて溶解させて、塗工液Aを調製した。また、酢酸鉄174mgを2−プロパノール10L(7.8kg)に溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.019kgを加えて溶解させて、塗工液Bを調製した。
平板状の基材としてのFe−Cr合金製のSUS430基板の表面に上述の塗工液Aを塗布し、膜厚40nmのアルミナ薄膜(触媒担持層)を形成した。次いで、基材に設けられたアルミナ薄膜の上に上述の塗工液Bを塗布し、膜厚3nmの鉄薄膜を有する触媒基材を得た。
<繊維状炭素ナノ構造体の合成>
上述した触媒基材に対してフォーメーション工程(還元工程)、合成工程および冷却工程を連続的に行なうことで、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。なお、合成工程では、触媒基材に対して原料ガス(組成(体積基準)は、エチレン:20%、H2O:55〜440ppm、N2:残り)を150sLmの流量で供給した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が3.7、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1270m2/gであり、内部比表面積S2は290m2/gであり、S2/S1は0.23であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
<触媒基材の製造>
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド0.19kgを、2−プロパノール10L(7.8kg)に溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.09kgを加えて溶解させて、塗工液Aを調製した。また、酢酸鉄174mgを2−プロパノール10L(7.8kg)に溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.019kgを加えて溶解させて、塗工液Bを調製した。
平板状の基材としてのFe−Cr合金製のSUS430基板の表面に上述の塗工液Aを塗布し、膜厚40nmのアルミナ薄膜(触媒担持層)を形成した。次いで、基材に設けられたアルミナ薄膜の上に上述の塗工液Bを塗布し、膜厚3nmの鉄薄膜を有する触媒基材を得た。
<繊維状炭素ナノ構造体の合成>
上述した触媒基材に対してフォーメーション工程(還元工程)、合成工程および冷却工程を連続的に行なうことで、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。なお、合成工程では、触媒基材に対して原料ガス(組成(体積基準)は、エチレン:20%、H2O:55〜440ppm、N2:残り)を150sLmの流量で供給した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が3.7、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1270m2/gであり、内部比表面積S2は290m2/gであり、S2/S1は0.23であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
(実施例2)
合成工程においてエチレンの濃度を17%にしたこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.9、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1130m2/gであり、内部比表面積S2は240m2/gであり、S2/S1は0.21であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
合成工程においてエチレンの濃度を17%にしたこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.9、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1130m2/gであり、内部比表面積S2は240m2/gであり、S2/S1は0.21であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
(実施例3)
合成工程においてエチレンの濃度を14%にしたこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.8、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1240m2/gであり、内部比表面積S2は230m2/gであり、S2/S1は0.19であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
合成工程においてエチレンの濃度を14%にしたこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が2.8、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1240m2/gであり、内部比表面積S2は230m2/gであり、S2/S1は0.19であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
(比較例1)
合成工程においてエチレンの濃度を10%にしたこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が3.4、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1320m2/gであり、内部比表面積S2は55m2/gであり、S2/S1は0.04であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
合成工程においてエチレンの濃度を10%にしたこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を合成した。
得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、G/D比が3.4、平均直径が4nm、炭素純度が99.9%であり、ラマン分光光度計での測定において、単層カーボンナノチューブに特長的な100〜300cm−1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のピークが観察された。また、吸着等温線から得られる繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、屈曲点の位置はt=0.7nmであり、全比表面積S1は1320m2/gであり、内部比表面積S2は55m2/gであり、S2/S1は0.04であった。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数および表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。なお、ピークの対称性係数は熱重量曲線の温度微分曲線から求めた。
表1より、実施例1〜3の繊維状炭素ナノ構造体は、比較例1の繊維状炭素ナノ構造体と比較し、良好に表面改質されており、分散性に優れていることが分かる。
本発明によれば、表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
また、本発明によれば、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
また、本発明によれば、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することができる。
Claims (9)
- 乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数が3.70以下である、繊維状炭素ナノ構造体。
- 前記一次微分曲線は、前記熱重量曲線の温度微分曲線または時間微分曲線である、請求項1に記載の繊維状炭素ナノ構造体。
- 吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す、請求項1または2に記載の繊維状炭素ナノ構造体。
- 前記t−プロットの屈曲点が、0.2≦t(nm)≦1.5の範囲にある、請求項3に記載の繊維状炭素ナノ構造体。
- 吸着等温線から得られるt−プロットから得られる全比表面積S1および内部比表面積S2が、関係式:0.05≦S2/S1≦0.30を満たす、請求項1〜4の何れかに記載の繊維状炭素ナノ構造体。
- カーボンナノチューブを含む、請求項1〜5の何れかに記載の繊維状炭素ナノ構造体。
- 前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、請求項6に記載の繊維状炭素ナノ構造体。
- 繊維状炭素ナノ構造体について、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析を行い、熱重量曲線の一次微分曲線を得る工程と、
前記熱重量曲線の一次微分曲線のピークの対称性係数を求める工程と、
前記対称性係数が3.70以下であるものを良品と判断し、前記対称性係数が3.70超のものを不良品と判断する工程と、
を含む、繊維状炭素ナノ構造体の評価方法。 - 請求項8に記載の繊維状炭素ナノ構造体の評価方法を用いて繊維状炭素ナノ構造体を評価する工程と、
良品と判断された繊維状炭素ナノ構造体に対して表面改質処理を施し、表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る工程と、
を含む、表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法。
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