JP7131543B2 - 表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法に関し、特には、酸化剤を用いて表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法に関するものである。
近年、機械的特性などの各種特性に優れる材料として、ナノカーボン、ナノファイバーおよびナノワイヤーなどの様々なナノ構造体が注目されている。中でも、導電性、熱伝導性および機械的特性に優れる材料として、ナノカーボン、特にはカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)等の繊維状の炭素ナノ構造体が注目されている。
また、CNTなどの炭素ナノ構造体に対して各種表面処理を施すことにより、炭素ナノ構造体に更に優れた特性を発揮させる技術が注目されている。
具体的には、例えば特許文献1では、X線光電子分光分析法(XPS)で測定した表面酸素濃度が3.0~30at%となるようにカーボンナノチューブの表面をエチレン-無水マレイン酸共重合体で処理することにより、高温下における強度および靭性に優れる表面処理カーボンナノチューブを得ている。
また、例えば特許文献2では、多層カーボンナノチューブを気相酸化剤と接触させることにより、水への分散性を高めた酸化多層カーボンナノチューブを得ている。
特開2014-101233号公報 特表2003-505332号公報
ここで、CNT等の炭素ナノ構造体は直径がナノメートルサイズの微細な構造体であるため、単体では取り扱い性や加工性が悪い。そこで、炭素ナノ構造体は、複数の炭素ナノ構造体を例えば膜状に集合させてなる集合体としてから、或いは、樹脂、ゴム等の高分子材料または金属と複合化してなる複合材料としてから、様々な用途に用いられている。そして、炭素ナノ構造体の集合体の形成方法としては、分散媒中に炭素ナノ構造体を分散させてなる炭素ナノ構造体分散液から分散媒を除去する方法が提案されている。また、炭素ナノ構造体を含む複合材料の形成方法としては、高分子材料などのマトリックス材料と炭素ナノ構造体分散液とを混合してなる複合材料用組成物から複合材料を析出または沈殿させる方法が提案されている。
そして、炭素ナノ構造体の集合体および複合材料に優れた特性を発揮させる観点からは、集合体および複合材料の形成に用いられる炭素ナノ構造体分散液として、分散媒中で炭素ナノ構造体が良好に分散している分散液が求められている。
しかし、上記従来の表面処理カーボンナノチューブや酸化多層カーボンナノチューブでは、カーボンナノチューブの分散安定性に優れる分散液が得られなかった。
そこで、本発明は、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液を調製可能な炭素ナノ構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、炭素ナノ構造体と分散媒とを含む炭素ナノ構造体含有液を減圧する減圧処理を行った後、或いは、減圧処理中に、炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加して炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を所定値以上にすれば、液中での分散安定性に優れる炭素ナノ構造体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、炭素ナノ構造体と分散媒とを含む炭素ナノ構造体含有液を減圧する減圧処理工程と、前記減圧処理工程後または前記減圧処理工程中に、前記炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加し、前記炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を7.0at%以上にする表面処理工程とを含むことを特徴とする。このように、減圧処理工程後または減圧処理工程中に炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加して炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を7.0at%以上にすれば、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液を調製可能な炭素ナノ構造体が得られる。
なお、本発明において、「表面酸素原子濃度」は、X線光電子分光分析法(XPS)を用いて測定することができる。
ここで、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記減圧処理工程において、前記分散媒の減圧中の温度における蒸気圧の2倍以下の圧力まで前記炭素ナノ構造体含有液を減圧することが好ましい。減圧処理工程において炭素ナノ構造体含有液を分散媒の減圧中の温度における蒸気圧の2倍以下の圧力まで減圧すれば、炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性が更に向上した炭素ナノ構造体が得られるからである。
なお、本発明において、「蒸気圧」は、JIS Z8806(分散媒が水の場合)およびJIS K2258(分散媒が有機溶媒を含む場合)に準拠して測定することができる。
また、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記減圧処理工程において、前記炭素ナノ構造体含有液を20分間以上減圧する操作を1回以上実施することが好ましい。炭素ナノ構造体含有液を20分間以上減圧する操作を1回以上実施すれば、炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性が更に向上した炭素ナノ構造体が得られるからである。
更に、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記炭素ナノ構造体含有液中の炭素ナノ構造体の濃度が5質量%以下であることが好ましい。減圧処理される炭素ナノ構造体含有液中の炭素ナノ構造体の濃度が5質量%以下であれば、炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性が更に向上した炭素ナノ構造体が得られるからである。
また、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記酸化剤が、硝酸、硫酸、過酸化水素、オゾン、酸素、過硫酸アンモニウムおよび次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの酸化剤を使用すれば、炭素ナノ構造体の表面を良好に処理し、表面酸素原子濃度を7.0at%以上にし易いからである。
更に、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示す炭素ナノ構造体は、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が特に大きいからである。
なお、「t-プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換すること(deBoerらによるt-プロット法)により得ることができる。
また、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt-プロットから得られる全比表面積S1および内部比表面積S2が、関係式:0.05≦S2/S1≦0.30を満たすことが好ましい。S2/S1が0.05以上0.30以下の炭素ナノ構造体は、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が特に大きいからである。
なお、本発明において、「全比表面積S1」および「内部比表面積S2」は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて求めることができる。
そして、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、前記炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含むことが好ましい。カーボンナノチューブを含む炭素ナノ構造体は、導電性、熱伝導性および機械的特性などに優れているからである。
本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法によれば、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液を調製可能な炭素ナノ構造体が得られる。
(a)~(d)は、実施例1~2および比較例1~2で調製したカーボンナノチューブ分散液の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、酸化剤を用いて表面処理された炭素ナノ構造体を製造する方法である。そして、本発明の製造方法を用いて製造される表面処理された炭素ナノ構造体(以下、単に「表面処理炭素ナノ構造体」と称することがある。)は、水などの溶媒中に炭素ナノ構造体が分散されてなる炭素ナノ構造体分散液の調製に好適に用いることができる。
(表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法)
本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法は、炭素ナノ構造体と分散媒とを含む炭素ナノ構造体含有液を減圧する減圧処理工程と、減圧処理工程後または減圧処理工程中に、炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加し、炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を7.0at%以上にする表面処理工程とを含むことを特徴とする。そして、本発明の製造方法によれば、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液を調製可能な表面処理炭素ナノ構造体が得られる。
ここで、本発明の製造方法に従って製造された表面処理炭素ナノ構造体を使用すれば分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液が得られる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、炭素ナノ構造体の内部または凝集した炭素ナノ構造体間には、微小な空間が存在するため、そのままの状態で炭素ナノ構造体を酸化剤で処理しようとしても、上記微小な空間までは酸化剤が十分に行き渡らず、酸化剤で良好に処理された部分と、十分に処理されなかった部分とができて、処理ムラが生じる。そして、処理ムラがある炭素ナノ構造体は、炭素ナノ構造体分散液中において、十分に処理されなかった部分が凝集核となって凝集し易くなる。しかし、本発明の製造方法では、減圧処理工程後または減圧処理工程中に炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加するので、減圧による微小な空間からの気体の脱離などによって微小な空間内にも十分に分散媒を存在させた状態において酸化剤による処理を行うことができる。従って、微小な空間まで酸化剤を十分に行き渡らせ、炭素ナノ構造体を酸化剤で均一に処理することができる。また、本発明の製造方法では、均一に処理された炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を7.0at%以上にしているので、炭素ナノ構造体に優れた分散安定性を発揮させることができる。
<減圧処理工程>
減圧処理工程では、炭素ナノ構造体と分散媒とを含む炭素ナノ構造体含有液を減圧する。
[炭素ナノ構造体含有液]
炭素ナノ構造体含有液は、炭素ナノ構造体と分散媒とを含み、任意に分散剤などの添加剤を更に含有し得る。中でも、後述する表面処理工程において添加される酸化剤との副反応を防止する観点からは、炭素ナノ構造体含有液は、炭素ナノ構造体および分散媒のみを含み、添加剤を含有しないことが好ましい。
なお、炭素ナノ構造体含有液は、特に限定されることなく、例えば、分散媒中に炭素ナノ構造体を添加し、任意に撹拌することにより調製することができる。
〔炭素ナノ構造体〕
本発明の製造方法で表面処理される炭素ナノ構造体としては、ナノメートルサイズの炭素構造体であれば特に限定されることなく、任意の炭素ナノ構造体を用いることができる。中でも、炭素ナノ構造体としては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体を用いることができる。
なお、本発明の製造方法で表面処理される炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度は、通常、2.4at%未満である。
そして、上述した中でも、炭素ナノ構造体としては、CNTなどの繊維状の炭素ナノ構造体を含む炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。CNTを含む炭素ナノ構造体は、導電性、熱伝導性および機械的特性などに優れているからである。
ここで、CNTを含む炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、導電性、熱伝導性および機械的特性などに優れているからである。
なお、CNTを含む炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学的気相成長法(CVD法)などの既知のCNTの合成方法を用いて製造することができる。具体的には、CNTを含む炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に原料化合物およびキャリアガスを供給し、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
そして、スーパーグロース法により製造された炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体を含んでいてもよい。
また、炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)~(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)~(3)の過程によって、t-プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt-プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt-プロットの形状を有する炭素ナノ構造体は、炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
そのため、t-プロットが上に凸な形状を示す炭素ナノ構造体では、減圧処理工程を実施することにより酸化剤を十分に行き渡らせて炭素ナノ構造体を酸化剤で均一に処理するという効果が特に得られ易く、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が特に大きい。
なお、炭素ナノ構造体のt-プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。t-プロットの屈曲点がかかる範囲内にある炭素ナノ構造体は、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が更に大きい。
ここで、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、炭素ナノ構造体は、t-プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。S2/S1の値がかかる範囲内である炭素ナノ構造体は、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が更に大きい。
ここで、炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
そして、炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t-プロットの作成、および、t-プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
また、炭素ナノ構造体は、BET比表面積が、200m/g以上であることが好ましく、400m/g以上であることがより好ましく、600m/g以上であることがさらに好ましく、2000m/g以下であることが好ましく、1800m/g以下であることがより好ましく、1600m/g以下であることがさらに好ましい。BET比表面積が上記範囲内である炭素ナノ構造体は、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が更に大きい。
ここで、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
なお、上述した炭素ナノ構造体は、繊維状の炭素ナノ構造体であることが好ましい。
そして、繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。
また、繊維状の炭素ナノ構造体は、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましく、600μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることがさらに好ましい。
平均直径および/または平均長さが上記範囲内である繊維状の炭素ナノ構造体は、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際の炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性の向上効果が更に大きい。
更に、繊維状の炭素ナノ構造体は、通常、アスペクト比(長さ/直径)が10超である。
なお、繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径、平均長さおよびアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径および長さを測定することにより求めることができる。
また、炭素ナノ構造体含有液中の炭素ナノ構造体の濃度は、特に限定されることなく、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。炭素ナノ構造体の濃度が上記下限値以上であれば、表面処理炭素ナノ構造体を効率的に製造することができる。また、炭素ナノ構造体の濃度が上記上限値以下であれば、減圧処理工程および表面処理工程を実施した際に炭素ナノ構造体を酸化剤で十分に均一に処理することができる。
〔分散媒〕
炭素ナノ構造体含有液の分散媒としては、特に限定されることなく、水、1-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、トルエン、メタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、エチレングリコール、メチルイソブチルケトンおよびブチルアルコールを用いることができる。中でも、酸化剤を用いる表面処理工程の実施のし易さの観点からは、分散媒としては水を用いることが好ましい。
[減圧]
炭素ナノ構造体含有液の減圧は、特に限定されることなく、例えば、炭素ナノ構造体含有液を入れた容器を、任意に炭素ナノ構造体含有液を撹拌しながら、真空ポンプ等を使用して減圧下に置くことにより、行うことができる。中でも、減圧は、炭素ナノ構造体含有液を撹拌しながら行うことが好ましい。
ここで、減圧時の圧力は、特に限定されることなく、絶対圧で、例えば3.4kPa以下とすることが好ましく、2.6kPa以下とすることがより好ましい。
また、減圧時の圧力は、分散媒の減圧中の温度における蒸気圧(即ち、減圧処理工程中の分散媒の温度における分散媒の蒸気圧)の1倍以上2倍以下であることが好ましく、1倍以上1.5倍以下であることがより好ましい。
減圧処理工程において炭素ナノ構造体含有液を上記上限値以下の圧力まで減圧すれば、表面処理工程を実施した際に炭素ナノ構造体を酸化剤で十分に均一に処理することができる。従って、炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性が更に向上した炭素ナノ構造体が得られる。
また、減圧時の炭素ナノ構造体含有液の液温は、特に限定されることなく、例えば5℃以上30℃以下にすることができる。
更に、炭素ナノ構造体含有液を減圧する時間は、特に限定されることなく、例えば20分間以上とすることが好ましい。中でも、炭素ナノ構造体含有液の減圧は、炭素ナノ構造体含有液を所定の圧力まで減圧した後、当該所定の圧力において20分間以上行うことが好ましい。減圧する時間を上記下限値以上にすれば、表面処理工程を実施した際に炭素ナノ構造体を酸化剤で十分に均一に処理することができる。従って、炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性が更に向上した炭素ナノ構造体が得られる。
なお、炭素ナノ構造体含有液の減圧は、1回のみ行ってもよいし、減圧と大気開放とを交互に実施して2回以上行ってもよい。中でも、炭素ナノ構造体含有液の減圧は、炭素ナノ構造体含有液を20分間以上減圧する操作を1回以上実施することにより行うことが好ましく、炭素ナノ構造体含有液を所定の圧力まで減圧した後、当該所定の圧力において減圧状態を20分間以上維持する操作を1回以上実施することにより行うことがより好ましい。
<表面処理工程>
表面処理工程は、上述した減圧処理工程後または減圧処理工程中に、炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加し、酸化処理により炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を7.0at%以上にする工程である。そして、表面処理工程では、表面酸素原子濃度が7.0at%以上の表面処理炭素ナノ構造体が得られる。
ここで、表面処理工程は、減圧処理工程の実施中に行ってもよいが、炭素ナノ構造体を酸化剤で十分に均一に処理する観点からは、減圧処理工程後に行うことが好ましい。
なお、減圧処理工程中に表面処理工程を実施する場合には、炭素ナノ構造体を酸化剤で十分に均一に処理する観点から、炭素ナノ構造体含有液の減圧を十分な時間(例えば、20分間以上)行った後に酸化剤を添加して表面処理工程を開始することが好ましい。
[炭素ナノ構造体含有液]
炭素ナノ構造体含有液としては、通常、減圧処理工程後または減圧処理工程中の炭素ナノ構造体含有液をそのまま用いる。即ち、例えば、減圧処理工程後に表面処理工程を実施する場合には、減圧終了後に大気開放された炭素ナノ構造体含有液をそのまま使用する。
[酸化剤]
酸化剤としては、炭素ナノ構造体を酸化可能であり、且つ、炭素ナノ構造体含有液の分散媒に溶解するものであれば特に限定されることなく、任意の酸化剤を用いることができる。中でも、酸化剤としては、硝酸、硫酸、過酸化水素、オゾン、酸素、過硫酸アンモニウムおよび次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、硝酸またはオゾンを用いることがより好ましい。これらの酸化剤を使用すれば、炭素ナノ構造体の表面を良好に処理し、表面酸素原子濃度が7.0at%以上の表面処理炭素ナノ構造体を容易に得ることができる。
ここで、炭素ナノ構造体含有液に対する酸化剤の添加は、特に限定されることなく、炭素ナノ構造体含有液を撹拌しつつ行うことが好ましい。
また、酸化剤は、固体または溶液の状態で炭素ナノ構造体含有液に添加してもよいし、気体状態で炭素ナノ構造体含有液に吹き込んでもよい。
そして、表面処理工程における酸化剤の添加量は、炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度が7.0at%以上になれば特に限定されることは無く、酸化剤の種類等に応じて適宜に設定することができる。
また、酸化剤による炭素ナノ構造体の酸化は、炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度が7.0at%以上になれば特に限定されることは無く、任意の温度で任意の時間行うことができる。
[表面酸素原子濃度]
そして、表面処理工程では、表面酸素原子濃度が7.0at%以上の表面処理炭素ナノ構造体を得る。表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度が7.0at%未満の場合には、減圧処理工程後または減圧処理工程中に炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加した場合であっても、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液を調製可能な炭素ナノ構造体が得られない。
なお、炭素ナノ構造体分散液中における分散安定性が更に向上した炭素ナノ構造体を得る観点からは、表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度は、10.0at%以上であることが好ましく、13.0at%以上であることがより好ましく、14.0at%以上であることが更に好ましい。なお、表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度は、通常、30.0at%以下である。
そして、表面処理工程で得られた表面処理炭素ナノ構造体は、例えば炭素ナノ構造体分散液の調製に良好に用いることができる。
具体的には、表面処理工程で得られる表面処理炭素ナノ構造体は、上述した分散媒中に存在している。そのため、例えば、任意に分散媒のpHを調製した後、分散処理を施すことにより、炭素ナノ構造体分散液を得ることができる。或いは、ろ過等の固液分離操作により上述した分散媒から表面処理炭素ナノ構造体を取り出した後、取り出した表面処理炭素ナノ構造体と、別途準備した水などの溶媒とを混合し、更に分散処理を施すことにより、炭素ナノ構造体分散液を得ることができる。
ここで、分散処理方法としては、特に限定されることなく、例えば国際公開第2014/097626号や国際公開第2016/013219号などに記載されている方法を用いることができる。
そして、上述のようにして得られた炭素ナノ構造体分散液は、炭素ナノ構造体が凝集し難く、分散安定性に優れている。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度および表面炭素原子濃度、炭素ナノ構造体分散液中の凝集粒子最大径、並びに、炭素ナノ構造体分散液の分散安定性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
<表面酸素原子濃度および表面炭素原子濃度>
表面処理炭素ナノ構造体を含む混合液1.0gをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルター(孔径:10μm)でろ過し、得られた固形分を10gのイオン交換水で3回洗浄した。その後、80℃、400Pa(絶対圧)で15時間乾燥させ、表面処理炭素ナノ構造体を得た。そして、走査型X線光電子分光装置(PHI社製、Quantum-2000)を使用し、表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度および表面炭素原子濃度をX線光電子分光法(XPS)により分析した。
<凝集粒子最大径>
pH8.0の炭素ナノ構造体分散液1.0gを、5mLサンプル瓶に測り取り、濃度0.1質量%の希硝酸を1.0g添加することで、pHを1.0とした。軽く数回、振り混ぜた後、1時間静置した。その後、イオン交換水4.0gを添加して希釈して、得られた希釈液を、隙間0.5mmのガラスプレートに挟んで、光学顕微鏡で観察した。
得られた画像を画像解析ソフトWinROOFで2値化処理し、画面上に映し出された凝集粒子の中で最も大きい粒子のサイズを測定した。
<分散安定性>
上記<凝集粒子最大径>の測定において得られた希釈液の状態を光学顕微鏡で観察した。そして、以下の基準で評価した。
○:分散していた表面処理炭素ナノ構造体の一部が凝集しているのみである
×:分散していた全ての表面処理炭素ナノ構造体が凝集していた
(実施例1)
<炭素ナノ構造体含有液の調製>
まず、繊維状の炭素ナノ構造体として、カーボンナノチューブ(日本ゼオン社製、製品名「ZEONANO SG101」、単層CNT、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m/g、t-プロットは上に凸(屈曲点の位置:0.6nm)、内部比表面積S2/全比表面積S1:0.24)を準備した。
そして、冷却管と撹拌翼を備えた300mLフラスコに、カーボンナノチューブ0.80gおよび分散媒としてのイオン交換水54.8gを加え、炭素ナノ構造体含有液を得た。
<減圧処理工程>
真空ポンプを使用し、液温15℃にて、フラスコ内を減圧(1.8kPaで30分間)した。
<表面処理工程>
減圧終了後にフラスコ内を大気圧に戻し(大気開放し)、得られた減圧処理工程後の炭素ナノ構造体含有液に、酸化剤として硝酸(比重:1.42、和光純薬製)87.9gを加えた。その後、撹拌しながら内温110℃で8時間加熱し、表面処理炭素ナノ構造体(表面処理カーボンナノチューブ)を含む混合液を得た。
そして、表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度および表面炭素原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
<炭素ナノ構造体分散液の調製>
表面処理工程で得られた表面処理炭素ナノ構造体を含む混合液3.0gを50mLサンプル瓶に測り取り、イオン交換水を27.0g添加して希釈した。次に、濃度0.1質量%のアンモニア水を加えて、pHを8.0に調整したのち、超音波洗浄機(ブランソン製、超音波洗浄機5510)を使用して超音波(出力:180W、周波数:42kHz)を50分間照射して、カーボンナノチューブを分散させ、pH8.0の炭素ナノ構造体分散液を得た。
そして、炭素ナノ構造体分散液中の凝集粒子最大径および炭素ナノ構造体分散液の分散安定性を測定および評価した。結果を表1に示す。
また、炭素ナノ構造体分散液の光学顕微鏡画像を撮影した。得られた光学顕微鏡写真を図1に示す。
(実施例2)
表面処理工程において、酸化剤としてオゾンを使用し、得られた減圧処理工程後の炭素ナノ構造体含有液にイオン交換水87.9gを加えた後、フラスコ内を撹拌しながら室温下でオゾンガスを炭素ナノ構造体含有液に10時間バブリングすることにより表面処理炭素ナノ構造体(表面処理カーボンナノチューブ)を含む混合液を得た。それ以外は実施例1と同様にして炭素ナノ構造体分散液を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
減圧処理工程を実施せず、表面処理工程において減圧処理工程を実施していない炭素ナノ構造体含有液に硝酸を加えた以外は実施例1と同様にして、炭素ナノ構造体分散液の調製を行った。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
減圧処理工程を実施せず、表面処理工程において減圧処理工程を実施していない炭素ナノ構造体含有液にオゾンガスをバブリングした以外は実施例2と同様にして、炭素ナノ構造体分散液の調製を行った。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
表面処理工程において加熱時間を8時間から3時間に変更した以外は実施例1と同様にして、表面処理炭素ナノ構造体(表面処理カーボンナノチューブ)を含む混合液を得た。そして、実施例1と同様にして表面処理炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度および表面炭素原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
次に、表面処理工程で得られた表面処理炭素ナノ構造体を含む混合液3.0gを50mLサンプル瓶に測り取り、イオン交換水を27.0g添加して希釈した。その後、濃度0.1質量%のアンモニア水を加えて、pHを8.0に調整したのち、超音波洗浄機(ブランソン製、超音波洗浄機5510)を使用して超音波(出力:180W、周波数:42kHz)を50分間照射した。しかし、表面処理カーボンナノチューブが分散せず、分散液を得ることができなかった。そのため、炭素ナノ構造体分散液中の凝集粒子最大径および炭素ナノ構造体分散液の分散安定性の測定および評価は行わず、また、炭素ナノ構造体分散液の光学顕微鏡画像の撮影も行わなかった。
Figure 0007131543000001
表1より、減圧処理工程および表面処理工程を実施し、且つ、表面酸素原子濃度を7.0at%以上にした実施例1および2では、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液が得られることが分かる。一方、減圧処理工程を実施しなかった比較例1および2では、炭素ナノ構造体分散液の分散安定性が低下してしまうことが分かる。なお、実施例1および2の炭素ナノ構造体分散液は、pHを8.0から1.0へと大きく変化させた場合であっても分散安定性に優れていたことから、炭素ナノ構造体分散液を調製した後の工程(例えば、表面にスルホン酸基を有する酸性陽イオン交換樹脂との接触や、アンモニア成分の揮発など)においてpHの微小変動が起こった場合であっても、凝集による不具合が起こり難いことが分かる。
また、表1の比較例3より、減圧処理工程および表面処理工程を実施した場合であっても、表面酸素原子濃度が6.6at%の場合には、表面処理炭素ナノ構造体の分散性が向上せず、炭素ナノ構造体分散液が得られないことが分かる。
本発明の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法によれば、分散安定性に優れる炭素ナノ構造体分散液を調製可能な炭素ナノ構造体が得られる。

Claims (8)

  1. 炭素ナノ構造体と分散媒とを含む炭素ナノ構造体含有液を減圧する減圧処理工程と、
    前記減圧処理工程後に、前記炭素ナノ構造体含有液に酸化剤を添加し、前記炭素ナノ構造体の表面酸素原子濃度を13.0at%以上にする表面処理工程と、
    を含む、表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  2. 前記減圧処理工程において、前記分散媒の減圧中の温度における蒸気圧の2倍以下の圧力まで前記炭素ナノ構造体含有液を減圧する、請求項1に記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  3. 前記減圧処理工程において、前記炭素ナノ構造体含有液を20分間以上減圧する操作を1回以上実施する、請求項1または2に記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  4. 前記炭素ナノ構造体含有液中の炭素ナノ構造体の濃度が5質量%以下である、請求項1~3の何れかに記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  5. 前記酸化剤が、硝酸、硫酸、過酸化水素、オゾン、酸素、過硫酸アンモニウムおよび次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4の何れかに記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  6. 前記炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示す、請求項1~5の何れかに記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  7. 前記炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt-プロットから得られる全比表面積S1および内部比表面積S2が、関係式:0.05≦S2/S1≦0.30を満たす、請求項1~6の何れかに記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
  8. 前記炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項1~7の何れかに記載の表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法。
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