JPWO2016148031A1 - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を複数の孔型において順次折り曲げる際に、各孔型のウェッジ部高さを所定の条件を満たす高さとし、通材性の向上や寸法精度の向上を図る。【解決手段】粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、スラブ幅/スラブ厚が6.0以上7.7以下であるスラブ素材を被圧延材として用い、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、前記第1孔型に形成される突起部の高さは100mm以上に設計され、且つ、前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上40°以下である。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2015年3月19日に日本国に出願された特願2015−056641号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせエッジング圧延を行い、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている。ここで割り広げられる割り込みの深さは、第2以降の孔型で順次浅くなっていく、あるいは同程度の深さである、ことが知られている。
例えば特許文献1の技術では、粗圧延工程で割り込みを入れる孔型の突起部の高さ(以下、ウェッジ高さとも呼称する)が、複数の孔型でほぼ同じ高さであるように設計された孔型構成が開示されている。
また、例えば特許文献2の技術では、粗圧延工程で割り込みを入れる孔型のウェッジ高さを、最初の孔型を最も高い構成とし、以降の孔型では順次低くなっていくような構成が開示されている。
特許第2062461号 特許第2036476号
近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。
しかしながら、例えば上記特許文献1、2に開示されている技術では、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行っているが、フランジの広幅化に限界がある。即ち、従来の粗圧延方法においてフランジの広幅化を図るためにはウェッジ設計(割り込み角度の設計)、圧下調整、潤滑調整といった技術により幅拡がりの向上が図られるが、いずれの方法もフランジ幅に大幅に寄与するものではないため、エッジング量に対するフランジ幅の拡がり量の比率を示す幅拡がり率は、エッジングの初期段階の効率が最も高い条件でも0.8程度であり、同一孔型でエッジングを繰り返すにつれて低下し、最終的には0.5程度になることが知られている。また、スラブ等の素材自体を大型化し、エッジング量を大きくすることも考えられるが、粗圧延機の設備規模や圧下量等には装置限界があるため十分な製品フランジの広幅化が実現されないといった事情がある。
このような事情に鑑み、例えば上記割り込みの深さを従来よりも深くするためにウェッジ高さをより高くした孔型構成を採るといった事も検討されるが、そのような場合にはウェッジ高さが高くなる程、左右の肉量が不均等になり、通材不良が生じたり、寸法精度が十分に担保されない恐れがある。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際に、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部(以下、ウェッジ部とも呼称)で割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を複数の孔型において順次折り曲げる際に、各孔型のウェッジ部高さを所定の条件を満たす高さとし、通材性の向上や寸法精度の向上が実現可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、スラブ幅/スラブ厚が6.0以上7.7以下であるスラブ素材を被圧延材として用い、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、前記第1孔型に形成される突起部の高さは100mm以上に設計され、且つ、前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は40°以下であることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記スラブ素材は、前記第1孔型における造形開始時のスラブ幅が1800mm以上であり且つスラブ厚が300mm以上であっても良い。
前記スラブ素材は、前記第1孔型における造形開始時のスラブ幅が1200mm以上であり且つスラブ厚が250mm以上であっても良い。
前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上35°以下であっても良い。
前記複数の孔型のうち第2孔型以降では少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われ、前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる工程が行われても良い。
前記第1孔型には、被圧延材の側面に隣接する側壁部の被圧延材入口側において、造形時の被圧延材から離間する方向に広がる逃がし部が形成されていても良い。また、前記逃がし部は、前記側壁部において被圧延材入口側に近づくにつれて、前記第1孔型内面が被圧延材から離間するような曲線形状を有しており、当該曲線形状の曲率半径Rは400mm以下であっても良い。
本発明によれば、H形鋼を製造する際に、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部(以下、ウェッジ部とも呼称)で割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を複数の孔型において順次折り曲げる際に、各孔型のウェッジ部高さを所定の条件を満たす高さとし、通材性の向上や寸法精度の向上が実現される。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第1孔型において、従来より知られた寸法の突起部を用いて被圧延材の上下端部に溝付けを行い、その後、第2孔型を用いて割り込みを形成させる場合の途中パス(a)及び最終パス(b)を示す概略説明図である。 厚み300mm・幅2300mmのスラブを素材とした場合の第1孔型のウェッジ高さと第3孔型圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキの関係を示すグラフである。 厚み300mm・幅1800mmのスラブを素材とした場合の第1孔型のウェッジ高さと第3孔型圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキの関係を示すグラフである。 厚み250mm・幅1200mmのスラブを素材とした場合の第1孔型のウェッジ高さと第3孔型圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキの関係を示すグラフである。 第1孔型におけるメタルの噛み出しに関する説明図である。 本発明の変形例に係る第1孔型において逃がし部を設けた構成についての説明図である。 比較例1と実施例1のそれぞれの場合において、第3孔型での造形終了時の左右のフランジ厚を計測した結果を示すグラフである。 ウェッジ角度θ1bを変えた場合のフランジ幅・フランジ厚の数値との関係を示すグラフである。 第1孔型の途中パスの概略断面図である。 ウェッジ角度θ1aを変えた場合のフランジ幅の数値との関係を示すグラフである。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
12…フランジ対応部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
100…側壁部
102…噛み出し部
110…逃がし部
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
T…製造ライン
A…被圧延材
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して各孔型複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、同様に複数パスのリバース圧延が行われ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、通常、粗圧延機4には、以下に説明する第1孔型〜第5孔型に加え、それら孔型にて造形された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型が更に設けられているが、この孔型は従来より既知のものであるため本明細書での図示・説明は省略する。また、製造ラインTにおける加熱炉2や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。
図2〜図5は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第4孔型の4つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が4つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも4孔型である必要はなく、4以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図5では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1a(以下、ウェッジ角度θ1aとも記載)とする。
また、突起部25、26の高さh1は所定の条件を満たす値であり、具体的には、例えば素材のスラブ寸法が所定のサイズ以上である場合に、突起部25、26の高さh1は100mm以上とすることが必要となる。なお、突起部25、26の高さh1が所定の条件を満たす値である必要がある理由については、図6〜9を参照して後述する。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましく、更には25°以上35°以下であることが望ましい。
ウェッジ角度が大きくなると、ウェッジ傾斜角が拡大するために、被圧延材Aに対して摩擦力による上下方向への押し下げ力が作用し易く、割り込み形成時にフランジ相当部の内面部において肉引けが生じ、特に第2孔型K2以降での造形においてフランジの生成効率が低下する。
以上のような理由から、突起部25、26の先端部角度θ1aは25°以上40°以下であることが望ましい。なお、以下に説明するウェッジ角度θ1bについても同様に25°以上40°以下であることが望ましい。これらのウェッジ角度θ1a、θ1bは、高いフランジ生成効率を実現させるとの観点からは25°以上35°以下とすることがより望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量ΔT)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量ΔE)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度θ1b(ウェッジ角度θ1b)は25°以上40°以下であることが望ましく、更には25°以上35°以下であることが望ましい。
ここで、突起部35、36のウェッジ角度θ1bの好適な数値範囲を25°以上40°以下(より好ましくは、25°以上35°以下)とすべき理由と、それに合わせて上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aの数値も好適な数値範囲とする理由について説明する。
ウェッジ角度の下限値は通常ロールの強度により決まる。被圧延材Aがロール(第2孔型K2では上孔型ロール30及び下孔型ロール31、第1孔型K1では上孔型ロール20及び下孔型ロール21)と接触し、その間に受ける熱によりロールが膨張し、被圧延材Aがロールから離れるとロールが冷却され収縮する。造形中はこれらのサイクルが繰り返されるが、ウェッジ角度が小さすぎると、突起部(第2孔型K2では突起部35、36、第1孔型K1では突起部25、26)の厚みが薄いために被圧延材Aからの入熱が当該突起部の左右から入りやすくなり、ロールがより高温になり易い。ロールが高温になると熱振れ幅が大きくなるためにヒートクラックが入り、ロール破損に至る恐れがある。このような理由によりウェッジ角度θ1a、θ1b共に25°以上であることが望ましい。
一方、ウェッジ角度θ1a、θ1bが大きくなると、ウェッジ傾斜角が拡大するために、被圧延材Aに対して摩擦力による上下方向への押し下げ力が作用し易く、割り込み形成時にフランジ相当部の内面部において肉引けが生じ、特に第2孔型K2以降での造形においてフランジの生成効率が低下する。ここで、図13を参照し、第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと最終的に造形される被圧延材Aのフランジ幅との関係について説明し、好適なウェッジ角度θ1bの上限値について説明する。
図13はFEMによる解析結果であり、第2孔型K2のウェッジ角度θ1bを変えた場合の後段の工程(以下に説明する第3孔型K3での工程)におけるフランジ厚・フランジ幅の数値との関係を示すグラフである。計算条件としては素材のスラブ幅2300mm、スラブ厚300mmとし、本実施の形態にて説明する方法を用いた際に、ウェッジ角度θ1bを所定の角度である約20°〜約70°で変化させて被圧延材Aの造形を行うものとした。
図13に示すように、ウェッジ角度θ1bを40°超として粗圧延工程を実施し、H形鋼製品を造形した場合、フランジ幅・フランジ厚ともに顕著に低下するようなグラフとなっており、フランジ生成効率が低下していることが分かる。即ち、ウェッジ角度θ1bを40°超とした場合には、グラフの傾きが顕著に上昇しており、ウェッジ角度θ1bが40°以下の場合と比べてフランジ幅・フランジ厚が大きく低下している。ウェッジ角度θ1bの鈍角化によりフランジ相当部の肉引け(被圧延材Aの長手方向へのメタルフローの誘起)が大きくなる。このような観点から、ウェッジ角度θ1bを40°以下とすることで高いフランジ生成効率を実現することが可能であることが分かる。また、図13からは、より高いフランジ生成効率を実現させるためには、ウェッジ角度θ1bを35°以下とすることが望ましいことも分かる。
また、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するためには、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
特に第1孔型K1のウェッジ角度θ1aはフランジ相当部(後のフランジ部80)の先端部厚みに大きく寄与することが知られており、その点からは、ウェッジ角度θ1aはできるだけ小さくすることが好ましい。図14は、第1孔型K1の途中パスの概略断面図であり、一方のスラブ端面(図2における上方端部)に割り込み28、29を付与している状態を示している。図14では割り込み28、29を付与する際のウェッジ角度θ1aの大小による差異について記載しており、それぞれの場合の割り込み形状を図示している。また、図15は第1孔型K1のウェッジ角度θ1aとフランジ相当部の先端厚み(フランジ先端厚)との関係を示すグラフであり、一例としてウェッジ高さが100mm、スラブ厚が300mmの場合を示している。
図14、15に示すように、ウェッジ角度θ1aが小さい場合の断面に比べ、ウェッジ角度θ1aが大きい場合の断面では、スラブ端面のメタルがそがれ、スラブ端面のフランジ相当部(後のフランジ部80)の先端部厚みが減厚される。フランジ相当部(後のフランジ部80)の先端部厚みが減厚されることは後のH形鋼製品の形状に鑑みて好ましくないため、フランジ相当部の先端部厚みを確保するためには、好適なウェッジ角度θ1aの上限値を定める必要がある。
以上説明したように、第2孔型K2のウェッジ角度θ1bを25°以上40°以下とすることに加え、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、且つ、誘導性や圧延安定性を担保するといった観点から第1孔型K1のウェッジ角度θ1aも25°以上40°以下とすることが望ましい。更にこれらのウェッジ角度θ1a、θ1bは、高いフランジ生成効率を実現させるとの観点からは25°以上35°以下とすることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するためには、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
また、突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。
上述したように、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。ここで、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、図3に示す第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
即ち、第2孔型K2での多パス造形においては、必要最小限のパス(例えば最終パスのみ)において被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行い、その他のパスにおいては積極的な圧下を行わないといったパススケジュールを設定することが好ましい。また、この第2孔型K2においても、上記第1孔型K1同様、突起部35、36における圧下量(ウェッジ先端圧下量ΔT)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量ΔE)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み38、39が形成される。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(フランジ相当部、後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第3孔型K3での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部45、46を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。なお、第4孔型K4の割り込み角度θ3は180°よりもやや小さい角度に設定されることが望ましい。これは、割り込み角度θ3を180°としてしまうと、次工程である平造形孔型においてウェブ厚の減厚を行う際に、フランジ部80の外側に拡がりが生じ、平造形孔型での圧延においてかみ出しが生じやすいからである。即ち、次工程の平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量に応じてフランジ部80の外側での拡がり量が決まるため、ここでの割り込み角度θ3は、平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量を勘案して好適に定められることが望ましい。
また、図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第4孔型K4での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部55、56を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ部80の生成効率を低下させてしまうからである。
以上説明した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aに対し、既知の孔型を用いて更に圧下・造形が行われ、いわゆるドッグボーン形状であるH形粗形材13が造形される。通常はこの後、スラブ厚に相当する部分を減厚する平造形孔型でウェブ厚が減厚される。その後、図1に示す中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて複数パスのリバース圧延が行われ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
このようなH形鋼製品16の製造において、図2に示す第1孔型K1での突起部25、26による割り込み28、29の形成、及び、図3に示す第2孔型K2での突起部35、36による割り込み38、39の形成は、被圧延材Aの4箇所に造形されるフランジ相当部(フランジ部80)の肉量の均一化や、第2孔型K2での通材性の向上を図るために所定の条件を満たすように実施されることが望ましい。そこで、本発明者らは、第2孔型K2やそれ以降の孔型(第3孔型K3〜第4孔型K4)での造形においてフランジ相当部の肉量の均一化や通材性の向上が実現される条件について鋭意検討を行った。以下では、図面を参照して本検討について説明する。
図6は、第1孔型K1において、例えば特許文献1、2に記載されているような、従来より知られた寸法の突起部を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に溝付けを行い、その後、図3に示す第2孔型K2を用いて割り込み38、39を形成させる場合の途中パス(a)及び最終パス(b)を示す概略説明図である。なお、図6における実線が被圧延材の概略図であり、所望の被圧延材形状をメッシュにて図示している。
図6(a)に示すように、従来法に係る割り込み形成では、第2孔型K2での割り込み形成時の途中パスにおいて、スラブ端面ならびにスラブ厚みが左右不均一となっており(図中、点線部参照)、所望の被圧延材形状と実際の形状が異なっている。更に、このような途中パスを経て、最終パス段階となると、図6(b)に示すように、スラブ端面ならびにスラブ厚みの左右不均一性は顕著となる(図中、点線部参照)。なお、ここでの従来法に係る割り込み形成での突起部高さは例えば約80mm程度である。
このような図6に示される問題点に鑑み、本発明者らは、従来法に係る第1孔型での割り込み形成に問題があることを見出し、また、特にスラブ幅の大きな被圧延材Aについては、スラブが所望の位置から回転した状態で孔型に噛み込むことにより、斜めに割り込み形成が行われてしまう点を見出した。また、第2孔型以降の造形では、図3〜図5を参照して分かるように、被圧延材Aの左右が非拘束の状態で折り曲げ造形が進むため、図6に示すような問題が修正されることなく造形が進んでいくことになる。
ここで本発明者らは、図6(a)に示すように、従来の技術では、第2孔型K2の途中パスにおいて既にスラブ端面ならびにスラブ厚みが左右不均一となっていることに鑑み、より前段の孔型である第1孔型K1における造形に関して鋭意検討を行い、第1孔型K1における突起部25、26の高さ(以下、ウェッジ高さとも記載)を従来に比べて高くし、以降の孔型(第2孔型K2以降)での被圧延材Aの誘導性を向上させることが有効であるとの知見を得た。また、第1孔型K1においてウェッジ高さを高くする際に所定の条件を満たすような高さとすることが好ましいことも併せて知見した。以下、本知見について説明する。
本発明者らは、被圧延材Aとしての素材スラブとして、スラブ厚300mm・スラブ幅が2300mm、スラブ厚300mm・1800mm、スラブ厚250mm・1200mmの3種のスラブを用いてH形鋼の造形を行う場合について検討を行った。具体的には、図2〜図5を参照して説明した4つの孔型を用いた造形プロセスにおいて、第1孔型K1のウェッジ高さを変動させた際の、第3孔型K3での圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキを測定した。
図7は厚み300mm・幅2300mmのスラブを素材とした場合の第1孔型K1のウェッジ高さと第3孔型K3圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキ(フランジ厚バラツキ)の関係を示すグラフである。ここで、図7のグラフの縦軸であるフランジ厚バラツキは、割り広げて造形された4つのフランジ相当部の平均フランジ厚からのバラツキ3σを示している。
図7に示すように、第1孔型K1のウェッジ高さを100mm以上とした場合には、フランジ厚バラツキが大きく低減されていることが分かる。即ち、厚み300mm・幅2300mmのスラブを素材として本実施の形態に係るH形鋼の造形を行う場合には、第1孔型K1のウェッジ高さを100mm以上とすることで後段の造形時のフランジ厚バラツキを低減させることが可能であることが分かる。
なお、左右のフランジ相当部の厚みバラツキは5%以下に抑えられることが好ましい。大型サイズのH形鋼の形状寸法の許容差は、JIS規格(JIS G 3192)によると、フランジ厚が40mmを超える場合、当該フランジ厚の公差範囲は4mm(即ち、±2mm)であり、製品のフランジ厚の10%に相当する。製品のフランジ寸法が上記公差から外れた場合、加工修正は困難であり、所定品質の製品として認められないため、製造効率やコストの面で問題が大きい。従って、各造形工程の工程能力を十分とし、左右のフランジ相当部の厚みバラツキを抑えてH形鋼製品を製造する必要がある。通常、各造形工程の工程能力を十分とするためには、フランジ厚の公差範囲を6σに設定することが望ましい。上記JIS規格に基づき、H形鋼製品のフランジ厚の10%を6σに合わせるため、左右のフランジ相当部の厚みバラツキ3σの目標値は5%以下とすることが望ましい。
図8は厚み300mm・幅1800mmのスラブを素材とした場合の第1孔型K1のウェッジ高さと第3孔型K3圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキ(フランジ厚バラツキ)の関係を示すグラフである。図8に示すように、第1孔型K1のウェッジ高さを100mm以上とした場合には、フランジ厚バラツキが大きく低減され、5%以下となっていることが分かる。即ち、厚み300mm・幅1800mmのスラブを素材として本実施の形態に係るH形鋼の造形を行う場合には、第1孔型K1のウェッジ高さを100mm以上とすることで後段の造形時のフランジ厚バラツキを低減させることが可能であることが分かる。
図9は厚み250mm・幅1200mmのスラブを素材とした場合の第1孔型K1のウェッジ高さと第3孔型K3圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキ(フランジ厚バラツキ)の関係を示すグラフである。図9に示すように、第1孔型K1のウェッジ高さを60mm以上としたいずれの場合においても、フランジ厚バラツキは5%以下となっていることが分かる。即ち、厚み250mm・幅1200mmのスラブを素材として本実施の形態に係るH形鋼の造形を行う場合には、第1孔型K1のウェッジ高さを60mm以上とすることで後段の造形時のフランジ厚バラツキを低減させることが可能であることが分かる。
上記知見に示すように、所定の各寸法のスラブを素材として本実施の形態に係るH形鋼の造形を実施する場合には、第1孔型K1のウェッジ高さを所定の高さ以上とすることで後段の造形時のフランジ厚バラツキを低減させ、例えば第3孔型K3圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキを5%以下とすることができる。
本発明者らの検討によれば、素材スラブの幅と厚みの比(=スラブ幅/スラブ厚)が、造形時のフランジ厚バラツキに関係することが分かっている。即ち、素材スラブのスラブ幅/スラブ厚の比率が、孔型内における被圧延材の回転のし易さに関連していることが分かっており、例えばスラブ幅/スラブ厚が大きい程、回転し易くなり、小さい程回転しにくくなる。図7〜図9に示した場合のスラブ幅/スラブ厚はそれぞれ、6.0、7.7、4.8である。
図9に示すようなスラブ幅/スラブ厚が小さい場合には、被圧延材の回転が抑えられ、圧延が安定化する結果、造形時のフランジ厚バラツキは生じにくい。即ち、第1孔型K1のウェッジ高さがある程度低い高さであっても、造形時のフランジ厚バラツキが顕著となることはない。
一方で、図7、8に示すようなスラブ幅/スラブ厚が大きい場合には、第1孔型K1のウェッジ高さを所定の条件より高くすることで、被圧延材の回転を抑え、造形時のフランジ厚バラツキを低減させることができる。
図7〜図9に示すように、第1孔型K1のウェッジ高さは、いずれの場合も100mm以上とした場合に後段の造形時のフランジ厚バラツキを低減させることが可能であることが分かっている。特に、図7、8からは、素材スラブのスラブ幅/スラブ厚が6.0以上7.7以下である場合において、第1孔型K1のウェッジ高さを100mm以上とすることで、第3孔型K3圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキが5%以下に抑えられていることが分かる。
以上のことから、素材スラブのスラブ幅/スラブ厚が6.0以上7.7以下であり、且つ、第1孔型K1のウェッジ高さを100mm以上とすることで後段の造形時のフランジ厚バラツキを低減させ、例えば第3孔型K3圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキを5%以下にできることが分かる。
以上のように、所定寸法のスラブを素材として用い、第1孔型K1のウェッジ高さを従来よりも高くし、好適な範囲内の高さとすることで、後段の孔型(例えば第2孔型K2、第3孔型K3)での被圧延材Aの造形において、左右フランジ相当部の肉量差を低減して厚みのバラツキを低減させ、且つ、通材性の向上を図ることができる。これにより、造形後のH形鋼製品の寸法精度の向上が実現される。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態において図2を参照して説明した第1孔型K1での被圧延材Aの造形については、突起部25、26のウェッジ高さを従来に比べて高くすることで、後段(第2孔型K2以降)の孔型における被圧延材Aの誘導性の向上が図られ、左右フランジ相当部の厚みバラツキの低減や通材性の向上が実現される旨の説明を行ったが、第1孔型K1において突起部25、26のウェッジ高さを高くしたことにより、当該突起部25、26の割り込み量が増加し、突起部25、26のウェッジ角によっては、第1孔型K1の側壁部においてメタルの噛み出しが生じてしまう場合がある。
図10は、第1孔型K1におけるメタルの噛み出しに関する説明図である。なお、図10において、上記実施の形態において説明した構成要素については同一の符号を付してその説明は省略する。図10に示すように、第1孔型K1での造形において特にウェッジ角度θ1aが大きい場合には、第1孔型K1の側壁部100においてメタルの噛み出しが生じることがあり、被圧延材Aには図示のように噛み出し部102が形成されることがある。第1孔型K1での造形において噛み出し部102が形成された場合、以降の孔型(第2孔型K2〜第4孔型K4)において当該噛み出し部102を矯正するような圧下が行われないことから、最終的に造形されるH形鋼製品のフランジにこの噛み出し部102に起因する形状不良が発生してしまうことになる。
このような事情に鑑み、本発明者らは、第1孔型K1において、側壁部100の被圧延材入口側にメタルを逃がすための逃がし部を設けることで、上記噛み出し部102の形成を防止することができる旨を知見した。以下では、図11を参照してこの逃がし部に関して説明する。
図11は、本発明の変形例に係る第1孔型K1において逃がし部を設けた構成についての説明図である。図11に示すように、本変形例に係る第1孔型K1においては、側壁部100の被圧延材入口側に被圧延材Aから逃げる方向(離間する方向)に広がる逃がし部110が形成されている。なお、全ては図示していないが、第1孔型K1に4箇所ある側壁部100の全てにおいて上記逃がし部110が形成される。
逃がし部110は、上述したような孔型内でのメタルの噛み出しが生じない程度の形状にて設けられれば良く、例えば曲率半径Rが400mm以下を有する曲線形状であることが好ましい。図10を参照して上述したように、噛み出し102が発生する要因は、突起部(ウェッジ部)25による被圧延材Aへの圧下が外側への張り出しにつながり、第1孔型K1の側壁部100の拘束が極めて強いため、当該孔型から被圧延材Aのメタルがはみ出すことにある。また、第1孔型K1においては、被圧延材Aの長手方向での延伸が生じないような圧延が実施されており、突起部25及び第1孔型K1における被圧延材Aのスラブ端部に相当する部分(突起部25の高さh1の範囲内に相当する部分)の圧下面積が、逃がし部110による逃がし面積に等しくなるように設計することが望ましい。なお、逃がし部110の形状は曲線形状に限定されるものではなく、例えばテーパー形状等であっても良い。
このように、第1孔型K1において逃がし部110を設けることで、造形時に側壁100におけるメタルの噛み出しが生じるのを防止することができ、最終的に造形されるH形鋼製品のフランジに噛み出しによる形状不良が発生してしまうことを防止することができる。
また、上記実施の形態では、図3〜図5に示すように、第2孔型K2〜第4孔型K4でのH形鋼の造形において、スラブ端面(被圧延材Aの上下端部)に割り込みを形成させ、割り込み形成と共に左右のフランジ相当部を外側に折り曲げるような造形が行われるといった工程を説明しているが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。即ち、特許文献1、2に記載されているような、素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行うといった従来技術においても本発明は適用可能である。このような場合にも、本願発明に係るウェッジ高さの構成を適用することで、孔型における被圧延材の誘導性・通材性の向上が図られ、製造されるH形鋼製品の寸法精度の向上が実現される。
また、例えば、上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4の4つの孔型を刻設して被圧延材Aの造形を行うものとして説明したが、粗圧延工程を実施するための孔型数はこれに限られるものではない。即ち、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
なお、上記実施の形態では、フランジ相当部(後のフランジ部80)を折り曲げる造形を第3孔型K3及び第4孔型K4で行うものとして説明した。これは、折り曲げ角度(即ち、各孔型でのウェッジ角度)を急激に大きくして折り曲げ造形を行うと、突起部と被圧延材Aとの摩擦力によって肉引けが起こり易くなることや、折り曲げ加工力が大きくなり、4箇所のフランジ相当部(後のフランジ部80)の肉量の均等化が損なわれる恐れがあるため、複数の孔型(上記実施の形態では第3孔型K3及び第4孔型K4)にて分担して折り曲げ造形を実施することが望ましいからである。本発明者らの実験結果によれば、上記実施の形態で説明した第3孔型K3及び第4孔型K4の2孔型において折り曲げ造形を実施することが望ましい。
本発明の実施例として、厚み300mm、幅2300mmのスラブを素材として、上記実施の形態にて説明した方法によってH形鋼の造形を実施し、比較例1では第1孔型K1でのウェッジ高さを従来と同じ80mmとし、実施例1では第1孔型K1でのウェッジ高さを従来よりも高い160mmとした。そして、実施例1、比較例1のそれぞれの場合において、第3孔型K3での造形終了時の左右のフランジ相当部の厚み(フランジ厚)の差を、フランジ中央部厚みの差として計測した。なお、パススケジュールは以下の表1に示す通りであり、表中のG1が第1孔型K1、G2が第2孔型K2、G3が第3孔型K3を示している。
Figure 2016148031
図12は、比較例1と実施例1のそれぞれの場合において、第3孔型K3での造形終了時の左右のフランジ厚を計測した結果を示すグラフである。図12に示すように、比較例1では左右のフランジ厚の差が10.7mm(=180.5mm−169.8mm)であったのに対し、実施例1では左右のフランジ厚の差が5.1mm(=179.7mm−174.6mm)であった。即ち、上記実施の形態に係るH形鋼の造形方法において、第1孔型K1のウェッジ高さを従来よりも高くし、好適な範囲内の高さとすることで、第3孔型K3での被圧延材Aの造形において、左右フランジ相当部の肉量差を低減してフランジ厚のバラツキを低減させることができた。左右フランジ厚のバラツキが低減されることで、当然、造形されるH形鋼製品の寸法精度の向上が図られる。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第1孔型において、従来より知られた寸法の突起部を用いて被圧延材の上下端部に溝付けを行い、その後、第2孔型を用いて割り込みを形成させる場合の途中パス(a)及び最終パス(b)を示す概略説明図である。 厚み300mm・幅2300mmのスラブを素材とした場合の第1孔型のウェッジ高さと第3孔型圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキの関係を示すグラフである。 厚み300mm・幅1800mmのスラブを素材とした場合の第1孔型のウェッジ高さと第3孔型圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキの関係を示すグラフである。 厚み250mm・幅1200mmのスラブを素材とした場合の第1孔型のウェッジ高さと第3孔型圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキの関係を示すグラフである。 第1孔型におけるメタルの噛み出しに関する説明図である。 本発明の変形例に係る第1孔型において逃がし部を設けた構成についての説明図である。 比較例1と実施例1のそれぞれの場合において、第3孔型での造形終了時の左右のフランジ厚を計測した結果を示すグラフである。 ウェッジ角度θ1bを変えた場合のフランジ幅・フランジ厚の数値との関係を示すグラフである。 第1孔型の途中パスの概略断面図である。 ウェッジ角度θ1aを変えた場合のフランジ先端厚の数値との関係を示すグラフである。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、通常、粗圧延機4には、以下に説明する第1孔型〜第孔型に加え、それら孔型にて造形された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型が更に設けられているが、この孔型は従来より既知のものであるため本明細書での図示・説明は省略する。また、製造ラインTにおける加熱炉2や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。
また、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するためには、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
特に第1孔型K1のウェッジ角度θ1aはフランジ相当部(後のフランジ部80)の先端部厚みに大きく寄与することが知られており、その点からは、ウェッジ角度θ1aはできるだけ小さくすることが好ましい。図14は、第1孔型K1の途中パスの概略断面図であり、一方のスラブ端面(図2における上方端部)に割り込み28を付与している状態を示している。図14では割り込み28を付与する際のウェッジ角度θ1aの大小による差異について記載しており、それぞれの場合の割り込み形状を図示している。また、図15は第1孔型K1のウェッジ角度θ1aとフランジ相当部の先端厚み(フランジ先端厚)との関係を示すグラフであり、一例としてウェッジ高さが100mm、スラブ厚が300mmの場合を示している。
また、図3に示す第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第3孔型K3での全てのパスにおいて被圧延材Aの上端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部45、46を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
また、図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第4孔型K4での全てのパスにおいて被圧延材Aの上端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部55、56を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ部80の生成効率を低下させてしまうからである。
このような図6に示される問題点に鑑み、本発明者らは、従来法に係る第1孔型での割り込み形成に問題があることを見出し、また、特にスラブ幅の大きな被圧延材Aについては、スラブが所望の位置から回転した状態で孔型に噛み込むことにより、斜めに割り込み形成が行われてしまう点を見出した。また、第2孔型以降の造形では、図3〜図5を参照して分かるように、被圧延材Aの左右が非拘束の状態で造形が進むため、図6に示すような問題が修正されることなく造形が進んでいくことになる。
本発明者らは、被圧延材Aとしての素材スラブとして、スラブ厚300mm・スラブ幅が2300mm、スラブ厚300mm・スラブ幅1800mm、スラブ厚250mm・スラブ幅1200mmの3種のスラブを用いてH形鋼の造形を行う場合について検討を行った。具体的には、図2〜図5を参照して説明した4つの孔型を用いた造形プロセスにおいて、第1孔型K1のウェッジ高さを変動させた際の、第3孔型K3での圧延後の左右フランジ相当部の厚みバラツキを測定した。
本発明者らの検討によれば、素材スラブの幅と厚みの比(=スラブ幅/スラブ厚)が、造形時のフランジ厚バラツキに関係することが分かっている。即ち、素材スラブのスラブ幅/スラブ厚の比率が、孔型内における被圧延材の回転のし易さに関連していることが分かっており、例えばスラブ幅/スラブ厚が大きい程、回転し易くなり、小さい程回転しにくくなる。図7〜図9に示した場合のスラブ幅/スラブ厚はそれぞれ、7.7、6.0、4.8である。

Claims (7)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    スラブ幅/スラブ厚が6.0以上7.7以下であるスラブ素材を被圧延材として用い、
    前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、
    前記第1孔型に形成される突起部の高さは100mm以上に設計され、且つ、前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は40°以下であることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記スラブ素材は、
    前記第1孔型における造形開始時のスラブ幅が1800mm以上であり且つスラブ厚が300mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記スラブ素材は、
    前記第1孔型における造形開始時のスラブ幅が1200mm以上であり且つスラブ厚が250mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記第1孔型及び第2孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上35°以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  5. 前記複数の孔型のうち第2孔型以降では少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われ、
    前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる工程が行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  6. 前記第1孔型には、被圧延材の側面に隣接する側壁部の被圧延材入口側において、造形時の被圧延材から離間する方向に広がる逃がし部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  7. 前記逃がし部は、前記側壁部において被圧延材入口側に近づくにつれて、前記第1孔型内面が被圧延材から離間するような曲線形状を有しており、
    当該曲線形状の曲率半径Rは400mm以下であることを特徴とする、請求項6に記載のH形鋼の製造方法。
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