JP6668963B2 - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせエッジング圧延を行い、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
このようなH形鋼の製造技術において、ウェブの減厚を行う平造形圧延時には、例えば特許文献2に記載されているように、いわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを導入することが知られている。これは、平造形圧延においてエッジング圧延と平造形圧延を交互に繰り返すようなパススケジュールを採ることで、平造形圧延によって生じるクロップ部の抑制や、平造形圧延時の噛み出しを防止するために実施されるものである。
特開平7−88501号公報 特開平1−186201号公報
近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示されている技術では、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行う方法において、フランジの広幅化に限界がある。即ち、従来の粗圧延方法においてフランジの広幅化を図るためにはウェッジ設計(割り込み角度の設計)、圧下調整、潤滑調整といった技術により幅拡がりの向上が図られるが、いずれの方法もフランジ幅に大幅に寄与するものではないため、エッジング量に対するフランジ幅の拡がり量の比率を示す幅拡がり率は、エッジングの初期段階の効率が最も高い条件でも0.8程度であり、同一孔型でエッジングを繰り返す条件では、フランジ幅の拡がり量が大きくなるにつれて低下し、最終的には0.5程度になることが知られている。また、スラブ等の素材自体を大型化し、エッジング量を大きくすることも考えられるが、粗圧延機の設備規模や圧下量等には装置限界があるため十分な製品フランジの広幅化が実現されないといった事情がある。
また、上記特許文献2に開示されているようないわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを実施する際には、エッジング圧延を行う孔型(エッジング孔型)と、平造形圧延を行う孔型(平造形孔型)と、が繰り返し用いられる。その際に、一度平造形圧延が行われた被圧延材を再度エッジング孔型に戻す場合に、被圧延材のフランジ幅が短くなっており、エッジング孔型による被圧延材の拘束が十分に行われず、通材が不安定になる恐れがある。また、平造形圧延ではウェブの延伸がフランジの延伸に比べて極めて大きいため、被圧延材に上下曲がりが生じ易く、その後の耳取り圧延において被圧延材が90°又は270°転回するために、圧延前の被圧延材が大きく左右曲がりを持った状態から圧延が開始され、もともと誘導性の極めて低い孔型形状であることと相俟って、通材トラブル等を招きやすいといった問題がある。加えて、「耳取り」と呼ばれる形状整形パスでは、異なる孔型(エッジング孔型と平造形孔型)での圧延を繰り返すため、孔型のロール隙の変更量が極めて大きくなり、生産性や能率の低下が懸念される。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来行われていた耳取りと呼ばれる形状整形パスを行うことなく粗圧延工程を実施し、圧延能率の向上を図ることが可能なH形鋼の製造技術を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を圧延造形する5以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成され、前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降には、前記割り込みに当接し、形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成され、前記複数の孔型のうち最終孔型は平造形孔型であり、当該平造形孔型における圧延造形は、リバース圧延によって当該平造形孔型のみを用いた連続的な複数パス圧延によって行われ、前記平造形孔型において、被圧延材におけるウェブ部とフランジ部との接続箇所内側に対向するコーナー部対向箇所には、当該平造形孔型に導入された被圧延材のウェブ部とフランジ部との接続箇所内側に対する圧下量低減手段としての逃がし部が設けられ、前記逃がし部の形状は、前記平造形孔型による複数パス圧延時において、当該平造形孔型に導入された被圧延材のウェブ部中央位置と、平造形孔型ロールとが当接した状態で、前記ウェブ部とフランジ部との接続箇所内側が圧下されないように設計されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記平造形孔型の前孔型として、被圧延材の前記割り込みを押し広げ、形成された分割部位の外側を略平坦形状に造形するボックス孔型を更に設けても良い。
前記粗圧延工程を行う圧延機は、2以上の圧延スタンドから構成され、前記複数の孔型のうち、最終孔型を除く孔型と、最終孔型と、は異なる圧延スタンドに刻設されても良い。
前記粗圧延工程を行う圧延機には、前記複数の孔型に加え、当該複数の孔型での圧延造形の後段において被圧延材のウェブ内法拡幅圧延を行う拡幅孔型がさらに刻設され、当該拡幅孔型は、前記平造形孔型と同じ圧延スタンドに刻設されても良い。
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来行われていた耳取りと呼ばれる形状整形パスを行うことなく粗圧延工程を実施し、圧延能率の向上を図ることができる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第5孔型(平造形孔型)の概略説明図である。 従来の製造方法におけるエッジング圧延後のフランジ部の形状と、本実施の形態に係る第1孔型〜第4孔型によって造形されたフランジ部の形状とを比較する説明図である。 フランジ部の平造形孔型による圧延の様子を示す概略断面図である。 平造形孔型のコーナー部対向箇所に関する概略拡大説明図である。 従来のH形鋼の製造方法におけるエッジング圧延時の定常部と非定常部との圧延形状の相違に関する説明図である。 ボックス孔型の概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11である矩形断面素材(後の被圧延材A)がサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材のフランジ先端部(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、エッジング孔型及びウェブ部分を減厚し、フランジ部分の形状を成形するいわゆる平造形孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
ここで、加熱炉2から抽出されるスラブ11のスラブ厚Tは、例えば、240mm以上310mm以下の範囲内である。これは、一般的なH形鋼製品を製造する際に用いられるスラブ寸法である。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。図2〜図6は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第5孔型の5つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が5つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも5孔型である必要はなく、5以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図6では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するために、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。また、突起部35、36の先端部角度は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じであることが圧延寸法精度上、好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、当該多パス造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bとが接触するような造形が行われる。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80に対応する部位)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。この角度θ2は例えば70°以上110°以下が好ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。
図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図6は第5孔型K5の概略説明図である。第5孔型K5は、一対の水平ロールである上孔型ロール85と下孔型ロール86から構成される。図6に示すように、第5孔型K5では、第4孔型K4までに造形された被圧延材Aが90°あるいは270°回転させられ、第4孔型K4までは被圧延材Aの上下端に位置していたフランジ部80が、圧延ピッチライン上に来るような配置となる。そして、第5孔型K5では、2か所のフランジ部80を繋ぐ接続部であるウェブ部82の圧下及びフランジ部80のフランジ先端部を圧下することでフランジ幅の寸法調整が行われる。このようにしていわゆるドッグボーン形状のH形粗形材(図1に示すH形粗形材13)が造形される。なお、この第5孔型K5はウェブ部82を圧下して減厚させることから、ウェブ減厚孔型あるいは平造形孔型とも呼称される。
このように造形されたH形粗形材13に対し、既知の圧延機である中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される(図1参照)。
上述したように、本実施の形態にかかる第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面をほぼ上下方向に圧下することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。
ここで、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、上述した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aのフランジ部80の形状が、従来の製造方法における平孔型造形前のフランジ部の形状に比べ、製品フランジの形状に近い形状である。これは、素材として用いる矩形断面の素材(スラブ)の端部形状を変えることなく、割り込みを入れて造形した分割部位(フランジ部80)を折り曲げる加工を行うといった造形技術を採用していることに起因する。なお、図7は従来の製造方法におけるエッジング圧延後のフランジ部の形状と、上述した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形されたフランジ部80の形状とを比較する説明図である。図7からも、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法によって造形されたフランジ部の形状が、製品フランジの形状に近い形状であることが分かる。
図7に示したように、エッジング圧延後のフランジ部の形状は、従来の製造方法と、本実施の形態に係る方法とでは大きく異なる。本発明者らの検討によれば、このようなフランジ部形状の相違に起因し、後工程である平造形孔型(第5孔型K5)での圧延造形において、被圧延材Aの変形の様子には差異があることが分かっている。
図8は、フランジ部の平造形孔型による圧延の様子を示す概略断面図であり、(a)は従来の製造方法によって造形されたフランジ部の平造形孔型による圧延の様子を示し、(b)は本実施の形態に係る製造方法によって造形されたフランジ部の平造形孔型による圧延の様子を示している。なお、図8では、説明の簡略化のため、被圧延材Aの1/4部分を拡大して図示している。
図7に示すように、従来の製造方法は圧下によるフランジ部の幅拡がりを利用する圧延法であるため、被圧延材の上下方向への圧下が浸透し易く、コーナー部が増厚し易いといった特徴がある。ここで、コーナー部とは、図8(a)において破線で示す、被圧延材におけるウェブ部とフランジ部との接続箇所内側である。このように、コーナー部が増厚した状態で平造形孔型による圧延造形が実施されると、増厚された状態のコーナー部を圧下することになり、外側へのメタルの拡がりが発生しやすい。これにより、図8(a)において実線で示す噛み出し発生箇所などにおいて、いわゆる「噛み出し」と呼ばれる形状不良が発生しやすい。
「噛み出し」が発生してしまった被圧延材に対しては、例えば特許文献2に記載されているような、エッジング圧延を行う孔型(エッジング孔型)と、平造形圧延を行う孔型(平造形孔型)と、を繰り返し用いて造形を行ういわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを導入することで、形状不良の正常化を図っている。
一方、図7に示すように、本実施の形態に係る製造方法では、被圧延材の上下方向への圧下の浸透が少なく、圧延造形によってコーナー部が増厚されるといった事がない。そのため、平造形孔型による圧延造形を実施した際に、外側へのメタルの拡がり量が小さく、上述したようないわゆる「噛み出し」といった形状不良は生じにくい。
図7、8を参照して説明したように、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法によれば、平造形孔型による圧延造形を実施した際の形状不良を抑制させることができるため、エッジング圧延後において、平造形孔型(本実施の形態における第5孔型K5)のみを用いた複数パス圧延によって粗圧延工程を完了させることができる。即ち、上述したいわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを導入することなく粗圧延工程を完了させることができる。
また、いわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを導入する必要がなくなるため、エッジング孔型の最終孔型(本実施の形態に係る第4孔型K4)と、平造形孔型(本実施の形態に係る第5孔型K5)と、を同一の孔型ロール(即ち、同一の圧延スタンド)に刻設する必要がなくなり、孔型設計自由度の向上が図られる。実操業においては、例えばエッジング孔型と平造形孔型で、一方を自動運転とし、他方を手動運転として操業を行う場合がある。そのような場合には、エッジング孔型と平造形孔型を刻設する圧延スタンドを別スタンドとすることで効率的な操業を実現することができる。
また、例えばウェブ高さ900mm以上の特に大型のH形鋼製品の製造においては、更なる形状不良の抑制が求められる場合もある。即ち、上述したように本実施の形態では、圧延造形によって被圧延材のコーナー部が増厚されるといった事がないとの説明を行ったが、特に大型のH形鋼製品を製造する場合には、被圧延材の断面においてウェブ部分が占める割合が大きいため、ウェブ圧下に伴うウェブ高さ拡がり量の絶対値が大きく、上述してきた本実施の形態に係る技術のみでは、十分な形状不良の抑制が実現されない場合もあると考えられる。
そこで本発明者らは、本実施の形態における第5孔型K5に相当する平造形孔型(図6参照)において、被圧延材Aに発生する形状不良を更に抑制するために、当該平造形孔型のコーナー部対向箇所についてその形状を好適に改良することを創案し、その具体的な形状について検討を行った。
本実施の形態に係る第5孔型K5は、ウェブ部82を圧下して減厚させる、いわゆる「ウェブ減厚孔型」あるいは「平造形孔型」と呼ばれる孔型であり、従来のH形鋼製造において用いられてきた既知の孔型形状を有するものである。この平造形孔型におけるコーナー部対向箇所の形状は、いわゆるダブルRと呼ばれる、大小2種類の曲率を有する曲線形状部が連続的に繋がって構成されるか、あるいは、テーパー状の直線部と1種類の曲線形状部が連続的に繋がって構成されているか、のいずれかの構成を有しているのが一般的である。なお、図8に示した平造形孔型の形状は、いわゆるダブルRと呼ばれる、大小2種類の曲率を有する曲線形状部が連続的に繋がって構成されたものである。
このように構成される平造形孔型(第5孔型K5)に関し、図8を参照して上述したような、コーナー部の圧下による外側へのメタルの拡がりを防止するために、第5孔型K5(平造形孔型)の孔型において、その形状を、コーナー部対向箇所に逃がし部を設け、第5孔型K5での1パス目の圧延造形において、被圧延材Aのコーナー部に対してロールがほぼ接触しないような条件を満足させるような形状とすることが考えられる。
以下、具体的な逃がし部の形状を、図9を参照して以下に説明する。図9は、平造形孔型(本実施の形態における第5孔型K5)のコーナー部対向箇所に関する概略拡大説明図であり、図9(a)はコーナー部Cの定義に関する説明図、図9(b)は逃がし部の好適な形状を示す説明図である。
図9(a)に示すように、被圧延材Aのコーナー部Cとは、図中に破線で示す、ウェブ部82内面の延長線とフランジ部80内面の延長線との交点から外れた部位であると定義される。そして、本実施の形態に係る第5孔型K5の孔型設計を、ウェブ部82の圧下開始位置においてコーナー部Cの圧下量を低減させるような形状にすることで平造形圧延時のウェブ高さ拡がり量を抑えることができ、形状不良の抑制が図られることになる。
即ち、図9(a)に示すようにコーナー部Cに対する圧下量を低減する圧下量低減手段としての逃がし部90(図中破線部)を形成させた孔型形状を設計することが望ましい。このような孔型設計により、上述したように平造形圧延時のウェブ高さ拡がり量を抑えることができ、形状不良の抑制が図られる。
また、この圧下量低減手段としての逃がし部90の詳細な形状は以下のように定めることが好ましい。即ち、図9(b)に示すように、ウェブ部82の中央位置において孔型ロールと当該ウェブ部82とを隙間なく当接させた状態において、コーナー部Cが圧下されないような形状とすることが望ましい。
第5孔型K5での圧延造形は通常複数パスで行われ、当該複数パスの全パスでコーナー部Cにロールが接触しないと、コーナー部Cの圧延造形が全く行われないといった問題があるため、1パス目以降の圧延造形では、ロールが好適にコーナー部Cに接触するような孔型設計としても良い。即ち、逃がし部90の形状は、ウェブ部82の中央位置において孔型ロールと当該ウェブ部82とが隙間なく当接する位置に基づいて定めることが望ましい。逃がし部90をこのような形状とすることで、コーナー部Cの圧下量の低減が図られるため、平造形圧延時のウェブ高さ拡がり量を抑えることができる。
以上説明した本発明の実施の形態に係る製造方法によれば、エッジング圧延後において、平造形孔型(本実施の形態における第5孔型K5)のみを用いた複数パス圧延によって粗圧延工程を行い、いわゆる「噛み出し」と呼ばれる形状不良を生じさせることなく粗圧延工程を完了することができる。また、特に、ウェブ高さ900mm以上のH形鋼製品を製造する場合においては、上記図9に示すような「逃がし部」を形成させた平造形孔型を用いることで、更なる寸法形状等の正常化が図られる。
ところで、H形鋼製品の製造における粗圧延工程では、被圧延材Aの長手方向において定常部と非定常部(端部)とで圧延形状が異なることが知られている。
図10は、従来のH形鋼の製造方法におけるエッジング圧延時の定常部と非定常部との圧延形状の相違に関する説明図であり、(a)が定常部、(b)が非定常部を示している。図10(a)に示すように、被圧延材定常部におけるウェブ部の厚みtwは、素材スラブの厚みとほぼ同じ厚みとなる。また、図10(b)に示すように、被圧延材非定常部におけるウェブ部の最大厚みtw0は、素材スラブの厚みに比べ増厚し大きくなる。
これは、従来の製造方法におけるエッジング圧延では、当該エッジング圧延による幅拡がりを利用した工程となっているために圧下が被圧延材のウェブ部に及ぶことに起因している。特に、被圧延材長手方向端部にあたる非定常部では、圧延造形に際し長手方向へのメタルフローが容易に生じやすいため、ウェブ部中央部の厚みが増厚し、素材スラブ厚よりも大きくなる。
この図10(b)に示すようなウェブ中央部の厚みが素材スラブ厚よりも厚い、被圧延材の非定常部が、平造形孔型に導入されると、当該平造形孔型での圧延造形パス(特に、初期パス)において孔型側壁へのメタルの拡がり量が大きくなり、いわゆる「噛み出し」といった形状不良が発生してしまう恐れがある。
一方、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法におけるエッジング圧延では、図2〜図6を参照して説明したように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面をほぼ上下方向に圧下することなくエッジング圧延を行っている。そのため、被圧延材長手方向の寸法変化は小さく、ウェブ部の変形も極めて小さい。即ち、被圧延材Aの定常部と非定常部でウェブ部の厚みがほとんど変化せず、素材スラブ厚みに近い厚みで平造形孔型に導入されることになる。
このような観点からも、本実施の形態に係る製造方法では、特に、被圧延材Aの非定常部についても、エッジング圧延後に平造形孔型のみを用いた複数パス圧延によって粗圧延工程を行い、いわゆる「噛み出し」と呼ばれる形状不良を生じさせることなく粗圧延工程を完了することができる。これにより、生産性や歩留まりの向上を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4の4つの孔型を用いて被圧延材Aの造形を行い、その後、第5孔型K5を用いて平造形圧延を行う技術を説明したが、粗圧延工程を実施する孔型数はこれに限られるものではなく、第1孔型K1〜第4孔型K4に示す圧延造形工程を更に多くの孔型を用いて実施しても良い。即ち、上記実施の形態に示した孔型構成は一例であり、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
例えば、第4孔型K4と第5孔型K5との間に、第4孔型K4通材後の被圧延材Aに対し、形成された割り込み58、59を押し広げ、分割部位(後のフランジ部80)を更に外側に折り曲げ、最終パスにおいて略平坦面とするような造形を行う孔型を設けることも可能である。即ち、第4孔型K4で造形された割り込み58、59の最深部角度θ3が、ほぼ180°となるような造形を実施することも可能である。
図11は、第4孔型K4と第5孔型K5との間に更に設けることが可能なボックス孔型100の概略説明図である。ボックス孔型100は、一対の水平ロールである上孔型ロール110と下孔型ロール111から構成される。これら上孔型ロール110、下孔型ロール111は、被圧延材Aに対して水平なロール周面を有している。このボックス孔型100では、上記実施の形態で説明した第4孔型K4において形成された割り込み58、59が消去できる程度の圧下が行われる。具体的には、上記第5孔型K5において形成された割り込み58、59の深さ(即ち、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4)よりも1パス分約50mm〜60mm程度多く圧下を加えることが好ましい。
図11に示すボックス孔型100においては、第4孔型K4通材後の被圧延材Aに対し、形成された割り込み58、59を押し広げ、分割部位(フランジ部80)が更に外側に折り曲げられ、最終パスにおいては略平坦面となるような造形が行われる。即ち、第4孔型K4で造形された割り込み58、59の最深部角度θ3が、ボックス孔型100での造形によってほぼ180°(略平坦)となるような造形が実施される。
このような図11に示すボックス孔型100を第4孔型K4と第5孔型K5との間に更に設けることにより、後段の平造形孔型(即ち、第5孔型K5)による平造形圧延時に孔型側壁と被圧延材Aとの接触面積を増大させることができる。特に、製品高さ900mm以上の大型H形鋼製品を製造する場合には、素材のスラブ厚みに対し製品のウェブ内法が大きいために、ウェブ圧下による幅拡がりが極めて大きくなり、上記実施の形態で説明したいわゆる「噛み出し」といった形状不良(図8参照)が顕著となる。そのような場合に、ボックス孔型100を第4孔型K4と第5孔型K5との間に設けるような構成にすることで、形状不良の発生を更に抑制することが可能となる。
また、上記実施の形態では、いわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを導入する必要がなくなるため、エッジング孔型の最終孔型(上記実施の形態に係る第4孔型K4)と、平造形孔型(上記実施の形態に係る第5孔型K5)と、を同一の孔型ロール(即ち、同一の圧延スタンド)に刻設する必要がなくなり、孔型設計自由度の向上が図られると説明した。
一方で、特に大型のH形鋼製品の製造においては、ウェブ内法拡幅圧延を利用して圧延造形を行う場合がある。ウェブ内法拡幅圧延は、H形鋼製品の製造において従来より一般的に行われている手法であり、通常は新たな圧延スタンドを設ける、あるいは、2ヒート圧延によって孔型数を確保し、ウェブ内法拡幅圧延を行うことが知られている。
このような事情に関し、上述したように、本発明ではエッジング孔型の最終孔型と平造形孔型を同一の圧延スタンドに刻設する必要がないことから、孔型設計自由度が向上する。それに伴い、粗圧延工程を行う圧延機(あるいは圧延機列)において、従前と同じ設備スペース内において、新たな圧延スタンドを設けたり、2ヒート圧延を行うといった対策を行うことなく、ウェブ内法拡幅圧延を行う拡幅孔型を刻設し、大型H形鋼製品の製造の効率化を図ることができる。
例えば、上記実施の形態に係る圧延ラインT(図1参照)では、粗圧延工程を行う圧延機列として、サイジングミル3と粗圧延機4が設けられているが、サイジングミル3に全てのエッジング孔型(K1〜K4)を刻設し、粗圧延機4に平造形孔型(K5)及び必要に応じてウェブ内法拡幅圧延を行う拡幅孔型を刻設することが可能である。
なお、H形鋼を製造する際の素材(被圧延材A)としては例えばスラブを例示して説明したが、その他の矩形断面素材についても適用可能である。即ち、本発明技術は、例えばビームブランク素材を造形してH形鋼を製造する場合にも適用できる。
本発明の実施例として、従来のH形鋼の製造方法における平造形圧延のパススケジュール(比較例)と、本発明に係るH形鋼の製造方法における平造形孔型のパススケジュール(実施例)と、をそれぞれ策定し、両者の比較を行った。なお、従来のH形鋼の製造方法における平造形圧延とは、例えば特許文献2に記載されているような、いわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを行うものを示す。
ここで、実施例及び比較例においては、ウェブ厚み300mmの被圧延材に対し平造形圧延を行い、ウェブ厚み90mmまで平造形圧延を行う場合を例に挙げてパススケジュールの策定を行った。
なお、本実施例では、幅1500mm×厚み300mmのスラブを素材として、ウェブ高さ1000mm×フランジ幅400mmのH形鋼製品を製造する場合の平造形孔型を例示し、平造形圧延で用いる孔型のコーナー部対向箇所の形状は、いわゆるダブルRと呼ばれる形状とし、R1000及びR70の曲率を有する曲線を連続的に繋げて構成したものとした。
表1は、比較例に係る平造形圧延のパススケジュールを示す表であり、表2は、実施例に係る平造形圧延のパススケジュールを示す表である。また、表3は比較例と実施例のパス回数及び圧延時間を比較した表である。表1及び表2においてG4は平造形孔型での圧延を示し、G3は当該平造形孔型(G4)の前段階にあたるエッジング孔型を示している。
表1に示すように、比較例では第3パス、第4パス、第7パス、第8パスの4パスにおいて平造形孔型からエッジング孔型へ被圧延材を戻し、形状整形パスを行っている(いわゆる「耳取り」)。これは、上記実施の形態において図7、図8を参照して説明した「噛み出し」と呼ばれる形状不良が発生するのを抑制するためである。
一方、表2に示すように、実施例では、いわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスは行っておらず、平造形孔型(G4)のみを用いたパススケジュール設計となっている。
即ち、表3に示すように、比較例に係るパススケジュールに比べ、実施例に係るパススケジュールでは、そのパス回数が17回から13回に低減されている。また、同じ平造形圧延を実施する場合の圧延時間も削減されており、平造形圧延の効率化が実現されていることが分かる。特に、実施例に係るパススケジュールでは、いわゆる「耳取り」と呼ばれる形状整形パスを行うためのロールセットアップ時間が不要となるため、圧延時間の大幅な削減が実現される。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
82…ウェブ部
85…上孔型ロール(第5孔型)
86…下孔型ロール(第5孔型)
90…逃がし部
100…ボックス孔型
110…(ボックス孔型の)上孔型ロール
111…(ボックス孔型の)下孔型ロール
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
K5…第5孔型(平造形孔型)
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (4)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を圧延造形する5以上の複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成され、
    前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降には、前記割り込みに当接し、形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成され、
    前記複数の孔型のうち最終孔型は平造形孔型であり、
    当該平造形孔型における圧延造形は、リバース圧延によって当該平造形孔型のみを用いた連続的な複数パス圧延によって行われ
    前記平造形孔型において、被圧延材におけるウェブ部とフランジ部との接続箇所内側に対向するコーナー部対向箇所には、当該平造形孔型に導入された被圧延材のウェブ部とフランジ部との接続箇所内側に対する圧下量低減手段としての逃がし部が設けられ、
    前記逃がし部の形状は、前記平造形孔型による複数パス圧延時において、当該平造形孔型に導入された被圧延材のウェブ部中央位置と、平造形孔型ロールとが当接した状態で、前記ウェブ部とフランジ部との接続箇所内側が圧下されないように設計されることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記平造形孔型の前孔型として、被圧延材の前記割り込みを押し広げ、形成された分割部位の外側を略平坦形状に造形するボックス孔型を更に設けたことを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記粗圧延工程を行う圧延機は、2以上の圧延スタンドから構成され、前記複数の孔型のうち、最終孔型を除く孔型と、最終孔型と、は異なる圧延スタンドに刻設されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記粗圧延工程を行う圧延機には、前記複数の孔型に加え、当該複数の孔型での圧延造形の後段において被圧延材のウェブ内法拡幅圧延を行う拡幅孔型がさらに刻設され、当該拡幅孔型は、前記平造形孔型と同じ圧延スタンドに刻設されることを特徴とする、請求項3に記載のH形鋼の製造方法。
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